新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

雲を見上げる③ まるで人を虜にするような魅惑的な雲が舞い踊る夕焼けの空

2021-07-17 | 雲を見上げる

 ニース。コートダジュールの海岸で夕陽の空を見ていると、飛行機が近づいてきた。なるべく機体を大きく撮ろうとズームにして狙ったところ、背景の空が何重にも変わった色彩になっていた。それも飛行機を停めた形で撮影したせいか、雲が横へ横へと逃げて行くように画面に収まり、面白い姿になってくれた。

 そんなコートダジュールの夕景。海を赤く染めた夕陽は次第に水面から消えて行ったが、残された雲はオレンジから紫へと変化していた。

 マジョルカ島からの帰り、バルセロナ港に近付いた頃、港の上空に赤味を帯びた鮮烈な形態の雲がたなびいていた。スペインはダリやピカソなどインパクトの強い画家や建築を生み出したが、空の雲もまた鮮やかなものだった。

 バチカン大聖堂の屋上に立つ聖人像を狙ったところ、その奥に浮かぶ夕焼雲がふんわりと空一面に沸き立つ様がカメラに収まってくれた。この写真の撮影日は12月21日。間もなくクリスマスということでローマの街ではあちこちにクリスマス市が開かれて賑わっている時期だった。

 地中海に浮かぶプロチダ島という小さな島。夕方の風景はとても美しかったが、その中で対岸にあるイスキア島の山を眺めていると、山の右側にイスキアの山とそっくりな形をした雲が浮かんでいて、次第にピンクに染まって行った。思いがけず自然の造形の面白さを味わった。

 お台場の夕方。海辺に並んだ港の運搬機材は遠くから見るとまるでキリンの集団がいるかのように見えて楽しい。その上空では、オレンジから青へと移り行く空の色。さらに高い高い秋空に、刷毛で掃いたかのような薄い雲が全面に広がっていた。

 こちらはローマ。サンタンジェロ橋上にはベルニーニの天使像がずらりと並ぶ。シルエットを楽しんでいたら、突然大砲から打ち出されたような雲が、天使めがけて飛び出した。一瞬眼を疑うような異形の雲だった。

 トスカーナの地方都市モンテプルチャーノに泊まった日。強い風が一日中吹いていたが、その影響か夕陽を浴びた雲たちも、おとなしくまとまることなく上下左右、自在に形を変えて踊り続けていた。

 富士山の山頂に夕日が沈み、それをシルエットにして空が光り輝く。ダイヤモンド富士を期待して出かけたが、あいにく雲が邪魔をして太陽はわずかのところで隠れてしまった。でも、こんな風にたなびく雲もまた面白い。

 ヴェネツィア本島からラグーナを渡って隣りにあるキオッジャの街に行った帰り、連絡船の甲板で海上を見ていると日没になってどんどん上空が青味を増していく中、上空の夕焼雲が墨絵のように模様を描き出した。周囲は何もない海。まるで別世界に一人佇んでその模様を眺めているかのような想いに囚われていた。

 

 

 

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空を見上げる② 入道雲、雨雲、筋雲・・・。雲たちは世界の空で自由に作品を創り上げる

2021-07-13 | 雲を見上げる

 イタリア南部の都市ナポリ。紀元79年の大噴火でポンペイの町を死の町にしてしまった活火山ヴェスヴィオ火山が、その雄姿を見せる都市だ。

 ある日、そのヴェスヴィオをすっぽりと覆って入道雲が立ち上っていた。雄大さにかけては入道雲に勝る雲はないと思わせる。

 こちらも入道雲。地中海に浮かぶ島、マジョルカ島からの帰り、港から離れて行く船の甲板で海を眺めていると、遠ざかり小さくなってゆく街とは対照的に入道雲はいつまでも巨大であり続けた。

 ニースの近現代美術館は、屋上が展望スペースとして開放されている。ここで空を見上げると、まるで大きな鳥が翼を広げたような形の雲が伸びていた。ちょうど、展示されていた赤と緑の円のある造形作品とコラボでもしたかのように・・・。

 斜塔で有名なピサ。午前中は晴天だったが午後になって雲が出始めた。ある時、斜塔が煙を吐き出したような不穏な形を形成し、やがて上空に消えて行った。なんか不吉な想いに囚われた瞬間だった。(実はこの日の夕食で、しつこくチップを要求するレストランのウエイトレスと喧嘩したが、その前兆だったのかも・・・)

 イタリア最北端の町トリノ。街を流れるポー川のほとりを歩いていると、徐々に湧き出した雲が上空に飛び出るように広がった。これも天候悪化の前触れ!?

