彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
続・オールバイオマスシステム完結論 ④
技術事業開発主要課題はスリークォータ可視化できた。今回は①過
酸化水素製造法と②燃料電池製造方法に関する最新特許技術をピッ
クアップする。
1.特願2021-142108 アバランシェ増幅機能を有する電池 クロス
テクノロジーラボ株式会社
【概要】
アバランシェ増幅とは、強い電界をもつ半導体の受光部に光が入る
と、半導体原子への光子の衝突によって発生する電子が加速され、
他の半導体原子と衝突し、更に複数の電子を喚起し、このなだれの
ような連鎖によって、移動電子が爆発的に増える現象をいう。この
効果により、大きな電流変化を引き起こす。かかる現象は半導体又
は絶縁体において、起こる特異な現象である。
しかしながら、p型半導体とn型半導体とが空乏層を介して対向し
ている場合にその空乏層に電子が流れ込むと、起きるアバランシェ
増幅現象でもある。したがって、過酸化水素等の双極子を形成する
化合物を含む電解液中では一対の電池電極を接近させてその電極間
に双極子電気二重層を形成すると、短絡せず、発電機能を有するセ
パレータレス電池を形成する(特願2021-073490号)が、カソード
電極側からアノード電極側に局部的に双極子を介して接触する構成
にすると、マイクロキャパシタ(注:本明細書では少なくとも1双
極子のナノ領域の間隔で対向するカソードからアノードへの電極間
に介在する双極子層が形成するキャパシタに一定以上の電荷が蓄積
されるとトンネル現象により電子が流れ出す現象が生ずるキャパシ
タをいう)が形成され、ホトダイオードにおけるアバランシェ増幅
に似た現象が起こると考えられる。
すなわち、一対の電池電極間に双極子を介して1又は複数のマイク
ロキャパシタが形成されると、このマイクロキャパシタには、周囲
のカソード電極から電子が流れ込んで蓄電される。このカソード領
域から三角形の突起電極を介してカソード電極がアノード電極に接
近していると、トンネル現象によりアノード電極の局部に電子が流
れ始め、電極の他の原子に衝突して喚起すると、前記アバランシェ
増幅を起こすと考えられる。近年、過酸化水素燃料電池は、水素燃
料電池と違って、水溶液を用いる1コンパートメント構造は、燃料
の供給が容易で、しかもカソードとアノード室を区画する膜のない
動作ができるため、有望なエネルギー変換プラットフォームとして
期待されている。そこで、本発明は過酸化水素を用いる燃料電池に
おいて、アバランシェ増幅効果を採用して起電力の増大が図れる構
造を提供すべく、鋭意研究を重ねた。
しかしながら、過酸化水素は燃料と酸化剤の両方として機能する高
エネルギー密度液体であるので、ほとんどの金属電極はH2O2の
H2O とO2への不均化反応を触媒する。その結果、過酸化物燃料
電池における著しい損失機構を示すので、金属をカソード電極とす
る過酸化水素燃料電池は存在し得ないとされた。そのため、カソー
ド電極として伝導性ポリマーであるポリ(3,4-エチレンジオキシチ
オフェン(PEDOT)を用いる一方、アノード電極としてニッケルメッ
シュを使用して、不均化反応による損失を発生させることのないよ
うに工夫し、0.20~0.30 mW cmの電力密度で0.5~0.6Vの範囲のオー
プン回路電位を示す過酸化水素燃料電池が発表されている(非特許
文献1Chemical Communications,2018, Vol.54, Pages 11873-11876)。
他方、カソード材料としてヘキサシアノ鉄酸銅(CuHCF)を使
用し、アノード材料としてNiグリッドを使用する過酸化水素燃料
電池も発表されている(非特許文献:ournal of HydrogenEnergy, ELS
EVIER, Vol.45, Issue 47, 25 September 2020, Pages 25708-25718)。
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池の場合、起電力が1V前後で金属空気電池に比して低い
という問題もあり、アバランシェ増幅機能の導入は望まれるものの、
従来の過酸化水素燃料電池のカソード電極であるポリ( 3,4-エチレ
ンジオキシチオフェン(PEDOT)やヘキサシアノ鉄酸銅(CuH
CF)にアバランシェ増幅機能を持たせることは困難である。 本
発明者は銅又はその合金が過酸化水素燃料電池のカソード電極とし
て有効であることを見出している。そこで、カソード電極が銅又は
その合金からなる金属であることを利用して鋭意研究の結果、過酸
化水素燃料電池において、カソード電極面から突出する電極部を形
成し、アノード電極の局部に双極子を介して近接させると、周囲の
カソード電極から双極子電気二重層に蓄電されるが、カソード電極
がアノード電極に極めて接近していると、トンネル現象によりアノ
ード電極の局部に電子が流れ始め、アノード電極の他の原子に衝突
して喚起すると、電子の発生が雪崩的に増加し、発電量が増えるこ
とを見出した。本発明はこれを利用してアバランシェ増幅機能を有
する燃料電池を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
燃料電池の発電量をアバランシェ増幅機能により増大させる電池を
提供するものであって、電極面に双極子電気二重層を形成する双極
子能率の高い化合物を含む水溶性電解液と、銅、チタン、及び鉄か
らなる遷移金属製カソード電極と、カソード電極より卑なる金属で
あるマグネシウム、アルミニウム、亜鉛又はその合金からなるアノ
ード電極とを備え、前記カソード電極はその電極面からアノード電
極の対極面に対し突出する複数のスペーサとその先端とアノード電
極面とがその間に少なくとも1個の双極子が介在する間隔で対向し、
双極子電気二重層を挟持して、マイクロキャパシタを形成してなる、
ことを特徴とするカソードからの電子を蓄電しては所定の電荷が溜
まるまで蓄電し、トンネル効果によりアノード局部に集中して流れ
ることを特徴とする、アバランシェ増幅機能を有する電池にある。
図1.アバランシェ増幅機能を発揮するマイクロキャパシタ部の概
念図
【発明の効果】
本発明によれば、電池(図1)を構成するカソード電極とアノード
電極との間に双極子電気二重層からなるマイクロキャパシタ(図2)
を有する。そのため、一旦所定量以上の荷電が蓄電されるとマイク
ロキャパシタからアノード電極へトンネル効果により電子が流れ、
それがアノード電極の周囲の原子に衝突し、更に複数の電子を喚起
し、このなだれのような連鎖によって、移動電子が爆発的に増える
ことになる。
図4.多数のマイクロキャパシタを形成した電池の概念図
複数の電極突起は、アノード電極との間に複数のマイクロキャパシ
タを形成し、集電して一定の電荷が溜まると、トンネル現象により
放電を繰り返すマイクロキャパシタを構成して点在し、等価な回路
構成の概念図は図4のように示され、図5に示す起電力変化を起こ
す。
図5.マイクロキャパシタをマグネシウム空気電池に適用した場合
の発電状態を示すグラフで
カソード電極面から突出する鋭角三角形状の突起電極の先端とアノ
ード電極表面との間に挟持される少なくとも1個の双極子、例えば
過酸化水素分子のような双極子能率を有する分子で形成される双極
子電気二重層であるマイクロキャパシタが好ましい。過酸化水素の
双極子能率を参考にすると、2.0e.s.u.×10-15以上の双極子
能率を有する化合物が好ましい(非特許文献;水渡英二著:物理化
学の進歩(1936),10(3):154~165頁)
【発明の概要】
本発明によれば、電池(図1)を構成するカソード電極とアノード
電極との間に双極子電気二重層からなるマイクロキャパシタ(図2
)を有する。そのため、一旦所定量以上の荷電が蓄電されるとマイ
クロキャパシタからアノード電極へトンネル効果により電子が流れ、
それがアノード電極の周囲の原子に衝突し、更に複数の電子を喚起
し、このなだれのような連鎖によって、移動電子が爆発的に増える
ことになる。複数の電極突起は、アノード電極との間に複数のマイ
