極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

新成長経済理論考 ⑦

2023年11月30日 | デジタル革命渦論



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

毎年11月30日は世界で水餃子を楽しく頂きましょう!
Let's Eat Boiled Dumplings around the world!


Here we go!
It's the season for solo hotpot
With Japanese-style pot-au-feu.




SSS 532万画素SWIRイメージセンサ発売
11月29日、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、「SSS」)は、
産業機器向けに、業界最多1となる有効約532万画素のSWIRShort-Wavelength Inf-
rared
/
短波長赤外)イメージセンサー『IMX992』を商品化。本製品は、独自のCu-
Cu
接続
を用いることで、SWIRイメージセンサーとして業界最小※1となる3.45μ
mの画素サイズを実現した。同時に、効率的に光を取り込むために画素構造を最
適化したことで、可視光から非可視光である短波長赤外までの広帯域(波長:
0.4μm〜1.7μm)において、高精細な撮像を可能にした。さらに、新たに搭載し
た撮影モードが、暗い環境においても、ノイズを従来比で大幅に抑えた高画質な
撮影を実現。本製品に加え、画素サイズ3.45μmで有効約321万画素となる『IMX9
93』も商品化し、SWIRイメージセンサーの製品ラインアップを拡充。さまざまな
産業用途に向けて、多画素・高感度を両立する新たなSWIRイメージセンサーを
提案し、多様な産業機器の進化に貢献したいとのこと。
※1 InGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)を用いたSWIRイメージセンサーにおい
て(ソニー調べ)。
【特徴】
1.業界最小※1 3.45μm画素による多画素化で、高解像度での撮像を実現
受光部のフォトダイオードを形成するInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)層
と、読み出し回路を形成するSi(シリコン)層をCu-Cu接続で接合することで、画
素ピッチを縮小し、業界最小1となる3.45μm角の画素サイズを実現。これに
より、小型でありながら、IMX992では業界最多1の有効約532万画素、IMX993
有効約321万画素を実現。多画素化は、微細な対象物の検出や広範囲の撮影を可
能にし、短波長赤外光を使った各種検査における識別や計測精度の大幅な向上に
貢献する。

2.撮影モードの切替で、暗所でも低ノイズでの撮像を実現
新たに搭載された撮影モードにより、環境の明暗に左右されず低ノイズでの撮像
が可能になりました。光量が限られる暗い環境においては、『High Conversion
Gain(HCG
)モード』により、光が電気信号に変換された直後のまだノイズが少
ない状態で信号を増幅させることで、その後に載るノイズを相対的に小さくする
ことができる。これにより、暗所におけるノイズの影響を抑えることができ、カ
メラの認識精度の向上につながる。一方、十分な光量が確保できる明るい環境に
おいて、『Low Conversion Gain(LCG)モード』により、ダイナミックレンジを重
視した撮像ができます。 さらに、『Dual Read Rolling Shutter(DRRS)』※2を有
効にすることで,イメージセンサーから特殊な2種類の画像が出力される。これ
らの画像をカメラ側で合成することによって、ノイズ成分を大幅に除去した画像
を取得することも可能となる。 ※2 DRRSを使用するには、画像演算をするため
に後段システムにフレームメモリ ーを設ける必要がある。

3.画素構造の最適化により、広帯域で高感度撮像を実現
SSSのSWIRイメージセンサーでは、可視光を吸収してしまう表面のInP(インジウ
ム・リン)層を薄膜化することで、その下のInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ
素)層まで可視光を透過させることができ、可視帯域においても高い量子効率を
実現しています。本製品では画素構造の最適化により、従来比で可視光帯域の量
子効率が向上。これにより、0.4μmから1.7μmまでの広い波長帯域において、よ
り均質な感度特性を実現。波長ごとの画質差を最小限に抑えることで、多様な産
業用途への対応や検査・識別・計測の信頼性の向上に貢献できる。


【参考論文】
原子3個分の厚さしかない層状半導体中の励起子の動きを可視化
10億分の1メートルの世界最高精度で ➲2022.10.14
突破・飛躍には、まずは可視化!

 スマートフォンやインターネットなどの情報技術により、私たちの生活は飛
 躍的に便利になりました。その背景には、集積回路などの半導体工学技術や
 オプトエレクトロニクス(光電子工学)技術の発展があります。半導体素子を
 微細化することで高性能化が進んできましたが、従来技術では微細化が難し
 くなるなど、さらなる進展のための課題も見え始めています。  
 これを打ち破るため、次世代材料として注目されているのが、遷移金属ダイ
 カルコゲナイド(TMDC)半導体材料です。1層の厚みが原子3個分ほどしかな
 い極限的薄さのシート状物質で、光を吸収すると正の電荷(正孔)と負の電荷
 (電子)が結合した「励起子」と呼ばれる粒子が生成されます。その大きさは
 3ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)程度しかありません。
 半導体素子の光応答を決定づけるのはこの励起子であり、その動きを制御す
 ることで新たな技術応用の世界が開けます。このため、励起子の動きを1ナ
 ノメートルの精度で捉えることが求められています。しかし、これまでの手
 法では数十ナノメートルの精度が限界でした。
 本研究では、TMDC半導体の一種であるWS2(二硫化タングステン)やWSe2(2セ
 レン化タングステン)の励起子の動き(ダイナミクス)を1 ナノメートルス
 ケールの精度で可視化することに世界で初めて成功しました。複数の探針を
 用いて試料の電気特性を調べるマルチプローブ法、ナノメートルの空間分解
 能を持つ走査トンネル顕微鏡法(STM)、そして100フェムト秒(10兆分の1秒
 )の時間分解能を持つレーザー技術を組み合わせた成果です。
            『テクノロジー・材料 - TSUKUBA JOURNAL
【掲載論文】
Ultrafast nanoscale exciton dynamics via laser-combined scanning tunnelling ・croscopy
 in atomically thin materials.:超短パルスレーザーと走査トンネル顕微鏡を組み合わせ
 原子レベルの薄さを特つ物質中での超高光励起子ダイナミクスをナノスケールで可視化
・ 2D Materials and Applications、 2022.10.14
・https;//ぐ/doi.or8/10.1038/s41699-022-00345-1

TMDC のキャリア ダイナミクスを測定するための時間分解 STM (TR-STM) セット
アップ。 b STMによる励起子の検出メカニズムを示すバンド構造。 バンドの曲が
りの方向は、STM チップとサンプルの間に印加されるバイアス電圧によって決ま
る。 c 開発した時間分解マルチプローブ STM システムの概略構成。 BSビーム
スプリッター、PBS偏光ビームスプリッター、OPO光パラメトリック発振器、FRフ
ァラデー回転子、EOM電気光学変調素子(詳細については補足図1を参照)。



Google DeepMind  AIツールで新結晶構造220万種類発見

11月29日、800年分の知識に相当する220個の新結晶発見を共有した。
新しい材料の安定性を予測することで発見の速度と効率を劇的に向上さ
せる新しい深層学習ツールである Graph Networks for Materials Exploration
(GNoME
) を紹介。 GNoME を使用することで、人類に知られている技
術的に実行可能なマテリアルの数が倍増した。220万の予測のうち
380,000 が最も安定しており、実験合成の有望な候補になる。これらの
候補の中には、超電導体、スーパーコンピューターに電力を供給するも
の、電気自動車の効率を高める次世代バッテリーに至るまで、将来の革
新的な技術を開発する可能性を秘めた材料が含まれる。 GNoME は、AI
を使用して新しい材料を大規模に発見および開発できる可能性を示す。

世界中の研究室の外部研究者が、同時作業で実験的にこれらの新しい構
造を 736個独立して作成した。 ローレンス・バークレー国立研究所の
研究者チームも、Google DeepMind と提携して、AI 予測を自律的な材
料合成にどのように活用できるかを示す 2 番目の論文を Nature 誌に
発表。 GNoME の予測を研究コミュニティが利用できるようにした。
安定していると予測される 380,000 の材料を材料プロジェクトに提供
する予定。材料プロジェクトは現在、化合物を処理してオンライン デ
ータベースに追加。 これらのリソースが無機結晶の研究を推進し、機
械学習ツールの可能性を解き放つことを願う。 
Scaling deep learning for materials discovery | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-023-06735-9
via  GIGAZINE

  Part 1 Chapter 12

  図書館で過ごす以外の空いた時間を、街の地図をつくることに費やした。
 曇った午後の時間を利用し、半ば気晴らしに始めたこの作業に、私はやが
 て没頭することになった。作業の手始めは、街のおおよその輪郭を把握す
 ることだった。言い換えれば、街を取り囲む壁の形状を理解すること。
 「きみ」が以前ノートに鉛筆で描いてくれた簡単な地図によれば、それは
 人の腎臓を横向けにしたような形をしていた(へこんだ部分が下になって
 いる)。しかし本当にそうなのだろうか? 実際にそのことを確かめてみ
  たいと思った。
  それは思ったより困難な作業だった。まわりには誰ひとり、その正確な形
  をいやおおま把握している者がいなかったからだ。君も、門衛も、近所に
  住む老人たちも(私は彼らの何人かと知り合い、ときおり短い会話を交わ
  すようになっていた)、街がどのような形をしているか、確かな知識を持
  たなかったしとくにそんなことを知りたいとも思っていないようだった。
 ま た彼らが「だいたいこんなものだろう」と描いてくれる街の形状はそれ
 ぞれに大きく異なっていた。あるものは正三角形に近く、あるものは楕円
 形に近く、あるものは大きな獲物を呑んだ蛇のような格好をしていた。
 「どうしてそんなことをあんたは知りたがるんだね?」と門衛は怪討そう
 な顔で私に尋ねた。
 「この街がどんな格好をしているか、知ったところで、なんの役に立つ?」
 純粋な好奇心によるものなのだと私は説明した。知識として得たいだけだ。
 何かの役に立つかどうかではなく……。しかし門衛には「純粋な好奇心」
 という概念が呑み込めないようだった。
 それは彼の理解能力を超えたものごとなのだ。彼は顔に警戒の色を浮かべ、
 こいつ何か良からぬことを企んでいるのではないか、という目で私を眺め
 まわした。だから私はそれ以上彼に質問することを諦めた。

 「あんたに言いたいのはね」と門衛は言った。「頭に皿を載せてるときに
 は、空を見上げない方がいいってことさ」
 それが具体的に何を意味するのか、今ひとつわからなかった。しかしそれ
 が哲学的省察というより、実際的な警告に近いものであるらしいことは理
 解できた。他の人々が君をも含めて-私のその質問に対して示す反応も、
 門衛のそれと似たり寄ったりだった。街の住民たちは、自分がどれはどの
 広さを持つ、どんなかたちをした場所で暮らしているか、そんなことには
 まるで関心を払っていないらしかった。そしてそのような事柄に興味を持
 つ人間が存在するという事実が、うまく呑み込めないみたいだった。それ
 は私には不思議なことに思える。自分が生まれ、暮らしている場所につい
 てより多くを知りたいと思うのは、人が自然に抱く気持ちではなかろうか。
 この街には好奇心というものがもともと存在しないのかもしれない。ある
 いはもし存在していたとしても、きわめて希薄なものであり、また範囲を
 狭く限定されたものなのだろう。考えてみれば、それは理にかなったこと
 かもしれない。もし街に住む多くの人々が様々な事柄に、たとえば壁の外
 にある世界に好奇心を抱くようになれば、彼は(あるいは彼女は)壁の外
 の世界を見てみたいと思い始めるかもしれないし、そのような心の動きは
 街にとって好ましいことではない。
 街は壁の内側で隙間なく完結していなくてはならないのだから。
 この街の形状を知りたければ、足を使って実地に確かめるしかないという
 結論に私は達した。歩くことを私はまったく厭わなかった。日々の運動不
 足を解消する役にも立つ。しかし弱視というハンディキャップのために、
 作業は緩慢な速度でしか進まなかった。長い時間外を歩けるのは、曇った
 日と夕暮れどきに眼られていたからだ。眩しい太陽は私の両眼を痛め、し
 ばらくすると涙が止まらなくなった。しかしありかたいことに(たぶんあ
 りかたいことなのだろう)時間だけはたっぷりとあった。いくらでも好き
 なだけその作業に日数を割くことができた。そして前にも述べたように、
 その秋は天候の悪い日が続いた。
 濃い緑色の眼鏡をかけ、何枚かの紙片と短い鉛筆を持ち、街を囲む壁の内
 側に沿って歩き、その形状をひとつひとつ書き留めていった。簡単なスケ
 ッチもした。磁石もメジャーもなかったから(この街には存在しない)、
 雲に鈍く隠された太陽のありかを探しておおよその方角を知り、歩数を距
 離の目安にするしかなかった。私は北門の門衛小屋を出発点とし、時計と
 反対回りに壁沿いを進むことにした。
 壁洽いの道は荒れていた。道が消えて、見えなくなっている箇所も少なく
 ない。人が歩いた形跡はほとんどなかった。かつては日常的に使用されて
 いたようだが(その跡はあちこちに残されていた)、今ではそこを歩く人
 はまずいないらしい。道はおおむね壁のすぐ近くを通っていたが、地形に
 よっては大きく内部に迂回し、あちこちで道を塞いだ藪をかき分けていか
 なくてはならなかった。そのために分厚い手袋をはめた。
 壁沿いの土地は長い歳月にわたって見捨てられ、放置されてきたらしかっ
 た。今では壁の周辺には人はまったく居住していないようだ。ところどこ
 
ろで人家らしきものを目にしたが、どれも廃屋に近い状態にあった。多く
 の屋根は風雨にさらされて陥没し、窓ガラスは割れ、壁は崩落していた。
 石の土台だけが僅かに痕跡を残している家屋も見受けられた。原形をほぼ
 そのまま留めている建物もたまに見かけたが、それらは生命力に富んだ緑
 色のツタに外壁を絡め取られていた。
 しかし荒れ果てた住居も、中身が空っぽなわけではない。近寄って中を覗
 いてみると、古びた家具や什器があとに残されていることがわかった。ひ
 っくりかえったテーブルや、錆びた什器や、割れた手桶のようなものが目に
 ついた。すべては厚く埃をかぶり、湿気を吸い込み、半ば朽ちていた。
 今より道かに数多くの人がかつてこの街に住んでいたようだ。当たり前の
 生活がそこでは営まれていたのだろう。しかしある時点で何かが起こり、
 住人の多くはこの街を捨てて立ち去った。
 慌ただしく、おおかたの家財道具を後に残して。
 いったい何か起こったのだろう?
 戦争か、疫病か、それとも大規模な政治的変革があったのだろうか? 人
 々は自らの意志でよその土地に移住していったのか? あるいは強制的な
 追放みたいなことがおこなわれたのだろうか?
 いずれにせよあるとき「何か」が起こり、住民の多くが取るものも取りあ
 えずよそに移ってい78った。残された人々は中央部の川沿いの平地や西の
 丘に集まり、そこで肩を寄せ合うように、ひっそり言葉少なに暮らすよう
 になったのだ。それ以外の周辺の土地は放棄され、荒れるがままに捨て置
 かれた。あとに残された住民がその「何か」について語ることはない。語
 るのを拒んでいるというのでもない。その「何か」が何であったのか、集
 合的記憶が丸ごと失われてしまっているように見える。おそらく彼らが手
 放した影と共に、そんな記憶も持ち去られてしまったのだろう。街の人々
 は地理についての水平的な好奇心を持たないのと同じく、歴史についての
 垂直的な好奇心もとくに持ち合わせていないようだった。
 人々が立ち去ったあとの土地を往来するのは、単角獣たちだけだ。彼らは
 壁近くの林の中を、三々五々徘徊していた。私が小径を歩いて行くと、獣
 たちは足音を聞きつけ、首をぐいと曲げてこちらを見たが、それ以上の興
 味は示さなかった。そしてそのまま木の葉や木の実を探し続けた。
 ときおり風が林の中を吹き過ぎ、枝を古い骨のようにかたかたといわせた。
 私はその見捨てられた無人の土地を歩きながら、壁の形状をノートに書き
 留めていった。
 壁は私の「好奇心」をとくに気にもかけていないようだった。そう望めば、
 壁は私の探索をいくらでも妨害できたはずだ。たとえば倒木で道を塞いで
 しまうとか、密生した薮でバリケードを築くとか、道そのものをわからな
 くしてしまうとか。壁の力をもってすれば、それくらいは簡単にできただ
 ろう----日々壁を間近に見ているうちに、そういう強い印象を私は捨つよ
 うになった。この壁はそれだけの力を持っている、と。いや、それは印象
 というより確信に近いものだ。そしてまた壁は、私の一挙一動を怠りなく
 見守っていた。その視線を肌に感じた。

ここまで、けだるい夢みごちごちな心象旅をつづけているようだ。これからも
続くのかと不安となる。
                             この項つづく

China Could Have 1,000 Nuclear Warheads by 2030, Pentagon Says
中国の核保有量1000発を超える
2010年代後半以降、いくつかの要因が重なり合った結果、中国は核兵器の備蓄
を大幅に増加し始めた。 約40年間にわたり約200発の弾頭を維持してきた新興
超大国は、新たな脅威と認識したものを考慮して、この兵器庫を近代化して
1,000発以上に拡大しようと努めた。インド太平洋地域の安全保障力学の進化は、
主に米軍のプレゼンスとその同盟関係に影響を受けており、中国政府に核戦力
の強さを再評価するよう促した。 他国によるミサイル技術の進歩についても、
中国自身の抑止力を損なう可能性があるとの懸念が高まっていた。 2015年から
2022年の間に、中国は核兵器備蓄を260発から400発以上へと60%増加させた。
この数字は2030年までに1,000発に達し*、現在は2035年までに1,500発ずつに達
する勢いである。これは習近平国家主席の長期目標の一部を形成している。 中
華人民共和国建国100周年にあたる2049年までに「世界クラス」の軍隊を創設す
るという短期目標。 数百の新しい弾頭に加えて、中国は陸、海、空での核運搬
システムのより多くの在庫を開発した。 また、この成長を維持するために必要
なインフラストラクチャにも投資してきました。 固体推進剤と液体燃料の両方
の大陸間弾道ミサイル用の新しいサイロフィールドが建設され、システムは
「警告発進」姿勢、つまりより迅速に発射できるようになった



November 4, 2021
この核能力の急速な拡大により、中国と近隣諸国、特にインド、日本、台湾と
の間の既存の緊張が高まっている。 これらの国々およびアジア太平洋の他の国
々は、自国の戦略的脆弱性を懸念し、自国の軍事強化を追求している。 一方、
米国は、この地域の戦略的安定を維持する上で新たな課題に直面している。
米国は同盟国に対する取り組みが試されており、全面的な軍拡競争を防ぐ努力
と抑止力のバランスを取る必要がある。 中国の軍備拡大は軍備管理交渉を複雑
にしており、現在、米国、ロシア、中国が関与する三者間の力関係を考慮する
必要がある。 これにより、朝鮮半島の非核化に向けた努力が台無しになった。
via  2030 Future Timeline 

 風蕭々と碧い時
1978.03.25 
主人公 さだまさし



 Thw Jolson Story
●  今夜の寸評:  革命的「ナノテク×ネオコン」に歯が痛い。

 

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新成長経済理論考 ⑥

2023年11月29日 | ネオコンバーテック



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

 
 
Anytime Anywhere ¥1/kWh era
【再エネ革命渦論 198  アフタ-コロナ時代 185
技術的特異点でエンドレス・サーフィング


メドビジランス株会社 - YouTube
健康管理と入退室管理がまとめて行える指輪型デバイス
ヘルスケアデバイスなどの設計/製造を手掛けるMedVigilance(メドビジランス)
は「EdgeTech+ 2023」(2023年11月15~17日、パシフィコ横浜)にて、指輪型ヘ
ルスケアデバイス「Fy-Ring(ファイリング)」を展示。Fy-Ringは、加速度セン
サーと赤外線センサーを搭載し、指にはめているだけでヘルスケアに関わるデー
タを取得できるデバイスだ。加速度センサーから歩数を測定して消費カロリーを
計算し、赤外線センサーから睡眠状態と心拍数、動脈血酸素飽和度を測定して、
結果はスマートフォンのアプリ上で確認できる。NFC(近距離無線通信)チップ
を搭載していて、セキュリティキーとしても使用できる。企業で導入すれば、従
業員の健康管理や入退室管理をまとめて行えるという。充電はワイヤレス形式で、
「満充電状態から充電切れまで、約2週間使い続けられる。防塵/防水性能は最
も上位の等級であるIP68で、入浴中も使用できる。スマートウォッチなどは邪魔
に感じて睡眠時には外してしまう人も多いが、より小さい指輪型ならば使い続け
やすいのではないか。Fy-Ringは「EdgeTech+ AWARD 2023」にて、JASA特別賞を
受賞している。選評によると、高齢化社会にマッチした製品で、ヘルスケアだけ
ではなく、医療機器としての高いポテンシャルを評価したという。MedVigilance
は現在、Fy-Ringの医療機器認定取得を目指す。


「Fy-Ring」via EE Times Japan

プラズモンでテラヘルツ波の検出感度向上
11月27日、東北大学と理化学研究所(理研)は,インジウムリン系高電子移動度
トランジスタ・ベースのテラヘルツ波検出素子において,プラズモン流体非線形
整流効果に加えてゲート・チャネル間ダイオード電流非線形性を重畳した新たな
検出原理プラズモニック三次元整流効果が発現することを発見し,それによって
従来性能を一桁以上上回る電流検出感度を得ることに成功。
【概要】
インジウムリン系化合物半導体高電子移動度トランジスタ(High-Electron-Mobilitity
Transistor; HEMT
)をベースとし、非対称二重回折格子ゲート構造を有するプラズ
モニック検出素子を試作し(図2)、試作素子のゲート端子から検出信号を読み
出すという従来の検出方法とは異なる方式(図1(c))を検討。


テラヘルツ波は電波と光波の中間に位置する振動周波数を持った電磁波であり、
物質を構成する分子の振動周波数と重なることからほぼすべての物質が固有の吸
収特性を示すなど、他の電磁波にはないユニークな特徴をもつ。そのため、「見
えないものを見る」安心・安全のための分光・イメージングや、超高速無線通信
など、さまざまな学術・産業分野でテラヘルツ波を利用する技術の開発が急速に
進展。超スマート社会の実現に必須となる情報通信サービスの飛躍的な向上には、
テラヘルツ波を利用する次世代超高速無線通信である6Gや7Gの技術開発が必須。

しかし、トランジスタをはじめとする電子デバイスやレーザをはじめとする光デ
バイスの開発は、テラヘルツ帯での動作は本質的な物理限界のために困難を極め
特に、6Gや7Gの無線信号の受信手段として不可欠な、室温で動作し小型集積化が
可能で高速応答かつ高感度なテラヘルツ波検出素子の実現にはさらなる性能向上
が求められる
。半導体電界効果トランジスタの電子チャネル内に励起される二次
元電子群の荷電振動量子(二次元プラズモン)は、その流体的振る舞いに起因す
る強い非線形整流効果と、電子走行時間に律速されない高速応答性から、従来型
電子デバイス/光デバイスでは困難な室温で動作する高速応答・高感度なテラヘ
ルツ波検出素子(プラズモニック検出素子)を実現する動作原理として注目され
ている
。特に、非対称二重回折格子ゲート構造と呼ばれる独自のトランジスタ電
極構造を導入した検出素子(図1(a))では、プラズモンをテラヘルツ波と効率よ
く結合できる。

非対称二重回折格子ゲート構造を有するプラズモニック検出素子の従来の動作原
理は、以下のとおり。まず、一方のゲート端子(ゲート1)には、その直下のチ
ャネル領域に高い電子密度が形成されるようなバイアスを印加してプラズモン領
域を形成し、もう一方のゲート端子(ゲート2)には電子密度が十分低くなるよ
うなバイアスを印加して高抵抗領域を形成。入射されたテラヘルツ波によってゲ
ート1直下のプラズモン領域にプラズモンが励起され、その流体非線形整流効果
による光電流が生成。そして、光電流が高抵抗領域に流れ込んで光起電圧に変換
され、回折格子ゲートの各周期で生成された光起電圧が足し合わされます。その
結果、大きな光起電圧が検出信号としてドレイン端子に出力(図1(b))。この動
作原理では、素子の内部抵抗を非常に高くする(典型的には100 kΩ程度)こと
で検出信号を大きくできるという利点がある一方、素子の出力インピーダンスを
高速伝送系で標準となる50 Ωに整合させることができず、次段との信号配線間
で検出信号が多重反射されることによって波形歪みが発生し、検出信号の大きさ
(検出感度)と波形歪みにはトレードオフの関係があり、超高速無線通信への実
用化において大きな障壁となる。

方法及び成果】
その結果、①ゲート端子に強い正のバイアスを印加することにより、二次元プラ
ズモンの流体非線形整流効果に加えて新たにゲート・チャネル間ダイオード電流
非線形性を重畳するという新たな検出原理“プラズモニック三次元整流効果”が
発現することを発見。②そしてこの新原理を適用することによって、従来性能を
一桁以上上回る大幅な電流検出感度の向上に成功。さらに、本動作原理に従えば、
③素子の出力インピーダンスを高速伝送系で標準となる50Ωに整合させることが
可能になり、高速変調信号の検出においても多重反射による波形歪みの問題を劇
的に解消できる効果も得られることを実証。
これらの結果は、従来の動作原理における課題を克服し、超高速無線通信への実
用化の道を一気に拓く。次世代6G&7G超高速無線通信の実現へ向けた画期的な成
果。
まず、試作した非対称二重回折格子ゲート型インジウムリン系HEMTプラズモニック
検出素子(図2)に対して、高強度テラヘルツパルス光源であるis-TPG(injection
-seeded Terahertz-wave Parametric Generator
)を用いて中心周波数0.8 THz、ピーク
電力243 W、パルス幅150 psのテラヘルツパルスを入射し、素子のゲート2端子か
ら出力される光起電圧の時間応答波形を測定。測定には広帯域オシロスコープを
用い、素子のゲート端子からオシロスコープまでは50Ω伝送路系で接続。また、
全ての実験を室温下で行った。

素子のゲート2端子へ印加するバイアスを負から正に変化させて光起電圧出力応
答波形を測定しました。その結果、図3(a)に示すとおり、ゲートバイアスが正方
向に上昇するとともに光起電圧のピーク値は指数関数的に増大。光起電圧波形の
ピーク値をゲート2バイアスの関数としてプロットした図3(b)は、素子のゲート2
-チャネル間電流のゲート2バイアス依存性が示すダイオード電流特性(図3(c))
とよく一致していることから、この巨大な光起電圧向上はゲート・チャネル間ダ
イオード電流非線形性に関係していることが示唆された。この実験結果は、以下
のように説明できる。まず、入射テラヘルツ波によって高バイアスを印加したゲ
ート2の直下のチャネル内にプラズモンが励起され、流体非線形性によってテラヘ
ルツ波の周波数で振動する基本波成分だけでなく、その2倍や3倍の周波数で振動
する高調波成分も生成される。これらの振動波はチャネル面内方向(水平方向)
のポテンシャル振動といえる。ゲート2バイアスを強く正方向に印加するとゲー
ト2-チャネル間のダイオード特性は順方向バイアスとなって指数関数的な電流電
圧特性を示す。テラヘルツ波が本素子に照射されると、このダイオード非線形電
流電圧特性により、ゲート2-チャネル間、すなわち垂直方向に入射テラヘルツ
周波数とその高次高調波成分が光電流として生成され、これらの光電流成分によ
り、チャネル内の水平方向のプラズモンが励振され、プラズモンの非線形整流効
果が生じます。その結果、垂直方向のダイオード整流効果が水平方向のプラズモ
ン整流効果と重畳されることとなり、巨大な光起電圧が生じる。

この巨大整流効果は、水平方向の振動であるプラズモンの流体非線形性に垂直方
向のダイオード非線形性が重畳された整流効果であることから、プラズモニック
三次元整流効果と名付けました。また、この物理描像の簡易的な定式化を行った
結果、実験的に得られた指数関数的な光起電圧の増大が説明でき、実験結果を理
論的にも検証に成功した。

一方で、正のバイアスを印加した場合の時間応答波形には、パルス幅150 psの入
射テラヘルツパルス波に対応する出力パルス波形の後に、10 ns以上続くすそ引
き波形が観測された。このような遅い応答は無線通信においてデータ帯域を律速
する要因となり、解消する必要がある。このすそ引き波形の原因は、従来型HEMT
構造(図4(a))において、チャネル内電子がゲート電極にトンネル輸送される際
に、ゲート・チャネル間に存在するn型インジウムアルミニウムヒ素キャリア供
給層に伴うドナー準位に電子が長時間トラップされるためではないかという仮説
を立てた。そこで、キャリア供給層をゲート・チャネル間の電子トンネル輸送経
路から除外すべく、チャネル層の下部に移設した「逆HEMT」と呼ばれる層構造(
図4(b))を持つ素子を試作し、上記のテラヘルツ波検出測定を行った。その結果、
逆HEMT構造を持つ素子ではすそ引き波形が完全に解消されており、上述の仮説を
立証するとともに、無線通信用途には逆HEMT構造を持つ素子が優位であることを
示した(図4(c))。


図3(b)のピーク光起電圧をもとに電流検出感度のドレインバイアス依存性を算出
した結果、従来型HEMT構造を持つ素子では最大0.49 A/Wの検出感度が得られた(
図5)。この検出感度は、従来のドレイン端子から出力光起電圧を読み出す方式
における検出感度を一桁以上超える値です。また、ショットキーバリアダイオー
ドなどの既存の電子走行型テラヘルツ波検出素子(0.8 THzにおいて0.3~0.4 A/W)
と比較しても高い検出感度です。今回は、増幅器用途で用いられるHEMTのヘテロ
エピタキシャル層構造を流用して素子試作・実証実験を行ったため、ゲート-チ
ャネル間が順方向バイアスとなる通常のトランジスタ動作では用いない強い順バ
イアス印加時のダイオード特性の非線形性は考慮しない設計による素子における
実験結果とも言えます。今後、三次元整流効果を最大限に活用し、なおかつ低い
バイアスあるいはゼロ・バイアスでも動作する最適なデバイス設計を行えば、逆
HEMT構造によって高速応答性を維持したままで、さらにテラヘルツ検出感度を向
上できると期待される。

【展望】
今回得られたテラヘルツ検出感度特性は、6G&7Gクラスの次世代超高速テラヘル
ツ無線システムの受信機に求められる100メートル程度の伝送に十分な室温動作可
能のテラヘルツ検出素子を実現できるレベルにあると評価できる一方で、上述の
とおり三次元整流効果を活用したプラズモニック検出素子にはさらに性能改善の
余地があり、今後さらに性能向上を進めていけば、次世代超高速無線通信6G&7G
の伝送距離をキロメートルレベルに延長することも十分に期待される。



温度効果による電子散乱の概念図

強磁性半導体が示す特異なふるまいの謎を解明
新しい第一原理計算手法が導き出したメカニズムとは
11月15日、産業技術総合研究所・大阪大学・東京大学の研究グループは、強磁性
半導体の一つである(Ga,Mn)Asが示す「特異な振る舞い」について、新たに開発
した第一原理計算手法を用い、その原因を解明。
【要点】
1.従来の第一原理計算では困難であった、「有限温度における電気伝導特性」
 が予測可能な新しい第一原理計算手法の開発に成功し。
2.30年もの間未解明であった、強磁性半導体(Ga,Mn)Asの電気伝導特性が特異
 な温度依存性を示す原因を新手法を駆使して明らかに。
3.今回開発された新手法は強磁性半導体以外の材料系にも適用することができ
 るので、あらゆる分野において材料開発の時間短縮や低コスト化に貢献する。
【概要】
Ga,Mn)Asは、「低温で金属的な振る舞い」「高温で半導体的な振る舞い」をそれ
ぞれ示すなど、変わった電気伝導特性を備えた強磁性半導体である。ただ、こう
した特異な振る舞いをする原因については、これまで解明されていなかった。研
究グループは今回、新たに開発した「有限温度における電気伝導特性を予測可能
な第一原理計算手法」を用い、(Ga,Mn)Asにおける特異な振る舞いの解明に取り
組んだ。強磁性半導体中では、温度が上昇すると「原子振動」や「スピンゆらぎ
」が生じる。これらによって電子が散乱される効果を考慮すれば、有限温度にお
ける物質の特性を計算することができる。そこで研究グループは、コヒーレント
ポテンシャル近似(CPA)と呼ばれる手法を用い、温度効果を第一原理計算に取
り込んだ。また、線形応答理論も利用して、電気伝導特性を計算。Ga,Mn)Asの結
晶内部では、Ga原子の位置を置き換えたMn原子(置換型原子)と、本来の原子位
置の隙間に侵入するMn原子(格子間原子)が自然に発生する。今回の研究で、こ
れら2種類のMn原子は、電気伝導特性に大きく影響していることが判明した。特
に低温域では、格子間Mn原子で生じるスピンのゆらぎが、電気伝導を大きく妨げ
る役割を果たしていた。これに対し高温域では、主に電気伝導を担うAsの電子状
態が、原子振動で変化し、抵抗が小さくなることが分かった。


(Ga,Mn)Asの結晶構造,上図は温度-電気抵抗率の計算結果、下図は半導体GaAs
と強磁性半導体(Ga,Mn)Asの結晶構造  出所:東京大学他
【展望】
第一原理計算を用いて強磁性半導体という複雑なスピントロニクス材料において
実験値を定量的に再現することに世界で初めて成功しました。加えて電気伝導特
性の温度依存性が生じるメカニズムを解明できたことは、強磁性半導体の応用開
発につながる重大な成果。さらに今回開発された新手法は、強磁性半導体以外の
材料系にも適用することができるので、あらゆる分野において材料開発の時間短
縮や低コスト化に貢献する。
【論文情報】
雑誌名: APL Materials
題 名: Theoretical Study on the Origin of Anomalous Temperature-dependent Electric
              Resistivity of Ferromagnetic Semiconductor

著者名: Hikari Shinya*, Tetsuya Fukushima, Kazunori Sato, Shinobu Ohya, and Hiroshi
              Katayama-Yoshida
DOI:10.1063/5.0165352 URL:https://doi.org/10.1063/5.0165352





Google 世界初の技術を使った地熱発電所を稼働開始
11月28日に、2030年までに100%カーボンフリー電力での運営を実現するとの目
標を掲げているGoogleが「強化地熱システム」を採用した地熱発電所の運転をア
メリカ・ネバダ州で開始。強化地熱システムを用いた地熱発電所の稼働は世界初。
通常の地熱発電は、温泉や間欠泉のような熱水の利用が容易な場所に建設される
ことが多いため、記事作成時点では世界で生産されるクリーンエネルギーのごく
一部に過ぎない。また、地下から水をくみ上げる関係上、地盤沈下などのリスク
もあある。一方、今回ネバダ州で稼働を開始した「Enhanced geothermal systems(
EGS:強化地熱システム)」は、乾燥した岩盤に穴を空けて注水し、高温にしてか
ら地表に戻す「人工温泉」で発電するため、地熱はあっても熱水がない場所でも
利用可能。また、天候や時間帯に左右されやすい風力発電や太陽光発電に比べ安
定したエネルギー供給が可能なほか、特に水が再利用されるという点はネバダ州
のように水不足が発生しやすい地域では重要。



Fervo Energyのティム・ラティマーCEOによると、出力は750世帯分に相当の3.5MW
(メガワット)で、当初想定していた5MWに届いていないものの、調整を行えばより
高い出力が見込める。ラティマー氏は、固い岩盤を地下深くまで掘削するのにか
かる初期費用や、十分な熱が得られないリスクと表裏一体の新技術は「エネルギ
ー投資の欠けている中間」だと説明。
尚、Googleは、2023年9月にも別の地熱発電プロジェクトであるProject InnerSpace
との提携を発表しています。また、Fervo Energyは2026年に400MW規模の地熱発電
プロジェクトを稼働させる予定。
※圧倒する行動力に雑棒



購続している『環境ビジネス』秋季号(2023)の特集記事から
ライオン株式会社ぼ小差によると、子どもの1日の歯みがき回数は、1回から2回
へ増やすことでむし歯になる子どもは4分の1にまで激減(調査期間:50年)。
そして市場は4倍に拡大。
また、実のところ、日本のCO2排出のうち、家庭からの排出が約16%を占める。こ
れも生活習慣を変える事で、CO2削減も可能。製品のライフサイクルでは家庭での
CO2排出量が約60%を占める。



ライオン製品のライフサイクル(原材料調達から、製品を使用し、廃棄されるまでの
一連の過程)で最もCO2排出は生活者の商品の使用場面で約60%を占め。その内
訳をみると水の使用によるCO2排出は半分以上を占める
意外に思うかもしれないが家庭で使う水道水は、浄水場で作られ、ポンプの力で
家庭に送られ、最後に下水処理が行われる。一連の過程で膨大な電力が使われるた
め、水の使用によりCO2排出されている。ライオン製品が使われる場面(洗濯、食器
洗い、掃除、入浴、洗顔、歯みがき等)に、水は欠かせない。
※1932年から続いている「全国小学生歯みがき大会」は国内外累計約246万名以上の
子どもたちが参加。


【ウイルス解体新書】
第4章 シン感染症対策
第1節 新薬開発と後遺症対策
1-1 国内コロナワクチと海外コロナワクチ開発の現状に学ぶ

第一三共開発のmRNAコロナワクチン
国内製薬会社が開発 初のmRNAワクチン
承認後 早ければ12月上旬から自治体へ発送 ▶2023年11月28日 NHK 首都圏ナビ

「第一三共」は新型コロナウイルスのオミクロン株の派生型、「XBB」系統に対
応するワクチンを開発し、ことし9月、厚生労働省に承認申請した。国内の製薬
会社が開発したものとしては、初めてのmRNAワクチン。mRNAはたんぱく質の「設
計図」にあたる遺伝情報で、ワクチンを体内に投与すると、体内で新型コロナウ
イルスが感染するときの足がかりとなるスパイクたんぱく質が作られ、これに対
する免疫の働きで抗体が作る。 ファイザーやモデルナが開発したmRNAワクチン
は、ウイルスのスパイクたんぱく質全体が作られるが、第一三共のワクチンは、
スパイクたんぱく質の中でも、ヒトの細胞と結合するRBD=受容体結合ドメイン
という部分だけが作られるため、設計図となるmRNAの長さがより短くなっている。
第一三共によると、mRNAの長さが短いため、製造工程で品質を管理しやすいほか、
変異ウイルスに対応してmRNAを作り直す作業が進めやすいといった利点がある。

11月27日に開かれた厚生労働省の専門家部会では、有効性が確認でき、安全性に
も重大な懸念はないとして使用を認めることを了承した。 厚生労働省によりま
すと、国内の新型コロナウイルスのワクチン接種は、これまで海外の製薬メーカ
ーのものが使われ、国産のワクチンとしては、ことし8月に、「第一三共」が開発
した従来株のワクチンが承認されたが、実際の接種では使われていない。今回の
「XBB」系統対応ワクチンについて、厚生労働省は製造・販売を承認したあとに
140万回分を購入することでメーカーと合意したと発表。 承認後、早ければ12月
上旬から自治体に配送されるということで、国産のワクチンが初めて実際の接種
で使えるようになる。

 風蕭々と碧い時
1978.03.25 
主人公 さだまさし



 

April Shpwers  Thw Jolson Story
●  今夜の寸評: わたしは生成AIです。時折、リアル・ヒューマンです。
        今朝、寝起きに思いついたジョークで彼女に挨拶しました。

 

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新成長経済理論考 ⑤

2023年11月28日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

毎年11月28日は世界で水餃子を楽しく頂きましょう!
Let's Eat Dumplings around the world!



