新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 パリ編㊶ 師走の夜 街角に浮かび上がったサンジェルマン・デプレのショーウインドウ

2025-02-11 | 心ふるえる風景 パリ編

12月の夜サンジェルマン・デプレ地区を歩いていて あるショーウインドウを見かけた

ここは靴店 冬場だけに落ち着いた色のシューズが陳列されている

 

ただ日本でいつもみかける陳列法とは 全く違った形が目を惹く

まず一足ずつ並べているのではなく 片方の靴だけが並ぶ

それも互い違いに上下に並べられているうえ 一つとして平行にはなっていない

 

まるで木の実のように あるいは大きな葉に止まった蝶のように

ゆらりゆらりと 空中に浮かんでいる

照明も斜めからの光線で 商品には微妙な陰影までつけられている

 

「どうぞ これらの靴を 自由気ままに履きこなしてください」

そんなメッセージが 込められているのかもしれない

 

眺めているうちに ふと気が付いた

今は12月 そうこれは「クリスマスツリー」

今年一年を締めくくるとともに キリスト誕生を祝う月に

「心尽くしの感謝を込めた プレゼントにどうぞ」と

パリっ子に 語り掛けているんじゃないのだろうか

 

ジングルベルに気持ちを湧き立たせている 中年男の妄想が

そんな夢物語を思い浮かべさせる 夜の巷のウインドウだった

 

 

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

心ふるえる風景 パリ編㊵ パリで 日本のアニメ人気のすごさを改めて認識させられた一日

2025-02-07 | 心ふるえる風景 パリ編

 何年か前のパリ滞在中 ちょうど「ジャパンエキスポ」がパリで開催中だった

 日本の様々な文化を パリっ子に紹介しようという企画だが

 一番の目玉であり人気は 「日本のアニメ」だった

 

 会場に入る前のチケットを買う広場から もう大混雑

 日本発のアニメキャラの扮装をした若者たちで ごった返していた

 なかでも特に人気が集中していたのが「ワンピース」

 ある舞台上では すっかりキャラクターになり切った若者が

 さっそうと演技の最中だった

 

 その他にも 会場のあちこちで催されたイベントで

 フランス人によって再現されたアニメのシーンが たっぷりと展開されていた

 

 私はアニメについては ほとんど知識がなかったので 

 それぞれのキャラクターが どんなアニメを基にしているのか理解できなかったが

 どれほど外国で日本のアニメが人気で どれほど浸透しているのか

 しっかりと認識させてもらった一日だった

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

心ふるえる風景 パリ編㊴ ロバート・キャパとゲルダ・タロー 二人の出会いの原点はモンパルナスのカフェだった

2025-02-04 | 心ふるえる風景 パリ編

 スペイン戦争や第二次世界大戦で数々の決定的写真を残した報道写真家 ロバート・キャパ

 彼が故郷ブダペストからパリに出た翌年の1934年 

 その人生を大きく変える出会いが パリの街角で起こった

 セーヌ左岸モンパルナス大通りにある 「カフェ・クーポール」

 

 当時は本名のアンドレ・フリードマンとして活動していたが 

 売れない無名のカメラマンに過ぎなかった

 素敵なモデルを探そうと通りを歩いていると 

 「クーポール」のテラスにいる 一人の女性が目に止まった 

 声をかけると本人は辞退したものの 彼女の友人を紹介してくれた

 その女性が ゲルダ・タローだった

 二人は急速に親しさを増した

 彼女は写真家であるだけでなく プロモーション能力にも長けており

 まずアンドレの名前を「ロバート・キャパ」と改名させ 写真のタイトルやキャプションも担当した

 そうした巧みな作戦によって キャパは次第に知られるようになった

 

 スペイン戦争にも同行して 撮影から現像まで共同での作業を担当した

 そんな中で発表された「崩れ落ちる戦士」が LIFE誌に掲載され

 キャパは一躍世界的な報道写真家として クローズアップされることになった

 

 こうしたキャパの飛躍の原点は モンパルナスのカフェでの偶然の出来事だった

 改めて彼等の人生を思い起こしながら 「クーポール」の前を眺めていると

 はつらつと語り合う若き二人の姿が 浮かび上がるかのように感じる瞬間があった

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

心ふるえる風景 パリ編㊳ モンパルナスのカフェで モディリアニの若き妻ジャンヌの視線を感じた

2025-02-01 | 心ふるえる風景 パリ編

 モンパルナスの地下鉄ヴァヴァン駅前に カフェ「ラ・ロトンド」がある

 このカフェは1903年開業以来 多くの文化人や芸術家たちの集まる店となり

 毎夜 芸術論を論じる空間となった

 

 無名の画家だったモディリアニは ここにきては店のナプキンに客の似顔絵を描き

 それを売っては 食事と酒代を工面していた

 日本からやってきた藤田嗣治は カウンターにモデルを上げてダンスに興じることもあった

 他にもエコール・ド・パリの画家たちが 常に席を占めていた

 パスキン ローランサン シャガールなど・・・

 

 少し前の時代には 北部のモンマルトルが若き芸術家たちの拠点だったが

 家賃の高騰や地下鉄南北線開通によって 来やすくなったモンパルナスが新しい拠点となった

 

 セーヌ川左岸に宿を取った時 朝食は予約せず毎朝散歩がてらサンジェルマン地区を通って

 「ロトンド」でクロック・ムッシューの朝食を楽しんだ

 店内は現在もモディリアニの作品が 何点も飾られており

 ふと目を上げると モデルであり彼の妻であったジャンヌと目が合う

 そんな格別な雰囲気の中で モディリア二の画集を開く時間は

 極上の満足を 東洋の旅人にもたらしてくれるものだった

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

心ふるえる風景 パリ編㊲ セルジュ・ゲンズブール 伝説の歌手の家が改装され 一般公開された

2025-01-28 | 心ふるえる風景 パリ編

 セーヌ川左岸 カルーゼル橋からほんの少し南に行ったところにこの家はあった

 フランスのカリスマ的歌手で俳優でもあった セルジュ・ゲンズブールの自宅

 彼はヒット曲を世に出すとともに センセーショナルな言動で

 何度も人々の話題となった 伝説的な人物だ

 

 その彼がジェーン・バーキンと親密になった翌年

 1969年から二人で暮らし始め 死去する1991年まで過ごしたのがこの建物

 彼を慕うファンたちが 壁面に二人の似顔絵を描いたり

 「愛しています」などのメッセージを書き込んだり

 その内容は 数日見ないうちに新しく変更されていたりするほどだ

 ある年 私はこの家から数百メートルという場所のホテルに滞在したため

 一日に何度もこの家の前を通り 壁に見入るファンたちの姿を見つける毎日だった

 

 つい最近知ったことだが この家が2023年に「ゲンズブールの家」として

 広く一般公開されたということだ

 娘のシャルロットの手で整備され 愛煙した煙草ジタンの吸い殻で一杯の灰皿や

 愛用した楽器 レコードなど想い出がぎっしり詰まった内容になっているという

 ああ もう一度訪れてみたいなあ・・・

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする