一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

著作権侵害という主張が野暮になるとき

2006-05-29 | あきなひ

以前コメントをいただいたまついさんのblogで「児童書四者懇談会」なる団体が絵本などの読み聞かせ・お話会が著作権侵害にあたりうるとしてガイドラインを作ったという話を知りました。
ガイドラインの内容はこちら「お話会・読み聞かせ団体等による著作物の利用について」

著作権のことは(も)詳しくないのですが、確かに形態によっては「お話会」も形式的には著作権侵害になるのかもしれないとしても、このようなガイドラインがどんな意味があるかぎ門に思います。
絵本はマスコミに取り上げられてベストセラーになることはめったにないでしょうし、読み聞かせ・お話会で取り上げられた方が「じゃあ買って家でも読もうか」と思う人が多いんじゃないでしょうか。

妙な脚色をされては困るというような著作者人格権の主張ならさておき(それも読み聞かせで目くじら立てるのもどうかと思いますが)、財産権としての著作権は財産の経済価値を高める方向に使わないといけないと思います。
実際、訴えるとしても差止めは出来るかもしれませんが、損害賠償は損害額の立証が難しいと思うのですけど・・・


似たように著作権に関して、権利を硬直的に主張することで妙な展開になっているものとして、新聞記事の二次利用の問題があります。
大手4紙は共同で使用許諾団体を作っているのですが、特に日経新聞は単独でガイドラインを作り、企業内でのネット配信やコピーの配布について独自のガイドラインでかなり厳しい事を言っています。
「日本経済新聞社からのお知らせ」をご参照ください)  

これに加え、日経は2002年8月から記事をコピーして関係部署に配る、記事クリッピング利用について印刷物で、かつ内部配布に限定したケースでは定期契約に応じます。 

イントラネットにも転載したいというご相談がありますが、ネットワーク上への複製は、許諾できません。現時点においては著作権管理面で難しい要素が多いためです。ネット上の記事検索は日経の記事データベース事業(日経テレコン21)をご利用ください。

これについて、一昨年くらいに新聞記事にもして話題になったと思うのですが、そのとき知り合いの会社がイントラネット配信を計画してどうしようかとハタと困って、クリッピング利用の定期契約の料金を日経新聞の営業の人に聞いたところ、そのとき全社で取っている日経新聞を必要最低限(たとえば部で1紙とか)に変えて定期契約した方が得だ、という試算になったそうです。

なんだかこれって新聞社が自分の首を締めてる感じがしませんか?
一方で「各戸口まで配達すること」の意義などを理由にして再販制度の特殊指定の維持を主張していることともバランスがとれないようにも思います。
(法人需要は別なのでそっちは自由価格にしてもいいということなのでしょうか)

まあこれは、新聞社が紙媒体を販売する以外のビジネスモデルを模索している一環なのでしょうが、著作権の主張をあまりに強調し、複製利用を厳格にしすぎると、かえってメディアとしての使い勝手が悪くなってしまうというジレンマに陥りかけているような感じがします。


「著作権を守る」といっても、商売としては最初から守りに入るのではなく、まずは広く認知されることが必要なんじゃないでしょうか。
絵本は知られなければ売れないし、メディアも記事が読まれなければ権威にはなりません(あ、既に権威と思ってるのか・・・)。
お笑い芸人がギャグを真似されたからといって著作権(厳密に言うと著作隣接権かな)を主張するなんて野暮なことはしませんよね。
そもそもどんなに真似(複製)されてもオリジナリティを失わないくらいの強さを持ってからでないと、著作権侵害を争っても、大きなビジネスにはならないんじゃないかと思います。

「著作権侵害」と主張される中には、(売名目的のような言いがかりを除いて、本人が真面目になっているものの限定したとしても)野暮、大人気ない、ビジネスセンスがない、というような主張がけっこうあるような感じがします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする