新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・日本 川崎市・春待坂にあるイチョウ階段、住宅街のブーメラン階段

2023-06-27 | 階段紀行・日本

  川崎市宮前区の鷺沼駅近くにある商店街の坂は春待坂と名付けられている。冬が過ぎて春が来ると、街路に植えられた桜が一斉に咲き誇り、住民に幸せを運んでくる。そんなところから名付けられたものと思われる。

 その坂を下ってゆくと、左側のビルに螺旋階段が見えてくる。

 建物の外側に付けられた階段。外階段には覆いがかけられて見えないことがよくあるが、ここはオフホワイトの鉄枠だけで囲まれているので、階段がよく見える。

 回転する部分がイチョウの葉のような形になり、光を浴びると白い色が映えて美しい。

 逆光になると、イチョウ部分のコントラストがさらに強調されて見えた。

 一方こちらは階段部分がそっくり丸見えになった形。ブーメランがいくつも縦に並んだような階段だ。

 夜の照明に照らされると、とても軽快な姿に見える。

 宮前区の住宅街にひっそりとたたずむ階段だが、夜は周囲の暗さから引き立つ感じで、一段と存在を際立たせている。

 

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階段紀行・日本 人の既成概念を破壊してしまう、魔訶不思議な川崎市の階段

2023-06-24 | 階段紀行・日本

 川崎市高津区にあるデザイナーマンション。エントランスで見上げれば丸い穴があいている。

 ちょっと引いて見ると、細い鉄製のものがぐるぐると周囲を取り巻いている。

 真横に目を移すと、これは階段のようだ。

 その鉄柵が果てしなく弧を描きながら上昇してゆく。

 最上階の空の位置まで、この階段が続いている。

 よく見ると、各階ごとに明かりがあって、確かに出入り口があることがわかる。

 果たしてこんな階段が日常的に活用されているのだろうか、はたまたデザインとしての機能なのか、見上げながら頭の中は疑問符 ⁇ だらけになってしまった。

 階段とは安全に建物などを上り下りするためにより安定した形で設計されるもの、とばかり考えていたが、この階段は完全に先入観や既成概念を破壊してしまうインパクトがあった。

 

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階段紀行・日本 箱根湯本駅で見つけたエヴァンゲリオン階段。美術館の作品も少々。

2023-06-20 | 階段紀行・日本

 箱根湯本駅を訪れた3年前、駅の階段はこんなエヴァンゲリオンのイラストで飾られていた。箱根があの作品の中に使われていたらしい。カラフルで気分大上昇の楽しい階段になっていた。

 代わって、箱根彫刻の森美術館のもう1つの階段作品。この作品のタイトルは「天をのぞく穴」(井上武吉作)。

 井上はかつて東西に分断されていた当時の西ベルリンで5年間を過ごした経験があり、その当時の閉そく感、壁に囲まれた現地の状況などを踏まえて「壁に穴をあけたら、その先に自由や希望が見えるだろうか」とのテーマで制作したという。

 「地下の小部屋の天井に開いたい小さな窓から見上げる窓」。そのために降りて行く階段がこれだった。

 訪問時にはそんな深い背景を全く知りもせず、「あ、階段がある」と、出入りして数枚写真を撮ってすぐ地上に出てきてしまったという、アホな形で手元に残されたのが、この階段写真です。そんなわけで地下の部屋や窓の写真はありません。作者の方、すみません。

 それで、足りない分の代わりに別の作品を何点か。

 高村光太郎作「乙女の像」。青森県の十和田湖畔にもある像。若いころ青森県に勤務していた時代があり、当時何度も通った懐かしい像を箱根で見つけて、ちょっと感激。

 ブランクーシ作「接吻」。見ているだけで思わず微笑みが漏れてくる。素朴に見えるけど実は愛の究極の形が表現されているのかも。

 ニキ・ド・サン・ファール作「ミスブラックパワー」。大根足で立つ女性像の圧倒的な迫力。でもこちらもユーモラスな雰囲気を醸し出す。私的には、ここの美術館の作品の中でも一番親しみを感じる逸品だ。

