ニートは扶養控除外 自民が検討
(2006年 5月22日 (月) 02:00 共同通信)
自民党税制調査会(柳沢伯夫会長)は21日、少子化対策としての子育て支援減税の財源を確保するため、所得税の扶養控除(1人当たり38万円)に年齢制限を新設し、成人したニート、フリーターを対象から外す方向で検討に入った。
少子高齢化による労働力の減少を補うため、ニート、フリーターを抱える世帯の税負担を増やすことで、若年層の本格的な就労を促進する狙いもある。
今日のニュースでも話題になってましたが、「ニート」の問題というのをどう考えるべきなのか、まだよくわかりません。
「ニート」というのはWikipediaによると
厚生労働省の定義によれば「15歳から34歳までの非労働力人口のうち
- 学卒
- 学籍はあるが実際は学校にいっていない人
- 未婚で家事・通学をしていない人
- 既婚者で家事をしていない人
とされている。また、英国同様単に「就学及び就業をしていない者」の意味で用いられる場合もある。
(フリーターや失業者に対し)ニートは就労に向けた教育・雇用・職業訓練等のいずれにも参加せず、職を得る動きを見せない点が異なっている。
とされています。
また、NPO法人「育て上げ」ネットによると([ ]部分を加筆)
NEETとはNot in Employment, Education or Trainingの略で、「職に就いていず、学校機関に所属もしていず、そして就労に向けた具体的な動きをしていない」若者を指します。現在、日本にはNEETに分類される若者の数は68万人と言われています。労働政策研究・研修機構副統括研究員の小杉礼子先生はニートを四つ類型化しています。
Ⅰヤンキー型
反社会的で享楽的。「今が楽しければいい」というタイプ
Ⅱひきこもり型
社会との関係を築けず、こもってしまうタイプ
Ⅲ立ちすくみ型
就職を前に考え込んでしまい、行き詰ってしまうタイプ
Ⅳつまずき型
いったんは就職したものの早々に辞め、自信を喪失したタイプまた、東京大学社会科学研究所助教授の玄田有史先生はNEETを以下のようにとらえています。
失業の理由
需要・・・経済状況・産業構造の問題【主に年齢のミスマッチ】
⇒[対策としては]景気回復など
ミスマッチ
①技術・技能の問題【スキルのミスマッチ】
⇒[対策としては]能力開発など
② 希望するものがない・何をしたいのか分からない【こころのミスマッチ】
⇒大きな課題
支援について(仕事と個人の関係からとらえる)
個別単位の支援・・・若者全体への支援ではなく、あくまでもその人、個人への支援[が効果的?]
主役は「地域」・・・バーチャルな情報ではなく、自分で足を運び五感で実感する[ことが重要?]
各機関の名目以上の連携・・・この層への支援はNPOが進んでいる。また名目だけの連携はいらない
冒頭のニュースを初めとして、最近でも次のような話題があります。
教育と雇用の連携が重要 若者の人間力国民会議
(2006年 5月 9日 (火) 11:23 共同通信)
起業精神衰え保守志向に 06年度新入社員の意識調査
(2006年 4月26日 (水) 20:53 共同通信)
ざっくり言うと、ニートの問題の捉え方として
①個人の意欲・資質の問題(教育・動機付けによって改善可能)
②雇用のミスマッチの問題
③社会政策の問題(セーフティーネットが必要)
④原因はさておき国力に影響するのでどうにかせにゃならん
というような異なる切り口の議論がされているように思います。
上のニュースは①に主眼を置いているものですが(最初の記事は④を念頭にムチでインセンティブを与えようとしています)、NPOなどは②も重要視しているようです。最近、公務員の中途採用の年齢制限を上げる、というのもこの手の話だと思います。
ただそれが問題になる、というのは背景に③または④といえるくらいの数が増えている、ということがあるのでしょうか。
上記Wikipediaによると「おとなニート」は推定39万人ということですが、労働者人口全体の中でその数字がどれくらいの意味を持つのか、正直わかりません。
「格差社会」論同様に、総論では「なんとなくよくないな」という雰囲気で議論されているような感じもします。
でも、「格差」や「ニート」がすべていけない、というわけでもないと思います。
「努力しようがしまいが格差がない社会」、というのもいいとは思いませんし、「楽して暮らしたい」という気持ちは誰しも持っているでしょうから。
ひょっとすると、それだけ社会に余裕があるのかもしれませんよね。
現状がどうなっていて、何が問題なのか、というところをすり合わせるのが大事だと思います。
逆に、ニートが社会にとって既に有意な問題だとして、しかもその主な原因が雇用のミスマッチ(正社員の採用の絞込み)などにあるとした場合、問題は若年層だけにとどまらないのではないかと思います。
つまり「既存の企業の正社員が過剰に保護・優遇されているために若年層の雇用が制限されている」という世代間の問題になるのではないか、ということです。
たとえば25歳のニートの息子を抱える55歳の年収800万のサラリーマンがいたとして、その人が特段のスペシャリティがないとしたら、企業としては父親の代わりに息子を年収400万で雇用する方が合理的かもしれないわけです。
ニートが少子化問題につながり、それが日本の将来に影響する、というのであれば、「子育ての終わった労働者の雇用は保護せず、若年者の雇用を促進する」という社会政策が選択肢として浮かんでくる可能性もあります。
また、終戦直後の日本企業で高齢の役職者が公職追放になったり会社自体が財閥解体などにあった結果、若手が否応なく責任ある仕事を任され、それが戦後の経済成長の活力につながったように、ひょっとすると「オジサンパージ」が若年層の就労意欲を高めるのに有効かもしれません。
極端に言えば
年寄りを間引くのが一番のニート対策
という可能性がある、ということです。
※多くの人(特に団塊世代)は「俺は間引かれる対象にはいらない」と思うので、けっこう通ってしまったりして・・・
などと考えると、オジサンとしては「ニートはけしからん」などと軽々に言わない方がいいかな、などと考えてしまいました。
PS
ホントは若い人がバリバリ働いてくれて、オジサンはとっとと年金暮らしができればそれもいいんですけどね・・・、あ、そうか、そんなオジサンはだれも面倒見てくれないか(^^;