一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「コポガバ」

2006-05-26 | コンプライアンス・コーポレートガバナンス
内部統制については、会社法と金融商品取引法のほかに東京証券取引所から上場企業に対し「コーポレートガバナンスに関する報告書」の提出が求められています。


ところでこの報告書、業界の方は「コポガバ報告書」と縮めて言うようです。


でもこれ、ちょいと早口言葉風なので滑舌がよくないと言いにくいかもしれません。
また、役員会で流行らせたあげくに年配の役員の方が「コポカパ・・・」なんてつまったりすると、入れ歯が外れたかと周囲が心配しますので、あんまりいい略称とは思えないんですが・・・



また、「コポガバ」なんていうと「ドルガバ」や「コパカバーナ」と勘違いされるかもしれませんしね(しないか・・・)

※「コパカバーナ」といえばバリー・マニロウの歌が有名ですが(古!)歌詞を改めて見てみると、(日本語訳はこちらをご参照)買収者の出現にゆれる共同経営者を暗示しているとも取れなくないですね
(おあとがよろしいようで)
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町工場に学ぶ内部統制

2006-05-26 | コンプライアンス・コーポレートガバナンス
昨日の内部統制の話の続きです。

会社法と金融証券取引法で会社には内部統制の構築が求められています。
神田先生の『会社法入門』の表現を借りれば、会社法上の内部統制構築は、「経営の適正の確保と取締役の免責(従業員等による不正が生じても内部統制システムが構築・整備されていれば取締役は個人責任を免責される)」にあるのに対し、
金融商品取引法上の「内部統制報告書」は財務報告(情報開示)の観点からのものとされそれぞれは若干異なります。

金融商品取引法の内部統制は2008年4月以降の事業年度に適用されるので、当面は法施行後最初の取締役会で決議する必要のある会社法の内部統制が問題になりました。
そろそろ3月決算の会社についておおむね出揃ったところですね。

会社法の内部統制ですが、大会社および委員会設置会社においては取締役会で「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」が義務付けられます。(348条3項4号・4項、416条1項1号ホ・2号)

では具体的には何をしなければいけないか、というと
 一 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
 二 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
 三 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
 四 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
などを決めなさい、と施行規則(98条)で定められています。

何か大層なことを決めないといけない感じです。


そこで、話を単純にするために(会社法では義務付けられてはいないのですが)街場の零細企業を例に考えて見ましょう。

旦那が腕のいい職人兼営業マンで取締役社長、奥さんが専務取締役、あとは職人1人とパート・バイトが2人で商売をしている町工場を考えます。

社長は腕がいいのですが、親分肌で、他の仕事仲間に頼まれると無理なことでも引き受けてしまうことがあります。
特にお酒が好きで、酒が入ると気が大きくなって、面倒見モード全開になってしまいます。
専務は会社の経理事務や電話番をしています。なので、会社の実印や預金通帳と銀行印は専務が管理しています。
工場は家から比較的近く、毎日2人で納品用のトラックに乗って自宅から通っています。


これってよくある町工場のパターンですよね。
実はこれで十分、内部統制は機能しているんです。

上記施行規則に即して言えば

一 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
 電話番をしていれば、どんな仕事をしているかは大体わかります。

ニ 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
 お金と印鑑は専務が管理しているので知らないうちに仕事仲間に金を貸すとか保証人になるということはありません。

三 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
 奥さんは経理事務を一手に引き受けているので、社長は営業と加工作業に集中できます。

四 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
 車で夫婦で通勤するので、「仕事帰りに一杯」という場合も、一度車を家に置いてから、ということになります。なので酔払い運転にはなりませんし、誰とどこに飲みに行くかもわかります。
 ※バイトのA君は外国人でビザ問題は見てみぬふりをしています、これは近所の町工場はみんな同じなので、摘発されることはないだろうし摘発されたら仕方ないと割り切っています。


内部統制の構築、以上終わりです。簡単ですね。
(上の例では違法のリスクを承知でグレーゾーン(これは厳密にはクロなんですが)に踏み込んでの経営判断までしています。なかなか立派なものですw)


結局(街場の零細企業も含めて)普通の会社は、会社が傾いては困るので会社法施行前でも何らかの形でチェック&バランスが効いた体制をとっているはずです。
それを会社法のルールに則って整理しなおしていけばいいわけですね。

今回非常に立派な内部統制制度を開示している企業は、今までも先進的な内部統制制度を持っていたのだと思います。
これを機会にコーポレート・ガバナンスのあり方を見直す、というのもいいでしょうが、どこかのコンサルが持ち込んだしくみをそのままはめ込んでも、ろくなものにならないと思います。特に、出来もしない事を約束するのは最悪です。
他社の内部統制を参考にしながら、自分の会社にはここが足りないな、というところがあれば、ちょっとずつ身の丈にあわせて改善していけばいいわけです。


結局神田先生のおっしゃる通り、内部統制構築義務が取締役の善管注意義務として明文化された中でも経営者が現状の会社のあり方に自信が持てるか、という「責任」の問題に帰着するわけですね。


こんなこと、僕が今更言うまでもなく業務に携わっておられる皆さんはご承知のことと思います。ただマスコミなどの論調が「今までと違ったしっかりした内部統制を構築しないといけない」と新会社法に合わせて「背伸び」を期待しているように感じられるのであえて書いてみました。





あ、そうそう、もともと社長が愛人に経理事務を任せていたり、ボンクラ息子が仕事もしないのに小遣い代わりに給料もらってあげくの果てにキャバクラの領収書を会社に回しているような会社は、これを機会に反省しなきゃだめですよ^^

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