12月 リド島のホテルに泊まった日の翌朝だった
ブリオッシュとブラッドオレンジの簡単な朝食を終えて
本島に渡るためヴァポレットに 乗り込んだ
冬場には珍しいほどの快晴
甲板に出て 見え始めたサンマルコ広場の建築群に目を向けた
と、その建築群の後方に 何か白い塊が続いている
何?
一度瞬きしてから 再度見直した
確かに ある 蜃気楼でもなんでもない
あれは 遠くアルプス山脈につながる山々の 雪に覆われた姿だ
本島内では ビル群が邪魔をする
リド島からの 程よい距離から
冬場の澄んだ空気の中で 晴れた朝方の時間帯だけで
見ることの出来る レアな雪山の風景
ヴェネツィアの誇るルネサンス様式の建築群と
ヨーロッパの屋根であるアルプスにつながる白い自然の造形とが一体化して
目の前に展開している
ヴェネツィアには何度も訪れたが
このような光景に出会ったのは この冬が初めてだった