黄昏に ふり返るきみ 時を止め 銀杏の葉散る ターミナルポール
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Blood Orange
彼女が引き出物として、モンテ物産のブラッドオレ
ンジ「タロッコジュース」を持ち込みチョットした
話題をさらっている。シチリア旅行でであったシチ
リアレモンが気に入っていて以来のイタリア三昧の
食卓にあって新たに加わることとなった一品である。
外食産業が衰退するなかにあって、キャナリィ・
ロウ(Cannery Row)風のフランチャイズ専門店が流
行っているから、不況でなく個性時代(欧米化→多
様性の中の集中と選択)の顕れであろう。
さて、ブラッドオレンジの3つのタイプは、(1)
Tarocco(シチリア原産)(2)Sanguinello(スペイ
ン原産)(3)Moro(シチリア原産)。そのほかに
Khanpur、ワシントンSanguine、Ruby Blood、Sanguina
Dobleフィナ、デルフィノ、レッドバレンシア、バリ
スブラッド・バレンシアオレンジ、バッカーロブラ
ッドオレンジ、Sanguineグロシロンド等ある。シチリ
アのMoroはアラブ人が持ち込んだレモンとザボンの
交配種とするが、どうもスイートオレンジの突然変
異種のとするのが正しいようだ。
タロッコジュースはトマトジュースのような真っ赤
なジュース(勿論、リコピンによる赤さをもつ種類
もある)は、シチリア特産のオレンジ。柑橘系フル
ーツの爽やかな甘味と、すっきりした酸味のバラン
スが絶妙で一度飲んだら忘れられない。ジェラート
やグラニータ(イタリア風かき氷)、ゼリーやカク
テルに、肉料理のソースにしたりとアイディア次第
でアレンジできる。バジル、アンチョビ、モッツア
レラ、ワイルド・ルッコラ、シチリアレモンにタロ
ットジュースが新たに加わることになった ^^;。
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【医食同源:タロッコの成分】
Delphinidin 3-galactoside chloride
“タロッコ”は、シチリア島東部、エトナ火山の麓
に広がるカターニア平原だけで育つ、真っ赤な果肉
を持つオレンジの一種。その色からブラッドオレン
ジとも呼ばれ、シチリア東部特有の土壌と寒暖差の
激しい気候風土の中で育ち、地中海の日光と風を十
分に受けて生長することで、ほかの地域では得られ
ない真っ赤な果肉を実らせる。
津田孝範らの「肥満・糖尿病予防を目的とした食品
因子による脂肪細胞機能の制御に関する研究」によ
れば、「アントシアニンのヒト成熟脂肪細胞への投
与により、アディポネクチンの発現上昇が観察され
たので、ジーンチップの結果の確認のために、リア
ルタイムPCR法によるアディポネクチンの遺伝子発
現量の定量を行ったところ、ジーンチップと同様の
有意な上昇が認められ、これはラット脂肪細胞での
結果とも一致するものであった。またアントシアニ
ンのアディポサイトカイン遺伝子発現に対する新た
な作用としてPAI-1やIL-6の発現低下作用を見出した。
同様に脂質代謝あるいはエネルギー代謝に関連する
と考えられる遺伝子群について検討したところ、ラ
ット成熟脂肪細胞でも変動が認められたUCP2の他に
ACOX1、PLNの上昇を認め、これらについてもリア
ルタイムPCRによる発現定量により有意な上昇が確
認できた」とある。
タロッコの赤色の「アントシアニン」は、植物系色
素のひとつで、高い抗酸化作用を持ち、視力障害や
成人病の予防にも効果があると言われ、果汁全体の
ビタミンCも100ml当たり45mgと沢山含まれている。
それだけではない、最近の研究では、シアニジン-3-
グルコシドとdelphinidin-3-グルコシドはインシュリン
分泌促進物質及び抗糖尿病性特性成分が含まれてい
ることが分かってきた。
モンテ興産のジュースは、1962年ジュゼッペ・アル
バ氏によって設立されたオランフリーゼル社は、現
在イタリアの柑橘類生産業界で最高企業のひとつで、
契約農家との協力体制により化学製品を最小限に抑
えながら、厳選した果実をしぼり、無加糖でフレッ
シュな味わいをそのまま冷凍して届けられる。化学
除草剤・生長促進剤を禁止し、新鮮な果実からジュ
ースを抽出。果物の品質はもちろん安全性にも配慮
し、出来上がった製品は品質検査機関CE.FI..T.によ
る農産物の分析・検査を受け、生産工場や保存セン
ターは、国際基準ISO 9002とHACCPを取得している。
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【植物成長調整剤】
ところで、生長促進剤(=植物成長調整剤)を禁止
している理由が知りたくなった。植物成長調整剤(
plant growth regulator;PGR)とは、植物の成長を促進
(または抑制)、着果促進、発根促進などの成長調
整作用のある薬剤をいう。その性質上、植物ホルモ
ンまたはそれに拮抗するような薬剤が多い。しかし、
(1)種籾(たねもみ)に薬剤をまぶしてから植え
て、薬剤と水分との反応によって酸素を放出させ発
芽率を向上させる。(2)葉面に薬剤を散布するこ
とにより、気孔を塞いて水の蒸散を抑えて植え痛み
を防ぐような化学的反応や物理的な作用による薬剤
も含む。
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植物ホルモン?調べてみると、9種類と植物ホルモ
ン様物質の2種類が該当するらしい(植物ホルモン
→オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、アブ
シジン酸、エチレン、ブラシノステロイド、ジャス
モン酸、フロリゲン、ストリゴラクトン)。結論と
して、全面使用禁止という立場は取りにくく、植調
剤を使用する際は、使用時期 · 温度条件 · 使用方
法そして使用量 (吸収量) に細心の注意を払うとい
うことに尽きる(許認可制の運用には、誤謬発生時
の透明性をもったルール構築が肝要)。
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イチョウの樹皮中国原産の落葉高木。広葉樹にも針
葉樹にも属さない。原始的な平行脈を持ち、二又分
枝する。雌雄異株であるため、雄株と雌株があり、
実は雌株にのみなる。花期は4~5月。雌花、雄花と
も葉が芽吹くと共に出てくる。長寿で成長すると巨
木になり、弘法大師空海が手植えしたとの言い伝え
がある木も多い。街路樹(銀杏並木)として植えら
れ、東京の明治神宮外苑や、大阪御堂筋の並木道は
有名である。
南堀江にいたころは、銀杏拾いの季節になれば独特
の匂いに満ち、精力増進につかわれるというが、小
さい頃から良く食べたものだ。黄昏の御堂筋、市電
ターミナルのポールに背をかけたセーラー服のきみ
を見つけふたりは見つめ合い時間を止めたっけと歌
う。黄金色の葉の「イチョウ」。花言葉は「鎮魂」
「長寿」。
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