新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

町の復活と世界遺産登録・・・マテーラ③

2016-09-17 | マテーラー南イタリア

 どこまで歩いたのか、わからなくなるくらいの迷宮状態のサッシ徘徊だ。

 このアーチからの眺めは格別。

 イドリス教会の十字架が見えた。ようやく位置関係が把握できて来た。


 サンフランシスコ・ダッシジ教会。ここはカヴェオーゾ地区とバリサーノ地区とのちょうど中間にあたる場所だ。

 大きめの道のあるところに戻った。サッシ地区を見下ろす。

 通りにこんなサッシの模型が飾られていた。

 改めて高台から見下ろすサッシ地区。ゴーストタウン化した苦難の時代から今は徐々に復活を遂げつつある。


 それを後押しするように、1993年にはユネスコの世界遺産に登録され、賑わいを見せ始めた。

 建物の内部は、外からは想像できないほどモダンな店が出来ているところも。

 イドリス教会を眺め直して、

 唯一無二の奇観の町を後にした。
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神も見放した土地 住民総退去命令で無人地帯に・・・マテーラ②

2016-09-13 | マテーラー南イタリア

 イドリス教会のすぐ近くにカヴェオーゾ教会がある。この教会だけは、建物の前に広めの広場を持っている。

 塔も高く、付近の教会の中では一番目立っている。

 入り口の横にアーチ状の展望スペースがあった。映画スターのようなカップルがその風景にすっぽりはまって、とても絵になる瞬間があった。

 同じアーチの場所で、対岸のバッサーノ地区を眺める。

 崖下の方向に、岩とそれをくり抜いた穴があちこちに見られた。

 かつてはこうした洞窟に多くの住民が住み着いていた。

 この地域は柔らかい石灰岩で形成されており、6世紀に北からやってきたランゴバルド族がそこを占拠して要害化していった。
 しかし、徐々に都市化していくと、洞窟中心のサッシ地区は住みにくく、富裕になった住民たちは次第に隣接した平たんなピアーノ地区に移って行った。

 そんな中で取り残されたサッシの住民は極貧と非衛生な生活に追い込まれていく。

 そんな時、イタリアの作家カルロ・レーヴィが反ファシズム活動によって流刑となり、この地域にやってきた。そして直面したマテーラの貧困に驚愕し「キリストはエボリにとどまりぬ」という著書で、その窮状を克明に描写した。

 エボリとは、マテーラからナポリ側に約200キロ離れた町。キリストさえもこの悲惨なマテーラまでは来てくれず、救いの手は差し伸べられなかった・・・という隠喩を込めたタイトルだ。

 これがきっかけとなり、マテーラは「国の恥」とされ、国はサッシの住民の総立ち退きを命じ、サッシは無人の街=ゴーストタウンと化した。
 ようやく70年代になりマテーラのあり方を巡って論議がなされた結果、改めてこの地区は都市開発の歴史上独自、唯一の価値を持つと再評価された。これによって保護と活性化の努力が始まり、近年目に見えて復興の足取りが前進している。

 見上げると、なぜか日本の日の丸がイタリア国旗と一緒にはためいていた。

 急坂を上り下りしながら、サッシ地区一周を目指した。


 廃墟になっている昔の住居があった。少しのぞいてみよう。


 どこまでも穴が続いていて、真っ暗。ちょっと気味が悪くなって、途中で引き返した。
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荒涼とした岩だらけの街が突然出現した・・・マテーラ①

2016-09-10 | マテーラー南イタリア

 これは何だ!  
 荒涼とした岩だらけの大地。そこに折り重なるようにして石の構築物が重なる。

 人が住んでいる街なのだけれども、温もりのかけらもないような、人の接近を頑として拒絶したとしか思えない場所。それが、マテーラの第一印象だった。


 マテーラはバーリから私鉄アップロ・ルカーネ鉄道で約1時間20分。マテーラ中央駅に降りた時は、まず拍子抜けしてしまう。駅前通りはいたって普通の新市街地の街並み。写真などで不思議な景観を頭に入れてきただけに、一瞬降りる駅を間違えたのかと思ってしまった。旧市街へはローマ通りを東に向かって進む。

 セディーレ広場から旧市街に足を踏み入れると、突然別世界が広がる。


 緩やかな坂道を上るとドゥオーモ広場に着く。

 ここからのサッソ・バリザーノ地区の景観は、まさに世紀の奇観だった。


 急峻な渓谷を挟んで谷間からせり上がる岩盤には、石の塊で造られた死の街と表現してしまいそうな建築群。

 そして対岸にはあちこちに穴の開いた断崖。サッソ・カヴェオーゾ地区だ。天然の洞窟が多く、より原始的な景観の広がる地域だ。

 坂道を下って低地に降りてみた。

 大聖堂を仰ぎ見る位置まで下ってきた。さすがに高低差の大きい土地であることを実感する。

 カヴェオーゾ地区の端にあるプルガトリオ教会。細長いユニークな形をしている。

 サッソ地区にも住民は生活しており、洗濯物を干す風景も見られた。

 その奥の岩山の上に十字架が見える。あれが、マドンナ・デ・イドリス教会だ。あの教会を目指そう。

 岩と岩の間に階段が出来ていた。


 もうあと少しで到着だ。

 さあ、到着!巨大な岩の塊の内部をくりぬいて洞窟を作り、その外側に外壁を作った実に珍しい形の教会だ。カヴェオーゾ地区にあり、最も古いものとされている。

 中に入ってみた。フレスコ画が残されていた。歴史的にも評価の高い作品だという。
コメント (2)
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