クロキャパシタを形成し、集電して一定の電荷が溜まると、トンネ
ル現象により放電を繰り返すマイクロキャパシタを構成して点在し
、等価な回路構成の概念図は図4のように示され、図5に示す起電
力変化を起こす。カソード電極面から突出する鋭角三角形状の突起
電極の先端とアノード電極表面との間に挟持される少なくとも1個
の双極子、例えば過酸化水素分子のような双極子能率を有する分子
で形成される双極子電気二重層であるマイクロキャパシタが好まし
い。過酸化水素の双極子能率を参考にすると、2.0e.s.u.×10
-15以上の双極子能率を有する化合物が好ましい(非特許文献:水
渡英二著:物理化学の進歩(1936), 10(3):154~165頁)。
【要約】
下図2のごとく、水溶性電解液が双極子能率の高い過酸化水素を含
み、双極子電気二重層を金属銅又はその合金からなるカソード電極
と、カソード電極より電極電位が卑である、電極電位差を形成する
金属又はその合金からなるアノード電極との間に、カソード電極か
らアノード電極に電子がトンネル現象で流れる構造を形成するマイ
クロキャパシタを有し、アバランシェ増幅に似た電流増幅現象を引
き起こす燃料電池で、アバランシェ増幅機能を有する燃料電池の提
供。
図2.発明のアバランシェ増幅機能を適用する燃料電池の概念図
【発明を実施するための形態】
本発明は、燃料電池の発電量をアバランシェ増幅機能により増大さ
せるものであって、本発明は双極子電気二重層でアバランシェ増幅
効果を達成するものであるから、電極面に双極子電気二重層を形成
する双極子能率の高い化合物を含む水溶性電解液を備える。双極子
二重層を形成する化合物としては典型的には各種電解液、過酸化水
素水溶液であるが、その双極子能率からすると、2.0e.s.u.×10-1
5以上の双極子能率を有する化合物、過酸化水素が好ましい(非特
許文献3)。カソード電極としては銅又はその合金だけでなく、チ
タン、及び鉄からなる遷移金属及びその合金が有効である。アノー
ド電極としては、カソード電極より卑なる金属であるマグネシウム、
アルミニウム、亜鉛又はその合金からなるアノード電極が好ましい。
前記カソード電極はその電極面からアノード電極の対極面に対し突
出する複数のスペーサとその先端とアノード電極面とがその間に少
なくとも1個の双極子が介在する間隔で対向し、双極子電気二重層
を挟持して、マイクロキャパシタを形成してなる。
これにより、カソードからの電子を蓄電しては所定の電荷が溜まる
まで蓄電し、トンネル効果によりアノード局部に集中して流れるこ
とを特徴とする、アバランシェ増幅機能を有する。本発明では、図
2に示すように、Mgアノード電極板とCuカソード電極板とを、
過酸化水素を含むアルカリ性電解液に浸漬して対向配置してなる。
そして、図3(A)に示すように、銅電極10はその一部を三角形
に切り欠いて電極面に対し直角に立ち上げ、高さ5~15mmの鋭
角三角形の突起電極11を形成し、その先端をマグネシウム電極面
に柔らかく接するように、対向させる。少なくとも1分子の双極子
が介在する間隔が好ましい。突起電極は150mmから200mm
の間隔で形成し、周囲のカソード電極領域から電子が流れ込むよう
にするのがよい。
本発明における起電力はアノード電極/過酸化水素を含むアルカリ
性電解液/カソード電極の構成における起電力であって、その金属
空気電池の反応は次の通りである。 アノード側の酸化反応を2Mg
→2Mg2+ + 4e-と、 他方、カソード側の還元反応をO2+H2
O+4e-→4OH- となる。
本発明では、金属空気電池のカソード側の還元反応を促進するため
に、電解液に過酸化水素を添加し、アノード側負極に比べてカソー
ド側正極のイオン化進行速度が劣る原因を改善した。
すなわち、金属銅は
Cu+H2O2→Cu2++OH+OH-及び Cu+OH→Cu2++OH-
と一部過酸化水素に溶けるが、
Cu2++2HO2- →Cu+2HO2と、HO2基がHaber u. Willstatter
連鎖によって過酸化水素の分解を促進するからであると思われる(
(非特許文献3)。 しかも、本発明によると、カソード電極の表面
に形成される電気二重層は過酸化水素を含み、その双極子(ダイポ
ール)機能により形成される。そのため、対極のアノード電極はカ
ソード電極と接触しても短絡せず、対向するアノード電極とカソー
ド電極の接触を一定間隔で点状に配置される突起等で形成すると、
点状突起の先端に電気二重層キャパシタ構造を有することになり
(図1)、電極表面にマイクロコンデンサとして多数点在し(図
3)、電池起電力を集電してはトンネル効果により流れ、アバラン
シェ増幅を繰り返す(図5)ので、マクロコンデンサ機能を有しな
い同一電極構成の場合に比して2倍以上の発電能力を発揮すること
になる。 本発明においては、前記水溶性電解液に過酸化水素の一
部又は全部を過炭酸ナトリウムにより供給するのが好ましい。具体
的には、0.5から2.0モルのアルカリ金属又はアルカリ土類金
属ハロゲン化塩、特に塩化ナトリウムを含む中性又はアルカリ性水
溶液に対し数%から十数%の過酸化水素水(体積%)又は過炭酸ナト
リウム(重量%)を添加するのが好ましい。 アノード電極がマグネ
シウム又はその合金からなり、(-)Mg/NaCl+H2O2/Cu
(+)の電池構成をとることにより、銅カソード電極との間に過酸
化水素又はそれが分解したヒドロキシラジカルを分解するに必要な
分解電圧を与える。マグネシウム合金電極としてMAZ61又はM
AZ31のマグネシウム/アルミ/亜鉛の合金電極が使用できる。
前記アノード電極とカソード電極とを交互にスペーサを介して一定
の間隔をもって対向配置し、アノード電極とカソード電極との接触
部に過酸化水素を含む水溶性電解液により電気二重層キャパシタを
形成するが、前記スペーサがカソード電極と同じ金属銅又は銅合金
からなり、対極表面に一定間隔を隔てる点状突起を有する(図2)
のが好ましい。マイクロキャパシタは2.0e.s.u.×10-15以上
の双極子能率を有する双極子、例えば過酸化水素の1分子のnmオ
ーダーの間隔をもってカソード電極とアノード電極を対向させるこ
とにより、構成できる。カソード電極からアノード電極局部にトン
ネル電流が集中して流れるように、カソード電極面から三角形状の
電極を突出させる。複数のカソード電極を対向させる場合は、各カ
ソード電極の突起電極の本数、配置位置を変え、アノード電極と接
近する場所を変えるのがよい。アノード電極はカソード電極からの
電子の衝突により溶解し、周囲原子に連鎖して衝突し、電子の発生
を喚起するので、カソード電極の突起が近接する部分は大きな貫通
孔(2.0mm~5.00mm)が形成され、電極全体には小さな
貫通するホール(0.5mm~1.0mm)が多数形成され、海綿
状となる。
図3.アバランシェ増幅機能を有する燃料電池を構成する銅電極の
構成の(A)は斜視図、(B)はマグネシウム電極と銅電極の組み
合わせ状態の端面図
【実施例】
図3に示す銅電極を使用して図4に示す概念の複数のマイクロキャ
パシタがある電池を構成した。容量3000mlの上方開放型直方
体プラスチック容器を用いる。 図3では、1mm厚み、縦横100
×100mmの銅カソード電極板10に上下左右に150mmない
し200mm間隔で多数の三角形の50mmの高さの突起11を切
り立て(図3A)、図3Bに示すように、両端は銅板10は突起
11を内向きに、真ん中は背中合わせに張り合わせた銅電極10で
2mm厚み、縦横100×100mmのマグネシウムアノード電極
板20を挟み込んで組み合わせる。この組み合わせ電極を使うと図
1に示すように、銅カソード電極の表面にマイクロコンデンサを形
成することができる。 他方、図6Aに示す、1mm厚み、縦横1
00×100mmの銅カソード電極板10に銅電極板をT字形に切
り出し、端部を折り曲げて形成したスペーサSを取り付ける。この
カソード電極板でスペーサSを介して2mm厚みの縦横100×
100mmのMgアノード電極板20の両側を挟みつける。3枚の
銅カソード電極板10で、2枚のMgアノード電極板20はスペー
サSを介して交互に挟みつけると、図6Bに示す上部端面図の状態
となる。この組み合わせ電極を使うと図1に示すマイクロコンデン
サを形成しない。 プラスチック容器にはおよそ1500mlの純水
に塩化ナトリウム0.5モル/l以上、好ましくは1.5モル/l以
上2モル/lの電解液を調整し、これに過炭酸ナトリウム50~10
0gと30%過酸化水素水50mlを加える。電池反応は一定時間
過ぎると、過酸化水素が消費され、電球が減少するので、2~3時
間ごとに10mlの30%過酸化水素水を添加する。 本件実施例に
おいては、図3AおよびBの電極構成と図6AおよびBの電極構成
の性能を比較してマイクロキャパシタを銅カソード電極表面に形成
する場合としない場合の性能比較を行った。
図4.多数のマイクロキャパシタを形成した電池の概念図
電極構成以外は同じ条件としたので、アルカリ電解水における過酸
化水素燃料電池反応に、マグネシウム空気電池反応が伴うものであ
る点は同じである。したがって、以下の反応式に基づき、過酸化水
素がH2O2+2H2O+2e-2H2O+2OH-に分解する一方、カ
ソード電極側でH2O2+2OH-→O2+2H2O+2e-の酸化反応
を起こすだけでなく、アルカリ性電解液での金属酸化反応がMg→
Mg2++2e-となり、カソード側での酸素を還元してイオン化す
る反応がO2+2H2O+4e-4OH-と典型的な金属空気電池反応
が起こる。但し、過酸化水素燃料電池及び金属空気電池反応では酸
素ガスは発生すると理解できるが、上記構成では酸素ガスだけでなく、
水素ガスも発生する。ということは、非特許文献3(水渡英二著、
物理化学の進歩(1936)、10(3):154~165頁)に
示唆されるように、銅カソード電極表面で触媒機能が働き、過酸化
水素の分解又はヒドロキシイオンの分解が起こり、発電反応に繋が
っていると思われる。
2H2O2→4・OH→H2+O2+4e- 4OH-→H2+O2+4e-
以上の実験結果を考察すると、マイクロキャパシタを作る構成にも
よるが、図3に示すマイクロキャパシタを有する燃料電池は図6に
示すマイクロキャパシタを有しないものに比して2倍以上の電流値
の増加を見ることがわかった。マイクロキャパシタに伴う集電放電
効果が電池の発電量に大きな影響を与えることがわかる。そのため、
本発明の構成は1コンパートメント構造の過酸化水素燃料電池とし
て新規で有用な構成を提供することができるので、画期的である。
図1.実施例及び比較例で得られた電極触媒について、過酸化水素
生成率(相対値)と耐久維持率との関係を表すグラフ
2.特開2023-61148 水素燃料電池アノード用電極触媒 株式会社
キャタラー
【概要】
燃料電池は、例えば、イオン交換膜を介してアノード及びカソード
が対向配置された構造を有し、アノード側に燃料(例えば水素)を
供給し、カソード側に酸化剤(例えば空気)を供給すると、両極で
それぞれ所定の電気化学反応が起こり、発電が行われる。 燃料電
池に用いられる電極触媒としては、Pt粒子、Pt合金粒子等の貴
金属粒子が知られている。例えば、特許文献1には、炭素粉末担体
上にPtと補助金属との合金から成る触媒貴金属粒子が担持された、
高分子固体電解質型燃料電池の電極触媒が開示されているが、ダイ
レクトメタノール型燃料電池のアノード触媒として、Pt-Ruが
好適であることが示されている特許文献2もある。 しかしながら、
副反応によって過酸化水素が発生することがある。発生した過酸化
水素は、不純物(例えば鉄イオンFe2+)と接触すると、酸化力が
極めて高いヒドロキシラジカル(・OH)を発生し、電解質膜、電
極材料等を攻撃して劣化させ、燃料電池の耐久性が損なわれるが、
これに対し、この点、特許文献3には、燃料電池の電解質膜又は酸
化剤極(空気極)に、例えば、MnO2、RuO2、ZnO、WO3、
MnO2、O2-Al2O3、RuO2-Al2O3、ZnO-Al2O3及び
WO3-Al2O3から選ばれる酸化物触媒を添加することが提案され
ており、これにより、過酸化水素の発生が抑制されると説明されて
いる。
