極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

人工光合成時代に突入

2023年10月30日 | 人工光合成時代

    
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝
えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の
軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ

   


再エネ革命渦論 186 アフターコロナ時代 185
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
   特異点真っ直中 ㊿+⑰


図1. NTTグループ温室効果ガス排出量の削減イメージ(国内+海外)
 人工光合成時代に突入?!
10月27日、日本電信電話(NTT)は,太陽光エネルギーを利用する半導体光
触媒と二酸化炭素(CO2)を還元する金属触媒を電極として組み合わせた人
工光合成デバイスを作製し,世界最長の350時間連続炭素固定を実現。人工
光合成はこれまでに世界中で様々な研究が進められており,特に高いCO2
換効率を実現できる触媒に関する検討が盛んに行なわれている。
一方で,連続したCO2変換の試験時間は数時間から数十時間レベルに留まっ
ており,長時間化に向けた劣化抑制の技術確立が課題となっていた。 同社
では,長時間連続して気相中のCO2をより効率的に変換可能な人工光合成の
実現をめざし,光をエネルギーとして利用するための長寿命な半導体光触媒
電極と,気相のCO2を高効率に変換するために電解質膜と一体化した繊維状
の金属触媒電極により構成した人工光合成デバイスを設計した。半導体光触
媒として用いている窒化ガリウム(GaN)系電極は,GaN表面と水溶液の界面
で生じる劣化反応の抑制が課題だった。そこで,GaN表面の凹凸をより滑ら
かにし,光を十分に透過する厚さ2nmの}均一な酸化ニッケル(NiO)薄膜を
保護層として形成することでGaNと水溶液の接触を防ぎ,電極の劣化を大幅
に抑制することに成功。 また,従来の水溶液中に溶存しているCO2を変換す
る金属電極は板状の構造が主流だが,今回,気相のCO2を変換するために,C
O2拡散性の高い繊維状金属とCO2変換反応に必要なプロトン(H+)を反応場に
供給する役割を持つ電解質膜を一体化した電極構造を考案。 これにより水
溶液中に電極を浸漬させることなくCO2変換反応に必要なプロトン(H+)を反
応場に供給できるようになり,気相のCO2を直接変換することを可能にした。
これらの電極構造の工夫により,従来に比べ10倍以上のCO2変換効率を実現
した。 この人工光合成デバイスに疑似太陽光を照射し,気相のCO2変換試験
行なった結果,350時間連続してCO2がCOやHCOOHに変換されたことを確認し
た。生成したCOやHCOOHから算出した単位面積当たりの累積炭素固定量は420
g/m2に達し,半導体光触媒を用いた人工光合成において世界最長の350時間
連続動作を実現した。この検証による炭素固定量は,樹木(スギ)の木1本
が1m2当たり約1年間で固定するCO2を上回る量に相当するという。
【要点】
1.半導体光触媒電極の劣化反応抑制技術:半導体光触媒として用いている
 窒化ガリウム(GaN)系電極は、GaN表面と水溶液の界面で生じる劣化反応
 の抑制が課題でした。そこで、GaN表面の凹凸をより滑らかにし、光を十分
 に透過する厚さ2nmの均一な酸化ニッケル(NiO)薄膜を保護層として形成
 することでGaNと水溶液の接触を防ぎ(図2a)、電極の劣化を大幅に抑制
 することに成功。
2.従来の水溶液中に溶存しているCO2を変換する金属: 電極は板状の構造
 が主流ですが、今回、気相のCO2を変換するために、CO2拡散性の高い繊維
 状金属とCO2変換反応に必要なプロトン(H+)を反応場に供給する役割を持
つ電解質膜(※14)を一体化した電極構造を考案しました(図2b、左) 。
これにより水溶液中に電極を浸漬させることなくCO2変換反応に必要なプロト
ン(H+)を反応場に供給できるようになり、気相のCO2を直接変換することを
可能にしました。これらの電極構造の工夫により、従来に比べ10倍以上のCO2
変換効率を実現した。



図2.人工光合成デバイスの概略図


図3. 光照射時間に対する炭素固定量の変化
【概要】
【展望】
<研究グループは,今後,より高性能な人工光合成反応を実現するために,
電極での反応の更なる高効率化,電極の長寿命化およびこれらの両立をめざ
す。

[関連特許]
特許7356067 二酸化炭素の気相還元装置、および、二酸化炭素の気相還元方法
[概要】
光触媒からなる酸化電極への光照射により、水の酸化反応と二酸化炭素の還
元反応を進行させる技術を人工光合成という。また、金属からなる酸化電極
と還元電極の間への電圧印加により、水の酸化反応と二酸化炭素の還元反応
を進行させる技術を二酸化炭素の電解還元という。太陽光を利用した人工光
合成技術や、再生可能エネルギー由来の電力を利用した電解還元技術は、二
酸化炭素を一酸化炭素、ギ酸、エチレン等の炭化水素やメタノール、エタノ
ール等のアルコールに再資源化することが可能な技術として注目され、近年
盛んに研究されている。従来、非特許文献1、2にあるように、人工光合成
技術や二酸化炭素の電解還元技術では、還元電極(Cu)を水溶液中に浸漬
させ、その水溶液中に溶解させた二酸化炭素(CO2)を当該還元電極に供
給し、還元する反応系が用いられてきた(非特許文献1の図2参照)。しかし、
この二酸化炭素の還元方法では、水溶液への二酸化炭素の溶解濃度や水溶液
中での二酸化炭素の拡散係数に限界があるため、還元電極への二酸化炭素の
供給量が制限されるという問題がある。

この問題に対し、還元電極への二酸化炭素の供給量を増加させるため、還元
電極に対して気相の二酸化炭素を供給する研究が進められている。非特許文
献3の図1に示された二酸化炭素の気相還元装置では、還元電極に対して気
相の二酸化炭素を供給できる構造を有する反応装置を用いることで、還元電
極への二酸化炭素の供給量が増大し、二酸化炭素の還元反応が促進する。
【非特許文献】
1.Satoshi Yotsuhashi、外6名、“CO2Conversion with Light and Water by GaN Pho-
toelectrode”、Japanese Journal of Applied Physics、51、2012年、p.02BP07-1-p.02B-
P07-3
2.Yoshio Hori、外2名、“Formation of Hydrocarbons in the Electrochemical Reduction
of Carbone Dioxide at a Copper Electrode in Aqueous Solution”、Journal of the Chemical
Society、85(8)、1989年、p.2309-p.2326
3.Ichitaro Waki、外2名、”Direct Gas-phase CO2 Reduction for Solar Methane Gener-
ation Using a Gas Diffusion Electrode with a BiVO4:Mo and a Cu-In-Se Photoanode”、
Chemistry Letter、47、2018年1月13日、p.436-p.439


