極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

マグナスパワーな盆梅

2016年01月31日 | 近江歴史回廊

 

 

 

     みずうみの 国の梅こそ めでたけれ 思ひのままなる かをりはなちて  

                                                  田辺聖子

 

                                                                                     
                                                                                        March 27th, 1929-

 

 

 

   
【酸化インジウムスズ電極代替電極の開発】

  Jan 25th, 2016

東京大学の研究グループが、少量のニオブを混ぜた酸化チタン薄膜を用いて、レアメタルを含む酸化インジ
ウムスズ電極を用いない有機薄膜太陽電池を開発。その手掛かりは、ニオブドープ酸化チタン薄膜表面のみ
を酸化することで電気を通りにくくし、電子と正孔のうち電子のみを選択的に捕集したことによる。ところ
で、有機薄膜太陽電池では、光を発電層に通す透明電極を使用するが、透明電極にはレアメタルのインジウ
ムを含む酸化インジウムスズが使われているが、研究グループは、より汎用的な材料である酸化チタンを透
明電極として用いた有機薄膜太陽電池である。これまでにニオブをドープした酸化チタン薄膜が、電気を流
しやすく光も通しやすい透明導電膜となることが知られていました。研究グループは、導電性のニオブドー
プ酸化チタンの表面に工業的にも一般的に用いられる紫外線オゾン法による酸化処理を施し、ニオブドープ
酸化チタンに電子と正孔のうち電子のみを選択的に捕集させる。ニオブドープ酸化チタンを有機薄膜太陽電
池の透明電極化手法を確立する(2016.01.26)。

通常、有機薄膜太陽電池の作製では、酸化インジウムスズを透明電極とし、その上に電子のみを流す層とし
て酸化亜鉛を積層し、さらに有機半導体からなる発電層を配置するが、この手法では透明電極と電子のみを
流す層をニオブドープ酸化チタン層の1つで可能となる。

それではどのようにして実現できたか少し詳しく考えてみよう。

有機薄膜太陽電池の有機発電層には、ポリ3-ヘキシルチオフェン(P3HT)とフェニルC61酪酸メチルエステ
ル(PCBM)をそれぞれ電子供与体、電子受容体として用いる。有機発電層が光を受けて電子と正孔(ホー
ル)を生成し、透明電極側と裏面電極側に電子および正孔が、分離捕集されはじめて機能あるいは効率がで
ない。

そこで、従来と本研究の有機薄膜太陽電池の比較し、酸化インジウムスズ透明電極と酸化亜鉛電子輸送層が、透
明電極と電子輸送層の機能を兼ね備えるニオブドープ酸化チタン層一層にまとまっている(上図)。導電性のニオブド
ープ酸化チタンの表面を紫外線オゾン処理で酸化し、半導体化することで、有機発電層から電子だけを選択的に捕
集する。

ニオブドープ酸化チタン薄膜のニオブ量は、光透過を良くするため通常より少ない2%(Ti0.98Nb0.02O2)と
し、300ナノメートルの厚みで有機薄膜太陽電池の電極に用いるために求められる抵抗(シート抵抗40
Ω/sq以下)となることを確認(下/左図)。紫外線オゾン処理時間を変えたニオブドープ酸化チタン透明
電極を使用し、有機薄膜太陽電池を作製しエネルギー変換効率を評価したところ、15分の処理では表面の
半導体化は不十分で漏れ電流が見られたが、30分の処理から漏れ電流はなくなり、60分、90分と処理
時間を延ばすとニオブドープ酸化チタン薄膜の電荷を選択的に捕集する機能が高まり、より大きな電流が得
た(下/右図)。

 

ニオブドープ酸化チタン薄膜のシート抵抗。200 nmの厚みではシート抵抗が高く、300 nmの厚みから十分に
低いシート抵抗となる(上/左)
。最適化された膜厚(300 nm)における電流-電圧特性の紫外線オゾン処理
時間に対する変化。90分の紫外線オゾン処理時間のとき、エネルギー変換効率は2.75%となる(下図)。
これは、酸化インジウムスズと酸化亜鉛を用いた参照素子のエネルギー変換効率(2.91%)に匹敵する
比較的高い変換効率が得られるのは、紫外線オゾン処理による表面酸化により表面のエネルギー準位が大き
くなり、そのため、有機発電層で生じた正孔をブロックできるようになり、電子だけがニオブドープ酸化チ
タン電極に流れるようになったためである(下図)。


このことにより、(1)レアメタルの使用が抑えられるだけでなく、(2)有機薄膜太陽電池の多層構造が
より単純になり、(3)有機薄膜太陽電池の作製の工程の簡略化される。(4)さらに、より高効率な有機
薄膜太陽電池や有機無機ハイブリッド太陽電池など、他の有機系太陽電池にも適用できる可能性がある。

【強風に強い垂直軸型マグナス式風力発電機】

強風でも発電できる「台風発電」実現へ、マグナス力を利用した垂直軸型に取り組むベンチャー企業のチャ
レナジーが話題となっている。風力発電は再生可能エネルギーとしては効率が高く、世界の再生可能エネル
ギーの中でも発電量は水力に次いで2番目に多い。しかし、日本の場合は太陽光発電に偏重し、風力の比率
は非常に低い状況にある。風力発電の普及を妨げている要因として(1)日本では風が一定に吹き続けてい
る場所が少ない、(2)台風などの強風が吹く状況では、ブレードなどが破損する可能性があるため、発電
を行えない。さらに、(3)小さな場所にも設置できないことなどがあるが、同社が取り組む「垂直軸型マ
グナス風力発電機」は、円筒を気流中で回転させた時に発生するマグナス力を利用した風力発電機である。



マグナス力とは速度を持った空気の気流の中を回転する円柱もしくは球が存在する時、この円柱や球の回転
運動に気流が引きづられ移動方向もしくは流れの方向に対し、垂直に働く力のことをいう。例えば、左から
右に一様に流れる気流があったとして、そこの中に時計回りで回転する円柱があったとすると、マグナス力
は上方向に働く。この一定方向に流れる気流(風)に対し、円筒形のものを回転させることで揚力を得て、
回転する風力発電がマグナス風力発電である。つまり、垂直軸型を採用することで、(1)設置スペースを
小さくでき、(2)安全性の向上や、(3)静音化などの効果も期待でき、(4)円筒の回転をコントロー
ルで、発電量を制御できるため、台風など強風環境でも制御できる。

同社は、今年の夏、沖縄県南城市にフィールドテスト機を建設し、世界初の「台風発電実証実験」に取り組
む計画だ。今回の実証実験では、直径3メートル×高さ3メートルの大きさで、発電量1キロワットのフィ
ールドテスト機を設置するという。そして、台風を迎え撃ち、発電量などのさまざまなデータを取得し、大
型の量産機を開発することを目指す。

 
ここでも説明されているように、日本の風力発電工学の最適化は喫緊の課題であることが確認できた。これ
は残件扱いとする。

【第65回 長浜盆梅展鑑賞記】

よく眠れなかったこともあり(前後に大きな地震が起きている)作業もはからず、昼食後、長浜盆梅展を鑑
賞に上天気の中車を走らせる。

長浜盆梅展は、51年(
昭和26年)に、長浜の北部に住む故高山七蔵翁が約40鉢の盆梅が長浜市へ寄贈
し、その翌年から始まっ
た長浜盆梅展は、今年で65回目を迎える。盆梅の見どころの一つは、幹や枝ぶり
から伝わってくる生命力。樹齢百年を超えて捻じれが生
じた幹や老木にみなぎる力が、見るものにパワーを
与えてくれる。ところで、長浜盆梅の生みの親は、東浅井郡上草野村高山(現長浜市高山町)の高山七蔵翁。
村長も務められた高山翁は、趣味で野山から梅の古木を集め、盆梅に育て上げた。高山翁の盆梅は口伝てに
有名になり、当時の長浜市長が「戦後の荒廃から抜け切れず疲弊している人たちに、安らぎと感動を与えた
い」と哀願。熱意に打たれ、長浜市に無償で寄付されたことにはじまる。まことに見事で二人で感心してい
た。過去二回ほど鑑賞しているが、駅前の再開発がされた現在のど規模と豪華さはなく、地味だった印象が
残っているものの、海外からの(特に、中国・台湾)観光客が多いことに驚いた。




 

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自律的太陽光発蓄電工学

2016年01月30日 | 開発企画

 

 

 

    人類への信頼を失ってはならない。人類は大洋のようなものである。
       たとえ大洋の中の数滴が汚れても、大洋全体は汚れない。

                            マハトマ・ガンジー



               You must not lose faith in humanity. Humanity is an ocean; 
                         if a few drope of the pcearn are dirty, the ocean dose not become dirty.

                                        Mahattma Gandhi

       ※ マハトマは「偉大なる魂」の意の尊称。if (=even if)は「たとえ・・・でも」。

                                       
                                  
2 October 1869 – 30 January 1948

 

 

 

   耳を澄ませる


   いつもと変わるところのないいつもの夜。思い出を

   のぞけばまったくの空っぽ。彼は思う

   もう俺は人生の裏側にまで達したのだと。

   でもそうじゃなかった。ちょっと本を

   読みラジオを聴く。窓の外をしばらく

   眺める。そして二階にあがる。ベッドの中で

   ラジオを消し忘れたことに気づく。

   でもまあいいさ、と目を閉じる。夜の深みの中で

   家が西に向けて帆走する頃、彼はふと目覚め

   ぼそぼそという人声に身を凍らせる。

   それから、ああラジオか、と思う。

   起きて階下に行く。どっちみち

   小便だってしたい。外ではいつの聞にか

   小雨が降り始めている。ラジオの声が

   小さくなったり、大きくなったりしている。

   遠くの局のようだな。さっきとは

   局が変わっちゃったんだ。男が

   ボロディンとオペラ『イゴーリ公』について

   しゃべっている。相手の女は

   そうですねと言って笑う。

   ちょっとしたエピソードを話し始める。

   男はスイッチを切ろうとした手をひっこめる。

   彼はまたここで自分が謎を前にして立っていることを

   知る。雨。笑い声。歴史。

   芸術。最後には勝利を収める死。

   彼はそこに立って、耳を澄ませる。





   It was a night like all the others. Empty
   of everything save memory. He thought
   he'd got to the other side of things.
   
But he hadn't. He read a little
   
and listened to the radio. Looked out the window
   
for a while. Then went upstairs. In bed
   
realized he'd left the radio on.
   
But closed his eyes anyway. Inside the deep night,
   
as the house sailed west, he woke up
   
to hear voices murmuring. And froze.
   
Then understood it was only the radio.
   
He got up and went downstairs. He had
   
to pee anyway. A little rain
   
that hadn't been there before was
   
falling outside. The voices
   
on the radio faded and then came back
   
as if from a long way. It wasn't
   
the same station any longer. A man's voice
   
said something about Borodin,
   
and his opera Prince Igor. The woman
   
he said this to agreed, and laughed.
   
Began to tell a little of the story.
   
The man's hand drew back from the switch.
   
Once more he found himself in the presence
   
of mystery. Rain. Laughter. History.
   
Art. The hegemony of death.
   
He stood there, listening.

                                      Listening

    from “Where Water Comes Together With Other Water” (1985)                                

   Tatarian dances

 

 

【自律的太陽光発蓄電工学】

 ヘーリオスとデクスマニーの結婚

昨夜の「半導体レーザーでマイクロキャパシター」(『今夜は新技術三昧』)の続きの話。つまり、アド
ホックで、高変換率薄膜型太陽光発電・蓄電システムのイメージを描いてみる。技術構成としては、(1)
薄膜・透明の太陽電池と同じく、薄膜・高密度・長寿命なキャパシタの合体(貼り合わせ)あるいは窓ガ
ラスに高透過率太陽電池を貼り合わせ、窓枠周辺の壁に同キャパシタを張り込む方法と(2)ループトッ
プや透過を必要としない建造物に掲載・貼り合わせ・嵌め込む方法の2つのタイプで仕分けし、機能構成
として(1)マイクロインバータ、(2)コンバータ、(3)キャパシタとして仕分けし、システム化と
して、(1)発電と蓄電の合体方法、(2)その合体パネルの制御方法に仕分けし考えてみる。以下、関
連、特許を調査しピックアップイメージアップしたが、その事例研究であっという間の一日が経つ。

 「特集|最新発蓄電型太陽電池技術」


● 建造物(窓)への嵌め込み事例

 
特開2015-151798 発電窓システム

【概要】

発電窓システム1は、建造物2に取り付けた窓枠31に取り付けた太陽光発電モジュール4で発電された電力を、窓
枠31内に配設した受電手段5で受信し、蓄電池6へ供給して蓄電する。透光性のガラス板41の室外側に、透光性
の太陽電池42および太陽電池42で発生した
電力を無線で送信する送電手段43を積層形成し、さらに太陽電池42
に調光パネル44の駆動を積層形成して太陽光発電モジュール4を構成する。蓄電池6の電力を、窓枠31内に配設
した制御手段8および送信手段7を介して制御信号とともに調光パネル44に供給し、センサ81で検出した外光強
度に応じて透光を制御する。採光が得られ窓としての機能が損なわれることなく、調光パネル44を動作できる。

● ルーフトップの集電法の事例

 

特開2015-198508 太陽光発電装置

【要約】

太陽光発電装置は、交流電力を出力するACモジュール51と、ACモジュール51を相互に並列接続する
交流組ケーブル52を、屋根に複数設置する。屋根またはその近傍にACプルボックス53を設置し、複数
の交流組ケーブル52をACプルボックス53に接続する。家屋内に交流電力を集めるAC集電箱55を設
置し、ACプルボックス53からAC集電箱55までを交流ケーブル54で接続する。ACモジュール51
は、屋根の水流れ方向に沿って取り付けられた固定レール43によって屋根に固定する。固定レール43上
には交流組ケーブル52を収納可能なダクト部42を設けることで、電力損失を抑え、施工性を高め、系
統連系の安全性を確保し、さらにはメンテナンス性の向上を図った太陽光発電装置を得る。

● コンバータを含む太陽光発電システムの事例

特開2015-159675 コンバータ及び当該コンバータを含む太陽光発電システム

【要約】

本コンバータは、分散型電源のためのコンバータであって、分散型電源からの入力電圧を昇圧又は降圧する
昇降圧回路と、昇降圧回路を制御する制御部とを有する。そして、上で述べた制御部は、昇降圧回路の出力
に対して少なくとも自コンバータの識別子を表す信号を重畳させ、昇降圧回路の出力に重畳されている信号
から、識別子を抽出するための回路を有する。そして、制御部は、抽出された識別子から、自コンバータと
直列に接続されており且つ動作しているコンバータの数を特定し、特定されたコンバータの数に応じて昇降
圧回路の制御を切り替えることで、分散型電源の接続状況に応じて自律的に出力電圧を調整できるようにす
る。

● 発蓄電一体型の事例

 
特開2014-072141 色素増感太陽電池

【要約】

色素増感太陽電池10は、4つの発電セル28A~28Dにより構成される。その負極18A~18Dと正
極38A~38Dは対向し、その間には、電解液74が封止され、発電層24A~24Dが接触している。
正極38A~38Dが形成されたポリイミド層32の他方の主面には、正極38A~38Dに対応する配線
層44A~44Dが、該対応する正極とその隣接する正極の双方に重なる位置に設けられている。正極38
A~38Dと対応する配線層44A~44Dは、ポリイミド層32を貫通するスルーホール52A~52D
と導体54により接続される。引出用の端子部が形成された配線層と負極を除き、発電セルの負極は、隣接
する発電セルの正極と接続された配線層と外周側において接続されることで、低抵抗な導電性材料を用いる
ことで全体としての出力電圧を高く保つことができる色素増感太陽電池を提供する。

ざっくりとした事例研究ではあるが、高効率でコンパクトで高品質・多機能な太陽光発蓄システム開発のイ
メージは今夜描けたように思う。

  Mushroom Terrine

【巨大きのこのびっくりレシピ】

二週間ほど前、テレビで「なばし天415号」の映像が流れていて時間があればそれについて考えてみた
と頭の隅に残しておいた。ネット情報では新品種として特許出願している。椎茸の育成法の特徴は、不純
物質を取り除くために高圧殺菌釜を開発し、元気な椎茸が発生するようしてたこと。従来のサイズの椎茸
の約10倍の大きさがあるというからびっくりする。また、椎茸固有特の旨味成分グアニル酸の含有量が
従来品の3.2倍あり、雑味が無く透き通た味で苦味や雑味が通常品の約10分の1という。ところで、
茸師(なばし)とは、昔むかし日本に椎茸栽培を広めていった伝道師集団の名前という。

 

元々、生シイタケの生産量日本一の徳島県で約12年かけて開発された巨大種。かさの直径15センチほ
どで、大
きいものは25センチ。開発者は、農家への栽培指導や新品種開発を手掛ける「高野キノコプラ
ント」(徳島市)の高野康弘社長。食育活動の一環として各地の幼稚園や学校に菌床ブロックを持参し、
収穫体験をしてもらう中で、シイタケ嫌いの子供が大きな品種には興味を持ち、食べてくれたことから、
03年に研究を始めたという。当初は種菌を菌床ブロック約200個に植えたところ、通常なら1個当た
り40本前後収穫できるが、育ったのは1本だけ。さまざまな品種の菌の交配を試し、最適な栽培法を確
立することでブロック当たり最大10本を収穫できるように。思いがけなく、食味の良さを示す数値も向
上。研究支援してくれた12道県の生産者約90人が「協同組合日本茸師の会」(同県小松島市)を結成。
14年11月11日に発表。各地で天恵(てんけいこ)を栽培し、仲卸業者を通さずに小売店に直接販
売。店頭価格は1本500円前後。


肝心のレシピについて、件の社長はエリンギのようなシャキシャキとした食感味に独特の癖がないので、
今までシイタケを使わなかった料理にも合わせてほしいとか。そこで、オリーブオイル、ニンニク、昆布
ポン酢、料理酒のたれで戴くジャンボ椎茸のステーキなどが紹介されている。なるほどと思うと同時に、
食べたことはないがステーキだけでは大味過ぎる。「世界初のあんこ専門事業:『餡屋』構想」(2015.
11.04「人工培土と餡屋」)ではないが、キノコ、チキン、卵白、ネギ、セロリ、ニンジン、ハーブ、塩、
コショウをアスピック (aspic) で羊羹、あちらでいうところのテリーヌとした方がいいのではないと、
そんな風に考えた。商品としては固形として加熱し、ハーブクレープ(別売)を型に敷き詰め、流し込み
固め直すように、ハンバーグ風に固めるか、もっと固くハム風にして、グリル、バーベキュー、ステーキ
用にもできそうだと。


、 

 

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今夜は新技術三昧

2016年01月29日 | デジタル革命渦論

 

 

 

    私が成功することができたのは、仕事場に時計がなかったおかげである。

                               トーマス・エジソン

       

           I owe my success to the fact that I never had a clock in my workroom.

                                             Thomas Edison  

 

                                                                                             
                                                                                                        February 11, 1847 – October 18, 1931
                                                                                             

 

 

 四国電力、「30日等出力制御枠」に到達】

 

 

 

 

四国電力は今月26日、太陽光発電の接続と契約申し込みが、「30日等出力制御枠」に到達した、と発
表。四国電力の同制御枠は257万キロワットであった。22日には太陽光発電の接続済みと契約申し込
み済みの設備量の合計が制御枠に達したためである。これにより25日以降の契約申し込みについては、
指定電気事業者制度の下での受け付けとなり、系統に接続する場合には、無制限・無補償の出力抑制(出
力制御)が条件となる。

 

ところで、出力制御には3つのルールが存在する。発電設備の接続可能量の空きは、地域によって差があ
るため、地域と発電設備容量で適用されるルールが異なる。

(1)360時間ルール:電力会社が自社の発電設備の出力を抑制しても電力の供給量が需要量を上回る
  場合、年間360時間を上限に、無補償で出力を抑制するよう要請できるルール。

(2)指定ルール:国から指定を受けた電力会社が、接続申込みが接続可能量を超えた場合、それ以降に
  接続を申込んだ接続発電設備を対象に、上限時間なく無補償で出力を抑制するよう要請できるルール。

  指定を受けている電力会社:北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖
  縄電力。

(3)30日ルール:電力会社が自社の発電設備の出力を抑制しても電力の供給量が需要量を上回る場合

 、600キロワット以上の発電設備に対し、年間30日を上限に、無補償で出力を抑制するよう要請で
  きるルール(~15年1月25日以前に接続申込の場合)。

 

固定価格買取制度(FIT)による出力抑制の上限値は、15年1月の運用見直しによって「30日」(30
0日ルール)から、「360時間」(360時間ルール)に変わった。四国電力の場合、1月25日以降の
申し込み分に関しては、年間360時間を超えて出力抑制を行う場合でも、無補償となることを前提に、
接続が可能となる。

これを評価するか?1つは太陽光・風力は発電量が変動すること。2つめは分散型のため配送電系の設備

維持のコスト負担配分をどうするかの問題と、需要量の変動との調整であり、究極的には、地産地消まで
の過渡的制度の変遷だが、ベース電源論議と大きくかかわる。家庭レベルで考えれば、百パーセントの自
給自足かあるいは電力供給先の選択ということになるが、そのいつの現れが四国電力の3「0日等出力制
御枠」の到達し、太陽光は無制限・無無補償である。そして、それは太陽光発電と蓄電の技術革新により
制度も変容していく。

 

 

 

 

 【イネの遺伝子を使ってポプラの木質を増強】

地球温暖化の抑制に、枯渇する化石燃料の代替の植物由来の燃料や材料の開発が進められているが、植物
由来バイオエタノールやバイオマテリアルは、食糧生産との競合問題になり、食糧とことなる木質を原料
とした第二世代のバイオエタノールやバイオマテリアルの開発が急がれていたが、産総研(産業総合技術
研究所)はこのほど、イネの遺伝子を使ってポプラの木質を増強開発に成功(Jan 27th, 2016)。植物の木
質生産性の向上は重要な課題の一つであるが、これまで木質生産を増強しようとすると植物の成長に悪影
響が生じるといった問題があるが、植物の成長を阻害せずに木質生産性を向上させることができるとのこ
と。

 

【DNA情報からトマトの甘さや収量を高精度に予測】

このの技術は、シロイヌナズナの木質生産を制御するNST1転写因子と NST3転写因子の相同遺伝子のイネ
の木質生産を制御するOsSWN1転写因子が木質生産を活性化できる。その遺伝子をポプラの繊維細胞で発
現するが、イネのOsSWN1遺伝子を繊維細胞で発現させるので、シロイヌナズナのNST3遺伝子の植物体内
での発現部位決定する領域(プロモーター)を使用。NST3転写因子遺伝子は繊維細胞で発現し、そのプロ
モーターは繊維細胞での遺伝子発現を誘導。これらを組み合わせた遺伝子構造(上図)を、シロイヌナズ
ナに導入(遺伝子組換え)したところ、位でも木質生産が見られ、木質が過剰蓄積することを発見。一方
比較対照としてOsSWN1転写因子のかわりにシロイヌナズナが本来持つNST3転写因子を用いた場合、その
ような現象はほとんど見られない。次にこの遺伝子構造の中のイネOsSWN1遺伝子に、転写因子の活性を強
化する領域(VP16)を付加して、ポプラに導入(遺伝子組換え)すると、約115センチメートルの幼植
物ではシロイヌナズナと同様に木質生産できる。本来木質生産が起きる繊維細胞では、組換えポプラでは
木質がより厚く蓄積していた。

