極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

鈍すれば貧する

2024年02月29日 | 環境リスク本位制


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成の一

種で、あらゆる武具を朱りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれた
キャラクタ。 


● 厚さ1.6nmの炭化チタン膜でCO2光還元
2月29日、千葉大学と中国成都バイオガス科学研究所は,MXene(マキシン)
と呼ばれて近年盛んに研究されている新たな2D材料,「炭化チタン超薄層化
合物 Ti3C2Xy(X=O,OH,F,orCl)」は電気を通す効果があり,複合した酸
化ジルコニウム(ZrO2)に紫外可視光を照射することで生じた電子を高速に
伝達し,CO2をCOに還元することが分かったと言う。



図1.Ti3C2Xy (X = O, F) の構造図と光由来の電子によりCO2光還元を促進
する反応経路の概念図

【要約】

光触媒を用いてCO2を燃料や有用な化学原料(CO,メタノール,酢酸等)に変
換する研究が広く進んでいるが,光由来で光触媒(半導体)内部に生じた電
子とホール(電荷分離)を効率よくそれぞれCO2および還元剤(H2O,H2,ア
ルコール等)にまで導く効率が問題になっている。この効率が悪ければ,持
続可能エネルギーである光エネルギーによって生じた光触媒内の電子とホー
ルが再結合して,消えてしまう。そこで、同研究グループは,まず,合成し
MXene Ti3C2Xyの構造を確かめ。,Ti層が3層,間に2層のC層がサンドイッ
チされた配位構造が示され,両側に主にFあるいはO原子が結合することで,
超薄層を形成していることが分かった。この1単位の層が3層重なり,厚みが
1.6nmの層を成していた。一方,超薄膜は数100nmに広がっていたという。

【成果】まず、合成したMXene Ti3C2Xyの構造を確かめました。すると、図1
のようにTi層が3層、間に2層のC層がサンドイッチされた配位構造が示され、
両側に主にFあるいはO原子が結合することで、超薄層を形成していることが
分かりました。この1単位の層が3層重なり、厚みが1.6ナノメートル の層を
していました。一方、超薄膜は数100ナノメートルに広がっていた。半導体で
あるZrO2はこのMXene Ti3C2Xy層上に5〜10ナノメートルの大きさで粒子状に
散りばめられていることが分かりました。このMXene Ti3C2Xy–ZrO2複合体に
紫外可視光を照射するとCO2からCOが定常的に得られました。さらに光反応
経路を確かめるために、炭素の同位体注6) である13Cを含む13CO2を反応させ
ると、13COが得られました(図2(A))。


図2.Ti3C2Xy MXeneとZrO2とを複合した光触媒を用いた13CO2還元反応試験
の経時変化図。(A) 13CO2にH2ガスを加えて紫外可視光照射した場合、(B) 
13CO2にH2Oガスを加えて紫外可視光照射した場合。
しかし、これはH2ガスを13CO2と一緒に光触媒に導入した場合で、H2Oガス(
水蒸気)を13CO2と一緒に光触媒に導入した場合には、13Cが含まれる還元生
成物はほとんど得られず、12CH4(メタン), H212CO(ホルムアルデヒド),
 12COが得られました(図2(B))。すなわち、MXene Ti3C2XyがH2Oと光により
部分的に分解したことを示した。

【展望】以上のように、本研究により還元剤をH2とする、あるいは最初にH2O
を光で電気によりH2に分解してからという条件付きではあるが、ZrO2の電荷再
結合の問題をMXene Ti3C2Xyの電気伝導性が解決することが示された。半導体
およびMXeneはZrO2およびTi3C2Xyに限定されないため、さらに高効率のCO2光
燃料化/資源化触媒の開発につながる。

【掲載論文】
タイトル:Photocatalytic CO2 Reduction Using Ti3C2Xy (X = Oxo, OH, F, or Cl) M
       Xene–ZrO2: Structure, Electron Transmission, and the Stability
著  者:
Hongwei Zhang, Ikki Abe, Tomoki Oyumi, Rento Ishii, Keisuke Hara, and                            Yasuo Izumi
雑 誌 名:
Langmuir
  ・ DOI :https://doi.org/10.1021/acs.langmuir.3c03883



 風蕭々と碧い時

1961年9月 川は流れる 仲宗根美樹
作詞/作曲:横井弘/桜田誠一




病葉をきょうも浮かべて
街の谷川は流れる
ささやかな望み破れて
哀しみに染まる瞳に
たそがれの水のまぶしさ


思い出の橋のたもとに
錆(さび)ついた夢のかずかず
ある人は心つめた<
ある人は好きで別れて
吹き披ける風に泣いてる


ともしびも薄い谷間を
一筋に川は流れる
人の世の塵(ちりにまみれて
なあ生きる才(をみつめて
嘆<まいあすは明るく


※仲宗根 美樹(なかそね みき、1944年6月23日 - 2024年2月24日)は、仲宗 
根美樹は、東京都出身。本名は國場 勝子(くにば かつこ)。東洋高等学校 
音楽科出身。ミュージック・オフィス合田所属。この曲は元々は、1961年9月
発売のシングル「雨の花園」のB面曲として発売されたが、歌声喫茶で評判と
なったことから、同年11月にA面B面を入れ替えて再発され、売り上げが100万
枚を超え空前の大ヒットを記録。 1964年公開の映画「愛と死をみつめて」の
中で、吉永小百合と浜田光夫が本楽曲をアカペラで歌うシーンもある。「川は
流れる」がヒット。12月には第3回日本レコード大賞新人奨励賞を受賞。1962
年(昭和37年)12月、第13回NHK紅白歌合戦にも初出場を果す。
米「60年安保-ベトナム戦争」下でのヒット曲の一として鮮やかな記憶と
して残る。その彼女が2月24日、肺がんのため死去、享年七十九。
                               合掌




※『鉄道員』(てつどういんIl Ferroviere)は、1956年のイタリアの ドラマ   
映画。モノクロ作品。 監督・主演はピエトロ・ジェルミ、共演はエドアルド  
・ネヴォラ(イタリア版)とルイザ・デラ・ノーチェ(イタリア語版)など。  
第二次世界大戦後のイタリアに生きる庶民の喜怒哀楽を、ある1人の初老の鉄  
道機関士の姿とその幼い息子の目を通して描いた映画史に残る作品。  
※映画音楽は カルロ・ルスティケッリ (Carlo Rustichelli, 1916年12月24 
日 - 2004年11月13日) は、イタリアの映画音楽作曲家。 1940年代から 50年 
間にわたって250本以上の作品を手がけた。モデナ県カルピ生まれ のルスティ 
ケッリは、ボローニャとローマの音楽学校でピアノと作曲を 学んだ後、オペ 
ラや劇場音楽の作曲家として仕事を始めた。劇場の指揮 者をつとめた。1939 
年に映画音楽を手がけるが、最初は映画音楽専門 でなかった。 『無法者の
掟』(1949年) や『越境者』(1950年) で協働した監督のピエトロ・ジェル
の強いすすめで本格的に映画音楽に進む。ジェルミとはその後も一緒に仕事 
を続け『鉄道員』(1956年)、 『わらの男』(1958年)、『刑事』(1959年)、『イタリア式離婚狂想 曲』(1962年)、『誘惑されて棄てられて』(1963年)、『アルフレー ドアルフレード』(1972年) などの作品がある。『刑事』のテ 
ーマ曲 「死ぬほど愛して」や『ブーベの恋人』(1963年、ルイジ・コメンチ 
ーニ監督) のテーマ曲はレコードでもヒット。前者はジェルミが作詞し、ル 
スティケッリの娘で女優のアリダ・ケッリが歌った「アモーレ・ミオ」とい 
う題でも知られる。 脱走大作戦』(1968年、ジャック・スマイト)、『お熱 
い夜をあなたに』(1972年、ビリー・ワイルダー) などのアメリカ映画も手 
がけ、いずれもイタリア・ロケで製作され 
た。 


今夜の寸評 :日々の合唱 心の手当 
Thinking of those who have passed and putting your hands together each day bring
 you peace of mind.

 今日の備忘録:プーチンの誤算、それは、スェ-デンの「非戦・非軍事同盟」を
   破棄させたことにある。



配備される「Saab JAS-39 Gripen」 ?!
SAAB 39(JAS 39、JASは「ヤース」と発音)は、スウェーデンのサーブ社を
中心として開発された多用途戦闘機。愛称のグリペン(スウェーデン語
:Gripen)はグリフォン(有翼獅子)の意味。メーカーでは『The smart 
fighter』というキャッチコピー.。
冷戦期のスウェーデンでは、ノルディックバランスに則った軍事的中立政策
路線を採っており、国防には専守防衛かつスウェーデン単独で防衛するとい
う前提条件が課せられていた。 
戦闘機には地理的に近接しているソ連軍などの仮想敵からの先制攻撃への高
い抗堪性が必要とされた。国内各地の山をえぐり貫いて作ったシェルター
へ分散配備し、北ヨーロッパのような寒冷地の冬期の作戦にも対応できるよ
う、最終的な要求としては、雪に覆われた長さ800 m、幅17 mの高速道路の直
線区間に離着陸できることが求められた。このため短距離で離着陸(STOL)
できる能力と狭いシェルターや高速道路脇の臨時作業場などの充分な設備の
ない場所での整備、そこから短時間で再出撃を実現する高い整備性が最重要
とされた。一方で、同世代を上回る格闘戦能力、長大な航続距離、当時すで
に主流だったステルス性の考慮などは予算の兼ね合いで妥協、ネットワーク
中心の戦いへの対応は後のアップデートにより実現させることになった。
発に合わせ1980年代前半から「基地90(en:Bas 90)」と称する飛行場の分散
計画が推進され、一部の新規高速道路は代替滑走路を前提として建設された。
これらの道路は長さ800 m・幅17 mの直線区間を必ず有しており、直線区間に
は給油所や駐機場となるスペースが併せて整備された。この種の短距離滑走
路は国際的活動に対応するため離着陸訓練にも利用。このような運用思想が
かえってコストを押し上げる要因となってきたことから、2004年に高速道路
の使用を廃止したが[5]、2015年からは訓練を再開。

2022年ロシアのウクライナ侵攻の発生後、ウクライナはスウェーデンに対し
機体の供与を求めてきた。2023年6月1日、スウェーデンの国防相は「現段階
ではウクライナにグリペン機を提供しない」としつつもウクライナ人操縦士
の訓練提供を検討する用意があるとの考えを示す。(via Wekipedia

2月29日のニューズウィーク日本版(「ロシアの脅威を知り尽くしたスウェー
デンがNATOを強くする」)によると、スウェーデンがNATOにもたらす最大の
貢献は、空軍及び海軍力の増強だろう。この国は3200キロ超に及ぶ入り組ん
だ海岸線、バルト海、そして北極圏も含む領空を防衛するために、空と海の
守りを固めてきた。スウェーデン空軍は国産の戦闘機サーブJAS39グリペンを
100機前後保有する。グリペンは西側世界で最も多くの用途に使える戦闘機の
1つと見なされ、ロシアの侵攻を想定した設計は、ウクライナへの供与も検討
されている 

バルト海の制海権確保に果たす役割 
グリペンは損傷した滑走路や高速道路でも離発着が可能で、ウクライナ軍に
供与されれば、大きな強みとなる。スウェーデン空軍はまた、偵察機4機を保
有する。シギント機能(電子信号などの傍受による諜報機能)を持つ2機のガ
ルフストリームG4と、2機の空中早期警戒管制機・サーブ340AEW&C。地上防空
システムには、アメリカ製の地対空防衛システム、パトリオットを4カ所に配
備し、射程距離最大120キロ前後のPAC3で敵のミサイルを迎撃できる。より短
距離からの攻撃には、ドイツ製の地対空ミサイルIRS-T SLSや、国産の中距離
全天候型防空ミサイルRBS23、同じく国産の携帯式地対空ミサイルRBS70で対応
可能。さらに、NATOがバルト海の制海権を確保する上、スウェーデン海軍は
重要な役割を担う。ロシアはバルト海に臨む重要な海軍基地を2カ所保有し。
サンクトペテルブルクと、リトアニアとポーランドに挟まれた飛び地に位置
するカリーニングラード。



ロシアの艦船の動きを監視するには、スウェーデンの潜水艦が大いに役立つ。
現在運虫の4隻のディーゼル電気潜水艦、うち3隻はゴトランド級、残る1隻
はセーデルマンランド級、2隻のA26型潜水艦は建造中、一番艦のブレーキン
ゲは2027年、二番艦のスコーネは2028年の就役を予定。スウェーデンの潜水
艦は水深が浅いバルト海での活動を前提とし設計。そこがNATOの同盟国が保
有する大型の潜水艦にはない強み。ロシア船の動きをに監視でき、天然ガス
パイプライン・ノルドストリームの爆破など、バルト海の海底での破壊工作
や、海底に敷かれた通信ケーブルに盗聴器を仕掛けるといった工作を防げる。
スウェーデン海軍はまた、コルベット艦7隻、掃海艇8隻、大型の哨戒艦1隻に
加え、より小型の十数隻の哨戒艦を保有。特筆すべきは、スウェーデンが世
界に先駆けて開発したステルス艦のビスビュー級コルベット艦で、小型なが
ら多様任務に対応、短距離防空で威力を発揮する。
ここまで書いて思い出したのが「非攻」「兼愛」の優位性を説く墨子の真
剣な顔であった。いずれ、野放図で粗野集団主義ではこの地球滅亡の縁に立
つ人類は滅ぶ、つまり、巻頭の「鈍すれば貧する」の反語に集約される。




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源氏物語の謎

2024年02月28日 | 近江歴史回廊

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら 
れる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成の
一種で、あらゆる武具を朱りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて
生まれたキャラクタ。 

 紀伊国屋書店

 ポプラ新書
 やばい源氏物語
 大塚ひかり【著】

内容説明
『源氏物語』は、やばかった―!!日本古典文学の最高峰とも言われる『源氏物
語』。千年以上前に紫式部と呼ばれた女性が書いたこの物語は、当時の人々から
すると“異端”と言えるほど、革命的なものだった―。
目次
第1章 設定がやばい…「忠実」をベースに綴られた「大河ドラマ」
第2章 ブスがやばい…ブスが三人、主人公の妻や恋人に!
第3章 モデルがやばい…実在した天皇や嫂まで!
第4章 舞台がやばい…心霊スポットや墓域で物語が展開!
第5章 生き霊がやばい…日本初の生き霊物語!
第6章 嫉妬がやばい…物の怪と化した六条御息所だけじゃない!
第7章 病気がやばい…『源氏物語』は病気大全!
第8章 貧乏がやばい…これでもかと描かれる経済事情
第9章 リアリティがやばい…キャラクターと連動する身体描写
第10章 恋愛観がやばい…まともな手順をふんだ結婚がない!
第11章 年上がやばい…十九歳の源氏がアラ還女と!
第12章 ヘンタイがやばい…猫を女の身代わりに!亡き女の人形を作りたい!
第13章 身代わりがやばい…かけがえのない人なんていない?
第14章 毒親がやばい…娘の人生で野望達成!
第15章 少子がやばい…未来の家族観まで先取り?
第16章 ラストがやばい…尻切れトンボと言われるラストの謎
第17章 読者がやばい…一条天皇、藤原道長、藤原公任!

------------------------------------------------------------------------
   中世以来“尻切れトンボ”と言われている、儚くも無情感漂う源氏
   物語のラスト。紫式部は、なぜハッピーエンドやドラマチックなラ
   ストにしなかったのか。そこに込めた紫式部のメッセージを考察す
   る。本稿は、大塚ひかり『やばい源氏物語』(ポプラ社)の一部を
   抜粋・編集したもの。
            源氏物語は未完か完結か?「謎のラスト」に
              込められた“紫式部のメッセージ”とは                                                        ダイヤモンド オンライン

『源氏物語』のラストは中世以来、尻切れトンボと言われていわれているという。
それは、涙で顔を赤くし、生き生きと走り出てきた少女のころの紫の上が、その
紫の上が願って果たせなかった出家を遂げて、ひとときの心の安寧を得た浮舟。
そんな浮舟のもとに、かつて関係した薫が、彼女の異父弟を使いに寄越し、匂宮
との“罪”をゆるしてやろうと言ってくる。それを「宛先違いでは」と女は拒み、
男は「また誰かに囲われているのかな」と、自分の経験に照らして邪推して、物
語は終わるというシーンで式部が描きたことは、一つには、他人はもちろん、親
族といった誰かの「身代わり」になることでなく、自分の人生を生きようという
想いがあり、片やもう一つ、「人はわかり合えない時もある」という想いもあり、
重い期待を寄せてくる家族とも、愛を押しつけてくる相手とも、離れた場所で、
心の安らぎを得られることもあるり、千年の時を超え、さまざまなメッセージを
許容されていると。

   『源氏物語』の作者の無意識までも
   こちらに移ってくるように、微細な部分まで
   作品を読むことができるようになったときにはじめて
   『源氏物語』を現代風に読むことができた
   ということになります。
   本来的には原文を抜きにして
   そういう微妙さが伝わる読み方が
   できるわけはないといういい方もできそうですけれども、
   僕の考え方では、現代語訳でも十分です。
   作者と語り手と、登場人物の言動とは
   みなそれぞれ違うものなんですよという区別をしたうえで
   作品を読まれることによって、
   『源氏物語』の現代的な読み方の基本点を
   つかまえることができると思います。


   文学の作品の歴史があり、それから、文学作品を読む、あるいは、鑑
   賞するということにも歴史があります。文学作品の歴史は文学史とい
   うわけですけど、文学史のなかで、『源氏物語』が現在でもなお滅び
   ないし、それから、現在でもなお生々しく伝わってくる出来栄えを示
   しているし、しかし、これは千年なんなんとするほどの以前に書かれ
   たものだ。なぜ、そんなときに書かれたものが、いま生々しく伝わる
   ことができるのかというふうに考えますと、作者の無意識まで含めて
   いいますと、『源氏物語』という作品が十分に現在の高度な作品鑑賞
   の 到達点といいましょうか、高度な作品鑑賞、あるいは、作品批評
   の到達点で鑑賞することに堪えるだけの問題を、作者の無意識までも
   含めていえば、もっていたからだということになります。また、もっ
   ていたから『源氏物語』というのは、滅びない古典として、生々しい
   古典として存在しているわけで、もし、そういうものがないとすれば、
   これは平安朝に様々な物語が書かれているわけですけど、また、様々
   な高度な日記類が書かれているわけですけど、『源氏物語』というの
   は、さまざまな日記類と当時の物語の両方を集大成したひとつの達成
   点にあたるわけですけど、その達成点はたいへんに高度なものであっ
   て、作者は無意識の部分をたくさん含めていますけど、しかし、作者
   の無意識を含めて実現しちゃったものは、現代風の高度な鑑賞の仕方
   をしても十分にその鑑賞の仕方に堪えるという要素をもっている。
   それほど高度なものだったということがいえるわけです。
   ただし、こういう言い方をできるのは、『源氏物語』の作品を現代

   に引き寄せるからではありません。現代に引き寄せて、現代風にそ
   れを切り取っているからではありません。そうではないのであって、
   現在の作品鑑賞の到達点というのは、作品鑑賞の歴史として存在す
   るわけですけど、その到達点を描いて、作者の無意識のモチーフま
   でも読み込むことによってはじめて現代風に読めるということなん
   です。
      作者が千年も前の人ですから、そんなべつに高度な理屈を知ってい

   るわけでもないし、高度な教養をもっていた人ですけど、しかし、
   高度な理屈を知っているわけでもないし、千年後にはこういう鑑賞
   の仕方ができるだろうということを知っているわけでもないわけで
   す。ただ、そういう無意識に描いているわけですけど、しかし、無
   意識までも、もし意識化して読み込むことができるならば、それは
   十分、現在の鑑賞の到達点までで堪えるくらい、それほど高度な達
   成をしているということを意味しています。

                『現時物語』と現代----作者の無意識
                       吉本隆明の183講演
                 
     あやなくも隔てけるかな夜を重ねさずがに馴れし中の衣を


 

風蕭蕭と碧い時代



【今朝の鉱物図鑑:金紅光:ルチル】
ルチル(rutile)とは、二酸化チタン(TiO2)の結晶の1つ。正方晶系の鉱物。
ドイツの鉱物学者、アブラハム・ゴットロープ・ウェルナーによって、光の下で
見たとき発生する赤味を帯びた色にもとづいてラテン語の「rutilus」(赤、また
は赤味を表す)から名づけられた。金紅石(きんこうせき)とも呼ばれ、火成岩
や変成岩などによく発生する副成分鉱物で、金属含有量が約60%ある。 
宝石としてのルチル
屈折率は2.62-2.90とダイアモンドを上回るが、天然に産するルチル自体は結晶が
小さすぎ、または透明でなく、宝石として加工されることは稀。ただ、石英の中
< にルチルの針状結晶が入る場合も有り、これは「針入り水晶」などと呼ばれ、
装飾品として利用される場合が有る。また、ルビーやサファイアに含まれる
は、スター効果を起こし、ルチルが双晶になり易い。人工宝石のルチルは、1948
年より生産開始された。1950年代中頃までは無色透明な物が「Titania」(ティタ
ンレインボーダイヤモンドといった名でダイヤモンドの代用品として盛んに生産
されたが、モース硬度が低く。別種のダイヤモンドのイミテーション、チタン酸
ストロンチウム製法が発見され廃れた、
-----------------------------------------------------------------------
 2030年までのウクライナ鉱物資源基盤発展国家プログラムによると、ウクライナ 
では117の鉱種について約2万の鉱床及び鉱徴が発見されており、うち98鉱種の8,
290鉱床(及び1,110鉱床の登録対象)が経済的価値を有し、国家バランスに登録
されている。商業開発が行われているのは3,349鉱床である。採掘量及び埋蔵量
の点で最も重要なのは、石炭、鉄鉱石、マンガン、チタン、ウラン、カオリン、
黒鉛、岩塩等。ウクライナのチタン資源基盤は大きい。26のチタン鉱床が国家鉱
物埋蔵量登録簿に登録されており(うち14鉱床が開発中)、うち2つが巨大鉱床
、12が大規模鉱床に分類されている1。 このうち最も重要な鉱床は、Irshansk
Mining and Concentration Combine(United Mining and Chemical Company傘下)
が開発するIrshanskoe、Verkhne-Irshanskoe、Lemnenskoe、Mezhdurechenskoe鉱
床(以上ジトームィル州)、Vilnohirsk Mining and Metallurgical Combine(
United Mining and Chemical Company傘下)が開発する Samotkanskoe(Malyshe- 
-vskoe} 鉱床(ドニプロペトロウシク州)である。Valki-Gatskovskoe鉱床(ジト
ームィル州)のチタン鉱石採掘はValki-Ilmenit社(Group DF傘下)が行ってお<
り、同社はStremigorodskoeアパタイト・チタン鉄鉱鉱床の開発ライセンスも所有
している。 ジトームィル州のMezhdurechnoeチタン鉄鉱鉱床(Isakovsky及び
Yuzhny鉱区)は Mezhdurechensky GOKが開発している。Byrzulivskeチタン鉄鉱鉱
床(キロヴォフラード州)では生産・商品取引会社のVelta社のByrzulivske GOK
が操業している。Volchanskoeチタン・ジルコニウム鉱床(ドニプロペトロウシク
州)の開発は emurinsky GOK(ロシアのVSMPO-AVISMA社傘下)が行っている。ウ
クライナ唯一のスポンジチタン生産企業は、国営企業Zaporozhye Titanium & 
Magnesium Combine(ZTMC)である。チタンインゴットの生産はAntares社、Fiko社、
ZTMCといった少数の企業が行っている。

 
 ● 今夜の寸評 :日々の合唱 心の手当
Thinking of those who have passed and putting your hands together
each day bring you peace of mind.
 
 
 
 
 

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最新ネオコンバーテック群技術考 ③

2024年02月27日 | ネオコンバーテック


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成の
一種で、あらゆる武具を朱りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて
生まれたキャラクタ。


【スマートトレーニング記:「Galaxy Ring」登場】 


さすが、三星電子だ。
さぁ!第二の「ロード・オブ・リング」の探検をスタート。



最新ネオコンバーテック群技術考 ③



2月22日、Microsoftは、生成AIのリスクを特定する自動化ツール(PyRIT(Python Risk  

Identification Toolkit for Generative AIのリリースを発表。生成AIには、誤った情報を

出力する「幻覚」という問題や不適切な結果を出力するといった問題があり、そ
の悪影響排除のを使いすり抜けつため、「いたちごっこ」状態になっている。そ
こで。Microsoftの生成AIであるCopilotも例外でない。同社はAI Red Teamを設
立し責任あるAI開発に取り組む。今回同社が公開したPyRITにより、人間の専
家がリスクを特定するのにかかる時間が大幅に短 縮される。従来のテストでは
 AIがマルウェアを出力してしまったり、学習データセットの機密情報をそのま
ま吐き出したりするのを防ぐために、人間のレッドチームが手動で敵対的なプロ
ンプト生成しなければならい。一方、PyRITを使<うとAIへの敵対的入力の種類指
定だけで、その基準を満たす数千のプロンプトの自動生成ができ る。例えば、
同社tがCopilotで行う演習では、危害カテゴリを選び数千の悪意あるプロンプト
を生成し、それに対するCopilot出力の評価処理時間が数週間から数時 間に短縮
され、敵対的プロンプト生成以外AIモデルの反応を見て、あるプロンプトに対し有
害な出力を行ったかどうかを自動的に判断したりAIの 応答を分析しプロンプト調
整できるため、テスト全体の効率化につながる 。 Microsoft PyRITが手動のAI 
Red Team、その専門知識を強化し、面倒なタスク<の自動化でに代わるものでは
なく、セキュリティ専門家が潜在的なリスクをより 鋭く調査できるようにする
ものあることを強調する。しかも、敵対的なプロンプトはテキストや画像といっ
た<が出力する形式ごとに、 そしてとユーザーがやりとりを行う<ごとに生成す
る必要があり、こうした。作業は面倒で時間もかかるタスクであった。

● 有機電子デバイスの製造方法及び装置特許事例研究 

1.特開2023-152759 有機半導体材料の製造方法、半導体デバイスの製造方

法、水溶液、pH測定方法、pH測定装置、及び、センサ素子      
【概要】
導電性ポリマー材料及びその製造方法、高分子膜及びその製造方法、導電性高分
子膜、光電変換素子並びに電界効果トランジスタ(WO-A1-2020/085342)では、方
法によれば、優れた効率で、高分子半導体をドーピングできたが、系中に水が混
入したり、大気下(酸素存在下)で反応を行ったりすると、ドーパントの劣化が
起こる場合があり、改善の余地があった。そこで、水分、及び、酸素の存在下で
あっても、有機半導体化合物のキャリア密度を増減させ(典型的には、注入し)、
かつ、有機半導体化合物にイオンを導入し、有機半導体材料を製造できる、有機
半導体材料の製造方法を提供することを課題とすることで、以下の構成により上
記課題を解決することができることを見出した。
下図2のごとく、プロトン共役電子移動により、有機半導体化合物を酸化、又は、
還元し、キャリア密度を増減させる酸化還元剤と、塩と、を溶解した水溶液に、
上記有機半導体化合物を、接触させ、上記有機半導体化合物に、上記キャリア、
及び、上記塩に由来するイオンが導入された有機半導体材料を製造する、有機半
導体材料の製造方法。水分、及び、酸素の存在下であっても、有機半導体化合物
のキャリア密度を増減させ、かつ、有機半導体化合物にイオンを導入し、有機半
導体材料を製造できる、有機半導体材料の製造方法の提供。


図2 本方法のドーピングの推定メカニズムの説明図
【特許請求範囲】
【請求項1】
プロトン共役電子移動により、有機半導体化合物を酸化、又は、還元し、キャリ

密度を増減させる酸化還元剤と、塩と、を溶解した水溶液に、前記有機半導体
化合物を、接触させ、前記有機半導体化合物に、前記キャリア、及び、前記塩に
来するイオンが導入された有機半導体材料を製造する、有機半導体材料の製造
方法。
【請求項2】
前記酸化還元剤は、2プロトン、及び、2電子移動により、前記有機半導体化合
 
 

物を酸化、又は、還元し、キャリア密度を増減させる化合物を含む、請求項1に  
記載の有機半導体材料の製造方法。
【請求項3】
前記酸化還元剤は、1プロトン、及び、1電子移動により、前記有機半導体化合
 
 

物を酸化、又は、還元し、キャリア密度を増減させる化合物を含む、請求項1に  
記載の有機半導体材料の製造方法。
【請求項4】
前記水溶液のpHを調整して、前記酸化還元剤のレドックスポテンシャルを、前

記有機半導体化合物と前記酸化還元剤との間で電子移動が起こるレベルに調整す
ることを含む、請求項1に記載の有機半導体材料の製造方法。
【請求項5】
電圧の印加により、前記水溶液中に含まれる前記酸化還元剤の酸化体と還元体の

比率を調整し、ドーピング強度を調整することを含む、請求項4に記載の有機半
導体材料の製造方法。
【請求項6】
前記酸化還元剤が、キノン骨格を有する化合物を含む、請求項2に記載の有機半

導体材料の製造方法。
【請求項7】
前記酸化還元剤が、以下のグループA及びBからなる群より選択される少なくと

も1種の化合物、及び/又は、その還元体を含む、請求項2に記載の有機半導体
材料の製造方法。 グループA: 以下の一般式Q1~Q4で表される化合物から
なる群より選択される少なくとも1種
【化1】
(一般式Q1~Q4中、RQ1~RQ6はそれぞれ独立に1価の置換基を表し、

m1は0~4の整数を表し、m2は0~2の整数をし、m3は0~4の整数を表
し、m4は0~4の整数を表し、m5は0~4の整数を表し、m6は0~4の
整数を表す)
グループB:
以下の一般式Q5で表される化合物
【化2】
(一般式Q5中、RQ7、及び、RQ8は、それぞれ独立に、水素原子、又は、

1価の置換基を表す)
【請求項8】
前記酸化還元剤が、以下のグループA及びBからなる群より選択される少なくと

も1種の化合物、及び、その還元体を含む、請求項1に記載の有機半導体材料の
製造方法。
グループA:
以下の一般式Q1~Q4で表される化合物からなる群より選択される少なくとも

1種
【化3】
(一般式Q1~Q4中、RQ1~RQ6はそれぞれ独立に、水素原子、又は、1

価の置換基を表し、m1は0~4の整数を表し、m2は0~2の整数をし、m3
は0~4の整数を表し、m4は0~4の整数を表し、m5は0~4の整数を表し
、m6は0~4の整数を表す) グループB:
以下の一般式Q5で表される化合物
【化4】
(一般式Q5中、RQ7、及び、RQ8は、それぞれ独立に、水素原子、又は、

 1価の置換基を表す)
【請求項9】
前記酸化還元剤が、酸化体、又は、還元体にラジカル部分を含む化合物を含む、

請求項1に記載の有機半導体材料の製造方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の有機半導体材料の製造方法を含む、半導体

デバイスの製造方法。
【請求項11】
プロトン共役電子移動により、有機半導体化合物を酸化、又は、還元し、キャリ

密度を増減させる酸化還元剤と、塩と、を溶解した水溶液であって、前記有機
導体化合物に接触させて、前記有機半導体化合物の前記キャリア密度 減し、
か<つ、前記塩に由来するイオンが導入された有機半導体材料を製造するために
用いられる、水溶液。
【請求項12】
前記酸化還元剤は、2プロトン、及び、2電子移動により、前記有機半導体化合

物を酸化、又は、還元し、キャリア密度を増減させる化合物を含む、請求項1に
記載の水溶液。
【請求項13】
前記酸化還元剤が、キノン骨格を有する化合物を含む、請求項11に記載の水溶液

。【請求項14】
前記酸化還元剤が、酸化体、又は、還元体にラジカル部分を含む化合物を含む、

請求項11に記載の水溶液。
【請求項15】
プロトン共役電子移動により、有機半導体化合物を酸化、又は、還元し、キャリ

ア密度を増減させる酸化還元剤と、塩と、を溶解した水溶液、及び、有機半導体
化合物を含むセンサ素子に、検体を接触させ、前記検体のpHに応じて変化する
前記有機半導体化合物の電気伝導度を測定することと、前記電気伝導度とpHと
の関係を規定する予め定められた関数に基づき、前記検体のpHを求める、pH
測定方法。
【請求項16】
前記酸化還元剤が、2プロトン、及び、2電子移動により、前記有機半導体化合

物を酸化、又は、還元し、キャリア密度を増減させる化合物を含む請求項15に
記載のpH測定方法。
【請求項17】
前記酸化還元剤が、キノン骨格を有する化合物を含む、請求項16に記載のpH

測定方法。
【請求項18】
前記酸化還元剤が、1プロトン、及び、1電子移動により前記有機半導体化合物

を酸化、又は、還元し、キャリア密度を増減させる化合物を含む請求項15に記
載のpH測定方法。
【請求項19】
前記酸化還元剤が、酸化体、又は、還元体にラジカル部分を含む化合物を含む、

請求項15に記載のpH測定方法。
【請求項20】
前記検体が、液絡を介して前記水溶液と接触する、請求項15に記載のpH測定

方法。
【請求項21】
センサ素子と、制御装置と、を有し、 前記センサ素子は、基材と、前記基材上

に形成された有機半導体化合物と、前記有機半導体化合物と接するように形成さ
れた電解質と、を有し、前記電解質は、プロトン共役電子移動により、前記有機
半導体化合物を酸化、又は、還元し、キャリア密度を増減する酸化還元剤と、塩
と、を溶解した水溶液を含み、前記制御装置は、検体と前記電解質との接触によ
り変化する前記有機半導体化合物の電気伝導度を測定する測定部と、前記電気伝
導度とpHとの関係を規定する予め記憶された関数に基づき、前記測定部の測定
<値から、前記検体のpHを計算する計算部と、を有する、pH測定装置。 
【請求項22】 
基材と、前記基材上に形成された有機半導体化合物と、前記有機半導体化合物と
接するように形成された電解質と、を有し、前記電解質は、プロトン共役電子移
動により、前記有機半導体化合物を酸化、又は、還元し、キャリア密度を増減す
る酸化還元剤と、塩と、を溶解した水溶含み、検体と前記電解質との接触により
変化する前記有機半導体化合物の電気伝導度を測定し、前記電気伝導度とpHと
の関係を規定する関数に基づき、前記検体のpHを計算するのに用いられる、セ
ンサ素子。 
【請求項23】  
更に、前記電解質と前記検体とを隔てる液絡部を有する、請求項22に記載のセ
ンサ素子。


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熊本夜景のラブ・ソング

2024年02月26日 | micriSi


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。

 
最新ネオコンバーテック群技術考 ②
前回につづき関連特許から「カーボンナノチューブ複合体、その製造方法」を考

察しはめたが、弘前大学らの研究グループが「高効率でリチウム回収方法」の実
証に成功した新聞が舞い込む。「ダイヤモンド半導体デバイス」の開発に当たり「都市鉱山論」の実践の必要性を考えていた折でもあり、このブログの「電子構

文の変更」による研究の遅れに疲労が加わるが、そこは忍耐。

❏ 特開2024-16148 カーボンナノチューブ複合体、その製造方法、及び、精製

   カーボンナノチューブの製造方法 国立東京大学 住友電気工業株式会社
 
 
 
【概要】
炭素原子が六角形に結合したシートを円筒状にした構造のカーボンナノチューブは、銅の1/5の軽さで鋼鉄の20倍の強度、金属的な導電性という優れた特性

を持つ素材である。このため、カーボンナノチューブは、ナノ炭素材料の一つと
して、電子部品や蓄電デバイスの軽量化、小型化及び大幅な性能向上に貢献する
素材として期待されるカーボンナノチューブは、例えば、特許文献:特開2005-33075号に示されるように、鉄などの微細触媒を加熱しつつ、炭素を含む原料ガ
スを供給することで触媒からカーボンナノチューブを成長させる気相成長法によ
り得られるが、ここでは、カーボンナノチューブ複合体は、一のカーボンナノュ

ーブと、カーボンナノチューブを被覆するアモルファスカーボン含有層とを備え
るカーボンナノチューブ複合体であって、カーボンナノチューブは、波長532
nmのラマン分光分析におけるGバンドのピーク強度とDバンドのピーク強度と
の比であるD/G比が0.1以下であり、前記カーボンナノチューブ複合体は、

繊維状であり、その径が0.1μm以上50μm以下であり、一の高結晶性のカ
ーボンナノチューブを含み、ハンドリングが容易であるカーボンナノチューブ複
合体、その製造方法、及び、精製カーボンナノチューブの製造方法を提供する。

【特許請求範囲】
【請求項1】一のカーボンナノチューブと、前記カーボンナノチューブを被覆す
るアモルファスカーボン含有層とを備えるカーボンナノチューブ複合体であって、
前記カーボンナノチューブは、波長532nmのラマン分光分析におけるGバン
ドのピーク強度とDバンドのピーク強度との比であるD/G比が0.1以下であり、前記カーボンナノチューブ複合体は、繊維状であり、その径が0.1μm以
上50μm以下であり、前記アモルファスカーボン含有層の厚みは0.05μm
以上25μm以下である、カーボンナノチューブ複合体。

【請求項2】前記アモルファスカーボン含有層は、波長532nmのラマン分光
分析におけるGバンドのピーク強度とDバンドのピーク強度との比であるD/G
比が0.5以上である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ複合体。

【請求項3】前記カーボンナノチューブ複合体は、長さが10μm以上である、
請求項1又は請求項2に記載のカーボンナノチューブ複合体。
【請求項4】請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカーボンナノチュー
ブ複合体の製造方法であって、一のカーボンナノチューブを準備する第1工程と、前記カーボンナノチューブをアモルファスカーボン含有層で被覆してカーボンナ

ノチューブ複合体を得る第2工程と、を備える、カーボンナノチューブ複合体の
製造方法。
【請求項5】前記カーボンナノチューブは、波長532nmのラマン分光分析に
おけるGバンドのピーク強度とDバンドのピーク強度との比であるD/G比が0.1以下であり、前記カーボンナノチューブ複合体は、繊維状であり、その径が0.1μm以上50μm以下である、請求項4に記載のカーボンナノチューブ複合体
の製造方法。
【請求項6】前記第2工程は、前記カーボンナノチューブを炭化水素系ガス中で950℃以上1100℃以下の温度で熱処理する工程を含む、請求項4又は請求
項5に記載のカーボンナノチューブ複合体の製造方法。
【請求項7】一のカーボンナノチューブを準備する第1工程と、前記カーボンナ
ノチューブをアモルファスカーボン含有層で被覆してカーボンナノチューブ複合
体を得る第2工程と、前記カーボンナノチューブ複合体から前記アモルファスカーボン含有層を除去して精製カーボンナノチューブを得る第3工程と、を備える、
精製カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項8】前記カーボンナノチューブ及び前記精製カーボンナノチューブは、
波長532nmのラマン分光分析におけるGバンドのピーク強度とDバンドのピ

ーク強度との比であるD/G比が0.1以下であり、前記カーボンナノチューブ
複合体は、繊維状であり、その径が0.1μm以上50μm以下である、請求項
に記載の精製カーボンナノチューブの製造方法。

【請求項9】前記カーボンナノチューブの前記D/G比の値をR1とし、前記精
製カーボンナノチューブの前記D/G比の値をR2とした場合、前記R1と前記
2とが下記式1の関係を示す、
                         -0.2≦R2-R1≦0.2 式1                 

ここで、上記式1において、0≦R1≦0.1及び0≦R2≦0.1を満たす、
請求項8に記載の精製カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項10】前記第2工程は、前記カーボンナノチューブを炭化水素系ガス中
で950℃以上1100℃以下の温度で熱処理する工程を含む、請求項7~請求
項9のいずれか1項に記載の精製カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項11】前記第3工程は、前記カーボンナノチューブ複合体を酸化条件下
で、400℃以上800℃以下の温度で熱処理する工程を含む、請求項7~請求
項10のいずれか1項に記載の精製カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項12】前記第3工程は、前記カーボンナノチューブ複合体を酸化条件下で、560℃以上690℃以下の温度で熱処理する工程を含む、請求項11に記
載の精製カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項13】前記第3工程は、前記カーボンナノチューブ複合体にレーザ光を
照射する工程を含む、請求項7~請求項12のいずれか1項に記載の精製カーボ
ンナノチューブの製造方法。



【図5】カーボンナノチューブ製造装置の一例を示す図
【符号の説明】
1 カーボンナノチューブ複合体、2 カーボンナノチューブ、3 アモルファス

カーボン、20 カーボンナノチューブ、21 反応室、22 ガス供給機構、2
3 触媒供給機構、24 基板保持機構、25 助走区間、26 形成区間、27 
ヒーター、28 ガスボンベ、29 流量調節弁、C コーン部、D 崩壊性触媒、
P 触媒粒子。
-----------------------------------------------------------------------

 

図1. 考案した2電源3電極式電気化学ポンピングセルの構造と反応の模式図(
Communications Engineeringから転載)
図1の左(Anode側)の浴に塩湖水や廃LIBsを溶解した水溶液などを入れ、電気  
化学ポ テンシ ャル差2)を用いて右(Cathode側)の浴中の水にリチウムイオン
を移動・回収。 電解質隔膜の両側表面に形成された2つの電極 First electrodeと
Second electrodeでは O2ガス、最も右の電極(Third electrode)ではH2ガスも発生 
するため、これらのガスの供 給も可能です。 

 
2月21日。弘前大学と弘前大学リチウム資源総合研究機構らの研究グループは、
2つの外部 電源、3つの電極およびリチウムイオン伝導性固体電解質隔膜から
構成される新たな電気 化学ポンピング技術を考案(図1)。この研究で、開発
した技術を用いること で、原理的には、不純物イオンを全く含まない極めて高
純度なリチウムを無限に大き度で回収できることを実証した。また、類似の技術
と比べて大幅にエネルギー消費量を 削減できることも示しました。 この技術は、電気自動車等に使用されるリチウムイオン電池や将来の基幹エネルギ-システム
として期待される核融合発電のリチウム資源の、経済的かつ工業的な獲得に貢献
すると期待できる。
【要点】
1.リチウム資源採取・回収の為の新たな電気化学ポンピングシステム技術 1)を

 開発 
2.塩湖や地下水中および使用済みリチウムイオン電池から、金属不純物を全く
 含まない高純度なリチウムを高速かつ経済的に採取・回収することが可能。
3.類似な従来技術の 464 倍の高速な採取・回収が確認され、原理的にはリチ
 ウム回収速 度を無限に増大できることが示されました。
【掲載論文】
論文タイトル:”A three-electrode dual-power-s upply electrochemical pumping system for fast and energy efficient lithium extraction and re covery from solutions”。
https://www.nature.com/articles/s44172-024-00174-8
【関連特許】
1.特開2019-141807 リチウム回収装置およびリチウム回収方法

【要約】
 
下図2のごとく、リチウム回収装置10は、リチウムイオン伝導性電解質膜2で
供給槽11と回収槽12とに仕切られた処理槽1を備え、供給槽11内のLi+
とそれ以外の金属イオンMn+を含有する水溶液SWから、Li+を選択的に回収
槽12内の水溶液ASへ移動させるために、電解質膜2の供給槽11側の面に接
触して設けられた多孔質構造の第1電極31と回収槽12内に電解質膜2から離
間して設けられた第2電極4との間に第1電極31を正極として接続した電源5
を備える、電気透析法による選択性と共に生産性の高いリチウム回収方法および
リチウム回収装置を提供 

図2.本発明の第1実施形態に係るリチウム回収方法を説明する、図1に示すリ

チウム回収装置の概略図。
【符号の説明】  10,10A  リチウム回収装置 1 処理槽  11 供給槽(第1槽) 12 回収槽(第2槽) 2 電解質膜(リチウムイオン伝導性電解質膜) 31 第1電極(多孔質構
造の電極) 32 第3電極(多孔質構造の電極) 4 第2電極(第2の電極) 5,5A 電源
 51 第1電源 52 第2電源 AS Li回収用水溶液  SW    Li含有水溶液

【特許請求範囲】
【請求項1】 第1槽と第2槽とに仕切られた処理槽を備え、前記第2槽に収容した水または水
溶液へ前記第1槽に収容したリチウムイオンを含有する水溶液からリチウムイオンを移動させ
るリチウム回収装置であって、前記処理槽を仕切るリチウムイオン伝導性電解質膜と、前記第
1槽内に設けられた第1電極と前記第2槽内に設けられた第2電極と、前記第1電極に正極、
前記第2電極に負極を接続する電源とを備え、 前記第1電極および前記第2電極の一方は、多
孔質構造を有し前記リチウムイオン伝導性電解質膜の一面に接触させて設けられ、他方は、前
記リチウムイオン伝導性電解質膜から離間して設けられていることを特徴とするリチウム回収
装置。
【請求項2】 前記リチウムイオン伝導性電解質膜の一面の反対側の面に接触させて設けられた

多孔質構造を有する第3電極を備えることを特徴とする請求項1に記載のリチウム回収装置。
【請求項3】 前記電源が、直列に接続した第1電源と第2電源とからなり、 前記第3電極が前

記第1電源と前記第2電源の間に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のリチウム回
収装置。
【請求項4】 前記第1電極は、前記リチウムイオン伝導性電解質膜の前記第1槽側の面に接触

させて設けられて多孔質構造を有し、 前記第2電極は、前記リチウムイオン伝導性電解質膜か
ら離間して設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の
チウム回収装置。
【請求項5】 リチウムイオンを含有する水溶液を、外部と前記第1槽内との間で循環させる循

環手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のリチウム回収
装置。
【請求項6】 リチウムイオン伝導性電解質膜で第1槽と第2槽とに仕切られた処理槽において、前記第2槽に収容した水または水溶液へ、前記第1槽に収容したリチウムイオンを含有する水溶

液からリチウムイオンを移動させるリチウム回収方法であって、 前記リチウムイオン伝導性電
解質膜の一面に接触させて設けられた多孔質構造の電極と、前記リチウムイオン伝導性電解質膜
の一面の反対側の面に離間して対向するように前記第1槽または前記第2槽の槽内に設けられた
第2の電極と、の間に前記第1槽の側を正極として接続した電源が、電圧を印加することを特徴
とするリチウム回収方法。
【請求項7】 リチウムイオン伝導性電解質膜で第1槽と第2槽とに仕切られた処理槽において、前記第2槽に収容した水または水溶液へ、前記第1槽に収容したリチウムイオンを含有する水溶
液からリチウムイオンを移動させるリチウム回収方法であって、 前記リチウムイオン伝導性電
解質膜の両面にそれぞれ接触させて設けられた多孔質構造の電極同士の間に、前記第1槽の側を正極として接続した第1電源と、 前記第1電源に直列に接続すると共に、前記第1槽または前記
第2槽の一方の槽の側に設けられた前記多孔質構造の電極と、前記一方の槽内に前記多孔質構
造の電極および前記リチウムイオン伝導性電解質膜から離間して設けられた第2の電極との間に
接続した第2電源と、が電圧を印加することを特徴とすることを特徴とするリチウム回収方法。
【請求項8】 前記第2の電極が前記第2槽内に設けられていることを特徴とする請求項6また

は請求項7に記載のリチウム回収方法。
【請求項9】リチウムイオンを含有する水溶液を、外部と前記第1槽内との間で循環させなが
ら、前記電圧を印加することを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載のリ
チウム回収方法。



 
https://www.youtube.com/watch?v=YkgkThdzX-8
 
 


https://youtu.be/OfCeHiQcM4E

 
 


2日前、テレビ業界が一斉に熊本半導体バブルを報道。半導体の受託生産で世界
最大手の「TSMC」(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニ
 
ーが熊本県菊陽町の工場の開所式を行ったのだがその影響を各社一斉報道。経済
効果は10年で20兆円に上る、町は「半導体バブル」に沸く----"半導体バブル″

に沸く町は熊本県の菊陽町で、台湾の巨大半導体メーカー「TSMC」第1工場
の開所式が行われた。10月から半導体の生産を開始。地元・菊陽町のショッピン
グモールは、台湾から技術者など多くの従業員がやってくることを見込み、ゆめ
タウン光の森磨墨教利支配人が「一度に700人近くが家族合わせると雇用がある
ということで、今までよりは全然、数がことなる」という。熊本には義兄が住ん
おり。30数年前、熊本大学との委託研究の仕事を訪れており(四名)、帰りに
訪問している。前日の夜、近くのスナックでチャゲ&アスカの「ラブソング」を
一同歌い楽しんだことを思い起こす。その10年後、次期製品製造調査を行う中
熊本への半導体製造装置生産工場建設を計画したものの、2009年のリーマンショ
ックで頓挫するも用地買収を行っていたが、昨年、彼女が帰省で熊本空港周辺に
工場建設されている。巡りあわせの不思議さを腑に落とした。


今夜の寸評 : 鈍すれば貧する
         賢明でなければ豊かになれない。

 

 


 
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ドライブマイカー(ただいま修理中)

2024年02月25日 | ネオコンバーテック

【ルームランニング記;変更】



Drive My Car - MonaLisa Twins (The Beatles Cover)

My Guitar Gently Weeps - MonaLisa Twins (The Beatles Cover)

【最新濾過膜/装置技術事例】

1.WO2020/013215 単離ナノシート及びその製造方法
 厚みが100nm以下であるナノシートは、近年、薬剤、触媒、
光学材料、電極、生体材料などへの応用開発が進んでいる。材料
としては酸化チタン、窒化ボロン、窒化炭素、グラフェンなどが
従来用いられてきた(例えば、非特許文献1~5を参照のこと)
が、これら無機材料は不純物が混入しやすい一方、精製が困難で
あるため、生体安全性や適合性に問題があり、薬剤や生体材料へ
の応用は困難であった。生体適合性を有する有機分子を用いてナ

ノシートを合成する方法もいくつか提案されている。
 例えば、ポリ乳酸(PLA)やポリジメチルシロキサン(PDM

S)などを用いて形成される高分子ナノシートを挙げることがで
きる。 これらは、高分子溶液を準備し、該溶液を基板上にスピン
コートし、得られたシートを基板から剥離させ、さらに得られた
剥離シートを粉砕することにより得られている(例えば非特許文
献6を参照のこと)。上記の有機分子を用いるナノシートは、薬
剤や生体材料への応用が期待できるが、合成プロセスやフィルム
成形プロセスが煩雑であり、莫大なコストがかかることが問題と
なっている。
ナノシートは、ナノ状態として安定に存在することが困難であり、

シート同士が付着するか又は凝集するという問題や、それを防ぐ
ための表面の改質・修飾が困難という問題もあり、これらの問題
の解決も望まれている。

---------------------------------------------------------------------------------------
【非特許文献1】Zhang, S.; Sunami et al., Nanomaterials-Basel 2017, 7 (9).
【非特許文献2】Tan, C. L. et al., Chem Rev 2017, 117 (9), 6225-6331.
【非特許文献3】Li, X. et al., Small 2017, 13 (5).
【非特許文献4】Kong, X. K. et al., Chem Soc Rev 2017, 46 (8), 2127-2157.
【非特許文献5】Yang, G. H. et al., Nanoscale 2015, 7 (34), 14217-14231.
【非特許文献6】Okamura, Y. et al., Adv Mater 2013, 25 (4), 545-551.

----------------------------------------------------------
【要約】
本発明は、擬ポリロタキサンを複数有して成るナノシートであっ
て、各々が付着せず、容易に単離する単離ナノシートを提供する。
本発明は、第1の環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し
状に包接されてなる擬ポリロタキサンを複数有して成る単離ナノ
シートであって、直鎖状分子は、その一部が、水又は水溶液中で
電離する電離基を有する第1の直鎖状分子を有する単離ナノシー
トを提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺

し状に包接されてなる擬ポリロタキサン及び/又はポリロタキサ
ンを複数有して成る単離ナノシートであって、 前記直鎖状分子は、
その一部が、水又は水溶液中で電離する電離基を有する第1の直
鎖状分子を有する、上記単離ナノシート。
【請求項2】 前記電離基が、前記第1の直鎖状分子の少なくとも

一方の末端又はその近傍に有する請求項1記載の単離ナノシート。
【請求項3】 前記電離基が、前記第1の直鎖状分子の両末端又は

その近傍に有する請求項1又は請求項2記載の単離ナノシート。
【請求項4】 前記第1の直鎖状分子は、少なくとも2つの部位を

備える請求項1~3のいずれか一項記載の単離ナノシート。
【請求項5】 前記第1の環状分子が前記少なくとも2つの部位

のうちの1つの部位に包接されてなる請求項4に記載の単離ナノ
シート。
【請求項6】 前記電離基が、カルボキシル基、アミノ基、スルホ

基、リン酸基、塩化トリメチルアミノ基、塩化トリエチルアミノ
基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルアミノ基、エ
チルアミノ基、ピロリジン基、ピロール基、エチレンイミン基、
ピペリジン基、ピリジン基、ピリリウムイオン基、チオピリリウ
ムイオン基、ヘキサメチレンイミン基、アザトロピリレン基、イ
ミダゾール基、ピラゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、
イミダゾリン基、モルホリン基、チアジン基、トリアゾール基、
テトラゾール基、ピリダジン基、ピリミジン基、ピラジン基、イ
ンドール基、ベンゾイミダゾール基、プリン基、ベンゾトリアゾ
ール基、キノリン基、キナゾリン基、キノキサリン基、プテリジ
ン基、カルバゾール基、ポルフィリン基、クロリン基、コリン基
、アデニン基、グアニン基、シトシン基、チミン基、ウラシル基、
解離したチオール基、解離した水酸基、アジ基、ピリジン基、カ
ルバミン酸類、グアニジン類、スルフェン酸類、尿素類、チオ尿
素類、過酸類、およびこれらの類似体、誘導体からなる群からな
る群から選ばれる、少なくとも1種である請求項1~5のいずれ
か一項に記載の単離ナノシート。
【請求項7】 前記少なくとも2つの部位のうちの1つの部位は、

その鎖長が前記第1の環状分子の中心軸方向の厚さの2倍以上で
ある請求項4~6のいずれか一項に記載の単離シート。
【請求項8】 前記第1の直鎖状分子が、少なくとも3つの部位を

有する第2の直鎖状分子を有する請求項1~7のいずれか一項に
記載の単離ナノシート。
【請求項9】 前記直鎖状分子が、少なくとも3つの部位を有する

第2の直鎖状分子から本質的になる、請求項1~8のいずれか一
項に記載の単離ナノシート。
【請求項10】 前記第2の直鎖状分子は、少なくとも3つのブロ

ックを備えるブロックコポリマーである請求項8又は請求項9に
記載の単離ナノシート。
【請求項11】 前記少なくとも3つのブロックが、ポリエチレン

グリコール(PEG)からなる部位、及びポリプロピレングリコ
ール(PPG)からなる部位から形成される請求項10に記載の
単離ナノシート。
【請求項12】 前記直鎖状分子による包接を受けない第2の環状

分子をさらに有する請求項1~11のいずれか一項に記載の単離
ナノシート。
【請求項13】 前記第2の環状分子は、その開口部に第1の物質

を包接してなる請求項12に記載の単離ナノシート。
【請求項14】 第2の物質をさらに有する請求項1~13のいず

れか一項に記載の単離ナノシート。
【請求項15】 前記第1及び第2の環状分子が、α-シクロデキ

ストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ク
ラウンエーテル、ピラーアレン、カリックスアレン、シクロファ
ン、ククルビットウリル、およびこれらの誘導体からなる群か
ら選ばれる請求項1~14のいずれか一項に記載の単離ナノシー
ト。
【請求項16】 前記直鎖状分子が、PEGからなる部位-PPG

からなる部位-PEGからなる部位:で表される構成を有するコ
ポリマーであり、 前記第1の環状分子がβ-シクロデキストリン
である請求項1~15のいずれか一項に記載の単離ナノシート。
【請求項17】 前記直鎖状分子が、PEGからなる部位-PPG

からなる部位-PEGからなる部位:で表される構成のみからなる
トリブロックコポリマーであり、 前記第1の環状分子がβ-シク
ロデキストリンである請求項1~16のいずれか一項に記載の単
離ナノシート。
【請求項18】 前記単離ナノシートの厚さが0.5~100nm

である請求項1~17のいずれか一項に記載の単離ナノシート。
【請求項19】 請求項1~18のいずれか一項に記載の単離ナ

ノシートを有する材料。
【請求項20】 第1の環状分子の開口部が直鎖状分子によって串

刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンを複数有して成る単離
ナノシートの製造方法であって、
a)直鎖状分子を準備する工程;
 b)水又は水溶液中で電離する電離基を、前記直鎖状分子に導入

し、第1の直鎖状分子とする工程;
 c)第1の環状分子を準備する工程;及び

 d)前記第1の直鎖状分子と前記第1の環状分子とを水又は水溶
液中で混合させる工程;を有することにより、前記単離ナノシー
トを得る、上記方法。
【請求項21】 第1の環状分子の開口部が直鎖状分子によって串

刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサン及び/又はポリロタキ
サンを複数有して成る単離ナノシートの製造方法であって、
a)直鎖状分子を準備する工程;
c)第1の環状分子を準備する工程;
d’)前記直鎖状分子と前記第1の環状分子とを水又は水溶液中
で混合させて、擬ポリロタキサン及び/又はポリロタキサンを得
る工程; b’)前記d’)工程で得られた擬ポリロタキサン及び/
又はポリロタキサンに、水又は水溶液中で電離する電離基を導入
し、第1の直鎖状分子とする工程;及び f)得られた擬ポリロタ
キサン及び/又はポリロタキサンを水又は水溶液中で混合させる
工程;を有することにより、前記単離ナノシートを得る、上記方
法。
【請求項22】 請求項1~18のいずれか一項に記載の単離ナノ
シートを有する医薬用担体及び/又は医薬用ビヒクル。
【請求項23】 請求項1~18のいずれか一項に記載の単離ナノ
シートを有する医薬用崩壊剤及び/又は医薬用結合剤。
【請求項24】 前記単離シートが標的箇所と接着する請求項22
又は23に記載の医薬用担体及び/又は医薬用ビヒクル、
医薬用崩壊剤及び/又は医薬用結合剤。
【請求項25】 医薬上許容可能な有効成分;及び請求項1~18
のいずれか一項に記載の単離ナノシート;を有する医薬。
【請求項26】 医薬上許容可能な有効成分; 請求項1~18の
いずれか一項に記載の単離ナノシートを有する医薬用担体及び/
又は医薬用ビヒクル;及び/又は 請求項1~18のいずれか一
項に記載の単離ナノシートを有する医薬用崩壊剤及び/又は医薬
用結合剤;を有する医薬。


2.特開2022-050363 量子ドット、量子ドットの製造方法、及び
量子ドットの使用
【要約】
 
下記式(1)で表されるハロゲン化鉛ペロブスカイト構造を有す
る化合物と、前記化合物に配位した多価カルボン酸と、を含み、
前記多価カルボン酸が、sp3炭素に結合したカルボキシル基を
有する、量子ドット。APbX3 (1)
(前記式(1)中、AはCsカチオン又はメチルアンモニウムカ
チオンを表し、Xは塩素アニオン、臭素アニオン及びヨウ素アニ
オンからなる群より選択される少なくとも1種を表す。)で、動
作安定性、量子収率及び貯蔵安定性に優れる量子ドット、その製
造方法、及びその使用方法を提供する。

図1.本発明の一実施形態に係る量子ドットを用いたLED発光
素子デバイス構造を例示する概要図 

【発明の効果】本発明によれば、動作安定性、量子収率及び貯蔵
安定性に優れる量子ドット、その製造方法、及びその使用方法を
提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】下記式(1)で表されるハロゲン化鉛ペロブスカイ

ト構造を有する化合物と、前記化合物に配位した多価カルボン酸
と、を含み、前記多価カルボン酸が、sp3炭素に結合したカルボ
キシル基を有する、量子ドット。APbX3 (1)
(前記式(1)中、AはCsカチオン又はメチルアンモニウムカ

チオンを表し、Xは塩素アニオン、臭素アニオン及びヨウ素アニ
オンからなる群より選択される少なくとも1種を表す。)
【請求項2】前記多価カルボン酸が、水酸基、メルカプト基及び

窒素原子からなる群より選択される少なくとも一種を更に含む、
請求項1に記載の量子ドット。
【請求項3】前記多価カルボン酸中に含まれるカルボキシル基の
少なくとも1つが、Pb原子に配位している、請求項1又は2に
記載の量子ドット。
【請求項4】アーバックエネルギーが、10meV以上35me

V以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の量子ドット。
【請求項5】前記多価カルボン酸が、チオリンゴ酸、リンゴ酸、

エチレンジアミン四酢酸、トリカルバリル酸及びクエン酸からな
る群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1~4のいず
れか1項に記載の量子ドット。
【請求項6】透過電子顕微鏡観察により測定される平均粒子径が、

2nm以上4nm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記
載の量子ドット。
【請求項7】発光スペクトルの波長ピークが、440nm以上4

80nm以下の範囲に極大を示す、請求項1~6のいずれか1項
に記載の量子ドット。
【請求項8】下記式(1)で表されるハロゲン化鉛ペロブスカイ

ト構造を有する化合物を含む量子ドットの製造方法であって、C
s又はメチルアンモニウムと、Pbと、Cl、Br及びIからなる
群より選択される少なくとも1種と、多価カルボン酸とを含む溶
液を調製する工程を含み、前記多価カルボン酸が、sp3炭素に結
合したカルボキシル基を有する、量子ドットの製造方法。
APbX3 (1)
(前記式(1)中、AはCsカチオン又はメチルアンモニウムカ

チオンを表し、Xは塩素アニオン、臭素アニオン及びヨウ素アニ
オンからなる群より選択される少なくとも1種を表す。)
【請求項9】前記多価カルボン酸が、チオリンゴ酸、リンゴ酸、

エチレンジアミン四酢酸、トリカルバリル酸及びクエン酸からな
る群より選択される少なくとも一種を含む、請求項8に記載の量
子ドットの製造方法。
【請求項10】前記多価カルボン酸の添加量が、Pb量に対して

1等量以上3等量以下である、請求項8又は9に記載の量子ドッ
トの製造方法。
【請求項11】請求項1~7のいずれか1項に記載の量子ドット

の光デバイスとしての使用。

3.特開2023-115733 セルロース多孔質体の製造方法
【要約】

発明に係るセルロース多孔質体の製造方法は、置換基の対イオン
にアンモニウムイオンを持つセルロースナノファイバーと分散媒
とを含有する混合液を準備する工程と、前記混合液をゲル化剤に
よってゲル化させてゲルを得る工程と、前記ゲルを凍結乾燥させ
る工程と、を有することを特徴とする。汎用な設備で製造でき、
スケールアップもしやすいという利点を有しつつ、高透光率を有
するセルロース多孔質体の製造方法を提供。

【特許請求の範囲】
【請求項1】置換基の対イオンにアンモニウムイオンを持つセル
ロースナノファイバーと分散媒とを含有する混合液を準備する工
程と、前記混合液をゲル化剤によってゲル化させてゲルを得る工
程と、前記ゲルを凍結乾燥させる工程と、を有することを特徴と
するセルロース多孔質体の製造方法。
【請求項2】前記ゲル化剤が、沸点が210℃以下の有機酸、硫
酸及びリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であること
を特徴とする請求項1に記載のセルロース多孔質体の製造方法。
【請求項3】前記有機酸がギ酸、酢酸またはギ酸と酢酸の両方を
含むことを特徴とする請求項2に記載のセルロース多孔質体の製
造方法。
【請求項4】前記セルロースナノファイバーの置換基が、カルボ
キシル基、硫酸基及びリン酸基からなる群から選ばれる少なくと
も1種であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記
載のセルロース多孔質体の製造方法。
【請求項5】前記混合液中の前記セルロースナノファイバーの固
形分濃度が0.1~3.0質量%であることを特徴とする請求項
1~4のいずれか一つに記載のセルロース多孔質体の製造方法。
【請求項6】前記分散媒が、水および水と混和する有機溶媒との
混合分散媒であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つ
に記載のセルロース多孔質体の製造方法。
【請求項7】前記凍結乾燥をさせる工程において、前記ゲルの周
囲温度が、ゲル中の分散媒の融点よりも20℃以上低いことを特
徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載のセルロース多孔質
体の製造方法。
【請求項8】前記ゲルを得る工程において、前記混合液の液面に
前記ゲル化剤の蒸気若しくはミスト又は前記ゲル化剤を含む水溶
液のミストを接触させて、前記混合液をゲル化させることを特徴
とする請求項1~7のいずれか一つに記載のセルロース多孔質体
の製造方法。
【発明の効果】 
本開示によれば、汎用な設備で製造でき、スケールアップもしや
すいという利点を有しつつ、高透光率を有するセルロース多孔質
体の製造方法を提供することができる。

3.特開2023-107761 水分解光触媒、水素及び/又は酸素の製

  造方法、並びに水分解装置
【要約】

図7のごとく光触媒と助触媒とを含む水分解光触媒であって、前
記水分解用触媒の表面の少なくとも一部が金属酸化物で被覆され
ており、X線光電子分光分析(XPS)により測定される、前記
金属酸化物中の金属元素に対する前記水分解光触媒中の金属元素
の原子比が、0.7以上15.0以下であり、気相反応に用いら
れる水分解光触媒。水分解効率が改善された気相反応用の水分解
光触媒を提供する。

図7.実施例1及び2で得た水分解光触媒の活性評価の結果を示

すグラフ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒と助触媒とを含む水分解光触媒であって、前記水分解光触

媒は、表面の少なくとも一部が金属酸化物で被覆されており、X
線光電子分光分析(XPS)により測定される、前記金属酸化物
中の金属元素に対する前記水分解光触媒中の金属元素の原子比が、
0.7以上15.0以下であり、 気相反応に用いられる、水分解
光触媒。
【請求項2】 前記金属酸化物の被覆率が、50%以上である、請

求項1に記載の水分解光触媒。
【請求項3】 前記金属酸化物の形状が、被膜状であり、前記金

属酸化物の膜厚が、0.1nm以上10.0nm以下である、請
求項1に記載の水分解光触媒。
【請求項4】 前記水分解光触媒の標準状態(273.15K、

100kPa、相対湿度80%)における吸着水分量が、前記水
分解光触媒1.0重量部当たり0.001重量部以上1.50重
量部以下である、請求項1に記載の水分解光触媒。
【請求項5】 前記水分解光触媒の総重量に対する前記金属酸化

物中の金属元素の重量の比率が、0.001重量%以上10.0
重量%以下である、請求項1に記載の水分解光触媒。
【請求項6】請求項1~5のいずれか1項に記載の水分解光触媒

の存在下で、相対湿度60%以上の気体に光を照射する水分解工
程を含む、水素及び/又は酸素の製造方法。
【請求項7】請求項1~5のいずれか1項に記載の水分解光触媒

を含む反応管と、前記反応管に相対湿度60%以上の気体を供給
する供給部と、水分解により生成した気体に含まれる水分を低減
させる水蒸気トラップ部と、前記水蒸気トラップ部により水分が
低減された前記気体に含まれる水素と酸素とを分離する分離部と
を有する、水分解装置。

【発明の効果】
本発明によれば、水分解効率が改善された気相反応用の水分解光
触媒を提供することができる。また、本発明によれば、当該水分
解光触媒を用いた水素及び/又は酸素の製造方法、並びに当該水
分解光触媒を備えた水分解装置を提供することができる。



図 1. 第1の環状分子を模式的に示す図であり、Dで示す距離が、「
第1の環状分子の中心軸方向の厚さ」であることを示す図
【発明の効果】
本発明により、生体安全性や適合性に優れ、薬剤や生体材料への

応用も可能であり、合成プロセスやフィルム成形プロセスが比較
的簡便であり、コストが低減されたナノシートを提供することが
できる。
また、本発明により、上記効果に加えて、シート同士が付着又は

凝集しない単離ナノシートを提供することができる。さらに、本
発明により、上記効果の他に、又は上記効果に加えて、上記ナノ
シート、特に単離ナノシートを有する材料を提供することができ
る。また、本発明により、上記効果の他に、又は上記効果に加え
て、上記ナノシート、特に単離ナノシートの製造方法を提供する
ことができる。



    風蕭々と碧いの時代

 
 今夜の寸評 :日々の合唱 心の手当
          Thinking of those who have passed and putting your

                           hands together each day bring you peace of mind.


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最新汎用リチウム電池製造技術

2024年02月24日 | micriSi

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備えの一種で、あらゆる武具
を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ
「ひこにゃん」。




1.5℃の炭素収支は2029年までに枯渇する
世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えるための残りのカーボンバジェット(炭素予
算)は、これまでの推計の半分にとどまり、二酸化炭素排出量は250ギガトン未
満、つまり世界の年間排出量の約6年分となる。新しい研究では、温暖化を1.5℃
に抑える確率が50%場合、現在247ギガトンのCO2がカーボンバジェットに残って
いると推定。これは、CO2排出量が2023年の年間約41ギガトンのレベルにとどま
ると、2029年頃までにカーボンバジェットが枯渇し、地球は産業革命前のレベル
から1.5℃の温暖化に陥ることを意味する。修正された予算は現在、2020年の水
準である494ギガトンの半分にすぎない。研究者らは、この変化は、世界的な温
室効果ガス排出量の継続的な増加や、エアロゾルの冷却効果の測定の改善など、
いくつかの要因によると考えている。後者は、2020年に導入された船舶燃料に使
用される硫黄の上限など、大気質の改善と排出量の削減のための対策により、世
界的に減少。2℃未満にとどまるための予算は1,220ギガトンであり、現在の傾向
では2040年代後半までに枯渇する可能性がある。


図1.a) 1.5°Cのカーボンバジェット b) 2℃のカーボンバジェット クレジッ
ト:Lamboll, et al.(Nature Climate Change、2023年) 今回の発見は、温暖化を
1.5℃未満に抑えるには十分ではない、すでにわかっていることを裏付けてい    
ると、インペリアル・カレッジ・ロンドンの環境政策センター研究員は、この研
究の筆頭著者であるロビン・ランボール博士と言う。今や予算の残額はごくわず
かで、世界に対する私たちの理解が少しでも変わると、それに比例して予算が大
きく変化するが、現在のレベルでは10年未満の排出量を推定。排出削減が進まな
いということは、温暖化を安全なレベルに維持の窓が急速に閉ざされつつある。
これまで以上に確信できる。二酸化炭素以外のガスによる温暖化や、モデルでは

考慮されていない排出量の継続的な影響など、他の要因の影響により、残りの炭
素収支計算には多くの不確実性があった。この新しい研究では、データセットを
更新し、以前の研究と比較して気候モデルを改善し、これらの不確実性を特徴付
け、残りの炭素収支の推定値に関する信頼性を高めた。温暖化のほんの一部が、
人々と生態系の生活を困難にする。この研究は、科学界からの新たな警告であり、
今は政府が行動を起こすかどうかにかかっている。この問題は、今日、かつてな

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きみが言うからキーウの日

2024年02月22日 | 環境リスク本位制

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。
 

今日は猫の日(2/22)、2日後はウクライナ侵略戦争2年経過する。それじゃ、
『サラダ記念日』をもじって『キーウの日』として、「終戦・非戦」の実現を祈
る。 
スズペロブスカイト電子輸送用フラーレン開発 
   熱安定性が高く真空蒸着も可能な電子輸送材料 
1月22日、京都大学の研究グループは,ハロゲン化スズペロブスカイト太陽電池
の電子輸送材料として用いることができる開口フラーレン化合物を開発。
【概要】スズ系ペロブスカイト太陽電池の課題のひとつに,得られる開放電圧が

低いことが挙げられる。高い開放電圧を得るためには,より浅いLUMO準位をもつ
電子輸送材料の開発が強く望まれていた。ABX3型(A: 1価の陽イオン、B: 2価の
陽イオン、X: ハロゲン化物イオン)のペロブスカイト半導体を光吸収材料に用
いたペロブスカイト太陽電池が、塗布法で作製できる次世代の高性能太陽電池と
して注目されていたが、鉛を原料に含む鉛系ペロブスカイト太陽電池が主に研究
されてきたが、鉛が及ぼす環境や人体への影響が危惧されている。
実用化の観点から、鉛の代わりにスズを原料に用いたスズ系ペロブスカイト材料
はその有力候補として期待を集めていたが、スズ系ペロブスカイト太陽電池の光
電変換効率は鉛系よりも低く、最高でも15%程度にとどまっているのが現状。
スズ系ペロブスカイト太陽電池の課題のひとつに、得られる開放電圧が低いこと

が挙げられます。これは、スズ系ペロブスカイトの伝導帯準位が浅いため、一般
的に用いられる電子輸送材料であるフラーレンC60の最低非占有分子軌道(LUMO)
準位との間のエネルギーギャップが大きくなることが原因と考えられ、高い開放
電圧を得るためには、より浅いLUMO準位をもつ電子輸送材料の開発が強く望まれ
ていた。C60よりも浅いLUMO準位をもつフラーレン誘導体としては、フェニル-C
61-酪酸メチルエステル(PCBM)とインデン-C60二付加体(ICBA)が一般的(図1)。
一付加体であるPCBMではLUMO準位が十分には浅くなく、一方、二付加体である

ICBAでは、合成においてさまざまな異性体が生じ、それらを分離するのが困難で
あるという課題がある。
C60よりも浅いLUMO準位をもつフラーレン誘導体としては,フェニル-C61-酪酸メ
チルエステル(PCBM)とインデン-C60二付加体(ICBA)が一般的だが,一付加体
であるPCBMではLUMO準位が十分には浅くなく,一方,二付加体であるICBAでは,
合成においてさまざまな異性体が生じ,それらを分離するのが困難だった。
フラーレンに化学修飾により穴をあけ,小分子を導入して再び閉じる,フラーレ
ンの分子手術法を開発し,様々な分子を内包させたフラーレンを合成。今回,そ
の合成中間体である開口フラーレンの1種であるOCに注目し,この化合物をスズ
系ペロブスカイト太陽電池の電子輸送材料とすることを着想する。




【成果/展望】フラーレンに化学修飾により「穴」をあけ、小分子を導入して再

び閉じる、「フラーレンの分子手術法」を開発し、様々な分子を内包させたフラ
ーレンを合成してきました1,2。本研究では、その合成中間体である開口フラー
レンの1種であるOCに注目し(図1)、本化合物をスズ系ペロブスカイト太陽電池
の電子輸送材料として用いることを着想しました。本化合物は、PCBMよりも高い
LUMO準位をもつとともに、異性体の混合物を生じずに純粋な化合物として合成で
きると期待した。

図1従来のフラーレン誘導体および本研究で用いた開口フラーレンOCの分子構造


合成した開口フラーレンOCの薄膜を作製し、電気化学測定(サイクリックボルタ
ンメトリー)によりLUMO準位を見積もったところ、本化合物は、ICBA(–3.95 eV)
よりは若干深いがPCBM(–4.14 eV)より浅い –3.98 eVにLUMO準位をもつことが
わかりました(図2a)。スズ系ペロブスカイト材料の伝導帯準位(–3.66 eV)と
の差は0.32 eVと、PCBMの場合(0.48 eV)よりも小さくなり、太陽電池の開放電
圧の損失が小さくなることが期待されました。そこで、本化合物を電子輸送材料
に用いてスズ系ペロブスカイト太陽電池を作製したところ、PCBMを用いた場合(
0.57 V)よりも高い0.72 Vの開放電圧と、9.6%の光電変換効率が得られました
(図2b)。

図2.(a) フラーレン誘導体のエネルギー準位および (b) フラーレン誘導体を
電子輸送材料として用いたスズペロブスカイト太陽電池の電流–電圧曲線

さらに、開口フラーレンOCは、PCBMやICBAよりも優れた熱安定性を示すことが
わかった。フラーレン誘導体の熱重量測定を行ったところ、ICBAでは約140℃、
PCBMでは約370℃から熱分解による重量減少が見られたのに対し、OCは約450℃ま
で安定で、500℃でも元の重量の93%(–7%)を保持できることがわかった。つ
ぎに、真空蒸着法によるOCの成膜を試みたところ、若干の化合物の分解は見られ
たものの、蒸着膜を用いた太陽電池素子でも7.6%の光電変換効率が得ることが

できた。開口フラーレン化合物がスズペロブスカイト太陽電池の電子輸送材料と
して機能することを初めて実証しました。今後、スズペロブスカイト太陽電池の
さらなる高性能化に向け、独自の電子輸送材料の開発研究を展開していく。


図3.フラーレン誘導体の熱重量測定結果

【掲載論文】
原 題:An open-cage bis[60]fulleroid as an electron transport material for tin halide 
     perovskite solar cells
掲載誌:Chem. Commun., 10.1021/jacs.3c10133 (2024). 

2035年,車載電装システム市場は95兆8,888億円
富士キメラ総研は,自動運転技術の高度化に伴うシステム構成変化や各センシン
グデバイスの高性能化,コネクテッドカーの普及や5G通信へのシフト,また,ソ
フトウェアによる自動車の機能を更新するSDV化の進展に伴うECU統合などのトレ
ンドを踏まえて,拡大が続く車載電装システムの世界市場を調査し,その結果を
「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2024 上巻」にまとめた、
※ https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=24018




    風蕭々と碧いの時代 
 1971年2月5日
戦争を知らない子供たち  
作詞・作曲・編曲/北山修・杉田二郎・馬飼野俊一
 


 
ザ・フォーク・クルセダーズ 戦争は知らない

アントニン・レオポルト・ドヴォルザーク(1841年9月8日 - 1904年5月1日)は

後期ロマン派に位置するチェコの作曲家。チェコ国民楽派を代表する作曲家。ブ
ラームスに才能を見いだされ、『スラヴ舞曲集』で一躍人気作曲家スメタナとと
もにボヘミア楽派と呼ばれる。その後、アメリカに渡って音楽院院長として音楽
教<育に貢献する傍ら、ネイティブ・アメリカンの音楽や黒人霊歌を吸収し、自
身の作品に反映させている。 代表作に、弦楽セレナード、管楽セレナード、ピ
アノ五重奏曲第2番、交響曲第7番、交響曲第8番、交響曲第9番『新世界より』、
スラヴ舞曲集、この分野の代表作でもあるチェロ協奏曲、『アメリカ』の愛称で
知られる弦楽四重奏曲第12番などがある。



序曲「わが家」 (Domov můj) 作品62a、B.125a本来はフランティシェク・フェル

ディナント・シャンベルクの芝居『ヨゼフ・カイエターン・ティル』の劇音楽と
して作曲された10曲の中の1曲であるが、現在ではこの序曲以外が演奏されるこ
とはほとんどない。
"わが家"「故郷」作品62B  

※ 久しぶりに音楽鑑賞に出かける(陵水フィルハーモニー管弦楽団:2024.02.18)


 今夜の寸評 : 鈍すれば貧する
         賢明でなければ豊かになれない。
 
 
 
 
   

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持続可能戦略電子デバイス製造論 ⑥

2024年02月22日 | ネオコンバーテック






LEDを搭載したピアスを自作してお洒落してみよう!




日本から始まるか?!
窓の太陽光発電システム置換工法

2
月20日、大成建設株式会社らは透過性のある「T-Green Multi Solarシースルー
タイプ」を既存建物の窓ガラスに置き換えられるリニューアル工法を開発「T-
Green Multi Solarシースルータイプ」は,大成建設とカネカが開発した,建物
<の外壁や窓と一体化させた太陽電池モジュールで発電する外装システム。2050
年のカーボンニュートラル社会の実現に向け,膨大な既存ストックの環境性能
を向上させるための効果的な取り組みが求められている。これらの性能向上を
図るためには,省エネルギー設備の導入や太陽光パネル等の創エネルギー設備
の設置などが有効となる。具体的な方策の一つとして,多くの既存オフィスビ
ルの窓に用いている単板ガラスなどをこの製品のシースルータイプに置き換え<
ることで,発電による創エネルギーが得られると同時に,Low-Eガラスとの複層
化により断熱性が高まり,建物の外被性能の向上も期待される。しかし,既存窓
サッシ枠の溝幅によってはこの製品を設置できないことがあり,設置する場合<
はサッシ枠交換などの大掛かりな外装工事が必要となり,時間と費用を要して
いた。そこで同社は,この製品にアルミ製リブ付きアタッチメントを工場で製
作し取り付けることにより,ガラス交換の要領で既存窓サッシ枠の溝にはめ込
むだけで容易且つ安価に設置できるリニューアル工法を開発した。この工法は,
工場製作したアタッチメント付の製品をガラス交換の要領で既存窓サッシ枠の
溝にはめ込むだけで容易に置換えることができ,短時間,低コストで施工でき
るという。また設置場所の条件に応じて,必要な耐風圧性能を有するこの製品
を,既存窓に適合した最適な寸法で製作できる。 
_blank 
※ 過去にも海外事例を掲載してきたが、いよいよ日本も本腰を入れてきたよう
  うだ。



今月21日、トヨタ自動車が千代田化工建設と大規模水電解システムの共同開発及

び戦略的パートナーシップを構築することに合意し、協業基本合意書を締結した。
国内外で現在、水素関連市場が急拡大している。この動きに対応するため、今回
の協業では、競争力のある大規模水電解システムを開発する。具体的には、サイ
ズが小さく、水素の製造効率が高い水電解システムを目指す。
水素の使用量や設置面積の制約など、顧客の多様なニーズに対応できるよう、原
単位は5MW級とする。設置面積は2.5m×6m、水素製造能力は約100kg/hを想定して
いる。これらを組み合わせて標準パッケージ化することで、大規模な水電解シス
テムを構築する。2025年度からトヨタ本社工場の水素パーク内に水電解システム
を導入する予定だ。将来的には10MW級まで拡大する。




ペロブスカイト太陽電池 
高光電変換効率と長期耐久性の両立へ大きく前進
実用環境に近い60℃、効率20%以上で1000時間連続発電まで実現

NIMS (国立研究開発法人物質・材料研究機構) は、太陽光に対して20%以上の光
電変換効率 (発電効率) を維持しながら、60℃の高温雰囲気下で1000時間以上の
連続発電に耐えるペロブスカイト太陽電池 (1cm角) を開発したことを前回掲載
したが再度掲載する。
【要点】
1.NIMSは、太陽光に対して20%以上の光電変換効率 (発電効率) を維持しながら
 60℃の高温雰囲気下で1000時間以上の連続発電に耐えるペロブスカイト太陽電
 池 (1cm角) を開発しました。本研究の成果により、ペロブスカイト太陽電池
 が研究室レベルから屋外設置の実用化レベルに大きく前進。
2.国土面積の小さい我が国で化石燃料を太陽光発電で代替するためには、製造
 コストが安い、加工しやすい、また高い発電効率の太陽電池が求められる。
 この観点からペロブスカイト太陽電池は有望ですが、電池の耐久性にはペロブ
 スカイト層に侵入する酸素や水分による欠陥の発生が大きく関与することが分
 かっており、数10年間安定に発電し続ける事が課題となっている。室温 (25℃
 ) での疑似太陽光照射下では、1000時間連続発電が実現できていたが、太陽光
 が降り注ぐ屋外では、表面温度が50℃以上 (夏場では85℃) になるので、より
 高温環境下での耐久性が求められる」。
3.ペロブスカイトAサイトに有機アミン類を導入することにより、半導体層と
 絶縁層が交互に積層した二次元 (2D) ペロブスカイトができます。そして2Dペ
 ロブスカイトは3次元 (3D) ペロブスカイトに比べて水や酸素に強いことが一
 般的に知られています。本研究では、FA0.84Cs0.12Rb0.04PbI3 3Dペロブスカ
 イト/C60界面に有機アミンを導入し、2Dペロブスカイト結晶粒を形成させ、ペ
 ロブスカイト/C60界面にある、発電効率を低減させる欠陥を取り除くことによ
 り耐久性と発電効率を向上した。
4.今後、NIMSではペロブスカイト太陽電池の高効率化とともに高耐久化のため
 の屋内 (より高温条件下における疑似太陽光照射) や屋外試験を行いながら、
 長期信頼性を保証するための加速試験の確立を進める
【掲載論文】
題目 : Defect Passivation in Methylammonium/Bromine Free Inverted Perovskite Solar 
     Cells Using Charge-Modulated Molecular Bonding
著者 :
 Dhruba B. Khadka, Yasuhiro Shirai, Masatoshi Yanagida, Hitoshi Ota, Andrey

      Lyalin, Tetsuya Taketsugu, and Kenjiro Miyano
雑誌 : Nature Communications

掲載日時 : 2024年1月30日オンライン掲載
DOI : 10.1038/s41467-024-45228-9

先回、電気自動車の航続距離を長くするにはバッテリーとして使われるリチウム
イオン電池のエネルギー密度向上として、「負極の材料にリチウムイオンを多く
保持できるケイ素(シリコン)を使う」というアプローチで、シリコンには「充電
中に体積が3倍以上に膨張する問題」を「ナノメートルクラスの微細なシリコン
を使うことなく。韓国の研究チームは、マイクロメートルクラスのシリコンをゲ
ル電解質に封入し、電子ビームを照射することでシリコンゲルとゲル電解質が共
有結合した「シリコンゲル電解質」を作成し「従来のバッテリーと比べてエネル
ギー密度が40%向上しつつシリコン特有の膨張も抑えたバッテリー」の作成に成
功し、「1回の充電で1000km走る電気自動車」の実現に向けたバッテリー技術」
を掲載したように、バッテリー製造技術には、ナノメートルクラスのシリコンと
比べて製造が容易なマイクロメートルクラスのシリコンで実現。このように蓄電
池の開発が加速している(下表「電池市場の推移」参照)。



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持続可能戦略電子デバイス製造論 ⑤

2024年02月21日 | ネオコンバーテック

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。


1回の充電で1000km走る電気自動車蓄電池
安定で高エネルギー密度のシリコン微粒子アノードのための電子線誘起共有結合の定式化

要約
大容量シリコン(Si)材料は、高度なリチウムイオン電池の最前線での地位を占めています。この固有のポテンシャルは、電池のエネルギー密度を大幅に向上させる上で大きな利点を提供し、ナノサイズからミクロンサイズのSi粒子にパラダイムを変えることでそのメリットを最大化することができます。それにもかかわらず、本質的な構造の不安定性は、特により大きなSi粒子の場合、その実用化に対する大きな障壁のままです。ここでは、Si微粒子(5μm)と高弾性ゲル高分子電解質(GPE)を用いた電子線照射による共有結合系について報告しています。この統合システムは、純粋なSiの大幅な体積膨張を軽減し、全体的な安定性を向上させると同時に、高いイオン伝導率により電荷キャリアの速度を加速します。電子ビーム技術の費用対効果が高く実用的なアプローチにより、得られた500 mAhパウチセルは、並外れた安定性と413 Wh kgの高い重量/体積エネルギー密度を示しました−1、1022 Wh L−1は、現在のバッテリー生産ラインでも実現可能であることを示しています。
1 はじめに
電子機器や電気自動車の需要の急増により、リチウムイオン電池(LIB)は、その環境上の利点と用途の広い用途により、大きく依存しています。[1、2]高度なバッテリーシステムにおけるエネルギー密度の必要性が高まる中、大容量シリコン(Si)材料は、その優れた理論的容量(3579 mAh g−1李の場合15Si4)と低い動作電圧(Li/Liに対して<0.4V)。+[3、4]しかし、Si材料は、電気化学的サイクル中の合金化反応によりかなりの体積膨張を起こし、構造的完全性を著しく損傷し、Siの粉砕、そして最終的には初期のサイクル破壊につながります。[5、6]そのため、粒子の破壊を防ぎ、リチウムイオンの速度論を加速し、それによって構造の安定性と容量保持を向上させることを目的としたナノ構造化を通じて、多くの研究がこれらの課題に取り組んできました。[7]これらの取り組みにより、本質的な特徴と電気化学的性能が向上しましたが、複雑な合成プロセス、スケーラビリティの低さ、タップ密度の低さ、電解質との膨大な副反応により、実用的なソリューションを提供することはほとんど実現不可能です。その結果、高エネルギー密度電池に対する市場の需要を満たし、同時にコストを削減することを約束する魅力的な選択肢として、Si微粒子(SiMPs)に重点を置いた、多様で実行可能な戦略が出現しました。[8]
これまでの研究では、主に小型のSiMP(1〜2 μm)が使用されてきましたが、本研究では、特に大型のSiMP(5 μm)を採用することで、費用対効果、タップ密度の向上、および高い体積容量において、さらに顕著な利点が得られます(図S1、補足情報)。[9、10]しかし、SiMPアノードの大型化を実現するには、材料レベルだけでなく、セルやシステムレベルでも固有の課題に対処する包括的なアプローチが必要です。Si材料の粒径が大きくなると、降伏強度と終局強度の両方を超え、破壊、粉砕、層間剥離が発生します。[11、12 ]したがって、新しく開発されたSi表面の極端な反応性は、連続的な液体電解質分解を引き起こし、その結果、厚い固体電解質界面(SEI)層が形成され、インピーダンスの上昇と最終的な容量の衰退を引き起こします。[13、14 ]亀裂、粒子の変位、界面の不安定性といった避けられない問題を考慮すると、液体電解質をゲルポリマーマトリックス内に封入するゲル高分子電解質(GPE)は、近年、安定で安全なLIBシステムの基幹部として認識されています。[15]GPEは優れた機械的特性を備えているため、信頼性の高いサポートシステムとして機能し、大型SiMPの体積変化を軽減し、電極の完全性を維持するのに役立ちます。さらに、高いイオン伝導率と熱安定性などのGPEの利点は、Si電極上に安定した界面の形成に貢献し、爆発のリスクを低減します。[16、17 ]したがって、GPEは二次電池内の亀裂や追加の損傷を修復し、大型のSiMPアノードの完全性を維持することができます。
GPEの作製には、その場でのゲル化法とin situでのゲル化法の両方が含まれます。[18]in situゲル化法では、細胞の組み立てプロセス中に従来の液体電解質との架橋性前駆体を使用します。[19、20]その後、後処理を行って前駆体を活性化し、組み立てられたセル内でゲル化プロセスを開始し、電極への良好な界面接着を通じて効率的なイオン輸送を確保します。代表的なin situゲル化アプローチは、比較的長い処理時間のために高い反応温度(60〜80°C)を必要とする熱フリーラジカルゲル化であり、寄生性副反応のために電気化学的性能が劣ります。[21、22 ]対照的に、電子線架橋によって開始されるゲル化は、より好ましい代替手段であり、副反応を大幅に低減し、開始剤の必要性を排除することでバッテリーシステム全体の完全性を向上させます。[23]重要なことは、電子線活物質を組み込むことで、架橋プロセス中にいくつかの好ましい反応が誘発され、既存の電池の製造プロセスでも幅広い用途に対応できることです。
本研究では、まず、フッ素化炭素を取り込んだSiMP(F-Si)が電子線照射により高弾性GPEとの共有結合を誘発し、SiMPの内部共有結合封入と外部共有結合ネットワークの形成を両立させる化学集積系について報告する。この研究は、市販の大型Si微粒子(5μm)と手頃な価格のフッ素化炭素源を用いた湿式化学プロセスを利用した、費用対効果の高いシンプルな方法論を実証しています。さらに、電子ビームを印加するだけで、既存の電池製造ラインに容易に導入できる統合戦略も可能だ。グラフト化されたインターネットワーク(SiMPフッ素化炭素多機能GPEのオーダーで共有結合的に相互接続)は、リチオ化/脱リチエーションを繰り返す間、SiMPを二重に保護し、バッテリーの寿命を大幅に延ばします。相互結合に加えて、粘弾性GPEはSiMPの体積膨張に対して堅牢な物理的サポートを提供し、大きな応力を放散し、それによって粒子レベルと電極レベルの両方で構造安定性を向上させます。この集積システムにより、SiMPの体積膨張を効果的に抑制し、従来の液体電解質と同等のイオン伝導率を達成できることを明確に確認しました。実用的な観点からは、電子ビームベースのアプローチによる低コストでスケーラブルなF-Siは、413 Wh kgという優れた安定性と高い重量/体積エネルギー密度を達成しました−1、1022 Wh L−1500mAhのパウチセルで、実際のバッテリー生産ラインでの応用の可能性を示唆しています。
2 結果および考察
2.1 電子線照射による連系系
我々は、市販のSiMPアノードと共有結合的に絡み合ったGPEを電子線照射によりその場で作製する先駆的な手法を採用した。プロセス全体を図1に視覚的に示し、既存のバッテリー製造プロセスと一致する電解液注入プロセスを示しました。続いて、作製したセルに電子線照射を行った。電子ビームの高エネルギーと効率による優れた透過能力は、コインセルとパウチセルの両方の構成で保証されました。[24]アクリレート化合物をGPEの前駆体材料として利用し、電子線によって効果的に活性化させました。[25]特に、8つのアクリレートサイトを持つメタクリル多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)架橋剤の組み込みは、顕著なイオン伝導性とゲル化速度の向上を達成するのに有益でした。さらに、GPEの柔軟性と物理的特性を高めるために、追加成分であるシアノエチルポリビニルアルコール(PVA-CN)を導入しました。[26]PVA-CNのゲル化は、活性化部位がないため、架橋剤を添加しなければ開始できませんが、POSS架橋剤で生成されたアクリレート駆動ラジカルは、電子ビームの露光中にPVA-CNのC≡N三重結合と容易に反応します。さらに、Si表面は官能基化を受け、架橋プロセス中にGPEとの共有結合を促進しました。一般的なC-C炭素構造内の共有結合を切断するという課題が残っていたため、電子極性を補償するコーティング層を適用することで、高エネルギー電子線による活性化が可能になりました。[27]フッ素(F)ヘテロ原子を含む炭素層を利用して、電極界面にLiFリッチ層を形成するだけでなく、フッ素化炭素のC-F結合部位とGPEの間に追加の共有結合を提供しました。[28]重要なことは、フッ素化炭素層のC-F結合は、F-Siに電子線を照射すると、特定の電子線エネルギーで切断される可能性があることです。[29]C-F結合の解離によって形成された炭素ラジカルは、コアSiMPと共有結合を形成し、同時に外部ゲル前駆体との架橋プロセスに関与することができます。その結果、フッ素化炭素を含有するSiMP(F-Siと表記)を電子線で活性化したゲル電解質前駆体と一体化させることで、in situ架橋による相互接続システムが実現し、電気化学的サイクル中の体積膨張による応力の放散により、優れたバッテリー安定性が得られます。
シリコン微粒子アノードと多機能ゲルポリマー電解質を一体化した電子線誘起共有結合のin situ形成の模式図。
2.2 F-Siの作製と特性評価
市販のSiMPは、競争力のある価格優位性を提供します。[30]さらに、F-Siは、安価な材料であるPVDFを使用して電子ビーム活性特性を付与するシンプルなコーティングプロセスにより、構造安定性を強化し、費用対効果の高い利点をさらに高めます。SiMPの平均サイズは≈5 μm(図S2、補足情報)で、PVDFは炭素層にFヘテロ元素を注入するために展開されました。F-Siは、市販のSiMP上に汎用性の高いフッ素化炭素を均一にコーティングする湿式化学法という、実現可能かつ簡単な方法を用いて作製されました(図2a)。PVDFを良好な溶媒に溶解し、SiMPを溶液中に十分に分散させて均質な混合物を形成しました。コーティングプロセスは、溶液に無溶媒として過剰な量のエタノールを添加することによって開始され、その結果、SiMPの表面にPVDFが析出しました。PVDF被覆SiMPを不活性アルゴン雰囲気中で炭化処理した。700°Cで熱処理を行い、SiMP上に適当な厚さのフッ素化炭素層を組み込みました。得られたF-Siは、裸のSiと同等またはそれ以上のタップ密度を示しました(図S3、補足情報)。
図 2Figure Viewer で開くPowerPointF-Siの構造進化a)F-Si合成の概略図。b) 裸のSi(左)とF-Si(右)の拡大TEM像。c)裸のSiとF-SiのFT-IRスペクトルとd)F1s XPSスペクトル。e)裸のSiおよびF-Si電極のイオン伝導率と電子伝導率。
F-Si上のフッ素化炭素の形態構造を透過型電子顕微鏡(TEM)測定で調べました(図2b;図S4およびS5、補足情報)。裸のSiとF-Siの全体的な外観は、フッ素化炭素層の存在によらず有意差を示さなかった。しかし、TEM画像を拡大すると、F-Si粒子はSiMPの表面に≈20 nmの厚さの明確な層を示し、裸のSi粒子は天然の酸化物層とは別に滑らかな表面に現れていることが明らかになりました。さらに、エネルギー分散型分光法による元素マッピングにより、F-Si内のC元素とF元素の均一な分布が確認され、F-ドープされた炭素層がSiMP表面に直接集積していることが示されました。フーリエ変換赤外(FT-IR)分析を実施して、コーティング層の化学構造を確認しました(図2c;図S6、サポート情報)。FT-IR スペクトルは CH を明瞭に表示しました2(839、1401センチメートル−1)、CF (1068、1276 cm−1)、および CF2(873、1179センチメートル−1)ピークは、F-Siのフッ素化炭素マトリックスによって寄与されました。[31]これらの結果は、SiMPの表面にフッ素化炭素層がコンフォーマルにコーティングされていることを示しており、TEM分析と一致しています。さらに、X線光電子分光法(XPS)を用いて、炭素マトリックス中のF元素の存在と結合状態について、より正確で信頼性の高い結果が得られました(図2d;図S7、サポート情報)。Fヘテロ原子が埋め込まれた炭素殻をF-Siに導入すると、285.0 eVにC-(C, H)結合のメインピークが生成され、C-FとC-Fの2つのフッ素化炭素ピークが得られた2C 1sスペクトルの288.0 eVおよび289.6 eVの種。同様に、C-F と C-F2F1sスペクトルでは、それぞれ686.5eVと687.4eVにピークが観察されました。[32、33 ]予想通り、純粋なSi材料のため、裸のSiサンプルではフッ素シグナルは検出されませんでした。さらに、炭素マトリックスへのF元素の含浸も、固体核磁気共鳴(NMR)分光法によって検証されました(図S8、補足情報)。[34]XPSと固体NMRの結果から、炭素層において階層的なF注入が効果的に達成されることが証明されました。重要なことは、X線回折(XRD)分析により、F源と熱処理中のSiとの化学反応を検証するために結晶構造を調べたことです(図S9、補足情報)。裸のSiとF-SiのXRDパターンの結果から、Siに帰属するピークのみが存在し、ピークシフトはなく、フッ素化炭素層の導入プロセスが結晶構造に影響を与えないことが確認されました。F-Si中の炭素層の定量分析は、熱重量分析(TGA)、元素分析(EA)、燃焼イオンクロマトグラフィー(CIC)を用いて行いました(図S10、補足情報)。TGA測定では、コーティング層の重量は7.82%でした。同様に、EAとCICの結果を使用して、それぞれ7.02 wt.%と0.185 wt.%の値を提供したC元素とF元素の含有量を決定しました。F-Siの主な炭素成分は、その導電性を高めることが期待されていますが、C-FとC-F2結合は、電子ビーム照射時にラジカルブリッジを与えるために追加の役割を果たします。そこで、炭素層の実際の影響を、従来の各電極の種類におけるベアSiとF-Siのイオン伝導率と電子伝導率を測定することによって検証しました(図2e;図S11、補足情報)。[35]裸のSiとF-Siのイオン伝導率の測定値は0.23mS cmでした−1および 0.75 mS cm−1それぞれ。これに対応して、裸のSiとF-Siの電子伝導率は0.05mS cmと決定された−1および 0.11 mS cm−1それぞれ。F-Siは、裸のSiと比較して、3倍以上高いイオン伝導率と2倍高い電子伝導率を示しました。ヘテロ原子を炭素マトリックスに取り込むことで、格子間空間が拡大し、電荷キャリアの輸送が容易になりました。[36]
2.3 粘弾性E-GELの機械的・電気化学的性質
また、電子線はGPEのゲル化プロセスを開始することも可能であり、物理的強度の向上により、より安定した電池システムに貢献します。[37] 図3aは、電子線照射がゲル化に及ぼす影響を検証したゲル化度合いの評価を示すものです。重要なことに、LEは電子ビームに対する反応性がないため、元の液体状態のままでした。一方、POSS架橋剤をわずか1wt%添加した電子線誘起POSS GPE(E-POSS)では、15kGyの電子線で20%という驚異的なゲル化率を達成しました。一方、PVA-CNとLiPFの組み合わせ6-ベースの電解質は、電子ビームに反応しないため、通常、熱架橋(T-PVA-CNと表記)によってオルガノゲルを調合するために使用されます。[38]そのため、PVA-CNは、高出力電子線(E-PVA-CNと表記)に曝されても、本来の添加量に比べてゲル化率の2%しか保持されなかった。さらに、イオン伝導率とゲル化速度の相関関係を、種々のポリマー含有量を用いて検証するために綿密な調査を行った(図S12、補足情報)。POSSまたはPVA-CNの量が増えると、GPEのイオン伝導率は低下する傾向を示し、ゲル分画の値は必然的に上昇しました。驚くべきことに、POSSを1wt.%、PVA-CNを2wt%含有するGPE前駆体(E-GEL)は、電子線照射時に≈30%という高いゲル化速度を示しました。この結果は、POSS中の活性化されたアクリレート基が、架橋プロセス中にPVA-CNの共ゲル化を可能にする可能性を示唆しました。内部シアノ基(C≡N)に着目したPVA-CNの活性化特性を、乾燥したE-PVA-CNおよびE-GELのN 1s XPS分析により分析しました(図3b)。E-PVA-CNおよびE-GELのゲルポリマーマトリックスは、電子線誘起ゲル化および残りの液体電解質の抽出後の真空乾燥プロセスによって得られた。XPSの結果、E-GELではC = N二重結合が優勢なため、C≡N三重結合が顕著に減少することが確認されましたが、E-PVA-CNは依然として未消費のC≡N三重結合を保持しており、新しい結合は発生しませんでした。E-GELのC=N二重結合の一部がC-(N)に変換された3これは、アクティベーションプロセスの証拠を提供しました。[39]さらに、圧縮ひずみ応力試験により、各GPEに関連する物理的特性をさらに調査しました(図3c;図S13、補足情報)。E-PVA-CNは電子線を照射してもゲル化しないため、T-PVA-CNを導入し、熱硬化による化学官能基の特性を調べました。少量のPOSS架橋剤でも、E-POSSは剛性構造を示し、ひずみは小さいが、ヤング率値は28 kPaと比較的高い。一方、T-PVA-CNはPVA基の存在によりヤング率が14.1 kPaと比較的柔軟性があり、E-POSSと比較して高いひずみ値を示しました。POSSとPVA-CNの異なる特性を併せ持つことで、E-GELは18 kPaの中間ヤング率とPVA-CNと比較して並外れたひずみをもたらし、体積膨張の緩和に有益でした。[40]
図 3Figure Viewer で開くPowerPointGPEの物理化学的および電気化学的分析。a) LE、E-POSS、E-PVA-CN、E-GEL(POSS/PVA-CN)のゲル分画(挿入図:電子線照射後のE-POSS、E-PVA-CN、E-GELの写真画像)b)E-PVA-CNおよびE-GELのN1sXPSスペクトル。c)E-POSS、T-PVA-CN、E-GELの圧縮ひずみ応力曲線。d)25°CでのLE、E-POSS、E-PVA-CN、およびE-GELのイオン伝導率。 d)LE、E-POSS、E-PVA-CN、およびE-GELのイオン伝導率。e)さまざまな温度でのLE、E-POSS、およびE-GELのアレニウスプロット。f)LE、E-POSS、およびE-GELの線形スイープボルタモグラム。
優れた物性を有することに加え、優れたイオン伝導性を得ることは、抵抗の増加や性能低下を防ぐ上で重要な要素です。POSSの化学構造にある8つの活性化部位は、POSSが20%のゲル化率に達するための最小限の利用に寄与し、それによって同等の優れたイオン伝導性(9.56 mS cm)を提供します−125°CでLE(9.82 mS cm)まで−125°Cで)(図3d)。[41]しかし、E-PVA-CNのゲル化は経験していないにもかかわらず、LEへのPVA-CNの溶解により電解質の粘度が上昇し、イオン伝導性が劣る(7.3 mS cm−125°Cで)。重要なのは、E-GELの優れたイオン伝導率(8.83 mS cm−1at 25 °C)は、少量のゲル前駆体と電子線誘起架橋によって相乗的に達成され、リチウムイオン(Li)移動度を加速する3Dネットワーク構造を形成しました。さらに、すべての電解質の温度依存性イオン伝導率は、0〜60°Cのアレニウスプロットに従います。 導電性の高いE-GELは、実質的に最も低い活性化エネルギー(E+ある)の値0.180 eV(Eと比較して)ある= 0.194 eV (E-POSS および E の場合)ある= 0.182 eV(Li輸送に支障のないLEの場合)(図3e)。+[42]ゲル前駆体を含有すると必然的にイオン伝導率が低下しましたが、導電性はLEに大きく依存しており、これはゲル前駆体の低画分(合計3wt%)に起因しています。したがって、エネルギー障壁はLEと同等か、それよりも低くなる可能性があります。実用的な電池システムを考えると、電解液の酸化安全性の実現は、高電圧正極や二次電池を適用する上でボトルネックとなっていました。調製した電解質の電気化学的安定性を検証するために、設計したコイン電池でリニアスイープボルタンメトリー(LSV)を利用しました(図3f)。高電圧条件下でのLEの酸化傾向の急激な増加とは異なり、E-POSSおよびE-GELは単位面積あたりの電流密度の大幅な減少を保証しました。[43]さらに、火災や爆発を引き起こすような虐待的な状況では、同量のLEが燃焼し続け、5秒以上持続します。しかし、ゲル高分子電解質(GPE)はLEをゲルマトリックス内に内包しているため、難燃性を示します。(図S14、サポート情報)。さらに、E-GEL内のPOSSコンポーネントは、高温でも優れた熱安定性を備えています。POSS構造内のSi-Oネットワークは、熱による分解に対して無傷のままであり、効率的な酸素捕捉を可能にし、難燃剤として機能します。[44]LEをゲルネットワーク内に保持することで、熱暴走を抑制して酸化還元反応を効果的に防止し、E-GELが高ニッケルカソードに適切な電解質を提供できることを実証しました。
2.4 統合システム形成のためのメカニズムの提案
F-SiとE-GELは、電子線照射に応答して活性化部位を産生し、共有結合を介して相互接続されたネットワークを形成する可能性を示唆しています。電子線に対する相互反応性を調べるために、反応したSiMPに対してXPSと固体NMRを用いた表面分析を行った。Si粒子は、電子線照射されたSiMPと過剰量のGPE前駆体の混合物から得られました。裸のSiのN 1s XPSスペクトルでは、混合プロセスで導入された過剰なPVA-CNと、ゲル化プロセス中に形成されたごくわずかな量のC=N二重結合により、C≡N三重結合のかなりの部分が表面に付着して除去されずに残りました(図4a)。しかし、F-SiはC≡N三重結合が有意に減少し、C-N=CおよびN-(C)が有意に増加した3絆。[45、46 ]PVA-CNの熱硬化プロセス中に、C≡NトリプルボンドがPFによって攻撃されます5おや−これは、LiPFの水による分解反応によって生成されます6追加の熱による塩。この振る舞いは、その後、各PVA-CN間にC-N = C結合を形成することにより、ゲル化プロセスを引き起こします。したがって、F-Si表面のC-N=C結合は、PVA-CNがPOSS中の励起されたアクリレート基によって開始される架橋反応にうまく関与していることを示唆しています。 同時に、F-Siコーティング層のC-F結合は電子線照射で切断され、F-Si上に形成されたCラジカルは活性化PVA-CNとの架橋反応に従事し、 N-(C)の生成3ブリッジボンド。GPE前駆体を過剰に含む混合物から得られたF-Siにおいて、電子線照射前後にCICを配備してフッ素含有量の比較を評価した(図S15、補足情報)。電子線照射後のフッ素量の減少が顕著に見られたのは、F-SiとE-GELの間に共有結合が形成される可能性があったためである。混合物から得られたのと同じ反応したSiMPを利用することにより、化学結合の形成がさらに検証されました。29Si と13C固体NMR分析(図4b)。この研究は、反応中にF-Si表面に新しいSi-C結合が出現することを明らかにしました。電子線を照射すると、フッ素化炭素層のC-F結合が崩壊し、コアSiMPと部分的に共有結合を形成するCラジカルが生成されました。逆に、固体NMRスペクトルでは、Si-Si結合を除いて、反応時の裸のSiには有意なピークは検出されませんでした。[47]重要なのは、13C固体NMRスペクトルは、明らかにPVA-CNに由来するC = NおよびC-N基の異なるシグナルを示し、C = O基はPOSSに由来する(図4c)。化学変換は、POSS中の分解されたアクリレート基によって触媒され、非ゲル化PVA-CNのみの開始を引き起こし、その結果、POSSがPVA-CNに化学的に結合しました。同時に、POSS/PVA-CNオリゴマーは、E-GELの架橋反応中にF-Si表面のCラジカルと部分結合を定式化し、共有結合的に絡み合ったシステムを生成しました。C-F結合の影響を評価するために、トルエン溶媒を用いた化学気相成長(CVD)法を用いて、従来のカーボンコーティング層を裸のSi上に導入しました。同様に、従来の炭素被覆SiMPは、過剰な量のGPE前駆体と混合され、電子ビームに曝露された後にのみ抽出されました。Fヘテロ原子がない場合、固体NMRは追加の結合形成を示さず、電子ビームに対する活性は無視できる程度であることを示しました(図S16、補足情報)。
図4Figure Viewer で開くPowerPoint電子線照射による共有結合生成の反応機構の追跡a)E-GELと反応後のF-Siと裸のSiのN1s XPSスペクトル。ソリッドステートb)29Siおよびc)13E-GELと反応した後のF-Siと裸のSiのC NMRスペクトル。反応したF-Siと裸のSi粒子は、溶媒と成形されたままのゲルを除去して得られた。d)電子線照射時の架橋反応のメカニズムの提案。
共有結合ネットワークを形成するための提案されたメカニズムは、F-Si、POSS、およびPVA-CNを含む相互接続システムの概要を示す図4dに記載されています。電子線を照射することで最初に生成されるPOSSのアクリレート基のラジカルは、PVA-CNのC≡N三重結合と相互作用し、架橋反応を開始します。続いて、生成したままのC-N=C*基は、POSSのアクリレート基とのゲル化反応をさらに促進し、オリゴマー中でPOSSとPVA-CNの連鎖反応を繰り返す別のラジカルを生成します。反応中、電子線はF-Si中のC-F結合の解離をさらに刺激し、それによってF-Si表面でのCラジカルの形成を促進します。[48]ラジカルは自然にPOSS/PVA-CNオリゴマーと架橋反応を起こし、N-(C)を生成します3共有結合を可能にする結合。[49]その結果、現在進行中の架橋反応により、電子線誘起共有結合を介してF-SiとE-GELの集積系が確立され、電池サイクル中のF-Siの巨大な体積変化を効果的に緩和することができます。
3 共有結合導入による構造強化
F-SiとE-GELの共有結合の構造進化について、F-Si電極のTOF-SIMS深さプロファイリング結果をF-Si|電子線照射後のE-GELセル(図S17、補足情報)。すべての化学反応は電極マトリックスの内外で完全に発生し、電解質との接触面積が最も広いため、必然的に最上層で勾配形成が観察されました。[50]電極内の任意の部位にかかわらず、明瞭なピークは、両方の共有結合インターネットワーク(CN−、C2N−、および C3N−)およびPOSS架橋剤(CO−)が検出され、共有結合で相互接続された系へのF-Si粒子の全体的なカプセル化が強調されました。[51]裸のSiとF-Siの電気化学的特性は、0.1mV秒で3〜0.05V(対Li/Li)の周期ボルタンメトリー(CV)測定を行うことによって調査されました+−1スキャン速度(図S18、サポート情報)。電解質の種類に関係なく、F-Si電極のSEI層形成の各ピークは、最初のサイクル中に1.2〜2Vの高電圧領域にわずかにシフトしました。これらの傾向は、図2eに示すように、裸のSiよりもF-Siの導電率が優れていることに起因しています。[52]完全な充放電条件(すなわち、充電状態制御(SOC)100)下でのSi微粒子の挙動は、それぞれの物理化学的特性および相互接続された共有結合の影響を実証することができる。Fドープ炭素層の導電効果に加えて、C-F層のカバレッジ密度と厚さも、電池システムにおけるF-Si電極の電気化学的性能に影響を与える可能性があります。薄いカーボンコーティングは、Siの体積膨張を効果的に緩和するのに苦労し、SiMPではより厚い層が好まれるようになりました。しかし、過度に厚いコーティングは、体積膨張を抑制することで構造安定性を高める一方で、絶縁バリアとしても機能し、電気化学的性能を低下させました。興味深いことに、PVDFの量が多いほど、それに対応してフッ素含有量の増加が観察され、電子線誘起性E-GELとの共有結合の形成が増強されたことが示唆されました。そこで、C-F層の被覆密度と厚さに対する前駆体比の影響を解明するために、系統的な変動試験を実施した(図S19、補足情報)。Fドープ炭素前駆体(PVDF)に対するSiMPの元の比率(4:1)と、8:1および2:1の追加の比率を拡張して、電気化学的サイクルに対するその他の影響を調査しました。静電充電/放電プロファイルは、コーティングの厚さが厚くなるにつれて、初期可逆容量と初期クーロン効率が低下することを示しました。0.5°Cでの電気化学的サイクルから、8:1|E-GELは、裸のSi|LEは、Fドープカーボンコーティングと二次共有結合性カプセル化がSiの構造的完全性を維持するには不十分である可能性があることを示しています。一方、比率を2:1に増やすことで構造安定性は向上しましたが、抵抗バリアとして機能すると、4:1の比率と比較して可逆容量が大幅に低下しました。したがって、4:1の比率が最適で、バランスの取れた厚さを提供し、Fドープカーボンコーティング層の利点を最大化しました。F-Siの前駆体比を4:1に設定し、LEといくつかのGPEを用いて、両電極の静電気充放電性能を評価しました(図S20、補足情報)。LEおよびE-GELを備えた裸のSi電極は、3375.2および3389.3mAhgの可逆容量を提供しました−1また、最初のサイクルでそれぞれ91.8%と92.0%の高いクーロン効率を実現しています。さらに、E-POSSおよびT-PVA-CNと結合された裸のSi電極は、GPE前駆体の使用が最小限であるため、LEと同等の可逆容量とクーロン効率をもたらしました。F-Siの炭素含有量と適度な厚さを考慮すると、F-Si電極は3161.3mAhと3141.2mAhgの同様の放電容量を実現しました−1また、LEとE-GELでそれぞれ90.2%と90.0%のクーロン効率が同等です。電解質としてE-POSSとT-PVA-CNを導入したにもかかわらず、LEと比較してわずかな改善しかありませんでした(図S21、補足情報)。また、電気化学的評価を並行して実施した結果、PVA-CN2%とPOSS1%の組み合わせによる最適な組成が明らかになりました(図S22、補足情報)。電子線誘起ゲル化プロセスに対する2つの前駆体の衝突から、F-Si電極とE-GELの間の界面に堅牢なインターネットワークが得られ、F-Si界面との適切な相互作用により、まったく異なる結果が得られました(図5a)。The F-Si|質量負荷量0.8–1.0 mg cmのE-GEL−22698.3 mAh gの強化されたリバーシブル容量を提供−10.5°Cで(1°C = 3141 mA g−1)が120サイクル後であるのに対し、裸のSi|LEは、同じ条件で急激な容量減衰を示しました。E-GELがLEに匹敵するイオン伝導性を有することを考えると、F-Si|E-GELは、まともな容量とレート能力を示しました(図S23、サポート情報)。興味深いことに、F-Si|E-GELは、裸のSi|LEです。SiMP(5μm)という非常に大きなサイズにより、F-Si|E-GELは、F-Si上に直接的な化学結合を形成することで安定したサイクル保持を実現し、導電性と構造安定性を向上させました(図S24、補足情報)。さらに、取り込まれた炭素層内のF元素により、LEを使用した場合でも、ガルバノスタティック充放電サイクル後のF-Si電極では、裸のSi電極よりもF-Si電極でより多くのLiFが検出されました(図S25、サポート情報)。特に、F-Si|E-GELは、Li 1s XPSスペクトルにおいてLiFリッチなSEI層と、N-(C)の共有結合結合を必然的に示しました3界面におけるN 1s XPSスペクトルのボンディング(図S26、サポート情報)。活物質の含有量を80質量%に増やすと、F-Si|E-GELは0.5°Cで50サイクルにわたって安定したサイクル性能を示しましたが、裸のSi|LEは、大きな体積膨張に耐えられず、以下の破断に耐えられなかったため、すぐに深刻な容量減衰を経験しました(図S27、補足情報)。
図5Figure Viewer で開くPowerPoint共有結合の効果を示す3D特性評価。a)裸Siのサイクル安定性|LEおよびb)F-Si|0.5°CでのE-GELセル。 b)SEMおよびX線マイクロCT画像に基づく、0.5°Cで1、50サイクル後の電極厚さの平均変化(灰色)、および50サイクル後の膨張率を、各原始電極(青)と比較した比較分析。裸Si中のc)裸Si電極とd)F-Si電極のX線マイクロCT画像(青色散乱:50サイクル後の各原始電極との比較平均膨張率) |LEとF-Si|1サイクル後のE-GEL細胞(左)、0.5°Cでの50サイクル(右)、対応するe)細孔径分布、f)各電極の平均フェレ径。
SiMPの体積膨張を緩和し、構造的完全性を維持するための実際の実現を明らかにするために、X線マイクロコンピュータ断層撮影(Micro-CT)を使用して形態と内部組織を解析しました(図S28、補足情報)。[53、54 ]マイクロCTの上面図を通して、裸のSi|LEは50サイクル後に高多孔質構造になりました。また、裸のSi電極の断面厚は9.26μmから22.4μmに増加し、膨張率は141.9%と厳しい数値となりました。対照的に、F-Si|電極膜が厚くても、E-GELは16.03〜19.45μmのわずかな膨潤のみを示し、50サイクル後の膨張率は21.3%とはるかに小さいことが示唆されました(図5b;図S29、補足情報)。その結果、GPEは強度だけでなく粘弾性も持つべき物理的支持において重要な役割を担っていることが証明されました。さらに、共有結合はF-Si|E-ゲル。各電極のSiMPと細孔を3次元的に再構成し、内部構造の変化をマイクロCTで調べました。得られた画像から、電気化学的サイクル後に裸のSi電極が粒子径の減少と細孔径の増加を経験していることが明らかになり、裸のSiMPが粉砕されたことが示唆されました(図5c)。一方、F-Si電極は、50サイクル後でも十分に保護されたマイクロスケールの粒子と小さな細孔を達成することができました(図5d)。裸のSi電極の厚さは2倍以上増加したのに対し、F-Si電極はほとんど膨張を示さず、共有結合を特徴とする最高に弾性のある集積システムの効率が浮き彫りになりました。上面図のSEM画像では、F-Si電極は滑らかな表面を示し、化学的に絡み合ったシステムに由来する固有の微細構造を維持していました(図S30、補足情報)。対照的に、LEとペアをなす裸のSi電極は、亀裂が目立つ破砕された微細構造を示しました。さらに、断面SEM分析を実施して、長時間サイクル後の厚さ変化を調べたところ、F-Si電極は、1サイクル後の電極厚さと比較して68.5%と95.9%の膨張率を示し、100、200サイクル後でも構造の並外れた安定性が得られました(図S31、補足情報)。細孔径値を測定したところ、50サイクル後にF-Si電極に有意に小さな細孔が均一に分布していることが明らかになりました(図5e)。注目すべきは、裸のSi電極の当初の小ささの孔径が、50サイクル後のF-Si電極の値よりもさらに拡大されたことである(図S32、補足情報)。さらに分析したところ、Si材料を充填するための平行接線間の最小距離と最大距離の平均である平均フェレ直径を評価すると、粒子の破壊とそれに伴う微細な細孔の出現により、サイズが小さくなるほど発生率が高いことが明らかになりました(図5f)。[55]これに対し、F-Si電極は、1)粒子レベルでの体積膨張による応力を効率よく放散する粘弾性E-GELクッション、2)大型SiMPの粉砕・層間剥離の緩和、3)電極構造全体の保存に成功したこと、などから、直径を越えた均一な分布を特徴としています。そのため、F-Si|E-GELは、SOC100の0.5°Cという比較的過酷な条件下で耐え難いストレスに耐えることに貢献しました。
3.1 相乗効果による高エネルギー密度フルセル・パウチセルの実現
相互反応により集積系を形成したF-Si|E-GELは、F-Siの平均粒子径が5μmであるにもかかわらず、安定した電気化学反応速度を示しました。重要なことは、電気化学的性能を最適化することを目的として、総Si容量の利用部分を管理するために、SOC制御の戦略がさらに採用されたことです。[56、57 ]SiMPを部分的に利用するためのリチウムの取り込み度を制限することで、体積膨張の問題を大幅に軽減し、それによって全体の構造安定性を高めることができます。したがって、裸のSiとF-Siの長期サイクル安定性は、0.8〜1.0 mg cmの質量負荷量で追加でテストされました−20.5°Cで、SOC 70条件での電気化学的改善をさらに確認しました(図6a;図S33、補足情報)。[58、59 ]The F-Si|E-GELは、300サイクルにわたって持続的な容量保持を伴う非常に優れた可逆性を示しましたが、裸のSi|E-GELは、80サイクル後にかなりの容量減衰を観察しました。化学的に相互接続されたシステムがなければ、裸のSi|E-GELは、全容量の70%しか使用していない場合でも、裸のSiを粉砕するため、可逆容量を維持することができませんでした。ハーフセルでSi容量の70%を満たすようにSOCを制御することは、フルセルで1.4の負極と正極の容量(N/P)比に相当し、F-Si電極はフルセルとパウチセルを同じN/P比で実現するのに適している。
図6Figure Viewer で開くPowerPoint実用的なバッテリーシステムにおける電気化学的評価。a) 裸のSiのリチエーション限定サイクリング|E-GELとF-Si|0.5°CのE-GEL細胞、70%までの充電状態(SOC)制御。b) 0.1°Cにおけるコイン型フルセルの静電充電/放電プロファイルとc)0.5°Cにおけるコイン型フルセルの対応するサイクル安定性 d) F-Siの体積エネルギー密度の比較|イージェル|NCM811 500 mAhパウチセルと他の報告されているSiアノード。e) F-Siを用いた500mAhパウチセルのサイクル性能 |イージェル|NCM811 (0.3°C)
そこで、ベアSiアノードとF-Siアノードの両方について、フルセルでE-GELを用いて多種多様な評価を行い、実用レベルでの実現可能性を実証しました(図6b)。フルセルはLiNiとペアになりました0.65共0.15ミネソタ0.2O2(NCM651520)負荷レベル3mAhcmのカソード−2N/P比は1.4です。裸のSi|イージェル|NCM651520とF-Si|イージェル|NCM651520は、156.1mAhgと154.8mAhgの同様の放電容量を示しました−1、最初のサイクルでそれぞれ84.1%と80.0%のクーロン効率とともに。F-Siの初期クーロン効率|イージェル|NCM651520は裸のSi|イージェル|NCM651520、これはF-SiアノードとE-GELの間に共有結合が形成されることに起因しています。[60]さらに、F-Si|イージェル|NCM651520、F-SiとE-GELの間の共有結合は、むしろ電荷キャリアの移動に有益なインターフェースを提供することを示しました(図S34、補足情報)。予備リチオ化ステップなどの有利なアプローチを採用することなく、F-Si|イージェル|NCM651520は、0.5°Cで100サイクル、200サイクルでそれぞれ88.6%と65.4%という驚異的な容量保持率を達成しました(図6c)。しかし、裸のSi電極は大きな応力に耐えられず、100サイクル後、200サイクル後の容量保持率はそれぞれ75.6%、44.6%と劣っていました。フルセルを評価するには、カソードの劣化による潜在的な影響があるため、アノードとカソードの両方の構造的完全性を考慮する必要があります。有害な界面副反応は、裸のSi|イージェル|NCM651520誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)分析により、陰極で遷移金属の溶解が発生します。しかし、F-Si|イージェル|NCM651520は、裸のSi|イージェル|NCM651520、このような統合システムの実用的実行可能性を実証する(図S35、補足情報)。さらに、ポリマー系電解質は速度低下により低温での性能が劣りますが、E-GELの優れたイオン伝導性と低抵抗の中間相により、過酷な条件下でも広い温度範囲で容量安定性が確保されます(図S36、補足情報)。[61、62 ]
信頼性の高い特性にもかかわらず、Si材料の膨大な体積変化を管理するというボトルネックは、外部圧力を加えずにパウチセルシステムを実装する上で大きなハードルとなっています。しかし、F-SiとE-GELの相乗効果により、F-Siの体積膨張を効果的に抑制し、実用的なパウチセルを作製する可能性が示唆されました。そこで、F-SiアノードとLiNiとを数個積層して、0.8共0.1ミネソタ0.1O2(NCM811)カソード、500 mAhパウチセルを組み立てて、高い面容量(3.5 mAh cm–2)NCM 811カソードの。重要なのは、F-Siパウチセルが413Whkgの高エネルギー密度を実現したことです−1、1022 Wh L−1タップ密度の高い大型SiMPにより、単位質量および単位体積あたりの高いエネルギー密度を確保します(図6d;表 S1 および S2、サポート情報)。[63〜68 ]高価なナノサイズのSi材料に頼ったり、体積膨張に対応するためにボイドスペースを作ったりするのではなく、5μmの大きな粒子を採用することで、高いエネルギー密度と顕著な安定性を実現しています。高密度で相互接続されたシステムは、150サイクル後に77.0%の容量保持を達成し、高エネルギーで安定したバッテリーの実現に向けて大きく前進したことを示唆しています(図6e)。実世界での電子アプリケーションの検証では、ドローンを用いた動作試験を実施しました(動画S1、補足情報)。その結果、電子ビームによるF-Siと弾性E-GELの相乗的集積が、粒子径5μmでも純粋なSiアノードの本質的な課題を効果的に克服できることが実証されました。さらに、本研究で開発された独自のシステムは、エネルギー貯蔵システムや次世代電池などの実用化を促進し、高度な電池技術への将来の実装の可能性を浮き彫りにしています。
4 まとめ
5μmの大型SiMPと多機能GPEを電子線照射で集積した新しいシステムを紹介します。安価なフッ素源を用いた単純な湿式化学プロセスにより、SiMPの電子極性が補償され、E-GELの電子線誘起架橋プロセスでF-Siが出現しました。これにより、電子線照射時にゲル化反応と架橋反応を同時に起こすことで、F-Siと高弾性E-GELの集積化が可能になりました。その結果、絡み合ったシステムは、特に高いイオン伝導率を提供しながら体積膨張を緩和する優れた特性を示しました。マイクロCTは、大型のSiMP粒子の完全性を維持する能力を直接確認し、効果的な応力散逸を示しました。さらに、SOC制御の体系的な管理により、統合システムは純粋なSiMPアノードで前例のない性能を達成することができました。我々は、F-SiとE-GELの架橋反応機構を提案し、活物質とGPEが相互接続可能な他の系にもこの原理を拡張できる可能性を示唆しています。システムのユニークな構造的および電気化学的特徴に基づいて、F-Si|E-GEL 500 mAhパウチセルは、413 Wh kgという非常に高い重量/体積エネルギー密度を示しました−1、1022 Wh L−1.本研究は、電子ビームを用いた将来の電池技術におけるエネルギー密度の向上、既存の電池製造ラインにおけるエネルギー貯蔵システムや次世代電池に革命をもたらす可能性を浮き彫りにした。
    
図5.                                                                                                           この項了


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持続可能戦略電子デバイス製造論 ⑤

2024年02月20日 | 環境リスク本位制

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。
 
 
図1 メタマテリアル電極を装着した(A)メタマテリアル熱電素子と、カーボンブ
ラック膜を塗布した電極を装着した(C)カーボンブラック熱電素子の模式図。(B)
メタマテリアル表面と(D)カーボンブラック表面の電子顕微鏡図。
均一な熱輻射環境の
  メタマテリアルは  
  熱電発電を最も高効率に駆動できる吸収体である
理化学研究所(理研)と東京農工大学は,均一な熱輻射環境下における熱電発電
において,極薄の構造でありながら高い熱輻射吸収特性を示すメタマテリアルが,
最も効果的に熱電発電を駆動させることを実験的に明らかにした。
車やパソコンなどの電子機器,道路や建物表層などに滞留する熱エネルギーなど
未利用熱は,日本が輸入した石油や天然ガスなどの一次エネルギーの約6割を占
め,本来のエネルギーの4割しか有効的に活用できていないことになる。そこで
熱を電気に変換する熱電変換素子が,この未利用熱の再利用に期待されているが,
その原理は,熱電変換素子内の温度勾配が電圧に変換されるゼーベック効果に基
づいているため,熱電変換素子内の温度勾配が消失してしまう,温水中や道路表
層などの均一な熱輻射環境では機能しないという課題があった。
一方メタマテリアルは周囲環境の熱輻射をより大きな光吸収率と吸収断面積で吸
収・濃縮してそれを熱電変換素子に与えるため,均一な熱輻射環境においても熱
電発電を駆動することができる。今回,研究グループは,メタマテリアル(構造
厚さ0.31μm)の比較として広帯域吸収体であるカーボンブラック膜(構造厚さ
60μm)を熱電変換素子に適用し,それぞれの発電特性を評価
その結果,メタマテリアルは,広帯域吸収特性を示すカーボンブラックよりも低
い熱輻射吸収特性を示すにも関わらず,メタマテリアル熱電素子はカーボンブラッ
ク熱電素子よりも高い熱電特性を示した。これは,メタマテリアルに吸収された
熱輻射エネルギーが,メタマテリアルの薄い構造により効率的に熱電変換素子に
伝搬したことを示唆している。 
すなわち,熱電変換システム全体で考えると,単に光吸収率の高低だけでなく,
吸収で得られた熱を効率良く熱電素子に伝導させる能力も重要であり,そのため
にはより薄い構造で高い光吸収効率を実現することが鍵となる。実際,メタマテ
リアルのように入射波長よりも1/10程度薄いにも関わらず高効率に光を吸収する
材料は自然界には存在せず,極めて薄い構造と,高い熱輻射吸収特性という2つ
の要求を同時に満たすことができるのは人工材料であるメタマテリアルのみ。
のように,今回の研究によって均一な熱輻射環境における熱電発電を高効率に駆
動するためには,メタマテリアル特有の性質が不可欠であることが確認された。
【展望】
極めて薄い構造と高い熱輻射吸収特性を両立するメタマテリアルの特性は、熱電
変換デバイスのみならず、他の光電子デバイスの高効率化においても活用できる
と期待でき、また今回得られた知見は、さらに高い発電特性を示すメタマテリア
ル熱電デバイスの設計指針につながると期待されている。メタマテリアル熱電変
換は既存の熱電デバイスが発電できない均一な熱輻射環境における熱電発電を可
能にするデバイスであることから、この成果は環境発電分野において直接的に
用でき、その効果は、将来的の脱炭素社会の実現に寄与すると期待されている。
※論文タイトル:Metasurface absorber enhanced thermoelectric conversion
URL:https://www.degruyter.com/document/doi/10.1515/nanoph-2023-0653/html
メタマテリアルとは,電磁波(光)の波長よりも細かな構造体を利用して,物 
 質の電磁気学(光)的な特性を人工的に操作した疑似物質

 

          
高熱起電力の分子熱電変換デバイス
2月13日、名古屋大学と韓国高麗大学は,分子素子としては最高の熱起電力を持つ
熱電変換デバイスを新たに開発。
ゼーベック効果を利用した熱電変換素子の毒性や資源の希少性の問題を解決する
分子熱電素子として,Ru錯体の可能性が示唆されていたが,長く大きな分子を電
極間に挟むことが難しく検証されていなかった。
今回研究グループは,安定な自己組織化膜を電極で挟み,温度差をかけることで
実験的に熱起電力を測定した。測定された熱起電力は分子鎖長に比例して増加し,
Ru錯体の5量体に相当する10nmの長さで1mV/Kを超えた。
第一原理伝導計算により,分子軌道がフェルミ準位近くに位置し,さらに分子と
電極の波動関数の混成が小さいことで高い熱起電力が得られていることを明らか
にした。
Ru錯体分子ワイヤーに代表される,分子鎖長が増大しても電気伝導度の減衰が緩
やかな分子の電気伝導機構は,電子が散乱を受けずに伝導するトンネル伝導なの
か,分子振動を伴って伝導するホッピング伝導なのか議論になっていたが,実験
でトンネル伝導によって伝導していると考えられた。
さらに詳細な伝導機構の解明のため,電流によってどのような分子振動が励起さ
れるかの指標を光量子アルゴリズムによって計算した。ホッピング電流が流れる
際,今回は熱起電力が正であることからホール伝導であるため,分子は非常に短
い時間,電子が1つ抜けた状態になり,再び電子が入ってきて安定な状態に戻ると
いう過程を繰り返す。
電子状態によって安定な構造は異なるため,電子の状態変化前後で変わる分子振
動の重なりの大きさはフランクコンドン因子と呼ばれ,この因子が大きいほど分
子振動が励起されやすい。このフランクコンドン因子を,光量子コンピュータ上
で動作するガウシアンボソンサンプリングによって計算した。電子状態の変化に
伴う分子振動の変化を干渉などの光子への操作へ置き換えることで,そこを通過
する光子が確率的に,実際の振動遷移に伴うエネルギーに出力されやすくなる。
将来的に電流―電圧曲線の2階微分が高精度で測定された際,フランクコンドン因
子の大きな振動モードと一致するエネルギーにピークが現れると考えられる。
【成果/展望】
ガウシアンボソンサンプリングは光量子コンピュータによって古典計算機よりも
高速に実行できるとされ,計算量が大きくなるにつれて光量子コンピュータの優
位性が増すと期待される。研究グループは,熱起電力の測定が伝導機構の決定に
重要な役割を果たすことが示されたほか,複雑な電気伝導機構の解明に光量子コ
ンピュータを応用できる可能性の一端を示すことができたとしている。

6G通信向け周波数チューナブルフィルタ開発
2月19日、東北大学の研究グループは,シリコン製のサブ波長格子で構成される機
械式の屈折率可変メタマテリアルを新たに開発し,ファブリペロー共振器内の屈
折率を制御することにより,狙った周波数域の電波を通過させる周波数チューナ
ブルフィルタを開発。

【要点】
1.次世代の第6世代移動通信システム(6G)(注1)通信帯で利用できる周波数
のチューナブルフィルタ(注2)を開発。
2.シリコン製の機械式屈折率可変メタマテリアル(注3)をファブリペロー共

振器内に搭載することで優れた光学特性(高透過率)と機械特性(機械的信頼性)
を兼ね備えている。
3.6Gをはじめ、医療・バイオ・農業・食品・環境・セキュリティなど幅広い分

野での応用が期待されます。
【概要】
 国内では2020 年3 月に第5 世代(5G)移動通信システムによる商用サービスが
始まる。一方、米国、韓国、欧州、中国、日本を中心に2030 年代の実用化を目指
して5Gの次の世代「6G」を見据えた研究開発が始まり、テラヘルツ波が使用され
ることが明示されている。6G では0.3THz 近傍の周波数帯の電波が用いられるこ
とが想定されており、ノイズとなる不要な周波数の電波を除去し、必要な周波数
の電波を選択的に通過させる周波数チューナブルフィルタが必要となる。ファブ
リペロー共振器は、2 枚の高反射ミラーで構成される、よく知られた周波数選択
性フィルタです。ファブリペロー共振器を通過する透過波は、共振周波数で最大
強度になり、共振周波数から離れると急激に減衰。また、ファブリペロー共振器
で従来採用されてきた周波数の動的制御法である、2 枚のミラー間の距離を調整
する方式や、共振器内に液晶を充填する方式では、ノイズ除去性能が低いことや
電波の減衰という課題があった。
研究グループは,機械式の屈折率可変メタマテリアルをファブリペロー共振器内
に搭載した周波数チューナブルフィルタを実現し,6Gに向けた新たなチューナブ
ル・テラヘルツ波制御技術の開発に成功した。この周波数チューナブルフィルタ
は,シリコン製の機械式屈折率可変メタマテリアルを2枚のシリコンミラーで構成
されるファブリペロー共振器内に搭載している。どちらも高抵抗シリコンで構成
され,制御対象とする周波数0.3THz近傍の電波吸収損失はほぼ無く,高いピーク
透過率を実現する。
周波数チューナブルフィルタに入射した電波は,不要な周波数の電波が除去され
て,必要な周波数の電波のみ透過する。伸縮機構を備えた機械式屈折率可変メタ
マテリアルを機械的に変形させることで透過周波数をチューニングする。機械式
屈折率可変メタマテリアルは,バネにより自己支持されたサブ波長格子構造が固
定端と可動端に連結されており,可動端を動かすことでサブ波長格子の周期を変
えることができる。
サブ波長格子の周期が変わると機械式屈折率可変メタマテリアルの屈折率が変化
する。ファブリペロー共振器の透過スペクトルは,機械式屈折率可変メタマテリ
アルの屈折率変化に応じてシフトするので,ファブリペロー共振器内の屈折率を
人工的に精密制御して狙った周波数の電波を透過させることができる。製作した
サブ波長格子構造のサブ波長格子はシリコンで構成され,空隙は空気で満たされ
ており,周期を100μmから150μmまで可変させることができた。周期制御による
屈折率と周波数のチューニング特性は,100~150μmの周期変化に応じて,メタ
マテリアルの屈折率を1.50~2.08の範囲で変えることができ,ピーク周波数を0

.303~0.320THzの範囲で制御できることが示された。また,周波数0.303THz付
近で,従来技術よりも高いピーク透過率87%が得られた。
【展望】
シリコン半導体微細加工技術を用いて作られるため小型・量産性に優れるという
利点を活かし、将来は電子回路や半導体と組み合わせてテラヘルツ波の高度な制
御が実現できると考えられます。6Gの通信技術をはじめ、テラヘルツ波を利用し
たスキャニングやイメージングへの応用展開が期待でき、医療・バイオ・農業・
食品・環境・セキュリティなど幅広い分野での活用が期待される。


【論文情報】
タイトル:
Tunable Fabry–Perot interferometer operated in the terahertz range based on 
an effective refractive index control using pitch-variable subwavelength gratings
著者:
 Ying Huang, Yangxun Liu, Taiyu Okatani, Naoki Inomata, and Yoshiaki Kanamori
*責任著者:東北大学大学院工学研究科 教授 金森義明
掲載誌:Optics Letters Vol. 49, Issue 4, pp. 951-954 (2024)
DOI: 10.1364/OL.515504
URL: https://doi.org/10.1364/OL.515504

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OLEDマイクロディスプレーで大河内記念生産賞
ソニーセミコンダクタソリューションズら
一般的に、ミラーレスカメラは、EVFを通して撮影画像をリアルタイムで確認で
きることが特長。今回受賞の対象となった当社のOLEDマイクロディスプレイは、

オンチップカラーフィルターやオンチップレンズ、輝度バラつき補正画素回路な
どの独自技術により、EVFの高輝度、高精細、広色域、高速応答を実現。これに
より、プロフェッショナル用途も含めたミラーレスカメラの普及拡大を促進した。
今後大きな市場が期待されるAR/VR/MR向けヘッドマウントディスプレイにも貢献。
(2月16日ソニーセミコンダクタソリューションズグループ)
※大河内賞は、故大河内正敏博士の功績を記念して設けられ、わが国の生産工学、
生産技術の研究開発、および高度生産方式の実施などに関する顕著な功績を表彰

する権威ある賞。
 
 

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図2.a. 実験光学系 b. スペックルパターン c. 従来の脳外科内視鏡と本手法
による内視鏡の比較 d1.計測に用いた試料 d2.脳外科内視鏡による画像 d3. 本
方法で得られた画像

今月16日,大阪大学,埼玉医科大学,宇都宮大学は,直径0.1mmという髪の毛の太
ほどの光ファイバー1本からなるレンズレス内視鏡を開発。 これまでの細径な 
内視鏡は,1mm角ほどの小型CMOSカメラを用いたものや,直径400nmの光ファイバ 
ーを5,000本束ねた直径数mmの内視鏡が臨床にも使用されてきた。しかし,これ 
らはいずれも結像するためのレンズが必要。このレンズの大きさが内視鏡の極細 
径化を阻んでいた。レンズレス・シングルファイバー・ゴーストイメージングは, 
単一の光ファイバーで光拡散場の中にある物体をイメージングするためにゴース 
トイメージングと呼ばれるイメージング技術を用いる。 ゴーストイメージング法 
は,あらかじめ座標が登録された光(スペックルパターン)と,その光が物体を 
照らした散乱光の信号強度の相関関係から測定対象物体をイメージングする。 
研究グループは,光学系を作製し,すりガラス状の拡散板を回転させることで
レーザーのスペックルパターンを制御
した。3万枚のスペックルパターンをCMOS
 

カメラで事前に記録し,同じスペックルパターンを測定対象に照射した。測定対 
象の散乱光は,光ファイバーを介して記録する。
従来の光ファイバーバンドル内視鏡と比較すると,今回開発した内視鏡は極めて
細く,従来の内視鏡と比較してもエッジが鮮明になっている。このように光フ
ァイバー先端から10mmの位置にある測定対象を1本の光ファイバー(光ファイ
  

ーの全長2m)でイメージングすることに成功した。また,光ファイバーと測定対
象の間に光散乱場の一つとして拡散板を入れて実験を行なった。測定対象は一辺
が1mm角の正方形とした。拡散板がない場合,脳外科内視鏡の分解能が低いため
像はぼやける。 
一方で,今回の方法を用いると測定対象の拡散光との相関関係から画像化するこ
とができるので,測定対象をうまく復元することができた。このように血液によ
る光散乱場においても堅牢なイメージングが可能になることを,シングルファイ
バーイメージングで初めて実証することができた。
 
使用する光源の波長や偏光,波面といった光の性質を精密に制御することで,測 
定対象の吸光度や異方性,形状なども取得できるという。研究グループは,極細 
径の光ファイバーからなるレンズレス内視鏡の実現により,患者の生体深部の病 
態の直接観察が可能になるとしている。 
 


● 今夜の寸評 : 鈍すれば貧する
             賢明でなければ豊かになれない。



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持続可能戦略電子デバイス製造論 ④

2024年02月19日 | ネオコンバーテック


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。

⌚ 日本のロケット「H3」の2号機が打ち上げに初めて成功
17日午前、JAXA=宇宙航空研究開発機構によると、2号機は補助ロケットや1段 
目のエンジンを切り離しながら上昇を続け、午前9時40分ごろ、ロケットの2段
目のエンジンの燃焼が停止し目標の軌道に到達する。その後、搭載した2つの超
小型衛星を切り離して軌道に投入したほか、アルミ製の模擬衛星の分離動作も確
認するなど計画どおりに飛行し、打ち上げに初めて成功。
尚、「H3」は去年3月に打ち上げた初号機では2段目のエンジンが着火せず打ち

上失敗し、JAXAなどはおよそ1年かけて対策を講じ、17日の打ち上げに臨んだ。 
について、およそ半年間にわたって原因の究明を進めた。ロケットは1段目と2
段目の分離まで計画どおり飛行し、その後に2段目のエンジンが着火しなかった
ことが分かっていて、飛行データを分析し、同じ現象を再現する試験などに取り
組む。
3つの対応:①2段目のエンジンに搭載された機器の一部に損傷が発生したこと

が原因、②損傷要因を大きく3つに絞り込みこむ。③このうち2つは運用中の「
H2Aロケット」の共通部品が、製造時の部品のずれや打ち上げ時の振動などに
よって着火直後に点火装置でショートが発生、④点火装置の内部にある電気の流
コントロールするトランジスターが、地上の点検などで過度の電圧に耐えられな
くショートした。④ 一方、残る1つは「H3」だけに搭載された機器で、2段
を制御する部品の一部が故障しショートした。⑤ショートの原因となりうる機器
設計を一部変更。一部の対策については去年9月に打ち上げられた「H2Aロケ
ット」47号機とことし1月に打ち上げられた48号機にも取り入れられ、問題
がないことを確認する。 


低軌道衛星向けペロブスカイト太陽電池
これに先立つ月面着鯥に成功した日本は、太陽電池の位置と太陽入射軌道の不具
合が生じた。そのとき考えたのがペロブスカイト太陽電池の使用と太陽光集光宇
宙バルーンの開発であったが、おりしも今月の16日、米国のメリダ・エアロス
ペース社が、低軌道宇宙向けペロブスカイト太陽電池を開発(添付写真参照)し
新聞が入る。うたい文句はこうだ。「地球低軌道衛星用のペロブスカイト太陽電
池を開発。ペロブスカイト太陽従来の太陽電池よりも費用対効果が高く、効率的
選択肢になる」と。フロリダに本拠を置くメリダ・エアロスペースは、宇宙用途
向けにカスタマイズされたペロブスカイト太陽電池を開発。これは低軌道衛星向
けにの性能と経済性を向上できる。同社のペロブスカイト太陽電池はガリウム砒
素ソーラーの代替品となる。また、柔軟性・汎用性に優れ、自己修復効果により、
宇宙環境下での高エネルギー放射線に対する驚くべき再生力を発揮する(担当責
任者のアンドレア・マルケス氏談)。「ペロブスカイト結晶の配列は、空間温度
の影響を受け、光吸収能力を高め、より豊富、よりクリーンな持続可能エネルギ
ー技術として世界的シフトに貢献する」という。因みに、四百兆円規模の世界の
宇宙開発競争がヒートアップするとともに20数年前私(たち)が構想した「ネ
オコンバーテック産業新興構想」が現実のものとなっている。




ダイヤモンドMOSFET相補型パワーインバーター開発
100kHzでの高速動作を検証
Power Diamond Systems(PDS)は、pチャネル型のダイヤモンドMOSFETとnチャネ
ル型のSiC-MOSFET/GaN-HEMTを組み合わせた相補型パワーインバーターの開発に
着手した。トランジスタの動作周波数を高速化することで構成部品を小型化でき
インバーター自体もさらなる小型化と軽量化が可能となる。