(【特許請求の範囲】
【請求項1】 酸化電極を含む酸化槽と、 二酸化炭素が供給される還元槽と、
イオン交換膜と還元電極とを積層したガス還元シートであり、前記イオン交
換膜を前記酸化槽に向け、前記還元電極を前記還元槽に向けて、前記酸化槽
と前記還元槽との間に配置されたガス還元シートと、 前記酸化電極と前記
還元電極とを接続する導線と、 前記還元槽を囲む熱源と、を備え、 前記酸
化電極に光を照射する光源、又は、前記酸化電極と前記還元電極との間に電
圧を印加する電源を備える二酸化炭素の気相還元装置。
【請求項2】 前記酸化電極は、 n型半導体である請求項1に記載の二酸化
炭素の気相還元装置。
【請求項3】 前記還元槽を囲む熱伝導性板及び断熱材を更に備える請求項1
又は2に記載の二酸化炭素の気相還元装置。
【請求項4】 二酸化炭素の気相還元装置で行う二酸化炭素の気相還元方法に
おいて、 前記二酸化炭素の気相還元装置は、 酸化電極を含む酸化槽と、 二
酸化炭素が供給される還元槽と、 イオン交換膜と還元電極とを積層したガス
還元シートであり、前記イオン交換膜を前記酸化槽に向け、前記還元電極を
前記還元槽に向けて、前記酸化槽と前記還元槽との間に配置されたガス還元
シートと、 前記酸化電極と前記還元電極とを接続する導線と、 前記還元槽
を囲む熱源と、を備え、 前記酸化槽に電解液を注水する第1の工程と、 前
記還元槽に熱を加える第2の工程と、 前記還元槽に前記二酸化炭素を流入す
る第3の工程と、 前記酸化電極に光を照射し、又は、前記酸化電極と前記還
元電極との間に電圧を印加する第4の工程と、 を行う二酸化炭素の気相還元
方法。
【請求項5】 前記第2の工程では、 前記還元電極の表面で起きた前記二酸
化炭素の還元反応により前記還元電極の表面に生成される液体の沸点よりも
高い温度の熱を加える請求項4に記載の二酸化炭素の気相還元方法。

【発明の概要】
しかしながら、非特許文献3に開示された二酸化炭素の気相還元装置では、
以下の式(1)-(4)に示すような二酸化炭素の還元反応が進行すると、
還元電極では水(H2O)、ギ酸(HCOOH)、メタノール(CH3OH)、
エタノール(C2H5OH)等の液体生成物が生成され、その液体生成物が
還元電極の表面に付着してしまう。そのため、還元電極の表面に対して気相
の二酸化炭素を直接供給できなくなり、二酸化炭素の供給量が減少すること
で二酸化炭素の還元反応の寿命が低下してしまう。

CO2+2H++2e-→CO+H2O ・・・(1)
CO2+2H++2e-→HCOOH ・・・(2)
CO2+6H++6e-→CH3OH+H2O ・・・(3)
2CO2+12H++12e-→C2H5OH+3H2O ・・・(4)

従って、二酸化炭素の還元反応により還元電極の表面に生成する液体生成物
を除去して還元電極に対して常に気相の二酸化炭素を直接供給することで、二
酸化炭素の供給量を維持し、二酸化炭素還元反応の寿命を向上させることが
課題である。 
また、液体生成物が還元電極に付着していると、液体生成物を回収するため
に一度還元槽を開放する必要があり、その作業を行う間装置の運転が停止さ
れる。したがって、装置を停止させることなく、液体生成物を簡便に回収す
ることが課題である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、二酸化炭
素の気相還元装置において、二酸化炭素の還元反応の寿命を改善し、還元電
極に付着した液体生成物を簡便に回収可能な技術を提供することである。

【課題を解決するための手段】
本発明の一態様の二酸化炭素の気相還元装置は、酸化電極を含む酸化槽と、
二酸化炭素が供給される還元槽と、イオン交換膜と還元電極とを積層したガ
ス還元シートであり、前記イオン交換膜を前記酸化槽に向け、前記還元電極
を前記還元槽に向けて、前記酸化槽と前記還元槽との間に配置されたガス還
元シートと、前記酸化電極と前記還元電極とを接続する導線と、前記還元槽
を囲む熱源と、を備え、前記酸化電極に光を照射する光源、又は、前記酸化
電極と前記還元電極との間に電圧を印加する電源を備える。 本発明の一態様
の二酸化炭素の気相還元方法は、二酸化炭素の気相還元装置で行う二酸化炭
素の気相還元方法において、前記二酸化炭素の気相還元装置は、酸化電極を
含む酸化槽と、二酸化炭素が供給される還元槽と、イオン交換膜と還元電極
とを積層したガス還元シートであり、前記イオン交換膜を前記酸化槽に向け、
前記還元電極を前記還元槽に向けて、前記酸化槽と前記還元槽との間に配置
されたガス還元シートと、前記酸化電極と前記還元電極とを接続する導線と、
前記還元槽を囲む熱源と、を備え、前記酸化槽に電解液を注水する第1の工
程と、前記還元槽に熱を加える第2の工程と、前記還元槽に前記二酸化炭素
を流入する第3の工程と、前記酸化電極に光を照射し、又は、前記酸化電極
と前記還元電極との間に電圧を印加する第4の工程と、を行う。

図1.実施例1~4に係る二酸化炭素の気相還元装置の構成を示す構成図

【符号の説明】 1:酸化槽 2:酸化電極 3:水溶液 4:還元槽 5:還元
電極 6:イオン交換膜 7:導線 8:チューブ 9:光源 10:気体入力口
11:気体出力口 12:電源 20:ガス還元シート 40:熱伝導性板 41
:熱源 42:断熱材 51:槽 52:槽 71:めっき液 72:還元剤
100:二酸化炭素の気相還元装置

【発明の効果】
本発明によれば、二酸化炭素の気相還元装置において、二酸化炭素の還元反
応の寿命を向上し、還元電極に付着した液体生成物を簡便に回収可能な技術
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1~4に係る二酸化炭素の気相還元装置の構成を示す構成図
【図2】無電解めっき法を用いたガス還元シートの作製方法を示す図
【図3】実施例5~8に係る二酸化炭素の気相還元装置の構成を示す構成図
【図4】従来の二酸化炭素の気相還元装置の構成を示す構成図
【図5】従来の二酸化炭素の気相還元装置の構成を示す構成図
【発明を実施するための形態】
以下、図面を参照して発明の実施形態を説明する。図面の記載において同一
部分には同一の符号を付し説明を省略する。本発明は、下記実施例に限定さ
れるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。 
[発明の概要]
本発明は、光照射による二酸化炭素の還元反応を引き起こし、又は、二酸化
炭素の電解還元反応を引き起こし、当該還元反応の効率を向上させる二酸化
炭素の気相還元装置に関する発明であり、燃料生成技術や太陽エネルギー変
換技術の技術分野に属する。
本発明は、イオン交換膜上に還元電極を形成して得られるガス還元シートを
用いて、還元電極の表面に気相の二酸化炭素を直接供給して還元する。この
とき、二酸化炭素の還元反応により還元電極の表面に液体生成物が生成する
が、本発明では、還元槽の周りに熱源を配置し、その熱源によって還元電極
の温度を液体生成物の沸点以上又は沸点よりも高い温度に維持することで、
液体生成物を気化させて除去する。
これにより、還元電極の表面に生成される液体生成物を除去可能となり、常
に気相の二酸化炭素を還元電極に直接供給可能となることから、二酸化炭素
の還元反応の寿命を向上させることができる。また、液体生成物を気化させ
るので、液体生成物の回収が簡便になる。

[実施例1]
[二酸化炭素の気相還元装置の構成]
図1は、実施例1に係る二酸化炭素の気相還元装置の構成を示す構成図であ
る。二酸化炭素の気相還元装置100は、酸化電極2を含む酸化槽1と、二
酸化炭素が供給される還元槽4と、イオン交換膜6と還元電極5とを積層し
たガス還元シート20であり、イオン交換膜6を酸化槽1に向け、還元電極
5を還元槽4に向けて、酸化槽1と還元槽4との間に配置されたガス還元シ
ート20と、酸化電極2と還元電極5とを接続する導線7と、還元槽4を囲
む熱伝導性板40、熱源41、断熱材42と、酸化電極2に光を照射する光
源9と、を備える。 酸化槽1には、電解液である水溶液3が注水される。酸
化槽1内の酸化電極2は、酸化槽1内に注入された水溶液3に浸漬される。
実施例1の酸化電極2は、半導体又は金属錯体からなる電極であり、例えば、
窒化物半導体である。実施例1の酸化電極2は、異なる種類の窒化物半導体
を積層した積層構造でもよく、インジウムやアルミニウムを含むような異な
る組成で構成してもよい。実施例1の酸化電極2は、窒化物半導体の代わり
に、酸化チタン、アモルファスシリコンのような光活性を示す化合物を用い
てもよい。 水溶液3は、酸化槽1に注水される電解液である。
水溶液3は、例えば、水酸化カリウム水溶液である。水溶液3は、水酸化カ
リウム水溶液の代わりに、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、塩化カリウム
水溶液、塩化ナトリウム水溶液等を用いてもよい。