 同じような雲には日本でも出会った。奈良・法隆寺に向けて歩いている途中、法起寺の三重塔が見えるあたりで、こんな雲が空を覆い始めた。結局雨にはならなかったが、ちょっと胸騒ぎのする空模様だった。

 パリのランドマーク・エッフェル塔。塔に昇ろうと出かけたが、行列が出来ていてあまりに時間がかかりそうなので、昇るのは断念して周辺を見ているうちに雲行きが怪しくなった。向かいのシャイヨー宮の上あたりにもくもくと雨雲が湧いてきて、ほどなく土砂降りの雨。避難場所もなくずぶぬれになった思い出の日の写真だ。

 雲といっても、出現する雲が1種類だけとは限らない。同じ空にいろんな雲が混じりあう時もしばしばだ。浅草近くの吾妻橋を渡っていて空を見上げると、こんな風にいろんな雲が仲良く共生していた。

 

 

 

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雲を見上げる① 朝焼けに染まるオレンジの雲から、空を埋め尽くす鱗雲まで。

2021-07-09 | 雲を見上げる

階段紀行はまだ続きますが、少し気分を変えたテーマを間に挟みましょう。テーマは「雲」。

 旅の途中は日常生活と違って外にいる時間が多くなり、空を見上げる機会も格段に増えます。そこで、旅の中で出会った様々な雲の形を特集しましょう。 まずは朝の雲たち。

 海外旅行は必ず飛行機から始まる。何度も飛行機にはお世話になったが、とても印象的だったのがシベリア上空で見た夜明けの雲海。厚く空を覆っていたが、太陽は上空に上っていたので雲を鮮やかにオレンジカラーに染め尽くした。

 フランス コート・ダジュールの夜明け時。暗い空が次第に明るくなり始め、厚い雲、薄い雲、それぞれに異なった色(朱、黄、オレンジ)に染め分けられて幻想的なシーンが出現した。

 その翌日、同じ海岸を歩いていたら、夜明けの空から海に向けて一直線の赤い帯が落下してきた。

 これは一体何? 

 間もなくこの筋は消えてしまった。飛行機雲なら飛行機が墜落してしまったことになるのだが・・・。

 フランス・シャンパーニュ地方の都市ランス。ここの大聖堂は歴代フランス国王の就任式が行われた由緒ある聖堂。ジャンヌ・ダルクがオルレアン解放後シャルル7世を連れて戴冠式を行わせたのもこの場所だ。そんな大聖堂の見える場所にホテルを取り、朝方ホテルの窓から顔を出すと、少し霞の掛かった朝焼けの中で大聖堂の2つの塔がくっきりと浮かび上がるのを見ることが出来た。

 フランスとイタリアの国境の街マントン。目の前には地中海が広がる。その中空の1地点に細長く鮮烈な雲が出現した。あまり見たことのない雲。とても新鮮だった。

 秋のモンサンミッシェル。対岸での朝、島に行こうと外に出たら、一面に空を埋め尽くして鱗雲が広がっていた。空を覆う雲なのに、なぜかこの雲は空の広さを感じさせる。

 同様に、イタリア中部の街マントヴァでも鱗雲に出会った。近くの教会の鋭い尖塔と柔らかく無数にあふれる丸い雲との対比が面白かった。

 鱗雲はもちろん日本でもよく見られる。「隅田川の全部の橋を歩く」というテーマの一環で千住方面を歩いていると、千住汐入大橋付近でこの雲が広がっていた。「マンション群と鱗雲」。でも、比較するとヨーロッパの空の色の方が相当に青くて印象的だなあ。

 

 

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