インバーターは、直流電流を交流電流に変換するための電源回路。応用機器では
省エネの実現に向け、小型軽量で効率が良いインバーターの要求が高まっている。
インバーターの高速動作に向けては、ワイドバンドギャップ半導体の活用や、n
型とpチャネル型のトランジスタを組み合わせた相補型パワーインバーターが提案
されている。


図.相補型パワーインバーターの回路ブロックと入出力波形の一例

ところがSiCやGaNでは、nチャネル型トランジスタと同等性能を備えたpチャネル
型トランジスタを作製することが極めて難しかったという。そこで、ダイヤモン
ド半導体デバイスの研究開発を行うPDSは、pチャネル型ダイヤモンドMOSFETを開
発し、nチャネル型トランジスタと同等性能を実現。
今回は、このpチャネル型ダイヤモンドMOSFETと、nチャネル型SiC-MOSFET/GaN-
HEMTを組み合わせた相補型パワーインバーターを開発し、100kHzでの高速動作を
検証した。今後は、外部パートナーとの連携を加速し、性能の改善やインバータ
の開発に取り組む計画である。


ダイヤモンド格子中に鉛原子と空孔からなる量子光源(PbV中心)を形成
ダイヤモンド中の発光中心は優れた発光およびスピン特性から,量子ネットワーク
を構築するための固体量子光源として期待されている。IV族元素と空孔からなるII
V族—空孔中心のうち,重いIV族元素であるスズ(Sn)やPbを用いた光源では希釈
冷凍機を必要としない温度で優れたスピン特性が期待できるが,効率的な量子も
つれ生成のためには,発光線幅が物理限界である自然幅に近い発光特性も必要と
なる。

しかし,IV族元素のうち安定かつ最も重たいPbを用いた量子光源の鉛—空孔中心Pb
V中心)では,自然幅での発光は観測されていなかった。研究グループは,ダイヤ
モンド基板へのPbイオンの注入および2,000℃を超える高温加熱で形成したPbV中
心で,自然幅に近い発光線幅を観測した。PbV中心の構造からはCピークおよびD
ピークと呼ばれる2本の発光線が主に観測される。まず,作製したPbV中心の線幅
の限界を決める励起状態寿命について,パルスレーザーを用いた手法で評価した。
結果として,励起状態寿命として4.4nsが得られ,これは自然幅として約36MHzに
対応する。
次に,PbV中心のCピークの線幅を発光励起分光法(PLE法)を用いて測定した。測
定温度約6Kにおいて線幅約39MHzと自然幅に近いスペクトルを得た。
測定を繰り返しところ,このPbV中心の発光ピークの位置に大きなずれは見えず,
時間的に安定した発光波長を観測した。一方,もうひとつの発光線であるDピーク
の線幅は発光スペクトルにおいて400GHz以上となり,Cピークと比べ線幅が4桁大きい。
今回の研究では,格子振動であるフォノンの影響によってDピークが太くなり,
2つのピークの線幅の差はIV族元素の種類によって変化することを明らかにした
。さらに,PbV中心では基底状態でのフォノン吸収が抑制されており,10K以上に
おいてもCピークに関して自然幅に近い発光線幅を得た。
約16Kにおいても自然幅の1.2倍程度の線幅に留まっており,窒素—空孔中心や他の
ダイヤモンド量子光源よりも高い温度においても狭線幅が達成できることを示し
た。研究グループは,今後,量子状態を保存するためのスピン特性の計測と合わ
せることで,PbV中心を用いた量子ネットワークノードの構築が期待できるとして
いる
論文情報 
掲載誌 : Physical Review Letters 
論文タイトル : Transform-limited photon emission from a lead-vacancy center
 in diamond above 10 K 
著者 : Peng Wang, Lev Kazak, Katharina Senkalla, Petr Siyushev, Ryotaro 
Abe, Takashi Taniguchi, Shinobu Onoda, Hiromitsu Kato, Toshiharu Makino, 
Mutsuko Hatano, Fedor Jelezko, Takayuki Iwasaki
 DOI : 10.1103/PhysRevLett.132.073601
            
 


   風蕭々と碧い時間
2000年10月18日
愛のカケラ Every Little Thing 
作詞・作曲/持田香織、多胡邦夫 
 
 
 
 

 

 今夜の寸評 : 鈍すれば貧する
         賢明でなければ豊かになれない。
 
 
 

 
 
                      
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持続可能戦略電子デバイス製造論 ③

2024年02月17日 | 環境リスク本位制





彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら  

れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成  
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。

             三月は いざ決戦ぞ 春北斗
                           


❏   
柄杓の形をした北斗七星は、大熊座にある七つの星。季節により位置を変え
   るが、
 
 
 
北の位置にはっきりと見える。船の形に見えるので地方によっては船
   星という。ひとは言うだろう。エキセントリッキだと。「私の目標」は定ま

   っている。

 

Anytime Anywhere ¥1/kWh era

【再エネ革命渦論 199 アフターコロナ時代 186】
 技術的特異点でエンドレス・サーフィング 

 

持続可能戦略電子デバイス製造論 ③
わたし(たち)が、1990年代初頭、有機エレクトロルミネッセンスの 
ィス

プレイのデバイスとして、ハイブリッド型色素増感太陽電池デバイ スの開発
に環境リスク本位制のデバイス製造技術とし注目し、ポスト・ シリコン半導
体デバイスである有機半導体を含め「ネオコンバーテック 」の群デバイス製
造技術として再構築していたことはこのブログで掲載 してきたが、ここにき
て、次々と関連製品製造方法や製造技術及び商品 が登場しており、持続可能
社会に向けた国際的な  畝り振興となっており、関連する新聞に追われる日々
が続き、巻頭の俳句を詠むに至る。それではハイブリッド型太陽電池や有機
導体デバイスなどの普及拡大に繋がると思われる新聞の掲載を始める。

 2025年だけで43GW、DOEが太陽光の米国内導入量を予測
太陽光が急増、発電量で水力を超え、風力に次ぐ再エネに



図1 米国における発電事業用電源の年別・電源別の発電量推移 (注:単位は、

億kWhまたはTWh、出所:EIA)

再エネ発電量は2021年に初めて原子力を、そして、2022年には初めて石炭火
力を上回った。再エネの増加とは対照的に石炭火力は 2023年比%減で、2025
年に5480億kWhまで減るという予測となっている。天然ガスは引き続き米国
の最大の発電源であるが、2023年から2025年にかけ増加率はほぼ横ばいの1
%増、原子力も微増で3%増と予想されている。

太陽光は2年で75%増
再エネを電源別に見てみると、米国における風力の発電量は2023年の4300
億kWh(430TWh)から、2025年には4760億kWhへと11%増加、さらに太陽光の
発電量は、2023年の1630億kWh(163TWh)から2025年には2860億kWhへと75%
増に急伸すると予想されている。さらに、風力、太陽光、そして大規模水力
の再エネ発電量全体に占める割合を見てみよう。2019年に大規模水力は再エネ
全体の41%を占めていたが、2025年には25%まで下がる一方、太陽光は2019
年の10%から2025年には27%にまで増え、水力の比率を超えた。風力の占める
比率は、一貫して最も高いが、2022年の50%をピークに徐々に減少しており、
2025年には45%下がってきた。

再エネの累積導入容量は424GW
次に、発電量(kWh)ではなく電源の設備容量(kW)を見てみよう。EIAによ
ると、新規発電容量が、再エネ発電量の増加の予測を裏付けている。然原子
力などは横ばいであるものの、再エネの設備容量は2023年の332GWから2025年
には424GWと28%増になっている。各年の総発電量を生む累積発電設備容量に
なるが、各年に新しく加わる発電設備容量を見てみると、再エの新設がいかに
著多いかがわかる。逆に、石炭火力は廃炉が増え減少している。

太陽光の新規導入容量は43GW
再エネ電源別に見てみると、太陽光の増加量は、年々と大きくなり、 2023年
の新規導入量は22GWで、2025年にはその約2倍の43GWもの新規導入が予定され
ている。EIAは、太陽光発電は、大規模な容量追加と有利な税額控除政策によ
り、最も急速に成長している再エネ電源としている。計画されている太陽光
発電プロジェクトにより、電力部門が運営する太陽光発電の容量(累積)は、
2023年末の93GWから2025年末までに172GWへと85%増加、そして、風力発電の 
容量は、2023年の149GWから2025年末までに162GWと9%増と予想している。
の新たに導入される発電設備により、火力や原子力を含めた総発電量に占め
る太陽光の割合は2023年の4%から2024年には6%、2025年には7%まで高まると予
測されている。
Today in Energy, Solar and wind to lead growth of U.S. power generation for the next two years,  
      January 16, 2024 EIA 


The two sites Image: Wageningen University & Research, 
Energy Research & Social Science, CC BY 4.0 DEED 
✺ オーバーヘッド発電と垂直型農業発電の比較
2月4日、オランダの研究者は、オーバーヘッド農場と垂直型農業の発電パネルが,
近隣住民に及ぼす視覚的影響を比較、垂直型アレイの方が低侵襲であることを確認
画像: ヴァーヘニンゲン大学らの研究グループ「研究と社会科学、CC BY 4.0 DEED」
オランダのヴァーヘニンゲン大学らの研究者らは、オーバーヘッド構成で配備され
た農業用(AV)システムと垂直型農業用発電アレイのいずれかの近隣住民が知覚す
る景観の質を評価。オランダのヘルダーラント州にある2つの異なる構成の農業発
電所近隣の住民や通行人を対象に一連のインタビュー実施したところ、「景観への
影響と再生可能エネルギープロジェクトへの支援との関連性は、景観の質の観点か
ら農業の社会受容性の調査は重要である」を強調。この研究では、景観の品質LQ)
を主観的な考え方に基づいて検討し、景観利用者が帰した意味を含む2つの景観の
個人的な経験を調査。調査検討された架空送電システムはワデノイエンに位置し、
2021年3月に3.7ヘクタールの土地に建設。AV システムが設置される前は、この区 
はスグリ農園として使用されており、現在もパネルの下でスグリが栽培。 
一方、垂直 AV はクレンボルグの牧草地地帯にあります。 2022年8月に0.7ヘクター
ルの敷地で運営を開始し、牧草地のほかに、ハーブや植物、蜂の巣、木々や低木が
植えられた小さな畑もある。この調査は、クレンボルグの垂直農場の近くに住んで
いる32人、ワデノイエンの架空システムの近くに住む30人の合計62人を対象に実施。
24の質問を設定聞き取り、すべて使用、経験、将来の価値に関連する。「使用価値
は機能の適合性と効率を指し、経験価値はアイデンティティと意味に関連し、将来
価値は効率と長期にわたる持続可能性を考慮した」と説明。調査では、利用価値は
アクセシビリティ、多機能性、農民の関与、環境への影響、レクリエーションやコ
ミュニティ活動などの要素に関する質問内容で 一方、経験的価値は魅力、健康と
福祉、野生動物の生息地、見た目などの要素によって表され、将来価値は安定性/
柔軟性、文化的および景観の発展を指す。
※このシリーズつづく。







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体力復元強化週間 ①

2024年02月14日 | 能登半島地震



 彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。

             椿咲く きみの名残る 浜辺かな
                                                   

                                         
【ルームランニング記;変更


・歩行距離 1キロメートル以上/回➲2キロメートル
・歩行時間 15分以内/回➲30分前後
・歩行速度 最大6(平均4.5~5)キロメートル/時間➲4.5キロメー
      トル/時間

・歩行斜度 最大10%×百メートル以上(平均 体調に合わせ任意)➲3%
・歩行歩数 2千~3千百歩/回➲4千歩
・ストレストレッチ体操 励行(努力目標:3回/日)➲体調により変更


【お粥文化考 ①】

昨年の夏以降、過酷なデスワーク、運動不足や深酒が祟り、睡眠不足、眼精疲労、
視力低下、慢性胃腸炎、自律神経衰弱とうの症状を覚え、約1ヶ月ほど自発的な
療法を試みていた中で「お粥摂食療法」「疲労回復屋内でのトレッキング・ウォ
ーキング」を行ってきて何とか回復の兆しが見えてきた(近親者、知人の弔いに
による気鬱症のダメージが尾をひくなか、「お粥摂取事業」のフィッシュボーン
に至る。

【お粥食文化概史】
中国のおかゆの歴史は6千年。日本の「おかゆ」史をたぐる。 お米が日本に渡っ
てきたのは、紀元前1世紀。そのころの調理法は、「蒸す」と「煮る」の2種類で、
蒸したものが今の「おこわ」、煮たものが「おかゆ」だったが、紀元前1世紀ごろの
「おかゆ」は、今のおかゆより、堅く炊かれていて現在で言う「ご飯」。時は流れ、
平安時代ても、日本人のお米の食べ方は、この「堅く炊かれたご飯=おかゆ」が主
流。11世紀を迎える頃には「ひめがゆ」「しるがゆ」という、「おかゆ」が文献
にも登場。「おかゆ」は、千年以上にも渡り、日本人に食されてきた、このころは
白米を煮た「白がゆ」のほかにも「粟・ひえ・麦」なども「おかゆ」にして食べられて
いる。芥川竜之介の「芋かゆ」に描かれた 平安時代の「芋かゆ」は、ヤマトイモを
煮込んで作られた「おかゆ」。この頃は、お米以外のものを煮込んで「おかゆ」を味
わっていた。


胃腸の調子が悪くて食欲がない」
なんて時に ニラ粥

江戸時代になると関東では おかゆ=白かゆ=病人の食べもの、というような感
じになる 関西では おかゆ=朝食というように、それぞれの地方によって変化。
この変化にはご飯を炊く時間にも一因があった。 関東は朝にご飯を炊いて朝・
昼と食べ 夜はそのまま、または、お茶漬けにして食べていたが、関西は昼にご
飯を炊いて昼・夜と食べ 翌朝は残りのご飯をおかゆにする風習があった。民俗学
的には —— おかゆは年中行事など、晴れの日の食事として意味があった。その一
つは、無病息災を願って1月7日に食べる七草かゆ。奈良時代には、すでに日本に
伝わる。1月15日には小豆かゆを炊いて、これに先端をいくつかに割ったかゆ箸
とよばれる木の棒を入れて米の付き具合で豊凶を占う、かゆ占(かゆうら)が
行われていた。

 
 黒の革命 


 

Anytime Anywhere ¥1/kWh era

【再エネ革命渦論 199 アフターコロナ時代 186】
 技術的特異点でエンドレス・サーフィング 





  風蕭々と碧い時間
2000年10月18日
愛のカケラ Every Little Thing 
作詞・作曲/持田香織、多胡邦夫


【今朝の備忘録】

 

● 今夜の寸評 :  鈍すれば貧する
           賢明でなければ豊かになれない。

 

 

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持続可能戦略電子デバイス製造論 ②

2024年02月12日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。


2022.06.20 産業競争力世界一のデンマーク
■ デンマークの小学生は課外授業で、風力発電についてディベート
デンマークの産業力が直近の2年間世界トップを維持しているが、このブログで
取り上げている。そのように、デンマークでは、子供のころから産業やエネルギ
ーに関する教育機会を維持している。デンマークの人がいうには、新しいことや
将来のことは、頭の固い大人に言ってもなかなか考えを変えないが、子供たちは柔
軟に吸収する。だから、子供たちが学校で知ったことを、家に帰って親やおじいさ
んおばあさんに話をすると、大人は素直に関くという経験を上げる。マスコミも
最新の洋上風力関連記事を大きく取り上げているように、 デンマークでは洋上風
力発電に関する国民の関心度は大変高い。風力発電関連の企業は学生に向けて会
社説明会などを頻繁に催して、風力発電事業の役割や事業内容を伝えている。
SNSの動画配信でも、企業のコマーシャルや事業内容を紹介。地球温暖化対策等
の環境問題に関心が高いということもあるが、医薬品。海運、農業などとともに
デンマークを支える産業として、風力発電に関連する企業の業績や今後の活動内
容への関心も高い
via 2024.WI 環境ビジネス)。



■ 気候変動対策への関心を更に高める
気候変動への取り組みに参加したい学生や再エネ事業に関心のある学生が多いの
も事実です。しかし、彼らの多くは、オフィスで設計を行うのか、現場で風車や
EV充電スタンドの設置を行うのか、気候変動対策に貢献するための具体的なイメ
ージができないでいる。工業系企業をまとめる労働組合ダンスク・メタル(Dansk
Metal
)のクラウス・イェンセン会長(Claus Jensen)によると、より多くの学生に職
業教育を選択してもらうためには、彼らがどのようにグリーントランジションに
貢献できるかの、新しい筋書きが必要。メッテ・フレデリクセン首相(Mette Fred-
eriksen
)も、より多くの技能労働者を育成しなければ、国の気候変動目標を達成で
きないと述べ、政府として、実践的なスキルや技術、専門知識が学べる職業高等
学校への予算を増やし、来年から3億クローネを割り当て、2030年には9億クロー
ネに増額する計画を立てている。デンマークでは、産官学を挙げ、洋上風力を中
心とした気候変動対策へ若者の関心を惹きつけ、人材育成を行う取り組みが進め
ていいる。


デンマークのフオルケスコーレ(Folkeskolen :1年生から9年生あるいは10年生まで
の小中学校)における気候変動対策やグリーントランジッションに関する教材の一

デンマークでは先生がかなりの裁量で自由に教材を選べるので、先生によって授
業内容が異なることもよくある。
「ID11VEJEN - GRON OMSTILLING (アイデアロードーグリーントランジッショ
ン)」6~7年生の地理、理科、物理/化学の科目で活用。「ENERGIPRODU
KTION OG-OMS/|ETNING(エネルギーの生産と転換)」8年生陣学2年生)
向け)。
「KULSTOF OG VEDVARENDE ENERGITEKNOLOGIER(炭素と再生可能エネルギ
ー源)」9年生(中学3年生)向け。
「Mark Energien(エネルギーを感じましょう):7~9年生の物理/化学、社会科の
科目で、エネルギーやグリーントランジッションを学ぶために活用。教材の作成
は、エネルギー庁、コペンハーゲン市
やNGO、支援基金などが行っており、HPから自由にダウンロードして使用でき
る。また、学校の先生が自身で教材を作成するケースもある。
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工業系企業をまとめる労働組合ダンスク・メタル(Dansk Metal)のクラウス・イェ
ンセン会長(ClausJensen)によると、より多くの学生に職業教育を選択してもらう
ためには、彼らがどのように
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□ デンマーク王国の基本データ
------------------------------------------------------------------------
面積:約4.3万平方キロメートル(九州とほぼ同じ)
人口:約596万人(デンマーク統計局2023年10月)
GDP: 4,051億ドル(IMF2023年)/日本: 44,097億ドル(IMF2023年)
経済成長率:170%(IMF2023年)/日本:1.96%(IMF2023年)
一人当たりGDP:68,830ドル(IMF2023年/日本:35,390ドル(IMF2023年)
物価上昇率:8.5%(IMF2022年)
失業率:4.5%(IMF2022年)
世界競争力ランキング:1位((IMD2023年
)/日本:35位(IMD2023年)
外報方針:デンマークは、1973年には他の北欧諸国に先駆けて欧州共同体(EC)
の加盟国となり、1993年にEU創設を定めたマーストリヒト条約を批准した。また、
伝統的に、不安定地域の安定化、人道支援等国際貢献を積極的に推進し、アフガ
ニスタンやマリに部隊を派遣してきた。 デンマークの外交政策は、ロシアによ
るウクライナ侵略以降大きく変化。特に安全保障面では、米国、NATOと緊密に協
力しつつ、対ロ制裁、ウクライナ支援(軍事面での協力を含む)を積極的に推進。
また、デンマークは環境対策先進国として地球温暖化、気候変動等地球規模問題
に積極的に取り組んでおり、フレデリクセン政権は「グリーン移行」を外交上の
重点課題の一つとする。
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経済成長とCO2排出量の“デカップリング"を実現
2023年1月。金曜から日曜までの3日間連続で、風力発電量が、国として必要な電
力量の100%を超える。この時は3日連続だったが、デンマークでは風が強い秋か
ら冬を中心に、風力発電だけで電力需要の100%以上をまかなえる日が、年間30
日ほどある。年間を通してみても、風力発電はデンマークの発電量全体で半分近
くを生み出すダントツの存在。ちなみに2番目はバイオマスで2割、その次が石炭
で1割程度。再生可能エネルギーに注力してきたからといって、経済成長を犠牲
にするという発想には立っていない。むしろ、グリーン分野の産業を育てること
で、国内の雇用と輸出とを生み出す「グリーン成長」をかけ声に、1990年から2021
年までにGDPは7割近い伸びを見せる一方、二酸化炭素排出量は減少させるという
「デカップリング」を成し遂げる。ただ、そのプロセスをたどってみると、オイル
ショックの打撃を受けた後、一足飛びに再生可能エネルギーに賭ける方針に舵を
切ったわけではなく。まず目指しだのは、北海で産出される自国の石油と天然ガ
スでエネルギー自給率を上げ、同時に、“アメとムヂの政策によって、デンマー
ク人の消費マインドと産業構造を変えることに成功する。

現在、デンマーク全国では約4,200基の陸上風車があり、1時間あたり約470万kW
のエネルギーを生み出す。また、洋上風車は630基にのぼり、1時間あたり約230
万kWのエネルギーを生み出していて、デンマークの電力供給の約半分は風力発電
で賄われている。


 核融合発電の新記録:69MJ


最大かつ最も強力な核融合炉の1つである欧州共同トーラス(JET)は、最近、エネ
ルギー出力の世界新記録を樹立。6秒間続く1回の「パルス」で、69メガジュール
(MJ)を生成しました。わずか0.2ミリグラムの核融合燃料で、化石燃料の10倍を
燃やすのと同じエネルギーを放出しながら、温室効果ガスを排出しない。太陽の
ような恒星を動かすプロセスである核融合は、安価な材料から世界中で調達でき
る少量の燃料を使用して、長期的にクリーンなベースロード熱源と電気を約束す
る。重水素と三重水素(水素の2つの形態)の混合物を加熱して、太陽の核の10倍
の高温で制御されたプラズマを形成すると、それらは融合してヘリウムを生成し、
エネルギーを放出します。重水素と三重水素は、通常の水素の2つの重い変種で
あり、一緒になってすべての核融合燃料の中で最も反応性が高くなる。1億5,000
万℃という温度にもかかわらず、核融合は暴走を起こすことができず、寿命の長
い廃棄物も発生しないという点で、本質的に安全である。融合を実現するには、
さまざまな方法がある。JETは、高温のプラズマを「トカマク」と呼ばれるリン
グ状の機械に強力な磁石で保持し、その熱を利用して既存の発電所と同じように
発電する手法をとってきた。

※核融合発電の原理は、2つの原子核どうしを衝突させて融合するもの。原子核
は両方とも正の電荷を持っているため、早いスピードでぶつけないと正の電荷ど
うしの反発力で衝突しない。衝突させるために必要なスピードは、毎秒1千km以
上。このスピードは重水素(D)と三重水素(T)を1億度以上の温度に加熱する
ことにより得られる。このような高温では、DとTはプラズマという状態になる。
1回の核融合反応が起こっても、その結果出てくるエネルギーが次の核融合反応
を起こすために他の原子核を1億度以上に加熱するのに使われなければ、核融合
反応は連続的に起こらない。そのため、核融合の燃料である原子核を「たくさん
(高い密度で)」、「長い時間」一定の領域に閉じ込めておくことにより、核融
合反応を連続して起こすことができる。


慣性閉じ込めによって達成可能な出力とエネルギーレベルの進歩
レーザーは 1970 年代初頭から劇的に増加
Progress in power and energy levels attainable by inertial confinement
lasers has increased dramatically since the early 1970s
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持続可能戦略電子デバイス製造論 ②

1.特開2023-155211 有機半導体デバイス 株式会社半導体エネルギー研
  究所
0056】(実施の形態1)
【0095】
また、ベンゾフロピリミジン骨格、ベンゾオキサゾール骨格、キ
ノリン骨格、キノキサリン骨格、ジベンゾキノキサリン骨格、カルバゾー
ル骨格、ジベンゾカルバゾール骨格、ジベンゾフラン骨格、ジベンゾチオ
フェン骨格、ナフトビスベンゾフラン骨格、ナフタレン骨格、フルオレン
骨格、スピロフルオレン骨格、トリフェニレン骨格、アントラセン骨格、
アミン、アルミニウム元素、リチウム元素、フッ素、の少なくとも一を有
する有機化合物であることが好ましい。

【0096】 (実施の形態2) 本実施の形態では、本発明の一態様の有機半
導体デバイス、特に発光デバイスについて詳しく説明する。
【0097】 図3(A)は、本発明の一態様の発光デバイスの模式図である。
発光デバイスは絶縁体175上に、第1の電極101が設けられており、
第1の電極101と、第2の電極102との間に有機化合物層103を有
している。有機化合物層103には、実施の形態1で説明したような第1
の化合物が含まれており、また、少なくとも発光層113を有している。
発光層113は、発光物質を含む層であり、第1の電極101と第2の電
極102との間に電圧をかけることによって発光する。
【0098】 第1の化合物は、有機化合物層103のいずれの層に含まれてい
てもよいが、発光デバイスの作製工程中の加熱処理が行われる際に、自由
表面となる層に含まれていることが好ましい。具体的には、電子輸送層1
14または正孔ブロック層に含まれていることが好ましい。
【0099】 なお、実施の形態1で説明したような第1の化合物と同様の性質
を有する第2の化合物、第3の化合物が有機化合物層103にさらに含ま
れていてもよい。別言すると、第1の化合物は複数の異なる化合物であっ
てもよい。また、有機化合物層103を構成する物質の全てが実施の形態
1で説明したような第1の化合物と同様の性質を有する化合物で構成され
ていてもよい。
【0100】 第1の化合物の特性をもつ化合物は、有機化合物層103の膜厚
の30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上、
最も好ましくは100%の層に含まれると好ましい。この場合、それぞれ
の化合物を含む層の膜厚は、飛行時間型二次イオン質量分析法(ToF-
SIMS)で基板に対して深さ方向で解析するなどで見積もることができ
る。また各層での第1の化合物の特性をもつ化合物の含有量は、50%以
上、さらに好ましくは80%以上含まれると好ましい。また同様に、有機
化合物層に対する含有量では、30%以上、より好ましくは50%以上、
さらに好ましくは80%以上含まれると好ましい。この場合、含有量は溶
液として高速液体クロマトグラフィー(HPLC)での吸収強度比、屈折
率強度比などで見積もることができる。
【0101】 有機化合物層103は発光層113の他に、図3(A)に示した
ように、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層114および
電子注入層115などの機能層を有していることが好ましい。なお、有機
化合物層103には、正孔ブロック層、電子ブロック層、励起子ブロック
層、電荷発生層など、上述した機能層以外の機能層が含まれていてもよい。
また、逆に、上述した層のいずれかの層が設けられていなくてもよい。
【0102】 なお、本実施の形態においては、第1の電極101は陽極を含む
電極、第2の電極102は陰極を含む電極であるものとして記載している
が、これは逆でも構わない。また、第1の電極101および第2の電極1
02は、単層構造または積層構造として形成され、積層構造を有する場合
、有機化合物層103に触れる層が陽極または陰極として機能する。電極
が積層構造である場合、有機化合物層103に触れる層以外の層に仕事関
数に関する制約はなく、抵抗値、加工利便性、反射率、透光性および安定
性など要求される特性に応じて材料を選択すればよい。
【0103】 陽極は、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、
合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いて形成することが
好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム-酸化スズ(ITO:
Indium Tin Oxide)、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有し
た酸化インジウム-酸化スズ(ITSO:Indium Tin Sili
con Oxide)、酸化インジウム-酸化亜鉛、酸化タングステン及び
酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これら
の導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリング法により成膜されるが、ゾ
ル-ゲル法などを応用して作製しても構わない。作製方法の例としては、
酸化インジウム-酸化亜鉛は、酸化インジウムに対し1~20wt%の酸
化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成する方法
などがある。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジ
ウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5~
5wt%、酸化亜鉛を0.1~1wt%含有したターゲットを用いてスパ
ッタリング法により形成することもできる。この他に、陽極に用いられる
材料は、例えば、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タング
ステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバ
ルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、アル
ミ(Al)または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられ
る。またこれらを積層した層を陽極としても良い。例えば、Ti上にAl、
Ti、ITSOの順に積層した膜は、反射率が良好なため高効率で、数千
ppiの高精細化が可能なため、好ましい。又は、陽極に用いられる材料
として、グラフェンも用いることができる。なお、後述する正孔注入層
111を構成することが可能な複合材料を陽極と接する層(代表的には正
孔注入層)として用いることで、仕事関数に関わらず、電極材料を選択す
ることができるようになる。
【0104】 正孔注入層111は、陽極に接して設けられ、正孔を有機化合物
層103に注入しやすくする機能を有する。正孔注入層111は、フタロ
シアニン(略称:H2Pc)等のフタロシアニン系の化合物、銅フタロシ
アニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の錯体化合物、4,4’
-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]
ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’-ビス(N-{4-[N’-(
3-メチルフェニル)-N’-フェニルアミノ]フェニル}-N-フェニ
ルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、ま
たはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/(ポリスチレンスル
ホン酸)(略称:PEDOT/PSS)等の高分子等によって形成するこ
とができる。
【0105】 また、正孔注入層111は電子のアクセプタ性を有する物質によ
り形成してもよい。アクセプタ性を有する物質としては、電子吸引基(ハ
ロゲン基、シアノ基など)を有する有機化合物を用いることができ、7,
7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタ
ン(略称:F4-TCNQ)、クロラニル、2,3,6,7,10,11
-ヘキサシアノ-1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン
(略称:HAT-CN)、1,3,4,5,7,8-ヘキサフルオロテト
ラシアノ-ナフトキノジメタン(略称:F6-TCNNQ)、2-(7-
ジシアノメチレン-1,3,4,5,6,8,9,10-オクタフルオロ
-7H-ピレン-2-イリデン)マロノニトリル等を挙げることができる。
特に、HAT-CNのように複素原子を複数有する縮合芳香環に電子吸引
基が結合している化合物が、熱的に安定であり好ましい。また、電子吸引
基(特にフルオロ基のようなハロゲン基、シアノ基など)を有する[3]
ラジアレン誘導体は、電子受容性が非常に高いため好ましく、具体的には
α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[4
-シアノ-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼンアセトニトリル]、
α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,
6-ジクロロ-3,5-ジフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼ
ンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパント
リイリデントリス[2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゼンアセト
ニトリル]などが挙げられる。アクセプタ性を有する物質としては以上で
述べた有機化合物以外にも、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテ
ニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の遷移金属酸化物
を用いることができる。
【0106】 また、正孔注入層111は、上記アクセプタ性を有する材料と、
正孔輸送性を有する有機化合物とを含む複合材料により形成することが好
ましい。
【0107】 複合材料に用いる正孔輸送性を有する有機化合物としては、芳香
族アミン化合物、複素芳香族化合物、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリ
ゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の有機化合物を用いるこ
とができる。なお、複合材料に用いる正孔輸送性を有する有機化合物とし
ては、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する有機化合物で
あることが好ましい。複合材料に用いられる正孔輸送性を有する有機化合
物は、縮合芳香族炭化水素環、または、π電子過剰型複素芳香環を有する
化合物であることが好ましい。縮合芳香族炭化水素環としては、アントラ
セン環、ナフタレン環等が好ましい。また、π電子過剰型複素芳香環とし
ては、ピロール骨格、フラン骨格、チオフェン骨格の少なくともいずれか
1を環に含む縮合芳香環が好ましく、具体的にはカルバゾール環、ジベン
ゾチオフェン環あるいはそれらにさらに芳香環または複素芳香環が縮合し
た環が好ましい。
【0108】このような正孔輸送性を有する有機化合物としては、カルバゾー
ル骨格、ジベンゾフラン骨格、ジベンゾチオフェン骨格およびアントラセ
ン骨格のいずれかを有していることがより好ましい。特に、ジベンゾフラ
ン環またはジベンゾチオフェン環を含む置換基を有する芳香族アミン、ナ
フタレン環を有する芳香族モノアミン、または9-フルオレニル基がアリ
ーレン基を介してアミンの窒素に結合する芳香族モノアミンであっても良
い。なお、これら正孔輸送性を有する有機化合物が、N,N-ビス(4-
ビフェニル)アミノ基を有する物質であると、寿命の良好な発光デバイス
を作製することができため好ましい。

【0109】から【0455】まで、化学材料物質の例示掲載が続くの割愛

 (サンプル2の作製方法) サンプル2は、サンプル1におけるmPPh
en2Pを上記構造式(101)で表されるNBPhenに変えた他は、
サンプル1と同様に作製した。
【0456】 サンプル1およびサンプル2に含まれる発光デバイスのデバイス
構造を以下に示す。
【0457】表1.