ガス還元シート20は、イオン交換膜6と還元電極5とを積層した構造を備
える。イオン交換膜6は、例えば、炭素-フッ素からなる骨格を持つ電解質
膜であるナフィオン(商標登録)、フォアブルーSシリーズ、アクイヴィオ
ン等である。還元電極5は、例えば、銅である。還元電極5は、銅の代わり
に、金、白金、銀、パラジウム、ガリウム、インジウム、ニッケル、スズ、
カドニウム、それらの合金でもよく、それらの金属及び金属酸化物とカーボ
ンとの混合物質でもよい。還元電極5は、導線7で酸化電極2に接続される。
このガス還元シート20は、酸化槽1と還元槽4との間に配置され、イオン
交換膜6は酸化槽1に向けて配置され、還元電極5は還元槽4に向けて配置
される。 
光源9は、二酸化炭素の気相還元装置100を運転するための光源であり、
酸化電極2に対して対向配置される。光源9は、例えば、キセノンランプ、
擬似太陽光源、ハロゲンランプ、水銀ランプ、太陽光、これらの組み合わせ
等である。

[ガス還元シートの作製方法] 図2は、ガス還元シート20を作製する方
法として用いた無電解めっき法の反応系を示す図である。イオン交換膜6に
はナフィオンを用い、還元電極5には銅を用いた。イオン交換膜6の片面を
研磨し、イオン交換膜6を沸騰硝酸と沸騰純水とにそれぞれ漬け込む。左右
2つの槽51,52に、表1に示すめっき液71と還元剤72とをそれぞれ
満たす。 

図2.


槽51と槽52とは、イオン交換膜6によって隔てられている。イオン交換
膜6は、研磨面をめっき液71側にして配置する。めっき液71とイオン交
換膜6の研磨面との界面において、下記の酸化還元反応が起きて銅(Cu)
が析出することで、イオン交換膜6上に還元電極5が形成されたガス還元シ
ート20が得られる。

BH4+4OHBO2-+2H2O+2H2+4e-
Cu2+2e-→Cu
尚、ガス還元シート20の作製方法は、無電解めっき法以外に、例えば、電
気めっき法、物理蒸着法、化学蒸着法等でもよい。

[二酸化炭素の気相還元方法] 次に、二酸化炭素の気相還元装置100で
行う二酸化炭素の気相還元方法について説明する。電気化学測定結果、ガス・
液体生成量測定結果も併せて説明する。 
第1の工程; まず、酸化槽1に電解液である水溶液3を注水し、その水溶
液3に酸化電極2を浸水させる。酸化電極2には、サファイア基板上にn型
半導体であるn型窒化ガリウム(n-GaN)の薄膜と窒化アルミニウムガ
リウム(AlGaN)とをその順にエピタキシャル成長させ、その上にニッ
ケル(Ni)を真空蒸着して熱処理を行うことで酸化ニッケル(NiO)の
助触媒薄膜を形成した基板を用いた。水溶液3は、1mol/Lの水酸化カ
リウム(KOH)水溶液とした。酸化電極2の光照射面積(受光面積)は
2. 5cm2とした。

第2の工程; 次に、半導体光電極として機能する酸化電極2の酸化助触媒
形成面が照射面となるように光源9を固定する。光源9には、300Wの高
圧キセノンランプ(波長450nm以上をカット、照度6.6mW/cm2
)を用いた。

第3の工程; 次に、還元槽4の周囲を熱伝導性板40で囲い、その熱伝導
性板40の周囲に熱源41を配置し、更に熱源41の周囲を断熱材42で囲
う。熱効率を高めるため、それぞれは密着させることが好ましい。熱伝導性
板40には、銅板を用いた。熱源41には、ラバーヒーターを用いた。断熱
材42には、硬質ウレタンフォームを用いた。そして、還元電極5の表面近
傍温度が60℃となるように熱源41で還元槽4を加熱する。尚、還元電極
5の表面近傍温度は、例えば熱電対を用いて測定可能である。

第4の工程; 次に、酸化槽1に対してはチューブ8からヘリウム(He)
を、還元槽4に対しては気体入力口10から二酸化炭素(CO2)を、それ
ぞれ流量5ml/minかつ圧力0.18MPaで流入する。酸化槽1に
流入する気体は、アルゴン、窒素、二酸化炭素等の不活性ガスでもよい。 

第5の工程; 次に、酸化槽1と還元槽4とをヘリウムと二酸化炭素とでそ
れぞれ十分に置換した後、光源9を用いて酸化電極2に均一に光を照射する。こ
の光照射により、酸化電極2と還元電極5との間に電気が流れる。酸化電極
2の表面では水の酸化反応が起こり、ガス還元シート20内の[イオン交換
膜6-還元電極5(銅)-気相の二酸化炭素]からなる三相界面では、二酸
化炭素の還元反応が進行する。このとき、還元電極5の表面には、水(H2
O)、ギ酸(HCOOH)、メタノール(CH3OH)、エタノール(C2
H5OH)等の液体生成物が付着するが、熱源41で還元槽4を加熱している
ため、付着した液体生成物は気化して還元電極5の表面から除去され、気相
の二酸化炭素と気化した液体生成物との混合気体が気体出力口11から流出
する。 

第6の工程; 最後に、光照射中の任意の時刻に酸化槽1及び還元槽4の各
気体を採取し、ガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ質量分析計にて
反応生成物を分析する。その反応生成物を分析した結果、酸化槽1内では、
水の酸化反応による酸素が生成され、還元槽4内では、プロトンの還元反応
による水素、及び、二酸化炭素の還元反応による一酸化炭素、ギ酸、メタン、
メタノール、エタノール、エチレンが生成していることを確認した。また、
光照射時の酸化電極2と還元電極5との間の電流値を、電気化学測定装置(
Solartron社製、1287型ポテンショガルバノスタット)を用いて測定した。

[実施例2]
実施例2では、還元電極5の表面近傍温度を100℃とした。これ以外の方
法及び二酸化炭素の気相還元装置100の構成は、実施例1と同様である。
[実施例3]
実施例3では、還元電極5の表面近傍温度を110℃とした。これ以外の方
法及び二酸化炭素の気相還元装置100の構成は、実施例1と同様である。
[実施例4] 実施例4では、還元電極5の表面近傍温度を130℃とした。
これ以外の方法及び二酸化炭素の気相還元装置100の構成は、実施例1と
同様である。
図3.
[実施例5]
[二酸化炭素の気相還元装置の構成]
図3は、実施例5に係る二酸化炭素の気相還元装置の構成を示す構成図であ
る。実施例5では、光源9の代わりに、電源12を用いる。電源12は、導
線7の経路上に挿入される。実施例5では酸化電極2で光を受光する必要が
ないので、実施例5の酸化電極2は、白金(ニラコ製)を用いて構成した。
実施例5の酸化電極2は、白金の代わりに、例えば、金、銀、銅、インジウ
ム、ニッケル等の金属でもよい。実施例5の酸化電極2の表面積は、約0.
55cm2とした。その他の構成は、実施例1と同様である。

[ガス還元シートの作製方法]
ガス還元シートの作製方法は、実施例1と同様である。 
[二酸化炭素の気相還元方法]
第1の工程; まず、酸化槽1に電解液である水溶液3を注水し、その水溶
液3に酸化電極2(白金)を浸水させる。

