前回紹介したミケランジェロ広場だが
実は ある1つのサプライズに 遭遇したことが
ここが好きになった 大きな要因だった
その日は 冬には珍しく 夕方にすっきりと晴れ上がったため
喜んで 広場行きのバスに乗った
いつもカメラを向ける 広場展望台の角の場所で
何枚か風景を撮った後 一休みしようかと 後ろを振り向いたとき
目の前に夢のような情景が 出現していた
ミケランジェロの最高傑作とされる ダビデ像
レプリカが 広場に置かれているが
その像が 茜色に染まった地平近くの空間から浮かび上がり
次第にグラデーションを経て 清涼感あふれる
ブルーの空間に染みて行く姿が そこにあった
旧約聖書に登場するダビデは 大敵ゴリアテとの戦いに向かうため
全身に 闘志をみなぎらせている
顔面の緊張は くっきりとしたシルエットの輪郭で強調され
まさに英雄の姿 そのものだ
前方を見つめ 微動だにしない若者の発散する
烈火のような エネルギーが
地平を 真っ赤に彩る源になっている
そう感じる 瞬間だった
時間の経過で ダビデは闇に沈んで行ったが
美しいたたずまいの印象は その日1日
しっかりと脳裏に刻み込まれ 消えることはなかった