この成果から今後は、光合成能力の強化など他のバイオマス生産向上技術と組み合わせ、生産量増加を目
指すほか、増強された木質中のリグニンを改変し、加工性や糖の抽出量の向上を目指す。また、ポプラだ
けでなく、ユーカリやアカシアなどの樹木への今回の技術の適用を検討し、30年を目途に木質由来バイ
オエタノールの生産効率を50%%向上、全世界で栽培する木質生産用植物の20%にこの技術を適用し
年間約4千万トンのC二酸化炭素排出削減を目指すとのこと。 

農研機構は、甘いトマトは収量が少ない傾向があり、甘くて収量も多いトマト品種の育成は困難とされて
いたが農業DNA情報からトマトの甘さや収量を高精度に予測する手法を開発した(2016.1.21)。この予測
手法を応用したコンピューターシミュレーションから、甘くて収量も多いトマトの育成が可能なことが予
測でき、この手法を用い甘くて収量も多いトマト品種を、効率的かつ短期間に育成することが可能となる。

 【

【シリコンフォトニクスの画期的な光入出力技術】

これも産総研の研究成果の話。通常、シリコン光配線はウェハ面内に形成される。今回の開発では、シリ
コン光配線の先端をイオン注入によりウェハ面に対して垂直方向に立体湾曲加工して、ウェハ面に垂直な
方向から光集積回路へ光入出力できるようにする。曲げ半径を3μmまで小型化でき、実用化への見通しが
得られたという。表面垂直方向から近接させた光ファイバーとの光結合損失特性は2デシベル(dB)程度
と高効率であり、波長依存性・入射角度依存性・偏光依存性も小さく、従来表面光結合の主流技術であっ
た回折格子型光結合器とは動作原理が異なる画期的な光結合素子。データセンター内外の短中距離大容量
光通信や半導体チップ間信号伝送などの光インターコネクションへの応用が期待される。

今回のシリコン光配線の立体湾曲加工では、まずシリコン光配線の先端部の周囲の石英ガラスクラッド材
料を除去しシリコン材料を露出させた片持ち梁(はり)構造を形成した(下図1a)。次にこの構造にイオ
ン注入を行い立体湾曲加工した(図1b)。イオンの種類、加速エネルギー、注入量で曲げ加工量を制御で
きるが、今回は従来に比べて注入量を大きくして曲げ半径約3 μmという小型構造を実現した(図1c)。そ
の後、さらに石英ガラスクラッド材料をこの構造の上に製膜して立体湾曲光結合器を完成させている。

シリコン光回路の入出力端にこの立体湾曲光結合器を形成したテストチップを試作し、表面垂直方向から
接近させた光ファイバーと光結合させて性能を評価した。その結果、光結合損失値が最小で約2dBという
高効
率の光結合が、1535ナノメータから1610ナノメータの広い波長領域でほぼフラットな波長特性で得られるこ
とを確認(図2)。さらに入射角度依存性と偏光依存性も小さいことが確認でいる。今回開発した技術は
ウェハ段階での検査用途に直ちに応用可能な特性を持っている。特に波長依存性、偏光依存性、入射角度
依存性が小さいという特性は、検査技術の機構的許容度を大幅に増すので、検査用途から実用化を目指す。

 

【半導体レーザーでマイクロキャパシター】

東北大学は16年1月26日、青紫色半導体レーザーを用いて高分子フィルム上に微細なカーボン電極構
を直接描画することで、平面構造で高性能なフレキシブルマイクロスーパーキャパシターを実現したと発表した。
同大学では、「安価なカーボン材料による平面型スーパーキャパシターとしては世界最高の静電容量を有
する」としている。これにより平面型マイクロスーパーキャパシター(電気二重層キャパシター)は、小
型で低コスト、高エネルギー効率な青紫色半導体レーザーを用いた描画によって、フレキシブルな高分子
フィルム平面上に集積化して形成できる。そのため、ウェアラブル・フレキシブル電子デバイスなどの電
源用途の応用が期待されるという。

 Jan 26th 2016

スーパーキャパシターは、通常、2つの電極による積層構造となるが、平面型では 2つの微細なくし形の
電極が、平面上で向かい合った構造となる。そのため、積層型の従来スーパーキャパシターよりも平面型
薄く、フレキシブルで、同一平面内に多数の微細なキャパシターを集積できる特長を持つ。平面型スー
ーキャパシターの作製は、これまで感光性の材料を用いたフォトリソグラフィー法が用いられてきた。
だ、フォトリソグラフィー法は、複数の製造プロセスが不必要。それに対しレーザー直接描画法は、
レー
ザー光を照射した場所に対し、選択的に一段階でカーボン電極構造を形成できる。そのため、平面型
スーパーキャ
パシタの低コスト量産技術構築につながる。

● 半導体レーザーで描画装置を小型化

レーザー直接描画法を用いる場合、これまでは炭酸ガスレーザーなど比較的大掛かりな装置が必要になっ
ている。これに対し、同グループは、より小型でエネルギー消費の少ないレーザー描画装置の開発を行っ
てきた。
その中で、今回、数センチ角という比較的小さな青紫色半導体レーザー(発振波長405nm)を
用いたレーザー直接描画装置を新たに開発し適用。フレキシブルなポリイミドフィルム上へのマイクロキ
ャパシタ構造の形成条件を最適化して、35ナノファラディ/平方センチメートルの静電容量を持つ平面
型マイクロスーパーキャパシターを実現した。35mF/cm2という静電容量は、従来までの最高値の2倍以上
だというという。

  

● 短波長光で、カーボン層の表面積拡大

 

性能が向上した理由について、炭酸ガスレーザー光は10ミクロン付近の赤外線であるのに対し、青紫色
半導体レーザー光は405ナノメータ
とより短波長の光であり、レーザー光を照射するポリイミドフィル
ムでの吸収効率が高いことが挙げられる」と説明。より短波長の光により、特異な多孔質構造で表面積の
大きなカーボン層が形成され、スーパーキャパシターの静電容量の向上につながったとみられている。わ
たしもこの手の実験は行っていたが、まさか半導体レーザーのスクラッブで、フレキシブル薄膜太陽電池
の制作試験は行ったことがあるが、
平面キャパシターを量産化するなどとは考えもしなかった。これは面
白い――薄膜型高性能太陽電池と薄膜型高密度キャパシターが合体すれば、現在のパワコンディショナー
はなくなり、アドホックなマイクロインバーター化する――これぞ、『デジタル革命渦論』なり。


 ● 今夜の怖い話

   Jan 29th, 2016

関西電力、高浜原発3号機を再稼働 3年11カ月ぶり、朝日新聞デジタル(上捨身クリック)

 

 

 

 

 

 

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ゼロ距離で撃つ

2016年01月28日 | 時事書評

 

 

 

   つまり、相手が敵対者なのか、市民なのか。瞬時に識別し、さらに、撃つべきかどうかの
     判断をしなければいけない。判断を間違えれば、命に関わります。もし実戦で遭遇した場
     合、想定外はありえません。だから、その瞬間、小銃を落とした、拳銃が故障したといっ
     たケースも含め、ありとあらゆる状況を想定して訓練をやっています。この訓練は私たち
     の部隊では毎週行っていますが、正直、一番難しいものでもあります。

                                          ジブチに派遣されていた35歳の自衛官 

                                                    「ゼロ距離で撃てるか」

                                                                    

 

 

● 地震予測は可能か:JESEA情報  

 

 JESEAの予測の流れでいくと、2月ごろに震度5以上の地震が発生すると予測される。現実はどうか?

 

 

北陸新幹線を金沢から大阪までつなぐ計画をめぐりJR西日本は26日、与党のプロジェクトチーム(P
T)に対し、福井・小浜から京都を通るルートを要望した。ルートはこの「小浜・京都」を含め4案あり、
与党PTは夏の参院選までに2つほどに絞る方針だという(朝日新聞 Jan 27, 2016)。

それによると、自民党と公明党の沿線議員らでつくる「与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム」の
26日の会合に、JR西の真鍋精志社長が出席して要望を伝えた。理由として、大阪とを短時間で結べる
ことや利便性、北陸と行き来する利用者が多いことなどを挙げた。京都―大阪間は、東海道新幹線とは別
の路線をつくることを要望した。北陸新幹線は現在、金沢――敦賀以西のルートは決まっていない。与党
PTはこれまで、琵琶湖の東側を通る「米原」、西側を通る「湖西」、小浜から新大阪に向かう「小浜」
の3ルートについて検討してきた。3ルートの建設費は、2013年の関西広域連合の試算で約5100
億~約9500億円とされる。「小浜・京都ルート」の試算は出していない第4のルートがでてきた。こ
の日の会合にはJR東海も出席。米原から東海道新幹線に乗り入れる案について、現在でも過密ダィヤの
ため、非常に困難であるという考えを示した。 今後、与党PTが4ルートの利用見込みや建設費などを
検討して絞り込む。そのうえで政府・与党が最終的にルートを決め、国土交通相が認可するが、その時期
は決まっていない。整備新幹線の建設費用はJRが支払う新幹線施設の使用料を除き、国と地方自治体が
2対1の割合で負担していた。ただ、敦賀―大阪間については、JRの使用料は他の建設費に充てられる
見込みのため、財源が確保できていない。建設費用もまだ不透明な状況だが、与党PTがルートの絞り込
みを急ぐのは「参院」選向けに有権者の期待を高めるねらい」(JR関係者)との見方も出ているという。



わたし(たち)の立場は明確である。(1)2013年の関西広域連合の米原ルートの採択に準拠するも
のでさらに踏み込み、(2)米原乗り換え不要の「(金沢)敦賀-新大阪」「(金沢)敦賀-名古屋」直
行列車の増発――分岐駅である米原駅の要拡張――を狙っている。(3)この区間のダイヤ過密の緩和―
―新大阪間では京都、名古屋間では岐阜羽島の1駅のみで、各停新幹線列車代替えなどで――できるので
はと考えている。問題はJR西との相互乗り入れに対する東西JRの姿勢であろう。大都市では私鉄や地
下鉄との総合乗り入れは常態化している。老婆心であるが、JRのセクショナリズム(sectionalism;部局
割拠主義)の弊害を憂慮する。(4)さらに、米原ルートは、「工期短縮×経費圧縮×経済効果大」で、
他のルートを圧倒している。中でもなかでも、「小浜・京都ルート」は工事費用が不明で仮に、京都の環
境景観保護のためにリニアモーター並みの大地下鉄道敷設などが組み込まれるため――工費は膨れあがる
と予測されるが、
それらの費用を敦賀以西の山陰新幹線の早期着工に振り向け――古都京都を中心地に、
大阪・金沢・名古屋を新幹線と空港路線で結ぶという構想である。


        知りぬらむ ゆききにならす 塩津山 世にふる道は からきものぞと     

                                     紫式部


思えば、日宋貿易の父祖平忠盛の夢にはじまる、日本海と太平洋を結ぶ「日本列島縦断運河構想」(『メ
タセコイヤと彼岸花』2016.09.31)はこの米原ルートの実現は中世と現代とを結ぶルートでもある。これ
に多賀と伊勢を高速道路で結ぶことができれば夢は終焉するのである。よろしく、ご再考を。 

 

 

  Jan 22th, 2016

 【KLMオランダ航空 バイオ燃料路線離陸】

● 植物由来のバイオ燃料で飛行機が飛ぶ、オスロからアムステルダムまで

この春から、KLMオランダ航空は、世界初のバイオ燃料供給のオスロからアムステルダム行き便が運行
――14年にアムステルダムからカリブ海のボネール島にバイオジェット燃料飛行を行い、今回はノルウ
ェーのオスロとアムステルダム間で運行、機材はエンブラエル社のE-190sを使用――し、
オスロ空港で、
欧州での航空機用の持続可能な燃料を実現するイニシアチブITAKA(Initiative Towards sustAinable Ke-
rosene for Aviation;国際航空運送協会
)プロジェクトのバイオ燃料が従来システムで供給される。また、エ
ンブラエルの機体では、軽油とバイオ燃料の効率性を比較テストを行う(下図)。

  SkyNRG

KLMでは20年までに11年比で二酸化炭素排出量を20%を削減目標にさまざまな取り組みを進めて
きている。バ
イオ燃料使用推進とともに、効率性を高めて二酸化炭素削減を推し進める。航空機燃料も二
酸化炭素排出量削減を求める動きが広がっている。国連の専ICAO(国際民間航空機関)や、民間航空団体
であるIATAは、20年以降の航空温室効果ガス削減対策の一環で「代替航空機燃料の活用」促進を表明。
ICAOが20年に二酸化炭素排出量を頭打ちとする目標を策定。IATAはこれを踏まえ、20年までに世界
平均年1.5%燃料効率改善、50年までに05年比、二酸化炭素排出量50%削減という目標を掲げる。
この目標の達成には従来のジェット燃料をそのまま使用し続けていれば難しく代替航空機燃料の活用が必
須。その代替航空機燃料のバイオジェット燃料注目されている。

最終的には、コストだけの問題になるがこれは、量産化がはじまれば逓減していくだろうと考えているが
どうだろう。

 

   

【中国の思想: 墨子Ⅴ】
 
  公輸――墨子と戦争技術者※
  尚賢――人の能力を正当に評価せよ
 兼愛――ひとを差別するな※
  非攻――非戦論
 節葬――葬儀を簡略にせよ
 非楽――音楽の害悪
 非命――宿命論に反対する
 非儒――儒家批判
 親士――人材尊重
 所染――何に染まるか

 七患――君子の誤り七つ
 耕柱――弟子たちとの対話
 貴義――義を貴しとなす
 公孟――儒者との対話
 魯問――迷妄を解く
 
 

   親士 - 『墨子』    

● 親士 ― 人材尊重 ― 

  駿馬を乗りこなすには

  ここに錐が五本あるとする。まっ先に折れるのは、いちばん鋭利な錐である。刀が五本あれば、ま
 っ先に摩滅
してしまうのは、いちばん切れ味のよい刀である。うまい井戸の水がいちばん先に汲み尽
 くされ、高いまっすぐな木がいちばん先に伐り倒され、霊亀がいちばん先に灼かれ、神蛇がいちばん
 先に太陽にさらされる。 
   比干が殺されたのは、かれがあくまで紂王に屈伏しなかったからだ。孟賞が殺されたのも、かれ
 が
勇気ある人だったからだ。西施が長江に沈められたのも、彼女があまりに美しかったからだ。呉起
 が
車裂きの刑に処せられたのも、かれが革新的な政治家だったからだ。かれらはいずれも、自分の長
 所
がわざわいして、死を早めたのである。こういうことばがある。

 「抜きん出た人材が、地位を守ることはむずかしい」


  しかし、功績をあげない臣下はいかに賢君でもとりたてようがない。ちょうど、慈愛深い父親でも、

 穀つぶしの息子は愛さないのと同じである。してみればその任務が果たせないのに、その地位に留ま
 る臣下は、臣下ではないのだ。その爵位にふさわしくないのに、その位に安住する君主は、君主では
 ないのだ。
  強弓は、ひきしぼることがむずかしい。しかし、強弓であってこそ矢が高い所にまで届き、深くつ
 きささるのだ。駿馬は乗りこなすことがむずかしい。しかし、駿馬であってこそ、重い荷物をものと
 もせず、遠くまで駆けるのだ。それと同じように、すぐれた人材は、使いこなすことがむずかしい。
 しかし、すぐれた人材であってこそ、君主を導いてその偉大さを世に示すのだ。

 

  大河は、谷川の水が流れこむのを拒まない。だからこそ、大河たりうるのだ。それと同じように、
 聖人はどんなことも避けないし、どんなものでも拒まない。だからこそ、天下の器たりうるのだ。
 大
河は多くの流れを集めてできたものである。高価な狐白裂も、多くの狐を集めてできたものだ。
 した
がって、君主は、道を同しくする者をたくさん集める必要がある。それをしないでは、度量の大
 きい
王者とはいえない。
  すべて偉大なものは単純ではない。天地は光り輝いてはいないし、大河の水は澄んでおらず、大火
 は明るく燃えはしない。王者の徳は、目にみえて高くそびえたつものではない。矢のように直く、砥
 
石 のように平らか、というのは、せいぜい千人ばかりの長にすぎず、すべてのものを覆いつくすに
 は不十分である。細い谷川はじきに涸れる。浅い流れはじきに尽きる。
  石ころだらけの土地には草一本育だない。王の恩沢も宮中だけにしか行なわれないようでは、国全
 体を潤すことはできない。

                     

  〈霊亀、神蛇〉 霊亀は、万年の寿を保つ亀といわれ、この甲羅を灼いて、そのひび割れの形によっ
  て吉凶を占う。神蛇は、深淵にひそんでいて、雲や雨を呼ぶ霊妙な蛇とされ、旱昿のさい、この蛇
  を太陽にさらして、雨乞いをした。

  〈比干〉 殷の紂玉の叔父。紂玉の暴虐非道がますますはげし巫くなったのをみた比干は 「主君に
    過ちがある以上、死を賭していさめなければ、罪のない人民がひどい目にあう」といって、紂王に
    諌言した。紂王は怒って、「聖人の胸には七つの穴があるという。本当かどうか調べてみよう」と
    いって、比干を殺し、その心臓を開いてみたと伝えられている。

   〈孟賞〉 戦国時代の勇者。生きた牛のつのをひきぬくほどの大力の持ち主であったといわれる。

   〈西施〉 春秋時代の越国の美女。呉王夫差と戦って会枯山で敗れた越王勾践は、呉王色好みであ
    ることを知り、美女を献上して、呉王を骨抜きにしようと思った。その命を受けた重臣の茫恙は、
    この西施を呉王に献上した。果して呉王は、西施の色香に迷って政治をおろそかにし、ついに越に
    滅ぼされてしまった。その後、西施は越に戻ったが、こんどは越王を迷わせるのではないかと疑わ
    れて、長江に沈められたといわれる。

   〈呉起〉 戦国時代の衛の人。魯、魏で将となり軍功があったが、ねたまれて亡命し、楚で宰相に
    任ぜられ、革新政治を行なった。しかし悼里の死後、反対顔に暗殺され、死体は車裂きにされた。

   〈狐白裘〉 狐の白い腋毛を集めてつくった皮衣。軽くて暖かいので、珍重された。『史記』孟嘗
  
君列伝にこんなエピソードがある。孟嘗君が諫言にあって、秦王にとらえられた。秦の昭王の寵
  にとりなしをたのむと、「紅白害がいただければ」という。ところが孟官君は、一枚だけもっ
てい
  た狐白裘を秦王に献上してしまっていた。思いわずらっていると、食客の狗盗が、夜になる
のを待
  って、狗のまねをしながら、秦の宮殿に忍びこみ、さきに献上した狐白裘を盗み出して帰てきた。
  孟嘗君はそれを秦王の寵姫に献上し、彼女のとりなしで釈放を許されたという。


    今有五錐、此其銛、銛者必先挫。有五刀、此其錯、錯者必先靡、是以甘井近竭、招木近伐,
    靈龜近灼、神蛇近暴。是故比干之殪、其抗也。孟賁之殺、其勇也。西施之沈、其美也、起
    之裂,其事也。故彼人者,寡不死其所長,故曰。太盛難守也。故雖有賢君,不愛無功之臣。
    雖有慈父、不愛無益之子。是故不勝其任而處其位、非此位之人也。不勝其爵而處其祿,非
    
祿之主也良弓難張,然可以及高入深;良馬難乘,然可以任重致遠。良才難令,然可以致君
    見尊。是故江河不惡小谷之滿己也,故能大。聖人者,事無辭也,物無違也,故能為天下器。
    是故江河之水、非一源之水也。千鎰之裘,非一狐之白也。夫惡有同方取不取同而已者乎。
    蓋
非兼王之道也。是故天地不昭昭、大水不潦潦、大火不燎燎、王不堯堯者、乃千人之長
    也、其直如矢,其平如砥,不足以覆萬物,是故谿陝者速涸,逝淺者速竭,墝埆者其地不育。
    王者淳澤不出宮中、則不能流國矣。
 


         《解説》         この編は、唐代以降の写本では『墨子』開巻の第一におかれている。しかし、その内容
   は儒家に近い。また、次の「七患編」とともに、冒頭の「子墨子曰く……」というフレーズがな
   いのも、いささか他編と異っている。そこで、この縮は、墨子が儒家思想から脱しきれなかっな
   初期の自著ではないかという説がある(清の畢沅など)。
   あるいはまた、原文に脱落が多く、文意が一貫しない点もあることから、後人が儒家の説をわり
   
まぜたのであろうという説(孫詒譲)もある。これによると、儒家が盛んとなって墨家が異端視
   されるに至った後代、その時流に合わせるため作為して、『墨子』の冒頭においた、というのだ,



● ゼロ距離で撃てるか

海外派遣に備える自衛隊員の「腹ぎめ」の特集を読んで、「射程距離」を大地震の発生、交通事故、ある
いは、浮気現場などとの「不慮遭遇」を想定してみた。そして、「研ぎ澄ます」緊張状態とその時間との
関係を想定してみた。平和とはしみじみと有り難いものだと再認識する。
 

 

 

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極寒後の好日

2016年01月27日 | 時事書評

 

 

 

   まことに自由は貴重なものであるII非常に貴重なものである。
        それゆえ配給されなければならないのである。

                                    ニコライ・レーニン
       
  
        It is true that liberty is precious, precious that it must be rationed.
 