【0458】 図21に、緑色の発光デバイスを発光させた状態で、光学顕微鏡
により撮影した、サンプル1およびサンプル2の写真を示す。 

図21.サンプル1およびサンプル2の光学顕微鏡写真

この結果、サンプル1、サンプル2ともに、有機化合物層が電極で挟まれ
ていない状態で80℃の加熱過程を経ているのにも関わらず、著しい表示
不良が無く良好な表示を得られたことが分かった。
【0460】 しかし、一方で、電子輸送層にmPPhen2Pを用いたサンプ
ル1は、目立った表示不良が起こらなかったのに対し、NBPhenを用
いたサンプル2は発光デバイスの発光領域(陽極形成領域)中に、非発光
の領域(写真矢印部)が複数存在することがわかった。なお、この本来駆
動時には発光するはずの画素内にある非発光領域のことを本明細書中では
画素欠けと言うことがある。
【0461】これらサンプルの非通電状態(非発光状態)で同様に光学顕微鏡
による観察をしたところ、サンプル2では糸状のムラが生じており、この
ムラの発生位置と上記非発光の領域の発生位置(発光面に対して同じ位置)
が一致していることがわかった。また、サンプル2の上記非発光の領域の
断面を走査型透過型電子顕微鏡(STEM)で確認したところ、陰極側の
有機層が凝集し、発光領域よりも膜厚が厚くなっている膜質不良が生じて
いることを確認した。これに対して、サンプル1ではこの様な膜質不良は
みられなかった。

2.特開2024-7356 発光デバイス、発光装置、電子機器、および照明装置
 株式会社半導体エネルギー研究所
【要約】
下図1のごとく、発光物質と、第1の有機化合物と、を有し、発光物質は
、中心金属と、配位子と、を有する有機金属錯体であり、配位子の一は、
環A1と、ピリジン環と、が結合した骨格を有し、環A1は、芳香環また
は複素芳香環を表し、ピリジン環は、重水素置換された炭素数1乃至6の
アルキル基を有し、配位子は、環A1の有するいずれかの原子およびピリ
ジン環の窒素において、中心金属に配位し、第1の有機化合物は、電子輸
送性骨格と、それぞれ電子輸送性骨格に結合する第1の置換基と、第2の
置換基と、を有し、電子輸送性骨格は、2以上の窒素を有する複素芳香環
を有し、第1の置換基は、芳香環および複素芳香環の一方または双方を有
する基であり、第2の置換基は、正孔輸送性を有する骨格を有し、第1の
有機化合物の最低三重項励起状態が、第1の置換基に局在する、発光層を
有する発光デバイスを提供することで発光デバイスの信頼性を向上させる。


図1.図1(A)乃至図1(E)は、実施の形態に係る発光デバイスの構
成を説明する図
【符号の説明】
GD 回路 IR 副画素 MS 配線 PS 副画素 REG レジストマスク RES
配線 SE1 配線SE 距離 TX 配線 VG 配線 VS 配線 101 第1の電極
102 第2の電極 103 EL層 103a EL層 103b EL層 103B
EL層 103G EL層 103R EL層 103PS 受光層 104B ホール
注入・輸送層 104G ホール注入・輸送層 104R ホール注入・輸送層
104PS ホール注入・輸送層 105 発光層 105B 発光層 105G 発
光層 105R 発光層 105PS 活性層 106 電荷発生層 106a 電荷発
生層 106b 電荷発生層 107 絶縁層 108 電子輸送層 108B 電子輸
送層 108G 電子輸送層 108R 電子輸送層 108PS 電子輸送層 109
電子注入層 110B 犠牲層 110G 犠牲層 110R 犠牲層 110PS 犠
牲層 111 正孔注入層 111a 正孔注入層 111b 正孔注入層 112 正
孔輸送層 112a 正孔輸送層 112b 正孔輸送層 113 発光層 113a
発光層 113b 発光層 113c発光層 114 電子輸送層 114a 電子輸送
層 114b 電子輸送層 115 電子注入層 115a 電子注入層 115b 電
子注入層 130 接続部 400 基板 401 第1の電極 403 EL層 40
4 第2の電極 405 シール材 406 シール材 407 封止基板 412 パ
ッド 420 ICチップ 501C 絶縁膜 501D 絶縁膜 504 導電膜 5
06 絶縁膜 508 半導体膜 508A 領域 508B 領域 508C 領域 5
10 第1の基板 512A 導電膜 512B 導電膜 516 絶縁膜 516A
絶縁膜 516B 絶縁膜 518 絶縁膜 520 機能層 524 導電膜 528
隔壁 528a 樹脂膜 530S 画素回路 530X 画素回路 550 発光デバ
イス 550X 発光デバイス 550S 受光デバイス 550B 発光デバイス
550G 発光デバイス 550R 発光デバイス 550PS 受光デバイス 55
1 電極 551B 電極 551C 接続電極 551G 電極 551R 電極 55
1PS 電極 552 電極 580 間隙 591S 配線 591X 配線 700
受発光装置 701 表示領域 702G 副画素 702PS 副画素 702R 副
画素 702IR 副画素 702B 副画素 703 画素 704 回路 705 絶
縁層 706 配線 710 基板 711 基板 712 IC 713 FPC 72
0 装置 770 基板 800 基板 801a 電極 801b 電極 802 電極
803a EL層 803b 受光層 805a 発光デバイス 805b 受光デバ
イス 810 受発光装置 5200B 電子機器 5210 演算装置 5220 入
出力装置 5230 表示部 5240 入力部 5250 検知部 5290 通信部
8001 シーリングライト 8002 足元灯 8003 シート状照明 8004
照明装置 8005 電気スタンド 8006 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】 陽極と、陰極と、発光層と、を有し、 前記発光層は、前記陽極と、
前記陰極との間に位置し、 前記発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、
を有し、 前記発光物質は、中心金属と、配位子と、を有する有機金属錯体であ
り、 前記配位子の少なくとも一は、環A1と、ピリジン環と、が結合した骨格
を有し、 前記環A1は、芳香環または複素芳香環を表し、 前記ピリジン環は、
重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基を有し、 前記配位子は、前記環
A1の有するいずれかの原子および前記ピリジン環の窒素において前記中心金属
に配位し、 前記第1の有機化合物は、電子輸送性骨格と、それぞれ前記電子輸
送性骨格に結合する第1の置換基と、第2の置換基と、を有し、 前記電子輸送
性骨格は、2以上の窒素を有する複素芳香環を有し、 前記第1の置換基は、芳
香環および複素芳香環の一方または双方を有する基であり、 前記第2の置換基は、
正孔輸送性を有する骨格を有し、 前記第1の有機化合物の最低三重項励起状態が、
前記第1の置換基に局在する、発光デバイス。
【請求項2】 陽極と、陰極と、発光層と、を有し、 前記発光層は、前記陽極と、
前記陰極との間に位置し、 前記発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、
を有し、 前記発光物質は、中心金属と、配位子と、を有する有機金属錯体であ
り、 前記配位子の少なくとも一は、一般式(L1)で表される構造を有し、 前
記第1の有機化合物は、一般式(G10)で表される有機化合物である、発光デ
バイス。 【化1】000003 (ただし、一般式(L1)において、*は前記中心金
属への結合手を表し、破線は前記中心金属への配位を表し、環A1は芳香環また
は複素芳香環を表し、R1乃至R4のうちの少なくとも一は、重水素置換された
炭素数1乃至6のアルキル基であり、その他は各々独立に水素(重水素を含む)
、炭素数1乃至6のアルキル基、および置換または無置換の環を形成する炭素の
数が6乃至13のアリール基のいずれかを表す。また、一般式(G10)におい
て、環Bは2以上の窒素を有する複素芳香環を表し、Ar1およびAr2は各々
独立に、芳香環または複素芳香環を表し、αおよびβは各々独立に、置換または
無置換のフェニル基を表し、Htuniは、正孔輸送性を有する骨格を表し、n
およびmは各々独立に0乃至4の整数を表す。)
【請求項3】 陽極と、陰極と、発光層と、を有し、 前記発光層は、前記陽極と、
前記陰極との間に位置し、 前記発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、
を有し、 前記発光物質は、一般式(G1)で表される有機金属錯体であり、 前
記第1の有機化合物は、一般式(G10)で表される有機化合物である、発光デ
バイス。 【化2】000004 (ただし、一般式(G1)において、Mは中心金属を
表し、破線は配位を表し、環A1および環A2は各々独立に芳香環または複素芳
香環を表し、R1乃至R4のうちの少なくとも一は、重水素置換された炭素数1
乃至6のアルキル基であり、その他は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数
1乃至6のアルキル基、および置換または無置換の環を形成する炭素の数が6乃
至13のアリール基のいずれかを表し、R5乃至R8は各々独立に水素(重水素
を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、および置換または無置換の環を形成す
る炭素の数が6乃至13のアリール基のいずれかを表し、kは0乃至2の整数を
表す。また、一般式(G10)において、環Bは2以上の窒素を有する複素芳香
環を表し、Ar1およびAr2は各々独立に、芳香環または複素芳香環を表し、
αおよびβは各々独立に置換または無置換のフェニル基を表し、Htuniは、
正孔輸送性を有する骨格を表し、nおよびmは各々独立に0乃至4の整数を表す。)
【請求項4】 陽極と、陰極と、発光層と、を有し、 前記発光層は、前記陽極と
前記陰極との間に位置し、 前記発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、
を有し、 前記発光物質は、一般式(G2)で表される有機金属錯体であり、 前
記第1の有機化合物は、一般式(G10)で表される有機化合物である、発光デ
バイス。 【化3】000005 (ただし、一般式(G2)において、Mは中心金属を
表し、破線は配位を表し、Qは酸素または硫黄を表し、X1乃至X8はそれぞれ
独立に、窒素および炭素(CHを含む)のいずれかを表し、R1乃至R4のうち
の少なくとも一は、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基であり、その
他は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、または置
換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基を表し、R
5乃至R14は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基
または置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基を
表し、kは0乃至2の整数を表す。また、一般式(G10)において、環Bは2
以上の窒素を有する複素芳香環を表し、Ar1およびAr2は各々独立に、芳香
環または複素芳香環を表し、αおよびβはは各々独立に、置換または無置換のフ
ェニル基を表し、Htuniは、正孔輸送性を有する骨格を表し、nおよびmは
各々独立に0乃至4の整数を表す。)
【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、 前記第1の有機化
合物の最低三重項励起エネルギーは、前記有機金属錯体の最低三重項励起エネル
ギーより大きい、発光デバイス。
【請求項6】 請求項5において、 前記第1の有機化合物の最低三重項励起エネ
ルギーと、前記有機金属錯体の最低三重項励起エネルギーとの差が0eVより大
きく0.40eV以下である、発光デバイス。
【請求項7】 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、 前記中心金属は、
イリジウムである、発光デバイス。
【請求項8】 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、 前記2以上の窒素
を有する複素芳香環は、構造式(B-1)乃至(B-32)のいずれかである、
発光デバイス。 【化4】000006
【請求項9】 請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の発光デバイスと、トラ
ンジスタ、または、基板と、を有する発光装置。
【請求項10】 請求項9に記載の発光装置と、検知部、入力部、または、通信
部と、を有する電子機器。
【請求項11】 請求項9に記載の発光装置と、筐体と、を有する照明装置。
                                 以上


3.有機光検出器で健康を見守り
2月9日、ジャパンディスプレイは,スマートリング向けの生体センサー及び同
センサを搭載したスマートリングを開発しており,今回新たに企業・団体向けの
健康見守りサービスを開始することを公表。
近年,少子高齢化や人口減少により,労働人口の減少や年金,医療費などの社会
保障費の増大が社会課題となっている。日本では高齢者の人口が2040年にピーク
を迎えることから,これらの社会課題は2040年問題と呼ばれ,喫緊の対策が求め
られている。 こうした中,人々の日常生活での心身の状態を可視化し,未病段
階での健康改善に向けた行動変容を促すことは,課題解決への重要なアプローチ
であると考えられる。 世界で初めてフレキシブル基板上に形成した有機光検出
器(OPD)を搭載したスマートリングとスマートフォンアプリ,クラウドとの連
携により,心拍数,血中酸素ウェルネス,睡眠時間,歩数,消費カロリーなどの
日常生活における健康管理に必要なライフログを自動的に取得することが可能。
併せて,OPDセンサーを採用したことでスマートリングとして身に着ける際に重
要となる装着感を向上させている。 さらに,セルフケア健康見守りサービス
Virgo」では,スマートリング,スマートフォンアプリ,クラウドの連携によ
って日々の健康状態を把握できるだけでなく,保健師等の有資格者によるアドバ
イスや健康に関する情報を提供することにより,利用者の健康意識の向上や行動
変容のサポートを行なっている。

 

  
           



  風蕭々と碧い時間
2000年10月18日
愛のカケラ Every Little Thing 
作詞・作曲/持田香織、多胡邦夫


今夜の寸評 : 鈍すれば貧する
           賢明でなければ豊かになれない。

 

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持続可能戦略電子デバイス製造論 ①

2024年02月09日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。

       薄紅色の椿咲く庭出でてともに蕎麦はむ月命日
                             



日本原産の花であり、古くから愛されてきた「椿」。その歴史は古く、日本最古
の歌集「万葉集」にも椿をもちいた歌があるほど。光沢のある深い緑の葉が特徴
的な花、種子からとれる「椿油」は髪や肌のケアにも人気で、実は、椿にはたく
さんの種類がある。花の色や形、大きさなどによってそれぞれに名前をもつ。そ
の数は1000種以上といわれ、馴染みのある椿は「ヤブツバキ」「ユキツバキ」と
呼ばれる。
-----------------------------------------------------------------------
ツバキはツバキ科ツバキ属の常緑高木で、光沢のある濃い緑の葉をもつ。名前の
由来には諸説があり、厚みのある葉の意味で「あつば木」、つややかな葉の「艶
葉木(つやばき)」、光沢のある葉の「光沢木(つやき)」、ほかにもまだある
が、花より葉の美しさが名前の由来とされる説が多いのもおもしろい。和名とし
てのツバキは野生種のCamellia japonicaのこと、一般的に本種を交配親にもつ園芸
品種も単にツバキとして扱われる。学名:Camellia japonica 和名:ツバキ(椿)
その他の名前:ヤブツバキ、ヤマツバキ 科名 / 属名:ツバキ科 / ツバキ属(
カメリア属):‘太郎冠者"(たろうかじゃ) Camellia japonica花色は紫みを帯び
たピンクで、1月から4月に咲く早咲きの一重中輪。江戸時代から茶花として珍重
されてきた。別名‘有楽’。紫味を帯びた花色や、子房が有毛であることなど、
中国のツバキの特徴も示すが詳細は不明。葯は退化して花粉をつくらないがタネ
をつける性質はあり、タネをまくと白芯の個体が生まれることが多いことから、
‘胡蝶佗助’‘数寄屋’など数あるワビスケツバキの母木であると推測されてい
る。
------------------------------------------------------------------------




浄案時 椿寺

 耐水性と超柔軟性を備えた超薄型有機太陽電池を開発



 長期耐久性のペロブスカイト太陽電池開発


溶液を塗ることで形成可能な半導体は、高真空を必要とする従来の半導体に比べ
安価な装置で大面積の形成が可能であるため、 IoT用途のRFIDタグや多目的セン
サなど様々な応用が期待されている。"塗れる"半導体の代表として、パイ電子系
分子の集合体である有機半導体が盛んに研究され、例えば、p型有機半導体にお
いては電荷移動度)10 cm2 V-1 s-1の単結晶ウエハーを塗る技術が開発されるな
ど、実用化に向けた材料および技術の開発を牽引してきた(J. Takeya, et al., Scie-
ntific Reports 2019; https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/8160.html
)。
半導体デバイスの重要な用途として、RFIDタグにも使用されるp型薄膜トランジ
スタ(TFT)とn型TFTとをペアにした相補型インバータ(p型TFTとn型TFTとを一
つずつ直列に接続することで構成、論理回路の中で "0"と"1"の 信号レベルを反
転させる。NOTゲートとも呼ばれる)などを用いた論理回路があるが、 高速動作
と集積化のため p型有機半導体の高性能化が進む一方で、同等技術で組み合わせ
可能かつ同等の性能を示すn型有機半導体の欠如が弊害となっているが、昨年1月
26日。東京大学の研究グループは、塗れる有機半導体を環境因子によるダメージ
無く酸化物半導体と集積することで、超高速動作が可能な有機無機ハイブリッド
相補型発振回路を開発(下記に掲載)しているように、有機薄膜太陽電池やハイ
ブリッド型ペロブスカイト太陽電池のように無機(金属)を含むハイブリッド型
有機電子デバイスは、廃棄時に、金属(無機)部を燃焼処理し有価及び有害物の
再利用容易で持続可能社会に不可欠な戦略デバイス(製品)のひとつである。


------------------------------------------------------------------------
1.特開2023-155211 有機半導体デバイス 株式会社半導体エネルギー研究所
【要約】
図3のごとく絶縁層上に形成された複数の発光デバイスのうちの一つであって、第
1の電極と、第2の電極と、有機化合物層を有し、前記有機化合物層は、第1の電
極と、第2の電極との間に位置し、前記有機化合物層は、第1の化合物を含む層を
有し、前記第1の化合物は、示差走査熱量測定において、第1の加熱により溶融し
た状態から冷却を行い、続けて第2の加熱を行った際、前記冷却過程において発熱
ピークが観測されず、且つ、前記第2の加熱過程において発熱ピークと融点ピーク
が観測されない物質である有機半導体デバイスで高精細且つ信頼性が良好な有機
半導体デバイスを提供する。

図3 図3(A)乃至図3(C)は、発光デバイスについて表す図.
------------------------------------------------------------------------
【符号の説明】
100A 表示装置 100B 表示装置 100E 表示装置 100D 表示装置
101a 第1の電極 101b 第1の電極 101 第1の電極 102 第2の電
極 103a 有機化合物層 103B 有機化合物層 103b 有機化合物層 10
3Bf 有機化合物膜 103G 有機化合物層 103Gf 有機化合物膜 103R
有機化合物層 103Rf 有機化合物膜 103 有機化合物層 104 第1の層
104R 第1の層 104G 第1の層 104B 第1の層 105 第2の層 11
0B 副画素 110G 副画素 110R 副画素 110 副画素 111a 正孔注
入層 111b 正孔注入層 111 正孔注入層 112 正孔輸送層 112a 正孔
輸送層 112b 正孔輸送層 112B 導電層 113 発光層 113a 発光層
113b 発光層 114 電子輸送層 114a 電子輸送層 114b 電子輸送層
115 電子注入層 116 電荷発生層 117 P型層 118 電子リレー層 11
9 電子注入バッファ層 120 基板 122 樹脂層 125f 無機絶縁膜 125
無機絶縁層 126R 導電層 126B 導電層 127a 絶縁層 127f 絶縁膜
127 絶縁層 128 層 129R 導電層 129B 導電層 130a 発光デバ
イス 130B 発光デバイス 130b 発光デバイス 130G 発光デバイス
130R 発光デバイス 130 発光デバイス 131 保護層 132B 着色層
132G 着色層 132R 着色層 140 接続部 141 領域 142 接着層
151B 導電層 151C 導電層 151f 導電膜 151G 導電層 151R
導電層 151 導電層 152B 導電層 152C 導電層 152f 導電膜 15
2G 導電層 152R 導電層 152 導電層 153 絶縁層 155 共通電極
156B 絶縁層 156C 絶縁層 156f 絶縁膜 156G 絶縁層 156R
絶縁層 156 絶縁層 157 遮光層 158B 犠牲層 158Bf 犠牲膜 15
8G 犠牲層 158Gf 犠牲膜 158R 犠牲層 158Rf 犠牲膜 159B
マスク層 159Bf マスク膜 159G マスク層 159Gf マスク膜 159
R マスク層 159Rf マスク膜 166 導電層 171 絶縁層 172 導電層
173 絶縁層 174 絶縁層 175 絶縁層 176 プラグ 177 画素部 17
8 画素 179 導電層 190B レジストマスク 190G レジストマスク 1
90R レジストマスク 191 レジストマスク 201 トランジスタ 204 接
続部 205 トランジスタ 211 絶縁層 213 絶縁層 214 絶縁層 215
絶縁層 221 導電層 222a 導電層 222b 導電層 223 導電層 224
B 導電層 224C導電層 224G 導電層 224R 導電層 231 半導体層
240 容量 241導電層 242 接続層 243 絶縁層 245 導電層 254
絶縁層 255 絶縁層 256 プラグ 261 絶縁層 271 プラグ 280 表示
モジュール 281 表示部 282 回路部 283a 画素回路 283 画素回路部
284a画素 284 画素部 285 端子部 286 配線部 290 FPC 291
基板 292 基板 301 基板 310 トランジスタ 311 導電層 312 低抵
抗領域 313 絶縁層 314 絶縁層 315 素子分離層 351 基板 352 基
板 353 FPC 354 IC 355 配線 356 回路 501 第1の電極 5
02 第2の電極 513 電荷発生層 700A 電子機器 700B 電子機器 72
1 筐体 723 装着部 727 イヤフォン部 750 イヤフォン 751 表示パ
ネル 753 光学部材 756 表示領域 757 フレーム 758 鼻パッド 80
0A 電子機器 800B 電子機器 820 表示部 821 筐体 822 通信部 8
23 装着部 824 制御部 825 撮像部 827 イヤフォン部 832 レンズ
1117 遮光層 6500 電子機器 6501 筐体 6502 表示部 6503
電源ボタン 6504 ボタン 6505 スピーカ 6506 マイク 6507 カメ
ラ 6508 光源 6510 保護部材 6511 表示パネル 6512 光学部材 6
513 タッチセンサパネル 6515 FPC 6516 IC 6517 プリント
基板 6518 バッテリ 7000 表示部 7100 テレビジョン装置 7151
リモコン操作機 7171 筐体 7173 スタンド 7200 ノート型パーソナル
コンピュータ 7211 筐体 7212 キーボード 7213 ポインティングデバ
イス 7214 外部接続ポート 7300 デジタルサイネージ 7301 筐体 7
303 スピーカ 7311 情報端末機 7400 デジタルサイネージ 7401
柱 7411 情報端末機 9000 筐体 9001 表示部 9002 カメラ 90
03 スピーカ 9005 操作キー 9006 接続端子 9007 センサ 9008
マイクロフォン 9050 アイコン 9051 情報 9052 情報 9053 情報
9054 情報 9055 ヒンジ 9171 携帯情報端末 9172 携帯情報端末
9173 タブレット端末 9200 携帯情報端末 9201 携帯情報端末
--------------------------------------------------------------------------
【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁層上に形成された複数の有機半導体デバイスのうちの一つであ
って、 第1の電極と、第2の電極と、有機化合物層を有し、 前記有機化合物層は、
前記第1の電極と、前記第2の電極との間に位置し、 前記有機化合物層は、前記
複数の有機半導体デバイス各々が独立して有する第1の層を含み、 前記第1の層
は、第1の化合物を含み、 前記第2の電極は、前記複数の有機半導体デバイスが
共有する連続した層であり、 前記第1の電極は、前記複数の有機半導体デバイス
各々において独立した層であり、 前記第1の化合物は、 示差走査熱量測定におい
て、25℃以下から第1の加熱を行い、 450℃および示差熱天秤装置で測定し
た3%重量減少温度(℃)より50℃減じた温度のうち低い方の温度で3分間保持
し、40℃/min以上の冷却速度で冷却を行い、25℃以下において3分間保持
し、40℃/min以上の昇温速度で前記第1の加熱後の保持温度まで第2の加熱
を行った際、前記冷却過程において観測される発熱ピークのエネルギーが0J/g
以上20J/g以下、且つ、前記第2の加熱過程において観測されるベースライン
シフトを伴わない吸熱ピークのエネルギーが0J/g以下-20J/g以上となる
化合物である有機半導体デバイス。 【請求項2】 絶縁層上に形成された複数の有
機半導体デバイスのうちの一つであって、 第1の電極と、第2の電極と、有機化
合物層を有し、 前記有機化合物層は、前記第1の電極と、前記第2の電極との間
に位置し、前記有機化合物層は、前記複数の有機半導体デバイス各々が独立して有
する第1の層を含み、前記第1の層は、第1の化合物を含み、 前記第2の電極は、
前記複数の有機半導体デバイスが共有する連続した層であり、 前記第1の電極は、
前記複数の有機半導体デバイス各々において独立した層であり、 前記第1の電極
と、前記複数の有機半導体デバイスのうち隣接する有機半導体デバイスの有する前
記第1の電極との間隔は、2μm以上5μm以下であり、前記第1の化合物は、示
差走査熱量測定において、25℃以下から第1の加熱を行い、450℃および示差
熱天秤装置で測定した3%重量減少温度(℃)より50℃減じた温度のうち低い方
の温度で3分間保持し、40℃/min以上の冷却速度で25℃以下まで冷却を行
い、25℃以下において3分間保持し、40℃/min以上の昇温速度で前記第1
の加熱後の保持温度まで第2の加熱を行った際、 前記冷却過程において発熱ピー
クが観測されず、且つ、前記第2の加熱過程において発熱ピークと融点ピークが観
測されない化合物である、 有機半導体デバイス。
【請求項3】 請求項2において、 前記第1の化合物が、前記示差走査熱量測定に
おける前記第2の加熱過程において、 0J/g以上20J/g以下の発熱ピーク
が観測される物質である有機半導体デバイス。
【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、前記第1の化合物
が、前記第2の加熱過程において、示差走査熱量測定におけるベースラインの吸熱
側へのシフトが観測され、且つ前記ベースラインシフトにともない吸熱ピークが検
出される物質である有機半導体デバイス。
【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、 前記第1の層は電
子を輸送する領域を有し、前記電子を輸送する領域は前記第一の化合物を有する有
機半導体デバイス。
【請求項6】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項の有機半導体デバイスにおい
て、前記第1の層が形成された後、加熱工程を経て作製された有機半導体デバイス。

