極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

二人の教授の原発論

2014年03月31日 | 政策論

 

 

●「再稼働説を支える3つの神話と1つの真実」を読む

細川氏の原発ゼロは、小泉氏の「原発即ゼロ」が入っている。この「即ゼロ」は、原発を再稼働させない
という意
味だ-とは同じく、ダイヤモンドオンラインの『高橋洋一の俗論を撃つ』での話。「希代のケン
カ師・小泉元総理の「原発即ゼロ」発言 原発ゼロ、電力自由化、東電解体の根は一つ 」の彼のこの主張
を踏まえ、同社のメルマガの記事『再稼働説を支える3つの神話と1つの真実-八田達夫・大阪大学招聘
教授』を考えてみる。

 ここ半年で、7電力会社から9原発16基の再稼働申請が行われているが、これらは原子力規制委員会
 が審査し、地元自治体の同意手続きがある。この中に東京電力の柏崎刈羽原発6号炉・7号炉が含ま
 れているが、東京都知事の出る幕はない。ただし、泉田裕彦新潟県知事と共闘して、非同意に持って
 行くことはあり得る。泉田氏は経産官僚OBだが、原発再稼働について厳しく、まっとうな意見を持
 っている。ここで東京都知事に原発即ゼロの人が誕生すると、ひょっとしたらという期待が出てくる
 可能性がある。ただし、「即ゼロ」では電力会社が大変になる。というのは、原発再稼働しなければ、
 現在資産計上している原発資産はすべて「ゼロ」になる。東電でいえば、2013年3月31日時点で東電
 の資産14兆6198億円のうち、原子力発電設備は7492億円あるが、これがゼロになるわけだ。これは、
 原発を再稼働しなければ7492億円の償却損になって、東電がつぶれるかもしれないと大騒ぎになるだ
 ろう。大震災直後の2011年5月12日、本コラム(「原発事故賠償金の国民負担を少なくし電力料金引
 き下げも可能な処方箋を示そう」)で、東電はすでに債務超過状態にあって法的整理すべきという意
 見を述べているくらいだから、別に驚くものではない。しかし実際の政策を行うにあたり、原発を放
 置しておくこともできない。もし原発再稼働を認めないならば、その処理のために、原発を民間の電
 力会社から分離して公的管理とすることも避けられない道だ。福島第一原発の事故からわかったこと
 は、原発は民間会社では手に負えない存在ということだ。東電ですら破綻状態になるもので、民間会
 社で扱うにはリスクが大きすぎるのは明らかだ。ちなみに、原発再稼働を認めないロジックとして、
 安全規制基準を引き上げる方法もある。それは突き詰めれば、事故が起こらないようにするためには
 安全コストが高すぎて、結果として原発を再稼働させないほうが経済的には合理的ということだ。ち
 なみに、起こってはいけない事故に対する保険をかけようとすると、膨大なコストとなって、やはり
 原発は動かさない方がいいという結論になるのも同じ考え方だ。であれば、原発に公的関与をするの
 は公共経済学の初歩として正当化できる。小泉氏は郵政民営化で「民にできることは民に」と言った
 が、裏を返せば「民にできないことはやめるか、それまでの間は、官で一時的に預かる」となるはず
 だ。筆者(高橋洋一)は電力の自由化をきっちりやれば、エネルギーの最適な組み合わせは自ずと達
 成できると考えている。原発事故が現実に起きて、そのコストが一企業でまかなえないほどに莫大に
 なった以上、イデオロギーとは無関係に市場原理から考えると原発ゼロは自ずと出てくる最適解にな
 る。だから電力自由化を全力で行えば、東電解体を経て、自ずとスムーズに脱原発も達成できる。こ
 の意味で、原発ゼロへの責任ある具体的なプロセスとは、電力自由化、その結果としての東電解体に
 他ならない。統制経済の考え方で、長期間の工程表を作ってみても、それはかえって無責任になって
 しまう。長期にわたる変化をうまく行うのは市場原理しかありえない。原発ゼロへの具体的なプロセ
 スは、電力自由化、東電解体を示せば、それが必要かつ十分な解答になる。こうした観点から、今話
 題になっている小泉純一郎元総理大臣の意見をみてみよう。小泉氏は、12日、日本記者クラブで記者
 会見し、今後のエネルギー政策について、原発は「即ゼロの方がよいと思う」と発言し、各方面に波
 紋を広げている。朝日新聞が実施した世論調査では、小泉氏の原発ゼロの主張について、支持するが
 60%、支持しないが25%となっている。小泉氏の脱原発論は、いわゆる「トイレのないマンション」
 論だ。日本に最終処分場は作りようがないのだから原発ゼロというシンプルで説得的な考え方だ。こ
 れに対して、「楽観的で無責任」とか反論しても、小泉氏の「最終処分場もないのに原発に依存する
 ほうがよほど無責任」で一蹴されてしまう。自民党の石破幹事長は、11日の記者会見で「自民党の目
 指す方向と違わない」とやや軌道修正してきている。ただし、「小泉氏は、いつまでに、どのように
 して、誰の責任で『原発ゼロ』を実現するのかまでは踏み込んでいない。単に理想を掲げるだけでは
 なく、答えを出すのが責任政党だ」と述べ、具体的なプロセスにこだわった

 これに対して、小泉氏は、しばしば自民党内で議論すればいいという。知恵者が必ず現れる、と。こ
 れは、野党が小泉氏を
利用して政治的な動きにしようとするが、野党と組むことはないと釘を刺して
 いる。12日の記者会見
でも、野党に対して「1人でもやるという気持ちでやらないと駄目だ」といっ
 たという。と同時に、
自民党が責任政党だということを逆手にとって、責任政党だからできるはずと
 切り返している。しか
も、石破氏の「方向は同じ」に対し、「即ゼロの方がよいと思う」と踏み込ん
 でいる。このあたりが、
希代のケンカ師との異名をとる小泉氏らしいところだ。具体的なプロセスに
 ついては、小泉氏は、政治は決断
だけすればいいと割り切る。たしかに、郵政民営化の時も、方向性
 だけを言い、制度設計は竹中平蔵経済財政
相に任せた。筆者はその下で詳細制度設計を任されたわけ
 だ、小泉氏は、そうした制度設計にこだわらないが、原発ゼロに向けての制度設計となれば、冒頭に
 述べた電力自由化さらに東電の解体なくしてできない。

 ●東電の対応は実質的な「債務不履行」

 電力自由化はいざしらず、なぜ、
東電の解体が関係してくるのか。それは、原発コストにも大いに関係
 している。

 最近の除染費用からはじめよう。

 除染費用の支払いを拒んでいる東電が、改めて環境省から支払いを求められた。しかし、東電の石崎
 副社長は「支払えない」と回答。東電は請求されているもののうち、未だ 300億円以上を支払ってい
  ない。これは、通常でいう「債務不履行」ではないのか。除染費用は、放射性物質汚染対処特措法に
 よって、東電負担と定めている。国がいったん肩代わりした上で東電に請求している。もちろん、東
 電の言い分として、国がいったん肩代わりした分が本当に除染費用なのかどうかをチェックしなけれ
 ばいけないから、少し待ってくれというものなら、まだ理解はできる。ところが、石崎副社長は「事
 務作業に時間を要している上、経営状況が思わしくない」と、経営まで持ち出してくる。これではや
 はり、東電は破綻ではないか。そもそも、除染費用は 300億円では済まない。今国や地方自治体が計
  画している除染費用は3兆円。これももちろん東電負担になる。この費用を直ちに東電が負担すれば、
  もちろん破綻だ。

 というのは、東電の今年3月末連結決算で資産14兆9891億円、負債13兆8513億円、資産超過額1兆137
 8億円なので、除染費用3兆円を直ちに負担すれば、即債務超過になるからだ。しかし、除染費用は今
 後徐々に発生していくが、その間に電気料金値上げをしていくから、破綻しないというロジックのよ
 うだ。いずれにしても、除染費用の負担に東電が悩んでいるのは明らかで、東電は放射性物質汚染対
 処特措法を改正して全額国費での対応を自民党に要請している。自民党も、東電にこれまで世話にな
 ってきたためか、法改正に前向きである。10月31日、自民党の東日本大震災復興加速化本部がまとめ
 た方針では、これまでに計画された除染費用3兆円は東電負担とするが、中間貯蔵施設の建設1兆円
 は 東電負担から国費投入に変更し、さらに生活再建に向けたインフラ整備も国費投入とする。この
 自民 党方針が通れば、東電負担は3兆円になるが、それを電気料金値上げでカバーするから破綻で
 ないというロジックはそもそもあやしい。東電が電力料金値上げで対処できるとは、競争がない独占
 企業であ ることを宣言したものだ。逆に言えば、政府がいう電力自由化がまやかしになる。今国会
 で、電気事業法改正案が成立するだろうが、そこでの電力改革で、大手電力による地域独占体制を見
 直して新規事業者の参入を促し競争を通じて電気料金の値下げをもくろむが、東電を温存すれば、こ
 れらは絵に描いた餅になってしまう。政策論としては、東電を解体し、発送電分離を先行させるほう
 が、電力自 由化の早道になる。となれば、今の東電の持株会社による見かけ上の「発送電分離」よ
 り、はるかにはやく電力自由化できることなる。なお、東電はすでに破綻しているのだから、法的整
 理によって解体すべきという意見もある。たしかに法的整理は正論で、筆者も原発事故直後から主張
 していた。ただし、今となっては、逆に不公平なるかもしれない。というのは、法的整理で損失負担
 するのは金融機関であるが、すぐに法的整理されなかったために、債権保全という名目で借り入れを
 社債化(法律で電力債は保護されている)するなど金融機関による悪辣な債権確保がすでに行われて
 いるからだ。いずれにしても、早く東電を解体するほうがいいことはいうまでもない。

 ●電力自由化すれば自ずと原発はゼロに

 電力自由化の流れさえできれば、後は自ずと原発ゼロになる。そのカギは原発コストの高さだ。原発
 のコストであるが、内閣府国家戦略室のコスト検証委員会が発表した各エネルギー源による発電コス
 ト(円/kW時)はつぎのとおりとしている。

      原子力発電            8.9 以上 (試算:17.5~20.5)
      石炭火力発電          9.5
      LNG火力発電         10.7
         石油火力発電             38.9
         陸上風力発電        9.9~17.3
         洋上風力発電        9.4~23.1
         地熱発電      8.3~10.4
      太陽光発電           33.4~38.3(→2020年  14.0
         ガスコジェネ    10.6~19.7

 コスト検証委は再処理・廃棄物処理費などの「バックエンド・コスト」を最終的に20兆円程度と見積
 もり kW時1.0円程度のコストとはじいているが、かなり甘い計算。そのコストは3~4倍以上にな
 るので、それだけで2.0~3.0円以上のアップとなる。次に、技術開発への補助金が含まれていない。
 これは1.6円程度だが 国民にとっては立派なコスト。また、従来の政府の試算では、送電費用がコス
 トに含まれていない。発送電分離をしていないのでドンブリ勘定だが、分離したらコストになる。こ
 れが 2.0~4.0円程度。最後に、深刻な事故を起こしたので 事故のための保険に入る必要がある。政

 府の保険があるが、これはワークしておらず、結局、電力料金値上げという形で国民負担にはね返っ
 て
くる。これは本来、負担を平準化する保険で対応すべきものだ。現段階でこうした保険を引き受け
 てくれる再保険会社はないが 500年に1度の重大事故だとすれば、標準的な原子炉1機の被害額1兆
 円に対して保険料は 0.3円程度と計算できる。今回のように福島原発事故で40兆円程度の被害額とす
  れば、それをカバーするための保険料で 3.0円程度は必要だ。
これらを全て合算すると、コスト検証
 委員会の数字に8.6~11.6円を上乗せして 原発の真の発電コストは17.5~20.5となる。石油火力や
 太陽光を除くと、ほとんどの発電方式よりコスト高の数字だ。つまり、政府が出している資料には、
 再処理・廃棄・保険・技術開発コストが書かれておらず、これらを含めて見ると、原発は、太陽光や
 石油火力を除くと、コストの高いエネルギー源になる。このことは、市場原理(発送電分離)を使え
 ば原子力は自ずと価格競争力がなくなり、次第にフェードアウトしていくはずだという意味になる。
 また、単純な比較はできないが、米国エネルギー省資料でも同じような傾向になっている。このため、
 あえて原発を続けようとすれば、政府からの特別な支援が必要になっている。はたして安倍政権はど
 のように対応するのだろうか。自民党内で議論することさえ拒否し続けると、小泉氏はますます血気
 盛んになる。来年4月からの消費税増税、それによる景気ダウンがある。それに、原発再稼働がから
 み、汚染水管理もままならず、除染費用もまかなえない東電に対する国民の不満が、脱原発の動きと
 結びついたら、安倍政権の致命傷になりかねない。はやく、原発について、ゼロと推進の両者の意見
 を党内・政府内で議論したほうがいいのではないか。原発ゼロは電力自由化、東電解体と三位一体で
 あるが、原発推進はなんちゃって電力自由化、東電温存なので、国民にわかりやすい対立軸になるは
 ずだ。



※ オールソーラーシステムを推進する立場のわたし(たち)は、2020年の太陽光発電コストの、14.0円
  /kWh は、高変換効率モジュールの普及によるコスト逓減が影響し、10円/kWh 程度まで可能だと考え
  ている。一方、原発のリスクコスト試算については、福島原発の廃炉や周辺住民への被害、さらには、
  産業被害の実績値が蓄積され、そこから現実的な被害想定が試算され、より確度の高いリスク想定が
  可能となるだろう。

さて、 八田達夫・大阪大学招聘教授 は、冒頭「原発が再稼働されなければ、国益が損なわれると指摘さ
れてきた。この指摘は、多少安全を犠牲にしても、それらの国益を守る為に再稼働を認めるべきだという
無言の圧力を政治にかけてきた」と述べ、「しかし日本の原発の物理的安全性に関する規制水準は世界最
高水準だといわれながら、柏崎原発で設置されるフィルターベントは有機ヨウ素も希ガスも除去できない
(ただし大飯3号4号では有機ヨウ素は除去できる)。さらにはフランスで建設中の原発に設置されてい
るメルトダウン燃料の受け皿の設置義務は日本の原発にはない。一方、避難計画の策定は原発から30キロ
圏内の市町村に任されているが、一定時間内に全住民の避難を義務づける規制はない。このため、全電源
喪失した際には、放射能汚染が、30キロ地点に汚染が到達するのに数時間もかからない可能性があるにも
かかわらず、たとえば柏崎原発では、すべての道路が使えたとしても道路が混雑するため30キロ圏内全住
民の避難には30時間かかる」と矛盾を突いている。

原子力発電の識者は もし再稼働されなければ、以下のように国益が損なわれると指摘する。

 ① 夏の電力不足を招く
 ② 温暖化対策に十分に貢献が出来ない
 ③ 電力料金が法外にあがり、日本の産業がつぶれる
 ④ ホルムズ海峡封鎖のようなエネルギー安全保障の危機に対応ができない

これらを踏まえ論理展開される。

●停電対策としては、原発再稼働よりもインバランス清算制度の設立を

「夏の電力不足のために、原子力発電を再稼動すべきだ」に対し、
ピーク時対策としては、不足するピーク時
だけ価格を大幅に上げ、需要を抑制する仕組みを作ることであると八田教授は主張し欧州での取り組みを次のよ
うに紹介する。

 欧州では、時間帯ごとに販売電力量や購入量の計画値と価格を決めて契約する。その上で、実績値が
 計画値からのずれ(インバランス)が生じた場合には、給電指令所がインバランスを精算する制度
 なっている。
この精算では、その時点における電力システム全体での需給逼迫度に応じて、時々刻々
 変化する価格を用いる。全体で電力が不足しているときには、精算価格は高騰するから、それに応え
 て発電所は発電量を増やしたり、工場は需要量を計画値より削減したりする動機が生まれる。こうし
 て、需給の過不足を市場が調整してくれる。

ところが、日本では、ところが日本の各地の発電指令所は、時々刻々の需給逼迫度を反映した価格による
インバランス精算メカニズムを持っていない。このため日本の新電力を含めた電力供給会社は、価格を固
定した上で需要家に好きなだけ使わせる契約をせざるを得ない。結果的に需要家の電力需要量の増大に追
従して、いくらでも発電してきた。このため、新電力を含めた電力供給会社は、電力需要が急増する夏の
一定時間
だけのために、膨大な発電予備力を用意してきた。原発がすべて止まっている現在でも、既存の
発電の能力でま
かなえているのは、このためであると指摘した上で、現行の固定価格の下での追従発電の
仕組みを業界が改め
ようとしない理由として2つの点を指摘する。

(1)この仕組みは、大量取引をすることによって取引量あたり必要な発電予備力を少なくできる電力会
  社を競争上きわめて有利にしているからである。
(2)この仕組みは、毎夏に電力危機を作り出してくれる。電力危機がなくなれば原発関連産業の存在意
  義が大きく失われるからである。

●二酸化炭素排出量対策は原発ではなく費用対効果の高い炭素税で

「原発は地球温暖化対策として不可欠だ。日本の温暖化対策公約を実現するためには、原発を再稼働しな
ければならない」と言われるが、
国内で二酸化炭素排出量抑制の基本的な対策は、炭素税の導入によって、
発電が生み出す二酸化炭素がもたらす社会的コスト分を、その発電の追加費用として利用者に負担させる
ことことでもって、対策の柱とすることを提案する。ところが日本政府は、炭素税ではなく、原発や再生
エネルギーに対してさまざまな補助を与えるという手段を二酸化炭素排出量抑制策として用いてきた。こ
れらのゼロエミッション発電への補助金は、たしかに化石燃料による発電を一律に不利にし、再生エネル
ギー発電以外を有利にするが、炭素税は、それだけでなく、輸送用や産業用のエネルギー消費をも抑制し
石炭や石油から天然ガスへの転換をも促進し、火力発電における技術開発を促す。炭素税は、原発補助に
比べて費用対効果が高い地球温暖化対策であり、このようなメリットを持つ炭素税に対しては「炭素税の
導入が
もたらす税負担の増加が、日本の産業を衰退させる」という炭素税批判も根強いが、炭素税率の引
き上げがもたらす税収を用いて法人税減税を行えばこの問題はなくなる。これまでCO2をあまり排出してこ
なかった企業に関しては、法人税減税がむしろ活性化のきっかけを与えるだろうと提案し、国内の特定業
界への利益供与でなく、日本で金を使うのではなくて、二酸化炭素排出抑制技術が進んでいない外国で使
うべきであり、今まで原子力産業への利益誘導という目的もあって 、国際的に異常に厳しい二酸化炭素削
減の目標は取り下げ、炭素税の税率を国際水準に引き上げる工程表を明らかにした上で、炭素税導入で得
られる税収は、法人税減税の財源に用いるべきだと提案する。

●上昇した電力価格に合った産業構造のシフトこそ課題

「原発が再稼働できないと、安い原発が使えなくなるから、電力価格が上がることが問題だ」と指摘され
ることが多い。原発が再稼働できないと、電力料金はどのくらい上がるのだろうか。原発がない沖縄電力
の価格は、原発が稼働していた時の本土より約2割高かった。これが一つの目処だといえよう。日本では
原発の真のコストを将来世代に先送りにしていたために、原発を安く見せかけてきた。もし、原発の事故
コストや使用済み燃料の処分費用を算定し、原発で発電された電力を使用した世代に負担させるように価
格付けをすると、日本の大半の原発で発電される電力は、化石燃料発電に電力価格競争で打ち勝てなくな

る。世界でもまれに地震が集中している日本では、保険コストがきわめて高い。その上、狭い国土で使用
済み燃
料を処分することが難しいから、処分の費用も結果的には高く。安全基準を達成した原発に対して
も、相当な保険
料と使用済み燃料処分料を課さなければならない。その上で、電力会社が再稼働するかど
うかを判断することになると指摘。これは前出した高橋洋一が保険料ホストが低いという指摘とも一致す
る。
一方、原発が再稼働しない為に、化石燃料の輸入が貿易赤字を引き起こしていると言われているが、
全国の原発を再稼働しても貿易収支には、7~8兆円の赤字が残ると試算されているから、
資本蓄積が進
めば
対外貸し付けが増え、貿易は赤字になり、その代わりに外国からの知財収入や資本所得が増大してい
くの
は必然であり将来世代へのつけ回しにより、化石燃料の輸入量を人為的に下げるより、サービス輸
出や海外からの直接投資を妨げている要因を取り除くことの方がはるかに重要であると主張している。

●原発はエネルギー安保対策が万全になるまで限定的に使うべき

この議論は、わたし(たち)の縮原発派と立場は同じで、極めて常識的な考え方だ。「ホルムズ海峡封鎖
に備えるためには、原発が不可欠だ」との指摘には、ホルムズ封鎖などの危機のためにまず準備すべきは、
需要逼迫に対応して価格が上がるようにインバランスの採算メカニズムを確立すること、そして、長期に
わたる価
格上昇は、低所得者にきつい。これを緩和するために、政府が金をかけてリスクヘッジをする必
要がある。まず石
炭や石油の備蓄をすることが重要である。つぎに、アメリカやカナダから天然ガスを輸
入できる体制を作ったり、
ハリンからのガスパイプラインを建設するなどして輸入元を多様化すること
も有用
である。これらの体制が整えば、
原発がなくてもホルムズ封鎖のような事態に対処できる。また、
これまでは、エネルギーセキュリティは
原発依存であったから、直ちに原発をすべて廃炉にしてしまうと
危機に備える態勢は整っていない。した
がって、石油や石炭の備蓄やガス輸入の多様化などのエネルギー
安保対策が万全になるまでの当分の間は
万が一の事態に備えて原発を稼働できる態勢を作っておく必要
があると述べているが、ここら辺の段階は具体的な運用レベルの議論を持つ他ない。

●国は原発国有化のオプションを電力会社に示すべき

この議論に関しては、このブログでも記載したことがあり、昨年4月において原発部門の」切り離し、国

有化かと電力制度や会計基準の見直しなど盛り込んだものを提案すべしと指摘していたが、なし崩し的と
いうか、先送りにしてきたのが現状だと考えていことでもあり割愛するろして、八田教授の問題提起を整
頓記載すると、次の5点となり、次のようにまとめるている。

1.インバランス精算制度の設立により徹底した停電対策をとる。
2.炭素税率の引き上げや途上国への技術援助によって費用対効果の高い地球温暖化対策を行う。
3.原発に対する事故保険料や使用済み燃料処分費用などを公害税として課金する。
4.自由貿易を推進し、比較優位の変化に伴う衰退産業の出現を受け入れる。
5.望する電力会社に対しては、エネルギー安保の目的で国が原発を購入することとし、その原資を環
  税、エネルギー税、譲渡益税の死亡時課税などでまかなう。
 


 「停電対策も、温暖化対策も、経済対策もすべて原発再稼働で達成しよう」という識者は多い。しかし
 政策目的のそれぞれに対して、ふさわしい政策手段を採用することによって、再稼働より的確にそれ
 らの政策目的を達成できる。国は、原発を当分の間維持する目的をエネルギー安保に絞って、政策体
 系を作る必要がある。
我が国は、原発の真の費用の負担を将来世代に先送りすることによって、原発
 を安く見せて、原発産業を含めた重厚長大産業を維持してきた。この政策は日本の真の比較優位に反
 する産業を温存してきた。費用負担の先送りを続けるわけにはいかない。
ただし、効率的資源配分の
 ためには、今後の電力料金は、実際の発電に要する追加費用に見合った水準に抑える必要がある。そ
 れを達成するためには、原発を国有化すべきだ。それには財源が要る。日本における原発関連の最大
 の政治的課題は、電力料金を不必要に上げることなく過去の原発政策の後始末をするための財源を確
 保するため新税を創設することである。


以上のように、わたし(たち)の縮原発派と八田教授あるいは、また高橋教授の提案は同調するものと
考える。

 



高糖分トマトのタルト?そんなもの昨年あったけ?そんな時空間にわたしたちは住んでいる。
なんとも奇妙でワクワクする時代にいるのだ。そんなこと想っていたら、頬っぺを抓ってしまっていた。

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二つの御馳走さん

2014年03月30日 | 医療健康術

 

 

●二つの御馳走さん

昨日の昼餉は、わたしひとり外食。たまには気分転換と長いこと行かなかった戸賀町の「ラーメンの
高橋」へ。ご無沙汰を詫びて、いつものように餃子と紅生姜抜きの九州ラーメンを頂き、御馳走の礼
を言い帰ってきた。ところが就眠途中目が覚め寝付かれず悶々としていた。つまりペニスがエレクト
していたためなのだが、こんなこと最近体験したこともなく、ピーエム2・5の喘息の約1ヶ月以前
を記憶がないから2ヶ月ぶりになるだろうか。いつも餃子を頂くときは、食酢:醤油=5:1に摺り
下ろしニンニクを小さじ1/3~1/2入れ、それに餃子を付けラーメンにトッピングし一緒に頂き、
餃子を平らげると残った餃子の付け汁を中華鉢に入れ今度はラーメンを平らげる(スープは1/3程
度を残す)。どうもこれが深夜に効果を発揮したのではと言う仮説を立てた。そこで、その効果を検
証するため玉子二個と摺り下ろしニンニクをかき混ぜ和風だし仕立てのふわふわ巻きにし試食し、自
臨床試験する。

今日の昼餉には、彼女が「カレーうどん」を出してくれたが、あまりに美味いいので驚き、どうした
のかと尋ねるとふじっ子のカレーうどんの素を使い調理したという。標準価格が178円で、饂飩玉
が20円だから198円+α(ほかの食材+光熱費)でこんなに美味しく頂けるのかと二度びっくり。
そこで「感動した!」と言うと、彼女が笑っていた。

 

大気中の汚染物質PM2.5と黄砂が混ざると、より発がん性が高い物質に変化することが金沢大学
などのグループの研究で分かり、研究グループは「PM2.5と黄砂が、共に多く観測されるこれから
4月ごろまでは、より注意が必要だ」と呼びかけていいるという(2014.03.28 NHKニュース)。情
源は金沢大学医薬保健研究域薬学系の早川和一教授らの研究グループだ。それによると、毎年春の
黄砂が
多く飛んでくる時期に、PM2.5の中でも発がん性が極めて高いとされる「NPAH」と呼
ばれる物質の濃度が
高くなることに着目。そして、大気中に含まれる「窒素酸化物」とPM2.5に
必ず含まれる「PAH」が入った容
器に黄砂を入れて拡散させる実験を行ったところ、NPAHに変
化することが分かったという。NPAHは、多くの
研究者の実験で肺がんなどを引き起こすリスクが
PAHよりも100倍以上高いことが示されているが、早川教授は
「これまで黄砂だけ、PM2.5
だけで対策を考えていたが、複合影響があるという前提で対策を立てることが
大切だ。共に多く観測
される時期は、PM2.5を通さないマスクを着けるなど特に気をつけてほしい」と話して
いている
という。マスクだけでいいのか?という思いがこの情報に接し第一に思いついたことだ。この疾病に
よる、有形・無形の社会的な対費用効果(便益費用分析:勿論、この場合「マイナス」なのだが)を
政府に試算依頼申請し、その結果をオープンすることが今日的な対応だろうと考えている。そして、
関係者(関係国)との共同協議に入るべきだと(参考:http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3316
_all.html
)。実は、ネットで下調べしみたら対策の行動計画と行動はチャンとなされていることが了解
されているので、しばらく静観することにした。

 



まあ、そんなことで、後の残件(『ピーエム症候群と向き合う』)は、衛生マスクの新規考案の準備
ということになるが、これはすぐには手を付けられない状況だから、折りをみて試作してみる。対処
療法としては『ベンザブロックL錠』の服用がいまのところ合っているみたいだが、
イブプロフェンは
他の2-アリールプロピオン酸類など比較しても、きわめて弱い光過敏症しか引き起こさない、あるい
は、
これはイブプロフェンを「主役」と見た際であり、イブプロフェンの代謝過程で生ずる危険性な
どは考慮していないとあり、「光過敏症」のマイナス面が自己臨床試験的に気になるところである。
もっとも、個人的には、精神安定剤的な効果が有りそうでそこの兼ね合い含め要自己管理ということ
になる。

 要参照「イブプロフェンのデジタルケイジアン

 

 ●けが予防に前屈開脚



今朝のテレビでの話。プロ野球が開幕し、日ハムの斎藤佑樹投手の出来に具合を聞かれ、解説者のひ
とりの
金田庄一が、厳しい評価をしていた。また、テニスプレイヤーの錦織圭がベスト4まで進出し
たが、内股筋肉痛のため出場停止したことを受け、下半身の大腿四頭筋、つまり、主に膝に膝を伸ば
す働きをする太ももの表側の
筋肉群。大腿直筋、外側広筋、中間広筋、内側広筋の4つの筋肉を鍛え
ろ、とりわけ内側広筋(ないそくこ
うきん)をきたえなければというコメントを述べていたが、その
典型例として、相撲力士の鍛錬法である”又割り”
稽古は大事だというふなことを、自分の体験を交
えそう言っていたのが印象的だった(通常、開脚前屈をさす)。それで、この1ヶ月ろくに鍛錬でき
てこなかたので、ここは、そのストレッチ体操をやろうと決めた。その効果のほどについては、後日
書き留めておこう。




●臨床経済評論家 長谷川慶太朗の幕引き

第1章 日本―大転換するこの国のかたち(TPP参加と日本農業と水産業の今後;二〇二〇年東京
オリンピックでインフレは起こらない;長期政権となる安倍政権の来し方行く末;日本企業が担うシ
ェールガス革命)

第2章 アメリカ―好調経済に水差すレイムダック・オバマ(量的緩和縮小への転換;混迷するアメ
リカ政治;オバマケアとリベラル政治の限界)

第3章 中国&新興国―量的緩和縮小で波乱要素一杯(揺らいできた中国の内部;シャドーバンキン
グを経営する人民解放軍;中国経済が破綻したら日本経済はどうなる?;経済が落ち込む新興国)

第4章 ユーロ―メルケル功成りて他国は枯れる(ユーロ圏の経済停滞の現状と今後の展開;ヨーロ
ッパに君臨する第四帝国


今日のネット検索で「リニアは必ず失敗する」の節見出しが気になり関係ハイパーページを開くが、
もう昔のように購読衝動が起きなくなっている。前記した目録見出しをみても、わたしならこう書く
だろうというイメージが瞬時に起草され、それは、彼とは異なる結論になるだろうということが、た

やすく想定されるためだ。とは言え、 「リニアは必ず失敗する」では、リニア建設投資のダイナミッ
クな便益性分析(B/C)で効果が薄いとの思いは彼と差異はそれほどないだろう。もっとも、そも<便
益性分析(B/C)>とは何か(アルゴリズムの定義)を巡る摺り合わせ(合意形成)が重要で購読して
みて精査する必要があるものの、購読しても肩すかしを喰らうだろうと考えている。このように、彼
の恣意的で皮相的な言説とは、随分と前に幕を引いてしまっているのだ。

※参考「1より大きいことは良いことか?:費用便益分析を正しく位置付けることから始める


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三つの国の城主

2014年03月29日 | 時事書評

 

         

● 大河ドラマ 軍師官兵衛

今月24日に長浜の黒田官兵衛博覧会入館者数が五万人を突破したことが報じられた。
NHKの大河ドラマの視聴率は今ひとつ伸びがないが、人気俳優・生田斗真がの『軍師
官兵衛』に出演してから視聴率が上向きだした。生田が演じるのは、キリシタン大名と
して広く知られている高山右近。彼は、主人公・黒田官兵衛とも距離が近く、豊臣秀吉
の配下として活躍したが、後に国外追放となってマニラで没する。右近は、天文21年(
1552年)に大和国宇陀郡の沢城(現在の奈良県宇陀市榛原)を居城とする高山家に生ま
れた。彼の父もイエズス会の人物に影響を受けたことから、彼は12歳の時にキリスト教
の洗礼を受ける。永禄11年(1568年)に織田信長の強力な軍事力の庇護の下、15代将軍・
足利義昭が「摂津三守護」を任命したが、それによって摂津は大きく混乱。高山家もこ
の混乱に巻き込まれ、最終的に荒木村重の支配下として、高槻城に入る。ところが天正
6年(1578年)に、右近の主君である荒木村重が織田信長に反乱するが右近は、高槻城
を落とそうとする織田信長に従い、その離脱により村重側は大きな痛手となる。右近は、
高槻城主として地位を安堵され4万石へ加増され、天正10年(1582年)に本能寺の変が
起きると、右近は羽柴秀吉に従って山崎の戦いで功績を上げる。その後も、秀吉に従っ
て賤ヶ岳の戦いや小牧・長久手の戦い、四国征伐に参戦、天正13年には、新たに播磨明
石郡6万石領地として加増される。ところが、秀吉による「バテレン追放令」が施行さ
れ、領地・財産を棄てて信仰を守る道を選ぶ。暫く、小西行長や前田利家の庇護を得て
いたが、徳川家康のキリシタン国外追放令を受けて、慶長19年(1614年)にマニラへ渡
るものの翌年に没する、享年64歳。 




3月16日放送の大河ドラマ軍師官兵衛 11話「命がけの宴」に登場した。高山右近
は、黒田官兵衛に大きな影響を及ぼした人物。真面目で清々しい雰囲気の持ち主だった
といわれ、黒田官兵衛もそんな高山右近に惹かれ右近の奨めで、キリスト教に入信(嫡
子の黒田長政もキリシタン大名)。他
にも、名将と言われ、織田信長の娘を娶った、蒲
生氏郷や小西行長、牧村政治、が入信、この他、細川忠興前田利家らが右近の影響を
受けキリスト教に好意的であった。若くして内紛に巻き込まれ、首の3分の2を切られ
る瀕死(ひんし)の状態から
奇跡の生還を遂げ(天正元年、高槻城で高山右近と和田惟
長の斬り合いによるも
で、フロイス『日本史』に、まず右近が惟長に致命傷二カ所与え、
右近も片腕を負傷。
その後、右近の家臣が暗闇のため、敵と間違って右近の首を半ばほ
ど切断したとある)、ドラマでは首に大きな傷をつけた状態で登場していた。

    

「キリシタンとして争いのない国をつくりたいという反面、武将として人を殺さなけれ
ばいけない、という葛藤も出していきたい」と話す。念願の大河だ。「役者を続けなが
ら、ずっと思っていたこと。岡田さんとも共演したいと思っていたので、出たいという
意思をあちこちで伝えてきました」とドラマへの意気込みを語る。一方、村重は、右近
が領民から慕われていることを認め、キリシタン宣教を、織田軍は石山本願寺の門徒の
手を焼いていたこともあり奨励する。この村重の妻「だし」までもがキリシタンに入信。
「慈悲の心」で高価な着物を貧しい者に施してしまったという「だし」。「心が晴れ晴
れとなりました」という彼女に、村重は「美しく着飾っている『だし』を見ていたかっ
た」と苦笑いする。



●その後の右近とキリシタンの受難

高山右近は、1552年(天文21年)に高山友照の嫡男として大和国宇陀郡の沢城(現在の
良県宇陀市榛原)に産まれ、父の高山友照が奈良で琵琶法師だったイエズス会員ロレ
ンソ了斎の話を聞いて感銘を受け、洗礼を受け家族も入信。バテレン追放後は、親しか
った前田利家の加賀藩内に領地を与えられ、従軍し小田原征伐に赴いたり、加賀藩の相
談役として働らく。秀吉の死後、1614年1月(慶長十八年十二月)、臨済宗の僧、金地
院崇伝の起草による「伴天連追放文」が日本国中が知るべき掟として公布された(慶長
の禁教令)。

 日本は神国であり、吉利支丹の教えは正宗なる神仏を惑わす邪宗である。吉利支丹
 国の者は日本に商船を来航させ、財貨をもたらすためだけでなく、邪法を広めて正
 宗を混乱させ、日本の政治を改変しようとしている、これは大きな禍の兆しである

2月には京都から宣教師が去り、長崎へと護送されていった。4月京都に残り棄教を拒
んだキリシタン達71名が奥州は津軽へ流罪となる。九州へ宣教師追放と教会破却のため
伏見城番山口直友が派遣され、各地で宣教師や日本人信徒を摘発し、11月6日には高山
右近の一族と共にマカオとマニラに追放し、長崎の11の教会を焼却した。その後有馬地
方にも赴き、キリシタンの摘発と棄教を迫り、従わぬ者は処刑した。慶長禁教令による
迫害はこれが最初である。その迫害のすさまじさは、遠藤周作の小説『沈黙』で有名な
フェレイラ神父の棄教として描かれている(※彼は、元天正遣欧使節の中浦ジュリアン
と共に穴吊りの刑に処されている:
キリシタン史「江戸初期の大迫害」参考)。

●大一大万大吉は家紋?

関ヶ原合戦図屏風(井伊家本)などを見ると、石田三成は、陣幕に「大一大万大吉」と
いう合わせ文字紋を使用しているが、この文字紋は、実は江戸末期以前の文献史料には
見当たらないという。三成は、石田家の家紋としては、基本的には九曜紋を使用してい
た。九曜紋については、石田家のルーツを辿ると、代々使用している紋でもあり、三成
がこの紋を使用した史料も残っているらしく、とりあえずは三成の家紋は九曜紋という
のが確定的とされるが、「大一大万大吉」が江戸末期までの史料に見えなくなるのは、
徳川家の陰謀といわれる。



「大一大万大吉」は、源平合戦の時代に木曾義仲を討ち取った石田次郎為久という武将
が用いていたものを三成が気に入って使ったというが、その意味は「一人が万民のため
に、万民は一人のために尽くせば、天下の人々は幸福(吉)になれる」。そう、アンド
レ・デュユの『三銃士』の銃士の合い言葉「国王は銃士のために、銃士は国王のため」
One for all, All for one)である。
石田三成は天正18年(1590) に佐和山に入城。佐和山
城は、安土城を築く以前、織田信長が上洛の途中によく利用した城。入城当初は10万石
程度の石高であったが、後に、犬上、坂田、浅井、伊香の湖北4郡を与えられて19万4
千石の大名となる。佐和山城主としての領内の政治は、現在湖北各地に残る13か条、9
9か条の掟書で詳しく分かる。この掟書は、十三か条が12点、九ヶ条が10点 合計22点
の存在が確認できる。
文禄5年(1596)3月1日付で、一斉に、領内津々浦々に配布さ
れた。
掟書の目的は、農村で生活し年貢を支払う百姓を、基本的領民として把握しその権利
と義務を明確化にある。例えば、第一条では年貢の決定方法を細かく規定。第九条では、検地
帳に記載された耕作者の権利をしっかり保障している。当時の諸大名で、これほど綿密で長文
の規定を領内に明確に示している領主はいない。農作業の実態を熟知し、領内の状況もにつ
いても、村単位で実情を把握していたことを示している。石田三成の領主として、統治者(知事)
としていかに有能であったかが如何得るという。

その能力が、1583年の賤ケ岳の戦いでまた石田三成の能力が発揮される。秀吉軍本隊が
大垣付近に布陣し、北近江本陣が留守の間に、柴田勝家軍の一部軍勢が攻撃。その情報
を得た秀吉は急遽、大垣から北近江まで52キロの道のりを戻ることになったが、
当時の
標準的な移動時間からすると、最低でも12時間はかかる。重い兵糧を腰にまいての移動
では確実に間に合わない。
しかし、秀吉軍本隊はこの時なんと、この距離をわずか5時
間で走り抜いている。
この「不可能」を「可能」にしたのが石田三成。なんと、大垣か
ら北近江までの往還沿いの村々に命じ、松明と握り飯の用意を命じておいたのです。こ
の三成の戦略によって、軍は重い兵糧を運ぶ必要がなくなり、休憩時間を大幅に短縮さ
せることができました。そればかりか、空が暗くなる夜には、沿道の家々に松明を用意
させ、暗さによって起こる軍の走行スピードの低下を防いだのでした。これは石田三成
の並みはずれた「指導力」と先を読んで確実に予測する「計算力」によるものと評され
ている。


また、秀吉の時代になり、最終的に三成の居城になり、三成は佐和山城に大改修を行っ
て山頂に五層(三層説あり)の天守が高くそびえたつほどの近世城郭を築く。ただしあ
くまで実戦本位に造った城であって、城の壁は粗壁であり、庭には風情のある植木もな
く手水鉢は粗末な石、また何の装飾もない質素な造りで、これは三成が収入のほとんど
を仕事に使い、自分のために残さなかったという清廉潔白さを表すという。関
ヶ原後の
東軍の寄せ手が佐和山城を落としたとき、さぞかし豪勢で、私財を貯えているだろうと
思っていたが、金銀もなく、あまりの質素さに驚いたというほどである東軍についた武
将には、三成の高邁な思想など想像だにできなかったと伝承されている。つまり、これ
は九曜と七曜との家紋の星の数や禄高の違いや信仰(布教)政策の違いはあるものの三
成も右近も善政を敷き領民に普く慕われていたことは共通している。

●その才能故、疎まれた黒田官兵衛

黒田氏の家紋は「石餅(石持)」と「藤巴」である。『寛永諸家系図伝』などによれば、
賤ヶ岳山麓の近江国伊香郡黒田村の出身とされるが、定かではない。孝高の祖父・黒田
重隆の代に備前国邑久郡福岡村から播磨国に入り、置塩城の守護赤松晴政、後に晴政重
臣で御着城(現在の姫路市東部)を中心に播州平野に勢力を持っていた戦国大名の小寺
則職・政職父子に仕えた。小寺氏は黒田氏を高く評価し、重隆を重臣として天文14年(
1545年)姫路城代に任じた。重隆の子、黒田職隆には自らの養女を嫁がせ、小寺の名字
を名乗らせている。影の軍師として秀吉に仕えた官兵衛は、1546年、姫路城城主黒
田職隆の長男として生まれたが、当時は城主もいないようなちっぽけな御着城の出城。
毛利攻めの大返しに、黒田官兵衛が天下取りを進言した秀吉が後年、「(秀吉が)どう
してよいかわからぬときに、官兵衛は即座に策を述べた」と何遍も周辺に話しており、
秀吉が本能寺の後すぐ自分が天下人になれるかもって思う気持ちを回りに悟られたくな
かったのではとの指摘があるが、官兵衛のその"勝負師の言動"(野心家)が覚られる何
かがあったということにもなる。ここが石田三成や高山右近と異なるところだろう。

は言え、石田三成、高山右近、黒田官兵衛に共通する鋭利さ、その実行力(特に、三人
とも築城名人と称されている)、行政力(ただし、人望につい単純に比較できない)は
他の武将とは並み離れていたことは肯くけるだろう。

官兵衛は、秀吉による九州平定の論功行賞として、天生15(1587)年7月に京都
・築城・仲津・上毛・下毛・宇佐の豊前6郡12万石の大名となり、翌年、中津城を築
城。以来、慶長5(1600)年息子長政に与えられた筑前(現福岡市)の領地に移り
住むまでの13年間、一国の領主でありながら秀吉の軍事参謀としての活躍が続いた。

天生15(1587)年、豊前6郡の領主となった官兵衛は、入国すると直に下記の3ヵ条の掟書き
を発し、主従関係の確保、治安維持、年貢米(税)・土地支配の姿勢、という領国経営の基礎方
針を簡潔に領民にわかりやすく打ち出しす。

 一、 主人、親、夫に背くものは罪として罰せよ。
 一、 殺人、盗み、強盗をしたもの、それを企てたものはその罪を罰せよ。
 一、 隠田、畝ちがえ(田畑を隠す、広さを隠す)などをしたものも同前である。 

官兵衛が行った検地は、検地奉行の派遣による正確な実測を行うものではなく、指出と
呼ばれ
る申告による検地。当然申告は実際より少なくなるが、官兵衛は見栄を張らず石
高を低く抑え、
農民の税負担を軽減したが、宇都宮一族は、文治元(1185)年に初
代信房が源頼朝から豊前
国を拝領して以来、弟や子を豊前の谷々に置き、400年にわ
たって支配し続け勢力を大きくし
たが、天生15(1587)年、秀吉による九州平定
の論功行賞として豊前6郡は官兵衛に与え
れ、それまで統治していた宇都宮一族の本家
宇都宮鎮房は城井谷から伊予への転封を秀吉に命じられた。これを受け入れられない鎮
房を中心に、検地に反対する豊前の国人が一揆を起こした。
これに対し、官兵衛は毛利軍
の手助けを受け徹底して一揆を鎮圧。幾度もの合戦が行われ、いくつもの城が落城した。なか
でも、長岩城(耶馬溪町川原口)の城主野仲鎮兼は一族最大級の兵力をもって激しい攻
防を繰
り広げたが、黒田軍の前に敗れた。最後に当主宇都宮鎮房は降伏するも、中津城
内にて討た
れ、宇都宮一族は滅ぶ。このように、知略により人を殺さずに話し合いでの
決着を図ってきた官
兵衛だが、宇都宮鎮房の謀殺事件では、かなりむごい仕打ちをした
のは、この時期、肥後一揆
を封じこめられなかった佐々成政が秀吉に切腹させられてお
り、一揆の徹底鎮圧は秀吉の指
示でもあったととも言われている(「豊前の国中津統治
時代」参照)。最後に、ダウンタウンの松本人志の官兵衛評を紹介し、" 戦国時代の三
国の城主" についての今夜の話を切り上げよう。

 息子の大活躍により、関ヶ原の戦いは半日で終わる息子の長政が、西軍の小早川秀
 秋や吉川広家を寝返らせて、家康軍を勝利に導くという大手柄をあげたんです。お
 気に入り詳細を見る 長政は、官兵衛に家康が自分の手を取り、なんどもお礼を述べ
 たことを告げる家康から「よくやってくれた」と言われたのを自慢げに話しました。
 
  官兵衛「そのとき、内府(家康)はお前のどちらの手を取った?」
  長 政「右手でした。」
  官兵衛「その時、お前の左手はどうしていた?」
  長 政「・・・」

 これは、
なぜ左手で家康を殺さなかった?という意味。息子は親の官兵衛の戦略を
 理解していなかったようです…残念。

 

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チューニングの前に

2014年03月28日 | デジタル革命渦論


【日常の最新科学技術】 

●人工衛星から雨雲スキャンレーダ 

上図は宇宙航空開発研究機構と米国航空宇宙局などと共同開発した全球降水観測計画(GMI)主衛星
持つマイクロ波の受動型13周波数チャンネルによる輝度温度を示しす。左から、10.6GHz鉛直偏波(V)、
10.6GHz水平偏波(H)、18.7GHz V、18.7GHz H、23.8GHzV、36.5GHz V、36.5GHz H、89GHz V、89GHz H、
166GHz V、166GHz H、183±3GHz V、183±7GHz Vのチャンネル。10.6~23.8GHzチャンネルは水滴の
雨に感度があり、36.5~89GHzチャンネルは液体と固体降水の両方に感度がある一方、高周波は固体
降水(雪)に感度がある。GMIは、協力機関の副衛星群による一貫した世界中の降水を提供できるよ
うに高機能な校正能力を有しています。さらに、GMIは雲の構造を詳細な解像度で示すことができる
ようになると言う。わたし(たち)は、これらの内挿データ群(説明因子)から予測(目的因子)
のデータを素早く可視化し、地上観測データ群と統合し、自然災害に対するレジリエンスを高め、
住民の生活向上に役立てられることを
期待している。ノズルの開発購買からはじまったわたしの熱
流体学の数値計算と可視化の専門知識習得と実験経験はおおよそ20年、本件の雨雲スキャンレーダ
や全球降水観測マイクロ波放射計の理解に少しは役立ったことに、ホッとしたような安堵を感じ、
不思議な気持ちでいる。それは、わたし(たち)も多少なりとも知っていたのだという、いわば、
時代から取り残されていないことの自己表明のようなものが働いているのかも知れない(なぜ「流
行に遅れたくない」と思うのか、吉本隆明『僕なら言うぞ!
』)。

 

 




●豊富・安価・低毒性な水分解光触媒物質

光触媒物質として酸化チタンはよく知られているが、結晶構造がアナターゼ型とブルッカイト型の
酸化チタンのそのバンドギャップは3.2eV以上のエネルギーをもつ光である紫外線が照射される
と、伝導帯に自由電子を同時に価電子帯にホールを生じ、これらの自由電子とホールとが物質外に
放出されることがあり、放出された自由電子とホールとがそれぞれ酸化・還元し、その物質周辺の
大気汚染物質、揮発性有機化合物(VOC)、NOx、臭気物質、および、ダイオキシン等を酸化・
還元作用で分解除去し殺菌する等光触媒として機能する(下図「酸化チタンの光触媒機能発現メカ
ニズムを示すエネルギーダイヤグラム」参照)。この他の光触媒材料には、酸化鉄(Fe23)、
酸化タングステン(WO3)、酸化スズ(SnO2)、酸化ビスマス(Bi23)、酸化ニオブ(Nb2
5)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(Cu2O)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化亜鉛(
ZnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸鉄(FeTiO3)、酸化ケイ素(
SiO2)等の酸化物半導体がある。

 特開2008-126100


下図に示すように、太陽光や蛍光灯光のスペクトルは、450~600nmの波長域にピークをも
ち、400nm以下の成分は非常に少ない。一方、上述のような酸化物半導体は、400nm以下
の領域の光しか吸収しないものが多い。従って、これら酸化物半導体からなる光触媒を太陽光下あ
るいは室内の蛍光灯下で使用する場合、光の利用効率が低く、十分な光反応を生起することができ
ないという問題点がある。その対策例として、酸化物半導体に窒素原子Nを配すると、酸素Oの特
性を支配する半導体の価電子帯が影響を受け、酸化物のバンドギャップの内側に新しいエネルギー
準位が形成され、バンドギャップが狭くなる。その結果、窒素ドープ前の酸化物の場合より低エネ
ルギーの長波長光をも吸収して、電子と正孔を生成し、光触媒作用を呈することが可能となる。ま
た、窒素のドーピングにより、生成した電子と正孔の寿命が長くなる。さらには、構造的に材料表
面への有機物やガスの吸着性が高くなるため、この相乗効果によって触媒活性が向上する。太陽光、
蛍光灯光を光源とした場合における光触媒効率、すなわち、有害ガス分解、水浄化、有機物分解、
抗菌などの効果を向上することができる。さらに、可視光照射による物体表面の濡れ性や、防曇性
能が発揮され、またこれらの特性を長時間保持できるようになる(下図の酸化錫の例参照)。

 

特開2001-205094

さらに、別の方法として、光触媒機能を発現する酸化チタンなどの物質(百モル/バンドギャップ:
1~5eVの範囲)に、これより小さいバンド
ギャップ(0.3~5eVの範囲/伝導帯電位:
-2~0Vの範囲)の第2物質(1~12モル)の物質を結合させ方法がある(下図参照)。この
ときの第1物質は、炭化珪素、ガリウム燐、ガリウム砒素、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、硫
化カドニウム、カドミウムセレン、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化ニオブで、第2物質が、酸化
ケイ素、酸化ゲルマニウム、酸化ストロンチウム、硫化モリブデン、酸化インジウム、酸化ビスマ
ス、酸化タングステン、酸化スズ、酸化バリウム、酸化ホウ素および酸化カドニウムなどである。
 


特開2008-126100

さらに、物質・材料研究機構で、太陽光をエネルギー源として水から水素燃料を生成することがで
きる新しい光触媒物質:4酸化3スズ(Sn3O4)を発見している。それによると、可視光を吸収し、
水を分解できる新しい光触媒材料の開発が世界規模で進められているが、現行の材料の多くは高価
なタンタルなどのレアメタルや毒性の高い鉛を高濃度に含み、コストや環境対応性の面で課題を抱
えていが、
理論科学と実験科学の連携により可視光下での水分解光触媒反応に対して好ましい電子
構造を持つ可能性があるという理論予測に基づき物質探索を行ったころ、これがビンゴー!スズの

酸化物は、毒性が低く、安価であり、豊富に存在し、透明電導体の材料として広く利用されている。

 Sn触媒は、同じくスズと酸素から構成される2酸化スズ(SnO)や、高活性水分解光
触媒として知ら
れ、酸化チタン(TiO)実用化して広く普及することを考える場合、触媒によ
る水素生産量を評価するには、触媒に含まれる金属の産出量も考慮した年間最大水素生産量)が活
性を示さない可視光照射下(照射光波長>400ナノメートル)で、メタノール水溶液から触媒材
料1グラムあたり1時間につき0.52ミリリットルの水素ガスを生成する(上左図)。今回得ら
れたSnの年間最大水素生産量は、最先端の可視光感応型水分解光触媒物質、例えば銅ドー
プ・タンタル酸ビスマス(BiTaO)と比較して、約5倍の値に相当。まず、理論的観点から、
2価のスズイオン(Sn:Cu) Sn2+を含む酸化物が、可視光下での水分解光触媒反応に対し
て触媒活性を示す可能性が予測。
Sn2+を含みさらに可視光を吸収するために好適な電子構造を
持つSn(Sn2+Sn4+ )を探索・合成し、その光触媒活性を確認。SnOは、
Snと同じくスズと酸素から構成するが
、Sn4+イオンが形成する伝導電子帯と酸素が形成す
る価電子帯のエネルギー差が大きすぎる(~3eV)ため、可視光を吸収することができない。一方のSn
は、Sn4+イオン由来の伝導電子帯と酸素由来の価電子帯の間にSn2+イオンが新たな電子状態を形成
するために、効率的に可視光を吸収できる点である。
上図から、主にSn 4+からなる伝導帯(エネルギー:+2eV以上)と、主に酸素からなる価電
子帯(エネルギー:-2eV以下)の間に、Sn2+と酸素からなる電子状態が形成され(エネル
ギー:
-2eVから0eV)。可視光は、この電子状態から伝導帯への電子遷移によって吸収され、
触媒
表面における水分解反応にエネルギーを供給する。








●色素増感ではなかったペロブスカイト型色素増感太陽電池?

昨夜のつづきともなるのだが、前述した酸化チタンの「エネルギーダイヤグラム」と大いに関係あ
るる話。桐蔭横浜大学の宮坂力らのグループが開発した有機-無機複合物質のハロゲン化鉛系ペロブ
スカイト利用の色素増感太陽電池だが、この物質はハロゲン化鉛(これは負の帯電したユニット:
鉛毒性でいやがる専門家がいるが、ここは過渡期の実験段階とわたしは考えている)の作る二次元
シートと、有機カチオン分子が並んだ層とか交互に積層した物質で構成することはブログ掲載済み
だが(有機カチオンは耐久性が悪いと指摘する批判がある),これを酸化チタンに吸着させると非
常に効果的な増感色素となり、2009年に発表され、
2012年にはついに変換効率が10%を超えるものが
試作されてきた(現在で、16%以上を記録、東大の瀬川グループも矢継ぎ早に記録更新していると
の情報もある)。前述したように、色素増感太陽電池は、「電荷分離を起こすにはちょうど良いけ
ど、光吸収が弱い物質」と「光吸収が強い物質」を組み合わせ役割分担させることで発電する素子
であるが、ペロブスカイト系は「自分のところで光を吸収して、単独だけでも、そのまま電荷分離
を起こし起電力を生んでいる」可能性があるという論文が提出されている(下図参照、2013.11.15)。

 
さらには、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームが、ペロブスカイト系太陽
電池の低コスト作製法を開発した。有機分子の蒸気を利用した溶液プロセスによって、ハロゲン化
メチルアンモニウムとハロゲン化鉛からなる有機/無機ハイブリッド型ペロブスカイト薄膜を形成
する。
変換効率は12%超と報告されている(2013.12.30Journal of the American Chemical Society )。
そうすると、酸化チタンや酸化亜鉛がなくとも、あるいはない方が良いということにもなり議論を
整理する必要がでてきたというわけで、(薄膜型)有機/無機のハイブリット化合物系半導体太陽
電池というカテゴリーに分化される事態に直面したという、なんともやるせない思いが去来せぬも
のではないが、前述の光触媒やこの太陽電池を理論科学によるチューニング(電算機による構造設
計)による最適化の前に基礎研究に立ち返ってみる必要がある。そのことを見越して、わたし(た
ちは、いちはやく量子スケール電子デバイスあるいは量子スケール太陽電池(=光電変換素子)と
呼んでいたのだが、「4酸化3スズ」のように、変換効率が20%超えしてくる日も近いと期待でき
ると、タイピングしながら楽観的な思いに傾いている。

頑張ろう!ニッポン/頑張ろう!セカイ。^^;

 

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進化するペロブスカイト

2014年03月27日 | 時事書評

 

●錦織ベスト4進出、今日フェデラーと激突

世界ランキング21位の錦織圭が大逆転で金星を挙げたという。同4位のダビド・フェレール
を3
時間5分の死闘の末、7-6、2-6、7-6で下しベスト8に進出した。錦織が世界ト
ップ5に勝つ
のは5度目で、日本男子としては7度目。26日(日本時間27日)の準々決勝
では元世界1位で同5位のフェデラー(スイス)と対戦する。敗退まで、残り1ポイントに追
い込まれるたびに、錦織は不死鳥のようによみがえった。息も詰まるようなラリー戦を制し
、約10カ月ぶりにトップ5から金星を挙げた。「相手は本当にタフな選手。その選手に勝てて
うれしい」と鉄壁の守備を誇る壁のような相手を、打ち破った喜びを語った。 左右前後、そ
して高低に、あらゆる角度にボールが飛ぶ。ともにストロークを主体にするスタイルだけに、
長い試合は錦織も「覚悟していた」。今季は課題だった体の故障もなく、「体力で上回れたの
は大きい」と、世界一流の相手との連戦にも決して大きくない体は悲鳴を上げなかったとニュ
ースは伝えている。

    

この勝利で、トップ5のフェレールから3勝目となった。フェレールの守備型、錦織の攻撃型
の差はあるが、ラリーが続くため、錦織にとってリズムがつかみやすい相手。共通の
弱点はサ
ーブで、相手にサーブのパワーで圧倒されることも少ない。12年ロンドン五輪で
も破っており
苦手意識は薄い。4大大会に次ぐ格付け(マスターズ大会)のこの大会で初め
て8強に進出し
た。20位以下に落ちていた世界ランクも、再びトップ20に返り咲くのは確
実。次戦は4大大会
歴代最多17度の優勝を誇るフェデラーが相手。通算対戦成績は1勝1
敗。「誰が来てもチャン
スがある」。日本のエースは心技体ともに充実し、昨年5月の大
金星の再現も夢でない。

尚、マスターズ大会 4大大会に次ぐ規模の大会で、年間に米国、欧州で各4大会、アジアの
上海で1大会、計9大会ある。賞金総額は約380万ドル(約3億8千万円)~650万ド
ル(約6
億千万円)。85年創設のソニーオープンは今季マスターズ2戦目。過去の優勝者
にはジョコビ
ッチ、フェデラー、アガシ、サンプラスらがいる。



●中国の後追い帝国主義

日本維新の会の石原慎太郎共同代表が昨日、東京都内の日本外国特派員協会で講演し、2012年
の尖閣諸島(沖縄県)の国有化について「民主党政権が人気稼ぎで買ったのは間違い
だった。
国のマター(問題)にして、相手(中国)を刺激してしまった」と述べ、当時の
野田政権の対
応を批判したという。 石原氏は都が購入を計画していたことに触れ、「都
に任せておけば、
灯台をつくるなど人道的なことで実質的な施政権を示すことができた」
と指摘し、国有化後、
中国公船による領海侵入が急増していることなどに関し「シナ(中
国)の属国になることをど
う防ぐか、日本人は真剣に考えなければならない」と述べたい
う。下図はそのニュースの説明
図。 

 

これをみて首をかしげてしまった。というのも、2010年9月7日午前、尖閣諸島付近で操業中で
あった中国漁船と、これを違法操業として取り締まりを実施した日本の海上保安庁と
の間で発
生し尖閣諸島中国漁船衝突事件が発端であり、一自治体首長の越権行為を "老人
の暴走"と田
中真紀子参議院議員に揶揄されごとく、野田元総理と石原を含めた二人の軽率
さによるものだ
とわたし(たち)は考えていた。尖閣諸島中国漁船衝突事件の漏ビデオを
みて、この中国漁船
々船長(を含めた乗組員ら)は、孫子の兵法でいうところの死間(第
十三篇 用間)に近い行
為だと判断できるのではないかと考えていた(実際、この事件の
場合、船長(ら)は民間人を
装うが、ケースによれば、拿捕(処刑)あるいは沈没死、あ
るいは戦闘行為中ので死亡もあり、
それらも含め日本政府への政治的メッセージであった
はずだ。ところがこの事件が発生する1
ヶ月前に、このブログ(『南西諸島水都構想Ⅰ』
 2010.08.08)から『マイクロエアークラフ
』(2010.09.26)にかけて、沖縄海域周辺
の海洋(海底)開発の必要性をテーマに記載して
きたことも、この事件を引き起こす遠因
になっていたのでは?ととも考えたこともあった。そ
れほどまでに、米国を後追いするよ
うな中国側のサイバースペースの諜報検閲活動が顕著にな
っているが(国内の中国語のイ
ンターネット掲載記事が急増している)、ロシアマルクス主義
の影響色濃い国柄、当面、ソフト
パワーやハードパワーなどの軍事力を紛争解決の手段にした
帝国主義的行動が収まることは
ないだろう。


●日米韓首脳会談中に威嚇ミサイル

そうかと思えば、オランダ・ハーグで日米韓の首脳が北朝鮮政策を論議している最中、北朝鮮
が26日未明、中距離弾道ミサイル「ノドン」の発射に踏み切ったという物騒なこと
も起きて
いる。北朝鮮の政治経済分析の専門家もこの不可解な行動に戸惑いを隠せない。
その日米韓だ
は、米国政府が関係改善は、「アジア太平洋地域における米国の重要な役割
は、(日米韓の)
同盟の強さにかかっている」というオバマ大統領の言葉に集約されてい
るという。勿論、アジ
アに安全保障の重心を移すリバランス戦略を進める上で、米国には
フィリピン、オーストラリ
アを含む同盟各国とのネットワークと連携の強化が死活問題と
なり、オバマ政権は、アジアで
東・南シナ海における中国の覇権主義と、北朝鮮の核の脅
威に直面しているのみならず、ウク
ライナでロシアとの対峙という「2正面」を強いられ、
ロシアとの対立が長期化し、外交・安
全保障に足を取られるだけに、オバマ政権は東アジ
アの緊張緩和が重要だということだが、米
国はこのところ日本の立場を支持する方向にあ
り(ハフィントン・ポスト「日米韓首脳会談、
韓国はなぜアメリカを味方にできなかったのか 」、2014.03.26
)、軍事力の退潮期にある米
国には経済力というソフトパワーはいま
だ堅調だろう。極端な例えだが「協力しなければ、ト
ヨタを、サムソンを締め出すぞ!」
と威嚇するだけで充分だろう。特に、故ピーター・ドラッ
カーが称した敵対的貿易輸出の解決に行われた"半導体不平等条約交渉"などの日米経済構造協
議の顛末を目の前にしてきた韓国にとってこれは致命
的だ。

 

【最前線 ペロブスカイト系太陽電池開発:特開2014-056962

●背景と課題

光電変換素子として、pn接合型の太陽電池が活発に研究されている。このpn接合型太陽電
では、シリコン結晶やアモルファスシリコン薄膜、非シリコン系の化合物半導体の
多層薄膜
を用いる。しかし、これらの太陽電池は、高温もしくは真空下で製造するため、
プラントのコ
ストが高く、エネルギーペイバックタイムが長いという欠点がある。従来の
太陽電池を置き換
える次世代太陽電池として、低温でより低コストで製造が可能な有機系
太陽電池の開発が期待
され、そのひとつは大気中で低コストの量産が可能な色素増感型太陽電池があり、増感色素を
担持した多孔質半導体微粒子層を用いる高効率の光電変換方法
が提案されてきた。

●解決手段と実験事例

光電変換層に有機無機混成ペロブスカイト化合物や無機ペロブスカイト化合物系のエネルギー
変換効率の高い固体型光電変換素子
を用いることで、増感色素の劣化や電解液が漏洩
する色素
増感型太陽電池、あるいは、耐光性、耐湿性に問題のある有機薄膜太陽電池の問
題を解決する。

【符号の説明】

光電変換素子 2 透明電極基板 21 透明基板 22 透明導電層 3 光電変換層 4
第1半導体層(有機無機混成ペロブスカイト化合物Aを被膜形成または吸着させたカーボンナ
ノチューブ層) 5 第2半導体層(無機ペロブスカイト化合物B/有機無機混成ペロブスカイ
化合物Cを被膜形成または吸着させたカーボンナノチューブ層) 6 バッファ層

【解決する手段】

透明基板と、その上に形成した透明電極層との一対の透明電極基板間に光電変換層を構成する
光電変換素子で、この光電変換層が電極基板上に、有機無機混成ペロブスカイト化合物Aを被
膜形成、あるいは吸着させたカーボンナノチューブ層からなる第1半導体層と、無機ペロブス
カイト
化合物Bと、または有機無機混成ペロブスカイト化合物Cを被膜形成または吸着させた
カーボンナノチューブ層からなる第2半導体層とを、接合した固体接合型光電変換素子の構成
で問題解決する。

●透明電極基板

ガラス及びプラスチック基板が好ましい。プラスチック基板材料としては、無着色で透明性が
高く、耐熱性が高く、耐薬品性及びガス遮断性に優れ、かつ低コストの材料が好適である。好
適な材料としては、例えば、化学的安定性とコストの点で、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、脂環式ポリオレフィンが好ましい。なお、こ
れらのプラスチック基板の構造やその組成には特に限定されず、固体接合型光電変換素子を構
成するに値するものであれば、利用することができる。また、ガラス基板材料としては、可視
光線透過率80%を超えるものであればく、例えば、白板ガラス、ソーダガラス、硼珪酸ガラ
ス等の無機質製基板がある。

プラスチック基板の耐熱性は、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上、及び、線熱膨張係数
が40ppm/℃以下の少なくともいずれかの物性を満たすことが好ましい。なお、プラスチ
ック基板のTg及び線膨張係数は、JIS K 7121に記載のプラスチックの転移温度測定
方法、及び、JIS K 7197に記載のプラスチックの熱機械分析による線膨張率試験方法
により測定する。プラスチックフィルムのTgや線膨張係数は、添加剤などによって調整する
ことができる。

●透明導電層

透明導電層の素材は、導電性金属類(例、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チ
タン)、導電性炭素(カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ)、
導電性金属酸化物(例、酸化スズ、酸化亜鉛)または導電性複合金属酸化物(例、インジウム
‐スズ酸化物、インジウム-亜鉛酸化物)がある。高い光学的透明性を有するという点で、導
電性金属酸化物、導電性複合金属酸化物が好ましく、耐熱性と化学安定性に優れるという点で、
インジウム‐スズ複合酸化物(ITO)やインジウム‐亜鉛酸化物(IZO)が特に好ましい。
その素材は、組成内容は他の素材との混合でもよく、また形態なども限定されない。また導電
性層の形成において、その方法は限定されなず、スパッタ法、蒸着法さらには分散物を塗布す
る方法などが選定できる。透明基板上に透明電極層を設けた電極基板の光透過率(測定波長:
500nm)は、60%以上が好ましく、75%以上であることがさらに好ましく、80%以
上が最も好ましく、特には85%以上が好ましい。透明電極基板の導電性と透明性は、透明導
電層の形成方法を最適化することで、例えば、蒸着時間、分散液塗布量などを最適化し、両立
させることができる。尚、一対の電極基板のいずれか一方を透明電極基板でないものも可能。

さらに、低い表面抵抗値を達成するために、導電層に金属を用いることができる。金属メッシ
ュ構造からなる透明導電性層を形成により高い透明性も達成できる。低抵抗の金属材料(例、
銅、銀、アルミニウム、白金、金、チタン、ニッケルなど)を用いて金属メッシュ構造からな
る透明導電性層を形成することが好ましい。この場合には、導電層には集電のための補助リー
ドをパターニングなどにより配置させることができる。補助リードも導電層と同様に低抵抗の
金属材料(例、銅、銀、アルミニウム、白金、金、チタン、ニッケルなど)によって形成され
る。補助リードを含めた表面の抵抗値は本発明の目的に有ったものであれば特に限定されない。
ここで補助リードのパターンは透明基板に蒸着、スパッタリングなどにより形成し、さらにそ
の上に酸化スズ、ITO膜、IZO膜などからなる透明導電層を設けることも好ましい。

●光電変換層

光電変換層は、一対の透明電極基板の間に形成されるものであり、固体接合型光電変換素子
電荷分離に寄与して、生じた電子および正孔を各々反対方向の電極に向かって輸送する機能を
有し、第1半導体層と第2半導体層から構成されている。


(A)第1半導体層

第1半導体層は、n型半導体特性に近い機能を有するものであり、透明電極基板またはバッフ
ァ層を塗
布した透明電極基板上に、有機無機混成ペロブスカイト化合物Aを被膜形成または吸
着させたカーボ
ンナノチューブで構成されている。

 (1)カーボンナノチューブ層

カーボンナノチューブ層は、半導体性カーボンナノチューブを50%以上含むカーボンナノチ
ューブにより構成されている。カーボンナノチューブは、マルチウォールカーボンナノチュー
ブ(多層カー
ボンナノチューブ;MWCT)、シングルウォールカーボンナノチューブ(単層
カーボンナノチューブ;SW
CT)のいずれであってもよい。各々単独に用いても、混合して
もよい。また、カーボンナノホーン、カー
ボンナノコイル、カーボンナノビーズを用いても良
い。カーボンナノチューブは、その伝導度によって金
属性カーボンナノチューブと半導体性カ
ーボンナノチューブに分類されるが用途に応じて、半導体性と
金属性の混合比率を調整するこ
とが好ましい。導電性用途としてカーボンナノチューブ層を用いる場合
には、金属性カーボン
ナノチューブの比率が高いほうが好ましく、半導体用途としてカーボンナノチュー
ブ層を用い
る場合には、半導体性カーボンナノチューブの比率が高いほうが好ましい。光電変換素子の光
電変換率を向上させるため、半導体性
カーボンナノチューブ の割合が多い方が好ましい。カー
ボンナノチューブは、さらに金属などが内包されていてもよい。また、フラーレンが内包され
たピーポッドナノチューブを用いても良い。カーボンナノチューブは、任意の方法、例えばア
ーク放電法、レーザーアブレーション法、CVD法、スーパーグロス法などによって合成でき
る。

カーボンナノチューブは、表面を官能基で修飾されていてもよい。官能基としては、ヒドロキ
シ基、カルボキシ基、アミノ基が好ましい。これらの官能基は、上記易接着層との化学反応に
より、カーボンナノチューブ層と易接着層との密着性をより高めることに効果がある。
カーボンナノチューブの直径としては、0.3nm以上100nm以下であることが好ましい
より好ましくは、1nm以上30nm以下である。カーボンナノチューブの長さとしては、
0.1μm以上100μm以下であることが好ましい

カーボンナノチューブ層含有構造体の製造方法は、透明支持体上にカーボンナノチューブ層を
塗布することで作製することができる。この際に用いる、カーボンナノチューブを含有する塗
布液については、用途に応じて、適宜、粘度、表面張力などの物性を調整することが好ましい。
カーボンナノチューブを含有する塗布液の塗布は、リバースコータ、グラビアコータ、ロッド
コータ、エアドクタコータ、スピンコート、スプレー塗布などをはじめ、任意の塗布装置を用
いることができる。カーボンナノチューブ層の厚さは、0.001~10μmが好ましい。な
お、カーボンナノチューブ以外の炭素材料、例えば、フラーレン、グラファイト等をカーボン
ナノチュウブの代わりに使用きる。

(2)有機無機混成ペロブスカイト化合物A

有機無機混成ペロブスカイト化合物とは、単一の分子スケール・コンポジット内に有機・無機
両成分に特徴的な望ましい物理特性を組み合わせた(有機無機混成の)ペロブスカイト化合物

をいう。ペロブスカイトの基本的構造形態は、ABX構造であり、頂点共有BX八面体の
三次元ネットワークを有する。ABX構造のB成分は、Xアニオンの八面体配位をとること
ができる金属カチオンである。Aカチオンは、BX八面体間の12の配位孔に位置し、一般
に無機カチオンである。Aを無機カチオンから有機カチオンに置換することにより、有機無機
混成ペロブスカイト化合物を形成する。

有機無機混成ペロブスカイト化合物Aは、下記一般式(1)または(2)のいずれかに示す化
合物であり、特に、一般式(1)の化合物が好ましい。
CHNH (1)
(式中、Mは、2価の金属イオンであり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
(RNH14 (2)
(式中、Rは炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素
環基または芳香族複素環基であり、Mは、2価の金属イオンであり、Xは、F,Cl,Br,
Iである。)

有機無機混成ペロブスカイト化合物Aにおける無機枠組みは、頂点を共有する金属ハロゲン化
物八面体の層を有する。陽イオン性有機層からの正の電荷と平衡をとるため、陰イオン性金属
ハロゲン化物層(例えば、M132-,M142-)は一般に2価の金属である。本願発明の有機
無機混成ペロブスカイト化合物Aの陰イオン性金属ハロゲン化物層を構成する金属は、具体的
には、M(例、Cu2+,Ni2+,Mn2+,Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+
Eu2+)である。有機無機混成ペロブスカイト
化合物Aの陰イオン性金属ハロゲン化物層を構
成するハロゲン化物は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、またはこれらの組合せである。
このハロゲン化物は、臭化物、ヨウ化物が好ましい。

上記一般式(2)のRとしては、炭素数2~40の置換または未置換のアルキル基、直鎖、
分岐または環状のアルキル鎖(好ましくは炭素数2~30であり、より好ましくは炭素数2~
20であり、炭素数2~18がもっとも好ましい)。具体的には、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソ
オクチル基、ノニル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オク
タデシル基、イコサニル基、ドコサニル基、トリアコンタニル基、テトラアコンタニル基、シ
クロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。

炭素数2~40の置換または未置換のアラルキル基としては、アリール基で置換されている低
級アルキル基を意味し、アルキル部が直鎖状または分岐鎖状で、好ましい炭素数が1~5、よ
り好ましくは1であり、アリール部が好ましい炭素数が6~10、より好ましくは6~8であ
る。具体的には、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、
ナフチルエチル基等が挙げられる。

アルケニル基は、好ましくは炭素数3~30であり、より好ましくは炭素数3~20であり、
炭素数3~12が最も好ましい。例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、
2-ブテニル基、オレイル基、アリル基等が挙げられる。アルキニル基としては、アセチレニ
ル、プロパルギル基、3-ペンチニル基、2-ヘキシルニル、2-デカニルを挙げることが出
来る。

アリール基としては、好ましくは炭素数6~30の単環または二環のアリール基(例えばフェ
ニル、ナフチル等が挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6~20のフェニル基また
は炭素数10~24のナフチル基であり、更に好ましくは炭素数6~12のフェニル基または
炭素数10~16のナフチル基である。

芳香族複素環基としては、例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリ
ミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、
キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニ
ル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、
フタラジニル基等が挙げられる。これらの基は更に置換基を有していてもよい。

有機無機混成ペロブスカイト化合物Aの具体例としては、CHNHPbI、CHNH
PbBr、(CH(CHCHCHNHPbI[n=5~8]、(C
NHPbBrがある。有機無機混成ペロブスカイト化合物Aは、前駆体溶液
を用いた自己組織化反応により合成することができる。本願発明の有機無機混成ペロブスカイ
化合物Aの被膜または吸着体は、ペロブスカイト化合物Aを有機溶剤に溶解した後、グラビ
ア塗布法、バー塗布法、印刷法、スプレー法、スピンコーティング法、ディップ法、ダイコー
ト法等の塗布方法によって形成できる。

(3)有機無機混成ペロブスカイトAの溶液

有機無機混成ペロブスカイトAの溶液を調製するための溶剤としては、有機無機混成ペロブス
カイト
Aを溶解できるものであれば特に限定するものではない。第1半導体層の膜厚は、1~
1000nmが好ましい。

●第2半導体層

第2半導体層は、p型半導体特性に近い機能を有するものであり、透明電極基板またはバッフ
ァ層を
塗布した透明電極基板上に、無機ペロブスカイト化合物Bおよび/または有機無機混成
ペロブスカイト化合物Cを被膜形成または吸着させたカーボンナノチューブから構成されてい
る。なお、使用するカ
ーボンナノチューブの特性は、第1半導体層を構成するカーボンナノチ
ューブと同じである。

(1)無機ペロブスカイト化合物B

本願発明の無機ペロブスカイト化合物Bは、下記一般式(3)に示されるものである。
CsM (3)
(式中、M2は、2価の金属イオンであり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
無機ペロブスカイト化合物Bの陰イオン性金属ハロゲン化物層を構成する金属は、具体的には
(例、Cu2+,Ni2+,Mn2+,Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、E
u2+)である。
無機ペロブスカイト化合物Bの陰イオン性金属ハロゲン化物層を構成するハロゲン化物は、フ
ッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、またはこれらの組合せである。このハロゲン化物は、臭
化物、ヨウ化物が好ましい。

無機ペロブスカイト化合物Bの具体例としては、CsSnI、CsSnBrがある。無機
ペロブスカイト化合物Bは、前駆体溶液を用いた自己組織化反応により合成することができる。
2半導体層は、ペロブスカイト化合物Bを有機溶剤に溶解した後、グラビア塗布法、バー塗布
法、印刷法、スプレー法、スピンコーティング法、ディップ法、ダイコート法等の塗布方法によ
り形成できる。

(2)有機無機混成ペロブスカイト化合物C

有機無機混成ペロブスカイト化合物Cは、下記一般式(4)および/または一般式(5)に示
されるものである。
CHNHSnX3 (4)
(式中、Xは、F,Cl,Br,Iである。)
(R2NH2SnX4 (5)
(式中、R2は炭素数2以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、複素
環基または芳香族複素環基であり、Xは、F,Cl,Br,Iである。)

有機無機混成ペロブスカイト化合物Cにおける無機枠組みは、頂点を共有する金属ハロゲン化
物八面体の層を有する。陽イオン性有機層からの正の電荷と平衡をとるため、陰イオン性金属
ハロゲン化物層(例えば、M132-,M142-)は2価の金属(Sn2+)である。

有機無機混成ペロブスカイト化合物Cの陰イオン性金属ハロゲン化物層を構成するハロゲン化
物は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、またはこれらの組合せである。このハロゲン化
物は、臭化物、ヨウ化物が好ましい。

上記一般式(5)のR2としては、炭素数2~40の置換または未置換のアルキル基、直鎖、分
岐または環状のアルキル鎖(好ましくは炭素数2~30であり、より好ましくは炭素数2~2
0であり、炭素数2~18がもっとも好ましい)。具体的には、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオ
クチル基、ノニル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタ
デシル基、イコサニル基、ドコサニル基、トリアコンタニル基、テトラアコンタニル基、シク
ロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。

有機無機混成ペロブスカイト化合物Cの具体例としては、CHNHSnIがある。有機
無機混成ペロブスカイト化合物Cは、前駆体溶液を用いた自己組織化反応により合成すること
ができる。第2半導体層の被膜または吸着体は、ペロブスカイト化合物Cを有機溶剤に溶解し
た後、グラビア塗布法、バー塗布法、印刷法、スプレー法、スピンコーティング法、ディップ
法、ダイコート法等の塗布方法によって形成できる。

(3)無機ペロブスカイトBおよび有機無機混成ペロブスカイトCの溶液

無機ペロブスカイトBおよび有機無機混成ペロブスカイトCの溶液を調製するための溶剤は、
無機ペロブスカイトBおよび有機無機混成ペロブスカイトCを溶解できるものであれば、特
に限定するものではない。第1半導体層の膜厚は、1~1000nmが好ましい。

●バッファ層

バッファ層は、透明電極基板と光電変換層との短絡を防止する役割を持つものである。また、
透明電極基板と光電変換層との密着性を向上させる役割も持つものである。バッファ層の素材
としては、高抵抗な半導体および絶縁物質であれば、特に限定はされない。例えば、酸化チタ
ン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化錫、酸化亜鉛等がある。また、バッファ層を形成す
る方法としては、上記素材を透明導電層に直接スパッタする方法、スプレーパイロリシス法な
どがある。あるいは上記素材を溶媒に溶解した溶液、金属酸化物の前駆体である金属水酸化物
を溶解した溶液、または有機金属化合物を、水を含む混合溶媒に溶解した金属水酸化物を含む
溶液を、基板と導電層からなる導電性基板上に塗布、乾燥し、必要に応じて焼結する方法があ
る。バッファ層の好ましい膜厚は5~100nmである。塗布方法としては、グラビア塗布法、
バー塗布法、印刷法、スプレー法、スピンコーティング法、ディップ法、ダイコート法等が挙
げられる。
 

ペロブスカイト化合物系は可能性を秘めた発展途上の化合物。最適チューニング法の本格的なアプロ
ーチはこれからだ!

※ 色素増感系太陽電池と切り離して考えていく必要があるが、当面、惰性の法則で、ハイブリ
  ッド系と
色素増感太陽電池というな風にカテゴっておくしかないねぇ~?! ^^;

     "Efficience planar heterojunction perovskite solar cells by vapour deposition" M. Liu, M.B. Johnston
       and H.J. Snaith, Nature, in press (2013).

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脊椎動物の汀線変動史

2014年03月25日 | 環境学・環境思想

 

 

 

 

 

●種の起源 目次

第1章 飼育栽培下における変異
第2章 自然条件下での変異
第3章 生存闘争
第4章 自然淘汰
第5章 変異の法則
第6章 学説の難題
第7章 本能
第8章 雑種形成
第9章 地質学的証拠の不完全さについて
第10章 生物の地質学的変遷について
第11章 地理的分布
第12章 地理的分布承前
第13章 生物相互の類縁性、形態学、発生学、痕跡器官
第14章 要約と結論

チャールズ・ダーウィンは、『種の起源』の最後で「最初にいくつかの力が、複数の、または
ひとつの形態に吹き込まれ、この惑星が、定められた重力の法則にしたがって何回転もする間
に、はじめはごくごく単純だったものから、もっとも美しく、もっとも素晴らしいものまでが
進化し、今でも進化しているのだという、この生命観には、なんとも壮大なものがある」と述
べている。こんなことを書き出したのは『シーラカンスゲノム中に隠されていた脊椎動物陸上
化のカギ』(Coelacanth genomes reveal signatures for evoIuticnary transition from water to lard)とい
技術論文を読み、進化とは?との考えが頭から離れないためで、回らない頭を回してみたと
いうわけだ。この技報を要約記載するとつぎのようになる。

このシーラカンスは、化石記録上では古くからその存在が知られ、進化学的に重要なグループ

として注目されていたが、新生代からの地層にはシーラカンスの化石が出土しないことから、
6500万年前における生物の大量絶滅時にシーラカンスも絶滅してしまったものと考えられてき
た。そのため、1938年、南アフリカのイーストロンドンで、現存個体が発見された時は、一大セ
ンセーションとなった。特に生物学者は、化石という限定された情報だけでなく、実際に生き
た個体を用いて進化の謎の解明の絶好の機会となり、近年では"デジタル革命渦論"の下、次世
代シーケンサーの進展により、新規の生物種であっても比較的安価にその全ゲノムDNAの配
列決定が可能となる。

●シーラカンスとは

シーラカンスは水中に生息する魚で、分類学的にはカエルや哺乳類に代表される陸上動物に近
縁な
肉鰭(にくき)類に属する。シーラカンスの鰭(ひれ)は、一般的な魚の鰭(条鰭という)
とは異なり、内部
に丈夫な骨格と筋肉が備わり、シーラカンスにおける肉鰭は、ちょうど鰭と
四肢の中間段階を示し、こ
のグループが魚と陸上動物をつなぐ進化上の「ミッシングリンク」
であると考えられ、現存するシーラカンスの形態的特徴は数億年も前の化石種とほとんど変化
していないことから「生きた化石」とも呼ばれてきた。つまり、シーラカンスは「どのように
して脊椎動物が陸上化を達成したか?」「なぜ形態進化のスピードが生物種ごとに異なるのか」
といった生物学的に極めて重要な問題を解決するための鍵となるグループである。ただ、シー
ラカンスは極めて希少であり、ワシントン条約の第1類に指定され、例え研究目的であっても
その捕獲は許可されず、現存のシーラカンス個体を用いた研究を行うことができるのは、アフリ
カ諸国やインドネシアの研究者と親交を持つ研究者に限られている。



●シーラカンスゲノムの決定

シーラカンスゲノムの新規決定は、タンザニア沖で捕獲された母親シーラカンスの胎内で見つ
かった稚魚(下参考図)の筋肉から抽出したDNAを用い、イルミナ社製 HiSeq2000により、
総塩基数として約800 Gbp(ギガ塩基対の略) という膨大な配列データを集めデータを東京工
大の伊藤武彦研究室で開発されたPLATANUSを用いてアッセンブルした。アッセンブルの結果、
シーラカンスのゲノムサイズは2.74 Gbpと推定、一般的な魚種(1Gbp)と比較すると3倍ほど大
きく、むしろヒトを含めた哺乳類(3 Gbp)に近いという。新規に決定されたシーラカンスの概要
配列をリファレンスとして、タンザニア産2個体、コモロ産1個体、インドネシア産1個体の
ゲノム配列をリシーケンスすることで、計5体のシーラカンスについて全ゲノム配列を決定す
ることに成功。これらのデータをすでにゲノム配列を解読したモデル生物と比較し、脊椎動物
の陸上化イベントに関する興味深い知見を得てい
る。



●極めて遅いDNA進化速度

これらの試料の核DNAにおける変異サイトから遺伝的分化度の算出によれば、わずか0.18%
に過ぎず、先行
研究のミトコンドリア全長配列の解析や地質学的な証拠から、タンザニヤとイ
ンドネシア産の2種の分岐は、今からおよ
そ3500万年前と考えられていることを考慮するとヘ
シーラカンスの核DNAの置換速度は極めて遅いことが予想される。例えば、今から600万年前
に分岐したヒトとチンパンジー間の遺伝的多様度は約1.4%であることを考えると、単純計算し
てシーラカンスの核DNAの置換速度はヒト・チンパンジーの40倍以上も遅い。これは、シー
ラカンスの形態的変化が極めて遅いのは、このDNAの置換速度が遅いことに起因しているか
もしれないと推定する。つまり、絶対的なDNA変異吊Jが極度に少なければ、それだけ形態形
成をつかさどる遺伝子やエンハンサー領域への変異も減ると考えられ、形態的変化も制限され
ると予想できるが、シーラカンスと同様に古くから形態が変化していないムカシトカゲは、D
NA置換速度が近縁種と比べて、むしろ速いと報告されているため、この問題は研究継続対象
となるという。

●シーラカンス・ゲノムは陸上化につながる遺伝子?

脊椎動物の陸上化に関する遺伝的基盤の解明を目指し、水中から陸上への進出に向けて革新的
な進化が必要であったと予想される嗅覚器官と四肢着目して、その関連遺伝子の網羅的な探
索をシーラカン
スゲノムで行い、魚類は水中に生息しているため、その嗅上皮に水溶性の化学
物質を受容す
るが、陸上動物は空気中に存在する揮発性の化学物質を受容する。先行研究では、
魚類と陸上動物ではフェロモン受容体VIR遺伝子のレパートリーが大きく異なる
。陸上動物
のゲノム中には魚類聖のVIR遺伝子が存在しない代わりに、特定のグループのVIR遺伝子
(陸上動物型VIRと名付けた)がコピー数を増やしていたため、この特定のVIR遺伝子の
増幅が陸上化に伴うリガンドの変化に対応していると考えられてきた。このシーラカンスゲノ
ム中に存在するVIR遺伝子を網羅的探索したところ、ゲノム中には魚類型VIRがすべて存
在しているだけでなく、さらに陸上動物型VIR遺伝子もコピー数を増やしていたことがわか
った(下図参考)。また、四肢形成に必須であることが実験的に示されているいくつかのエン
ハンサー領域
を、陸上動物、シーラカンス、魚類で比較したところ、陸上動物とシーラカンス
の間においてDNAレベルで配列が保存されているが、魚類においては保存されてないものが
数多く観察され、陸上動物の四肢形成に関連しているエンハンサーがシーラカンスゲノム中に
も存在する。

このように、岡田典弘東工大名誉教授らの研究グループは、シーラカンスゲノム中に存在する
陸上型の遺伝子は、そもそもは陸上化には関係なく肉鰭(にくき)類の祖先が水中における適
応のために獲得したものであり、それが陸上化の際に別の目的に転用されたのではないかと予
想する。この現象は進化学的には前適応もしくはco-optionと呼ばれ、脊椎動物の陸上化に代表
されるダイナミックな進化を遂げる際にはゲノムレベルでもこのような現象が一般的に起きて
いるのではないだろうか?と推論している。



●クジラは、古代牛だった?

さて、以上の研究成果を踏まえ、話は、『種の起源』に戻る。チャールズ・ダーウィンは、ク
ジラやイルカの祖先は陸生哺乳類だったのだが、祖先が徐々に海生の動物へと進化していった
と考えたが、当時は、その変化途中の化石は未発見であり、発見されるにはずいぶん時間がか
かっている。1979年、ダーウィンの死後1世紀ほど経って、ミシガン大学の古生物学者、フィ
リップ・ジンジャリッチが,パキスタンで、5000万年前のクジラの頭骨を発掘。そのクジラは
陸地の生活に適応しているかのようだった(化石が見つかったのは海底ではなく、陸で堆積し
た地層の中であり、頭骨も、イルカというよりはイヌに近かったから)。今日のクジラにしか
ない特徴が、その化石には見られたためジンジャリッチはその動物がクジラと近縁だとした。
その特徴には、耳の周囲を取り巻く独特の骨壁である。そのクジラは、パキトゥス(ラテン語
でパキスタンのクジラという意味)と命名。13年後、尾は巨大で,肢は太くて短く,後肢の足
はまるで櫂(かい)のような形で、頭部が長く、ワニのようだが、歯の形は、哺乳類でのみ見
られる特徴をもち,その歯はパキケトゥスの化石を発見し、アンブロケトゥス(歩くクジラ)
と名づけた。1990年代半ばに入ると,遺伝学者がクジラのDNA 配列を決め,他種の遺伝子との
比較検討を始め、クジラが哺乳類に似たのた遺伝子をもっていたのだ。すべてのクジラ類は、
偶蹄(ぐうてい)類として知られる陸生哺乳類のⅠグループだけがもつ遺伝子マーカーをもっ
ていることがわかった。偶蹄類とは,ラクダ、ウシ、カバ、ヤギなどのグループである。

では、偶蹄類だったクジラの祖先は、いったいどのようにし海に入り、四肢を退化させていっ
たのだろうか? この疑問を解明するヒントを得るために、2007年に、パキケトゥスや他のク
ジラ類ともとも近縁な偶蹄類の祖先が、4700 万年前に生息していたインドヒウスであるとす
る論文が公表される。その特徴的な耳の骨など、インドヒウスの骨格の中に、クジラとのつな
がりを示す一連の形態をもつ。インドヒウスは、アフリカに生息するネズミジカとそっくりで、
小さい細い四肢をもつ生
き物。インドヒウスやパキケトゥスは、クジラの祖先がまだ 本の長
い脚をもっていたころに進化。彼らは,水泳が得意だったかもしれないが、彼らの祖先たちが
分岐したのち、水中での生活によりよく適応した新種のクジラが誕生。およそ 4900万年前に、
現在のパキスタンあたりの海岸に生息していたアンブロケトゥスは、四肢が短く、巨大な足を
もっていた。おそらく、大きな足で水を蹴けり、尾を曲げアシカのように泳いでいたのだろう。
およそ同時期に生息していたロドケトゥスは、アザラシに似て、陸上ではからだを引きずるこ
としかできなかったが、これまでに陸生哺乳類から現代のクジラやイルカへと変化していく途
中の化石種を30種以上も発見している。

さて、4000万年前のクジラの遺伝子を解析することは、今後も不可能に近いとされているが、
遺伝子はは数十万年で壊れてしまうが、現生クジラを調べれば、どのような遺伝的変化が、陸
生四足哺乳類を魚のようなクジラへと変えたのか研究できる。重要な進化的変遷的変化のいく
つかは、胚
の中で遺伝子の活動のタイミングを変化させる。ヒトや他の陸生脊椎動物の胚では
四肢発生を始めるとき、ある特定の遺伝子のセットが活性化する。
およそ 4000 万年前、完全
に水中
で暮らせる種が進化した。そのなかのひとつの種であるバシロサウルスは、15メートル
もの長さにまで成長する。
クジラやイルカの起源を知る手がかりは,化石形態からだけでなく、
化石の中にある個々の原子からも得られる。現生のク
ジラやイルカは海水を飲むことができる
が、陸生の哺乳類は淡水しか飲むことができない。海水にも淡水にも酸素原子が含まれている
が、どの酸素原子も8個の陽子をもち,また,その多くは中性子も8個もっが、地球には2つ
余分な中性子をもつ酸素原子ごく少量存在し、海水は淡水と比べ中性子を10個もつ酸素原子の
割合が多いので、
陸生哺乳類と比べより多くの重い酸素が含まれその存在量を計測し推測でき
る。



それにしても、なぜ哺乳を含む脊椎動物が海進し海や湖沼に生息し、また、魚類などが陸進し
陸上化したのだろうか?そこには大きな環境変動が関わっていることが考えられる。生息地が
壊滅的に破壊されるような状況、温度変動、あるいは気層・液層の構成成分の劇的変化、さら
に、プレート変動などによる汀線の変動などが考えられるわけだが、今夜はそこまで頭が回ら
ない。そこで思いついたのだが、シー・シェパードとかの反捕鯨活動。なんだ、やはり牛肉食
文化人種の振りかざす正義なんて、ベジタリアンの言い分などを含めてちゃんとした?議論を
やらないとダメじゃないか、いい加減なものだねぇ~と思ったり、そういえばバッファローや
クジラを乱獲したのは欧米ではないか(そのおかげで日本は開国することになるが)、その米
国は石油採掘で一変し、いまはシェールガス採掘で一変するのだが、地下水は化学物質で汚染
されるし、二酸化炭素は野放しで地球温暖化などは後手だし、原子力発電は使い済み核燃料の
廃棄方法もままならないしねぇ~~ ^^;。

 

 

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変換効率25%超時代

2014年03月24日 | デジタル革命渦論

 

 

【変換効率25%アップ時代 そのⅠ】 

メガソーラーで起こるPID(高電圧印加劣化現象)が、CIGS太陽電池モジュールでも起きる
どうか産総研で評価したという。その結果
CIGS 太陽電池はシリコン系太陽電池に比べ劣
が大幅に小さく、高いPID 耐性をもつことがわかったとい。出力低下の原因は、カバーガラス
から拡散するナトリウムイオンなどであることを確認た上で、封止材のEVA(エチレンと酢
酸ビ
ニルの共重合体)より2桁体積抵抗率が大きいアイオノマー(少量のイオンを導入したエチレ
ンとメタクリル酸の共
重合体)に替えることで、長期のPID 試験で劣化が見られなかったとい
う。

●アイオノマーの特性

 
※デュポン社:サーリン(R)等の名称で製品化。

●試験方法と成果

下図は、CIGS 太陽電池の標準型モジュール(左)とPID対策モジュール(右)の構造を示して
いる。 標準型モジュールは、カバーガラス(白板ガラス)、封止材のEVAフィルム、CIGS
ブモジュール、バックシートを重ね合わせて、空ラミネートすることにより作製。また、
対策
モジュールは、封止材にEVAフィルムの替わりにアイオノマーフィルムを用いて
、同様にモジ
ュールを作製している。アイオノマーは高い体積抵抗率をもつことから、結晶シリコン太陽電
池においても封止材に用いるとナトリウムイオンなどの拡散を防ぎ、高いPID 耐性を持つ。結
晶シリコンならびに薄膜シリコン太陽電池モジュール、標準型CIGS 太陽電池モジュールの太
陽電池特性の変化を評価(試験条件は、~1000 V、85 ℃、2時間~7日)。PID
試験前後の
各太陽電池モジュールにおける出力の相対値の変化を下図のように現れている。結晶シリコン
太陽電池モジュールでは数時間、薄膜シリコン太陽電池モジュールでは3日の試験で、出力が
数%以下まで大幅に低下した。これに対して、標準型 CIGS太陽電池モジュールでは、3日後
で92%、7日後でも46%の出力を維持。材料や構造、劣化メカニズムが異なるため単純比較は
できないことを踏まえても、同一PID試験条件で比較した場合、CIGS太陽電池はシリコン系太
陽電池に比べて高いPID 耐性をもつといえるだろう。




このように化合物系がシリコン系太陽電池を変換効率や環境耐性、あるいは光補集率においても
抜されかねない状況下にあることをみているわけであり、モジュール変換効率でいえば、25%
超時代に突入していること、またそのことはポスト・メガソーラー時代、換言すれば、分散型
太陽光発電社会(オールソーラシステム)の本格的な普及期に突入しつつあることを目の前に
している現在がここにある。 

                                  この項つづく

 

 

 1999.09

 

【アベノミクス第三の矢 僕ならこうするぞ!】 

 ここでは、平和主義はいいことだが、こちらからしかけなくても、攻撃される心配はある。
一自分で
は何もできない今の状態に不安も感じるのだがという問いかけに吉本は「国家と国家
がかねてから仲が悪かったが、片方の国が力にまかせて、もう一方の 国が経済封鎖や資源封
鎖や軍事封鎖によって存立できないほど追いつめられて、これ以上圧迫されたら主権国家とし
て解体されると判断されるようになったとき国家間戦争が勃発する」「(戦争するかどうか)
国民投票にかけないのは絶対に駄目」と主張している。その意味では、現在進行形のクルミア
併合やウクライナ問題は、ロシアなど中国を含めたアジアの後進性や現代の覇権主義を学習す
る格好の教材となろう。さて、経済政策論から離れるが「戦争論」を議論しておくことは人類
の歴史認識に、あるいは、人類の進化の確認とその社会化(=合意形成)にとってとても重要
なことだ。いよいよこのシリースも佳境に入る。

 ●今の日本で戦争は起こるか

  北朝鮮を当面の仮想敵国と考えたと想定します。
  僕は戦争は今の情勢ではありえないと思っています。戦争というのは、弾を撃ち込んだ
 とか、ミサイルが上空を飛び越していったとか、誤って日本の国土に落ちたとかそういう
 脅しや事故みたいなことを何回かやったとか、あるいは脅しだけのつもりだったのが、偶
 然に日本国内に落っこちて犠牲者が出た、ということがあったとします。そういうことが
 いかに重なっても、戦争にはならないと思っています。 
  
偶然に弾が落ちたとしても、上空を通して脅すつもりだったんだけど、たまたま事故で
 落ちて人が死んだ。これはけしからん挑発行為だから、いついつまでに損害を弁償しろ、
 という要求をして交渉がはじまるとか、口喧嘩がはじまるとか、いろいろあるでしょう。
 そういうことは起こるでしょうが、それ以上のことにはならないのです。そういうのは、
 戦争とは質の違うことです。そこから戦争までには壁がいくつもあって、その壁を越える
 だけの条件がいくつも出てこなければ、戦争にはなりませんよ。
  そう思うから、僕はそういうことがいくら重なっても、それはそれで戦争勃発の不安材
 料になることはないだろう、と思っています。だから僕らのような国民一般が、これはど
 うしても戦争になると判断する機会はただ一つだと思った方がいいです。
  それは国家と国家がかねてから仲が悪かったが、片方の国が力にまかせて、もう一方の
 国が経済封鎖や資源封鎖や軍事封鎖によって存立できないほど追いつめられて、これ以上
 圧迫されたら主権国家として解体されると判断されるようになったときです。
  それ以外だったら、どんな挑発行為や脅しや理不尽と思える武力圧迫があっても、戦争
 にはならないと思っていてください。政治家とか、政党とか馬鹿な識者、知識人、報道機
 関を含めて、国民の不安をかき立てるような言論を吐いても、惑わされないでください
 落着いて、感情に走らないでください。僕は自分の戦争体験と実感からそう確信していま
 す。
  戦争に対する見方というのはいろいろあって、僕自身の中でも戦争とは何だという考え
 方の段階があります。今の話の段階で言えば、ある国家とある国家の利害がまったく反す
 る、片方の利益を通せば、片方は害しかない、その害もそのまま放置しておけば一方の国
 家が自然に亡びるような、そういう条件があれば、もちろん戦争もあると思います。少な
 くともそれに近い条件がなければ戦争にはならないと思っているわけです。

 ●戦う平和主義、逃げる平和主義

  平和主義にもいろいろあって、と言うのはおかしいけど、社民党の平和主義と、共産党
 の平和主義と、僕らの平和主義とはまた違うと思います。僕らの平和主義といったら、今
 のような国家、あるいは集団の発達段階であれば、まず戦争は起こらないよと考えるのが
 平和主義の一条件。
  それに加えて、日本国はせっかく憲法で非職条項、戦争を放棄するといって、自分のほ
 うからしかけることはしないと決めているんだから、それを守るのがいいでしょう、とい
 うのが平和主義のもう一つの条件ですね。
  憲法第九条の非職条項は、ちょっと考えると空想的で現実離れしていると考えやすいで
 す。けれど、世界各国の憲法を読んで調べればすぐわかりますが、あの第九条の非職条項
 は、資本主義国にも社会主義国にもない、もっとも理想主義で高度な条項なのです。つま
 らない政党や政治家のあやふやな気分で変てしまうような幼稚なものではなく、百万人単
 位の日本国民の民衆の死と、相手国の民衆の死をあがなって、やっと手に入れた理想なん
 です。
  それから、社民党とか共産党と違っちゃうところもあると思うんです。いろんな段階で
 いろいろみんな違っちゃうんですけど、最初の段階だけでいえば、今言ったことと、もう
 一つの違いは、もし万が一、どこかの国が攻めてきて日本国内をめちゃくちゃに荒らして、
 人も殺すし、悪いこともするし、というようなことが起こったらどうするんだ、平和主義 
 のお前はどうするんだって言ったら、そのときは個人の喧嘩と同じで何でもするさって、
 僕はそうですね。別に自衛隊がやる、やらないは関係ない。やりたいやつだけやればいい
 じゃないかってことです。部分的に職うっていうことかもしれないし、これは個人の喧嘩
 と似ているんじゃないでしょうか。
  ナイフも何も持っていない女の人がここにいて、話をしてたんだけど、いきなり変なぞ
 つがやってきてその女の人を刺したとする。そういうのは頭がおかしくなければ、ちょっ
 と狂ってなければできないんですよ。人間ていうのは、相手がちっともその気がないのに、
 いきなり攻撃して、殺したりするっていうのは、正気ではできない。そういう意味合いで
 は、人間というのは、一人の人間も殺せないんですよ。
  お前、誰かを殺してみろって言われたって殺せないです。動機も契機も何もなくてはそ
 れはできない。人間ていうのは、それはできないように生まれついているんですよ。だけ
 ど、何か理由があって、というんだと別で、社会の常識や法律が否定しても、それはでき
 る。
  正当防衛もありますし、しゃくに触ったというのもあるかもしれないし、我慢の限度だ
 というのもあるでしょうし、争いごとは嫌いだからその場を去ることも、それはいろいろ
 あるでしょうけど、理由も原因も何もないのに、おとなしくしてるところにやってきて、
 いきなり殺しちゃったというのは、それはできないでしょう。
  それは一つの国であっても同じだと思います。平和主義、平和主義と言っても、それは
 能書きだけだと言えばそのとおりなんです。普段から平和主義、平和主義と言っていると
 あの人は平和主義だと恩われて、なかなか仕掛けることはできない。そういうこともある 
 と思います。
  だけど、どうして平和主義にいろいろあるか。それは、社民党も共産党も、じゃあ平和
 じゃなくなったら、戦争になったらどうするかっていうと、そのときは逃げると言うでし
 ょうね。彼らはたいていそうだと恩いますよ。だけど、本当の平和主義というのは、それ
 でもやってきて乱暴をはたらいたとか、何もしない同胞を殺したとか、悪いことばかりし
 ているやつを目の前に見ていたら、それなら逃げないよ、戦うかもしれないよっていうこ
 とだと恩います。
  僕の平和主義はそうですね。だから、平和主義でもそこから分かれちゃうんです。僕は、
 ただ逃げる平和主義とは違います。目の前でやられても黙って見ているなんてことはしな
 い。人倫に反すると思ったら、同じように恩っているやつと密かに語らって戦う。自衛隊
 がどうであろうと、そうなったら関係ない。僕はそうなりますね。
  平和主義なら逃げちゃえばいいじゃないかって、それもそうだけど、考えてみると、逃
 げるほうができにくいような気がするんです。僕はガソジーのように信念のある平和主義
 や非暴力主義ではないです。それだけの器量がないんです。

 ●戦争をやりたがる人々 

  そして、戦争はどうして起こるんだっていう場合、先ほど言いましたが、片方の言うと
 おりにしたら、片方は国家がつぶれる以外にないという場合には、戦争よりしょうがない
 じゃないか。そういうものだから戦争になっちゃうんだ、ということもありますし、そう
 じゃなくて、ある意図から、戦争をやれ、やれ、という考え方もあるわけです。
  平和主義の人でもそういう人たちがあって、自分は平和主義だけど、戦争をして自分の
 国がへとへとになって奮ってきたら、そのときに革命をやりたいから、そうなるように、
 戦争やれ、やれ、という人もいるわけです。ロシアの社会主義ないしロシアのマルクス主
 義はそういう考え方です。
  しかし、マルクスそのものはそうじゃないんです。マルクスは階級ということを言う人
 だから、戦争が起こったら弱い国家に味方しろって言ってるんです。自国の労働者階級は、
 どっちが弱いかわからないけど、相手が弱かったら相手のほうに加勢しろと言っている。
 つまり、強いほうに加勢するな、という考え方です。
  これは初期の、マルクス時代の戦争観です。ロシアになってレーニソ、スターリン時代
 になったら、今言ったように違っちゃって、戦争っていうのは革命のいいチャンスじゃな
 いか、という考え方で、戦争か革命か、みたいな考え方が流行ってきていたわけですね。
  だけど、もっと徹底した戦争観というのがあって、戦争というのは、一見すると、この
 国とこの国の利害が対立してチャンバラをするというように見えるけど、本当はそうじゃ
 なくて、相手の国の民衆によって自分の国の民衆を殺させることだという定義があるんで
 す。つまり「相手の国の労働者、民衆によって自分の国の労働者、民衆を殺させることだ
 から、戦争は絶対に駄目だ」という考え方。これは平和主義といっても、レーニン、スタ
 ーリンの平和主義ともまるで違う平和主義です。でも、徹底的な平和主義なんですよね。
  毛沢東は戦争には正義の戦争と不義の戦争とがあると言っています。ここまでくれば戦
 争肯定そのものです。戦争というと、国と国が戦うみたいだけれども、本当は自分の国の
 民衆を相手の国の民衆に殺させることで、どっちにしても支配者は損をしないでどちらか
 の国の民衆が損をするだけだ。だから、戦争なんて絶対やるなっていう、これがいちばん
 徹底した考え方です。これはフランスの女性の思想家のシモーヌ・ヴェイユという人が言
 ったんです。
  そう言って彼女は、ロシアのマルクス主義に反対だと言ったんですけどね。これは絶対
 平和主義なんです。言ってることが徹底してるんです。僕が知っている限りでは、彼女の
 戦争観あるいは平和観がいちばん徹底していますね。あとの人はそんなに考えちゃいない
 ですよ。被支配者に何はともあれ味方しないといけないと、その程度に考えているにすぎ
 ないのです。
  マルクスは民族国家が出来はじめて、どんどん優勢になってきた初期だから、支配され
 ている人間、民衆が弱いほうに味方しろ、と言いました。
  それがレーニン、スターリンになったら、そうじゃなくて、ある意味で戦争というのは
 革命の絶好のチャンスだから、やれ、やれ、となったんですよ。やれ、やれと言わないま
 でも、普段は平和主義と言ってるんだけど、いざとなったら、やれ、やれのほうで、国家、
 民族がくたびれればくたびれるほど、革命の機会は多くなる、という考え方です。しかし
 戦争論議も革命論議も、この種の論じ方で片づけようとすると泥沼ですね。行きつく先は、
 一国社会主義連合と世界資本主義の国家連合との対立になり、より歴史の移り行きに忠実
 なほうが生き残り、すなわち現在のような事態になります。
  それは論議に価しない論議です。つまり思想も理念もへちまもない、力の強いもの、富
 める国が勝つという事実阿呆らしさだけしか残らない
  核実験反対とか、反核運動とか、日本でも大江健三郎さんなんかがよくや、ていたでし 
 ょう。あれは、アメリカのミサイルが日本の基地に来てるじゃないか、それはけしからん、
 と言うんだけど、旧ソ連の核兵器は日本に向けて極東地区に揃ってたんだけど、そのこと
 については一言も触れない。これは不思議じゃないかって思います。
  核兵器は社会主義が好きな人には当たらないようにできてるわけじゃない。誰にでも当
 たるし、当たれば死んじゃうのに、どうして片方だけしか言わないんだ。世界をそんな風
 に色分けしてしまうロシア・マルクス主義の衰退廃の果てが気に入らないです。レーニン、
 スターリンの思想で頭がいかれたんだな、とさえ思ってしまいます。
  それから、平和主義って言うけど、自衛隊に戦争を任せっきりにして、自分は逃げちゃ
 うくせに、平和主義なんて言うなということです。
 
 ●「人殺しはなぜいけないのか」への答え

  前にテレビの大学生が参加していた討論会で、一人が「何で人を殺しちゃいけないんで
 すか」って聞いたら、そこにいた大人がとっさにこれにまともに答えられなかった。その
 中で一人だけ「人を殺していい状況が一つだけある。それは戦争だ」と言っているのが精
 一杯でした。そのとき冗談じゃない、戦争だって人殺しはいけないよ、と思いました。ま
 たそういう本を出した精神科医や社会学者がいました。
  僕は全体が違うと思いますね。「どうして人を殺しちゃいけないんですか」と聞いた人
 に、「それなら、俺が許すから殺してみな」と言ってみるといい。僕なんかが出る幕では
 なくて、中世の思想家がすでに言ってるんですよ。「ナイフをやるから俺でも隣りの人で
 誰でももいいから殺してみな」と言えば、その疑問は飛んでしまうと思うんです。それは、
 そうなっても百%はわからないでしょうけど。
 「どうしていけないかと言うけど、殺してみろと言われてもあなたは殺せないじゃないで
 すか。自分の本当の気持、実感からくる考えから行けば、やっぱり殺さないというほうが 
 正しいんです。人間は契機がなければ一人の人間も殺せません。また契機があれば殺した
 くなくてもたくさんの人を殺してしまいます。良いか悪いかのまえに、偶然にしろ必然に
 しろ、契機があるかないかがまず介在するわけです。当然じゃないか。あなだだってそう
 だろう」ということになります。
  そして、戦争は唯一例外だと言った人もおかしいです。例外でもなんでもない、それだ
 ってよくないんですよ。よくないんだけど、国家の指導者が、やれ、やれ、というからや
 
っちゃう。それに同意してしまうわけです。
  でも、それだっておかしいんですよ。そのときだけ許されて法律にひっかからないで、
 個人的に殺した場合は法律で殺人罪に問われる。そんなのおかしいと思います。戦争だっ
 ていけないんですよ。戦争の殺人だって、殺人だからいけない。どうしてこれは許される
 んだろうかといったら、国家の法律は「国家になりそこなった国家」のことですから、国
 家間の殺し合いである戦争の殺人を裁けないというだけで、決して許されているわけでは
 ありません。

                    -中略-
 
 ●敗戦後、僕はどう「転向」したか
 
  かつて戦争中の自分は、若さにまかせて、逃げちゃうっていうのは許せないってなって
 思ってたんです。僕は戦後いろいろ熟慮できたもんですから、逃げちゃうという人がいて
 もいいと思うようになってます。いてもいいから、そうならそうと言ってくれよって、そ
 れが悪いとは言わないから、というところまでは、自分はきたような気がしてます。 
   だけど、攻めて来たら我慢できないからやっちゃうかもしれないという、僕ぐらいの不
 徹底な平和主義と、逃げちゃうという不徹底な平和主義とは、だいたい同じなんじゃない
 ですか。裏返しで、どちらも似たりよったりで、やっちゃうと言うとかっこがいいと思う
 のと、あいつ馬鹿だなあ、逃げちゃえばいいじゃないかっていうのと、どちらもいると思
 います。どちらも不徹底な平和主義ということで、大して変わりばえしないわけです。こ
 れが一般的なのか、それとも、戦争してもいい、やれ、やれというのが多いのか、これば
 かりは、憲法改正を提起して、国民投票をしてみないとわからない。まあ、半々に近いと
 ころかと思います。
  ただ、平和主義であろうと何であろうと、憲法を変えなきやいけないというなら、ちゃ
 んと国民投票にかけないといけないです。内閣だけで納得してはいけないと思います。国
 民投票で、平和主義が多かったら平和主義で行く。平和主義が少なくて、いざとなったら
 やれ、やれというのが多かったら、国法に従うという意味では従いますが、個人の平和主
 義は捨てる必要はなく、主張されるべきです。
  じゃあ、お前も戦争やれ、やれのほうになっちゃったのかと言われたら、いや、もとも
 と平和主義なんだけど、こういう場合を想定すると、どうしてもやれ、やれ、になっちゃ
 うから、それが多数なら、それに従いますよということで、個人の主張は変りません。そ
 ういう言い方をすると思います。

                    -中略-

  ただ、自民党なんかと違うところは、国民投票にかけろっていうところなんです。民衆
 の大多数がどう出るか。自己主張はしてもいいけど、全体としてはそれに従うべきだと思
 うわけです。
  国民投票にかけないのは絶対に駄目です。誰がやろうと駄目、共産党がやろうと駄目だ  
 と思ってるわけです。国民投票にかけて、多数に従う。そして、後退するなら最後まで後
 退して、決して出て行くなと思うわけです。だけど、出て行くなというのは、出て行けと
 いうのと同じで、どこかに限度はあるわけです。百%はできないんですね。なぜなら、僕
 らにはそれだけの徹底した思想性がないからです

                    -中略-

 
 ●みんなと一緒に逃げる、これも一つの真実だ

  これは逃げの一手で、僕と同年代の三島由紀夫さんでも、友だちの村上一郎さんでも、
 みんなそうならなかったんですよ。そこまで俺は逃げないぞ、逃げられないぞって、村上
 さんは自殺しちゃいましたし、三島さんも自殺しちゃったんですね。それ以上逃げるのは
 耐えがたいということだったんだと思うんです。
  村上さんとか三島さんが自殺したときには、僕は僕なりに、俺は多数と一緒に徹底的に
 逃げるという考え方をつくっていたから、そういうふうにならなかったんです。そこまで
 逃げるのは生きていることにならない、というのがあの人たちの志だったんですね。
  村上さんは海軍の学生軍人だったけど、負けたっていったときに、総理大臣の東条英機
 をぶった斬るとか言って、陸軍省のあたりをうろうろしたという伝説を持った人です。そ
 して、アメリカ資本主義を生涯の敵とすること、といった条項をいくつか書いた人だから、
 どんどん逃げて、これ以上後退して生きてることは、意味がないと思ったんでしょう。志
 が無になる思いで。そういうことがあって自殺しちゃったんです。
  三島さんは、そういう意味ではちょっと遅ればせなんですね。村上さんと同じことを、
 戦後になってから自覚したんです。同じように、これ以上逃げたら志が立たないと思って
 割腹しちゃったんだと思います。
  僕らは、逃げろ、逃げろ、志もへちまもないと思い、といって逃げる方法を戦後に考え
 て、ただ一つ、自民党と違うところは、国民全般がそうならば、あるいは大多数がそうな
 らば、一緒に逃げようじゃないか。大多数がやるというなら、やろうじゃないですか、と
 いうのが違うところなんですね。
  共産党なんかと違うところは、革命だ、革命だって言ってるけど、いざとなったら逃げ
 ればいいんだ、俺は逃げちゃう、亡命すればいいと彼らは考えています。そこが違うんで
 すね。この人たちは、戦争中の日本の兵隊っていうのは、侵略戦争の先兵になって無駄死
 にだったと戦後言ったんです。
  しかし僕は、そんなことを言ったら、自分だって無駄死にに近かったわけだから、俺は
 そうは思わない、無駄死にじゃない。大多数の兵士が戦争に行って何百万人も死んだんだ
 から、この問題をなんとか整理しない限り、思想なんて何も成り立たないという考えで、
 結局
僕は、大多数が戦争するというなら戦争賛成だし、大多数が逃げるなら一緒に逃げる。
 それ以外にないじゃないの、という考えになっていったわけです。


                   「第12章 吉本隆明の戦争論」pp199-217

                        吉本隆明 著 『僕なら言うぞ!』
             
                                               この項つづく


台湾では 中台間の「サービス貿易協定」に反対して台湾の学生らが台北市内の立法院で占拠

しているという。いまのところよくわからないが、学生達の主張は協定による経済的弱者の救
済と言う側面より、中国共産党による専制支配化に異議申し立の側面が強いように思えるが、
さても、今夜中にやるべき作業を大半残したままだ、已んぬる哉
 。

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フラットライナーズ

2014年03月23日 | 医療健康術

 

 

●フラットライナーズの最新解析技術

知人と電話で奥様が、心筋梗塞で緊急医療中に一時心停止状態に陥ったものの事なきえて蘇
生し、いまは
ペースメーカartificial cardiac pacemakerの内挿手術治療を受け自宅に戻ってき
ておられるという
ことだった。彼女と相談し、早速のお見舞をさけ、ほとぼりが冷めたとこ
ろで改めておうかがいし
ようということになったが、電話をしていたときに、映画『フラッ
トランナーズ』のシーンが一瞬過ぎっ
た。そんなことがあり、暫くしてNHKの『病の起源 
第4集「心臓病 ~高性能ポンプの落とし穴~」
』(2013.10.27)の再放送を見ることとな
り、何故、人類特有の心筋梗塞などの心臓の病に罹るのか
を知ることとなった。



シリーズ「病の起源」第4集の概要はこうだ→世界保健機関WHOが発表した世界の死因
の第1位の病「心臓病」。日本でもこの30年間に発症率がおよそ3.5倍に増え、深刻な事態
となっている。心臓は、一生の間に30億回も拍動し、休むことなく全身に血液を送り続けて
いる臓器。その働きに異常をきたすことは命に関わる。そこで、なぜ心臓病になるのか。そ
の答えは、進化に隠されていて、2億2千万年前に誕生した哺乳類が、心臓の筋肉を強力に
し、その筋肉に血管を張り巡らせたことで、高い運動能力を手に入れ繁栄を勝ち取ったこと
に起因する。しかし人類は、7百万年前に独自の進化の道を歩み始めたことで、みずからの
心臓を翻弄させる事態を生み出した。まず直面したのは、直立二足歩行による重力との闘い
で、足に血液がたまりやすくなり、脳が血液不足になるのを防ぐために心臓は負担を強いら
れる。
さらに、250万年前頃から始まる脳の巨大化は人類に高度な知性と文明化をもたらし
たが、一方で心臓の血管が詰まる心筋梗塞のタネを生み出す
。脳の進化に関わったと考えら
れる「ある変化」が、皮肉にも心臓に張り巡らせた血管を痛めやす
くする。進化の代償とし
て抱え込んでいた心臓病の宿命に、どう向き合い防いでいけばよ
いのか、進化を手掛かりにそ
の答えを探っていくという内容だ。

  

この番組にキーマテリアルとなるN-ルリコリルイノラミン酸とAPO4(ヒト血漿蛋白質
遺伝子) が紹
介されていたが、これを突き止める解析分析技術の進歩の背景には毎度のご
とく”デジタル革命渦
論”が横たわり原子数個の量子スケールレベル(数ナノメートル~20
ナノメートル)から分子スケール(~百ナノメートル)のナノテクノロジー進展、とりわけ
遺伝子解析技術、バイオインフォマティクス(生物情報科学)の進歩がある。まずは、心筋
梗塞の話。コレステロールにより血管が詰まり、心臓の筋肉が壊死する心筋梗塞は、ヒトが
特になりやすい病気(人類特有の病?)。ゴリラなどの類人猿の血中コレステロール値はヒ
トよりはるかに高いが、それでも血管にはコレステロールは溜まらず、心筋梗塞も見られな
いと原因解明。それが
血管の詰まりを引き起こすとされているのがN-ルリコリルイノラミ
ン酸Gcという物質。これが心臓の血管に炎症を起こし、その個所からコレステロールが溜
まっていき、血管の詰まりを引き起こす。

 Gcはヒトの細胞を炎症させる

この物質は、他の類人猿やほ乳類の細胞に存在するがヒトには存在しないものだが、遺伝子
解析からアジッド・バルキカルフォルニア大学サンディエゴ大教授(人類進化生物学)が、
ヒトにも存在していたいGcが凡そ270万年前に失っていたことを突き止める。そのメカニ
ムはマラリア病原体とGcが結合することで発症するが、人類は生存戦略としてこのGc
遺伝子から消滅させるが、Gcを喪失することで神経細胞の形成を抑制するGcがなくな
ること
で他のほ乳類の脳と異なり、脳神経細胞を人類は脳を巨大化させることができたと考
えられている。
やがて、食料生産革命によって安定した食料を得ることができた人類は、G
cを含んだ動物の肉も大量に食べるようになることで、一度は失ったGcを再び体内に取り
込み、それを異物として認識した免疫機能により血管に炎症が起こり、心筋梗塞の発症が増
えていくことになるという皮肉な結果をもたらすことなる。





そこで、APO4(ヒト血漿蛋白質遺伝子)が登場する。このAPO4遺伝子)はコレスト
ールを効率的に吸収促進できる機能をもつ狩猟採集時代に獲得した遺伝子で、その時代は
人類は広範囲に行動することで食糧を獲得してきたがそれでも食糧不足状態に陥ることもし

ばしばあったがAPO4をもつことで生き延びることができたが、反面、過剰摂取になり心
臓病の発症を招いてしまったというわけだ。
このように栄養の摂り過ぎが心臓病のリスク

を高める反面、逆に栄養が不足することで心臓病のリスクを高めるてしまい、妊婦の栄養
不足による胎児へ影響をもたらしたことも分かってきた。オランダのアムステルダム大学は、
第二次世界大戦下の食糧不足の中で産まれた人々を追跡調査。当時の人々は、一日にわずか
4
00~800キロカロリーと、必要な量の半分程度のカロリーしか摂取できていなかった。その
調査の結果、対象者は心臓病になる割合が2倍高かったほか、その後に健康的な食生活を送
っていても、心臓病になりやすいということを突き止めている

心臓の細胞は胎児期のみ分裂し、その後増えることはない。このため、胎児期に充分な栄養
が与えられないと細胞の一部が死に、細胞が少ないままの状態で成長することになってしま
い、結果、心臓は早く消耗することになるという。
胎児に充分な栄養が行き渡らないとき、
得られた栄養分は脳の形成のため、最優先に使われ心臓は後回しになってしまうが、胎児期
に心臓病のタネを植えつけることになる。ここでも、脳の巨大化が心臓に影響をもたらし、
謂わば、人類は脳の進化により翻弄される時代と解説しているが、これは意味深い話だ。

これまで安静にすることが前提だった心臓病の治療。しかし現在では、心拍数などを管理し
た上で適度な運動を行い、心臓の負担を軽減させるという治療が試みられている。
足を動か
すことで血管が締め付けられ、血液を押し上げることで循環させることができるとか。その
意味で、足は「第2の心臓」といえるという。
また、心臓に衝撃波を当てることで心臓をマ
ッサージし、新たな血管の形成につなげようという「低出力衝撃波治療」なる治療も試みら
れている。これまで国内で40人ほとが治療を受け、そのほとんどに改善が見られた。このよ
うに人類は、700万年前、2本の足で立ち上がり、直立歩行できるようになった人類の祖先。
そのことにより、両手は自由になり、食料を集めやすくなり、道具を使えるようにもなり

重力の影響により血液は下半身に溜まりやすくなり、血液を全身に循環させに心臓には大き
な負担がかかるようになってしまう。
立ち上がったとき、心拍数が上がることに加えて、全
身の血管をコントロールする交感神経が働きます。それにより血管が細く締まり、上半身へ
と血液が押し上げられます。
その細く締まった状態の血管に血液を行き渡らせる。心臓はさ
らに大きな力を必要とするようになり、心臓の筋肉は疲弊し、そのことが心臓病のリスクを
高めることにもなって来た由来を平易に解説してくれている。


●メカニカルからバイオロジカルなペースメーカへ

 



 

ところで、心臓ペースメーカの技術は、ここにきて、さらに飛躍する様相を見せている。そ
の理由として、従来の機械式ペースメーカは(1)電池寿命や(2)自律神経応答の欠如の
課題があるが、これを生物学的ペースメーカに代替させようとする試みの基礎的研究が進み
その実用化のための事例研究が急速に進んでいることがその背景としてある。周囲の細胞と
電気的結合を作れる生物学的ペースメーカは、従来の機械式ペースメーカの欠点ある(3)
周囲の心臓への起電力の伝導性低下を起こさない。(4)無限に増殖できるES細胞(胚性幹
細胞)から大量
に生物学的ペースメーカを取りだすことが可能である。(5)ヒトiPS細
からの作成が可能であることを特徴としている。

その事例として、久留一郎鳥取大学教授らのグループの「万能細胞由来ペースメーカ開発」
(2013.10.21)がある。胚性幹細胞やiPS細胞などの万能細胞が再生医療に用いられている
が、この細胞から電気を作ったり、動いたりする細胞を取り出す技術を開発し、脈が打たな
くなる病気には、心臓を刺激する電気を作る人工ペースメーカに替わる万能細胞であるヒト
ESならびにiPS細胞から電気を作る細胞を作製し、これを組み合わせて人工ペースメーカに
代わる生物学的ペースメーカと、さらに神経制御機能を搭載した多機能治療ディバイスに関
わる提案がされている。



※国際特許出願(PCT/JP2010/066952)/新規ペースメーカ細胞」WO 2011040469 A1

また、大阪大学大学院工学研究科の明石満教授、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の伊藤
浩教授らは、マウスのES細胞(胚性幹細胞)から心臓を拍動させるペースメーカー組織を
作製し、マウスで機能させることに成功したことを発表(2014.03.19)。患者由来のiPS
細胞(人工多能性幹細胞)由来の再生組織で機能すれば、徐脈性不整脈の治療で使う心臓ペ
ースメーカーの替わりに移植でき、拒絶反応などの課題を解決できる。今後、病気のモデル
マウスを使った移植実験を重ねるという。

尚、この研究成果は、心臓の洞結節部にあり、心臓拍動の刺激を起こすペースメーカー細胞
をマ
ウスES細胞から作製。これを細胞接着性たんぱく質であるフィブロネクチンとゼラチ
ンの溶液に交
互に浸す交互積層法を9回行い、厚さ10ナノメートルの薄膜を細胞表面に形
成。容器に詰めると薄膜を介し細胞が3次元的につながり組織になるというもの。厚さ50
イクロメートルで1センチメートル角になった組織を正常なマウスの心臓洞結節に移植し、
マウスの
拍動数は通常100程度だが、強心剤投与で200、心拍数を下げる阻害剤投与で
40程度と、正しく
機能していることを確認。これまでの培養細胞を注入する方法では生着
することなく、通常の培養法
では2次元的な細胞増殖しかできなかっもの。 

ところで、肝心の映画ストーリというと、野心に満ちた医学生たちの、危険な死の実験が引
き起こす恐ろしい出来事を描くサスペン
ス。エグゼクティヴ・プロデューサーはスコット・
ルーディン、マイケル・ラックミルと
脚本も兼ねるピーター・フィラルディ、製作はマイケ
ル・ダグラスとリック・ビーバー、
監督は「ロストボーイ」のジョエル・シューマカー、撮
影はヤン・デ・ボン、音楽はジェ
ームズ・ニュートン・ハワードが担当。出演はキーファー・
サザーランド、ジュリア・ロ
バーツほか。1990年の米国サスペンス映画。

●物語

シカゴの医大の学生ネルソン(キーファー・サザーランド)は死の壁の向こうを覗こうと
自ら実験台になる計画を仲間に打ち明け、女子学生のレイチェル(ジュリア・ロバーツ)、
停学処分を受けているデヴィッド(ケヴィン・ベーコン)、プレイボーイのジョー(ウィ
アム・ボールドウィン)、医学による人類創世を夢想するランディ(オリバー・プラッ
ト)
の4人の野心的な学生が協力することになった。大学の美術館に秘密裏に集まった彼
らは人
工的にネルソンの心臓を停止させ、そして1分後に蘇生を試みた。死後の世界から
戻ったネ
ルソンはそこで記憶の中の不思議なイメージを見たと語る。次にジョーが実験台
になり、彼
は歪んだ女たちのイメージを見る。実験からしばらく経った後、2人を幻覚が
襲う。ネルソ
ンが子供の頃木の上に追いつめて誤って殺してしまった少年ビリーが実体化
して彼に傷を負
わせ、ジョーは恋人と一緒の時、過去に弄んだ女たちの姿をTV画面に見
る。

しかしそんなものを信じない実証派のデヴィッドは自ら心臓停止状態(フラットライ
ナーズ
)を3分50秒に引き延ばして実験に臨むが、彼もまた幼い頃いじめた黒人少女ウィ
ニーの幻
影を見る。そして最後に実験を受けたレイチェルは、戦争から帰り麻薬を射って
いる所を彼
女に見られたことで自殺した父の姿を目撃する。彼らは死後の世界から潜在的
な罪の意識を
蘇らせてしまったのだ。デビットは成人したウィニーを訪ね謝ることで、レ
イチェルは幻影
の中の父に許しを乞うことで罪の意識から解放されるが、ネルソンはビリ
ーの墓石に祈るこ
とでは許されず、1人で再び実験台に上り死界に戻ることを決意する。
そこでネルソンはつ
いにビリーが微笑むのを見る。その頃ネルソンの行動に気づいたデヴ
ィッドらは急行し蘇生
を始めていた。死後の世界から目覚め仲間たちの顔を目にしたネル
ソンは自分がついに許さ
れたことを知るのだった。

尚、この映画は劇場ではなくDVDで鑑賞している。




春がそこまでやってきている。近くの白梅が見事だったのでデジカメする。断念だが、電線
通信線が邪魔だ!また、裏庭は彼女が白山神社から移植した蕗の薹(フキノトウ)が咲きか
けて"春の皿には苦味を盛れ"と詩的な言葉を発している。

 、

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グラフェンの衝撃:バイオセンサ

2014年03月21日 | ネオコンバーテック

 

●グラフェンと生体分子の技術

他の材料にはない驚異的な物性を持ったグラフェンが様々な研究・産業分野において注目され
ているがここでは、三好大輔甲南大準教授らの『グラフェンと生体分子を用いたバイオセンサ
』(B&I/VOL.72 No.2 2014)から基本原理と事例を紹介し、関係する産業技術の展望を俯瞰
する。さて、荷電子を4個持つ炭素は、4組の共有結合を形成でき、炭素と炭素の結合は、多
くの有機物の基本的な結合であり、すべての生命体に不可欠で、炭素結合の状態によって多く
の同素体を形成する。例えば、ダイヤモンドはsp3混成軌道、グラフェンやグラファイト、フ
ラーレン、カーボンナノチューブはsp2混成軌道、導電性高分子として知られる直鎖アセチレ
ンはsp混成軌道からなる。この中のグラフェンは、4個の荷定子のうち3個加sp2混成軌道を
形成し、ベンゼン環加速絞したようなハニカム構造となり、残りの1個は自由電子となり、グ
ラフェンに高い導電性を与えるという特徴をもつが、2010年のノーベル物理学賞は、そのわず
か数年前でなされたグラフェンの単離と物性解析に対して贈られ、単離されたグラフェンは他
の物質にはない驚異的な物性を示すことが明らかとなり、様々な研究分野において極めて大き
な波及効果をもたらしている。

炭素原子が六角形の網状に結合した材料である「グラフェン」は,数々の優れた電気的、熱的、
機械的特性を備えている。具体的には,室温でも20万cm2/Vs以上という非常に高いキャリア移
動度や、銅をはるかに凌駕する大電流密度への耐性を備える。このため、高速トランジスタ、
タッチ・パネルや太陽電池向けの透明導電膜、銅よりコストが安くそれでいて銅より大電流を
流せる電気配線などへの応用が期待されている。さらに、作製可能なシート状の材料の中で最
も薄く、比表面積が大きい。しかも、ダイヤモンドを超える強度や弾性率、熱伝導率を備える。
欠陥がなければたとえ単層グラフェンでも、ヘリウム(He)原子より大きい物質を通さない。
これらの性質は、電池の電極材料や放熱フィルム、MEMSセンサ、あるいは理想的なバリア・フ
ィルムとしての応用に生かすことが可能だと考えられている。

 

バイオセンサーとして特に注目されているのが、グラフェンの酸化によって得られるグラフェ
ン酸化物(GO)である(上図参照)。GOは、グラフアイトを酸化することで大量に調製でき
る。また、酸化により導入された水酸基やカルボキシル基により、水への分散性が高い。水溶
液への分散性は、生体分子を標的にするバイオセンサーの構築に必要不可欠な特性である。

 

●GOを用いたバイオセンサーの機構

広いπ平面と水酸基やカルボキシル基などの官能基を持つGOは、多くの生体分子と多様な相
互作用を形成できる(上図)。例えば、負電荷を持つGOと正電荷を持つ生体分子は静電的相
互作用を形成する。また、芳香環を持つ生体分子はGOとπ-πスタッキング相互作用を形成す
る。疎水性の高い生体分子は、GOと疎水性相互作用によって吸着する。水酸基やカルボキシ
ル基は生体分子と水素結合を形成できる。さらに、GOの大きな特徴に、近接した分子から発
光される光(蛍光など)を非常に効率よく消光することがある。このようなGOの物性を利用
することで、様々なバイオセンサーを構築できる。その基本原理を下図に示されている。


蛍光団を導入した分子(蛍光分子)をGOに吸着させると、蛍光団からGOへとエネルギー移動
が起こり、蛍光が消光する。ここに蛍光分子と結合する標的分子を添加する。蛍光分子と標的
分子が複合体を形成することで、蛍光分子がGOの表面から解離する。そのため、蛍光消光が
解消し、再び蛍光分子からの蛍光シグナルが観測されるようになる。この検出においては、蛍
光分子と標的分子が複合体を形成することで、蛍光分子とGOとの親和性が低下することが必
要である。親和性を変化させるために有用なのが、蛍光分子の構造変化である。例えば、標的
分子との結合が、蛍光分子の構造形成を誘起できれば、GOとの親和性が変化する可能性が高
い典型的な蛍光分子と標的分子の組み合わせとして、一本のDNA鎖とその相補鎖、アプタマ
ーとその標的分子などがある。また、ピレンなどのGOとの親和性の高い骨格を持つ分子を導
入し、GO八面に生体分子を吸着させる方法もある。さらに、蛍光分子をGO表㈲に共有結合
的に固定化する方法も報告されている。

●超高感度にがんマーカーを検出するGOバイオセンサー

三好大輔甲南大準教授らのグループでは、GOを用いて細胞のがん化のバイオマーカーである
サイクリンA2を検出するこ
とを試みている。サイクリンは、サイクリン依存型キナーゼを活性
化することで細胞周期を制御するタンパク質
である。これまでに、サイクリンとサイクリン依
存型
キナーゼの複合体(下図)の形成を阻害するペプチドが開発されている。このような阻害ペ
プチド
の一種を蛍光ラベル化し、サイクリンの検出に使用した。このペプチドを蛍光ペプチド
と呼び、まず蛍光ベプチドとGOを混合したところ、その蛍光シグナルがほぼ完全(1%以下)
に、かつ迅速に減少した一万で、蛍光ペプチドとサイクリンA2を混合した溶液にGOを添加
した場合、蛍光消光が観測されず、蛍光ペプチドとBSAやリブチームなどを混介した溶液に
GOを添加した際には、蛍光ペプチドのみの場合と同様の蛍光消光が観測されたことから、こ
の反応が、蛍光ペプチドとサイクリンA2の特異的な相互作用を示す。また、サイクリンA2
の検出限界は、0.5nMであった。この検出感度は、既存の方法の検出限界の数千分の1程度であ
る。

さらなる高感度化と簡便化には、電気化学的な検出方法が有用であり、電気化学的な検出に展
開することを試みる。電極をグラフェンで被覆し、その表面をポルフィリンで被覆した。ポル
フィリンが導入されることで、グラフェンの表面は負の電荷密度が増大。ここに先のペプチド
を混合すると、静電的相互作用でペプチドがグラフェン・ポルフィリン表面に吸着する。この
状態で電極間の溶液にシアン化鉄鉄棒を導入すると、シアン化鉄とグラフェン間の電子移動が
阻害され一方、サイクリンA2を加え、ペプチドがグラフェン表面から脱着すると、電子移動
が起こり、電気化学的にサイクリンA2が検出できる。この方法で、がん細胞の有無の検出や、
正常細胞とがん細胞の識別が可能となる。また、GOの代わりに、金属ナノ粒子を用いたサイ
クリンA2の検出も試みている。この系の利点は、金属ナノ粒子間の距離に依存した表面プラ
ズモン共鳴による色調の変化を利用することで、サイクリンA2の有無が目視で確認できる。
一方、この方法によるサイクリンA2の検出張県は40nM。また他の検出原理と比較してみても、
GOを用いたバイ才センサーでは、蛍光分子、標的分子、GOを混合するだけで、非常に高感
度な検出を達成できる。今後は、GOによる簡便な検出方法が、抗原-抗体反応などにも展開
されれば、ELISAのように汎用性のあるバイオアッセイにもGOが活用されると考えられて
いる。

 

●グラフェンバイオセンサープラットフォームの構築

この様に、GOと生体分子の相互作用を熱力学的、速度論的に解析と様々な二次構造を有する
DNAとGOの相互作用に関する定量的諸量(結合定数、自由エネルギー変化、エンタルピー
変化、エントロビー変化、反応速度定数、活性化エネルギーなど)を比較することで、DNA
のどのような配列のどのような高次構造が、どの程度の親和性や速度定数をもってGOと結合・
解離するのかを予測できるシステムを構築することが可能になると期待される。また、
グラフ
ェン酸化物と生体分子を用いたバイオセンサーの作動原理と研究例、さらに、GOと生体分子
の結合に関する熱力学的・速度論的諸量の重要性について俯瞰してきた。このような定量的諸
量をデータベース化することで、GOと機能性DNA(特定分子と結合するアブタマー、酵素
機能を持つリボサイム、代謝産物に紹介するリボスイッチ、化学刺激に応答するDNAスイッ
チなど)を組み合わせて、様々な標的分子を迅速に、かつ回時に検出できる新規GOバイオセ
ンシングプラットフォームを開発することが可能となると期待される。



 

 1999.09

【アベノミクス第三の矢 僕ならこうするぞ!】



「病院で死ぬことが普通のことになり、逆に家で死にたいという要望が増えてきた。病院はど
こまでケアすべきだろうか?」という問いかけに、「入院はしない方がよい、病院の制度・運
営をよりオープンにしろ」と語る。

 ●現代人のための、正しい病院とのつきあい方

  これについても、多数派と少数派に分かれると思います。多数派に僕の実感をまじえて
 言いますと、今の病院制度というのは、個々の医者が立派であるとか、腕がいいとか、技
 術的に優れているとかというようなこととか、看護婦さんが親切だとか、よく世話をして
 くれるとか、そういうことのいかんにかかわらず、制度としての病院を考えると、病気で
 入院するというのは、担ぎ込まれるようにしてそうなったら仕方がないですか、そうでな
 い限りは、入院はしないほうがいいと考えてしまいますね

  どうしてかというと、制度としてよくできていないくせに、医学的な検査は緻密な検査  
 ができるような装置とか、機械とかができている
  検査をしてここが悪い、ここはちょっと欠陥があるとかというのはよく見つけてくれる
 んですけど、それならどうすればいいかという段になると、今のいちばんいいと言われて
 いるお医者さんは、病院の中を社会と考えれば、お前の言うことはもっともだが・・・・・・、
 と
いうような感じなんです。
  つまり、ここに病気があるんだから、これを完全に治さなければ駄目じゃないか。ここ
 に欠陥があるんだから、ここを治さないと社会復帰するのはおかしいじゃないか、という
 ことで、完全に治るまでそこにいないといけない。そういう制度になっています。
  ところが、病院というのは真空地帯で、そこでは日常生活というか、職業について働い
 て帰って休んで寝て、とかいうのはないわけです。入院中は職業について実際の日常生活
 を送っているということはないところでの検査で、欠陥がある、これが治るまで病院にい
 なさい、と言われてもそれは困ってしまいます。特に年をとれば、診てもらえばどこかが
 悪いんだけど、それを我慢しながらというか、なだめながら生活して仕事もやっているわ
 けです。ところが、この日常生活を主に考えるように医者とか病院制度はなってないんで
 すよ。

 ●病気になっても入院はしないほうがいい理由

  いい加減で退院したいと言うと、みすみす悪いとわかっているのに、治さないで帰すの
 は医者の義務として……とか言うから、こっちは、自業自得で病気になったんだから、お
 医者さんに義務なんか負ってもらう必要はないし、ただ日常生活と折り合いがつけられる
 程度でやっていければいいと思うわけです。そんな責任を感じないでくれって言いたいと
 ころなんです。
  特に、医者の言うとおりにしていたら、考えると今の制度では永久に、僕は病院から出
 られないんじゃないかということになっちゃう。
  少しぐらい悪くても、なんとか折り合いをつけて、働いて生活してるんだよっていうの
 が、今の社会のみんなの生き方でしょう。
  それを日常生活と切り離されて真空地帯みたいな生活をしろといわれると、これは駄目
 だ、入院なんかしないほうがいい、強制されてとか、やむをえず行っちゃった、という以
 外は行かないぞ、というのは原則ですね。
  じゃあ、どうすればいいんだということになるわけですけど、僕が思うには、オープン
 にすることだと思いました。 

 ●個性的な看護婦や医者こそ必要だ

  オープンにというのは、例えば私立病院だったら、理事会とか理事とか、お金を出す人
 がいて、そういう人たちの意向で入院費はいくらと決める。そういう制度があって、入院
 させられちゃうことになるわけですね。経営が成り立たないからやむをえないと言うと、
 理事会で入院費が引き上げられる。それは決めても構わないけれども、実際に患者に関わ
 るお医者さんも入れて論議をして、それでお医者さんもやむをえないなと納得してから値
 上げする。せめてこのようにしてほしいですね
  そして、お医者さんは看護婦さんに、個々の患者がそれぞれ違うわけだから、Aさんに
 対してはこれこれの方針で検査をし、投薬している、そういうことでやってくれ。Bさん
 はこうこうだから、ということを伝えて、そういうつもりで世話してくれと、そういうと
 ころをオープンにして看護できるようにする。
  看護婦さんもやっぱりオープンに、看護婦さんの人柄どおり、邪見な人は邪見なりに振
 る舞えばいいと思うんですね。親切な人は親切に、丁寧な人は丁寧に。あまり丁寧じゃな
 い人は素っ気なくていいから、自分の素地の性格そのままで患者さんに接する。それ以上
 のことは要らないと思うんです。今は看護婦というのは、ナイチンゲールみたいに奉仕の
 精神がなければいけないとか、そういうふうに教えるところがあるんですね。
  また、遂に唯物論的、弁証法的看護法を取り入れているところとかもあるんですね。科
 学的看護法というのがあるんですよ。看護婦は情の問題ではない、正確に投薬したり、正
 しい看護をしなければいけないというのもある。僕はこれは両方とも駄目だと思うんです
 ね。
  じゃあ、何がいいんだということになんですが、僕が知ってる看護婦さんは、何がいい
 んだかわからないって言ってます。例えば、ナイチンゲールみたいに親切にすると、あそ
 この病院は看護婦さんがいいから、あそこに入院しようと人気を博した。でも、そういう
 のがいいのかというと、それではホステスと同じようなもので、そういうのはいいとは思
 わないと言うんです。そうかといって、科学的看護法はお話にならない。だから、どうし
 たらいいか、本当にわからないと言っているのを聴いたことがあります。
  それは当然であって、どちらもあまり意識しないほうがいいと思うんですね。そして、
 その人の地でやって、この人の人柄はこうだとわかってもらう。それでいいんじゃないか
 と思います。それ以上のことは無理であって、地で自由に振舞って、しゃくに触ったとき
 は
、「もう、そんなこと自分でしなさい」と言ってもいい。
  これは僕自身の入院体験で実感したところなんです。この人はいいお医者さんじゃない
 の、いい看護婦さんだなあと思う人、いろいろいます。でも、病院という制度の中で考え
 ると、彼らは「こうあるべき」という姿に近づくように求められているところがあります。
 じゃあ、個々の人間の顔はみんな消しちゃって、同じ顔だとして考えた場合には、それは
 ありえない。みんな同じ顔でいろなんて、こんな辻棲の合わないことはないと思ったんで
 すよ。
  自然体で生地のまま、患者個々の状態を考えて振る舞えばそれでいいと思います。

 
 ●入院するならこんな病院

 ・・・ ふだんの生活を短時日に直せといってもそれは無理です。お年寄りはなおさら無理だ
  と
思います。それから、こんな検査、年寄りがやるのは無理だぞっていうのがあるんです
  よ。
胃カメラ飲むぐらいは大したことないんだけど、検査のときは前々の日から食べるな、
  前
の日になったら下剤をかけてお腹の中を空っぽにして、実際に検査するときにはへとへ
 と
になってるのを、グラグラっと回るような機械に入れられて、真横になれとか、少し斜
 め
にとか、その検査が終った後はもう動けないで一日寝てる。こういう馬鹿なことをやる
 ん
ですよ。
  ほんとに大間違いだと思ったのは、いい加減年くった人を身体中検査して、どこか悪い
 ところがないか探す。そういうふうにやって、どこも悪くない、健康だと確かめればいい
 んだというけど、それは大嘘で、四十歳代はまだいいけど、五十歳以降で、身体中調べて
 どこも悪くないなんていう人はいるわけないですよ。どこか必ず悪いところがある。僕な
 んかも厳密にいったら、いいところなんてどこもない。そんなこと厳密にやられたら、死
 ぬまで病院から出られないよって、そういうことになっちゃうんですよ。
 だから、そういう馬鹿なことはしないほうがいいよと言いたいですね。それから、優秀な
 お医者さんというのは、どこも悪くないように責任をもって治す医者
だということになっ
 ているわけですけど、それは違いますよね。年齢によって、この程度
だったら生活できる
 という、そこまでで止めるべきで、あとは注意だけで、できるだけあ
あいう検査はしない
 ほうがいいです。それくらいで、はい退院、というふうにするのがい
い医者ではないでし
 ょうか。今みたいに、真空地帯で非常に厳密に検査やる人がいい医者
だという定義になっ
 ているのは、間違っていると思います。

  こう考えると、入院ということには消極的になっていって、担ぎ込まれたら別だけど、
 そうじゃなきゃしないほうがいいですよっていうことなんです。病院の窓の外はさんさん
 と太陽がかがやき、年若いお母さんが子どもを乳母車にのせて憩っているいい光景が見え
 るのに、自分はもうあの仲間みたいにのんびり散歩できるのは夢なのかなっ、と思ってし
 まいます。自宅の部屋で横になって、窓ガラスの外はすぐ自宅の庭みたいなところで寝て
 いたいというお年寄の我ままがよくわかりました。

                「第13章 病気になっても入院はしないほうがいい理由」pp.219-226

 

 1999.09

「日本は、古いものを残そうとしないのだろう。行政も開発というと、どこも同じようななま
ちづくりをする。地域ごとの特色は近代化とともに消えていってしまうものなのだろうか?」
という問いかけに「心の発達は先に行くことではなくて、どんどんさかのぼっていくことなん
ですね。さかのぼって根拠がわかっていくことだ
」と語る。


 ●新旧対立の考え方は、もう終わりにしよう

  前の話と関連するわけですけど、感覚器官と共に変化するのが人間だと思えば、そうな
 るわけです。だけど、反対のことも言えるので、日本はなぜ古いものを残しているんでし
 ょうか、という言い方もできるわけですね。
  古いものというのは、あまり変化しないもの、人間の精神の働きでも、変化しない部分
 と、極めて着実に外界の社会の変化と共に変化してゆくものがあります。そう考えると、
 日本の場合、必ずしも古いものがだんだんなくなっていっちゃうばかりではなく、少しず  
 つはなくなりますけど、それは逆のことも言えて、日本は高度ハイテク社会なのに古いも
 のを残しているんじゃないか、という考え方も成り立つんです。

                    -中略-


  文明の質として、建物は欧米は石でっくり、日本は木でつくっているという伝統があり
 ました。それは、無生物でつくられているか、植物でつくられているかということです。
 無生物は動かないですから、そういう面もありますけど、感覚的な面でいえば、ヨーロッ
 パの文明、文化は感覚器官の発達でものすごく動きやすいとも言えるわけで、それは両面
 あるでしょう。
  どんどん変化していって一律になっちゃうというのは、感覚作用のことだけで言うと、
 そうなっちゃうわけですよ。だけど、心はそんなに変化しないものだっていうのも勘定に
 入れるならば、これからもそうばかりは言えなくて、感覚器官と共にどんどん発達変化し
 て、しかも同時に画一化していくということも確かにあるでしょう。心としてあまり変化
 しないで残っていく部分もあります。その残っていく部分というのは、内臓はそれぞれ、
  彼は心臓が強かったとか、彼は弱かったとか、腸が強かった、弱かったとかあるように、
 それぞれの個性で違いますが、心は変化が少いですよっていうことです。そういうのは残
 っていくっていうことはあるんじゃないですか。
  例えば、目本の場合はそういうことが言いやすいわけですけど、進歩的だとか、新しい
 ことをどんどん獲得していくとか、逆に保守的で変化しないものばかり求めているとか、
 それらは対立するかのごとく言われることがありますね。僕らも、文明なんていうのは、
 止めようたって止まるもんじゃないよ、とも言いますし、それに対立するつもりで、そん
 なこと言うけど、燃料なんか牛の糞でいいんだ、原子燃料にする必要ないと言う人もいる 
 わけです。
  エコロジーの思想は、文明が発達したから人類は幸福になったわけじゃない、そんなの
 は大して意味がないんだという考え方です。そうすると文明の高度化と、対立するみたい
 になるでしょう。しかし、そんなことは対立ではないんですよね。同じ精神の中の違う部
 分を強調しているだけです
  日本は明治以後、西欧の近代文明と文化に追いつこうとして西欧が幾世紀もかかったこ
 とを一世紀くらいで消化して、その代り、古い伝統的なものを軽んじたり、捨てたりしま
 した。けれど、一世紀くらいの急激な変化くらいでは破壊されないものは、残ってしまい
 ました。それを賞讃する西歌人も、遅れていると感じる西欧人もいます。この問題はいい
 悪いの問題ではなく、特色の問題です。
 
 「進歩」ということは近代日本の合言葉でしたが、文明はますます西欧なみにハイテク化
 し、もっともっと発達していくことに肯定的で、同時に、心の発達にも肯定的だというの 
 が進歩ということでした。
  心の発達というのはどういうことかと言ったら、変化しにくい伝統を掘り下げられると
 いうことです。今までは平安朝ぐらいまでのことしかわからなかったけれども、奈良朝の
 日本人の心がどうだったかということがわかるようになったとか、そういうことです。
  奈良朝よりももっと先の縄文、弥生時代の日本人の心はこうだったということが、石器
 なんかを追究しているうちにわかるようになり出す。それが心が発達する、ということで
 す。
  これは先に行くことではなくて、どんどんさかのぼっていくことなんですね。さかのぼ
 って根拠がわかっていくことが、心の発達ということだと思うんです
  精神の双方向性というか、未来に向かうのと、過去をさかのぼっていく、この両方の動
 き。人類が動物に近かったころはどうだったかとかいうところまでわかってきたというよ
 うになったら、心が大きく、広くなった、発達したという意味合いになるわけですよ。そ
 れと、感覚器官が発達するということは矛盾することではなくて、片方は前向きに発達さ
 せる。もう片方はどんどん過去にさかのぼっていくことが発達だと、そういうふうに行く
 のが進歩的なのだと言うより仕方がないですね。
  だから、どっちでもいいじゃないかって思うんです。資本主義がどうした、社会主義が
 どうしたと言っているのが進歩的なんじゃないんですよ。そんなのはどっちだって同じな  
 んです。
  要するに、視野の幅が広がったということを進歩的と言うのであって、例えば資本主義
 だってそんなにいいもんじゃないなって僕は思っていたんだけど、今度は、社会主義だっ
 てそんなにいいもんじゃないっていうのが、わかってきたと。それが進歩ということなん
 ですね。
  今、小渕内閣だからなかなか不況から脱しないんだと言われてる。僕もそれはそのとお
 りだよって思うけれども、それじゃあ、社民党とか共産党がやったら不況を脱出できるか
 って言ったら、まあ、同じようなもんだよって、僕は思いますね。かえって下手なことを
 するかもしれないよとも思ったりしますから、それはあまり変りないですよね。
  だから、僕はそういう意味でハイテク大賛成で、どんどん変化し発達すればいいと思っ
 ています。
  しかし同時に、僕は今のところ、言葉が主ですけれども、奈良朝以前の日本語っていう
 のはどういうふうだったか、そういうところに突っ込んでいるわけです。そこを少しずつ
 でもはっきりさせていこうと思うことが、僕の考える進歩ということです。

 ●日本語の未来

  方言については、僕の考え方で、あまり普遍性はないかもしれないけれども、方言と民
 族語の違いっていうのは、地続きなんですよ。つまり、これは方言だ、方言だと思ってい
 ると、異国語になっちゃうんです。例えば、対馬海峡で朝鮮半島と日本に分けてみても、
 朝鮮半島側の対馬は朝解語を話し、こっち側は日本語を話すというわけではないんですよ。
 どっちかが有力かということになると、対馬は日本語が有力でしょうけど、もっと先ま
 でいったら、どっちだかわからない。両方に通用するような言葉だったかもしれないし、
 両方に通用しない言葉だったかもしれない。(中略) 民族語の違いと方言の違いは地続
 きで、連続的に変化していくものだと思っています。
  琉球、沖縄語と日本語というのは、言語学者の計算では、七、八千年前にいけば同じ言
 葉に行きつく。それは日本語とも違うし、琉球語とも違う。でも日本語の源なんですね。
 それはそのとおりで、今、琉球方言、沖縄方言なんですけど、これと北九州の言葉ないし
 は南九州の言葉、ないしは東北の言葉はものすごく似ているんです。
  これをさかのぼっていくと、方言と民族語の違いはどこからそうなっちやうかっていう
 のは、なかなか区別はつかないんだと思います。僕は連続的だと思っていますけどね。民
 族語の違いがあるように、それぞれに方言もある。民族語が統一されるということはある
 のかなあというのには疑問が残るし、今のところどんどん分化していく過程にあるように
 思います。だから、これからも方言は残っていくというのが、僕の考えです。
  今の日本社会のように、古いものをどんどん捨ててしまっていると思える時期は、社会
 の変化が急速で著しいときです。でもいつまでもそうかどうかはまったくわからないで、
 また古いものは大切だから残せという風潮になるときがあると思いますね

               「第14章 本当の「進歩」を教えよう」pp.227-233

                        吉本隆明 著 『僕なら言うぞ!』

             
                                                この項つづく

 

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ピーエム症候群と向き合う

2014年03月20日 | 医療健康術

 

 

 

 

 

   砂漠から砂漠へと心は乾くだけだよと
   あ~流れる星たち あ~南風の中
   テキ-ラ・ムーン テキ-ラ・ムーン

   恋に破れた狼はひとり月に吠えるだけだよと
   あ~流れる星たち あ~南風の中
   テキ-ラ・ムーン テキ-ラ・ムーン
   メキシコまで行こう他の果てまで墜ちよう
   砂嵐くぐりぬけ俺は酒場に立ち叫ぶ
     One More Requira!

   悲しい時は酔いとれちまえ
   壜を枕に男泣きだよ
   テキ-ラ・ムーン テキ-ラ・ムーン

                   ”テキーラ・ムーン”
               作詞/作曲 松本隆/筒美京平   

 

テキーラは、メキシコのハリスコ州、グアダラハラ市近郊のテキーラ地域に1700年代から作られ
ている地酒をいう。シャンパーニュ地方のシャンパンやコニャック地方のコニャックと同じよう
に、テキーラは原産地呼称が世界で認められている。メキシコにはもともと「プルケ」という
ュウゼツラン(竜舌蘭、Agave)の搾り汁を発酵させた醸造酒が西暦200年頃にはあったといわれ
るてる。発酵させずとも、アガヴェの芯の部分で自然発酵することもある。大昔に山火事が起き
たとき、こんがり焼けたアガヴェの中心に酒が出来ていたという話や、鳥がアガヴェの中心に入
り込み出てくるとフラフラで飛べなかったので発見されたなどいろいろな話がある。プルケは呑
んでみると日本の甘酒に似ている。スペインから蒸留技術が持ち込まれると、プルケを蒸留した
メスカルが誕生し、メスカルは1538年の課税に関する最古の記録が残っている。そのメスカルの
中からハリスコ州政府の機関「CRT(Consejo Regulador del Tequila)」が厳重に管理しCRTの規則に
合ったものがテキーラと呼ばれている。蒸留所はNOMと呼ばれる4ケタの蒸留所番号を与えられ、
テキーラの瓶にはこの4ケタの番号がNOM1103などと記されている。エラトゥーラ(NOM1119)とエ
ル・ヒマドール(NOM1119)のように同じNOMを持つテキーラは同じ蒸留所産だとわかる。例えば、
最古の蒸留所はクエルボ蒸留所(NOM1122)で1795年創業だとか。アガヴェは海抜1500m以上、年
間250日以上の晴天、平均気温20度以上で育ち、アガヴェ・アスール・テキラーナ・ウェーバー
は一般的にはブルーアガヴェと呼ばれ、このブルーアガヴェを51%以上使用し、残りはモラセ
スと呼ばれる廃糖蜜を使われることもある。これが「ミックス(Mixto)」のテキーラ。何も加え
ずにブルーアガヴェのみで作られたテキーラが「100%アガヴェ(100% Agave)」です。日本酒で言
うところの純米酒に当たる。また、これは世界各国で使用されている国際的な基準ですが、日本
に輸入できるのは1mg/1mlまで。これを超える場合は「製菓用」として輸入されいる。テキーラ
は2回の蒸留後、60%台のアルコール度数になります。これに加水をして調整していきます。度
数は低いもので35%、最高50%まで商品化され、テキーラのほとんどが40%前後。日本でがミッ
クスタイプだが、100%アガヴェの生産量は2006年にミックスを抜き、世界ではいまや主流になり
つつある。ミックスのテキーラにはSilverGoldなどがありますが、GoldSilverにカラメルで着
色しただけのものが多く価格にもあまり違いはない。100%アガヴェのテキーラには樽熟成の段階
に応じ、樽熟成をしない透明なブランコ(Blanco)、最低60日間の樽熟成をしたレポサド(Reposdo)
、最低1年間の樽熟成をしたAñejo(アニェホ)、最低3年間の樽熟成をしたエキストラ・アネホ(
Extra Anejo) の4種類がある。こんなことを能書きしているのは、近くのリカーショップでテキ
ーラを買って帰り早速試飲する。そのとき桑名の歌を口ずさんだといういうわけだ。 


【ピーエム症候群と向き合う】

 

20日間、喘息と痰になやませていたが、徐々に回復し、通院も2回で終わらせた(国家財政の医
療費負担軽減の努力はこれから継続させたいという意志もあり)。もっとも、この先また再発す
るとも限らないものの、念のために龍角散ダイレクトと高性能立体マスクを購入する。 

 




そんなゴタゴタの経験からこの粒子状物質(ピー・エム)がもたらす”ピーエム症候群”と向き
合い、それを克服するための、大仰にいえば「闘争宣言」を準備すべく情報の収集と整頓および
整理をはじめた。

●粒子状物質;ピー・エム

粒子状物質(Particulate Matter, PM, Particulates)とは、マイクロメートル (μm) の大きさの固体
や液体の微粒子のこと。主に燃焼による煤塵、黄砂のような飛散土壌、海塩粒子、工場や建設現
場で生じる粉塵等などからなり、大気汚染物質として扱うときに用いる用語であるという。日本
の法令用語では「粒子状物質」自体の定義は存在しないが、環境基本法に基づく環境省告示(「
大気の汚染に係る環境基準について」)の浮遊粒子状物質の定義の中で「浮遊粒子状物質とは、
大気中に浮遊する粒子状物質)」として間接的に引用される。大気汚染防止法では法規制の対象
には自動車排ガスの中の粒子状物質が大気汚染物質に定められている。同法関連法規では粒子状
物質が「自動車排ガスの中の粒子状物質」の意味で用いられるので要注意。粒子状物質の分類と
して、大きさにより定義されたPM10、PM2.5などがあり、通常、粒子径(空気動力学)○○μm以
下の微粒子などと説明されるが、一定の粒子径以下の微粒子を完全に捕集することは困難であり、
測定技術の都合から、厳密には質量中央径 (Mass Median Diameter, MMD) または粒子数中央径
(Count Median Diameter, CMD) が○○μm以下の微粒子をいう。


●PM10

大気中に浮遊する微粒子のうち、粒子径が概ね10μm以下のもの。粒子径10μmで50%の捕集効率
を持つ分粒装置を透過する微粒子。1987年に米国で初めて環境基準が設定され、以降世界の多く
の地域で採用されて、大気汚染の指標として広く用いられている。

●PM2.5(微小粒子状物質)

大気中に浮遊する微粒子のうち、粒子径が概ね2.5μm以下のもの。粒子径2.5μmで50%の捕集効
率を持つ分粒装置を透過する微粒子。日本では訳語として「微小粒子状物質」の語が充てられる
が、日本以外では相当する熟語はなく専らPM2.5と呼ぶ。PM10と比べて小さなものが多いため、
健康への悪影響が大きいと考えられている。アメリカで1997年に初めて環境基準が設定されて以
降、1990年代後半から採用され始め、世界の多くの地域でPM10とともに大気汚染の指標とされて
いる。九州大学応用力学研究所の竹村俊彦准教授(大気環境学)は「健康被害が出る大きな理
由は、PM2.5が小さすぎるので、肺の奥深くまで入り込んでしまうからです」。環境省の報告(
2009年)では、PM2.5の濃度が1立方メートルあたり10マイクログラム上がると、肺がんのリスク
約1.2倍になると推計されている。ぜんそくなどの呼吸器や循環器の疾患の引き金になるとの
指摘もある。

●PM0.1(微小粒子状物質)

大気中の微小粒子状物質(P M2.5)でも特に細かい、直径0.1マイクロメートル(1万分の
1ミリ)以下の超微粒子。粒径が髪の毛の800分の1程度と極めて小さいため、重さはわずかで
も個数では大きな比率を占める。交通が激しい都市の屋外では、大気1立方センチあたりに数万
個ものPM0.1が含まれるという測定データもある。
 PM2.5は2009年に環境基準(年平均=1
立方メートルあたり15マイクログラム以下、1日平均=同3マイクログラム以下)が作られたが
PM0.1には基準値はない

ただし、妊娠中の母親が空気中の超微小粒子を吸い込むと、直接胎児の脳へと運ばれ、細胞に異
常をきたす。こうした現象を東京理科大などの研究グループが世界で初めて動物実験で確認され
ている。PM0.1は重量あたりの粒子数や表面積が極端に大きく、未知の性質を示す可能性が
摘されてきたが、同大学武田教授は「脳に達しだのは、PM0.1の粒子の小ささが主な原因だ
ろう。人体への影響も含めた詳細な調査が必要だ」と話している。また、環境中の微量物質の毒
性に詳しい黒田洋一郎・環境脳神経科学情報センタ代表の話では、大気汚染物質などの微小粒子
が人体に悪影響を及ぼすことは知られていたがPM0.1が母親から胎児の脳に達し、脳の細胞
に異常を生じさせることが裏付けられたのは初めてだ。ヒトでも同じことが起きるとすると、脳
の老化が早まり、アルツハイマー病のリスクが高まる可能性もある(朝日新聞、2013.10.28)。


 

●PM2.5や黄砂が健康に及ぼす影響

花粉などアレルギーの原因となる抗原が体内に侵入すると、「IgE」という抗体と結び付き、
炎症を引き起こすヒスタミンなどの化学物質が出てアレルギー症状が起こる。抗原が入ってこな
いと症状が治まるかというと、実際はずっとくすぶっている状態が続いていると、そこに黄砂が
入ると、付着した一酸化硫黄や一酸化窒素、シリカゲルなどの物質が抗原と同じように作用し、
鼻づまりや目のかゆみ、せきなどの症状が出る可能性がある。また、もともと花粉症でない人で
も、問題物質が花粉と一緒に入ってくると発症しやすくなる。さらに、黄砂に付着するなどして
飛来するPM2.5にも、アレルギーを起こす物質が付着。粒子が小さいために吸い込むと肺の
奥や気管支の隅まで入って、沈着してさまざまな反応を起こす恐れがある(福井新聞、2013.03.

07)。埼玉大学の王青躍准教授によると、PM2.5はスギ花粉と接触し、更に湿気などの条件があ
ると爆発し、PM1.0という更に微小な物質となる可能性がある。PM1.0=1μm=0.001mlは
 、普通
のマスクでは通り抜けてしまい防ぐことができない



●とりあえず個人でできる対策

それでは、個人ができる対策を考えてみると、(1)衛生マスクをすること。それも、高品質の
マスクを用いる(捕集率の高いもの、ウイルスが除去できるもの、呼吸を妨げない、装着したと
きの快適であるなど)(2)こまめに部屋の掃除を行う、また、加湿器や空気清浄機を使う(3)
免疫力を高める(食事・睡眠・ストレスレス)。(4)それでも、咳込みなど症状があらわれる
と耳鼻咽喉、気管支などの気道の表面細胞を傷つけ、それが原因となり炎症を起こすので咳・痰
の発生を抑制することなど4点であるが、今日は(1)と(4)を薬局で買い揃えたわけだが、
(2)はすでに使用中(『物価連動制と空気清浄機』)で、残り(3)は励行ということになる。

 
●衛生マスクは要改善

周知のごとく、マスクはその用途により「医療用マスク」「産業用マスク」「家庭用マスク」の
3種類にわけられいる。生活に最も馴染み深いのが、カゼや花粉対策として薬局やスーパーなど
で売られている「家庭用マスク」。カゼ、花粉対策や防寒・保湿などの目的で日常に使われるマ
スクで、素材や形状、サイズなども豊富で、フィルター性能と通気性のバランスがよいため、長
時間に渡り、快適に使用できる特徴をもつ。ところが、眼鏡をして作業するためどうしても排気
するときに眼鏡が曇るという不当が生じる。眼鏡着用事態が負担になる上にさらにその作業を困
難にしストレスフルに追い込まれ悪循環になる。もう1つ、ピーエム2.5クラスの除去性能評
価(保証)したマスクがないことだ。前者は、前述のユニチャームの立体マスクに該当するのだ
がやはりエアー漏れがする、それ以外に上図の接着部を設けたものとか、ワイヤ状のもので形取
りしたものとか試用してみたがやはり漏れがあり壜る。接着部にジェリー剤やゲル剤の接着力を
設計したものが提案出願されているものの今ひとつというのが感想で、ウレタンやポリビニルア
ルコール系のゲル材(緩衝材や転倒防止材をマスク裏面に印刷しておけば改善できるものと考え
るが、このときマスク内圧強度設計や除圧機構設計が必要となる。さらに後者は、(1)インナ
ー方式(除菌及び防塵を塗布した不織布・通気性のあるフィルムを挿入)や(2)マスク素材の
補足強化したものにするかあるが、医療用や産業用マスクに漸近し、高価で使い勝手が悪くなる
のが目に見えているので、ここは知恵の絞りようになる。また3つめとしては(3)リユース方
式を考慮設計するなら、除菌でいえば、電子レンジや紫外線照射による殺菌法の他、使い捨てイ
ンナー方式が考えられる。


ところで、上図の資生堂の特許では、三次元レーザーでマスク形状を画像処理し、マスクのレプリカを三
次元プリンターなどを使い、紫外線や熱硬化樹脂フィルムでマスク形成する方法が提案されていたが、
コストの問題はあるものの、機能性インナーを挿入や耳部用ハンガー取付けるだけでオーダーメイドの
衛生マスクが提供販売できるだる。勿論、マスク形状設計は加工材との関係で決定されるだろうし、そこ
は、データ収集とコンヒュータ・シミュレーション(模擬実験)などの事業技術の出来栄え如何ということに
なるだろう。この開発出荷までの期間は1年として積極的に動く必要があるので残件扱いとなる。



 

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LCO深紫外発光ダイオードの衝撃

2014年03月18日 | デジタル革命渦論

 

 

 

●LCO深紫外発光ダイオードの衝撃:従来より生産コスト1/5に逓減!?

