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ボローニャといえばヨーロッパ最古の大学が創設された街。エミリア街道の要衝であり、イタリアの北部と南部とを結ぶ交通の要。進取の気風に富む自由都市、など様々なキャッチフレーズがある。
だが、そんな歴史的なものも何も知らなくとも、街を歩けばすぐに気が付く街の特徴がある。それが「ポルティコ」だ。
ポルティコとは、建物の軒に設けられたアーケード(柱廊)で、駅を降り立ってから中心街へと歩き出すと、あらゆる通りにそのポルティコがあることを実感する。総延長は40キロにも達するとされ、突然の雨にも夏の強烈な日差しにも悩まされずに街歩きが楽しめる。
このポルティコの起源もやはり大学と深いつながりがある。ダンテ、コペルニクス、ペトラルカなどの偉人たちが教鞭をとったボローニャ大学は、1088年に創立され、学問を志す多数の若者たちが国境を越えて集まった。そこで必要となるのが急増した若者たちの住まい。市民は路上にはみ出すように突き出して部屋を増築した。
それを支えるためには道路に柱を立てる必要があり、これによってポルティコ、つまり屋根付き道路が増えて行ったというわけだ。
他市では違反建築として取り払われたが、ボローニャでは逆にこのポルティコを奨励し、さらに距離が延長されて現在に至ったというわけだ。
実際にポルティコを見て歩こう。
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駅前通りには半円アーチの明るいポルティコ。
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アーチ部分に絵が描かれている所もあった。
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アーチの間隔が遠近法を使っているかのように見えてくる。
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大聖堂近く。屋根部分が平らで、色も隣の店と合わせたかのようなイエロー系。ただ、古いものであることは石柱の重々しさでもわかる。床も模様付きになっている。
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サントステファノ教会付近。石柱が貫禄十分。
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サンヴィターレ・アグリコラ教会付近。明るい日差しが差し込む、幅広のポルティコ。
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ドメニコ教会に向かう途中の道。オレンジとベージュの色の組み合わせがセンスの良さを感じさせる。
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この付近が一番幅広でゆったりしていた。
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全体的に厚みのある材料で造られているポルティコ。古そうだ。
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こちらは柱部分が赤くて派手な印象。
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トンネル状態でかなり暗かったポルティコ。
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ファリーニ通り。繁華街のホテル前。屋根もライト付き、装飾付きで完全にホテルと一体化している。
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どこまでも続いてエンドレスに思えてくるような長さ。
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この屋根アーチは緩やかな半円で優しい感じ。
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中心部に戻ってきた。このポルティコあたりが市内でも最も古い中世のもののようだ。
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朝、ホテルからザンボーニ通りに出たところ。陰影がとても美しい。
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夜のポルティコも趣が増して印象に残った。