【概要】
【背景技術】近年、表示装置は様々な用途への応用が期待されている。例えば、大
型の表示装置の用途としては、家庭用のテレビジョン装置(テレビまたはテレビジ
ョン受信機ともいう)、デジタルサイネージ(Digital Signage:
電子看板)、及び、PID(Public Information Displa
y)等が挙げられる。また、携帯情報端末として、タッチパネルを備えるスマート
フォン及びタブレット端末などの開発が進められている。また、同時に、表示装置
の高精細化も求められている。高精細な表示装置が要求される機器として、例えば、
仮想現実(VR:Virtual Reality)、拡張現実(AR:Augm
ented Reality)、代替現実(SR:Substitutional
Reality)、及び、複合現実(MR:Mixed Reality)向けの
機器が、盛んに開発されている。
表示装置としては、発光デバイス(発光素子ともいう)を有する発光装置が開発さ
れている。エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、
以下ELと記す)現象を利用した発光デバイス(ELデバイス、EL素子ともいう)
は、薄型軽量化が容易である、入力信号に対し高速に応答可能である、直流定電圧
電源を用いて駆動可能である等の特徴を有し、表示装置に応用されている。
有機ELデバイスを用い、より高精細な発光装置を得るために、メタルマスクを用
いた蒸着法に代わって、フォトレジストなどを用いたフォトリソグラフィ法による
有機層のパターニングが研究されている。フォトリソグラフィ法を用いることによ
って、EL層の間隔が数μmという高精細な表示装置を得ることができる。
【特許文献1】 特表2018-521459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
 上述のようにフォトリソグラフィ法により加工を行う過程においては、どうして
もある程度の熱をかける工程が必要となる。しかし、有機化合物層の耐熱性が低い
ことから十分な熱がかけられず、性能(特に表示性能、効率および信頼性)の高い
有機半導体デバイスを得ることが困難であった

そこで本発明の一態様は、有機化合物を用いた有機半導体デバイスにおいて、製造
工程中における加熱に強い有機半導体デバイスを提供することを目的の一つとす
る。または、本発明の一態様は、製造工程中における加熱に強い発光デバイスを提
することを目的の一つとする。または、本発明の一態様は、製造工程中における
加熱に強いフォトダイオードセンサを提供することを目的の一つとする。または、
本発明の一態様は、耐熱性の良好な有機半導体デバイスを提供することを目的の一
つとする。本発明の一態様は、耐熱性の良好な発光デバイスを提供することを目的
の一つとする。本発明の一態様は、耐熱性の良好なフォトダイオードセンサを提供
することを目的の一つとする。または、本発明の一態様は、表示性能の良好な有機
半導体デバイスを提供
することを目的の一つとする。本発明の一態様は、表示性能
の良好な発光デバイスを提供することを目的の一つとする。または、本発明の一態
様は、高密度に配置することが可能であり且つ耐熱性または表示性能の良好な発光
デバイス
を提供することを目的の一つとする。または、本発明の一態様は、高精細
な表示装置を提供することが可能であり且つ耐熱性または表示性能の良好な発光デ
バイスを提供することを目的の一つとする。または、本発明の一態様は、表示性能
の高い表示装置を提供することを目的の一つとする。または、本発明の一態様は、
高解像度であり且つ表示性能が良好な表示装置を提供することを目的の一つとする。
または、本発明の一態様は、表示品質が良好であり且つ表示性能の良好な表示装置
を提供することを目的の一つとする。または、新規な表示装置、新規な表示モジュ
ール、新規な電子機器を提供することを目的の一つとする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一
態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。明細書、
図面、請求項の記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。

【課題を解決するための手段】 【0015】
そこで本発明の一態様では、特定の測定方法により示差走査熱量測定を行った際、
冷却過程において発熱ピークが観測されず、且つ、二度目の加熱過程において発熱
ピークと融点ピークが観測されない化合物を用いた有機半導体デバイスを提供する。
このような有機半導体デバイスは、作製工程中の加熱に強いため、特性の良好な有
機半導体デバイスとすることが可能である。 
すなわち、本発明の一態様は、絶縁層上に形成された複数の有機半導体デバイスの
うちの一つであって、第1の電極と、第2の電極と、有機化合物層を有し、前記有
機化合物層は、第1の電極と、第2の電極との間に位置し、前記有機化合物層は、
前記複数の有機半導体デバイス各々が独立して有する第1の層を含み、前記第1の
層は、第1の化合物を含み、前記第2の電極は、前記複数の有機半導体デバイスが
共有する連続した層であり、前記第1の電極は、前記複数の有機半導体デバイス各
々において独立した層であり、前記第1の化合物は、示差走査熱量測定において、
25℃以下から第1の加熱を行い、450℃および示差熱天秤装置で測定した3%
重量減少温度(℃)より50℃減じた温度のうち低い方の温度で3分保持し、40
℃/min以上の冷却速度で25℃以下まで冷却を行い、25℃以下において3分
保持し、40℃/min以上の昇温速度で前記第1の加熱後の保持温度まで第2の
加熱を行った際、前記冷却過程において発熱ピークが観測されず、且つ、前記第2
の加熱過程において発熱ピークと融点ピークが観測されない化合物である、有機半
導体デバイスである。または、本発明の他の一態様は、絶縁層上に形成された複数
の有機半導体デバイスのうちの一つであって、第1の電極と、第2の電極と、有機
化合物層を有し、前記有機化合物層は、第1の電極と、第2の電極との間に位置し、
前記有機化合物層は、前記複数の有機半導体デバイス各々が独立して有する第1の
層を含み、前記第1の層は、第1の化合物を含み、前記第2の電極は、前記複数の
有機半導体デバイスが共有する連続した層であり、前記第1の電極は、前記複数の
有機半導体デバイス各々において独立した層であり、前記第1の化合物は、示差走
査熱量測定において、25℃以下から第1の加熱を行い、前記第1の加熱において
450℃および示差熱天秤装置で測定した3%重量減少温度(℃)より50℃減じ
た温度のうち低い方の温度で3分保持し、40℃/min以上の冷却速度で冷却を
行い、25℃以下において3分保持し、40℃/min以上の昇温速度で前記第1
の加熱後の保持温度まで第2の加熱を行った際、前記冷却過程において発熱ピーク
が観測されず、且つ、前記第2の加熱過程において観測される融点ピークのエネル
ギーが0J/g以上20J/g以下となる化合物である有機半導体デバイスである。
0018
また、本発明の他の一態様は、絶縁層上に形成された複数の有機半導体デバイスの
うちの一つであって、第1の電極と、第2の電極と、有機化合物層を有し、前記有
機化合物層は、第1の電極と、第2の電極との間に位置し、前記有機化合物層は、
前記複数の有機半導体デバイス各々が独立して有する第1の層を含み、前記第1の
層は、第1の化合物を含み、前記第2の電極は、前記複数の有機半導体デバイスが
共有する連続した層であり、前記第1の電極は、前記複数の有機半導体デバイス各
々において独立した層であり、前記第1の化合物は、示差走査熱量測定において、
25℃以下から第1の加熱を行い、450℃および示差熱天秤装置で測定した3%
重量減少温度(℃)より50℃減じた温度のうち低い方の温度で3分保持し、40
℃/min以上の冷却速度で冷却を行い、25℃以下において3分保持し、40℃
/min以上の昇温速度で前記第1の加熱後の保持温度まで第2の加熱を行った際、
前記冷却過程において観測される発熱ピークのエネルギーが0J/g以上20J/
g以下、且つ、前記第2の加熱過程において観測されるベースラインシフトを伴わ
ない吸熱ピークのエネルギーが0.1J/g以下-20J/g以上となる化合物で
ある有機半導体デバイスである。

0019
または、本発明の他の一態様は、表示装置に搭載された複数の有機半導体デバイス
のうちの一つであって、第1の電極と、第2の電極と、有機化合物層を有し、前記
有機化合物層は、第1の電極と、第2の電極との間に位置し、前記有機化合物層は、
第1の化合物を含み、前記第2の電極は、前記複数の有機半導体デバイスが共有す
る連続した層であり、前記第1の電極は、前記複数の有機半導体デバイス各々にお
いて独立した層であり、前記第1の化合物は、示差走査熱量測定において、25℃
以下から第1の加熱を行い、前記第1の加熱において450℃以下、または示差熱
天秤装置で測定した3%重量減少温度(℃)より50℃減じた温度のどちらか低い
方の温度で3分の時間保持し、40℃/min以上の冷却速度で冷却を行い、25
℃以下において3分の時間保持し、40℃/min以上の昇温速度で前記第1の加
熱後の保持温度まで第2の加熱を行った際、前記冷却過程において発熱ピークが観
測されず、且つ、前記第2の加熱過程において発熱ピークと融点ピークが観測され
ない化合物である、有機半導体デバイスである。 
0020
>または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の電極と、前記複数
の有機半導体デバイスのうち隣接する有機半導体デバイスの有する前記第1の電極
との間隔が、2μm以上5μm以下である有機半導体デバイスである。
0021
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記有機化合物層が、前記第
1の層と、第2の層との積層構造を有し、前記第2の層は、前記複数の有機半導体
デバイスが有する有機化合物層の一部と一続きの連続した層として共有される有機
半導体デバイスである。
0022
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の電極と、前記複数
の有機半導体デバイスのうち隣接する有機半導体デバイスの有する前記第1の電極
との間隔が、2μm以上5μm以下であり、開口率が30%以上である有機半導体
デバイスである。 
0023
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、上記複数の有機半導体デバイ
スが表示素子として設けられている表示装置の解像度が500ppi以上、開口率
が30%以上である有機半導体デバイスである。
0024
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、前記示
差走査熱量測定における前記第2の加熱過程において、0J/g以上20J/g以
下の発熱ピークが観測される物質である有機半導体デバイスである。
0025
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、前記第
2の加熱過程において、示差走査熱量測定におけるベースラインの吸熱側へのシフ
トが観測される物質である有機半導体デバイスである。
0026
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、前記第
2の加熱過程において、示差走査熱量測定におけるベースラインの吸熱側へのシフ
トが観測され、且つ前記ベースラインシフトにともない吸熱ピークが検出される物
質である有機半導体デバイスである。 
0027
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、前記第
2の加熱過程において、示差走査熱量測定におけるベースラインの吸熱側へのシフ
トが観測され、且つ前記ベースラインシフトにともない1J/g以上の吸熱ピーク
が検出される物質である有機半導体デバイスである。 
0028
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、前記第
2の加熱過程において、示差走査熱量測定におけるベースラインの吸熱側へのシフ
トが観測され、且つ前記ベースラインシフトにともない吸熱ピークが検出され、前
記ピークの温度での前記ベースライン同士の熱量差を1とした場合、前記低温側の
ベースラインを前記ピークの温度まで伸長した位置と、前記ピークの極大値までの
熱量差が2以上である有機半導体デバイスである。 
0029
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物を含む層の
膜厚が、10nm以上2000nm以下である有機半導体デバイスである。 
0030
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の層における電子を
輸送する領域に、前記第1の化合物を含む層を有する有機半導体デバイスである。
0031 
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、ピリミ
ジン環、ピリジン環、ピラジン環、ベンゾフロピリミジン環、ベンゾオキサゾール
環、キノリン環、キノキサリン環、ジベンゾキノキサリン環、カルバゾール環、ジ
ベンゾカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトビスベ
ンゾフラン環、ナフタレン環、フルオレン環、スピロフルオレン環、トリフェニレ
ン環、アントラセン環、アミン、アルミニウム元素、リチウム元素、フッ素、の少
なくとも一を有する有機化合物である有機半導体デバイスである。 
                  -中 略-
【発明を実施するための形態】 
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に
限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を
様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下
に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本明細書
等において、メタルマスク、またはFMM(ファインメタルマスク、高精細なメタ
ルマスク)を用いて作製されるデバイスをMM(メタルマスク)構造のデバイスと
呼称する場合がある。また、本明細書等において、メタルマスク、またはFMMを
用いることなく作製されるデバイスをMML(メタルマスクレス)構造のデバイス
と呼称する場合がある。

(実施の形態1)
有機半導体膜を所定の形状に作製する方法の一つとして、メタルマスクを用いた真
空蒸着法(マスク蒸着)が広く用いられている。しかし、高密度化、高精細化が進
む昨今、マスク蒸着は、合わせ精度の問題、基板との配置間隔の問題に代表される
種々の理由により、これ以上の高精細化は限界に近付いている。一方、フォトリソ
グラフィ法を用いて有機半導体膜の形状を加工することで、より緻密なパターンを
有する有機半導体デバイスの実現が期待されている。さらに、フォトリソグラフィ
法はマスク蒸着に比べて大面積化も容易であることから、フォトリソグラフィ法を
用いた有機半導体膜の加工に関する研究が進められている。

しかし、フォトリソグラフィ法を用いて有機半導体膜の形状を加工するためには、
多くの問題を乗り越える必要がある。これらの問題としては、例えば、有機半導体
膜の大気暴露の影響、感光性樹脂を露光する際の光照射の影響、露光した感光性樹
脂を現像する際に曝される現像液および水などの影響を挙げることができる。 
これらの影響を低減させるために、有機半導体膜上に保護膜を形成する方法がある。
この場合、当該保護膜成膜時にある程度の加熱(約80℃から120℃)を行うこ
とで、当該保護膜を緻密でバリア性の高い膜、または面内均一性の高い膜とするこ
とができる。逆にいうと、低温で形成された保護膜の性能は十分とは言い難いもの
である。
しかし、有機半導体材料、特に蒸着により成膜を行うことが可能な化合物は、蒸着
後に熱工程がなければ良好な特性のデバイスが得られていた化合物であっても、上
述のように蒸着後に熱が加わるような作製工程を経るデバイスにおいては、膜が変
質し、良好な特性を有する有機半導体デバイスが得られないことがあった。 

一般に有機ELデバイス、有機フォトダイオードセンサなどの有機半導体デバイス
では、その耐熱性は、用いられる有機化合物のガラス転移温度(Tg)によって評
価されることが多い。しかしTgが高くとも、有機層が電極に挟まれていない状態
で加熱工程を経ると、それがそのTgよりも十分低い温度であっても、デバイスの
特性が悪化してしまう場合がある。また、逆にTgが比較的低くともTg以下なら
加熱による特性変化が起きにくい化合物も存在するため、単にTgのみで耐熱性の
良好な有機半導体デバイスを得ることが可能な化合物を判断するのは難しい。つま
り有機層に自由界面が存在する状態における加熱工程が必要である有機半導体デバ
イスでは、用いられる有機化合物のTgとデバイスの耐熱性の乖離が大きい。 

そこで本発明者らは、示差走査熱量測定(Differential scann
ing calorimetry:DSC)法を用い、特定の手順で測定を行った
際、特定の測定結果を示す化合物(第1の化合物)を用いた有機半導体デバイスが、
製造工程中における加熱に強く良好な特性を有する有機半導体デバイスとできるこ
とを見出した。なおここでいう加熱に強いとは、加熱に対する耐性があることを示
し、主に形状変化、膜質変化、電気特性変化が小さいことをさす。 
具体的には、固体(粉末)状態の化合物でDSC測定を行い、少なくとも加熱(第
1の加熱)により十分に溶融させた状態から冷却し、再度加熱(第2の加熱)を行
う。この際、冷却過程において図1(A)のように発熱ピークが観測されず、且つ
第2の加熱過程において図1(B)のように発熱ピークと融点ピークとが観測され
ない化合物(第1の化合物)を用いることによって、製造工程中における加熱に強
く、また、良好な特性を有する有機半導体デバイスを得ることができる。なお、第
1の加熱過程における測定結果は、これまでの様々な熱履歴を反映した結果が現れ
ることがあり、評価が困難になるため、本発明における判断には用いていない。

上記DSCの結果において冷却過程における発熱ピークは溶融状態からの結晶化を、
第2の加熱過程における発熱ピークは冷結晶化を、融点ピークは結晶の溶融をそれ
ぞれ示唆するシグナルである。このようなピークが観測されない化合物を用いるこ
とによって、加熱および冷却によって有機半導体膜に大きな構造変化が起きにくく、
加熱工程に強い、耐熱性が良好な有機半導体デバイスを作製することが可能となる。 
なお、冷却過程における発熱ピークの観測において、冷却開始直後のピークは、装
置起因のピークであるため除外し、25℃以下まで冷却しても発熱ピークが観測さ
れない場合に観測されないと判断する。なお、発熱ピークが観測されないとは、発
熱ピークのエネルギーが0J/gである場合の他に、0J/gより大きく20J/
g以下のエネルギーの発熱ピークが存在する場合も含むものとする。なお、発熱ピ
ークが存在する場合、0J/gより大きく5J/g以下だとより好ましく、発熱ピ
ークは存在しないことが最も好ましい。また、特に冷却速度が速い場合に、60℃
以下の領域において吸熱側へのピークがみられる場合があるが、これは装置の冷却
能の問題で、冷却プログラム速度に実試料温度が追従できない場合に現れる意味の
ないピークであるため、本発明の一態様においては無視するものとする。その場合
は、冷却速度を小さくし、ピークがないことを確認しておくとよい。 ピークのエ
ネルギーは、ピークの始めと終わりをつなぎ、仮定のベースラインを想定し、当該
仮定したベースラインとピークとに囲まれた部分の面積から算出することができる。

また、第2の加熱において、融点ピークが観測されないとは、融点ピークのエネル
ギーが0J/gである場合の他に、-20J/g以上0J/g未満のエネルギーの
融点ピークが存在する場合も含むものとする。なお、融点ピークが存在する場合、
-5J/gより大きく0J/g以下であることが好ましく、融点ピークは存在しな
いことが最も好ましい。また、第2の加熱において、発熱ピークが観測されないと
は、発熱ピークのエネルギーが0J/gである場合の他に、0J/gより大きく
20J/g以下のエネルギーの発熱ピークが存在する場合も含むものとする。5J
/g以下だとより好ましく、0J/gが最も好ましい。 

また、DSCを行う際の、冷却過程における降温速度、および第2の加熱過程にお
ける昇温速度は各々40℃/min以上200℃/min以下として測定するもの
とする。なお、冷却過程における降温速度は40℃/min以上200℃/min
以下であることが好ましい。 
なお、上記DSCにおいて、第1の加熱過程および第2の加熱過程の最高温度は、
高すぎると気化、昇華、分解などに伴うピークが発生し次の加熱工程において正確
な判断ができなくなる懸念がある。そのため、DSCの最高温度は、対象とする化
合物を熱重量測定(Thermogravimetry:TG測定)して得られた
3%重量減少温度よりも50℃以上低い温度、好ましくは3%重量減少温度よりも
100℃以上低い温度とすることが好ましい。代表的には3%重量減少温度よりも
50℃低い温度で測定すればよい。この温度であれば、大気圧下ではおおむね昇華
しない温度と判断できる。また、3%重量減少温度-150℃よりは高い温度まで
は測定しておくことが好ましい。 
なお、TG測定を行わない場合、DSCの最高温度については、測定を行う化合物
のガラス転移点の温度(℃)の値の3倍の値の温度(℃)以下を目安としておくと
良い。また、有機化合物の真空蒸着温度の上限を考慮すると、450℃まで測定す
れば十分である。また、同様に金属錯体は350℃まで測定すれば十分である。た
だし、前記450℃未満、あるいは350℃未満で昇華、蒸発、分解などが起きる
有機化合物または有機金属錯体は、昇華、蒸発、分解などが起きる温度よりも30
℃以上、好ましくは50℃以上低い温度までを測定温度範囲とする事が好ましい。
代表的には昇華、蒸発、分解などが起きる温度より30℃低い温度で測定すればよ
い。ある温度範囲の測定において、昇華、蒸発、分解などが起こっているかいない
か判断する場合は、測定後に同一サンプルを用いて引き続き同じ測定条件(昇温条
件および測定温度範囲)で再測定し、サイクル特性が直前の測定と同じであるか、
つまりベースラインが重なるかを確認すると良い。重ならない場合は、直前の測定
で昇華、蒸発、分解などが起こった可能性があるため、測定温度範囲の上限温度を
より低い温度として再測定する必要があると考えられる。 

なお、DSCの測定温度範囲における最高温度は、上述のようにTG測定をあらか
じめ行うことによって判断することが好ましい。また、上記DSCにおいて、冷却
過程における最低温度は、ガラス転移温度(Tg)以下であることが好ましく、例
えば25℃以下、好ましくは-10℃である。 
上記DSCにおいて、十分に溶融した状態から冷却過程に入るために、第1の加熱
過程と冷却過程との間で上記最高温度における保持時間を設けることが好ましい。
この際の保持時間としては、1分以上10分以下が好ましく、3分がより好ましい。
また、同様に、測定対象の化合物の温度が均一になった状態から第2の加熱過程に
入るために、冷却過程と第2の加熱過程との間で上記最低温度における保持時間を
設けることが好ましい。この際の保持時間としては1分以上10分以下が好ましく、
3分がより好ましい。

DSC測定を実施する場合の、測定対象の化合物の質量は、一定の昇温速度におい
て均一な熱伝導を得るために、適した量とするのが好ましい。測定対象となる内部
の化合物の温度ムラを低減させるにはより少ないサンプル量が好まれるが、一方で
感度を得るためにサンプル量が多い方が好ましい。これらの理由から、具体的には、
5mm乃至10mmφのサンプル容器に0.1mg以上、10mg以下が好ましく、
明確にピークを得るためには1mg以上5mg以下が、更に好ましい。
適した量の化合物を用いてDSCを測定することで、融点やガラス転移点、結晶化
温度のピークが明確に再現性良く観測することができると考えられる。 

本明細書におけるDSC測定では、測定対象となる化合物はDSC測定において重
量変化を伴わない温度範囲および環境で測定を行う。従って、DSC測定は、酸素
などの大気成分との反応を抑制するために、窒素など不活性雰囲気下で測定し、ま
た、分解温度よりも十分に低い温度、例えば分解温度の50℃以上低い温度以下に
おいて測定をするのが好ましい。上記DSCの結果において、第1の化合物は第2
の加熱過程で、ベースラインの吸熱側へのシフトが観測される化合物であることが
好ましい。当該シフトが起きる温度はガラス転移温度(Tg)であり、すなわち、
第1の化合物はTgが観測される化合物であることが好ましい。なお、Tgが高い
方が、耐熱性が良好となる傾向があるため好ましい。具体的には、第1の化合物の
Tgは100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。 

また、第1の化合物はこのベースラインのシフトに伴って1J/g以上、好ましく
は3J/g以上、より好ましくは5J/g以上の吸熱ピークが観測される化合物で
あることが好ましい。このピークはエンタルピー緩和を示唆するピークである。こ
のようなエンタルピー緩和を示す材料は、示さない材料に比べ、よりエネルギー的
に安定なガラスを形成することが可能であるため、膜質が安定化し、フォトリソグ
ラフィー工程に必要な加熱工程およびパターニング加工に強い膜となるため好まし
い材料である。
エンタルピー緩和のエネルギーは、図2のようにシフト後のベースラインを延長し
た線とDSCチャートの曲線に囲まれた領域の面積により算出することができる。
なお、複数のピークがある場合はそれらを全て合算したものをエンタルピー緩和の
エネルギーとみなすものとする。

以上のような第1の化合物を用いた有機半導体デバイスは、製造工程中における加
熱に強い有機半導体デバイスとすることが可能である。有機半導体デバイスとして
は例えば、TFT、発光デバイス、フォトダイオードセンサなどを挙げることがで
きる。
なお、有機半導体デバイスは、少なくとも、一対の電極(第1の電極、第2の電極)
と、当該一対の電極間に挟まれた有機化合物層を有するが、第1の化合物は、当該
有機化合物層に含まれる。ここで、有機半導体デバイスが平面上に複数並べて設け
られた半導体装置(例えば表示装置またはイメージセンサ)において、画素電極と
共通電極を有する場合には、第1の電極が複数の有機半導体デバイス各々において
独立した画素電極、第2の電極が複数の有機半導体デバイスにおいて一続きの連続
した層として共有される共通電極であるものとする。
この際、有機化合物層が、個々の有機半導体デバイス毎に独立して設けられた第1
の層と、複数の有機半導体デバイスに渡って連続して設けられている第2の層との
積層構造を有する場合には、当該第1の化合物は第1の層に含まれていることが好
ましい。
なお、有機化合物層または第1の層が、隣接する半導体デバイス間において重なり
を有さない構成、すなわち隣り合う半導体デバイスの有機化合物層間、または隣り
合う半導体デバイスの第1の層間に間隙を有する構成である場合、隣接する半導体
デバイスへのクロストークを抑制できるため、本構成は特に有効であり好ましい。
それは隣接する半導体デバイス間が2μm以下と非常に近い場合に特に有効である。

また、第1の層は第1の電極側に設けられ、第2の層は第2の電極側に設けられる。
また、第1の層は、第1の電極に接することが好ましく、第2の層は第2の電極に
接することが好ましく、第1の層と第2の層は接していることが好ましい。 
なお、第1の化合物は、有機化合物層および第1の層内において、層状に分布し、
第1の化合物を含む層が形成されていることが好ましい。
また、有機化合物層を、フォトリソグラフィ法により加工する場合、有機半導体デ
バイスを非常に高密度(第1の電極の間隔が2μm乃至5μm程度)に配置するこ
とができる。当該有機半導体デバイスが表示デバイス(発光デバイス)の場合、
500ppi以上且つ開口率30%以上の非常に高精細な表示装置を提供すること
ができる。また、100ppi以上且つ開口率40%以上の非常に高精細な表示装
置を提供することができる。また3000ppi以上且つ開口率30%以上、さら
には50%以上の非常に高精細な表示装置を提供することができる。
なお、有機化合物層は、フォトリソグラフィ法により加工される際、保護膜の形成、
レジストの焼成、脱水ベークなどの工程において、熱が加えられる。また、高性能
な保護膜の形成または確実な脱水のためには、なるべく高い温度をかける必要があ
るため、第1の化合物は、フォトリソグラフィ法により加工される層である有機化
合物層または第1の層に含まれていることが好ましい。 

また、加熱の際に自由表面となる面を有する膜は、当該表面に位置する原子のエネ
ルギーが高いことからバルクの膜よりも熱の影響を受けやすい傾向があるため、加
熱の際に自由表面となる面を有する膜、すなわち有機化合物層の最も第2の電極側
の層、または第1の層と第2の層を有する場合には、第1の層における第2の層と
接する層に第1の化合物が含まれていることが好ましい。この第2の層と接する第
1の化合物を含む層は、発光層または活性層ではないことが、パターニング工程の
ダメージを低減でき、効率または信頼性が良好となり、好ましい。 
なお、自由表面を有する有機化合物層は、膜質不良や特性不良を避けるため、この
自由表面へのゴミの付着を可能な限り避けるのが好ましい。例えば、自由表面を有
する有機化合物層が形成された基板はクリーンルームなどで作製・保管するのが好
ましく、クリーンルームのクリーン度の目安はクラス1000以下の高い清浄度が
好ましく、より好ましくはクラス100以下の高い清浄度である。

また、自由表面を有する有機化合物層は、膜質不良(膜質変化や膜の形状変化)や、
最終的に得られる有機半導体素子の特性不良を避けるため、空気(酸素や水分)に
さらす時間を可能な限り短くすることが好ましく、空気にさらさないことが最も好
ましい。また、自由表面を有する有機化合物層上に設ける保護層または上部電極は、
自由表面を有する有機化合物層形成後に迅速に積層するのが好ましい。自由表面を
有する有機化合物層形成後に、保護層または上部電極の形成を行うまでの間の時間
が長くなる場合は、自由表面を有する有機化合物層が形成された基板を、窒素など
の不活性雰囲気下で保存する事が好ましい。また、保管の期間は7日間以下とする
のが好ましい。換言すると、本発明の一態様の構成であれば、数日間、有機化合物
層の自由表面がある状態にあっても、良好な膜質を維持することができる。
また、第1の化合物が含まれている層数、または層に含まれている量が多い方が、
第1の層が自由表面を有する場合の加熱の際に、加熱に強くなり、好ましい。 

以上のような第1の化合物を用いた有機半導体デバイスは、製造工程中における加
熱に強く良好な特性(特に表示性能、効率および信頼性)を有する有機半導体デバ
イスとすることができる。具体的には、加熱工程における加熱温度が、第1の化合
物のTg-20℃程度の加熱またはTgの80%以上の加熱を行っても不都合が起
きにくい有機半導体デバイスとすることができる。 

また、第1の化合物は、有機化合物層内または第1の層内において発光層よりも第
2の電極側に設けられていることが好ましく、電子輸送性を有する有機化合物であ
ることが好ましい。電子輸送性を有する有機化合物としては、π電子不足型複素芳
香環骨格を有する有機化合物を挙げることができる。π電子不足型複素芳香環骨格
を有する有機化合物としては、含窒素複素芳香族骨格を有する化合物、例えばポリ
アゾール骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、ピリジン骨格を有する複素芳
香環を含む有機化合物、ジアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物および
トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物が好ましい。 

中でも、含窒素複素六員環骨格を有する化合物が、電子輸送性が高く安定であり好
ましく、特に、ジアジン骨格(ピリミジン骨格、ピラジン骨格、ピリダジン骨格)
を有する複素芳香環を含む有機化合物またはピリジン骨格を有する複素芳香環を含
む有機化合物、トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物は、信頼性が
良好であり好ましい。さらに、ピリミジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合
物、ピラジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物およびトリアジン骨格を有
する複素芳香環を含む有機化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与す
る。 
                  -中 略-
                              この項つづく



   風蕭々と碧い時間

今夜の寸評 : 鈍すれば貧する
           賢明でなければ豊かになれない。

 

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