              シドニー・ウエフブとビアトリス・ウエッブ共著の『ソヴィエト共産
     義、新しい文明?』の中にレーニ  ンの言葉として引用されて
いる。 
              so・・・that 「ひじょうに・・・だから~」と 因果関係の相関構文。
              ration は「配給する」。配給された自由という言葉はここからはじまる。

                                                                                            
                                       Nikoi Lenin  1870-1924

 

    Jan 20, 2016 Reuters

 【近年の記録的高温、原因は温室効果ガス】

やっとと言うべきか、米国の科学者などが参加する研究グループが、2000年以降記録的な期間にわ
って高温が続いている原因が、ほぼ確実に人間の活動による温暖化であり、太陽の熱出量変化や火山噴

による日光遮断など自然の変動が原因である確率はほとんどないとの研究結果を発表(The Likelihood of
Recent Record Warmth, Michael E. Mann et, al. Nature Scientific Reports 6, Article number: 19831 (2016)
)。

  doi:10.1038/srep19831

研究報告によると、最近見られる記録的な気温傾向が、人間の引き起こした温暖化なしに発生していた確
率は極端に低いと指摘。またリポートは、2000─2014年までの15年間のうち13年が記録的高
温だったとし、その確率は770分の1、人間による影響のない状態なら1万分の1と推定。国連世界気
象機関(WMO)は25日、2015年がそれまでをはるかに上回る記録的な高温だったとする英米から
のデータを確認。強いエルニーニョ現象で太平洋の海面温度が上昇し暑さが助長されていたとする。同機
関によると、エルニーニョ現象は今後数カ月で終息するが、人為的に引き起こされる気候変動は今後数十
年続くと予測している。

 


【再エネ百パーセント時代:米テキサス州の「太陽光百%プラン」】

日本では4月から電力小売りが全面自由化され、一般家庭の電気利用者が初めて電力を「選択」できるよ
うになる。米国では電力自由化は国レベルではなく、州レベルで決められ実行される。米国の中で最も電
力自由化が進むといわれるテキサス州で、地域の太陽光発電を百%使った地産地消を促進する電力料金プ
ランが初めて登場した(「米テキサス州の電力会社が「地元の太陽光百%プラン」 メガソーラー, 日経テ
クノロジーオンライン, Jan 27, 2016)。

テキサス州は電力の消費量が全米で最も多く、約378テラワット時――英国やスペインに匹敵――でそ
の石油・ガス火力、さらに風力発電でまかなわれる。02
年に電力自由化が実施移行。従来、発電と送配
電設備を所有していた大手電力会社を分割し、発電会社と送配電会社に分離した。電力小売りの自由化が
進むなか、送配電事業は引き続き規制の下に置かれる。地域の太陽光発電を百%使った電力プランの提供
者はTXU Energy社(小売電気事業者)――発電、送配電、そして小売りを一貫して手掛ける地域独占の大
手電力会社を自由化に伴いカンパニー制に移行し、Energy Future Holding Corp.という新しいホールディン
グ・カンパニー(持ち株会社)の下に発電事業会社、送配電事業会社、小売事業会社の3社に分離――で
ある。このプランは「ソーラーアドバンテージ36」と呼ばれ、契約期間は36カ月(3年)、気になる
電気料金は、月々2千キロワット時消費する家庭の場合、1キロワット時当たり平均12.9米セント(日
本円に換算して約15.2円相当)。

因みに、米国エネルギー省(DOE)のエネルギー情報課(US Energy Information Administration)によると、
15年10月のテキサス州家庭用電気料金の平均単価は11.41米セントで、米国平均の12.73米セ
ントを下回っている。また、自由化されたテキサス州の電気料金の内訳は、主に基本料金(月額固定)と
従量制の電気利用料(料金単価×使用量)、送配電使用料金(月額固定の基本料金と従量制の使用単価か
らなる)と、税金を含む他の料金で構成。送配電使用料金に多少の変動はあるが「ソーラーアドバンテー
ジ36」は発電に関わる料金は3年間固定され、発電基本料金(月額)は9.95米ドル、発電電気料金単
価は7.9米セント/キロワット時。さらに、このプランは地元の大規模太陽光発電所から賄われ『環境価
値』の購入に関する契約を結び、太陽光発電システムを設置できないが、太陽光発電に興味のある顧客が
対象になり、このニーズに応えるだけの資源(太陽光発電)は整っている。

これに対して、日本では、経産省が「電力小売りの指針」で、太陽光電力の時間的な「移転」を認めず
参考図)、そのため「太陽光百パーセント」と表示するには、太陽光の電力を貯めておき、夜間や雨天に
放電する蓄電池が必要となり、テキサス州が太陽光電力から「環境価値」を分離して流通させることで、
蓄電池なしでも「太陽光百パーセント」が可能になっている。

さらに、TXU Energy社は、「地元の太陽光百%プラン」以外にも太陽光発電に関連したサービスを提供。
太陽光発電システムの設置販売で、このサービスは15年11月に、米SunPower社――世界最高の変換効
率を誇ったバックコンタクト方式の太陽光パネルの製造・供給で知られる世界的メーカー――とのパート
ナーシップを組み、
サービスは「SunPower社によるTXUソーラー」と呼ばれ、ダラスとフォートウォース
地域(テキサス北部)在住の特定の顧客――南か南西向きの屋根付きの一軒家を持つことが条件に提供さ
れる――にシステム購入用のファイナンスオプションも用意し、加えて、小売電気事業者ながら、太陽光
発電での余剰電力をも購入する特徴をもつ。

このケースから、電力自由化という点では、米国より遅れているようだ。


 

【最新ナノ電子工学 2016:最新太陽電池国内特許】

● フォトデバイス検査方法: 特開2016-007105

多接合型太陽電池のように、深さ方向において吸収波長領域が異なるフォトデバイスにおいて、各吸収波
長領域に対応した波長の励起光を照射することにより、特定の深さ部分から電磁波を発生させることがで
き、各吸収波長領域に対応した連続光の波長を照射することにで、特定の深さの部分を起電力が発生状態
を再現し、深さ方向の各部分の状態を変化させて電磁波計測を行うことで、フォトデバイスを多角的に検
査できる下図のような検査装置が新規に提案されている。

  Jan 14th, 2016

● ペロブスカイト型太陽電池の製造方法: 特開2016-009737

従来より長期安定性に、生産性にも優れたペロブスカイト型太陽電池の効果が発揮される製造方法の新規
提案――透明導電膜基板上に、電子輸送層を設けた第一電極、電子輸送層上に設けられた多孔質層、多孔
質層上に設けられたペロブスカイト化合物層、この層上に設けられたホール輸送層、ホール輸送層上に第
二電極を具備したペロブスカイト型太陽電池の製造方法―――で、ハロゲン化アルキルアミン、金属ハロ
ゲン化物の溶液を、多孔質層上にスプレーして下記一般式(1)にて表されるペロブスカイト化合物層を
多孔質層上に形成する工程を特徴とする(下図クリック)。、

XαYβMγ ・・・一般式(1)

(式中、Xはハロゲン原子、Yはアルキルアミン化合物、Mは金属を含み、α:β:γの比率が3:1:1
であり、β及びγは1より大きい整数を表す)
 

  Jan18th, 2016

 

なお、この特許での、長期安定性の評価について表記されていないのでここはクエスチョンである。また、
前者の技
術も評価実施データの記載はないが、多接合一体の型高効率太陽電池の開発研究には欠かせない
ものであろう。

 

 ● 今夜の一席

昼から、好天気に恵まれ、長曽根沼地殻の荒神山の2つの小規模ソーラーパークを視察後、キャッスルロ
ードで、BGMにフランス・ギャルの「夢見るシャンソン人形」を聴きながらシックな湯飲みに点てられ
た"ほうじ茶ラテ@和結"を戴き帰ってきた。
 

 

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除雪と超人産業

2016年01月26日 | 環境学・環境思想

 

 

 

      That's thereason vvhy they're called lessons,
                                                               because they lessen rrom day.

                          Lewis Carroll: Alice In Wonderland

            だからレッスン(学課)といわれるのさ。月曜日6時間、火曜日5時間、
           水曜日4時間・・・というふうにレッスン(減ってゆく)からさ。

                                                     ルイス・キャロル     「不思議の国のアリス」

 

                                                                                     

                                                                                  27 Jan 1832 – 14 Jan 1898

 

 

   ホミニイと雨

  地球科学科校舎の壁の

  すぐそばの、小さく区切られた地面で

  キヤこハスの帽子をかぶった男が

  膝をついて、雨の中で何かの草木を

  いじっていた。隣の校舎の上の方の窓から

  ピアノの調べが聞こえてくる。やがて

  その音楽は止む。

  そして窓が下ろされた。

  大学の中庭の桜の木に咲いている

  白い花は開けたばかりのホミニイの

  缶みたいな匂いがすると

  君は言った。ついホミニイを

  思いだしてしまうのだと。それが真実か否か

  僕にはわからない。

  僕は嗅覚というものをなくしちゃったんだ。

  地面に膝をついて植物だか野菜だかを

  いじることにかつて少しは

  示していたかもしれない

  関心なんかと一緒にね。片耳にリングをつけた

  裸足の狂人がひとり、

  ギターを弾きながらレゲエを

  歌っていた。僕はそれを覚えている。

  その足元には雨の水たまりができていた。

  彼が自ら選んで立っている

  場所には、舗道に赤い字で

  Welcome Fear(恐怖来たれ)と書いてあった。

  そのときには、自分の草木の前に

  膝をついている男を思いだすのが

  大事なことみたいに思えたのだ。

  桜の花。なにかの音楽、そして別の

  音楽。でも今ではあまり確信は持てない。

  確信があるとは、とても言えない。

  僕の脳味噌にはまるで小さなへこみが

  あるみたいだ。なにかの感覚を僕は失って

  しまっている――全部、何から何までというのでは

  ないけれど、取り返しがつかないくらいいっぱい。

  僕の人生のある部分が、永遠に。

  まるでホミニイみたいに。

    たとえ君の腕と僕の腕とがしっかりと

    組まれていても。たとえそうだとしても。たとえ

    雨が勢いを増してきた戸口で僕らが

    静かにたたずんでいたとしても。

    そして何も言わずにじっと雨を

    見ていた。静かにそこに立っていた。

    心おだやかに、と僕は思うんだ。僕らはそこに立って

    雨をじっと見ていたのだけれど。そのあいだ男は

    ずっとギターを弾きつづけていた。


     (訳注) ホミニイはひき割りトウモロコシのおかゆ

                            Hominy and rain

    Hominy Grill's Shrimp and Grits

 

 

【除雪と超人産業】 

デアゴスティーニのマイ3Dプリンターも今週号で完成となるところまできたものの下図のパソコンと
『idbox!』をケーブルに接続し電源を入れ、X軸・Y軸のヘッドの動きと、Z軸のテーブルベースの動
きを確認し調整する段階とかいので、専用ソフト『idbox!』をダウンロードしプリンター設定を繰り返
すもポートは表示しない。ケーブルを入り切りを繰り返し、再起動を指示されているように繰り返せど
も、「ポート表示」されず、最後には「ポートがない」とOS側から警告表示され、接続できず、サポ
ートセンタに電子メールを入れて、対応に時間がかかるという返事なのでそれがいつになるのかわから
ない。そこで、家の周りの道の除雪作業を行う。

 
ところが、日陰の除雪が難航。カチンカチンに凍ってしまいスコップで垂直にカチ込みその反動で道路
に固着し、凍り付いた雪を浮かせすくい取るのだが、大きな音を立てざるをえない上、ドカチン作業と
なりかなりの重労働となる。作業しながら、ナノレ技術の翻訳や精密機械の組み立てやソフト開発を行
っているものが急に重労働もこなすことはできない、つまりよく言われる”文武両道”はどう見てもで
きそうもない――時間をかけ慣らしてからなら平均的なレベルまで追いつくことはできるだろが――そ
んな器用なことはとできない。ラクビー話題となった五郎丸のような体育系世界から繊細な文理系世界
の双方を一人こなせるにはどうしらいいのかと考えてみたのだが、これは、『個人史としてのデジタル
革命』で記載した「5次産業」なのだと確信した瞬間である(ここでは4次産業は定義済み)。つまり、
エスパ(extrasensory perception:テレパシー・テレキネシス・テレポーテーションなど常人にはない力を
発揮する超能力養成関連産業だと、あるいは人間のあらゆる能力を統合し、全人類に役立てる産業、つ
まり『超人産業』だと。ともあり、それはさておき3Dプリンターの方を早く片付けなければならない。

  喩えとしてのスーパーマン

 

 

 

 

【中国の思想: 墨子Ⅴ】
 
  公輸――墨子と戦争技術者※
  尚賢――人の能力を正当に評価せよ
 兼愛――ひとを差別するな※
  非攻――非戦論※
 節葬――葬儀を簡略にせよ
 非楽――音楽の害悪
 非命――宿命論に反対する
 非儒――儒家批判
 親士――人材尊重
 所染――何に染まるか

 七患――君子の誤り七つ
 耕柱――弟子たちとの対話
 貴義――義を貴しとなす
 公孟――儒者との対話
 魯問――迷妄を解く
 

※ シリーズとして掲載(途中も含め)した「編章節」はピンク色にしている。
  尚、段行末尾の※は、以前取り上げたことがあるもので、改めて記載するもの。

   親士 - 『墨子』    

● 親士 ― 人材尊重 ― 


    ごますり


  こんなことばがある。

  「満足する心さえあれば、どんな家にでも住めるし、財産などなくても平気だ」
  君子とは、こういう人である。多くの人が楽な仕事にとびついて、困難な仕事を他人に押しつける
 なかにあって、君子はすすんで困難をひきうける。栄達しても志を曲げず、困窮におちいってもくじ
 けない。たとい、野に埋もれていても、不満に思わない。自分に信念があるからだ。
  目的を遂げるには必ず困難がつきまとう。したい放題のことをすれば、ろくな結果にならない。君
 主がへつらい上手の重臣に身を滅ぼされ、上役がお追従のうまい下役にしてやられるのはこの道理が
 わからぬからだ。

  臣下が君主にへつらわず、下役が上役に向かって率直に進言し、大っぴらに論争が行なわれて、対
 立する者同士が口角泡をとばす状態であって、はじめて君主は生命を全うし、国を保つことができる。
  その反対に、臣下が保身に汲々とし、重臣から下っぱ役人まで何もいわなくなると、不満が民心に
 宿るようになる。ごまをする連中ばかりが君側に集まり、進言のパイプがつまってしまえば、国は危
 うくなる。桀・紂が生命を縮め天下を失ったのは、天下の賢士を抱えなかったからではなかったか。
 「国に対する最上の貢物は賢士を推薦することだ」というではないか。


     吾聞之曰。非無安居也,我無安心也。非無足財也,我無足心也。是故君子自難而易彼,
     眾人自易而難彼,君子進不敗其志,內究其情,雖雜庸民,終無怨心,彼有自信者也。
     是故為其所難者,必得其所欲焉,未聞為其所欲,而免其所惡者也。是故偪臣傷君,諂
     下傷上。君必有弗弗之臣,上必有詻詻之下。分議者延延,而支苟者詻詻,焉可以長生
     保國。臣下重其爵位而不言,近臣則喑,遠臣則唫,怨結於民心,諂諛在側,善議障塞,
     則國危矣。桀紂不以其無天下之士邪。殺其身而喪天下。故曰。歸國寶,不若獻賢而進

 


【ジャジーな風に吹かれて Ⅸ: ハイ・ファイ・エリントン・アップタウン】

ハイ・ファイ・エリントン・アップタウン(Hi-Fi Ellington Uptown)は、米国のジャズ・ピアニスト、
ビッグバンド・リーダーのデューク・エリントンがビッグバンド編成で録音し52年に発表したアルバ
ム。収録曲は、スキン・ディープ Skin Deep (Bellson) 6:58/ザ・ムーチ The Mooche (Ellington-M-
ills) 6:36/A
列車で行こう Take the “A” Train (Strayhorn) 8:00/パーディド Perdido (Drake-Lenk-
Tizol) 8:23/
コントラヴァーシャル組曲 The Controversial Suite (Ellington) 10:30


アルバムに収録された「コントラヴァーシャル組曲」(The Controversial Suite)は、エリントンの音楽
変遷を再現した「ビフォア・マイ・タイム」(Before My Time)と、「レイター」(Later)の2つのパ
ートの組曲。50年に作曲、翌年1月21日にメトロポリタン・オペラ・ハウスで初演される。一方、
「ハーレム組曲」(The Harlem Suite)は、アフリカ系アメリカ人の歴史と生活を音で描いた。エリント
ン楽団が50年5月から6月にかけ行なったヨーロッパ・ツアーの帰途船上で書かれた。この曲は別名
「ア・トーン・パラレル・トゥ・ハーレム」(A Tone Parallel to Harlem)と呼ばれる。
さて、彼が他の
多くの作曲家う最大の特徴は、オーケストレーションの楽器や編成でなく、オーケストラを構成するメ
ンバーの個性や能力を生かし結実させている。

    April 29, 1899 – May 24, 1974

 

 

 

 

 

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2016年01月25日 | 時事書評

 

 

 

     今は孤独な闘いじゃない。一緒に闘ってくれる人がいる.  

                                                                             琴奨菊

                                                                       Jan 30,th 1984-

                                                               

 

  

 【全世界的な異常気象の常態化】

15年は史上もっとも暑い1年だつたが、地球温暖化には歯止めがかからず、エルニー
ニョ現象の影響で、オーストラリア・米国・メキシコ・南アメリカをはじめとして世界
中で洪水
や間伐が発生、また赤道直下では発達したハリケーン・ターイフーン・サイク
ロンが
多発し甚大な被害を与える。また、南極大陸では降雪の影響で膨張する反面、張
北極点では12月30
日の気温が、異常上昇し0.71℃まで上昇する(上/下図クリ
ック)。

 Dec 30th, 2015

この年の10月24日には、中心気圧879ヘクトパスカル、最大風速 90メートル
の史上最大のハリケーン・パトリシアが瞬時に発生し消滅する。風速 90、100メ
ートルの直撃に曝さらされれば、該当地域は崩壊するが、さらに、その倍の200メー
トル級が発生することも可能だと米国のMT大学の研究グループによると、表層海水温
度が37.8℃――巨大な小惑星の熱帯の海への衝突あるいは大規模な海底火山の噴火
のどちらか――で発生するという(下図クリック)。このように、スーパー台風などの
発生要因は、水深百~2
百メートルの海水温度が上昇することにある。その温度条件が
26℃以上ということが実証実験装置や電算機による模擬実験(シミュレーション)で
確認されている(→逆に言えば、スーパー台風が発生する水温以下にするための震度の
深い低温の海水を吹き上げる自動曳航型メガフロートが開発し表層海水温度上昇を抑制
できれば対処療法となる)。因みに、14年のフィリピンを襲ったスーパー台風は、直
径千キロメートル、風速90メートル
の暴風、高さ10メートル高潮を伴った。

  Oct 24th, 2015

25日、日本だけでなく、米国でも記録的な大雪に見舞われた。この寒波の原因は、北
極の上空にできる「極渦;polar vortex、polar vortices)とは、北極および南極の上空にで
きる、大規模な気流の渦のこと。周極渦(「しゅうきょくか」または「しゅうきょくう
ず」)、ポーラーサイクロン(polar cyclone)、北極低気圧(arctic cyclone)、南極低気
圧(antarctic cyclone)」といわれる巨大な気流が現在、蓄積された寒気が北
極から3つ
の方向に放出されていて、日本が大雪に見舞われ、米国で特に強い寒気が流
れ込み、記
録的な大雪を観測。11州で非常事態宣言が発令される。今回はさらに勢力
を増し、大
雪の目安となる上空1500メートル付近で氷点下12.7℃の寒気が、シ
ベリアや中
国を超え、北陸や西日本にまで流れ込んでいる。日本列島からみると、北
西の方角から
非常に冷たい空気が吹き込んでくる形。今回は勢力が強いため、北海道から
中四国、九
州地方にまで広範囲に影響が及ぶ見通。降雪の目安となる氷点下6℃の
寒気のラインは
、奄美大島(鹿児島県)まで南下。台湾では80人が、米国では29人が死亡している。

  Jan 25th, 2016

人為的地球温暖化との相関係数(決定係数)と極渦指標とどのようにあるかの議論の深
まりは
いまだしの感あり。しかし、わたし(たち)はこの循環周期は早まり極寒化は信
進行するものと予想している。

 

 

   ムーヴメント 

 フェリーに間に合うように全速力で車を運転する。

 スノウ・クリーク、そしてドッグ・クリークが

 ヘッドライトに照らされて飛び過ぎていく。

 でも今はそれどころじゃない。そこにいる川のぼりの

 鱒のことを考えているような暇はないんだよ。

 山間に差しかかったところで、

 薬罐に入って旅してまわっている

 おばあさんについてラジオで何か

 喋っているのが聞こえる。

 我々の人生の根元には困窮というものがある。そのとおり。

 でもこいつはちょっとひどい。

 このおばあさんを誰か、なんとかしてやれよ。

 彼女にだって子供がいるだろう。

 おいあんた、もう時間も遅い。自分の上に

 薬罐の蓋が下りてくるところを想像してごらん。

 讃美歌と鎮魂歌。次なる場所へと運ばれていくときの

 運動の感覚。

                              Movement

 

 ● DIY日誌: 寒波に備え融雪剤の効果確認

先日の積雪で、自宅の南南東にあるすこし勾配がある道を自動車スリップして上れなく
なるトラブルで市役所に報告し、昨夜9時に融雪剤を散布。再び午前2時に降雪。この
ときは、私は午前1時に寝込んでしまい、代わりに彼女が散布。朝6時に目が覚め、慌
てて1袋(計2袋の40キロ)を散布要観察。正午には除雪なしで車の轍だけで融雪。
効果は有り評価。やってみるものだ。そして彼女を労う。

 

 

 

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量子ドット三昧な日

2016年01月24日 | デジタル革命渦論

 

 

 

   安きにありて危うきを思う/思えばすなわち備えあり/備えあれば憂いなし

                                          左丘明『春秋左氏伝』


 

                      

 

 

【米国東部で記録的豪雪】

 

現地時間22日(金)から24日(日)にかけて米国で記録的な大雪が予想されるこ
とから、北東部のワシントンDC、メリーランド州、ペンシルバニア州などで非常事態
宣言が発令された。大雪の影響は7500万人にも及び都市機能が麻痺が懸念されて
いる。
関東地方に大雪を降らせるのは、日本の南の海上を移動する南岸低気圧である
。低気圧が寒気を北から引っ張るために気温が下がり、雪になるように
、米国北東部
の大雪は、ノーイースター(Nor’easter, 北東風)と呼ばれる低気圧。冷たい大陸の空
気を北東から引きずり込むために、ワシントンDC、ニューヨークやボストンと言った
米国北東部に大雪を降らせる。

 Jan 2, 2016

 

 

【最新ナノ電子工学 2016:量子ドット三昧な日】

● 特開2016-012877  量子エンタングルメント生成方法、量子エンタングルメント
  生成装置、量子通信機器、量子通信システム、量子通信方法及び射影測定方法

 Jan 21th, 2016

【要約】

2つの量子ドットを結合した第1結合量子ドット1及び2つの量子ドットを結合した
第2結合量子ドット2にポンプ光を入射し、ポンプ光を入射したときのラマン散乱に
よるストークス光子又はアンチストークス光子を、ビームスプリッタ3を介して光子
検出器4、5で検出して、第1結合量子ドットと第2結合量子ドットの量子エンタン
グルメントを生成することでタイミング制御不能な自然放出される光子を用いること
なく、ビームスプリッタ及び光子検出器を用いて、独立した2つの光子がビームスプ
リッタを通過するタイミングを一致させて、独立した2つの光子の量子エンタングル
メントを確実に生成できるようにする。

● 特開2016-008270  ナノ粒子及びその製造方法

  Jan 18th, 2016

【要約】

温度応答性のブロック共重合体と当該ブロック重合体の一つのブロックと同じ構造を
有する温度応答性の共重合体の水溶液を昇温することで、コア部位に共重合体を取り
込んだブロック重合体のナノ粒子が形成される。使用するブロック共重合体及び共重
合体の構造やそれらを構成するユニットの繰り返し数、末端の官能基等の組み合わせ
を適宜選択することで、多様な特徴を有するナノ粒子を形成させ、温度応答性のブロ
ック共重合体を使用して多様なナノ粒子を形成できる。

● US9231147 Heterojunction subcells in inverted metamorphic multijunction solar cells
     反転変性多接合太陽電池におけるヘテロ接合サブセル

 

 Jan 5th, 2016
【要約】

段階的中間層が(In..xGa.1-X)..y Al..1-yAsから構成される有機金属気相成長(MOCVD
法を用いた太陽電池の製造方法を提供し、xyが計算され、段階的な中間層の組成物
の値で、それが組成片側の真ん中のサブセルと反対側の下部3分の1のサブセルに格
子整合するよう傾斜させ、MOCVD炉内で形成した層は、傾斜中間層のバンドギャップが
この層の厚さ全体にわたって1.5eVで一定する、反転変性多接合太陽電池のヘテロ接
合中間サブセルと段階的中間層を有するセル及びその製造方法。