第2の工程; 次に、還元槽4の周囲を熱伝導性板40で囲い、その熱伝導性
板40の周囲に熱源41を配置し、更に熱源41の周囲を断熱材42で囲う。
そして、還元電極5の表面近傍温度が60℃となるように熱源41で還元槽
4を加熱する。

第3の工程; 次に、酸化槽1に対してはチューブ8からヘリウム(He)を
還元槽4に対しては気体入力口10から二酸化炭素(CO2)を、それぞれ
流量5ml/minかつ圧力0.18MPaで流入する。 

第4の工程; 次に、酸化槽1と還元槽4とをヘリウムと二酸化炭素とでそ
れぞれ十分に置換した後、酸化電極2と還元電極5との間に電源12を導線
7でつなぎ、電圧1.5Vを印加する。 

第5の工程; 最後に、光照射中の任意の時刻に酸化槽1及び還元槽4の各気
体を採取し、ガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ質量分析計にて反
応生成物を分析する。

[実施例6]
実施例6では、還元電極5の表面近傍温度を100℃とした。これ以外の方
法及び二酸化炭素の気相還元装置100の構成は、実施例5と同様である。 

[実施例7]
実施例7では、還元電極5の表面近傍温度を110℃とした。これ以外の方
法及び二酸化炭素の気相還元装置100の構成は、実施例5と同様である。
[実施例8]
実施例8では、還元電極5の表面近傍温度を130℃とした。これ以外の方
法及び二酸化炭素の気相還元装置100の構成は、実施例5と同様である。
[実施例1-8の効果]
次に、実施例1-8の効果を説明する。ここでは、従来構成の効果と比較す
る。図4は、実施例1-4(図1)に対応する従来構成であり、比較対象例
1という。図5は、実施例5-8(図3)に対応する従来構成であり、比較
対象例2という。比較対象例1、2は、いずれも、還元槽4の周囲に、熱伝
導性板40、熱源41、断熱材42が配置されていない。 表2は、実施例
1-10及び比較対象例1、2に関して、光照射時又は電圧印加時から10
分後の二酸化炭素還元反応のファラデー効率を示す表である。



ファラデー効率とは、式(5)に示すように、光照射時又は電圧印加時に電
極間に流れた電流値に対して、各還元反応に使われた電流値の割合を示すも
のである。

各還元反応のファラデー効率=(各還元反応の電流値)/(酸化電極-
                 還元電極間の電流値) ・・・(5)

式(1)の「各還元反応の電流値」は、各還元生成物の生成量の測定値を、そ
の生成反応に必要な電子数に換算することで算出可能である。例えば、還元
反応生成物の濃度をA[ppm]、キャリアガスの流量をB[L/sec]
、還元反応に必要な電子数をZ[mol]、ファラデー定数をF[C/mo
l]、気体のモル体をVm[L/mol]としたとき、式(6)を用いて算
出可能である。

各還元反応の電流値[A]=(A×B×Z×F×10-6)/Vm ・(6)

表2より、実施例1-3と比較対象例1とのファラデー効率は同程度の値で
あり、実施例5-7と比較対象例2とのファラデー効率も同程度の値である。
これは、光照射時又は電圧印加時から10分後では還元電極5の表面に付着
する液体生成物が極微量であり、反応面が失われていないためと考えられる。 
一方で、実施例4及び実施例8では、ファラデー効率が0%であった。これ
は、還元電極5の表面近傍温度が130℃と高いため、イオン交換膜を形成
するスルホン酸基が分解され、イオン交換膜がイオン交換機能を失ったこと
が原因と考えられる。
以上より、還元電極5の表面近傍温度は130℃未満であることが好ましい
と考えられる。
尚、イオン交換膜6の例として挙げたナフィオンやフォアブルーSシリーズ
の使用可能温度は110℃、アクイヴィオンの使用可能温度は140℃であ
り、この温度以下で使用する必要がある。
表3は、実施例1—3、5-7及び比較対象例1、2に関して、光照射時又は
電圧印加時から20時間後の二酸化炭素還元反応のファラデー効率の維持率
を示す表である。


二酸化炭素還元反応のファラデー効率の維持率とは、式(7)に示すように、
10分後の二酸化炭素還元反応のファラデー効率に対する20時間後の二酸
化炭素還元反応のファラデー効率と定義した。 

二酸化炭素還元反応のファラデー効率の維持率=(20時間後の二酸化炭素
還元反応のファラデー効率)/(10分後の二酸化炭素還元反応のファラデ
ー効率) ・・・(7)

上表3より、比較対象例1及び比較対象例2に対して、実施例2、3及び実
施例6、7は、それぞれ、二酸化炭素還元反応のファラデー効率の維持率が
向上しており、二酸化炭素還元反応の寿命が向上したことがわかる。これは、
実施例3及び実施例7において、還元電極5の表面近傍温度を110℃にす
ることで、還元電極5に付着した液体生成物である水(沸点100℃)、ギ
酸(沸点100.8℃)、メタノール(沸点64.7℃)、エタノール(沸
点78.37)がすべて気化し、実施例2及び実施例6において、還元電極5
の表面近傍の温度を100℃にすることで水、メタノール、エタノールが気
化し、還元電極5の表面から除去されたことにより、還元電極5の表面に気
相の二酸化炭素を常に供給できるようになったことが要因と想定される。実
施例2及び実施例6よりも実施例3及び実施例7の方が、二酸化炭素還元反
応のファラデー効率の維持率が高いのは、ギ酸が気化したことによると考え
られる。

更に、実施例1及び実施例5の二酸化炭素還元反応のファラデー効率の維持
率は、比較対象例1及び比較対象例2と同様の値で、実施例2、3及び実施
例6、7よりも小さい値である。これは、還元電極5の表面近傍温度が水、
ギ酸、メタノール、エタノールの沸点より低く、還元電極5に付着した液体
生成物が除去できなかったことにより、還元電極5の表面の反応場が失われ
てしまったためと考えられる。したがって、還元電極5の表面近傍温度は、
全ての液体生成物の沸点よりも大きい値であることが好ましい。すなわち、
熱源41の加熱温度は、還元電極5の表面で起きた二酸化炭素の還元反応に
より還元電極5の表面に生成される全ての液体生成物の沸点よりも高い温度
であることが好ましい。

[本発明の効果]
本発明によれば、二酸化炭素の気相還元装置100は、還元槽4を囲むよう
に配置された熱源41を用いて、二酸化炭素の還元反応により還元電極5の
表面に生成する液体生成物を加熱するので、その液体生成物を気化させ、還
元電極5の表面から除去できる。これにより、還元電極5に対して常に気相
の二酸化炭素を直接供給可能となり、二酸化炭素の供給量を維持可能となる
ので、二酸化炭素還元反応の寿命を向上させることができる。更に、その液
体生成物を気化させるので、すべての還元生成物を気体としてまとめて回収
可能となり、還元電極5の表面に生じた液体生成物の回収が簡便になる。
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[脚注]
ナフィオン:ナフィオンはスルホ化されたテトラフルオロエチレンを基にし
たフッ素樹脂の共重合体で、1960年代にデュポン社のWalther Grotによって
発見された[1]。最初のイオン伝導性を持つポリマーである。ナフィオンの類
稀なイオン伝導性はスルホ基で修飾されたテトラフルオロエチレン(テフロ
ン)にペルフルオロビニルを組み込むによるものである[2][3]。ナフィオン
は優れた熱、機械的安定性により固体高分子形燃料電池のプロトン伝導体と
してかなり注目されている。ナフィオンの優れた導電特性の化学的特長に研
究の焦点があてられた。SO3H(スルホ酸)グループ上のプロトンは持ち上げ
られる。陰イオンや電子は膜内を移動せず陽イオンだけ移動する。
via Wikipedia

出所:燃料電池の要!高分子電解質「ナフィオン」とは | M-hub(エムハブ)

