極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

人的由来の降水量変動増大

2024年08月02日 | 環境リスク本位制

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦
国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと
)と兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。ひこにゃんの
お誕生日は、2006年4月13日。




【季語と短歌:8月2日】  
                  
         風鈴が鳴る お向かいの車庫は空   
 



【今日の短歌研究 ⑳】 

観測史上初続く126年間で最も暑いヒ-トド-ム
 

8月も記録的な暑さがつづき危険な熱さに自己防衛
お祭りでない国あれば、ミサイル攻撃強める国ある巴里オリ
インド・北朝鮮・河南省・モロッコ・日本と世界中で同時多発異常
インバウンドで沸き立でコロナ忘れどマスクする子供ら消えず


地球温暖化により降雨量はより不規則に
人間活動で温暖化➲降水量変動が増大
Peer-Reviewed Publication  2024.07.25
American Association for the Advancement of Science (AAAS)
【要約】
最新研究で、人為的な気候温暖化由来の地球の多くの地域で降水量変
動が増大の傾向な地域はいくつか存在。このような影響はヨーロッパ、
オーストラリア、北米東部で特に顕著であり、主に大気湿潤度の増加
と大気循環10年スケール変動が起きている。気候が温暖化すると、大
気の保水能力が高まり、極端な降水イベントの振れ幅が大きくなり、
雨季と乾季の差が大きくなり、降水量の変動が増幅で、人間社会と生
態系に深刻な影響を及ぼし、天気・気候予測だけでなく、適応計画や
レジリエンス計画に難題をもたらす。多くの地球気候モデルは、大気
中水分量の増加と大規模大気循環の弱体化で、特に湿潤地域で降水量
の変動増大すると予測され、この現象は予測よりも観測する方がはる
かに難しい。
降水量の変動増大が観測結果に現れているかどうかは依然とし明らか
になっていない。こうした不確実性に対処するため、Wenxia Zhangら
は、1900~2020年における日降水量の観測結果について、5つの世界
規模のデータセットと8つの地域規模のデータセットを利用。同報告
では、過去1世紀にわたる、降水量変動はさまざまな時間スケールと
地域で系統的に増幅し、その主な要因は人為的な温暖化による大気中
水分量の増加を示唆。この研究結果、①陸地部分の約75%で降水量
の変動が増幅し、②世界全体で1日あたりの変動が10年ごとに1.2
%増加。こうした降水量の変動が「インフラ、危機管理、農業、生態
系機能、経済発展の気候レジリエンスにとって脅威となっている」と
指摘する。
【掲載論文】
 ・ Anthropogenic amplification of precipitation variability over the past century
Journal:Science
DOI 10.1126/science.adp0212 



図1. 1900年から2020年までの日降水量変動の観測傾向。GHCN-Daily 
による日降水量変動の傾向。直線トレンドが最初。長いデータ記録を
持つ観測点について計算され、各グリッド ボックス内の観測点の傾
向の中央値を取ることによって 1°x 1°のボックスにグリッド化さ
れる (材料と方法)。傾向は各観測所の全期間に対して正規化され、
10年あたりのパーセンテージで表される。青いボックスは、この研究
で焦点を当てたサブリージョンを示している。


❏ 柔らかいマイクロロボットで個々の細胞を操作





懐かしの音楽 【逢いたくて逢いたくて】


●今日の寸評:わたしの経済論:「交換価値至上主義」とは

                        

            


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海水循環利用ビジネス⑤

2024年06月30日 | 環境リスク本位制

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦
国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと
)と兜(かぶと)を合体させて生まれたキラクタ「ひこにゃん」。


太陽神アポロンに恋をした水の妖精クリュティエが朝から日没まで天
を駆けるアポロンを見つめ続け、ついにひまわりになってしまった。


📚 最新海水淡水化システム・装置技術①
革新的な海水淡水化プロセスのコア技術を開発し、成長を続ける
インフラ事業(100兆円規模)において主導権を握りましょう! 
 NEDO.2021)という見出しで驚くが「海洋資源開発」が課題であれ 
ば宜なり。と序文掲載。「世界の人口増加や経済発展、異常気象等に 
よる水不足が深刻な社会問題になっている。一方で、水インフラ市場
は100兆円規模であり、更なる成長も期待できるため大きなビジネス
チャンスでもある。海水を淡水に変える技術は社会に導入されている
ものの環境負荷低減の技術が求められている。こうした背景から、本
事業では、水不足の課題や淡水化技術の環境負荷の低減を同時に解決
することを目指し、液体金属技術を応用した革新的な海水淡水化・資
源回収システムを開発する事である。マッチングサポートフェーズで
はプラントシステムの成立に不可欠な開発項目として、新しい淡水生
産方法の原理を明らかにし、淡水の品質評価、海水内溶存有価資源の
分離回収機構の技術的な検証を行う。以上の研究成果に基づき、共同
研究フェーズでは企業と共同で小型の試験装置を用いた動的な有価資
源回収実証実験を実施するとともにパイロットプラントの工学設計を
完了させ、早期の社会実装実現を目指す。」と断りを加筆する。

 

海水の脱塩方法は先回の様な革新的な膜処置法の環境配慮型実用を備
えれば問題解決できるが、ここでは「液体金属流体を用いた革新的な
海水淡水化技術」を考察しシリーズに終止符、実用化の事業論に移り
たい、


出所:「液体金属流体を用いた革新的な海水淡水化技術」堀川虎之介氏

図2のごとく今後の技術開発や市場価値の上昇次第で海水からの回収
意義を見出せる有価資源として、マグネシウム(Mg)、ナトリウム
(Na)、リチウム(Li)等が関心を集めている(図2(b))。こうし
掘らない資源の回収は持続的発展可能な社会実現への糸口となる可
能性を秘める。



【関連特許技術】
1.WO2012105654A1 海水の淡水化装置 ナノミストテクノロジーズ
 株式会社
【要約】極めて少ないエネルギー消費で多量の海水を効率よく淡水化
する。
【解決手段】海水の淡水化装置は、海水をミストに噴霧する複数の噴
霧孔を有する噴霧器1と、この噴霧器1から噴霧されるミストを移送
する搬送気体を供給する気体の供給機構9と、噴霧器1から噴霧され
るミストを静電気で微細な粒子とする霧化電極2と、この霧化電極2
と噴霧器1とに接続されて霧化電極2と噴霧器1とに高電圧をかけて
噴霧器1から噴射されるミストを微細な粒子とする高圧電源3と、霧
化電極2で霧化されたミストに含まれる微細なミストを分離するミス
ト分級器4と、このミスト分級器4から排出されるミストを回収して
淡水を得るミスト回収器5とを備えている。

【符号の説明】
1 噴霧器 2..霧化電極 2A..金属リング 2B..金網 3...高圧電源
4..ミスト分級器 5..ミスト回収器 6..静電霧化器 7..噴霧ケース
9..供給機構 10..噴霧ユニット 11..放電突出部 12..微細噴霧孔
13..キャピラリーチューブ 14.ノズルブロック 14A...本体部 14B...
プレート部 14a.フランジ 14b.段差部 14c.筒部 14d.雄ネジ
14e.連結孔 14x.貫通孔 15..パッキン 16.挟着プレート 16x.貫通
孔 17.給水栓ソケット 18.連結ボルト 20..固定部 21.噴霧チャン
バー 22.空気チャンバー 23 区画壁 24..吹き出し孔 25.ポンプ
26.海水タンク 28.送風機 29.移送ダクト 30.円筒 30A.テーパー部 
31.流入口 32.排液口 33.排気口 34 天板 35.排出ダクト 36.回
収槽 37.排液トラップ 37A.U曲部 38..流入ダクト 39.天板 40..
固定部 41..冷却用熱交換器 42..熱交換パイプ 43..フィン 45..
冷却機構 46..コンプレッサ 47..凝縮器 48.膨張弁 49.加熱用熱
交換器 50..冷却回収器 52.排液口 55.冷却機構 56.回収槽 57.排
液トラップ 57A.曲部 61..噴霧チャンバー 66.静電霧化器 67.噴霧ケ
ース 70.サイクロン 70A..サイクロン 70B.サイクロン 

2.特開2016-165676 海水淡水化装置 国立研究開発法人産業技術総
 合研究所 ナノミストテクノロジーズ株式会社
【要約】下図1のごとく海水を静電霧化機1でミストとし、ミストを
キャリアガスでセパレータ3に移送して、セパレータ3で塩分濃度の
高い大粒ミストを除去し、大粒ミストの除去されたキャリアガスを吸
着器4に搬送し、キャリアガスの微細ミストと水蒸気の両方からなる
水分を吸着器4の親水性吸着剤5に吸着し、液化して回収することで
海水に気化熱を与えて蒸発させることなく海水から効率よく淡水を得
る。

図1.海水淡水化装置の概略構成図
【符号の説明】
1…静電霧化機 2…送風機 3…セパレータ 4…吸着器 5…親水性
吸着剤 5A…棒状セラミック 5B…粒状セラミック 6…加温装置
7…加温装置 8…水槽 10…噴霧器 11…噴霧ユニット 12…噴
霧ケース 13…キャピラリーチューブ 13a…噴霧孔  14…ノ
ズルブロック 14A…本体部 14B…プレート部 14a…フラ
ンジ 14b…段差部 14c…筒部 14d…雄ネジ 14x…貫
通孔  15…パッキン  16…挟着プレート 16x…貫通孔 17
…給水栓ソケット  18…霧化電極  19…高圧電源  21…蒸
発器 22…コンプレッサ 23…膨張弁 24…凝縮器 24A…凝縮

 器 24B…凝縮器 30…デミスター 31…多孔板 32…透過 孔
40…外装ケース 41…通気性の袋 90…放熱手段 92…減圧容器 
93…フラッシュ蒸発手段 94…霧取り手段 95…凝縮器
【特許請求の範囲】
【請求項1】海水を霧化する静電霧化機(1)と、前記静電霧化機(1)に

よって生成したミストをキャリアガスで搬送する送風機(2)と、前記
送風機(2)で搬送されるキャリアガスに含まれるミストを粒径で分離し
て、設定粒径よりも大きな大粒ミストを除去するセパレータ(3)と、
このセパレータ(3)から排出されるキャリアガスを通過させる親水性

吸着剤(5)を内蔵する吸着器(4)とを備え、前記セパレータ(3)で大粒ミ
ストの除去されたキャリアガスを前記吸着器(4)に通過させて、キャ
リアガスに含まれる水分を前記親水性吸着剤(5)に吸着し、液化して
回収することを特徴とする海水淡水化装置。
【請求項2】請求項1に記載される海水淡水化装置であって、前記セ

パレータ(3)をデミスターとすることを特徴とする海水淡水化装置。
【請求項3】請求項2に記載される海水淡水化装置であって前記デミ

スターが、キャリアガスの送風する通路に、複数のパンチングメタル、
網材、不織布の何れかからなる多孔板を配置しており、送風されるキ
ャリアガスに含まれる大粒ミストが多孔板に衝突してキャリアガスか
ら分離されるようにしてなる海水淡水化装置。
【請求項4】請求項1ないし3のいずれかに記載される海水淡水化装

置であって、前記セパレータ(3)が分離するミストの設定粒径を100
nm以上であって10μm以下とすることを特徴とする海水淡水化装
置。
【請求項5】請求項1ないし4のいずれかに記載される海水淡水化装

置であって、前記前記静電霧化機(1)から排出されるキャリアガスを太
陽熱のエネルギーで加温する加温装置(6)を有することを特徴とする海
水淡水化装置。
【請求項6】請求項5に記載される海水淡水化装置であって、前記加

温装置(6)が海水を加熱する温度が80℃以下とすることを特徴とする
海水淡水化装置。
【請求項7】請求項1ないし6のいずれかに記載される海水淡水化装

置であって、前記吸着器(4)から排出されるキャリアガスの熱エネル
ギを回収するヒートポンプ式の加温装置(7)を備え、この加温装置(7)
でもって、前記静電霧化機(1)から排出されるキャリアガスと、前記
静電霧化機(1)に供給されるキャリアガスと、前記静電霧化機(1)に供
給される海水の少なくともひとつを加温することを特徴とする海水淡
水化装置。
【請求項8】請求項1ないし7のいずれかに記載される海水淡水化

装置であって、
前記親水性吸着剤(5)が、全体を多孔質とし、あるいは、表面に200

μm以上の厚さを有する多孔質層を有していることを特徴とする海水
淡水化装置。
【請求項9】請求項8に記載される海水淡水化装置であって、前記親

水性吸着剤(5)が、多孔質または多孔質層の表面の平均孔径を10nm
あ以上であって1000nm以下とし、かつ比表面積を1.98m2/
g以上としてなることを特徴とする海水淡水化装置。
【請求項10】請求項8または9に記載される海水淡水化装置であっ

て、前記親水性吸着剤(5)の多孔質または多孔質層が、チタニアとシ
リカの両方を有することを特徴とする海水淡水化装置。
【請求項11】請求項8ないし10のいずれかに記載される海水淡水
化装置であって、前記親水性吸着剤(5)が、最表面では4mol%以
上、かつ最表面より深さ方向に150μmの地点において1mol%
以上のチタン原子を有していることを特徴とする海水淡水化装置。

3.特開2024-1944( 溶媒駆動装置および溶媒駆動モジュール 株式

会社アシュマラボラトリーズ
【概要】近年、地球温暖化、人口増加にともなう水需要の高まりから

海水淡水化技術を用いた水の生産が急拡大している。現在実用化され
ている海水淡水化技術には、大別すると、熱を利用する蒸発法と、半
透膜を利用する逆浸透(RO:Reverse Osmosis)法との2つの方式が
ある。これらのうち、エネルギー効率の点から、後者のRO法が主流
となっている。RO法では、浸透圧差以上の高圧で、正浸透とは逆向
きに強制的に水を押し出すため多くの外部エネルギーが必要となる。
そこで、より省エネルギーとなる方式として、浸透圧差に基づいた自
発的な水の移動現象を利用する正浸透(FO:Forward Osmosis)法が注
目されている。

FO法の典型的な例は、半透膜を介して海水から淡水を引き出す駆動

媒体に駆動溶液と呼ばれる液体を使用している。ここで、上述したよ
うに、FO法は浸透圧差に基づいた自発的な水の移動現象であるが、
FO法において「駆動溶液」と呼ばれる理由は、あたかも、駆動溶液
が海水から水を引き出しているように見えるためである。 図11は、
駆動溶液を用いた海水淡水化システムの概略構成図である。図11に
示す海水淡水化システムにおいて、駆動溶液811には海水L1に対
して浸透圧が十分高くなるように設計された高濃度の溶質粒子(駆動
微粒子)を含む溶媒が使用されている。この駆動溶液811で満たさ
れた半透膜モジュール814cが装着された処理槽815に、前処理
槽816でゴミ、夾雑物等の不要物が除去された海水L1が供給され
ると、海水L1と駆動溶液811との浸透圧差に基づき、半透膜813
を介して海水側(低浸透圧側)から駆動溶液811側(高浸透圧側)
に水の移動(浸透)が行われる。


図11.駆動溶液を用いた海水淡水化システムの概略構成図
【符号の説明】1A…溶媒駆動装置(その1)1B…溶媒駆動装置(

その2)1C…溶媒駆動装置(その3)10…駆動ゲル 10a上面
10b…下面 11…3次元網目構造体 12…水13…駆動微粒子
14…補強部材 20…半透膜 100A…溶媒駆動モジュール(そ

の1) 100B…溶媒駆動モジュール(その2) 110…ケース
111…上側支持板 112…下側支持板 112h…貫通孔 11

3…内枠 113h…網目 115…網目部 500A…溶液処理シ
ステム(その1) 500B…溶液処理システム(その2) 500
C…溶液処理システム(その3) 515…処理槽 516…前処理
槽 518…処理水保管タンク 519…処理水受け部 519a…
底部 519b…枠部 520…ポンプ 811…駆動溶液 812
a…吸水性駆動ゲル 812b…膨潤した吸水性駆動ゲル 813…
半透膜 814c,814d…半透膜モジュール 815…処理槽
816…前処理槽 817…駆動溶液調整/分離槽 818…処理水

保管タンク D1…第1方向 L1…海水 L10…食塩水 L2,
L20…浸透水 PW…外部刺激 h1,h2…高さ

【0006】この浸透水L2は駆動溶液811に吸収されるため、淡
水として水を利用するためには、別途、駆動溶液調整/分離槽817
を設置し、駆動溶液811から淡水を分離して処理水保管タンク818
に溜める。分離方法として、溶解度、熱、電気・磁気等を利用する種
々の方法が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照
)。また、最近、吸水性ゲルを駆動媒体(駆動ゲル)として利用する
新規な正浸透法が提案されている(非特許文献2)。図12は、駆動
ゲルを用いた海水淡水化システムの概略構成図である。図12に示す
海水淡水化システムの吸水性駆動ゲル812aは、吸水性高分子から
なる駆動ゲルである。この吸水性駆動ゲル812aを備えた半透膜モ
ジュール814dが装着された処理槽815に、前処理槽816でゴ
ミ、夾雑物等の不要物が除去された海水L1が供給されると、吸水性
駆動ゲル812aの吸水力により、半透膜813を介して海水L1側
から吸水性駆動ゲル812a側に水が引き出され移動する。


図12.駆動ゲルを用いた海水淡水化システムの概略構成図
                         この項つづく




●今日の寸評:




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沸騰大変動時代(三十八)

2024年05月20日 | 環境リスク本位制
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦
国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編のこと)
と兜(かぶと)を合体させて生まれたキラクタ「ひこにゃん」。

❏ 世界のラボを結んで有機レーザー材料を発見
  非局在、非同期、閉ループによる有機レーザー発光分子の発見
【要点】
  • 有機光機能材料の開発には、分子設計・合成と物性・デバイス特
    性評価の両面を統合した複雑なワークフローが必要となるため、
    単一の研究室で構築するのは困難であった。
  • 本研究では、有機薄膜固体レーザーにおける最高レベルの光増幅
    機能を有する低分子をAIガイド下において発見することに成功し
    た。
  • 開発された有機レーザー分子を基礎に、今後更なる低閾値材料の
    開発が期待されている。
【概要】
これまで、九州大学・最先端有機光エレクトロニクス研究センター(
OPERA)では、新材料開発からデバイスの創製まで、有機半導体レー
ザーに関する先駆的な研究開発に取り組む。現在、先端光機能分子の
探索には、分子設計・合成と物性・デバイス特性評価の両面を統合し
た複雑なワークフローが必要になっている。今回、米・加・英・日の
5つのラボ(トロント大学、バンクーバー大学、イリノイ大学、グラ
スゴー大学、九州大学)が材料探索を加速するために協力し、トロン
ト大学で開発された“自動運転ラボ”を使用して2ヶ月間の短期間で
1,000個以上の分子を合成・評価し、21個の新しい高性能有機固体レ
ーザー(Organic Solid-State Laser: OSL)材料を発見した。
本研究は、JSPS科研費特別推進研究の支援のもとで行われ、2024年5
月17日に米国科学雑誌「Science」のオンライン版で公開されている。
【論文情報】
掲載誌Science
タイトル:Delocalized, asynchronous, closed-loop discovery of organic laser

      emitters
※有機レーザー:有機分子は蛍光、りん光、TADF(熱活性化遅延蛍光
)などの発光機能に加え、光増幅機能を有していることから、レーザ
ーデバイスへの展開が期待されています。現在では、溶液レーザーか
ら完全固体型レーザーへの開発が進展し、光励起及び電気励起デバイ
スの両面から研究開発が進められている。これまでOLEDで進められて
きた発光分子の分子構造を基礎に、低閾値化の有機レーザー分子の創
製とデバイスの実現は、ポストOLEDデバイスとして期待が寄せられて
いる。

❏ 電気を流し、室温強磁性を示す希土類酸化物を発見
【要点】
  • 酸化ガドリニウムGd2O3は最も安定な酸化物として知られているが、
    準安定で高純度の岩塩構造GdOの薄膜の合成に成功した。
  • 合成したGdOは強磁性を示し、磁性を失うキュリー温度は最高で
    303 K(30℃)であることがわかった。
  • GdOは起電力が生じる異常ホール効果を示すため、磁化シグナルを
    電気的に検出することができるスピントロニクス(注3)用の材料
    として期待できる。
【展望】スピントロニクス材料としての応用に期待
論文情報
※要注意カドニウムの取扱い。

❏ 新太陽エネルギ-熱エネルギー変換技術の提案
【概要】
スイスの研究グループによる新しい太陽エネルギーと合成石英を組み
合わせ、1,000℃以上の熱生成技術手法は、化石燃料代替クリーンエ
ネルギーを実現できる!?
【要点】
1.太陽放射の熱捕捉が1,050℃で実験的に実証•
2.熱トラップを利用した太陽熱受光器が優れた性能を発揮
3.熱トラップは、太陽熱発電所による高温熱の脱炭素化をサポート


スイスの研究グループは、太陽からの熱を利用した、より持続可能な
方法を開発。「デバイス雑誌」によると、公立研究大学チューリッヒ
工科大学の同グループが、合成石英を使用して 1,050℃ で太陽エネ
ルギーが捕捉できることを実証。開発されれば、炭素集約型産業向け
にクリーンエネルギーを生成できる可能性があると話す。
ガラス、鉄鋼、セメント、セラミックは現代文明の中心であり、自動
車エンジンから超高層ビルに至るまで、あらゆるものの建設に不可欠。 
これらの産業の合わせれば世界のエネルギー消費の約 25%を占有。 
これまで、クリーンエネルギー代替手段に、太陽追尾ミラーで熱集
中・蓄積する太陽受光器を製造してきが、この技術は 1,000℃を超え
ることが出来なかった。。
太陽光受光器効率向上に、熱トラップ効果現象である太陽光を閉じ込
めることができる石英などの半透明の素材に注目し。合成石英ロッド
をエネルギー吸収体として不透明シリコンディスクに取り付け、熱
捕捉装置を作製した。このデバイスを太陽136個の光に相当するエネ
ルギー束に曝し、吸収プレートが1,050 ℃ に到達したが、石英ロッ
ドの他端は 600 ℃) のままであった。


Credit: Emiliano Casati, et al. Cell Press, (2024)

これまでの、熱トラップ効果は 170℃ までしか実証できずにいたが、
太陽熱捕捉が低温だけでなく、1,000℃をはるかに超える温度でも機
能することが示され、実際の産業用途向けに朗報となる。
研究チームは、熱伝達モデルを使用し、さまざまな条件下での石英の
熱捕捉効率もシミュレーションし。このモデルが、熱トラップにより、
同じ性能でより低い濃度で目標温度が達成されること、さらに同濃度
より高い熱効率で目標温度が達成されること実証した。 たとえば、
最先端の (シールドされていない) 受信機の効率は、1,200℃で太陽
濃度が 500個の場合で40% 。300mmの石英でシールドされた受信機で
は、同じ温度と濃度で 70%の効率を達成できた。シールドされていな
い受信機で同等の性能を得るには、少なくとも 1,000太陽の集中力を
必要とする。Casati達は現在、熱トラップ効果を最適化し、新しい用
途を研究しており、この追跡調査は有望であり、さまざまな流体や気
体など、他の潜在的な材料の探索(※このブログのテーマである新素
材開発に含め)より、これらはすでにさらに高い温度に達しており、
これらの半透明材料の光や放射線を吸収する能力は太陽放射に限定さ
れないことに注目するエネルギー問題は私たちの社会の存続の基礎
せあり、太陽エネルギーはすぐに利用でき、この技術はすでに存在し。
業界での導入を本当に促進するには、この技術の経済的実行可能性と
利点を大規模に実証する必要がある、
・脚注
The data and the codes that support the findings of this study are 
available at the DOI: https://doi.org/10.5281/zenodo.10844395.
via.;Future Timeline


第3章 海を渡りつつ、悪例になるな儲け話には裏がある
社会主義国でのビジネス展開のリスク
筆者はしばしば著書のなかで「川を上り、海を渡れ」と読者にアドバ
イスしている。この言葉は普段、「フェイクニユースや誤った情報に
だまされないために、歴史をさかのぼって見識を深め、海外の事例に
目を向けて視野を広げよう」という意味で使っている。
しかし、中国やロシアなど共産主義国でのビジネス展開という意味で

海を渡ろうとしている人には「待った!」をかけたい。
先端産業を中心に、米国をはじめとした外資系企業の少なくとも
4分
のIは、すでに中国から撤退を始めている。
なぜなら、共産主義国でのビジネス展開にはリスクがつきまとう
から
だ。今後、世界は民牛王義国と共産主義国の間で、軍事的な安全保障
面において分裂していく可能性が高い。

そうなると当然、経済面でも分断されていく。だから共産主義国に進

出して儲けていた企業は、これから犬変になるだろう。今日、明日と
いうことはないだろうが、それに備えてなるべく早く退いたほうがダメ
ジは少ないし、リスクーには安心だ。
それこそ台湾有事があったときに、中国に対する経済制裁が起きれば
大変なことになる。中国の習近平国家主席は台湾をまだ諦めてない
安倍首相は以前、中国から戻ってくる企業に対して補助金を出した。

いまでも経産省は「サプライチェーン対策のための国内投資保進事業
補助金」というかたちで、中国から撤退したかたちで中国から撤退し
た起業に事業上の補助金を出している。


それこそ台湾有事があったときに、中国に対する経済制裁が起きれば
大変なことになる。中国の習近平国家主席は台湾をまだ諦めてない。
安倍首相は以前、中国から戻ってくる企業に対して補助金を出した。

いまでも経産省は「サプライチェーーン対策のための国内投資保進事
業費補助金」というかたちで、中国から撤退した企業に事実上の補助
金を出している。
原材料や部品調達から製造、在庫管理、配送、販売までを手掛ける「

サプライチェーン企業」は、カントリーリスクを抱える中国に依存し
ていたからとくに危ない。カントリーリスクとは、日本貿易保険(N
EXI)が発表している指標だ。OECDカントリーリスク専門家会
合にて、国ごとの債務支払い状況、経済や金融情勢などの情報に基づ
き決定されている。
その評価にはA~Hまでカテゴリーがあって、Aに近いほどカントリ

ーリスクが低く、Hに近いほど高くなる。ロシアはHで中国はCとな
っているが、本来ならこの評価はあり得ない。中国は甘く評価されて
いる。 実際、中国に進出したがゆえに、散々な目に遭っている企業
はある。その代表例が、衣料品の製造から販売までを手掛ける
ユニクロだ。
21年7月、マスコミ各社は、ユニクロが中国・新疆ウイグル自治区で
少数民族を強制労働に就かせたのではないかという疑いで、フランス

検察が捜査に乗り出したと報じた。
中国では、少数民族などへの人権弾圧が横行している。
これからはいろんな国が対中国包囲網に加わるだろうから、人権弾圧
に加担しているような企業は世界市場から締め出されることになるだ

ろ場から締め出されることになるだろう。


かくいうユニクロも、その対象になる可能性はなきにしもあらずだ。
円安で海外進出企業が国内回帰しやすいいま、改めて中国のカントリ

ーリスクについておさらいしておこう。

投下資本は回収できず最悪す
べて没収
大前提として、中国は共産主義国だから個人で会社を持てない。
そのため、日本の中小企業のオーナーは、中国進出には慎重だ。リス

クを負って身銭を切る彼らは、企業のオーナーになれないということ
がどういう意味か、肌身で感じてわかっているに違いない。
一方で、日本の大手メーカーは、中国に大金をかけて工場を建設して

いる。おそらくカントリーリスクを甘くみていて、日本とは国家体制
が全く違うという認識が薄いようだ。あるいは、日経新聞による「中
国はいいところだ」という宣伝を鵜呑みにしたとも考えられる。
それに、大企業の役員とはいえ会社員だから、身銭を切ってリスクを

負っているわけではない。だから、「自分が役員のうちに何としてで
も業績を上げたい」「別に会社のオーナ-にはなれなくてもいい」と、
短絡的な思考に陥りがちなのかもしれない。
なかには会社の先輩が代々、中国進出していたため、その先例を踏襲

しなければならないという社内事情を抱えている人もいるだろう。
中国への投資分は、基本的に全部は回収できないと考えておいたほう

がいい。もちろん儲かればその一部は日本に持って帰れるが、肝心の
会社は自分のものではないからだ。

そもそも共産主義国は、生産手段が基本的に国有だ。

                         この項つづく
※ここら辺は軽くステップです。

 只今、スランプ中 

}




● 今夜の寸評:



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2023年世界の再生可能エネルギー前例なき成長を達成

2024年03月27日 | 環境リスク本位制

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から
救ったと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤 

備え(戦国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部 
隊編のこと)と兜(かぶと)を合体させて生まれたキラクタ「ひ
こにゃん」。   
  


再生可能エネルギーは、2023 年に世界に設置された新しい電力容量の 87% 
を占める。記録的な成長にもかかわらず、エネルギー転換は「軌道から外れ
た」まま。
      
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、再生可能エネルギーの現状に関する
最新の報告書を発表。IRENAの分析によると、2023年に世界は473ギガワット
(GW)の再生可能エネルギー容量を追加し、2022年よりも約62%増加した。2023
年に設置された総電力容量のうち、約87%が再生可能エネルギーによるもので、
非再生可能エネルギーによるものはわずか13%。太陽エネルギーは昨年の設備
導入に特に大きく貢献し、再生可能エネルギーの伸びの73%を占めました。
最近稼働したプロジェクトの中には、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ太陽
光発電プロジェクト
など、大規模なものもあります。11月に発足したこの発
電所は、21平方キロメートル(8平方マイル)の砂漠地帯をカバーする世界最大
の単一サイト太陽光発電所となった。400万枚の両面受光型ソーラーパネルの
容量は2GWで、約20万世帯に電力を供給し、毎年240万トン以上の二酸化炭素
排出量を削減するのに十分な容量である。

'https://www.futuretimeline.net/blog/2023/08/31-us-offshore-wind-project-2025-future-timeline.htm​

IRENAのフランチェスコ・ラ・カメラ事務局長は、「COP28で再生可能エネル
ギーを3倍にするという歴史的なUAEコンセンサスを受けて、これらの容量の
追加は、新記録を樹立したにもかかわらず、目標の達成が保証されていない
ことを明確に示しています」と話す。「IRENAはカストディアン機関として、
毎年、主要指標の進捗状況を監視。私たちのデータは、進歩が不十分であり
続け、エネルギー転換が軌道から外れていることを裏付けている。化石燃料
からの体系的な転換が早急に必要であり、軌道修正し、3倍の目標を手の届く
ところに置いておく必要がある」と話す

      
2023年の再生可能エネルギー設備は、中国、欧州連合(EU)、米国が独占し、
合計で新規容量の83%を占めている。中国は、石炭やガスに対抗できる実用規
模の太陽光や風力のコストが下がり続けていることから、新規発電容量の85%
を再生可能エネルギー源で賄うという新たなマイルストーンを達成した。近
年の中国の急速な発展は、エネルギー政策と産業政策の支援に一部起因して
いる。
      
EUは、エネルギー安全保障への懸念が高まる中、2023年に太陽光発電(PV)電
力が前年比37%増加し、56GWに達し、風力発電が17GW増加しました。同ブロ
ックは、2027年までにロシアからのエネルギー輸入をすべて停止することを
計画している。米国では、インフレ抑制法により、さまざまな税額控除を通
じて再生可能エネルギーへの大規模な投資が促進されています。洋上風力発
電は、大規模な拡大が見込まれています。その一例が、
レボリューション・
ウィンド・プロジェクト
。これだけでも、現在の全国の洋上風力発電容量の
16倍以上になりる。

2023年の再生可能エネルギー設備は、中国、欧州連合(EU)、米国が独占し、
合計で新規容量の83%を占めている。中国は、石炭やガスに対抗できる実用
規模の太陽光や風力のコストが下がり続けていることから、新規発電容量の

85%を再生可能エネルギー源で賄うという新たなマイルストーンを達成した。
近年の中国の急速な発展は、エネルギー政策と産業政策の支援に一部起因し
ている。
EUは、エネルギー安全保障への懸念が高まる中、2023年に太陽光発電(PV)電
力が前年比37%増加し、56GWに達し、風力発電が17GW増加しました。同ブロ
ックは、2027年までにロシアからのエネルギー輸入をすべて停止することを
計画している。米国では、インフレ抑制法により、さまざまな税額控除を通
じて再生可能エネルギーへの大規模な投資が促進されています。洋上風力発
電は、大規模な拡大が見込まれています。その一例が、レボリューション・
ウィンド・プロジェクト。これだけでも、現在の全国の洋上風力発電容量の
16倍以上になりる。
      
政策の進化、地政学的な変化、コストの低下など、すべてが世界中の市場に
おける再生可能エネルギーの急速な拡大に一役買っている。昨年ドバイで開
催されたCOP28気候サミットでは、約200カ国が化石燃料からの「脱却」に合
意し、会議の30年の歴史で初めて合意に達し

      
しかし、IRENAの報告書は注意を喚起し、クリーンエネルギーのさらなる迅速
な導入が必要であることを強調している。COP28の合意には、2030年までに世
界の再生可能エネルギー容量を3倍にするという目標が含まれている。IRENA
によると、それは「技術的に実現可能で経済的に実行可能」なままであるが、
この目標の達成は「保証にはほど遠い」ものであり、緊急の政策介入が必要
である。さまざまなクリーンエネルギー技術のうち、現在軌道に乗っている
のは太陽光発電だけ。風力、水力、地熱などは、IRENAの2030年の予測に基づ
くと不足。また、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車の予測も掲載
している。これらもまた、目標を逃すと予測されています。これらの車両の
在庫は、2023年の世界で4,000万台から2030年までに3億6,000万台に増やす必
要がある。
      
開発途上国は、その大きな可能性にもかかわらず、再生可能エネルギーへの
投資額が不釣り合いに低い水準にある。エネルギー転換関連の投資額は昨年
2兆ドルを突破し、過去最高を記録したものの、120の開発途上国は世界の再
生可能エネルギー投資の15%しか集まらず、サハラ以南のアフリカはエネルギ
ー不足の人口の割合が最も高いにもかかわらず、1.5%未満しか受け取ってい
ない。
      
対照的に、化石燃料は依然として毎年1兆3,000億ドルの補助金を受け取って
おり、これは2030年までに3倍の増加を達成するために必要な再生可能エネル
ギー発電容量への年間投資に相当します。IRENAの2030年シナリオの重要な側
面は、再生可能エネルギーの使用の増加と、それに対応する化石燃料への依
存の減少を結びつける必要があるということです。どちらの側面も遅れてい
る。
      
IRENAのフランチェスコ・ラ・カメラ事務局長は、「COP28で再生可能エネル
ギーを3倍にするという歴史的なUAEコンセンサスを受けて、これらの容量の
追加は、新記録を樹立したにもかかわらず、目標の達成が保証されていない
ことを明確に示しています」と述べました。「IRENAはカストディアン機関と
して、毎年、主要指標の進捗状況を監視しています。私たちのデータは、進
歩が不十分であり続け、エネルギー転換が軌道から外れていることを裏付け
ている。化石燃料からの体系的な転換を早急に必要とし、軌道修正し、3倍の
目標を手の届くところに置いておく必要がある」と話した。 

 ● 50年には太陽光が全米で40%の電力供給 10年には、太陽光発電は全米電力供給量の0.1%にも満たなかった。16年前半には太陽光発 電の累積設置容量は31戯画ワットを超え、太陽光発電による電力供給量は総供給量の1%にま で拡大した。さらに、14年と15年において、太陽光発電は米国における新規発電所の3分の 1を占めた。「サンショット20」が設定された時は、0年までに太陽光発電による電力は全米 の電力需要量の14%を満たし、50年には27%を賄うといの予想分析。しかし、過去5年間 の著しい普及拡大により、「サンショット30」ではその予想を、「30年までに20%、50 年までに40%」と、さらに上方修正された。コスト削減により、太陽光発電が米国における電 力供給の主流になる。2016.12.14

 



大規模な社会実装目指し実証加速
   
需要の中心は全国公共インフラ・施設
積水化学は本社入居ビルにペロブスカイト太陽電池を国内で初めて常設設置。
さらに世界初の高層ビルメガソーラーにも採用される。同社は大規模な社会
実装に向け、企業・自治体と実証実験を加速し、25年度事業化を目指す。次
世代型太陽電池の本命と期待 昨年10月、積水化学は大阪本社が入居する
島関電ビルにフィルム型のペロブスカイト太陽電池(以下PSC)を国内ではじめ
て常設設置した。同ビルは現在りニューアル中で、25年4月に完工予定だ。当
初、同社製フィルム型PSCは2025年大阪万博で「未来ショーケース事業(グリー
ン万博)」に協賛し、西ゲート交通ターミナルのバスシェルターに設置・お披
露目が予定されていたが、次世代型太陽電池の本命と期待が高まる中、急き
 ょ前倒しの設置となった。


      
 建物外壁に固定し風荷重に20年耐える
 積水樹脂と共同検討した建材パネルは不燃性パネル上に30cm角のフィルム
型PSCを3枚並べたもの(48枚)で、ボルトで建物外壁に固定する。この設置方

法により、12階の風荷重に20年相当耐え、安定した発電性能を維持できる。
また、施工・設置作業もシリコン系太陽電池に比べ容易で、作業時開・コス
トの削減が可能だという。しかし、積水化学では同ビルの設置方法はあくま

でも安全性に配慮した暫定的なものとし、現在、フィルム型PSCの軽量で柔軟
という特徴を活かした標準的な設置方法について、実証実験で50索している
     
最中。

PSC製品化の課題の一つ「耐久性」
同社では2013年から次世代型太陽電池として有望なPSCの研究開発に着手PSC

製品化の課題の一つといわれる。「耐久性」向上に焦点をあて、変換効率15%
屋外で10年相当の耐久性をもつフィルム型PSCを開発した。すでに印刷するよ
うにプラスチック基板に材料を30cm幅で塗布するロール・ツー・ロール製造
プロセスを確立。現在、25年度の事業化に向けて、NEDOのグリーンイノベ
ーション基金を活用し、1m幅での量産体制の確立を目指す。 



世界初の高層ビルメガソーラーに
フィルム型PSCが採用 積水化学は昨年から今年にかけ、企業や自治体等と立
て続けに屋外での実証実験に着手している。昨年3月にはJERAの横須賀火  
力発電所と鹿島火力発電所にフィルム型PSCを設置し、塩害性能と防汚性能、
発電性能の実証を開始した。続いて4月にもNTTデータと共同で建物
の外  

壁に設置し実証を開始。当初1年間は積水化学の研究所で検証を行い、次の  
ステップとしてNTTデータのNTT品川TWINSデータ棟の外壁で実証  
を行う予定。さらに 5月には東京都下水道局の水処理施設の反応槽覆蓋上部  
にフィルム型PSC(1kW)を設置し、東京都と共同で発電性能、耐腐食性能
を検証中だ。またJR西日本が25年に開業を目指すうめきた地下駅(大阪)に
も一般共用施設として初のフィルム型PSC設置を予定している。

フィルム型PSCの社会実装のカギはコスト 
同社では量産体制の確立とともに、こうした実証により発電効率・耐久性の更
なる向上と設置・施工方法の検討を進め、社会実装を目指す。
積水化学で当初から一貫してフィルム型PCS開発に取り組んできたPVプロジェ

クト副ヘッドの森田健晴氏は「実証でとくに重視しているのが設置・施工方法
の確立です。そのため公表している実証以外にもジグメーカーや多くの施工業
者さんに声をかけて、施工・設置方法などを共同で検証しています。ネジで
止める、接着剤で貼る、レールにはめる等、6~7種類の取り付け方法を、荷重

や風圧などに耐える安全性を担保しながらコスト、汚れやすさなど様々な観
点から検証し、試行錯誤を繰り返している。
フィルム型PSCの製造コストはまだまだシリコン系に比べ高い。我々メーカー

だけが孤軍奮闘するのではなく、設置、流通、更新、廃棄などにかかわる各事
業者が一致して汗を流し、とことんコストを下げなければフィルム型PSCの社
会実装は進まないからです」とLCOE(均等化発電コスト)を低減する重要性を訴
える。

世界初の高層ビルに1MW超PSCを設置
昨年11月には千代田区内幸町一丁目街区の再開発計画「TOKYO CROS
SPARK構想」(事業者10社)で、世界初となる高層ビルでのPSCによるメガ
ソーラー発電に同社フィルム型PSCが採用された。計画では同街区南地区のサ
ウスタワーのスパンドレル部(ビル各階の床と天井の間に位置する防火区画に
接する外壁)内部に1MW超のPSCを設置する。同社では南地区事業者と設置

方法を検討。室内からパネル交換が可能な設置システムを共同で開発した。



設置手法を確立するには国の関与も必要 
ペロブスカイト太陽電池は設置方法ばかりか、変換効率、耐久性などの評価
手法についても国際標準がいまだ確立していない。積水化学では現在、大学、
研究機関と技術開発とともに評価手法等の国際標準化にも取り組んでいる。
一方で、経産省をはじめとして国交省、総務省(消防法)等とも施工・設置に当
たっての各種法規制への対応についても、協議を進めている最中。 「大阪本
社などの取り付け方法にもみられるように、従来の設計・施エガイドライン
は重いシリコン系を基準に策定されているので、フィルム型PSCの軽さ、柔軟
さ等の特長を活かしきれません。今後、フィルム型PSCの施行・設置方法を確
立するためには国の関与も必要かもしれません。たとえば軽量な屋根や垂直
な壁面にパネルを設置する場合、現行ガイドラインでどこまで簡易化でき、
低コストが可能となるのか。国とガイドラインの内容について詰めていく必
要があると積水化学の森田氏はこうして国との法規制と設置方法の議論を煮
詰めながら、25年事業化後の需要の中心となるのは全国の公共インフラ・施設
になるとみている。

官民一体で社会実装を積み重ねる
今後、日本のカーボンニュートラルを実現するためには更なる再エネの導入

加速が必要であり、そのためには官民一体となったフィルム型PSC社会実装へ
の取り組みが欠かせない。積水化学は2030年、大規模な社会実装に向けて、フ
ィルム型PSCの変換効率18%、耐久性能20年程度の達成を目指すとしている。   

 via 環境ビジネス 2024.SP  
      

      

      


      

      

      

                   
 
 
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ワシントンの観桜会

2024年03月25日 | 環境リスク本位制

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の軍団編成の一
種、あらゆる武具を朱りにした部隊編のこと)と兜(かぶと)を合体させて生ま

れたキラクタ「ひこにゃん」。 



【観桜会:御題~千秋楽にさくらを詠う(弐)】 

     冬宮の染井吉野の白雲や ここち暖まりこころ微みぬ 



【健康食品禍:紅麹】
3月22日、大阪市に本社がある「小林製薬」は、「紅麹(べにこうじ)」の成分
を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症したことが報告されたと明
らかにしました。会社では「健康食品が原因となった可能性がある」として、こ
の成分を含む3つの健康食品を自主回収するとともに、使用を中止するよう呼びか
けている。

会社が自主回収することを発表したのは、「紅麹」の成分を含む、
▼「紅麹コレステヘルプ」
▼「ナットウキナーゼさらさら粒GOLD」
▼「ナイシヘルプ+コレステロール」の3つ、いずれもコレステロールや血圧を

下げる効果を記した健康食品
※関連情報
2014年3月7日、欧州連合(EU)、紅麹由来のサプリメント中のかび毒シトリニン
の基準値を設定・シトリニンの危険性➲詳細調査中
※具体的な因果関係は不明のようであり、前出の3品は服用しないこと。


【特集|小型メタメーション技術
水素キャアーであるギ酸製造装置の最新技術を調査。株式会社IHIの「メタメ
ーション技術」関連情報があったので調査する

●カーボンニュートラルのための環境予測技術に向けて/-二酸化炭素とIoTデー
タのリサイクル-デジタル技術で生産性を上げる完全自動&遠隔半自動溶接技術
/スマートファクトリー化の早期実現で溶接工程を省人化
●小型メタネーション装置の販売を2022年10月より開始.パッケージ化・標準化
によって省スペース・短納期を実現し,12.5 Nm3/hのe-methaneが製造可能


.
小型メタネーション装置

小型メタネーション装置におけるプロセスフロー概略

環境価値管理プラットフォームの画面( SIGC 適用例)

●グリーンエネルギーの地産地消を支える電力安定供給システム/電源安定化と
耐災害性を両立するマイクログリッドの制御技術

駐車場を活用した太陽光発電によるマイクログリッドのイメージ図

「2035 年までに新車販売で電動車100%を実現する」と2021 年の通常国会に
おける首相施政方針演説で表明されたように,カーボンニュートラルの柱として,自動車のEV化が提案されている.ガソリン車がEV車に全て置き換わった場合には,日本の電気の総発電量が10 ~15%程度増加するといわれている.しかし,その
増加分を二酸化炭素 ( CO₂ ) を多く排出する火力発電で補っていては,発電設
備の高効率化やアンモニア燃焼などの技術でCO₂排出量を減らす取り組みを行っ
ているとしても,EV化の意味がない.そのため,EV車に充電する電力は,グリー
ンエネルギーにすることが求められている.しかし,グリーンエネルギーには天
候によって発電量が大きく変動し,電力系統に負担を掛けるという課題がある.
また,グリーンエネルギーを増やすためには,出力が気象条件に左右されないよ
うにする安定化が重要となる.グリーンエネルギーを安定化させることで,初め
て出力変動を吸収する調整用火力発電を減らすことができる.IHIグループは,
近隣のエネルギー供給源と消費施設をまとめて,エネルギーを地産地消するマイ
クログリッド内の電力安定供給システムの制御技術を確立した.この技術を使う
ことによって,電力系統に負担を掛けずに,グリーンエネルギーを増やすことが
できる.また,災害などによって停電となった場合でも,マイクログリッド内で
自立運転し,電力を供給することができ,災害時の避難所やエネルギー供給の拠
点とすることも可能となる.


そうまIHI グリーンエネルギーセンターのもつ機能
●電力安定供給システムの標準化 
IHIグリーンエネルギーセンターにて実証したマイクログリッド制御技術をベー
スにして,電力安定供給システムの標準化を実施している.標準化することで,
マイクログリッドを構築するためのコストの削減,建設期間の短縮が可能になる.それにより,グリーンエネルギーを有効利用するマイクログリッドの普及が促進
される.さらに,マイクログリッド内でグリーンエネルギーの変動を平準化する
ことで,送電網に負担を掛けることなく,グリーンエネルギーの拡大に貢献する
ことが可能となる.標準化した電力安定供給システムの設備構成は,次の三つを
マイクログリッドの必須要素とし,EV充電器や水素製造設備などもグリッド内に
設置可能としている.
  • 太陽光発電設備(駐車場の場合:ソーラーカーポート) 
  • 蓄電池システム(自立運転機能付き) 
  • 電力の自家消費設備 
  • 負荷への使用電力抑制機能 

  • 【技術の特徴】
    駐車場空間を活用したカーポートに太陽光パネルを設置して発電し,定置型
    蓄電池にて安定化 
  • 太陽光発電3 系統,蓄電池設備2 系統で構成し,地震などで1 系統が故障し
    ても稼働可能とし耐災害性を向上 
  • EV急速充電器の併設によって,災害時にEV車を可搬型蓄電池としてほかの防
    災拠点などの電源として扱うことが可能(オプションとして水素ステーショ
    ンの組み合わせも可能) 
  • 停電時は,マイクログリッド内に自立給電でき,道の駅を避難所として活用
    可能 
  • 平常時は,グリーンエネルギーを最大限活用可能 
【原子力発電リスク情報:高浜発電所4号機蒸気発生器伝熱管の損傷①】
※2024年2月22日 関西電力株式会社;
高浜原子力発電所(福井県高浜町)4号機で見つかった蒸気発生器の伝熱管の損
傷について、原因と対策を発表した。冷却水に含まれる鉄の微粒子が繰り返し接
触したことが伝熱管の損傷の原因とみており、蒸気発生器の高圧洗浄などで微粒
子の発生を抑える。4月5日としていた運転再開は遅れる見通しで、現時点では再
開時期は未定としている。高浜原発4号機は2023年12月に始めた定期検査で、伝熱
管4本に損傷が見つかっていた。これらの伝熱管は今後使わない。高浜原発3号機
の伝熱管でも同様の損傷が見つかっており、27年までに3、4号機の蒸気発生器を
順次取り換える。
※https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2024/pdf/20240122_2j.pdf

国産ペブストカイト太陽電池の製品化へ

国は手厚い投資促進策を用意
ペロブスカイト太陽電池の早期社会実装に向けて、国はGI基金、GX債による先行
投資を加速化し、企業の量産技術の確立やユーザーと連携したフィードル実証事業、サプライチェーンの構築を切れ目なく後押しする。資源エネルギー庁新エネ
ルギー課、津田健人課長補佐は「勝負はここ数年で決まる」と期待する。
➲ 2024.SP環境ビジネス

大型化と耐久性で世界をリード
世界の脱炭素化を牽引してきたシリコン系太陽電池の変換効率が理論的限界に近
づく中、次世代型太陽電池の本命といわれるペロブスカイト太陽電池(以下PSC)
の開発を巡って、グローバルで熾烈な競争が繰り広げられている。
中国では2012年、研究開発に着手したといわれるDaZhengや2019年に創業したGCL Perovskite等が量産に向け動き出している。英国ではオックスフオード大学発スタートアップのオックスフオイト・シリコンのタンデム型で住宅・発電事業用をターゲットに、2025年前後の大量生産を目指す。その他、ポーランドやスイス、米

国等各国でも研究開発が活発に進められている。一方、日本でも25年に量産化を
目指す積水化学工業をはじめとして、カネカ、東芝、パナソニック、エネコート
テクノロジーズ、アイシン等各社が、それぞれの特徴・強みを活かし製品開発を
取り組んでいる。 PSCは日本発の技術で、軽量で柔軟なフィルム型、建材一体型、シリコン系と積層するタンデム型、loT電源モジュール等と用途も多様で、市場
のすそ野も広い。
資源エネルギー庁新エネルギー課、課長補佐の津田健人氏は「日本は製品化のカ
ギとなる大型化と耐久性で世界をリードしている」とし、十分に勝機があるとみる。「日本においてPSC開発事業は2050年カーボンニュートラル(CN)の実現
と、世界的に拡大する太陽光発電市場(200GW超)を獲得し、産業競争力強化を

図るための重要な柱の一つとして位置づけられています。かつてシリコン系では
市場の拡大を見通した設備投資の不足や厳しい価格競争でシェアを落としました。事業者の方々にはその二の舞を演じることなく、大胆に投資し、製品・量産化を
進め、市場を獲得して欲しい。我々はそのために手厚い投資促進政策を用意し、
支援していきます」と期待する。

社会実装に向け量産技術の確立、
生産体制整備、需要の創出に取り組む
現在、日本の太陽光発電量導入容量は世界第3位であり、太陽光発電のエネルギ
ーミックスに占める割合は9.2%(22年度速報値)である。 2030年度には太陽光発
電のエネルギーミックス目標に占める割合を141.6%程度に増やすことを掲げて
いるが、野立の適地が減少するなど、目標達成は容易ではない。PSCは曲げや歪
みに強く、従来設置が難しかった場所にも導入ができ、太陽光発電の導入拡大の
有力な選択肢だ。こうした中、国は次世代型太陽電池の早期社会実装に向け量産
技術の確立、生産体制整備、需要の創出の三位一体で取り組む。まず、NEDO
の技術開発プロジェクトを引き継ぐグリーンイノベーション(GD基金による「次世
代型太陽電池開発プロジェクト」(648億円)では2030年までに発電コスト14円/kWh
以下を達成し、社会実装を目指す。すでに開始している、基盤技術開発、量産技
術の確立の支援とともに、今後、PCSの特徴である軽量性・柔軟性を活かした設
置方法や施工方法を含めた性能検証のためのフィールド実証事業を支援する。補
助率は2/3で、今年度中に公募する予定。


支援総額は10年間で1兆円
トランスフオーメーション(GX)経済移行徳によるGXサプライチェーン構築支援事業(浮

体式洋上風力発電、水電解設備、燃料電池も含む)では令和6年度548徳利(5年:4212
備円)を計上。材料メーカー、製造機械メーカー等、Tier1からTier2以下も含めた国内サ
プライチェーン全体の生産体制整備に対し、補助支援を行う。津田氏よれば、GX徳によ
る次世代再エネ分野の設備投資等の支援総額は10年間で1兆円規模を見込んでいる
という。支援総額の1兆円のうちサプライチェーン整備(4212徳円)を除いた分は、需要
の創出として導入する側の支援にも活用される見込みだ。導入先は政府・地方公共団
体の公共施設やビル等の建築物壁面や耐荷重性の低い屋根(工場・倉庫・学校施設)、
空港・鉄道・高速道路防壁等の公共インフラ、モビリティ、loT機器などを想定し、各省庁
が連携して推進していく。

開発競争に加え生産体制整備がカギ
 「2025年からの事業化を計画している事業者もおり、導大目標は2020年代半ばに
00MW/年規模、中長期的には2030年を待たずにGWの量産体制構築を前提として検
討し、大胆に需要を創出したい。事業者の方々にはそれを見据えて量産体制の構築を
進めて欲しい」と意欲的。
また昨年12月26日開催された調達価格等算定委員会(第91回)では、ペロブスカイト太

陽電池の需要創出を促すために、23年度以降、次世代型太陽電池を念頭に置いた新た
な発電設備区分(FIT ・ FIP制度)の創設の検討に着手するという。今後、同委員会では
量産体制の構築状況を見極めながら、実証事業等を通じてコストデータの収集・分析を
行い、区分設定や将来の自立化を見据えた価格設定のあり方について、来年度以降も
議論を継続していくとしている。
津田氏は「現在、グローバルな開発競争が激化していますが、おそらくここ数年が、その

勝敗を決する分岐点となる。政府では、多面的なGX先行投資策を講じ、GX市場創造に
取り組んでいく方針です。こうした中で、日本企業にはそのゲームチェンジヤーを目指し
ていただきたい」と奮起を促す。
--------------------------------------------------------------------------------------------------si
進化が止まらぬ太陽電池ニュース
❏自己組織化有機電子輸送層をもつペロブスカイト太陽電池効率21.5%達成
3月22日:https://doi.org/10.1021/acsenergylett.4c00306



 ● 今夜の寸評:

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きみが言うからキーウの日

2024年02月22日 | 環境リスク本位制

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。
 

今日は猫の日(2/22)、2日後はウクライナ侵略戦争2年経過する。それじゃ、
『サラダ記念日』をもじって『キーウの日』として、「終戦・非戦」の実現を祈
る。 
スズペロブスカイト電子輸送用フラーレン開発 
   熱安定性が高く真空蒸着も可能な電子輸送材料 
1月22日、京都大学の研究グループは,ハロゲン化スズペロブスカイト太陽電池
の電子輸送材料として用いることができる開口フラーレン化合物を開発。
【概要】スズ系ペロブスカイト太陽電池の課題のひとつに,得られる開放電圧が

低いことが挙げられる。高い開放電圧を得るためには,より浅いLUMO準位をもつ
電子輸送材料の開発が強く望まれていた。ABX3型(A: 1価の陽イオン、B: 2価の
陽イオン、X: ハロゲン化物イオン)のペロブスカイト半導体を光吸収材料に用
いたペロブスカイト太陽電池が、塗布法で作製できる次世代の高性能太陽電池と
して注目されていたが、鉛を原料に含む鉛系ペロブスカイト太陽電池が主に研究
されてきたが、鉛が及ぼす環境や人体への影響が危惧されている。
実用化の観点から、鉛の代わりにスズを原料に用いたスズ系ペロブスカイト材料
はその有力候補として期待を集めていたが、スズ系ペロブスカイト太陽電池の光
電変換効率は鉛系よりも低く、最高でも15%程度にとどまっているのが現状。
スズ系ペロブスカイト太陽電池の課題のひとつに、得られる開放電圧が低いこと

が挙げられます。これは、スズ系ペロブスカイトの伝導帯準位が浅いため、一般
的に用いられる電子輸送材料であるフラーレンC60の最低非占有分子軌道(LUMO)
準位との間のエネルギーギャップが大きくなることが原因と考えられ、高い開放
電圧を得るためには、より浅いLUMO準位をもつ電子輸送材料の開発が強く望まれ
ていた。C60よりも浅いLUMO準位をもつフラーレン誘導体としては、フェニル-C
61-酪酸メチルエステル(PCBM)とインデン-C60二付加体(ICBA)が一般的(図1)。
一付加体であるPCBMではLUMO準位が十分には浅くなく、一方、二付加体である

ICBAでは、合成においてさまざまな異性体が生じ、それらを分離するのが困難で
あるという課題がある。
C60よりも浅いLUMO準位をもつフラーレン誘導体としては,フェニル-C61-酪酸メ
チルエステル(PCBM)とインデン-C60二付加体(ICBA)が一般的だが,一付加体
であるPCBMではLUMO準位が十分には浅くなく,一方,二付加体であるICBAでは,
合成においてさまざまな異性体が生じ,それらを分離するのが困難だった。
フラーレンに化学修飾により穴をあけ,小分子を導入して再び閉じる,フラーレ
ンの分子手術法を開発し,様々な分子を内包させたフラーレンを合成。今回,そ
の合成中間体である開口フラーレンの1種であるOCに注目し,この化合物をスズ
系ペロブスカイト太陽電池の電子輸送材料とすることを着想する。




【成果/展望】フラーレンに化学修飾により「穴」をあけ、小分子を導入して再

び閉じる、「フラーレンの分子手術法」を開発し、様々な分子を内包させたフラ
ーレンを合成してきました1,2。本研究では、その合成中間体である開口フラー
レンの1種であるOCに注目し(図1)、本化合物をスズ系ペロブスカイト太陽電池
の電子輸送材料として用いることを着想しました。本化合物は、PCBMよりも高い
LUMO準位をもつとともに、異性体の混合物を生じずに純粋な化合物として合成で
きると期待した。

図1従来のフラーレン誘導体および本研究で用いた開口フラーレンOCの分子構造


合成した開口フラーレンOCの薄膜を作製し、電気化学測定(サイクリックボルタ
ンメトリー)によりLUMO準位を見積もったところ、本化合物は、ICBA(–3.95 eV)
よりは若干深いがPCBM(–4.14 eV)より浅い –3.98 eVにLUMO準位をもつことが
わかりました(図2a)。スズ系ペロブスカイト材料の伝導帯準位(–3.66 eV)と
の差は0.32 eVと、PCBMの場合(0.48 eV)よりも小さくなり、太陽電池の開放電
圧の損失が小さくなることが期待されました。そこで、本化合物を電子輸送材料
に用いてスズ系ペロブスカイト太陽電池を作製したところ、PCBMを用いた場合(
0.57 V)よりも高い0.72 Vの開放電圧と、9.6%の光電変換効率が得られました
(図2b)。

図2.(a) フラーレン誘導体のエネルギー準位および (b) フラーレン誘導体を
電子輸送材料として用いたスズペロブスカイト太陽電池の電流–電圧曲線

さらに、開口フラーレンOCは、PCBMやICBAよりも優れた熱安定性を示すことが
わかった。フラーレン誘導体の熱重量測定を行ったところ、ICBAでは約140℃、
PCBMでは約370℃から熱分解による重量減少が見られたのに対し、OCは約450℃ま
で安定で、500℃でも元の重量の93%(–7%)を保持できることがわかった。つ
ぎに、真空蒸着法によるOCの成膜を試みたところ、若干の化合物の分解は見られ
たものの、蒸着膜を用いた太陽電池素子でも7.6%の光電変換効率が得ることが

できた。開口フラーレン化合物がスズペロブスカイト太陽電池の電子輸送材料と
して機能することを初めて実証しました。今後、スズペロブスカイト太陽電池の
さらなる高性能化に向け、独自の電子輸送材料の開発研究を展開していく。


図3.フラーレン誘導体の熱重量測定結果

【掲載論文】
原 題:An open-cage bis[60]fulleroid as an electron transport material for tin halide 
     perovskite solar cells
掲載誌:Chem. Commun., 10.1021/jacs.3c10133 (2024). 

2035年,車載電装システム市場は95兆8,888億円
富士キメラ総研は,自動運転技術の高度化に伴うシステム構成変化や各センシン
グデバイスの高性能化,コネクテッドカーの普及や5G通信へのシフト,また,ソ
フトウェアによる自動車の機能を更新するSDV化の進展に伴うECU統合などのトレ
ンドを踏まえて,拡大が続く車載電装システムの世界市場を調査し,その結果を
「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2024 上巻」にまとめた、
※ https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=24018




    風蕭々と碧いの時代 
 1971年2月5日
戦争を知らない子供たち  
作詞・作曲・編曲/北山修・杉田二郎・馬飼野俊一
 


 
ザ・フォーク・クルセダーズ 戦争は知らない

アントニン・レオポルト・ドヴォルザーク(1841年9月8日 - 1904年5月1日)は

後期ロマン派に位置するチェコの作曲家。チェコ国民楽派を代表する作曲家。ブ
ラームスに才能を見いだされ、『スラヴ舞曲集』で一躍人気作曲家スメタナとと
もにボヘミア楽派と呼ばれる。その後、アメリカに渡って音楽院院長として音楽
教<育に貢献する傍ら、ネイティブ・アメリカンの音楽や黒人霊歌を吸収し、自
身の作品に反映させている。 代表作に、弦楽セレナード、管楽セレナード、ピ
アノ五重奏曲第2番、交響曲第7番、交響曲第8番、交響曲第9番『新世界より』、
スラヴ舞曲集、この分野の代表作でもあるチェロ協奏曲、『アメリカ』の愛称で
知られる弦楽四重奏曲第12番などがある。



序曲「わが家」 (Domov můj) 作品62a、B.125a本来はフランティシェク・フェル

ディナント・シャンベルクの芝居『ヨゼフ・カイエターン・ティル』の劇音楽と
して作曲された10曲の中の1曲であるが、現在ではこの序曲以外が演奏されるこ
とはほとんどない。
"わが家"「故郷」作品62B  

※ 久しぶりに音楽鑑賞に出かける(陵水フィルハーモニー管弦楽団:2024.02.18)


 今夜の寸評 : 鈍すれば貧する
         賢明でなければ豊かになれない。
 
 
 
 
   

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持続可能戦略電子デバイス製造論 ③

2024年02月17日 | 環境リスク本位制





彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら  

れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成  
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。

             三月は いざ決戦ぞ 春北斗
                           


❏   
柄杓の形をした北斗七星は、大熊座にある七つの星。季節により位置を変え
   るが、
 
 
 
北の位置にはっきりと見える。船の形に見えるので地方によっては船
   星という。ひとは言うだろう。エキセントリッキだと。「私の目標」は定ま

   っている。

 

Anytime Anywhere ¥1/kWh era

【再エネ革命渦論 199 アフターコロナ時代 186】
 技術的特異点でエンドレス・サーフィング 

 

持続可能戦略電子デバイス製造論 ③
わたし(たち)が、1990年代初頭、有機エレクトロルミネッセンスの 
ィス

プレイのデバイスとして、ハイブリッド型色素増感太陽電池デバイ スの開発
に環境リスク本位制のデバイス製造技術とし注目し、ポスト・ シリコン半導
体デバイスである有機半導体を含め「ネオコンバーテック 」の群デバイス製
造技術として再構築していたことはこのブログで掲載 してきたが、ここにき
て、次々と関連製品製造方法や製造技術及び商品 が登場しており、持続可能
社会に向けた国際的な  畝り振興となっており、関連する新聞に追われる日々
が続き、巻頭の俳句を詠むに至る。それではハイブリッド型太陽電池や有機
導体デバイスなどの普及拡大に繋がると思われる新聞の掲載を始める。

 2025年だけで43GW、DOEが太陽光の米国内導入量を予測
太陽光が急増、発電量で水力を超え、風力に次ぐ再エネに



図1 米国における発電事業用電源の年別・電源別の発電量推移 (注:単位は、

億kWhまたはTWh、出所:EIA)

再エネ発電量は2021年に初めて原子力を、そして、2022年には初めて石炭火
力を上回った。再エネの増加とは対照的に石炭火力は 2023年比%減で、2025
年に5480億kWhまで減るという予測となっている。天然ガスは引き続き米国
の最大の発電源であるが、2023年から2025年にかけ増加率はほぼ横ばいの1
%増、原子力も微増で3%増と予想されている。

太陽光は2年で75%増
再エネを電源別に見てみると、米国における風力の発電量は2023年の4300
億kWh(430TWh)から、2025年には4760億kWhへと11%増加、さらに太陽光の
発電量は、2023年の1630億kWh(163TWh)から2025年には2860億kWhへと75%
増に急伸すると予想されている。さらに、風力、太陽光、そして大規模水力
の再エネ発電量全体に占める割合を見てみよう。2019年に大規模水力は再エネ
全体の41%を占めていたが、2025年には25%まで下がる一方、太陽光は2019
年の10%から2025年には27%にまで増え、水力の比率を超えた。風力の占める
比率は、一貫して最も高いが、2022年の50%をピークに徐々に減少しており、
2025年には45%下がってきた。

再エネの累積導入容量は424GW
次に、発電量(kWh)ではなく電源の設備容量(kW)を見てみよう。EIAによ
ると、新規発電容量が、再エネ発電量の増加の予測を裏付けている。然原子
力などは横ばいであるものの、再エネの設備容量は2023年の332GWから2025年
には424GWと28%増になっている。各年の総発電量を生む累積発電設備容量に
なるが、各年に新しく加わる発電設備容量を見てみると、再エの新設がいかに
著多いかがわかる。逆に、石炭火力は廃炉が増え減少している。

太陽光の新規導入容量は43GW
再エネ電源別に見てみると、太陽光の増加量は、年々と大きくなり、 2023年
の新規導入量は22GWで、2025年にはその約2倍の43GWもの新規導入が予定され
ている。EIAは、太陽光発電は、大規模な容量追加と有利な税額控除政策によ
り、最も急速に成長している再エネ電源としている。計画されている太陽光
発電プロジェクトにより、電力部門が運営する太陽光発電の容量(累積)は、
2023年末の93GWから2025年末までに172GWへと85%増加、そして、風力発電の 
容量は、2023年の149GWから2025年末までに162GWと9%増と予想している。
の新たに導入される発電設備により、火力や原子力を含めた総発電量に占め
る太陽光の割合は2023年の4%から2024年には6%、2025年には7%まで高まると予
測されている。
Today in Energy, Solar and wind to lead growth of U.S. power generation for the next two years,  
      January 16, 2024 EIA 


The two sites Image: Wageningen University & Research, 
Energy Research & Social Science, CC BY 4.0 DEED 
✺ オーバーヘッド発電と垂直型農業発電の比較
2月4日、オランダの研究者は、オーバーヘッド農場と垂直型農業の発電パネルが,
近隣住民に及ぼす視覚的影響を比較、垂直型アレイの方が低侵襲であることを確認
画像: ヴァーヘニンゲン大学らの研究グループ「研究と社会科学、CC BY 4.0 DEED」
オランダのヴァーヘニンゲン大学らの研究者らは、オーバーヘッド構成で配備され
た農業用(AV)システムと垂直型農業用発電アレイのいずれかの近隣住民が知覚す
る景観の質を評価。オランダのヘルダーラント州にある2つの異なる構成の農業発
電所近隣の住民や通行人を対象に一連のインタビュー実施したところ、「景観への
影響と再生可能エネルギープロジェクトへの支援との関連性は、景観の質の観点か
ら農業の社会受容性の調査は重要である」を強調。この研究では、景観の品質LQ)
を主観的な考え方に基づいて検討し、景観利用者が帰した意味を含む2つの景観の
個人的な経験を調査。調査検討された架空送電システムはワデノイエンに位置し、
2021年3月に3.7ヘクタールの土地に建設。AV システムが設置される前は、この区 
はスグリ農園として使用されており、現在もパネルの下でスグリが栽培。 
一方、垂直 AV はクレンボルグの牧草地地帯にあります。 2022年8月に0.7ヘクター
ルの敷地で運営を開始し、牧草地のほかに、ハーブや植物、蜂の巣、木々や低木が
植えられた小さな畑もある。この調査は、クレンボルグの垂直農場の近くに住んで
いる32人、ワデノイエンの架空システムの近くに住む30人の合計62人を対象に実施。
24の質問を設定聞き取り、すべて使用、経験、将来の価値に関連する。「使用価値
は機能の適合性と効率を指し、経験価値はアイデンティティと意味に関連し、将来
価値は効率と長期にわたる持続可能性を考慮した」と説明。調査では、利用価値は
アクセシビリティ、多機能性、農民の関与、環境への影響、レクリエーションやコ
ミュニティ活動などの要素に関する質問内容で 一方、経験的価値は魅力、健康と
福祉、野生動物の生息地、見た目などの要素によって表され、将来価値は安定性/
柔軟性、文化的および景観の発展を指す。
※このシリーズつづく。







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持続可能戦略電子デバイス製造論 ②

2024年02月12日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。


2022.06.20 産業競争力世界一のデンマーク
■ デンマークの小学生は課外授業で、風力発電についてディベート
デンマークの産業力が直近の2年間世界トップを維持しているが、このブログで
取り上げている。そのように、デンマークでは、子供のころから産業やエネルギ
ーに関する教育機会を維持している。デンマークの人がいうには、新しいことや
将来のことは、頭の固い大人に言ってもなかなか考えを変えないが、子供たちは柔
軟に吸収する。だから、子供たちが学校で知ったことを、家に帰って親やおじいさ
んおばあさんに話をすると、大人は素直に関くという経験を上げる。マスコミも
最新の洋上風力関連記事を大きく取り上げているように、 デンマークでは洋上風
力発電に関する国民の関心度は大変高い。風力発電関連の企業は学生に向けて会
社説明会などを頻繁に催して、風力発電事業の役割や事業内容を伝えている。
SNSの動画配信でも、企業のコマーシャルや事業内容を紹介。地球温暖化対策等
の環境問題に関心が高いということもあるが、医薬品。海運、農業などとともに
デンマークを支える産業として、風力発電に関連する企業の業績や今後の活動内
容への関心も高い
via 2024.WI 環境ビジネス)。



■ 気候変動対策への関心を更に高める
気候変動への取り組みに参加したい学生や再エネ事業に関心のある学生が多いの
も事実です。しかし、彼らの多くは、オフィスで設計を行うのか、現場で風車や
EV充電スタンドの設置を行うのか、気候変動対策に貢献するための具体的なイメ
ージができないでいる。工業系企業をまとめる労働組合ダンスク・メタル(Dansk
Metal
)のクラウス・イェンセン会長(Claus Jensen)によると、より多くの学生に職
業教育を選択してもらうためには、彼らがどのようにグリーントランジションに
貢献できるかの、新しい筋書きが必要。メッテ・フレデリクセン首相(Mette Fred-
eriksen
)も、より多くの技能労働者を育成しなければ、国の気候変動目標を達成で
きないと述べ、政府として、実践的なスキルや技術、専門知識が学べる職業高等
学校への予算を増やし、来年から3億クローネを割り当て、2030年には9億クロー
ネに増額する計画を立てている。デンマークでは、産官学を挙げ、洋上風力を中
心とした気候変動対策へ若者の関心を惹きつけ、人材育成を行う取り組みが進め
ていいる。


デンマークのフオルケスコーレ(Folkeskolen :1年生から9年生あるいは10年生まで
の小中学校)における気候変動対策やグリーントランジッションに関する教材の一

デンマークでは先生がかなりの裁量で自由に教材を選べるので、先生によって授
業内容が異なることもよくある。
「ID11VEJEN - GRON OMSTILLING (アイデアロードーグリーントランジッショ
ン)」6~7年生の地理、理科、物理/化学の科目で活用。「ENERGIPRODU
KTION OG-OMS/|ETNING(エネルギーの生産と転換)」8年生陣学2年生)
向け)。
「KULSTOF OG VEDVARENDE ENERGITEKNOLOGIER(炭素と再生可能エネルギ
ー源)」9年生(中学3年生)向け。
「Mark Energien(エネルギーを感じましょう):7~9年生の物理/化学、社会科の
科目で、エネルギーやグリーントランジッションを学ぶために活用。教材の作成
は、エネルギー庁、コペンハーゲン市
やNGO、支援基金などが行っており、HPから自由にダウンロードして使用でき
る。また、学校の先生が自身で教材を作成するケースもある。
------------------------------------------------------------------------
工業系企業をまとめる労働組合ダンスク・メタル(Dansk Metal)のクラウス・イェ
ンセン会長(ClausJensen)によると、より多くの学生に職業教育を選択してもらう
ためには、彼らがどのように
-------------------------------------------------------------------------