※ 参考文献

● US9240514 高変換効率多接合一体型太陽電池

  Jan 16th, 2016

【要約】

モノリシック太陽電池の実施形態の提供。太陽電池は、少なくとも一つの接点を含み、
少なくとも一つの接合部は、第1導電型のエピタキシャルドーピングされた半導体材料
により形成されたベースを含み、最初に対向する第2の導電型のドープされた半導体材
料により形成されたエミッタである。エミッタは、第1の方向に応じてベース上に積層
され、少なくとも一方の基部は、少なくとも一つの接合が減少するドーパント濃度勾
配に沿って第1方向としている。このエミッタは、第1の方向に応じ基材上に積層さ
れ、少なくとも一方の基部は、少なくとも一つの接合が減少するドーパント濃度勾配
に沿っている。ベースが遠いエミッタから第一の部分は、エミッタに近接する第2の部
分と、第1の部分と第二部分との間の第3の部分を含む。最初の部分で、ドーパント濃
度勾配を小さくすると、その平均値の範囲は約-9×1017cm-3/μmから-4×1017cm-3/μm
までの勾配を有す特徴をもつ。第二の部分において、 ドーパント濃度勾配を小さくす
ると、その平均値の範囲は約-3×1017cm-3/μm から-9×1016cm-3/μmまでの勾配を有
特徴をもつ。第三の部分で、 ドーパント濃度勾配を小さくすると、その平均値は
-5×
1016cm-3/μmから-2×1017cm-3/μm.までの範囲の傾斜を有す特徴をもつ。 

※ 参考文献(一部抜粋)

ど素人が、一週間も、百ページから二百ページの英文を全文訳することをやっていると気が滅
入るが、途中から、ツボがそれなり身についてくるころことが、これを逆説的に言うと”バカがバ
カなことを繰り返していると、学習の能力が多少なりともついてくる。これを数ヶ月も続けるとち
ょっとしたプロ化しそうだ。ここは、つべこべ言わず目をつむり突っ走りしかない。

     電波のこと

                                                   アソトニオ・マチャードに

  やっと雨はやんだ。そして月が姿を見せた。
 
電波の仕組みなんて何ひとつ僕には
 わからない。でもたしか雨あがりの直後、空気が湿っているときには
 遠くまで伝わるらしい。とにかく今はその気になれば
 オタワや、あるいはトロントの放送を受信することもできる。
 最近では夜になると、自分がカナダの政治や内政問題に
 いささかの関心を抱いていることにふと気づくような
 次第だ。それは嘘じゃない。でもダイアルを合わせるのは
 だいたいは音楽専門局だ。僕はここに座って
 静かに音楽を聴く。何をするともなく、何を考えるともなく。
 僕はテレビを持っていないし、新聞をとるのも
 やめてしまった。夜になると、ラジオをつける。

  ここに来たとき、僕は何もかもから逃げようと

 していた。とりわけブソガクから。
 それが何を引き入れてしまい、そのあとに何が来るのか。
 人間には何も考えたくないという欲望だってあるんだ。
 じっとしていたいという欲望だって。そりゃもちろん
 厳格に厳密になりたいという欲望はちゃんとある。
 でも同時に人の魂というのは、調子のいいサノバピッチで、
 いつもあてになるとは限らない。そして僕はそのことを忘れていた。
 あるとき魂がこう言った、今ここにあって明日も
 ここにあるものを歌うより、今はもうなく、二度と戻る
 ことのないものを歌った方がいい。あるいはそうじゃないかも。
 もしそうじゃないとしても、それはそれでかまわない。
 別にどちらでもいいのだ、と魂は言った、人がいずれにせよ何かを歌うのであれば。

 僕はそう語る声を聞いたのだ。
 そんなことを考える人間がいるなんて信じられるかい?
 何もかも要するにみんな同じことだなんて。
 なんというナソセンスだ!
 でも夜に椅子にってラジオを聴いていると、
 こういう馬鹿な考えが順に浮かんでしまうんだ。

  そしてマチャード、君の詩のこと1・
 これじゃまるで再び恋に落ちる中年男という
 ところだね。傍目から見ていれば輝かしいことかもしれないが
 同時に気恥ずかしくもある。
 君の写真を壁に飾ったりするのも馬鹿みたいだよな。
 そして僕は君の本をベッドに持っていって
 手元に置いて眠った。ある夜夢の中で
 汽車が通り過ぎて、それで目が覚めてしまった。

 真っ暗な寝室で胸がどきどきしたけれど、

 まず最初に思ったのは、こういうこと-
 大丈夫、マチャードがここにいるんだって。
 それから僕はもう一度眠りに就くことができた。

  今日は散歩に出るときに君の本を
 携えていった。「注意を払いたまえ!」と君は言った、
 誰かがどう生きるかというようなことを問いかけてきたときに。
 だから僕はあたりを見回して、あらゆるものを目に焼きつけた。
 それから僕は山の見える川沿いの自分の家に戻って、
 本を手にひなたに腰を下ろした。
 そして目を閉じて、川の水音に耳を
 澄ませた。それから目を開けて、
 「アベル・マルティソの最後の哀歌」を読み始めた。
 マチャード、今朝僕は君のことをずいぶん真剣に考えた。
 
 僕の持つ死についての知識からすればむずかしいだろうが、
 僕の伝えようとするメッセージが君に届けばと思う。
 でも届いていなくても別にいいんだよ。ぐっすりと眠り、休みたまえ。
 いずれ君と会うことになるだろう。
 そしたらそのときに直接伝えることもできるしね。

   Antonio Machado Ruiz (Jun 26, 1875-Feb 22, 1939)

  (訳注)「アントニオ・マチャード」はスペインの詩人 Antonio Machado
      (1875-1939)のことだろう。

                                          Radio Waves



  

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折々の読書

2016年01月23日 | 時事書評

 

 

 

    とかくいふほどに、齢は歳々にたかく、栖はをりをりにせばし。その
       家のあり
さま、よのつねにも似ず。広さはわづかに方丈、高さは七尺
       がうちなり。


                              鴨 長明 『方丈記』

                                                                                  

                                                                                         1155  - 1216.07.26

 【折々の読書 齢は歳々にたかく、栖は折々にせばし】

 ●  又吉直樹 著 『火花』 8

  年の瀬の街を行く人々は一様に黒っぼい洋服を着て、どこか足取りも慌ただしげに
 
見えた,吉祥寺駅北口の広場には、クリスマスと正月兼用の大規模な電飾が施され街
 を鮮やかに照らしていたが、幾何学模様に免疫がなかったのか、神谷さんは「これ、
 まだ途中やろ? 最終的にどうなんのか楽しみやわ]とつぶやいていた。おそらくは
 これで完成だと思われたが、それを伝えていいものかどうか迷った。吉祥寺が賑わう
 のはいつものことだったが、気温の変化が鼓膜にも変化をもたらすのか、街の喧騒さ
 えもどこかラジオのスピーカーから聞こえるような朧げな響きがあった。

  僕達は吉祥寺を定点観測するかのように、ほぼ毎日出没し、あてもなく彷徨い歩き、
 疲れるとハーモニカ横丁の「美舟」で肉芽という料理を一皿だけ注文し、それをあて
 に呑み、その後は適当に開いてる安そうな店に入った。帰る頃には終電はない。神谷
 さんは決まって、「近所やし家来たら」と誘ってくれたが、神谷さんに会う以前は泥
 酔するまで酒を存む習慣がなかったので、先輩の前で酒に潰れるのはよくないと思い、
 小銭がある時は漫画喫茶で眠り、一銭も使える金がない時は、井の頭公園のベンチで
 始発が走るのを待った。その日も、泥酔した僕を神谷さんは家に誘った。「嘔吐感が、
 港一の荒くれ者の船に乗った時の五倍なので」と言って断ろうとすると、「たとえが
 貧弱で心配やから修業した方がええわ」と帰らせてくれなかった。

 「お前、もう酔うてるから俺の家来い]
 神谷さんは帰ろうとする僕の腕を引っ張り無理やり連れて行こうとした。僕はいつ吐
 いてもおかしくない状態だったが、神谷さんも充分過ぎるほど酔っていた。僕は、な
 んとしても帰りたかったので、「もう、いいですって」と言い、神谷さんの腕を強引
 に振りほどくと、神谷さんは急に僕の瞥部を強く蹴りあげた,真夜中の駅前商店街に
 打撃音が響き、僅かに反響して、ずっと遠くを歩いていたホームレスがこちらを振り
 返るのが見えた。

 「痛いの、なんで蹴んねん!」

  そう僕が言うと、神谷さんは膝から崩れ落ちながら笑い転げた。
 「怒んなや。お前酔うてるから心配やねん。取りあえず、俺の家に行こ」納得し難い
 説明を残し、神谷さんは一人で歩き出した。僕は仕方なく嘔吐を堪え、焼けつくよう
 な喉の痛みに耐えながら、神谷さんの後をついて行った,しかし、歩けども歩けども
 神谷さんの家には着かない。いつもの悪ふざけかと思ったが、神谷さんは、「徳永大
 丈夫か!」と時々僕の方を振り返り、本気の表情だったので、ふざけている訳ではな
 さそうだった。吉祥寺通りを永遠と思えるほど歩いた,右手の練馬立野郵便局を越え
 た辺りから東の空が自んできた,車が走っていないことをいいことに車道のセンター
 ラインを悠々と歩く神谷さんを見ていると、嘔吐感と相まって俄かに腹が立ってきた。

 「どこまで行くんですか? もうここ占祥寺ちゃいますよ」
 「そんなん言うなよ。寂しいやんけ」
  神谷さんは怨めしそうな表情で、そう言った。
 「なんで酋通のこと言うんですか?」
 「え? そう怒るなよ」
  今度は怯えたような顔をする。
 「普通のことを、普通の表情でIぼうのやめて下さいって」
 「なにが?」
  眉を上げ不思議そうな顔と口調で言う。
 「なにが?じゃなくて」
 「そんなん言うなよ。寂しいのお」

  今度は寂しそうな顔で言った。

 「その普通のこと言いながら、言葉とぴったりの普通の顔すんのがボケって、僕以外
 の人にはわかりませんからね」
 「そんなこと、言うなってI
 困ったような顔をしている。
 「なんか、変なこと言えや」
 「徳永、寂しいこと言うなよI
  一々、言葉を発する時は一旦立ちどまり、振り返って自分の顛を丁寧に僕に見せた。
 「普通のこと言うことがボケってことは、もはや通常狂ってるってことですからね]
 「人のことを、そんな風に.言うたらあかんねんで」
  眉毛を下げた表情が特に腹が立つ。
 「吐いていいですか?」
 「朝、仕事行く時に自分の家の前にゲロがあったら嫌やろ? 自分がやられて嫌なこ
 とはやったらあかんと思うけどな」
  まだ普通のことを言っている。この異常なまでに執拗な面も神谷さんの特性だった。

 「そうなんですけど、ほんまに普通のこと言うのやめて貰えません? なんか気持ち
 悪いんですよ」
  神谷さんはさっきからメールを打ちながら歩いていたようだが、今度は電話がかか
 ってきた。
 「もしもし、もうすぐ徳永と帰るから水買っといて。こいつ酔うとんねん]と言って
 電話を切った,
  もうすぐ着くと言ってからも、かなり歩いて、いよいよ大通りに出た頃には空は見
 たくない程までに明るくなっていた。これは青梅街道だろう。トラックばかりが何台
 も通過する青梅街道を突っ切って、住宅街を進み、少し広めの道を東に進んで行く
 と、「富士見通り」という商店街らしき通りに出た。もう、すっかり朝だった。そこ
 からも、まだ歩かされた。「富士見通り]は、いつの問にか「中央通り]になってい
 た。
 ようやくロータリーらしき広場と駅の建物が見え、「西武鉄道上石仲井駅」という文
 字が目に入った。全く以て占祥寺ではなかった。神谷さんが、「ここや]と言った建
 物は、随分古かったが、想像していたよりも、品のあるアパートだった。二階に昇り、
 神谷さんが鍵を開けると敷きっぱなしであろう布団の上に座っている女の人が見えた。
 「おい、徳永に水谷ませたってくれ]と言って神谷さんが布団の上に飛び込むと大き
 な音がして部屋全体が揺れた。

  「朝だから、下の人に怒られちやうよ」 

  ボーダーのスウェットパンツを穿いた華奢な女の人は優しい声で神谷さんにそう言
 った。
 「初めまして、徳永です」と僕が挨拶すると、女の人は「真樹です」と微笑みながら
 小さな声で名桑った。
 「徳永、早く寝ろ!」と、神谷さんは、僕を無理やりそこに寝かした。僕は横になる
 と頭に痛みが走ったので、大人しく眼を閉じることにした。
 「コンビ二行ってくるけどなんかいるか?」
  神谷さんの問いかけに答える余裕がなく、僕は黙っていた。扉が閉まる音がして、
 階段を降りる二人の足音が聞こえた。朝日が眩しくて、眉間の辺りがこそばゆかった。
  あの女の人は神谷さんの彼女なのだろうか。そもそも、ここは神谷さんの部屋では
 なく、真樹さんという人の部屋に神谷さんが転がり込んでいるのかもしれない。こん
 な所で眠っても、体力は回復しない。家に帰って自分の布団で眠りたい。この時間な
 ら、もう始発は走っているだろう,なぜ、ここまで僕は連れてこられたのだろう。頭
 が痛かった,

  神谷さんが呑むと、いつも最後は前後不覚になった。有益な話なんてほとんどなか
 った。例えばこの日は、手品師と怪力と、他にどんな種類のスペシャリストが仲間に
 いれば完全犯罪の殺人が実現出来るかということを二人で長時間にわたり真剣に論議
 していた。神谷さんは「ゴルゴ13」だと言った。僕は「自殺志願者」だと言った。ゴ
 ルゴだと失敗はほとんどないだろう。しかし、莫大な報酬が必要になる。そんな法外
 な金を用意する過程で足がつく。それは完全ではない。自殺志願者の場合は殺したい
 チームと死にたい当事者双方の利害が一致しているし、完全な遺書が作成出来る。だ
 が、神谷さんは、自殺志願者の場合、自殺志願者しか殺せない、それだとただの人を
 殺したいだけの集団になってしまうということに難色を示した。殺すのは悪い敵じゃ
 なければならない。自殺志願者がいたら思い留まらすように説得すべきだと神谷さん
 は場違いの正論を持ちだした。この議論に道徳の観点を導入すると随分話が複雑にな
 る。自殺志願者などという偏見に満ちた言葉を軽はずみに使ったことも後悔した。だ
 が厳密に言うと、悪い敵も本当は殺してはいけない,誰かが階段を昇る音が聞こえた。
 誰かが僕を殺しに来たのかもしれない。
 
  ドアが開く音にに続き、ビニール袋が床に置かれ音がした。笑いながら、「こいつ
 寝とる」と言う神谷さんの声が聞こえた,眼を開けようと思えば開けられるが、聞け
 ない方がいいように思った。神谷さんは、眼を閉じている僕を見て、笑い続けていた。 
  そして、真樹さんに「なんか、こいつムカつく弟みたいやわ]と恥ずかしいことを
 言った。神谷さんが僕を飛び越えて、窓際に移動するのが足音でわかった。神谷さん
 の押し殺しても洩れてしまう笑い声が耳にこそばゆかった。まぶたの上に光線が当た
 る。眉間の辺りを小さな虫が這い回るような呻みを感じた。「やめなよ」という真樹
 さんのうにカーテンをひらひらと動かして、僕の顔に朝日を当てていた。
 「やめてください]と僕が言っても神谷さんはやめない。

 「徳永の顔面にブラック・ジャックみたいな日焼けあと、作ろっと」と言って、神谷
 さんは笑っている。
 「それの、なにが面白いんですか」僕は毛布で顔を隠した。
 「おい、顔隠すのせこいぞ!」と、仲谷さんは僕から毛布を奪い、再びカーテンをひ
 らひらさせた。
 「徳永くん、寝かしてあげた方がいいよ」
  心配そうに真樹さんが言った,
  僕は、顔に日光が当たらないよう身体を素早く動かし、足があった方に頭を持って
 きた。まだ、神谷さんの笑い声が聞こえる。次の瞬間、布団ごと僕の身体が宙に浮き、
 反転した。眼を開けると、神谷さんと真樹さんが、それぞれ布団の端を持ち、僕を乗
 せたまま回転させていた。
 「真樹さん、なんで手伝ってるんですか?」と僕が訊くと、真樹さんは恥ずかしそう
 に、「ごめんなさいと言って、本当に申し訳なさそうにした。僕は眠ることを諦めて、
 布団の上にあぐらをかいた。真樹さんが持ってきてくれたペットボトルの水を飲みな
 がら、部屋を舞う埃が朝日に照らされ光っているのを眺めていた。真樹さんは、そん
 な僕を見て「ごめんなさい」と謝りながら笑い続けた。声が聞こえる。
 



ゆるりゆるりと読み進めているが、今夜はコメントなし。というか気分転換として利用
しているというのが本音、さても、"上善は水の如し"と。



                                                  この項つづく

 

 

 

 ● ウールワース、一九五四

 いったいどこから、そして何ゆえに、こんなものが
 ふらふらと浮かび上がってきたのかはわからない。でも
 ロバートが電話で、これからはまぐり採りに
 行こう、そっちに迎えに寄るよと言ってきた直後から
 ずっと、僕はそのことを考え続けている。
 生まれて初めての仕事で、ソルという
 男のもとで働いていたときのこと。
 この男、歳は五十を過ぎているのに
 僕と同じただの商品補充係たった。
 一生うだつがあがらないという
 ところだが、その仕事をありかたく思っている

 という点では僕と同じ。
 安売りスーパーの品物のことなら
 とにかく隅から隅まで
 知らざるはなく、惜しみなくそれを僕に
 教えてくれた。僕は当時十六歳で、
 時給七十五セント。その仕事がすっかり
 気に入っていた。ソルは自分の知識を僕に
 伝授した。彼は我慢強い男だったが、
 僕ものみこみは早かった。
 当時のもっとも重要な
 記憶ぱ、婦人下着の詰まった
 段ボール箱を開けたときのこと。
 アンダーパンツとか、それから柔らかくて
 ぴちっとくっつくようなやつ。そういうのを

 両手にすくって箱から取り出す。そのころでも
 そこには甘酸っぱくミステリアスな
 何かがあった。ソルはそれを「リソガ・リー」
 と呼んだ。「リソガ・リー?」
 ちんぷんかんぷんだ。だから僕もしばらくは、
 そのまま「リソガ・リー」と呼んでいた。
 やがて僕はもっと大きくなり、商品補充係を
 やめて、そのフランス語をちゃんと
 正しい発音で呼ぶようになった。
 いろんな知恵もしっかりとついた!
 あの柔らかさに手を触れられればいいな、
 アンダーパンツを脱がせることができたらなと思ってて、
 女の子とデートをするようになった。
 そしてそれが実現することだってあった。なんと、僕に
 そいつを脱がさせてくれたのだ。アソダーパソツ
 というのはまさに「リソガ・リー」たった。
 それはときにはそこに留まって離れまいと
 した。お腹からずり下ろそうとすると
 その熱く白い肌にやんわりと
 くっついて離れなかった。
 腰やお尻や、美しい太股を
 通過し、次第にスピードを増して
 膝を、そしてふくらはぎ(!)を
 越えていく! 足首に届くと両者は
 めでたくひとつに
 まとまる。そして車の床にはらりと
 脱ぎ落とされて、あとは忘れられて
 しまう。どこにいったっけと

 探されるまでは。「リソガ・リー」

 あの素敵な娘たち!
 「しばし留まれ、汝は美しい」
 誰がそう言ったのか僕は知っている。台詞は
 まさにぴったりだし、そのまま使わせて
 もらおう。ロバートと子供たちと僕は
 バケツとシャベルを手に浅瀬にいる。
 はまぐりを食べない子供たちは
 シャベルですくった砂の中にはまぐりが
 みつかって、バケツに投げ込まれるたびに
 「げえ」とか「おえ」とか言ってふざけまわっている。
 僕といえばずっとそのあいだ、
 ヤキマでの青春の日々を思っていた。





 そして絹のように滑らかなアソダーパソツを。
 ジーンやらリタやらミュリエルやらスーやら
 彼女の妹やら、コーラ・メイやらがはいていた
 留まろうとするものを。そんな娘たちは今では
 みんないい年だ。それもうまくいけばということ。
 そうでなければ――死んでしまった。

   (訳注)「リソガ・リー」〔ランジェリー〕は「ランジェリー」〔Lingerie〕を誤
         読しているわけで、これは「留まる」〔Linger〕とも通じている。
       「しばし留まれ、汝は美しい」はゲーテ「ファウスト」からの引用。
 
                                                                  Woolworth's, 1954 by Raymond Carver

このミニマム小説の構成が大変面白い。潮干狩りとランジェリーと内陸部のヤミマの思い出とが
奇妙に織り込まれ’レイモンド・カーバー織り’に仕上がっている。

                                                 この項つづく

                                                                          


● 2016年の気温も観測史上最高記録(見通し)

米海洋大気局(NOAA)と米航空宇宙局(NASA)は、2015年の世界の平均気温
が過去最高を記録したと発表。20世紀の平均(13・9度)よりも0・90度高く、こ
れまで最も高かった14年の記録を0・16度更新した。地球温暖化やエルニーニョ現象
などが影響したとみられるという。
記録が残る1880年以降の世界各地の陸上や海上で
の測定データをもとに分析した。NOAAによると、昨年12月は特に温かく、20世紀
以降の12月の月平均を1・11度上回った。月平均の上昇幅が1度を超えたのは初めて。
14年秋以降、太平洋東部の赤道付近の海面水温が上昇するエルニーニョ現象が発生。昨
春以降に特に深刻化しており、記録的な気温上昇に拍車をかけたが、今年はさらに上昇す
ると警告している(上図クリック)。気温上昇に伴い、海水の膨張、二酸化炭素濃度の増
加で(1)高潮・海岸浸食、(2)異常気象現象の常態化、(3)動植物・生態系の変動
などのリスクは当面避けられない。護岸・農作物被害対策、河川氾濫・山崩れ対策などの
「環境防災対策」への最優先公共投資の緊急性が高まる(要特別会計化)。

 

 

 【2つの最新技術開発情報】

 

● 電気を通す透明ラップフィルムを開発

産業技術総合研究所の研究グループは電気を通す透明ラップを開発。これまでにも印刷製
造プロセスによるメモリーアレイ、RFタグ、蒸散量センサー、大面積圧力センサーなどを
開発してきが、最近は人体や食品などの曲面にフィットする柔軟な大面積デバイスの開発
に注力。高伸縮性・透明性・電気的安定性・強靭性を同時に備えた柔軟な導電性フィルム
の部材を探索。グループの
トクセン工業は、世界最高峰の伸線加工技術を有し、世界最小の
線径をもち、高強度で高弾性率のワイヤの開発に成功している。

 そこで、産総研の柔軟なデバイスの開発技術と、トクセン工業の極細ワイヤを組み合わ
せ、これまでにない高伸縮性・透明性・電気的安定性・強靭性を同時に備える柔軟な導

電性フィルムの実現を目指す。開発した透明で高伸縮性の導電性ラップフィルムは、二
枚の柔軟なフィルムの間に極細金属ワイヤが波状になるようにはさみこんだ構造をとる
(上図クリック)。また、柔軟なフィルム間に極細金属ワイヤを波状に形成する際、極
金属ワイヤの弾性係数が、形成される波状ワイヤの形状に強く影響する。
実際
に二枚の柔軟フィルム間に形成した波状の極細金属ワイヤの形状の顕微鏡写真を図