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自在行動概論 ⑤
パレスチナ問題とその歴史
「環境リスク本位制時代」を公言している私(たち)には、「パレスチナ問
題」は、「人類消滅」を加速させる「世界大戦」の説明要因の1つであるこ
とを踏まえ、その歴史をお温習いしておこう。
via jp.Wikipedia
2008 - 2009:ガザ紛争
イスラエル国防軍の作戦名は「キャストレッド作戦( מבצע עופרת יצוקה、英語: Operation
Cast Lead)」。「鋳造された鉛」の意味で、ユダヤ教の祭日であるハヌカーの際、子
供達に与えられるドレイドルという独楽を指している。 イスラエルに批判的なアラブ
諸国などでは「ガザの虐殺(مجزرة غزة 、英語:Gaza Massacre)」と呼ばれている]。
この時点では、第四次中東戦争(1973年10月)以来最大の死傷者を出した紛争とな
った[15][16]。パレスチナ側では民間人を含む1,300人以上が死亡したが、犠牲者の
大多数は一般市民であり、特に死傷者の1/3は子供で、未成年の被害者が特段に
多い紛争となった。 これまでに、市民への無差別攻撃、怪我人搬送のために走行
していた国際赤十字の救急車両への攻撃、国際連合が運営し、避難所としてイス
ラエルへも通告していた女学校への無差別空爆、幼児への無差別銃撃など、数多
くの戦争犯罪が判明している 。

経過
イスラエル軍による空爆
2008年12月27日(現地時間午前11:30、UTC午前9:30)、イスラエル空軍がガザ地
区全土に大規模な空爆を開始した。2009年1月3日の地上侵攻までの死者は430人
にのぼった。

1月3日、イスラエル軍はガザ地区への大規模な砲撃の後、歩兵、戦車、砲撃隊な
どの隊列が侵攻を開始し、事態は市街戦に発展した。ハマースとの激烈な戦闘が
行われている。ガザ地区では、空爆や砲撃によって自宅を失った一般市民4,000人
が更に避難民と化した。

1月6日、イスラエル軍が国際連合パレスチナ難民救済事業機関 (UNRWA) の運営
する避難所となっている学校を砲撃、少なくとも40人が死亡した。これに対し、スラ
エル軍は同施設の付近からハマース側の攻撃があったために加えた反撃であると
主張しているが、UNRWAや地元住民は「現場に戦闘員はいなかった」と否定して
いる。 1月7日、イスラエル軍は国際機関らによる援助物資の搬入のため、27日の
攻撃開始以来初めて、3時間程度戦闘を停止した。

停戦への動き 戦闘開始が年末で、多くの諸外国がクリスマス及び年末年始の休暇
の時期に入っていたことから停戦調停が遅れ、戦闘が長引く要因になった。 ハマー
スの代表団は1月9日夜、カイロ入りし、仲裁国のエジプトと停戦交渉に入った。エジ
プトによる停戦案にイスラエル側は原則同意の方針を示したが、ハマースの在外指
導部はこれを拒否した。その他にも国際連合やフランスなどから停戦案が提示
されたが、どれも合意には至らなかった。 戦闘開始から3週間たった

1月17日、イスラエルは一方的な「停戦宣言」を出し部隊の引き上げを始めた。ただ
し、この停戦は上記のエジプト仲介による停戦プロセスとは関係がない。直後、ハマ
ースも抗戦を停止した。その後イスラエル軍は、アメリカのバラク・オバマ新大統領
が就任した20日にガザの市街地からの撤退を完了した。

戦闘後
戦闘停止後、各国・団体によるガザへの復興支援が始まったが、イスラエルとエジ
プトが国境封鎖と検問を継続しており生活用品の運搬にも支障が出ている。
1月27日、エジプト政府が停戦協定を2月5日前後に発効させる方向で調整をしてい
ると報じられた。 同27日、境界付近で爆発が起こり、パトロール中のイスラエル兵
1人が死亡。イスラエルは直ちにガザ方面へ反撃し、農民1人が殺害された。イスラ
エルは人道物資支援の検問所をすべて閉鎖した。 現在も散発的にガザから迫撃
砲が撃ちこまれ、それに対してイスラエル軍が反撃するなど小規模な戦闘は今も
続いている。このため、ガザの境界近くに住むイスラエル人住民の間からは、問題
の根本的解決のためにガザ再攻撃を望む声が強まっている。
1月18日にハマース側が1週間の停戦を表明したことで、一応の終結を見た。
1月21日にイスラエル国防軍は、ガザ地区から撤退した。これは、1月20日のバラク
・オバマの米国大統領就任に配慮したものといわれている。オバマは「イスラエルの
自衛権」に理解を示す声明を出し、引き続き米国はイスラエル支持を鮮明にした。
一方、ジョージ・ミッチェル元上院議員を中東問題特使に任命したが、米国最大の
ユダヤ人団体名誉毀損防止同盟のエイブラハム・フォックスマン委員長は、「ミッチ
ェル氏は中立だ」「だから心配だ」と不満を口にした。 イスラエル南部でロケット弾攻
撃のビデオ, 2009年3月 イスラエルはガザ地区の封鎖を継続しており、ハマースは
もとより、他の住民も密輸トンネルの再建で対抗しようとしている。これは民生品が
長期の包囲で不足しているためである。ハマースは1年の、イスラエルは1年半の停
戦案を提示したが、進展は見られない。 双方による報道管制も行われている。特に、
イスラエルは報道関係者のガザ地区への立ち入りを一切禁じ、アルジャジーラなど
従来よりガザ地区に記者が駐在しているマスコミ以外は、直接取材は不可能に近い
状況になっている。1月3日の地上侵攻作戦では、規制解除前に報じたイランの記者
を逮捕した。1月9日には米3大ネットワーク(ABC、CBS、NBC)やCNN、欧州の主
要メディアなどが連名で、現地取材を認めるよう声明を出した。イスラエル最高裁
は、外国メディアの現地取材を認める判決を出したが、イスラエル国防軍側はまだ
認めていない。
 3月31日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ・リクード(団結)代表が、1999年以来
10年ぶりに首相に就任。

2010 - 2017:パレスチナ側の手詰まりと米トランプ政権発足
 2010年4月13日、イスラエル国防軍の命令1649[66] およびイスラエル国防軍命令1
650(英語版)が発効した。1969年の命令329で布告した規制を拡大するもので、「不
法入国者」の定義を単に滞在・在住許可証を携帯していない者から、「ユダヤ・サマ
リア[注 9]」でイスラエル国防軍の在住・在留許可を受けていない者に拡大した。 こ
れにより、ガザ地区出身者の、ヨルダン川西岸への立ち入りが実質的に許可制とな
り、パレスチナ人住民のガザ地区への追放も法制化された。 アメリカ合衆国仲介の
和平交渉が暗礁に乗り上げ、12月には南アメリカ諸国においてパレスチナの国家
承認の動きが起こった[68]。 2011年5月15日、ヨルダン川西岸、ガザ地区、レバノン
のイスラエル国境付近、シリアのゴラン高原などで、イスラエルの占領に抗議する
集会・デモが行われ、国境を越えた参加者をイスラエル軍が砲撃・発砲し、合計で
12人が死亡した。
                                          この項つづく

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風蕭々と碧い時

John Lennon Imagine

Deck The Halls
 


『アダムス ファミリー: サウンドトラック』はハミー・マンとマーク・シャイマンがプロデュ
ース]。 ハミー・マンが編曲し、デューク・エリントン、アーヴィング・ミルズ、マーク・シ
ャイマン、サクシー・ダウェルが作曲。 1991年12月3日にキャピトル・レコードからリリ
ース。 MCハマーの「Addams Groove」は映画のテーマソングであり、映画の上映
前にミュージックビデオが流された。