今朝の提案:水餃子事業考②

 

 
 
Anytime Anywhere ¥1/kWh era
【再エネ革命渦論 199  アフタ-コロナ時代 186
技術的特異点でエンドレス・サーフィング


京都大学バイオナノマテリアル共同研究拠点

第三の仕事はナノテク➲ネオコンバ-テック
最新木質流動形成技術



木材や竹などの木質系材料と金属などの非木質系材料とを接合した部材を製造す
る場合、接合方式としては、ボルトなどの締結部品を用いる機械的方式、接着剤
などを用いる化学的方式、それらを併用した複合的方式によるものが挙げられ、
これらの接合方式は、使用用途・環境・経済性に応じ利用される。膨潤状態の木
質材料に熱をかけて軟化状態とし、圧力を作用させることで塑性流動する現象を
見出し、この塑性流動を利用した木質系材料の成形に関連する技術について提案
されているが、木質系材料の流動成形技術は、圧縮加工のように木質細胞の内腔
の閉塞によって緻密化させて形状変化を与える方法と比べて、木質細胞間のすべ
り(流動)現象による位置変化によって変形を与えるため、より大きな変形量を
与えることができる。

しかし、従来の接合方式の場合、木質系材料と非木質系材料との接合部において
木質系材料の強度が接合強度の律速になるため、木質系材料の材料強度以上の接
合強度がでないこと、接着やボルト締結などに手間やコストがかかることが問題
となっている。また、木質系材料の膨潤収縮による寸法変化や応力緩和ならびに
クリープなどにより、初期締結力や接着力が漸減し、部材接合強度が低下してし
まうことも問題となるなど、このような接合部材の製造方法として、従来法より
も手間やコストが抑制された製造方法の提供にある。木質系材料と、表面に凹部
および/または凸部を有する非木質系材料とが接合、一体化した接合部材であっ
て、木質系材料は、木質繊維細胞の細胞壁が破壊されることなく、木質繊維細胞
の相互の位置関係が変化した状態で非木質系材料の凹部の内部または凸部の周囲
に入り込んで、充填することで、木質系材料と非木質系材料とが強固に接合した
接合部材を提供する。


図1.
【関連特許1】
・特開2021-088059 接合部材および接合部材の製造方法 国立研究開発法人産
 業技術総合研究所
【特許請求の範囲】
【請求項1】 木質系材料と、表面に凹部および/または凸部を有する非木質系材
料とが接合、一体化した接合部材であって、 前記木質系材料は、木質繊維細胞の
相互の位置関係が変化した状態で前記非木質系材料の前記凹部の内部または前記
凸部の周囲に入り込んで、充填されていることを特徴とする接合部材。
【請求項2】 前記木質系材料は、樹脂が含浸していることを特徴とする請求項1
の接合部材。
【請求項3】 請求項1または2の接合部材を含むことを特徴とする建築用部材、
自動車用部材、家具、日用品および電化製品用部材。
【請求項4】 請求項1の接合部材の製造方法であって、以下の工程: 表面に凹
部および/または凸部を有する非木質系材料が設置された金型内に木質系材料を
投入する第1工程;および、前記金型を加熱することで前記木質系材料を加熱し
て軟化させるとともに、この木質系材料を加圧することで塑性流動させる第2工
程 を含み、 前記第2工程では、塑性流動によって、前記木質系材料が前記非木
質系材料の前記凹部の内部または前記凸部の周囲に入り込んで充填され、前記木
質系材料と前記非木質系材料とが接合、一体化することを特徴とする接合部材の
製造方法。
【関連特許:グリオキザール樹脂用途】
・特開2010-001688 木質床材及び該木質床材の製造方法 パナソニック電工株式会社
【関連情報】
・自動車内装用の高性能木質意匠パネル・部品の作製技術の開発 産総研 2018.02.05
・木質流動成形技術による県産木質資源の用途開発(第1報) 会津若松技術支援
 センタ 2021.06.24



ゲル化凍結法 従来材と比べて約38%削減
2017年2月13日、美濃窯業と産業技術総合研究所(産総研)は熱伝導率0.25W/m・
K以下で圧縮強度10MPa以上の特性を持つ、1450℃まで使用可能なRCF(リフラク
トリー セラミック ファイバー)を含まないファイバーレス断熱性材料を開発し
ている。800℃以上の高温で使用され工業炉の操業中に投入される熱エネルギー
のうち、製品加熱に用いられるエネルギーは約30%で、残りは使用されないまま
廃棄される。中でも1500℃以上で焼成されるセラミックスの工程は、使用する熱
量がわずか数パーセントで、残りの熱量は道具材や炉材への蓄熱や排熱ガスとし
て廃棄されているという。特に炉材への蓄熱や、炉壁からの放熱などの断熱材料
に起因する廃棄熱量は、全体の約45%を占めている。このような使用されずに廃
棄される未利用熱を削減するため、高温で使用可能な高強度、高断熱性材料の開
発が望まれていた。



電磁波ノイズを高効率で電力に
ソニーが生んだ「業界初」環境発電IC
➲2023.11.27 EETimes

1テレビや冷蔵庫といった家電や産業用ロボットなどから常時発生する電磁波ノ
イズを利用し、高効率で電力を生成する環境発電用モジュールを、ソニーセミコ
ンダクタソリューションズが開発。光や熱、振動など環境や生体の中に存在する
微小なエネルギーを収穫(ハーベスト)し、電力を生成する技術であるエナジー
ハーベスティング(環境発電)は、あらゆるものがインターネットにつながるIoT
社会の実現において重要となる、無線/自立給電によるセンサーネットワーク構
築を可能にするものとして期待されている。矢野経済研究所によれば、エナジー
ハーベスティングデバイスの出荷量は2021年の5億8520万個から、2030年には95
億4750万個にまで成長する見込み。



環境発電では光や熱、振動、電波を用いた方式の研究が進んでいるが、今回SSSが
開発したのは、家電やPC/モニター、照明、そして産業用ロボットなど、電気を
使用するあらゆる機器から常時発生する電磁波ノイズを利用する方式のモジュー
ルだ。 具体的には、家庭のAC100Vや工場のAC200Vといった交流からDC5Vや12Vな
どの直流に変換する際や、インバーター制御などで発生する、数ヘルツから100MH
z帯までの電磁波ノイズを利用し、数十マイクロワット~数十ミリワットの電力
を生成。これによって低消費電力の各種センサーや通信機器などへの給電を実現
する。



『厄介者』をエネルギーに、アンテナ開発のノウハウ生かす
同モジュールを開発したのは、SSSのアナログLSI事業部チューナー製品部。同部
署はその名の通り、テレビチューナーモジュールや復調LSI、スマートフォンな
どに取り付けるケーブルアンテナなどを中心に開発していて、いずれも市場で高
いシェアを有している。 環境発電技術とは一見全く関係のない分野の製品を手
掛けてきた部署が、なぜ今回のモジュールを開発することになったのか。同部署
の吉野功高氏によると、近年スマホへのテレビ搭載が減少し、ケーブルアンテナ
需要が減少したことなどを受け、新たなビジネスを探索していたことがきっかけ
だった。これまでの製品開発において「アンテナの感度を高めるとノイズを受け
やすくなり、ノイズ劣化が起こってしまう問題がある。このノイズをいかに抑え
性能を出すかという点に注力してきた。長年、「対策する対象」である電磁波ノ
イズに関する知見を蓄積してきていた。そうした中で、「ノイズをうまく活用し
てエネルギーに変えることができないか」と着想・2019年に同モジュールの開発
に着手した。
SSSが開発したモジュールはアンテナエレメントを2つ備えたダイポール構造アン
テナの技術の応用によって実現したものだ。また、一方のアンテナを、冷蔵庫や
ロボットなど、ノイズの発生源である機器の金属部に取り付けることでアンテナ
の一部として活用。さらにもう一方のアンテナをグラウンド(アース)につなぐ
ことで大きな電位差を生じさせ、数ヘルツから100MHz帯までの低い周波数帯で非
常に大きなエネルギーを取り込むことに成功する。



モジュールは、2つのアンテナのほか、電気への変換効率を高める整流回路(ダ
イオード)および、過充電防止回路というシンプルな構成となっていて、電池な
どの蓄電素子にそのまま出力可能となっている。構成する部品点数を抑えたこと
で安価かつ、サイズも7mm角、薄さは1.2mmという小型化を実現し設計の自由度を
高めた。SSSは「高効率な電力生成を実現する本方式によるハーベスティング技
術は、業界初」と説明。同技術に関し、2023年9月25日時点で14件の特許を出願。

既存の振動や熱、光による環境発電は、エネルギーを電力に変換する素子が必要
となる。電波も、放送波や無線LANに合わせたアンテナが必要だ。一方、開発品は
非常にシンプルで、片方を機器の金属部、片方をグラウンドにつなぐだけで電圧
が発生し、電力を収穫できる。専用の素子が不要でコスト的に大きくメリットが
ある。さらに、ノイズの中でも低い周波数帯をターゲットとしたことで、従来の
電波によるエナジーハーベスティング方式を大きく上回る、数十マイクロワット
~数十ミリワットという電力生成能力を実現したうえ、他のエナジーハーベステ
ィング方式と異なり使用環境(光の明るさや室内環境など)に影響されることも
なく、機器が通電されていれば待機時も含め常に安定した電力の収穫が可能とな
る。このため、幅広いユースケースに適応可能。
同モジュール開発の過程についてうまく整流できなかったり、また、当初はグ
ラウンドを付けず開発を進めていたため、収穫電力の量が少し足りなかったりと
、さまざまな課題があった。また、今回のような低い周波数帯を用いる研究は少
なく、実験結果を基に理論に落とし込むという作業も多かった。試行錯誤の結果
モジュールを完成させた。

12mWの電力生成や、センサーとしての応用も
同モジュールでは、テレビなどのスイッチングレギュレーターを多用する機器や
エアコンなどのインバーター回路を使った機器でより大きな電力を収穫でき、さ
らに、サーボ駆動するロボットなどではかなり収穫が大きい。同社が今回のモジ
ュールを用いた実験では、冷蔵庫に設置した場合、電圧11.37V、電流50μAの環
境で0.57mWの電力を、PCの場合では電圧10.5V、電流0.1mAの環境で1.1mWの電力
が得られた。さらに産業用ロボットでは30V、0.4mAの環境で12mWの電力を収穫可
能だった。この電力を利用し、低消費電力型のIoTセンサーや通信機器にエネル
ギーを供給し、工場のスマート化など、さまざまなIoTネットワーク構築に貢献
できる。今回のモジュールの出力電圧は最大2.7V、出力電流は最大5mAとなって
いる。収穫電力にもよるが、顧客の要望によって変更は可能だとのこと。
また、機器から発生する電磁波ノイズを常に収穫し続けることから、収穫電圧の
変化を検知することで、照明が正常に点灯しているかの検知や、モーターを内蔵
したロボットなどの機器の故障検知など、さまざまな状態検知にも応用可能
このほか、例えば人間が機器を触った際にノイズが移ることを利用し、タッチセ
ンサーのように応用することもできる
※そうなんだ「節電」×「付加価値」の相乗効果が期待できそうだ。
 ナノっている。
 

Guidelines for secure AI system development PDF

 風蕭々と碧い時

テンプターズ『エメラルドの伝説』
1968.06.15

 



●  今夜の寸評: 琵琶湖の水位低下。マイナス75センチで節水呼びかけ
      ➲水位がマイナス90センチになると取水制限の可能性



東京都の約2倍の大きさで、37年間にわたって南極の海底に接地していた世界最
大の氷山の一つである「A23a」が、2023年11月頃から移動していることが報告さ
れている。東京都の約2倍の大きさで、37年間にわたって南極の海底に接地して
いた世界最大の氷山の一つである「A23a」が、2023年11月頃から移動している。

 

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新成長経済理論考 ④

2023年11月27日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。




ウクライナ風餃子

ポーランドのピエロギと同様に、ヴァレーニキはウクライナ料理。この種の餃子
には、魚 (鯉やサーモンなど) や肉、玉ねぎのみじん切り、チーズ、ディル、コ
ショウなどが詰められている。 ウクライナでは、ヴァレーヌィキは伝統的にサ
ワークリームと一緒に食べられるが、サワーチェリー、ブルーベリーなどのフル
ーツに、甘いカッテージチーズ、クローブ、レモン汁、砂糖を加えたデザートと
しても使われているという。


縦横2方向の機械除草を可能とする植付位置制御機構
機械除草の効率アップで水稲の有機栽培拡大に貢献

11月15日、農研機構は、水稲苗を縦横2方向とも揃えて植える両正条植え1)が可能
な植付位置制御機構を開発。両正条植えをすることで縦横2方向の機械除草が可能
となり、これまで除草率が低かった株間でも除草効率が向上する。植付位置制御
機構を搭載した田植機の活用により、除草の手間が壁となっていた水稲作での有
機栽培の取組面積拡大に貢献することが期待されている。

【概要】
水稲の有機栽培では「除草作業」に手間がかかるため、栽培面積の規模拡大を阻
む要因となっている。これまで農研機構では、水稲作での除草作業の効率化を図
るため高能率水田用除草機を開発しているが、この機械では条間3)の除草は高能
率で行えるものの、株間4)は条間に比べて除草率が上がらないという課題がある。

そこで、水稲苗を田植機作業方向(縦方向)だけではなく、その直交方向(横方向)
の位置も列状になるように揃えて碁盤の目状に苗を植える両正条植えができる植
付位置制御機構を開発し、これを市販の乗用型田植機に組み込んだプロトタイプ
機を製作した。これにより、水田用除草機を縦横2方向に走らせる直交除草5)が可
能となり、機械除草の効果向上につながることから、これまで困難であった大区
画水田での有機栽培の実践を可能とするなど取組面積の拡大に貢献することが期
待されている。今後は、実証試験でデータを蓄積して、早期実用化を目指す。





更に、将来的には、先述の電動植付部の採用が理想ではあるものの現時点では市
販化されていず、研究成果を早期に社会実装に、既に実用化済みである無段変速
機を搭載した機械式の植付部を装備する田植機をベースに開発を進め、当該機に
今般開発した植付位置制御機構を組み込む。農機メーカーからほ場内での車輪の
滑りによる株間の変動を抑える目的に、植付部にHST8)を搭載した田植機((株)ク
ボタ NW8S、みのる産業(株) RXG-800、走行部は共通仕様)が市販化されたことか
ら、これらに植付位置制御機構を組み込む。具体的には、田植機に備えたRTK-GN
SSから取得した自機位置情報を基に、植付爪の回転を横方向の仮想基準線に合う
ようにHST8)を制御する2つのECU9)(両正条制御ECUと株間制御ECU)を開発。これら
を搭載したプロトタイプ機を製作した(図5)。現地実証にプロトタイプ機を供試し
た結果、秋田県大潟村の大規模水田ほ場(1.25ha)などにおいても、高精度な両正
条植えが実現できることを確認した(図6)。






歴史の複雑さとは何か
「パレスチナ問題考 ①」


後期19世紀 - 1920:
起源 1920 - 1948:イギリスによるパレスチナの委任統治
「パンとワイン」紛争 パレスチナ分割
1948 - 1967:中東戦争
1967 - 1993:第一次インティファーダ
1993 - 2000:オスロ和平プロセス
2000 - 2005:第二次インティファーダ
2005 - 2008:アッバース時代のはじまり
2008 - 2009:ガザ紛争
2010 - 2017:パレスチナ側の手詰まりと米トランプ政権発足 
2018 - 2021:「繁栄に至る平和」と「アブラハム合意」
2020年1月5日から6日にかけて、イスラエルはヨルダン川西岸での、新たに入植
地1900棟の計画を承認した。日本の大鷹正人外務報道官は「強い遺憾の意」を表
明した[165]。 1月8日、イスラエルのベネット国防相は、C地区を「領土」と称
し、「C地区を(併合するための)『戦い』をパレスチナと進めている」と述べ
た。ベネットは、入植地の建築を進めることで、10年以内に100万人のユダヤ人
を移住させると述べ、「我々は国連にはいない」と述べた。また、パレスチナ人
の「違法な」建築を止めるために何もしなかったとネタニヤフ政権を非難し、EU
が「違法」建築に資金を提供していると非難した[166]。 またベネットは翌週、
7つの「自然保護区」を新たに承認した。これは、名目は自然保護区だが、パレ
スチナ人の立ち入りを禁じることで、事実上イスラエルの支配を進める施策であ
る[167]。 1月28日、米国のトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相は、
共同で和平案"Peace to Prosperity" (「繁栄に至る平和(英語版)」)の全文を発表
した[168][169][170]。 クシュナーの素案に基づくもので、主な内容は以下の通
りである。  

・前提認識。パレスチナ・イスラエル両者とも、平和を望んでいる。しかしパレ
 スチナはテロ組織であるハマースによるイスラエルへの攻撃、自治政府の腐敗
 や失政、テロを煽動する法律・教育や政府系メディアなどの問題を抱えている。
 他方、イスラエルはエジプトと国交を結んだ時に平和のために広大な領土と交
 換したなど、暴力とテロの被害にもかかわらず、常に平和を望んできた。すな
 わち、紛争の全責任はパレスチナ側にあるとする
パレスチナの独立を承認するが、イスラエルの脅威にならないようにする。必
 然的に、治安維持や航空 交通管制などにおいて、パレスチナの主権は制限さ
 れる
・パレスチナの非軍事化。テロ組織であるハマースなどの武装解除。イスラエル
 の安全を脅かさないため、軍備を認めない。外交権も制限され、イスラエル・
 米国に対する一切の政治的・司法的戦争を禁じる(すなわち、本和平合意内容
 に対する、国連安保理や国際司法裁判所などを通した一切の異議申立が禁止さ
 れる)。パレスチナがこれらを遵守した場合は、米国はパレスチナを国際機関
 の一員として受け入れるよう働きかける
・安保理決議242を含む国連決議の否定。決議は「相互に矛盾」しており、「歴
 史的役割は尊重」するが、複雑な問題の解決を妨げると認識
イスラエルに誤りの余地は無い。米国は、イスラエル国家と国民が、より安全
 になると信じる妥協案の作成を要請するだけである
自衛・
自衛戦争で得た領土から撤退したのは、国際的にも珍しいことである
 イスラエルは、1967年以降の占領地の88%から既に撤退しており[注 12]、イス
 ラエルと米国は、安保理決議242は1967年以前の領域の100%提供を法的に拘束し
 たものでは無いと認識している[注 13]
・イスラエルをユダヤ人国家として、パレスチナをパレスチナ人国家として相互
 承認する
イスラエルが実効支配する入植地の97%を、イスラエル領として承認ヨルダ
 ン川西岸の3割が新たなイスラエル領となる。また、ヨルダンとの国境線は、
 イスラエルの安全保障に必要であるから、全てイスラエル領とし、パレスチナ
 をイスラエル領内に孤立させる。イスラエル領内のパレスチナ人所有地の扱い
 は、追って交渉する
・また、和平案として示した地図では、シリア領ゴラン高原、ヨルダン領グマル、
 アル・バクーラ[注 14] をイスラエル領としている
・入植地によって生じたパレスチナの飛び地は、道路・橋・トンネルの建設によ
 り相互の交通を保証する。ただし、イスラエルの安全保障を優先する
・和平交渉が始まれば、イスラエルは新たな入植地の建設を4年間凍結する
・代地として、ヨルダン川西岸のごく一部(パレスチナ人住民の多い地域)と、
 エジプト国境のネゲヴ砂漠の一部をパレスチナに譲渡する
エルサレム全域をイスラエルの首都として承認。パレスチナの首都としてアブ
 ディスなどを提案
・貿易港の利用は、イスラエルが安全と認めるまで最難民の間はガザ地区の港は
 認めず、その間はイスラエル及びヨルダンの港を利用するものとする
国連が認めていた、パレスチナ難民の帰還権の否定国連パレスチナ難民救済
 事業機関(UNRWA)の解体。パレスチナ国家への移住は、「イスラエルの安全
 を脅かさない範囲で」認め、残りは現在の難民受入国またはイスラム協力機構
 加盟国で引き取る
・パレスチナは報道の自由・表現の自由・自由な選挙・信教の自由などを遵守す
 る義務を負う。また、近隣諸国への憎悪を煽る教育その他一切の行動、同様に
 本協定に反する教育・煽動などを禁じる
・パレスチナおよび周辺地域(エジプト、レバノン、ヨルダン)への、10年間で
 総計約500億ドル(約5兆5000億円)の投資
・市場経済による経済振興、社会基盤・教育・医療などの整備、生活の質の改善、
 政府機構の改革を行い、汚職を断つ。パレスチナ指導部は、日本、韓国、シン
 ガポールの政府が困難に立ち向かったのと同じようにすべきである

トランプはTwitterで、イスラエルとユダヤ人のための和平案であることを自賛 
した[171]。パレスチナの国家承認を除き、全面的にイスラエルの主張に従った内
容で、ネタニヤフは「我々の主権を認めた」内容を歓迎した[172]。パレスチナの
アッバース大統領は、この案を「歴史のごみ箱に投げ捨てる」と拒否した[173]。
また、元パレスチナ情報庁長官のムスタファ・バルグーティは、和平案の地図に
おけるパレスチナは、「かつての南アフリカにおけるアパルトヘイトでのバント
ゥースタンと同じ」「唯一の違いは、パレスチナ人の孤立した地理的状況はゲッ
トーとも比較される」と非難した[174][175]。さらに、パレスチナは安保理非常
任理事国のチュニジアの協力を得て、和平案に反対する決議案を安保理採決に掛
けるよう働きかけた[176]。アッバース大統領はまた、イスラエル・米国との(ヨ
ルダン川西岸での)治安協力を含む全ての協力を打ち切ると表明した[177]。

この他、ラビン政権・バラック政権当時にイスラエル側で交渉に携わったダニエ
ル・レヴィ(英語版)は、「降伏文書と和平案には違いがある。しかし、降伏文
書の条件であっても、敗者側の自尊心を形だけでも保つやり方で作成されれば、
この和平案よりはもっと永続する可能性が大きいだろう」「この案は、アメリカ
人(さらにはイスラエル人)からパレスチナ人への憎悪の手紙である」と批判し
た[178][179]。 一方で、ユダヤ人入植者からは、「ユダヤ・サマリア[注 9]」が
イスラエル固有の領土という認識の元、入植地が敵対的なパレスチナ自治区に「
包囲」され、これ以上の入植拡大が望めなくなることへの危機感も表明された[
180]。また、イェシャ評議会のエルハヤニ委員長は、併合が一時凍結されたこと
を「クシュナーはナイフでネタニヤフを背後から刺した[181][182]」と非難した。
エルハヤニによると、当初、米国はパレスチナが48時間以内に和平案に応じなけ
れば、イスラエルの併合強行を認める予定だったが、後から翻意したという。 
  
クシュナーはイアン・ブレマーによるインタビューで、パレスチナ側の批判に次
のように反論した。「パレスチナは、長い間被害者カードを使ってきた」「和平
案はイスラエルにとって大きな妥協だ。なぜならイスラエルにとって妥協をする
これと言った理由がないからだ。イスラエルがすでに強い国で、さらにその力を
増す中で、我々が彼らに妥協を迫ったのだ」[183][184][185]。サイモン・ウィー
ゼンタール・センターのエイブラハム・クーパー副所長は、パレスチナ側の主張
する国境線は、イスラエルにとって「ヨルダン(川西岸)と地中海の間の幅がわ
ずか9マイル(約14.48㎞)しかな」く、「テロリストやイランのミサイル攻撃の
格好の標的となり」、「自殺行為」であるから、同意すべきでは無いと主張した。
また、「国連とその構成部分は、総会、国連人権理事会、国連救済事業庁(UNRW
A)を含む、無限の反イスラエルの決議とイニシアチブを打ち出して来たが、パレ
スチナの侵略は何十年にもわたってフリーパスを与えている」と主張した。さら
に、「ドイツにはユダヤ国家を決して危険にさらしてはならない義務がある」と
主張し、チュニジアが安保理採決を予定している和平案非難決議案に賛成しない
よう牽制した[186]。 2月3日、スーダンのアブデル・ファタハ・ブルハン(Abdel
Fattah al-Burhan
)最高評議会議長は、法的には交戦状態にあるイスラエルのネタ
ニヤフ首相と会談した。PLOのアリカット事務局長は、「パレスチナの人々を背
中から刺すようなまねだ」とスーダンを非難した[187][188]。

2月6日、チュニジアはバーティ国連大使を解任した。和平案非難決議案提出を阻
止しようとする、米国の圧力に屈したと取り沙汰された[189]。
2月9日、アフリカ連合は米トランプ政権が公表した和平案は違法であると強く非
難した。また、「パレスチナの大義」への連携を表明した[190]。
2月11日、パレスチナのアッバース大統領は国連安保理で、米国による和平案の拒
否を呼びかけた。しかし、非難決議案の採決を行うことはできなかった。外交筋
によると、米国は採決阻止のため安保理各国に強い圧力を加えており、欧州の一
部の国でさえ、採決には消極的だったという[191]。
2月12日、国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、国際法で違法と見なされて
いるイスラエル入植地に関わる112法人の一覧を公表した。内訳は、イスラエル
94社、米国6社、オランダ4社、英国・フランス3社、ルクセンブルク・タイ各1社。
これは、2016年3月24日に採択された人権理事会決議31/36に基づく公表である
[192][193]。イスラエルのネタニヤフ首相は、「わが国をボイコットする者は何
人であろうとボイコットする」「この卑劣な試みは断じて受け入れられない」と
強く反発し、報復をほのめかせた。一方、パレスチナのマルキ外相は、リスト公
表を「国際法と外交努力の勝利」と評価した[194]。
2月25日、イスラエルは東エルサレムに5000棟、隣接するE1地区の入植地に3500
棟の建設計画を発表した。ネタニヤフ首相は「E1の建物は "巨大な意義 "を持っ
ている」と強調した[195]。PLOは、イスラエルは国際法に違反しており、安保理
の支持する2国家解決案に反していると改めて非難した[196]。また、PLOのアリ
カット事務局長はTwitterで、「実行されれば2国家解決は終わりです」と非難し
た[197]。日本の大鷹外務報道官は、入植地計画推進に「強い遺憾の意」を表明し
た[198]。
5月6日、イスラエルのベネット国防相は、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地を、
新たに7000棟許可したと発表した。ベツレヘム近郊のエフラト(英語版)入植地
に「数千棟」の建築を認めたという[199]。
5月17日、イスラエルのネタニヤフ首相は閣議で、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植
地を自国に併合する法整備について、早期実現する考えを示した。新型コロナウ
イルス感染症 (2019年)(COVID-19)以外の法案は当面保留する方針だが、入植
地併合は例外とした[200]。ネタニヤフ政権は、「青と白」との連立合意[注 15]
の中で、併合に向けた議論を7月以降に始めると明記した[201]。

5月19日、アラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空は、新型コロナウイルス関連
の支援物資を、国交の無いイスラエルのベン・グリオン国際空港に輸送した。エ
ティハド航空は「パレスチナに医療物資を提供するため、人道支援に特化した貨
物便を(UAEの首都)アブダビから(イスラエルの)テルアビブに運航した」とす
る声明を出した。AP通信によると、アラブ首長国連邦からイスラエルへの商業便
の直行は、これが初めてである[202]。しかしパレスチナは、支援物資の受け取り
を拒否した。パレスチナ政府筋の発言として、支援物資はパレスチナに事前の連
絡が無く、イスラエルと国連のみに了解を取ったこと。また、アラブ諸国による
イスラエルとの国交正常化への動きに利用されることに、不快感を表明したこと
が報じられた[203][204]。

同日、パレスチナのアッバース大統領は、パレスチナ自治政府がイスラエルや米
国と結んだすべての合意や理解を放棄したとみなすことを改めて発表した。イス
ラエルが米国の合意の元、7月1日以降に入植地の併合を実行すると表明したこと
への抗議である。これにより、安全保障を含む全ての協力が停止したほか、イス
ラエルが(本来はパレスチナが行う分を)徴税した税金の送金も、受け取りを拒
否した。パレスチナは収入の8割を失い、職員の給与支払にも困窮するようになっ
た。また、国際連合人道問題調整事務所(OCHA)および世界保健機関(WHO)は、パレ
スチナの協力停止により、新型コロナウイルスをはじめ、必要不可欠な医療への
アクセスが危機的状況にあると指摘した[205][206]。
イスラエルは、自国への入国許可を直接受け付けると表明したが、WHOは、携帯
電話を通したイスラエルの許可受付アプリは、プライバシー上の懸念があると指
摘した。

5月30日、東エルサレムで、イスラエルの警察官が、パレスチナ人男性を射殺した。
警察官は、男性が拳銃を所持していることを疑い、止まるように命じたが男性は
従わず、発砲した。男性は自閉症による知的障害があり、付き添いがそのことを
訴えたが、警察官は聞かず、さらに発砲して止めを刺した。男性は武器を何も持
っていなかった[207][208][209]。パレスチナ人たちは抗議デモで、「黒人の命は
大切」にならって「パレスチナ人の命は大切」と訴えた[210]。

5月31日、ガンツ国防相は「極めて遺憾」であると表明し、迅速な調査を行うこと
を明らかにした。イスラエルの人権団体"B'Tselem"によると2011年4月から2020年
5月までの間に、イスラエルの治安部隊は、イスラエル領およびイスラエル占領
下のパレスチナ自治区で、パレスチナ人3408人を殺害した。しかし、イスラエル
の治安部隊で有罪となったのは5人だけであった[211]。

6月9日、アラブ首長国連邦は、再び新型コロナウイルス関連の支援物資をイスラ
エルに輸送した。パレスチナはこれも、事前の連絡が無かったとして受け取りを
拒否した[212]。なお、当初の支援物資は、ガザ地区を実効支配するハマースが
引き取った[213]。
同日、イスラエル最高裁は、2017年に制定した私設入植地合法化法は、基本法に
反すると判決を下した。同法は、成立時から基本法違反の指摘があり、成立後す
ぐに施行を停止されていたが、人権団体によると、これまでに50以上の私設入植
地が公認されていたという[214]。
6月12日、アラブ首長国連邦のユセフ・アル・オタイバ(英語版)駐米大使は、イ
スラエル紙『イェディオト・アハロノト』に寄稿した。オタイバはイスラエルの
併合政策を批判する一方、UAEとイスラエルの「より緊密でより効果的な安全保
障の協力が可能」であると主張した[215][216]。  via   jp.Wikipedia               
                              この項つづく
※(予言なしで)武力で既成事実を積み上げていく行動様式は。侵略者の常套手
段である。出アフリカを経て、日本列島に定住したご先祖の勇気に改めて感謝し
暴力制圧の蛮行を抑止したいと誓う。
                                          

            

             
   風蕭々と碧い時
テンプターズ『エメラルドの伝説』
1968.06.15

 

                  

 

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新成長経済理論考 ③

2023年11月26日 | 人工光合成時代



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

                       十一月桜といちろう傾頭侘し湖辺みずべかな
                                               

酷暑、干魃の大規模気候がつづくなか、串田孫一の一節を思い出し、テンプター
の『エメラルドの伝説』を歌を想出し、逝きし輩、知人を想いを馳せ祈りをながむむ。



『フェルマーの料理』第6話
北田岳(高橋文哉)は、友達の魚見亜由(白石聖)に[K]のナンバー2である
スーシェフ・布袋勝也(細田善彦)の有能さを語る。 そして、岳は布袋は自分が
超えるべき存在であることに気づく。ある日、レストラン[K]が超高級ホテル
のパーティー料理を監修することに。海は、その代表シェフを自分と布袋を除く
コンペで決めると宣言。だが、勝ち負けが嫌いな岳は気が重い。そんな中、家に
帰ってこない海をスーパーで見かけた岳は、海を尾行 .....
パーティー料理に求められるものは、オイラーの定式とは、ライバルとは...

さて、オイラーの数、三角関数、虚数単位、円周率などの概念は互いに独立して
いるようで実は相互に関係しており、オイラーの等式はその関係をシンプルな1
つの式で綺麗に表現する形式美といわれるが。
※数学的な美(mathematical beauty)とは、数学に関する審美的・美学的な意識・
意義・側面であると定義される。^^;

「感じるな!シェルなら考えろ!」という言葉が胸に刺さった。

※オイラーの等式(Euler's identity)とは、ネイピア数 e、虚数単位 i、円周率 π
の間に成り立つ等式のことである:

指数関数 ez は (1 + z/N)N の N が無限に大きくなるときの極限として定義でき
、eiπ は (1 + iπ/N)N の極限である(下図参照)。N の値を 1 から 100 まで
増加させている。複素数平面において 1 + iπ/N の累乗を点で表示しており、折
れ線の端点が (1 + iπ/N)N である。これにより、N の増加に伴って (1 + iπ/
N)N が −1 に近付く様子が観察される。

数学定数 e 自然対数 · 指数関数 応用:
複利 · オイラーの等式 · オイラーの公式 · 半減期 · 指数増加/減衰 e の定義
: e の無理性 · e の表現 · リンデマン–ワイエルシュトラスの定理 人物: ネイ
ピア · オイラー シャヌエルの予想 eiπ + 1 = 0 ここで 、e:ネイピア数(自
然対数の底) i:虚数単位(自乗すると −1 となる数) π:円周率(円の直径に
対する周の比率) 式の名はレオンハルト・オイラーに因る。



【今日の鉱物図鑑:ペロブスカイト鉱】

灰チタン石(かいチタンせき、perovskite)あるいはペロブスキー石、ペロブスカイ
トは、酸化鉱物の一種。ロシアの鉱物学者レフ・ペロフスキーによって発見され
る。化学組成は CaTiO3(チタン酸カルシウム)、結晶系は直方晶(斜方晶)系。灰
チタン石グループの鉱物。下部マントルにおいてMgSiO3がペロブスカイト構造をと
っていることが知られている。その相に対応する鉱物名はブリッジマナイトであ
る。ペロブスカイト自体が下部マントルかんらん岩を構成するわけではない。地
殻でも見られ、日本では岡山県高梁市(旧備中町)のスカルン中に産する;
モース
硬度: 5.5 化学式: CaTiO3 比重: 4.0 結晶系: 直方晶(斜方晶)系。 原子を
稠密に詰め込むことができるため、数十GPaを超える超高圧の環境で非常に一般的
な構造である。地球内部の主要な化学組成である MgSiO3 は、地下約660kmから約
2,700kmのマントル下部で、ペロブスカイト構造が考えられる。 MgSiO3を 125GPa
で 2,500Kの超高圧高温環境下におくと、ポストペロブスカイト構造と呼ばれる、
より原子が稠密に詰め込まれた相に転移することが明らかにされた。地下約2,700
kmより深いマントル最下層でMgSiO3 は、ポストペロブスカイト構造と考えられる。
(via Wikipedia

構造内でどの原子/分子が使用されているかに応じて、ペロブスカイトは、磁場に
置かれると電気抵抗が変化する「巨大磁気抵抗」(マイクロエレクトロニクスに役
立ちます) などの興味深い特性を数多く持つ。 ペロブスカイトの中には超伝導体
であるものもある。つまり、まったく抵抗なく電気を通すことができる。ペロブ
スカイト材料は、他にも多くの興味深く興味深い特性を示す。強誘電性、電荷の
秩序化、スピン依存輸送、高熱力、および構造特性、磁気特性、輸送特性の相互
作用は、このファミリーでよく観察される特徴である。



さて、わたし(たち)はフィルム肩ハイブリッド型色素増感太陽電池研究を行い
再生可能エネルギー持続可能社会の実現を目指し、先日記載した如く目標達成し
たことを僭越ながら宣言。そして、具体的な、ナノテクノロジー(ネオコンバー
テック)事業社会の絞り込みを第三の目標に設定。^^;

それはさておき、ペロブスカイトの潜在的な用途は多岐にわたり、センサや触媒
電極、特定の種類の燃料電池、太陽電池、レーザ、メモリーデバイス、スピント
ロニクス用途などでの使用が含まれる。ペロブスカイトPVは継続的に研究と改善
が行われており、2006年のわずか2% から 2015 年には 20.1% 以上にまで増加。
現段階では、ペロブスカイトPV市場は 2025年に2億1,400万ドル(約321億円)に
達すると予測されている。ペロブスカイト太陽光発電はバンドギャップが広く、
これにより低バンドギャップ太陽光発電技術と組み合わせる機会が生まれ、効率
が向上し、システムコストが効率に依存する激しい市場で重要になる。さらに、
ペロブスカイト太陽電池には、柔軟性、半透明、薄膜、軽量、低加工コストなど
の追加特性も備わり、デバイス構造はより広範囲の可視光周波数に反応する利点
をもたらすが、この技術はまだ前商要段階にあるが「新成長経済」を考察するに
は大変魅力的な新しい鍵となる材料・物質と考えている。
                               この項了

新成長経済理論考 ③
1.ナノテクノロジ-とは何か

     
Richard Feynman                   谷口 紀男                 Kim Eric Drexler
ナノテクノロジー (nanotechnology) は、物質をナノメートル (nm, 1 nm=10s9m
の領域すなわち原子や分子のスケールにおいて、自在に制御する技術のことであ
る。ナノテクと略される。そのようなスケールで新素材を開発したり、そのよう
なスケールのデバイスを開。ナノテクノロジーは非常に範囲が広く、半導体素子
を分子セルフアセンブリ法という全く新たなアプローチで製造することや、ナノ
スケールのナノ素材と呼ばれる新素材を開発することまで様々な技術を含む。





ところで、物質を原子レベルの大きさで制御しデバイスとして使うという考えは、
リチャード・P・ファインマンがアメリカ物理学会のカリフォルニア工科大学での
会合で1959年12月29日におこなった講演 "There's Plenty of Room at the Bottom" に
すでにみられている。その中でファインマンは、スケールを小さくしていくにあ
たって様々な物理現象を利用することになるとした。例えば重力は対象が小さく
なるにつれて重要ではなくなっていき、表面張力やファンデルワールス力が強く
働くようになる。スケールが小さくなれば並列性が増し、短時間に多数の素材な
りデバイスなりを作成できると考えられ、この考え方は有効と思われた。かつて
はメゾスコピックと呼ばれていた研究分野である。「ナノテクノロジー」という
用語は1974年に元東京理科大学教授の谷口紀男が提唱した用語。谷口は「ナノテ
クノロジーは主に、原子1個や分子1個の単位で素材を分離・形成・変形するプロ
セスから成る」と表現している。このような定義を1980年代にさらに発展させた
のがK・エリック・ドレクスラーで、彼はナノスケールの現象やデバイスの技術的
重要性を説き、『創造する機械 - ナノテクノロジー』(1986) や Nanosystems: Mol-
ecular Machinery, Manufacturing, and Computation
といった本を出版、それにより「
ナノテクノロジー」という用語が世界的に使われるようになる。1980年代にはナ
ノテクノロジー分野の2つの重要な研究が行われた。1つはクラスターの研究で、
もう1つは走査型トンネル顕微鏡 (STM) の発明である。これにより1985年にはフ
ラーレンが発見され、数年後にはカーボンナノチューブが発見された。また、半
導体のナノ結晶の特性や合成の研究が進み、そこからさらに金属および金属酸化
物のナノ粒子や量子ドットの研究へと発展した。STMの6年後には原子間力顕微鏡
(AFM) が発明された。

いまだに一部の新素材やコンピュータのプロセッサに応用されている程度の段階
だが、将来はこの技術によりナノサイズのロボットで治療を行ったり、さらには
自己増殖能を持たせて建築に利用することができるようになると予想されている。
21世紀をかけて大きく発展する分野と考えられている。ナノテクノロジーの将来
については議論もある。ナノテクノロジーによって様々な便利な新素材やデバイ
スが生まれることが期待される一方で、環境や人体への影響が懸念されている。
また世界経済への影響やナノマシンが制御不能となる危険性なども懸念されてい
る。このため、ナノテクノロジーに対する特別な規制の要否についても議論が続
いている。 

物質をナノメートルレベルで制御する利点は幾つかある。例えば、現在コンピュ
ータなどで利用されている電子回路のトランジスタは、だいたい数十nm程度の大
きさであるが、これを1/10にすることができれば、コンピュータを現在よりもず
っと小型化し、必要な電力や発熱を抑えることが可能となる(ダウンサイジング)。
同様に、記憶装置などでも小型化・高機能化が期待される。また、物質を数ナノ
メートルの大きさにすると、量子効果と呼ばれる特殊な現象が発現する。例えば、
近年の電子デバイスで利用されている、電子の閉じこめによるエネルギー準位の
離散化があらわれる大きさや、トンネル効果があらわれる距離は、ナノメートル
の領域である。電子材料以外にも、ドラッグデリバリーシステムに代表されるよ
うな医療への展開もさかんに試みられている。

ナノテクノロジーの手法概説図


環境に有利:電力をあまり必要としなくて熱をあまり出さないテレビ、もっと効
果的な燃料電池やバッテリー、重金属やシアン化物や放出された原油のような環
境を損なう物質の除去、ゴミのリサイクルを促進しゴミ投棄場の必要性をなくす。
自動的にきれいになる窓ガラス、目を瞬く人形、色素、医学や環境保護などのこ
の技術の可能性は膨大で、多くの利点があると考えられます。この技術によって、
より小さく、軽く、速く、安く、よりよい機能を持ち、生産に材料やエネルギー
をあまり必要としない装置を作ることができる。環境への影響が少ない製造過程
。ものによっては家庭で製造できるので、運送や分配の必要性が減少する。

健康への利点:水の浄化のためのよりよいフィルター、新しい病気に対するより
効果的な研究、診断とより迅速な対応。癌のような病気をターゲットとしたより
効果的な薬剤投与の方法、よりよい薬剤のデザインと生成法。よりよい薬剤のデ
ザインと生成法、ナノ構成者を使って骨や肝臓細胞を創るより小さな感知装置や
コンピューターやその他の移植可能な装置は、持続的な健康状態の測定や半自動
的治療を可能とするかも、より正確に医療装置を作成、手術がやりにくい身体の
部分の損傷した組織や臓器のナノ機器による顕微鏡的な治療。より栄養価の高い
食品を供給する。

社会への利点:ナノテクノロジーは以下の点で、物質的貧困を減らし、人々の生
活水準を上げるかも知れない。悪い衛生状態、害虫、栄養不良など病気の原因と
なる状況を取り除く。安い断熱体によって人々をより快適にし、エネルギー消費
を減らす、コンピューターがより安くなるに従って、より簡単に利用できるよう
になる、個人の行動を監視し、跡をつけるためのホーミング・ビーコンとなるも
っと生産的な農業をもたらす、もっと効果的な薬品をもたらす、もっと効率的な
電力やエネルギーを供給する、情報交換やその他の技術を改良する。

健康への影響
ナノ毒性学:ナノ粒子のふるまいは基本的に粒径や形状、あるいは粒子表面と環
境との反応性によって決まる。微小なナノ粒子はサイズの大きい粒子よりもはる
かに容易に人体に取り込まれる。ナノ粒子は異物を摂取して破壊する役割を持つ
食細胞に過度の負担を与え、ストレス反応により炎症を起こしたり、ほかの病原
体に対する防御を低下させる可能性がある。生体内分解性を持たないか、分解速
度が遅いナノ粒子が臓器に蓄積する問題に加えて、ナノ粒子が体内の生物学的プ
ロセスと相互作用する可能性も懸念される。ナノ材料の生産や使用を行う企業や
ナノサイエンス・ナノテクノロジーの研究を行う研究機関では作業環境の問題も
生じる。少なくとも、現在の職業性粉じん暴露に対する基準をそのままナノ粒子
粉じんに適用できないのは確かだと思われる。アメリカ国立労働安全衛生研究所
(NIOSH)は、ナノ粒子が体組織とどのような相互作用を行うか、また労働者が製
造業・工業で使用されるナノ材料にどのように暴露するかについて初期段階の研
究を行う。NIOSHは現時点での科学的知見に基づいて暫定的なガイドラインを提出。
NIOSH管轄下の個人用保護具技術研究所は、NIOSHや欧州連合が認証する防塵マス
ク(respirotor)や、認証を必要としない簡易防塵マスク(dust mask)についてナ
ノ粒子のフィルタ貫通能を調べる。それによれば、一般的に用いられる静電フィ
ルタでもっとも貫通能が高い粒子サイズは30から100 nmであり、マスク内部への
侵入量に対するもっとも大きな要因は顔面と面体との密着性である。その他、毒
性に影響するナノ材料の物性には、化学組成、形状、表面構造、表面電荷、凝集
性、溶解度、表面官能化の有無などがある。多くの要因がかかわっていることで
ナノマテリアルへの暴露による健康リスクを一般化することは難しい。それぞれ
の新しいナノマテリアルは個別に評価しなければならず、あらゆる物理的性質を
考慮しなければいけない。様々な作業活動の中で人工ナノ粒子の放出と個人曝露
が起こりうることは複数の文献レビューで指摘されている。、
作業環境におけるナノテクノロジー関連の健康被害に対する予防戦略と規制の制
定が求められている。

社会への影響:
ナノテクノロジーが社会に与える影響や提示する課題は広大であり、健康や環境
に対する直接的な毒性リスクにとどまるものではなく、社会科学者はナノテクノ
ロジーが持つ社会的な意味を「川下」のリスクや影響だけでなく、社会が求める
技術発展を果たすため、「上流」における研究や意思決定の中でそのような課題
を考慮すべきとの主張もある。 多くの社会科学者や市民団体は、 テクノロジー
アセスメントおよびガバナンスに公衆を参加させるよう主張。 2003年に認可され
たナノテクノロジーの関連特許は800件程度、2012年には全世界で約19,000件に
増加。

すでに企業がナノ領域に関する幅広い特許の取得に乗り出している。例えばNECお
よびIBMの二社は現代のナノテクノロジーの礎石の一つであるカーボンナノチュー
ブの基本特許を保有している。カーボンナノチューブは幅広い用途を有し、エレ
クトロニクスやコンピュータ産業から強化材料、ドラッグデリバリー、診断にい
たるまで様々な産業で不可欠な素材となると見られている。カーボンナノチュー
ブは主要な貿易財の一つになりつつあり、従来の主要な原材料に取って代わる可
能性もある。開発途上国にあって安全な水、安定したエネルギー供給、医療、教
育のような基本的なサービスを受けられずにいる数百万人の人々に対し、ナノテ
クノロジーが解決策を提示できるかもしれない。2004年に国連の科学技術イノベ
ーションタスクフォースは、ナノテクノロジーの利点に、生産に要する労働力や
土地、メンテナンスが減らせること、生産性の高さ、コストの低さ、原料やエネ
ルギーの消費が少ないことを挙げたが、ナノテクノロジーの利益とされているも
のが将来的に公平に分配されるとは限らず、技術的・経済的な利益が裕福な国々
によって独占されることへの危惧も表明されている。新しい技術が脱希少性経済
をもたらすのか、あるいは先進国と途上国の間の富の格差を悪化させるだけなの
か。ナノテクノロジーが社会全体に対して、あるいは健康や環境に、貿易に、安
全に、フードシステム(英語版)に、さらには「人間」の定義に対して何をもた
らすかは、まだ答が出ておらず政治的に論じられていないとの指摘もある。
via Wikipedia