【特許文献1】 特開2003-142112号公報
【特許文献2】 特表2008-506513号公報
【特許文献3】 特開2000-106203号公報
【発明が解決しようとする課題】
特許文献3の技術は、過酸化水素の発生メカニズムとして、カソー
ド(空気極)において、上述の電気化学反応(2)で示される4電
子反応に加えて、下記の電気化学反応(3)で示される2電子反応
が起こることに着目した技術である。
空気極:O2+2H++2e-→H2O2 (3)
しかしながら、カソードに供給された酸素の一部は、電解質膜(固
体イオン交換膜)を透過してアノードに到達することがある。この
アノードに到達した酸素は、アノード(特に、触媒活性種であるPt
粒子)に吸着した水素原子(Had)と反応して、下記の電気化学
反応(4)によっても過酸化水素が発生する。
水素極:2Had+O2→H2O2 (4)
また、空気極では、電気化学反応(2)で示される4電子反応の寄
与が優先的に進行し、電気化学反応(3)で示される2電子反応の
寄与率は低いと考えられる。これに対して、電解質膜(固体イオン
交換膜)を透過して水素極に到達した酸素は、高い確率で電気化学
反応(4)によって過酸化水素を発生させる。そのため、水素燃料
電池における過酸化水素の発生には、水素極における電気化学反応
(4)が大きく寄与していると考えられる。 本発明は 上記の考察
に基づいて成されたものであり、その目的は、水素を燃料として発
電を行う水素燃料電池において、過酸化水素の発生を抑制して、燃
料電池の長期耐久性の向上に寄与し得る、水素燃料電池用電極触媒
を提供することである。
【要約】
図1のごとく、導電性担体と、前記導電性担体に担持された貴金属
粒子と、を含む、燃料電池の電極触媒であって、前記貴金属粒子が、
ルテニウム及び白金を含み、前記ルテニウムの前記白金に対するモ
ル比Ru/Ptが、0.04mol/mol以上0.20mol/
mol以下である、水素燃料電池アノード用電極触媒にして、水素
燃料電池に用いたときに、過酸化水素の発生を抑制する効果を発現
しつつ、高い触媒活性が長期間維持される高度の耐久性を有する、
水素燃料電池用電極触媒を提供すること。
【発明の効果】
本発明によると、過酸化水素の発生を抑制する効果を発現しつつ、
高い触媒活性が長期間維持される高度の耐久性を有する、水素燃料
電池アノード用電極触媒が提供される。本発明の水素燃料電池アノー
ド用電極触媒は、特に、プロトン交換膜型燃料電池のアノード触媒
として好適である。
《実施例2~5及び比較例1~6》
「(1)電極触媒の調製」において、金属換算のモル比Ru/Pt
がそれぞれ表1の値となるように、Ru前駆体として使用する硝酸
ルテニウム(III)硝酸溶液の量を変更し、Pt-Ru担持カー
ボンの焼成条件を表1に記載の温度に変更した他は、実施例1と同
様にして、電極触媒を調製し、評価した。 評価結果を表1に示す。
また、過酸化水素生成率(相対値)と耐久維持率との関係を表すグ
ラフを、図1に示す。図1には、各触媒のPt:Ruモル比を付記
した。なお、図1では、グラフの右下方向に行くほど、電極触媒と
して好ましい。
表1及び図1に見られるとおり、貴金属粒子がRuを含まない比較
例1を基準として、貴金属粒子のRu/Pt比が0.04に満たな
い比較例2の電極触媒は、耐久維持率は高い値を示すものの、H2
O2生成率の低減の程度は、低いものに留まっている。また、貴金
属粒子のRu/Pt比が0.20を超える比較例3~6の電極触媒
は、H2O2生成率は低減されているものの、耐久維持率は低い値を
示している。 これらに対して、貴金属粒子のRu/Pt比が0.0
4以上0.20以下の実施例1~5の電極触媒は、比較例1を基準
として、H2O2生成率が大きく低減されており、かつ、耐久維持率
も高い値を示している。
《電極触媒の初期活性》
実施例1及び比較例1でそれぞれ得られた電極触媒の初期ECSA
値を、過酸化水素生成率(相対値)及び耐久維持率とともに、表2
に示す。
更に、実施例2~5の電極触媒についても、貴金属粒子の平均粒径