 

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階段紀行・日本 箱根、色彩の渦に包まれながら昇降する螺旋階段。実はベルリンの教会ともつながりが・・・。

2023-06-16 | 階段紀行・日本

 箱根彫刻の森美術館は、高原の広大な敷地に国内外の著名な作家による彫刻が展開される野外美術館。開放的で爽快な気分にさせてくれる場所だ。 

 その一角に、他に類を見ない階段がある。「幸せを呼ぶシンフォニー彫刻」と題された階段のある作品だ。

 外観は、高さ18mの円筒形の建物。まあこのような建物は都市なら普通にありそう。でも、中に入ると全く想像外の別世界が視界に飛び込んでくる。

 中央のらせん階段を取り囲むように、側面は360度ステンドグラスのきらびやかな色彩が舞っている。

 そのステンドグラスには、赤、黄、青などによる鮮烈な人や花、星などが、自在に描き込まれている。

 中央部の階段は、単なる彫り物ではなくちゃんと上り下りできる実用階段だ。それも、らせん状にステンドグラスの色彩をきらめかせて、まぶしいくらいだ。

 段数は約100段と結構な高さだが、石段には足形模様が付けられていて、これに沿って歩けば無事に昇降できる。

 階段上から外側を見れば、ステンドグラスの「明」と回転する段の「暗」とが対照的な構図を形成する。

 「光の巨匠」と呼ばれるガブリエル・ロワールの作品だ。

 訪れた時、「とても印象的な作品だなあ」と思ったのだが、後日意外な発見をすることになった。

 ある日自分のパソコンに保存してある画像フォルダを見直していた時、思いがけず強烈なステンドグラスで覆われた教会を見つけた。その作家を改めて検索してみると、まさにこの作品もロワールの手にかかるものだった。

それがベルリンの中心部にあるカイザーウイルヘルム記念教会だ。

 第二次世界大戦で損傷した旧教会の姿を残したまま、隣に建設された新教会は、壁面全体を濃いブルーのステンドグラスで覆いつくした独創的な建築。

 今から8年前の2015年に訪れた時は、2万枚ものウルトラマリンブルーに囲まれて、まさに深い海底で祈りをささげているような異次元の感動に襲われたことを、今でも鮮烈に覚えている。

 そんな教会と箱根のらせん階段とが一人の作家によって結ばれていたことを知って、とてもうれしい気持ちになった。

 

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階段紀行・日本 鎌倉最古級の杉本寺には、他では出会わなかった苔の階段がある

2023-06-13 | 階段紀行・日本

 僧行基が734年に創建したと伝えられる鎌倉最古級の寺杉本寺には、唯一無二の階段がある。

 苔の階段。ここの参道は2段階に分かれていて、最初は普通の階段だが坂の途中から苔に覆われた階段が出現する。

 今は、ここは通行禁止となっており、脇から上る形になっているので、しっかり苔に覆われていて階段かどうか判別しにくいくらい。

 なぜこのような苔階段が出来たのだろうか。それは階段に使われた石に由来しているという。

 使用されているのは鎌倉石といい、火山灰が堆積して出来た凝灰岩の一種。これは柔らかくて加工しやすいという利点がある。ただ、組織が密でないため、年月とともにすり減りやすいという。そこには苔が着きやすく繁殖しやすいことから、長年の間に苔の階段が出来上がってしまったものらしい。

 これだけ全面的に苔だらけなので、独特の風合いを醸し出す。私が行った日は雲1つない晴天だったが、曇りや雨模様の日などは一層しっとりした風情になるのではないかと思わせる場所だった。

 途中にあった仁王門の仁王像は、運慶作とも伝えられる。本堂(最初の写真)は、かやぶき屋根のひなびた建築だった。

 

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