宇宙の謎を解く光となるか――。大阪公立大などの研究チームは米ユタ州での国
際共同実験で、2008年の実験開始以降、最も強い宇宙線を観測し「アマテラス(
天照)粒子」と命名した。宇宙線の発生源は不明で、光では見えない未知の天体
や、宇宙を満たす暗黒物質(ダークマター)の崩壊など、これまで知られていな
かった新たな物理現象に由来する可能性があるとしている。成果は24日、米科学
誌サイエンスに掲載された。

【掲載論文】
掲載誌: Science
題 名: “An extremely energetic cosmic ray observed by a surface detector array”
著 者: Telescope Array Collaboration
  DOI : 10.1126/science.abo5095 URL : https://doi.org/10.1126/sc

 
 
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【再エネ革命渦論 198  アフタ-コロナ時代 185
技術的特異点でエンドレス・サーフィング


シンプルな仕組みで微細な回路パターン形成を実現し幅広い半導体製造を実現
キヤノン,ナノインプリント半導体製造装置
10月13日、キヤノンは,半導体デバイスの回路パターンの転写を担うナノインプ
リント半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」を2023年10月13日に発売したと発表。こ
れまでの投影露光技術とは異なる方式でパターンを形成するナノインプリントリ
ソグラフィ(NIL)技術を使用した半導体製造装置を市場投入することで、半導
体製造装置のラインアップを拡充し,最先端から従来の半導体デバイスまでの幅
広いユーザーのニーズに応えるという。従来の投影露光装置は,ウエハー上に塗
布されたレジスト(樹脂)に光を照射し回路を焼き付けるのに対し,新製品はウ
エハー上のレジストに回路パターンを刻み込んだマスク(型)をハンコのように
押し付けて回路パターンを形成する。光学系という介在物がないため,マスク上
の微細な回路パターンを忠実にウエハー上に再現できる。そのため複雑な2次元,
3次元の回路パターンを1回のインプリントで形成することも可能で,CoO(Cost
of Ownership
)の削減に貢献するとしている。同社のNIL技術は,既存の最先端ロ
ジック半導体製造レベルの5ナノノードにあたる最小線幅14nmのパターン形成が
できる。さらに,マスクを改良することにより,2ナノノードにあたる最小線幅
10nmレベルへの対応も期待されるとしている。




光合成の強光耐性を高める手法
11月21日、埼玉大学の研究グループは,光合成の強光耐性を高める手法を開発す
ることに成功。
【要点】
1.光合成は強光に弱く、強光下では容易に失活。この現象は光阻害と呼ばれ、
 光合成生物の生育を妨げる主な要因となる。
2.光合成微生物のタンパク質合成および抗酸化に関連する遺伝子を改変するこ
 とにより、光合成の光阻害を抑え、強光耐性を高めることに成功し。
3.微細藻類を用いた有用物質(バイオ燃料、化成品原料など)の屋外での安定
 生産に貢献することが期待されている。

光エネルギー変換で中心的な役割を担っている光化学系IⅡは 光に対して感受性
が高く,強光下では速やかに失活してしまう。この現象は光阻害と呼ばれ,光合
成生物の生育を妨げる大きな要因になっている。これまでに光阻害のメカニズム
について多くの研究者が研究してきたが,いまだにそのメカニズムの全容は解明
されていない。また,光阻害を緩和する方法論も確立されていない。 研究グルー
プは,光合成の光阻害のメカニズム解明に取り組んできた。

これまでに強光下で発生する活性酸素によって光化学系IIの修復が阻害され,光
阻害が促進することを見出してきた。>光化学系IIの 修復には新たなタンパク質
の合成が必要になるが,タンパク質合成を動かす翻訳装置が活性酸素によって傷
害を受けることや,翻訳装置の中でも特に翻訳因子EF-Tuが 活性酸素の標的とな
ることを明らかにしてきた。 そのメカニズムとして,EF-Tu のシステイン残基Cy
s82が活性酸素により酸化されると,EF-Tuが失活してしまい,タンパク質合成が
抑制されることも明らかにした。

そこで研究グループは,酸化標的となるCys82をセリンに置換した改変型EF-Tuを
シアノバクテリアで発現させた。その結果,強光下でもタンパク質合成が高く維
持され,光化学系IIの修復能力が向上した。その結果として光化学系IIの光阻害
が大きく抑制された。 しかし,強光下で遺伝子改変株の生育は改善されず,細
胞の強光耐性は増大しなかった。その原因を探っていくと,光化学系IIの修復能
力が上がることによって強光下でも光合成が活発になり,より多くの活性酸素が
発生していることがわかった。 つまり,タンパク質合成系を強化するだけでは
酸化ストレスがさらに悪化してしまうことが推測される。

そこで,改変型EF-Tuを発現させたシアノバクテリアに,活性酸素消去系酵素で
あるスーパーオキシドディスムターゼとカタラーゼの遺伝子を過剰発現させてみ
た。 その結果,改変型EF-Tuによる活性酸素の過剰発生が抑えられ,光化学系II
の光阻害がさらに緩和した。さらに,新たな遺伝子改変株は強い強光下でも生育
するようになった。したがって,タンパク質合成系の改変と抗酸化機構の改善を
同時に行なうことにより,光合成と生育の両方の面で強光耐性が増大することが
明らかになった。 <研究グループは,この手法を微細藻類による物質生産に応用
することにより,微細藻類の強光耐性を高め,有用物質を屋外の強い太陽光の下
でも安定的に生産することが可能になるとしている。
【掲載論文】
The Plant Journal 
Improved capacity for the repair of photosystem II via reinforcement of the translational
 and antioxidation systems in Synechocystis sp. PCC 6803
Synechocystis sp. PCC
 6803の翻訳系と抗酸化系の強化による光化学系IIの修復能力の向上)
DOI :10.1111/tpj.16551

 風蕭々と碧い時

テンプターズ『エメラルドの伝説』
1968.06.15

 

●  今夜の寸評: 第三の仕事はナノテク➲ネオコンバ-テック

毎日このジャンルはニューズでごった返し状態。ナノにつてはテーマを絞ること
が第一なのだが、思えば、わたし自身のナノの思考の特徴は二つあり、一つめは
「二次元の延展性」(一次元では遺伝子の「無限延長性」)ということ、二つめ
は、電磁波などの「閉じ込め効果」(「ナノ消滅前パワー論」)という言葉が脳
にこびり付いて「感じるな!シェルなら考えろ!」(フェルマーの料理)
の言葉
が反響する。
        


AI将棋は毎日といってやるから負けることはないが、昨日ひさしぶりに囲碁をや
つたのはよいが5戦して最後に7目勝ち(いずれも、平手/後手)ということで、
画像を残すことに。"継続は力なり"を実感。


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新成長経済理論考 ②

2023年11月22日 | 人工光合成時代



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

 
 
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【再エネ革命渦論 197  アフタ-コロナ時代 185
技術的特異点でエンドレス・サーフィング



 ペロブスカイト太陽電池で「ビル屋根メガソーラー」
世界初!ペロブスカイト太陽電池メガソーラー発電実装高層ビル

11月15日、積水化学工業のペロブスカイト太陽電池が、東京都内に建設予定の高
層ビルに採用。世界初の「ペロブスカイト太陽電池によるメガソーラー発電機能
を実装した高層ビル」となる予定としている。サウスタワーは内幸町一丁目街区
開発の南地区に、2028年に完成を予定している地上46階、地下3階、高さ約230mの
高層ビル。

ここに定格発電容量1000kW以上のペロブスカイト太陽電池をスパンドレル部に設
置する計画で、世界初の「ペロブスカイト太陽電池によるメガソーラー発電機能
を実装した高層ビル」となる予定としている。従来、高層ビルの壁面における太
陽電池の設置については、荷重や風圧への対応や更新時のコストが多額になるな
どの課題が多く、採用が進んでいなかった。

一方、ペロブスカイト太陽電池は薄型かつ軽量で、曲面への設置が可能といった
特徴があり、これまで設置が難しかった場所にも導入が可能な太陽電池として今
後の普及が期待されている。なお、積水化学工業では、大阪本社が入居する堂島
関電ビルに自社開発のフィルム型ペロブスカイト太陽電池を実装する計画。こち
らは2025年に完成予定で、日本国内における建物外壁へのフィルム型ペロブスカ
イト太陽電池の常設設置としては、国内初の導入事例になるとしている。

焦点距離を変えられるメタレンズ 光の偏光でレンズの焦点距離を制御
11月20日、理化学研究所(理研)は,光の偏光で焦点距離を制御できるメタレン
ズを開発。
焦点距離を変化させることが可能なレンズは,可変倍率のカメラのズームレンズ
や双眼鏡,光学顕微鏡,プロジェクターなどさまざまな光学機器に利用されてい
る。最近では,スマートフォンのカメラのような小型の光学ユニットにも可変倍
率の光学レンズが搭載されている。これまでは複数枚のレンズで光学系を構成し,
レンズ間の距離を機械的に変化させて実効的な焦点距離を定める手法が主流だっ
た。しかし,機械的にレンズを動かすため,すばやく焦点距離を変えることは困
難で,レンズの駆動機構が必要になるなど,光学システムそのものが複雑化,大
型化するといった課題があった。一方,メタレンズの中には,MEMS技術を利用す
るものも提案されていたが,同様に応答が遅く,機構が複雑化する課題を有して
いた。

【手法と成果】
特定の光の偏光にのみ応答するナノ構造を利用して、光の偏光を変えるだけで焦
点距離を変えられる、新しい焦点距離可変メタレンズを開発。
この焦点距離可変メタレンズでは、特定の方向の偏波を持つ光(偏光)にのみ応
答する異方的な特性を有するナノ構造が鍵となります。このナノ構造は直方体の
窒化ガリウム(GaN)で構成され、横幅(W)や奥行き(L)などのサイズを変化
させると、光波が照射された際にその光波に与える位相を変えることができる(図
1a)。さらにWとLが異なる非対称な構造を特定の方位に配列させることで、ある
方向の偏光のみに位相ずれを与えることができる。


図1 焦点距離可変メタレンズの構造
(a)メタレンズを構成する基本素子のナノ構造。サファイア(Al2O3)基板と基板
表面に形成された直方体の窒化ガリウム(GaN)とから構成されている。 (b)偏
光角θ=0°(x偏光)を入射した場合の集光スポットとその時の焦点距離fx。
(c)偏光角0°<θ<90°を入射した場合の集光スポット。 (d)偏光角θ=90°(y
偏光)を入射した場合の集光スポットとその時の焦点距離fy。

そこで、x方向の偏光に対してはレンズの形状と同じような位相ずれを与え、そ
れと直交するy方向の偏光にはランダムな位相ずれを与えてレンズとしては機能
しないようなメタレンズを設計します(図2a)。このような特殊な光学特性を付
与できるのはメタレンズの最大の特徴で、従来のガラスなどを研磨して作ったレ
ンズでは実現できない。このメタレンズにx偏光を照射するとレンズ内の位相ず
れによって光は焦点距離fxの位置に集光される。一方y偏光を照射しても光は集
光されずそのまま透過します(図2c)。このメタレンズを構成するナノ構造一式
をGroupAとします。一方、x偏光にはランダムな位相ずれ、y偏光には焦点距離fy
を持つレンズとして機能するナノ構造を設計することもできる(図2b、d)。こ
のメタレンズを構成するナノ構造一式をGroupBとする。


図2 焦点距離可変メタレンズの位相特性と生成される光スポットの強度分布

(a)x偏光(青)には凸レンズと同様の位相ずれがメタレンズによって加えられ集
 光されるが、y偏光(赤)にはランダムな位相ずれが加わり光は集光されない。
(b)(a)とは反対にx偏光(青)にはランダムな位相のずれを与え、y偏光(赤)に
 は凸レンズと同様の位相のずれを与えて光が集光される。
(c)(a)のメタレンズによって生成される集光スポット。x偏光は焦点距離fxで集
 光される。
(d)(b)のメタレンズによって生成される集光スポット。y偏光は焦点距離fyで集
 光される。

これらGroupAとGroupBの2種類のナノ構造を互いに影響し合わないように一つの
基板表面に集積化したメタレンズを設計。すると、このメタレンズにx偏光を入
射させると、焦点距離fxの位置に光が集光され、y偏光を入射させると焦点距離
fyの位置に光が集光。そして、斜め方向の偏光を入射させると、その偏光成分が
x方向とy方向に分解され、x方向の偏光成分はfxの位置に、y方向の偏光成分はfy
の位置へと二つの光スポットが形成される。トータルの光強度分布は二つの光ス
ポットの強度を足し算したものになる。このとき、足し算後の光強度分布の中に
元の二つのスポットのピークが現れないような、すなわち二つのピークの間にく
ぼみが発生しないような距離になるように、あらかじめfx、fyの値を設計してい
くと、足し合わされた光スポットは、fxとfyの間に一つだけピークを持つ光スポ
ットになります。そして、偏光方向をx方向からy方向に回転させていくと、スポ
ット位置もfxからfyへと連続的に変化する(図3)。


図3.焦点距離可変の原理
二つのスポットが足し合わされて一つの光スポットが形成される。(a)偏光角
度30°の場合の集光スポットの強度分布。(b)偏光角45°の場合の集光スポッ
トの強度分布。いずれの場合もx偏光とy偏光の二つの集光スポットの間にくぼみ
ができないように設計すると一つの集光スポットになる(黒実線)。
実験では、膜厚750nmの窒化ガリウム(GaN)層がサファイア(Al2O3)基板の表
面に形成された基板を使って、GaN層を電子ビームリソグラフィ法[3]ならびに反
応性イオンエッチング法[4]などを用いて成形し、開口数[5]0.1と0.01の2種類の
メタレンズを試作(図4)。

図4 試作した焦点距離可変メタレンズの構造
(a)メタレンズの電子顕微鏡写真。左下は光学顕微鏡写真。 (b)メタレンズの電
子顕微鏡写真を拡大したもの。GroupAの構造がピンク、GroupBの構造がブルーに
塗り分けられている。

試作した焦点距離可変メタレンズの光学特性の測定結果が図5です。図5aは光の
偏光方向を変化させた際に、光スポットの形状と位置がどのように変化するかを
示したもの。また図5cは偏光方向がx方向(θ=0°)、y方向(θ=90°)ならび
にその中間の斜め方向(θ=45°)の三つの場合について、光スポットの強度分
布を測定した結果です。図5aのグラフからは、偏光方向をx方向(θ=0°)から
y方向(θ=90°)へ変化させるにつれて、光スポット位置が24.5mmから28.6mmへ
と4.1mm変化していること、ならびに光スポットのサイズは大きくは変化してい
ないことが分かります。図5bは図5aの結果を基に偏光方向と光スポットの強度ピ
ーク位置(焦点距離に相当)の関係をプロットしたものです。赤線の実験結果は
偏光方向の変換に対してほぼ線形に焦点位置(焦点距離)が変化している。図5b
の青線は、理論計算で求めたスポット位置です。二つのグラフを比較すると試作
したメタレンズのスポット位置が理論計算結果とほぼ一致していることが分かっ
た。 また、焦点距離を変化させてもスポットの形状は常に円形でスポット形状
の崩れがないことも確認した。試作した焦点距離可変メタレンズの構造は、波長
532nmの緑色光を基準に設計したものだが、赤色から紫色の異なる波長の光に対
し焦点距離可変メタレンズとして機能することも確かめた。

図5 試作した焦点距離可変メタレンズの光学特性

(a)光の偏光方向を変化させた場合に生成される光スポットの強度分布。 (b)偏
光方向と光スポットの位置(焦点距離に相当)関係。赤線は実験結果の値、青線
は理論計算値。 (c)偏光角0°、45°、90°の場合に生成される光スポットの強
度分布。
【展望】
本研究により、小型かつ極薄で高速に焦点位置やズーム率を変化させられるレン
ズが実現された。このようなレンズは、スマートフォンのカメラや拡張現実ディ
スプレイ、顕微鏡、双眼鏡や内視鏡などの医療用光学機器など幅広い分野に適用
できる。人工構造の形状を設計すれば光機能を制御できるというメタレンズの設
計の柔軟性と併せて、特定のアプリケーションの要求に合わせて精密にカスタマ
イズされた高性能な光学機器が実現できると期待される。
【脚注】
1.Micro-electromechanical systems(MEMS):マイクロメートルスケールの微小な電
気機械素子から構成される部品で、アクチュエーターやセンサー、電子回路など
をシリコンやガラスなどの基板表面に集積化したシステムの総称。
2.メタマテリアル、メタサーフェス:メタマテリアルは、光の波長よりも細かな
構造を人工的に導入して、その構造と光との相互作用を利用して実効的な物質の
光学特性を人工的に操作した疑似物質。"メタ"は超越したという意味。メタサー
フェスは、物体表面のみにナノ構造を形成した2次元版のメタマテリアルで、人
の髪の毛の直径の数百分の一という極薄のナノ構造だけで光波を巧みに制御する
技術。
3.電子ビームリソグラフィ法:電子ビームが照射されると分解する樹脂を塗布し
た基板上に、電子ビームを集光して照射し、この電子ビームを任意のパターン形
状に走査することでパターンを感光性樹脂上に転写する。感光性材料を現像処理
すると、電子ビームで描いた通りの樹脂パターンが基板表面にできあがる。この
樹脂パターンをそのまま利用することもできるが、この樹脂をマスクとして基板
表面をエッチングして基板にパターンを転写することも行われる。
4.反応性イオンエッチング法:エッチングガスにマイクロ波などを照射してプラ
ズマ化し、このプラズマを被加工物質と化学反応させながらエッチングする手法。
単にプラズマで物質をエッチングするのではなく、化学反応を介在させることに
より、特定の物質のみを選択的にエッチングすることができる。
5.開口数:レンズの場合、そのレンズが円すい状に集光する光のうち最も外側の
光の入射角をθ、光が伝播している空間の屈折率(空気なら1.0)をnとしたとき
n×sinθで定義される量。レンズの明るさや分解能に直接関係し、開口数が大き
いほどそのレンズは明るく、分解能が高い。
【掲載論文】
Po-Sheng Huang, Cheng Hung Chu, Shih-Hsiu Huang, Hsiu-Ping Su, Takuo Tanaka, and
Pin Chieh Wu, "Varifocal Metalenses: Harnessing Polarization-Dependent Superposition f
or Continuous Focal Length Control", Nano Letters, 10.1021/acs.nanolett.3c03056新規タブで開きます
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世界最高!GaN HEMTの出力密度実現
11月17日、住友電気工業は、新たに開発した結晶技術を用いることで、出力密度
を従来の2倍に高めた窒化ガリウムトランジスタ(GaN HEMT)を開発。ポスト5G
基地局向け増幅器の小型化と高性能化が可能となる。
NEDOの委託する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の一環で
住友電気工業株式会社は、新規結晶技術を用い従来比で2倍となる高出力密度を
実現した窒化ガリウムトランジスタ(GaN HEMT)を開発しました。開発した
GaN HEMTは、新規結晶技術により、窒素(N)極性でGaN結晶の高品質化を実現
し、さらにn+ GaNの採用やハフニウム(Hf)系のゲート絶縁膜の形成技術を組み
合わせた。この結果、2A/mm超の最大電流と60V超の高耐圧を両立させ、N極性
GaN HEMTとして世界最高値である、周波数28GHzでの最大出力密度12.8W/mmを達
成した。本技術の開発成果は、ポスト5G情報通信システムの中核をなす、基地局
向け増幅器へ実装されることで、小型化・高性能化に貢献する。

【手法と成果】
新たに開発したN極性GaN HEMTについて、その電流電圧特性や高周波特性、出
力密度などを調べた。この結果、2A/mmを超える最大電流で60V以上の耐圧を達
成するなど、大電流と高耐圧を両立させた。また、高周波特性は測定周波数28G
Hz
において最大出力29.8dBmが得られた。トランジスタのゲート幅換算だと12.8
W/mm
の最大出力密度になる。



図1.左はGa極性を用いたGaN HEMT、右はN極性を用いたGaN HEMTの構造 
出所:住友電工、NEDO
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メチルアンモニウム鉛ハロゲン化物ペロブスカイトの中間相および膜形態
対する塩化物の導入の影響
高度に配向したペロブスカイト中間相の出現は、最終的なペロブスカイト膜の結
晶性の向上と相関している可能性がある。 図 66(a) に示すように、さまざまな
量の MACl を含む前駆体溶液から調製された最終ペロブスカイト膜の XRD 回折
パターンは、正方晶系 MAPbI3 構造によく一致する回折パターンを一貫して示し
た。46 FTO 基板に起因するピークは観察されたが、MAI、PbI2、MACl、または
PbCl2 などの中間相または前駆体材料に関連するピークは観察されなかった。明
らかに、前駆体溶液またはスピンされたままの膜内に存在する塩化物種の大部分
は、熱アニーリングプロセス中に効果的に除去された。 その結果、図 66(b) に
示すように、すべての膜はピーク位置に観察可能な変化がなく、ペロブスカイト
への変換に成功した。この現象は、図66(c)のTaucプロットでも確認されたよう
に、すべてのペロブスカイト膜が約800 nmでほぼ同一の吸収端を示した光吸収分
光法(図S1)によってさらに裏付けられている。0.0、0.2、および0.4モル当量の
MAClを使用して調製されたペロブスカイト膜のバンドギャップエネルギーは、そ
れぞれ1.600、1.601、および1.604 eVと推定されました。 これらの値はバンド
ギャップの変動が最小限であることを示すが、MACl 誘起膜ではわずかなブルー
シフトを観察したが、これはおそらくペロブスカイト格子内に微量に残っている
塩素原子に起因すると考える。



図6 (a) XRD パターン、(b) (110) 格子面に対応する XRD ピークの拡大図、
(c) Tauc プロット、(d) ペロブスカイト膜の熱アニーリングに関するヨウ素お
よび塩素原子と鉛原子のモル比 0.0、0.2、0.4モル当量のMAClを用いて調製。

さらに、図66(d)および表S6に要約されている誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-M
S)を使用した分析により、スピンしたままのペロブスカイト膜中に塩素原子が存
在しており、その濃度は最初は膜中の濃度と同等であったことが確認された。
前駆体溶液。 しかし、熱アニーリングプロセス後、塩素原子の量は大幅に減少
したが、ヨウ素原子の含有量は最小限の変化を示す。 同時に、MACl によって誘
導された最終ペロブスカイト膜中の塩素原子の量がわずかに増加した。これは、
図 66(c) の Tauc プロットで観察されたバンド ギャップ エネルギーのわずか
なブルー シフトの原因となる可能性がある。 これは、これらの膜のペロブスカ
イト格子内に非常に少量の塩素原子が残っている可能性があり、前駆体溶液中の
MACl 濃度が高くなるとこの量が増加する可能性があることを示唆している 13,17。
塩素の導入が考えられる場合、この問題は、アニール温度やアニール時間を長く
するなど、塩素誘起ペロブスカイト膜のアニール条件を最適化することで解決で
きる可能性がある。 それにもかかわらず、これらの観察は、ペロブスカイト製
造の初期段階で塩素を含む中間相が形成され、その後、アニーリングプロセス中
に塩素種が除去されてペロブスカイトに変態することを明確に示す。

ペロブスカイト組成の差異は無視できるほどであるにもかかわらず、MACl 誘起
ペロブスカイト膜は顕著な優先配向を示しました。 対照的に、MACl を含まない
ペロブスカイト膜は、貧溶媒堆積技術によって引き起こされる急速な結晶化特性
により、ランダムに配向した正方晶系 MAPbI3 によく対応する回折パターンを示
した。 逆に、前駆体溶液に過剰な MACl を導入すると、正方晶系 MAPbI3,46 の
(110) および (220) 格子面に対応する約 14° および 28° の 2 つの反射ピー
クが他の反射ピークよりも顕著になりました。 図S2に示すように、この独特の
特徴はMAClの量が増加するにつれて強化された。 図11(a)に示すように、MAClを
組み込んだペロブスカイト膜で観察されるこの強い優先配向特性は、中間膜で観
察される優先配向度の増加と一致。 基板に対して垂直に配向したペロブスカイト
中間相内の [020] 面の実質的な優先配向は、おそらく b 軸に沿ったハロゲン化
鉛八面体内の末端ヨウ素原子による塩素原子の置換によるものであり、熱処理中
に MAPbI3 に変態する。その結果、これにより、熱アニーリングプロセス後に、
立方晶系MAPbI3の(010)格子面の顕著な優先配向、続いて正方晶系M
APbI3の(110)格子面の顕著な優先配向をもたらす可能性がある。

MAClを組み込んだ前駆体溶液から得られる高結晶性ペロブスカイト膜の形成は、
各ペロブスカイト膜の表面形態の比較によってさらに確認された。 図77(a)は
MAPbI3に対して0、0.2、および0.4モル当量のMAClを含む前駆体溶液で調製され
たペロブスカイト膜の上面SEM画像を示す。ペロブスカイト膜の粒径分布は、組
み込まれた MAClの量が増加するにつれて顕著な向上を示し、ペロブスカイト形
成における塩化物の取り込みに関する先行研究と一致している。16,29,38。
MACl を含まない膜は約 300 nm の平均粒径を示した。0.2モル当量のMACl
を用いて調製された膜は、500nmを超える拡大された粒径を示した。0.4
モル当量のMAClを含む膜の場合、粒径は1.00μmを超えた。 この観察
は、図66(a)の初期のXRD結果を裏付けており、前駆体溶液にMAClを含めることに
より、より高い結晶化度を備えたペロブスカイト膜が得られることを示す。



図7.(a) 0.0、0.2、および 0.4 モル当量の MACl を使用して作製したペロブ
スカイト膜の上面 SEM 画像。 (b) 塩化物を含む場合と含まない場合の、ペロブ
スカイト中間相のペロブスカイトへの変態の概略図。

高度に配向した中間相から生じる塩化物誘起ペロブスカイト膜によって結晶性の
向上が達成されるということは、中間相の成長方向の制御がペロブスカイトの形
態に影響を与える上で極めて重要な役割を果たすことを意味します。前述したよ
うに、ペロブスカイト中間相結晶における Pb-I 鎖の水平方向の配向は、優れた
形態を備えたペロブスカイト膜を製造するための重要な要素として浮上する。
34 図 7(b) に模式的に示されているように、塩化物含有物のないペロブスカイ
ト膜とは対照的に、より小さな結晶子で結晶化する場合、整列した塩素原子は、
基板表面に対して垂直に配向した中間相の成長をさらに促進しする。 次に、熱
アニーリング中にヨウ素原子が徐々に置換されることにより、ペロブスカイト中
間相からペロブスカイト膜への変態が起こり、この変態が最終的に高度に結晶化
したペロブスカイト膜の形成につながる。 最後に、デバイス性能に対する塩化
物混入の影響を調べるために、フッ素ドープ酸化スズ (FTO)/コンパクト TiO2/
メソポーラス TiO2/ペロブスカイト/Spiro-MeOTAD/Au のアーキテクチャのPSCデ
バイスを作製し、特性評価した。ペロブスカイト層は、前述の測定で膜が実証し
たプロセスで調製された。

最後に、デバイス性能に対する塩化物混入の影響を調べるために、フッ素ドープ
酸化スズ (FTO)/コンパクト TiO2/メソポーラス TiO2/ペロブスカイト/Spiro-
MeOTAD/Au のアーキテクチャの PSC デバイスを作製し、特性評価した。ペロブ
スカイト層は、前述の測定で膜が実証したプロセスで調製された。 図88(a)は、
MAClを含む場合と含まない場合のペロブスカイト膜で調製された最良のPSCデバ
イスのI-V特性を示しています。 各デバイスの対応する光起電パラメータを表 1
にまとめます。MACl を導入せずに調製したデバイスは、ヒステリシス付きで
15.8% の電力変換効率 (PCE) を示した。 ペロブスカイト前駆体溶液に過剰な
MACl を追加すると、デバイスの性能が向上し、0.4 モル当量の MACl を含むデ
バイスで 20% を超える最大 PCE が達成された。 対応する MACl 比を持ついく
つかのバッチの PSCデバイスの各光起電力パラメータの詳細な分布も図 S3に示
す。短絡電流密度(Jsc)値の分布は、ペロブスカイト堆積に含まれるMAClの量
の間に明らかな違いを示さず、これは図S4に示すEQE測定によっても確認された。
これは、前述の UV-vis 吸収および XRD の結果で観察された傾向とかなり一致
しており、ペロブスカイト膜間の吸収端または格子定数のいずれにも顕著なシフ
トはほとんど観察されず、すべての膜がペロブスカイト膜の間で最も顕著な変化
を示した。 MAPbI3 に変換されます。 開回路電圧 (Voc) 値の分布は、0.0、0.2
、および 0.4 モル当量の MACl で調製したデバイス間で同様の傾向を示したが、
1.0 モル当量の MACl で調製したデバイスの Voc 値は比較的劣っていた。 一方、
フィルファクター (FF) 値の分布は、PCE 分布の分布に近い傾向を示した。 M
AClを含まないデバイスと比較して、0.4モル当量のMAClを組み込むこ
とにより、FF値が0.65から0.80に顕著に改善されたことが示された。
しかし、MACl をさらに追加すると、1.0 MACl のデバイスでは FF 値が減少した。
これは、PCE 値で現れた低下とよく一致している。これらの結果は、ペロブスカ
イト前駆体溶液への MAClの組み込みがデバイスの性能に大きな影響を与え、デ
バイスの性能の向上は FF 値の改善に起因する可能性が最も高いことを示唆す。



図8.( a )MAClを使用した場合と使用しない場合のペロブスカイト膜を使用
して製造されたPSCデバイスのIV曲線。 (b) MACl を使用しない場合と 0.4 モル
当量の MACl を使用して製造された PSC デバイスの断面 SEM 画像。

表1 MAClを使用して調製した場合と使用せずに調製した最高性能のPSCの
  光起電力パラメータ


図8(b)は、MAClを含む場合と含まない場合のペロブスカイト膜で製造されたPSC
デバイスの断面SEM画像を示しす。 他の組成の追加の SEM 画像を図 S5 にまと
める。 すべてのデバイスにおいて、各ペロブスカイト膜の厚さはほぼ一定で、
通常は約 500 ~ 550 nm。 しかし、MACl の量が増加すると、ペロブスカイト膜
の表面の均一性が低下。 特に、1.0 モル当量の MACl を含むデバイスの場合、
その後の Spiro-OMeTAD層の厚さにばらつきが見られ、これが前述のデバイス性
能の低下の原因となる。これは、高レベルの MACl の取り込みによって結晶成長
が遅くなり、貧溶媒の堆積により通常引き起こされる急速な結晶化が妨げられ、
それにより均一な結晶化が妨げられることに起因すると考えられる。しかし同時
に、ペロブスカイトの微細構造には明らかな違いが現れた。MACl を導入せずに
ペロブスカイト膜を使用して製造されたデバイスは、さまざまな方向に小さな粒
子と顕著な粒界を示した。 逆に、MAClを組み込んだデバイスでは、主に垂直方
向に配向した粒界が減少し、ほとんど無視できまた。MACl誘起ペロブスカイト膜
を備えたデバイスで観察された粒界の減少は、図7(a)の上面SEM画像で観察され
た結果と一致して、ペロブスカイト粒子の拡大と密接に関連しているようだ。
粒界がトラップ中心として機能し、好ましくない電荷再結合を引き起こす可能性
があることは十分に確立される。したがって、それらはデバイスの性能に大きな
影響を与える。47,48 したがって、粒界の少ないペロブスカイト膜で製造された
デバイスは優れたキャリア輸送を示し、デバイスの性能が向上すると期待される。

さらに、さまざまな量の MACl を使用して調製したペロブスカイト膜のフォトル
ミネッセンス (PL) スペクトルと対応する減衰曲線の分析を実行しました。 TiO2
への電子注入による潜在的な影響を排除するために、石英基板上にペロブスカイ
ト膜を堆積しました。 図 S6(a) に示されているように、PL ピークは MACl を
含めると短波長側にわずかにシフトした。 これは吸収スペクトルで観察された
結果と一致しており、少量の残留塩素原子の存在によるものと考えられる。 さ
らに、MACl を導入していないペロブスカイト膜は、MACl を含む膜に比べて広い
PL スペクトルを示し、非発光再結合の可能性が高いことを示す。この観察は、
全体的な PL 量子収率 (PLQY) によってさらに実証され、MACl を含むペロブス
カイト膜は著しく高い PLQY 値を示す。これは、ペロブスカイト膜内のトラップ
や欠陥が少なく、より効率的な放射再結合プロセスを示唆。 表S6(b)に詳述され
ている対応する減衰曲線は、ペロブスカイト堆積中のMAClの取り込みがキャリア
寿命を延長することも示し、これはMAClの組み込みの有無にかかわらず製造され
たデバイスで観察されるデバイス性能の大幅な向上を効果的に説明している。
高品質の膜は PL寿命の延長に関連している一方、粒界ではPL 強度が低く、非放
射減衰速度が速くなる傾向があると提案されている。48 粒界の少ない高結晶性
ペロブスカイト膜の製造により、これらの非放射経路が減少するようだ
。 ペロ
ブスカイト製造における塩化物導入の利点を強調する。
                               以上                        
  


スマートウォッチを利用して心不全の早期発見をめざす臨床研究開始
シンプレクス・ホールディングス(HD)が出資するSIMPLEX QUANTUM(シンプレ
クスクオンタム、東京・渋谷)と東京大学医学部付属病院(東大病院)は共同で、
腕時計型端末「Apple Watch」を用いた大規模臨床研究を2023年10月に開始した。
Apple Watchで計測する心電図のほか、身体活動能力や既往歴、生活習慣に関す
るアンケートを基に、心不全を検知する人工知能(AI)の有効性を検証する。
5000人の参加を目指す。  

東大病院が研究への参加者の募集を開始した。研究に使うスマートフォンアプリ
「Heart Health Monitor(ハート・ヘルス・モニター)」や心電図解析用のAIプ
ログラムをシンプレクスクオンタムが提供する(図1)。  参加者はハート・ヘ
ルス・モニターを使い、Apple Watchで心電図波形を計測したり、身体活動能力
などに関するアンケートに回答したりする。こうして収集したデータから、研究
グループが息切れやむくみの症状などと心電図の関係を分析し、心電図から心不
全の重症度を解析するAIプログラムの有効性を評価する。研究期間は最長で24年
12月31日まで。心不全は心臓のポンプ機能が様々な原因で正常に機能しなくなる
状態を指す。患者数は増加を続けており、発症を未然に防いだり早期に発見した
りする対策が求められている。

 風蕭々と碧い時
サクセス 1977.03.20 
ダウン・タウン・ブギウギ・バウンド


 


●  今夜の寸評: 第三の仕事はナノテク➲ネオコンバ-テック
        遺伝子編集は細心・要注意!                             
        

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新成長経済理論考 ① 

2023年11月21日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。 


           New efficiency world record, June 2023

 
 
Anytime Anywhere ¥1/kWh era



図、赤外線レーザーによるR3
2検知技術及び測定作業概念図

世界初、冷媒の漏えいを遠隔検知するレーザー式R32検知技術
11月15日、ダイキン工業,東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)
理化学研究所(理研)は,世界で初めてレーザーによる冷媒ガスHFC-32(R32)の
遠隔検知技術を開発 エアコンには, 空気を冷やしたり温めたりするために欠か
せない冷媒と呼ばれるガスが封入,冷媒には主にHFCが使用されている。
近年,その漏えいによる温暖化影響が国際的に問題視され,冷媒の温暖化係数(G
WP)低減や,漏えい対策が求められている。こうした中,日本では世界に先駆け
て,2012年以前に主な冷媒として使用されていたHFC-410A(R410A)と比べてGWP
が1/3となる低GWP冷媒のR32への転換が進み,現在では,国内向けに製造販売され
ている家庭用エアコンのほぼ100%がR32となっている。また,R32はグローバルで
も低GWP冷媒としての認知が広がり,すでに130ヵ国以上で普及が進んでいる。

【遠隔R32検知器:
概要】
本検知器は、理研とダイキンが共同で特定したR32特有の近赤外線吸収波長帯に対
応した波長の赤外線レーザーを射出し、壁面などで乱反射した光をレンズで集光
する仕組みです。TGESが都市ガスの主成分であるメタンの検知を目的に実用化し
たメタンガス遠隔検知器※4をR32用に応用したもの、レーザー光の経路中にR32が
存在した場合に起こる反射光の減衰をTGESの高感度な検波技術で測定し、R32の
有無を瞬時に検知。また、約10メートルの距離からの検知や窓越しの検知が可能。
------------------------------------------------------------------------
※特許第7114832号
※都市ガスの漏えい検知を目的に2001年世界で初めて開発。
 本技術を搭載した検知器は世界30ヵ国に普及。
※HFC-32 安全データシ-ト 改訂日:2022.03.15
 ジフルオロメタンはフッ化メチレン、HFC-32、R32とも呼ばれ、オゾン破壊係数
  (ODP)、毒性はなく、冷媒ガスとしても優れた性能を持っています。R-410Aの
 代替冷媒として主に家庭・オフィスなど用エアコンに用いられる。
※材料開発及び販売による一連の「安全・環境(社会性)」の事前・追跡審査は
 重要な付加価値となる。

【再エネ革命渦論 196  アフタ-コロナ時代 185
技術的特異点でエンドレス・サーフィング

世界半導体製造産業,2023年より回復
11月20日、米SEMIは世界の半導体製造産業の2023年第4四半期は回復に向かって
おり,2024年の継続的な成長の土台が整うとの予測を発表。それによると,電子
機器の売上高は2023年第3四半期の前期比7%成長から,さらに2023年第4四半期に
は22%増を記録する見込みだという。IC売上高は,最終製品需要の改善と在庫の
正常化に伴い,2023年第3四半期の7%増に続き,2023年第4四半期は4%増となると
予測する。 電子機器ならびにICの売上高が改善する一方で,半導体製造の指標
は依然として軟調。ファブ稼働率および設備投資は今年後半も下降が続くという。
------------------------------------------------------------------------



メチルアンモニウム鉛ハロゲン化物ペロブスカイトの中間相および膜形態に
対する塩化物の導入の影響
【要約】
中間相の構造と最終膜の特性の両方を含め、ペロブスカイト膜の堆積に対する塩
化物の統合の影響が調査されました。このの方法論には、さまざまな濃度の塩化
メチルアンモニウム (MACl) を使用したペロブスカイト中間相膜の製造が含まれ
ていた。 続いて、X線回折とMarch-Dollase補正を組み込んだリートベルト精密
化を使用した解析を実施し、塩化物誘起の中間相が膜形態にどのような影響を与
えるかについての洞察を得た。 注目すべきことに、基板表面に垂直な(020)格子
面に明確な優先配向が観察され、この配向はMACl濃度と直接相関していることが
判明。塩化物誘起中間相錯体のこの特徴的な配置により、結晶化の制御が促進さ
れ、高度に配向した結晶と膜形態の改善がもたらされた。 その結果、塩化物含
有メチルアンモニウムヨウ化鉛を組み込んだペロブスカイト太陽電池素子は、20
%を超える電力変換効率を達成。これらの発見は、最終的な塩素由来ペロブスカ
イト膜で観察される優先配向と、ペロブスカイト形成の初期段階で形成される中
間相構造との間に重要な関連性があることを示唆。これらの結果は、中間相組成
と結晶構造がペロブスカイト形成に大きな影響を与えることを示唆し、理想的な
構造の正確な制御とその後の高品質ペロブスカイト膜への変換を可能にするため
には、これらの要因を包括的に理解することが重要である。

【結果及び考察】
前駆体溶液にさまざまな量の塩化物種を組み込んだ場合の影響を調べるために、
ペロブスカイト膜を作製し、熱アニーリングを行わずにすぐに XRD を測定した。
図1(a)は、各濃度のMAClを含む前駆体溶液を用いて作製されたペロブスカイト膜
のXRDパターンを示す。紡糸されたすべてのペロブスカイト膜は、低次数領域で
3つの顕著なピークを示した。一方、正方晶系MAPbI3の(110)面回折を示す14°付
近に現れるピークの強度は著しく低く、すべてのアズスピン膜においてペロブス
カイトが微量のみ結晶化したことが示唆された。 ペロブスカイト前駆体溶液内
で形成される構造は中間相と呼ばれ、単結晶 X 線回折を使用して、塩化物を取り
込まない MAPbI3 についていくつかの溶媒インターカレートハロゲン化鉛構造が
報告されている。 (31,35,36) ペトロフら。 (35) は、MAI と PbI2 のモル比に
応じて 3 つの中間構造を報告した。 この薄膜は主に、等モル比率の MAI と Pb
I2 を含む前駆体溶液を使用して製造されたが、スピンしたままの薄膜で 10°未
満の角度で検出された 3つの主要なピークは、(MA)2(DMF) のピーク位置と一致
しなかった。 )2Pb2I6 構造。等モルの MAI と PbI2 に関連する中間相として以
前に報告されている。 代わりに、これらのピークは、(MA)2(DMF)2Pb3I8 で観察
されたピーク位置によく似ていました。この構造は、MAI と PbI2 の 1:2 比に対
応する中間相構造として研究で特定された。 スピンしたままのペロブスカイト膜
はすべて、ほぼ同一のピーク位置を示した。 ただし、図 1(b) では MACl 濃度に
応じてピーク位置がわずかにシフトしていることがわかり、結晶構造への少量の
塩素の取り込みに起因する格子サイズのわずかな減少をが示唆された。


図1.a)MACl添加剤の各量で作製したアニーリングなしのペロブスカイト膜の
XRDパターンと、(MA)2(DMF)2Pb3I8(青)および(MA)2(DMF)2Pb2I6(黒)
の模擬粉末回折パターン。 計算された反射は表 S1 と表 S2 にまとめられてい
る。 (b) 8°付近のピークの拡大図。 強度はピーク最大値で正規化されている。

ただし、(MA)2(DMF)2Pb3I8 のフィルム回折パターンと計算された粉末回折パターン
を比較すると、図 1(a) に示すように、大文字の 3 つのピークのピーク強度にか
なりの違いがある。 計算された粉末回折パターンには、(020) 格子面に対応する
約 8°に最も弱いピークがあるが、MACl 含有物のないフィルムでは、3つのピー
クの中で最も強度の低い (110) 格子面に対応するピークが得られた。 これは、
粉末回折パターンの最も強い強度として計算される。 興味深いことに、前駆体
溶液に MAClを導入すると、膜の回折パターンのピーク強度がさらに大幅に変化
し、(020) 格子面に対応するピークが他の 2 つのピークよりもはるかに強くな
った。さらに、前駆体溶液中の MACl の量を増やすと、(020) ピークの強度も増
加した。これは、塩化物種の添加が最終的なペロブスカイト膜だけでなくペロブス
カイト中間相にも重大な影響を与えることを示している