『アダムス・ファミリー』は、漫画家チャールズ・アダムスが作成した漫画と、デヴィッド
・レヴィが制作した1964年のテレビシリーズの登場人物のアメリカの超自然的ブラッ
クコメディ映画(1991年)。 元撮影監督バリー・ソネンフェルドがスクリーン監督デビ
ュー作の本作は、モーティシア・アダムス役でゴールデン・グローブ賞にノミネートさ
れたアンジェリカ・ヒューストン、ゴメス・アダムス役でラウル・ジュリア、フェスタ・アダ
ムス役でクリストファー・ロイドが出演。 この映画は、長く離れ離れになっていた親戚、
ゴメスの弟フェスター・アダムスと思われる人物と再会する、奇妙で不気味な貴族一
家に焦点を当る。

今夜の寸評:

 

  

コメント
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AIとPORTER

2023年10月29日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝
えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の
軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ



PORTER(黒麦酒・彦根麦酒株式会社)と無花果のタルト(アンデケン彦根
店)を頂く。驚く程のベストマッチ(勿論、ピザも合う)。


   


再エネ革命渦論 185 アフターコロナ時代 185
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
   特異点真っ直中 ㊿+⑯


AIでX線自由電子レーザー(SACLA)の輝度を大幅増
人による調整では到達できない性能を実現 
10月27日、理化学研究所(理研)は,人工知能(AI)を用いてX線自由電子
レーザー(XFEL)施設「SACLA」のビーム調整を自動的に行なうことにより
輝度を大幅に向上させることに成功。
【概要】
SACLAは2012年の共用開始以降さまざまな利用実験にXFELを提供し、数多くの
研究成果が創出されている。同じXFELを用いる実験であっても、重要となる
X線のパラメータは異なる。例えば、原子レベルのイメージングを行う回折実
験では単純な(積分)レーザー強度が実験の精度を決定するが、物質の機能
や性能を調べる分光実験では使用する中心波長におけるレーザー強度(スペ
クトル輝度)が重要となる。今回、新たに導入した高分解能スペクトロメー
タを用いて、AIによるスペクトル輝度の自動調整に挑みた。 SACLAでは高度
化の一環として、利用機会拡大を目指した複数ビームラインの高速振り分け
運転[4]、注2)や、SACLAから大型放射光施設「SPring-8」への電子ビーム
入射によるグリーン化などを進めてきました。一方で、これらの高度化によ
り加速器の制御や調整はこれまで以上に高度で複雑なものとなりました。共
同研究グループでは、複雑化する運転に対して、AIの一つである機械学習手
法を用いた自動調整を開発することでビーム調整の合理化、効率化を進めて
きました。

図1.AIを用いたレーザー強度の自動調整の例
SACLA立ち上げ直後のXFEL調整の例。16時前からの波線内がAIによる自動調整。
これまで何時間もかかっていた調整が1時間ほどでできるようになった。

【成果】
SACLAではSASE(自己増幅自発放射)方式[7]という手法を用いてXFELを発生
している。この方式では、電子ビームを加速するとともに、電子密度が高い
"小さな"ビームにする必要がある。具体的にはまず、最上流の熱電子銃から
放出される超低エミッタンスビームを、その超低エミッタンスを保ちながら
入射部の7種類の大電力高周波のタイミングとバンチ圧縮器を用いて進行方向
(時間方向)に約100万分の1倍に圧縮し、数フェムト秒(1フェムト秒は
1,000兆分の1秒)程度の電子ビームを生成。その他、電子ビーム収束系のマ
ッチングやアンジュレータ]での電子ビームとX線の重なりなど多数のパラメ
ータを適切に調整することで、大強度のXFELが得られる。この複雑な多数の
パラメータの最適化に対して、本研究ではAI、機械学習手法の一つであるガ
ウス過程回帰を用いたベイズ最適化による自動調整システムを開発、構築し
た(図1)。
スペクトル輝度の最適化を目的としたビーム調整のために、新開発の高分解
能スペクトロメータを導入しました。例えば、光子エネルギー10keVのXFELの
典型的なスペクトル幅(半値全幅[13])はおよそ40eVですが、ビーム調整に
利用可能なリアルタイム型のスペクトロメータの分解能はこれまでおよそ
100eVでした。新開発の高分解能スペクトロメータは数eVの分解能を持ち、
十分な精度でリアルタイムにXFELのスペクトル幅を測定することができる
(図2)。



図2 新旧のスペクトロメータで得られたX線スペクトル 黒三角が既設、
赤丸が新設されたスペクトロメータ。新スペクトロメータの分解能は数eVと
高性能なため、XFELの通常のバンド幅約40eVが適切に測定できている。

この新設のスペクトロメータを用いて、XFELパルスごとのスペクトル幅、お
よび、中心波長の変動幅を測定することにより実効的なスペクトル幅を計算し、
レーザー強度との比をスペクトル輝度と定義しました。このスペクトル輝度
を、前述のAIを用いた自動調整システムで最適化を行った結果が図3です。自
動調整により、ピーク波長におけるスペクトル輝度を約1.7倍と大幅に増大
することに成功。  


図3 調整前後のX線自由電子レーザーの平均スペクトル
黒が調整前、赤が調整後。AIを用いたスペクトル輝度の自動調整により、ピ
ーク波長でのスペクトル輝度は1.7倍改善した。

【展望】
今回開発したAIを用いた自動調整技術は、多数のパラメータから成る複雑な
加速器を効率的に調整・運転することができる技術です。本件では新開発の
高分解能スペクトロメータを導入して適切な性能指標の最適化に応用した。
今後、電子ビームのサイズや形状、バンチ長(進行方向の長さ)など、適切
な性能指標を用意することで、さまざまな電子ビームやXFELに合わせた最適
化が可能となることが期待される。また近年、著しく発展するAI、機械学習
などの新手法を、今回開発した自動調整フレームワークに導入することでさ
らに高い性能をより効率的に最適化できるようになることが期待される。
【掲載記事】
・"Spectral-brightness optimization of an X-ray free-electron laser by machine-learning-
  based tuning", Journal of Synchrotron Radiation,
・  10.1107/S1600577523007737

どこでもいつでも無線で電⼒伝送可能な技術
新たなメタサーフェスの実現と無線電⼒伝送技術への有効性の確⽴
10月26日、九州大学の研究グループは,新たなメタサーフェスを開発し,小型化さ
れた無線電力伝送(WPT)システムに導入することで,元の伝送効率を維持しなが
ら,最大300%まで伝送距離を向上させることに成功する。

【要点】
1.従来型無線電⼒伝送システムには伝送効率、伝送距離、ミスアラインメントで電
 ⼒伝送ができない問題がある
2.新たなメタサーフェスを開発し、それらを⽤いて 磁場の制御に成功
3.タブレット、携帯などを机に置くだけで充電可能な技術である


【概要】
スマートフォンや医療機器などの⼩型デバイスの普及に伴い、充電の⽅法が有線
から無線へと移⾏している。このようなシステムでは、無線電⼒伝送(※1)が不可⽋
だが、WPT システムを⼩型化することで電⼒伝送効率が低下し、遠距離での電⼒
送に制約が⽣じる。また、受信機と送信機の位置のずれにより、電⼒伝送が妨
られる問題も存在しました。本研究では、新たなメタサーフェス(※2)を開発し、⼩
型化されたWPT システムに導⼊することで、元の伝送効率を維持しながら、最⼤
300%まで伝送距離を向上させることに成功。
具体的には、メタサーフェスを導⼊する前の40mm の伝送距離での伝送効率が8%
だったものが、メタサーフェスを応⽤することで78%まで向上しました。さらに、受信
機と送信機の位置ずれによるミスアラインメント(※3)の問題も、開発したメタサーフ
ェスの応⽤により⼤幅に改善されました。このような新たなWPT システムの性能向
上は、当該分野においては画期的な成果となりました。 九州⼤学⼤学院システム
情報科学研究院Ramesh Pokharel(ポカレル ラメシュ)教授のグループと共同研究
者のMohamed Aboualalaa(モハメド アブアララー)外国⼈特別研究員が、メタサーフ
ェスの設計を⾏い、無線電⼒伝送システムの送信器と受信器の間の磁場を制御す
ることにより、無線電⼒伝送距離およびミスアラインメント問題が解決されることを明
らかにした。
【掲載論文】
・IEEE Transactions on Instrumentation and Measurement 
Reliable Multiple Cascaded Resonators WPT System Using Stacked Split-ring Meta
 material Passive Relays