示。高弾性のワイヤとしては、線径9μmのピアノ線を、また低弾性のワイヤとしては線
径30μmの銅線を用い、高弾性ワイヤでは波の頭頂部の曲率半径が比較的大きいが、低
弾性ワイヤでは曲率半径が小さくなり、繰り返し伸縮すると頭頂部で金属疲労が起こり
断線。極細金属ワイヤとして弾性の高いピアノ線を用い、波状ワイヤの頭頂部の曲面半
径を大きくでき、伸縮する際にも金属疲労が起こらず、断線に強い高伸縮性の導電性ラ
ップフィルムが作製できたという。

● 高感度テラヘルツ波パワーセンサーを開発 

もう1つは、同じく 産業技術総合研究所の研究グループが高感度テラヘルツ波パワーセ
ンサを
開発(上図クリック)。この情報はこのブログでも取り上げたことがあるが、今
回、テラヘルツ波の吸収により、
発生する熱を熱電変換素子により電気信号に変え、そ
の信号をもとに発生した熱と同等の直流
電力とし、それを精密に測定して、テラヘルツ
波パワーを定量的に求めることができる。検出部に
は、熱伝導性が高く、テラヘルツ波
を効率よく吸収できる吸収体を用い、検出部の周囲には十分
な断熱遮蔽を施し、常温で
数十ナノワット(nW)レベルの高感度測定を実現した。今回のテラヘルツ波パワーの定
量的測定法により、今後、様々なテラヘルツ波応用技術――材料分析の信頼性向上や高
度化――が期待されている。


● DIY日誌: 寒波に備え融雪剤を準備

先日の積雪で、自宅の南南東にあるすこし勾配がある道を自動車スリップして上れなく
なるトラブル数件あり、レスキューに駆けつけ作業する。該当の事なきはをえたが、寒
波が近づくとうことで急遽、市役所に連絡し融雪剤の準備をした。問題はそのことでは
なく、レスキュー時に車の助走を助ける際の肺呼吸の障害。職業環境要因についてはブ
ログで掲載済みだが呼吸器系はぼろぼろで、肺ガンや心筋梗塞の罹患もなくここまでこ
れたことが奇跡である。ここ2日、前肺炎段階の恐怖にさらされている。とは言え、夜
遅くまで打ち込んでいるとは自分でもあきれるくらだ。

 

 

  ● 今夜のいちもつ

北陸新幹線ルートで小浜-京都ル-ト案が急浮上し、有力だとという。経費も嵩み、工期も長く
なる。まして京都を南北に分断する計画だ。「伝統文化と観光」(ソフト政策を考える側面からも
クエスチョンがつく。わたし(たち)米原ルート派は、不同意である(『新三都物語』参照)。

 

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再生エネルギー倍増計画

2016年01月22日 | デジタル革命渦論

 

 

 

  僕の場合は諦めていたら、すでに巨大組織ジャニーズ事務所にやめた時に、たぶん完全に
        消されてた。木っ端微塵になって、今はああいたなって立場になり兼ねなかった。そういう意
        味では、諦めなかったから、今がある。長いこと、コツコツとギブアップせずにやっていくことが
        最終的に実を結べばすごい力になる。

                                                           田原俊彦

 

● 再生エネルギー倍増計画

 【再生可能エネルギーで世界のGDP0.6%押し上げ】 

再生可能エネルギーの経済効果を試算したのはIRENA(国際再生可能エネルギー機関)で、世界140カ国
以上と欧州連合が加盟している。化石燃料に代わって再生可能エネルギーを増やすことで、技術開発の投資
や新規設備の増加、エネルギー価格や環境対策コストの変動などにより経済にインパクトを与える。その効
果を世界各国の導入量の予測をもとに分析。 

IRENAが設定した導入量の予測条件は3通りある。10
年から30年までの導入量の増加を、(1)各国の従
来の見通しに基づいた場合(Reference)、(2)全世界のエネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの比
率を2倍に増やした場合(REmap)、(3)さらに空調機器や自動車などの輸送機器の電化を促進したうえで
再生可能エネルギーの比率を2倍に増やした場合(REmapE)である(下図クリック)。

この3通りで世界のGDP(国民総生産)に対する影響を試算したところ、従来の導入見通しに基づいた
(1)の場合と比べて、再生可能エネルギーを倍増させる(2)ではGDPが0.6%上昇する。さらに電化を
促進する(3)では1.1%の上昇が見込める(下図)。 金額に換算すると(2)のケースでは70600億
米ドル、(3)のケースでは1兆3千億米ドルのGDPが増えることになる。前者はコロンビアとマレーシア
のGDPの合計額に匹敵して、後者はチリと南アフリカとスイスのGDPPの合計額に相当。

この経済効果を国別に見ると、日本が最大の恩恵を受ける。30年までに再生可能エネルギーの比率を倍増
させる(2)のケースでは、GDP2.3%押し上げる効果が期待、主要国の中でトップだ(下図)。空調機
器と輸送機器の電化を促進する(3)のケースでは3.6%の押し上げ効果になり、ウクライナ(3.7%)
に次いで第2位に入る。日本のGDP(実質)は14年度で525兆円にのぼり、政府は30年度に711
兆円まで拡大させる目標を掲げているが、かりに30年度のGDPを2.3%上昇させることができると、金
額では約16兆円の増加。再生可能エネルギーの導入を加速経済効果は大きいと予測されている。

● 雇用が増えて生活環境も改善

再生可能エネルギーの導入量を拡大するメリットはGDPの増加だけではなく、生活環境を改善する効果もある。
経済面のほかに、雇用の増加や健康・教育費の増加といった社会面な影響、さらに環境面の影響を含めて、
生活環境を指数で評価もされている。その結果、30年までに再生可能エネルギーを倍増させる2つめのケ
ースでは、生活環境の指数が2.7~3.7%改善する。主要国のいずれにおいても指数は改善する。日本で
は平均を上回る3.3~5.2%の改善効果が期待でき、最大の恩恵を受ける国はインド(下図)
。生活環境に
影響を与える要因の1つの雇用は、14年の時点で再生可能エネルギー分野の雇用者数は全世界で770万
人にのぼる。最大は中国の339万人で、日本では21万8千人を数える中国と日本の差はほぼ人口に比例
している。ただしGDPの規模から考えれば、日本の雇用者数は中国と比べて圧倒的に少ない。

 

30年になると、再生可能エネルギーの導入量を従来の見通しで予測した場合には、全世界の雇用者数は、
1350万人に増える、もし再生可能エネルギーの比率を倍増きれば、2千万人以上の雇用が見込める。
その場合には日本でも約5倍の百万人を超えると予想される。

雇用者数をエネルギーの種類別に見ると、30年の時点でも化石燃料の分野が最も多くて2500~270
0万人程度にのぼる。これに対して再生可能エネルギーの比率を倍増させた場合は、化石燃料とほぼ同程度
の雇用者数が期待でき(下図)。中でも太陽光とバイオマスの雇用者数が伸びる見通し。最も少ない風力で
原子力と比べると2倍以上の雇用を創出すると推測する。

IRENA(国際再生可能エネルギー機関)の報告を原文で全部目を通せていないが、ネット上の紹介・解説記
事を読む限りわたし(たち)の考えと大差はないと考えている。かってての「所得倍増計画」ならぬ「再生
エネルギー倍増計画」として、日本の行政府も見習い修正すべきものと考える。

 

【最新高効率太陽電池技術 Ⅰ】

「太陽光発電30%超時代」をテーマを推進するに当たり、新年から最新特許情報をコアに最先端記事をいま
まで以上に、適宜掲載していく。昨夜の記事に続いて今夜も多接合・一体型太陽電池を掲載する。

● US9,240,514 Photovoltaic cell having a high conversion efficiency:高変換効率太陽電池



【要約】

モノリシック太陽電池の実施形態の提供。太陽電池は、少なくとも一つの接点を含み、少なくとも一つの接
合部は、第
1導電型のエピタキシャルドーピングされた半導体材料により形成されたベースを含み、最初に
対向する第2の導電型のドープされた半導体材料により形成されたエミッタで、基底部
上から第1セル方向
に積層し、基底部から第1セル方向に沿いドーパント濃度が低下する勾配をもつ。
ベースが遠いエミッタか
ら第1セルと、エミッタに近接する第2セルと、第1セルと第2セルとの間に第3セル分を含む構造である。

最初のセルのドーパント濃度勾配の平均値の範囲は、約-9×1017cm-3/μmから-4×1017cm-3/μmの勾配をもち
第2セルのドーパント濃度勾配の平均値の範囲は約-3×1017cm-3/μm から-9×1016cm-3/μmの勾配もつ。
3セルのドーパント濃度勾配の平均値の-5×1016cm-3/μmから-2×1017cm-3/μmまでの範囲の勾配をもつこと
特徴とした多接合・一体型高変換効率太陽電池の特許である(詳細は上図クリック)。

※ 参考文献 

 

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最新ナノ電子工学 2016 Ⅱ

2016年01月21日 | デジタル革命渦論

 

 

 

       
                           Well I'm running down the road trying to loosen my load,
                              got a world of trouble on my mind.

                              Lookin' for a lover who won't blow my cover,
                              she's so hard to find.        

                              Take it easy, take it easy.   
 

                                                                                             Eagles "Take it Easy"


         ※ blow one's cover ;  秘密の身分をばらす 

                               
                        心の重荷を解き放とうとこの道を飛ばす
             トラブルばっかり抱え込み

            俺の秘密をばらぬ恋人を探してる
            見つけるのは難しいけど

            気楽に行こう、気楽に



                                                                                       

  
        家族でカラオケを楽しんだ正月の夜、この曲を唄った。
             久しぶりのため
れよれの調子ぱずれを披露することになったイーグルの名曲。
             そのメンバーの
ギタリスト、グレン・フライが逝去、享年六十七。
                                                         
                                      
 合唱

                                                              
                                                                                         

  

【最新ナノ電子工学 2016】

 

 doi:10.1038/nnano.2014.3.161

● 高感度グラフェンと量子ドットの光検出器

上図は、2年前の高感度光検出器の技法だが、五酸化二タンタルの誘電体をグラフェンで挟み込み電
圧印加すると従来の20~25倍の1A/Wの光感度を得ている。受光するとこのグラフェンの光遮
蔽効果(photogating effect)で感度大きすること、あるいは電子(正孔)の寿命を長くできる。

Jan 12, 2016

これに対し、上図特許は、可視・近赤外・短波長・赤外線用シリコン系、InGaAs系フォトダイオード
は高感度であるが、読み出しノイズにより制限され、その量子効率は1である(つまり、吸収された
光子当たり1キャリアに対応)。また、アバランシェフォトダイオードでは、キャリア増倍効果を介
し利得改善されてきたが、吸収された光子当たり百~千キャリアのオーダーにとどまる。一般的なイ
メージセンサの検出器の構造の技術課題は、動作バイアスが高いことである。高い電圧印加とリーク
電流の抑制、励起電子(正孔)寿命を延ばすことにある。さらに、これらのデバイスが原因のアバラ
ンシェフォトダイオードに必要な種々の成膜プロセスは、CMOS(相補型金属酸化膜半導体電界効果
トランジスタ)電子回路が一体モノリシックに集積できない。



図1はコロイド量子ドット(QD)とカーボン系層で構成しCMOSとして相互統合されたハイブリッド
光電子プラットフォームの断面構造図。炭素ベース層は、キャリア輸送チャネルとし使用され、量子
ドットは吸収材料として使用。図に示すように。フォトトランジスタに適用した場合、グラフェン層
2は、フォトトランジスタのゲートを形成するために、3のシリコン中間層を有するシリコン基板上
に堆積され、左右のVs、Vd
は、FETトランジスタのソース電極、ドレイン電極として、デバイス金属
コンタクトを形成する。
グラフェンは、その後 上塗りされたCQDs層1は、そのバンドギャップ量子
ドットの大きさや材質に応じて調整する(CdSe:400-650 nm、PbS:650-2000 nm、HgTe:1500 -4000 nm)。
グラフェンと層の界面では、組み込みこまれたPbS 量子ドットからホール(正孔)がグラフェンに転
送され、
図2示すように、PbS 膜と内挿薄膜に空乏層を形成。入射光子により、量子ドット内に電子
正孔対を形成する。グラフェン層の量子ドットのバンドアライメントに、キャリアの単一の電子をソ
ースからドレインに印加電圧で、金属接点を介しグラフェン層に転写・搬送される。図3
示すように
正孔はそのキャリア寿命を延ばし PbS層に閉じ込められた
光生成電子がグラフェン層からソースンコ
ンタクトに到達すると、別の電子が電荷保存提供のためドレンコンタクトから注入される。

再結合の前に、単一の光子吸収電子キャリアは、デバイスに再循環し、グラフェン-QD層に形成され
たヘテロ接合は組換えを抑制、したがってキャリア数は、グラフェンチャネルの電子走行時間とキ
リア寿命比で与えられる
。グラフェンチャネルにり提供される非常に高いキャリア移動度と106のオー
ダーの光伝導利得は図4で観察している。グラフェンの高い移動度は、数ボルトのソース・ドレイン
で非常に低い所要印加電圧で直線的に利得調整できる。この現象は、(「photogating 効果;光遮蔽効果
」)は、入射光を光学的な制御ゲート機能として、QD層にキャリア生成するが、グラフェン層上にト
ップゲートを有することと等価である。

以上を整理すると、たとええば、(1)構造が簡単な電界トランジスタが、(2)低コストで、(3)
高感度な、(4)量子ドット種・サイズで波長選択可能、(5)よりコンパクトなイメージセンサが
つくれるだろうと考えられる。

※ 参考文献

 Jan 5, 2016

● 多接合太陽電池最新技術

上図の新規太陽電池は、しばしば、垂直の多接合構造で製造され、互いに直列に接続された個々の太
陽電池を用いて、水平方向のアレイに配置。アレイの形状及び構造とそれが含むセルの数は、所望の
出力電圧と電流により部分的に決定される。このようMW Wanlessらが記載しているように変成太陽
電池構造を反転。格子不整合は高性能化に、Ⅲ-Ⅴ族太陽光発電コンバータは、次世代高効率太陽電
池開発に重要な概念が提示されている。下記参考文献に記載された構造は、材料と製造ステップの適
切な選択に関連する実際的な困難の数を提示。従来技術の材料と製造ステップは、反転変性多接合セ
ル構造を使用し商業的に実現可能なエネルギー効率の良い太陽電池を製造には不十分である。

反転変性多接合(IMM)ソーラーセルを製造する基本的な概念は、「逆」の順序で基板上に太陽電池
のサブセルを成長させる。開示は、段階的中間層が(In..xGa.1-X)..y Al..1-YAsから構成される有機金属
気相成長(MOCVD)法を用いた太陽電池の製造方法を提供し、xyが計算し、段階的な中間層の組
成物の値で、それが組成片側の真ん中のサブセルと反対側の下部3分の1のサブセルを段階的に格子
整合するよう、MOCVD炉内で形成した層は、段階的中間層のバンドギャップがこの層の厚さ全体にわ
たり1.5eVで一定する。

ぺロブスカイト型や量子ドット型比較すると製造プロセスの煩雑さで見劣りしなくないが、前者の2
方式もそれぞれ短所をもち一概に現時点で優劣つけがたしというのが今夜の感想。しかしながら、こ
の3方式はいずれもナノサイズ加工で共通する。つまり「ダウンサイジングする発電」という側面で
いえば蓄電池セットでもっとも優れた発電システムであることに誰しも異論はないだろう。予定より
10日ほど遅延しているが、ここ数ヶ月はわたしにとっての最大の山場になる。


※ 参考文献

 


  Jan 7, 2016

 ● 太陽光エネルギーを化学反応で「熱」として貯蔵

 マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、太陽光エネルギーを蓄積し、後で必要な時に熱
エネルギーとして放出できる新しい素材を開発。この透明高分子素材は、窓や衣服などさまざまな用
途で活用できるという。この原理は下図のように、この効果を実現するカギになったのが「2つの異
なる構成のどちらかの状態で安定する」という特性を持った分子。日光にさらされると光のエネルギ
ーが分子の形態を「充電」の構成に変形させる。その状態で長期間とどまることができる点が特徴。
一方、特定の温度や特定の刺激など限られた条件が与えられると、その分子は熱の放出を行って、元
の形状へと戻る。

 

太陽熱燃料(STF)のように、化学的な変換をベースにエネルギーを蓄積する材料の開発は、グロス
マンと彼のチームによる研究を含め、今までにさまざまな研究機関で行われてきた。しかし、これら
は液体溶液中で使用されるように設計され、固体用途においては非常に限られていた今回発見された
新しいアプローチは、固体材料ベースとし、安価な材料と幅広い製造技術に基づいた世界初のもので
ある。

新しい材料の製造は、2段階のプロセス、シンプルで拡張性の高い。このシステムの開発は、太陽熱
を蓄積し日没後に調理用の熱を放熱するソーラークッカーの開発を目的とした、蓄熱材料の薄膜化に
成功。ガラスや織物などに組み込むことなども可能。
熱の有効量を貯蔵する能力を持つフィルムを、
より簡単に信頼性高く製造するため、研究チームでは材料としてアゾベンゼン(2つのベンゼン環が
アゾ基で結合した芳香族アゾ化合物)を使って研究を開始。まず光への反応により分子構成を変化さ
せる。アゾベンゼンは光による分子構成の変化がある他、熱の小さなパルスにより刺激を受けること
が分かっている。エネルギー密度やエネルギー量などの改善に、材料の改善などを進めた。

この新しい材料は透明性が高いため、自動車のフロントガラスの凍結防止などにも使用できる可能性
がある。
フロントウィンドウは視認性が落ちるためにこうした電熱線の埋め込みは禁止されている場
合が多い。新しい
素材を使えば、フロントガラスの凍結防止に使用できる。このような窓が自動車に
搭載されたとすると、自動車
ではいつでも太陽光からのエネルギーをフロントガラスに蓄積しておく
ことができる。そして、何らかのスイッチ
を入れると、少量の熱を発して、空気を暖めることができ
、ガラスの氷を溶かすのに十分な熱を生み出すこと
ができることをテストしている。ガラス面に近い
氷だけを溶かすことができれば、滑り落ちたり、ワイパー除去
できる。研究チームではこの氷溶融フ
ロントガラスを実現に、フィルム特性の向上件としている。フィルムは現
在は黄色がかった色合いで
、その透明性の向上について研究を進める。また、解放する熱も、周囲の温度よ
り10度も高ければ氷
を溶かすことは可能だが、より早く氷を溶かすことができるように、20度の温度差を目指す。

 July 14, 2011

また、この技術は電気自動車(EV)に特に有用で。電気自動車は寒い環境では、電池の特性上の問
題や、加熱に多くのエネルギーを使用することから移動距離が30%低下するが、この新しい技術を
用いることでその消耗を抑えることができる。

 

 

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現代浄土信仰考

2016年01月20日 | 世界歴史回廊

 

 

   山を越え、野を越え、牛と私は村里の近くにきた。今まで雲に覆われた月も、そのまろ
               やかな姿を雲の間から見せ始めた。牛はおとなしくなり、私は牛の背の上で心も軽く、
               歌を歌ったのである。楽しきかな人生である。 

                                                                        「騎牛帰家」(『十牛図』) 

                                                                                  

 

 

  

● 折々の読書 『法然の編集力』 13 松岡 正剛 著      

 第三部 特別対談 松岡正則×町田宗鳳  

                                                  「悪人」とは誰か

 松岡――さて、ここでふたたび法然さんに戻ってお話ししたいことがあります。まずは「悪」
 についてです。よく親鸞が悪大正概説を説いたといわれていますが、これはあきらかに法然の
 ほうが先に言っていることですね。それでは、いったい法然によって何が「悪」と見られるよ
 うになって、それを現代でどう継ぐべきなのか。まずはそのあたりから町田さんのお考えをお
 聞かせください。

 町田――勘違いされている方も多いようですが、悪人正機説における「悪人」というのは、何
 か倫理的に悪いことをした大という意味ではありません。自分の中の「悪」に気がついた大の
 
ことを「恋人」というのです。

  信仰のなかに「恋」を取り入れることは、一神教にはないものです。たとえば、キリスト教

 信仰の中心にあるのは、父と于と聖霊を.休猷するハ泣.体説ですが、サタンという存在はこ
 の三位一体から疎外されているから、キリスト教には-悪にの居場所かおりません。
 ところが、ユングに言わせればそれは間違いで、同位.体こそが正しいとド張します。三角
 ではなくダイヤモンド型ですね。この理解において、神は,完璧なる存在」ではなくて「完

 なる存在」です。パーフェクションではなくコンブリージョン。そうすると悪は陣の一部と

 るので、これを疎外してはいけない。


 松岡――ドストエフスキーなどは気がついていましたね。

 町田――そうそう。ユングは臨床セラビストとしてそのことに気がついた。人間の意識と無意
 
識の分裂が精神不安定を呼ぶのだから、意識と無意識の統合が精神を安定させるし、そこで、
 は
じめて全人性というものが出てくると指摘した。となると、ダイヤモンドのド半分の三角形
 の
サタンの部分が無意識の領域なので、これを無現したり抑圧してはいけない。これは心理学
 的
には臨床からあきらかなことだ、と。ところが、キリスト教はいまだにLヤ分の三角形が善
 で
あり光の世界だといっている。これに対してユングは、闇の世界も当然あるわけだから、こ
 れ
を信仰のなかに取り込むべきだと言ったわけです。

  私はここからヒントをもらって、法然や親鸞が言った「悪人」というのは、ダイヤモンド全
 体を白分のなかに見ている人のことだと解釈した。親鸞はみずからのことを「蛇蝸のごとくな
 り」と言ったけれども、彼は自分のなかに潜むサタンをちゃんと貼ている。そういう自分かい
 て、どうしようもないものと思い、業の深さを感じる。そこに気がつかないと、「悪」を抱え
 る自分でも救ってくださる阿弥陀さんがおられるという信仰の世界には入っていけないはずで
 す。この自覚ができる人のことを「悪人にとよぶのです。だから、みずからを善良な人間、親
 切な人間、嘘をつかない人間だとjっている人は、自分という人間を上半分の三角形のなかで
 皮相な自己理解をするしかできない人だと思います。




 松岡――その「悪」の理解は刺激的ですね。私も日本における「悪]は[過ぎたるもの」とい
 
う意昧だったと見ています。トウー・マッチです。この時代の「悪」とか[悪人」は、憎々し
 
いとか憎むという使い方くらいなのに、そのトウー・マッチな「悪」というカテゴリーを信仰
 
のなかに入れてしまったというのは画期的です。

 町田――法然という人は「悪」というものを徹底的に見つめました。それはもちろん、自分
 なかの「悪」だけではなかったでしょう。彼の生きた時代は、人間の「悪」が露骨に出てい

 時代だった。目の前で殺し合いをしている、路上で強姦もしている、そんな光景を毎日のよ

 に見ていたわけですから、このとてつもない光景が救われるためにはどうしたらいいのか
と徹
 底的に考えることができた。


 その思索の末にたどり着いたのが悪人正機説ですから、これは一神教を信じる人たちにもぜ

 聞いていただきたい。彼らは、信仰のなかに「悪」をもたない、いい換えれば、信仰をもつ者
 はみな善人だと考えている。そうすると、このすばらしい信仰を共有しないやつはサタンだか
 ら、原爆を落としてもいいとかミサイルをぶち込んでもいいという発想ないんです。


 松岡――「悪」が敵になってしまう。

 町田――仮怨敵をつくって攻撃する、そして軍事力や経済力を高めていく。これが近代文明の
 本質ですからね。なので、もし文明のパラダイム・シフトがあるならば、まさに「悪人」を取
 り込むようなコミュニティをつくっていく必要がある。