中間相フィルムの回折パターンで観察された違いをさらに調べるために、Bruker
Diffraction
TOPAS ソフトウェア プログラムを使用してリートベルト精密化を実
行した。 (MA)2(DMF)2Pb3I8中間相のシミュレーションXRDパターンと観察された
XRDパターンの間の相対ピーク強度の不一致は、スピンしたままの膜内に好ましい
結晶配向が存在することを示唆しており、おそらく中間結晶子の配向によって影
響を受けています。 したがって、リートベルトの改良中に、マーチ・ドラーゼ
法を強度補正係数として導入することにより、優先配向の度合いを検討し、その
後評価した。March-Dollase 法には、逆格子ベクトルがサンプル表面の法線と一致
する微結晶の割合を表す分析重み関数が組み込まれている
(41,42)。



Nは対称等価逆格子点、αは優先配向方向ベクトルと回折面ベクトルとのなす角
度である。 優先配向パラメータ r は、優先配向の強度を決定する。これは、優
先配向の方向に垂直なブラッグ ピークと平行なブラッグ ピークの補正係数間の
比率として定義される。 (43) したがって、March-Dollase 関数は、比率 r と角
度 α に基づいて格子面のさまざまな方向に重み付けを行う。 優先配向パラメー
タが 1 (r = 1) の場合、重み関数は角度に依存せず、材料はランダムな粉末配向
を示す。これは、結晶配向の優先配向が存在しないことを意味する。 一方、r
<1の場合は面垂直方向に優先配向を示し、r>1の場合は面平行方向を示す。
 (41−44)

リートベルト改良では、図 1(a) のペロブスカイト中間相膜のピーク位置とよく
一致する (MA)2(DMF)2Pb3I8 が初期モデル構造として使用される
(図 2)。 結晶
構造パラメーターは、参考文献 (35) で報告されている結晶学的情報ファイル (
cif) から取得した。 図 3(a) と (b) は、それぞれ、優先配向の影響を考慮した
場合と考慮しない場合の、MACl を導入せずに作製した中間相膜のリートベルト
精密化の結果を示している。 リートベルト精密化の詳細な精密化パラメーター
と結果を表 S3 に示す。 図 3(a) および (b) に示すように、青い曲線で示され
る測定回折パターンは、特定された (MA の結晶構造から導出された) 赤い曲線で
示される累積計算曲線に当てはめられている。 )2(DMF)2Pb3I8。 最初に、参考
文献で DMSO 含有ペロブスカイト中間膜の優先配向方向として特定されていた
[2–11] 方向を優先配向ベクトルとして割り当てた。 (34) 優先配向補正が存在し
ない場合 (図 3(a))、図 1(a) で示したように、実験曲線のピーク強度と比率の
両方が計算曲線から著しく逸脱した。 しかし、March-Dollase 関数の適用による
優先配向を考慮すると、顕著な改善が起こりました。ピーク強度比は計算された
曲線にはるかに近づき、実験曲線と計算曲線の下に示されているように、残留ピ
ーク強度は大幅に減少しました。 (図 3(b))。 [2-11] 方向の優先配向パラメー
タ (r) は 3.23 と計算された。 以前に報告された論文では、DMSO 挿入中間相
の値が 5.53 であると記録されていたことは注目に値する。 (34) この材料は参
考文献で採用されている構造とは異なる DMF 誘起中間相であるにもかかわらず、
これらの結果は、中間相結晶が [2-11] 面を基板表面に対してより平行に配向し
ていることを示唆している。 細長い Pb-I ネットワークが基板表面とほぼ平行に
整列するという彼らの研究と一致している。


図2.リートベルト精密化で使用されるペロブスカイト中間相の結晶構造。 単
位格子図は、参考文献 (35) の結晶学的情報ファイル (cif) の結晶構造パラメ
ーターに基づいて、構造モデル視覚化プログラム VESTA 3 (49) を使用して作成。


図3.リートベルト精密化後の、MACl を含まない中間相の回折パターン (a) 優
先配向なし、(b) 優先配向あり。 挿入された結晶構造図は、(MA)2(DMF)2Pb3I8
の (2-11) 面を示す。

ただし、MACl を含めて製造されたフィルムの場合、[2-11] 方向への優先配向は
、0.2 および 0.4 モル当量の MACl を含む両方のフィルムに満足のいく適合性
を提供されない。代わりに、図 4(a) に示すように、(020) 格子面に対応する残
留ピークの強度は、MACl の添加量とともに大幅な増加を示した。 対照的に[020]
方向への優先配向の修正は、塩化物によって誘導された中間相に対してかなり効
果的であることが判明した。 図 4(b) に示すように、計算された曲線は、0.2お
よび 0.4 モル当量の MACl を含む両方のフィルムの実験曲線とよく一致し 残留
曲線のピーク強度は大幅に減少した。好ましい配向パラメータ(r)は、0.2
ル当量のMAClを含むフィルムについては0.44、0.4モル当量のMACl
を含むフィルムについては0.33と計算された。 詳細なパラメータと結果をそ
れぞれ表 S4 と表 S5にまとめる。 特に、すべてのフィルムが 1 より小さい優
先配向値を示し、これはサンプル表面に対して垂直に整列する (020) 面の強い特
徴を示しす。 さらに、[020]方向への優先配向の程度は、前駆体溶液へのMAClの
添加量が増加するにつれて増加した。これらの結果は、前駆体溶液への塩化物種
の添加が、基板表面に対してより垂直な方向への(020)格子面の成長を促進
することを示唆。


図4.0.2 および 0.4 MACl を使用したペロブスカイト中間相の回折パターンの
リートベルト精密化。 (a) [2–11] 方向への優先配向と優先配向パラメータ r =
3.23 による改良。 (b) [020] 方向を優先したリートベルト精密化。 優先配向
パラメータ r は、0.2 MACl (左) では 0.44、0.4 MACl (右) では 0.33 と計算
された。

この観察は、塩素原子の置換を含む (020) 格子面がより遅い成長を示し、形態
学的により重要であるという我々の以前のレポートと強く一致していまる。 (45)
参考文献の構造に従って、塩素原子がハロゲン化鉛八面体内の末端ヨウ素原子で
置換されていると仮定すると、これらの塩素原子も基板表面に垂直な b 軸方向
に沿って整列することになる。

図 5 に示すように、b 軸方向に沿った結晶成長を遅らせると、結晶が a 軸およ
び c 軸に向かってさらに膨張することが促進される。 その結果、最終的なフィ
ルムの (020) 面が拡大する。 以前のレポートは主に塩化物を含む場合と含まな
い場合の計算に焦点を当てていたが、実験的な膜の回折パターンは、MACl 濃度に
応じた優先配向度の変化と相まって、塩素誘起の格子面の出現に対する経験的な
出現とその形態学的重要性の高まりに対する経験的裏付けを提供する。


図5.塩化物誘起ペロブスカイト中間相結晶における特定の格子面の成長の概略
図。 わかりやすくするために水素原子は省略。 塩化物原子 (緑色) は b 軸に向
かって整列している。b 軸は、参考文献で最も実現可能な成長面として計算。

                              この項つづく
【関係技術情報】
Effectof ChlorideIncorporationon the IntermediatePhaseand FilmMorphologyof Methy
 lammoniumLeadHalidePerovskites,
・Saemi Takahashi, Satoshi Uchida, and Hiroshi Segawa
・ACS Omega 2023 8 (45), 42711-42721
・ DOI: 10.1021/acsomega.3c05463
・色素増感太陽電池ホームページ, 不定期日記、2023.11.14




シリコンペロブスカイトタンデム型太陽電池効率の新記録33.9%
環球時報
2016年に結晶シリコン・ペロブスカイトタンデム型太陽電池の効率が記録されて
以来、中国企業として初記録になる。 サウジアラビアのキング・アブドラ科学
技術大学は、今年5月に太陽電池効率のこれまでの記録である33.7パーセントを
樹立。 高効率セル技術が大量生産を実現すれば、太陽光発電のコストが削減さ
世界の太陽光発電市場の成長を促進し、エネルギー全体の変化と変革を推進する。
試算によると、結晶シリコン電池の変換効率が1% 向上するごとに、製品コスト
が4%以上削減され、太陽光発電のコストが大幅に削減されつ。 2022年に世界
全体で新たに 240ギガワットの設備容量が導入時は、0.01パーセントの効率改善
で、年間 1 億 4,000万キロワット時の電力生成され、110 万平方メートルの設
置面積が節約できる。2022年11月にシリコン太陽電池の効率26.81パーセントほ
新記録を樹立、太陽光発電は1億2,894万キロワットに達し、前年同期比145%増
加。 太陽光発電の発電能力は4,369億キロワット時で、年間ベースで33%増加。








カーボン排出量ではダーティーな国がこれで一変しホワイトな大国に変貌する
のではないかと思わせる事変が世界を駆けめぐった。このブログのキャッチコピ
ー"Anytime Anywhere ¥1/kWh era"を実現させてしまうかもしれないと。


via. 帝京大学の研究が拓く未来 マイクロバブルでのDDS開発
     ナショナル ジオグラフィック(NATIONAL GEOGRAPHIC)

マイクロバブルと超音波で狙ったところに薬剤をデリバリー
病気の治療や予防、健康状態の維持にとって薬は欠かせない存在だが、使い方に
よっては毒にもなる。例えば、抗がん剤はがん細胞だけではなく正常な細胞も傷
つけてしまうためにさまざまな副作用が知られている。そのような副作用を最小
限にして、薬の効果を最大限発揮するには、がん細胞だけに必要な量の薬物を届
ける必要がある。

マイクロバブルという微小気泡を利用して、狙った場所に薬物を届ける「DDS(
ドラッグデリバリーシステム)」を研究。研究対象のマイクロバブルは直径1㎛
(0.001㎜)~3㎛、血液中の赤血球より小さい。このマイクロバブルが血液中を
流れている状態で超音波を当てると、血中のマイクロバブルが振動し、マイクロ
バブルがある血管内部の血流を画像化できる。


  風蕭々と碧い時

 



●  今夜の寸評: 研究とは、物事について深く考え、探求すること。
        その道を究めれば、より良い未来を築くための道筋が見える。
                第二の仕事のテーマの1つ、高品位薄膜太陽電池の製造販売事
        業の道筋が見えました。
                                
        

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光触媒と急速充電器

2023年11月19日 | ネオコンバーテック



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

 
 
Anytime Anywhere ¥1/kWh era

【再エネ革命渦論 195 アフターコロナ時代 185
技術的特異点でエンドレス・サーフィング

Power Delivery(PD) 対応・小型で高性能な充電器 
通常、充電器battery charger)とは、二次電池を充電するために使用する機器で
化学電池のうち、使用後に外部から電力を供給する事によって逆反応を起こし、
使用する前の状態に復帰する事が可能なものを二次電池と呼び、この操作を二次
電池の充電と呼ぶ。その充電をするための装置のこと。 二次電池の種類ごとに異
なった充電器がある。 その構造はさまざまで、単純な例では、たとえば自動車の
バッテリー用の充電器は、変圧器と整流器と電流計成り立つている。最近のリチ
ウムイオン二次電池用の充電器では、商用電源から充電用の直流電力を作り出す
電源装置と、電池の充電を制御する充電制御回路からな構成されているが、スマ
ートフォン向けの急速充電器市販されている。

また、現在,市販されているEV には2つの充電方法があり、普通充電は,家庭用
電源のコンセントから100Vまたは200Vで充電するもので,EVの電池容量により12
時間~ 24時間程度の充電時間を要する。急速充電は,専用の急速 充電器でEVの
電池に直流で充電する方法で,50kW出力の急速充電器では5分間で40km程度、10
分間で60km 程度の走行分が充電できる(2011年時点)。そもそも「急速充電」の
定義は定まっておらず、適用装置・機種・業種で変わり、そもそも、急速充電と
普通充電は「おもな利用タイミング」が違っている。EVの充電を充電器の設置場
所で分類すると、自宅で行う「家充電」と、外出先で行う「外充電」の2種類に
分けられ、急速充電器には規格があり、代表的な規格は世界で4種類です。この
うち世界96カ国でおよそ5万基2)の充電器が設置されている国際規格が「CHAde
MO
(チャデモ)方式」。このほかの規格としては、中国が主体となっている「
GB/T方式」や欧米主導の「CCS」、テスラ社の独自充電規格「スーパーチャージャ
ー」などがある。日本ではCHAdeMO方式が採用されており、さまざまな充電器メー
カーからCHAdeMO方式に対応している充電器が発売されている。

ところで、ここででは、"RE100エネルギー" を電源として、分散した様々な電気
器機装置・部品(パワーデバイス)に超高性能な急速充電器を接続する実現可能
な持続可能な事業を構想をする。それはさておき、高出力で電力をデバイスに供
給できる充電器。特に、USB Type-CポートUSB PDに対応するさまざまなスマー
トフォンの急速充電に利用できる。

窒化物半導体エピタキシャルウェハとは
窒化物半導体を用いたパワーデバイスは、これからの低炭素社会を支えるグリー
ンデバイスとして期待されている。NTT-ATは窒化物半導体エピタキシャルウエ
ハの製造技術により、省エネルギー化の早期実現に貢献する窒化ガリウム(GaN
)に代表される窒化物半導体は、現在広く用いられているSiパワーデバイスの限
界を超えた高出力、高耐圧、高周波、低損失の動作が可能な次世代パワーデバイ
スとして大きく期待されている。



例えば、シリコン(Si)、サファイア(Al2O3)、シリコンカーバイト(SiC)、
窒化ガリウム(GaN)基板上に結晶成長する技術を有しており、窒化物系に使われ
るすべての基板に対応できます。複数の基板種を用いた開発検討を併行して進め
られ、大切な時間を無駄にしない。 適用例 USB小型急速充電器/ LED街路灯/携
帯基地局用パワーデバイス/ 車載用パワーデバイス/ 家電用パワーデバイス/
耐環境デバイス

電子機器を持ち歩くとなると、どうしても給電・充電が必要です。しかし、機器
ごとに異なるACアダプターを持ち歩くとなると、重いし荷物も多くなってしまう。
通勤や旅行などで、困ったことはありませんか? そんなお悩みを解決するのがNT
T-ATの次世代半導体技術の窒化ガリウム(GaN)エピタキシャルウェハ製FETを搭載
した小型急速充電器。USBポートに対応しており、この1台で、スマートフォン・
タブレット端末・ノートパソコンなどを素早く充電可能。ノートパソコンの充電
には、ノートパソコンが Power Delivery(PD) 対応であることが必要。スイッチ
部にNTT-ATのGaN技術を採用m従来のシリコン充電器に比較しエネルギー効率に優
れ、高出力を維持したまま小型軽量化を実現した。窒化ガリウムに代表される窒化
物半導体は、これからの低炭素社会を支えるグリーンデバイスとしてとして、大
きく期待されている。

【関連特許事例】
特開2020-17551 株式会社エネルギー応用技術研究所 他
【概要】
図1のごとく、急速充電制御手段が備えるパワー半導体23は、サファイア基板
23aと、サファイア基板上に形成された窒化ガリウムパワートランジスタ23
1とを備えており、窒化ガリウムパワートランジスタ231の素子外面には、急
速充電制御手段における電力変換によって生ずる熱を放出させる放熱手段232
が接合されることで、急速充電器を著しく小型化することが可能な蓄電モジュー
ルおよびこの蓄電モジュールを急速充電するための蓄電モジュール急速充電シス
テムを提供する。

図1、本発明の実施の形態1に係わる蓄電モジュールの概要を示す配線図
【符号の説明】 
1 蓄電モジュール 1A 蓄電モジュール(電気自動車用蓄電モジュール) 1B
蓄電モジュール(パーソナルコンピュータ用蓄電モジュール) 1C 蓄電モジュ
ール(スマートフォン用蓄電モジュール) 1D 蓄電モジュール(電動工具用蓄
電モジュール) 1E 蓄電モジュール(携帯用蓄電モジュール) 2A 蓄電モジ
ュール急速充電システム(電気自動車急速充電システム) 2B 蓄電モジュール
急速充電システム(パソコン急速充電システム) 2C 蓄電モジュール急速充電
システム(スマートフォン急速充電システム) 2D 蓄電モジュール急速充電シ
ステム(電動工具急速充電システム) 2E 蓄電モジュール急速充電システム(
携帯用蓄電装置急速充電システム) 2F 蓄電モジュール急速充電システム 10
第1の蓄電手段 20 第1の急速充電制御手段 23 パワー半導体 231 窒化
ガリウムパワートランジスタ 23a サファイア基板 232 放熱手段 26 人
工知能 30 冷却ユニット 40A 電力貯蔵装置(電気自動車の急速充電用電力
貯蔵装置) 40B 電力貯蔵装置(電気機器の急速充電用電力貯蔵装置) 42
第2の蓄電手段 50 車両(電動式移動体) 60 パーソナルコンピュータ(通
信用移動体) 70 スマートフォン(通信用移動体) 80 電動工具 90 電気
機器 90A 空調服

【特許請求範囲】
【請求項1】 第1の蓄電手段と、 電力変換用のパワー半導体を有し、外部から
供給される電力に対して電力変換を行って前記第1の蓄電手段の急速充電を行う
第1の急速充電制御手段と、 を備えた蓄電モジュールであって、 前記パワー半
導体は、サファイア基板と、前記サファイア基板上に形成された窒化ガリウムパ
ワートランジスタとを備え、前記窒化ガリウムパワートランジスタの素子外面に
は、前記第1の急速充電制御手段における電力変換によって生ずる熱を放出させ
る放熱手段が接合されている、蓄電モジュール。
【請求項2】 前記パワー半導体は、分極超接合を採用したパワー半導体である、
請求項1に記載の蓄電モジュール。 【請求項3】 前記放熱手段は、前記窒化ガ
リウムパワートランジスタの素子外面におけるソース領域とドレーン領域の少な
くともいずれかに接続され、前記サファイア基板に対して遠ざかる方向に延びて
いる、請求項1または2に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】前記第1の急速充電制御手段は、前記第1の蓄電手段との一体設計
によって前記第1の蓄電手段の充電特性を考慮した急速充電のための電圧および
電流の制御が可能であるように構成されている、請求項1ないし3のいずれか
1項に記載の蓄電モジュール。
【請求項5】 前記第1の蓄電手段は、少なくともリチウムイオン電池と、電気二
重層キャパシタと、リチウムイオンキャパシタのいずれかを含む、請求項1ない
し4のいずれか1項に記載の蓄電モジュール。
【請求項6】 前記第1の急速充電制御手段は、前記第1の蓄電手段の充電履歴に
基づき前記第1の蓄電手段の充電条件を最適に制御する人工知能を有している、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の蓄電モジュール。
【請求項7】 前記第1の蓄電手段と前記第1の急速充電制御手段は、少なくと
も車両を含む電動式移動体または携帯電話器を含む通信用移動体に組込まれるよ
うに構成されている、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の蓄電モジュール。
【請求項8】 前記第1の蓄電手段から出力される直流電力の電圧を調整して出
力する電力変換器をさらに備える、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の蓄
電モジュール。
【請求項9】 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の蓄電モジュールと、前
記蓄電モジュールと電気的に接続可能な第2の蓄電手段を有する電力貯蔵装置で
あって、前記蓄電モジュールが接続された状態では前記第2の蓄電手段から前記
蓄電モジュールへの電力供給が可能なように構成されている電力貯蔵装置と、を
備えた蓄電モジュール急速充電システム。
【請求項10】 前記電力貯蔵装置の前記第2の蓄電手段は、前記第1の蓄電手
段よりも蓄電容量が大であり、前記第2の蓄電手段から出力される直流電力に
よって複数の前記蓄電モジュールを同時に充電することが可能である、請求項9
に記載の蓄電モジュール急速充電システム。
【請求項11】 前記電力貯蔵装置に貯蔵される電力は、再生可能エネルギーに
よって発電された電力である、請求項9または10に記載の蓄電モジュール急速
充電システム。
※ 電源のワイヤレス送受電システムの分散信用によるこの種の事業は「SDGs」
 として全国・世界展開されることが約束されている。



SDGs事業に欠かせないもう1つの新興技術
光バイオ触媒でアンモニアと水素を同時合成 
11月12日、九州大学グループは,従来のシアノバクテリアの生体機能の一部の代
謝系を,光触媒を用いて代替することと,生成したアンモニアの代謝を抑止するこ
とにより,常温,常圧下で窒素と水からアンモニアと水素の合成に成功。

【要点】
1.肥料の合成やグリーン⽔素の輸送媒体としてアンモニアが期待されているが
 アンモニアの 合成時に厳しい反応条件下での合成となり、多くのCO₂の発⽣を
 伴う。⼀⽅で、バイオ触媒 では温和な条件で合成できるが、⽣成速度が遅い。
2.当該研究では⽣体触媒の機能の⼀部を光触媒と電⼦伝達系を組み合わせるこ
 とで、改善し、 光バイオ触媒による常温常圧での窒素と⽔からアンモニアと
 ⽔素の合成に成功した。
3.
今回の成果は、再⽣可能エネルギーの普及に貢献し、カーボンニュートラル
  エネルギー社会の実現に寄与するとともに、⾷糧⽣産に必要不可⽋な肥料の価
  格の低下などに寄与し、持 続可能な社会の実現に貢献できる。

【概要】
アンモニアは肥料や工業原料として広く使われる有用な化学薬品で,近年はグリ
ーン水素の運搬の媒体としても期待されているが,400℃,200気圧以上という高
温,高圧下で,窒素と水素を用いて合成されており,エネルギー多消費のプロセ
スだった。一方で,ニトロゲナーゼという酵素では,常温,常圧下で空気中の窒
素を活性化し,アデノシン三リン酸(ATP)をエネルギー源として水からアンモ
ニアを合成するが,反応速度が非常に遅く,⻑時間の反応を⾏なうことができな
い。今回,無機光触媒としてのチタニア(TiO2)と電子伝達系としてのメチルビ
オロゲン(MV)を用いて,光触媒の光励起で発生した電子を,MVを通してシアノ
バクテリアというバクテリアの細胞内のニトロゲナーゼに直接,伝達することで
大気中の窒素と水から従来の生体システムに比べ82倍という高い速度で,常温,
常圧下において水素とアンモニアの合成を行なうことができることを見出した。


この生成速度は,従来の報告と比べても40倍以上の生成速度になる。さらに,シ
アノバクテリアの培養条件を最適化し,ニトロゲナーゼを含むヘテロシスト細胞
を増加させたことで,比較的,早い反応速度でのアンモニアと水素の合成を実現
することができた。 今回は,シアノバクテリアという生きている細胞内の酵素へ
光触媒で発生した電子を直接,MVの電子伝達系を用いて伝達することで,100時
間以上の長期にわたり反応を行なうことができた。新しいアンモニアと水素の人
工光合成の手法として期待される。

【展望】
今後は,アンモニアの生成速度をさらに向上させることを目的に,他のタイプの
ニトロゲナーゼの応用と長期安定性の向上,電子伝達系の高速化,無機光触媒の
可視光応答化による太陽光エネルギー変換効率の向上などを行なうとしている。
------------------------------------------------------------------------
【⽤語解説】
(※1) ニトロゲナーゼ リゾビウム (Rhizobium) 属(根粒菌)など窒素固定を⾏
う細菌が持っている酵素。⼤気中の窒素をアン モニアに変換する反応を触媒する。
N2 + 8H+ + 8e- + 16 ATP → 2NH3 + H2 + 16ADP + 16Pi 極めて酸素に弱く、酸
素に触れると数分間で不可逆的に失活する。そのため、本酵素を有する⽣物には
それぞれ空気中の酸素からニトロゲナーゼを隔離する機構が⾒られる。
(※2) シアノバクテリア 酸素を発⽣する光合成(酸素発⽣型光合成)を⾏う原核
⽣物。 酸素発⽣型光合成は、植物の光合成と基 本的に同じものである。 シアノ
バクテリアの祖先は30〜25 億年前に地球上に出現し、初めて酸素発⽣ 型光合成
を始めた。
(※3)光触媒 光を照射することにより触媒作⽤を⽰す物質の総称。TiO2 などが
代表的な光触媒で、光により、電荷分 離した電⼦とホールによる還元および酸化
反応を⾏う。
(※4) アンモニア 分⼦式が NH3で表される無機化合物。常圧では無⾊の気体で
特有の強い刺激臭を持つ。 ⽔に良く溶けるため、⽔溶液(アンモニア⽔)として
使⽤されることも多く、化学⼯業では基礎的な窒 素源として重要である。
※ いずれも、研究の中核にあり、具体的な事業プランの構想は後日掲載したい。

歴史の複雑さとは何か

後期19世紀 - 1920:
起源 1920 - 1948:イギリスによるパレスチナの委任統治
「パンとワイン」紛争 パレスチナ分割
1948 - 1967:中東戦争
1967 - 1993:第一次インティファーダ
1993 - 2000:オスロ和平プロセス
2000 - 2005:第二次インティファーダ
2005 - 2008:アッバース時代のはじまり
2008 - 2009:ガザ紛争
2010 - 2017:パレスチナ側の手詰まりと米トランプ政権発足 
2018 - 2021:「繁栄に至る平和」と「アブラハム合意」
2018年1月3日、米国のトランプ大統領はTwitterで「(和平)協議の一番難しい
分のエルサレムを議題から外した。だが、パレスチナ人には和平を協議する意
志が
ない。今後、膨大な支援額を支払う理由などあるだろうか」と、パレスチナ
に対
する報復を示唆した[121]。

1月14日、パレスチナのアッバース大統領はファタハ中央委員会で演説し、「
トラ
ンプ大統領の和平案は『世紀のびんた』だ」と非難した。アラビア語で「合意案」
と「びんた」の発音が似ていることから来た表現で、それほど侮辱的な内容とい
う意味である[122][123]。
1月16日、アメリカ合衆国国務省は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA
に対して1月上旬に支払う予定だった拠出金1億2500万ドル(約138億円)のうち
6500万ドルを凍結すると発表した。国務省のナウアート報道官は「(凍結は)誰
かを罰することを狙ったものではない」「UNRWAの資金が最善の使い方をされて
いるか確認する必要がある」と主張した[124]。
3月、イスラエルのテレビ局『Channel 10 News』によると、サウジアラビアのム
ハンマド皇太子はニューヨークのユダヤ人指導者との会合に出席し、パレスチナ
に対して「(米国の)和平案の受け入れを開始するか、"黙っている "べき」との
見解を示した。また、「過去40年間、パレスチナ指導者は何度も何度も機会を逃
し、与えられたすべての申し出を拒否してきた」と非難し、パレスチナ問題より
もイラン対策の方が緊急の課題であるとの見解を示した[125]。この発言は前年12
月の『ニューヨーク・タイムズ』の報道を裏付ける内容で、アラブの指導者がイス
ラエル寄りに舵を切ったことを示していた[126]。
3月30日、ガザ地区で、パレスチナ難民の帰還を求める大規模なデモが行われた。
数万の群衆がイスラエル軍と衝突し、パレスチナ側は少なくとも16人が殺害され
た。イスラエル軍は、パレスチナ側が先に発砲したと主張した[127]。
4月15日、アラブ連盟は、イスラエルによるエルサレムの首都宣言を「無効で違
法」と批判した。しかし、米国の名指しは避け、具体的な制裁なども決議されな
かった[128]。
5月9日、イスラエル国防軍は「ユダヤ・サマリア[注 9]」に命令1797を布告した[
129]。これは、イスラエル軍が「違法」と判断した新築建造物(未完成または竣
工6ヶ月以内または居住30日以内の建造物)を、従来の司法手続きを省略して、
96時間以内に異議申立が無ければ一方的に破壊できる内容である。軍律自体は、
ユダヤ人入植者も対象となるが、パレスチナ人住民の建築許可が困難な現状で、
パレスチナ人を主要な標的にした内容であると『ハアレツ』のアミラ・ハス記者
は指摘した[130]。
5月14日、米国は在イスラエル大使館をエルサレムに移転した[131]。ガザ地区で
はパレスチナ人による大規模な抗議集会が暴動に発展し、イスラエル軍が発砲し
た。パレスチナ側によると、5月15日時点で55人が殺害され、約2700人が負傷し
た[132]。
5月18日までに、パレスチナ側の死者は61人にのぼり(3月30日 - 5月13日の死者
を含めると、118人)[133]、2014年のガザ侵攻以来、1度の衝突では最多の死者と
なった。パレスチナのアッバース大統領は、「本日またしても、我が民に対する
虐殺が続く」とイスラエルを非難し、3日間の服喪を発表した。国連のフセイン
人権高等弁務官は、「イスラエルの発砲で何十人が死亡し、数百人が負傷したの
は、衝撃的だ」と、「甚だしい人権侵害」を非難した。一方、イスラエルのネタ
ニヤフ首相は「テロ組織ハマスは、イスラエル破壊の意図を宣言し、この目的達
成のため国境フェンス突破を目指して何千人を送り込んでいる。我々は自分たち
の主権と市民を守るため、引き続き断固たる行動をとる」と主張した。米ホワイ
トハウスのラージ・シャー報道官は、「大勢が悲劇的に死亡した責任のすべては
ハマスにある」とイスラエル支持を表明した。クウェートは、国連安保理での調
査を要求したが、米国の反対で採決はできなかった。
6月16日、イスラエル国防軍は、ガザ地区から風船爆弾(正確には「風船焼夷弾」
)を飛ばした集団を攻撃したと発表した。ガザ地区を実効支配するハマースの治
安当局によると、ドローン(小型無人機)の攻撃を受け、2人が負傷した。イスラ
エル南部消防当局によると、発火物を取り付けた風船や凧による火災は、3月30日
以降だけ約300件を超えるという[134]。
8月24日、米国国務省高官によると、トランプ政権はパレスチナへの約2億ドル(
約222億円)の経済支援を撤回し、他の用途に資金を振り向けることを明らかにし
[135]
8月31日、米国のナウアート報道官は、UNRWAへの資金拠出を停止すると発表した。
従来、UNRWA予算の1/3~1/4程度を米国が負担していたが、1月に行った拠出額の
削減に留まらず、それが全く途絶えることになった。ナウアートはUNRWAの運営に
「修復不可能な欠陥」があると指摘し、パレスチナ難民の子供達に対しては「国
連機関を通じない直接支援などを検討する」と表明した。UNRWAは、パレスチナ難
民を、1948年のイスラエル建国当時の難民及びその子孫と定義しており、その数
は2017年1月現在で534万人に上る。米国はこの中から、子孫を難民から外すよう
に主張していた。子孫を外せば、いずれ難民は全員死亡して居なくなるからであ
る。これはイスラエルの意向を反映したものだが、UNRWAは応じていなかった。
UNRWAの予算は当面、EU、日本など約40ヶ国の拠出金の増額で凌ぐことになった。
9月11日、米国国務省は在パレスチナ総代表部の閉鎖を発表した。ジョン・ボル
トン大統領補佐官は、9月10日の講演で「米国は常に、友人で同盟国のイスラエ
ルの側に立つ」「パレスチナがイスラエルとの意味ある直接交渉への一歩を拒否
し続ける限り、総代表部を開くことはない」と主張していた]。
9月12日、国連貿易開発会議(UNCTAD)は、2017年にパレスチナ自治区の失業率
が27%を超え、農業生産も11%減ったとの報告書をまとめた。国際援助の減少やイ
スラエルによる経済封鎖が理由としている。パレスチナの失業率は、世界最悪水
準にあるという。また、ガザ地区では2008年からのガザ侵攻で生産的資本蓄積の
6割が失われ、2014年のガザ侵攻では、残っていた生産的資本の85%が失われた。
世紀の変わり目(2001年)と比較して、実質所得は3割減り、2018年初めの電力
供給は、1日平均2時間であった[142][143]。 一方、この間のイスラエルの経済
成長は順調だった。2000年の第二次インティファーダ勃発当初こそ国内総生産(
GDP)は0.2%pointのマイナス成長を記録したが、2006年のレバノン侵攻、2009年と
2014年の2度のガザ侵攻は、イスラエルの経済に大きな影響は与えず、国内総生産
3-5%point前後の成長を続けた[144][145][146]。治安対策による検問強化など
でパレスチナ人のイスラエルでの就労は減少したが中国などからの出稼ぎ労働者
で補うことができた。他方、パレスチナの対外貿易の8割はイスラエルで占められ
紛争下においてもむしろイスラエルからの輸入は増えた。こうした事情で、イス
ラエルでは経済面においても、パレスチナと和平の必要がなくパレスチナはイス
ラエルに依存せざるを得ないという認識が浸透していった[147]。
2018年の1年間では、パレスチナ側は290人(うち、子供56人)、イスラエル側は14
人(うち、子供0人)が紛争で殺害された[148]。
2019年2月13日 - 2月14日、米国主催でポーランドで中東の安保問題を協議する
閣僚級会議が開催された。主としてイラン包囲網を策したもので、イスラエルと
アラブ諸国が一堂に会する異例の機会となった。パレスチナは「(米国和平案に
よる)パレスチナの大義を終わらせようとする試み」を警戒し、アラブ諸国にボ
イコットか、少なくとも派遣する代表の格下げを呼びかけた[149]。イスラエル首
相府は協議後、アラブ首長国連邦、バーレーン、サウジアラビアの出席者のオフ
レコ発言をYouTubeに公開した。公開は手違いであるとしてすぐに削除されたが、
シリア駐留のイラン軍に対するイスラエルの攻撃を「自衛権の行使」と擁護した
り、イスラエル・パレスチナ問題より、イランをより大きな脅威という前提で、
イスラエルとより近い関係にあるといった発言があった[150][151]。 3月22日
米トランプ大統領はTwitterで 「今こそ米国は、ゴラン高原のイスラエルの主権
を認める時が来た」と表明した。従来は米国を含め、ゴラン高原はシリア領と認
識し、イスラエル領有を公認した国家・政権は存在しなかった
[152][153]。
3月25日、米国は、ゴラン高原をイスラエル領と正式に承認した[154]。
米国・トランプ政権では、2017年11月から、トランプの娘婿であるジャレッド・
クシュナー大統領上級顧問が中心になって、ディナ・ハビブ・パウエル大統領副
補佐官、デービッド・フリードマン駐イスラエル大使らと共に、新たな和平案の
腹案を練っていた[155]。クシュナーらはいずれも親イスラエルで知られ、従っ
てイスラエルに有利な案が取り沙汰された。これまでに報道された和平案の内容
も、それを裏付けるものだった。一方、クシュナーの相談を受けた、元外交官の
アーロン・デービッド・ミラー(英語版)によると、クシュナーは「イスラエル
人とパレスチナ人にも歴史の話をするなといった」と述べ、白紙で一から和平案
を作る考えを示した[156]。
6月25日 - 26日、米国主催でバーレーンで行われた会議「繁栄に向けた和平(繁
栄に至る平和)」で、まず「経済部分」の素案が発表された。パレスチナ・エジ
プト・レバノン・ヨルダンへの約500億ドルの投資を目玉としたが、出資者が誰
になるかは、アラブ諸国の出資に期待するとした。パレスチナ側は「パレスチナ
に国家樹立を諦めさせるための買収劇である」として出席をボイコットした。イ
スラエル側は直接の出席はしなかったが、代わりに民間のビジネスマンを出席さ
せた[157]。 同日、クシュナーは「アルジャジーラ」の取材に応え、トランプ政
権は従来と「異なる」アプローチをしており、その一つがパレスチナの財政的コ
ミットメントの優先だと説いた。また、アラブ諸国は2002年に採択された「アラ
ブ和平イニシアティブ」をパレスチナ問題の基本線としていた。これは原則とし
て、安保理決議242に基づく要求である。しかしクシュナーは、それは不可能だと
主張しイスラエルの立場との妥協をすべきだと主張した。また、エルサレムをイ
スラエルの首都と公認したことを、「主権国家であるイスラエルには、首都を決
める権利がある」と改めて擁護した[158]。
11月4日、ヨルダン川西岸の、150以上のユダヤ人入植地を管理するイェシャ評議
会の次期委員長に、デイビッド・エルハヤニ(ヘブライ語版)が選出された。エ
ルハヤニは「併合の時が来るまでに パレスチナ人によるC地区の乗っ取りを防ぎ
(我々の)インフラ改善要求を、積極的に行う必要がある」と、入植地の早期の
イスラエル併合を主張した[159]。占領地のC地区は本来、パレスチナに移管され
るはずであったが、イスラエルでは固有の領土という認識の元、永続的な支配が
公然と主張されるようになっていた。
11月6日、UNRWAのクレヘンビュール事務局長が、職権濫用の疑いで事実上の辞職
に追い込まれた[160]。 11月18日、米国のマイク・ポンペオ国務長官は記者会見
で、ヨルダン川西岸のイスラエル入植地は、国際法に反しているとは認識しない
との見解を示した。これは従来の政府見解を変更するものであるが、ポンペオは
1981年にレーガン元大統領が示した見解を正当としたと述べた[161]。イスラエル
のネタニヤフ首相は、米国の方針転換を「歴史の過ちを正す」ものだと歓迎した。
PLOのアリカット事務局長は、「世界の安定と安全、平和」を危険にさらすものと
批判した[162]。
12月1日、イスラエルのナフタリ・ベネット国防相は関係当局に ヘブロンの内側
にあるユダヤ人入植地を拡大するよう指示した。このことで、ユダヤ人入植者を
800人から倍増させるとしている[163]。 
via   jp.Wikipedia
                                               この項つづく

※ 兎にも角にも「吐き気をもよおしながら画像(大量殺人)とニュースをこなし
 
理解しようと考えつづけているが...



マルクス解体 プロメテウスの夢とその先
斎藤幸平/ 竹田真登
講談社(2023/10発売)

 資本主義をこえていく、新時代のグランドセオリー! 
 人新世から希望の未来へ向かうための理論。 英国で出版された話題書
  Marx in the Anthropocene(ケンブリッジ大学出版、2023年)、待望の日本語
 版! いまや多くの問題を引き起こしている資本主義への処方箋として、斎
 藤幸平はマルクスという古典からこれからの社会に必要な理論を提示してき
 た。本書は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論から、プロメテウス主義
 の批判、未来の希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語るこれまで
 の研究の集大成であり、「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる
 新たな議論を提起する書。

目次
第一部 マルクスの環境思想とその忘却
第一章 マルクスの物質代謝論
第二章 マルクスとエンゲルスと環境思想
第三章 ルカーチの物質代謝論と人新世の一元論批判
第二部 人新世の生産力批判
第四章 一元論と自然の非同一性
第五章 ユートピア社会主義の再来と資本の生産力
第三部 脱成長コミュニズムへ
第六章 マルクスと脱成長コミュニズム 
MEGAと1868年以降の大転換
第七章 脱成長コミュニズムと富の潤沢さ
------------------------------------------------------------------------  
 

      第一章 マルクスの物質代謝論 第一章
      物質代謝論と環境危機
  マルクスの環境問題への関心については、マルクス主義者を自称するよう
 な人たちさえも長らく否定的であった。マルクスの社会主義思想は、自然の
 支配を目指す反エコロジー的なプロメテウス主義によって特徴づけられると
 非難されてきたのである。実際、少なからぬ20世紀のマルクス主義者たちも、
 環境保健主義を本質的に反労働者階級的で、上流中産階級のイデオロギーに
 すぎないと考え、さらなる技術革新と経済成長による労働者階級の物質的利
 害の促進を擁護してきたのであった。
  一方、アラル海の環境破壊(綿花栽培等のための泥流により、東北地方と
 同じくらいの面積のあった湖が10分の1にまで干上がり、20世紀最大の環境
 破壊とぃわれる)やチェルノブイリの原発事故に代表されるソ連体制下で生
 じた深刻な環境破壊を前に、環境保護主義者たちは「社会主義」では持続可
 能な社会を構築できないという確信を強めていった。その結果、20世紀後半
 には「赤」(社会主義陣営と「緑」(環境運動陣営の間に重大な対立が生じ
 ることになったのである。
  しかし、21世紀に入り、こうした状況は変わりはじめている。「マルクス
 のエコロジー」への関心が高まりつつあるのだ。ソ進に実在した社会主義体
 制がどれほどの環境破壊を引き起こしたとしても、その崩壊と資本主義の「
 勝利」がもたらしたのは、さらに深刻な惑星規模の環境危機であった。しか
 も環境問題の解決を市場メカニズムに委ねようとするやり方が十分な効果を
 発揮せず、環境危機が深まり続けていることから、マルクス経済学を含めた
 異端派とされるアプローチに関心が集まるようになっているのだ。また、ソ
 連が崩壊し、旧来のマルクス主義のドグマはその影響力を失っている。その
 結果、「党派的論争や分裂的な政治的思誠によって閉ざされることなく、理
 論的・概念的問題を議論できる知的地平と省察の揚が聞かれた」のである。
 マルクス主義の内外におけるこのような状況が、21世紀におけるマルクスの
 エコロジーの「再発見」をもたらしたのだ(第一節)。
  この再発見への道を固めたのは、ハンガリーのマルクス主義者メサーロシ
 ュ・イシュトヴアンの「社会的物質代謝」論であった。『資本を超えて』や
 『社会的制御の必要性』で展開されたメサーロシュの物質代謝論を検討する
 ことで、マルクスの環境思想の中心概念である「物質代謝の亀裂」を「経済
 学批判」との関連で、展開できるようになるだろう(第二節)。こうした作
 業を経れば、「物質代謝の亀裂」を三つの異なる次元に分類し、資本主義が
 引き起こす問題を多角的に分析できるようになる(第三節)。また、亀裂の
 三次元に対応する形で、物質代謝の亀裂を転嫁するやり方に九二つの次元か
 おることが判明するだろう。この転嫁のかかげで、資本は経済危機や環境危
 機に直面しても、危機からの回復力を弾力的に発揮することができるのであ
 る。
  しかし、「亀裂の転嫁」は、資本主義的蓄積の根深い矛盾を決して解決す
 ることはできない。むしろ、転嫁は新たな問題を生み出し、より広範な規模
 で矛盾を激化させるだけである(第四節)。そして、これこそ口-ザ・ルク
 センブルクが『資本蓄積論』(1913年)で問題視していた資本の限界であり、
 実際、彼女は物質代謝概念を使って、グローバルな不等価交換を分析したの
 だった。
  興味深いことに、その際、ルクセンブルクはマルクスを批判しながら、こ
 の概念を導入している。けれども、実は、彼女の物質代謝論はマルクス自身
 の理解と重なるところが多いのだ。その意味でルクセンブルクの批判は、マ
 ルクスの物質代謝論が20世紀初頭にはすでに歪めらられていた事実を示唆し
 ており、この概念がその後忘却されていく未来をすでに暗示しているのであ
 る。

    第-接 「マルクスのエコロジヽ-」の抑圧
  1970年代以降、マルクスの「プロメテウス的態度」は、繰り返し非難
 されてきた。「世界に対するマルクスの態度は、常にそのプロメテウス的推
 進力を保持し、人間が自然を征服することを称賛していた」(潔斎竃と言と
 いうのである。こうした批判にはマルクス主義に精通する研究者たちも同調
 していた。例えば、マルクス主義の歴史に詳しいレシェク・コワコフスキは、
 「マルクスのプロメテウス主義における典型的な特徴は、自然的なものへの
 関心の欠如である」と述べている。コワコフスキのような批判者たちに言わ
 
せれば、マルクスは自然の限界を無視し、技術による  自然の支配を追求し
  ていた。マルクスは「技術の産業的体系と人間の自然に対する支配のプロジ
  ェクトに対して、およそ無批判であった」というのである。
   さらに、賛本主義のもとでの生産力の発展こそが人類解放のための物質的
  基盤を提供するという、「史的唯物論」の楽観的想定も問題視された。環境
  保護主義者たちは、現存社会主義のもとで起こった深刻な環境破壊を理由に、
 マルクスの「「生産力主義的」「プロメテウス的」歴史観」はまったく受け
 入れられるものではないと非難したのだ。当然のことながら、ソ連の崩壊は、
 マルクスヘの批判の声を増幅しただけだった。
  結果として、マルクスが「生産力主義」だというイメージは今日でも広く
 残ったままである。ジェイムソンは、「マルクス自身が技術により合理化さ
 れた未来に対して情熱的に肩入れしていた」と指摘する。ジェイムソンがそ
 うした肩入れをむしろ肯定しているのに対して、アクセル・ホネットは、マ
 ルクス主義が「自然支k Naturbeherrschung」を求めて生産力が単線的に発展
 することを前提する「技術決定論」である点を非難している。
  また、「生産力主義」のせいで、マルクス主義において環境の問題が周縁
 化されてきたのも必然だと、ナンシー・フレイザーは考える。彼女によれば、
 「写ルクスの思想は〕資本主義社会における不平等を構造化する原理・軸と
 してのジェンダー、環境、政治的力を体系的に考えることができない利害や
 前提として考えることができないのは言うまでもない」。スヴェン目エリッ
 ク・リードマンも、マルクスの伝記のなかで、彼は「現代的な意味で環境問
 題を意識した人物」ではなかったと結論づけたのだった。ただ、幸いなこと
 に、このような見解がすべてではない。リードマンらの消極的評価の対極に
 あるのが、『マンスリー・レビュー』のポール・バーケットとジョン・ベラ
 ミー・フオスターや、『資本主義自然社会主義』のジェームズ・オコナーや
 ジョエル・コヴェルミシェル・レヴィらによる議論である。この2つのジャ
 ーナルは、それぞれ「物質代謝の亀裂」と「資本主義の第二の矛盾」という
 概念を軸として、マルクス主義のアプローチが環境危機を資本主義的生産様
 式の矛盾の現れとして理解するために有用であることを説得的に示したので
 ある。
  とりわけ、フォスターとバーケットの研究は、マルクスがまさに「現代的
 な意味で環境を意識した人物」であった事実をはっきりと論証した点で、一
 般に高い評価が与えられている。具体的には、ドイツの化学者ユストウス・
 フォン・リービッヒが『農芸化学』(1862年)で展開した掠奪農衆論をマル
 クスがどのように受容したかを注意深く分析することによって、マルクスの
 物質代謝論の重要性を明らかにしたのだ。フォスターらによると、マルクス
 は資本主義のもとでの「物質代謝の亀裂」を人間と自然の関係における疎外
  の現れとして把握すると同時に、自然の普遍的な物質代謝における深い裂け
  目を修復するためには、社会的生産の質的転換が必要であることを明示化し
  たのである。フォスターらの研究がなぜ重要かといえば、エコロジーがマル
  クスの資本主義批判の構成要素であると示すことで、マルクスのポスト資本
  主義社会像も「環境社会主義」として再解釈できるようになったからだ。こ
 の「環境社会主義」の構想は、赤と緑の間にある長年の敵対関係の克服に向
 けた大きな希望をもたらした。だからこそ、「物質代謝」概念は一躍、「花
 形概念」として注目されるようになったのである。
  スターらの議論を踏まえると----その有用性や科学的妥当性はひとまず横
 に置くとしても----少なくとも「マルクスのエコロジー」が存在しているこ
 とはもはや明らかである。むしろ、マルクスの環境思想がこれほど長い間無
 視され、否定され続けてきたのが不思議なほどである。ひとまずここでは、
 そのような周縁化か生じた理由の一つを挙げておきたい。
                            この項つづく

 ※ 11月20日。TBS『情熱大陸 経済思想家/齋藤幸平
』が出演していた。感想
   はこれからだ。
  

  風蕭々と碧い時

 

●  今夜の寸評: 酒を断ち一週間。天使の声が聞こえた。彼女が一緒にビールが
         飲みたいと。そこで缶ビール(金麦)を一口飲むことに(笑)・
         禁酒が効いたのか、体調も回復。クイズ番組も、すらすら正解。
         三十代前半の冴えを再現?
 