殺菌や3Dプリンターに用いられる深紫外光を出す発光ダイオード(LED)を低コストで
製造する方法を開発したと、立命館大総合科学技術研究機構の黒瀬範子研究員や青柳克信上
席研究員のグループが17日発表した。現在、主に使われている水銀灯に代わる光源として
期待できることを公表(京都新聞、2014.03.18)。そてによると、
深紫外光は波長200~
350ナノメートル(ナノは10億分の1)の紫外線で、医療現場や浄水場での殺菌のほか、
3Dプリンターで材料を固める際に利用されている。光源は水銀灯が多いが、国連の「水銀
に関する水俣条約」で規制が強化されるため代替技術の開発が求められている。
深紫外LE
Dを製造する際、従来法ではLED素子から電気を通さない部分を切り離す難しい作業が必
要だった。グループは、この部分に無数の微小な穴を開けて電気を通す材料を埋め込むこと
で、この作業を省くことに成功したことが大きな開発ポイントなるという。尚、
黒瀬研究員
は「LEDの製造にかかる時間を大幅に短縮でき、コストの削減につなげられる」と話して
いるという。
 

 LCOLow cost of ownership の略
Deep-UV Light Emitting Diodes: An Experimental Investigation of Characterization and Optimization
     Techniques, 2007.04.11, Eric M. Fraser

マイクロプラズマ励起大面積高出力深紫外発光素子(MIPE)について
※ A 2-inch, large-size deep ultraviolet light-emitting device using dynamically controlled micro-plasma-
    excited AlGaN, Appl. Phys. Lett. 102, 041114 (2013)

深紫外光源は、照明、殺菌、医療、浄水、計測等の様々な分野で使用されている。深紫外光
は主に約200~約350nmの波長を言う、場合によってはそれ以下の100nm以上2
00nm以下の波長も含む(以下、DUV(Deep Ultraviolet)光とも記す)。深紫外光の発
生手段としては、水銀ランプ、半導体発光素子(半導体LED)、エキシマランプなどが知
られているが、
水銀ランプでは、ガラス管内の水銀蒸気中でアーク放電を起こし、特定の波
長の紫外光(例えば254nm)を発生させる。エキシマランプでは、放電用ガス(希ガス
又は希ガスハロゲン化合物)を二重石英管中に充填し、石英管を通して電極間に高周波・高
電圧を印加することによって、放電用ガスを励起して紫外光を発生させる。
一方、半導体L
EDは、窒化物系深紫外発光素子が知られている。具体的事例として、横型構造の素子があ
るが、これは、電流がn型AlGaN層中を横方向に流れなければならないため、素子抵抗
が高くなり発熱量が増大し、キャリアの注入効率への悪影響が生じる欠点がある。従って、
高出力動作に適さず、チップサイズを大型化することができない(下図参照)。


※ WO2006/104063 窒化物系深紫外発光素子およびその製造方法

これに対し、この欠点を改善するための素子として、縦型構造の窒化物系深紫外発光素子が
知られているが、縦型構造によって、素子抵抗を小さくすることができるので、駆動効率を
高め、発熱を抑えることができ、高出力動作が可能となる(下図参照)。従来の深紫外光発
生手段のうち、水銀ランプは環境に悪い水銀を使用している問題がある。また、水銀ランプ
は発生可能な波長が限定されており、寿命が短く、高電圧が必要であり使いにくい問題があ
る。また、エキシマランプは、ランプ寿命が短く、大型の装置になるので、特殊な用途に限
定される問題があるが、窒化物系深紫外発光素子は、小型であり、水銀ランプに代わるもの
として期待されているが、前述した上図特許に開示された窒化物系深紫外発光素子は発光効
率が低く、大出力化に対応できない問題がある。また下図の特許例の窒化物系深紫外発光素
子は小型化は出来るが、深紫外領域では、発光効率が低く大出力化が難しいく、多層構造が
必要であり、ドーピングが必要でその準位が深いため担体濃度を上げることが出来ず、また
特に波長が短くなると電極の接触抵抗を下げることが難しい。これらのことにより、外部量
子効率を上げることが難しく製造工程が複雑である。
 

●要約:LCO発光ダイオード技術

深紫外発光素子(1)は、上部基板(6)と、下部基板(2)と、下部基板の一方の面に形
成された複数の電極(3)、誘電体層(4)、及び保護層(5)と、上部基板の一方の面に
形成された発光層(7)と、上部基板と下部基板が、電極と発光層とを対向させて配置し、
密閉空間(8)に充填されたガス(Xe及びNe)に、RF電圧を印加し、プラズマ(P)
を発光(深紫外光)させることで、高発光効率の製造が容易で、大面積化に適した深紫外発
光素子の方法を提供する。

RF電圧:高周波放電々圧



●効果事例

この発明によれば、高い効率で深紫外光を発生させることができる。従来では、波長200
nmの深紫
外光の外部量子効率は、10-4 %程度だが1%以上の外部量子効率を実現するこ
とができ、最適化すれば外部量子効率を約10%まで向上することが期待できる。なお、外部量子効
率とは、投入電力エネルギーに対する発光エネルギーの比(%)である。また、従来の窒化物系深紫
発光素子で発光波長が210nmでは数nW(ナノワット)の出力しか実現できていない
が、1W以上
の出力を実現も可能である。 この深紫外発光素子は、構造が大変簡単であり、
製造が容易で、従来
の窒化物系深紫外発光素子では、製造に1週間以上かかるのに対し、深
紫外発光素子では、約1日~2日で製造することができる。また、大面積化も容易である。
また、発光層としてAlGaNを使用する場合、発光層中のAlの割合を空間的に変化させ
ることにより、所定の幅広い波長帯域にわたって深紫外光を発生させることもできる。また、
電極に直流電圧を印加すれば、強度が時間的に安定な深紫外光を発生させることができるの
で、計測用途に使用することが可能になるという。


※ 量子井戸構造:バンドギャップが小さい極めて薄い層をバンドギャップが大きい層で挟
み込んだ構造のこと。バンドギャップが小さい層のポテンシャルは周囲(バンドギャップが
大きい層)よりも低く,ポテンシャルの井戸(量子井戸)ができている。LEDや半導体レーザ
などにおいて,量子井戸構造を光を放射する活性層に用いている。量子井戸を複数重ねた構
造は多重量子井戸MQW:multi quantum well)と呼ぶ。



●製造方法特徴

この発明の製造方法の特徴は(1)上部構造と下部構造とを別に作製した後、それらを接合
することにある。(2)また、上部構造の作製では、上部基板6(例えばサファイア基板)
を真空チャンバ内に配置し、その上に発光層7を形成する。例えば、有機金属化学相蒸着法
(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)で、発光層7としてAlGaNの単
結晶を形成し、(3)下部構造の作製では、先ず、下部基板2を真空チャンバ内に配置し、
リフトオフ法あるいは直接パターン蒸着法によって電極3を形成する。例えばリフトオフ法
では、下部基板2の上に所定のマスクパターンを形成し、金属を蒸着した後、マスクパター
ンを除去して、残存する蒸着層を電極3として形成。(4)次に、上部構造と下部構造とを、
電極3と発光層7とが対向するように、所定の間隔を空けて接合して準密閉空間を形成する。
その後、真空状態の準密閉空間内に所定のガスを注入し、完全に密閉して密閉空間8を形成
している。
 

以上、今回の発明技術と向産業インパクトについで大急ぎで俯瞰してきた。またここでも”デジタル革
命渦論”の展開事例を垣間見ることができた。

オイルサーディンのシチリア風パスタと聞くだけで、俄然、食欲がでてくるのに、それに輪を
かけ、オイルサーディンだの、四
川風ピクルス液だのとくれば、これはずる~~いぃ~~!
さっそく、録画。そして、これを彼女に見せて、調理させて試食と、頭がひとりでに回転。
おっと、これは「夢の3シェフNEO ほっとくだけでおいしい 熟成料理」(あさイチ)で
の話。自分でも作りたいのだが、これだけは、彼女は拒否権を発動することが目に見えている。

 

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ベッドに藁を敷つめて

2014年03月17日 | 現代歌謡

 

 

 

今朝は20日ぶりの車での遠出となる。往路には金柑の実や白梅、紅梅がまだ寒さが
残る街路から見える。湖岸道路では、自転車のロードレース競技で、多少センターオ
ーバー気味に徐行し競技自転車に追い越して行くように走る。海岸ではモーターグラ
イダーが空に舞い上がり心地よさそうに静止するかのように飛んでいる。相変わらず
時折、子供がごねるように調子が狂うカーナビをあやし終え、ステレオのボリューム
を上げる。桑名正博の「薔薇と海賊」を聴いている。
 アルバム・テキーラームーンに収
まれた曲だ。心はハイになる。今日までの沈鬱な気分を帳消しにしてくれる。

 テキーラ・ムーン




   港に錨を投けた都会は
   夜の帆掲けた海賊船さ
   鴎を漁った店は『シャマイカ』
   ラム酒をあおって酔いつふれてた

     Rosey お前は優しい娘だったよ
     Rosey 朝まで介抱してくれたっけ

   男は荒くれ海賊なのさ
   女をさらって海へ旅立つ
   行き着く潜が『不倖せ』でも
   ベッドに薔薇をしきつめてくれ

   かみそりみたいな月の明かりで
   お前は□紅夜に溶かす
   泣いてる背中が壁の鏡に
   不幸はとっても決まる組になる

     Rosey お前を力で奪ったけれど
     Rosey 心の中まで奪えなかった

   いつでも都会は孤独な海さ
   誰でも淋しい離れ小島さ
   七つの海へと漂泊(さすら)う前に
   ベッドに薔薇をしきつめてくれ

     Rosey イ奄にはあんまり深入りするな
     
Rosey 愛する資格も無い酔いどれさ

   男は哀しい海賊なのさ
   戦い敗れて決む船だよ

   『絶望』のドアを閉さすかわりに
   ベッドに薔薇をしきつめてくれ


                              " 薔薇と海賊 "

                      作詞/作曲  松本隆/筒美京平


ところが、「男は荒くれ海賊なのさ/女をさらって海へ旅立つ/行き着く潜が『不倖
せ』でもベッドに薔薇をしきつめてくれ」の歌詞の部分で「薔薇」を「藁」と聞き違
え、わがままな男が女に慰撫されるシーンを寧ろ、藁がストイック(禁欲)なまでの
冒険(あるいは、ハンティング)への決意のメタファ(隠喩)に都合良く変化させる
ことで、高揚感に転換しているのだが、それ程までに「薔薇」より「藁」の方が感情
にマッチしていた。しかし、待てよ?『薔薇と海賊』は、三島由起夫の戯曲じゃなか
ったか?ヒロインの女流童話作家と、童話ファンの白痴の青年との恋愛劇である。三
島は、ロマンチック時代と同等のラヴ・シーンを、現代風俗の舞台に持ち込み、性欲
を嫌悪する女と性欲を持たぬ男との恋人同士を想定したいう戯曲だろう?これは、作
詞した、松本隆に聞いてみればわかることだろうと。そんなことなど考えながら、目
的の宴会場を下見のためのホテルに着く。駐車場からロビーに入り、係員に要件を質
問してみたが、実際に身体を運び現場を見ると細かなことに気付かされる(こんなこ
とは常識なのだが、20日のブランクがそれをより強調(enharence)する)。

 Sweet Rain

 



ところで、ラウンジないの喫茶コーナでダージリンのミルクーティをオーダーするも
ホットのところをアイスと間違え持ってきた女性係員のユニフォームの胸には「実習
生」の札が止められていたので、そのまま何も言わずに飲んでいたというできごとの
尾ひれが付くが、約1時間程度で仕事を済ませ帰路に。帰りのボーズから自動選曲さ
れたローリングストーンズの曲が流れている。初期のころから現在まで、ミック・ジ
ャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツの三人が替わらずメンバー構成し
てきたが、やはりミック・ジャガーの声帯力の衰えは隠せないが、ロック歌手は早死
にする!というのは、もはや過去のものになった。長く彼らの音楽と親しんできたの
で、ワイルドなチカラがもらえるいうことを復路で再認識するドライブになった。

 

    You're the kind of person
    You meet at certain dismal dull affairs.
    Center of a crowd, talking much too loud
    Running up and down the stairs.
    Well, it seems to me that you have seen too much in too few years.
    And though you've tried you just can't hide
    Your eyes are edged with tears.

    You better stop
    Look around
    Here it comes, here it comes, here it comes, here it comes
    Here comes your nine-teenth nervous breakdown.

    When you were a child
    You were treated kind
    But you were never brought up right.
    You were always spoiled with a thousand toys
    But still you cried all night.
    Your mother who neglected you
    Owes a million dollars tax.
    And your father's still perfecting ways of making sealing wax.

    You better stop, look around
    Here it comes, here it comes, here it comes, here it comes
    Here comes your nine-teenth nervous breakdown ・・・ 
                   
                                                                                 

                           " 19th Nervous Breakdown" 
                   
Writer: JAGGER, MICK / RICHARDS, KEITH

※楽曲タイトル:19回目の神経衰弱

  スラング辞典



 

【進行するエネルギーの地産地消】 

積水化学工業株式会社 住宅カンパニーが「太陽光発電システムとホームエネルギーマ
ネジメントシステム搭載住宅の電力量収支実邸調査結果を公表した(2013)。それに
よると、2011年4月発売の「スマートハイム」よりHEMSを搭載。今回、2012年12
月までにご入居済みセキスイハイムの内 1,726邸の2013年1月~12月の消費電力量・
発電電力量・電力量収支について、設置されているコミュニケーション型HEMS「
スマートハイム・ナビ」のデータ分析
結果、2013年のZEH(家電込み)が13%(前
年度6.5%)、平成25年度ZEH補助金
要件(家電の消費電力を除いたゼロエネルギー
評価:Z
EH(家電抜き))による試算で約 59%となったという。また、1997年以降、
太陽光発電搭載を積極的に進め、2003年に光熱費ゼロハイム、2012年大容量太陽光発
電・定置型大容量リチウムイオン蓄電池「e-Pocket(イー・ポケット)」・HEMS
の3点セットを標準搭載した「進・スマートハイム」を発売。昨年は、これをベース
にZEH(家電抜き)標準仕様の「ミライ・クラス」シリーズ、標準的な規模の建物
でもZEH(家電込み)を実現できる「スマートパワーステーション」シリーズを投
入。今後新築住宅では、2016年までに家電を抜いたZEHの標準化を、2020年には家
電も含めたZEHの標準化を目標に取り組むという。

※ZEH:ネット・ゼロ・エネルギー住宅の略、オール電化住宅の場合:消費電力量
 <発電電力量
※ZEH補助金:住宅・ビルの革新的省エネ技術導入促進事業費補助金(ネット・ゼロ・
 エネルギー・ハウス支援事業)
2013年12月末現在で累計14万2,996棟(新築・既築の合計)。その累積容量は約66
 万㎾(平均4.4㎾)、年間発電電力量の推定値は約6億6,000万㎾h/年で、約11.7万
 世帯の年間消費電力量に相当します。

 

●順調に百%に漸近(エネルギー自足率)?!

「光熱費実邸調査(2012)」ではZEH達成率は6.5%。今回の調査では224邸となり
母集団1,726件の13%を占めてる。今回調査したPV搭載住宅(ZEH達成邸も含む)
の中央値(平均像)は延べ床面積129.2㎡で家族数は3.7人、PV搭載容量4.99㎾(前
年は4.78㎾)、発電電力量5,999㎾h/年、消費電力量8,850㎾h/年、電力量収支はプラ
ス2,851㎾h/年。
ZEH(家電抜き+家電込み)1,015邸の中央値(平均像)は延べ床

面積124.3㎡で家族数は3.4人、PV搭載容量5.12㎾、発電電力量6,297㎾h/年、消費
電力量7,563㎾h/年となり、電力量収支はプラス1,266㎾h/年。さらに、ZEH(家
電込み)224邸の中央値(平均像)は延べ床面積124.6㎡で家族数は3.1人、PV搭載
容量5.55㎾、発電電力量6,986㎾h/年、消費電力量5,733㎾h/年となり、電力量収支は
マイナス1,253㎾h/年。今後、「スマートパワーステーション」などZEH仕様の
住宅販売をより積極的に取り組むことで、新築住宅では、2016年までに家電を抜い
たZEHの標準化
を、2020年には家電も含めたZEHの標準化を目標に取り組むこ

ととしていという。なお、2013年度のZEH補助金では建築設備(空調・換気・照明・
給湯)の一次エネルギー消費量を概ねゼロになるものを補助対象としており、テレビ
や洗濯機等いわゆる家電機器や調理機器の消費量は評価対象外。今回の調査では家電
の消費電力量を分離して把握できていませんが、補助金要件の評価方法となっている
住宅事業建築主の判断の基準におけるエネルギー消費計算方法の解説」では、家電
の消費電力量が3,459㎾h/年と想定されており、この値を適用した家電抜きのZEH
達成率は約59%
となるという。

※「住宅事業建築主の判断の基準におけるエネルギー消費計算方法の解説

 ●ZEH(家電込み)の年間光熱費収支は約12万5,000円のプラス

光熱費に換算すると、PV搭載住宅(ZEH達成邸も含む)の中央値については売電
(単価38円)で電力量4,188㎾h/年、収入15万9,144円で、買電(単価20.3円)は電
力量7,039㎾h/年、支出14万2,892円。約70%を余剰電力として売電し、光熱費の収
支はプラス1万6,252円
。ZEH(家電抜き+家電込み)1,015邸の中央値は、売電で電
力量4,679㎾h/年、収入17万7,802円。また、買電で電力量5,945㎾h/年、支出12万684
円となり、光熱費の収支はプラス5万7,118円。さらに、ZEH(家電込み)224邸の
中央値は、売電で電力量5,637㎾h/年、収入21万4,206円。また、買電で電力量4,384
㎾h/年、支出8万8,995円となり、光熱費の収支はプラス12万5,211円。PV容量5~6
㎾台でもZEH達成、光熱費の面でも大きな貢献がある。2013年10月から「スマート
パワーステーション」を発売しており、今後はPVの平均容量がさらに増加し、ZE
H達成率の拡大が見込まれるという。

● 季節による変動が明確な用途別の電力量

下図から、PV搭載住宅の用途別消費電力量をみると、給湯は外気温と水温が低い冬
場に最大値にな
る。暖房は冷房に対してピーク月では約1.8倍、シーズン合計では約
3.1倍となる。時間帯別推移では電力ピークを迎える夏の昼間には消費電力量より発
電電力量が大きくなり、PVの余剰電力がピークカットに寄与している。一方、Z
EH邸では給湯、家電照明類、冷暖房の全てで消費電力が少なく、特に冷暖房の削
減効果が高いことがわかったいう。



以上、ポスト・メガソーラー時代の速度感をもった進展がこの情報でもうかがい知る
ことができる。頑張ろう、ニッポン!/頑張ろう、セカイ!

 

 

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偉大なる、しゅららぼん!

2014年03月16日 | 滋賀のパワースポット

 





 

●マキメワールドとは 
 
原作者万城目学は日本の小説家。大阪府出身、東京都在住。京都大学法学部卒。『鴨川ホルモ
ー』『プ
リンセス・トヨトミ』などの、実在の事物や日常の中に奇想天外な非日常性を持ち込
むファンタジー小説で知られ、作風は「万城目ワールド」と呼ばれるという。彼は清風南海高
等学校卒業後、京都大学法学部に入学。
卒業後は化学繊維会社へ就職、静岡の工場に配属され
経理マンをしながら小説を書いていたが、26歳の時東京本社への転勤を言い渡され、残業続き
で書く時間がなくなることを危惧し、辞令が出る前に退社し東京へ移る。第4回ボイルドエッ
グズ新人賞を受賞し、2006年『鴨川ホルモー』でデビュー。同書は『本の雑誌』で2006年エン
ターテインメント1位、2007年の本屋大賞にもノミネート。続く第2作『鹿男あをによし』は
第137回直木三十五賞候補、2009年、『プリンセス・トヨトミ』で第141回直木賞候補、2009年
度咲くやこの花賞受賞、2010年、『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』で第143回直木賞候補、
2013年、『とっぴんぱらりの風太郎』で第150回 直木賞候補という経歴をもつが、わたし自身
作品を読んだことがないが、2008年のファンタジー小説『鹿男あをによし』のテレビドラマが
気に入りほぼ毎回観ていた経験があるが、これがわたしの"マキメワールド"ということになる。
このとき、キュートな多部未華子のファンになる(これは蛇足か?!)。
 

  

作家の万城目学が新作『偉大なる、しゅららぼん』(集英社)を刊行した。デビュー5年。日
常にとんでもない非日常を紛れさせる「万城目ワールド」を築いてきた。今作は「行儀悪く乱
暴に」と、そこから「半歩」踏み出した。舞台は滋賀県、琵琶湖畔の街。日出家と棗(なつめ)
家は代々、ある力を継承してきた。そんな設定は、京都で学生が式神を操るデビュー作『鴨川
ホルモー』や、「秘密」を長年受け継ぐ大阪を描く『プリンセス・トヨトミ』の世界観を守っ
ているように見える。「半歩ずつ、賢くズラしていきたい」と万城目は語っている(「朝日新
聞」2011.05.10)。 そこでは、彼が作品に込めた気持ちが語られている-30
歳でデビュー作を
刊行。所属したマネジメント事務所から「同じ作風で自分の領域をつくった方がいい」と助言
され、あえ
て似た作風で書き続けてきた。得たものは大きかった。「しゅららぼん、なんて変
な言葉も、同じことをや
ってきたから受け入れられたと思う」。一方、5年を経て「世界観が
浸透しすぎた
」とも感じていた。異化
された表現も、なじめば普通になる。「読む前から、ど
うせこうだろうと思われたら効果が半減ですから」
 そこで「半歩」ズラす。舞台はこれまで
通り、関西。だが今作は、土地に頼り切らずに筋を運ぼうと考え
た。「滋賀県は大事な要素で
はあるけれど、他の土地でも描けるように」/書き方も変えた。これまでは、
書き出しの「東
京」から結末の「大阪」に向かって進むような感覚で執筆してきた。途中で通る「名古屋」「

京都」も初めから見えていた。「今回はどこを通過するか決めなかったんです」/書いては原
稿用紙を破
る日々。そこから「黒幕がなぜ戦うのか、思いもしなかった理由につながった」。
今年、所属事務所から
円満に独立した。「ロックバンドがプロデューサーから独立したい気持
ちが分かる。独立後に曲が突っ
込み過ぎて受け入れられなくなるのも分かる」/だから「半歩」
なのだ/もともとは純文学志望。「『日常
』だけで描ける人はうらやましい」と言う。今作は
物語の基調に超能力があるが、主人公はその「力」を
嫌う。「『日常』を保つために戦うんで
す」、と。

昨年4月4日、万城目学さんの小説「偉大なる、しゅららぼん」の映画化にともない、主演の
濱田岳と岡田将生、水落豊監督が彦根城博物館で会見を行っている。主演2人は劇中衣装の赤
い学生服姿で登場し、濱田さんは「万城目さんの世界観を壊すことなく、おもしろい作品にし
たい」、岡田は「琵琶湖に本当にありそうと思えるくらいの作品になるよう、がんばりたい」
と映画への思いを語った。会見には、嘉田知事、獅山市長、藤井勇治長浜市長、ひこにゃんも
出席。作品は高校生が特殊な能力を持つ「湖の民」の因縁の争いに巻き込まれる物語で、彦根
城などが舞台になっている。映画はロケがすべて滋賀県内で行われ、彦根城や八幡堀などがロ
ケ場所に選ばれた。

●映画『偉大なる、しゅららぼん』本日公開

その小説の『偉大なる、しゅららぼん』(The Great Shu Ra Ra Boom) は、『小説すばる』、
2010
年5月号から2011年4月号まで連載され、同年4月に刊行された。滋賀県の琵琶湖を舞台
に「湖の民」としての力を持った一族同士の対決の末、未曾有の災害に立ち向かう物語。
本作
品の主な舞台となる架空の町「石走(いわばしり)」は、近江の枕詞「石走る」に由来する。
前述のように、作者はこの作品で、「上手くなると、どうしても乱暴な側面がどんどん消えて
いってしまい、それが何となくよくない」と考え、デビュー時の作風に立ち返り、「文章にし
ても構成にしてもちょっと荒っぽく、そんなにきちきち決めずにやってみよう」という思いで
書かれた作品となっている。
『ジャンプ改』にて関口太郎作画により漫画化され、2014年に実
写映画化された。
2013年12月に英訳電子書籍 The Great Shu Ra Ra Boom(翻訳:内村ウェンデ
ィ)が集英社のレーベル「Shueisha English Edition」より刊行されている。タイトルの「しゅら
らぼん」は擬音語といわれているが、それがどのような場面で使われているのか小説を読んで
いないし、また映画を観ていないので、今夜の時点では不明(「しゅらららららららっ、ぼぼ
ぼぼぼぼんんんんんんんと、すさまじい音が襲いかかってきた」と表現されているとか)。

 

スートリーは、滋賀県湖西地方に住んでいた日出涼介は「湖の民」としての力を与えられた者
として修行をするため、湖東地方にある城下町石走にある日出本家で過ごすことになった。本
家では本丸御殿から舟で学校に通い、高校では周りと違う赤い制服を着させられ、日出本家の
跡継ぎで変わり者の淡十郎に振り回されるなど現実から離れた生活を送る。中でも同じクラス
の棗広海とは入学初日からトラブルを起こしてしまう。実は日出家と棗家は琵琶湖のご神水に
よって特殊な「力」をもつ一族、1000年にもわたり、琵琶湖を舞台にいがみあっていた因縁の
関係だったのだ。そんな中、淡十郎は同じクラスの速瀬に恋をする。わざわざ美術部にまで入
って近づこうとするが、彼女が好きだったのはよりにもよって棗広海だった。恋破れた淡十郎
は怒りのあまり、棗広海を、そして棗家を石走から追い出すことを決める。かくして、力で力
を洗う戦いの幕が上がる中、日出家と棗家はある力によって運命を狂わされていき、思いもよ
らぬ存亡の危機が訪れる、と。いうもの。

今月7日のJ・SPAでは、作家の万城目学とのこの映画作品の感想についてインタビューさ
れている。毎回、作品を書いているときは、そんな簡単に映像化はさせないぞと思いながら書
いているんです。これは、映像化は無理だろうと思わせたいし。だから、お話が来たときは、
嬉しい反面、あ、できてしまうんだという悔しさもありました(笑)。/まずはプロデューサ
ーの方がどう考えているかですね。直接会って、お話をして、この人なら大丈夫だろうと確認
してOKを出した。今回、大きかったのは、プロデューサーの山田さんが、実際に滋賀に足を運
ばれて、彦根だけでなく、ほかの都市もまわって、島もまわって、このシーンはあの都市のこ
こを使ったんですよね、なんておっしゃっているのを聞いたことです。あぁ、この人なら大丈
夫だなと。/“しゅららぼん”の意味ですね。最初の脚本には“しゅららぼん”の意味が抜け
ていたんです。僕にしたら、いや、タイトルやしってなるし。これは入れてくださいとお願い
しました。これでは“しゅららぼん”の意味が分からないまま終わりますよって。アイツ、タ
イトルの意味も考えずに書いてるんかって思われてもね。結果、とても効果的な感じで入れて
もらえてすごく良かったですね。/キャスティングの妙ですね。濱田さんと岡田さんのコンビ
は、まず身長差が素晴らしい(笑)。なかなかこの身長差を主役級の人で捕まえてくるのは難
しいことだと思うんですよ。彼らの凸凹コンビ感は素晴らしかったですね。/それから、原作
の風貌とは違うんだけど、深田(恭子)さんもよかったですね。映画を観る方には、あれくら
いでインパクト十分なのかもしれないけど、深田さんの演じたグレート清子は強烈なキャラク
ターで、小説の中ではもっと出てきてかき回す役だから、僕としてはもっと深田さんを観たか
ったです。あと村上(弘明)さん。普段、悪役なんてやらないからイメージが湧かないんです
よね。仕事人とか刑事ものとかで見てきていて、とにかく正義感というか、爽やかなイメージ
しかない。その人が悪役をやるというのがね。でもこれがいざ観てみると、素晴らしいんです
よ、存在感があって。/CGの質がすごく高いなと。全然浮いてなくてね。もっと観たかったな。
5分、10分、ずっと割れておいて欲しかった(笑)。

「作品には伝統や継承といった要素がしばしば出てくるが、伝統といったことを好きなんでし
ょうか」との質問に「いや、むしろあまり好きではないです。自分が通っていた小学校が創立
百周年とか超えてるようなところで、ふた言目には伝統、伝統って言ってるようなところだっ
たんですよ。それが嫌でね。伝統という力でみんなを縛り付けている感じで。そういう感覚を
小学校の頃に刷り込まれてるんですね。伝統の力をどれだけイヤだと思っていても、関係なし
に伝統は続いていくというか。だからどちらかというと、伝統を打ち破り新しいものをという
スローガンのほうが好きなんです。だけど、いざ書くと伝統を使っちゃう。壊すよりも続いて
いるもののほうが、摩擦や悩みを生むんですよね。まぁ、結局、子供時代の呪縛から逃れられ
ていないというところがあるのかなと。」と答えている。マキメワールドに漬かってみたいが
今月は無理だろう(漫画本も含め)。

さて、明日は、外出するので映画鑑賞はいつにするのか思案しているところである。




 

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ウェブヘッドの電子量

2014年03月15日 | 時事書評

 

 

【挑まなければ越えられない】 

2012年に公開された『マネージング・スパイダーマン』の続編で、マーク・ウェブ監督による
2014年公開予定のアメリカ合衆国のスーパーヒーロー映画。
『アメージング・スパイダーマン
2』が5月公開される。これは、2012年の『アメイジング・スパイダーマン』の続編であり、
コロンビア映画は2011年の段階で既に製作企画があることを発表していた。スタジオは前作に
引き続いてでジェームズ・ヴァンダービルトを脚本家とし、その後アレックス・カーツマンと
ロベルト・オーチーが書き直した。出演はアンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーン、
ジェイミー・フォックス、デイン・デハーン、コルム・フィオール、ポール・ジアマッティ、
サリー・フィールドら。