□ デンマーク王国の基本データ
------------------------------------------------------------------------
面積:約4.3万平方キロメートル(九州とほぼ同じ)
人口:約596万人(デンマーク統計局2023年10月)
GDP: 4,051億ドル(IMF2023年)/日本: 44,097億ドル(IMF2023年)
経済成長率:170%(IMF2023年)/日本:1.96%(IMF2023年)
一人当たりGDP:68,830ドル(IMF2023年/日本:35,390ドル(IMF2023年)
物価上昇率:8.5%(IMF2022年)
失業率:4.5%(IMF2022年)
世界競争力ランキング:1位((IMD2023年
)/日本:35位(IMD2023年)
外報方針:デンマークは、1973年には他の北欧諸国に先駆けて欧州共同体(EC)
の加盟国となり、1993年にEU創設を定めたマーストリヒト条約を批准した。また、
伝統的に、不安定地域の安定化、人道支援等国際貢献を積極的に推進し、アフガ
ニスタンやマリに部隊を派遣してきた。 デンマークの外交政策は、ロシアによ
るウクライナ侵略以降大きく変化。特に安全保障面では、米国、NATOと緊密に協
力しつつ、対ロ制裁、ウクライナ支援(軍事面での協力を含む)を積極的に推進。
また、デンマークは環境対策先進国として地球温暖化、気候変動等地球規模問題
に積極的に取り組んでおり、フレデリクセン政権は「グリーン移行」を外交上の
重点課題の一つとする。
------------------------------------------------------------------------


経済成長とCO2排出量の“デカップリング"を実現
2023年1月。金曜から日曜までの3日間連続で、風力発電量が、国として必要な電
力量の100%を超える。この時は3日連続だったが、デンマークでは風が強い秋か
ら冬を中心に、風力発電だけで電力需要の100%以上をまかなえる日が、年間30
日ほどある。年間を通してみても、風力発電はデンマークの発電量全体で半分近
くを生み出すダントツの存在。ちなみに2番目はバイオマスで2割、その次が石炭
で1割程度。再生可能エネルギーに注力してきたからといって、経済成長を犠牲
にするという発想には立っていない。むしろ、グリーン分野の産業を育てること
で、国内の雇用と輸出とを生み出す「グリーン成長」をかけ声に、1990年から2021
年までにGDPは7割近い伸びを見せる一方、二酸化炭素排出量は減少させるという
「デカップリング」を成し遂げる。ただ、そのプロセスをたどってみると、オイル
ショックの打撃を受けた後、一足飛びに再生可能エネルギーに賭ける方針に舵を
切ったわけではなく。まず目指しだのは、北海で産出される自国の石油と天然ガ
スでエネルギー自給率を上げ、同時に、“アメとムヂの政策によって、デンマー
ク人の消費マインドと産業構造を変えることに成功する。

現在、デンマーク全国では約4,200基の陸上風車があり、1時間あたり約470万kW
のエネルギーを生み出す。また、洋上風車は630基にのぼり、1時間あたり約230
万kWのエネルギーを生み出していて、デンマークの電力供給の約半分は風力発電
で賄われている。


 核融合発電の新記録:69MJ


最大かつ最も強力な核融合炉の1つである欧州共同トーラス(JET)は、最近、エネ
ルギー出力の世界新記録を樹立。6秒間続く1回の「パルス」で、69メガジュール
(MJ)を生成しました。わずか0.2ミリグラムの核融合燃料で、化石燃料の10倍を
燃やすのと同じエネルギーを放出しながら、温室効果ガスを排出しない。太陽の
ような恒星を動かすプロセスである核融合は、安価な材料から世界中で調達でき
る少量の燃料を使用して、長期的にクリーンなベースロード熱源と電気を約束す
る。重水素と三重水素(水素の2つの形態)の混合物を加熱して、太陽の核の10倍
の高温で制御されたプラズマを形成すると、それらは融合してヘリウムを生成し、
エネルギーを放出します。重水素と三重水素は、通常の水素の2つの重い変種で
あり、一緒になってすべての核融合燃料の中で最も反応性が高くなる。1億5,000
万℃という温度にもかかわらず、核融合は暴走を起こすことができず、寿命の長
い廃棄物も発生しないという点で、本質的に安全である。融合を実現するには、
さまざまな方法がある。JETは、高温のプラズマを「トカマク」と呼ばれるリン
グ状の機械に強力な磁石で保持し、その熱を利用して既存の発電所と同じように
発電する手法をとってきた。

※核融合発電の原理は、2つの原子核どうしを衝突させて融合するもの。原子核
は両方とも正の電荷を持っているため、早いスピードでぶつけないと正の電荷ど
うしの反発力で衝突しない。衝突させるために必要なスピードは、毎秒1千km以
上。このスピードは重水素(D)と三重水素(T)を1億度以上の温度に加熱する
ことにより得られる。このような高温では、DとTはプラズマという状態になる。
1回の核融合反応が起こっても、その結果出てくるエネルギーが次の核融合反応
を起こすために他の原子核を1億度以上に加熱するのに使われなければ、核融合
反応は連続的に起こらない。そのため、核融合の燃料である原子核を「たくさん
(高い密度で)」、「長い時間」一定の領域に閉じ込めておくことにより、核融
合反応を連続して起こすことができる。


慣性閉じ込めによって達成可能な出力とエネルギーレベルの進歩
レーザーは 1970 年代初頭から劇的に増加
Progress in power and energy levels attainable by inertial confinement
lasers has increased dramatically since the early 1970s
-----------------------------------------------------------------------
持続可能戦略電子デバイス製造論 ②

1.特開2023-155211 有機半導体デバイス 株式会社半導体エネルギー研
  究所
0056】(実施の形態1)
【0095】
また、ベンゾフロピリミジン骨格、ベンゾオキサゾール骨格、キ
ノリン骨格、キノキサリン骨格、ジベンゾキノキサリン骨格、カルバゾー
ル骨格、ジベンゾカルバゾール骨格、ジベンゾフラン骨格、ジベンゾチオ
フェン骨格、ナフトビスベンゾフラン骨格、ナフタレン骨格、フルオレン
骨格、スピロフルオレン骨格、トリフェニレン骨格、アントラセン骨格、
アミン、アルミニウム元素、リチウム元素、フッ素、の少なくとも一を有
する有機化合物であることが好ましい。

【0096】 (実施の形態2) 本実施の形態では、本発明の一態様の有機半
導体デバイス、特に発光デバイスについて詳しく説明する。
【0097】 図3(A)は、本発明の一態様の発光デバイスの模式図である。
発光デバイスは絶縁体175上に、第1の電極101が設けられており、
第1の電極101と、第2の電極102との間に有機化合物層103を有
している。有機化合物層103には、実施の形態1で説明したような第1
の化合物が含まれており、また、少なくとも発光層113を有している。
発光層113は、発光物質を含む層であり、第1の電極101と第2の電
極102との間に電圧をかけることによって発光する。
【0098】 第1の化合物は、有機化合物層103のいずれの層に含まれてい
てもよいが、発光デバイスの作製工程中の加熱処理が行われる際に、自由
表面となる層に含まれていることが好ましい。具体的には、電子輸送層1
14または正孔ブロック層に含まれていることが好ましい。
【0099】 なお、実施の形態1で説明したような第1の化合物と同様の性質
を有する第2の化合物、第3の化合物が有機化合物層103にさらに含ま
れていてもよい。別言すると、第1の化合物は複数の異なる化合物であっ
てもよい。また、有機化合物層103を構成する物質の全てが実施の形態
1で説明したような第1の化合物と同様の性質を有する化合物で構成され
ていてもよい。
【0100】 第1の化合物の特性をもつ化合物は、有機化合物層103の膜厚
の30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上、
最も好ましくは100%の層に含まれると好ましい。この場合、それぞれ
の化合物を含む層の膜厚は、飛行時間型二次イオン質量分析法(ToF-
SIMS)で基板に対して深さ方向で解析するなどで見積もることができ
る。また各層での第1の化合物の特性をもつ化合物の含有量は、50%以
上、さらに好ましくは80%以上含まれると好ましい。また同様に、有機
化合物層に対する含有量では、30%以上、より好ましくは50%以上、
さらに好ましくは80%以上含まれると好ましい。この場合、含有量は溶
液として高速液体クロマトグラフィー(HPLC)での吸収強度比、屈折
率強度比などで見積もることができる。
【0101】 有機化合物層103は発光層113の他に、図3(A)に示した
ように、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層114および
電子注入層115などの機能層を有していることが好ましい。なお、有機
化合物層103には、正孔ブロック層、電子ブロック層、励起子ブロック
層、電荷発生層など、上述した機能層以外の機能層が含まれていてもよい。
また、逆に、上述した層のいずれかの層が設けられていなくてもよい。
【0102】 なお、本実施の形態においては、第1の電極101は陽極を含む
電極、第2の電極102は陰極を含む電極であるものとして記載している
が、これは逆でも構わない。また、第1の電極101および第2の電極1
02は、単層構造または積層構造として形成され、積層構造を有する場合
、有機化合物層103に触れる層が陽極または陰極として機能する。電極
が積層構造である場合、有機化合物層103に触れる層以外の層に仕事関
数に関する制約はなく、抵抗値、加工利便性、反射率、透光性および安定
性など要求される特性に応じて材料を選択すればよい。
【0103】 陽極は、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、
合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いて形成することが
好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム-酸化スズ(ITO:
Indium Tin Oxide)、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有し
た酸化インジウム-酸化スズ(ITSO:Indium Tin Sili
con Oxide)、酸化インジウム-酸化亜鉛、酸化タングステン及び
酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これら
の導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリング法により成膜されるが、ゾ
ル-ゲル法などを応用して作製しても構わない。作製方法の例としては、
酸化インジウム-酸化亜鉛は、酸化インジウムに対し1~20wt%の酸
化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成する方法
などがある。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジ
ウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5~
5wt%、酸化亜鉛を0.1~1wt%含有したターゲットを用いてスパ
ッタリング法により形成することもできる。この他に、陽極に用いられる
材料は、例えば、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タング
ステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバ
ルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、アル
ミ(Al)または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられ
る。またこれらを積層した層を陽極としても良い。例えば、Ti上にAl、
Ti、ITSOの順に積層した膜は、反射率が良好なため高効率で、数千
ppiの高精細化が可能なため、好ましい。又は、陽極に用いられる材料
として、グラフェンも用いることができる。なお、後述する正孔注入層
111を構成することが可能な複合材料を陽極と接する層(代表的には正
孔注入層)として用いることで、仕事関数に関わらず、電極材料を選択す
ることができるようになる。
【0104】 正孔注入層111は、陽極に接して設けられ、正孔を有機化合物
層103に注入しやすくする機能を有する。正孔注入層111は、フタロ
シアニン(略称:H2Pc)等のフタロシアニン系の化合物、銅フタロシ
アニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の錯体化合物、4,4’
-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]
ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’-ビス(N-{4-[N’-(
3-メチルフェニル)-N’-フェニルアミノ]フェニル}-N-フェニ
ルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、ま
たはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/(ポリスチレンスル
ホン酸)(略称:PEDOT/PSS)等の高分子等によって形成するこ
とができる。
【0105】 また、正孔注入層111は電子のアクセプタ性を有する物質によ
り形成してもよい。アクセプタ性を有する物質としては、電子吸引基(ハ
ロゲン基、シアノ基など)を有する有機化合物を用いることができ、7,
7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタ
ン(略称:F4-TCNQ)、クロラニル、2,3,6,7,10,11
-ヘキサシアノ-1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン
(略称:HAT-CN)、1,3,4,5,7,8-ヘキサフルオロテト
ラシアノ-ナフトキノジメタン(略称:F6-TCNNQ)、2-(7-
ジシアノメチレン-1,3,4,5,6,8,9,10-オクタフルオロ
-7H-ピレン-2-イリデン)マロノニトリル等を挙げることができる。
特に、HAT-CNのように複素原子を複数有する縮合芳香環に電子吸引
基が結合している化合物が、熱的に安定であり好ましい。また、電子吸引
基(特にフルオロ基のようなハロゲン基、シアノ基など)を有する[3]
ラジアレン誘導体は、電子受容性が非常に高いため好ましく、具体的には
α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[4
-シアノ-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼンアセトニトリル]、
α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,
6-ジクロロ-3,5-ジフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼ
ンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパント
リイリデントリス[2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゼンアセト
ニトリル]などが挙げられる。アクセプタ性を有する物質としては以上で
述べた有機化合物以外にも、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテ
ニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の遷移金属酸化物
を用いることができる。
【0106】 また、正孔注入層111は、上記アクセプタ性を有する材料と、
正孔輸送性を有する有機化合物とを含む複合材料により形成することが好
ましい。
【0107】 複合材料に用いる正孔輸送性を有する有機化合物としては、芳香
族アミン化合物、複素芳香族化合物、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリ
ゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の有機化合物を用いるこ
とができる。なお、複合材料に用いる正孔輸送性を有する有機化合物とし
ては、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する有機化合物で
あることが好ましい。複合材料に用いられる正孔輸送性を有する有機化合
物は、縮合芳香族炭化水素環、または、π電子過剰型複素芳香環を有する
化合物であることが好ましい。縮合芳香族炭化水素環としては、アントラ
セン環、ナフタレン環等が好ましい。また、π電子過剰型複素芳香環とし
ては、ピロール骨格、フラン骨格、チオフェン骨格の少なくともいずれか
1を環に含む縮合芳香環が好ましく、具体的にはカルバゾール環、ジベン
ゾチオフェン環あるいはそれらにさらに芳香環または複素芳香環が縮合し
た環が好ましい。
【0108】このような正孔輸送性を有する有機化合物としては、カルバゾー
ル骨格、ジベンゾフラン骨格、ジベンゾチオフェン骨格およびアントラセ
ン骨格のいずれかを有していることがより好ましい。特に、ジベンゾフラ
ン環またはジベンゾチオフェン環を含む置換基を有する芳香族アミン、ナ
フタレン環を有する芳香族モノアミン、または9-フルオレニル基がアリ
ーレン基を介してアミンの窒素に結合する芳香族モノアミンであっても良
い。なお、これら正孔輸送性を有する有機化合物が、N,N-ビス(4-
ビフェニル)アミノ基を有する物質であると、寿命の良好な発光デバイス
を作製することができため好ましい。

【0109】から【0455】まで、化学材料物質の例示掲載が続くの割愛

 (サンプル2の作製方法) サンプル2は、サンプル1におけるmPPh
en2Pを上記構造式(101)で表されるNBPhenに変えた他は、
サンプル1と同様に作製した。
【0456】 サンプル1およびサンプル2に含まれる発光デバイスのデバイス
構造を以下に示す。
【0457】表1.

【0458】 図21に、緑色の発光デバイスを発光させた状態で、光学顕微鏡
により撮影した、サンプル1およびサンプル2の写真を示す。 

図21.サンプル1およびサンプル2の光学顕微鏡写真

この結果、サンプル1、サンプル2ともに、有機化合物層が電極で挟まれ
ていない状態で80℃の加熱過程を経ているのにも関わらず、著しい表示
不良が無く良好な表示を得られたことが分かった。
【0460】 しかし、一方で、電子輸送層にmPPhen2Pを用いたサンプ
ル1は、目立った表示不良が起こらなかったのに対し、NBPhenを用
いたサンプル2は発光デバイスの発光領域(陽極形成領域)中に、非発光
の領域(写真矢印部)が複数存在することがわかった。なお、この本来駆
動時には発光するはずの画素内にある非発光領域のことを本明細書中では
画素欠けと言うことがある。
【0461】これらサンプルの非通電状態(非発光状態)で同様に光学顕微鏡
による観察をしたところ、サンプル2では糸状のムラが生じており、この
ムラの発生位置と上記非発光の領域の発生位置(発光面に対して同じ位置)
が一致していることがわかった。また、サンプル2の上記非発光の領域の
断面を走査型透過型電子顕微鏡(STEM)で確認したところ、陰極側の
有機層が凝集し、発光領域よりも膜厚が厚くなっている膜質不良が生じて
いることを確認した。これに対して、サンプル1ではこの様な膜質不良は
みられなかった。

2.特開2024-7356 発光デバイス、発光装置、電子機器、および照明装置
 株式会社半導体エネルギー研究所
【要約】
下図1のごとく、発光物質と、第1の有機化合物と、を有し、発光物質は
、中心金属と、配位子と、を有する有機金属錯体であり、配位子の一は、
環A1と、ピリジン環と、が結合した骨格を有し、環A1は、芳香環また
は複素芳香環を表し、ピリジン環は、重水素置換された炭素数1乃至6の
アルキル基を有し、配位子は、環A1の有するいずれかの原子およびピリ
ジン環の窒素において、中心金属に配位し、第1の有機化合物は、電子輸
送性骨格と、それぞれ電子輸送性骨格に結合する第1の置換基と、第2の
置換基と、を有し、電子輸送性骨格は、2以上の窒素を有する複素芳香環
を有し、第1の置換基は、芳香環および複素芳香環の一方または双方を有
する基であり、第2の置換基は、正孔輸送性を有する骨格を有し、第1の
有機化合物の最低三重項励起状態が、第1の置換基に局在する、発光層を
有する発光デバイスを提供することで発光デバイスの信頼性を向上させる。


図1.図1(A)乃至図1(E)は、実施の形態に係る発光デバイスの構
成を説明する図
【符号の説明】
GD 回路 IR 副画素 MS 配線 PS 副画素 REG レジストマスク RES
配線 SE1 配線SE 距離 TX 配線 VG 配線 VS 配線 101 第1の電極
102 第2の電極 103 EL層 103a EL層 103b EL層 103B
EL層 103G EL層 103R EL層 103PS 受光層 104B ホール
注入・輸送層 104G ホール注入・輸送層 104R ホール注入・輸送層
104PS ホール注入・輸送層 105 発光層 105B 発光層 105G 発
光層 105R 発光層 105PS 活性層 106 電荷発生層 106a 電荷発
生層 106b 電荷発生層 107 絶縁層 108 電子輸送層 108B 電子輸
送層 108G 電子輸送層 108R 電子輸送層 108PS 電子輸送層 109
電子注入層 110B 犠牲層 110G 犠牲層 110R 犠牲層 110PS 犠
牲層 111 正孔注入層 111a 正孔注入層 111b 正孔注入層 112 正
孔輸送層 112a 正孔輸送層 112b 正孔輸送層 113 発光層 113a
発光層 113b 発光層 113c発光層 114 電子輸送層 114a 電子輸送
層 114b 電子輸送層 115 電子注入層 115a 電子注入層 115b 電
子注入層 130 接続部 400 基板 401 第1の電極 403 EL層 40
4 第2の電極 405 シール材 406 シール材 407 封止基板 412 パ
ッド 420 ICチップ 501C 絶縁膜 501D 絶縁膜 504 導電膜 5
06 絶縁膜 508 半導体膜 508A 領域 508B 領域 508C 領域 5
10 第1の基板 512A 導電膜 512B 導電膜 516 絶縁膜 516A
絶縁膜 516B 絶縁膜 518 絶縁膜 520 機能層 524 導電膜 528
隔壁 528a 樹脂膜 530S 画素回路 530X 画素回路 550 発光デバ
イス 550X 発光デバイス 550S 受光デバイス 550B 発光デバイス
550G 発光デバイス 550R 発光デバイス 550PS 受光デバイス 55
1 電極 551B 電極 551C 接続電極 551G 電極 551R 電極 55
1PS 電極 552 電極 580 間隙 591S 配線 591X 配線 700
受発光装置 701 表示領域 702G 副画素 702PS 副画素 702R 副
画素 702IR 副画素 702B 副画素 703 画素 704 回路 705 絶
縁層 706 配線 710 基板 711 基板 712 IC 713 FPC 72
0 装置 770 基板 800 基板 801a 電極 801b 電極 802 電極
803a EL層 803b 受光層 805a 発光デバイス 805b 受光デバ
イス 810 受発光装置 5200B 電子機器 5210 演算装置 5220 入
出力装置 5230 表示部 5240 入力部 5250 検知部 5290 通信部
8001 シーリングライト 8002 足元灯 8003 シート状照明 8004
照明装置 8005 電気スタンド 8006 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】 陽極と、陰極と、発光層と、を有し、 前記発光層は、前記陽極と、
前記陰極との間に位置し、 前記発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、
を有し、 前記発光物質は、中心金属と、配位子と、を有する有機金属錯体であ
り、 前記配位子の少なくとも一は、環A1と、ピリジン環と、が結合した骨格
を有し、 前記環A1は、芳香環または複素芳香環を表し、 前記ピリジン環は、
重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基を有し、 前記配位子は、前記環
A1の有するいずれかの原子および前記ピリジン環の窒素において前記中心金属
に配位し、 前記第1の有機化合物は、電子輸送性骨格と、それぞれ前記電子輸
送性骨格に結合する第1の置換基と、第2の置換基と、を有し、 前記電子輸送
性骨格は、2以上の窒素を有する複素芳香環を有し、 前記第1の置換基は、芳
香環および複素芳香環の一方または双方を有する基であり、 前記第2の置換基は、
正孔輸送性を有する骨格を有し、 前記第1の有機化合物の最低三重項励起状態が、
前記第1の置換基に局在する、発光デバイス。
【請求項2】 陽極と、陰極と、発光層と、を有し、 前記発光層は、前記陽極と、
前記陰極との間に位置し、 前記発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、
を有し、 前記発光物質は、中心金属と、配位子と、を有する有機金属錯体であ
り、 前記配位子の少なくとも一は、一般式(L1)で表される構造を有し、 前
記第1の有機化合物は、一般式(G10)で表される有機化合物である、発光デ
バイス。 【化1】000003 (ただし、一般式(L1)において、*は前記中心金
属への結合手を表し、破線は前記中心金属への配位を表し、環A1は芳香環また
は複素芳香環を表し、R1乃至R4のうちの少なくとも一は、重水素置換された
炭素数1乃至6のアルキル基であり、その他は各々独立に水素(重水素を含む)
、炭素数1乃至6のアルキル基、および置換または無置換の環を形成する炭素の
数が6乃至13のアリール基のいずれかを表す。また、一般式(G10)におい
て、環Bは2以上の窒素を有する複素芳香環を表し、Ar1およびAr2は各々
独立に、芳香環または複素芳香環を表し、αおよびβは各々独立に、置換または
無置換のフェニル基を表し、Htuniは、正孔輸送性を有する骨格を表し、n
およびmは各々独立に0乃至4の整数を表す。)
【請求項3】 陽極と、陰極と、発光層と、を有し、 前記発光層は、前記陽極と、
前記陰極との間に位置し、 前記発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、
を有し、 前記発光物質は、一般式(G1)で表される有機金属錯体であり、 前
記第1の有機化合物は、一般式(G10)で表される有機化合物である、発光デ
バイス。 【化2】000004 (ただし、一般式(G1)において、Mは中心金属を
表し、破線は配位を表し、環A1および環A2は各々独立に芳香環または複素芳
香環を表し、R1乃至R4のうちの少なくとも一は、重水素置換された炭素数1
乃至6のアルキル基であり、その他は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数
1乃至6のアルキル基、および置換または無置換の環を形成する炭素の数が6乃
至13のアリール基のいずれかを表し、R5乃至R8は各々独立に水素(重水素
を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、および置換または無置換の環を形成す
る炭素の数が6乃至13のアリール基のいずれかを表し、kは0乃至2の整数を
表す。また、一般式(G10)において、環Bは2以上の窒素を有する複素芳香
環を表し、Ar1およびAr2は各々独立に、芳香環または複素芳香環を表し、
αおよびβは各々独立に置換または無置換のフェニル基を表し、Htuniは、
正孔輸送性を有する骨格を表し、nおよびmは各々独立に0乃至4の整数を表す。)
【請求項4】 陽極と、陰極と、発光層と、を有し、 前記発光層は、前記陽極と
前記陰極との間に位置し、 前記発光層は、発光物質と、第1の有機化合物と、
を有し、 前記発光物質は、一般式(G2)で表される有機金属錯体であり、 前
記第1の有機化合物は、一般式(G10)で表される有機化合物である、発光デ
バイス。 【化3】000005 (ただし、一般式(G2)において、Mは中心金属を
表し、破線は配位を表し、Qは酸素または硫黄を表し、X1乃至X8はそれぞれ
独立に、窒素および炭素(CHを含む)のいずれかを表し、R1乃至R4のうち
の少なくとも一は、重水素置換された炭素数1乃至6のアルキル基であり、その
他は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基、または置
換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基を表し、R
5乃至R14は各々独立に水素(重水素を含む)、炭素数1乃至6のアルキル基
または置換もしくは無置換の環を形成する炭素の数が6乃至13のアリール基を
表し、kは0乃至2の整数を表す。また、一般式(G10)において、環Bは2
以上の窒素を有する複素芳香環を表し、Ar1およびAr2は各々独立に、芳香
環または複素芳香環を表し、αおよびβはは各々独立に、置換または無置換のフ
ェニル基を表し、Htuniは、正孔輸送性を有する骨格を表し、nおよびmは
各々独立に0乃至4の整数を表す。)
【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、 前記第1の有機化
合物の最低三重項励起エネルギーは、前記有機金属錯体の最低三重項励起エネル
ギーより大きい、発光デバイス。
【請求項6】 請求項5において、 前記第1の有機化合物の最低三重項励起エネ
ルギーと、前記有機金属錯体の最低三重項励起エネルギーとの差が0eVより大
きく0.40eV以下である、発光デバイス。
【請求項7】 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、 前記中心金属は、
イリジウムである、発光デバイス。
【請求項8】 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、 前記2以上の窒素
を有する複素芳香環は、構造式(B-1)乃至(B-32)のいずれかである、
発光デバイス。 【化4】000006
【請求項9】 請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の発光デバイスと、トラ
ンジスタ、または、基板と、を有する発光装置。
【請求項10】 請求項9に記載の発光装置と、検知部、入力部、または、通信
部と、を有する電子機器。
【請求項11】 請求項9に記載の発光装置と、筐体と、を有する照明装置。
                                 以上


3.有機光検出器で健康を見守り
2月9日、ジャパンディスプレイは,スマートリング向けの生体センサー及び同
センサを搭載したスマートリングを開発しており,今回新たに企業・団体向けの
健康見守りサービスを開始することを公表。
近年,少子高齢化や人口減少により,労働人口の減少や年金,医療費などの社会
保障費の増大が社会課題となっている。日本では高齢者の人口が2040年にピーク
を迎えることから,これらの社会課題は2040年問題と呼ばれ,喫緊の対策が求め
られている。 こうした中,人々の日常生活での心身の状態を可視化し,未病段
階での健康改善に向けた行動変容を促すことは,課題解決への重要なアプローチ
であると考えられる。 世界で初めてフレキシブル基板上に形成した有機光検出
器(OPD)を搭載したスマートリングとスマートフォンアプリ,クラウドとの連
携により,心拍数,血中酸素ウェルネス,睡眠時間,歩数,消費カロリーなどの
日常生活における健康管理に必要なライフログを自動的に取得することが可能。
併せて,OPDセンサーを採用したことでスマートリングとして身に着ける際に重
要となる装着感を向上させている。 さらに,セルフケア健康見守りサービス
Virgo」では,スマートリング,スマートフォンアプリ,クラウドの連携によ
って日々の健康状態を把握できるだけでなく,保健師等の有資格者によるアドバ
イスや健康に関する情報を提供することにより,利用者の健康意識の向上や行動
変容のサポートを行なっている。

 

  
           



  風蕭々と碧い時間
2000年10月18日
愛のカケラ Every Little Thing 
作詞・作曲/持田香織、多胡邦夫


今夜の寸評 : 鈍すれば貧する
           賢明でなければ豊かになれない。

 

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持続可能戦略電子デバイス製造論 ①

2024年02月09日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。

       薄紅色の椿咲く庭出でてともに蕎麦はむ月命日
                             



日本原産の花であり、古くから愛されてきた「椿」。その歴史は古く、日本最古
の歌集「万葉集」にも椿をもちいた歌があるほど。光沢のある深い緑の葉が特徴
的な花、種子からとれる「椿油」は髪や肌のケアにも人気で、実は、椿にはたく
さんの種類がある。花の色や形、大きさなどによってそれぞれに名前をもつ。そ
の数は1000種以上といわれ、馴染みのある椿は「ヤブツバキ」「ユキツバキ」と
呼ばれる。
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ツバキはツバキ科ツバキ属の常緑高木で、光沢のある濃い緑の葉をもつ。名前の
由来には諸説があり、厚みのある葉の意味で「あつば木」、つややかな葉の「艶
葉木(つやばき)」、光沢のある葉の「光沢木(つやき)」、ほかにもまだある
が、花より葉の美しさが名前の由来とされる説が多いのもおもしろい。和名とし
てのツバキは野生種のCamellia japonicaのこと、一般的に本種を交配親にもつ園芸
品種も単にツバキとして扱われる。学名:Camellia japonica 和名:ツバキ(椿)
その他の名前:ヤブツバキ、ヤマツバキ 科名 / 属名:ツバキ科 / ツバキ属(
カメリア属):‘太郎冠者"(たろうかじゃ) Camellia japonica花色は紫みを帯び
たピンクで、1月から4月に咲く早咲きの一重中輪。江戸時代から茶花として珍重
されてきた。別名‘有楽’。紫味を帯びた花色や、子房が有毛であることなど、
中国のツバキの特徴も示すが詳細は不明。葯は退化して花粉をつくらないがタネ
をつける性質はあり、タネをまくと白芯の個体が生まれることが多いことから、
‘胡蝶佗助’‘数寄屋’など数あるワビスケツバキの母木であると推測されてい
る。
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浄案時 椿寺

 耐水性と超柔軟性を備えた超薄型有機太陽電池を開発



 長期耐久性のペロブスカイト太陽電池開発


溶液を塗ることで形成可能な半導体は、高真空を必要とする従来の半導体に比べ
安価な装置で大面積の形成が可能であるため、 IoT用途のRFIDタグや多目的セン
サなど様々な応用が期待されている。"塗れる"半導体の代表として、パイ電子系
分子の集合体である有機半導体が盛んに研究され、例えば、p型有機半導体にお
いては電荷移動度)10 cm2 V-1 s-1の単結晶ウエハーを塗る技術が開発されるな
ど、実用化に向けた材料および技術の開発を牽引してきた(J. Takeya, et al., Scie-
ntific Reports 2019; https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/8160.html
)。
半導体デバイスの重要な用途として、RFIDタグにも使用されるp型薄膜トランジ
スタ(TFT)とn型TFTとをペアにした相補型インバータ(p型TFTとn型TFTとを一
つずつ直列に接続することで構成、論理回路の中で "0"と"1"の 信号レベルを反
転させる。NOTゲートとも呼ばれる)などを用いた論理回路があるが、 高速動作
と集積化のため p型有機半導体の高性能化が進む一方で、同等技術で組み合わせ
可能かつ同等の性能を示すn型有機半導体の欠如が弊害となっているが、昨年1月
26日。東京大学の研究グループは、塗れる有機半導体を環境因子によるダメージ
無く酸化物半導体と集積することで、超高速動作が可能な有機無機ハイブリッド
相補型発振回路を開発(下記に掲載)しているように、有機薄膜太陽電池やハイ
ブリッド型ペロブスカイト太陽電池のように無機(金属)を含むハイブリッド型
有機電子デバイスは、廃棄時に、金属(無機)部を燃焼処理し有価及び有害物の
再利用容易で持続可能社会に不可欠な戦略デバイス(製品)のひとつである。


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1.特開2023-155211 有機半導体デバイス 株式会社半導体エネルギー研究所
【要約】
図3のごとく絶縁層上に形成された複数の発光デバイスのうちの一つであって、第
1の電極と、第2の電極と、有機化合物層を有し、前記有機化合物層は、第1の電
極と、第2の電極との間に位置し、前記有機化合物層は、第1の化合物を含む層を
有し、前記第1の化合物は、示差走査熱量測定において、第1の加熱により溶融し
た状態から冷却を行い、続けて第2の加熱を行った際、前記冷却過程において発熱
ピークが観測されず、且つ、前記第2の加熱過程において発熱ピークと融点ピーク
が観測されない物質である有機半導体デバイスで高精細且つ信頼性が良好な有機
半導体デバイスを提供する。

