新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 イタリア編⑫ ミケランジェロ広場の夕 茜色に染まるダビデの姿があった

2023-08-29 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 前回紹介したミケランジェロ広場だが

 実は ある1つのサプライズに 遭遇したことが

 ここが好きになった 大きな要因だった

 

 その日は 冬には珍しく 夕方にすっきりと晴れ上がったため

 喜んで 広場行きのバスに乗った

 いつもカメラを向ける 広場展望台の角の場所で

 何枚か風景を撮った後 一休みしようかと 後ろを振り向いたとき

 目の前に夢のような情景が 出現していた

 

 ミケランジェロの最高傑作とされる ダビデ像

 レプリカが 広場に置かれているが

 その像が 茜色に染まった地平近くの空間から浮かび上がり

 次第にグラデーションを経て 清涼感あふれる

 ブルーの空間に染みて行く姿が そこにあった

 

 旧約聖書に登場するダビデは 大敵ゴリアテとの戦いに向かうため

 全身に 闘志をみなぎらせている

 顔面の緊張は くっきりとしたシルエットの輪郭で強調され

 まさに英雄の姿 そのものだ

 前方を見つめ 微動だにしない若者の発散する

 烈火のような エネルギーが

 地平を 真っ赤に彩る源になっている

 そう感じる 瞬間だった

 

 時間の経過で ダビデは闇に沈んで行ったが

 美しいたたずまいの印象は その日1日

 しっかりと脳裏に刻み込まれ 消えることはなかった

 

 

 

 

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編⑪ フィレンツェのスタートはミケランジェロ広場

2023-08-25 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 フィレンツェを訪れると ほぼ毎回ミケランジェロ広場に上る

 街並みを見下ろす高台になっていて

 一目でルネサンス都市の全景が 展望できるからだ

 朝霧の晴れた時間帯 アルノ川からの清新な風が

 広場にいる私たちにまで 涼を届けてくれる

 

 川を横断して架かるのが ヴェッキオ橋

 ローマ時代から存在するという フィレンツェ最古の橋だ

 「ヴェッキオ」とはイタリア語で「古い」の意味で

 そのまま名は体を表している

 現在の橋は1345年の建造

 屋根付橋の両側には貴金属店が並び メディチ家の特別通路が存在し

 それは今 美術品の展示場所になっているという

 他に例のない稀有の橋が 存在を誇示している

 

 そんな橋を含めていくつもの橋が連なる パノラマの風景

 背後には ドゥオモを始めとしたルネサンス建築が並び

 天才たちの残した美術品が各所にあふれている

 

 ダ・ヴィンチが ラファエロが ミケランジェロが闊歩したこの街

 さあ これから気合を入れて そうした美術の宝庫を歩こう

 トスカーナの高台で 大きな深呼吸をして 

 心身ともに清々しい気分に  リフレッシュさせて 

 街に繰り出すのが フィレンツェの旅のスタートだった

 

 

 

 

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編⑩ 病魔克服の象徴として建立された 感謝の教会

2023-08-22 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 サルーテ教会の主祭壇には 迫力に満ちた彫像が置かれている

 中央に 聖母子がすっくと立ち

 両脇には 擬人法によって表現された2つの像

 向かって左 聖母を尊敬のまなざしで見つめ

 祈りの姿をとるのは ヴェネツィアそのものだ

 そして右側 厳しい追及に遭って 必死で逃げ出そうとする 老婆の姿

 これこそ 当時ヴェネツィア全土に猛威を振るった病魔

 ペストの最期を生々しく表している

 

 17世紀半ば ヴェネツィアではペストの蔓延のため

 当時の人口の3分の1が死亡したという

 そんな悪夢のような時期が過ぎ ようやくペストが収まった時

 感謝の印として建立されたのが サルーテ教会だった

 従ってこの教会は まさにペスト克服の象徴として存在している

 

 現在世界もここ数年 新型コロナによって大変な苦しみを味わったが

 4世紀前の 人類の病魔との闘いの印としての この教会が持つ意味を

 改めて考え直すきっかけにすることも

 意義ある事のように思えた

 

 約10年前に、私もサルーテ教会の祭りに参加した

 長いロウソクを購入してミサに参列

 最も需要なミサが終わった時 前で祈っていた女性が

 突然振り向いて 手を差し伸べた

 参列者がお互いに握手を交わして 健康を喜び合うという恒例行事

 この日1日 私もヴェネツィア市民となれたような

 温かい気分に満たされた

 

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心ふるえる風景 イタリア編⑨ サルーテ教会の背後で展開される 夕刻のドラマ

2023-08-19 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 初めてヴェネツィアを訪れた時

 刻みつけられた 強烈な印象は

 この夕陽の風景だった

 海洋国家としての歴史と繁栄を重ね

 今や世界でも唯一無二の景観が知られる ヴェネツィア

 

 そのランドマークの1つ サルーテ教会の

 中空に突き出るバロックのクーポラを

 燃えたぎる炎の夕陽が 包み込む

 それも 吹き過ぎる風が 空の雲を絶妙に移動させて

 色彩も 朱 オレンジ 赤 茜

 様々に色調を 変えながら変化し

 見るものに驚きの連鎖を 提供し続ける

 

 そんな夕景に 見とれているうちに

 気まぐれな太陽は 彼方に沈み

 気が付くと 周囲を夜のとばりが支配している

 

 何度も見つめ 何度も堪能したはずなのに

 また この夕陽を見に 

 ヴェネツィアに来てしまう 自分がいる

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編⑧ 青い光に包まれた聖人像が、ヴェネツィアの通りに浮かび上がる

2023-08-15 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 12月のヴェネツィア

広場に通じる道路の中央に

イルミネーションが 吊り下げられた

1つ1つが小さな地球のような球状で 

その球の外側を囲むように

沢山の豆電球が 取り付けられている

 

点灯されると 青い光を発した球が

通りを華やかに彩ってくれる

ただ 最近の日本のような派手なものではなく

しみじみと通りを飾る・・・といったものだ

 

そんなクリスマス風景を カメラに収めようと

撮影を始めた

何枚か撮っているうちに 通りの脇にある教会も含めて絵にしようと

教会のファザードを飾る小さな聖人像に ピントを合わせた

思い切りズームして シャッターを切る

 

確かめてみると イルミネーションは

ちりばめられた青い雪の粒のように

聖人像を ふんわりと包んでくれた

 

まるで 像がこれから天に昇ってゆく瞬間に出会えたと

見間違うほどの清浄な雰囲気を

感じられた時間だった

 

 

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