 松岡――おっしやるように、キリスト教において[悪」が下半分に隠されてしまっていて、き
 っちりと信仰のなかに組み込まれなかったのは大きな問題ですね。だからドストエフスキーや
 メルヴィルやトーマス・マンのような天文学も出てきたのですが、ところが、そこでもうひと
 つ問題になってくるのは、「悪」が行為として裁かれる対象になってしまっていることです。

 仏教では「悪人」であるかどうかは、カルマとしての「悪」をどう感じるかが問題になってい
 ます。誰にでもあるものが、いまは自分のところにやってきて宿ってしまった。そういう「悪
 」ですから、必ずしも行為としての「悪」、裁かれる[悪」であるとはかぎらないのです。悪
 人正機説という独自の思想が生まれた理由は、ここにあるような気がします。

 町田――そのとおりです。しかし、本来はキリスト教だってそういうものだったかもしれない。
 キリスト教には、群衆が姦淫を犯した女性を.石打ちの刑にしようしているところにイエスが
 やってきて、「このなかで罪のない人から彼女に石を役げなさい」という話がありますね。そ
 の言葉を間いた群衆がひとり去り、またひとり去り、ついにはだれも石を投げることができな
 かった。そしてイエスは黙って地面の砂に字を書いた、という話です。ここからもあきらかな
 ように、やはり、イエスという人は自分の罪に気がついていた。姦淫を犯した女性と同じだけ
 の罪と弱さを自分の中に見つめてきた。だからこそ彼女を裁けないのです。

 松岡――ところが、その後の歴史を見るとそうではないですね。政治的な都合で宗教会議と異
 異端裁判をやりすぎた。やはり法然が
「善」と「悪」を同質的にとらえたことは、世界の宗教
 史上でもきわめて画期的なことでした。そもそも日本における「善知識」とか「善」というの
 はヨーロッパ的な「善」や「悪」とはちがってきますね。「善」と「ブッドネス」とば意味合
 いがちがってきますね。「善」と「グッドネス」では意味合いがちがう。さきほどのダイヤモ
 ンドでいえば、仏教における「善」は三角形ではなく、もうすこしネットワーク的な広がりを
 もっているように思います。

 町田――倫理的な「善」とはすこし異なります。「善知識」というのはサンスクリット語の直
 訳だったと思いますが、プラジョーナ(智慧)に目覚めた人という意味に近いでしょうか。

 松岡――法然は『一紙小消息』のなかで「罪人なお生まれる況や善人をや」と言っています。
 この「罪人」というのも、おそらく当時は「悪」と結びついていたのでしょうね。

 町田――自分のなかのカルマに気づいた人と、実際に非を犯した人。二重の意味があったと思
 もうひとつ、法然思想から現代に継ぎたいのは[死」についての思想です。法然は死近代に生
 きるわれわれは、生物学的な個体生命だけが命であると考えていますね。脳いますね。当時は
 人殺しや盗みが横行していた時代ですから、そういった非を犯した人も少なくなかった。しか
 し、罪人であっても本当に心底から恨悔して、つまり自分の「悪」に気づいて、「南無阿弥陀
 仏」とさえ称えれば、阿弥陀さんは捨てませんよ、と。そういうメッセージもあったはずです。

 浄土信仰の象徴 平等院



                                  仏教における死
 

 松岡――もうひとつ、法然思想から現代に継ぎたいのは「死」ついての思想です。法然は死
 いかに扱ったのか。あるいは、これから再統合される仏教のなかでどう扱えばいいのか。仏

 における死、日本人と死はどうなっているのかを考えたい。 
  法然の時代には「類の死」を「個の死」によって乗り超えたり、いちいち「類の死」を問題
 にせずに、個の念仏から往生という死の対比がつくられた。そして、3・11という未曽有の
 大災害で、日本人はふたたび「類の死」と[個の死」を同時につきつけられた。やはり「悟り
 の仏教」に対して「救いの仏教」というものが必要とされるのでしょう。

 町田――近代に生きるわれわれは、生物学的な個体生命だけが命であると考えています。脳

 の問題はその典聖で、かなりプラグマティックな生命の理解しかしていない。そうすると、

 端医療が発達してきたら、長生きさせるために何をしてもいいということになってしまう

 かし、仏教はそうではありません。仏教はつねに永遠を見ているわけだから、人間の生
死には
 関係ない。法然さんが本当にしつこく口癖のように使う言葉に「生死を離る」とうも
のがあり
 ます。人間が生きるとか死ぬとかはあまり問題ではない。さきほども言ったように
トイレで死
 んでもいい、人通りで死んでもいい、みんな永遠の命に還っていくのだ、という感
覚をもって
 いた。
 

  ギリシャ語のビオスとゾーエという言葉を使って説明すると、さらにわかりやすい。ビオス
 は個体生命です。お数珠でいえば一粒一粒がピオスで、つないでいる糸がゾーエです。近代で
 はこのビオスしか見なくなっているから、この粒が死んだら終わりだということになってしま
 う。けれどもゾーエを見てていたら、一粒が二十で死んでもいい、百歳で死んでもいい、
なぜ
 ならみんなが同じところに還るのだから、と思えてくる。宇宙生命的な空間に戻っていくわけ
 です。仏教にはそういう安心感がある。これをもっと科学的に論じられたらいいと思いますね。 

 松岡――「メメント・モリ」のような言葉もありますが、西洋では死は敗北や敗走とされます
 
ね。だから、死生観が生と死においてつながっていない。切れている。仏教のいいところは、
 
生もつながっているし死もつながっているところです。弘法大師が「秘蔵宝鏡」に残した言葉
 
に、「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終わり
 に冥し」
というものがあります。生と死は数珠のようにつながっている、と。ここが仏教の
 重要なとこ
ろです。この死生観がまさに教いです。

 町田――私がよく言うことですが、西洋における理想的な人間は聖人です。道徳的にまった
 く
傷がなく、独身で、神に近いような高いところで崇め奉られる人のことです。ところが、
 東洋
の理想的人間像は[十牛図」に出てくるような痴聖人です。「やまいだれ」の付いた「
 ]です。
教養があるかどうか、修行したかどうかもわからない、それでいて安心立命の世
 界に生きてい
るような普通のおじちゃん、おばちゃん。ここでもやはりゾーエ的な生命を直
 観している。



 松岡――手ぶらのすごさみたいなところがありますね。

 町田――そうです。この「痴」があるかないかは大きなちがいで、これもわれわれが強く発
 信
していかなければいけない。
 私は「十牛図」の英語版をつねに持ち歩いていて、イスラム圈でもよく見せるんです。あな
 たたちは「アッラーは偉大なり」と言い続けて、ずっとコーランを読んでいる。だけど失礼
 で
すが、アッラーというのは「十牛図」における牛ではないのですか、あなたたちは牛を追
 いか
けているだけでしょう、と。しかし、牛は第六図までで消えてしまう。第七図の「忘牛
 存人」
ではもう人間の主体性だけで、第八図の「人牛倶忘」になると、牛も人もいない「空
  」の世界
になっている。第九図の「返本還源」では、梅の枝が描いてあるだけです。ここま
  できて宗教を論じてくれないと、説得力をもたない。うちの牛がいちばん大きくて、色艶が
 いいと言っているけれど、それは本来、第六図で消えてしようべきものです。

 

 松岡――それがきょうの結論かな。討談のい目頭では、日本の文化の阻個は「追放と復活」
 にあ
って、福島原発の事故がその折り返し点になるというた発言がありました。「十牛図」
 を見てみ
ると、第六図で白黒を一回入れて、さらに先に行く。ここには見過ごすことのでき
 ない東洋的
な共通点がある。ところが西欧というのは、このダイコトミー(二者択一)、そ
 の白黒のところ
で終わってしまうんですね。

 町田――おっしやるとおりです。俺はすばらしい牛を手に入れたというところで終わる。ま
 さにアメリカンドリームの世界です。ところが、本当の人生、本当の宗教が始まるのは、牛
 が消えてしまってからですよ。そして、それを語れるのが東洋であり仏教です。しかも、中
 国は当面、拝金主義から抜け出せないでいるから、過去からの精神遺産としての東洋の知恵
 を語れるのは日本だけだと思います。

 松岡――法然も激しい批判にさらされたうえに法難を受けますが、まるで平気でしたよね。
 普通だったらそこでギブアップと言いたくなるところを、それも受け入れなきやならないも
 のだと言ってのける。いわけ「十牛図」でいうところの七、ハ、九をやってしまうのでしょ
 うね。

 町田――そして最後は痴聖人になって死ぬ。そこもまた法然さんのすごいところです。

                                     あとがき

 この本は、私がNHKの特別番組「日本最大の国宝絵巻 法然上人絵伝」にナピゲーター役
 として出演した機縁から生まれた。番組制作中に3・11東日本人雲災がおこり、その後も
 福島
第一原発の事故が激しく乱打されていた。この本はそうした異様な余波の中から立ち上
 がった
のだが、そうであればこそ、私にとっても関係者にとっても、地震-津波-原発-被
 災-法
然-喪失-念仏-死者-家族-阿弥陀仏―鎮魂-浄土-南無阿弥陀仏」は、事の当初
 から分か
ちがたくつながっていたのである。

 法然を考えることについては、私が「選択本願念仏集」を追い読みしているときから始まっ
 ていた。そこには驚くべき編集術が駆使されていた。レトリカルなのではない。多少アクロ
 バ
ティックではあるが、信仰の根拠を求めるための構造的編集が徹してなされていた。専修
 念仏
を正当化するための辻褄合わせの編集でもない。まるで「思想のミラーニューロン」を
 複合的
に活用したかのような編集力なのだ。しかし、なぜ法然がそのような複合編集に長け
 たのかと
いうことをさぐるには、いろいろ当たってみなければならないことがあった。

  第一部ではその推理の一端を示しておいた。たいへんな読書家であった法然が、長きにわ
 た
った浄土三部経の学習から抜け出して善導や水観の言葉に出会い、これらを合わせ鏡にし
 つつ
「弥陀の本願」による六字名号の決定に及んでいったプロセスを編集部のインタヴュー
 に応
じながらできるだけわかりやすく書いておいた。

  第二部はテレビ番組でもとりあげた土人絵伝のハイライトを、実写の風景をまじえて紙上
 で
案内した。法然の意外な生涯がざっと追えるようにもなっている。第三部ではこの本が生
 まれ
た原点に立ち返るために、それには最もふさわしいと思えた町田宗鳳さんにお願いして、
 「3・11から法然へ」という逆旅を先導してもらうことにした。私は町田ファンなのだ。
 たい
へん刺激的で示唆に富むものになったと思う。

  法然を知ることや、法然を媒介にして日本仏教やその背後のアジア仏教のさまざまな突起
 と
深淵を覗きこむことは、現在の日本人が本気で立ち向かうべき大切な宿題になっている。
  その
宿題を解くことは、いまや決して容易なものではないだろうが、こういうときこそ、
 法然の相
互作用型の編集力が大いなるヒントになるにちがいない。
  この本も、むろんそういう「編集の産物」である。もともとの番祖プロデューサーだった
 河
邑厚徳さん、そのときのディレクターの高橋才也さん、NHK出版の原田親さん、とりわ
 け
この本の「選択本願]作業を一手に引き受けてくれた粕谷昭人さんに感謝したい。


この『法然の編集力』は「松岡正剛の編集力」とし読み進めてきたが、第三部の町田宗鳳との対
談は圧倒される。すさまじい読書量と実践量だ。特に町田宗鳳の経歴から湧き出す言の葉の数々
に、そのパワー・思想的フィールドが加わることで重みと深みが逓増してい行くかのようである。
さて、末尾の松岡正剛の、現在の日本人が本気で立ち向かうべき大切な「宿題」にわたし(たち)
がどのように応えるのかという課題が残された。


                                      この項了

 

 

【最新ナノ電子工学 2016】

● 高効率ペロブスカイト型太陽電池製造コスト大幅逓減

スイスの大学 Ecole Polytechnique Federale de Lausanne(EPFL)の研究者は、変換効率20.2%と
高いペロブスカイト太陽電池をこれまでより大幅に低い製造コストで作製す
る技術を開発。ベー
スとなったのは、酸化チタンと色素などから成る従来の色素増感型太陽電池だ。ぺロブスカイト型では、
“色素”の代わりにペロブスカイト材料を用い、正孔輸送材料としてのヨウ素溶液の代わりに、
Spiro-OMeTAD などの特殊材料を用いたものが多い。
実はこの正孔輸送材料が大きな課題だっ
た。ここで利用するぺロブスカイト材料は鉛と有機材料から構成、
安価だった一方で、正孔輸送L
材料は1グラムあたりでおよそ4万円弱するなど非常に高価。今回、EPFLは既存より1/5と
比較的安価な材料「FDT;非対称フルオレン - チオフェン
」を使用し、変換効率20.2%を実
現したという。後は堅牢性・寿命性・安定性・安全性が課題のみとなるはず。

  2,2'-(9,9-Dihexyl-9H-fluorene-2,7-diyl)dithiophene

 

Cheaper solar cells with 20.2% efficiency

※Saliba M, Orlandi S, Matsui T, Aghazada S, Cavazzini M, Correa-Baena J-P, Gao P, Scopelliti R, Mos-
coni E, Dahmen KH, De Angelis F, Abate A, Hagfeldt A, Pozzi G, Graetzel M, Nazeeruddin MK. A mol-
ecularly engineered hole-transporting material for efficient perovskite solar cells.Nature Energy 15017, 18
January 2016. DOI: 10.1038/NENERGY.2015.17

 

 

 

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デジタル革命渦論 2016

2016年01月18日 | デジタル革命渦論

 

 

 

  みずからをうつけ者と称して、まわりからもそう思われた信長のような人
               物がりーダー シップをとったとき、はじめて型が破れるんですよね。もっ
               と身近な例でいうと、忌野清志郎です。

                                                                  松岡正剛  『法然の編集力』

 

【2016のデジタル関連電子機器の動向】

● 高精細監視カメラの偏在と功罪

アナグロからデジタルのシフトによりCCTV閉回路テレビ:特定人物の映像をその対象に伝
送するテレビ、つまり、"監視カメラ"として急増Sているテレビカメラのことだが、14年の監
視カメラの世界市場規模はメーカー出荷台数ベースで、前年比110.9%の2,545万台でう
ちアナログカメラは1,867万台、IPカメラ(ネットワークカメラ)は678万台の見込であ
った。18年には監視カメラの世界市場規模は4,320万台で、このうち、アナログカメラは
1,720万台、IPカメラは2,600万台とアナログカメラの出荷台数を上回ると予測されて
いる。

アジア地域では、社会インフラ整備に係わる公共施設などにおける需要が堅調に推移し、タイ
どの東南アジア地域では、主に商業施設や店舗における監視カメラ導入が進んでいる。中国
では
、公安需要が大きいと見られ、中東地域では各国の建設需要やテロ対策・監視システム需
要の拡
大、中南米のブラジルやメキシコでは建設需要が期待できるほか、鉄道や道路などでの
監視カメ
ラ需要の拡大も見込まれる。


北米や西欧では、店舗や商業施設での需要が中心であり、今後は高画素化による画像分析など、
より高度なシステムへの移行が考えられる。日本国内では、近年、特に食の安全に関わる「フー
ドディフェンス」需要が拡大しており、製造ラインに加え、フロア管理用のカメラ導入が進み
場需要が拡大している。またコンビニエンスストアを含む小規模複数店舗における監視カメ
ラ需
要が拡大している。

もっとも、英国のような「監視カメラ大国」では費用対効果が問題となっている地域――ロンド
ンの例では設置するのに推定、約16億円、その維持費が年間225万ポンド(約3億円)が費
やされる。一方っCTVは自動車事故提言に寄与したが、それ以外はほとんど効果がないという
情報もある。別の調査によれば、監視カメラにより、犯人が特定された路上犯罪は全体のわずか
3%にすぎず、暴力事件は監視カメラの存在により助長される?という調査研究もあるが現在英
国内務省は近年見直しを行っている。人権抑圧が大きい共同体ではその使用に対す警戒は根強い
ものの、様々な生産・消費場面の適用対象での逓増は不可抗であろう。
 

 16th January 2016


米国のオバマ大統領は、21世紀の交通システム――安全な車両の自動化の開発と採用を加速す
るために10年間に亘り約450億円の投資する。これはカメラだけでなく、従来の電波・光・
レーザーなどにミリ波・マイクロ波センサを加えた”もの情報システム”の開発普及による温暖
化ガス削減に地球環境を防止と、人命尊重と安全安心のための・交通事故の逓減を含めている。

 

● 2016年ディスプレイはOLEDに変わる

コストが大幅に逓減され、有機発光ダイオード(OLED)は、デバイスの広い範囲で使用普及す
る。
これらは、よりシャープ、より薄く、より明るいという特徴をもち、従来の液晶ディスプレ
イより省電力(省エネ)で
、軽薄で、「ウォッシュアウト」という日光当たっても画像の視認性
を失わず広視野角を保つ。




● デジタル革命の光陰:ロボットの台頭で消える職、20年までに5百万人余剰

 ブルームバーグによると遺伝学や人工知能(AI)、ロボット工学などの研究と技術革新により
人類は20年までに差し引き5百万人分以上の職を失う可能性があると、世界経済フォーラム(
WEF)の調査結果を報じた。
技術変革により先進・新興合わせて15の主要国・地域で20年ま
でに約7百人の職が失われる一方、2百万人分が創出されると試算している。
これら15の国・
地域は全世界の労働人口の約65%に相当する約19億人の労働者を擁しており、リポートはそこで
の調査に基づいて作成された。

WEFは物理的、電子的、生物学的なそれぞれの分野の境界線(ボーダレス)があいまいになり
第4次産業革命に相当すると位置付け、年次総会のテーマにあがっている。イングランド銀行の
チーフエコノミストによると、自動化によって何百万という職がリスクにさらされると警告する。
リポートは「技術変革が人材不足と大量失業、格差拡大をもたらすという最悪のシナリオを避け
るためには、今日の労働者たちの再訓練と技能向上が必須としている。
管理などホワイトカラー
の仕事が失われる職の3分の2を占め、コンピューターと数学、建築、工学関連の仕事は増える
と予想する。



第4次産業の典型は「NHK」にあるとはわたし言葉だが、すでにわたし(たち)は定義を済ま
せているが、確かに政策を誤るとカオスを引き寄せるが、クールに乗り切れば、社会主義社会
突入しているを実感できるだろうと考えているが、上図(クリック;"62 people own same as half
 the world
)のように「暴走格差社会」を食い止めることができず、混沌とした状況から抜け出せ
ずにいるかもしれない?

● 「乳牛」救うハイテク「ウエアラブル」

 グンゼは、酷暑によるストレスから乳牛を保護・冷却するウエアラブル(身に着ける)システム
の試作品「ウシブル」を開発した。冷感ウエアと最適注水システムを組み合わせた独自技術で、
京都府農林水産技術センター畜産センターと共同で実証実験を進め、早期の実用化を目指すと公
表。それによると、
乳牛は夏の暑さでストレスを受けると生乳の生産量が減少するため、畜産農
家では大型扇風機による送風や散水などの対策が欠かせないが、近年の温暖化などの影響もあっ
て、強い効果が得られないにもかかわらず、電気代がかさみ農家の悩みになっていた。
 

 グンゼが開発したウシブルは、人の衣類にも使われる放熱性能に優れた冷感素材の「ラディクー
ル」をベースにした。下着のように乳牛に着せ、細いパイプから少量の水を徐々に流すことで生
地を常に湿らせ、気化熱によって冷却させる仕組み。
鍵になるのはウエアに組み込んだ導電性ニ
ット線材だエアが乾燥したり湿ったりすると、線材の電気抵抗が変化する。ボタン電池で作動す
る小型機器で通電させておき、抵抗の変化を見て「乾燥」を把握。そのタイミングに合わせて注
水を行えるようにしたことだが、この方法が切り札(バーゲンパワー)なるのか疑問だが、面白
い。
 

  

● 折々の読書 『法然の編集力』 12 松岡 正剛 著      

 第三部 特別対談 松岡正則×町田宗鳳 

                                                  法然の引き算

 松岡――造形力という詰でいえば、日本人の文化の底力のなかには、引き算する才能や、シ
 ン
ブリフアイする感性がありますね。たとえば、水を感じたいからこそ枯山水にして水を抜
 く。
石のたくさんあるロックガーデンをいくつかに間引いて、スペースを小当く小さくして
 いく。龍安
寺もそうですが、とても小さくしていきます。大徳寺の大仰院となるとかなり小
 さい。あ
んなところからさらに引き算をすることによって、小なるものがより大なるイマジ
 ネーション
を浮かばせる。これはまさに引き算の文化によるものです。紹鴎や利休の茶室は
 広間から四畳半へ、三畳台目へ、さらには二畳台目まで縮約しました.。

 法然の時代は、このあとまさに大台も天台本気に切り替わって、「山川草木悉皆成仏」のよ
 うなものになっていく。そうすると天台座主になった慈円も、あるいは『徒然草』の兼好法
 師も、みんな引き算をしはじめる。法然は、そういう成句的な引き算の才能が群を抜いてい
 たんでしょうね。

 町田――そのとおりです。それまでの何千とある経徘もいらない、何百とある修行もいらな
 い。それは正統ではあるが効き目がない、効き目があるのは専修念仏だけだ、と言ってしま
 うわけですから。
 
 松岡――あとはそれこそ身ひとつ、身体だけがあればいい。これは「生きた枯山水」であっ
 て「生きた俳諧’ですよ。

 町田――俳句的な仏教。五七五にしてしまった。
 

 松岡――それはよくわかります。「選択本願念仏集にを何回も読んでみると、法然さんはた
 く
さんのものを比較しながらスクリーニングをしている。ペネトレーションしている。だん
 だん
と減らしていく撰述方法をとっているんですね。それについては第一部で論じることを
 試みた
のですが、まあじつにみごとです。

 編集という行為もまさに同じですね。私の専門は「編集工学」というものですが、エディテ

 ィングというのも膨大な情報からどんどん減らしていってヘッドラインをひとつにすること
 が
肝要です。たとえば、「菅首相やっと決断」とするか、「菅首相いよいよ決断」とするか、
 「菅
首相ついに決断」とするか。どんどん減らしていって、残りわずかのところですべてを
 表現す
るのがエディティングです。テレビにせよ出版物にせよ、日本人は究極まで引き算と
 いう編集
をしています。

 『選択本願念仏集』では、九条兼実の質問もあらたでしょうし、お弟子さんたちの「ご上人、
 ここはそれでよろしいんですか」といったようなコンフアメーション(確認)もあったはず
 です。
とはいえ、文章をすすめるにしたがってどんどん減らしていくさまはまことにみごと
 です。し
かも、減らす際には二分法で削るのではなく、いろいろな説を保留している。青信
 号と赤信号
に分断しないで、檀色の点滅信号をのこしている。たとえば、法然さんは観仏が
  ガで念仏が
ポジであるとは言いません。よく読みこむと、観仏にこだわっていては駄目だか
 ら、こっちヘ
アウフヘーベン(止揚)しましょうねというような旨い方をずっとしている。
 デリートをしな
のです。これには驚きます。法然という人には、編集的にインターフェース
 する才能がある
のです。

                               仏教を再統合する

 町田――そのとおりだと思います。ところが、やはり法然さんの選択にも功罪があります。 
 すこし前に話があったように、奈良・平安の仏教は統合型仏教でいろんな要素があった。そ
 こには神秘主義もあったし、儀礼もあったし、学問もあったし、芸術もあったし、音楽もあ
 った。とても多様性に富んだ仏教だったわけです。インドから中央アジアを通ってくる間に
 ペルシャの文化まで吸収して、すごく際かに統合されていた。