図3 図3(A)乃至図3(C)は、発光デバイスについて表す図.
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【符号の説明】
100A 表示装置 100B 表示装置 100E 表示装置 100D 表示装置
101a 第1の電極 101b 第1の電極 101 第1の電極 102 第2の電
極 103a 有機化合物層 103B 有機化合物層 103b 有機化合物層 10
3Bf 有機化合物膜 103G 有機化合物層 103Gf 有機化合物膜 103R
有機化合物層 103Rf 有機化合物膜 103 有機化合物層 104 第1の層
104R 第1の層 104G 第1の層 104B 第1の層 105 第2の層 11
0B 副画素 110G 副画素 110R 副画素 110 副画素 111a 正孔注
入層 111b 正孔注入層 111 正孔注入層 112 正孔輸送層 112a 正孔
輸送層 112b 正孔輸送層 112B 導電層 113 発光層 113a 発光層
113b 発光層 114 電子輸送層 114a 電子輸送層 114b 電子輸送層
115 電子注入層 116 電荷発生層 117 P型層 118 電子リレー層 11
9 電子注入バッファ層 120 基板 122 樹脂層 125f 無機絶縁膜 125
無機絶縁層 126R 導電層 126B 導電層 127a 絶縁層 127f 絶縁膜
127 絶縁層 128 層 129R 導電層 129B 導電層 130a 発光デバ
イス 130B 発光デバイス 130b 発光デバイス 130G 発光デバイス
130R 発光デバイス 130 発光デバイス 131 保護層 132B 着色層
132G 着色層 132R 着色層 140 接続部 141 領域 142 接着層
151B 導電層 151C 導電層 151f 導電膜 151G 導電層 151R
導電層 151 導電層 152B 導電層 152C 導電層 152f 導電膜 15
2G 導電層 152R 導電層 152 導電層 153 絶縁層 155 共通電極
156B 絶縁層 156C 絶縁層 156f 絶縁膜 156G 絶縁層 156R
絶縁層 156 絶縁層 157 遮光層 158B 犠牲層 158Bf 犠牲膜 15
8G 犠牲層 158Gf 犠牲膜 158R 犠牲層 158Rf 犠牲膜 159B
マスク層 159Bf マスク膜 159G マスク層 159Gf マスク膜 159
R マスク層 159Rf マスク膜 166 導電層 171 絶縁層 172 導電層
173 絶縁層 174 絶縁層 175 絶縁層 176 プラグ 177 画素部 17
8 画素 179 導電層 190B レジストマスク 190G レジストマスク 1
90R レジストマスク 191 レジストマスク 201 トランジスタ 204 接
続部 205 トランジスタ 211 絶縁層 213 絶縁層 214 絶縁層 215
絶縁層 221 導電層 222a 導電層 222b 導電層 223 導電層 224
B 導電層 224C導電層 224G 導電層 224R 導電層 231 半導体層
240 容量 241導電層 242 接続層 243 絶縁層 245 導電層 254
絶縁層 255 絶縁層 256 プラグ 261 絶縁層 271 プラグ 280 表示
モジュール 281 表示部 282 回路部 283a 画素回路 283 画素回路部
284a画素 284 画素部 285 端子部 286 配線部 290 FPC 291
基板 292 基板 301 基板 310 トランジスタ 311 導電層 312 低抵
抗領域 313 絶縁層 314 絶縁層 315 素子分離層 351 基板 352 基
板 353 FPC 354 IC 355 配線 356 回路 501 第1の電極 5
02 第2の電極 513 電荷発生層 700A 電子機器 700B 電子機器 72
1 筐体 723 装着部 727 イヤフォン部 750 イヤフォン 751 表示パ
ネル 753 光学部材 756 表示領域 757 フレーム 758 鼻パッド 80
0A 電子機器 800B 電子機器 820 表示部 821 筐体 822 通信部 8
23 装着部 824 制御部 825 撮像部 827 イヤフォン部 832 レンズ
1117 遮光層 6500 電子機器 6501 筐体 6502 表示部 6503
電源ボタン 6504 ボタン 6505 スピーカ 6506 マイク 6507 カメ
ラ 6508 光源 6510 保護部材 6511 表示パネル 6512 光学部材 6
513 タッチセンサパネル 6515 FPC 6516 IC 6517 プリント
基板 6518 バッテリ 7000 表示部 7100 テレビジョン装置 7151
リモコン操作機 7171 筐体 7173 スタンド 7200 ノート型パーソナル
コンピュータ 7211 筐体 7212 キーボード 7213 ポインティングデバ
イス 7214 外部接続ポート 7300 デジタルサイネージ 7301 筐体 7
303 スピーカ 7311 情報端末機 7400 デジタルサイネージ 7401
柱 7411 情報端末機 9000 筐体 9001 表示部 9002 カメラ 90
03 スピーカ 9005 操作キー 9006 接続端子 9007 センサ 9008
マイクロフォン 9050 アイコン 9051 情報 9052 情報 9053 情報
9054 情報 9055 ヒンジ 9171 携帯情報端末 9172 携帯情報端末
9173 タブレット端末 9200 携帯情報端末 9201 携帯情報端末
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【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁層上に形成された複数の有機半導体デバイスのうちの一つであ
って、 第1の電極と、第2の電極と、有機化合物層を有し、 前記有機化合物層は、
前記第1の電極と、前記第2の電極との間に位置し、 前記有機化合物層は、前記
複数の有機半導体デバイス各々が独立して有する第1の層を含み、 前記第1の層
は、第1の化合物を含み、 前記第2の電極は、前記複数の有機半導体デバイスが
共有する連続した層であり、 前記第1の電極は、前記複数の有機半導体デバイス
各々において独立した層であり、 前記第1の化合物は、 示差走査熱量測定におい
て、25℃以下から第1の加熱を行い、 450℃および示差熱天秤装置で測定し
た3%重量減少温度(℃)より50℃減じた温度のうち低い方の温度で3分間保持
し、40℃/min以上の冷却速度で冷却を行い、25℃以下において3分間保持
し、40℃/min以上の昇温速度で前記第1の加熱後の保持温度まで第2の加熱
を行った際、前記冷却過程において観測される発熱ピークのエネルギーが0J/g
以上20J/g以下、且つ、前記第2の加熱過程において観測されるベースライン
シフトを伴わない吸熱ピークのエネルギーが0J/g以下-20J/g以上となる
化合物である有機半導体デバイス。 【請求項2】 絶縁層上に形成された複数の有
機半導体デバイスのうちの一つであって、 第1の電極と、第2の電極と、有機化
合物層を有し、 前記有機化合物層は、前記第1の電極と、前記第2の電極との間
に位置し、前記有機化合物層は、前記複数の有機半導体デバイス各々が独立して有
する第1の層を含み、前記第1の層は、第1の化合物を含み、 前記第2の電極は、
前記複数の有機半導体デバイスが共有する連続した層であり、 前記第1の電極は、
前記複数の有機半導体デバイス各々において独立した層であり、 前記第1の電極
と、前記複数の有機半導体デバイスのうち隣接する有機半導体デバイスの有する前
記第1の電極との間隔は、2μm以上5μm以下であり、前記第1の化合物は、示
差走査熱量測定において、25℃以下から第1の加熱を行い、450℃および示差
熱天秤装置で測定した3%重量減少温度(℃)より50℃減じた温度のうち低い方
の温度で3分間保持し、40℃/min以上の冷却速度で25℃以下まで冷却を行
い、25℃以下において3分間保持し、40℃/min以上の昇温速度で前記第1
の加熱後の保持温度まで第2の加熱を行った際、 前記冷却過程において発熱ピー
クが観測されず、且つ、前記第2の加熱過程において発熱ピークと融点ピークが観
測されない化合物である、 有機半導体デバイス。
【請求項3】 請求項2において、 前記第1の化合物が、前記示差走査熱量測定に
おける前記第2の加熱過程において、 0J/g以上20J/g以下の発熱ピーク
が観測される物質である有機半導体デバイス。
【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、前記第1の化合物
が、前記第2の加熱過程において、示差走査熱量測定におけるベースラインの吸熱
側へのシフトが観測され、且つ前記ベースラインシフトにともない吸熱ピークが検
出される物質である有機半導体デバイス。
【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、 前記第1の層は電
子を輸送する領域を有し、前記電子を輸送する領域は前記第一の化合物を有する有
機半導体デバイス。
【請求項6】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項の有機半導体デバイスにおい
て、前記第1の層が形成された後、加熱工程を経て作製された有機半導体デバイス。

【概要】
【背景技術】近年、表示装置は様々な用途への応用が期待されている。例えば、大
型の表示装置の用途としては、家庭用のテレビジョン装置(テレビまたはテレビジ
ョン受信機ともいう)、デジタルサイネージ(Digital Signage:
電子看板)、及び、PID(Public Information Displa
y)等が挙げられる。また、携帯情報端末として、タッチパネルを備えるスマート
フォン及びタブレット端末などの開発が進められている。また、同時に、表示装置
の高精細化も求められている。高精細な表示装置が要求される機器として、例えば、
仮想現実(VR:Virtual Reality)、拡張現実(AR:Augm
ented Reality)、代替現実(SR:Substitutional
Reality)、及び、複合現実(MR:Mixed Reality)向けの
機器が、盛んに開発されている。
表示装置としては、発光デバイス(発光素子ともいう)を有する発光装置が開発さ
れている。エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、
以下ELと記す)現象を利用した発光デバイス(ELデバイス、EL素子ともいう)
は、薄型軽量化が容易である、入力信号に対し高速に応答可能である、直流定電圧
電源を用いて駆動可能である等の特徴を有し、表示装置に応用されている。
有機ELデバイスを用い、より高精細な発光装置を得るために、メタルマスクを用
いた蒸着法に代わって、フォトレジストなどを用いたフォトリソグラフィ法による
有機層のパターニングが研究されている。フォトリソグラフィ法を用いることによ
って、EL層の間隔が数μmという高精細な表示装置を得ることができる。
【特許文献1】 特表2018-521459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
 上述のようにフォトリソグラフィ法により加工を行う過程においては、どうして
もある程度の熱をかける工程が必要となる。しかし、有機化合物層の耐熱性が低い
ことから十分な熱がかけられず、性能(特に表示性能、効率および信頼性)の高い
有機半導体デバイスを得ることが困難であった

そこで本発明の一態様は、有機化合物を用いた有機半導体デバイスにおいて、製造
工程中における加熱に強い有機半導体デバイスを提供することを目的の一つとす
る。または、本発明の一態様は、製造工程中における加熱に強い発光デバイスを提
することを目的の一つとする。または、本発明の一態様は、製造工程中における
加熱に強いフォトダイオードセンサを提供することを目的の一つとする。または、
本発明の一態様は、耐熱性の良好な有機半導体デバイスを提供することを目的の一
つとする。本発明の一態様は、耐熱性の良好な発光デバイスを提供することを目的
の一つとする。本発明の一態様は、耐熱性の良好なフォトダイオードセンサを提供
することを目的の一つとする。または、本発明の一態様は、表示性能の良好な有機
半導体デバイスを提供
することを目的の一つとする。本発明の一態様は、表示性能
の良好な発光デバイスを提供することを目的の一つとする。または、本発明の一態
様は、高密度に配置することが可能であり且つ耐熱性または表示性能の良好な発光
デバイス
を提供することを目的の一つとする。または、本発明の一態様は、高精細
な表示装置を提供することが可能であり且つ耐熱性または表示性能の良好な発光デ
バイスを提供することを目的の一つとする。または、本発明の一態様は、表示性能
の高い表示装置を提供することを目的の一つとする。または、本発明の一態様は、
高解像度であり且つ表示性能が良好な表示装置を提供することを目的の一つとする。
または、本発明の一態様は、表示品質が良好であり且つ表示性能の良好な表示装置
を提供することを目的の一つとする。または、新規な表示装置、新規な表示モジュ
ール、新規な電子機器を提供することを目的の一つとする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一
態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。明細書、
図面、請求項の記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。

【課題を解決するための手段】 【0015】
そこで本発明の一態様では、特定の測定方法により示差走査熱量測定を行った際、
冷却過程において発熱ピークが観測されず、且つ、二度目の加熱過程において発熱
ピークと融点ピークが観測されない化合物を用いた有機半導体デバイスを提供する。
このような有機半導体デバイスは、作製工程中の加熱に強いため、特性の良好な有
機半導体デバイスとすることが可能である。 
すなわち、本発明の一態様は、絶縁層上に形成された複数の有機半導体デバイスの
うちの一つであって、第1の電極と、第2の電極と、有機化合物層を有し、前記有
機化合物層は、第1の電極と、第2の電極との間に位置し、前記有機化合物層は、
前記複数の有機半導体デバイス各々が独立して有する第1の層を含み、前記第1の
層は、第1の化合物を含み、前記第2の電極は、前記複数の有機半導体デバイスが
共有する連続した層であり、前記第1の電極は、前記複数の有機半導体デバイス各
々において独立した層であり、前記第1の化合物は、示差走査熱量測定において、
25℃以下から第1の加熱を行い、450℃および示差熱天秤装置で測定した3%
重量減少温度(℃)より50℃減じた温度のうち低い方の温度で3分保持し、40
℃/min以上の冷却速度で25℃以下まで冷却を行い、25℃以下において3分
保持し、40℃/min以上の昇温速度で前記第1の加熱後の保持温度まで第2の
加熱を行った際、前記冷却過程において発熱ピークが観測されず、且つ、前記第2
の加熱過程において発熱ピークと融点ピークが観測されない化合物である、有機半
導体デバイスである。または、本発明の他の一態様は、絶縁層上に形成された複数
の有機半導体デバイスのうちの一つであって、第1の電極と、第2の電極と、有機
化合物層を有し、前記有機化合物層は、第1の電極と、第2の電極との間に位置し、
前記有機化合物層は、前記複数の有機半導体デバイス各々が独立して有する第1の
層を含み、前記第1の層は、第1の化合物を含み、前記第2の電極は、前記複数の
有機半導体デバイスが共有する連続した層であり、前記第1の電極は、前記複数の
有機半導体デバイス各々において独立した層であり、前記第1の化合物は、示差走
査熱量測定において、25℃以下から第1の加熱を行い、前記第1の加熱において
450℃および示差熱天秤装置で測定した3%重量減少温度(℃)より50℃減じ
た温度のうち低い方の温度で3分保持し、40℃/min以上の冷却速度で冷却を
行い、25℃以下において3分保持し、40℃/min以上の昇温速度で前記第1
の加熱後の保持温度まで第2の加熱を行った際、前記冷却過程において発熱ピーク
が観測されず、且つ、前記第2の加熱過程において観測される融点ピークのエネル
ギーが0J/g以上20J/g以下となる化合物である有機半導体デバイスである。
0018
また、本発明の他の一態様は、絶縁層上に形成された複数の有機半導体デバイスの
うちの一つであって、第1の電極と、第2の電極と、有機化合物層を有し、前記有
機化合物層は、第1の電極と、第2の電極との間に位置し、前記有機化合物層は、
前記複数の有機半導体デバイス各々が独立して有する第1の層を含み、前記第1の
層は、第1の化合物を含み、前記第2の電極は、前記複数の有機半導体デバイスが
共有する連続した層であり、前記第1の電極は、前記複数の有機半導体デバイス各
々において独立した層であり、前記第1の化合物は、示差走査熱量測定において、
25℃以下から第1の加熱を行い、450℃および示差熱天秤装置で測定した3%
重量減少温度(℃)より50℃減じた温度のうち低い方の温度で3分保持し、40
℃/min以上の冷却速度で冷却を行い、25℃以下において3分保持し、40℃
/min以上の昇温速度で前記第1の加熱後の保持温度まで第2の加熱を行った際、
前記冷却過程において観測される発熱ピークのエネルギーが0J/g以上20J/
g以下、且つ、前記第2の加熱過程において観測されるベースラインシフトを伴わ
ない吸熱ピークのエネルギーが0.1J/g以下-20J/g以上となる化合物で
ある有機半導体デバイスである。

0019
または、本発明の他の一態様は、表示装置に搭載された複数の有機半導体デバイス
のうちの一つであって、第1の電極と、第2の電極と、有機化合物層を有し、前記
有機化合物層は、第1の電極と、第2の電極との間に位置し、前記有機化合物層は、
第1の化合物を含み、前記第2の電極は、前記複数の有機半導体デバイスが共有す
る連続した層であり、前記第1の電極は、前記複数の有機半導体デバイス各々にお
いて独立した層であり、前記第1の化合物は、示差走査熱量測定において、25℃
以下から第1の加熱を行い、前記第1の加熱において450℃以下、または示差熱
天秤装置で測定した3%重量減少温度(℃)より50℃減じた温度のどちらか低い
方の温度で3分の時間保持し、40℃/min以上の冷却速度で冷却を行い、25
℃以下において3分の時間保持し、40℃/min以上の昇温速度で前記第1の加
熱後の保持温度まで第2の加熱を行った際、前記冷却過程において発熱ピークが観
測されず、且つ、前記第2の加熱過程において発熱ピークと融点ピークが観測され
ない化合物である、有機半導体デバイスである。 
0020
>または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の電極と、前記複数
の有機半導体デバイスのうち隣接する有機半導体デバイスの有する前記第1の電極
との間隔が、2μm以上5μm以下である有機半導体デバイスである。
0021
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記有機化合物層が、前記第
1の層と、第2の層との積層構造を有し、前記第2の層は、前記複数の有機半導体
デバイスが有する有機化合物層の一部と一続きの連続した層として共有される有機
半導体デバイスである。
0022
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の電極と、前記複数
の有機半導体デバイスのうち隣接する有機半導体デバイスの有する前記第1の電極
との間隔が、2μm以上5μm以下であり、開口率が30%以上である有機半導体
デバイスである。 
0023
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、上記複数の有機半導体デバイ
スが表示素子として設けられている表示装置の解像度が500ppi以上、開口率
が30%以上である有機半導体デバイスである。
0024
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、前記示
差走査熱量測定における前記第2の加熱過程において、0J/g以上20J/g以
下の発熱ピークが観測される物質である有機半導体デバイスである。
0025
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、前記第
2の加熱過程において、示差走査熱量測定におけるベースラインの吸熱側へのシフ
トが観測される物質である有機半導体デバイスである。
0026
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、前記第
2の加熱過程において、示差走査熱量測定におけるベースラインの吸熱側へのシフ
トが観測され、且つ前記ベースラインシフトにともない吸熱ピークが検出される物
質である有機半導体デバイスである。 
0027
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、前記第
2の加熱過程において、示差走査熱量測定におけるベースラインの吸熱側へのシフ
トが観測され、且つ前記ベースラインシフトにともない1J/g以上の吸熱ピーク
が検出される物質である有機半導体デバイスである。 
0028
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、前記第
2の加熱過程において、示差走査熱量測定におけるベースラインの吸熱側へのシフ
トが観測され、且つ前記ベースラインシフトにともない吸熱ピークが検出され、前
記ピークの温度での前記ベースライン同士の熱量差を1とした場合、前記低温側の
ベースラインを前記ピークの温度まで伸長した位置と、前記ピークの極大値までの
熱量差が2以上である有機半導体デバイスである。 
0029
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物を含む層の
膜厚が、10nm以上2000nm以下である有機半導体デバイスである。 
0030
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の層における電子を
輸送する領域に、前記第1の化合物を含む層を有する有機半導体デバイスである。
0031 
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、ピリミ
ジン環、ピリジン環、ピラジン環、ベンゾフロピリミジン環、ベンゾオキサゾール
環、キノリン環、キノキサリン環、ジベンゾキノキサリン環、カルバゾール環、ジ
ベンゾカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトビスベ
ンゾフラン環、ナフタレン環、フルオレン環、スピロフルオレン環、トリフェニレ
ン環、アントラセン環、アミン、アルミニウム元素、リチウム元素、フッ素、の少
なくとも一を有する有機化合物である有機半導体デバイスである。 
                  -中 略-
【発明を実施するための形態】 
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に
限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を
様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下
に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本明細書
等において、メタルマスク、またはFMM(ファインメタルマスク、高精細なメタ
ルマスク)を用いて作製されるデバイスをMM(メタルマスク)構造のデバイスと
呼称する場合がある。また、本明細書等において、メタルマスク、またはFMMを
用いることなく作製されるデバイスをMML(メタルマスクレス)構造のデバイス
と呼称する場合がある。

(実施の形態1)
有機半導体膜を所定の形状に作製する方法の一つとして、メタルマスクを用いた真
空蒸着法(マスク蒸着)が広く用いられている。しかし、高密度化、高精細化が進
む昨今、マスク蒸着は、合わせ精度の問題、基板との配置間隔の問題に代表される
種々の理由により、これ以上の高精細化は限界に近付いている。一方、フォトリソ
グラフィ法を用いて有機半導体膜の形状を加工することで、より緻密なパターンを
有する有機半導体デバイスの実現が期待されている。さらに、フォトリソグラフィ
法はマスク蒸着に比べて大面積化も容易であることから、フォトリソグラフィ法を
用いた有機半導体膜の加工に関する研究が進められている。

しかし、フォトリソグラフィ法を用いて有機半導体膜の形状を加工するためには、
多くの問題を乗り越える必要がある。これらの問題としては、例えば、有機半導体
膜の大気暴露の影響、感光性樹脂を露光する際の光照射の影響、露光した感光性樹
脂を現像する際に曝される現像液および水などの影響を挙げることができる。 
これらの影響を低減させるために、有機半導体膜上に保護膜を形成する方法がある。
この場合、当該保護膜成膜時にある程度の加熱(約80℃から120℃)を行うこ
とで、当該保護膜を緻密でバリア性の高い膜、または面内均一性の高い膜とするこ
とができる。逆にいうと、低温で形成された保護膜の性能は十分とは言い難いもの
である。
しかし、有機半導体材料、特に蒸着により成膜を行うことが可能な化合物は、蒸着
後に熱工程がなければ良好な特性のデバイスが得られていた化合物であっても、上
述のように蒸着後に熱が加わるような作製工程を経るデバイスにおいては、膜が変
質し、良好な特性を有する有機半導体デバイスが得られないことがあった。 

一般に有機ELデバイス、有機フォトダイオードセンサなどの有機半導体デバイス
では、その耐熱性は、用いられる有機化合物のガラス転移温度(Tg)によって評
価されることが多い。しかしTgが高くとも、有機層が電極に挟まれていない状態
で加熱工程を経ると、それがそのTgよりも十分低い温度であっても、デバイスの
特性が悪化してしまう場合がある。また、逆にTgが比較的低くともTg以下なら
加熱による特性変化が起きにくい化合物も存在するため、単にTgのみで耐熱性の
良好な有機半導体デバイスを得ることが可能な化合物を判断するのは難しい。つま
り有機層に自由界面が存在する状態における加熱工程が必要である有機半導体デバ
イスでは、用いられる有機化合物のTgとデバイスの耐熱性の乖離が大きい。 

そこで本発明者らは、示差走査熱量測定(Differential scann
ing calorimetry:DSC)法を用い、特定の手順で測定を行った
際、特定の測定結果を示す化合物(第1の化合物)を用いた有機半導体デバイスが、
製造工程中における加熱に強く良好な特性を有する有機半導体デバイスとできるこ
とを見出した。なおここでいう加熱に強いとは、加熱に対する耐性があることを示
し、主に形状変化、膜質変化、電気特性変化が小さいことをさす。 
具体的には、固体(粉末)状態の化合物でDSC測定を行い、少なくとも加熱(第
1の加熱)により十分に溶融させた状態から冷却し、再度加熱(第2の加熱)を行
う。この際、冷却過程において図1(A)のように発熱ピークが観測されず、且つ
第2の加熱過程において図1(B)のように発熱ピークと融点ピークとが観測され
ない化合物(第1の化合物)を用いることによって、製造工程中における加熱に強
く、また、良好な特性を有する有機半導体デバイスを得ることができる。なお、第
1の加熱過程における測定結果は、これまでの様々な熱履歴を反映した結果が現れ
ることがあり、評価が困難になるため、本発明における判断には用いていない。

上記DSCの結果において冷却過程における発熱ピークは溶融状態からの結晶化を、
第2の加熱過程における発熱ピークは冷結晶化を、融点ピークは結晶の溶融をそれ
ぞれ示唆するシグナルである。このようなピークが観測されない化合物を用いるこ
とによって、加熱および冷却によって有機半導体膜に大きな構造変化が起きにくく、
加熱工程に強い、耐熱性が良好な有機半導体デバイスを作製することが可能となる。 
なお、冷却過程における発熱ピークの観測において、冷却開始直後のピークは、装
置起因のピークであるため除外し、25℃以下まで冷却しても発熱ピークが観測さ
れない場合に観測されないと判断する。なお、発熱ピークが観測されないとは、発
熱ピークのエネルギーが0J/gである場合の他に、0J/gより大きく20J/
g以下のエネルギーの発熱ピークが存在する場合も含むものとする。なお、発熱ピ
ークが存在する場合、0J/gより大きく5J/g以下だとより好ましく、発熱ピ
ークは存在しないことが最も好ましい。また、特に冷却速度が速い場合に、60℃
以下の領域において吸熱側へのピークがみられる場合があるが、これは装置の冷却
能の問題で、冷却プログラム速度に実試料温度が追従できない場合に現れる意味の
ないピークであるため、本発明の一態様においては無視するものとする。その場合
は、冷却速度を小さくし、ピークがないことを確認しておくとよい。 ピークのエ
ネルギーは、ピークの始めと終わりをつなぎ、仮定のベースラインを想定し、当該
仮定したベースラインとピークとに囲まれた部分の面積から算出することができる。

また、第2の加熱において、融点ピークが観測されないとは、融点ピークのエネル
ギーが0J/gである場合の他に、-20J/g以上0J/g未満のエネルギーの
融点ピークが存在する場合も含むものとする。なお、融点ピークが存在する場合、
-5J/gより大きく0J/g以下であることが好ましく、融点ピークは存在しな
いことが最も好ましい。また、第2の加熱において、発熱ピークが観測されないと
は、発熱ピークのエネルギーが0J/gである場合の他に、0J/gより大きく
20J/g以下のエネルギーの発熱ピークが存在する場合も含むものとする。5J
/g以下だとより好ましく、0J/gが最も好ましい。 

また、DSCを行う際の、冷却過程における降温速度、および第2の加熱過程にお
ける昇温速度は各々40℃/min以上200℃/min以下として測定するもの
とする。なお、冷却過程における降温速度は40℃/min以上200℃/min
以下であることが好ましい。 
なお、上記DSCにおいて、第1の加熱過程および第2の加熱過程の最高温度は、
高すぎると気化、昇華、分解などに伴うピークが発生し次の加熱工程において正確
な判断ができなくなる懸念がある。そのため、DSCの最高温度は、対象とする化
合物を熱重量測定(Thermogravimetry:TG測定)して得られた
3%重量減少温度よりも50℃以上低い温度、好ましくは3%重量減少温度よりも
100℃以上低い温度とすることが好ましい。代表的には3%重量減少温度よりも
50℃低い温度で測定すればよい。この温度であれば、大気圧下ではおおむね昇華
しない温度と判断できる。また、3%重量減少温度-150℃よりは高い温度まで
は測定しておくことが好ましい。 
なお、TG測定を行わない場合、DSCの最高温度については、測定を行う化合物
のガラス転移点の温度(℃)の値の3倍の値の温度(℃)以下を目安としておくと
良い。また、有機化合物の真空蒸着温度の上限を考慮すると、450℃まで測定す
れば十分である。また、同様に金属錯体は350℃まで測定すれば十分である。た
だし、前記450℃未満、あるいは350℃未満で昇華、蒸発、分解などが起きる
有機化合物または有機金属錯体は、昇華、蒸発、分解などが起きる温度よりも30
℃以上、好ましくは50℃以上低い温度までを測定温度範囲とする事が好ましい。
代表的には昇華、蒸発、分解などが起きる温度より30℃低い温度で測定すればよ
い。ある温度範囲の測定において、昇華、蒸発、分解などが起こっているかいない
か判断する場合は、測定後に同一サンプルを用いて引き続き同じ測定条件(昇温条
件および測定温度範囲)で再測定し、サイクル特性が直前の測定と同じであるか、
つまりベースラインが重なるかを確認すると良い。重ならない場合は、直前の測定
で昇華、蒸発、分解などが起こった可能性があるため、測定温度範囲の上限温度を
より低い温度として再測定する必要があると考えられる。 

なお、DSCの測定温度範囲における最高温度は、上述のようにTG測定をあらか
じめ行うことによって判断することが好ましい。また、上記DSCにおいて、冷却
過程における最低温度は、ガラス転移温度(Tg)以下であることが好ましく、例
えば25℃以下、好ましくは-10℃である。 
上記DSCにおいて、十分に溶融した状態から冷却過程に入るために、第1の加熱
過程と冷却過程との間で上記最高温度における保持時間を設けることが好ましい。
この際の保持時間としては、1分以上10分以下が好ましく、3分がより好ましい。
また、同様に、測定対象の化合物の温度が均一になった状態から第2の加熱過程に
入るために、冷却過程と第2の加熱過程との間で上記最低温度における保持時間を
設けることが好ましい。この際の保持時間としては1分以上10分以下が好ましく、
3分がより好ましい。

DSC測定を実施する場合の、測定対象の化合物の質量は、一定の昇温速度におい
て均一な熱伝導を得るために、適した量とするのが好ましい。測定対象となる内部
の化合物の温度ムラを低減させるにはより少ないサンプル量が好まれるが、一方で
感度を得るためにサンプル量が多い方が好ましい。これらの理由から、具体的には、
5mm乃至10mmφのサンプル容器に0.1mg以上、10mg以下が好ましく、
明確にピークを得るためには1mg以上5mg以下が、更に好ましい。
適した量の化合物を用いてDSCを測定することで、融点やガラス転移点、結晶化
温度のピークが明確に再現性良く観測することができると考えられる。 

本明細書におけるDSC測定では、測定対象となる化合物はDSC測定において重
量変化を伴わない温度範囲および環境で測定を行う。従って、DSC測定は、酸素
などの大気成分との反応を抑制するために、窒素など不活性雰囲気下で測定し、ま
た、分解温度よりも十分に低い温度、例えば分解温度の50℃以上低い温度以下に
おいて測定をするのが好ましい。上記DSCの結果において、第1の化合物は第2
の加熱過程で、ベースラインの吸熱側へのシフトが観測される化合物であることが
好ましい。当該シフトが起きる温度はガラス転移温度(Tg)であり、すなわち、
第1の化合物はTgが観測される化合物であることが好ましい。なお、Tgが高い
方が、耐熱性が良好となる傾向があるため好ましい。具体的には、第1の化合物の
Tgは100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。 

また、第1の化合物はこのベースラインのシフトに伴って1J/g以上、好ましく
は3J/g以上、より好ましくは5J/g以上の吸熱ピークが観測される化合物で
あることが好ましい。このピークはエンタルピー緩和を示唆するピークである。こ
のようなエンタルピー緩和を示す材料は、示さない材料に比べ、よりエネルギー的
に安定なガラスを形成することが可能であるため、膜質が安定化し、フォトリソグ
ラフィー工程に必要な加熱工程およびパターニング加工に強い膜となるため好まし
い材料である。
エンタルピー緩和のエネルギーは、図2のようにシフト後のベースラインを延長し
た線とDSCチャートの曲線に囲まれた領域の面積により算出することができる。
なお、複数のピークがある場合はそれらを全て合算したものをエンタルピー緩和の
エネルギーとみなすものとする。

以上のような第1の化合物を用いた有機半導体デバイスは、製造工程中における加
熱に強い有機半導体デバイスとすることが可能である。有機半導体デバイスとして
は例えば、TFT、発光デバイス、フォトダイオードセンサなどを挙げることがで
きる。
なお、有機半導体デバイスは、少なくとも、一対の電極(第1の電極、第2の電極)
と、当該一対の電極間に挟まれた有機化合物層を有するが、第1の化合物は、当該
有機化合物層に含まれる。ここで、有機半導体デバイスが平面上に複数並べて設け
られた半導体装置(例えば表示装置またはイメージセンサ)において、画素電極と
共通電極を有する場合には、第1の電極が複数の有機半導体デバイス各々において
独立した画素電極、第2の電極が複数の有機半導体デバイスにおいて一続きの連続
した層として共有される共通電極であるものとする。
この際、有機化合物層が、個々の有機半導体デバイス毎に独立して設けられた第1
の層と、複数の有機半導体デバイスに渡って連続して設けられている第2の層との
積層構造を有する場合には、当該第1の化合物は第1の層に含まれていることが好
ましい。
なお、有機化合物層または第1の層が、隣接する半導体デバイス間において重なり
を有さない構成、すなわち隣り合う半導体デバイスの有機化合物層間、または隣り
合う半導体デバイスの第1の層間に間隙を有する構成である場合、隣接する半導体
デバイスへのクロストークを抑制できるため、本構成は特に有効であり好ましい。
それは隣接する半導体デバイス間が2μm以下と非常に近い場合に特に有効である。

また、第1の層は第1の電極側に設けられ、第2の層は第2の電極側に設けられる。
また、第1の層は、第1の電極に接することが好ましく、第2の層は第2の電極に
接することが好ましく、第1の層と第2の層は接していることが好ましい。 
なお、第1の化合物は、有機化合物層および第1の層内において、層状に分布し、
第1の化合物を含む層が形成されていることが好ましい。
また、有機化合物層を、フォトリソグラフィ法により加工する場合、有機半導体デ
バイスを非常に高密度(第1の電極の間隔が2μm乃至5μm程度)に配置するこ
とができる。当該有機半導体デバイスが表示デバイス(発光デバイス)の場合、
500ppi以上且つ開口率30%以上の非常に高精細な表示装置を提供すること
ができる。また、100ppi以上且つ開口率40%以上の非常に高精細な表示装
置を提供することができる。また3000ppi以上且つ開口率30%以上、さら
には50%以上の非常に高精細な表示装置を提供することができる。
なお、有機化合物層は、フォトリソグラフィ法により加工される際、保護膜の形成、
レジストの焼成、脱水ベークなどの工程において、熱が加えられる。また、高性能
な保護膜の形成または確実な脱水のためには、なるべく高い温度をかける必要があ
るため、第1の化合物は、フォトリソグラフィ法により加工される層である有機化
合物層または第1の層に含まれていることが好ましい。 

また、加熱の際に自由表面となる面を有する膜は、当該表面に位置する原子のエネ
ルギーが高いことからバルクの膜よりも熱の影響を受けやすい傾向があるため、加
熱の際に自由表面となる面を有する膜、すなわち有機化合物層の最も第2の電極側
の層、または第1の層と第2の層を有する場合には、第1の層における第2の層と
接する層に第1の化合物が含まれていることが好ましい。この第2の層と接する第
1の化合物を含む層は、発光層または活性層ではないことが、パターニング工程の
ダメージを低減でき、効率または信頼性が良好となり、好ましい。 
なお、自由表面を有する有機化合物層は、膜質不良や特性不良を避けるため、この
自由表面へのゴミの付着を可能な限り避けるのが好ましい。例えば、自由表面を有
する有機化合物層が形成された基板はクリーンルームなどで作製・保管するのが好
ましく、クリーンルームのクリーン度の目安はクラス1000以下の高い清浄度が
好ましく、より好ましくはクラス100以下の高い清浄度である。

また、自由表面を有する有機化合物層は、膜質不良(膜質変化や膜の形状変化)や、
最終的に得られる有機半導体素子の特性不良を避けるため、空気(酸素や水分)に
さらす時間を可能な限り短くすることが好ましく、空気にさらさないことが最も好
ましい。また、自由表面を有する有機化合物層上に設ける保護層または上部電極は、
自由表面を有する有機化合物層形成後に迅速に積層するのが好ましい。自由表面を
有する有機化合物層形成後に、保護層または上部電極の形成を行うまでの間の時間
が長くなる場合は、自由表面を有する有機化合物層が形成された基板を、窒素など
の不活性雰囲気下で保存する事が好ましい。また、保管の期間は7日間以下とする
のが好ましい。換言すると、本発明の一態様の構成であれば、数日間、有機化合物
層の自由表面がある状態にあっても、良好な膜質を維持することができる。
また、第1の化合物が含まれている層数、または層に含まれている量が多い方が、
第1の層が自由表面を有する場合の加熱の際に、加熱に強くなり、好ましい。 

以上のような第1の化合物を用いた有機半導体デバイスは、製造工程中における加
熱に強く良好な特性(特に表示性能、効率および信頼性)を有する有機半導体デバ
イスとすることができる。具体的には、加熱工程における加熱温度が、第1の化合
物のTg-20℃程度の加熱またはTgの80%以上の加熱を行っても不都合が起
きにくい有機半導体デバイスとすることができる。 

また、第1の化合物は、有機化合物層内または第1の層内において発光層よりも第
2の電極側に設けられていることが好ましく、電子輸送性を有する有機化合物であ
ることが好ましい。電子輸送性を有する有機化合物としては、π電子不足型複素芳
香環骨格を有する有機化合物を挙げることができる。π電子不足型複素芳香環骨格
を有する有機化合物としては、含窒素複素芳香族骨格を有する化合物、例えばポリ
アゾール骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、ピリジン骨格を有する複素芳
香環を含む有機化合物、ジアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物および
トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物が好ましい。 

中でも、含窒素複素六員環骨格を有する化合物が、電子輸送性が高く安定であり好
ましく、特に、ジアジン骨格(ピリミジン骨格、ピラジン骨格、ピリダジン骨格)
を有する複素芳香環を含む有機化合物またはピリジン骨格を有する複素芳香環を含
む有機化合物、トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物は、信頼性が
良好であり好ましい。さらに、ピリミジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合
物、ピラジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物およびトリアジン骨格を有
する複素芳香環を含む有機化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与す
る。 
                  -中 略-
                              この項つづく



   風蕭々と碧い時間

今夜の寸評 : 鈍すれば貧する
           賢明でなければ豊かになれない。

 

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新成長経済理論考 ㉖

2024年01月05日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。



    ろうばいのほのかなかほりここちよく 伊吹かがやく湖岸をわた
                               

   かくとだにえやは伊吹のさしもぐさ さしも知らじな燃ゆる思ひを 
                    藤原中将実方 『後拾遺集』

【訳】せめて、こんなに私がお慕いしているとだけでもあなたに言いたいが、言
えない。伊吹山のさしも草ではないけれど、それほどまでとはご存知ないでしょ
う。燃えるわたしの想いを。

※『後拾遺和歌集』(ごしゅういわかしゅう)は、八代集の第四番目の歌集、『
拾遺集』の後継として編まれた勅撰和歌集。20巻で、総歌数は1218首(新編国歌
大観本)。 勅命は白河天皇、撰者は藤原通俊。承保2年(1075年)奉勅、応徳3年
(1086年)9月16日完成、同年10月奏覧された。その後、更に改訂を加えて、応徳
4年(1087年)2月に再奏、寛治元年8月に目録と序が奉献される。

【2024.1.1 能登半島地震からの教訓】

持続可能社会構築のコンパクトでレジデンスを備えた仮設・本設両用にして、
DXGな生活排水循環システム急遽を考案に取り掛かることに。
キーワード:逆浸透膜 濾過膜 生活排水 小規模分散型水循環システム
尚、わたしたち(地域生協及び住民運動として)は1978年に研究を始めている。

 

【関連特許】
1.循環型排水処理ユニット、および循環型排水処理システム
※ WOTA株式会社特許

【概要】 自立循環型のトイレが提案されている(特許文献1参照)。特許文献
特開2004-132037で記載されるトイレの循環型排水処理ユニットでは、排水を、
微生物を利用して処理する生物処理槽を備え、生物処理槽で得られた処理水を、
オゾン処理槽においてオゾンガスを用いた酸化・脱色処理をし、その後処理水タ
ンクで貯留している。 従来技術では、オゾンガスによる処理を行うオゾン処理
槽が処理水タンクとは別に必要になる。一方、小規模な水循環システムにおいて
は、循環型排水処理ユニットを極力コンパクトにしたいという要請があった。本
下図1のごとく、実施形態の循環型排水処理ユニットは、需要家からの排水を貯
留する排水調整槽と、排水調整槽から供給される排水に対して生物処理を行う生
物処理槽と、生物処理されて得られた処理水を貯留する処理水貯留槽と、処理水
貯留槽の液相にオゾンを供給する手段と、処理水貯留槽内の気体を、排水調整槽
を介して生物処理槽へ供給する手段とを備えることで、コンパクトな循環型排水
処理ユニットを提供する。