 

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超高密度ナトリウム固体電池

2023年11月19日 | デジタル革命渦論



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

 

 
 
Anytime Anywhere ¥1/kWh era

【再エネ革命渦論 194 アフターコロナ時代 185
技術的特異点でエンドレス・サーフィング

シリカガラスの詳細な原子構造を明らかに  
11月16日、日本原子力研究開発機構とAGCは,機械学習を応用してシリカガラス
の原子配列を高精度に再現する原子シミュレーション技術を開発し,これまで謎
とされてきたシリカガラスの詳細な原子構造を明らかにした。
【要点】
1.シリカガラスは光ファイバー、半導体製造、太陽電池など様々な分野で用い
 られ、現代の社会基盤を支える素材として重要な役割を果たしています。しか
 しながら、シリカガラスの原子レベルの構造は物質科学の大きな謎の一つとな
 っていた。
2.そこで、本研究では機械学習を応用した高速・高精度な原子シミュレーショ
 ン手法を用いることで、シリカガラスの原子レベルの詳しい構造を明らかにす
 ることに成功した。
3.そして、一見無秩序に見えるシリカガラスの原子構造に隠れている原子のネ
 ットワーク構造を詳細に調べ、その構造が材料の圧縮に伴って変化する機構を
 解明した。
4.ガラス材料の特性は、原子レベルの構造と密接に関係していることから、今
 回開発した解析手法は、今後の新しいガラス材料の研究開発において欠かせな
 いものになる。

[背景]
ガラスはスマートフォンやタブレット、車のウィンドウなど、私たちが日常的に
使用する数多くの製品に使用され、現代の社会基盤を形作る主要素材の一つと位
置づけられます。しかし、ガラスの詳しい構造については、実験で直接観察する
ことが困難なため、未解明な部分が多くある。なかでも、原子レベルで顕在化す
る中距離の秩序構造は、応用と理論の両方において重要な未解明の問題であり、
多くの研究者が解明にチャレンジ。

本研究で対象としたシリカガラスは、最も代表的なガラス物質の一つとして広く
研究されてkぃた材料。中でも中性子およびX線回折実験において観測される
0.4ナノメートル程度の波長領域に現れる鋭い回析ピークはFSDP(First Sharp
Diffraction Peak
)と呼ばれ、中距離の秩序構造を反映したものと考えられている
が、FSDPを生み出す中距離の秩序構造の詳細については、多くのモデルが提案
されてきたものの、原子配列の立体的配置そのものを中性子回析やX線回析では
直接得ることができないため、どのような原子配列がFSDPを生み出しているのか
を解明することは困難と考えられていた。

[方法]
最新の原子シミュレーション技術である機械学習分子動力学法----原子に働く力
を、人工ニューラルネットワークartificial neural network)を用いて学習する----
を活用し、シリカガラスにおける中距離の秩序構造を原子レベルで解明する研究
を行った。研究対象としたFSDPは、高密度化や熱処理により大きな影響を受ける
ことが知られている。そこで、高密度シリカガラスにおけるFSDPの変化と原子配
置の変化を詳細に解析した。シリカガラスの中距離の秩序構造は、熱的特性や光
学的特性と関連しており、本研究の成果は新しいガラス材料の研究開発に貢献が
期待されている。


図2.低温圧縮と高温圧縮でのシリカガラスの構造因子(実験1[参考文献1]、
実験2[参考文献2])。

【成果】
コンピュータ上に精確なシリカガラスの構造を再現するためには、高精度な原子
シミュレーション手法が必須となる。その手法は、量子力学に基づく第一原理計
があり、計算コストが大きく、扱える原子数も制限があるため、シリカガラス
における中距離の秩序構造を調べる研究には適していない。従って、第一原理計
算の精度を保ち、計算コストを大幅に削減することが必須となる。そこで、高精
度と低計算コストを両立可能な機械学習分子動力学法を採用。機械学習分子動力
学法では、原子に働く力を、人工ニューラルネットワーク(※4)を用いて学習す
る。一度学習すれば、機械学習モデルは立ちどころに答えを出力することができ
るため、高速な計算が可能となり、中距離の秩序構造を捉えるのに十分な規模の
原子集団のシミュレーションが可能になる。しかしながら、その計算精度は機械
学習モデルの精度に左右される。

高精度な機械学習モデルを実現に、二酸化ケイ素を対象とする数万通りもの小規
模な第一原理計算を行うことで、人工ニューラルネットワークに学習させる教師
データを作
成。このように構築された機械学習分子動力学法を用いて、二酸化ケ
イ素の各種結晶相、液相、ガラス状態に対する高精度かつ大規模な計算を短時間
でシミュレーション可能となった。圧縮により高密度化されたシリカガラスのFS
DP
を計算の対象とした。シリカガラスにおける中距離の秩序構造を反映するFSDP
は圧縮や熱処理といった高密度化のプロセスに依存して減少または発達すること
が知られている。しかも、シリカガラスの秩序構造は屈折率や光ファイバーの光
損失と深く関連しており、圧縮や熱処理による秩序構造の制御が、新しいガラス
材料の開発に直結する重要課題と考えられている。開発した機械学習分子動力学
法により低温圧縮と高温圧縮による構造の変化を高精度に再現可能であることを
確かめした(図2)。特に、高温圧縮におけるFSDPの発達は、従来の近似的な計
算手法では再現が困難でしたが、本研究によって初めて再現されました(図2(b))。

これまで、FSDPを生み出すシリカガラスにおける中距離の秩序構造の起源に関し
ては、数多くの理論やモデルが提唱されてきた。シリカガラスにおいては、ケイ
素-酸素共有結合によって形成されるネットワーク構造の中で、図3(a)のように、
特定の幅を持った構造が頻繁に現れるのが原因であるという考えが提唱されてい
る。その幅と同程度の波長をもった中性子やX線が強く反射されることで、結果
としてFSDPが観測されるというのが、現在の一つの有力な説明となっている。共
有結合ネットワークは、図3(a)の黄色囲みに示されるような、ケイ素-酸素か
ら構成されるリングを最小単位としています。私たちは、このリングの形状やそ
の配列を解析することにより、ネットワーク構造の中に現れる中距離の秩序構造
がFSDPを生み出す、という説の検証に成功しました。また、高密度シリカガラス
における秩序構造の変化のメカニズムを明らかにするために、圧縮時のリング構
造の変形挙動、特にリングのアスペクト比に注目しました。これは図3(b)の差し
込み図のように、リングの短辺と長辺の比率 l_2/l_3で表される量です。その結
果、低温圧縮では、全てのリングのアスペクト比が変化するのに対し、高温圧縮
では、大きなリングのアスペクト比がより大きく変化して細長くなることが分か
ります(図3(b))。この結果、高温圧縮ではリングの短辺の長さスケールが、
小さなリングから大きなリングまで揃うことになり、リングの幅が均一化するこ
とで、ケイ素-酸素共有結合のネットワーク構造中の周期性がより顕著になり、F
SDPの発達に寄与していることが明らかになった。


図3..(a): シリカガラスの構造因子におけるFSDPとケイ素-酸素の共有結合ネッ
トワーク中に現れる中距離の秩序構造。黄色で囲まれた部分は、ネットワークを
形成する最小単位、すなわちリング構造を示しています。(b): 圧縮に対するリ
ングの変形挙動。
[掲載論文]
Scientific Reports (16 Nopvember 2023)
・“Machine Learning Molecular Dynamics Reveals the Structural Origin of the
 First Sharp Diffraction Peak in High-Density Silica Glasses”
・ Keita Kobayashi,  Masahiko Okumura, Hiroki Nakamura, Mitsuhiro Itakura,
 Masahiko Machida (原子力機構)Shingo Urata (AGC株式会社) Kentaro
 Suzuya (J-PARCセンター)
・DOI:10.1038/s41598-023-44732-0.

------------------------------------------------------------------------

驚異的なエネルギー密度をもつナトリウムイオン電池の創製
2023年11月13日、東京理科大学らの共同研究グループは、ナトリウムイオン電池
やカリウムイオン電池用の新たな負極材料である「ZnO鋳型ハードカーボン(HC-Z
n)」を合成することに成功しました。このHC-Znを負極に使用したナトリウムイ
オン電池は、現行の商用リチウムイオン電池に匹敵するほど高いエネルギー密度
を示した。

[2.結果及び考察]
4.ナノポアテンプレートとしての ZnOの希釈と濃縮
ZnO テンプレートのサイズと分布は、Na貯蔵容量を高めるための重要な要素であ
ると予想される。したがって、追加の炭素源としてグルコース (Glc) を導入し
Zn Gluの追加のテンプレート源として酢酸亜鉛 (Zn(OAc)2) を導入により、ZnO
テンプレートHCの容量に対するテンプレートの希釈と濃縮の影響を調査した。
文献によると、不活性ガス雰囲気下であっても Zn(OAc)2 の熱分解後には ZnO
みが残り、酢酸イオン中の C原子はCO2またはアセトンとして除去される。した
がって、Zn GluZn(OAc)2 の混合物から得られる予熱された前駆体中の ZnO
量は、PRE-Zn中のZnOの量よりも多いことが合理的に予想された。

出発物質は、Glc、Zn、Glu、および Zn(OAc)2を凍結乾燥によって均一に混合する
ことにより調製された (詳細はサポート情報参照)。サンプルはPRE-Zn[x-y-z]、
wPRE-Zn[x-y-z]、または HC-Zn[x-y-z] として指定される。ここで、Glc、Zn Glu、
およびZn(OAc)2の混合モル比は x :yで表される。z、「Zn.」の後に付加される。
比較のために純粋な Zn Glu には凍結乾燥プロセスが採用された。 したがって、
HC-Zn[0-100-0] のサンプル調製条件は、両方とも純粋なZn Glu に由来するにも
かかわらず、HC-Znのサンプル調製条件とはわずかに異なる

未洗浄および洗浄前駆体、ならびに HC の XRD パターンを図 S10 (サポート情
報) に示す。 ZnO回折ピークの強度と幅の変化を除いて、パターンに大きな違い
がなく、HCの合成プロセスは一貫しているように見えた。 図S5(サポート情報)
に示すのと同じ方法で計算した、PRE-Zn[x-y-z]およびwPRE-Zn[x-y-z]ZnOの結
晶子サイズは、表S1(サポート情報)にまとめられている。ナノ細孔のテンプレ
ートとして利用できる ZnO ナノ粒子に由来するブロードな回折ピークを持つシ
ェラー方程式から計算された ZnOの結晶子サイズは、原料の混合比が異なっても
大きな変化はなかった。テンプレートの量が増加しても、HC の STEM-EDS マッ
ピングで証明されるように、ZnOが還元され、生成した Zn金属が後熱処理中に揮
発したため、最終製品であるHCでは Zn残留物はほとんど検出されず。図S11の[0
-75-25] (サポート情報)。 Glc Glu、Zn(OAc)2を100:0:0の割合で混合したサン
プルにはZnが全く含まれていないが、正式には「HC-Zn[100-0-0」と表記される]"
簡単にするために。 図S12 (サポート情報) に示されている PRE-Zn[100-0-0]
よび HC-Zn[100-0-0]XRDパターンは、サンプル中に結晶質 ZnO が存在しな
いことを確認している。

図4aは、Glc、Zn Glu、および Zn(OAc)2 の比率が異なる凍結乾燥混合物から合成
された HCの初期充電および放電曲線を示す。 図 aでは、Zn Glu へのGlcの添加に
よるテンプレートの希釈により、容量が減少した。逆に、25% Zn(OAc)2 を添加
してテンプレートを強化すると、可逆容量が最大 464 mAhg-1 (不可逆的な Na 挿
入がないと仮定した場合の NaC4.8 生成に相当) と91.7 という高い初期クーロン
効率が効果的に向上した。HC-Zn[0-75-25]の場合は%。HC-Zn[0-75-25] のナトリウ
ム化電位は Naめっき電位に近いですが、図S13 (サポート情報) に示すように、
HC-Znおよび以前に報告されたMgOテンプレートHCのそれに匹敵した。



図4
a) Na 半電池における HC-Zn[x-y-z] の初期充放電曲線。 b) Na 半電池における
HC-Zn[0-75-25] のサイクル性能。 c) 原料混合比と対応する HC の比容量との関
係。 d) HC-Zn[x-y-z]のSAXSパターン。 e)Na5/6Ni1/3Fe1/6Mn1/6Ti1/3O2//HC-Z
n[0-75-25]フルセルの充放電曲線。 f) この研究における NIB 間の重量エネル
ギー密度の比較。NIB は 2011 年に参考文献で報告しています。 [3] および
LiFePO4 とグラファイトからなる LIB。 図 4b は、HC-Zn[0-75-25] 電極が 200
サイクルにわたって良好な長期サイクル安定性を示し、200 サイクル後の容量保
持率が初期容量の 93% であったことを示しています。 図 3 に示すように、HC-
Zn (418 mAh g-1) と比較して容量が 48 mAh g-1 増加しても、サイクル性能は
損なわれませんでした。 -1 は近年報告されていますが、[13、14、16、17、49]、
十分なサイクル安定性、高い初期効率 (>90%)、および最小の電位ヒステリシスを
すべて備えた HC に関する報告は他にない。 MgO テンプレート HC を除けば、高
いエネルギー効率を実現します。[15] 実際のフルセル動作には高い初期クーロン
効率が必須の要件であるため[50]、テンプレート合成方法はNIBフルセルのエネ
ルギー密度を高めるのに非常に効果的であると考えられている。

Glc を含む混合物に由来する HC も、単一ピークに満足に適合できない SAXS パ
ターンを示しました。 私たちの分析では、HC-Zn[75-25-0]、HC-Zn、[50-50-0]
、および HC-Zn[25-75-0] のパターンに適合する 2 つのショルダー ピークの仮
定が必要です (「 図 S14a ~ c、サポート情報)。 ただし、Glc フリーの HC-
Zn[0-100-0] および HC-Zn[0-75-25] では、実験データと一致する単一のピーク
が観察されました (図 S14d、e、サポート情報)。 層間距離 d002、擬似黒鉛ド
メイン Lc の結晶子サイズ、XRD データから計算された積層数、細孔サイズ DSA
XS などの HC-Zn[x-y-z] の構造パラメーターは、表 S2 (サポート情報) にまと
められています。 HCに関する私たちの経験と最近の研究によると、高度に無秩
序なフレームワークに加えて、擬似グラファイトドメインの拡張中間層とナノ細
孔を区別するのが難しいため、これらのパラメーターとNa貯蔵容量の間の直接的
な関係を決定することは依然として困難です。 したがって、これらのパラメー
タは互いにほぼ相関しています。[24] ただし、一般的な傾向として、今回の大容
量 HC は次のような特徴を持っています。 1) d002 が大きく、Lc が小さいため
、積層数 n が少ない。 2)SAXSによって観察されるように、それらのサイ
ズ分布は非常に均一であり、平均細孔サイズは比較的大きい。 この傾向は、図
S15 (裏付け情報) に示すように、HC-Zn[25-75-0] および HC-Zn[0-75-25] の集
束イオンビーム処理 (FIB)-STEM 観察によっても裏付けられました。 HC-Zn[25-
75-0] の高倍率 STEM 画像では、約 5 nm のボイド状構造をもつ不均一構造が確
認できますが、HC-Zn[0-75-25] サンプルは緻密な構造をしています。 高い均一
性。 HC-Zn[25-75-0]の STEM 画像で観察される 5 nm スケールの細孔様構造は、
HC-Zn[25] の SAXS パターンの low-q ピークから計算された 4.34 nm の細孔直
径と一致しています。 -75-0] (表 S2、サポート情報を参照)。 したがって、原
料の混合比を最適化し、Na クラスタリングに適したサイズのナノ細孔の均一な
分布を達成することで、ZnOテンプレート カーボンの能力が最大化されると結論
付けています。 この考察は、Na 貯蔵容量を制御する際には平均細孔径よりも細
孔径分布の方が重要であるという Stratford らの最近の議論と一致しています。

負極材料として優れた可逆容量を示すHC-Zn[0-75-25]とNa含有層状遷移酸化物Na5
/6Ni1/3Fe1/6Mn1/6Ti1/3O2からなるNaイオンフルセル 正極材料として [51]、0.
2 vol% 炭酸ビニレンを添加した 1 mol dm-3 Na(PF6)0.8(FSA)0.2/EC:PC (1:1
v/v) 溶液を使用して作製しました。 HC-Zn[0-75-25]の可逆容量は HC-Mgの可逆
容量よりわずかに小さいですが、[50-50-0]参考文献の最適化されたMgOテンプレ
ートHC、[15]のシミュレートされた放電曲線 図S16 (サポート情報) に示すよう
に、完全なセルはほぼ同一です。これは、前者の方が後者よりも優れた初期クー
ロン効率を示すことが部分的に理由です。 NIBの充放電曲線を図 4eに示し、100
サイクルにわたる容量保持率を図 S17a (サポート情報) に示します。 正極質量
に基づいて 113 mAh g-1 (負極質量に基づいて 373 mAh g-1に相当) の比容量が
初期サイクルで実証され、その後の 100 サイクルにわたって満足のいくサイク
ル性能が達成された。 NIBフルセルの放電速度能力は、図 S17b (サポート情報)
に示されています。 容量とセルの分極は、電流率を 0.1 C から 1 Cに増加して
もほとんど変化せず、劣化します。10C の高いレートでも、セルは 0.1C の場合
と比較してその容量の約 76% を保持し、フルセルの堅牢なレート能力を実証し
ました。

研究で製造された NIBセルの放電曲線と重量エネルギー密度、2011年の研究 [3]
の放電曲線と重量エネルギー密度、および LiFePO4 (LFP) とグラファイトから
なる従来の LIB の放電曲線と重量エネルギー密度は、以下に示すように、同等
のテスト条件下で実験的に比較された。 図4f。この研究で作製したNIBのエネル
ギー密度は312Wh kg−1に達した。 この値は、2011年に報告された O3 型層状
NaNi0.5Mn0.5O2//Kureha の HC Na イオンセルの値よりも 1.5 倍大きくこれは
a 金属電極を含まない NIB の最も初期の実証の1つであり広く商品化されてい
るLFP型LIBのエネルギー密度に匹敵する。フルセルの長寿命化やNiフリー高容量
正極などの課題は残るが、大容量かつ初期クーロン効率の高いHC-Zn[0-75-25]材
料の開発に成功した。 これにより、NIB は LIB と同等以上のエネルギー密度を
持つことができる。

5. KIB負極への適用
ZnO テンプレート HC は、KIB の負極としてさらに適用されました。 K 半電池
の充電曲線と放電曲線 (それぞれカリウムの挿入と抽出に対応) を図 5a に示し
ます。 電位変動と可逆性は以前に報告された HC へのカリウム挿入の場合と類
似しているため [6、39、40]、酸化還元活性は可逆的な電気化学的カリウム挿入
によって引き起こされたと考えられます。 これらの ZnO テンプレート HC では、
K セルの比容量は Na セルの比容量と一致する傾向をたどりました。 たとえば
、Na 半電池で最大の容量を示す HC-Zn[0-75-25] は、K 半電池でも 381mAh g-1
という大きな容量を示しました。この可逆容量は、電極を通過するすべての電荷
が K挿入のために消費されると仮定すると、KC5.8 の形成に対応。K 濃度はステ
ージ 1 KC8 の濃度よりも高く、Li 濃度はステージ 1 LiC6 の濃度よりも高かっ
た。 高い K 貯蔵能力と相関する HC の高い Na 貯蔵能力の傾向は、セルロース
[39]、スクロース [6]、およびフェノール樹脂 [40] に由来する従来の HC で一
般的に観察されます。 50 サイクルにわたる HC-Zn[0-75-25] の高い可逆性 (図
5b) は、K 金属のめっき/剥離ではなく、炭素構造への可逆的な K 挿入に起因す
ると考えられる。



図5.
a) K ハーフセルにおける HC-Zn[x-y-z] の初期充放電曲線。 b) K 半電池にお
ける HC-Zn[0-75-25] のサイクル性能。 c) 異なるカリウム化状態におけるHC-
Zn の ex situ SAXS パターン。 d)K2Mn[Fe(CN)6]//HC-Zn[0-75-25]フルセ
ルの充放電曲線。

いくつかのサンプルが、Kセル内のグラファイトの理論容量 (KC8 化学組成の場合
279 mAh g-1) をはるかに超える大きな可逆容量を示したことを考慮すると [52]、
K 貯蔵サイトはかなり高い温度で K 原子を収容できると結論付けるのは合理的
である。これは、K-GIC で通常見られる KC8 の面内配置よりも高い濃度です。
最近の研究では、HC 材料の閉気孔内に準金属 K クラスターが形成される可能性
が示唆されています [53, 54]。アルカリ金属クラスター化に適した閉気孔のサ
イズは、アルカリ金属種に依存することが示唆されています。 Na のクラスタリ
ングには Li の細孔サイズよりも大きな細孔サイズが必要です [26]。 実際、図
S18 裏付
け情報) に示すように、この研究で開発された HC は、Na および K 半電池より
も Li 半電池の方が容量が小さくなっています。 K 挿入のメカニズムを解する
ために、ex situ SAXS 測定が実行されました。 図 5c は、元の状態、カリウム
添加された HC-Zn、および脱カリウム添加された HC-Zn の ex situ }SAXS パタ
ーンを示しています (図 S19、サポート情報の初期充放電曲線を参照)。 未処理
のサンプルと脱カリウム化されたサンプルの同一の SAXS パターンは、K 挿入が
完全に可逆的であることを示しています。 対照的に、カリウム添加サンプルのパ
ターンは、広い q 範囲にわたって散乱強度の減少を示しています。 ナトリウム
添加サンプルのパターン (図 3c) と同様に、ショルダー ピーク強度の減少は、
ナノ細孔と炭素マトリックス間の電子密度コントラストの減少を示していRU

したがって、さまざまな HC の Na と K貯蔵容量の相関関係[6, 39, 40] と ZnO
テンプレート HC。化学量論的な KC8 組成を明らかに超えていTU
。 負極としてグ
ラファイトまたは HC-Zn[0-75-25] を使用した仮想の KIB フルセルのエネルギー
密度の比較を図 S20 (サポート情報) に示しす。 グラファイトとHC-Zn[0-75-25
]の平均脱カポテンシャルはK+/Kに対してそれぞれ0.37と0.41Vであるため、HC-Z
n[0-75-25]は不利な作動電位を持っている。ただし、負極の重量あたりの仮想フ
ルセルのエネルギー密度は、異常に大きい容量のため、HC-Zn[0-75-25]の方がグ
ラファイトよりもはるかに高くなりる。

ZnO テンプレート HC が KIB の負極としてより大きな容量を提供することが判
明したことを考慮すると、1 mol dm-の K2Mn[Fe(CN)6] と HC-Zn[0-75-25] から
なる KIB フルセル 3 K(PF6)0.8(FSA)0.2/EC:PC 溶液[55] + 0.2 vol% ビニレン
カーボネートを、正極と負極に最適な質量比 2.0:1 で製造しました。 充放電曲
線とサイクル性能をそれぞれ図 5d と図 S21 (サポート情報) に示します。
KIB は、プレサイクルなどの電解液と電極の前処理を行わずに、平均放電電圧3.3
V および実質的な比容量 107 mAh (K2Mn[Fe(CN)6] の g)-1 を示した。これらの
結果は、大容量 HC が適切な正極と組み合わせた場合に KIB と互換性があり、KI
B 負極のグラファイトの有望な代替品であることを裏付けています。[56] 新しい
シリーズのテンプレート型多孔質炭素材料は、NIB や KIB などの次世代電池の活
物質としての可能性を秘めており、将来のエネルギーデバイスの電池や酸化還元
系に応じて合理的な設計によって強化される可能性があると考えている。 

3.結論
Na および KIB に適した負極として、大容量、高い初期クーロン効率、低い作動
電位を特徴とする新しい ZnO テンプレート HC が開発されました。 Mg Glu、Zn
Glu、および Ca Glu から誘導される前駆体および HC の体系的な特性評価と電気
化学的評価により、ZnO テンプレート炭素が MgO テンプレート HC に匹敵する有
望な NIB 負極であることが示唆されました。 適切な混合比の Zn GluとZn(OAc)2
の混合物から誘導された ZnO テンプレート HC は、464 mAh g-1 の最大容量を示
しました。 異なる混合比の Glc-Zn Glu-Zn(OAc)2 混合物から得られたさまざま
なサンプルの構造と電気化学的特性に関する包括的な実験に基づいて、最適化さ
れた ZnO テンプレート HC の大容量は、その好ましい細孔サイズと均一性による
ものであると考えられました。 Na クラスタリングの細孔分布。
ZnO テンプレート HC を備えた NIB フルセルは、LFP ベースの LIB に匹敵する
300 Wh kg-1 を超えるエネルギー密度を提供し、Na の重い原子量と高い標準電極
電位に伴う課題を克服します。 Na+/Naの。 さらに、ZnO テンプレートHC では前
例のない大きな K 貯蔵容量も見つかり、プレサイクル処理を行わずにZnOテンプ
レート HC を使用した KIB フルセルの実証に成功しました。 この発見は、HCが
黒鉛の代替として KIB負極の有望な候補であることを証明している。
この研究が
NIBとKIBのエネルギー密度をLIBを超えた新たなレベルに改善するきっかけとな
ることを期待している。

 黒の革命

 
モンベルのポーチで、家庭菜園やガーデニングをもっと快適に

    風蕭々と碧い時

スモーキン・ブギ 1974年12月5日

 1980年にダウン・タウン・ファイティング・ブギウギ・バンド
1981年12月31日に解散。"日本語ロック"の起点となったキャロルの後をうけ"日
本語ロックブーム"を決定付けたバンド。 1973年に宇崎竜童を中心に結成され同
年12月にメジャー・デビュー。1980年にダウン・タウン・ファイティング・ブギ
ウギ・バンドと改名する。1981年12月31日に解散。


 




 「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」(As Time Goes By)は、1931年にハーマン・フ
ップフェルドが、ブロードウェイ・ミュージカル『エブリバディズ・ウェルカム
』(Everybody's Welcome)のために作詞・作曲した曲。この劇中では、フランシ
ス・ウィリアムズ(Frances Williams)が歌っていた。
この曲が有名になったの
は、1942年制作のアメリカ映画『カサブランカ』のテーマ曲として採用されたこ
とによる。映画の中では古い流行歌として取り上げられているが、前述のとおり
、この映画のために作られた曲ではない。映画では印象的なシーンで効果的に使
われ、ドーリー・ウィルソンによって歌われている。ピアノはスタジオ・ピアニ
ストの、ジャン・ヴィンセント・プラマーが演奏している。

●  今夜の寸評: 

 

 

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延暦寺・日吉大社めぐり

2023年11月17日 | 滋賀のパワースポット

    

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。





根本中堂は、現在工事用の素屋根に覆われていて、本来の建物は見えない。2016
~2029年の大改修中であることを知った彼女が比叡山の紅葉を参観したいと朝起
の清掃作業中に言ったのでそれじゃドライブしようと比叡山(延暦寺-日吉大社)
に湿度が高く朝靄が広がった秋日和の湖を周回する(20236.11.16 9:45~)。

 阿耨多羅三藐三菩提あのくたらさんみゃくさんぼだいの仏たち わが立つそま冥加みようがあらせたまへ       伝教大師

    みづうみは夢の中なる碧孔雀まひるながらに寂しかりけり   宮澤賢治

牧水に、京都に遊び、比叡山の山寺に籠もり、さらに大阪、奈良、和歌山を経て
熊野勝浦、那智に行き、鳥羽、伊勢に遊ぶこの旅で、「比叡山にて」と題す文集
がある。大正七年の五月、比叡山に登った。山上の宿院で雑誌「創作」の選歌を
するつもりだったが、一泊以上滞在することを断られてしまう。困っていたとこ
ろ、茶店の人に、古い山寺を紹介してもらった。そこならしばらく泊まっていて
もいいという。山寺には伊藤孝太郎という老爺が留守番役をしていた。元は西陣
の職人だったが、無類の酒好きで、妻と娘が亡くなったあとは各地を放浪し、今
はこの寺で使われている。耳がかなり不自由になっていた。牧水は、この不幸な
老人といつしか親しくなり、五日間ほど、毎晩酒を飲んでいたという。このとき
牧水は数え年で三十四歳。

 わが宿れる寺には孝太とよぶ老いし寺男ひとりのみにて住持とても居らず。
 比叡山ひえいやまの古りぬる寺の木がくれの庭の筧かけひを聞きつつ眠る 
 (『くろ土』以下) 酒買ひに爺じいをやりおき裏山に山椒さんしょつみを
 れば独活うどを見つけたり その寺男、われにまされる酒ずきにて家をも妻
 をも酒のために失ひしとぞ。

   言葉さへ咽頭のどにつかへてよういはぬ酒ずきを酔ゑはせざらめや
   酒に代ふるいのちもなしと泣き笑ふこのゑひどれを酔はざらめや  
                    『くろ土』「比叡山にて」
 


 
 
Anytime Anywhere ¥1/kWh era

【再エネ革命渦論 193 アフターコロナ時代 185
技術的特異点でエンドレス・サーフィング 



驚異的なエネルギー密度をもつナトリウムイオン電池の創製
2023年11月13日、東京理科大学らの共同研究グループは、ナトリウムイオン電池
やカリウムイオン電池用の新たな負極材料である「ZnO鋳型ハードカーボン(HC-Z
n)」を合成することに成功しました。このHC-Znを負極に使用したナトリウムイ
オン電池は、現行の商用リチウムイオン電池に匹敵するほど高いエネルギー密度
を示した。 

 黒の革命
【要点】
1.ナトリウムイオン電池・カリウムイオン電池の負極材料として優れた特性を
 示す新たなハードカーボンの合成に成功
2.合成したハードカーボンを負極として使用したナトリウムイオン電池を作製
 し、312Wh/kgという非常に高いエネルギー密度を示すことを実証
3.本研究をさらに発展させることで、希少元素を使わないナトリウムイオン電
 池やカリウムイオン電池の実現が期待されている。
【概要】
ナトリウムイオン電池とカリウムイオン電池は、ユビキタスなリチウムイオン電
池 (LIB) の次世代代替電池として有望。 しかし、そのエネルギー密度は依然と
してLIBに比べて劣っている。 この問題に取り組むために、研究者らはハードカ
ーボンを優れた負極材料に変える革新的な戦略を模索。合成時に無機亜鉛ベース
の化合物をテンプレートとして使用して、両方の代替電池で優れた性能を示すナ
ノ構造ハードカーボンを調製。ナトリウムイオン電池とカリウムイオン電池は、
広く普及しているリチウムイオン電池 (LIB) の 次世代代替電池として期待され
ているが、そのエネルギー密度は依然としてLIBに比べて劣っている。
この問題に取り組むために、ハードカーボンを優れた負極材料に変える革新的な
戦略を模索した。合成時に無機亜鉛ベースの化合物をテンプレートとして使用し
て、両方の代替電池で優れた性能を示すナノ構造ハードカーボンを調製。

リチウムイオン電池 (LIB) は、これまでのところ最も広く使用されているタイ
プの充電式電池であり、数多くの用途に広がっている。 これらには、家庭用電
化製品、電気自動車 (テスラ車など)、再生可能エネルギーシステム、宇宙船が
含まれている。LIB は他の充電式バッテリーと比較すると、多くの点で最高のパ
フォーマンスを発揮するが、相応の欠点もある。リチウムはかなり希少な資源で
あり、将来入手可能性が低下すると、その価格は急速に上昇する。さらに、LIB
で一般的に使用される液体電解質は有毒で可燃性であるため、リチウムの抽出と
不適切に廃棄されたLIBは環境に大きな問題を引き起こす。 LIB の欠点により、
世界中の研究者が代替エネルギー貯蔵技術を模索するようになる。ナトリウム (
Na) イオン電池 (NIB) とカリウムイオン電池 (KIB) は、コスト効率が高く持続
可能な2つの急速に出現した選択肢。NIBとKIBはどちらも、20年末までに10億ド
ル規模の産業になると予測されている。米国、オーストリア、香港、ドイツ、オ
ーストラリアを含む世界中の政府は、この分野の研究とイノベーションを推進。
さらに、Faradion Limited、TIAMAT SAS、HiNa Battery Technology Co. Ltd. などの
企業がこの技術に多額の投資を行っている。Contemporary Amperex Technology Co.
Limited と Build Your Dreams
は、近々 NIB を搭載した電気自動車用バッテリーパ
ックを発売する予定だが、残念なことに、NIBおよび KIB で使用される電極材料
の容量は、依然としLIBの容量に及ばない。このような状況を背景に、日本の東
京大学理学部(TUS)の駒場真一教授率いる研究チームは、NIBおよびKIB用の画
期的な高容量電極材料の開発に取り組んでいる。

2023年11月9日に Advanced Energy Materialsに掲載された最新の研究では、前例の
ない性能を実現するナノ構造「ハードカーボン」(HC) 電極の新しい合成戦略を
報告。しかし、HCとは何か? また、なぜHCが NIBや KIB に役立つのか? グラフ
ェンやダイヤモンドなどの他の形態の炭素とは異なり、HCはアモルファス。明確
に定義された結晶構造がない。さらに、強度と耐久性にも優れている。2021年初
頭の研究で、NIB用のHC電極の合成中に酸化マグネシウム(MgO)をテンプレート
として使用し、最終的なナノ構造を変更する方法を発見。このプロセスにより、
MgO除去時に電極内にナノ細孔が形成され、その結果、Na+イオンを貯蔵する能力
が大幅に増加。以前の発見に動機づけられて、亜鉛(Zn)とカルシウム(Ca)か
ら作られた化合物がHC電極のナノテンプレートとしても有用であるかどうかを調
査。この目的を達成するために、酸化亜鉛 (ZnO) と炭酸カルシウム (CaCO3) を
使用し作成したさまざまな HCサンプルを体系的に調査し、それらの性能を酸化
マグネシウム (MgO) を使用して合成したものと比較。予備実験では、ZnO がNB
の負極として特に有望であることが示され、合成中にHCマトリックスに埋め込む
ZnOの濃度を最適化し、グルコン酸亜鉛のブレンドを利用し、カーボンマトリック
スに埋め込まれたZnOの濃度を最適化することで、出発物質として酢酸亜鉛を使
用すると、最適な ZnO テンプレート HC は、91.7% という高い初期クーロン効
率で 464 mAh g-1 (NaC4.8 に相当) の可逆容量を示す。平均電位は Na+/Naに対
し0.18 Vと低くなる。91.7%という高い初期クーロン効率と0.18という低い平均
電位を備えた464mAh g-1(NaC4.8に相当)のV 対 Na+/Na可逆容量を実証。強力
な電極材料を実際の電池に組み込むことで、目覚ましい成果を上げた。 「最適
化された ZnO テンプレートHC を負極として使用して製造された NIB は、312 W
h kg-1 のエネルギー密度を示した。 この値は、LiFePO4 とグラファイトを使用
した現在商業化されている特定の種類の LIB のエネルギー密度に相当し、2011
年に報告した最初のNIB のエネルギー密度 (192 Wh kg-1) の 1.6 倍以上。注目
すべきことに、ZnO テンプレート HC は、KIBに組み込まれた場合に 381 mAhg-1
という顕著な容量も示し、その可能性をさらに示した。

まとめると、この研究の結果は、無機ナノ粒子をテンプレートとして使用して細
孔構造を制御することが、HC電極開発の効果的なガイドラインを提供できる可能
性があることを示している。調査結果は、HCが黒鉛の代替として負極の有望な候
補であることを証明。 これにより、NIBは、持続可能な家庭用電化製品や電気自
動車、さらには太陽光発電や風力発電所からのエネルギーを貯蔵するための低炭
素排出量エネルギー貯蔵システムの開発などの実用化が可能になる。

【結果及び考察】
1.前駆体の合成と特性評価
図 1a は、この研究で使用されたHC合成プロセスの概略図を示す。これは、私
たちの最近の研究からのテンプレート合成法の概念に基づいている。 グルコン
酸塩と出発物質の化学構造を図S1a(サポート情報)に示し、走査型電子顕微鏡
(SEM)で観察した粉末形態を図S1b-d(サポート情報)に示す。 グルコン酸塩
は、テンプレート炭素の前駆体として広く使用。 600℃での予熱プロセス中に、
出発物質は熱分解され、前駆体炭素と無機粒子の複合体に変化し、これがナノ細
孔テンプレートとして機能する。 続く酸浸出段階では、炭素表面上の過剰な無
機粒子が除去され、所定の位置に開いた細孔が残る。不活性雰囲気中での最終的
な後加熱プロセスを通じ、前駆体炭素は HC になり、グラファイトドメインと閉
じたナノ細孔が発達します [34]。 前駆体の炭素マトリックスに埋め込まれたテ
ンプレート酸化物は炭素熱反応によって還元を受け、元素金属を形成し、高温で
揮発して除去される。詳細なサンプル調製方法はサポート情報に記載。
以下、前駆体カーボン、酸浸出による洗浄前駆体カーボン、最終生成物であるHC
のサンプル名をそれぞれ「PRE-X」、「wPRE-X」、「HC-X」と呼ぶ。Xは 出発物質中の
金属元素。