このシリーズは、劇場、ビデオ(ブルーレー)やテレビよく観ているが、その魅力は、何とい
ってもその等身大の人間臭さを色濃く残したスーパーヒーロー大活劇娯楽で、それでいて、最
先端 のVisual Effects(ビジュアル・エフェクツ:
VFX)の現実では体験することができない
画面効果満載、それでいて過剰テク駆使映画特有の疲労感(食傷感)が少ない娯楽映画にある
と-この映画がそうであるか劇場観賞していないのでわからないが-そのよう観てきた。今回
のストーリーは、スパイダーマンとしてニューヨークの平和を守りながら、恋人グウェンとす
ごす日々をピーターは満喫していた。 ところが、旧友のハリーがニューヨークに戻ってきたの
を機に、その生活は少しずつ変化していく。事故で人間発電機となったエレクトロや、パワー
ドスーツを身に着けたライノ、グリーン・ゴブリンがピーターの前に立ちはだかるストーリー。

特殊なクモに噛まれたことで、スーパーパワーを得て、スパイダーマンとして活躍するように
なるが、恋愛や仕事などに常に悩みが尽きず、等身大のヒーローとしてマーベル・コミックの数多いキ
ャラクターの中で人気のあるヒーローの一人。呼び名は複数あり、スパイディ、親愛なる隣人、
ウェブヘッド(クモの巣頭)、ウェブスリンガー(クモ糸を投げる者)などの愛称がある。実
生活ではいわゆるナードまたはブレイン(コミックやアニメ版では、メリージェーン・ワトソ
ンから「タイガー」と呼ばれていた時期もある)。決め台詞・キャッチフレーズは「あなたの
親愛なる隣人、スパイダーマン」だが、スパイダーマンは作中の架空の新聞社デイリー・ビュ
ーグルのネガティブ・キャンペーンの影響もあって世間から嫌われているために、このフレー
ズもあまりウケなかったと紹介している(Wikipedia)。

尚、コミック版は、1962年8月の『アメイジング・ファンタジー』誌15号で初登場。同誌はそ
の号で打ち切りとなったが、スパイダーマンというキャラクターは大変好評で、ソロシリーズ
The Amazing Spider-Man が1963年3月に発行されている。キャラクターはライターエディター
のスタン・リーと画家で共同プロッターのスティーヴ・ディッコによって創造され、このペア
は1963年から1966年にかけて38号制作した。その後は多くの作家と画家が何年もの間、この月
刊誌を引き継ぎ、マーベル最大の看板役者の冒険を年代記にしてきた。アメイジング・スパイ
ダーマンはキャラクターの旗艦シリーズ。スパイダーマンサーガのメジャーキャラクターやヴ
ィランのほとんどはここで紹介され、キーイベントはここから発信され、連続して刊行してい
たが1998年にマーベル・コミックがリランチし1999年1月号で新1号からカウントしなおして
いる。スパイダーマン40周年記念を機にオリジナルシリーズのナンバリングを使用する事にな
り、2003年12月発行号から再び500号から数えはじめたといわれている。

●スパイダーマンの5つの特性

・スパイダーセンス(危険を察知するクモの第六感。しかしその危険がどの様なものかまでは
 教えてくれない)

・分子間の結合力を高める事によるクモの吸着力。2トンまでの物なら指一本で支えることが
 可能。映画版では、手足に生えた鋭い繊毛によって壁に吸着する。

・1トンの重さにまで耐えることが出来る筋力を持つ。
・反射神経が普通の人間の40倍の速さで働く。
・戦闘中に良く喋る。だがスパイダーマンの場合は、余裕があるのではなく、逆に余裕がなさ
 過ぎるのをジョークでごまかす。

                                     " With great power comes great responsibility. "

                   大いなるチカラには、大いなるセキニンが伴う / ベン・パーカー

 

 

●直接電子の動きを観察

日産自動車と日産アークは2014年03月13日、リチウムイオン電池の充電/放電時における正極
材中の電子の動きを直接観測し定量化できる「世界初」(両社)の分析手法を開発したと発表。
日産自動車は、「この分析手法をリチウムイオン電池材料の研究開発に適用することにより、
高容量、長寿命のリチウムイオン電池の開発が可能となり、その結果、電気自動車の将来の走
行距離の拡大やさらなる耐久性の向上につなげられる」としている。今回発表した分析手法は、
日産アークが、東京大学、京都大学、大阪府立大学との共同研究により実現したものという。

高容量、長寿命のリチウムイオン電池の開発には、電極活物質にできるだけ多くのリチウムを
蓄え、電子発生量の多寡がその主要な材料設計となる。このため、リチウムイオン電池中の電
子の動きの把握が重要になるが、従来の分析手法では直接電子の動きを観察できなかった。従
って、マンガン、コバルト、ニッケル、酸素といった電極活物質を構成するどの元素から、ど
の程度電子が放出されているのかを定量的に識別できていなかった。


●L吸収端を探せ

今回開発した分析手法では、強度の強いX線の波長を変えて照射し、X線の吸収量が急激に増
る波長を測定することで物質の電子状態や局所構造を解析できるX線吸収分光法とスーパー
コンピュータ「地球シミュレータ」による第一原理計算(実験値を使わずに理論的に電子状態
を計算する計算手法)を併用した。これまでは、X線吸収分光法を用いたリチウムイオン電池
の解析は行われていたが、原子の内側の電子軌道に由来する「K吸収端」を利用したものが主
流だった。しかし、内側にある電子軌道の電子は原子内に束縛されているので、K吸収端を利
用しても、リチウムイオン電池の電気化学反応を観測することはできない。

今回の分析手法では、より外側の電子軌道に由来する「L吸収端」を利用したX線吸収分光法
により、電池反応に関与する電子の流れを直接観測できるようになった。さらに、地球シミュ
レータを用いた第一原理計算を組み合わせることで、今まで間接的に推定するにとどまってい
た電子移動量を高い精度で得られるようになったと説明している。


局所構造を解析できるX線吸収分光法


 
従来、物質の微細構造を分析する手法として、XAFS(X-ray Absorption Fine Structure)が種々の材料
の分析に用いられている。XAFSスペクトルは、XANES(X-ray Abscrption Near-Edge-Structure)領
域とEXAFS(Extended X-ray Abscrption Fine Structure)とからなる。XANES領域を解析
することで、その物質の酸化数などの化学状態を知ることができる。一方、EXAFS領域を
解析することで、着目した原子の周囲に存在する原子の種類、その原子までの距離、その原子
の配位数に関する情報が得られる。近年、燃料電池、リチウムイオン2次電池及び触媒材料な
ど敏感な反応を伴う材料では、反応過程の解析が極めて重要となっている。微細構造の反応解
析を行うには、できるだけ短い時間間隔で、時々刻々と測定を行う必要がある。このような測
定手法の一種にEnergy DispersiveXAFS (DXAFS)がある。しかし、従来の測定方法(
DXAFS)では、試料を集光位置に配置させた上で、X線を試料に対して透過させる必要が
あり、バルク試料は(1)必ずしも厚さや構造、組成などが均一でなく、X線の経路にX線吸
収量が依存し、バラツキが少ないX線吸収スペクトルを得るのが困難。(2)通常、反応は材
料表面から始まる。バルク試料の厚さは通常1mm程度なので、透過法で得られるのは、実質
的に試料内部の情報のみである。これに対し、深さ数十μmの表面情報を得たければ蛍光法、
深さ100nm程度であれば全電子収量法、深さ数十nmであれば転換電子収量法を用いるの
が好適である。しかしながら、このような検出法をDXAFSに適用するのは困難であった。


上図のX線分析装置は、白色X線を発生させるX線発生源10と、この白色X線をエネルギー
分散させ
て分散X線を取り出すエネルギー分散器20と、この分散X線から特定エネルギーの
X線を取り出す可
動単色化手段40と、特定エネルギーのX線と試料との相互作用を測定する
相互作用測定手段90を
備える。X線分析方法は、X線発生源から発生した平行な白色X線を
エネルギー分散させるエネルギー
分散工程と、このエネルギー分散により取り出された分散X
線を可動単色手段により単色化する単色化工程とを含む構成で、透過法以外の検出方法でXA
FSと同等な迅速測定を行うことができるX線分析装置及びX線分析方法を提供するものであ
る。

以上のように、遷移する電子状態がその場評価できるようになって、調査研究開発現場のスピ
ードは、"デジタル革命渦論”により急進んでいることが了解できる。オールソーラーシステム
社会は意外と早く実現できそうにみえる。



●脚注及びリンク

※1吸収端: X線のエネルギー(波長)を変えた際に、X線の吸収量が急激に増えるエネル
ー(波長)の値。電子のいる軌道により、内側からK吸収端、L吸収端などと呼ばれている。

※2X線吸収分光法:物質に、強度の強いX線のエネルギーを変えて照射して、X線の吸収量が
急激に増えるエネルギー(吸収端)を測定することで、物質の電子状態や局所構造を解析でき
る分析手法。
※3地球シミュレータ: 地球シミュレータは独立行政法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC)が
地球環境を解析する目的で所有しているスーパーコンピューター。
※4第一原理計算: 実験値を使わずに、理論的に電子状態を計算する手法(「第一原理とは」)。

Roles of Individual Transition Metal Elements On a Redox Reaction of LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2 As Revealed
By Resonant Photoelectron Spectroscopy、
Masashi Matsumoto, Kei Kubobuchi, Masato Mogi, Chikai Sato,
Yohei Takahashi, Toshihiro Asada, Hideo Imai(NISSAN ARC,LTD.)


 1999.09

【アベノミクス第三の矢 僕ならこうするぞ!】


高度に発達した産業時間が支配しその速度に遅れまいとする動機が「流行に遅れたくない」と
い思わせる感覚をつくるが、それは人間の精神全体の発達を直接に意味するのではない、とい
い、心っていうのは、部分的にいうと、植物性神経(自律神経)を原則として変っていく部分
と、動物性神経、人間性神経で変っていく部分と、両方あると原理を説いているが、一見する
とアベノミクスと直接的に関係しそうもないが経済政策を考えていくための原理がここには書
かれている。


 ●なぜ「流行に遅れたくない」と思うのか

  情報を共有することで共通の話題を持てる、自分だけ知らないのはこわい、みんなと一
 緒にいたい、みたいな感じ方とか考え方というのは、誰が最初に打ち出して、みんなが真
 似するようになったか、というふうに考えていくと、近代から現代において、製造産業に
 おいては、その全行程をいちばん早く循環させることができたところが産業のリーダーに
 なる。そうなると、下請もみんなそのスピードに合わせないといけないので、主たる産業
 の時間性が社会全体の時間性を支配していき、他はそれに近づこう、間に合わせようとし
 ていきます。

                             -中略-

  産業のうちでいちばん高度な産業の循環時間、モノが計画され、つくられて、売られる
 サイクル。東京の情報が九州に届いて一般化するのにどのくらい時間がかかるか。そうい
 う時間の根本のところで産業的なものが支配していて、今だったら第三次産業、サービス、
 情報産業みたいなものを含めて、そういうのを支配しちゃうから、みんなそこに合わせる 
 ために必要な知識は持っていなければ駄目だとか、それから外れたら時代遅れになっちゃ
 うんだ、という感じに人間の精神が持っていかれちゃう。
  誰がやっているんだといったら、いちばん高度に発連した産業がそれを支配していると
 言うのが最もわかりやすい。本当はそんなに簡単ではないんですけど、わかりやすく言え
 ばそういうことでしょう。
  そのために情報科学の生みだす装置、また装置の間の連結の仕方はますます発達して
 インターネットみたいにどんな次元の情報も結ぶことができるようになります。ここでど
 うしても言っておかなくてはならないことは、専門家がどんな途方もない可能性を考えて
 も、情報伝達の発達は、人間の精神の働きにとっては、感覚器官に寄与するのを第一義と
 するものに影響を及ぼすだけで、人間の精神全体の発達を直接に意味するのではないとい
 うことです感覚の働きを助けてその機能を増大させますが、その感覚の拡大を通じてし
 か、人間の精神の全体に寄与できないのです。これが情報科学の結果です。
  もう少し、時間について言ってみると、例えば目の前の茶碗をみて、これは茶碗だとわ
 かった、そのわかるということは面倒くさい言葉でいえば「了解する」ということです。
                                              

 「了解」というのは時間性のことなんです。視ることは眼の感覚的な反射ですが、「見て」
 「了解する」という作用の仕上げである「了解」は時間なんです。わかった、わかるとい
 うことで、何がわかったんだというと、いちばん発達した産業の固有時間がわかった者が、
 わかった、産業の規模をわかったということになるわけです。これがつまり了解したとい
 うことで、各人も自分の了解をどんどんそこに近づけようとします。それは日本で言えば、
 情報産業でしょう。
  例として、病院の話をしてみます。病院に行くと、お前の足腰が痛いのはなぜなのか診
 てやろうということで、超音波映像をとると、背骨の三番目のところがギスギスして食い
 違っているということがわかる。そして、お前は高血糖で少し神経障害を起こしている。
 その二つが原因だ、と言ってくれるわけです。そして、それはどうしたら治るんだという
 ことで、薬を飲めばいいとか、リハビリをすればいいと指示が出る。そういう役目のお医
 
者さんもいるし、そういう薬を飲ませてくれる人もいるわけです。
  一方では、医者が超音波で調べて、わかった、お前はこことここが悪いんだとなると、
 製薬会社はそれに順応しようとする。製薬会社が順応すれば、薬の原料を調達する会社も
 順応しようとする。全部がそういうことで回り出す。だんだんそういうことになるんじゃ
 ないでしょうか。

 ●人の心は内臓で決まる

  これからもどんどんそうなっていくんだと思います。問題なのは、今の情報産業、ある
 いは情報科学の専門家は、そういうふうに了解の仕方が変っていく、それを精神だという
 ふうに考えています。それは違うんですよ。そこで理解し、合わせていこうということに
 なって、流行になっていったり、世論になっていったりというのは、精神の中で脳が支配
 する感覚の部分だけが、情報機器の発達で変っていくにすぎません
  これからも発達してなおさら変わっていきますし、それは止めることはできない。でも、
 精神の中で脳が第一義の役割をしている感覚は変っていきますが、脳は心(魂)の発達に
 対しては第一義でないのです・情報機器は感覚を発達させていきますがヽ心(魂)が発達
 
してゆくわけではありません。言ってみれば、心(魂)の変化というのは内臓なんです。
 内臓の作用が第一義で、(情報機器に影響された)脳の作用が第一義ではありません。
  例えば、食べ過ぎて胃を悪くして、どうも憂うつでしょうがない。会社を休みたくなっ
 たというのは、胃が悪くなったという内臓の変化が精神の変化になったわけです。
  つまり、腹がすいたとか、胃が痛くなったとか、食い過ぎて腸が痛くなったというのは、
 内臓の動きが第一義なんですよ。もちろん、それは脳と無関係ではないんですよ。脳もそ
 こに入っているんだけど、その場合には脳は第二義、二番目の要素なんですね。二つは両
 方ごちゃまぜになっているわけだけど、例えばここに熱いお茶があって、それを飲んだら、
 のどまでは熱くなりますけど、食道に入ったらそんなに熱くないでしょう。どうしてかと
 いったら、熱い、冷たいという脳がつかさどる感覚は内臓には少ないんですよ。第二義的
 なんです。

                   -中略-   


  情報科学者とか、情報産業の人はそう言わないんですよ。こういう情報に遅れたら人間
 の精神は駄目だぞ、みたいに言うんですね。
  それは大間違いなんです。その人たちはそれを流行らせたいからそう言うでしょうけど、
 そんなことはないです。失恋したら悲しくなるとか、人間の心の動きなんて大昔からそん
 なに変っちゃいない。特に植物神経、胃や自律神経が動かしているものの動きとか歪みと
 かはあんまり変ら これからまた何千年だ、ても、人間の心はそんなに変らないよ
という
 部分は必ずある。 
 だけど、情報によって刻々変っちやう、感覚を刺激されて変るという部分も、一方でどん
 どん発達していきますね。それはあるけど、混同すべからざるものであって、一緒にした
 ら間違えますよ、ということです。

 
 ●「感覚」と「精神」の区別をつけよ

 
  僕は、いちおう学校だけは理工系だから、情報文化とか、情報科学とかの協会や学会の

 メソバーになっているところもあります。僕に言わせれば、冗談じゃないぜ、お前らの言
 ってることはメチャクチャだ、そんな馬鹿なこと言っちゃ困るよって思ってることがずい
 ぶんあります。
  感覚が鋭敏になって発達して複雑になるということが、人間の精神が発達することだと
 されています。情報科学って難しそうなことを言うけど、赤ん坊と同じじゃないか、と言
 いたいところはあるわけです。これは大切な問題で、感覚手段が発達することで発達する
 のは、人間の精神内容のうち大脳が第一義に支配している感覚器官だけです。精神内容の
 うち心とか魂とか僕たちが呼んでいる部分は、そのまま変りません。 
  変るとしても感覚を介して第二義的な影響を与えるだけです。人間の精神内容のうち大
 脳が第二義的にしか介入しない心とか魂とか呼ばれているものは、ギリシャ、ローマ時代
 から変らない。影響は与えるでしょうけど、間接的だということなんです。
  原理的にはそういうことでしょう。
  これはファッションなんかでも同じで、専門家が考えて刻々違うファッショソを出して
 くる。それがよければ、専門家が考えたことだから、普通の人は、自分よりいいことを考
 えるんじゃないかと思うから、それを買いたくなります。しかし、それじゃあ、それを買
 って着れば、自分の気持が満たされるかといえば、そうじゃない。家にいるときは上半身
 裸とか、パンツー丁とかいうときもある。いくらファッションが発達して、それがいいと
 思っても、そればかり着てるわけじゃないわけで、裸のときもあるわけでしょう。その部
 分は変りませんよね。心っていうのは、部分的にいうと、植物神経を原則として変ってい
 く部分と、動物神経、人間的神経で変っていく部分と、両方あるわけですね
  感覚の変化で変っていく部分は情報とともに変っていく。それは、そういうふうになり
 たいという気持が人間の精神の中にあるから、それに合わせようとするということになっ
 て、誰に合わせるのかといったら、最も発達した産業に合わせる。ファッションの場合に 
 は最も優秀だと言われるファッションデザイナーの考えたことに合わせようとするという

 ことが誰にでもある。それはありえるわけです。そういうものの理解にどんどん近づこう
 とする気持は、誰にでもあるから変っていくんだよ、ということになります。しかし、そ
 れは全部ではありませんよ、原則的に。そう考えていいんじゃないでしょうか。

 
 ●人間の植物性を忘るるべからず


  解剖学者の三木成夫さんから学んだことですけど、人間は樹木、草木とは違うんだよと
 いうけど、そうじゃないですね。人間というのは、植物と、動物と、言葉も含めて
それ以
 上のもの、この三つを含んでいるんです。

  植物というのは、典型的なのはロから食道、腸へと入っていく。これは人間の中の植物
 なんです。三木さんに言わせれば、人間の腸管をめくって血管なんかが外側にある状態を
 想定すると、樹木の幹に該当すると言えるそうです。三木さんは感覚器官で発達する部分
 と精神の部分とは別なんだという考え方で、僕はこの人の影響を受けたというか、学んだ
 部分が多いんです。この人だけなんですよ、心っていうのは内臓の動きだよって言ってい
 るのは。この考え方は僕の「言語論」と照応すると思えました。言葉というのは、自己表
 出と指示表出からできている織物だというのが僕の「言語論」の考え方ですけど、その自
 己表出というのは植物神経系の、内臓の動きと照応するんです。そして、指示表出という
 のは何かを指し示すものだという考え方ですけど、これが三木さんの大脳を支配する感覚
 作用に照応するんです。このあたりが三木さんから学んだところです。
  もう一つは、人間というのは、植物や動物とは違うんだよ、というのは俗な言い方であ
 って、本当の言い方は、人間は植物性と動物性を持っていて、もう一つ人間性というもの
 を持っている。他の動物が持っていない言葉を持っているし、大脳の発達がある。だから、
 人間の精神も、動物性と植物性でおおよそのところはできている。そして、もう少し微細
 なところで、人間固有の精神の働きというのがあるかもしれません。
  例えば、道で倒れている人に会うと、気の毒だと思って担いでいってやるとか、電話を
 かけて救急車を呼ぶとかいうことは、こういうことをする動物もあるでしょうけど、しな
 い動物がほとんどです。
  人間は弱い子どもが生まれると、医者にかけて大事に育てていくでしょう。動物の場合
 は生まれた子が弱かったら、食べちゃいますからね。猫なんか見てると、生まれたばかり
 で弱いのは親が自分で食べちゃうんです。人間は絶対にそんなことしない。そのあたりが
 人間固有の働きで、他の動物とは違うところでしょう。
  原理的にはそういう言い方でいいんじゃないかと思います。


       「第11章 人の心は「流行」を無視して生きてはいけない」pp.187-197

                            吉本隆明 著 『僕なら言うぞ!』
             
                                                 この項つづく


今夜は、「蜘男(スパイダーマン)」と「リチウムイオン電池の充電/放電時の正極材中の電
子状態の直接観測」と「アベノミクス第三の矢 僕ならこうするぞ!」を掲載してみた。体調
も上向いている。


 

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世界初の大規模蓄電システム

2014年03月14日 | EMF安全保障

 

 

【安全・低コスト大規模蓄電システム】 

 

鉄道総合技術研究所と古河電気工業は、古河電工の子会社のスーパーパワー社が製造した第2世代高温
超電導線材を用いた大型フライホイール用の高強度な高温超電導マグネットの開発に世界で初めて成功。
これにより、メガソーラーや風力発電など、出力の不安定な再生可能エネルギー向けの大容量蓄電シス
テムへの利用も期待されという。今後、このマグネットを2012年から2014年度にかけて開発を進めてい
る大容量超電導フライホイール蓄電システムの中に組み込み、2015年に山梨県米倉山において新たに建
設するメガソーラーとの連系試験を開始する予定だという。


図 超電導磁気軸受付きフライホイール蓄電装置

●フライホイール蓄電システム

電力で装置の内部にある大型の円盤(フライホイール)を回転させ、必要な際に回転する物理的なエネ
ルギーを電力として取り出すシステム。「フライホイール・バッテリー」としても知られる。劣化のな
い電池として使えるため、用途は幅広く、鉄道システムの電力有効利用(回生失効対策)などにも役立
つ。太陽光発電等の電力を蓄電し、曇天により発電量が減少した際に、その減少分を補填するように発
電することができる。

●次世代フライホイール蓄電システム

鉄道総研が考案した超電導バルク体と超電導マグネットを組み合わせた超電導磁気軸受を適用したもの
で、回転する円盤を非接触で浮上させ、軸受の摩擦損失をゼロとすることで運転効率の向上を図ってい
る。また、定期的に交換が必要だった軸受の寿命を半永久とすることが可能だ。現在開発中の「超電導
磁気軸受」は、超電導バルク体と超電導マグネットで構成され、超電導マグネットで発生する磁場に対
する超電導バルク体の反磁性効果により、1組の軸受で約4トンの円盤を浮上させることを目指す。


図 電気メッキされた安定化層含有量を低減する構造



このような大きな重量を浮上させるには、(1)高強度な超電導マグネットに高磁場を発生させる必要
(2)また、効率の良い運用に冷却温度を上げる必要がある。今回、この超電導マグネットに使用する
コイルに、古河電工が2012年に買収したスーパーパワー社の第2世代高温超電導線材を用いて、中部電
力が開発した「よろい」コイル構造の、内径120mm、外径260mmのダブル・パンケーキコイル(テープ状
の超電導線を薄く切ったバウムクーヘンのように巻いた、2枚で1対の扁平なコイル)としている。製
作したコイルを、小型冷凍機を用いた液体窒素を使わない熱伝導による冷却で、51K(マイナス222℃)
に保持して、運転電流である110Aでの通電と磁場を確認し、さらに線材の性能限界の163Aの通電に成功。
また、超電導バルク体との組み合わせ試験を実施し、2トンを超える所期の浮上力が出ていること、強
度的にも問題が無いことを確認している。

●よろいコイル

中部電力株式会社殿が開発した高温超電導マグネットの磁場を飛躍的に向上させる技術です。超電導線
材に作用する電磁力を、超電導線材に接するコイル側板で支える方法で、液状樹脂を用いた絶縁被覆技
術と組み合わせることによって、従来のイットリウム系超電導コイルの2倍、金属系超電導コイルの6
倍という、世界最高強度の電磁力に耐える超電導コイルを実現。

 
図 超電導パンケーキコイル及びその製造方法

 



●第2世代高温超電導線材

この線材は、これまでの「第1世代高温超電導線材」では、高磁場を発生させるために20K(マイナス25
3℃)以下まで冷やさなければならなかったが、50K(マイナス223℃)の温度で運転することが可能と
なり、冷却コストを低減するめどが立った。今後は、さらにコイルを追加して、実規模のフライホイー
ルの浮上試験を行う。この線材組成は、クロム・ニッケル基合金などのテープ状金属基板上に中間層を
成膜し、希土類元素(イットリウムなど)、バリウム、銅等からなる酸化物超電導材料を結晶合成させ
ながら成膜した超電導線材。
 

 
図 電力貯蔵装置の制振構造

●山梨県米倉山メガソーラー

全国有数の日射量を有する山梨県では、地球温暖化対策実行計画の中核として、山梨県甲府市に東京電
力殿と共同で「米倉山太陽光発電所」を建設。44.7haの広大な用地の中、高台に約8万枚の太陽光パネ
ルが設置され、一般家庭約3,400軒分の電力量に相当する年間1,200万kWhを発電している。山梨県では、
超電導フライホイールとの組み合わせる系統連系試験用に、1,000kWの太陽光発電所を建設中。運転開
始後は、実証試験に向けた基礎データの取得を開始する予定だ。ところで、米倉山太陽光発電所に採用
した太陽電池モジュールはCIS薄膜太陽電池であり、影には強いが、発電効率を保つためには植物の影
をなるべく小さくする必要があり、太陽電池モジュールを設置する土地に草が生えにくくする防草特
性と、太
陽電池モジュール表面に付着するチリやホコリを抑える防塵(ぼうじん)特性を高めた。具体
的にはスギやヒノ
キの未使用間伐材から作った材料を土壌に混ぜる『有機質土壌改良工法』を取り入れ
さらに、太陽電池モジュールの設置角度も工夫した。太陽電池を設置するときに最適な角度は、設置場
所の緯度に等しい。山梨県であれば約35度であるが、米倉山太陽光発電所では設置角度を10度とし、

頂の強風が、設置角の大きさと太陽電池モジュールなどにかかり、太陽電池モジュールや基礎、架台強化との
最適化(トレード・オフ)を行っている。

山梨県は再生可能エネルギーへの布石として、例えば、2011年6月には、鉄道総合技術研究所と「超電
導等を用いた電力貯蔵技術の研究の推進に関する協定」を結んでいる。再生可能エネルギーは自然条件
によって大きく発電量が増減し、電力貯蔵装置を使って平準化を試みる動きが進んでいる。例えば鉛蓄
電池やリチウムイオン2次電池だが、電池だけでは大容量化が難しいという意見もある。そこで、国は
2013年度から新しい電力貯蔵技術に関する実証試験を開始、
鉄道総合技術研究所と山梨県は、超電導フラ
イホイールに着眼する。超電導を利用して重量物(回転体)を真空中で浮上させた後、外部から電力エ
ネルギーを与えて回転数を増やしていく。「鉄道でブレーキをかけるとモーターが発電機として働く。
近くの区間に別の電車があれば回生エネルギーをそのまま受け渡せるが、そうでない場合は、熱に変わ
りて無駄になる。鉄道の回生エネルギーをフライホイールを使って回収しているがその原理を使った蓄
電システムの評価を来年度から開始する。
 

※ 参考データ

・「フライホイール電力貯蔵用超電導軸受技術研究開発」中間評価報告書、2003.8、新エネルギー・産
 業技術総合開発機構

超電導磁気軸受を用いた鉄道用フライホイール蓄電装置の研究・開発、鉄道総合技術研究所
第98回「バルク超電導磁石とその応用」の巻、TDK
Bearing Loads in a Vehicular Flywheel Battery, SAE Special Publications, v 1243, Feb, 1997
・「超電導電力ネットワーク制御技術開発」基本計画、新エネルギー技術開発部2007.07.10

以上、急いで俯瞰してきたが、容量、耐久性、コストなど不明確で終えた。これは残件扱いにして今
夜はこの
辺で切り上げよう。


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