新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

コッレール美術館① 紀元前の女神像の部屋で、小さな現代の女神たちに出会った

2019-09-28 | ヴェネツィア美術館・博物館

 コッレール美術館に入った。数年前に1度入館したが、その時は時間がなくて駆け足の鑑賞だったので、改めて少しゆっくりと見てみることにした。この美術館はサンマルコ広場、大聖堂の真向いの白い2階建ての建物に入っている。

 2階入り口に入る門がなかなか洒落ている。

 階段を上る。2階受付のあるホールは広々。

 入って最初の部屋で思いがけないものを見つけた。シシー。オーストリア・ハプスブルク帝国のプリンセスだったエリザベートの肖像だ。そういえばヴェネツィアもかつてはハプスブルク帝国の領土だったことがあるのを思い出した。

 カナレットのヴェネツィアを描いた風景画。サンマルコ小広場とドゥカーレ宮殿など、今と変わらぬ風景だ。

 美術館の窓からは広場全体をすっきりと見下ろすことが出来る。

 図書室。重厚な書棚が美しい。

 保存されている書物の中にはカラフルな絵が描かれているものも多い。

 ルネサンス期のガレー船模型。こんな船の走る姿は見事だっただろうなあ。

 地球儀をくるりと回したら、日本の地図が出てきた!

 着飾った上流階級の人たちの様子が垣間見える。

 カルパッチョ作レオナルド・ロレダンの肖像。共和国の総督(ドージェ)を務めた人物だ。

 ギリシャ時代の彫像もある。ちょっとアップ。実に端正。

 「デメートラ」。紀元前35年ころの豊饒の女神像だ。

 そんな彫刻群をじっと見つめていた”現代の女神”たち。

 

 

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ヴェネツィアあちこち⑫ マルゲリータ広場では地元の人たちの日常生活が展開されていた。

2019-09-24 | イタリア・ヴェネツィア

 マルゲリータ広場の外れにあるカルミネ教会に入った。

 壁面上部にはズラリと絵画が並ぶ。聖書の物語のようだ。

 たまたま窓から差し込む光が、まるで絵画の中の聖母から発せられたかのように光線を伸ばしていた。

 教会を出て広場に行く途中、結婚式を終えたばかりの新婚カップルとばったり。「アウグーリ!」と声を掛けたら、にっこり微笑んでくれた。

 この広場は本島でも1,2を争うくらいに広いうえ、観光客もあまり来ないところなので、地元の人たちがゆったりと時間を過ごす風景に出会える。

 おばあちゃんと孫とのおしゃべりの時間。

 犬を連れての散歩のおじいさんと買い物途中の老紳士。奥さんから言いつかった買い物の品が思い出せなくて家に携帯で連絡中?

 こちらは出店での野菜や果物のショッピング。

 赤ちゃんの散歩風景もよく見かける。

 もちろん観光客がゼロというわけだはない。時折ぞろぞろと歩く団体さんの姿も見かける。

 この日は小学生の遠足(?)にも遭遇した。

 そうしたざわざわの周囲にも全く影響されず、ひたすらスマホに熱中していたお嬢さん。

 広場入り口に、しかめっ面の監視人がいた。

 隣にはもっと恐ろしい怪物の形相。

 かと思ったら、ほっとする笑顔もちゃんと用意されていた。

 

 

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ヴェネツィアあちこち⑪ サルーテ教会にはペストを追い出す聖母像が。個人的にはチーニ館の螺旋階段。

2019-09-21 | イタリア・ヴェネツィア

 ドルソドーロ地区で最も有名な建物は、やはりS・M・サルーテ教会だ。この教会の建立は1687年。その半世紀前にヴェネツィアを襲ったペストの猛威は、人口の3分の1が死亡するという大惨事となった。元老院はこのペストから街を救ってほしいと聖母マリアに願いをかけて、ようやく収まった後に感謝のしるしとしてこの聖堂建設となった。

 従って名前も「santa maria della salute」(聖母への感謝)の教会という名前になっている。

 

 主祭壇に掲げられているのは、もちろん聖母像。ビザンチン様式の絵画だ。

 その上部には3体の彫像が並ぶ。中央に聖母がおり、右側には老婆として表現された「ペスト」が逃げ出そうとする姿。左側は聖母に寄り添うヴェネツィアの寓意像だ。

 下壇もまた見逃せない。華やかな絵画が展開されている。

 他にもキリストの神殿奉献図など様々な絵画、彫像があるが、以前紹介しているのでこの辺に留めることにしよう。

 あと1つだけ。床面の模様、デザインもすばらしい。

 そんな堂内を、まるで放心したようにじっと見つめている少女がいた。

 この教会からアカデミア美術館側に少し戻った場所にチーニ館という建物がある。裕福な実業家ヴィットリオ・チーニによって収集された宗教美術コレクションを展示する館だ。

 中央にドッロ・ドッシの作品「アッレゴーネ」。女性の喧嘩?