が実施例1の電極触媒と同等であり、実施例1の電極触媒と同等の
初期ECSAを示すものである。実際、本発明者らは、貴金属粒子
のRu/Pt比が0.04以上0.20以下の電極触媒では、実施
例1と同等の初期ECSAを示すことを確認した。 以上のことから、
本発明の電極触媒が、本発明の所期の目的を達するものであること
が検証された。
3. 特開2023-19061 水素生成システム、および水素生成システム
の運用方法 日立造船株式会社
【概要】
下図1のごとく、水素生成システム(2)は、水電解により少なく
とも水素ガスを生成する電解装置(4)と、気体の除湿を行う除湿
装置(12)と、水素ガスを燃料として発電する燃料電池(20)
と、各部の動作を制御する制御部(72)とを備える。制御部は、
電解装置からの水素ガスの、除湿装置による除湿と、燃料電池の稼
働に伴い生じる、燃料電池からの排熱を少なくとも利用した除湿装
置の再生とを制御、水素ガスを発生させつつ、より効率的に除湿器
の再生を実施する。
図1.実施形態1に係る水素生成システムの模式図
【符号の説明】 2 水素生成システム 4 電解装置 12 除湿装置
14 第1除湿器 16 第2除湿器 18 熱交換器 20 燃料電池
26 水素ガス除湿ライン 32 第1水素ガス供給ライン 34 第
1燃料供給ライン 36 第1水素ガス貯留ライン 38 貯留水素ガ
ス供給ライン 40 第2水素ガス供給ライン 42 第2燃料供給ラ
イン 44 第2水素ガス貯留ライン 46 第1排熱供給ライン 58
酸素ガス供給ライン 60 第1電源線 62 第2電源線 72 制御
部 P 発電装置 R 水素ガス貯留装置
<水素生成システムが奏する効果>
本実施形態に係る水素生成システム2は、例えば、上述した第1運
用モードから第4運用モードまでの何れか運用モードに基づいて運
用される。水素生成システム2の運用モードの切り替えは、例えば、
制御部72による、電解装置4、除湿装置12、および燃料電池2
0の動作の制御と、各弁の開閉の制御とにより実行される。これに
より、本実施形態に係る水素生成システム2は、運用モードを上述
した第1運用モードから第4運用モードまでを切り替えつつ繰り返
し運用することにより、継続して運用が可能である。
特に、本実施形態に係る水素生成システム2は、水素ガスの生成、
除湿、および貯留と、生成した水素ガスを利用した発電と、生成し
た水素ガスの除湿に利用した除湿装置の再生とを、継続して実行で
きる。特に、制御部72は、電解装置4が生成した水素ガスを利用
した発電により燃料電池20から生じた排熱を利用した、除湿装置
12の再生の制御を行う。したがって、水素生成システム2は、除
湿装置12の再生に、別途ヒータ等を用いた吸湿剤の加熱等が不要
である。このため、水素生成システム2は、より効率よく除湿装置
12の再生が可能である。
また、本実施形態に係る水素生成システム2は、除湿装置12の再
生に利用する熱を生成するために、燃料電池20を稼働させる。こ
のため、当該燃料電池20の稼働により副次的に生成された電力を
、電解装置4の稼働に使用することができる。したがって、本実施
形態に係る水素生成システム2は、外部からの電力供給がない、あ
るいは少ない場合においても、継続した運用が可能であり、かつ、
より効率よく除湿装置12の再生が可能である。
また、本実施形態に係る水素生成システム2は、除湿装置12の再
生を行わない場合、電解装置4が生成した水素ガスの貯留、および
燃料電池20が生成した電力または排熱の需要施設Cへの供給が
可能である。特に、制御部72は、電解装置4からの水素ガスの除
湿装置12による除湿を制御する。このため、本実施形態に係る水
素生成システム2は、電解装置4からの水素ガスを除湿し、乾燥し
た水素ガスを生成できる。したがって、本実施形態に係る水素生成
システム2は、より効率よく除湿装置12の再生を行いつつ、電力
または排熱の需要施設Cへの供給を、継続して実行できる。
なお、水素生成システム2の各運用モードにおいて、電解装置4、