・DOI:10.1109/TIM.2023.3324672

低毒な太陽電池材料の短時間探索装置を開発
10月25日、大阪大学の研究グループは,協働ロボットを用いた自動評価装置で有
毒元素を含まない次世代太陽電池材料をスピーディーに探索し,その性能向上に
成功。
【概要】
ペロブスカイト太陽電池は実用化に近づいているが,有毒元素である鉛を含むとい
う課題がある。一方で,比較的低毒なビスマスやアンチモンといった元素から構成
される次世代太陽電池の開発も進められている。 しかし,その溶液塗布プロセスで
は元素組成,添加剤,熱処理温度など多くのプロセスパラメータを検討する必要が
あり,加えて太陽電池素子作製には多くの時間とコストがかかるため,研究開発は
あまりすすんでいなかった。 そこで研究グループは,協働ロボットを用いた自動評
価装置を独自開発し,大幅な測定時間の短縮(従来比約1/6)と高精度化(従来比
5倍)に成功した。この装置はマイクロ波伝導度測定に加え,太陽電池薄膜の物性
として重要な光吸収と発光スペクトルの測定,および薄膜表面の形態を観察できる
光学顕微鏡測定も組み込んだ。

図2. (a) 自動測定システムの概略図。(b)自動測定で得られた光物性(光吸
収、発光)、マイクロ波伝導度および光学顕微鏡写真の例。


図3. (a) 作製したCs-Bi-Sb-I太陽電池薄膜(石英基板上に塗布で作製)の写
真(約500枚)。(b)比較対象と新プロセスの変換効率の比較

【成果】
測定した光学顕微鏡写真は,濃淡のヒストグラム解析,高速フーリエ変換解析,粒
子解析などを自動的に行なうことで,1つの薄膜試料から多くの高精度で均一な実
験データを取得できる。 この自動評価装置を用いて,セシウム・ビスマス・アンチモ
ン・ヨウ素(Cs-Bi-Sb-I)からなる非鉛太陽電池の組成,添加剤,熱処理温度を検討
した。

12種類の組成比,4種類の添加剤,3種類の添加剤濃度,および4種類の熱処理
温度の組み合わせで576条件(=12×4×3×4)の薄膜試料を作製した。 自動測定の
結果を基に,このうち40条件の太陽電池を作製して変換効率を評価したところ,添
加剤なしで低い熱処理温度で作製した比較対象の素子の変換効率0.35%を,新た
に探索した材料プロセス条件で2.36%へと向上した。 さらに,得られた太陽電池変
換効率と自動化測定データを機械学習と統計解析で検討した結果,マイクロ波伝
導度の信号と光学顕微鏡で得られた濃淡ヒストグラムの標準偏差が,高効率材料
プロセスを探索する指針となることを見出した。 実際,高効率な鉛ペロブスカイト太
陽電池薄膜を自動評価したところ,この探索指針と合致することが分かり,提案し
たモデルの妥当性を実証したとする。 今回得られた変換効率2.36%は,元素の種
類を変えたり,溶液プロセスをより広く探索することで,さらに高効率化できる余地
を多く残している。

【掲載論文】
タイトル:“Exploration of Solution-Processed Bi/Sb Solar Cells by Automated Robotic
Experiments Equipped with Microwave Conductivity”
著者名:Chisato Nishikawa, Ryosuke Nishikubo, Fumitaka Ishiwari and Akinori Saeki
DOI:https://doi.org/10.1021/jacsau.3c00519

【今夜の一冊:プラズモニクス―基礎と応用】



基礎から応用までをまとめた入門的専門書。これから研究を始める人も、すでに
研究をしている人も、プラズモニクス研究のバイブルとしてぜひ1冊。

1.はじめに
2.表面プラズモンとは
3.平面波とエバネッセント波
4.金属の誘電率
5.伝搬型表面プラズモン
6.局在型表面プラズモン
7.プラズモニック結晶
8.数値計算法
9.プラズモニクスの化学・生物・材料科学への応用
10.エレクトロニクスへの応用
11.メタマテリアルと超解像