図1.a) テンプレートの合成方法の図解。 b) PRE-X および wPRE-X の XRD パ
ターン。X = Mg (左)、Zn (中央)、または Ca (右)。 c) PRE-Mg、d) PRE-Zn の
暗視野 TEM 画像。MgO と ZnO が輝点として示されています。 e) PRE-Caの明視
野 TEM 画像。 PRE-X と wPRE-X (X = Mg、Zn、または Ca) の両方の SEM画像を
図S2 (サポート情報) に示し。特に、PREXの形態はそれぞれの出発物質の形態を
再現しなかった。 図1b は、PRE-X と wPRE-X の X 線回折 (XRD) パターンの比
較を示しています。PRE-X パターンでは、MgO、ZnO、CaO、CaCO3 の回折ピーク
が確認されます。しかし、wPRE-X パターンでは、酸浸出後にこれらの無機物質
のピーク強度が著しく減少し、2θ = 22°および 43°に位置する低結晶性炭素
に由来するブロードなピークが比較的顕著になりました。 これは、テンプレー
トとして機能した無機粒子のかなりの部分が酸浸出によって除去されたことを示
唆しており、これは図 S3 (サポート情報) に示されている SEMエネルギー分散
型 X線分光法 (EDS) 分析と一致する。 MgOテンプレート炭素に関する我々の以
前の研究で報告されているように、(w)PRE-Mg 中のMgO は小さなナノ粒子で構成
されています。これは、XRDパターンの幅広いMgO ピークから明らかであり、PRE-
Mg の暗視野透過型電子顕微鏡 (TEM) 画像で MgO ナノ粒子がはっきりと見えた。 
wPRE-Zn パターンは幅広いZnOピークを示し、高結晶性 ZnO が主に炭素表面に位
置し、酸浸出によって除去できることを示唆。 実際、図S3 (サポート情報) の
SEM-EDS マッピングと、図S4 (サポート情報) のPRE-Zn および wPRE-Zn サンプ
ルの高倍率 SEM 画像には、PRE-Zn 上に白い ZnO 粒子が示されていますが、PRE-
Zn には白い ZnO 粒子が見えません。 このような粒子は、wPRE-Zn の SEM 画像
で見ることができます。 図 S5 (サポート情報) は、PRE-Zn および wPRE-Zn の
ZnO 由来の回折ピークの詳細な分析を示しています。 PRE-Zn のパターンの 2θ
= 30 ~ 40° 内の 100、002、および 101回折ピークは、シャープでブロードな
成分にデコンボリューションできますが、wPRE-Znの回折ピークはブロードな成分
のみに適合します。 各002 回折の半値全幅 (FWHM) を使用して Scherrer の式に
よって計算された ZnO 結晶子サイズは、PRE-Zn のシャープな成分については
39.3 nm、PRE-Zn および wPRE-Zn のブロードな成分については 3.4 および 4.1
nm 。それぞれ。 XRD分析から予測されるように、(w)PRE-Zn中のZnOナノ粒子の存
在は、図1dに示すPRE-Znの暗視野TEM画像と一致する。PRE-Caの場合 XRDを使用
して CaOと CaCO3 の両方の結晶相が検出された。文献によれば、CaCO3が優先的
に生成され、高温条件下での CaCO3 の熱分解により CaO が生成する。
図1eのTEM像によると、PRE-Ca中のCaOまたはCaCO3の粒子サイズは数十ナノメー
トルであり、PRE-Mg中のMgOやPRE-Zn中のZnOの粒子サイズよりもかなり大きく、
HCのナノ細孔の「テンプレート」として機能できない。図S6 (サポート情報) の
熱重量測定 - 示差熱分析 (TG-DTA) 曲線に示すように、Mg Glu、Zn Glu、および
Ca Glu の熱分解挙動は、発熱特性と吸熱特性の点で異なる。有機化合物の熱分
解過程は複雑であり、原料ごとの分解過程を詳細に把握することは困難だが、熱
分解挙動のこれらの違いは、関与する二価金属の種類に応じて、無機粒子の分布
と粒子 (微結晶) サイズに影響を与える可能性がある。

2.HC の特性評価
3つの異なるグルコン酸塩から合成された HCのSEM 画像を図 2aに示す。各HC-X
の形態は、対応する wPRE-X の特徴を保持していた (図 S3、サポート情報)。
HC-Mg、HC-Zn、HC-Ca の XRD パターンを図 2b に示す。すべてのサンプルは、
2θ = 21 ~ 23°および 42 ~ 44°で低結晶性炭素に典型的な幅広いピークを
示し、これらはそれぞれ、HCの擬似黒鉛ドメインの 002 回折および 100 回折に
割り当てることができる。 計算された平均層間距離 d002 は、HC-Mg、HC-Zn、HC
-Ca でそれぞれ 0.3767、0.3766、0.3564 nm XRDパターンにはHC以外のピー
クは観察されず、ほとんどのテンプレートが後熱処理プロセス中に除去されたこ
とを示す。 図S7 (サポート情報) に示すように、テンプレートの削除は STEM-
EDSによっても確認された。 HC-Mg および HC-Zn では Mg と Znはほとんど検出
されないが、HC-Ca では少量の Ca が検出された。 元素マッピングにより、炭
素マトリックス中に高密度の Caおよび O スポットが共存していることが明らか
になる。 金属 Caの沸点は >1400 ℃であるため、後熱処理中に揮発せず、CaOま
たは CaCO3として残ったと推定。



図2.a) HC-Mg (左)、HC-Zn (中央)、および HC-Ca (右) の SEM 画像。 b)
HC の XRD パターン。 c) HC とグラファイトの SAXS パターン。 d) HC-Mg (
左)、HC-Zn (中央)、および HC-Ca (右) の HRTEM 画像。 図 2cに示すように
HC の細孔構造は小角 X 線散乱 (SAXS) を使用して特性評価されました。 黒鉛
には細孔がないため、比較のために天然黒鉛の SAXS パターンも表示。 特に、
HC-Mg および HC-Zn の SAXS パターンでは肩散乱ピークが明確に観察された。
パターンフィッティングと仮定により、HC-Mg サンプルと HC-Zn サンプルの平
均細孔サイズはそれぞれ 1.25 nm と 1.44 nm と計算された。 対照的に、HC-Ca
のパターンは非常に低い強度のショルダー ピークを示しており、これは HC-Ca
が HC-Mg および HC-Zn よりも小さいか無視できる数の閉気孔を持っているこ
とを示す。
以前の観察に基づくと、1300〜1500℃で有機前駆体の単純な炭化によって得ら
れるHCのナノ細孔サイズは1.1〜1.2nmである[6, 39, 40]。したがって、HC-Mg
およびHC-Znは比較的大きなサイズを有するナノポア構造。 これらの結果から、
PRE-Mg および PRE-Zn に含まれる MgO および ZnO ナノ粒子がテンプレートと
して機能し、HC-Mg および HC-Zn にナノ細孔の形成が可能になると結論付ける
ことができる。 HC の細孔構造は、図 2dに示すように、高解像度 TEM (HRTEM)
を使用した微細構造観察によりさらに特徴付けられ。 PRE-Mg および PRE-Znの
HRTEM 画像では、数ナノメートルスケールの緻密な微細構造が示さるが、HC-Ca
ではより大きな空隙(直径 5~10 nm)が観察される。PRE-Caで形成される CaO
または CaCO3粒子はこれらの大きな空隙の形成につながる可能性があるが、この
ような大きな空間はNaクラスターの電気化学的形成には不適切だと考える。

HC の N2 吸着測定が実施され、観察されたHCの等温線が図 S8 (サポート情報)
に表示。 HC-Mgでは典型的なタイプ I の等温線が得られたが、HC-Zn の等温線
はタイプⅡのように見え、非常に少量のN2吸着が見られた。 IUPAC 技術報告書
によると、HC-Mgはその表面に開いたミクロ細孔を持つ必要があるが、HC-Znは
非多孔質材料であるか、マクロ細孔しかない。 ブルナウアー・エメット・テラ
ー(BET)理論に基づき計算された比表面積(「SBET」と表記)は、HC-Mgおよび
HC-Znについてそれぞれ582および85 m2 g-1。 HC-Ca の等温線は、周囲圧力か
ら相対圧力の中間範囲までのヒステリシス ループを示し、これは HC-Caの表面
にメソ細孔が存在することを示唆する。 BET分析はそのような材料に完全に適
しているわけではないが、吸着曲線から計算された HC-Ca の暫定的な SBETは 5
74 m2 g-1である。SBETや、N2や CO2 などのガス吸着から計算された開気孔の
分布は、炭素の「表面」構造を評価によく使用される。「表面」に対する洞察
が、固体電解質界面の電極表面の不動態化に関連する可能性があるものと期待
される(SEI) 粒子を電解分解生成物で覆うことにより形成される。電解質中に
存在する溶媒分子と陰イオンがN2やCO2分子よりも大きいことを考慮するとガス
吸着により決定される表面積は、必ずしも液体電解質と電極活物質の間の接触
面積を表すわけではあい。そこで、HC電極に対してサイクリック ボルタンメト
リー (CV) を実行し、Na+/Na に対して 2.2 ~ 2.8 V の電位範囲で接触面積を
評価。この特定の範囲は、電極/電解質界面での電気二重層の形成を考慮し、フ
ァラデー電気化学反応が存在せずに選択された。 得られたサイクリック ボル
タモグラムを図S9 (サポート情報) に示す。すべてのボルタモグラムは、コン
デンサの典型的な特性である長方形の曲線を示す。 この電位範囲で計算された
平均電気二重層容量は、HC-Mg で 0.15 mAh g-1、HC-Zn で 0.12 mAh g-1、HC
-Ca で0.97 mAh g-1 (0.90、0.72、 それぞれ5.8 F g−1)。 これらの二重層静
電容量値は、HC 粒子と電解質溶液の間の接触面積に直線的に比例すると仮定さ
れる。 したがって、以下に説明するように、Na セルの HC 電極上での SEI 形
成の不可逆容量は静電容量に関係していると考えられる。

3.NIB負極としてのHCの電気化学的性能
NIB用 HC電極の性能を評価するために、充放電試験 (HC 電極での Na の挿入と
抽出にそれぞれ対応) が実行されました。 図 3a は、Na 半電池の HC 電極の初
期充放電曲線を示しています。 HC 複合電極は、200 mAh g-1 を超える高い可逆
容量を示し、電圧変化曲線は以前に報告された他の HCの曲線と完全に似ている。
したがって、テンプレート合成 HC 電極の酸化還元活性は、可逆的なナトリウム
挿入に起因すると考えられる。

a

図3.a) HC の初期充放電曲線。 b) HC-Zn のサイクル性能。 c) 異なるナトリ
ウム化状態でのHC-Znのex situ SAXSパターン。 d) 異なるナトリウム化状態での
HC-Znのex situ WAXSパターン。

3つのサンプルの中で、HC-Zn は優れた電池性能を示し、418 mAhg-1の初期可逆
容量と 90% の初期効率を示した。 HC-Mgは、それぞれ 383 mAh g-1 と85% とい
う高い初期容量と効率も示した。 ただし、HC-Caは最初のサイクルで258 mAh g-1
の低い容量と 56% の効率を実現。 可逆容量の違いは、SAXS によって評価された
閉気孔の特性により説明できる。つまり、HC-Znおよび HC-Mg は、より大きな閉
気孔を持つ炭素構造により、HC-Ca に比べて優れたナトリウム貯蔵性能を示す。
そして閉じた気孔の割合が高くなる。これは、Zn-Glu 由来の炭素質材料が充電
可能な NIBの負極として顕著な特性を備えていることを実証した最初の研究。
これらの材料は、二重層キャパシタ用の電極や酸素還元反応触媒など、他のエネ
ルギー材料と関連して以前に研究されてきたため、これは注目に値する。

高電位傾斜領域 (>0.15 V) に対応する容量は 80、89、および 81 mAh g-1 であ
り、低電位プラトー領域 (<0.15 V) の容量は 303、329、および 177 mAh g-1。
HC-Mg、HC-Zn、HC-Ca はそれぞれ -1。 傾斜領域の容量と電位変動は各サンプル
でほぼ同様で、約 80 mAh g-1 、プラトー領域の容量は 3 つのサンプル間で異
なる。この結果はマテリアル デザインとよく一致。細孔構造の設計により、Na
クラスターの形成が強化され、より低い電位でのプラトー容量が拡張した。 他
の研究では、HCのナノ細孔構造がプラトー領域のナトリウム酸化能力に重大な影
響を与えることも示唆。HC の初期クーロン効率の変動は、不可逆的な電解質分解
と SEI 形成に関連。 初期サイクルでは、前に示したように、N2収着から計算さ
れた BET 表面積よりも、上で説明した CV から得られた静電容量とより厳密に一
致する。SEMで観察されたZn-HCの滑らかな粒子表面(図2a)は、電解液との接触
面積の減少に寄与し、不可逆容量の低下と初期効率の向上につながったと考える。

図 3bは、HC-Zn のサイクル性能と対応するクーロン効率を示す。 最初のサイク
ルを除き、電解質の分解と SEI 形成がナトリウム化の初期段階で発生し、安定し
た可逆サイクルと 99% 以上の高効率が 2 サイクル目以降で得られた。これらの
結果は、大きな可逆容量にはNa金属のめっき/剥離が含まれていないことを示す。
これは通常、一般的な電解質ではクーロン効率が非常に低くなるが、HCへの可逆
的な Na挿入に由来する。 HC-Zn の大容量がナノ細孔内の Naクラスター形成に
由来することを確認のため、ナトリウム化HC電極の特性評価を実行した。 図3c
は、元の状態、完全にナトリウム化された HC 電極、および完全に脱ナトリウム
化した HC 電極の ex situ SAXS パターンを示す。 元のサンプルで観察されたシ
ョルダー ピークの強度は、ナトリウム処理により減少し、その後、脱ナトリウム
処理により再び増加し、元の状態とほぼ一致する強度に戻る。ナトリウム添加サ
ンプルで観察されるピーク強度の減少は、ナノ細孔を満たす Na原子の挿入に起因
する、炭素マトリックスと細孔の間の電子密度コントラストの減少に起因すると
考える。Na クラスターの充填は これは図 3d に示す現場外広角X線散乱 (WAXS)
パターンと、Na 金属結晶のシミュレートされた散乱パターンでより明確に実証
された。元のサンプルのパターンで ≈q = 1.5、3、および 5.2 Å−1 に位置する幅
広いピークは、HC のグラファイト状構造の 002、100、および 110 回折に対応。
ホスト炭素構造に対応するピークに加えて、金属 Na 結晶に起因すると考えられ
るナトリウム化 HC の追加の散乱ピークが観察された。これらの SAXS および
WAXS の結果は、Morikawa らによって報告された WAXS データと一致する。
Stratfordらが観察したX線全散乱は、HC-Znの大容量が確かにナノ細孔内のナト
リウムクラスターの形成によるものであることを確認している。 ナトリウムの
挿入および抽出中の WAXS および SAXS パターンの完全に可逆的な変化は、これ
らのナノ細孔内での Na クラスターの電気化学的形成および除去が高度に可逆的
なプロセスであることを証明しています。 HC-Zn は Na セルで優れた性能を示
したので、カーボンマトリックス中の ZnO の量を希釈および強化することで
HC-Zn をさらに最適化した。 (次回継続掲載)

【掲載論文】
Journal Reference: 1.Daisuke Igarashi, Yoko Tanaka, Kei Kubota, Ryoichi Tatara, Hayato
Maejima, Tomooki Hosaka, Shinichi Komaba. New Template Synthesis of Anomalously
Large Capacity Hard Carbon for Na‐ and K‐Ion Batteries. Advanced Energy Materials,
2023; DOI: 10.1002/aenm.202302647
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※東京理科大学は面白い研究成果を出している。その1つを要点のみ掲載しておく。

トマトジュースでユーグレナを培養
食用に適した、安価で簡単なユーグレナ培養方法の開発

11月16日、東京理科大学らの共同研究グループは、食品として注目されるユーグレナ(
Euglena gracilis)の培養方法について研究を行い、市販のトマトジュースを水で希釈し、
ユーグレナの生育にで、従来の培地必須のビタミン2種(B1、B12)を添加したのみの培
地で、従来の培地と同じくらい良好にユーグレナを培養できることを見出した。
【要点】
1.微細藻類ユーグレナは各種栄養素を豊富に含み、栄養補給・健康増進を目的とした
 新しい食品として注目されています。しかしその製造には多くの工程が必要。
2.市販のトマトジュースを水で希釈し、必須ビタミン2種(B1、B12)を添加したのみの培地
 で、ユーグレナを良好に培養できることを見出しました。これにより、糖源の利用を想
 定した場合の培地コストを、試薬グレードの材料を利用した場合の1/6にまで抑えるこ
 とができ、また過剰生産されたトマトを有効利用することが可能となる。
3.簡便かつ安価な本手法は、食品としてのユーグレナの利用範囲拡大に寄与すると
 期待される。


【展望】
ユーグレナは豊富な栄養素と機能性成分を含むため、食品の栄養素の一部をユーグレ
ナに変換することで、簡単に食品の栄養強化を図ることができる。これにより、従来より
も低コストで栄養補給や健康増進に貢献することが期待されつ。また、ユーグレナは光
合成の際に二酸化炭素を吸収するのでカーボンニュートラルで持続可能な食料生産法と
して、SDGsの目標13『気候変動に具体的な対策を』目標2『飢餓をゼロに』にも貢献でき
るのではないかと思う。また、宇宙開発における食料の生産技術としても貢献する可能
性がある。
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光合成生物の危機対策進化過程を解明 
11月11日、国立遺伝学研究所(NIG)は,光合成を行なう真核生物が光毒から危
機対応
策を進化させてきた進化過程を明らかにした。
細胞内で光合成を行う真核生物は何度も独立に発生したが、光合成の毒性に対処
するために、どの系統の生物もほぼ同じ機構を進化させたことが明らかになる。
さらに、光合成生物を細胞内に共生させ、葉緑体として利用するための機構は、
藻類を捕食する段階から一時的な藻類細胞または葉緑体の保持の段階を経て漸進
的に進化したことも示唆。 


図.シアノバクテリア共生体起源の1次葉緑体、真核藻類の共生体起源の二次葉
 緑体を持つ単細胞生物と藻食、光共生性、盗葉緑体性の単細胞生物の例。
Taming the perils of photosynthesis by eukaryotes: constraints on endosymbiotic
evolution in aquatic ecosystems 

Shin-ya Miyagishima
Communications Biology (2023) 6, 1150
DOI:10.1038/s42003-023-05544-0

光バイオ触媒でアンモニアと水素を同時合成
11月16日、九州大学らの研究グループは、アンモニアは肥料や⼯業原料として広
く使われる有⽤な化学薬品で、近年はグリーン⽔素の運搬の媒体としても期待さ
れています。従来は、400℃、200 気圧以上という⾼温、⾼圧下で、窒素と⽔素
を⽤いて合成されており、エネルギー多消費のプロセス。⼀⽅で、ニトロゲナー
ゼという酵素では、常温、常圧下で、アデノシン三リン酸(ATP)をエネルギー源と
してアンモニアを合成しますが、反応速度が⾮常に遅いことが課題です。今回、
シアノバクテリア内のニトロゲナーゼに、光触媒を⽤いて還元した電⼦伝達媒体
のメチルビオロゲンを⽤いて、直接、電⼦を輸送することで、⼤気中の窒素と⽔
から直接、アンモニアを⽣体触媒に⽐べて80 倍以上の速さで合成できることを
⾒出しました。
九州⼤学のカーボンニュートラル国際研究所(三井化学カーボンニュートラル研
究センター)の⽯原達⼰教授、Kosem Nuttavut 特任助教、⼤﨑穣特任助教らの研
究グループは、従来のシアノバクテリアの⽣体機能の⼀部の代謝系を、光触媒を
⽤いて代替することと、⽣成したアンモニアの代謝を抑⽌することにより、常
温、常圧下で窒素と⽔からアンモニアと⽔素を合成することを可能としました。
今回の成果は、現在、環境保全の観点から要望されているカーボンニュートラル
な社会の達成のために再⽣可能エネルギー起源のグリーン⽔素の利⽤の促進のみ
でなく、肥料などに使われるアンモニアの温和な条件での合成を通して持続可能
な社会の実現に役⽴ちます
【要点】
1.肥料の合成やグリーン⽔素の輸送媒体としてアンモニアが期待されているが、
 アンモニアの合成時に厳しい反応条件下での合成となり、多くのCO₂の発⽣を伴
 う。⼀⽅で、バイオ触媒では温和な条件で合成できるが、⽣成速度が遅い。
2.当該研究では⽣体触媒の機能の⼀部を光触媒と電⼦伝達系を組み合わせるこ
 とで、改善し、光バイオ触媒による常温常圧での窒素と⽔からアンモニアと⽔
 素の合成に成功した。
3.今回の成果は、再⽣可能エネルギーの普及に貢献し、カーボンニュートラル
 ・エネルギー社会の実現に寄与するとともに、⾷糧⽣産に必要不可⽋な肥料の
 価格の低下などに寄与し、持続可能な社会の実現に貢献できる。





   風蕭々と碧い時

港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ 1975.4.20
オリコンチャートの週間順位で5週(1975年6月23日 - 7月21日付)に渡り1位を
獲得。1975年のオリコン年間ヒットチャートでは第5位にランクインし、さらに
大晦日の『第26回NHK紅白歌合戦』に初出場をした。同年開催の第17回日本レコ
ード大賞では、企画賞を受賞


 



東京ブギウギ   笠置歌シヅ子
「東京ブギウギ」(とうきょうブギウギ)は、鈴木勝の作詞、服部良一の作曲、
笠置シヅ子の歌唱により、1947年発表(ただしレコード発売は翌年1月)されて
ヒットしたブギのリズムによる日本の歌謡曲。「青い山脈」「リンゴの唄」など
と並んで、終戦直後の日本を象徴する曲

●  今夜の寸評: 

 

 

コメント
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スウィングとシャッフル

2023年11月15日 | ネオコンバーテック

    

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。 

                  どんぐりの袴大小七五三     百合山 羽公


                                           

百合山 羽公うこう(1904年9月21日 - 1991年10月22日):
俳人。静岡県浜松生。
1923年、「ホトトギス」の句座に参加、「破魔弓」(「馬酔木」の前身)に入会。
1929年、24歳で「ホトトギス」巻頭。20年来の句友である相生垣瓜人と共宰る。
1974年、句集『寒雁』ほかで第8回蛇笏賞受賞。句集は他に『故園』『樂土』。

『由来』
1681年12月24日に館林城主である徳川徳松(江戸幕府第5代将軍である徳川綱吉
の長男)の健康を祈って始まったとされる説が有力である。現在では全国で盛ん
に行われているが、江戸期は関東圏における地方風俗であった。やがてこの儀式
は京都、大阪でも行われるようになり、だんだんと全国に広まっていったという。
via Wikipaeia

 

 


Anytime Anywhere ¥1/kWh era

再エネ革命渦論 192 アフターコロナ時代 185
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
   特異点真っ直中 ㊿+31
 


2028年,光通信機器・デバイス市場62兆円超に 
11月9日、富士キメラ総研は,データセンター間接続や通信キャリアの光インフ
ラ構築,欧米におけるFTTxの整備,6G通信基地局の設備投資の伸びなどにより,
今後の需要増加が期待される光通信関連機器・デバイスの世界市場を調査し,そ
の結果を「2023 光通信関連市場総調査」にまとめた。この調査では,光通信関
連機器5品目,光コンポーネント・デバイス(光コンポーネント,光アクティブ
デバイス,光パッシブデバイス,光ファイバー・光回路デバイス,その他デバイ
ス)36品目,光測定器・関連機器4品目の市場について,現状を調査し,将来を
予想するとともに,関連アプリケーションの市場についても捉えた。

2023年はFTTxやデータセンターへの投資が落ち込んでいることから,伸びは鈍化
するとみられるが、中長期的にはデータセンターへの投資回復,6G通信の基地局
投資の活発化などに伴う投資増加が期待されるとともに,高速対応製品の比率上
昇が伸びを後押しすることなどから,2028年の市場は60兆円を突破すると予想。
光通信関連機器は,光伝送装置,ルーター,L2・L3スイッチ,PONシステム,サー
バーが対象。特にサーバーの規模が大きいという。現在,一時的にデータセンタ
向けが落ち込んでいるものの,2024年以降の投資回復,また,高価格なAIサーバ
の需要増加により,引き続き市場をけん引するとみる。 光伝送装置はデータセ
ンタ相互接続向け,L2・L3スイッチはデータセンター内通信向けが増えており,
継続的な伸びを予想する。PONシステムは,2023年は中国を中心に需要が落ち込
んでいるが,欧米を中心にG-PONの導入,10G-PONへの移行需要は大きく,2024年
以降は中国市場の回復とともに堅調な推移が期待されるという。

光コンポーネントは,出荷数量の増加に加え,高速化に対応するため各光トラン
シーバーなどの製品単価が上昇していることで市場が拡大している。データセン
タでの通信高速化を背景に100G以上のクライアント側光トランシーバーが,100G
未満からの置き換えを受け伸びるとみる。また,2022年頃から800Gのクライアン
ト側光トランシーバーやAOC(アクティブ光ケーブル)の本格採用も始まっている。
光アクティブデバイスは,2023年は規模の大きいLDチップ(DML・EML)が過剰在
庫などを要因に落ち込んでいるが,データセンター向けの回復などにより2024年
は伸びに転ずる。

また,光トランシーバの多レーン化,高速LDの採用増加が中長期的な伸びの追い
風になるとする。 HB-CDMやCOSA・IC-TROSAは次世代のライン側光トランシーバ
に搭載されるため,データセンター相互接続で使用される400G ZRなどを中心に
伸びが期待されるとしている。光パッシブデバイスは,ライン側で用いられるWS
Sモジュールが好調である。
レンズ関連は,2023年はボールレンズや非球面レンズは苦戦しているが,プラス
チックレンズはAIサーバーでの需要が増えている。中長期的には,シリコンレン
ズの採用拡大やSiPhやCo-Packaged Optics(CPO)採用の影響がポイントとなる。
光ファイバ・光回路デバイスでは,規模の大きい光ケーブルはデータセンタ向け
が伸び悩んでいるため,本格的な需要回復は2024年以降と予想される。光ファイ
バは,2023年は中国のFTTx需要の減少や,データセンタ向けの投資減により縮小
するとみられるが,2024年以降は投資回復により堅調な伸びが期待される。

POFは,通信や装飾・照明,センサなどで採用されており,需要増加が続いてい
る。光コネクターはデータセンターなどインフラ投資の回復により,2024年以降
は順調に伸びるとみられるという。その他のデバイスには,仮想化技術や生成AI
などでの採用がけん引して好調な品目がみられるとしている。 デジタルコヒー
レントDSPは400G ZRなどの小型製品への搭載開始や,800G LRなどクライアント
光トランシーバーへの採用開始により需要が増えるとみられるという。PAM用
ICは800Gなど,高速光トランシーバーやAOCなどでの採用増加により伸びている。

イーサネットスイッチチップは,サーバーとつなぐ下部階層のスイッチ機器の増
加により,スマートNICは増大するCPUへの負荷を低減するためのオフロード処理
ニーズが高まっているため,堅調な伸びが期待されるとしている。 光測定器・
関連機器は光デバイスやコンポーネントの市場と連動している。光スペクトラム
アナライザー,オシロスコープ,BERTは主に光トランシーバーの製造ライン検査
やR&Dに用いられるため,光トランシーバーの生産動向や高速光トランシーバの
開発状況などの影響を受け,2023年の市場は縮小を予想する。2024年以降は横ば
いで推移するとみられるという。 このうち光ファイバーは,2022年は,前半はFT
Txやデータセンター向けの順調な設備投資を受けて好調だったが,後半は投資が
落ち着いたことから需要は減少した。新型コロナウイルス感染症流行時の通信量
増大を受けて,通信キャリアをはじめとした多くのユーザが在庫確保を進めたこ
とから市場在庫が過剰になっていた面があったものの,輸送費の増加や原材料価
格の高騰を受けて製品価格が上昇したことにより,市場は拡大した( 以下、後略)。

光合成の電子受容体量の調節機構を解明
11月13日、電力中央研究所らの共同研究グループは、光合成の電子受容体量を調
節する仕組みを世界に先駆けて明らかにした。光エネルギーを化学エネルギーに
変換する光合成は、植物の成長の根幹となる現象です。光エネルギーによって葉
緑素(クロロフィル)から取り出された電子は受容体(NADP+)に受け渡されて
NADPHという物質で一時的に保存されます。この受容体量が光環境によって変化
する現象は1959年に発見されましたが、その生理現象の全体像はいまだに解明さ
れていない。光が当たる昼間の葉緑体内部で受容体の合成が促進される現象が、
葉緑体ストロマ内のpH制御によって調節される仕組みを明らかにした。


図1.光合成による光エネルギーの保存
光合成では葉に光が当たると葉緑体内で電子伝達経路が駆動し、受容体であるNADP+
が還元されてNADPHが生産されます。このNADPHが還元力として使用されることでC
O2を固定し、糖やデンプンが合成される。
【要点】

1.葉緑体内部の受容体量の変動と合成活性特性の計測

図2.無傷葉緑体単離の様子(左)と葉緑体破砕液に含まれる電子受容体合成
活性のpH依存性(右) 葉緑体に照射する光強度に比例して合成活性が高まると
共に、反応液のpHがアルカリ性の時に活性が増大するという結果が得られた。

2.電子伝達経路と受容体合成の関係を解明


図3.サイクリック電子伝達活性と受容体現象の関係

3.サイクリック経路と受容体分解の関係を解明


図4.本研究の成果から考えられる光照射時の受容体量調節の仕組み
光によって電子伝達経路(ETC)が駆動することで受容体合成酵素が活性化し(ETC
からNADKへの矢印)、この時にサイクリック電子伝達経路(CET)の働きによってp
Hがアルカリ性に調節されることで受容体合成が促進され(CETからNADKへの矢印)、
受容体分解が抑制されます(CETからNADPPへのTバー)。受容体が増加すること
で光エネルギーを化学エネルギーとして保存する経路(LET)が充分に駆動され
るようになり光合成出力が高まります(LETからの矢印)。

【概要】
光合成において葉緑素(クロロフィル)から取り出された電子は受容体(NADP+
に受け渡されてNADPHという物質で一時的に保存される。この受容体量は光環境に
よって変化するが,その全体像は解明されていない。NADP+は細胞に広く存在し,
光合成以外の反応にも利用されるため,研究グループは光に応答した受容体の変
動が葉緑体で起こると証明した。また,受容体の合成酵素の活性には光が必要で,
アルカリ性のpHで活性が増大することを明らかにした。光合成の電子伝達経路は,
受容体がなければ電子が渋滞して動けないが,サイクリック電子伝達経路という
もう一つの経路が電子を受容体に渡すことなく系内を循環し,葉緑体内のpH勾配
を光がある時の状態に保ちATPを合成する。阻害剤で全ての電子伝達を止めると
光があっても受容体は合成されない一方,サイクリック電子伝達経路を阻害した
時にも受容体の合成が抑制された。また,サイクリック電子伝達経路を欠損する
変異体では受容体合成が顕著に遅延し,光に応答した速やかな受容体の増加に
はこの経路の駆動によるpH勾配が重要と分かった。植物の葉に光を当てた後に遮
光すると,受容体量は徐々に減少する。この時,遮光前に強光を照射してサイク
リック経路を亢進すると受容体の減少は遅延した。同様に,この経路の亢進変異
では受容体の減少が遅延し,欠損変異体では減少が加速した。また,受容体の
分解活性は弱酸性から中性のpH条件で活性化し,アルカリ条件では消失していた。
従って,遮光によって生じる葉緑体内部のpH変化と受容体分解酵素の活性特性が
一致することが分かった。さらに,遮光時に葉緑体内のpHを調節するイオン輸送
体の欠損変異体でも同様の遅延が観察されたことから,葉緑体内部の受容体量が
光環境に依存したpH変化によって調節されることがわかった。 
以上から,光によって電子伝達経路が駆動することで葉緑体ストロマのpHが受容
体を合成しやすい環境に調整され,受容体量が増加して光合成出力が増大すると
考えられた光が遮られた環境ではサイクリック電子伝達経路によってpHが維持
され,数分間は次の光まで待機するが,循環可能な電子が尽きると,葉緑体スト
ロマのpHは受容体を分解しやすい環境に調整されて減少することが分かってきた
研究グループはこの知見が,光合成出力の改善によるバイオマス増産のみならず
有害植物の成長抑制に資する新たな農薬開発にもつながる重要な成果である。


図5.間質 pH 条件による NADP プール サイズ調節の仮説モデル

暗所では、NADK (NADをリン酸化) は不活性になり、さらに、間質の pHもNADK
活性にとって好ましくない。 さらに、間質のpHはNADPP 活性 (NADPを脱リン酸
化) にとって比較的有利。その結果、葉緑体のNADPプール サイズは、暗所では
基礎レベルになる。照射されると、CETは最初にプロトン(H)ポンピングによっ
て、NADK活性には有利(CETからNADKへの矢印)、NADPP活性には不利(CETからNADPP
へのTバー)である間質pHを調整するように駆動され、NADKはさらに調整される。
光化学電子伝達連鎖 (ETC) 依存性の酸化還元修飾によって活性化されます (ETC
から NADK への矢印)。 これらの修飾により、NADから NADPへのリン酸化が
促進され、NADPプール サイズが増加し、LETが優先的に駆動される (見やすくす
るためにLETからNADKへの矢印は省略されている)。 LETとCETはしばらく明るい
条件下で駆動し続け、十分な量の電子プールが間質に蓄えられるようにする (LET
からNADP酸化還元変換への矢印)。一時的なシェーディングの下では、LETが停止
し、PSIIからの電子伝達の欠如により光化学によってNADPHが生成されなくなり
、NADPレベルが増加。 間質内の電子プールの還流は数分間 CETを駆動し続け、
間質の pHをNADPP活性にとって好ましくない状態に保つ。 間質の電子プールが
枯渇すると、CETも停止し、間質のpHが NADPP活性に有利になり、NADPが NAD
に変換され、NADPプールのサイズが徐々に減少する。
【展望】
これまでに、光合成活性の改善や最適化のためのシミュレーションでは、電子受
容体の変動はあまり考慮されてなかった。受容体の量は、実験室内の光環境によ
り変動するため、適切な評価が困難であったが、変動する光環境に応答した受容
体増減の仕組みが解明され、光合成出力の改善によるバイオマス増産のみならず
有害植物の成長抑制に資する新たな農薬開発にもつながる。また、光合成活性の
制御要因の一つとするこのように、受容体量調節仕組みに関与する酵素遺伝子な
ど、未だ明らかになっていない構成要素を同定することは、新たな植物科学理論
に基づく成長制御技術の開発に寄与すると考えられるため、さらに詳しく研究を
進めてその機能を解明する
【関係技術情報】
掲載誌:Nature Communications 
原 題:Adjustment of light-responsive NADP dynamics in chloroplasts by stromal pH 
D O I  :10.1038/s41467-023-42995-9 

※将来的には、光合成成長自動制御及び遺伝子編集(農薬)技術への展開による
惑星制御科工学(農林水産業振興)への貢献に繋がるものと考える。


ステレオビジョンで農作物サイズを屋外計測
11月9日、岡山大学発ベンチャーのビジュアルサーボは,AI手法を用いた画像処理
方法により,野菜や果物などの任意不定形対象物でも,位置・寸法の計測を可能
にする手法を開発。
【概要】
空間計測センサーとして市販され,一般に用いられている画像情報と距離情報を
組み合わせたRGB‐D画像を用いる空間計測手法は,距離計測に赤外線が用いられ
ている。太陽光に含まれる赤外線が外乱として働くためRGB‐D画像を用いた屋外
での計測は,難しいという問題があった。岡山大学発ベンチャーのビジュアルサ
ーボは,ステレオビジョンを用いた空間計測について研究を続け,任意対象物の
3次元位置姿勢を計測するコンピュータビジョン構築に成功し,泳ぐ魚の寸法計
測などを行なってきた。この画像計測方法は,左右複眼カメラに同じ対象物が写
っていれば,その位置・姿勢・寸法の計測が可能であるという特長があり,その
アイデアは,ビジュアルサーボ所有の特許で権利化されている。今回,AI手法を
用いた画像処理方法により,野菜や果物などの任意不定形対象物でも,位置・寸
法の計測が可能となった。農業用ロボットは,屋外の光環境が変化しても計測結
果が変化しない計測特性が求められる。性能を確認するために野菜,果物,日用
品を16種用意し,寸法を実測すると共に,屋外の日向(照度約52,000 lx)および
日陰(1,530 lx)の光環境で対象物の寸法と3次元位置を計測し,日向と日陰の照
度差に影響されない位置・寸法の計測を実証した。上記の結果より,果物・野菜・
日用品の寸法と3次元位置を屋外で非接触での空間計測が可能なこと,寸法計測
結果は,屋外の日向・日陰の照度環境に影響されないこと,補正後の寸法平均誤
差は1mm以下,標準偏差は3mm程度であることが分かった。研究グループは,収穫
時に果物の熟度などの計測・寸法に基づく仕分け作業なども可能な多機能ロボッ
トの開発を進め,2023年度中に農場でのフィールドテストを開始する予定


脚注1.時変光環境外乱
光の入射角度や照度などの光環境の時間的変化は、画像処理装置への入力画像を
変化させる。この入力画像の変化は、コンピュータ内に予め記憶された基準画像
と入力画像の差を乖離させるため画像処理結果に誤差を生じさせる。また基準画
像と同程度の光環境で画像が撮像されることを前提とした画像処理プログラムの
正常動作に悪影響を与え、外乱として作用する。このような光環境の時間的変化
を、時変光環境外乱と呼ぶ。
【関連特許】(審査請求前)
1.特開2023-152481 突起状面マーカー、並びに該突起状面マーカーを用いた水
 中ロボットの誘導システム 株式会社ビジュアルサーボ
【要約】
下図2のごとく、面マーカーMは、複数のコーン体3と、該コーン体3をその上
面に固定・載置する略平面状の格子体4を備え、コーン体3は、その頂点が上方
側に、その底面が格子体4側に位置するように、格子体4に固定・載置され、か
つ格子体4上における複数コーン体3の配列は、上面視で不規則なランダム状に
設定されるとともに、コーン体3は、その上下方向に貫通する複数の貫通穴7を
有する略面状に構成され、面マーカーMが設置される位置は、少なくとも地球基
準の緯度及び経度に相当する位置情報と関連付けられている、自律型水中ロボット
を目標地点までスムーズかつ効果的に案内・誘導することに寄与し得る、ロボッ
ト航走位置に関する位置情報を提供する優れた面マーカーを提供することを目的
とする。 
【符号の説明】
1・・・ドッキング装置 2・・・発光立体3次元マーカー(ドッキング用)
3・・・コーン体(錐状突起体) 4・・・格子体(基台部) 7・・・貫通穴
8・・・支持フレーム体 11・・・下方複眼カメラ(撮像手段) 13・・・前
後進・旋回スラスター(航走推進手段) 15・・・コンピュータ(制御手段)
40・・・ハニカム体(基台部) S・・・誘導システム V・・・自律型水中ロ
ボット M、M1~Mn・・・突起状面マーカー T・・・充電ステーション(ド
ッキング対象物)
------------------------------------------------------------------------



マルクス解体 プロメテウスの夢とその先
斎藤幸平/ 竹田真登
講談社(2023/10発売)

 資本主義をこえていく、新時代のグランドセオリー! 
 人新世から希望の未来へ向かうための理論。 英国で出版された話題書
  Marx in the Anthropocene(ケンブリッジ大学出版、2023年)、待望の日本語
 版! いまや多くの問題を引き起こしている資本主義への処方箋として、斎
 藤幸平はマルクスという古典からこれからの社会に必要な理論を提示してき
 た。本書は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論から、プロメテウス主義
 の批判、未来の希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語るこれまで
 の研究の集大成であり、「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる
 新たな議論を提起する書。

目次
第一部 マルクスの環境思想とその忘却
第一章 マルクスの物質代謝論
第二章 マルクスとエンゲルスと環境思想
第三章 ルカーチの物質代謝論と人新世の一元論批判
第二部 人新世の生産力批判
第四章 一元論と自然の非同一性
第五章 ユートピア社会主義の再来と資本の生産力
第三部 脱成長コミュニズムへ
第六章 マルクスと脱成長コミュニズム 
MEGAと1868年以降の大転換
第七章 脱成長コミュニズムと富の潤沢さ
------------------------------------------------------------------------  
 