図1 本実施形態の循環型排水処理ユニットの一例の全体の構成図

【符号の説明】1…循環型排水処理ユニット 10…排水調整槽 20…生物処理
槽 30…処理水貯留槽 40…オゾン発生器 50…排気管路 90…供給部
100…循環式トイレ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 需要家からの排水を貯留する排水調整槽と、前記排水調整槽から
供給される排水に対して生物処理を行う生物処理槽と、 前記生物処理されて得
られた処理水を貯留する処理水貯留槽と、 紫外線法によりオゾンを発生させ、
発生させた前記オゾンを前記処理水貯留槽の液相に供給する手段と、 前記処理
水貯留槽内の気体を、前記排水調整槽を介して前記生物処理槽へ供給する手段と
を備える循環型排水処理ユニット。
【請求項2】 前記処理水貯留槽内の気体を、前記排水調整槽を介して前記生物
処理槽へ供給する手段は、前記気体を、前記排水調整槽及び前記生物処理槽の液
相へ供給する請求項1に記載の循環型排水処理ユニット。
【請求項3】 前記処理水貯留槽内の気体を、前記排水調整槽を介して前記生物
処理槽へ供給する手段は、前記気体を、前記排水調整槽及び前記生物処理槽の気
相へ供給する請求項1に記載の循環型排水処理ユニット。
【請求項4】 前記処理水貯留槽内の気体を、前記排水調整槽を介して前記生物
処理槽へ供給する手段は、前記気体を、前記排水調整槽の液相へ供給し、前記生
物処理槽の気相へ供給する請求項1に記載の循環型排水処理ユニット。
【請求項5】 前記処理水貯留槽内の気体を、前記排水調整槽を介して前記生物処
理槽へ供給する手段は、前記気体を、前記排水調整槽の気相へ供給し、前記生物
処理槽の液相へ供給する請求項1に記載の循環型排水処理ユニット。
【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれかに係る発明が備える構成を備え
るシステム。

【発明を実施するための形態】 
(第1実施形態) 以下、第1実施形態について、図面に基づいて詳細に説明。
なお、実施形態を説明するための図面において 同一の構成要素には原則として
同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。

  <1.概要>
本実施形態に係る循環型排水処理ユニット1は、例えば、水循環システムにお
いて、需要家から排出される排水(以下、単に排水という)を再生させるため
の装置である。再生した水は、例えば、トイレ洗浄、お風呂、シャワー、洗濯、
食器洗い等の生活用水として使用可能である。また、再生した水は、飲用水と
して用いてもよい。 水循環システムは、例えば、需要家から出される排水(生
活排水、汚水等)を処理して浄化する、調整槽、生物処理槽、貯水槽がコンパ
クトにまとめられた処理槽モジュールを含む。また、水循環システムは、例えば、
逆浸透膜、ナノろ過膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜等の物理ろ過の他、生物ろ過、
活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂等の化学ろ過等を有するろ過ユニットを含
む。ろ過ユニットは、例えば、所定の水源から取水した水をろ過する。
また、ろ過ユニットは、例えば、処理槽モジュールで処理された水をろ過する。
また、水循環システムは、例えば、提供する水を殺菌するUV殺菌ユニットを含む
。また、水循環システムは、例えば、オゾン発生器を含む。オゾン発生器は、例
えば、処理槽モジュールの消臭、処理槽モジュール内の水の殺菌、処理槽モジュ
ール内の水の脱色等を行うためのオゾンガスを発生させる。また、水循環システ
ムは、例えば、処理槽モジュール内における種々の物性を検出するためのセンサ
ユニットを含む。

<2.全体構成>
本実施形態に係る循環型排水処理ユニット1の全体構成について説明する。図1
は循環型排水処理ユニット1の一例の全体の構成図である。図1では、循環型排
水処理ユニット1が循環式トイレ100で利用される場合を例に示している。本
実施形態に係る循環式トイレ100は、例えば、上水・下水設備が行き届かない
山間部等に建設される住居、別荘、山小屋、仮設住宅、又は移動型住宅などのト
イレとして用いられる。また、循環式トイレ100は、例えば、野外のイベント
会場、工事現場、又は災害時の避難所などに一時的に仮設されるトイレとして用
いられる。循環式トイレ100を用いることで、排水が処理されて循環水として
再利用することが可能となるため、上水・下水設備が整備されていなくとも、ト
イレを使用することができる。 なお、本実施形態に係る循環型排水処理ユニッ
ト1は、循環式トイレ100以外でも利用可能である。循環型排水処理ユニット
1は、例えば、台所、洗面所(洗濯)、風呂場等において使用される排水の再生
に使用されてもよい。このとき、例えば、水循環システムにおいて、最終段の水
槽から需要家による実際の水の使用までの間に、ろ過ユニット、及びUV殺菌ユ
ニット等が設置されてもよい。また、水循環システムにおいて、トイレ排水と、
台所、洗面所(洗濯)、風呂場等において使用される排水とが異なる処理系統で
処理されるようにしてもよい。 1に示すように、循環型排水処理ユニット1は
、トイレの便器2と複数の排水管により連結されている。循環型排水処理ユニッ
ト1は、排水調整槽10と、生物処理槽20と、処理水貯留槽30と、オゾン発
生器40と、排気管路50(図2参照)とを備える。排水調整槽10、生物処理
槽20、および処理水貯留槽30は、所定の槽間で水を送出可能なように、複数
の排水管により連結されている。複数の排水管それぞれにはポンプが設けられ、
ポンプの送り先となる槽における水位が所定の範囲内となるように、かつ可能な
限り、定量連続運転となるように、それぞれのポンプの駆動が制御される。なお
図1はあくまで一例であり、循環型排水処理ユニット1は他の構成であってもよ
い。例えば、排水調整槽10、生物処理槽20、処理水貯留槽30は、一連のプ
ロセスを実施する一つのモジュールに含まれていてもよい。



図2 第1実施形態の排気管路の構成を示す

<3.排水調整槽10>
排水調整槽10は、便器2の下流に配置され、便器2から排出された排水を一時
的に貯留する。便器2には、例えば、粉砕圧送ポンプが設置されてもよい。粉砕
圧送ポンプは、排水に含まれる汚物等を粉砕し、粉砕した汚物を排水と共に排水
調整槽10へ送出する。排水調整槽10には、ブロワ11が設けられている。ブ
ロワ11は、連続的又は間欠的に空気を排水調整槽10の内部に送出する。ブロ
ワ11から送出される空気により、排水調整槽10の内部に貯留される排水が攪
拌される。排水調整槽10と、生物処理槽20との間には、ポンプ66が設置さ
れている。ポンプ66は、排水調整槽10に貯留される排水を生物処理槽20へ
送出する。

<4.生物処理槽20>
生物処理槽20の構成の一例について説明する。 生物処理槽20は、排水調整
槽10から排出された排水に含まれる有機化合物に対して、微生物を利用して
分解処理する。また、生物処理槽20では、微生物の働きで窒素化合物を除去
する生物脱窒を行う場合もある。生物脱窒では、好気性微生物と通性嫌気性細菌
とを組み合わせ、排水中の窒素化合物と炭素化合物とを分解する。この方法は主
に、好気環境下で行われる硝化工程と、無酸素環境下で行われる脱窒工程と、に
分割される。 硝化工程は、排水中のアンモニア(NH4)を亜硝酸(NO2)経由
で硝酸(NO3)まで酸化する反応である。この反応に関わる硝化細菌は、槽内
の十分な溶存酸素の存在が条件となる好気性細菌である。 

脱窒工程は亜硝酸、硝酸を窒素ガス(N2)に還元する反応である。すなわち
、溶存酸素の代わりに亜硝酸や硝酸分子の酸素を使って、有機物を炭酸ガスと
水に酸化分解し、その結果、亜硝酸や硝酸が窒素ガスに転換される。この工程に
は脱窒細菌と呼ばれる通性嫌気性細菌が関与し、溶存酸素のない無酸素状態で
脱窒活性を発揮する。 
生物処理槽20は、無酸素槽21と好気槽22とを備えている。無酸素槽21
は、好気槽22に対して上流側に配置されている。生物処理槽20には、槽内
の混合液を無酸素槽21と好気槽22と行き来させる不図示の排水路が設けら
れている。 無酸素槽21内の混合液には通性嫌気性細菌が存在している。無酸
素槽21では前述の脱窒工程が主に行われる。 無酸素槽21の内部には、攪拌
機23が配置される。攪拌機23は、例えば、攪拌羽根を有するミキサーによ
り実現される。攪拌機23は、無酸素槽21内で攪拌羽根を回転させることで
混合液を攪拌し、混合液に含まれる微生物が沈殿しないようにする。なお、無
酸素槽21内での攪拌は、攪拌機23によるものに限定されない。ポンプ、曝
気等により攪拌してもよい。 

好気槽22内の混合液には好気性細菌が存在している。好気槽22にはブロワ
27が設けられている。ブロワ27は、好気槽22内の混合液へ空気を供給す
る。ブロワ27から混合液内に空気が送出されることで、好気槽22内の好気
環境が維持される。好気槽22では前述の硝化工程が主に行われる。 

好気槽22には、膜ろ過ユニット25が設けられている。膜ろ過ユニット25
には、例えば、MF(精密ろ過膜)、UF(限外ろ過膜)、NF(ナノろ過膜)、
セラミックフィルタ、金属膜のうち少なくともいずれかが用いられる。膜ろ過
ユニット25は、例えば、ブロワ27から供給される空気の供給口の上方に配置
される。ブロワ27から供給される空気ブロワ27から供給される空気は、例
えば、膜ろ過ユニット25の洗浄に利用される。膜ろ過ユニット25は、生物
処理された水をろ過し、処理水とする。生物処理槽20と、処理水貯留槽30
との間には、ポンプ67が設置されている。ポンプ67は、膜ろ過ユニット25
によりろ過された処理水を処理水貯留槽30へ送出する。 なお、生物処理槽20
は、別の構成を備えてもよい。

<5.供給部90>
生物処理槽20には、生物処理槽20の内部に連続して有機物を供給する供給
部90が設けられている。供給部90は、生物処理槽20の無酸素槽21へ有
機物を供給する。有機物とは、生物処理槽20内の微生物の基質として供給さ
れる化合物である。循環式トイレ100が長期間不使用となった場合には、有
機物が含まれる排水の生物処理槽20への供給が滞るため、生物処理槽20内
の微生物は基質不足となり死滅するおそれがある。これを防ぐために 有機物を
生物処理槽20内に供給する必要がある。すなわち、無酸素槽21に有機物を
連続して供給することにより、無酸素槽21に存在する通性嫌気性細菌へ基質
を供給し続けることが可能となる。有機物は取扱性の観点から、流動体が望ま
しい。なお、流動体とは、液体に限られず、ジェル状態の物質も含まれる。ま
た、流動体としては低分子構造が好ましく、例えば炭素数が3以下の有機化合
物がより好ましい。炭素数が3以下の低分子構造を有する化合物の方が、生物
分解性が高いためである。た、有機物は水素供与体であってもよい。水素供与
体とは、生物処理槽20内の他物質に水素を与え還元させ、それ自体は脱水素
されて酸化される物質である。 例えば、使用頻度が高い状態において、無酸素
槽21における通性嫌気性細菌による脱窒反応を十分に進行させるためには、
溶存酸素のない無酸素性雰囲気と、亜硝酸、硝酸の酸素分子を還元させるのに
必要な水素供与体の存在とが不可欠である。無酸素槽21に水素供与体を供給
することにより、無酸素槽21内において、亜硝酸、硝酸の酸素分子の還元反
応が促進される。このように水素供与体としても振る舞う流動体である有機物
としては、例えばエタノールが挙げられる。

供給部90は例えば、定量吐出滴下装置を有する。定量吐出滴下装置は、複数
の間隔で継続して間欠的に無酸素槽21へ有機物を滴下することで供給する。
供給部90からの有機物の供給量は任意に設定することができる。この際、排
水の量を基準に有機物の毎月の供給量を設定してもよい。 供給部90が有する
ポンプは、定量吐出滴下装置に限定されない。供給部90は、常時所定の流量
の有機物を供給可能なポンプであってもよい。すなわち、供給部90は、滴下
量を任意の量に変動させ得る吐出滴下装置であってもよく、この場合は継続し
て無酸素槽21へ有機物を滴下することで供給する。なお、供給部90は、必
ずしも必要である訳ではない。

<6.処理水貯留槽30>
処理水貯留槽30は、排水が生物処理されて得られた処理水を貯留する槽であ
る。言い換えれば、処理水貯留槽30は、便器2に供給される処理水を貯留す
る槽である。すなわち、処理水貯留槽30は、排水が生物処理槽20で処理さ
れて得られた処理水を貯留する。 処理水貯留槽30には、便器2に繋がる第1
配管41が連結されている。
第1配管41に設けられた第3ポンプ63は、便器2を洗浄するための処理水
を、第1配管41を通して便器2に供給する。第3ポンプ63は、例えば、便
器2が利用された際に駆動される。第3ポンプ63の駆動は、ユーザからの指
示に応じてでもよいし、便器2の使用の検知に応じてでも構わない。或いは、
第3ポンプ63の駆動は、循環式トイレ100が長期間不使用となった場合に
は、所定の間隔で駆動してもよい。 

<7.オゾン発生器40>
オゾン発生器40は、オゾンを発生させる。オゾン発生器40は、生成したオ
ゾンガスを処理水貯留槽30に直接供給する。オゾン発生器40は、オゾンガ
スを、処理水貯留槽30内の処理水中、すなわち、処理水貯留槽30の液相に
供給する。なお、オゾンガスを、処理水貯留槽30の気相にも供給してもよい。
オゾン発生器40によるオゾンガスの発生方式は、例えば、放電法(無声放電
方式)、電気分解法(水電解セル方式)、紫外線法(水銀UVランプ方式・無
水銀UVランプ(エキシマランプ)方式)等がある。このうち、紫外線法(無
水銀UVランプ(エキシマランプ)方式)が好ましい。紫外線法(無水銀UV
ランプ(エキシマランプ)方式)は、オゾンガス生成時に大気中に存在する窒
素から有害な窒素酸化物を生成せず、不純物の少ないオゾンガスを生成するこ
とが可能である。そのため、特に、家庭等に設置される小型の水循環システム
に搭載するオゾン発生器で採用する方式として適している。不純物の少ないオ
ゾンガスを生成することで、オゾン発生器40の稼働時間を低減でき、電力消費
を抑えると共に、オゾン発生器40の長寿命化を図ることが可能である。不純
物の少ないオゾンガスを生成することで、水循環システム設備の小型化、劣化
・損傷箇所の削減が可能であるため、保守頻度低減にもつながる。このように
紫外線法(無水銀UVランプ(エキシマランプ)方式)によるオゾン発生器4
0は、小規模分散型水再生において好適である。 処理水貯留槽30内において
オゾンガスは、強力な酸化力により、処理水を脱色、殺菌し、消臭(以下、オ
ゾン処理という)する。処理水に供給されたオゾンガスのうち、処理水中での
オゾン処理に使用されなかった余剰オゾンガス(槽内の気体)は、処理水貯留
槽30の上部に形成される空間に充満した後、排水調整槽10、又は/及び生
物処理槽20へ供給され再利用することが可能となる。

本実施形態において処理水貯留槽30へ供給されるオゾンガスの濃度は、例え
ば、既存の浄水設備で設けられる脱色槽へ供給されるオゾンガスの濃度よりも
低くすることが可能である。既存の浄水設備では、脱色槽(オゾン処理槽)に
水が貯留される時間が短いため、短時間でオゾンガスと水とを接触させる必要
がある。一方で、本実施形態では、処理水は処理水貯留槽30に長時間貯留さ
るため、オゾンガスと処理水とは長時間接触することになる。このような貯留
時間の差から、処理水貯留槽30へ供給されるオゾンガスの濃度は、既存の浄
水設備で設けられる脱色槽へ供給されるオゾンガスの濃度よりも低くてもよく
なる。

<8.排気管路50>
図2は、排気管路50の構成を示す図である。 排気管路50は、処理水貯留槽
30に供給されたオゾンガスの一部であって、処理水貯留槽30に充満した余
剰オゾンガスを他の槽に供給するための経路を形成する。 排気管路50は、処
理水貯留槽30と生物処理槽20とを繋ぐ第1排気管51と、処理水貯留槽3
0と排水調整槽10と、をつなぐ第2排気管52と、を備えている。 

第1排気管51の生物処理槽20における排気口は、例えば、生物処理槽20の
天井の端部に設けられる。第2排気管52の排水調整槽10における排気口は、
例えば、排水調整槽10の天井の端部に設けられる。 図示の例では、余剰オゾ
ンガスは、生物処理槽20および排水調整槽10それぞれの気相、すなわち、気
体が占める領域に供給される。なお、このような例に限られず、余剰オゾンガ
スを、生物処理槽20および排水調整槽10それぞれの液相、すなわち、液体が
占める領域に供給してもよい。両方の槽の液相へ余剰オゾンガスを供給しても
よい。また、一方の槽の液相へ供給し、他方の槽の気相へ供給してもよい。つ
まり、第1排気管51の生物処理槽20における排気口は、生物処理槽20の液
相中にあってもよい。また、第2排気管52の排水調整槽10における排気口
は、排水調整槽10の液相中にあってもよい。この場合には、ブロワを第1排
気管51および第2排気管52に設けることで、液体中に余剰オゾンガスを円
滑に送出することができる。 【

第1排気管51により、処理水貯留槽30から生物処理槽20に、例えば、常
時、余剰オゾンガスが供給される。生物処理槽20に供給された余剰オゾンガ
スは、生物処理槽20で発生した臭気物質に対してオゾン処理を行う。これに
より、生物処理槽20から生じる臭気が低減する。
生物処理槽20は、内部の排気を行う第1排気ユニット81を備えている。第
1排気ユニット81は、生物処理槽20内の空気を外部へ排出する。第1排気ユ
ニット81は、例えば、生物処理槽20の上部のうち、第1排気管51の排気
口から最も遠い位置に設置される。
第1排気ユニット81の内部には脱臭剤およびオゾン分解剤が配置されている。こ
のため、第1排気ユニット81から廃棄される残留ガスに含まれる残留オゾン
が分解される。また、脱臭剤が第1排気ユニット81の内部に配置されている
ことで、残留ガスの臭気がさらに低減される。

第2排気管52により、処理水貯留槽30から排水調整槽10に、例えば、常時
余剰オゾンガスが供給される。排水調整槽10に供給された余剰オゾンガスは
排水調整槽10で発生した臭気物質に対してオゾン処理を行う。これにより、
排水調整槽10から生じる臭気が低減する。
排水調整槽10は、内部の排気を行う第2排気ユニット82を備えている。第2
排気ユニット82は、排水調整槽10内の空気を外部へ排出する。第2排気ユ
ニット82は、例えば、排水調整槽10の上部のうち、第2排気管52の排気
口から最も遠い位置に設置される。
第2排気ユニット82の内部には、脱臭剤およびオゾン分解剤が配置されている
。このため、第2排気ユニット82から廃棄される残留ガスに含まれる残留オ
ゾンが分解される。また、脱臭剤が第2排気ユニット82の内部に配置されて
いることで、残留ガスの臭気がさらに低減される。

<9.小括>
以上説明したように、本実施形態に係る循環型排水処理ユニット1によれば、
オゾン発生器40が、生成したオゾンガスを処理水貯留槽30に供給する。処
理水は、オゾンガスと共に処理水貯留槽30内で長時間貯留される。このため、
処理水貯留槽30の内部で処理水がオゾン処理されることになり、別途個別に
オゾン処理槽を設ける必要がない。これにより、排気ユニット全体をコンパク
トにすることができる。
また、既存の浄水設備では、オゾンの酸化力を懸念して密閉性を高めた小容量
のオゾン処理槽で、短時間でオゾン処理を行う必要があった。この場合には、
小容量の空間内で短時間に十分なオゾン処理を行うために、オゾンガスの濃度
を高くする必要があった。これに対して本実施形態の循環型排水処理ユニット
1では、処理水を長時間貯留する処理水貯留槽30の内部でオゾン処理を行う
ため、オゾンガスの濃度が低い場合であっても、オゾンガスと処理水とが長時
間接触することになり、充分なオゾン処理を行うことができる。 

また、第1排気管51を通して、処理水貯留槽30で生じた余剰オゾンガスを
生物処理槽20に供給することができるので、生物処理槽20で生じた臭気物
質(槽内の気体)に対してオゾン処理を行うことができる。これにより、生物
処理槽20から生じる臭気を低減することができる。 また、余剰オゾンガス
による有機物の酸化分解、および生物分解を促進し、生物処理槽20内での生
物処理サイクルの時間短縮と膜ろ過の負荷低減を図ることもできる。 また、臭
気物質の臭気を低減することで、第1排気ユニット81の内部に設けられた脱
臭剤の消費量を抑えることができる。

また、余剰オゾンガスの活性力を低減し、余剰オゾンガスのその後の処理の負
担を低減することができる。例えば、余剰オゾンガスの活性力が低減すること
で、第1排気ユニット81の内部に設けられたオゾン分解剤の消費量を抑える
ことができる。

また、第2排気管52を通して、処理水貯留槽30で生じた余剰オゾンガスを
排水調整槽10に供給することができるので、排水調整槽10で生じた臭気物質
に対してオゾン処理を行うことができる。これにより、排水調整槽10から生
じる臭気を低減することができるとともに、余剰オゾンガスの活性力を低減し、
余剰オゾンガスのその後の処理の負担を低減することができる。 また、処理水
貯留槽30から、排水調整槽10と、生物処理槽20とへ並列して余剰オゾン
ガスが供給されるため、排水調整槽10の臭気が生物処理槽20へ移動するこ
とがなくなる。ユーザは、例えば、生物処理槽20で生存する微生物を確認す
る場合がある。排水調整槽10と生物処理槽20とが繋がっていないため、生
物処理槽20を開いた場合であってもユーザは排水調整槽10の臭気を感じる
ことはない。
また、供給部90が生物処理槽20に連続して有機物を供給するので、使用頻
度が不定期であったり、長期間において不使用であったりする場合であっても
、生物処理槽内の生物活性を維持することができる。有機物を投入するタイミ
ングや量の調整が不要となり、使用頻度が著しく偏る循環式トイレ100にお
いても、簡便かつ適切に有機物を投入することができる。これにより、循環型
排水処理ユニット1のメンテナンスを簡易にし、メンテナンスコストを抑えるこ
とができる。

<10.変形例>
次に、第1実施形態の変形例として、図3を用いて、排気管路50の変形例を説
明する。図3は、図2に示す排気管路50の変形例を示す図である。なお、この
説明において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説
明を省略する。
この変形例に係る排気管路50では、余剰オゾンガスが各槽を順番に流れるよう
に構成されている。すなわち、処理水貯留槽30で生じた余剰オゾンガスは、生
物処理槽20に供給された後に、排水調整槽10に供給される。 排気管路50は、
第1排気管51と、生物処理槽20と排水調整槽10を繋ぐ第3排気管53と、
を備えている。第3排気管53の生物処理槽20における吸気口は、例えば、第
1排気管51の生物処理槽20における排気口から最も遠い位置に設置される。
これにより、余剰オゾンガスと臭気物質とが接触する機会を増やすことが可能に
なる。第3排気管53の排水調整槽10における排気口は、例えば、排水調整槽
10の天井の端部に設けられる。なお、このような例に限られず、生物処理槽
20で生じた余剰オゾンガスを、排水調整槽10の液相、すなわち、液体が占め
る領域に供給してもよい。つまり、第3排気管53の排水調整槽10における排
気口は、排水調整槽10の液相中にあってもよい。臭気ガスとオゾンガスを液中
接触することで余剰オゾンガスの発生、流出を低減することができる。 

第3排気管53により、生物処理槽20から排水調整槽10に、例えば、常時、
余剰オゾンガスが供給される。排水調整槽10に供給された余剰オゾンガスは、
排水調整槽10で発生した臭気物質に対してオゾン処理を行う。これにより、排
水調整槽10から生じる臭気が低減する。 
すなわち、第1排気管51および第3排気管53を介しては、処理水貯留槽30
で生じた余剰オゾンガスが、排水の下流から上流に向けて流れる。 この変形例で
は、生物処理槽20に第1排気ユニット81は設けられておらず、排水調整槽10
にのみ第2排気ユニット82が設けられている。この変形例では、第2排気ユニッ
ト82は、例えば、排水調整槽10の上部のうち、第3排気管53の排気口から
最も遠い位置に設置される。これにより、余剰オゾンガスと臭気物質とが接触す
る機会を増やすことが可能になる。 

以上説明したように、本変形例に係る循環型排水処理ユニット1によれば、処理
水貯留槽30で生じた余剰オゾンガスが、排気管路50を通して、生物処理槽20、
及び排水調整槽10へ遡って送出される。このため、排水の処理工程に沿って、
互いに前後の工程にあたる槽同士に排気管路50を繋げば足りるので、排気管路
50の敷設を容易に行うことができる。また、余剰オゾンガスの流れに対して中
間に位置する生物処理槽20に換気ユニットを設ける必要がなく、より一層コン
パクトな構成とすることができる。また、生物処理槽20で活用される余剰オゾ
ンガスの量は、排水調整槽10で活用される余剰オゾンガスの量よりも少ない。
生物処理槽20に先に余剰オゾンガスを供給することで、次に供給される排水調
整槽10において、余剰オゾンガスを最大限活用することが可能となる。このた
め、臭気を効率的に低減することが可能となる。

次に、第1実施形態のその他の変形例として、図4を用いて、排気管路50の変
形例を説明する。図4は、図2に示す排気管路50のその他の変形例を示す図で
ある。なお、この説明において、第1実施形態と同一の構成については同一の符
号を付し、その説明を省略する。この変形例に係る排気管路50では、余剰オゾ
ンガスが各槽を順番に流れるように構成されている。すなわち、処理水貯留槽30
で生じた余剰オゾンガスは、排水調整槽10に供給された後に、生物処理槽20
に供給される。 排気管路50は、第2排気管52と、第3排気管53とを備え
ている。第2排気管52の排水調整槽10における排気口は、例えば、第3排気
管53の排水調整槽10における吸気口から最も遠い位置に設置される。これに
より、余剰オゾンガスと臭気物質とが接触する機会を増やすことが可能になる。
なお、このような例に限られず、排水調整槽10で生じた余剰オゾンガスを、生
物処理槽20の液相に供給してもよい。つまり、第3排気管53の生物処理槽20
における排気口は、生物処理槽20の液相中にあってもよい。 

第2排気管52により、処理水貯留槽30から排水調整槽10に、例えば、常時、
余剰オゾンガスが供給される。排水調整槽10に供給された余剰オゾンガスは、排
水調整槽10で発生した臭気物質に対してオゾン処理を行う。これにより、排水
調整槽10から生じる臭気が低減する。 

第3排気管53により、排水調整槽10から生物処理槽20に、例えば、常時余
剰オゾンガスが供給される。生物処理槽20に供給された余剰オゾンガスは、生
物処理槽20で発生した臭気物質に対してオゾン処理を行う。これにより、生物
処理槽20から生じる臭気が低減する。 【0049】 すなわち、第2排気管52
および第3排気管53を介しては、処理水貯留槽30で生じた余剰オゾンガスが、
臭気がより強い排水調整槽10から生物処理槽20に向けて流れる。 この変形例
では、排水調整槽10に第2排気ユニット82は設けられておらず、生物処理槽
20にのみ第1排気ユニット81が設けられている。この変形例では、第1排気
ユニット81は、例えば、生物処理槽20の上部のうち、第3排気管53の排気
口から最も遠い位置に設置される。これにより、余剰オゾンガスと臭気物質とが
接触する機会を増やすことが可能になる。 50          

                                           この項つづく

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2.特開2023-150985 水処理システムの水質予測システム及び水質予測方法
【概要】 半導体装置製造などの分野において洗浄用途に純水や超純水が使用さ
れている。原水から純水あるいは超純水を製造するときは、原水に含まれるイオ
ン性不純物あるいは有機性不純物(TOC(全有機炭素:Total Organic Carbon
成分))は、イオン交換装置や逆浸透膜装置、紫外線照射装置などによって構成
された純水製造システムあるいは超純水製造システムにおいて、原水から除去さ
れる。以下の説明において「純水」というときは超純水も含まれ、「純水製造シ
ステム」というときは超純水製造システムも含まれるものとする。 純水製造に用
いる原水としては、これまで、河川水、井水、表層水などが用いられてきた。し
かしながら昨今の水資源の枯渇化傾向に対応するため、工場排水や生活排水など
を処理して得られる回収水が原水として用いられる場合も増えてきている。回収
水中のイオン、TOCなどの濃度、成分組成、比率は、河川水などと大きく異な
っていることが知られている。例えば、回収水中には難分解性TOC成分が含ま
れている可能性がある。難分解性TOC成分とは、逆浸透膜処理やイオン交換処
理、紫外線照射による紫外線酸化処理などでは除去しにくい有機成分のことであ
る。原水に難分解性TOCが含まれていると、既存の純水製造システムを用いて
その原水から純水を生成するときに、得られる純水の水質の低下、具体的には得
られる純水でのTOC濃度の増加が起こることがある。原水の水質に応じて、原
水の受け入れ可否や純水製造システムの運転条件を変化させることが求められてい
る。処理能力の大きい純水製造システムの場合、そのシステムに供給される原水
での水質の変化の影響が出口に及ぶまでに時間がかかるので、出口から得られる
処理水の水質における変化を検知してから原水の水質変化に対応することは適切
ではない。このため、ユースポイントに供給する純水を製造する純水製造システ
ム(メインの純水製造システム)とは別に、原水の水質評価のための小型の純水
製造システムすなわち評価用システムを設け、評価用システムで生成した純水の
水質を測定して原水の水質を評価することが提案されている。

下図1のごとく、少なくとも逆浸透膜装置52を備える純水製造システム50に
未知のTOC成分を含む原水を供給して純水を製造したときの水質を予測する水
質予測システム10は、少なくとも逆浸透膜装置22を備えて同じ原水が供給さ
れる評価用システム20と、原水のTOC濃度と評価用システムでのTOC濃度
とを測定する計測器25と、評価演算部26を備える。評価演算部26は、計測
器25で測定された各TOC濃度と、純水製造システム50の運転パラメータと、
評価用システム20の運転パラメータとに基づいて、純水製造システム50での
TOC濃度を算出することで、対象とする純水製造システムによって得られる純
水の水質を、より小型の純水製造システムである評価用システムを用いて予測す
る。

【符号の説明】10 水質予測システム 20 評価用システム 22,52 逆浸透
膜装置(RO) 23,53 紫外線照射装置(UV) 24,54 イオン交換装置
(IER) 25 計測器 26 評価演算部 50 純水製造システム 51 原水タン


3.特開2023-17487 水浄化システムおよび水浄化方法
【概要】海水、河川水、湖水、生活排水または工業排水等のように、不純物また
は汚染物質を含む水(以下「被処理水」)から浄化された水を得る方法として、
逆浸透膜を用いる方法がある。逆浸透膜を用いて被処理水の浄化処理を進めると、
逆浸透膜の表面に被処理水に含まれる有機物が堆積してファウリングが発生する。
逆浸透膜にファウリングが発生すると被処理水の浄化処理速度が低下するため、
浄化処理速度を維持するには被処理水に加える圧力を増加させる必要がある。こ
の場合、浄化処理のエネルギー消費量が増加することとなる。さらに、有機物の
堆積量が増加すると、逆浸透膜の洗浄等を行う必要が生じるため、浄化処理を停
止することとなる。
このような逆浸透膜のファウリングに伴う浄化処理の効率低下を抑制するため例
えば特許文献1には、図6に示す構成の水浄化システム101が開示されている。
水浄化システム101は、正浸透膜装置102と逆浸透膜装置103とを有し正
浸透膜装置102の二次側102cと逆浸透膜装置103の一次側103bとが、
循環水を循環させる環状水路104で接続されている。水浄化システム101で
は、正浸透膜装置102の一次側102bで受け入れた被処理水105から正浸
透膜102aによって水分を二次側102cの循環水に透過させる。そして、循
環水をポンプ107で加圧して逆浸透膜装置103の一次側103bに導入し、
逆浸透膜103aによって水分を二次側103cに透過させ、浄化水106を得
る。逆浸透膜装置103の一次側103bから排出された循環水は、環状水路1
04を通じて再び正浸透膜装置102の二次側102cに導入される。環状水路
104を循環する循環水は、溶質を含み、かつ有機物が排除されている。特許文
献1には、以上の構成の水浄化システムにより、逆浸透膜に有機物等のファウリ
ング原因物質が直接触れることがないため、逆浸透膜のファウリングの防止が可
能であることが記載されている。


図1 本実施形態に係る水浄化システムの全体構成を示す模式図 【符号の説明】

図6 従来の水浄化システムの全体構成を示す模式図

上図1のごとく被処理水から浄化水を得る水浄化システムは、循環水を循環させ
る環状水路と、環状水路に対して並列に設けられ、被処理水から循環水に水分
を透過させる第1の正浸透膜装置および第2の正浸透膜装置と、第1の正浸透膜
装置および第2の正浸透膜装置の下流に配置され、循環水を収容する第1の貯水
槽と、第1の貯水槽の下流に配置され、循環水から水分を透過させて浄化水を得
る逆浸透膜装置と、循環水を逆浸透膜装置に向けて加圧するポンプと、第1の正
浸透膜装置および第2の正浸透膜装置のいずれかへ循環水および被処理水を導入
する状態を切り替える切り替え機構とを備えることで、逆浸透膜装置におけるフ
ァウリングの発生を抑制するとともに、正浸透膜装置においてファウリングまた
は故障が発生した場合でも、水の浄化処理を停止する必要がなく、安定して水の
浄化処理を行うことができる水浄化システムを提供する。、

【符号の説明】 1 水浄化システム 12 環状水路 13a 第1の正浸透膜装置
13a1 正浸透膜 13b 第2の正浸透膜装置 13b1 正浸透膜 14 第1の
貯水槽 15 ポンプ 16 逆浸透膜装置 16a 逆浸透膜 17 第2の貯水槽
18 切り替え機構 20 制御装置 21 第1の測定装置 22 第2の測定装置
23 第1の調整装置 24 第2の調整装置 W1 被処理水 W2 循環水 W3
浄化水

(作用、効果)  本実施形態に係る水浄化システム1では、被処理水W1よりも
有機物濃度の低い循環水W2が逆浸透膜装置16に導入されるため、逆浸透膜装
置16に被処理水W1が導入される場合に比べて逆浸透膜装置16におけるファウ
リングの発生を抑制することができる。 また、水浄化システム1では、切り替え
機構18を用いて、第1の正浸透膜装置13aおよび第2の正浸透膜装置13b
への循環水W2および被処理水W1の導入状態を、第1の状態と第2の状態との
間で切り替えることができる。これにより、第1の状態で作動している水浄化シス
テム1において、使用中の第1の正浸透膜装置13aにファウリングが発生した
場合には、切り替え機構18によって第1の状態から第2の状態に切り替えるこ
とで、第1の正浸透膜装置13aを停止するとともに、停止中の第2の正浸透膜装
置13bの使用を開始することができる。また、切り替え機構18による切り替
えが行われるまでの間、第1の貯水槽14から循環水W2を逆浸透膜装置16に
供給することができる。

したがって、第1の正浸透膜装置13aにおいてファウリングが発生した場合で
も,
水の浄化処理を停止する必要がなく、安定して水の浄化処理を行うことができ
る。また、ファウリングが発生した第1の正浸透膜装置13aの洗浄等を、水の
浄化処理を停止することなく行うことができる。第2の正浸透膜装置13bでフ
ァウリングが発生した場合でも、切り替え機構18によって第2の状態から第1
の状態に切り替えることで、同様に安定して水の浄化処理を行うことができる。