 法然という人は、そこから天才的にひとつの方法を取り出してきた。選択したわけです。そ
 れを機に、選択型仏教が日本のメインストリームとなりました。念仏だけでいいですよ、お
 題目だけでいいですよ、座禅だけでいいです上、といったように、平民でもできるような単
 純化されたプラクティカルな仏教の方法論の提供につながった。当時、それはとてもよかっ
 たことですが、すでに八○○年が経過しました。そこで仏が期待するのは「揺り戻し」です。

 松岡――なるほど。もう一回インテグレートしなおすべきだと。

 町田――ええ。それは私がアメリカから帰ってきて真っ先にこ言ったことでもあります。法
 然や鎌倉新仏教の祖師方は、みんな叡山からドりました。山から町へ下りたことで、思想の
 革命がおきたのです。だけど、八〇〇年たったら今度は町から山へ帰るべきです。そうすれ
 ばエコロジカルな仏教も出てくるし、ホリスティックな仏教も出てくる。もっと地球史観に
 立った統合型宗教を日本から生み出していくべきだというのが私の持論です。

 松岡――それは私も賛成ですね。しかし、現在の仏教貝には難しいのではないでしょうか。

 町田――それをやるのが坊さんとはかぎりません。現代の坊さんはほとんど職業化していま
 すからね。

 松岡――ひょっとしたらアーティストや詩人かもしれませんね。

 町田――ええ、経営者かもしれません。ともかく実践している人でないと本物の思想は生ま
 れてこない。机上の空論ではいけません。
 冒頭で申し上げたように、法然さんの八○○年御遠忌と東目本大賞災が重なったということ
 は、そういうメッセージもあるように思えてならない。ここで選択型仏教から統合型仏教へ
 復活しろ、その第一歩を踏み出せ、と。お念仏したら、お題目したら、座禅をしたら教われ
 ますよ、というのはある意味であまりにも人間中心主義的です。そこで教われるのは人間だ
 けではないですか。選択型仏教では、人間以外の動物、植物、地球のことなど考えていませ
 ん。となると、どうしてもより密教的でコズミックなものの見方が必要とされる。

 松岡――それは私もしきりに感じていることで、別の分野でしょっちゅう言っているんです。
 たとえば茶の湯や日舞ですね。こういうものは私の仕事とやや近しいもので、家元たちが「
 お茶会に呼ばれるだけでなくて、松岡さんも何か関与してほしい」と言ってくれます。しか
 し現在の茶の湯や日舞――あいは武道などでもいいのですが――は、最高の引き算とシンプ
 リファイとソフィスティケーションをおこしていながらも、その型どおりにしかできなくな
 っている。「守・破・離」の「守」と「破」しかないんですね。したがって、茶の湯のなか
 で掛軸にキリコが掛けられるとか、日舞に篠笛一本だけが演奏するとか、そういうことがで
 きない。出入りが止まってしまっているんです。

 このあたりをこそそうとうラディカルに思い切らないと、自分たちがはまった世界からは抜
 けられないけれども、抜け出たとしても「それは邪道だ」とすぐに言われてしまう。そこを
 どうするかですね。

 町田――二つの可能性があると思います。ひとつは、アウトサイダーや素人がアヴァンギャ
 ルドな茶の湯を始めるという道。もうひとつは、型の中に閉じ込められていて十分にその型
 を知っている人間、これが型破りをおこすという道。私のことで言うと、二〇年も臨済宗の
 修行道場で本も読ませてくれないような環境に閉じ込められていた。そこから飛び出てきて、
 いまは好き放題言わせてもらっています。

 しかし、型破りの人間というのは、千人に一人くらいしか出ない。いや、一万人に一人かも
 しれません。型を吸収するだけでもずいぶん時間がかかるし、型につぶされてしまう人もい
 る。忍耐力がいるし、意志力もいる。型を十分に身につけるまでに諦める人が半分近くいる
 としたら、あとの半分は型にはまって抜けられなくなるでしょう。だけど、そこからたまに
 飛び出してくるやつ、これが本当の意味の型破りです。どんな業界であっても、画期的な仕
 事をするのはこういう人たちです。

 松岡――白隠や仙涯や散光などには、そういうところがありましたね。けれども、あれから
 またずいぷんとたっているから、それがまた型になってしまった。
 みずからをうつけ者と称して、まわりからもそう思われた信長のような人物がりーダーシッ
 プをとったとき、はじめて型が破れるんですよね。もっと身近な例でいうと、忌野清志郎で
 す。私は、彼は茶人や仏教者なんかを軽く超えていると思っていた。忌野清志郎はポップア
 ーティストでシンガーの変なやつでしたけれど、こういう人物こそが日本の禅であるとか茶
 人の姿であるということを誰かが言わなければいけない。さきほどつ「ホリスティックな仏
 教」と言われましたが、そこにホリスティックなものが現われていることを目利きする人物
 がいないことが大きな問題のように感じます。

                                   この項つづく

 

  ● 今夜の一冊

 

 

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繰り寄せた一糸

2016年01月17日 | デジタル革命渦論

 

 

 

 

    身体行動が乏しい現代の日本人は、新しい形を作る力(造形力)が落ちている。
        もちろん・・・その背景には知識だけではなく感性が必要です。われわれは「具象
        の民」として、すばらしいものを作りあげてきたわけですから、いま一度、身体感
        覚を取り戻して「復活」するのも不可能ではありません。

                                                                     町田宗鳳  『法然の編集力』

                                             

 

 

【怪盗探偵山猫がドラマ化】

昨日は沢山な出来事があった(巻末に記述)。気分的落ち込んでいたが、夜9時からはじまっ
た新テ
レビドラム番組を観ることで癒やされることに。それにしてもダーティーヒーロー役の
亀梨和也の演技の
巧さに驚嘆。お目当ての広瀬すずを凌いでいる?。ところでこのドラマは作
家・神永学――74年山梨県生まれ。04年『心霊探偵八雲 赤い瞳は知っている』でデビュ
ー。「心霊探偵八雲」シリーズが若者を中心圧倒的な支持を集め「怪盗探偵山猫」シリーズ「
天命探偵」シリーズ、『確率捜査官 御子柴岳人 密室のゲーム』『イノセントブルー 記憶
の旅人』『コンダクター』『殺生伝 疾風の少年』「革命のリベリオン」シリーズを創作する
――の『怪盗探偵 山猫』(上図)――角川文庫版は既刊3巻、15年11月には『小説 野性
時代』(角川書店)にて掲載――の日本テレビ系列にてテレビドラマ化という経緯である。作
者の神永はドラマ化のオファーを受けた際、原作よりも面白くすることを条件を出したという。

圧倒的なワクワク感は番組紹介記事通り奇想天外の全面展開。卑劣な手段で金儲けをする企業
から大量資金を盗み出し、同時に悪事を暴く、天才怪盗・山猫(亀梨和也)。彼は義賊か?悪
党か?第1回を見る限りわからない。世間の注目を集める彼はある晩、善人面の顔の裏で振り
込め詐欺を行う政治団体のオフィスからその悪事の証拠となるデータを盗み出そうとするが、
魔王と呼ばれる謎の天才女子高生ハッカー・真央(広瀬すす)に邪魔される。山猫は、魔王の
正体を知るために雑誌ライターの勝村(成宮寛貴)に接近して正体を割り出す。真央は、ハッ
キングで顧客情報を盗み、個人情報を扱う会社の社長を務める父親に渡していた。山猫は真央
の父親の会社の完璧なセキュリティシステムに守られた金庫から盗み出すことに成功するが、
実は、その成功の裏には次期東京都知事の座を狙う謎の男のシナリオ通りだった?というとこ
ろで第1回は降幕。次回(1月23日)は如何なる展開が待っているのか楽しみ。おっと、山
猫は無類の即席麺好き、過ぎては健康によくないぞ、和也!

 

【ダウンサイジングする発電:燃料電池】

『進化するドローン』(上図)で紹介した燃料電池の開発や研究を進める英国のエネルギー技
術企業「Intelligent Energy 社」が、
さまざまな民生用電子機器に部品として組み込めるさまざ
まなタイプの燃料電池の試作機(下図。いずれも使用時間を従来電池に比べて大幅に伸ばすこ
とが可能。
スマートフォンやタブレット、ノートPCやドローンなどに適用可能。既存の電池を
置きかえることなく新たに搭載することで、稼働時間を大きく伸ばせる。同社の民生部門では、
燃料電池は独立して機器に電力を供給する電力源にできる一方で既存のバッテリーを補完する
ような使い方もできると言う。スマートフォンなどで、既存のバッテリーに燃料電池を加える
ことで、1週間充電なしで使用し続けることができる。
インターネットに接続した機器が20
年までに5千億個に達するとみられる中、モバイル機器の電源の問題は今後大きくなると見ら
れているが、エネルギー生産モバイル化を行いたいという。「発電のダインサイジング」は『
デジタル革命渦論』の必然でありそれが核融合とその利用技術の太陽光発電であり、燃料電池
という、高性能で、コンパクト(ダウンサイジング)で、デフレーションの特徴をもつ。10
年後は、米国のアップル社が自動車や燃料電池でトップを走っているかもしれない。これは面
白い。


 

アップル 英国の燃料電池会社Intelligent Energy (IE)と秘密裏に提携

  

 

  

● 折々の読書 『法然の編集力』 11 松岡 正剛 著      

 第三部 特別対談 松岡正則×町田宗鳳 

                                                                                                                                              
                           日本仏教の系譜

 松岡――法然が登場してくる前にも、恵心僧都源信が『往生要集』のようなものを書いてい
 ま
すね。「二十五三昧会」をはじめて、わりとインスタントかつプラグマティックに比叡山
 を下
りてきた者たち、慶滋保胤などの文人や貴族たちのサロンとなった。当時はまだ観仏の
 時代で、そこから専修念仏にまではいかなかったとはいえ、「さっさと往生しようじやない
 か」という機運そのものはおこっていた。

 町田――そのとおりです。私はつねに日本仏教を一体化して見ているから、決して法然だけ
 の手柄ではないと思っています。そもそも聖徳太子がそれまで神道しかないようなところに、
 天竺からやって来た宗教を受け入れて、『三経義疏』みたいな本格的注釈書を書いてくれた。
 それまでの神様といえば滝か山かかご神木ぐらいだったのに、人間の形をした仏像を受け入
 れてそれを礼拝したわけですから、当時からすれば相当に革命的だったはずです。

 松岡――ものすごいデコンストラクション(脱構築)だった。

 町田――蘇我と物部が戦争するくらいの大ごとだったのです。それを敢然と受け入れて思想
 体系をつくろうとしたわけですから、私は聖徳大子がそんなに穏やかな人だとは思えない。
 かなり過激な人だったはずでしょうから、彼はきっと毒殺されたにちがいありません。

 松岡――太子が実在の人物だったかどうかという議論はありますが、それはともかく、かな
 りラジカルな人だったと思います。きっとトランスジェンダーな要素もあって、男女感覚に
 も変わったものがあったかもしれない。山岸涼子の「目出処の天子」のようなマンガでは、
 聖徳太子はホモセクシャル仕立てに描かれています。



 町田――空海や最澄だって、私はすごく革命的な人だと思います。
  空海は大学を中退してから行方不明になっていた期間が七年もある。何をしていたのかと
 いえば、四国や紀伊半島の山林を走り回っていたわけです。そこで日本土着の山岳宗教を身
 につけて、そのうえで中国に行って密教を学んだ。日本土着の山岳信仰と外国の哲学思想、
 これを和洋折衷してしまったのです。そういう意味では彼も革命的ですね。
 そのライバルの最澄もすごい。当時、戒壇院は太宰府と東大寺と下野薬師寺にしか存在せず、                   
 上座仏教の小乗的な戒律を誓わないと、比丘や比比尼になれなかった。ところが彼は、それ
 はおかしい、大乗戒だけでいいと言い切った。もっとシンプルな戒律を約束すれば、誰でも
 坊さんになれるんだと主張し、仏教の「民主化」を要求したわけです。それに対して朝廷は、
 最澄が死ぬまで延暦寺に戒壇院をつくる許可をろさなかった。彼の要求はそれほど突飛なも
 のだったのです。

  この革新的な二人がいて、そういった流れのなかで三〇〇年たったところに法然が出てく
 るわけです。とりわけ法然と関連性があると私が思っているのは、空海の三密加持です。身
 密、口密、意密ですね。ボディと口と意識を使うというものです。法然さんは、三密のなか
 から身密と意密を切り捨てて、口を使うメソッドの口密――もちろん真言宗ではマントラ(
 真言)ですが――を取り出して、六字の名号でやろうと主張したのではないでしょうか。私
 は「法然の涙』(講談社)という小説のなかで、法然と空海を夢のなかで会わせていますが、
 それは彼らに思想的一貫性があると思っているからです。

  日本の仏教史は、おおよそ二〇〇年ごとに偉人を出すというのが、町田史観なのです。で
 す
から、とくにこの人ひとりが偉いということはないんで。

 松岡――なるほど。空海の三密加持のメソッドから口密を取り出し、それを口称念仏や専修念
 仏につなげたという見方はすごくおもしろいですね。私からすれば、まさに「編集」にほかな
 りません。

 町田――法然は密教的な修行もやっています。彼は十三歳で比叡山に登って十八歳で黒谷に移
 るけれども、その間の五年間は、延暦かの教則本に従ってやらなければならない修行がたくさ
 んあった。そこで三密加持にふれているのはまちがいないと思います。そこで絶頂して、「悲
 しきかな悲しきかな、いかがせんいかがせん」という言葉が出てきた。こんなものを全部やれ
 と言われても無理だ、どれか一つ選択しなくては、と。まだ十代の法然にも身に遣るような危
 機感があったのではないでしょうか。


 松岡――とはいえ、よくぞそこまで抜けましたよね。空海から法然までのあいだに、空也L人
 や忠心僧都源信のような方がいらっしやったとはいえ、六字名号を声に出して称えるだけでよ
 い、というのはあまりに革新的です。法然は平等院(あるぃはE目脂立の経蔵で見つけた善導
 の『観経疏』を読み込むうちに、ここだというところに出遭ったといいますが、それは偶然で
 はなく、膨大な読書量とスクリーニングカによって導かれた必定だったように感じられます。

 町田――学問的にはそうとう読み込んだうえで見極めたはずですが、その一方で一点集中して
 戦う武士の血というのもあると私は思います。幼少の勢至丸は九歳のときには弓の名手といわ
 れていましたし、ターゲットを狙うということには犬性の感性をもっていたのではないでしょ
 うか。

 松岡――父親が目の前で殺されていったこともあって、負けまいという強い気概があるかもし
 れませんね。多くの法然ファンは、法然土入に寂然とした、ほわーんとしたキャラクター像を
 もっているけれど、そうではない。きわめて鋭い人物だった。
  とはいえ、法然の考え方というのはまわりからするとあまりにも突拍子のないものだったの
 で、いくら末法の世でも、念仏だけで簡単に浄土に行けるというのはおかしいんじやないか、
 と反論もされます。当然、興副寺や延暦寺が文句をつけてきましたね。法然という人は、こう
 いった批判になぜ耐えられたのでしょうか。

 町田――まず第一に、法然さんはエリートの甘えを直感していたのだと思います。お前たちは
 特殊な境遇に生きて、仏教の理想論、建て前を言える立場にあるけれども、庶民を見てみなさ
 い、いまやどうしようもない状態ではないか、と。
  それから、法然という人はいい意味ですごい自信家だった。彼には、学問的にやるだけのこ
 とはやった、読書量においてはだれにも負けない、という自負かありました。そういう知識の
 ヴオリュームにはかなりの自信があったはずで、だからこそ彼が発言することには、帝から庶
 民の遊女までが耳を傾けたのだと思います。
  もうひとつ、法然は定善観を通じた自信をもっていた。定善観とは、阿弥陀の姿や浄土の光
 景を目の当たりにしていくという意識集中的な念仏です。観法にもとづいて十三段階に分かれ
 たビジュアライゼーションです。幻脱体験であり、神秘体験ですね。それが確固たる自信につ
 ながっている。法然さんは、「他人には,この修行はやる必要がない」と言っているけれど、
 自分自身は死ぬまで続けている。そのたびに自分の内面的な自信を塗り替え、活性化していた
 と思います

 松岡――法然や親鸞の登場を十六世紀の宗教改革になぞらえるとき、親鸞がルターであると行
 われてきたけれども、じつは法然こそがルターであり、親鸞はカルヴァンではないかとする向
 きがありますね。これは町田説でもある。旧カトリックが猛烈な攻撃をかけたときのルターの
 平然たる戦いぶりは、南都北嶺から繰り返し文句をつけられた法然の境遇に近いともいえます。
 興福寺にいたっては「九箇条の失」を掲げて法然教団を攻撃するわけですが、それでも法然は
 屈しない。それでいてちゃんとテキストにもとづいて信仰原理を組み立てたという点でも、法
 然とルターは近いものがある。この二人には、自身の思想の背景にテキストがあるという自信
 もあったはずですね。

 町田――法然がじつにすさまじい人生を脂んできたことも関係している。わずか九歳のときに
 目の前で父親が殺されて、寺を移るよぅにして比叡山に来る。彼の体験そのものが波瀾万丈だ
 し、そのなかで生き抜いて、懸命に学問と向きかい、修行を積んだ。当時の延暦寺といえば名
 門総合大学のよぅなものですから、門閥出身で秀才人間ばかりです。法然には、知識ばかりで
 語っているあなたたちとはちがうよ、という思いがあったはずです。

                                  仏教とイメージ

 松岡――ところで、私にはかねてより大きな疑問がありました。神秘やビジョンというものは、
 日本の仏教でどのように位置づけられているのか、ということです。それというのも、日本の
 仏教のなかには神秘体験を拡張した例が少ないように思えたからです。弘法大師や上人や一体
 さんや一部の禅僧にはそれに近い体験があったことは知られていますが、ユダヤ神秘主義
やグ
 ノーシスやビングンのヒルデガルトのように、いわゆるビジョンを見て、ビジョンが宗教
にな
 っていく例とはどこかちがいます。ですから、やはり日本仏教はテキスト主義か勤行主義
のど
 ちらかだろうと思っていた。

  そんなイメージをもっていたものですから、ずいぷんあとになって『選択本願念仏集』を読
 んだときには驚きましたね。あんなにたくさんのテキストを読んだ法然が、そのなかの一箇所
 にばーっと光のようなものを感じて、浄土教を観仏から念仏にひっくり返してしまう。それ以
 来、私は、日本仏教における神秘やビジョンを考える際に、法然という人はその端緒にいたの
 ではないかと思っています。

 町田――それまでの仏教は神秘体験も含めた統合的な顕密仏教でしたが、鎌倉から顕教の時代
 に入ります。そうすると、浄土とか禅とか日蓮とか、選択型の仏数になってしまって、ビジョ
 ーンやイメージを切り捨てるわけです。たとえば、仏は臨済宗にいた人間ですけれども、座禅
 中に何か見たとしたらい「それは魔境たから、惑わされないように」と言われるます。座陣の
 足の組み方には吉祥坐と降魔坐というのがあって、密教では吉祥坐でイメージ加わきやすいよ
 うな姿勢で座りますが、臨済宗では降魔坐でイメージが出てこないような座り方をする。ビジ
 ョンやイメージはまったくもって不要なものです。現在の日本仏教は、浄土、禅、日蓮という
 系統が表に出ていますから、やはりイメージを重要硯する系譜にはないのです。

  ところで、仏が法然を勉強した理由は、この人だったら深層心理学も使えると思ったからで
 す。フロイトやユングもアメリカで勉強していたし、西田哲学もまがりなりにやってきた。そ                                    
 の前は鈴水天拙の『浄土系思想論』のようなものを読んでいたし、浅原才市とか妙好人のこと
 も興味があり、禅とはまったく異なる世界があることを知っていました。
  それから20年ほどたって研究をはじめるとき、法然さんにはユングもフロイトも所出も鈴
 木も入っていることに気がついた、しかも、常数のあらゆる要素――禅と念仏、仏教とキリス
 ト教、一神教と多神教――も法然さんにはあると考えた。この人ひとりを学んだら、世界のあ
 らゆる宗教のことを論じられると確信したのです。私の博士論文はまさにそういう議論をして
 いるのですが、これはいい選択だったといまでも思っています。

 松岡――いい選択というよりも典型的ですよ。町田さんは、法然のすごいところはイマジネー
 ションやインスピレーション、つまりは想像力にあるとこ言いますが、多くの研究者たちはな
 かなかそう見ない。

 町田――浄土宗の人もそういうことを言いたがらないでしょうね。しかし、私は宗教体験とい
 うのは最初にイメージがあると思っています。それが時間をかけて言語化してくる。すると単
 語が生まれてきて、それがもうすこし時間がたつと体系化して思想やイデオロギーが生まれる。
 出発はイメージなんです。法然の偉大さが語られるとき、たいていは専修念仏とかイデオロギ
 ーのレベルの話になってしまいますが、じつのところ私はそっちにはあまり関心がない。彼の
 イマジネーションを論じることには犬さな意義があると思いますよ。

 松岡――ところが日本の仏教学というのは、そのように日本人のイメージの起源や発達を語る
 ことがうまくできていない。とても残念なことです。

 町田――近代仏教学が、清沢満之あたりから始まっていることも関係しています。ひとことで
 言ってしまえば、かなり理屈臭いのです。

 松岡――しかし、なぜイメージから出発して専修念仏に絞りきれたのか、という疑問も生じま
 す。そもそも、十六観法や羯摩マンダラや阿宇観などのわずかなものを除くと、ほとんどの行
 法はビジュアライズされてないように見えます。口称の念仏もイメージに富んでいるとは思え
 ない。むしろボーカリゼーションの集約ですよね。
  ここの説明がもうひとつ必要なのではないでしょうか。むしろ観仏だったらイメージでしょ
 う。だけど、念仏というのは六字名‥号までいくわけだからマントラやダラニに近い。「声に
  の世界です。そういうように考えられるんじやないかという気がするのですが。

 町田――そのとおりだと思います。しかし念仏に新しい注釈を加えるとしたら、あれは身体行
 です。発声するということも身体行動のひとつですから。そして、イマジネーションは、身休
 感覚を磨かないことにはやってこない。左脳を使うだけでは不ト分で、社訓も使って全体のバ
 ランスを保だなければ、イマジンできない。

  

Charles Nainoa Thompson (born March 11, 1953 )


  かつてナイノア・トンブソンという人が、ホクレア号という航海カヌーに乗ってハワイから
 タヒチヘと渡りました。その際、レーダーやコンパスといったナビゲーターをいっさい使わな
 かった。彼らは一子相伝のようにして特殊な航海術を学ぶらしい。晴れているときには星座を
 見る。嵐で空か見えない場合には彼の動きを読む。つまり、空と彼を見て数千キロも先のタヒ
 チに至るわけです。ここでもビジュアライズする力、イマジンする力が必要になっている。
  法然さんは声の力に注目して、それを何万遍もリピートすることによってイマジネーション
 を促進した。現代においても、声の力でそういうことはできるだろうし、あるいは別の形で身
 体感覚を強めていくことが大事です。昔のお坊さんが偉かったといいますか、すごく思想性に
 富んでいたのは、彼らはとにかく良師を求めて諸国を行脚して歩いたということです。法然も
 山の中を歩き回っているし、叡山からドりて南都留学などもしている。昔の宗教家は本当によ
 く歩いた。歩くことは思想の深化につながります。宗数字にかぎらず昔の動なん人は、飯を炊
 くにも井戸から水を汲んだり、川に洗濯に行ったり、山に柴を取りに行ったりした。何事にも
 身体行動が伴ったから、そこに思想性というものが生まれてきた。