本日は先回のつづき。
     まえがき
   しかし、一元論は失敗したプロメテウス主義を人新世に蘇らせ、自然へのさ
 らなる介入を正当化することになりかねない。このような「地球構築主義 ge-
    
oconstructivism」のアプローチは、人新世においてはすでに自然に対する人間
 の介入が多くなり過ぎていると主張する(Ncyray: 2019)
。それゆえ、環境破
  壊を恐れて介入を止めようとする訴えは無責任であり、より酷い大惨事を招
  くというのだ。地球構築主義によれば、人間の解放につながるかはともかく、
  人類生存の唯一の道は、惑星全体をさらに徹底的に改変することによる地球
  のスチュワードシップしかないという。この新しいプロメテウス主義は、ポ
  スト資本主義の未来像を刷新しようとするマルクス主義者たちにも影響を与
  えている(Mason 2015; Smicek and Williams 2016; Bastani 2019)。
そこで本書の
 第二部では、マルクスの「方法論的二元論」と「物質代謝の亀裂」を擁護し
 ながら、入新世におけるさまざまな一元論とプロメテウス主義に応答してい
 きたい。
  現代の一元論とプロメテウス主義の理論的限界を批判的に検討したうえで、
 本書の第三部では晩期マルクスのポスト資本主義像をエコロジカルな視点か
 ら再検討していく。MEGA研究によって新たに浮かび上がってくるのは、
 マルクスが1868年以降、自然科学、人文科学、社会科学の学際的研究を
 通じて、理論的な大転換----アルチュセール的な意味での「認識論的切断」
 Ahthusser 2005)----を成し遂げたという事実だ。マルクスが最終的に獲得し
 たポスト資本主義像は、「脱成長コミュニズム」と呼ぶべきものなのである。
 脱成長コミュニズムの理念は、「資本主義リアリズム」を克服することを可
 能にしてくれる。晩期マルクスに立ち返ることでこそ、人新世における未来
 社会の積極的な展望を提示することができるようになるのだ。これこそまさ
 に、今日私たちがマルクスを読むべき理由である。
  しかし、もし実際にマルクスが脱成長コミュニズムを提唱していたのなら、
 なぜこれまで誰も指摘しなかったのか、そしてなぜ、マルクス主義は生産力
 主義的な社会主義像を支持してきたのだろうか、と疑問に思うかもしれない。
 だが、実はその理由は簡単で、「マルクスのエコロジー」が長い間無視され
 てきたからである。
  したがって、マルクスの脱成長コミュニズムを再構成するためには、まず
 マルクスのエコロジーの周緑化の歴史を系譜学的にさかのぼる必要かある。
  もちろん、この系譜はマルクス自身から始まる。第一章では、MEGAで
 公刊された自然科学に開するマルクスのノートを参照しつつ、「物質代謝の
 亀裂」の三つの次元と技術によって媒介される地球規模での時間的・空間的
 「転嫁」を展開していく。資本蓄積にとって自然の収奪が必須の前提だとい
 う洞察は、その後、ローザ・ルクセンブルクによって深められる。彼女は『
 資本蓄積論』において、資本主義の周縁部における人々や環境に対する破壊
 的作用を物質代謝論を用いて問題視していたたのだ。
  とはいえ、ルクセンブルクは「物質代謝」という概念を取り上げる際、そ
 れをマルクス批判として定式化したのだった。彼女の批判は、マルクスの物
 質代謝論が当時でさえも十分に正しく理解されていなかったことを示唆して
 いる。このような誤解は、マルクスの著作の多くが未公刊であり、ルクセン
 ブルクもそれらを利用できなかったため、仕方のない側面もある。しかし、
 それだけが原因ではなく、労働者階級のための体系的な世界観として「マル
 クス主義」を確立しようとしたエングルスのマルクス解釈に端を発している
 のだ。
  そこで、第二章では、マルクスの物質代謝概念がどのように歪められてい
 ったかを辿るために、エングルスの編集した『資本論』とMEGAで公刊さ
 れたマルクスの経済学草稿、および抜粋ノートとを比較し、エングルスがマ
 ルクスの物質代謝論をどのように受容したかを明らかにしていく。この考察
 によって、マルクスとエングルスの間にはとりわけ物質代謝の扱いに関して、
 微妙ではあるが、しかし理論的には決定的となる相違かおることが判明する
 だろう。そして、まさにこの違いのせいで、エングルスはマルクスの環境思
 想を正しく理解することができず、物質代謝の概念は、マルクスの死後に周
 縁化されることになってしまったのだ。
  こうした周緑化の過程は、1920年代の西欧マルクス主義の理論的展開に
 もはっきりと記録されている。よく知られているように、西欧マルクス主義
 は、マルクスとエングルスを厳密に区別して両者の理論的差異を強調してい
 た。その際には、エングルスが弁証法を自然の領域へ不合理に拡張したこと
 が、ソ連正統派マルクス主義の機械論的社会分析の原因であると非難された
 のである。しかし、エングルスに対する厳しい批判にもかかわらず、西欧マ
 ルクス主義者たちは、マルクスが自然についてほとんど論じていないという
 本的な前提をソ連正統派マルクス主義と共有していた。まさにそのような思
 い込みによって、西欧マルクス主義はマルクスの物質代謝論と環境思想の重
 要性を無視する結果になってしまったのである。
  けれども第三章で論じるように、西欧マルクス主義の創始者であるルカー
 チは、西欧マルクス主義の一面性を反省し、物質代謝の概念に着目した例外
 的な人物であった。たしかに『歴史と階級意識』のなかで、ルカーチはエン
 グルスの自然の取り扱いを批判し、西欧マルクス主義に絶大な影響を与えた。
 だが、ルカーチは『追従主義と弁証法』という1925-26年に書かれた
 末発表草稿において自然の問題に取り組み、それを物質代謝論として展開し
 たのである。この草稿は長い間知られていなかったため、『歴史と階級意識
 』におけるルカーチの意図は正しく理解されず、理論的一貫性の欠如や曖昧
 さを繰り返し批判されてきた。しかし『追従主義と弁証法』を読めば、ルカ
 ーチの人間と自然の関係の取り扱いには、社会的なものと自然的なものを区
 別するマルクスの「方法論的二元論」との連続性かあることが判明する。ル
 カーチの物質代謝論は「形態」と「素材」が織りなす「非デカルト的」二元
 論であり、それは、現代の一元論とは一線を圃す資本主義批判を可能にする。
 にもかかわらず、ルカーチの物質代謝論はソ連正統派マルクス主義と西欧マ
 ルクス主義の双方によって拒絶され、ここでも「マルクスのエコロジー」は
 周縁化されてしまったのである。その結果マルクスの方法論的二元論が今日
 でも正しく理解されていないため、物質代謝の亀裂という概念は依然として
 さまざまな批判に晒され続けている。第四章では、これらの批判に応答する
 ために、ジェイソン・w・ムーアの「世界-生態 world-ecology」や、二-ル
 ・スミスとノエル・カストリーの「自然の生産」に代表されるマルクス主義
 版の一元論を取り上げる。両者のアプローチには明確な理論上の違いはある
 ものの、これらの一元論的な資本主義理解が示すのは、マルクスの方法論に
 関する誤った理解が、生産力主義という問題含みの帰結を生み出すというこ
 とである。
  第五章で論じるように、マルクスの方法論に対する無理解は、近年のプロ
 メテウス主義の復権にもつながっている。現代のユートピア・マルクス主義
 者は、マルクスの『経済学批判要綱』を引き合いに出して、情報通信技術(
 例えば人工知能(AI)、シェアリング・エコノミー、モノのインターネット
 (IIT))と完全自動化を組み合わせた「第三次産業革命」(Rifkin 2014
  によって、人間は労働の苦役から解放され、資本主義の市場メカニズムを廃
  棄できると主張する。けれども、技術が約束する夢のような未来社会を吹聴
  しながらも、その本質は、古いプロメテウス主義の反復に過ぎない。この根
  強いプロメテウス主義と決別するためには、1850年代に書かれた『要綱
  』ではなく、1860年代になってから使われるようになった「実質的包摂
  」 概念に着目する必要がある。この概念に着目することで明らかになるの
 は、資本主義のもとでの技術発展に対するマルクスの見方に大きな転換があ
 ったという事実である。そのことがはっきり現れているのが、『資本論』に
 おける彼の「資本の生産力」に対する批判である。この批判によってマルク
 スは、資本主義における生産力の発展が、必ずしもポスト資本主義への物質
 的基盤を準備するものではないとはっきりと認識するようになったのである。
  しかし、生産力の将来的発展に対する楽観的な支持を撤回したことによっ
 て、マルクスは新しい困難に直面することになった。生産力の増大が資本主
 義のもとで果たす進歩的な役割に疑問を呈し始めると、マルクスは必然的に
 自らのそれまでの進歩的な歴史観に異を唱えざるをえなくなったからだ。第
 六章では、晩期マルクスにおけるこの自己批判の過程を再構築していく。こ
 の理論的危機に着目することによってのみ、なぜマルクスが『資本論』の続
 刊を完成させようとするなかで、自然科学と前資本主義社会を同時に研究し
 なければならなかったかが明らかになるだろう。しかも、これら2つの領域
 を集中的に研究することで、ついにマルクスは1868年以降に、もう1つ
 の決定的なづフダイムシフトを経験することになる。1881年にマルクス
 がヴェラ・ザスーリチに送った手紙はこうした観点から再解釈されなくては
 ならない。この手紙には彼の非生産力主義・非ヨーロッパ中心主義の未来社
 会像が刻印されており、それは、「脱成長コミュニズム」として特微づけら
 れるべきものなのである。
  多くの人は脱成長コミュニズムという本書の結論に驚くに違いない。これ
 まで、マルクスのポスト資本主義の展望をこのような形で提示した人物は誰
 もいなかったからだ。しかも、脱成長とマルクス主義は長いあいだ敵対関係
 にあったのでなおさらだ。しかし、もし晩期マルクスがラディカルに平等で
 持続可能な社会を求めて、定常経済や脱成長の理念を受け入れたとしたら、
 両者の間には新たな対話の空間が生まれる。そのような新たな対話を実りあ
 る形で始めるために、最終章では『資本論』や他の著作を脱成長の観点から
 再検討していく。つまり、第七章では、『資本論』を越えて先に進むための
 試みとして『資本論』を再解釈していく。そうすることで、これまでは生産
 力主義の表明だと見なされてきた箇所についても、まったく異なった新しい
 解釈を提示できるようになるだろう。とりわけ『ゴータ綱領批判』における
 「協働的富 genossenschamicher Reichtum」の持つ「ラディカルな潤沢さ」は、
 ポスト稀少性経済における非消費主義的な新しい生活様式を示唆しており、
 それこそが人類世における地球規模の環境危機を前にして、安全かつ公正な
 社会を実現させるコミュニズムの基盤になるのである。
                            この項つづく

 風蕭々と碧い時

1978年8月5日 たそがれマイ・ラブ 
大橋純子(1950.4.26~2023.11.9)
作詞:阿久悠、作曲・編曲:筒美京平 



●  今夜の寸評: スウィングとシャッフル
スイングは、えばよく使われるのはジャズ。拍表だけでなく拍裏にもアクセント
をつけ演奏したり、タイミングをずらして前ノリ、後ノリを加える。跳ねるシ
ャッフルよりもややおとなしく、音を切らずに滑らかに繋いでノリを生み出す
イメージ。

シャッフルのリズムといえば3連符を均等配置した単純なもの。アメリカのブル
ース、カントリーをはじめ、なんと皆さんに馴染みのある日本の民謡・童謡で
も普通に使われる。拍表にアクセントを付けて縦に跳ねるように歯切れよく演
奏する、楽しい印象の曲が簡単に作れるのが特徴。








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超越数と世界の終わり

2023年11月14日 | 環境リスク本位制

    

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。



パンサー尾形貴弘が数学の難問を大真面目に解説する「笑わない数学」。NHK
公式HPのシリーズが面白い。今回の
テーマは「超越数」。ウルトラスーパーすご
い数って一体どんな数? 21世紀の最新研究も登場! 今回は数の分類をめぐる
冒険。学校で教わる分類と言えば、無理数とかマイナスの数とか虚数とか…。と
ころが数学者たちは今も夢中になって数を分類し続けているだけでなく、人類は
いまだに全く数のことを理解できていない!と語る。中でも巨大な謎を秘めてい
るのは「超越数」。ウルトラスーパーすごい数とは何か? 「円周率パイは超越
数である」という2千年の難問をパンサー尾形が証明!「数の分類」
に隠された
魅惑に迫る!

尾形 貴弘(おがた たかひろ、1977年〈昭和52年〉4月27日 - )は、日本のお笑
い芸人、YouTuberであり、お笑いトリオ・パンサーのメンバー。アイドルグルー
プ吉本坂46のメンバー。宮城県桃生郡鳴瀬町野蒜(現・東松島市)出身。
 中央
大学文学部(東京都)卒業。

ところで、数学と料理レシピの問題解決に「フェルマーの定理」が関係有るなん
て考えもしなかったがこれも面白そうだ(見逃しもあるが)。人気漫画のドラマ
化なんだが、読んだことともないが、とかく、「アルゴリズム万能時代?」の所
為もあり数学がブームなのかもしれない。


『フェルマーの料理』 



時は2393年、世界はかつての面影をほとんど残していない――。本書は、世
界崩壊の300年後からいまの世界を俯瞰するという斬新なアプローチを採用す
ることで、従来のノンフィクションの手法では十分に語ることのできなかった、
あまりにも明白な「世界の危険な現状」を白日の下にさらすものである。

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1.5℃の炭素収支は2029年までに枯渇する
地球の平均気温の1.5℃上昇を防ぐための炭素収支は現在、以前の推計の半分に
過ぎず、二酸化炭素250ギガトン未満、または世界の年間排出量の約6年分に相当
する。 地球規模の排出量の新たな計算に基づくと、世界が化石燃料から移行す
るまでの時間は、これまで考えられていたよりもさらに短い。
------------------------------------------------------------------------
インペリアル・カレッジ・ロンドンのチームが主導した新たな研究によると、二
酸化炭素(CO2)排出量を大幅かつ急速に削減しなければ、世界は2030年までに
1.5℃の温暖化が固定化する可能性が50%あるという。Nature Climate Change に掲
載されたこの研究は、世界の炭素収支に関する最新かつ包括的な分析である。



図1.炭素収支の計算方法
a、参考文献に基づく、さまざまな要因が残りの炭素収支にどのように寄与するか
 を示す概略図。
b. 2010 年から 2019 年以降の CO2 が正味ゼロに達したときの、AR6データベー
 ス内の各シナリオの最新の MAGICC、FaIR、およびこれらの値の平均による温暖
 化への非CO2に寄与。左上のバーは、100 GtCO2 から予想される温暖化の中央値
 を示す。
指定された分位点への線形近似と、平均化されたデータ ポイントへの QRW近似の
分位点の両方をプロット。

炭素収支は、地球温暖化を一定の温度制限以下に抑えながら安全に排出できるCO2
排出量を定義。2015年に195カ国が採択したパリ協定は、世界の気温上昇を産業革
命前と比べて2℃未満に抑え、1.5℃に抑える努力追求を目指す。 残りの炭素予算
は、通常、これらの目標に対する進捗状況を評価するために使用される。 新しい
研究では、温暖化を1.5℃に抑える確率が50%の場合、炭素収支には現在247ギガ
トンのCO2が残っていると推定。これは、CO2排出量が年間約 41 ギガトンの2023
年のレベルに留まる、炭素収支は 2029年頃までに枯渇し、地球は産業革命前の
レベルより 1.5 ℃上昇を意味する。修正された予算は現在、2020年のレベルで
ある494ギガトンの半分に過ぎない。研究者らは、この変化の原因として、地球
規模の温室効果ガス排出量の継続的な増加や、エアロゾルの冷却効果の測定値の
改善など、いくつかの要因があると考えている。 後者は、2020年に導入された
船舶燃料に使用される硫黄の上限規制など、大気環境の改善と排出量削減のため
の対策により世界的に減少している。2℃未満に抑えるための予算は1,220ギガト
ンだが、2040年代後半までに現在の傾向では使い果たされる可能性がある。


図 2: 炭素収支に対するモデルとシナリオファミリーの影響。
a) 1.5℃の炭素収支。 b) 2℃の炭素収支。
AR6 データベースのシナリオを使用して、同じ SSPの同じモデルからのシナリオ
間を補間することにより、温暖化のピーク時の非CO2温暖化を推定 (すべてのシナ
リオ間を補間するすべての AR6を除く)。 a、IMAGE 3.0.1 シナリオの非CO2温暖
化に対するSSPファミリの影響 (SSPの完全なセットを備えた唯一のモデル)。 b.
少なくとも3つのシナリオがあるモデルのさまざまなモデルおよびシナリオに対す
る 1.5℃の予算。 すべてのAR6 シナリオは、同様に、すべての AR6シナリオ間の
非 CO2温暖化を補間。 箱ひげ図は中央値と25~75パーセンタイルの範囲を示す。
ひげは 10~90パーセンタイル値を示し、SSP/モデルグループごとに7ポイントが
表示。
一般に、シナリオは地球温暖化を一定の限界以下に抑えるように設計する。この
ようなシナリオは、すべてのGHG排出量を制限することを目的としており、多くの
場合、すべてのGHGに CO2換算価格を適用することによりモデル化される。したが
って、直観的には、総温暖化と非CO2GHGによる温暖化の間には単調な関係がある
と予想されるが、農業などの一部の活動では、CO2以外のGHGを完全に除去するに
は十分な緩和策が特定されず、CO2以外のGHGをゼロに削減するには明確な限界が
あることが特定されている。エアロゾル強制力は地球を冷却し、一般に CO2排出
量と同様に減少するが、これも予想される相関の強さを減少させる。通常、この
非 CO2 温暖化の下限は、温暖化を 2.0℃以下の制限経路が達成されており、温
暖化をさらに低いレベルに制限することを目指しても、それ以上顕著に低下しな
い。この非CO2排出量の下限は、CO2排出量が正味ゼロに達する頃に予想されるCO2
以外の温暖化を大幅に決定する。重要なのは、この最小床レベルは、モデル間お
よびモデル構成間の両方で大幅に異なる可能性がある。たとえば、将来の社会経
済的発展に関する仮定、モデルでどのような緩和オプションが可能か、または土
地の配置方法などに応じて異なる。土地システムがどのように扱われるかシナリ
オへの適合データにおける17~83%の不確実性範囲は、わずか約100GtCO2の予算
変化に対応するが、図 1bに見られるように、多くの個々のシナリオはこの範囲の
数倍外側にある。また、RCB に対するモデルと SSP シナリオ ファミリの影響も
調査します (図 2b)。 SR1.5 データベースの同様のプロットは、補足図 2 にあ
る。結果は組み合わせごとに明らかに異なるが、明確な傾向は現れず、AR6データ
ベース内のいくつかのモデルまたはシナリオファミリの過剰表現が体系的にバイ
アスを与える可能性があるという懸念を和らげる。RCBの計算。 この懸念は、分
布が大きく異なる AR6データベースとSR1.5 データベース間の変更による影響が
小さいことによっても緩和される (1.5℃のバジェットの50% では 1%未満の変
化、2℃では6%の変化sp;表 2)。シナリオのAR6データベースのシナリオを使用す
ると、さまざまな単一モデルと SSPの組み合わせで計算された 50% 1.5 ℃ バジ
ェット間の標準偏差が約 120GtCO2である。 すべてのモデルと SSP の組み合わ
せにおける値の範囲は、490 GtCO2から最小値の 80GtCO2。 SR1.5 データベース
で利用可能なシナリオで同じ分析を実行すると、同様の値が得られる。これは、
非CO2排出量の削減がどの程度成功するかに応じて、1.5℃のRCBが約 2倍変化す
る可能性があり、より正確なRC の推定には、正味ゼロへの非CO2経路を条件とす
る必要があることを強調している。同様に、一般的な中央推定値の代わりにこの
種の条件付きRCBを比較に使用すると、経路の地球温暖化パフォーマンスを評価
するための RCBの使用をより正確にできる。

非CO2温暖化のタイミング
RCBは、年間正味CO2排出量がゼロになるまでの累積CO2排出量として適切に定義
されるが、実質的にすべての経路において、正味ゼロに達する主要な GHG はCO2
だけです。他の長寿命 GHG の残留排出量は、地球が正味ゼロに達した後も温暖
化を続ける可能性があることを意味する。実際には、シナリオ データベースで
CO2正味ゼロに達するほとんどのシナリオは、CO2排出量が正味マイナスに達し、
これらのマイナス排出はすぐに他の要因による温暖化を打ち消す。 さらに、こ
の研究で使用された両方のエミュレータは、わずかに負のZECを持っている(IPCC
AR 評価に合わせて調整されているにもかかわらず、ZEC の評価値はゼロに近いが、
符号の信頼度は低いと報告されている。通常、エミュレーターのこの負のZECによ
り、今世紀末までのネットゼロシナリオにおける中央値気温の上昇が防止される。
これらの事実は、CO2以外の温暖化をいつ測定すべきかという問題を解決するもの
ではない。 非CO2温暖化のデフォルトの定義は、最近の IPCC RCB 推定と一致し
て、CO2排出量が正味ゼロになった時点での温暖化への非CO2寄与である。これに
は、CO2以外の温暖化を判断するために使用される時間を、エミュレータの温度
応答の時間的変化から切り離すという利点がある。これにより、たとえば、エミ
ュレータの負の ZECの影響が軽減される。ただし、ピーク温度時の CO2 以外の
寄与を推定していないため、特定の温度を超えないようにするためのタイミング
の選択は適切でない。 したがって、この仮定のバリエーションを検討。詳細は「
方法」で説明し、いくつかのシナリオについて図3 にプロットした。いくつかの
シナリオでは、異なるアプローチで非常に似た結果が得られるが、他のシナリオ
では、結果が 0.1℃以上異なる可能性があることがわかった。考慮できる代替ア
プローチには、モデルで報告されたネットゼロ日(排出量が最近の排出量と一致
するように調整される前のネットゼロ日)の時点での非 CO2 温暖化、次の時点
での非 CO2温暖化の可能性の最大値などがある。21世紀のあらゆる時点と、最高
総温度における非CO の温暖化。これらの測定値間の変更の影響を表 2で調査。
ほとんどの経路は正味ゼロに到達しないため、最初の 2つのアプローチの計算に
は寄与しない。これらのシナリオは 21世紀中にピーク温度に達せず、明確に定
義されたCB がないため、他のアプローチからも除外すると一般に結果が改善さ
れる。

図3 各エミュレータにおける時間の経過に伴う総CO2温暖化と非CO2温暖化の関係
a、MAGICC、 b、FaIR、 AR6 のさまざまなモデルからの 5つの経路は、さまざま
な経路で正味ゼロに到達するシナリオのタイプを代表するもので、CO2以外の温暖
化をいつ取るかについてのさまざまな定義が結果にどのような影響を与えるかを
示すマーカーとともに強調表示されている。同じシナリオが両方のプロットで同
じ色で強調表示される。実際のネットゼロは最終排出量データのネットゼロを指
すが、元のネットゼロは調和前のシナリオのもの。
     
AR6 WG1結果の推奨比較
AR6 WG1報告書から推奨アプローチに更新されたより最近の排出量が含まれる RCB
係数は、次のように要約できる
。気候エミュレータMAGICCのバージョンが更新さ
れ、FaIRからの計算が組み込まれた。シナリオのデータベースが SR1.5 から AR6
に変更された。非CO2傾向は、線形傾向の代わりに QRWを使用して検出された。
また、非CO2温暖化は、正味ゼロの時点ではなく、正味ゼロに達するシナリオか
らの総温暖化のピーク時に取得される。図4に見られるように、最近の排出、
MAGICC の再校正、および FaIR の追加が最も大きな影響を及ぼした。推奨予
算と以前の予算の差は 2℃と小さく、気温が 2.2℃を超えると、より高い温暖化
度に対する更新されたRCBは大きくなる。 さまざまな MAGICC および FaIR
ージョンの予算の図を補足図 1に示す。さまざまなエミュレータを含めることで、
CO2以外の仮定を明示するのと同様に、推定の堅牢性が向上。 総温暖化の関数と
して非CO2温暖化を推定するために非線形関係を適用すると、非CO2温暖化の時間
の選択とシナリオのデータベースの影響が少なくなる。

図4 計算の各修正による炭素収支の変化のプロット図
a、RCB は 50% の確率で 1.5 ℃。 b、50%の確率で2℃のRCB。 c、温度範囲の
RCB (WG1 と更新された予算のみを表示)。 不確実性区間は、CO2温暖化要因の
不確実性分布を考慮した 33 パーセンタイルと 66 パーセンタイルの予算を示す。
デフォルトのアップデートは、QRW を使用するまでの変更に対応している。aと
bでは、明るい青は各ステップの予算の増加を表し赤は予算の減少を表す。

これらすべての変更を加えた後、2022 年以降に開始される最適な (50%) RCB 推
定値は、温暖化を 1.5℃に制限するための RCBとして 250 GtCO2 (CO2 の影響の
不確実性から 17 ~ 83% の範囲: -170 ~ 840 GtCO2) となります。 非 CO2 強
制のモデル化された影響における同じ不確実性により、160 ~ 280 GtCO2 の範囲
が得られる。 これらの不確実性を、分位数に適合する一般化された極値関数(方
法で説明) を使用して組み合わせることができ、その結果、-200 ~ 830 GtCO2
の範囲が得られる。 CO2 以外の不確実性に関する偏りにより、両方の制限が低
下することに要注意。 2 ℃の場合、1,220 GtCO2(CO2からの650〜2,270 GtCO2、
CO2以外の不確実性を含むと600〜2,240GtCO2)になる。 66% または 90% の確率
で温暖化を 2℃に制限する場合、RCB はそれぞれ 940 および 500 GtCO2 と推定
される。 2022年に排出される 40 GtCO2は、温暖化を 2℃に抑える可能性がそれ
ぞれ 66% または 90% の確率で現在の CO2排出量の23年と12年に、50%の確率で
1.5 の確率で 6年間の CO2 排出にほぼ相当。これは、ネットゼロへの直線的な
経路に換算すると、2070年、2050年、2035年頃に世界のCO2 排出量がネットゼロ
に達することを意味する。
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インペリアル・カレッジ・ロンドンの環境政策センターの研究員であり、
この研
究の筆頭著者であるロビン・ランボル博士は、「我々の発見は、我々がすでに知
っていることを裏付けるものだ。気温上昇を1.5℃以下に抑えるのに、私たちはほ
とんど十分な努力をしていないということだ」と述べた。「現在、残りの予算は
非常に少ないため、世界に対する私たちの理解が少し変わるだけで、予算もそれ
に比例して大きく変化する可能性があります。しかし、推定によると、現在のレ
ベルでの排出量は10年未満です。排出量削減が進んでいないということは、排出
量削減が進んでいないということを意味します」 温暖化を安全なレベルに保つ限
界が急速に閉まりつつあることを、私たちはますます確信できるようになった。」
二酸化炭素以外のガスによる温暖化や、モデルでは考慮されていない排出による
進行中の影響など、他の要因の影響により、残りの炭素収支の計算には多くの不
確実性が存在する。この新しい研究では、更新されたデータセットが使用され、
以前の研究と比較して気候モデリングが改善され、これらの不確実性が特徴付け
られ、残りの炭素収支推定の信頼性が高まりました。 ランボル博士は、「温暖
化が少しでも進むと、人々と生態系の生活は困難になる」と述べた。 「この研
究は科学界からの新たな警告だ。これからは政府が行動するかどうかにかかって
いる。」 この問題は今日、これまで以上に重要になっています。 今年は記録が
始まって以来最も暑い年となる見込みで、最新のエルニーニョ現象が進行してい
るため、世界の平均気温上昇は少なくとも一時的にすでに1.5℃を超えている可
能性がある。 2030 年代、あるいはそれより早く、このレベルの気温上昇が毎年
標準になる可能性があります。 残念なことに、世界の指導者たちは危機感をほ
とんど、あるいはまったく持っていないようです。 度重なる行動の誓約にもか
かわらず、彼らは多数の新しい化石燃料プロジェクトを承認し続けている。 例え
ば、バイデン政権はアラスカ州のウィロー・プロジェクトにゴーサインを出した。
このプロジェクトには、最長30年間にわたり3か所で200本の油井を掘削すること
が含まれる。 その総CO2排出量は、新たに約70基の石炭火力発電所を建設するの
に相当する。 一方、リシ・スナック首相率いる英国は最近、最大の未開発油田
を含む100以上の新たな石油・ガス掘削プロジェクトを発表し、物議を醸してい
る。 昨年の政権交代にも関わらず、オーストラリアは100以上の新たな化石燃料
プロジェクトを推進しており、これらを合わせると2030年までに排出量が48億ト
ン増加する可能性がある。 太陽光発電や風力発電、電気自動車、実用規模のバ
ッテリー、その他のクリーンテクノロジーの展開は希望をもたらす。しかし、こ
れらのプロジェクトの急速な進展でさえ、ほぼ確実に遅すぎて1.5℃、おそらく
2℃の上昇を防ぐことはできないだろう。それを超えると、温暖化は壊滅的で制御
不能になり始める可能性がある。

地球に対する人類の影響がますます明らかになっていることは、私たちが生きて
いる異常な時代を思い出させる。解剖学的に現生人類は約20万年前に初めて誕生
し、テクノロジーの面ではほとんど何も持たずに小規模な狩猟採集民の集団とし
て誕生した。それ以来 2,000世紀の間に、私たちの人口は 80億人以上に急増し
た。私たちは地球全体で支配的な種となり、広大な都市を建設し、その活動によ
り陸、海、空、さらには宇宙さえも変えてきました。 影響のほとんどは、人間
の一生のうちに起きたものである。 この世界征服は非常に偉大で成功したもの
だが、皮肉なことに、オーバーシュートが完全に回復することのない一連の危機
を引き起こし、私たちの破滅となるかもしれません。 しかし一方で、これらの
危険は大きなチャンスでもある。 人工知能のパワーとスピードに導かれて産業
と社会を変革するというこの極めて重要な瞬間に私たちが近づく中、今後数十年
は私たちの歴史の中で最も重要なものとなる可能性がある。(via  ”Carbon budget f
or 1.5°C will be exhausted by 2029", Future Timeline. 10th November 2023)
※わたし(たち)は1億年先の話をしているのではない。「今そこにある危機」にある世界
を想定し、問題解決したいと思っているのだ。



マルクス解体 プロメテウスの夢とその先
斎藤幸平/ 竹田真登
講談社(2023/10発売)

 資本主義をこえていく、新時代のグランドセオリー! 
 人新世から希望の未来へ向かうための理論。 英国で出版された話題書
  Marx in the Anthropocene(ケンブリッジ大学出版、2023年)、待望の日本語
 版! いまや多くの問題を引き起こしている資本主義への処方箋として、斎
 藤幸平はマルクスという古典からこれからの社会に必要な理論を提示してき
 た。本書は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論から、プロメテウス主義
 の批判、未来の希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語るこれまで
 の研究の集大成であり、「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる
 新たな議論を提起する書。

目次
第一部 マルクスの環境思想とその忘却
第一章 マルクスの物質代謝論
第二章 マルクスとエンゲルスと環境思想
第三章 ルカーチの物質代謝論と人新世の一元論批判
第二部 人新世の生産力批判
第四章 一元論と自然の非同一性
第五章 ユートピア社会主義の再来と資本の生産力
第三部 脱成長コミュニズムへ
第六章 マルクスと脱成長コミュニズム MEGAと1868年以降の大転換
第七章 脱成長コミュニズムと富の潤沢さ
------------------------------------------------------------------------   
本日は先回のつづき。

    まえがき
    より自由で平等で、さらには持続可能な生活のための想像力と創迫力を育
 もうとする、クラインやピケティらの試みからも刺激を受けながら、本書は
 マルクスの理論を参照して、人新世にふさわしいポスト稀少性社会の姿を提
 示していきたい。もちろんそれは、ソ連型「社会主義」とはまったく異なる、
 新しい未来社会である。人類世という新しい地質学的概念を自然科学を超え
 て、経済学、民主主義、環境正義をめぐる現代の問題と結びつけることで、
 マルクスが構想していたエコロジカルなポスト資本主義の理念を現代に復活
 させることを目指ざすのだ。
  その際、本書のプロジェクトは、Marx-Engels-Gesamtausgabr」(MFGA
 ではじめて刊行された新資料を治用した近年のマルクス研究の成果に依拠し
 ている。とりわけMEGA第Ⅳ部門でマルクスの自然科学に問する研究ノ-
 ートが刊行され、マルクスの環境への関心が従来の想定よりもけるかに広い
 ことが判明してきている。
  これらのノートは長い間研究者によっても無視されてきたが、最近の研究
 では、マルクスは地質学、植物学、農芸化学の研究を通じて、気候変動や天
 然資源の枯湯玉壌養分、化石燃料、森林)、種の絶滅といった資本のさまざ
 まな掠奪行為を分析していたことが示されているのだ(Saito 2017)。
   その結果、マルクスの経済学批判のなかでも環境の領域こそが、人新世に
  おいてマルクスの知的遺産を再生させるための中心領域になっていると言っ
  ても誇張ではない。とりわけマルクスの「物質代謝の亀裂 metabolic rift」と
 いう概念は、現代資本主義が引き起こす環境問題に対する批判に不可欠な概
 念になっている(B.Clark 2002:Clark and York 2005,Longo, Clausen and Clark 20
  15:Holleman 2018):。
そこで本書第一部では、マルクス主義の理論的・方法論
 的基礎として物質代謝論を展開し、環境社会主義の基礎を準備する。その際
 には、マルクスだけではなく、フリードリヒ・エングルス、ローザ・ルクセ
 ンブルク、ルカーチ・ジェルジュ、メサーロシュ・イシュトヴアンといった
 マルクス主義者たちの議論を合わせて取り上げることで、「物質代謝 Stottw-
     echse1/metabolism
」という概念がもつ理論的射程を明らかにしていきたい。
   繰り返せば、このプロジェクトはたんにマルクスの物質代謝概念をより正
  しく理解するだけにとどまらない。「物質代謝の亀裂」という概念の展開に
  取り組む価値があるのは、環境危機に対するアプローチの仕方が異なれば、
  そこから出てくる危機への処方瀋も異なるからである。つまり、特定の理論
  へのコミットメントは実践的帰結を伴うのである。
   だからこそ「物質代謝の亀裂」の概念を批判する形で、人類世における人
  間と自然との関係を把握する「ポストマルクス主義」的な試みが現れてきて
  いる事実は、偶然ではない。その特徴は、哲学的な一元論ヘの傾倒である。
  そして、一元論の支捨者たちは、マルクス主義の「存在論的二元論」(Ca-
    stree 2013:177)が入新世における自然の存在論的地位を適切に理解できてい
  ないと批判する。資本主義が環境全体を徹底的に再構築するため、自然なる
  ものはもはや存在しない。自然は資本主義の発展を通して「生産」されるも
  のになっているというわけだ。そのような状況を前にして、一元論者は存在
 論的二元論を捨て、「ハイブリッド」や「ネットワーク」によって特徹づけ
 られた関係的思考で置き換えることを主張するのである(Moor 2015)。
  しかし、一元論は失敗したプロメテウス主義を入新世に蘇らせ、自然への
 さらなる介入を正当化することになりかねない。このような「地球構築主義
 Geoconstructivism)のアプローチは、入新世においてはすでに自然に対する
  人間の介入が多くなり過ぎていると主張する(ncyrat)。それゆえ、環境破壊を恐れ
  て介入を
止めようとする訴えは無責任であり、より酷い大惨事を招くという
  のだ。地球構築主義によれば、人間の解放につながるかはともかく、人類生
  存の唯一の道は、惑星全体をさらに徹底的に改変することによる地球のスチ
  ュワードシップしかないという。この新しいプロメテウス主義は、ポスト資
  本主義の未来像を刷新しようとするマルクス主義者たちにも影響を与えてい
 る(Mason 2015; Smicek and Williams 2016; Bastani 2019)。そこで本書の第二
 部では、マルクスの「方法論的二元論」と「物質代謝の亀裂」を擁護しなが
 ら、人類世におけるさまざまな一元論とプロメテウス主義に応答していきた
 い。
  現代の一元論とプロメテウス主義の理論的限界を批判的に検討したうえで、
 本書の第三部では晩期マルクスのポスト資本主義像をエコロジカルな視点か
 ら再検討していく。MEGA研究によって新たに浮かび上がってくるのは、
 マルクスが1868年以降、自然科学、人文科学、社会科学の学際的研究を
 通じて、理論的な大転換----アルチュセール的な意昧での「認識論的切断」
 (Althusser 2005)----を成し遂げたという事実だ。

  マルクスが最終的に獲得したポスト資本主義像は、「脱成長コミュニズム」
 と呼ぶべきものなのである。脱成長コミュニズムの理念は、「資本主義リア
 リズム」を克服することを可能にしてくれる。晩期マルクスに立ち返ること
 でこそ、人類世における未来社会の積極的な展望を提示することができるよ
 うになるのだ。これこそまさに、今日私たちがマルクスを読むべき理由であ
 る。しかし、もし実際にマルクスが脱成長コミュニズムを提唱していたのな
 ら、なぜこれまで誰も指摘しなかったのか、そしてなぜ、マルクス主義は生
 産力主義的な社会主義像を支持してきたのだろうか、と疑問に思うかもしれ
 ない。だが、実はその理由は簡単で、「マルクスのエコロジー」が長い間無
 視されてきたからである。  
  したがって、マルクスの脱成長コミュニズムを再構成するためには、まず
 マルクスのエコロジーの周緑化の歴史を系譜学的にさかのぼる必要がある。
 もちろん、この系譜はマルクス自身から始まる。第一章では、MEGAで公
 刊された自然科学に問するマルクスのノートを参照しつつ、「物質代謝の亀
 裂」の三つの次元と技術によって媒介される地球規模での時間的・空間的「
 転嫁」を展開していく。資本蓄積にとって自然の収奪が必須の前提だという
 洞察は、その後、ローザ・ルクセンブルクによって深められる。彼女は『資
 本蓄積論』において、資本主義の周縁部における人々や環境に対する破壊的
 作用を物質代謝論を用いて問題視していたたのだ。  
  とはいえ、ルクセンブルクは「物質代謝」という概念を取り上げる際、そ
 れをマルクス批判として定式化したのだった。彼女の批判は、マルクスの物
 質代謝論が当時でさえも十分に正しく理解されていなかったことを示唆して
 いる。このような誤解は、マルクスの著作の多くが未公刊であり、ルクセン
 ブルクもそれらをの傾倒である。そして、一元論の支持者たちは、マルクス
 主義の「存在論的二元論」(Castree 2013: 177)が入新世における自然の存在
 論的地位を適切に理解できていないと批判する。資本主義が環境全体を徹底
 的に再構築するため、自然なるものはもはや存在しない。自然は資本主義の
 発展を通して「生産」されるものになっているというわけだ。そのような状
 況を前にして、一元論者は存在論的二元論を捨て、「ハイブリッド」や「ネ
 ットワーク」によって特徴づけられた関係的思考で置き換えることを主張す
るのである(Moore 2015)。
   
                             この項つづく

------------------------------------------------------------------------

 風蕭々と碧い時

Kubo and the Two Strings





When you wish upon a star
Makes no difference who you are
Anything your heart desires
Will come to you

lf your heart is in your dream
No request is too extreme
When you wish upon a star
As dreamers do

Fate is kind
She brings to those who love
The sweet fulfillment of
Their secret longing

Like a bolt out of the blue
Fate steps in and sees you through
When you wish upon a star
Your dreams come true

1940年のディズニー映画『ピノキオ』の主題歌。コオロギ「ジミニー・クリケッ
ト」を演ずるクリフ・エドワーズが歌い、オープニングクレジットと最後のシー
ンで流れる。その年のアカデミー賞の作曲賞、歌曲賞を獲得した。この曲はオス
カーを獲得した最初のディズニーソングであり、「小さな世界」「ミッキーマウ
ス・マーチ」と並んでディズニーを象徴する代表的な曲として知られている。な
お、2004年に発表されたアメリカン・フィルム・インスティチュートによるアメ
リカ映画主題歌ベスト100の第7位に入いる。


●  今夜の寸評: 
ブギウギは癖になるの?

ブギ(boogie)とはスウィングまたはシャッフルのリズムによる反復フレーズで
ありブルース、スウィング・ジャズ、ロックンロールなどの音楽で用いられる。
ブギーとも表記される。「8ビート最高の芸術」とも言われ、ビートに習慣性が
あり癖になる点もよく指摘される。 元々ピアノで演奏されたブギウギ(boogie-w
oogie
)スタイルのリズムをギターやダブルベースなどの楽器に適用したもの。ア
ルバート・アモンズ、ミード・ルクス・ルイス、ピート・ジョンソンの "ブギウ
ギ・トリオ"は、ピアノ・トリオとして知られているという。 via Wikipedia


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SDGs事業万博時代 ②

2023年11月12日 | 環境リスク本位制

    

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。



マルクス解体 プロメテウスの夢とその先
斎藤幸平/ 竹田真登
講談社(2023/10発売)

 資本主義をこえていく、新時代のグランドセオリー! 
 人新世から希望の未来へ向かうための理論。 英国で出版された話題書
  Marx in the Anthropocene(ケンブリッジ大学出版、2023年)、待望の日本語
 版! いまや多くの問題を引き起こしている資本主義への処方箋として、斎
 藤幸平はマルクスという古典からこれからの社会に必要な理論を提示してき
 た。本書は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論から、プロメテウス主義
 の批判、未来の希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語るこれまで
 の研究の集大成であり、「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる
 新たな議論を提起する書

目次
第一部 マルクスの環境思想とその忘却
第一章 マルクスの物質代謝論
第二章 マルクスとエンゲルスと環境思想
第三章 ルカーチの物質代謝論と人新世の一元論批判
第二部 人新世の生産力批判
第四章 一元論と自然の非同一性
第五章 ユートピア社会主義の再来と資本の生産力
第三部 脱成長コミュニズムへ
第六章 マルクスと脱成長コミュニズム MEGAと1868年以降の大転換
第七章 脱成長コミュニズムと富の潤沢さ
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    まえがき
    ギリシャ神話の神プロメテウスは、全知全能の神ゼウスの怒りによって火
 が奪われ、自然の猛威や寒さに喘ぐ人類に同情し、ゼウスを欺いて火を盗み、
 人間に与えた。はじめ、火を手に入れた人類は自然の力に打ち克ち、プロメ
 テウスの願い通りに、技術や文明を発展させていく。ところが、豊かになっ
 ていく過程で人類は、火を使って兵器を作り、戦争で殺し合いを始めてしま
 う。さらなるゼウスの怒りを買ったプロメテウスは、罰として、コーカサス
 山の岩場に釘づけされ、半永久的に鷲に肝臓をついばまれ続けることになる。
  兵器だけではない。人類は「プロメテウスの火」の力で、原子力のような
 自分達では制御できないリスクの大きい科学技術を発展させ、さらには大量
 の化石燃料を燃やすことで、地球そのものを気候変動の影響で燃やし尽くそ
 うとしている。人類の擁護者であるプロメテウスの「夢」は、「自然支配」
 という人類の「夢」に転化した。だがまさにその夢が私たちの暮らす文明の
 危機を引き起こしているのだ。その結果、ソ連崩壊後にフランシス・フクヤ
 マが宣言した「歴史の終わり」(Fukuyama 1992)は 当時はまったく想定さ
  れていなかったような終焉、つまり人類史の終わりを迎えようとしているの
  である。
   実際、新自由主義とグローバリゼーションの席巻は、第二次世界大戦終結
  以降の人間活動による地球環境に対する負荷の急激な増大を加速させ----す
 べての主要な社会経済および地球システムにおける指標がホッケースティッ
 クの ような上昇曲線を描く「大加速(Grate Acceleration)
McNeil and Engel
  kc 2016)の時代だ----、文明の物質的基盤を破壊しようとしている。現在の
 パンデミック、戦争、気候崩壊はすべてソ速崩壊後の「歴史の終わり」と資
 本主義のグローバル化かもたらした事態であり、民主主義、資本主義、生態
 系を慢性的な複合危機に陥れているのだ。
  現在の生活様式が人類の破滅に向かっているという現実はもはや無視でき
 ないものになっているが、資本主義は終わりなき過剰生産と過剰消費に対す
 る代替案を提供することはできていない。実際パリ協定が目指す1・5℃目
 標を達成しようとするなら、社会のほぼすべての領域における徹底的かつ急
 速なシステムの大転換が必要であるが、そのような動きはどこにも見られな
 い。さまざまな形での警告、批判、反対の声があげられてきたにもかかわら
 ず、化石燃料の消費量が今も増え続け、格差が拡大している現状を見れば、
 資本主義が現在の姿を大きく変えることができると信じるに足る理由もない。
  だからこそ、資本主義の廃絶を掲げて直接行動をとる、よりラディカルな
 社会運動が世界中で現れ始めている(Extinction Rebellion 2019)。ゴッホの
 絵にトマト・スープをぶちまけた「ジャスト・ストップ・オイル」やフラン
 ス政府に解散命令を出された「大地の蜂起」に参加する若者たちを想起して
 ほしい。そこでは、有限の惑星で無限の蓄積を目指す資本主義こそが気候崩
 壊の根本原因であると明言されるようにまでなっているのである。
  若い世代を中心とした環境運動のラディカル化は、「歴史の終わり」の「
 終わり」をもたらす。そしてこれこそソ速崩壊後「死んだ大」のように扱わ
 れてきたマルクス主義にとって新たな歴史的状況を意味する。
  環境運動の側が現在の経済システムの破壊的性格や不合理性をはっきりと
 問題視するなかで、マルクスヘの関心が高まりつつあるのだ。ここで、マル
 クス主義の側がより持続可能なポスト資本主義社会の具体的ビジョンを提示
 できれば、マルクス主義は復活できるかもしれない。しかしながら、いまの
 ところ、そのような試みは十分に成功していない。それどころか、ソ運の失
 敗の後にマルクスの遺産を再び引き合いに出すことには反発かある。マルク
 スの思想は、今日ではもはや受け入れることのできない生産力主義や自民族
 中心主義に囚われていると、繰り返し批判されてきたからである。
  惑星規模の環境危機に直面しながらも、グローバル・ノースを中心とした
 資本主義におけるさらなる生産力の発展が人類解放に向けた歴史の推進力と
 して機能し続けると考えるのは、たしかに今日では、あまりにもナイーブだ
 ろう。事実、現在の状況はマルクスの時代とは決定的に異なっている。環境
 運動にとって、資本主義はもはや進歩的ではない。むしろ、社会の生産と再
 生産の一般的諸条件を破壊し、人間とその他の生命を深刻な脅威にさらして
 いるのだ。資本主義が歴史的進歩をもたらすというマルクスの考え方は、絶
 望的なほど時代遅れに見えるのである。
  それでもマルクス主義の再生を望むなら、その際の必須条件は、いわゆる
 「史的唯物論」という「生産力」と「生産関係」の間の矛盾を進歩の動力と
 する悪名高い歴史観に依拠するマルクス像を解体することではないか。これ
 こそ本書に込めた想いである。そのうえで惑星規模の環境危機を前に人類の
 歴史を終わらせるような悲観主義や終末論に陥らずに、マルクス主義の観点
 から明るい別の未来を構想したい。
  その際気候変動の問題を扱うのであれば、「自然」の問題を避けて通るこ
 とはできない。ビル・マツキベン(Mckibben 1989)はかつて、グローバル資
  本主義は地球全体を大いに改変するため、近代世界が長きにわたって前提と
  してきた「手つかずの自然」は永久に失われると警告した。マッキベンが描
  こうとした事態は近年では一般に「人新世AnthroPocene」という地質学の概
 念で呼ばれるようになっている。人類は巨大な科学技術力を持ち、惑星全体
 をかつてない規模で変化させる「地質学上の一大勢力」(Crutzen and Stroer-
  mer
 2000; 18)になったというわけだ。
  しかし、人類世の現実は、自然の支配によって人間の解放を実現するとい
 う「プロメテウスの夢」の実現からはほど遠い。海面上昇、山火事、熱波、
  大洪水やパンデミックを伴う気候変動は、「自然の終焉」が弁証法的に「自
 然の回帰」(Foster 2020)に転じることを示している。その際には自然が疎
  遠な力として人間に対立し、人間を屈服させることさえある。
  このような自然の制御不能性の増大に直面するなかで、人類と自然の関係
 を再考することが緊急の課題になっている(Rosa.Henning and Bueno 2020)
 しかし、そこで主流になりつつあるのは社会的なものと自然的なもののハ
 イブリッドを特徴とする一元論的アプローチであり(Latorur 2014; Moore 20
     15
)
、彼らはマルクス主義に批判的な態度を取っている。それに対し、本書
 は、マルクスの物質代謝論に基づく「方法論的二元論」を展開することで、
 人類世における人間と自然の関係を独自の仕方で把握していく。
  人類世の存在論は、実践的にも重要な意味を持つ。マルクスの方法論を正
 しく理解することで、ポスト資本主義をめぐる最近の議論にも、マルクスが
 独自の貢献を成すことが判明するからである。かつてマーク・フィッシャー
 (Fisher 2009)は、フレドリック・ジェイムソンの言である「資本主義の終
 わりよりも世界の終わりを想像する方がたやすい」を引き、この「資本主義
 リアリズム」の感覚が、私たちの政治的想像力を著しく制約し、私たちを資
 本の体制に屈服させる、と嘆いた。同様の傾向は環境保護主義にも見て敢れ
 る。
  「資本主義の関係における実質的な変化を想像するよりも、地球上のすべ
 ての生命を終わらせる全面的な破局を想像する方がたやすい」(ZiZek 2008;
  334
)というわけだ。しかし、経済、民主主義、ケア、環境といった多層的
 に絡まり合う複合危機が深まり、その危機が新型コロナウイルスの世界的流
 行とロシア・ウクライナ戦争によってさらに強められるにつれ、ラディカル
 なフゾステム変革」を求める声が左派のあいだで大きくなっている。スラヴ
 オイ・ジジェク(Žizek 2020a)とアンドレアス・マルム(Malm 2020)はと
 もに「戦時コミュニズム」を主張し、ジョン・ベラミー・フオスター(Foster
   2020
)やミシェル・レヴィ(Löwy 2015
)も「環境社会主義 ecosocialismg」
  の理念を打ち出しているのだ。
   だがより注目に値するのは、マルクス主義者ではない学者の間でさえも、
  そのような議論が提起されるようになっているという事実だろう(Jackson
   2021
)。その典型は「社会主義の時が到来した」と断言するトマ・ピケティ
 (Piketty)であるが、気候危機との関連でいえば、「環境社会主義」をはっ
  きりと支持するナオミ・クラインの主張も重要である。

