千葉県房総半島の太平洋側先端近くにある勝浦市で開催されるビッグひな祭り。全市内各所に合計3万体ものひな人形が飾られる。その中でも特に華やかなのが、遠見岬神社の石段に飾られるひな人形だ。
近づいてみると、一体一体が赤毛せんの敷かれた石段上に所狭しと並ぶ。この神社の総階段は60段。その階段すべてを埋め尽くす1800体もの人形が勢ぞろい。
人形はここだけではなく、市内各所に展開される。市芸術文化交流センターでは幅広いひな壇にオールスターが豪華に集結だ。
覚翁寺という寺の山門前では、ここにも臨時に出来たひな壇に600体が並び、春ののどかな日差しを一杯に浴びる。
市内外の各地から寄せられた人形は、各家庭に並べられた時の温かい思い出を抱えながらこの地に集まったもの。それが、この日差しの中で再び人々の目に触れて、それぞれの懐かしい記憶を蘇らせているのかもしれない。
公的な場所だけではない。個人の住宅でも思い思いに工夫を凝らす。ここでは2階への階段を活用してかわいらしいひな壇を造り上げた。
こうした展示は夜も続く。照明に浮かび上がる階段ひな人形は、昼とは全く違い、荘厳ささえ感じさせる光景だった。
この1800体の人形は期間中毎朝、市民が総がかりで並べ、夜にはいったんかたずけて翌朝にまた展示するという、大変な苦労の下に成り立っているという。