  身体行動が乏しい現代の日本人は、新しい形を作る力(造形力)が落ちている。もちろん
 一部の建築家などはそういう力が突出していたりするけれど、国民全体で見るとそれはあきら
 かだと思います。既存の形ではないものを作り出す力、それぱやはりイマジネーションによる
 もので、その背景には知識だけではなく感性が必要です。われわれは「具象の民」として、す
 ばらしいものを作りあげてきたわけですから、いま一度、身体感覚を取り戻して「復活」する
 のも不可能ではありません。

                                                       この項つづく 

     

        16年度新年会(案内) 

日時 2月13日(土)
開宴 18:00~20:00まで 
場所 彦根市内西今町『水幸亭』050-5871-1454
会費 寿司懐石+放題酒代1・2千円)
送迎 送迎バス:現在時点 JR駅東口側前 17:45

   その他で送迎希望者があれば今月末までに幹事
   までご連絡下さい。
                     
幹事敬白  

【繰り寄せた一糸】

初回忌開けで、昨年度は新年会を中止したがこれをリスタートさせることで、ホームページの
改訂作業をすませ、参加者の出欠の確認のために電話連絡し、運動の最長老になる谷口さん、
同じく、同町会の山田さん、元職場の先輩の佐々木さん、柳本さん、吉田さん、水都施工の辻
社長、長浜の中村さんなどと連絡確認作業に移るが、彦根市立図書館で岩本弘著の『定年・シ
ニア企業』、関根俊介著の『個人事業のを会社にするメリット・デメリットが全部わかる本』
を借りるためも兼ね出かけのはいいが、閲覧室で労組支部長であった小崎さん(似た人?)を
見かけ、貸し出し申請をすませ確認するために声をかけようと思っていたが、その人物は俯き
き加減で目を合わすことができず、声をかけることができす、また谷口さんと山田さんのご自
宅に急ぐ。ところが谷口さんは留守で山田さんところにいくと、ご本人は体調が思わしくない
ので欠席とのことだったが、谷口さんは二、三日前に市立病院に入院されていると聞かされ、
途中、会場の「水幸亭」に本予約をすませ、すぐさま、帰宅するなり、彼女とお見舞いに直行
する。

   

病院の病室に上がると折しも奥さんが帰宅するところで、事情を確認し、自宅近くまでお送り
し、帰宅
すると、その旨を佐々木さんにはなすと、母が他界した9月の翌月に、小崎さんが病
死され、ご自宅までお悔やみに行ているのだ、わたしが見かけたのは、それは小崎さんが会い
に来たのだよと話す。それは本当か?会に参加しないかと誘うつもりだったのだがと応じ電話
を切ったが、夕食後とても信じられず、同じく書記長だった小原さん確認の電話を入れると、
それは本当だと言う。かれは五個荘町で町内会長を三年の任についているのだが、心臓手術を
受けたばかりだという(カテーテル療法で切開すことはない)。同僚の神鳥さんのエンディン
グノートは早めに書いておくことの忠告を思い出しそんなことを言い電話を切った。そこから
9時の『怪盗探偵山猫』 を観るまで落ち込んだという訳で、翌朝、お悔やみに以降としたが、
ホーム
ナットワークのルータの誤作動でネットワックが遮断、その対応で時間ロスし(家には
彼女と息子たちと数台
ある)、昼から、二人で出かけお悔やみに行くと、息子さんに応対して
いただいたが、やはり言うとおりであった。その足で再び図書館にも立ち寄ったが、その彼は
いなかった。それにしても不思議な出来事だった。これは、見ざる糸で結ばれているという、
日本的なあるいは仏教的な”唯心論”の証なのか、たんに妄想なのかと考え込んでしまった。
それにしても、これから意図的に外出する機械が増えるが、精神的にも精神的にも大丈夫だろ
うかと不安が尾を引くようである。

 

 

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最新蓄電池安全工学

2016年01月15日 | ネオコンバーテック

 

 

 

   大きな疑似帝国をつくった遺産を日本株式会社のなかに入れ込もうとして、
               地域にひそんでいる人たちの登場を阻んでいた感じがあります。

                                                                  松岡正剛  『法然の編集力』

 

 

 January 13, 2016

【最新蓄電池安全工学】

●熱暴走ストッパーリチウムイオン二次電池の開発

スタンフォード大学の研究は、それが過熱する前に自動的に遮断し、それが冷えたら即座に再起
動し、リチウムイオン電池を開発。
シンプルなアドオン既存のバッテリー技術には、ノートパソ
コンなどの電子機器のバッテリ火災を防ぐことができる。「キルスイッチ」、または、独自にリ
セットヒューズボックスの「トリップスイッチ」機能技術のが自動的に働く。スタンフォードの
バッテリーは、自動停止し、パフォーマンスを損なうことなく、加熱と冷却の繰り返しサイクル
をやり直すことができる世界初のデザインとなっている。

スパイク状ニッケルナノ粒子をグラフェンでコーティングした粒子は、電池用電極の一方に取り
付けた弾性ポリエチレンフィルムで包埋し、
フィルム中のナノ粒子が互いに物理的に接触状態で
電流が流れる。バッテリーが70℃まで加熱されると、ポリエチレンフィルムが伸びとバルーン
の皮膚のよう状態変化が起き
、バッテリーをシャットダウンさせる(下図委クリック)。その後
すぐにバッテリー温度が70℃を下回ると、フィルムが収縮し、粒子が、現在は再び流れ始める
気候である。

また、フィルム上にナノ粒子の数を任意にあえることで、またはポリマー材料の別の種類を選択
することで、必要に応じて温度閾値を上昇または低下できる。


 doi:10.1038/nenergy.2015.9

 ● 無指向性ソーラーパネルの登場

サウジアラビア科学技術のアブドラ国王大学(KAUST)と台湾の国立中央大学からの電気技術
者の研究グループは、シリコン太陽電池のためのコーティング材――溶融シリカ包装ガラスを
昨年12月に開発。ガラスコーティングは、小型、超薄ナノロッド及び材料に統合大きなハニ
カム状ナノウォールの階層構造を備えナノウ
ォールの効率的な散乱能力と組み合わせたナノロ
ッドのサブ波長機能は、光の角度に応じて、任意の場所の間で5.2と27.7パーセントの強
化変換効率の実績を得ている。さらに、複数の角度で光閉じ込め能力に加え、ガラス表面のセ
ルフクリーニング機能をもつ――
屋外の6週間後の98.8の変換効率の維持し、ほこりなどの
汚れを除去することを確認している。類似の特許出願も多数あり、後は、コストなどを含めた
試用評価の実績データ比較だけとなる。

 DOI: 10.1021/acsnano.5b05564

  

● 折々の読書 『法然の編集力』 10 松岡 正剛 著     

 

 第三部 特別対談 松岡正則×町田宗鳳 

                                      辺境から生まれる希望 

 松岡―― 一方、能囚法師とか西行法師とか芭蕉たちは、白河の関を越えるたびに世界観を
 変え
ています。「陸奥」の入り口にも何か折り返し点に近いものがあります。能因や西行や
 芭蕉は
それをしないと「日本」はわからないと思ったんでしょう。あそこへ行って戻ってく
 れば何か
が見えてくるという目本の歴史的な阻型をあらわしているように思います。『おく
 のほそ道』
はそのサークル・アーキタイプだったのでしょうね。辺境の地に行って力を得る
 ということで
すね。

 町田――私は、日本の希望はつねにマージナル(周縁的)なところから生じると考えていま
 す。
それが中央にやって来ては、主流となる。しかし、それが時間とともに固定した権力に
 なって
いくと、また辺境に希望が生まれる。この繰り返しがあるのではないでしょうか。
 法然さんもすごくマージナルな人で、彼は美作(岡山県)の出身です。岡山といえば、いま
 でも不便なところがありますが、平安末期の美作などといったら辺境の地だったのではない
 で
しょうか。そこの新興武士の嫡男として比叡山に来たわけですから、こんなのは本当にマ
 ージ
ナルな人間ですよ。しかし、だからこそ彼はのちに革新的な思想を生み出すことができ
 た。親鸞さんも下級貴族の出ですね。つまり、画期的な思想を生み出す人は、自分という人
 間をメインストリームではなしに、マージナルな位置に置いていた人であると私は理解して
 いるんです。

 松岡――岡山というのは興味ぶかいところです。法然以降の歴史を見ても、宮本式蔵がやは
 り
岡山ですね。柳田国男は県からすると兵庫生まれですが、備前の国に強い関心をもってい
 た。
法然上人、宮本武蔵、柳田岡男を一挙に語るためにはいろいろ説明が必要ですけれども、
  やは
り共通点を見ることはできるはずです。
  武蔵は刀が使えない社会に向かっていって、革新的な武道を作りあげた。その後は柳生時
 代
ですから、将軍家の指南役にならざるをえない。そのために、日本で本当に相手を役さな
 い武
道の型を生んでいく、その原型です。
  子ども時代の柳田は近くのお寺で地獄絵を見て、あんなに怖いものはないということで日
 本
の闇の底辺というものを感じた。その一方で、遠野に行って佐々木喜善から土の奥から語
 られ
たような物語を聞き出して、農商務省の役人でありながら辺境の民俗学を徹底的につく
 ってい
く。法然という人の系譜は、こういう人たちのなかにもすこし感じます。

 町田――岡山というのは不思議な場所で、黒住教や金光教など新宗教の発祥の地でもあるし、
 臨済宗の栄西も岡山の出身です。いろんな精神的なリーダーが岡山から出ています。

 松岡――日本の民蕎運動は柳宗悦たちによって準備されますが、その理論のルーツは、岡山
 の
金重一族という備前焼の名門にあります。富本憲吉やバーナード・リーチもそうですが、
 かれ
らは金重家で研究されていた釉薬や土などのアーカイブや技術を学んでめざめるんです
 ね。岡
山という土地はマージナルであるとはいえ、やはり何かがひそんでいる。

 吉備真備

                       
 町田―― 一見したところ山国ですけれども、かつては吉備王国があった場所で、吉備真備
 や和
気清麻呂のような文化人も出ています。帰化人もたくさんいたはずですし、文化度はか
 なり高
かったと思います。

 松岡――吉備王朝はさっきの出雲王朝とつながっていたかもしれませんしね。

 町田――そのとおりです。私の持論は、かつての目本には各地に数箇所の朝廷(王国)があ
 って、そ
れがだんだんと淘汰されて大和朝廷に統合されていった、というものです。日本の
 各地には
かなりハイレベルな文化が花咲いていたはずです。
  そこで私が期待しているのは、かつて明治維新のうねりが薩摩・長州・土佐の下級武士た
 ち
からおきてきたように、現在の東京一極集中の中央集権国家のなかで、新しい政治や産業
 の動
きがマージナルなところから出てくることです。

 松岡――日本にはマージナルな人間が活躍する伝統がずうっとありましたからね。そう考え
 る
と、戦後の日本で辺境の人々があまり立ち上がってこなかったのは大きな謎です。ひとつ
 考え
られるのは、戦前に満州帝国という大きなマルチ帝国に日本の関心が移ってしまったせ
 いかも
しれませんが。その後の歴史を見ても、吉田茂、岸信介、佐藤栄作、小泉純一郎まで
 その系譜
が引きずられてきたわけですから、何かを満州が呑みこんだのかもしれない。大き
 な疑似帝国をつくった遺産を日本株式会社のなかに入れ込もうとして、地域にひそんでいる
 人たちの登場を阻んでいた感じがあります。

 町田――おっしやるとおりで、こんな中史集権国家はかりそめですよ。東大に来て政府の中

 枢に入るような人や官僚になる人は、じつは地方出身の人が多いはずなんですが、彼らはメ
 カニズムとしての東京に呑みこまれてしまっている。霞ヶ関や永田町に入るとすべてが変わ
 ってしま
うのでしょ。

  玉桂寺

 松岡――
冒頭から法然が置いてけぼりのようになっていました。いま町田さんが言われた「
 辺
境」というキーワードとからめながら、そろそろ法然さんのことを考えてみたいと思いま
 す。1989
年、滋賀県の甲賀郡にある玉桂寺の阿弥陀像胎内から、源智の願文と、それに
 結縁
した4万6000人の名簿が出てきました。源智というと、法然の側近中の側近ですね。
 その
名簿のなかに、「エソ370人」と書かれた箇所がありました。その「エソ」というの
 が何を
意味するのかはまだ確定されていませんが、研究者はだいたい東北の「蝦夷」のこと
 だろうと
推測しています。

 源智がこの願文を書いて阿弥陀像の胎内に納めたのは、法然が亡くなってまもないころとい
 うことはわかっています。となると、法然‐に人が生きておられた時代に、蝦夷の東北の人
 たち
のところまで浄上牧の信仰が広がっていたか、あるいは京都や近江まで蝦夷の人たちが
 来てい
たということになる。ちなみに、ここでいう蝦実とは、アイヌという意味ではありま
 せん。当
時の蝦夷というのは、ほとんど販北や陸奥住民のことです。
 いずれにせよ、法然の周辺に東北蝦夷の人たちが関ゲしていたとなると、これは画期的なこ
 とです。法然のまわりには外側から辺境の民が集まってきている印象を強くもちます。

 町田――それが事実ならすごいことです。というのも、奈良・平安の仏教では、救いのサー
 クルに入れたのはほんとうに選ばれた人たち、それこそ朝廷の公卿とか貴族だけだった。そ
 れを一気に崩してしまったところに法然さんの革命性がある。男でも女でも「10は10人
 ながら、百人は、百人ながら往生す」と言ってしまったわけですから。
  法然さんの存命中に、東北の地まで専修念仏の輪が広がっていたかどうかは判断がつきま
 せん。しかし、もし蝦夷といわれるような人たちにまで法然の教えが浸透していたのなら、
 これは画期的なことです。それまでの彼らは仏教にふれたこともなく、土着のアニミズム的
 な信仰をもっていたわけですからね。

 松岡――
浄上教と辺境という点でいえば、越後に配流された親鸞は、常陸へとおりて東国一
 帯に布教していますね。親鸞が京都に戻るのはそれから数十年もたってからのことですから、
 それまでは北関東や東北あたりでも苦行していたと思われます。つまり、浄土宗や浄土真宗
 は辺境の民々やいろいろ蔑まれたような人々のなかにも、ものすごい勢いで入っていったの
 ではないでしょうか。

 町田――教えがそれほど単純なんです。仏典を読みなさいとか戒律を保ちなさいということ
 を条件にしていない「南無阿弥陀仏」という六字の々名号をたった一遍でも称えれば極楽へ
 行けますよ、という単純明快なものですから、それまで仏教の「ぷ」の字も知らなかった山
 岳民族でも「あれっ」と思ったのでしょうね。


                                   
仏教の土着化

 松岡――それでは、そろそろ本格的に法然の話へと移りたいのですが、冒頭にあったお話に
 あった文明史の視点、あるいは「文化の祖型」という観点を転用しながら話をすすめましょ
 う。
   法然は、善導の浄土論から阿弥陀仏の第十八願のところを「選択」しました。ですから、
  阿弥陀一仏を信仰するという教えになっている。しかし、そこにはたいへん難しい間題がひ
 そんでいます。すなわち、日本宗教史のなかで浄土宗は一神教を立てたのかという議論です。
 日本の宗教や信仰観念は多神多仏で、神仏習合的なのですが、浄土宗の阿弥陀信仰は、ユダ
 ヤ教、カトリック、イスラム教などと同じようにづ即数的であると指摘する向きもある。こ
 の問題については第一部の論考ですこし論じたのですが、私は浄土宗が一神教を立てたとは
 考えません。とはいえ、なかなかややこしい議論であることに変わりはないと思います。町
 田さんは、法然の研究者という立場から、どういうように見られますか。

 町田――私はかつてハーバード大学の神学部にいたのですが、あの大学の神学者たちは浄土
 教、とくに親鸞が大好きなんですね。なぜかといえば、おっしやるようにかなり一神数的な
 性格をもっているからです。キリスト教と兄弟たくらいに思うのでしょう。私が学生のころ、
 親鸞にすごく興味をもって日本に行ったという教授が何人もいましたが、残念ながら法然さ
 んについての知識はあまりもちあわせていませんでした。英語による法然研究書がなかった
 ことが原因ですが。

 松岡――蓮如の時代には一向衆が政治的な力を発揮しましたね。一向一揆が頻繁におきると
 いうことは、かなりフアンダメンタリズム(原理主義)的な信仰形態でもあったということ
 になるわけですか。

 町田――ええ、浄土教の一神教的な要素が政冶化したのが一向一揆という現象です。東西を
 問わず、一神教には権力闘争に変容していく歴史的必然性があると思います。
  ところで私が法然さんのどこをいちばん買うかというと.、彼のイマジネーションなんで
 す。聖徳太子から彼に至るまでの六百年には、ひとつの仏教神話があった。八正道を守って
 三宝を篤く教えば救われるという神話が、ちやんとつくられていたのです。それはかなり原
 始仏典にもとづいた仏教のオーソドックスな教えです。

  ところが、12世紀末に法然が単身登場してきて、その神話を壊してしまった。戒律はい
 りません、三宝を敬う必要もありません、自分で声に出して,南無阿弥陀仏」と称えれば浄
 土に行けますよという教えです。言ってみれば、新しい神話をつくってしまった。神話をつ
 くる力とは、彼のイマジネーションによるところが大きいわけです。

  比叡山時代の法然は「智慧第一の法然坊」といわれていたくらい聡明な人間で、一切経は
 五回読んだと自分でも言っているくらい、とにかく膨大な知識をもっている。その膨大な知
 識にもとづきつつも、だんだんと狭めていって善導に収束していった。しかも、善導のなか
 で「摂取不捨」のところだけをぱっと引き出してくる。これは天才的な「誤解」であり「曲
 解」ですよ。それで日本の宗教を変えてしまったわけだから、払はすごいイマジネーション
 のもち主だと思っています。

 松岡――そう、そのとおりです。私はそれを「法然の編集力」だと見て、そのプロセスやエ
 ディティングの方法をいろいろ調べてみました。しかし、多仲冬仏という日本的な風土のな
 かであえて一神数的なファンダメンタルなものをつくりえたというのも、そのイマジネーシ
 ョンによるものなのでしょうか。

 町田――それは社会状況もあると思います。保元の乱やダ冶の乱あたりに、社会が本当に混
 乱した。それこそ都が現在の三陸海岸のような状況だった。その後も善和の大飢饉があるし、
 台風、大火、疫病と、次々に天災がやってきた。

 
松岡――そして末法も始まっている。

 町田――そう。ほとんど理屈も通らないような吐会状況だったから、どうしても一神数的な
 表
現をせざるをえなかったと思います。
  しかしだからこそ、私は法然が本当の意昧での仏教の日本化、土着化を成しえたと思って
 い
ます。仏教以前の日本人にあったのは、水中他他界観あるいは山中他観です。死ぬと誰で
 も常世
に行く。それは山のあなたかもしれないし海のあなたかもしれないけれど、いずれに
 せよ常
世に行って帰ってくる。縄文時代の遺跡を発振すると、亡くなった人はみな浅く埋め
 られてい
て、胎児のように屈葬されています。つまり、常世に行ってすぐ帰ってくることを
 期待してい
るのです。そして、そこでは生前の倫理的資質をいっさい問題にしていない。そ
 いつが悪者だ
ったか善人だったかを間わずに、人は死ぬと常世に行って帰ってくるという単
 純な往来です。

  法然さんは、この縄文時代以漱の他県政を仏数のなかに収り込んだという見方ができる。
 先
祖返りです。仏教において「往生」や「成仏」は一般条件づけされましたが、その条件を
 取っ
払ってしまったような面がある。

 松岡――それもなかなか興味深いですね。その後の南都六宗や中国仏教や密教によって「死」

 がいろいろと理論化されたけれども、縄文的な日本人の他界観がもう一度法然さんによって
 示
された、と。浄土数のなかに、屈葬からそのまま常世に行けるような縄文的感覚を見いだすの
 おもしろい。法然は善導から「散善」を選ぶことを学んでいますね。「定善」を捨てた。こ
 れはまさに屈葬的ですね。なにかうまくいっていない大にも浄土が近づくという、ある意味
 では底辺的で先祖返りの思想です。稲作的ではなく、縄文的なものがある。

 町田――狩猟棟梁長旅がもっていた他界観と同じですよね。私がいつも感心するのは、「人
 はとこで死ぬかわからん」という法然さんの言葉です。大通りで早馬にはねられて死ぬかも
 しれない。あるいは便所の中で死ぬかもしれない。昔でも脳や中とか脳梗塞はあったはずだ
 からそういう病気でとつぜん死ぬかもしれない。でも、そんなことは関係ないんだ、と言い
 切ってしまっている。すごいことですよ。

 松岡――念仏するときに口が臭くてもいいでしょうかと尋ねられて、そんなことはしようが
 ない、というようなことも何度か言ってますよ値。ニラを食べて念仏したらだめでしょうか
 と聞くと、いやそんなことはない、とも答える。私は法然が自分を含めた信仰の原点を「乱
 想の凡夫」として立ち上げたことはとても大きかったと思うのですが、これは散善の思想の
 根底ですね。

 町田――法然という人はすごいブラグマティストなんです。けっして理想主義者ではない。
 私からしたら道元さんがまさに理想主義者で、現実からち上っと癩離している。よほどの好
 き者でなければ、永平寺に入って何年も座禅を続けることはできないと思います。ところが
 法然さんは、一般の飢え阿しんでいる人でも実践できる仏教をある意味「発明」した。たし
 かにその種は善導にあったけれど、じつは善導の思想というのは中国ではそれほど広がらな
 かった。

 松岡――あまり読まれてもいなかった。それはどうしてだと思いますか。

 町田――中国が、強固な官僚制にもとづく階級社会だったからでしょうね。それと、日本み
 たいに黄泉の国に行って帰ってくるという、ある意味では単純な他界政がなかった。中国の
 死生観には儒教がかなり深くからんでいるから、ご先阻とか家族の阻害を篤く供養しないと
 良いところへは行けない、という考えがあるのです。

 松岡――水平的な他県政をもたない、とも言えますね。道教ですら仙界が他界ですよね。こ
 れもやはり水平ではない。

 町田――ええ。だから、浄土教が花開くための文化的土壌として日本は最適の場所だった。
 材料は善導が用意してくれたけれども、その教えをいいとこどりして日本の土に種をまいた
 のが法然なのです。

                                   この項つづく


   ● 今夜の一品

これまたスケールの大きいオフロードキャンピングカーである。さてどのように使うか?考える
だけでもわくわくする一品だ。

● 

スリーディープリンタの組み立ても残すところ2、3週間となったが、今回の部品組み立ての不
具合――ネジ穴のサイズが小さすぎて慎重に組み立ていったんは完成した
かのようにみえたが―
―最後の最後で破損してしまった。すぐさまサポートセンターに電話すると、設計ミスで申し訳
ないが改良部品送るということだった。これで2回目だ。「信用が崩れるのは一瞬」だとはこれ
までの体験から肌身に刻まれているが、「仏の顔も三度まで」のアフターケアーであることも学
んできたことだが、数時間これでロスすることになる。わたしの時間単価は高いんだからねぇ~。
知っていて欲しいんだから?^^;。

 

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