除湿装置12、および燃料電池20の稼働に必要な電力は、発電装
置Pまたは燃料電池20から得られる電力を使用する。また、燃料
電池20を使用した発電は、発電装置Pからの電力により稼働する
電解装置4が生成した水素ガスを燃料として実行される。
したがって、発電装置Pが再生可能エネルギーを利用した発電を行
う場合、水素生成システム2は、環境への負荷を低減しつつ、各装
置の稼働、除湿装置12の再生、および電力または排熱の需要施設
Cへの供給を、継続して実行できる。ゆえに、水素生成システム2
は、二酸化炭素の排出量の低減を含む、地球環境の改善に貢献し、
持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「エネルギーをみんなに
そしてクリーンに」および目標13「気候変動に具体的な対策を」
の達成に貢献できる。
4.特開2022-159764 燃料電池システムの制御方法 トヨタ
自動車株式会社
【概要】
下図3のごとく、発明の燃料電池システムの制御方法は、燃料電池
システムの制御方法であって、燃料電池セルの所定の電流密度での
発電電圧を測定する測定工程と、上記燃料電池セルの上記所定の電
流密度での発電電圧及び電極触媒の被毒率の予め定められた関係か
ら、上記測定工程で測定した上記発電電圧での電極触媒の被毒率を
算出する第1算出工程と、上記燃料電池セルの電極触媒の被毒率及
び過酸化水素の発生率の予め定められた関係から、上記第1算出工
程で算出した上記電極触媒の被毒率での過酸化水素の発生率を算出
する第2算出工程と、を備えることを特徴とする、より簡便に過酸
化水素の発生率を推定できる燃料電池システムの制御方法を提供す
ることにある。
5.特開2023-43734 酸化炭素電解装置、二酸化炭素電解方法、及
び有価物製造システム 株式会社東芝
【概要】 下図1のごとく、実施形態の二酸化炭素電解装置1は、
二酸化炭素を収容するための第1の収容部と、水を含む電解液又は
水蒸気を収容するための第2の収容部と、第1の収容部と第2の収
容部との間に設けられた隔膜と、第1の収容部に配置された還元電
極と、第2の収容部に配置された酸化電極とを備える電解セル4と、
電解セル4に電力を供給する第1の電源5に接続可能な第1の電源
制御部6と、電解セル4に電力を供給する第2の電源7に接続可能
な第2の電源制御部8と、第1の電源制御部6及び第2の電源制御
部8を制御し、第1の電源又は第2の電源から電解セルに対する電
力の供給を切り替える統合制御部11とを具備する、電力の変動に
伴う動作の不安定化を抑制することを可能にした二酸化炭素電解装
置を提供することにある。(図示せず)
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
特異点真っ直中 ㊲
GAAトランジスタ構造を適用した3nmのファウンドリー用プラ
ットフォーム(SF3)
VLSI2023➲ロジック半導体、DRAM、NANDのどの半導体も、新構造や
新プロセスなどが開発されつつある。新技術と、EUV、High NA、そして
Hyper NAが、相乗効果をもたらして行くと考えられるという。半導体の
進化は、今後もとどまることはないと。
via 湯之上隆のナノフォーカス(64)EETime.jps
John Lennon Imagine
【POPの系譜を探る:2023年代】
● 今夜の寸評:先端技術で世界一をめざし、世界に貢献。
奈良・五條市にある全国でも珍しい“柿の専門”。古くから柿の名産地で
ある西吉野地区で、干し柿など伝統的なお菓子を守りながら、新しい価値
ある商品を次々と作り出している名店。夏に人気の「柿こーり」は、冷凍
で届くものを半解凍して“プルしゃり”食感を楽しむ甘味。渋柿を独自の
製法で完熟させた柿のシャーベットを吉野本葛のくず餅で包んだだけ、と
シンプルな製法ながら、シャーベット状の柿が口の中で溶け出すときの濃
密な甘さに目を開かれる。解凍時間によってさまざまな食感になるので、
お好みの加減を探してみて。透明感ある見た目も美しく、夏のギフトにも
喜ばれている。