 象牙の彫刻。小さいが細工を凝らした作品だ。

 聖母子像。背後の男性像が何やら不気味だ。

 中世の聖母子像。解説がなかったので詳細は分からないが、それぞれに素朴さを備えた秀作だ。

 個人的にはここの螺旋階段がとても気に入った。

 日暮れ時、運河を渡るゴンドラがシルエットとなって、時が止まったような気分に包まれた。

 

 

 

 

 

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ヴェネツィアあちこち⑩ 開放的なザッテレ海岸と、「不治の病」の広場

2019-09-17 | イタリア・ヴェネツィア

 ザッテレの海岸に出た。ここは大型の観光船も通行するジュデッカ運河。

 観光客もゆったりとした歩調で散歩を楽しむ場所だ。

 こちらは地元の父子かも。

 ルネサンス様式の窓を持つ立派なパラッツォも建ち並ぶ。

 通りの中ほどにあるジェズイーティ教会に立ち寄った。ここの目玉はティエポロの描く絵画群。

 天井画は、真下から見ても聖母マリアたちはちゃんと立っているように見える超立体画法で描かれ、その劇的な光景の描写も素晴らしい。

 それに、聖女たちの何とも言えない神秘性もティエポロの絵の特徴だ。

 ザッテレの開放的な通りの中に、全く似つかわしくない名前の付いた場所がある。

 「インクラビリの広場」。INCURABILIとはイタリア語で「不治の」つまり治る見込みのない病人のことを意味する。あまりに不似合いな名前にビックリする。

 細い通りを中に入ると、

 可憐な花も咲く小さな広場になっている。

 このような場所になぜ不似合いな名前がついているのだろうか?

 須賀敦子のエッセイにその理由を調べた文章があった。

 この場所にはかつて病院があった。その病院は当時ヴェネツィアに多く存在した娼婦たちの梅毒患者収容のためのものだったことを知る。その時須賀の心にふと思い浮かぶものがあった。

 対岸にはレデントーレ教会の優雅な姿がある。この教会は人類の罪をあがなってくれるキリストに捧げられたもの。

 不治の病に侵された病人たちが、毎日必ず目にする対岸の教会に対して、「やがて訪れる救いの確信として」手を合わせて拝み見たのではなかったか・・・。

 

 その病院跡地はいま、アカデミア美術館の付属美術学校になっているという。

 レデントーレ教会は、ルネサンス期のヴェネツィア建築界の第1人者アンドレア・パラーディオの設計した傑作だ。ここもペスト撲滅祈願のために建立されたもので、毎年7月第3土曜日にはザッテレ側から仮橋が造られ、夜には花火の打ち上げが行われる。

 

 今日になって気付いたのですが、私のブログの総アクセス数が100万件を突破しました。2008年5月にスタートして、最初は1日数件くらいでしたが、次第に増え始めました。最初の「イタリアの誘惑」は2016年で終了し、翌年から「新イタリアの誘惑」として再スタートしましたが、これを合算すると既に100万3000件になっていました。

 全く自己中心的な内容ですが、それを見てくださる皆様のおかげで、ここまで続けることが出来ました。感謝しかありません。今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

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ヴェネツィアあちこち⑨ アカデミア橋の光景を楽しみながらサン・トロバーゾ教会、そしてザッテレへ

2019-09-14 | イタリア・ヴェネツィア

 今日のヴェネツィア散歩はドルソドーロ地区を歩こう。

 ドルソドーロ地区への入口はアカデミア橋。

 ヴェネツィアの大運河(カナルグランデ)には4つの橋が架けられているが、その1つ。現在の橋は1932年の建造だ。

 ヷポレットがくぐれるようにと高い太鼓橋として木造で造られたが、それが名物となり、木造で現在に至っている。

 ここからの眺めはリアルト橋にも匹敵する美しさだ。手前にピザーニ・モレッタ館の瀟洒な建物。

 正面遠景にサルーテ教会を見てゆっくりと進むゴンドラの姿を眺めることが出来る。

 手前の船着き場もなかなか洒落ている。

 この橋を渡ればアカデミア美術館だが、先に紹介済みなので、通りを歩いてゆこう。

 美術館前のにぎやかな通り。この娘さんの足は何と長いのだろうか!

 横の運河は幅広く、それぞれの家が持つボートが沢山係留されていた。

 間もなくサン・トロバーゾ教会が見えてくる。9世紀創建と歴史は古い。

 主祭壇は、これから何かの儀式でもあるのか、綺麗に飾り付けがされていた。結婚式かもね。

 ピエタ像。ちょっと素朴風で面白い。

 こちらはティントレットの作品。いつもながら劇的、ドラマチックな光景の描写にかけては第一人者だ。

 新しいステンドグラスも設置してあった。

 

 その教会を過ぎると古い建物が見えてくる。本島内で唯一となったゴンドラ造船所。ここを通り過ぎるとザッテレの海岸が開けてくる。

 

 

 

 

 

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