グザヴィエ・ドラン監督作品で最初に観たのがこれでした。
マイ・マザー J'ai Tue Ma Mere 2009年 カナダ映画
ユベールの友だちアントノンのママと日サロでばったり会って
「もうすぐ息子たちは2か月ですね~」
と挨拶されて「???」なユベールの母さん。アントノンはユベールの恋人。ユベールはゲイ、ふたりがおつきあいをはじめてもうすぐ2か月・・・・とこの瞬間知った母さんはショックを隠せない。「昔はなんでも話してくれたのに・・・そんなこと赤の他人から聞かされるなんて」とデニース相手に嘆く。
しかしそういう話をお天気の話題みたいにあっけら~とやっちゃう、アントノンのママって・・・・!アントノンのうちにはママの若い恋人が半裸でうろちょろしていたりするんですが自由奔放な母に鍛えられているのかこの子は平然としてます。ちょっと大人なのよね。
アントノンと勉強しているところにパパから電話。「久しぶりに家で映画を観てパスタでも食べよう」と誘われて4か月ぶりに会いに行く。
「最近ママとうまくいってないんだ」と愚痴ろうとしたらそこにママがいて、田舎の寄宿学校へ転校させられる話が出来上がっていた・・・。(ここはさすがに、だまし討ちだわ~、と思っちゃいました。)
アントノンが転校するユベールに「浮気すんなよ」とくれたのはアントノンが作った2人の人形と母さんの人形。
寄宿学校へ行くバスに乗るユベールを母さんが送っていく。車から降りて、見送ろうとする母さんに
「僕を追い払ったのに別れを惜しむの?母さんはクソ女だ!・・・・今日僕が死んだら?」
母さんは何も答えない。そしてユベールが去ってから
「明日私も死ぬわ」
とつぶやきます。
「ばれたら停職だわ」とかいいつつも家出したユベールを泊めてくれて話を聞いてくれたジュリー先生。先生は父親と10年も話していないという。
「僕は息子に向いていないのかも」というユベールに「母親に向いていない人もいるわ」と、言う先生。
寄宿学校へ転校した後もユベールを気にかけてくれた。
ジュリー先生のユベールへのメールで「バンクーバーの友だちを訪ねるわ」というのがあって、「なんで”カナダ”じゃなくて”バンクーバー”と都市名をいうんだろう・・・?」と不思議に思った私。バンクーバーは、国内だったのね。ここまで「カナダ映画」じゃなくて「フランス映画」だと思って観てましたよ・・・
どよ~んと 寄宿学校へやってきたユベール
食堂で隣に座ってきてじ~っとみつめて「友だちになりたい」と言ってきたエリック。(マシュマロ男ですねっ)
仲良くなってパーティーで一緒に踊り、エリックはユベールを抱きしめてキスしたのに、ユベールはその腕をするりとほどいて行ってしまった.
アート作品を見ているような感覚は胸騒ぎの恋人でも感じたけどこの映画もそう。
料理のプレートや壁の絵や家具、ティーカップもポップでカラフル。
アントノンのママに会社の事務所の壁に自由に絵を描いてと言われて、ペンキを付けた刷毛を壁に投げつけるようにして色を重ねていく。
(ドリッピング手法というんですねっ)
ペンキで汚れていく新聞紙の上に横たわる2人・・・こういうところもとってもオシャレ。
「僕は王国にいる」と言い残して姿を消したユベール。
母さんにはそれがどこかすぐにわかった。ユベールが小さい頃母さんと暮らした海辺の家。
大好きなママ、小さくてかわいいユベール。宝物のような幸せな時間。・・・でもずっとそのままじゃいられない。
子供と大人の間でもがいている思春期の男の子の焦り、とかイライラとかそういったものがユーモアたっぷりに描かれてました。
ドラン監督、19歳の時のデビュー作。19さい・・・やっぱ恐ろしい子!