一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

暗号入り判決

2006-05-03 | よしなしごと

日本では「蛇足判決」(結論に影響を及ぼさない法的見解や事実判断などを判決文に書こと)を批判した井上薫元判事が、「判決文が短すぎる」と再任拒否されて辞職(再任申立てを取り下げ)した、という事件がありましたがイギリスでは、『ダ・ヴィンチ・コード』の盗作をめぐる裁判(こちらのエントリ参照)の判決文に判事が暗号を仕込んだ、ということで盛り上がっているようです。

BBC NewsのJudge creates own Da Vinci codeによると

The judge who presided over the failed Da Vinci Code plagiarism case at London's High Court hid his own secret code in his written judgement.
Seemingly random italicised letters were included in the 71-page judgement given by Mr Justice Peter Smith, which apparently spell out a message.
Italicised letters in the first few pages spell out "Smithy Code", while the following pages also contain marked out letters.

71ページにわたる判決文の中にイタリック(斜体)の文字がちりばめられていて、最初の数ページをつなぎ合わせると"Smithy Code"(判事はPeter Smithという名前)になり、その後が暗号になっているという仕掛けです。

"I can't discuss the judgement, but I don't see why a judgement should not be a matter of fun,"

「判決の是非については議論すべきものではないが、そこにちょっとした仕掛けがあったからって悪くはないだろう?」というような感じですかね。

このへんが英国流のユーモアなんでしょう。


以上が4/27の記事です。その記事の中でも

Mr Justice Smith said he would probably confirm it if someone cracked it, which was "not a difficult thing to do".

まあ、大して難しい暗号じゃないのでだれかが解明したら正解かどうかを認めるだろう、と言ってましたが、マスコミに取り上げられて挑戦者が殺到したためか、翌日には解かれてしまったようです。
それが4/28の記事Judge's own Da Vinci code cracked

暗号の回答は

"Smithy Code Jackie Fisher who are you Dreadnought."

というものでした。

この裁判が始まった日が、判事が尊敬する英国海軍のJackie Fisher提督が作った戦艦Dreadnoughtが進水した日のちょうど100年後にあたることにちなんだものだそうです。
Jackie Fisher提督はイギリス海軍を近代化した人物として知られています。

ちなみにJackie Fisher提督はこんな人。さすがに勲章をいっぱいお持ちですね。

戦艦Dreadnoughtはこんな船です。近代の戦艦、という感じです。

※余談ですが、Dreadnoughtの1906年竣工直後に日本は戦艦金剛をイギリスに発注してます(1910年竣工)。
 当時のイギリスの製鉄技術は高く、日本製のドリルでは鋼板に穴をあけられなかったというあたりはこちらのエントリ後半参照。
 なにはともあれ日本の近代化のスピードはかなりのものだったともいえます。

もともとSmith判事自身クロスワードパズルも嫌いとかで、『ダ・ヴィンチ・コード』でも出てきたフィボナッチ数列を使った簡単な暗号を40分程度で作ったそうです。


詳しくは産経新聞の記事(ダ・ヴィンチ・コードの判決文暗号 海軍提督浮上も新たなナゾ!?) もご覧下さい。
最後の部分が笑えます。

英各紙は大衆紙、デーリー・メールが解読した読者に1000ポンドの賞金を出すと言い出す中で解読したメッセージの報道をインターネット上で競い、どうやら一足先に「正解」を出したタイムズが勝ったようだ。ただ、解読合戦に疲れたのか、判決文に暗号を隠したという判事の行為の善し悪しは今のところ不問にしている。



もっともこれは暗号を埋め込んだだけですから、井上薫元判事が批判する「蛇足判決」にはあたらないとは思いますが、日本の裁判官がやったら間違いなく再任拒否されそうですね。


ところで、肝心の判決ですが、盗作とは認定されず、請求は棄却されたそうです。

コメント
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