また、使用中の第1の正浸透膜装置13aにファウリングが発生した場合であって
も、第1の測定装置21で測定された循環水W2の電気伝導率または懸濁物質濃度
が第1の範囲を若干外れた程度で、第2の範囲内であり、第1の正浸透膜装置13a
の洗浄等を行う必要がない場合には、第1の調整装置23を用いて循環水W2の
溶質濃度の調整または懸濁物質濃度の低減を行うことによって、適切な電気伝導
率および懸濁物質濃度の循環水W2を逆浸透膜装置に供給することができる。こ
れにより、安定して水の浄化処理を行うことができる。

また、第1の調整装置23を用いても循環水W2の電気伝導率および懸濁物質濃
度を第1の範囲内に調整することができず、例えば、第1の測定装置21で測定
された循環水W2の電気伝導率または懸濁物質濃度が第2の範囲を外れ、第1の
正浸透膜装置13aの洗浄等を行う必要が生じた場合には、切り替え機構18に
よって、使用中の第1の正浸透膜装置13aを停止するとともに、停止中の第2
の正浸透膜装置13bの使用を開始することができる。 【

さらに、逆浸透膜装置16にファウリングが発生する等の理由で、第2の測定装
置22で測定された循環水W2の電気伝導率が第3の範囲を外れた場合、循環水W
2と被処理水W1との溶質濃度差が適切な範囲から外れ、第1の正浸透膜装置13a
および第2の正浸透膜装置13bによる被処理水W1から循環水W2への水の透
過量が減少する可能性がある。 
しかし、水浄化システム1では、第2の測定装置22で測定された循環水W2の
電気伝導率が第3の範囲を外れたとしても、第2の調整装置24を用いて、第2
の測定装置22で測定される電気伝導率が所定の範囲内となるように循環水W2の
溶質濃度を調整することができる。したがって、第1の正浸透膜装置13aおよ
び第2の正浸透膜装置13bに適切な溶質濃度の循環水W2を供給することがで
き、より安定して水の浄化処理を行うことができる。
水浄化システム1では、第1の測定装置21で測定された循環水W2の電気伝導
率または懸濁物質濃度が第1の範囲を外れてはいるものの第2の範囲内である場
合には、第1の正浸透膜装置13aのファウリングの程度が低い傾向にあるため、
第1の正浸透膜装置13aの洗浄等を行わなくても第1の調整装置23の補助によ
り、循環水の溶質濃度の調整または懸濁物質濃度の低減を行うことができる。

また、第1の測定装置21で測定された循環水W2の電気伝導率または懸濁物質
濃度が第2の範囲を外れる場合には、第1の正浸透膜装置13aのファウリング
の程度が高い傾向にあるため、第1の調整装置23で補助しても十分に循環水W2
の溶質濃度の調整または懸濁物質濃度の低減を行うことができない。そのため、
第1の正浸透膜装置13aの洗浄等を行う必要があることから、切り替え機構18
によって使用中の第1の正浸透膜装置13aを停止するとともに停止中の第2の
正浸透膜装置13bの使用を開始する。したがって、第1の正浸透膜装置13aを
十分に使用することができるとともに、安定して水の浄化処理を行うことができ
る。第2の正浸透膜装置13bについても同様である。 

切り替え機構18によって、第2の状態に切り替えた後は、そのままの状態で使
用を継続してもよく、第1の正浸透膜装置13aの洗浄等を行った後、第1の状
態に切り替えて使用してもよい。切り替え機構18の操作は、制御装置20によっ
ても行うことができ、手動でも行うことができる。また、水浄化システム1では、
第1の測定装置21で測定された循環水W2の電気伝導率または懸濁物質濃度に
基づいて、第1の調整装置23および切り替え機構18の制御を行うことができ
るだけでなく、第2の測定装置22で測定された循環水W2の電気伝導率または
懸濁物質濃度に基づいて、第2の調整装置24の制御を行うことができる。第2
の測定装置22で測定された循環水W2の電気伝導率が第3の範囲を外れた場合、
第2の調整装置を用いて、電気伝導率が第3の範囲内となるように循環水W2の
溶質濃度を調整することができる。

そのため、第1の正浸透膜装置13aおよび第2の正浸透膜装置13bに適切な
溶質濃度の循環水W2を供給することができ、より安定して水の浄化処理を行う
ことができる。本実施形態に係る水浄化方法では、第1の測定装置21で測定さ
れた循環水W2の電気伝導率または懸濁物質濃度が第1の範囲を外れてはいるも
のの第2の範囲内である場合には、第1の正浸透膜装置13aのファウリングの
程度が低い傾向にあるため、第1の正浸透膜装置13aの洗浄等を行わなくても
第1の調整装置23の補助により、循環水W2の溶質濃度の調整または懸濁物質
濃度の低減を行うことができる。また、第1の測定装置21で測定された循環水
W2の電気伝導率または懸濁物質濃度が第2の範囲を外れる場合には、第1の正
浸透膜装置13aのファウリングの程度が高い傾向にあるため、第1の調整装置
23で補助しても十分に循環水W2の溶質濃度の調整または懸濁物質濃度の低減
を行うことができないおそれがある。そのため、第1の正浸透膜装置13aの洗
浄等を行う必要があることから、使用中の第1の正浸透膜装置13aを停止する
とともに停止中の第2の正浸透膜装置13bの使用を開始する。 


そのため、第1の正浸透膜装置13aを十分に使用することができるとともに、
安定して水の浄化処理を行うことができる。第2の正浸透膜装置13bについて
も同様である。 本実施形態に係る水浄化方法では、逆浸透膜装置1
6にファウリングが発生する等の理由で、第2の測定装置22で測定された循環
水W2の電気伝導率が第3の範囲を外れた場合、第2の調整装置24を用いて、
電気伝導率が第3の範囲内となるように第2の貯水槽17に収容された循環水W
2の溶質濃度を調整することができる。これにより、第1の正浸透膜装置13a
および第2の正浸透膜装置13bに適切な溶質濃度の循環水を供給することができ
、より安定して水の浄化処理を行うことができる。




  

さだまさし 1991.06.25
奇跡〜大きな愛のように
          



「ムーラン・ルージュの歌」(The song from Moulin Rouge)は、1953年にフェリ
シア・サンダースのヴォーカルをフューチュアしたパーシー・フェイスの演奏盤
が全米第1位を獲得した。映画「赤い風車」(1952)の主題歌でジョルジュ・オー
リックの作品に当初はフランスのジャック・ラリューのフランス語の歌詞がつい
たが映画ではウィリアム・エンヴィックの英詩が使用され"Where is your heart"と
題された。レコードはパーシー・フェイスの他,マントヴァーニ, ヘンリ・レネ
盤がチャートにはいる。
「赤い風車」はホセ・ファーラー,コレット・マルシャン,ザ・ザ・ガボール主演
のイギリス映画でフランスの画家ロートレックの生涯を描いた作品でテーマ曲の
オリジナル・タイトルは "Le long de la Seine"。 パーシー・フェイスは この後。
ステレオで再録音して「夏の日の恋」とともにムード音楽の代表作となっている。
マントヴァーニの録音もゴールド・ディスクを獲得している。

夜の寸評: 一人ひとつの積み重ね
                            Do what you can now, and build on that one by one.

    

 

コメント
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新成長経済理論考 ㉕

2024年01月02日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。

 

 

滋賀県にはパワースポットがいっぱい!
滋賀県内の2024年の初詣におすすめの辰・龍・竜にまつわる神社・仏閣や、年始
に訪れたいスポットのご紹介。  
2024年の干支は、辰(龍・竜)です。龍・竜は、雨や水をつかさどる神様としてま
つられることも多い想像上の生き物。願いをかなえる如意宝珠と呼ばれる玉を持
つことから、幸運をもたらす縁起の良いものとしても知られる。豊かな水をたた
える琵琶湖が位置する滋賀県には、龍・竜にまつわる神社・仏閣が数多く存在す
る。新しい年の始まりを、そんな滋賀県内のさまざまなパワースポットで運気を
あげましょう。
※ 沙沙貴神社で初詣と蝋梅鑑賞➲彦根城で初登城、四番スクエアでひこにゃ
を追っかけ、帰宅し掛け蕎麦を戴き暫くすると、16時10分(JST:日本標準時間
)に、日本の石川県能登半島にある鳳珠郡穴水町の北東42 kmを震央とした地震
が発生。さらに、2日午後5時47分頃に新千歳発羽田行き日本航空516便(
エアバスA350型機、乗客乗員379人)と、海保羽田航空基地所属「MA
722」(ボンバルディアDHC8型機、乗員6人)が衝突し、いずれも炎上、
大破した事故が発生し震撼させる。

 
  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era
新成長経済理論考 ㉕


有機ハイブリッド半導体製造事業新生時代
昨年12月20日、名古屋大学真空蒸着プロセスに使用でき、形態的に安定な蒸着膜
を与える「フラーレン(C60)誘導体」を開発し、それを電子輸送層に用いて、ペロ
ブスカイト太陽電池の課題だった耐久性を向上させた。これに先立つ2月28月に
富士経済は。ペロブスカイト太陽電池などの市場展望をまとめた「2023年版 新型・
次世代太陽電池の開発動向と市場の将来展望」で、2035年に1兆円規模に拡大す
ると予測している。


図.ペロブスカイト太陽電池の市場規模推移の予測 出典:富士経済 

ペロブスカイト太陽電池は一部で商用化が進んでいるものの、実証段階のメーカ
が多く、用途としては、IoTデバイス、建材一体型太陽電池、結晶シリコン太陽
電池に重ね合わせることで発電効率向上が期待されるタンデム型が有望としてい
る。 タンデム型は、結晶シリコン太陽電池の高付加価値化製品としての展開や
既存の生産ラインを活用した生産体制の確立などが可能なことから、大手の結晶
シリコン太陽電池メーカによる開発も増加。量産に向けて、欧州・中国メーカを
中心に動きが活発化しており、パイロットラインの稼働と生産技術の検証などを
経て、2020年代半ばに量産が本格的に進むと見通す。


図1 セル変換効率は単接合で25%超、Si系とのタンデムではほぼ30%

ペロブスカイト太陽電池の単接合の小セル(赤丸)と結晶Si太陽電池とのタンデム
セル(水色または青色の丸)の変換効率の推移。単接合セルは2016年以降、効率
が23%台で3年ほど足踏みしたが、2019年半ばから再び上昇をし始め、2021年に
は25%台の成果が各研究機関から相次いでいる。現在の最高値は韓国Ulsan Nati-
onal Institute of Science and Technology (UNIST)
が開発したセルの25.8%(ただし
第三者機関認➲定未取得)。結晶Si太陽電池とのタンデムセルは2019年に結晶Si
太陽電池の最高効率を超えた。現在、4端子型では既に30.08%と“大台”にのり
2端子型でも29.8%と30%台が目前になっている。
そこで、ペロブスカイト太陽電池は無機・有機を材料するハイブリッド太陽電池
であるが、ここでは、有機半導体技術の最新動向・展望を同じく矢野経済研究所
の「2025年の有機トランジスタ世界市場規模は1,800億円に拡大を予測」は参考
記載し、次にその製造技術動向俯瞰する。


図.有機トランジスタ世界市場規模予測       

有機トランジスタ[有機電界効果トランジスタ(OFET:Organic Field Effect Trans-
istor
)]は、有機半導体を活性層に用いて電流を制御するFETである。これまで、
優れた特性を持つシリコン(Si)を代表とする無機材料で半導体産業は興隆して
きたが、無機系半導体は微細化の限界に突き当たって苦悩している。そこに遅れ
て登場した有機半導体は、無機系にはない優れた特長を有し、有機トランジスタ
は、有機半導体材料を溶液にしてスピンコート法などによって基板上に塗布する
溶液プロセスによって作製することができ、低コストかつ大面積・フレキシブル
な電子製品への応用を目指して開発が進められている。

​有機トランジスタでは、無機材料に比べると膨大な種類の材料を活用することが
出来る。加えて、有機分子の設計自由度、幅広い膜構造可能性、多様な作製プロ
セスなどが挙げられ、有機トランジスタが優れている点として、以下のようなこ
とを挙げることができる。
・第1に、作製プロセスが簡略である。液体に溶かすことができるので、インク
 ジェットプリンターを用いて、簡単に複雑な模様を描くことができる。また、
 有機トランジスタなら200℃以下という低温で、熱に弱いフィルムやプラスチ
 ック基板と組み合わせたデバイスも作製可能である。
・第2に、材料の分子設計の自由度が高い。目的に合わせて、置換基(ちかんき
 )をつけたり、ベンゼン環の長さを変えるなど、少しずつ設計を変えた有機ト
 ランジスタを簡単に合成することができる。
・第3に、優れた柔軟性を有している。有機トランジスタの材料はπ共役系有機
 材料なので、膜形成はもとより、丸めたり折り曲げたりすることができる。こ
 れまで、四角く平たい形しかなかったディスプレイも、有機半導体で作ればフ
 レキシブル形状が可能になる。 こうした有機トランジスタの特長から、バイオ
 センサーや、フレキシブル電子デバイスなどのディスプレイ駆動、RFIDなどの
 無線タグ(情報タグ)、高性能モバイル端末の集積回路などの応用分野に向け
 た開発が期待されている。

【注目事業】
超短波帯で動作する有機トランジスタの開発が進展
有機トランジスタの開発において、応答周波数として世界最速の38MHzが達成さ
れており、この値は現在、物流管理などに広く用いられているRFIDタグの通信周
波数である13.56MHzより十分に大きな値。
無線タグの給電に十分応用可能なレベ
ルに達している。さらに、超短波帯はFMラジオ放送やアマチュア無線などの電波
として利用されていることから、将来、応答周波数がさらに増加することで、超
短波帯を利用した長距離無線通信が可能な有機集積回路の実現が期待される。
有機トランジスタは、比較的簡便な印刷プロセスで量産できることから、今後の
IoT社会を担う物流管理に用いられる低コストの無線タグや、電磁波から電力を供
給する無線給電システムへの幅広い展開が想定されている。

【展望】
2025年の有機トランジスタ世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)を1,800億円
、2045年の同市場規模を2025年比10.9倍の1兆9,690億円になると予測する。2025
年の世界市場をデバイス需要分野別にみると、ディスプレイ駆動が最も大きく、
全体の59.4%を占め、次いでバイオセンサーが13.9%、化学センサーが11.1%、
その他は15.6%になると予測する。無機系にはない優れた特長を有した有機デバ
イスの展望は明るい見通し。
------------------------------------------------------------------------
【特許事例研究】
1.特開2023-130000 高分子化合物及びその製造方法、並びにそれを用いた有機
 薄膜太陽電池及び有機トランジスタ
【概要】
近年、有機半導体材料を利用した有機薄膜太陽電池や有機トランジスタ等に関す
る研究開発が盛んに行われている。太陽電池は光入力に対して電気出力を示す装
置であり、化石燃料の枯渇問題や地球温暖化問題を背景に、クリーンエネルギー
として注目され、実用化されている。これまでシリコン系太陽電池が広く実用化
されているが、塗布プロセスで製造可能なことやフレキシブル化、シースルー化
が可能なことから有機薄膜太陽電池が新しい太陽電池技術として注目を集めてお
り、高効率化を目指した種々の有機薄膜太陽電池材料の開発が行われている。ま
た、有機トランジスタは、無機トランジスタ膜に対して、軽量性、低製造コスト
、及び柔軟性に優れていることから、ディスプレイ、RFIDradio frequency ident-
ifier
)、物質センサ等の装置等への応用研究が盛んに行われている。電子供与体
として機能する有機薄膜太陽電池材料として、ナフタレンを基調とした電子欠損
性骨格が知られている。この骨格は、広いπ共役系を持つため、半導体ポリマー
のビルディングユニットとして用いられてきた。
例えば、特許文献特開2021-38288には、ポリマー主鎖のナフトビスチアジアゾー
ル環にチオフェン環が二つ縮合した構造の高分子化合物(例えば、式1で表され
る高分子化合物)が開示されている。


下図1のごとく、高分子化合物は、式(1)で表される繰り返し単位を含む。式
(1)中、R1は水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基、Ar1は特定のアリ
ーレン基である良好な光電変換効率を示す高分子化合物、高分子化合物の製造方
法、有機薄膜太陽電池、有機トランジスタを提供する。


図1 実施例の有機薄膜太陽電池素子1における電流密度-電圧特性を示す図

                               - 中 略 -
【実施例】
(高分子化合物) 本実施の形態に係る高分子化合物は、前記式(1)で表され
る繰り返し単位を含む(以下、「高分子化合物(1)」と称する)。前記式(1)
中のR1に含まれるアルキル基の炭素数は6~30であることが好ましい。また、
Ar中のR、R、R、R、R6、、R及びR10に含まれるアルキル
基の炭素数は6~30であることが好ましい。これらアルキル基は直鎖状でも
分岐鎖状でもよいが、湿式成膜法等の塗布法によって成膜することを考慮すると
分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。R、R、R、R、R、R
7、R、R及びR10に含まれるハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素又はヨ
ウ素であることが好ましい。 
高分子化合物(1)の重量平均分子量は、10,000~1,000,000の
範囲であることが好ましい。また、数平均分子量は10,000~200,00
0の範囲であることが好ましい。平均分子量は、ポリスチレン標準試料を適用し、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)等を用いて測定する。例えば、
株式会社島津製作所 Prominence(登録商標)GPCシステムを用いることができ
る。
(中間体化合物) 本実施の形態に係る化合物は、前記式(5)で表される(以
下、「中間体化合物(5)」と称する)。前記式(5)中のRに含まれるアル
キル基の炭素数は6~30であることが好ましい。これらアルキル基は直鎖状でも
分岐鎖状でもよいが、分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。Rに含ま
れるハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であることが好ましい。ま
た、Xのハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であることが好ましい。

中間体化合物(5)及び高分子化合物(1)の製造方法) 中間体化合物(5)
の製造方法は、特に限定されない。一例として、以下の反応スキームで中間体化
合物(5)を製造することができる。また、高分子化合物(1)の製造方法は、
特に限定されない。一例として、前記の中間体化合物(5)から高分子化合物(
1)を製造することができる。好ましい工程を以下の反応スキームに沿って説明し、
より具体的な一例は、後述する実施例に記載する。


上記式中、R1は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基であり、Xはハロゲ
ン原子であり、その一例としてフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。Me
はメチル基である。また、nは繰り返し単位を意味する整数である。Ar1は下
記式で表される基から選ばれる少なくとも一つのアリーレン基であり、*は結合
手を示す。


式中、R2、R3、、R5、、R、R及びR10は、それぞれ独立に、水
素原子、ハロゲン原子又はアルキル基であり、R7は、水素原子又はハロゲン原
子である。
式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」と称する)は、「NPG Asia
Matter
10,1016-1028(2018)」に記載された方法に準じて製造することができる。 

<第1工程>
化合物(2)から、式(3)で表される化合物(以下、「化合物(3)」と称す
る)を製造する(第1工程)。
  第1工程は、具体的には、化合物(2)とメチルチオ化剤を反応させて化合物
(3)を生成させる工程である。メチルチオ化剤としては、ナトリウムメタンチ
オラート等が挙げられる。第1工程の反応は、必要に応じて溶媒の存在下で行う
ことができる。溶媒としては、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよ
く、例えば2,2,6,6-テトラメチルピペリジンアミンのようなアミン塩基
;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリルのような非プロト
ン性極性溶媒;テトラヒドロフラン(THF)のようなエーテル類;等から一種
又は二種以上を適宜選択することができる。反応温度は、通常、-78℃~140℃が
好ましく、0~1120℃がより好ましい。反応時間は、通常、0.5~48時間で
ある。得られた化合物(3)は精製してもよい。また、化合物(3)は、下記第
2工程に供する前に精製することが好ましい。 

<第2工程>
次いで、化合物(3)から、式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」
と称する)を製造する(第2工程)。 第2工程は、具体的には、化合物(3)
と酸化剤とを反応させて、化合物(4)を得る工程である。酸化剤としては、当
該反応が進行すれば特に限定されず、例えば、メタクロロ過安息香酸(m-CP
BA)、過酸化水素、過ヨウ素酸ナトリウム、ペルオキシ一硫酸カリウム(オキ
ソン)等が挙げられる。酸化剤は、化合物(3)1当量に対して、好ましくは1
~20当量、より好ましくは1~10当量の割合で使用することができる。溶媒とし
ては、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、クロロホル
ムのような有機塩素系溶媒類;テトラヒドロフラン(THF)のようなエーテル類
;等から一種又は二種以上を適宜選択することができる。反応温度は、通常、-
78~100℃が好ましく、0~100℃がより好ましい。反応時間は、通常、0.5~
48時間である。化合物(4)は、下記第3工程に供する前に精製することが好ま
しい。

<第3工程>
次いで、化合物(4)から、中間体化合物(5)を製造する(第3工程)。 
第3工程は、具体的には、化合物(4)と脱メタノール化剤を反応させて、中間
体化合物(5)を得る工程である。脱メタノール化剤は、当該反応が進行すれば
特に限定されず、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、五酸化二リン、トリ
フルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、塩化ホスホリル等が挙げ
られる。当該反応は、無溶媒で行ってもよいが、ジクロロメタン等を使用するこ
ともできる。反応温度は、通常、0~200℃が好ましく、0~120℃がより好まし
い。反応時間は、通常、1~48時間である。得られた中間体化合物(5)は精製
してもよい。また、中間体化合物(5)は、下記第4工程に供する前に精製する
ことが好ましい。

<第4工程>
次いで、中間体化合物(5)と式(6)で表される化合物(以下、「化合物(6
)」と称する)から、高分子化合物(1)を製造する(第4工程)。化合物(6
)は、例えば、「WO2009/081372」等を参考に合成することができる。 
第4工程は、具体的には、中間体化合物(5)と、化合物(6)とを反応させて
高分子化合物(1)を製造する工程である。溶媒中で中間体化合物(5)と化合
物(6)とを触媒存在下で反応させる。溶媒としては、トルエン、クロロベンゼ
ン、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。
触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh
)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Ⅱ)ジクロリド(Pd(PPh
Cl)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba)
)等が挙げられる。反応温度は、例えば80℃~200℃とすることができる。得ら
れた高分子化合物(1)は精製してもよい。このようにして、本発明の高分子化
合物(1)を製造することができる。

(有機半導体膜形成用組成物)
次に、本発明の有機半導体膜形成用組成物について、説明する。この有機半導体
膜形成用組成物は、本発明の高分子化合物(1)を含有し、本発明の有機半導体
膜の形成に好ましく用いられる。
(本発明の高分子化合物)
本発明の高分子化合物(1)は、上述した方法で製造できるものを、一種単独で
用いてもよいし、二種以上併用してもよい。有機半導体膜形成用組成物の、上記
高分子化合物の含有率は、特に限定されず、例えば、後述する溶媒を除いた固形
分中の含有率で表すと、後述する有機半導体膜中の高分子化合物の含有率と同じ
範囲にすることが好ましい。 

(バインダーポリマー)
 有機半導体膜形成用組成物は、バインダーポリマーを含有していてもよい。こ
の組成物がバインダーポリマーを含有していると、膜質の高い有機半導体膜が得
られる。このようなバインダーポリマーとしては、特に限定されず、例えば、ポ
リスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリカーボネート、ポリアリレート
、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポ
リスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロー
ス、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等の絶縁性ポリマー、又は、これらの
共重合体が挙げられる。これら以外にも、例えば、エチレン-プロピレンゴム、
アクリロニトリル-ブタジエンゴム、水素化されたニトリルゴム、フッ素ゴム、
パーフルオロエラストマー、テトラフルオロエチレンプロピレン共重合体、エチ
レン-プロピレン-ジエン共重合体、スチレン-ブタジエンゴム、ポリクロロプ
レン、ポリネオプレン、ブチルゴム、メチルフェニルシリコーン樹脂、メチルフ
ェニルビニルシリコーン樹脂、メチルビニルシリコーン樹脂、フルオロシリコー
ン樹脂、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン
、クロロポリエチレン、エピクロロヒドリン共重合体、ポリイソプレン-天然ゴ
ム共重合体、ポリイソプレンゴム、スチレン-イソプレンブロック共重合体、ポ
リエステルウレタン共重合体、ポリエーテルウレタン共重合体、ポリエーテルエ
ステル熱可塑性エラストマー若しくはポリブタジエンゴム等のゴム、又は、熱可
塑性エラストマー重合体が挙げられる。更には、例えば、ポリビニルカルバゾー
ル若しくはポリシラン等の光伝導性ポリマー、ポリチオフェン、ポリピロール、
ポリアニリン若しくはポリパラフェニレンビニレン等の導電性ポリマー、又は、
Chemistry of Materials,2014,26,647.等に
記載の半導体ポリマー等が挙げられる。

                - 中略  -

バインダーポリマーは、電荷移動度を考慮すると、極性基を含まない構造を有す
ることが好ましい。ここで、極性基とは、炭素原子及び水素原子以外のヘテロ原
子を有する官能基をいう。極性基を含まない構造を有するバインダーポリマーと
しては、上記の中でも、ポリスチレン又はポリ(α-メチルスチレン)が好まし
い。また、半導体ポリマーも好ましい。

バインダーポリマーのガラス転移温度は、特に限定されず、用途等に応じて適宜
設定される。例えば、有機半導体膜に強固な機械的強度を付与する場合、ガラス
転移温度を高くすることが好ましい。一方、有機半導体膜にフレキシビリティー
を付与する場合、ガラス転移温度を低くすることが好ましい。
バインダーポリマーは、一種単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。
有機半導体膜形成用組成物の、バインダーポリマーの含有率は、特に限定されず
、例えば、固形分中の含有率としては、後述する有機半導体膜中のバインダーポ
リマーの含有率と同じ範囲にすることが好ましい。バインダーポリマーを含有し
た有機半導体膜形成用組成物を用いて有機半導体膜を形成すると、有機半導体膜
の耐久性が更に向上する。バインダーポリマーの重量平均分子量は、特に限定さ
れないが、1,000~1,000万が好ましく、3,000~500万がより
好ましく、5,000~300万が更に好ましい。 

(溶媒)
有機半導体膜形成用組成物は、溶媒を含有していてもよい。このような溶媒とし
ては、上述の高分子化合物(1)を溶解又は分散させるものであれば特に限定さ
れず、無機溶媒又は有機溶媒が挙げられる。中でも、有機溶媒が好ましい。溶媒
は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。 

                - 中略  -
(その他の成分)
本発明の有機半導体膜形成用組成物は、本発明の高分子化合物(1)及び溶媒以
外の成分を含有してもよい。このような成分として、各種の添加剤等が挙げられ
る。添加剤としては、有機半導体膜形成用組成物に通常用いられるものを特に制
限されることなく、用いることができる。例えば、界面活性剤、酸化防止剤、結
晶化制御剤又は結晶配向制御剤等が挙げられる。界面活性剤及び酸化防止剤とし
ては、例えば、特開2015-195362号公報の段落番号0136及び01
37の記載のものが挙げられ、この段落の記載がそのまま本明細書に好ましく取
り込まれる。 有機半導体膜形成用組成物の、添加剤の含有率は、特に限定され
ず、例えば、固形分中の含有率としては、後述する有機半導体膜中の、添加剤の
含有率と同じ範囲にすることが好ましい。添加剤の含有率が上記範囲にある有機
半導体膜形成用組成物を用いて有機半導体膜を形成すると、膜形成性に優れ、有
機半導体膜の耐熱性がより向上する。

                - 中略  -
(調製方法)
有機半導体膜形成用組成物の調製方法としては、特に制限されず、通常の調製方
法を採用することができる。例えば、所定量の各成分を混合機や撹拌機等で適宜
混合処理することにより、本発明の有機半導体膜形成用組成物を調製することが
できる。必要により、各成分を適宜混合処理中又は後に加熱することもできる。
加熱温度は、特に限定されず、例えば、40~150℃の範囲で行うことが好ま
しい。溶媒を用いる場合は、上記加熱温度の範囲であって溶媒の沸点未満の温度
で行うことが好ましい。

 (有機半導体膜)
次に、本発明の有機半導体膜に関して説明する。本発明の有機半導体膜は、本
発明の高分子化合物(1)を含んでいる。有機半導体膜の膜厚は、1nm~1
000nmであることが好ましく、2nm~1000nmであることがより好ま
しく、5nm~500nmであることが更に好ましく、20nm~200nm
であることが特に好ましい。

有機半導体膜を製造する工程には、本発明の高分子化合物(1)を配向させる工
程が含まれていてもよい。この工程により本発明の高分子化合物(1)を配向さ
せてなる有機半導体膜は、本発明の高分子化合物(1)の主鎖部分又は側鎖部分
が一方向に並ぶので、移動度が向上する。 

                - 中略  -

(有機半導体膜の製造方法)
本発明の有機半導体膜の製造方法は、本発明の有機半導体膜形成用組成物を、基
板上に塗布する工程を有する方法であれば、特に限定されない。この工程におい
ては、上述した、本発明の有機半導体膜形成用組成物を用いる。本発明において、
有機半導体膜形成用組成物を基板上に塗布するとは、有機半導体膜形成用組成物
を基板に直接塗布する態様のみならず、基板上に設けられた別の層を介して基板
の上方に有機半導体膜形成用組成物を塗布する態様も含むものとする。有機半導
体膜形成用組成物が塗布される別の層(有機半導体膜に接する、有機半導体膜の
土台となる層)は、有機トランジスタの構造により必然的に定まる。例えば、ボ
トムゲート型の場合、ゲート絶縁膜であり、トップゲート型(トップゲート-ボ
トムコンタクト型及びトップゲート-トップコンタクト型)の場合、ソース電
極又はドレイン電極である。
【0067】 有機半導体膜を形成する際に、基板を加熱又は冷却してもよい。
基板の温度を変化させることで、良好な膜質を与えることができ、また、有機半
導体膜中における本発明の高分子化合物(1)のパッキングを制御することがで
きる。基板の温度としては、特に制限されない。例えば、0~200℃の範囲内で
設定されることが好ましく、15~100℃の範囲内で設定されることがより好ましく
20~95℃の範囲内で設定されることが特に好ましい。
有機半導体膜を形成する方法は、特に限定されず、真空プロセス又は溶液プロセ
スが挙げられ、いずれも好ましい。真空プロセスとしては、例えば、真空蒸着法
、スパッタリング法、イオンプレーティング法、若しくは、分子ビームエピタキ
シー(Molecular Beam Epitaxy :MBE)法等の物理気相成長法、又は、プラズマ重
合等の化学気相蒸着(Chemical Vaper Depositeion:CVD)法が挙げられる。中でも
真空蒸着法が好ましい。

本発明の高分子化合物(1)は、上述のように大気下においても安定である。し
たがって、溶液プロセスは大気下において行うことができ、更には、本発明の有
機半導体膜形成用組成物を大面積で塗布することができる。溶液プロセスにおけ
る、有機半導体膜形成用組成物の塗布方法としては、通常の方法を用いることが
できる。例えば、ドロップキャスト法、キャスト法、ディップコート法、ダイコ
ーター法、ロールコーター法、バーコーター法、若しくは、スピンコート法等の
塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソグラ
フィー印刷法、オフセット印刷法、若しくは、マイクロコンタクト印刷法等の各
種印刷法、又は、Langmuir-Bilodgett(LB)法等の方法が挙げられる。中でも、ド
ロップキャスト法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、グラビア
印刷法、フレキソグラフィー印刷法、オフセット印刷法又はマイクロコンタクト
印刷法が好ましい。
溶液プロセスにおいては、好ましくは、基板上に塗布した有機半導体膜形成用組
成物を乾燥する。乾燥は徐々に行うことが更に好ましい。有機半導体膜形成用組
成物の乾燥は、加熱した基板上で、自然乾燥又は加熱乾燥させてから、減圧乾燥
することが、良好な膜質を得るという点で、好ましい。自然乾燥又は加熱乾燥時
の基板の温度は、20~100℃であることが好ましく、20~80℃であるこ
とがより好ましい。自然乾燥又は加熱乾燥時間は0.5~20時間であることが
好ましく、1~10時間であることがより好ましい。 減圧乾燥時の温度は、2
0~100℃であることが好ましく、20~80℃であることがより好ましい。
減圧乾燥時間は1~20時間であることが好ましく、2~10時間であることが
より好ましい。減圧乾燥時の圧力は、10-6~10-2Paであることが好ま
しく、10-5~10-3Paであることがより好ましい。 このようにして乾
燥した有機半導体膜形成用組成物を必要により成形等して、所定の形状又はパタ
ーンとすることもできる。
 
(有機トランジスタ)
次に、本発明の高分子化合物(1)を用いた上述の有機半導体素子の中でも好ま
しい形態である、本発明の有機薄膜トランジスタ(organic thin film transistor、有
TFTともいう)について、説明する。 本発明の有機トランジスタは、上述した
本発明の有機半導体膜を備えている。これにより、本発明の有機トランジスタは
高い移動度を示し、しかも大気下に置いても経時による半導体特性の低下を効果
的に抑えられ、安定的に駆動する。本発明において、大気下での周辺温度又は湿
度は、有機トランジスタの使用環境での温度又は湿度であれば特に限定されず、
例えば温度としては室温(25±15℃)、湿度としては10~90RH%が挙げられる。
【0073】 本発明の有機トランジスタは、電界効果型トランジスタとして用
いられることが好ましく、ゲート-チャネル間が絶縁されている絶縁ゲート型
FETとして用いられることがより好ましい。本発明の有機トランジスタの厚さは、
特に限定されないが、より薄いトランジスタとする場合には、例えば、トランジ
スタ全体の厚さを0.1~0.5μmとすることが好ましい。

本発明の有機トランジスタは、本発明の有機半導体膜(有機半導体層又は半導体
活性層ともいう)を有し、更に、ソース電極と、ドレイン電極と、ゲート電極と
ゲート絶縁膜を有することができる。 本発明の有機トランジスタは、基板上に、
ゲート電極と、有機半導体膜と、ゲート電極及び有機半導体膜の間に設けられた
ゲート絶縁膜と、有機半導体膜に接して設けられ、有機半導体膜を介して連結さ
れたソース電極及びドレイン電極とを有する。この有機トランジスタにおいては
有機半導体膜とゲート絶縁膜が隣接して設けられる。 本発明の有機トランジスタ
は、上記各層を備えていればその構造については特に限定されない。例えば、ボ
トムコンタクト型(ボトムゲート-ボトムコンタクト型及びトップゲート-ボト
ムコンタクト型)、又は、トップコンタクト型(ボトムゲート-トップコンタク
ト型及びトップゲート-トップコンタクト型)等のいずれの構造を有していても
よい。本発明の有機トランジスタは、より好ましくは、ボトムゲート-ボトムコ
ンタクト型又はボトムゲート-トップコンタクト型(これらを総称してボトムゲ
ート型という)である。 基板の材料は、有機トランジスタとしての特性を阻害
しない材料であればよく、特に限定されない。基板としては、例えば、ガラス基
板、シリコン基板、フレキシブルであってもよいフィルム基板及びプラスチック
基板を用いることができる。

有機半導体層の形成においては、塗布が可能なように、有機溶媒に可溶性を示す
本発明の高分子化合物(1)を用いることが、溶液プロセスによる塗布を可能に
し、有機トランジスタを製造する上で有利であるので好ましい。本発明の高分子
化合物は優れた溶解性を有していることから、上述した有機半導体膜の製造方法
を採用することにより、有機半導体層となる有機薄膜を良好に形成することがで
きる。 【0077】 絶縁層の材料は、電気の絶縁性が高い材料であればよく、
公知の材料を用いることができる。絶縁層の材料としては、例えば、SiOx、
SiNx、Ta2O5、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノ
ール、有機ガラス及びフォトレジストが挙げられる。低電圧化を達成するという
観点から、絶縁層は、誘電率の高い材料で形成されていることが望ましい。