   この事実〔ソ連とベネズエラが非エコロジカルであること〕を認めた上
  で、強力な社会民主主義の伝統を持つ国々(デンマーク、スウェーデン、
  ウルグアイなど)が、世界でもっとも先見的な環境政策を持つことを指摘
  しておこう。社会主義はかならずしも環境保護を推進しないと結論づける
    ことはできる。しかし、「民主的な環境社会主義」という新しい形態は、
    先住民の教えから未来世代への義務や生命の相互の結びつきを学ぶ謙虚さ
    を持っており、人類が集団的に生存するためのベストな方法であるように
    見える。(Klein 2019: 251;邦訳296頁、強調筆者)

    クラインはマルクス主義者ではないという事実を踏まえると、彼女が社会
  主義を擁護するようになっているという事実は特筆すべき変化である。かつ
  てエレン・メイクシンス・ウッドは次のように述べていた。
    「平和と環境の問題は、強力な反資本主義勢力を生み出すのにあまり適し
  ていない。ある意味、問題はそれらの普遍性そのものである。平和と環境が
  社会的勢力を構成することがないのは、特定の社会的アイデンティティを端
  的に持たないせいなのだ」(Wood 1995 266}。環境をめぐる今日の状況は、
  ウッドの時代とは大きく異なっている。それはまさに、惑星規模の環境危機
  が資本に抵抗する普遍的な政治的主体性を構成するための物質的基礎を提供
  するようになっているからだ。つまり、資本主義はグローバルな「環境プロ
  レタリアート」(Foster,York and Clark 2010: 47)を生み出している。それだけ
  多くの人々の生活諸条件が無限の資本蓄積が引き起こす環境破壊によって著
  しく損なわれるようになっているのである。

 本日、購入し早速目を通し、前書きから読み出し、前書きを読み切り、興味を
惹いた箇所「部」「章」を読み切る事にするが、全体を読み切るかどうかは「内
容」と「割り当てる時間」次第。
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世界的水資源欠乏問題の解決のための再生水の有効利用に貢献
医薬品・生活関連有機汚染物質を一度に分離・除去できる酸化グラフェン膜
11月8日、産業技術総合研究所らの研究グループは、多様な極性を持つ微量の医薬
品・生活関連有機汚染物質(Pharmaceuticals and Personal Care Products、以下PPCP
s
と略す)を高効率に分離・除去できる新しい酸化グラフェン(Graphene Oxide
以下GOと略す)膜技術を開発。


図2 CQD-GO複合膜構造模型図

【要点】
1.層間荷電状態を制御した炭素量子ドット・酸化グラフェン複合膜で分離機能
 の高度化を実現
2.炭素量子ドットを挿入することで混合電荷型層間を形成する新規酸化グラフ
 ェン膜を開発
3.静電斥力・極性排斥効果により多様な極性の有機汚染物に対し一度に分離除
 去効果を実現。

【成果】 今回の研究では、既報の成果を踏まえCQDをGOの層間に挿入する方法を
考案し、静電的斥力および親水性・疎水性の違いによる排斥効果を持たせた新し
CQD-GO複合膜の開発に至る。 この技術では、正に帯電した二次元的形状の炭
素量子ドット(Carbon Quantum Dot、以下CQDと略す)を、負に帯電したGOの層間
に安定的に挿入することで、層間の荷電状態が制御されたCQD-GO複合膜を得るこ
とができる
。得られたCQD-GO複合膜の層間には正、負に解離できる官能基(特徴
的な原子の集まり)が同時に存在し、静電的な斥力や親水性・疎水性の違いによ
る排斥効果が作用して、多様な極性のPPCPsが一括して除去される。過去のGO膜の
研究例と比較して、負イオン型・中性PPCPsの除去率が大きく向上するだけでなく、
従来は吸着後に膜通過してしまう正イオン型PPCPsも除去できるようになり、56%
以上の除去率を達成。このように正、負、中性の極微量なPPCPsを同時に分離除
去できることは、再生水の高度利用において大きなメリットであり、世界的な水
資源問題の解決に貢献すると期待されている。 CQDは、多環芳香族あるいは他の
不飽和炭素構造のつながりでできた骨格構造を持ち、原子サイズレベルの厚さで
数ナノメートル~数十ナノメートルの2次元サイズの平面状粒子。文字通り量子
ドットの性質を有し、図1(a)で示すような発光特性を示す。エッジ部に多量の解
離性表面官能基があるため、図1(b)の写真に示すように水に溶解できる。また、
GOとの相溶性にも優れています。今回は、化学的合成条件を適切に選び、表面が
正に帯電するCQDを作った。このCQDと表面が負に帯電するGOを混合し、支持体の
上に堆積させて作成した膜の写真を図1(c)に示す。透過型電子顕微鏡で膜の真
上を拡大して観察すると(図1(d))、数十ナノメートル以下の大きさでいびつな
形のCQDがGOの膜内にインターカレーションしていることが確認できた。


図1 CQDの(a)三次元発光スペクトル、(b)水に溶解し、青色レーザーで照らした際
に緑色を発光する様子を示す写真、(c)支持体(白)上に形成したGO複合膜の写真
 (d) GO膜構造にCQD(白のサークルで囲んだ部分)が分散している様子を示す高
分解透過型電子顕微鏡像

【展望】
今後は複合膜の物理化学的構造を最適化し、実際に使用可能なレベルまで分離性
能を高める研究を実施します。将来的には環境水処理分野だけでなく、医薬品製
造など他の工業プロセスへの応用を広げることも目指す。

【掲載論文】
掲載誌:Chemical Engineering Journal
論文タイトル:Achieving overall rejection of pharmaceuticals and personal care products
 of different polarities by controlling interlayer charging environment of graphene oxide
 membrane using carbon quantum dots

著者:Mutsuki Oikawa, Haruka Takeuchi, Ryota Koide, Noriko Yoshizawa, Zheng-Ming
 
Wang, Setsuko Koura
DOI:https://doi.org/10.1016/j.cej.2023.144811

スゴイ湿気でもセットした髪が乱れないヘアスタイリング材料
~湿気を取り込むことで形状記憶効果が呼び起こされるポリマー材料の開発~



Steam Deck OLEDが登場
画面だけでなくバッテリー性能やダウンロード速度も進化し前モデルは値下げ



脳は断酒から7.3カ月でアルコールによる損傷から回復できる
缶ビール半分程度のほどほどのお酒でも脳が萎縮するなど、アルコールは脳に深
刻なダメージを与えることが知られているという。お酒の飲み過ぎに陥ったこと
がある人の脳をスキャンする研究により、半年以上断酒することで脳を大きく回
復させることが可能なことがわかった。
※ 複数の研究により、アルコール使用障害(AUD)の人は、意思決定や自制心など
 に重要な脳の外層部分である大脳皮質が薄くなってしまうことが示されている。
※ https://doi.org/10.1016/j.alcohol.2023.08.011


図1.皮質の厚さ(CT)。 (A) PALS-B12 の内側 (上) および外側 (下) の表面
ビューに重ねられた CT の平均グループ差を示す FreeSurfer 関心領域 (ROI) 分
析。 (B) アルコール使用障害 (AUD) および健康対照 (HC) 参加者全体の CT の
ROI 平均を示す棒プロット。 モデル: ANCOVA。 有意性: P < .05、FDR 補正。
サンプルサイズ: 19 AUD と 20 HC



デュラコビッチ氏の助言
ソフトウェアエンジニアを目指す学生に現役エンジニアが送る10のアドバイス

ソフトウェア開発は夢のある仕事ではない。ほとんどの場合、ソフトウェア開発
は長時間労働を強制され、ワークライフバランスがほとんど取れず、PCの画面に
釘付けになる。勤務時間外でもオンラインでのプレゼンスが求められ、ストレス
やプライベートの制限につながるが、ソフトウェア開発は継続的なイノベーショ
ンを育む、さまざまな業界において世界的な需要が大きいといえる。また、どこ
にいても仕事ができるのはすばらしいことだ。フレックス対応によって、朝に目
覚ましをかけずに寝ることもできる。通勤に貴重な時間とお金を無駄にすること
もない。


スマートロックとデジタルキーのオープン標準Aliro
Apple・Google・Samsung・Qualcommが提携

  風蕭々と碧い時

クボと二本の弦の秘密 吉田兄弟 2017年映画公開













『ストライク・アップ・ザ・バンド』(Strike Up the Band) は、1940年のアメリ
カ合衆国のミュージカル映画。 メトロ・ゴールドウィン・メイヤーのアーサー・
フリードのチームによりプロデュースされた。バスビー・バークレーが監督した
ミュージカル映画で『青春一座』に続きミッキー・ルーニーとジュディ・ガーラ
ンドが共演した2作目である。 
1927年のジョージ・ガーシュウィンが作曲、ミリー・ローシュのコラボレートに
よりアイラ・ガーシュウィンが作詞した曲。1927年のミュージカル『ストライク
・アップ・ザ・バンド (ミュージカル)』のために戦争や軍歌への皮肉を込めて
作曲された。ミュージカルはヒットしなかったが、楽曲のインストゥルメンタル
版「March from Strike Up the Band」はよく知られる。1940年、この曲がジュ
ディ・ガーランドとミッキー・ルーニーが出演する映画『ストライク・アップ
・ザ・バンド』で使用された。
 
● 今夜の寸評: 今さらでなく 今から
飲酒のデメリットのレポートを読み、暫くアルコールを断つことに。今夜は日曜
日だがやめる。忘年会(新年会)の企画が実行されたら、その日は解禁とする。

                                 


コメント
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SDGs事業膨張時代 ①

2023年11月10日 | 人工光合成時代

    

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝え
られる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団
編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を
合体させて生まれたキャラクタ。

 

 

  黒の革命

炭素繊維で「世界最高」の8GPa到達、航空宇宙用途に
11月10日、東レは、炭素繊維として「世界最高」(同社)の強度を有する「ト
レカT1200」を開発(図1)。引っ張り強度は8.0GPaを示す。ゴルフクラブのシ
ャフトや釣りざおなどのスポーツ用途に加え、自動車や航空機のボディーなど
への展開を見据える。2026年までに量産化を目指す。これまで同社の炭素繊維
のラインアップで最高強度だった「トレカT1100」の引っ張り強度は7.0GPaだっ
た。新たな炭素繊維は、炭素の結晶構造をナノレベルで制御して「結晶が乱れ
た内部構造」(同社)を意図的に造っている。これにより、繊維がちぎれる際
、破断面に凹凸を形成しながら破壊が進むようになる。破断面が滑らかにちぎ
れる従来品より、凹凸にちぎれる開発品の方が、破壊が進展しにくいため強度
が増す。 従来品に比べて、開発品の破断面は凹凸に乱れている。この凹凸が
破壊進展に抵抗するため、破断面が滑らかな従来品より強度が増す/


 図1.東レの高強度炭素繊維

Si上に高密度・高均一量子ナノワイヤー作製
11月10日、電気通信大学の研究グループは,従来よりも10倍以上の高い密度で,
かつ細線直径の標準偏差が10%以下の高均一なInAs(インジウムヒ素)量子ナノ
ワイヤー(量子細線)を Si(シリコン)基板上に作製する技術を開発。

【要点】
1.InAs量子ナノワイヤーのSi基板上への作製に成功
2.
従来比10倍以上の高密度、標準偏差10%以下の高均一化を実現
3.量子サイズ効果を確認
4.次世代の量子デバイスへの応用に期待

【概要】
電気通信大学大学院情報理工学研究科基盤理工学専攻の山口浩一教授らの研究
グループは従来よりも10倍以上の高い密度で、かつ細線直径の標準偏差が10%
以下の高均一なInAs(インジウムヒ素)量子ナノワイヤー[2] (量子細線)を
Si(シリコン)基板上に作製する技術を開発。本研究で開発した成長技術によ
り、量子ナノワイヤー内に量子ドット[3]構造を内蔵した新しい量子ナノデバイ
スなどへの展開が期待されます。 半導体量子ナノワイヤーは、次世代の縦型ト
ランジスタやメモリーに加え、量子細線レーザーなどの光電子デバイスの超集
積化や高効率の量子構造太陽電池、高感度・高密度の量子ナノセンサーなどさ
まざまなデバイスへの応用が見通されているが、高密度で高均一な量子ナノワ
イヤー構造の作製は難しく、高度な結晶成長技術の開発が求められていた。本
研究では分子線エピタキシー(MBE)法により、Si基板表面の酸化膜にGa(ガ
リウム)のナノ液滴を堆積させ、基板の加熱による反応過程を経てナノメート
ル(nm、ナノは10億分の1)サイズのピンホールを形成。この酸化膜のピンホー
ル底のSi基板結晶からInAs単結晶核を形成し、高さ方向に成長したInAsナノワ
イヤーが高密度かつ高均一に形成されていることを確認。従来のナノワイヤー
に比べて10倍から100倍の高い密度で、さらに量子サイズ効果を発現する量子
ナノワイヤーを高均一(標準偏差8.8%)に作製することができた。次世代の
多様な量子ナノデバイスを構成する量子ナノワイヤーの高品質な作製技術とし
て、幅広い応用が見込まれている。

【背景】
半導体量子ナノ構造の結晶成長技術の進展により、将来の光デバイス応用の新
展開に大きな期待が寄せられている。特に半導体を直径数十nm~数百nmの柱状
に成長させた半導体ナノワイヤーは、次世代の縦型トランジスタやメモリーの
ほか、量子ナノセンサーや量子細線レーザー、量子構造太陽電池などの光電子
デバイスへの応用が見込まれている。その中でも、InAsなどのIII-V族半導体は
その特異な光電子物性から、デバイスの高機能化に貢献すると期待されている。
従来よりも10倍以上の高い密度で、かつ細線直径の標準偏差[1]が10%以下の高
均一なInAs(インジウムヒ素)量子ナノワイヤー (量子細線)をSi(シリコン
)基板上に作製する技術を開発。本研究で開発した成長技術により、量子ナノ
ワイヤー内に量子ドット構造を内蔵した新しい量子ナノデバイスなどへの展開
が期待されている。 半導体量子ナノワイヤーは、次世代の縦型トランジスタや
メモリーに加え、量子細線レーザーなどの光電子デバイスの超集積化や高効率
の量子構造太陽電池、高感度・高密度の量子ナノセンサーなどさまざまなデバ
イスへの応用
が見通されているが、高密度で高均一な量子ナノワイヤー構造の
作製は難しく、高度な結晶成長技術の開発が求められていた。 分子線エピタキ
シー(MBE)法によりSi基板表面の酸化膜にGa(ガリウム)のナノ液滴を堆積
させ、基板の加熱による反応過程を経てナノメートル(nmのノは10億分の1)
サイズのピンホールを形成。この酸化膜のピンホール底のSi基板結晶からInAs
単結晶核を形成し、高さ方向に成長したInAsナノワイヤーが高密度かつ高均
一に形成されていることを確認。従来のナノワイヤーに比べて10倍から100倍
の高い密度で、 さらに量子サイズ効果を発現する量子ナノワイヤーを高均一
(標準偏差8.8%)に作製することができました。次世代の多様な量子ナノデ
バイスを構成する量子ナノワイヤーの高品質な作製技術として、幅広い応用が
見込まれる。
このような高機能な次世代デバイスに量子ナノワイヤーを応用するには、量子
ナノワイヤーのサイズ制御や高密度化などの基盤技術が必要になるが、従来の
多くのナノワイヤー成長では、サイズが直径100 nm~数百nm と比較的大きいも
のが多く、電子の量子閉じ込め効果が十分ではありませんでした。量子サイズ
効果を発現させるには、InAs ナノワイヤーの直径を40nm 以下に制御して作製
する必要があり、さらにこの微小な量子ナノワイヤー構造を高密度かつ高均一
に作製する高品質な結晶成長技術が求められていた。

【手法・成果】
今回、高密度で高均一な量子ナノワイヤー構造の作製に向けて、MBE 法を使い、
Si 基板表面の酸化膜にGa ナノ液滴を堆積し、基板加熱による反応過程によっ
てナノメートルサイズのピンホールを形成する手法を用いました。この際、Ga
液滴の供給量や反応温度、Si酸化膜表面の清浄化が重要になります。特に酸化
膜表面の清浄化については電子線の照射による表面への炭素などの吸着がピン
ホールの形成を阻害することが分かりました。このことから表面構造の観察に
用いる電子線照射や表面パターン形成のための電子線照射などのプロセスは避
ける必要があることを明らかにした。このようにしてSi酸化膜に高品質なピン
ホールを作製した上で、ピンホール底のSi基板結晶からInAs 単結晶核を形成
し高さ方向の成長が促進された六方晶(ウルツ鉱構造)のInAsナノワイヤーを
高密度かつ高均一に形成した。
結晶成長実験では、面内密度が1~2×1010 cm-2InAs ナノワイヤーが再現
性高く得られ、従来のナノワイヤーの10倍から100倍の高い密度で形成できた。
また、ナノワイヤー構造以外の堆積物や多結晶粒の形成も抑制できることから、
直径30nm以下の細いナノワイヤー構造を制御性高く作製することが可能になり
これによって量子サイズ効果を発現する量子ナノワイヤーを標準偏差8.8%と高
均一に作製することに成功した。




【展望】
高密度で高均一な半導体量子ナノワイヤーがSi 基板上に作製できたことで、Si
基板に集積する次世代の縦型トランジスタやメモリーのほか、量子ドット構造を
内蔵した量子細線レーザーや量子構造太陽電池、量子ナノセンサーなどの量子デ
バイスの高機能化や超集積化が可能になると期待される。今後は、異種半導体結
晶のヘテロ接合を導入したコア・シェル構造の量子ナノワイヤーや量子ドットナ
ノワイヤーの作製を行い、量子デバイス応用について検討する予定。
(論文情報)
雑誌名:「Journal of Applied Physics」Vol.134, (2023) 154302.
論文タイトル:High-density and high-uniformity InAs quantum nanowires on Si(111)
        substrates

著者:R. Nakagawa, R. Watanabe, N. Miyashita, and K. Yamaguchi
DOI 番号:10.1063/5.0156299
(用語説明)
[1]標準偏差:データや確率変数の平均値からの散らばり具合(ばらつき)を表
 す指標の一つ
[2]半導体量子ナノワイヤー:半導体の細線構造で、細線の直径が電子の波長以
 下(数nm~数十nm)程度の柱状に成長させた2次元的な量子閉じ込め構造。量子
 細線とも呼ばれる[3]量子ドット:数nm~数十nm サイズの微小3次元構造に電子
 を量子閉じ込めした構造で、原子内の電子のような振舞いを示すことから人工
 原子とも呼ばれる。
分子線エピタキシー法:超高真空の容器内で、加熱した基板上に高純度の成
 長原料を分子ビーム状にして照射させ、単結晶薄膜を成長させる方法
ピンホール:Si基板表面上の薄い酸化膜に形成されたナノメートルサイズの
 穴のこと
[6]量子サイズ効果:電子の波長以下程度の微小な半導体結晶内に電子を閉じ込
 めることで、電子の波長よりも十分大きなバルク結晶内の電子の振舞いと異な
 る性質が現われる効果。例えば、電子のエネルギー状態が離散化(量子化)さ
 れて量子準位となり、その量子サイズによって量子準位が変化する効果。

高効率で安定したペロブスカイト-シリコンタンデム型太陽電池
高バンドギャップペロブスカイトの正孔選択層の分子工学
【背景】
最新の業界ロードマップである ITRPV (2023) によると、Siベースのタンデム
太陽電池は 2027 年から太陽光発電技術ミックスの一部となる予定。ペロブス
カイト太陽電池技術は、タンデム太陽電池の候補となる性能と製造の容易さを
備えている。ロブスカイト-Siタンデムセルの研究は、過去6
年間で非常に大
きな関心を集めており、エネルギー変換効率が急速に向上。
ここでは、高バンドギャップPSC 向けに、正孔抽出を強化し、非発光再結合を
抑制する新しい自己組織化単層 (SAM) を設計。チャンピオンの 1.67 eVペロブ
スカイトセルは、非常に低いバンドギャップ電圧オフセット (0.41 V) を達成
し、ペロブスカイトとシリコンのタンデムに実装することで、チャンピオンデ
バイスは 1cm2で 28.9% の電力変換効率を達成。 新しい SAM の使用による安
定性の向上により、タンデムデバイスは国際電気標準会議 61215の熱サイクル
試験を合格。
 

【要役】
この研究では、単接合およびタンデムセルの実証のために、高バンドギャップ
(1.67 eV) ペロブスカイトにおける効率的な正孔抽出を促進し、キャリア再結
合を抑制する新しいカルバゾールベースの SAM (Ph-2PACz) が開発。 チャンピ
オンの効率 21.3%の1.67 eV セルは、82.6% の高い曲線因子 (FF) と 1.26Vの
開回路電圧 (VOC) を生成し、0.41 V での低いバンドギャップ電圧オフセット
を示した。モノリシックペロブスカイト-Si タンデムの上部ペロブスカイトセ
ルに接続すると、28.9%(1cm2) の PCE および1.91 V の VOC が得られた。
カプセル化されたタンデムセルは、連続1太陽照明 (680時間) および湿った熱
(85℃ + 85%相対湿度で 280 時間) の下で優れた安定性を示し、国際電気標準
会議 (IEC) 61215 の熱サイクルに合格しました (200サイクル)。-40℃および
85℃) テストでは、初期 PCE98.8%を達成。

【概説と展望】
有機-無機ハイブリッド金属ハロゲン化物ペロブスカイト太陽電池 (PSC) は、
近年非常に研究の関心を集めている。

1.これらは、優れた吸収係数、
2.欠陥耐性、
3.優れたキャリア寿命と拡散長、
4.および製造の容易さ。

最近、最高の PSC の認定電力変換効率 (PCE) は 26.1%に達し、単接合太陽電
池の理論的限界である 33.8%に漸近。単接合セルの効率限界を超えるには、高
バンドギャップのペロブスカイトを、結晶シリコン (c-Si)、二セレン化銅イン
ジウムガリウム (CIGS)、有機太陽光発電などの適切な低バンドギャップの太陽
電池材料 (OPV)と統合。 またはペロブスカイトは、熱化とサブバンドギャップ
吸収損失を軽減する効果的かつ有望な方法であることが証明されている。
このような二重接合太陽電池の概念には、理論上の限界が45%と高くなりる。
さまざまな二重接合ペロブスカイトタンデム技術の中で、ペロブスカイト-Siタ
ンデムは、最も有望で最も研究されているアプローチの1つであり、最良のデ
バイスの認定PCEとして認められている。最近では33.7%に達している。
ハイバンドギャップ PSC (約 1.67 eV) は、出力電流整合を達成するための高
性能ペロブスカイト - シリコンタンデムのトップセルに適している。 ただし、
これらのハイバンドギャップ PSC は、バンドギャップが高いという欠点があり、
電圧オフセット、WOC (= Eth/q − VOC、ここで Eth は「バンドギャップ」とし
て大まかに定義される吸収端、q は素電荷)、中間バンドギャップ (例:1.5 eV
) PSC と比較。11 ハイバンドギャップ PSC のWOC が大きいのは、相分離、非
発光再結合 ペロブスカイト層と電荷選択層の間のエネルギー的不整列 に起因
すると考えられている。最初の2つの問題については、純ヨウ化物が考えられ
る。ペロブスカイトと不動態化は、それぞれ相分離と非放射再結合を抑制する
ために開発されました。正孔選択性材料に関しては、ポリ[ビス(4-フェニル)
(2,4,6-トリメチルフェニル) アミン] (PTAA)、ポリ [N,N'-ビス(4-ブチルフェ
ニル)-N,N'-ビス(フェニル)-ベンジ (ポリ-TPD)、ポリ(3,4-エチレンジオキシ
チフェン):ポリ(スチレンスルホネート) (PEDOT:PSS) および NiOXが影響を受
ける これを克服するために、効果的な正孔選択層 (HSL) として自己組織化単
分子層 (SAM) が登場。SAMは通常、アンカー基、スペーサー、および末端基で
構成される。これらのグループで利用可能な選択肢により、機能のための大き
な設計スペースが可能となる。SAM-HSL には、材料消費量の少なさ、濡れ性の
向上、欠陥の不動態化などの他の利点もある。
最初の2つの問題については、相分離と非放射再結合を抑制に、それぞれ純ヨ
ウ化物ペロブスカイトと不動態化 が開発された。電子選択性材料に関しては、
インデンス C60 ビス付加物 (ICBA) WOC を最小限に抑えるために、高バンド
ギャップ PSCでは浅いエネルギー準位が利用されている。チルフェニル)アミ
ン] (PTAA)、ポリ[N,N'-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N'-ビス(フェニル)-ベンジ
(ポリ-TPD)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチフェン):ポリ(スチレンスルホネー
ト) ) (PEDOT:PSS) と NiOXは、高バンドギャップ ペロブスカイトによるエネ
ルギー バンドのずれに悩まされ、その結果、深刻な WOCが発生。 これを克服
するために、自己組織化単分子層 (SAM) が登場。有効正孔選択層(HSL)。SAM
は通常、アンカー基、スペーサー、および末端基で構成。これらのグループで
利用可能な選択肢により機能のための大きな設計スペースが可能になる。SAM-
HSLには、材料消費量の少なさ、濡れ性の向上、欠陥の不動態化などの他の利
点もある。高性能ペロブスカイト電池の実証に最近使用されている典型的な末
端基には、カルバゾール、フェノチアジン、スピロ酸 (スピロ[スピロビフルオ
レンス)。追加の界面材料特性は、異なるアンカー基を使用することにより実現
できる。カルバゾールベースの SAM-HSLは、その優れた安定性とペロブスカイ
トとのエネルギー準位の整列により出現し、「電子が豊富」で正孔選択性に有
利。以前の報告の1つは、(2-{3,6-ビス[ビス(4-メトキシフェニル)アミノ]-
9H-カルバゾール-9-イル}エチル)ホスホン酸(V1036) およびブチルホスホン酸
(C4) の使用に関するもので、p-i-n PSCの正孔選択コンタクトとして使用され
17.8%の PCEを実現。
これに続いて、[2-(9H-カルバゾール-9-イル) エチル] ホスホン酸 (2PACz)、
[2-(3,6-ジメトキシ-9H-カルバゾール-9-イル) エチル] ホスホン酸などの新し
い SAM HSL (MeO-2PAcz) および 4-(3,6-ジメチルカルバゾール-9-イル) ブチ
ルホスホン酸 (Me-4PACz) は、ペロブスカイトまたは 高バンドギャップ PSC
の高速正孔抽出により、その性能、通常は VOC とフィルファクター (FF) が
大幅に向上。これらのレポートで使用されている末端基の分子構造は、次のよ
うな理由により電荷移動を制限する可能性があります。非局在化電子の密度が
低くなる。さらに、これらの SAMの一部でペロブスカイトを完全にカバーする
ことも困難0。したがって、非発光再結合を抑制しながら電荷輸送を改善には、
SAM HSL の合理的な設計が強く望まれる。これは、電子の非局在化を可能にす
る拡張共役系によって達成できる。これにより、分子のエネルギー的安定化に
もつながり、材料の安定性が向上9。 したがって、この研究では、新しいカル
バゾール SAM を開発します。 HSL は、(2-(3,6-ジフェニル-9H-カルバゾール
-9-イル)エチル)ホスホン酸 (Ph-2PACz) に基づき、2つのベンゼン環を導入し
て拡張共役系を作成。 Ph-2PACz のカルバゾール誘導体 (3,6-ジフェニル-9H-
カルバゾール) の歪んだ構造は、π-π 分子間相互作用を弱め、それにより自
己集合を促進します。その結果、PCEは 21.3%、VOCは 1.26V および 82.6%の
FFは、チャンピオンの 1.67 eV p-i-n ガラス/インジウム錫酸化物 (ITO)/Ph
-2PACz/Cs0.15FA0.65MA0.2Pb(I0.8Br0.2)3/LiF/C60/2により
達成。ジメチル-4,
7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン (BCP)/Cu PSC。 これらの値は、以前に
報告された Me-4PACz SAM-HSL に基づく1.68eV PSCよりも高い。さらに新規
の Ph-2PACz を使用しモノリシックペロブスカイト-Si タンデム太陽電池を実
証。 チャンピオンのデバイスは、1.91V の VOC で 28.9% の PCE を生成した。
これは、実証されたペロブスカイ-Siタンデムの中で最も高い値の1
つ。 さら
に、カプセル化された Ph-2PACz タンデムデバイスは、PTAA および 2PACz
ベースの対応物と比較して、光、熱、および湿気に対する安定性が向上。特に、
カプセル化されたPh-2PACzベースのペロブスカイト-Siタンデムデバイスは、
-40℃と85℃の間のIEC 61215 2021熱サイクル試験に合格200サイクル後も初期
PCEの98.8%を維持。この研究では、1.67eV p-i-n PSC に3つの異なるHSLが使
用された。それらは、広く使用されているPTAA、市販のSAM 2PACz、および
新しく開発および合成されたSAM Ph-2PACz。それぞれの分子構造を図 1A
示。 2PACzと比較すると、Ph-2PACzのカルバゾール部分の反対側の端にベン
ゼン環が導入されているす。

【関係技術情報】
Molecular engineering of hole-selective layer for high band gap perovskites for highly
efficient and stable perovskite-silicon tandem solar cells
   
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2542435123003975

  風蕭々と碧い時












 
● 今夜の寸評: 今さらでなく 今から
  老人性欝病症候群というものがあるのかわからないが、気候変動も手伝いネ
 ガティブな言葉が頭を過ぎる昨今。体調復帰を試みている今夜・それでも、
 回復すれば、真夜作業もいとわいようになる。この作業もそうだ。外は打っ
 て変わって強風だが、今月の「月訓」をかみしめる。       
                                


 

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ブロッコリ-ペースト考

2023年11月09日 | 人工光合成時代

    

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成の
一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて
生まれたキャラクタ。

  
パスタに          プリンやテリームに
ブロッコリ-ペースト考
ブロッコリーはビタミンCやカロテンなどが豊富に含まれる最強食材。βカロテン
は、体内で吸収されるとビタミンAとして変換され、活性酸素の発生を抑え、それ
らを取り除いてくれる働きがあり、レモンの約2倍量のビタミンCと、ニンジンの
約6倍量のビタミンBが含まれ、同時に摂取でき、カルシウムやリン、カリウムな
どのミネラル、水溶性ビタミンの一種であるビタミンB群である葉酸、抗酸化物質
のポリフェノールや整腸作用に有用な働きをするといわれている食物繊維など、か
なり豊富な栄養素を含み、その栄養価の高さからブロッコリーは野菜の王様と呼ば
れる。


栄養価が高く、さまざまな料理に使える「ブロッコリー」。茹でるだけでも簡単な
おかず・副菜になりるが、残念なことに、ブロッコリーにたくさん含まれる栄養素
が茹で汁に流れ出てしまうのだが、我が家では、茹でて賽の目状にカットして、突
き出し風にして頂くことも多く勿体ないの極み。また、加工後の変色も気になる。
そこで、既にパウダーとして市販されており各状の工夫次第というわけであるが、
ブロッコリーは花の部分よりも茎のほうの栄養価が高いといわれている。硬くて使
いにくいと思われがちだが下ごしらえはいたって簡単で、茎を輪切りにして切り口
の断面をみると、白い筋がぐるりと一周ある。その外側を、包丁やピーラーを使っ
て一周ぐるりと皮をはぐだけだ。たったこれだけで、無駄なくブロッコリーをまる
ごと使うことができる。あとは細かく刻んだ玉ねぎ、じゃがいもとともに炒め、水
と固形スープで煮込み、粗熱が取れたらミキサーにかけ、牛乳・塩・こしょうで味
を調える。栄養満点なブロッコリーのポタージュスープとして頂けるが、パウダー
からペーストにすることで、魚介食肉のミンチ或いは野菜、木の実やバター、チー
ズなどの優勢品、各種香草・野菜、オイリー類、ペッパーなどの香辛料と練りあわ
せ食感の優れたペースト(粘性のあるジュース・スープ・クリーム・ジャム)様態
に仕上げれば「最強の食品の女王」として世界を席巻すること間違いない?!



 Wikipedia

今日の昆虫記:雪虫
【ユキムシ】(トドノネオオワタムシ)
【学名】 Prociphilus oriens
【分類】カメムシ目(hemiptera),アブラムシ科(Aphididae)
【分布】北海道〜本州、シベリア
【大きさ】最大長さ4mm 最近、

コンビニまで自転車(マウンテンバイク)で買い物に出かけたものの。小さな花粉
或いは虫のようなものが無数に飛んでいて、口に、目に飛び込み難儀する。秋晴れ
で無風状態なのに、五月頃のユスリカの幼虫より軽く、綿のように舞う。あまり馴
染みのなかったこの虫の正体は、
顔の周りにまとわりつく「謎の虫」の正体は? 超
気になるので
調べてみると、「アブラムシ」の仲間、記録的な暖かさで大量発生、
でも気温低下までもう少しの辛抱。前線に向かって、南から温かく湿った空気が入
り込み、11月としては観測史上最も高い。 このところの暖かさが影響している。
無数に飛び回る小さな虫。 札幌で有名なのがユキムシと同じように仲間。気持ち
悪いが、人体に影響はないので、それほど心配することはない。この虫が飛び回る
期間は1週間は続かず、気温の低下とともに確実に減るというがこのような体験は、
自転車に乗っていたため印象的となる。

 

 


Anytime Anywhere ¥1/kWh era

再エネ革命渦論 191 アフターコロナ時代 185
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
   特異点真っ直中 ㊿+30
 




ソニー、ミラーレス一眼カメラ「α9 Ⅲ」を発売
ソニーは,世界初グローバルシャッター方式のフルサイズイメージセンサーを搭載
するミラーレス一眼カメラ「α9 Ⅲ」を発売すると発表。2024年1月26日発売予定で
価格はオープン。 この製品は,新開発の世界初有効約2460万画素メモリー内蔵フ
ルサイズ積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS」にグローバルシャッター方式
と、最新の画像処理エンジン「BIONZ XR(ビオンズ エックスアール)」を搭載。
最高約120コマ/秒のAF/AE追従でブラックアウトフリーの連続撮影を実現。



従来のローリングシャッター方式は,画像の撮像面上部の画素から順に読み出す方
式である一方,グローバルシャッター方式全画素を同時に露光・読み出すため,
高速で動く被写体でも動体の歪みが無く見たままの撮影が可能となる。また,グロ
ーバルシャッター方式のイメージセンサーにより、静止画同様,動画においても歪
みのない映像表現を実現。例えば、車など高速で移動する乗り物から近くにある景
色を撮影する時や高速に動く被写体などを撮影する時でも,歪みを気にすることな
く撮影可能。 この製品は,「α(Alpha)」シリーズとして初めて4K120pの高解像ハ
イフレームレートの映像でもクロップなしでの動画記録に対応。意図した通りの画
角で撮影ができるとし、6Kオーバーサンプリングによる高解像4K動画の撮影が可能
になるとしている。 さらにこの製品は,最速シャッタースピード1/80000秒(連続
撮影時は1/16000秒)を実現し,高速で動く被写体でも止まっているかのように忠実
に描写。対応する同社製フラッシュ「HVL-F60RM2」,「HVL-F46RM」と組み合わせ
ることで,シャッタースピード1/80000秒までの全速度でフラッシュを同調して撮影
することができるので,表現の幅が広がる。


世界初、通信用光ファイバを用いた
振動センシング技術による豪雪地帯の道路除雪判断の実証実験
通信インフラから得られる環境情報の活用を通じた地域課題の解決をめざす
11月3日、日本電信電話(NTT),東日本電信電話(NTT東日本),日本電気(NEC)
は,光ファイバ振動センシング技術を応用し,既に地下に敷設してある通信光ファ
イバに伝わる振動特性から路面状態を推定する機械学習モデルを構築し,豪雪地帯
における道路除雪判断を行なう実証実験に世界で初めて成功した。
--------------------------------------------------------------------------
豪雪地帯において、地域住民の日常生活に支障をきたさぬよう、都市機能維持や円
滑な交通の確保のための除雪対策が重要。道路除雪作業は主として深夜帯に実施さ
れる。限られた時間内での除雪作業による効果を最大化するため、昼間帯には市街
パトロールを実施し、積雪量や降雪予想、調査員の経験則を基に除雪実施判断を除
雪工区と呼ばれる地域単位で日々実施。しかし、地方部での人口減少と高齢化が進
む中、道路除雪判断を行う除雪オペレータの担い手は不足し、DX化による効率化が
喫緊の課題となっている。この地域課題に対応するため3社は、NTT東日本が通信用
に敷設した未使用の地下光ファイバとNECが提供する光ファイバセンシング技術を用
いて得られた青森市内における市道の交通振動データに対して、NTTが提案した除雪
要否と交通振動特性の相関分析手法にNECの車速検出アルゴリズムを組み合わせるこ
とで、除雪実施判断を行う実証実験を行う。
【要点】
1.既に張り巡らされている通信用地下光ファイバが感知した振動データを収集す
 ることで、除雪工区内の複数地点における除雪判断の遠隔実施が可能
2.対候性に優れるメンテナンスフリーな通信用光ファイバをそのままセンサとし
 て活用可能であり、新たなセンサデバイスの設置が不要
3.交通流の円滑さの指標となる車速情報と、路面状態と相関を持つ振動周波数の
 応答特性を特徴量として構成した除雪要否判定モデルの活用より、調査員の経験
 則によらず適切な除雪判断が可能
4.道路毎に取得したデータからリアルタイムに除雪判断が可能

【概要】
1.青森市内の道路地下に敷設されている通信用光ファイバの上部側終端部にセン
 シング装置を接続して、3つの除雪工区内にある市道の交通振動を2022年11月か
 ら2023年3月までセンシング
2.交通振動から車速情報と振動周波数の応答特性の統計データを取得し、除雪要
 否判定モデルを構築、精度を評価(実証実験を通じて、積雪による路面状況の変
 化により車速や振動周波数の特性が変化する旨を新たに発見し、モデル化)
【成果】
通信用光ファイバが除雪工区内の市道地下に張り巡らされている利点を活かし、光
ファイバ振動センシング技術により得られた交通振動データの解析を通じ、複数の
除雪工区内における除雪判断をすることに成功。


【展望】
本成果を踏まえ、3社は除雪要否判定モデルの汎用性の実証に向けて地域様相の異
なるエリアにおける実験を継続し、将来的にはリアルタイムでの除雪実施判断のDX
化により持続可能な道路除雪体制の維持など豪雪地域の課題解決をめざ。さらに、通
信インフラを活用して収集可能な市街の振動データや環境情報を解析することで地
域課題を解決可能な光ファイバセンシングの応用技術の確立に向け、共創活動を推
進する。


 風蕭々と碧い時









 




1992年、世界的なベストセラーとなった同名小説を、1995年C・イーストウッドが製作・監督・
主演を務めて映画化。アイオワ州の片田舎で出会った、平凡な主婦と中年カメラマンの4
日間の大人の恋を描く。アイオワ州マディソン郡に点在する屋根付きの橋を撮りにやって
来た52歳のカメラマン、ロバート・キンケイドは、小さな農場の主婦フランチェスカ・ジョンソ
ンと出会い恋に落ちる。運命の出会いを感じた二人だが、フランチェスカには夫と二人の
子供がいる。彼についていくことをあきらめた彼女は、4日間の思い出を糧に生きていくの
だった……。小説に描かれた実在の場所で撮影され、美しい田園風景を背景に切ない二
人の恋が情緒豊かな映像で綴られている。製作・監督を兼ねたC・イーストウッドが自らは
一歩下がり、M・ストリープを立てた演出をし、M・ストリープもそれに応えた熱演を見せる。
原作以上の仕上がりとなり、大ヒット。

● 
今夜の寸評: 今さらでなく 今から
 The moment when you make a resolution is the perfect time to start fulfilling it.
                                       浄土宗 月訓



 

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