サンポール・ド・ヴァンスの町を歩いていると、道沿いにシャガールの絵が標識となって立てられていた。絵の左側部分に描かれていたのは、まさにサンポールの街並み。
塔の角度も一緒で、シャガールは実際にこの場所で描いたんだろうな、と実感できる標識だった。
そんな風景を見ていると、視野の隅に何やら壁画のようなものが映った。
近づいて行くと、少し下った場所に学校がある。「サンポール小学校」
校舎脇に大きなモザイク画が掲げられていた。
先生に聴いてみると、この壁画はシャガールの死後、彼のデッサンを基に学校敷地内に造られたものだという。
この地区と、ここに住み、育つ子供たちは、今でもシャガールの大きな愛に包まれて息づいているのだなあ、という気分になってきた。
翌日、バスでシャガール美術館を訪ねた。1973年シャガールがサンポールに移住してから7年後、彼の生存中に開館した美術館で、フランスの国立美術館第1号だ。
美術館前のバス停看板はディオールの広告付きのしゃれたもの。さすがフランス!。
中庭にモザイク画が掲げてあった。「預言者エリヤ」。火の車に乗って天に昇るエリヤの周りを1つの星座が囲んでいる。これも旧約聖書に題材をとった、愛を伝える作品だ。
開館式の際、シャガールは「人生に必ず終焉があるなら、我々も人生が続く限り愛と希望の色でそれを彩らなければならない」と語ったという。
この美術館には「聖書のメッセージ」の連作が展示されている。ただ、館内は撮影禁止になっていてカメラに収めることが出来なかった。
中庭は広々としていて、日差しを浴びながらゆったりとくつろげる空間になっていた。
今回が2021年最後の投稿です。
この1年間、温かいコメントも含めいろいろお世話になりました。
また来年もよろしくお願いいたします。