絶縁層上に有機半導体層を形成する場合は、絶縁層と有機半導体層との界面特性
を改善するために、絶縁層の表面をシランカップリング剤等の表面処理剤で処理
して表面改質した後に、有機半導体層を形成することも可能である。表面処理剤
としては、長鎖アルキルクロロシラン類、長鎖アルキルアルコキシシラン類、ア
リールアルキルクロロシラン類、アリールアルキルアルコキシシラン類、フッ素
化アルキルクロロシラン類、フッ素化アルキルアルコキシシラン類、ヘキサメチ
ルジシラザン等のシリルアミン化合物が挙げられる。表面処理剤で処理する前に
絶縁層の表面をオゾンUV、O2プラズマで処理しておくことも可能である。
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の材料としては、例えば、アルミニウム
金、銀、銅、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属、及びそれらの半透明
膜、透明導電膜が挙げられる。また、作製された有機トランジスタを保護するた
めに、当該有機トランジスタ上に保護膜を形成することが好ましい。これにより
、有機トランジスタが大気から遮断され、有機トランジスタの特性の低下を抑え
ることができる。また、保護膜により、有機トランジスタによって駆動する表示
デバイスを当該有機トランジスタ上に形成する工程における、外部からの影響を
低減することができる。
保護膜の材料としては、例えばUV硬化樹脂、熱硬化樹脂、及び無機化合物であ
るシリコン酸窒化膜(SiONx膜)が挙げられる。有機トランジスタを保護す
る方法
としては、例えば、当該有機トランジスタ表面に、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂又
はSiONx膜からなる保護膜を形成する(有機トランジスタを保護膜でカバー
する)方法が挙げられる。大気との遮断を効果的に行うため、有機トランジスタ
を作製後、保護膜を形成するまでの工程は、有機トランジスタを大気に曝すこと
のない雰囲気下、例えば乾燥した窒素雰囲気下、又は真空下で行うことが好まし
い。
このような電界効果型有機トランジスタは、公知の方法、例えば、特開平5-110
069号公報に記載の方法に準じて製造することができるまた、静電誘導型有機ト
ランジスタは、公知の方法、例えば、特開2004-006476号公報に記載の方法に準
じて製造することができる。

(有機トランジスタの用途)
本発明の高分子化合物(1)は、π共役系が拡張された構造であるため、強い分
子間相互作用を持ち、高い結晶性を有する。これらのことから、有機トランジス
タの活性層に用いた場合、移動度等の特性が良好である。上述の有機トランジス
タは、その用途については特に限定されず、例えば、電子ペーパー、ディスプレ
イデバイス、センサ、電子タグ等に使用することができる。

(有機薄膜太陽電池材料)
本発明の高分子
化合物(1)は、有機薄膜太陽電池材料に用いることができる。有機薄膜太陽電
池材料は、湿式成膜法等の塗布法によって有機薄膜太陽電池の光活性層を形成す
ることができる。高分子化合物(1)は、所謂p型有機半導体として、電子供与
体の機能を発揮する。 【0085】 有機薄膜太陽電池材料は、本発明の高分子
化合物(1)のみを含んでいても、他の有機薄膜太陽電池材料や他の成分を含ん
でいてもよい。有機薄膜太陽電池材料は、電子受容体としての機能を発揮する電
子受容性化合物を含むことが好ましい。電子受容性化合物は、所謂n型半導体材
料として機能する化合物であればよく、公知の化合物を用いることができ、例え
ば、フラーレン系材料や非フラーレン系化合物が挙げられる。
【0086】 非フラーレン系化合物を高分子化合物(1)と混合して光活性層
を形成すると優れた光電変換効率が得られるため好ましく、非フラーレン系化合
物としては、次のような化合物が挙げられる。

                - 中 略 -

【0087】 (有機薄膜太陽電池) 有機薄膜太陽電池は、上述した有機薄膜太
陽電池材料を光活性層に用いる。有機薄膜太陽電池の構造は、一対の電極の間に
光活性層を備える構造であれば特に制限されない。有機薄膜太陽電池の構成は、
例えば、以下の態様が挙げられる。なお、p層、p材料とは、上述した有機薄膜
太陽電池材料を含有する層、材料であり、n層、n材料とは、上述した電子受容
性化合物を含有する層、材料を表す。 (A)電極/p材料とn材料の混合層/
電極 (B)電極/p層/p材料とn材料の混合層/n層/電極 (C)電極/p
層/n層/電極 【0088】 本発明の高分子化合物(1)は、π共役系が拡張
された構造であるため、強い分子間相互作用を持ち、高い結晶性を有する。これ
らのことから、有機薄膜太陽電池の光活性層に用いた場合、光電変換効率等の特
性が良好である。
 

                - 中 略 -

【産業上の利用可能性】
本発明に係る高分子化合物は、より一層優れた光電変換効率を有する有機薄膜太
陽電池、又はより一層優れた移動度を有する有機トランジスタ等に有用である。
                                
------------------------------------------------------------------------
2.特表2023-553686 有機半導体薄膜の凝集状態の安定性を強化する方法
【概要】
本発明は有機半導体の技術分野に関し、有機半導体薄膜の凝集状態の安定性を強
化する方法を開示し、有機半導体薄膜を構築し、次に構築された有機半導体薄膜
の表面又は薄膜の内部に微量のナノ粒子を導入し、ナノ粒子が均一であって連続
せず有機半導体薄膜自体の電気性能に影響することがない。有機半導体薄膜の
界、転位、積層欠陥及び表面などがナノ粒子によりピン留めされて、有機半導
体薄膜の凝集状態構造が変化する障壁が増加することをもたらし、それによりそ
凝集状態の安定性を強化し、更に有機電界効果トランジスタの最高動作温度及
び保存期間を大幅に増加させる。常温保存の条件において、ナノ粒子を安定して
導入する有機半導体の形態がほとんど変化せず、有機半導体薄膜で製造された有
機トランジスタデバイスの高温動作環境及び実際の大気環境における電気性能の
安定が確保される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 有機半導体薄膜の凝集状態の安定性を強化する方法であって、 絶
縁基板の表面に有機半導体薄膜を構築し、次に構築された有機半導体薄膜の表面又
は薄膜の内部にナノ粒子を導入し、前記ナノ粒子が均一であって連続せず、前記
ナノ粒子の体積分率が有機半導体薄膜の体積の0.1%~3%を占めることを特
徴とする有機半導体薄膜の凝集状態の安定性を強化する方法。
【請求項2】 ゲート導電電極を製造することを含むことを特徴とする請求項1に
記載の方法。
【請求項3】 前記有機半導体薄膜が多結晶薄膜であることを特徴とする請求項1
に記載の方法。
【請求項4】 前記有機半導体薄膜が有機低分子半導体又は有機ポリマー半導体
あることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】 前記ナノ粒子の直径が0.01nm~100nmの間にあること
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】 前記ナノ粒子は金属導体粒子、有機及び無機半導体粒子又は絶縁体
粒子のうちの1つを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】 ソース/ドレイン電極をパターン化して製造することを更に含むこ
とを特徴とする請求項1に記載の方法。
                                 了             



                                  


  今夜の寸評: 今年も宜しくお願い申し上げます。

「2024年の世界展望~ひとはなぜ戦争をするのか?」(2023年12月17日放送)




 

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新成長経済理論考 ㉓

2023年12月25日 | 環境リスク本位制




彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。 


「燦ぱれす」が、世界に誇れる「図書館」に生まれ変わる


  ニコラエ堂この夜揺りかえへり鳴る鐘の大きあり小さきあり大きあり 
                             北原白秋               
           
         老いを知るテレビだけだわクリスマス
                           


食道胃腸が銚子悪い上、降雪対策に夜中2時に凍結防止剤(エンカル)撒き、賀
状作成が加わり、最新情報考察などなどで、鬱状態で落ち込む(これは初めての
経験)と散々な上で売薬の購入費は鰻登。クリスマス・イブはプチケーキでクリ
スマス(降誕祭)だけで、テレビの「M1」を流れ鑑賞とその光景を俳句を詠む。           

【今日の言葉】
  神の愛われらに顯れたり。神はその生み給へる獨子を世に遣し、我等をして
  彼によりて生命を得しめ給ふに因る       
                        ヨハネ第1書4章9節

  
  

MagSafe対応 アウトカメラ用 自撮りワイドミラー
自撮にうってつけの商品が商品が販売されていることを知る。

これをみたわけではなく、『自撮専用ドローン』があったら、アウトドアー派の
必需品として大きな事業になると調査に今朝思い立つ。ところが、これも既に販
売売されている。「デジタル革命渦」と感心する。



もともと、企画・開発畑なので(いや、生産技術、環境技術、数理工学、プラン
ト建設、気象学などオールラウンド・プレーヤでもあったが、「特許や科学」で
の新規な成果は、発想した時には世界では同じことを考えているのは三人はいる
というのが持論。まして、ラインの最前線にいれは、特許やノーベル賞の受賞な
どはは埒外(J.P.サルトルではないが「現場」の問題解決が最優先、特許・論文
による受賞はレス・ダン・セカンド・プライオリティ)。というわけで、ここで
は特許検索は取りやめた)。


Anytime Anywhere ¥1/kWh era
新成長経済理論考 ㉓

これまで、全固体型リチウム電池の負極・正極の高付加価値技術の特許調査を行
ってきた。今回は長寿命化・大容量化技術を考察。

開2023-114248 固体イオン伝導体、固体電解質、正極電極材料およびナトリ
ムイオン固体二次電池
【概要】
現在主流の二次電池としては、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池
が挙げられる。前者は、比較的希少なリチウムを主材料として用いており、需要
がさらに拡大したときの原料供給の問題が懸念され、またコストの問題も指摘さ
れている。後者は、充電エネルギー密度が比較的少なく、メモリ効果があり、繰
り返し使用回数も少ないという問題がある。 このような状況から、資源が豊富
で原料供給の問題が少なく、低コスト化が見込めて、さらにリチウムイオン二次
電池の技術的知見を反映させることができる二次電池として、ナトリウムイオン
二次電池が次世代の電池として脚光を浴びている。取り扱いや液漏れの懸念およ
びその対策などの問題を回避できる固体電解質を用いることが嘱望されている。
ナトリウムイオン二次電池の固体電解質としては、高いイオン伝導率、優れた充
放電特性および熱に対する高い安定性が求められている。

下図1のごとく、組成式がNa5-2xAl1-x、Na5-2xAl1-x
およびNa5-2xIn1-xSb、0.375≦x≦0.625)か
らなる群より選ばれる少なくとも1種類以上からなる化合物結晶を含む。イオン
伝導率、充放電安定性および熱力学安定性に優れる固体電解質用リチウム化合物
を提供することである。


図1 第1の化合物の構造を示す構造図
【符号の説明】
1:集電極(負電極) 2:負極活物質層 3:固体電解質 4:正極活物質層
5:集電極(正電極) 11:Na 12:Al(Mサイト) 13:V(Mサイ
ト) 14:S 21:Na 22:Al(Mサイト) 23:Ta(Mサイト)
24:S 31:Na 32:In(Mサイト) 33:Sb(Mサイト) 34:
S 101:ナトリウムイオン二次電池

【発明の効果】
イオン伝導率が高く、熱力学安定性に優れる二次電池用固体電解質に好適な固体
イオン伝導体化合物が提供される。 また、その化合物を用いて、イオン伝導率、
充電安定性に優れたナトリウムイオン二次電池用固体電解質およびナトリウムイ
オン固体二次電池が提供されるハイブリッドおよび電気自動車、高機能住宅、ス
マートフォンなどの携帯端末などスマート社会では大電流対応でかつ取り扱いの
容易な二次電池が強く求められているので、本発明は、パーソナル用途を含めた
産業や社会の発展に寄与するものと考える。
※次回は二次電池以外の「再エネ」「脱カーボン」「メタネーション」」の最前
線科学工学技術を考察する。

低炭素水素の世界生産量,2040年1億4,800万トン
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、水素製造技術および関
連部材の世界市場を調査し、主要国・地域の水素関連政策、ならびに参入企業・
研究機関の開発動向を明らかにした。ここでは、低炭素水素の世界生産量予測の
要点をまとめる。


日本では、2023年6月に水素基本戦略が改訂(改訂水素基本戦略)。改訂水素基本
戦略は、2050年を見据えた「製造」「輸送・貯蔵」「利用」の各領域の革新的な
研究開発に当たり、大学・国立研究開発法人等から企業等への研究成果の橋渡し
や、社会実装に向けて関係府省庁が一体となって取り組む。
「製造」の領域においては、
①高効率・高耐久・低コストな水電解技術、
②高温ガス炉等の高温熱源やメタンの熱分解、
③光触媒などを活用した水素製造技術、
という3つの技術を掲げる。
※、日本では、水素供給コストを2050年に20円/Nm3 (ノルマルリューベ)程度以
下、水素導入量を2050年に2,000万t/年程度とすることが目標に掲げられている。
改訂水素基本戦略においては、2030年までに国内外における日本関連企業(部素
材メーカーを含む)の水電解装置の導入目標を15GW程度と設定し、水素製造技術
の基盤確立を図ることとした。その実現に向けては、水電解装置及び部素材の製
造能力増強についても、政府による支援を検討していくことが示された。水素・
アンモニアの大規模なサプライチェーン構築に向けた官民による投資金額は、15
年で15兆円を越える。日本は電力コストが高いためこれへの政策パワーの注力の
是非が問題と展望されているが、わたし(たち)は実現できると確信している。



「生物多様性」とは何か?
つまり、動物、植物、微生物などすべての生物の間に多様性があり、バランスを
保たれていると言う。近年、その保全に関する取り組みやルールメイキングが活
発化。なぜ、企業が生物多様性保全に取り組むのか考える。気候変動に次ぐ世界
的なトレンド。2022年12月の国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、
「生物多様性」の損失を食い止め、回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」
の考え方を盛り込んだ「昆明・モントリオール生物多様性条約」が採択。 2030年
までに世界の陸と海のそれぞれ30%以上を保全地域にする「30by30」などの行動
目標が定められている。
2023年9月には動植物や森林、土壌、水など自然資本に関する事業リスクや機会の
情報開示枠組みである「TNFD(自然関連財務情報タスクフオース)の第一版
も発表された。日本国内では、2023年3月に「生物多楡既国家戦略」を11年ぶりに
改定し、政策に盛り込んでいる。環境省の「脱炭素先行地域」の第4回の募集では
生物多諭旨保全の取り組みに関する項目を新設。企業も生物多様性保全ヘの姿勢
や取り組みを次々と表明するなど、国内外で動きが活発化しているという。

図 世界経済の自然への依存規模
(出典:アクセンチュア「生物多様性ビジネスー危機的現状とビジネスの可能性-」)

44兆ドルが自然資本に依存
世界経済フォーラム(WEF)が2020年1月に発表した「Nature Risk Rising」当する44兆
ドル(約4700兆円)の経済価値は、自然に中~高程度依存しており、農林水産業
などの第一次産業だけでなく、第二・第三次産業など、産業全体が自然の恩恵を
受ける一方で現在、生物多諭旨は非常に脅かされており、WEFの「グローバル
リスク報告書」の 2023年版では、今後10年間の深刻なグローバルリスクの4位に
「生物多様性の喪失や生態系の崩壊」がランクイン。国内では、勣植物の30%が絶
滅の危機に瀕る。
※参考:交換レートは当時(108.6円/$)➲現在(142.2円/$)では、6,248兆円
となる。

生物多様性損失でビジネスは立ち行かなくなる
「生物多様性」に取り組まなければ今後、企業として生き残っていくことは厳し
くなるという。その根拠は、気候変動と同様に、取り組まないことがリスクに直
結する。それは(1)「44兆ドルが自然資本から生み出されているから」という
だけでなく、(2)消費者の意識や需要、規制、ビジネスの在り方までが今後大
きく変わるため、それについていくことができないと収益を上げることは難しく
直接関係する第一次産業だけでなく、すべての企業に連携する。要注意は、多く
の専門家が口をそろえ、社会貢献や規制対応などのリスクヘッジではなく、「
物多様性という文脈の中でどうピジネスをして、価値を生み出していくか
」であり
具体的な取り組みはまだスタートしたばかりなので、先行事例に対し、アンテナを
張って置いていかれないことが重要と指摘する。

表1.自然・生物多様性の損失をもたらす5つの要因

・WEFrNature Risk Risin9: Why the Crisis Engulfing Nature Matters for Business and the
 Economy」を
基に作成
・via 環境ビジネス 2024.win 
-


自然関連リスクに対するリスク管理アプローチの開発
TCFD フレームワークは、リスク開示を超えて、気候リスクと機会を効果的なリス
ク管理、企業戦略、監視に組み込むための構造を提供するように設計された。 自
然関連のリスクと機会は、同じコアとなる TCFD 要素に基づいて管理できる。ガ
バナンスと戦略: 自然の資産やサービスに大きく関与している企業は、事業全体
にわたる自然の損失から生じるリスクを特定し、管理するための明確なガバナン
ス構造を確実に整備したいと考えている。これには、事業部門から経営陣 (およ
び取締役会) へ上向きのコミュニケーションを行うプロセスの定義と、これを行
う必要がある頻度の指定が含まれる。企業はまた、短期、中期、長期にわたる自
然ベースのリスクの影響と予想される進化を理解し、この理解を積極的に活用し
て事業計画や戦略を伝える必要がある。
WEFrNature Risk Risin9: 自然を巻き込んだ危機がビジネスと経済社会にとって
 なぜ重要なのか World Economic Forum

表2.生物多様性損失によるビジネスリスク

The TNFD Nature-related Risk &Opportunity Management and Disclosure Framework
Beta v0.1
およびアクセンチュア「生物多様性ビジネスー危機的現状とビジネスの
可能性-」を基に作成
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【ウイルス解体新書 178
第4章 ポスト新型コロナウイルス感染症対策
第1節 新薬開発と後遺症対策
1-3 
コロナ感染、心不全のリスク高まる可能性
SARS-CoV-2の持続感染は心不全リスクを高める可能性
12月23日,理化学研究所などの研究チームは、新型コロナウイルスに感染後、目

立った心疾患を発症しなくても心臓が持続的にウイルスに感染し、心不全のリス
クが高まる可能性があるとの研究成果を発表した。近い将来、心不全の患者が急
増する可能性を指摘し、対策の必要性を訴えている。

【概要】 理化学研究所(理研)生命機能科学研究センタ、京都大学らの共同研究
 チームは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の持続的な感染が心不全のリスク
を高める可能性があることを、ヒトiPS細胞を用いた実験で明らかにし。 本研究
成果は、これまでほとんど報告のないヒト心臓組織に対するSARS-CoV-2の持続感
染の影響を示したものであり、「ポストコロナ」においてパンデミック[3]が危惧
される心不全(SARS-CoV-2心筋症)の発症・進行メカニズムの解明や、治療法の
開発に貢献する。


図.心不全パンデミックを実験的に検証する生体模倣モデル「SARS-CoV-2持続
  感染モデル」



図1 心臓マイクロ組織(CMT)の全体像および血管網様構造の免疫染色図
CMTの全体像(左)および血管内皮細胞マーカー(緑色:CD31)と心筋細胞マーカ
ー(赤色:cTnT)に対する抗体を用いた免疫蛍光染色像(右)。青色は細胞核。
CMTでは、実際の心臓のような血管網様構造が再現されている。スケールバーは左
が1cm、右は200μm。

COVID-19の症状には、無症状から重症まで広い幅があり、CMTにSARS-CoV-2をさま
ざまな力価[9]で感染させて影響を調べ、感染後7日目までに全ての例で心機能(組
織の収縮力)の低下が見られた。その後、低力価群では4週間後に心機能が回復傾
向を示したが、高力価群では回復することなく収縮力は低下したまま(図2)。
この高力価での感染モデルは、COVID-19の臨床症状の一つである重篤な急性心疾患
を反映している可能性がある一方、低力価での感染がCMTに与える影響を詳しく調
べたところ、心筋細胞にSARS-CoV-2由来のスパイクタンパク質](Sタンパク質)
の局在が認められましたが、心筋細胞のアポトーシス]はSARS-CoV-2に感染してい
ない組織と同レベルであり、心筋細胞の構造も維持されていたが、組織外に放出
されたSARS-CoV-2の力価を測定すると、4週間後も感染直後のウイルス力価と同等
の力価を示したことから、CMTに持続感染しているSARS-CoV-2は増殖能を保持してい
ることが示唆された。これらの結果は、SARS-CoV-2は軽度の感染であれば、機能
障害を引き起こすことなく心筋組織に持続感染できることを示す。すなわち、SARS
-CoV-2感染が持続しながらも心不全を発症せず、表面的には心機能が維持されて
いる患者群が存在している可能性がある。

【成果】本研究成果は、これまでほとんど報告のないヒト心臓組織に対するSARS
-CoV-2の持続感染の影響を示したものであり、「ポストコロナ」においてパンデ
ミックが危惧される心不全(SARS-CoV-2心筋症)の発症・進行メカニズムの解明
や、治療法の開発に貢献できる。

新型コロナウイルス感染症の重篤化には、免疫系の異常であるサイトカインスト
が関与していると考えられるが、今回のSARS-CoV-2持続感染モデルでは、低
酸素ストレスによってもサイトカインストームを引き起こすサイトカインの上昇
は観察されなかったため、SARS-CoV-2心筋症はサイトカインストームとは独立に
生じている可能性がある。
一方で本モデルではサイトカインに反応する免疫細胞そのものは含まれないため、
心臓以外の他臓器が関与する感染メカニズムが十分に再現できていない課題が残
されていない。現在、オルガノイド研究分野では複数の臓器間相互作用まで考慮し
たモデル臓器の開発が進んでおり、将来的にこれらの研究成果を今回の持続感染
モデルに反映させることで、実際のヒト体内で起こっている現象をより忠実に再
現できるようになる。


図2 SARS-COV-2感染後心機能の経時変化 CMTにSARS-COV-2を異なる力価で感染さ
せた後、動画解析ツール(MUSCLEMOTION)により算出された1分間当たりの脈動
指数の平均値で心機能の経時変化を比較した。非感染群は青(n=4)、低力価SARS-C
OV-2感染はオレンジ(n=5)、中力価SARS-COV-2感染は緑(n=3)、高力価SARS-
COV-2感染は破線(n=3)で示した。28日後の比較では、低力価感染群と非感染群
の心機能に統計的な差はないと推定できる。なお、非感染群で見られた脈動指数
の低下は、対照実験においても感染実験と同等の操作(SARS-COV-2を含まない試
薬の添加など)を行った影響によるものと考えられる。

図3 低酸素ストレス処理前後の心機能の変化
持続感染モデルおよび非感染のCMTを、18時間低酸素処理もしくは対照処理(通常
酸素濃度)し、それに続く48時間にわたって再灌流処理を行ったときの心機能の
経時的変化。心機能は動画解析ツール(MUSCLEMOTION)により算出された1分間当
たりの脈動指数の平均値で比較した。非感染群は青、低力価SARS-COV-2感染はオ
レンジ、低酸素ストレスありは実線、低酸素ストレスなしは破線で示した。(各n
=6)。非感染群は低酸素ストレスを受けると拍動数が上昇し収縮機能の回復が見
られたが、持続感染モデルは低酸素ストレス後の心機能回復を示さなかった。


低力価で感染したCMTを「SARS-CoV-2持続感染モデル」と見なし、「持続感染の確
立した患者は心不全の限界リスクにあり、追加の心臓ストレスによって日和見的
に心機能障害、最終的には心不全を発症する可能性がある」という仮説を実験的
に検証した。追加の心臓ストレスの例としては、臨床的には虚血などにより心臓
が一時的な低酸素状態にさらされることが考えられます。虚血性心疾患を模倣した
低酸素ストレスに正常なCMTをさらすと、一定期間後に拍動数が上昇し収縮機能の
回復が見られるが、持続感染モデルでは、拍動数の上昇および収縮機能の回復は
認められなかった(図3)。また、低酸素ストレスによって心筋細胞におけるACE2
の発現およびSARS-CoV-2スパイクタンパク質と心筋細胞の共局在が促進していた
ことから、細胞内においてSARS-CoV-2の再活性化が起こっていることが示唆され
た。
さらに特筆すべきは、非感染CMTでは低酸素ストレス後でも血管網様構造が維持さ
れているのに対し、持続感染モデルでは低酸素ストレス後に血管網様構造が全体
的に分断されていた(図4)。低酸素ストレス後に再活性化したSARS-COV-2は近隣
の内皮細胞へ感染を広げ、血管網様構造の維持を困難にした可能性が考えられる。
これらの結果は、SARS-CoV-2の持続感染下にある心臓組織が追加の低酸素ストレ
スを受けた場合、SARS-CoV-2の細胞内再活性化が起こり、心機能低下および血管
網の損傷を招く可能性があることを示す。


図4 低酸素ストレス処理前後での血管網様構造の様子
持続感染モデルおよび非感染のCMTを、18時間低酸素処理し、続いて48時間再灌流
処理を行ったときの血管網様構造を示す蛍光免疫染色像。血管内皮細胞マーカー(
緑色:CD31)で示される血管網様構造が、低酸素ストレス後の持続感染モデルで
は消失していることが分かる(右下)。細胞核(青色:DAPI)。スケールバーは5
00μm。
【掲載論文】
・Kozue Murata, Akiko Makino, Keizo Tomonaga*, Hidetoshi Masumoto*(*責任著者),
・"Predicted risk of heart failure pandemic due to persistent SARS-CoV-2 infection using a
three-dimensional cardiac model",
・iScience,
・10.1016/j.isci.2023.108641

                                  以上
1-4 中国で流行の〝歩く肺  年末年始控え国内でも警戒



中国などで流行する呼吸器感染症「マイコプラズマ肺炎」への警戒が高まってい
る。比較的軽症で済む人が多く〝歩く肺炎〟とも呼ばれるが、しつこい咳が特徴
で、重症化することも。中国では薬が効きにくい「薬剤耐性」の問題が指摘され
ており、国内でも抗生剤不足が影を落とす。人の往来が活発化する年末年始を控え
医療現場からは不安の声が挙がっている。(2023.12.23 産経新聞)

マイコプラズマ肺炎は主に飛沫(ひまつ)や接触で広がるとされ、発熱、咳、倦
怠(けんたい)感など風邪に似た症状を引き起こす。国内では患者の約8割が
14歳以下とされるが、大人の感染報告もある。
近年は全国的流行は起きていない。 こうした中、中国では今冬、北部を中心に
インフルエンザやマイコプラズマ肺炎などが複合的に流行し、小児科に患者が殺
到。韓国などでもマイコプラズマ肺炎の感染拡大が伝えられる。 新型コロナウイ
ルス禍の感染防止対策により季節性の病原体から遠ざかってきたことで、多くの
人は抵抗力が下がった状態にあると指摘(小児科医の高橋謙造帝京大大学院教授)・
こうした〝免疫負債〟を抱えた国内に病原菌が持ち込まれれば「感染拡大につな
がる恐れがある)。

徴候:マイコプラズマ肺炎は感染しても比較的軽い症状で済み、その人が持つ免
疫力で自然治癒することも多い。そのため、感染に気づかず出歩き、周囲にうつ
してしまう恐れがある。患者による菌の排出期間は1カ月~1カ月半ほどと長い
という。やっかいなのは、この病原菌が気道の粘膜上皮を痛める性質を持つこと
だといい、発熱などの症状が治まっても咳が続く患者が目立つ。人によっては激
しい咳に変わり、ぜんそくのような「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」といった異常
な呼吸音を伴うまでに悪化してしまうこともある。肺機能の低下に見舞われた患
者の報告もある。

ワクチンはなく、治療にはマクロライド系抗生剤などが使われるが、気になる情
報もある。 国立感染症研究所によると、中国はマクロライド系抗生剤への耐性率
が高いことで知られる。今年報告されているマイコプラズマ肺炎の原因となる細
菌も遺伝子変異により、一定の「薬剤耐性」を持つ可能性が指摘されているとい
う。 中国では以前から抗生剤の過剰使用が懸念されており、マイコプラズマ肺炎
で入院が必要な子供が増えている背景には、抗生剤が効きにくいという深刻な問
題が潜んでいる恐れもある一方で、日本では、医薬品の供給不足が深「マクロラ
イド系抗生剤は入手が難しい状況。今まさに患者が増えている溶連菌感染症に用
いるペニシリン系の抗生剤なども手に入りにくい」と高橋氏。別の種類の薬を処
方して様子をみるしかないが、完全には治りにくく、症状がぶり返すケースもあ
るなど、対応に苦慮する。今のままでは、マイコプラズマ肺炎の患者が治療を希
望しても、『適切な薬を出せない』といったことが起こりかねない。手洗いや咳
症状がある人はマスクをするなど、基本的な感染対策を心がけてほしい」と呼び
かけている。





水曜日のカンパネラ 2023.10.18  
ケンモチヒデフミ - 作曲・編曲 詩羽(うたは) 主演・歌唱 
Dir.F(ディレクター・エフ) : マネージャー兼ディレクター


※日本の音楽ユニット。2012年結成、YouTubeでデビュー。略称は「水カン」。
2021年9月に初代ボーカルのコムアイが脱退し、2代目ボーカルの詩羽が加入。

 今夜の寸評: 「ラスト・ディケイドを 全力疾走 !」を新年の挨拶として
         本日、年賀状を投函。

 

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ラスト・ディケイド 全力疾走 !

2023年12月20日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。




公共事業の費用増大リスクを「見える化」
京都府が道路整備で新手法

 

12月20日、京都府は実施中の公共事業を評価する際、費用の増大リスクを過去の
類似事業の実績から想定して、事業を継続するかどうかの判断材料とする取り組
みを始めた。リスクを3つに分類して整理し、府民の理解につなげる。榎峠バイパ
スと上野平バイパスそれぞれの整備事業の再評価で実施した。

従来の事業評価では、調書に事業費の増減要因を並べるだけだった。新方式では、
リスクの性質ごとに分類し、どの工種でどういった増額が生じやすいのかなどが
分かるようにした。 
分類は、
(1)事業に当たっての調査や設計といった確定しているリスク
(2)トンネルの支保構造の変更や軟弱地盤対策など事前に(確定的な)想定が難
   しいリスク
(3)労務費、資機材単価の上昇や技術基準の改定といった事前に想定することが
  適切でないリスク

事前に(確定的な)想定が難しいリスクの中で、過去の同じ工種で共通して見ら
れる増額要因を参考に工事の変更内容と金額を具体的に示した。例えば、榎峠バ
イパス事業では、過去のトンネル工事の事例から掘削で地山に緩みが生じ支保構
造の変更や薬液注入が必要となるリスクがあると判断。それにより、約4億5000万
円の増額となる可能性を記載。

  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era

新成長経済理論考 ㉑
 高付加価値としての再エネ事業の選択と集中
次世代リチウムイオン電池正極材料の充放電エネルギー効率低下起源解明
12月15日、NIMSは、ソフトバンク株式会社と共同で、高エネルギー密度蓄電池用
電極材料にの放電電圧が充電電圧よりも著しく低くなる原因が、充放電時の結晶
構造変化の経路が充電時と放電時で異なるためであることを解明。

【概要】
物質・材料研究機構 (NIMS) は、ソフトバンク株式会社 (ソフトバンク) と共同
で、高エネルギー密度蓄電池用電極材料 (モデル材料としてLi2RuO3) の、放電電
圧が充電電圧よりも著しく低くなる (電圧ヒステリシス) 原因が、充放電時にお
ける結晶構造変化の経路が充電時と放電時で異なるためであることを突き止める、

次世代の高容量正極材料として、LiCoO2などの従来型正極材料よりも多量のリチウ
ムイオンを含有し、かつ、安定して脱離挿入できるリチウム過剰系電極材料が注
目されている。リチウムイオン過剰系電極材料は、従来型正極材料の2倍に相当
る300 mAh/g以上の高い容量を発現、充放電時の電圧ヒステリシスが大きく充放
電時のエネルギー効率が低いという課題があった。 研究チームは、リチウム過剰
系電極材料のモデル材料としてLi2RuO3を用い、その充電前後の結晶構造を精査し
たところ、放電後の結晶構造が充電前の構造に戻っているにもかかわらず、電圧
ヒステリシスをが観測する。従来、リチウム過剰系電極材料における電圧ヒステ
リシスの起源は、充放電で結晶構造が不可逆に変化することに由来するとの学説
がを覆す現象。


【展望】
今後は、今回得られた知見を利用し、充放電における電圧ヒステリシスの有無に
着目するだけでなく、結晶構造の変化に着目した材料評価を行うことで、高容量
と高い充放電エネルギー効率を両立するリチウム過剰系電極材料の開発加速の期
待される。 
【関係技術情報】
題 目 : Voltage hysteresis hidden in an asymmetric reaction pathway 非対称反応経路
      に潜む電圧ヒステリシス
著 者 : マルセラ カルパ、久保田 圭、小野 愛生、水木 恵美子、松田 翔一、
高田 和典
雑 誌 : Energy Storage Materials
掲載日 : 2023年11月6日 (日本時間) DOI : 10.1016/j.ensm.2023.103051



全固体電池のリチウムイオン移動を妨げている粒界を可視化
粒界のイオン移動速度を定量化する新しい手法
12月18日、NIMSは、次世代電池として期待されている全固体電池材料におけるリ
チウ
ムイオン移動の妨げとなるボトルネックを可視化する新しい手法を開発
【概要】
NIMSは、次世代電池として期待されている全固体電池材料におけるリチウムイオ
ン移
動の妨げとなるボトルネックを可視化する新しい手法を開発し。 全固体電
池は従来の
リチウムイオン電池に使用されていた有機電解液を固体電解質にする
ことで、より安全
で、高いエネルギー密度の実現を目指した次世代蓄電池の一つで
す。活物質と固体電
解質との界面や、固体電解質内の粒子同士の界面 (粒界) で生
じるリチウムイオン移動
の抵抗が問題の一つとして挙げられる。

この抵抗は充放電速度の低下や利用可能なエネルギー密度の低下につながる。固
体電
解質には粒子と粒界が存在するが、これまではイオン移動速度を平均情報と
して得る手法しかなく、粒界を特定し、かつ定量的にイオン移動の速さを評価す
る実験方法はこれまでなかった。今回の報告では、イオンの質量分析から元素の
分布を画像化する二
次イオン質量分析法 (SIMS) を用いて、リチウムの安定同位
体である67Li (質量数7, 天然存在比92%) 中に試料端からイオン交換で導入した
6Li (質量数6, 天然存在比8%) が拡散する様子を観察することで、固体電解質内
の粒界におけるイオン移動 (拡散) を可視化・定量化した。



図1.全固体電池におけるマルチスケールイオンダイナミクスとその測定技術。
平均イオン伝導度はISにより測定できる。PFG-NMR 分光法はマイクロメートル
スケールでイオン拡散を測定し、二次イオン質量分析法 (SIMS) はミリメートル
から数十ナノメートルまでの広い空間範囲にわたるイオン拡散係数を決定できる。


図2.LLTOを用いた6Li同位体交換研究の模式図。 LLTO の端を 6LiNO3 水溶液に
浸して交換。 サンプルはすぐに -110℃ に冷却され、SIMS が実行されて 6Li
同位体比が観察される。その後、サンプルはさらに拡散するために 22 ~ 400℃
でアニールされる。サンプルを再度-110℃まで冷却し、6Li同位体比を測定。この
手順を繰り返すことにより、拡散係数の温度依存性を求めることができる。


図 3 (a) 6Li 同位体交換を 59 時間行った直後、および (b) 22℃ の Ar雰囲気
中で 16 日間保管した後の LLTO の相対 66Li 画分の画像。 (c) SIMSで使用され
ているものと同じ位置の LLTO のレーザー顕微鏡画像。 SIMSイメージング後に
粒界観察のためのサーマルエッチングを行った。 (d) SIMS 画像に示されている
黒と赤の線の 6Li 同位体プロファイル。 黒と赤の白丸はそれぞれ、59 時間と
16日間の同位体交換後のサンプルのプロファイルを表す。(e) 粒界における 6Li
分率 ∂C/∂y と濃度差 ΔCgb の勾配。


図 4 (a) 22 ℃ における LLTO の相対6Li フラクションの時間変化。黒丸は 6Li
同位体交換を 110 時間行った直後の SIMS プロファイルを表し、赤丸と青丸は
Ar 雰囲気中で 2 週間および 6 週間保管した後のそれぞれの SIMS プロファイル
を表す。 (b) 200℃でアニーリングした後の LLTO の相対 6Li 割合の変化。
黒丸は6Li 同位体交換を 63 時間行った直後の SIMS プロファイルを表し、赤丸
は 200℃でのアニーリング後のプロファイルを表します。


図 5 (a) 多結晶におけるイオン拡散モデル。 一般に ブリック層39 およびマク
スウェル・ガーネットモデル38は、多結晶材料内のイオン拡散をモデル化するた
めに使用されます。これらのモデルには、粒界に沿ったものと粒界を越えたもの
という2種類の拡散経路が含まれる。Dbulk » Dgbの場合、粒界に沿った拡散は無
視できる。 したがって、バルク境界と粒界の系列モデルは適切な近似を提供。
(b) バルク 33 (Dσ、バルク、黒四角) および全導電率 (Dσ、合計、白四角)、
PFG-NMR33 (DNMR、バルク、白丸)および SIMS ライン分析を使用して求めた拡散
係数の温度依存性 ( 開いた三角形)。 1D モデルを使用して計算されたものは、
塗りつぶされた三角形としても表示される。(c) 粒界導電率を使用して計算され
た (l/δ)Dgb (白四角) と、SIMS ラインおよびマッピング分析によって決定され
た (l/δ)Dgb (それぞれ白三角と黒三角) の温度依存性。


【成果/展望】
従来の技術では固体電解質内を高速に移動する6Liの分布を画像化し、拡散の速さ
を定量化することは不可能であった。本研究では冷却しながら測定するクライオS
IMSを用いることで6Liの移動速度を大幅に遅くして、6Liの分布の精密な測定が可
能になり、粒界がボトルネックとしてイオン移動を制限している様子を明らかに
した。 本手法は、リチウムイオンの拡散を直接観測できる、全固体電池内部内に
存在する様々な界面の中からボトルネックとなる界面を特定し、その原因解明に
応用できる。これにより全固体電池の性能向上に貢献することが期待される。

【関係技術情報】
題目 : Visualization and evaluation of lithium diffusion at the grain boundaries in Li0.29
    La0.57TiO3 solid electrolytes using secondary ion mass spectrometry;二次イオン質
          量分析法を用いたLi>0.29La0.57TiO3固体電解質の粒界におけるリチウム拡散の可
     視化と評価

著者 : 長谷川 源、桑田 直明、大西 剛、高田 和典
雑誌 : Journal of Materials Chemistry A
掲載日時 : 2023年12月18日 DOI : 10.1039/d3ta05012b
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 最新デジタル医療
マンモの提訴で Apple、Apple Watchの販売禁止を停止へ
Appleは「Apple Watchが他社の特許を侵害」しているとしてApple Watch Ultra 2とApple
Watch Series 9のアメリカでの販売停止を命令。新たに、Appleがアメリカ国際貿易委員
会(ITC)に対して販売停止命令の延期を求めていたものの却下されたことが明らかに。
※ Certain Light-Based Physiological Measurement Devices and Components Thereof (PDF)https://www.usitc.gov/secretary/fed_reg_notices/337/337_1276_notice12202023sgl.pdf 
via GigaziNe  2023.12.21

【関連特許事例】
特表2023-510855 生理学的パラメーターモニタリングを備えたウェアラブル
デバイス

【概要】
ウェアラブル健康モニタリングデバイスは、デバイスが着用者によって手首の上に着用
されているときに、着用者の皮膚と接触するように構成されている生理学的パラメーター
測定センサーまたはモジュールを含むことが可能である。生理学的パラメーター測定セン
サーは、非侵襲的におよび随意的に連続的に、着用者の1つまたは複数の生理学的パ
ラメーター、たとえば、酸素飽和度を測定することが可能である。センサーは、凸形湾曲
部を含み、圧力および着用者の快適さのバランスをとりながら、着用者の皮膚と生理学
的パラメーター測定センサーとの間の圧力、ひいては、光学的カップリングを改善する
ことが可能である。センサーは、エミッターと検出器との間の光バリアおよび他の光バリ
アを含み、信号強度を改善し、ノイズを低減させることが可能である。





【ウイルス解体新書 177
第4章 シン感染症対策
第1節 新薬開発と後遺症対策
1-1 国内コロナワクチと海外コロナワクチ開発の現状に学ぶ
1-2 コロナ
ワクチン供給の国際枠組み、12月末終終了
WHO「20億回で270万人の死亡回避
2023年12月19日、WHOはCOVAXの年内での終了を発表した。コバックスはパンデミッ
ク(世界的大流行)中、低所得国に提供されたワクチンの74%を供給した。これにより低
所得国での初回接種率は57%まで上昇した。世界平均は67%で「不公平さは克服でき
なかった」としたもののグローバル・サウス(新興・途上国)の「苦痛を和らげるのに大きく
貢献した」としている。コバックスは、2009年の新型インフルエンザ流行でワクチン買い
占めが横行したことを教訓に、途上国のワクチン接種を支援する国際機関「Gavi」やW
HOなどが20年4月に設立した。ワクチンの購入費や開発費を高・中所得国の拠出金で
まかない、低所得国にワクチンを分配する仕組みで、190か国・地域が参加した。  
資金不足や各国によるワクチンの囲い込みで当初、想定通りに機能しなかった。コバッ
クスの一翼を担う「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」のジェーン・ハルトン会
長は成果を評価しつつ、「次はもっとうまくできるし、やらなければならない」と振り返った。
via.COVAX - Wikipedia



Joan Baez
We Shall Overc Come



ドリス・デイDoris Day, 1922年4月3日 - 2019年5月13日)
“永遠なる隣のお嬢さん”として親しまれた歌手、ドリス・デイは甘い蜜のよう
な歌声がもたらした音楽作品、1950年代から60年代以降に数々の映画、ドラマ、
ミュージカル、そしてラヴ・コメディによってトップ・スターの座に昇り詰め、
歴史上最も人気を博した女優。1956年の映画『知りすぎていた男』の主題歌でア
カデミー歌曲賞を受賞している。Que Sera Sera (Whatever Will Be, Will Be)

今夜の寸評: ラスト・ディケイド 全力疾走 !

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新成長経済理論考 ⑲

2023年12月20日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝え
られる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団
編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を
合体させたせて生まれたキャラクタ。

【今日の副菜:味付き玉 三人分】
材料:ゆで卵‥‥3個(※7~8分ゆでたもの)/①醤油 大さじ2・みりん 大
さじ1、砂糖 大さじ1/2➲よく混ぜ合わせ、砂糖が溶けたら冷蔵庫で冷やす。
作り方:ゆで卵と①を薄手のポリ袋に入れ、空気を抜いて□を閉じる➲冷蔵庫
で20分ほど寝かせる。ランチの市販の即席麺は見事な仕上がりが豊富にあり、
時間がないばあい、オーブン電子レンジ1つあれば。ケトルで湯を沸かし、麺・ス
ープを注ぎ準備している野菜、焼き豚やお餅、冷凍餃子を加えれば十分堪能で
きるが、副菜も作り置きしたい。味片タレも市販されているので買い置きして
おけばアレンジも自在である。本当に便利になっていると感心する。




煮干しだしは伝統的な調理方法だが、「たべるにぼし」を偶然みつけ食べてみた。
煮干系ラーメンが流行する背景に、主に4つの理由があるという。

1つ目は、かつおだしに比べて安価ということ。古くから煮干しだしは、高価なか
つおだしの代用品である。
2つ目は、手軽ということ。煮干しは夜、水につけておくだけでも朝食の味噌汁
用に美味しいだしが取れる。だしをとった煮干しは菜箸でつまみ出せばよく、面
倒な「濾す」作業も不要。
3つ目は、活用範囲の広さ。かつおだしよりもしっかりとしたコクを感じる煮干
しだしは、味噌汁やうどん、おでん、ラーメンなど実に幅広い料理に使用できる。
健康志向の方に広まった「味噌汁ブーム」も追い風となる。
4つ目は、栄養価。煮干しには、タンパク質をはじめ、カルシウムや鉄などの栄
養素が豊富。普段あまり魚を口にしない方にとって、煮干しは手軽に取れる貴重
な栄養源。だしをとった後、出がらしの煮干しも活用するという「SDGs」に貢献。
ただし、煮干しはプリン体と塩分の量が高め、食べ過ぎてしまうと痛風のリスク
や高血圧のリスクを高める。以下、
タンパク質・カルシウムの量が他の食材に比
べてとても多く、食べすぎると胃もたれし、1日の推奨摂取量15gを守って食べ
ましょう



大型アップデートが期待される次世代iPad Pro。Macが進むのでは?
モバイル端末らしい話も聞こえるとか。2024年にリリースされる新型iPad Proは、
MagSafe
でワイヤレス充電に対応するとも。 via GIZMODO


出所:インテル® Core™ Ultra プロセッサー | インテル (日本)

新しいインテル® Core™ Ultra プロセッサーがここに登場。専用の AI エンジン
と内蔵型インテル® Arc™ GPU を搭載した、次世代の AI PC です1。内蔵された
セキュリティー、プライバシー保護と長時間持続するバッテリーで、生産性と創
造性を高める。


2025年,有機トランジスタ世界市場は1,800億円
12月19日、野経済研究所は,次世代有機デバイス世界市場を調査し,デバイス分
類別,システム(需要分野)別,研究機関の動向,将来展望などを明らかに。

【概要】有機トランジスタ(OFET)は,有機半導体を活性層に用いて電流を制御
するFETで,これまで,優れた特性を持つシリコン(Si)を代表とする無機材料
で半導体産業は興隆してきたが、無機系半導体は微細化の限界に突き当たり苦悩
。そこに遅れて登場した有機半導体は,無機系にはない優れた特長を有し、有機
トランジスタは,有機半導体材料を溶液にしてスピンコート法などによって基板
上に塗布する溶液プロセスによって作製することができ,低コストかつ大面積・
フレキシブルな電子製品への応用を目指して開発が進められている。有機トラン
ジスタでは,無機材料に比べると膨大な種類の材料を活用することが出来る。加
えて,有機分子の設計自由度,幅広い膜構造可能性,多様な作製プロセスなどが
挙げられ,有機トランジスタが優れている点として、

1.作製プロセスが簡略。液体に溶かすことができるので,インクジェットプリ
ンタを用いて,簡単に複雑な模様を描くことができる。また,有機トランジスタ
なら200℃以下という低温で,熱に弱いフィルムやプラスチック基板と組み合わ
せたデバイスも作製できる。
2.材料の分子設計の自由度が高い。目的に合わせて,置換基をつけたり,環の
長さを変えるなど,少しずつ設計を変えた有機トランジスタを簡単に合成するこ
とができる。
3.優れた柔軟性を有している。有機トランジスタの材料はπ共役系有機材料な
ので,膜形成はもとより,丸めたり折り曲げたりすることができる。これまで,
四角く平たい形しかなかったディスプレーも,有機半導体で作ればフレキシブル
形状が可能になる。

こうした有機トランジスタの特長から,バイオセンサーや,フレキシブル電子デ
バイスなどのディスプレー駆動,RFIDなどの無線タグ(情報タグ),高性能モバ
イル端末の集積回路などの応用分野に向けた開発が期待されているという。 今
回の調査で注目した有機トランジスタの開発において,応答周波数として世界最
速の38MHzが達成されており,この値は現在,物流管理などに広く用いられてい
るRFIDタグの通信周波数である13.56MHzより十分に大きな値であることから,無
線タグの給電に十分応用可能なレベルに達している


さらに,超短波帯はFMラジオ放送やアマチュア無線などの電波として利用されて
いることから,将来,応答周波数がさらに増加することで,超短波帯を利用した
長距離無線通信が可能な有機集積回路の実現が期待されるという。有機トランジ
スタは,比較的簡便な印刷プロセスで量産できることから,今後のIoT社会を担
う物流管理に用いられる低コストの無線タグや,電磁波から電力を供給する無線
給電システムへの幅広い展開が想定されている。 将来展望については,2025年
の有機トランジスタ世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)を1,800億円,204
5年の同市場規模を2025年比10.9倍の1兆9,690億円になると予測した。
2025年の世界市場をデバイス需要分野別にみると,ディスプレー駆動が最も大き
く,全体の59.4%を占め,次いでバイオセンサーが13.9%,化学センサーが11.1
%,その他は15.6%になると予測した。無機系にはない優れた特長を有した有機
デバイスの展望は明るいとしている。


Sigray社のナノXCT装置EclipseXRM-900TMを発売
12月15日、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は国内独占販売契
約を締結している米Sigray製で,最高空間分解能300nmを実現したナノX線CT装置
「EclipseXRM-900」を,2023年12月15日より発売したと発表。価格は,2~3億円
(装置構成や為替レートによる)。 生成AIや自動運転,メタバースなど膨大なデ
ータ処理に必要な演算能力を向上させるために,半導体の微細化が進められてき
た。一方,昨今では微細化とともに,チップレットと呼ばれる集積技術により性
能の向上が図られている。 しかし,チップレット技術を用いた半導体部品は,
金属材料と高分子材料(樹脂材料)が3次元の積層構造になっており,これらの
材料はX線吸収率が大きく異なるため,故障解析や研究開発における非破壊分析
において精度高く測定することが困難な場合があった。 この新製品は,Sigray
特許出願中である独自の装置機構により,最高空間分解能300nm実現している。さ
らに,最大100mmΦまでのサンプルにおいてサブミクロンレベルの空間分解能を
達成している。これにより,X線源までの距離を長く取らなくてはならない大き
なサンプルやin situセルにおいても,高い解像度での撮像を可能にしている。
積層化された半導体の内部構造などでも,非破壊で高コントラストな可視化を実
現するという。 またこの新製品は,最新のX線源と検出システムにより高倍率対
物レンズを用いることなく300nmの空間分解能で測定できるため,より効率のよ
いデータ取得を可能にする。 同社では今後5年間で,この製品の50台以上の販売
を目指すとしている。

  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era
>新成長経済理論考 ⑲
 高付加価値としての再エネ事業の選択と集中

1997年に京都市で開かれたCOP3で採択された国際約束である『京都議定書』で
は、先進国の各国が二酸化炭素などの温室効果ガスを将来どのくらい削減するか
が決められた。また、削減目標を達成するためには、森林の二酸化炭素吸収量を
活用することが認められた。同議定書では、第一約束期間(2008~2012年)につ
いて先進国全体の平均年間排出量が1990年(一部のガスについては1995年)の総
排出量の95パーセント以下になるよう、各国の数値目標が決められた。
------------------------------------------------------------------------
COP:国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に基づき設置された常設の最高意思
決定機関である「Conference of the Parties (to the Convention)」(気候変動枠組条約
締約国会議)の略称。1995年にドイツのベルリンで開催された第一回気候変動枠
組条約国会議(COP1)以降、毎年開催されている。日本の削減量6%については、
1990年度(代替フロンについては1995年)を基準としている。また、京都議定書
目標達成計画で、それぞれの温暖化対策要素ごとに削減目標を定めている。同計
画では、温室効果ガス排出量を基準年比 -1.8%から -0.8%に抑制し、森林吸収量
を基準年比3.8%程度確保し、残りを京都メカニズムの活用と見込んでいた。しか
し2008年度から2012年度の国内の排出量の平均は逆に基準年に対して1.4%上回っ
た。これに森林等吸収量(基準年比3.9%相当)と京都メカニズムクレジット(基
準年比5.9%相当)を考慮すると、基準年比-8.4%となり、目標を達成した。

また「ポスト京都議定書」。つまり、1997年12月11日に議決、2005年2月16日に発
効した京都議定書は、2008年から2012年の第一約束期間内に先進国全体の温室効
果ガス6種の合計排出量を1990年に比べて5%以上削減することを全体的目標とし、
先進国に対して国ごとに削減目標を定めている。第一約束期間以降、京都議定書
を引き継ぐ枠組みとして世界各国が議論を行ってきた。日本では、英語の接頭辞
Postを冠して「ポスト京都議定書」と呼ぶのが慣習となっており、略して「ポス
ト京都」などとも呼ばれた。この呼称はほかの言語圏でもほとんど同じである。
京都議定書では、当時最大排出国であったアメリカの離脱、インドや中国などの
大量排出国が規制対象外、カナダの削減目標達成断念、CIS諸国のホットエア問
題など、多数の問題が発生している。これらの問題をポスト京都議定書で解決し
ていくことが期待されている。
2005年12月、カナダ・モントリオールでのCOP11/MOP1[1]で、京都議定書の規定に
従い「京都議定書改正に関する特別作業部会」(AWG-KP)の立ち上げが決定された。
2007年12月、インドネシア・バリ島でのCOP13/MOP3で、「バリ行動計画」が採択
された。本計画では、京都議定書のように特定の国に削減義務を課すのではなく
すべての国に行動を求める新しい枠組みを作ること、そのために「長期的協力行
動に関する特別作業部会」(AWG-LCA)を立ち上げること、2009年までに結論
を出すことになった。これ以降、AWG-LCA(条約AWG)とAWG-KP(議定書AWG
が並走することとなる。
2008年1月のダボス会議、3月と6月にはIEA閣僚理事会、5月と6月には神戸と青森
でG8環境・エネルギー大臣会合、6月と11月にはAPEC会合、7月には洞爺湖サミッ
ト、12月にCOP14/MOP4が開かれて協議が行われた。
2009年には5回の特別作業部会(AWG)が開かれ、議論が進められた。 交渉期限で
あった2009年末にデンマーク・コペンハーゲンで開かれたCOP15/MOP5では、最終
局面で一部の国々の反対により、結論を翌年に持ち越した。
2010年末にメキシコ・カンクンで開かれたCOP16/MOP6でようやく「カンクン合意
」の採択に至った。 その後も詳細な制度設計が続けられ、
2012年にカタール・ドーハ で開かれたCOP18/MOP8で京都議定書の改正案、バリ行
動計画の全ての議題に関する一連の決定が採択され、AWG-LCA、AWG-KPはともに終
了した。

主要国の削減目標・削減行動

via Wikipedia
※ これ以上のことは現状把握していないので、後日分かりやすいまとめ掲載報告し、
課題などを提起できればと考えている(大変重い作業になる)。
ればと考えている。


出所;JPEA
https://www.jpea.gr.jp/wp-content/themes/jpea/pdf/pvoutlook2050_2020.pdf

参考掲載資料2023 WI 環境ビジネス
『太陽光は50年に386GW導入可能 目標達成には現状の6倍加速が必要』
JPEAが2020年「PVOUTLOOK 2050」を見直し新ビジョンを公開したもので、30年に125
GW(AC)、50年に386GW導入を打ち出すが、再エネ増加には政府の明確な目標と実現
のための政策手段が不可欠で、新ビジョン実現のために、需給一体型太陽光発電
の普及拡大を呼びかけている。
------------------------------------------------------------------------
50年に386GWと大幅に見直し
11月7~9目、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)が「需給一体型太陽光発電の普
及拡大を目指して」をテーマに掲げ、第40回太陽光発電シンポジウムを開催。 2020
年に策定した「PVOUTLOOK 2050」を見直し、新ビジョンを公開。従来のビジョ
ンは温室効果ガス80%削減を前提とし策定されたが、今回公開した新ビジョンは
カーボンニュートラルの実現を前提に太陽光発電導大量を推計。

JPEAFIT
、2020年に公開した従来のJPEAビジョンは2022゛2030年を「FIT(FIP)か
らの自立」、「電力市場への統合」に向けた8年と設定。 2030年の国内の太陽光発電
導大量をACベースで100GW、2035年は130GW、2050年には300GW。 20年末当時の
導大量が61GWなので、50年に5倍に増やすという野心的なビジョンたった。新ビジ
ョンでは導大量をさらに30年に125GW(パネル出力DCベース155GW)、35年に
171GW(同215GW)、50年に386GW(同509GW)と大幅に見直しする。ちなみに22年
末現在の導大量は約71GW(同約85GW)。算出した導入ポテンシャルは2380GW こう
したビジョンの推計値を裏付けるのが国内太陽光発電導入ポテンシャル 経済
合理性を考慮せず、技術的な観点のみから導入ポテンシャルを算定すると2380GW
(DC)という 膨大量となり、仮に100%の導入が可能となれば日本の電力需要量の
2倍以上になる。 50年の導入量509GW(ACベース386GW)は導入ポテンシャル
のわずか21%を占めるに過ぎない」としている。導入ポテンシャルが最も高い区分
は農業関連(1593GW)、非住宅 建物(391GW)、住宅(240GW)の順。 水上空間と
BIPV(建材一体型太陽光 発電)も高いポテンシャルを示した



事薬用自家消費の顕在化率はポテンシャルの100%到達
JPEAが算定する太陽光発電の技術的な観点から推計した導入ポテンシャルは経済
合理性の観点からみて、どの程度顕在化が可能なのだろうか。
JPEAはコスト・設備利用率、カーボンプライス、売電単価等を基にした発電事業
経済性(IRR)分析からポテンシャル顕在化率を試算した。
まず住宅用では電力の7割を余剰売電することを前提とし、ポテンシャル顕在化
率は2025年で63%、2030年で88%だが、2035年以降は100%に近い水準に達する。ま
たカーポンプライスをゼロに設定すると、コスト低減の効果はあるものの、卸価格(
売電単価)低減の影響も大きく2050年時点でもポテンシャル顕在化率が50%程度に
とどまるという。
次いで事業用自家消費型ではポテンシャル顕在化率は自家消費率を70%と想定す
ると、2025年の時点で100%となる。さらにカーポンプライスをゼロとしても、
テンシャル顕在化率は2025年時点で100%となる。契約電力単価が比較的高い水準
にあることから自家消費による効果が大きいためである。
事業用オフサイト型は発電した電力の100%を系統に売電することを前提としてい
る。ポテンシャル顕在化率は2025年で48%と低いが、2030年以降は90%以上となり
2050年には100%近い水準に到達する。ただしカーポンプライスをゼロとすると、
コスト低減よりも急激に卸電力価格が低減するため、2050年までの期間を通じて
ポテンシャル顕在化率は低迷するという。

政策依存型から市場主導型への転換を
JPEAによる太陽光発電のポテンシャル顕在率はおおむね高い水準をマークしてい
る。では、再エネの中で太陽光発電の増加が絶対条件といわれる中、国内の太陽
光発電を取り巻く現況はどうなっているのだろうか。
京都大学大学院経済学研究科の諸富徹教授は同シンポジウムの特別講演「太陽光
発電拡大の課題と展望」の中で、「(再エネ増加に対する)政府がコミットした
明確な目標の欠如、実現のための政策手段が不明確なこと」、「事業者の人手不
足、円安によるコスト上昇」、「FITからFIPの移行が魅力的ではないこと」、「
出力制限の拡大」など再エネ事業者を取り巻く環境の厳しさを指摘。一方で需要
家を取り巻く環境として、企業ではコーポレートPPAの拡大、家庭では自家消費モ
デルの拡大などが顕在化しているという。
こうした中で、課題を抱えてるものの「政策依存型から市場主導型への転換」によ
り、大きなチャンスがあるとみる。たとえば、屋根置きのオフサイトPPAや家庭自家
消費モデルの大きな潜在可能性とともに
-------------------------------------------------------------------------
①自家消費最大化モデル(オンサイトでの最大利用+過不足電力の系統を通じたや
りとり)
②蓄電池+ヒートポンプ+EV
③余剰電力のアグリゲーターによる買い取りなど、市場主導型ビジネスモデルの
普及に期待を寄せている。ただし、「そのためには環境整備が必要で、時間も必
要だ」としている。
-------------------------------------------------------------------------
達成するには導入量を現在の6倍に
近年、国内では太陽光発電の適地が不足しているといわれている、日本全体のポ
テンシャルは2380GWと膨大。 2050年には電力需要量の40%をまかなえる509GW
の導入が可能となります。ただし、目標を達成するには導大量を現在の6倍にまで

高めなければなりません。供給側のできることは限られている中、昼間発電した
カーボンフリーで安価な電力をどんどん皆さんに使っていただく。あるいは達系
線を通して余剰電力を他の地域で使う。そうした需給一体となった取り組みが必
要となります」と呼びかける。
via 環境ビジネス2024.Win(インタビュ-:増川武昭JPEAの事務局長)




ガール・フレンド オックス 
1968.05.05 
作詞/作曲:橋本淳/筒美京平
※当時、グループサウンドがは流行り、「難波一番」で、タイガースなどのが競演する
ステージでこの二つのステージ演奏を楽しんだ記憶が鮮やかに残っている。





今夜の一冊:ChatGPT超入門

今夜の寸評: エコ・セントリック企業」って株主は「地球」。取締役に
         「自然」と言うのか?!面白いね・

※ 色素増感太陽電池の開発を開始したのが10数年前であったが「原発推進政
策」で「太陽電池開発」でトップの座を陥落、2011年の福島原発事故で、フラン
ス・ロシア・中国などを除き軒並み再生可能エネルギー推進に変更するなか2023
年の現在も日本は原発推進は不動のままで、東芝は解体・切り売り状態。太陽電
池推進は名ばかり、体力・気力も下降線を下る中、ならば、「ラスト・ディケイ
ド!再エネ・核融合・脱炭素・メタネーションも俺にまかせろ!」と奮起するが
思うように筆が進まぬ・(とほほのホ ^^;!)

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新成長経済理論考 ⑤

2023年11月28日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

毎年11月28日は世界で水餃子を楽しく頂きましょう!
Let's Eat Dumplings around the world!



今朝の提案:水餃子事業考②

 

 
 
Anytime Anywhere ¥1/kWh era
【再エネ革命渦論 199  アフタ-コロナ時代 186
技術的特異点でエンドレス・サーフィング


京都大学バイオナノマテリアル共同研究拠点

第三の仕事はナノテク➲ネオコンバ-テック
最新木質流動形成技術



木材や竹などの木質系材料と金属などの非木質系材料とを接合した部材を製造す
る場合、接合方式としては、ボルトなどの締結部品を用いる機械的方式、接着剤
などを用いる化学的方式、それらを併用した複合的方式によるものが挙げられ、
これらの接合方式は、使用用途・環境・経済性に応じ利用される。膨潤状態の木
質材料に熱をかけて軟化状態とし、圧力を作用させることで塑性流動する現象を
見出し、この塑性流動を利用した木質系材料の成形に関連する技術について提案
されているが、木質系材料の流動成形技術は、圧縮加工のように木質細胞の内腔
の閉塞によって緻密化させて形状変化を与える方法と比べて、木質細胞間のすべ
り(流動)現象による位置変化によって変形を与えるため、より大きな変形量を
与えることができる。

しかし、従来の接合方式の場合、木質系材料と非木質系材料との接合部において
木質系材料の強度が接合強度の律速になるため、木質系材料の材料強度以上の接
合強度がでないこと、接着やボルト締結などに手間やコストがかかることが問題
となっている。また、木質系材料の膨潤収縮による寸法変化や応力緩和ならびに
クリープなどにより、初期締結力や接着力が漸減し、部材接合強度が低下してし
まうことも問題となるなど、このような接合部材の製造方法として、従来法より
も手間やコストが抑制された製造方法の提供にある。木質系材料と、表面に凹部
および/または凸部を有する非木質系材料とが接合、一体化した接合部材であっ
て、木質系材料は、木質繊維細胞の細胞壁が破壊されることなく、木質繊維細胞
の相互の位置関係が変化した状態で非木質系材料の凹部の内部または凸部の周囲
に入り込んで、充填することで、木質系材料と非木質系材料とが強固に接合した
接合部材を提供する。


図1.
【関連特許1】
・特開2021-088059 接合部材および接合部材の製造方法 国立研究開発法人産
 業技術総合研究所
【特許請求の範囲】
【請求項1】 木質系材料と、表面に凹部および/または凸部を有する非木質系材
料とが接合、一体化した接合部材であって、 前記木質系材料は、木質繊維細胞の
相互の位置関係が変化した状態で前記非木質系材料の前記凹部の内部または前記
凸部の周囲に入り込んで、充填されていることを特徴とする接合部材。
【請求項2】 前記木質系材料は、樹脂が含浸していることを特徴とする請求項1
の接合部材。
【請求項3】 請求項1または2の接合部材を含むことを特徴とする建築用部材、
自動車用部材、家具、日用品および電化製品用部材。
【請求項4】 請求項1の接合部材の製造方法であって、以下の工程: 表面に凹
部および/または凸部を有する非木質系材料が設置された金型内に木質系材料を
投入する第1工程;および、前記金型を加熱することで前記木質系材料を加熱し
て軟化させるとともに、この木質系材料を加圧することで塑性流動させる第2工
程 を含み、 前記第2工程では、塑性流動によって、前記木質系材料が前記非木
質系材料の前記凹部の内部または前記凸部の周囲に入り込んで充填され、前記木
質系材料と前記非木質系材料とが接合、一体化することを特徴とする接合部材の
製造方法。
【関連特許:グリオキザール樹脂用途】
・特開2010-001688 木質床材及び該木質床材の製造方法 パナソニック電工株式会社
【関連情報】
・自動車内装用の高性能木質意匠パネル・部品の作製技術の開発 産総研 2018.02.05
・木質流動成形技術による県産木質資源の用途開発(第1報) 会津若松技術支援
 センタ 2021.06.24



ゲル化凍結法 従来材と比べて約38%削減
2017年2月13日、美濃窯業と産業技術総合研究所(産総研)は熱伝導率0.25W/m・
K以下で圧縮強度10MPa以上の特性を持つ、1450℃まで使用可能なRCF(リフラク
トリー セラミック ファイバー)を含まないファイバーレス断熱性材料を開発し
ている。800℃以上の高温で使用され工業炉の操業中に投入される熱エネルギー
のうち、製品加熱に用いられるエネルギーは約30%で、残りは使用されないまま
廃棄される。中でも1500℃以上で焼成されるセラミックスの工程は、使用する熱
量がわずか数パーセントで、残りの熱量は道具材や炉材への蓄熱や排熱ガスとし
て廃棄されているという。特に炉材への蓄熱や、炉壁からの放熱などの断熱材料
に起因する廃棄熱量は、全体の約45%を占めている。このような使用されずに廃
棄される未利用熱を削減するため、高温で使用可能な高強度、高断熱性材料の開
発が望まれていた。



電磁波ノイズを高効率で電力に
ソニーが生んだ「業界初」環境発電IC
➲2023.11.27 EETimes

1テレビや冷蔵庫といった家電や産業用ロボットなどから常時発生する電磁波ノ
イズを利用し、高効率で電力を生成する環境発電用モジュールを、ソニーセミコ
ンダクタソリューションズが開発。光や熱、振動など環境や生体の中に存在する
微小なエネルギーを収穫(ハーベスト)し、電力を生成する技術であるエナジー
ハーベスティング(環境発電)は、あらゆるものがインターネットにつながるIoT
社会の実現において重要となる、無線/自立給電によるセンサーネットワーク構
築を可能にするものとして期待されている。矢野経済研究所によれば、エナジー
ハーベスティングデバイスの出荷量は2021年の5億8520万個から、2030年には95
億4750万個にまで成長する見込み。



環境発電では光や熱、振動、電波を用いた方式の研究が進んでいるが、今回SSSが
開発したのは、家電やPC/モニター、照明、そして産業用ロボットなど、電気を
使用するあらゆる機器から常時発生する電磁波ノイズを利用する方式のモジュー
ルだ。 具体的には、家庭のAC100Vや工場のAC200Vといった交流からDC5Vや12Vな
どの直流に変換する際や、インバーター制御などで発生する、数ヘルツから100MH
z帯までの電磁波ノイズを利用し、数十マイクロワット~数十ミリワットの電力
を生成。これによって低消費電力の各種センサーや通信機器などへの給電を実現
する。



『厄介者』をエネルギーに、アンテナ開発のノウハウ生かす
同モジュールを開発したのは、SSSのアナログLSI事業部チューナー製品部。同部
署はその名の通り、テレビチューナーモジュールや復調LSI、スマートフォンな
どに取り付けるケーブルアンテナなどを中心に開発していて、いずれも市場で高
いシェアを有している。 環境発電技術とは一見全く関係のない分野の製品を手
掛けてきた部署が、なぜ今回のモジュールを開発することになったのか。同部署
の吉野功高氏によると、近年スマホへのテレビ搭載が減少し、ケーブルアンテナ
需要が減少したことなどを受け、新たなビジネスを探索していたことがきっかけ
だった。これまでの製品開発において「アンテナの感度を高めるとノイズを受け
やすくなり、ノイズ劣化が起こってしまう問題がある。このノイズをいかに抑え
性能を出すかという点に注力してきた。長年、「対策する対象」である電磁波ノ
イズに関する知見を蓄積してきていた。そうした中で、「ノイズをうまく活用し
てエネルギーに変えることができないか」と着想・2019年に同モジュールの開発
に着手した。
SSSが開発したモジュールはアンテナエレメントを2つ備えたダイポール構造アン
テナの技術の応用によって実現したものだ。また、一方のアンテナを、冷蔵庫や
ロボットなど、ノイズの発生源である機器の金属部に取り付けることでアンテナ
の一部として活用。さらにもう一方のアンテナをグラウンド(アース)につなぐ
ことで大きな電位差を生じさせ、数ヘルツから100MHz帯までの低い周波数帯で非
常に大きなエネルギーを取り込むことに成功する。



モジュールは、2つのアンテナのほか、電気への変換効率を高める整流回路(ダ
イオード)および、過充電防止回路というシンプルな構成となっていて、電池な
どの蓄電素子にそのまま出力可能となっている。構成する部品点数を抑えたこと
で安価かつ、サイズも7mm角、薄さは1.2mmという小型化を実現し設計の自由度を
高めた。SSSは「高効率な電力生成を実現する本方式によるハーベスティング技
術は、業界初」と説明。同技術に関し、2023年9月25日時点で14件の特許を出願。

既存の振動や熱、光による環境発電は、エネルギーを電力に変換する素子が必要
となる。電波も、放送波や無線LANに合わせたアンテナが必要だ。一方、開発品は
非常にシンプルで、片方を機器の金属部、片方をグラウンドにつなぐだけで電圧
が発生し、電力を収穫できる。専用の素子が不要でコスト的に大きくメリットが
ある。さらに、ノイズの中でも低い周波数帯をターゲットとしたことで、従来の
電波によるエナジーハーベスティング方式を大きく上回る、数十マイクロワット
~数十ミリワットという電力生成能力を実現したうえ、他のエナジーハーベステ
ィング方式と異なり使用環境(光の明るさや室内環境など)に影響されることも
なく、機器が通電されていれば待機時も含め常に安定した電力の収穫が可能とな
る。このため、幅広いユースケースに適応可能。
同モジュール開発の過程についてうまく整流できなかったり、また、当初はグ
ラウンドを付けず開発を進めていたため、収穫電力の量が少し足りなかったりと
、さまざまな課題があった。また、今回のような低い周波数帯を用いる研究は少
なく、実験結果を基に理論に落とし込むという作業も多かった。試行錯誤の結果
モジュールを完成させた。

12mWの電力生成や、センサーとしての応用も
同モジュールでは、テレビなどのスイッチングレギュレーターを多用する機器や
エアコンなどのインバーター回路を使った機器でより大きな電力を収穫でき、さ
らに、サーボ駆動するロボットなどではかなり収穫が大きい。同社が今回のモジ
ュールを用いた実験では、冷蔵庫に設置した場合、電圧11.37V、電流50μAの環
境で0.57mWの電力を、PCの場合では電圧10.5V、電流0.1mAの環境で1.1mWの電力
が得られた。さらに産業用ロボットでは30V、0.4mAの環境で12mWの電力を収穫可
能だった。この電力を利用し、低消費電力型のIoTセンサーや通信機器にエネル
ギーを供給し、工場のスマート化など、さまざまなIoTネットワーク構築に貢献
できる。今回のモジュールの出力電圧は最大2.7V、出力電流は最大5mAとなって
いる。収穫電力にもよるが、顧客の要望によって変更は可能だとのこと。
また、機器から発生する電磁波ノイズを常に収穫し続けることから、収穫電圧の
変化を検知することで、照明が正常に点灯しているかの検知や、モーターを内蔵
したロボットなどの機器の故障検知など、さまざまな状態検知にも応用可能
このほか、例えば人間が機器を触った際にノイズが移ることを利用し、タッチセ
ンサーのように応用することもできる
※そうなんだ「節電」×「付加価値」の相乗効果が期待できそうだ。
 ナノっている。
 

Guidelines for secure AI system development PDF

 風蕭々と碧い時

テンプターズ『エメラルドの伝説』
1968.06.15

 



●  今夜の寸評: 琵琶湖の水位低下。マイナス75センチで節水呼びかけ
      ➲水位がマイナス90センチになると取水制限の可能性



東京都の約2倍の大きさで、37年間にわたって南極の海底に接地していた世界最
大の氷山の一つである「A23a」が、2023年11月頃から移動していることが報告さ
れている。東京都の約2倍の大きさで、37年間にわたって南極の海底に接地して
いた世界最大の氷山の一つである「A23a」が、2023年11月頃から移動している。

 

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