【今夜最新作:村上春樹】

 Part 1 Chapter 11

    ぼくらは地下鉄の駅近くの、小さな公園で待ち合わせている。前にも
 何度か待ち合わせたことのある場所だ。小さな子供たちのためのいくつ
 かの遊具があり、水飲み揚があり、藤棚の下にベンチがある。ぼくはそ
 のベンチに座ってきみを待つ。しかし約束の時刻になってもきみは現れ
 ない。それは珍しいことだ。きみはそれまでコ院も遅刻したことがなか
 ったから。というか、きみはいつだってぼくより早く待ち合わせの場所
 に来ていた。ぼくが約束の時刻より三十分早くそこに行くと、きみは既
 にそこでぼくを待っていた。
  「いつもそんなに早く来るの?」と尋ねたことがある。
  約束の時刻より四十分遅れてきみは姿を見せる。そして何も言わずに、
 ベンチのぼくの隣に腰を下ろす。遅れてごめんねとか、そんなことも一
 切口にしない。ぼくも何も言わない。ぼくらは口を閉ざしたままそこに
 並んで座っている。小さな女の子が二人、ブランコに乗っている。どち
 らが大きくブランコを漕げるか競っている。きみの息遣いはまだ荒く、
 額にうっすらと汗も浮かんでいる。たぶんここまで走ってきたのだろう。
 呼吸をするたびに、胸が盛り上がったり引っ込んだりする。
  きみは丸襟の白いブラウスを着ている。ぼくが電車の中で思い浮かべ
  たのとほぼ同じ、飾りのないシンプルなブラウスだ。そこにはぼくがさ
  っき(想像の中で)外したのと同じような小さな ボタンがついている。
 そして紺色のスカートをはいている。ぼくが先 べた思い浮かべたものと
  違う者のさこそ少しばかり違うものの、おおよそ同じ見かけの紺のスカ
 ートだ。きみがぼくの想像したのと----妄想したという方が近いだろう
 か----ほとんど同じ服装をしていることにぼくは驚き、言葉を失ってし
 まう。そして同時にやましさのようなものを感じずにはいられない。で
 もそれ以上のことを思い浮かべないようにぼくは努力する。いずれにせ
 よ、簡素な白いブラウスと無地の紺色のスカートという身なりのきみは、
 日曜日の公園のベンチでまぶしく美しく見える。 
  でもきみは、いつものきみとはどこか違っている。その違いが何なの
 か、ぼくには指摘できない。ただいつもとは何かが違っているというこ
 とだけをぼくは一目で理解する。
  「どうかしたの?」とぼくはようやく声に出して言う。「なにかあっ
 たの?」
  きみは無言のまま首を横に振る。でも何かがあったことがぼくにはわ
 かる。人の可聴範囲の外側にある、高速で繊細な羽ばたきの音をぼくは
 聴き取る。きみは両手を膝の上に載せており、ぼくは自分の手をそこに
 そっと垂ねる。季節はもうすぐ夏だというのに、小さな冷ややかな手だ。
  ぼくはその手に少しでも温かみを伝えようとする。ぼくらは長くその
 ままの姿勢を続けている。
  きみはその間ずっと黙ったままだ。正しい言葉を模索している人の一
 時的な沈黙ではない。沈黙のための沈黙-それ自体で完結している求心
 的な沈黙だ。
  小さな女の子たちはまだブランコを揺らしている。その金具が軋むき
 いきいという音が、規則正しくぼくの耳に届く。ぼくらの前にあるのが
 広い海原で、そこに雨が降りしきっていればいいのにとぼくは思う。も
 しそうなら、ぼくらのこの沈黙は今よりもっと親密で自然なものになる
 だろう。でも今のままでもいい。それ以上のものはあえて求めないこと
 にしよう。
  やがてきみはぼくの手をはなし、ひとこともなくベンチから立ち上が
 る。何か大事な用件を思い出したみたいに。それに合わせてぼくも慌て
 て立ち上がる。それからきみはやはり無言のうちに歩き始め、ぼくもそ
 れについていく。ぼくらは公園を出て、街の通りを歩き続ける。広い通
 りから狭い通りを抜け、また広い街路に匿ざ。これからどこに行くとも、
 何をするともきみは言わない。それも普段はないことだ。いつものきみ
 は、ぼくに会ったとたんに、待ちかねていたようにたくさんのことを勢
 いよく話し始めるから。きみの頭の中にはいつだって、ぼくに話さなく
 てはならないものごとがぎっしり詰まっているみたいだ。なのに今目顔
 を合わせてから、きみはまだひとことも□にしていない。
  そのうちにぼくには少しずつわかってくる頼るべきものが見つからな
 い時にはつかもしれない。
  きみがどこか特定の場所に向けて歩いているのではないことが。きみ
 はただ、ひとつの場所に留まっていたくなくて歩き続けているだけだ。
 移動そのものを目的とした移動なのだ。きみの歩調に合わせてぼくはそ
 の隣を歩く。ぼくもやはり沈黙を守っている。でもぼくの沈黙は、正し
 い言葉を見つけられない人の沈黙だ。
  こんなとき、どう振る舞えばいいのだろう? きみはぼくが生まれて
 初めて持ったガールフレンドだ。恋人と呼べそうな親密な関係になった
 最初の相手だ。だからきみと一緒にいて、そんな「普通とは違う状況」
 に直面して、そこで自分がどのように行動すればいいのか、適切な判断
 を下すことができない。この世界は、ぼくがまだ経験したことのないも
 のごとで満ちている。とくに女性の心理に関するぼくの知識なんて、書
 き込みのない真っ白なノートのようなものだ。だからぼくはそんな普段
 とは異なるきみを前にして、途方に暮れてしまう。でもとりあえず落ち
 着いていなくてはならない。ぼくは男だし、きみよりひとつ年上なのだ。
 そんなもの、実際には大した差ではないかもしれない。何の意味も持た
 ないことかもしれない。でも時には-とくに他にそんなつまらない形ば
 かりの立場だって、何かの役に立 とにかく慌ててはいけない。たとえ
 見かけだけでも沈着さを保だなくては。だからぼくは言葉を呑み込み、
 べつに何ごともないように、それがごく普通の出来事であるかのように、
 きみの隣を同じ歩調で歩き続ける。
                          この項つづく

風蕭々と碧い時












IMAGINE John Lennon 

 

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敢えてチャレンジする理由

2023年10月28日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝
えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の
軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ

【百名山踏破記:石鎚山】

 



石鎚山(いしづちさん、いしづちやま)は、四国山地西部に位置する標高
1,982mの山で、近畿以西を「西日本」とした場合の西日本最高峰で、山頂か
ら望む展望が四国八十八景64番に選定。愛媛県西条市と久万高原町の境界に
位置する。石鉄山、石鈇山、石土山、石槌山とも表記され、伊予の高嶺とも
呼ばれる。『日本霊異記』には「石槌山」と記され、延喜式の神名帳(延喜
式神名帳)では「石鉄神社」と記されている。前神寺および横峰寺では「石
鈇山(しゃくまざん)」とも呼ぶ。石鎚山の頂は、通常は天狗岳のことを指
すが、弥山から天狗岳までが岩場であることや、天狗岳に多人数がとどまれ
るスペースがないこともあり、天狗岳直前(約200m手前)の弥山までの登山
者も多い。弥山には石鎚神社の鎮座のほか山頂小屋がある。弥山まで3箇所の
鎖場があり、下から「一の鎖」(33メートル)、「二の鎖」(65メートル)、
最後は「三の鎖」(67メートル)と続くが迂回路もある。「一の鎖」の手前
に前社ヶ森(1,592 m)の岩峰にかかる「試しの鎖」(74メートル)があり、
これが最も急勾配である。弥山への鎖は近世頃より掛けられたとされ、1779
年(安永8年)に鎖が切れ、翌1780年(安永9年)に鎖の掛け替えを行ったと
すdecoration: none;" title=" ひこにゃんファンクラブ入会方法の変更につ<br />いて" href="https://hikone-hikonyan.jp/news/articles/2989" る記録であ
る『石鉄山弥山鎖筋之覚』が前神寺旧記に残されている。山頂からは瀬戸内
海、および土佐湾、見通しのよい日には大山を始めとする中国山地、九州の
九重連山まで望むことができる。
『付記』剣山から11日経つが思いの外疲れが残り体力の雅を痛感する(深刻
に考え)。回復に努め急遽来年春~夏にかけ登山予定を入れ準備する。



日本製の新しいソーラーカーポート DA SOLAR CARPORT
10月2日、住宅建設会社ダイワは、さまざまな色や形のあらゆるメーカーのソ
ーラーモジュールを収容できる新しいソーラーカーポートを開発。これによ
り、開発者は周囲の地域や建物の美的要件を考慮することができる。
大阪に本拠を置く建材サプライヤーであるデザインアーク株式会社は、1月に
発売予定の新しいDaソーラーカーポートを導入しました。 戸建住宅、集合住
宅、商業施設、倉庫、工場、医療施設などでの使用に適しています。 カーポ
ートは、さまざまな色や形状のあらゆるメーカーのソーラーモジュールを収
容できるため、開発者に美的要件を満たす柔軟性を提供。 各ユニットのは
5,960 cm x 5,140 cm x 2,355 cm で、最大 5.1 kW のソーラーパネルを搭載
できる。 デザインアークによると、カーポートは耐火基準を満たす鉄骨造を
採用することで、防火地域や準防火地域でも設置できるという。 デザインア
ークは、日本最大の住宅建設会社である大和ハウス工業株式会社の子会社で
あり、2000 年以来日本全国で大規模な太陽光発電施設の設置の歴史を持って
います。

メーカーは「カーポートは防火地域および準防火地域に設置してください」
と述べ、構造に鋼材を使用しているため耐火基準を満たしていると指摘した。
デザインアークは、日本最大の住宅建設会社である大和ハウス工業株式会社
の一部門。 当社グループは、2000年に初めて600kWの太陽光発電システムを
設置して以来、日本全国に多数の大規模太陽光発電施設を設置・運営してき
た。



効率25.6%の逆ペロブスカイト太陽電池を開発
10月23日、 香港の研究グループはによると、このセルは1,000時間以上にわ
たって元の効率の90%を維持できたため、優れた熱安定性も達成したという
 このデバイスは、自己組織化単分子層を使用して、ペロブスカイト吸収体と
正孔輸送層の間の界面を安定化させる。

高性能逆p-i-nペロブスカイト太陽電池用の安定化された正孔選択層
【概要】
逆(p-i-n 構造)ペロブスカイト太陽電池(PSC)は、従来のセルと比較して
製造上の利点があるが、電荷抽出層の安定化に使用される自己組織化単層(S
AM)は熱劣化しやすい傾向があった。酸化ニッケル膜内の粒子に固定された
ホスホン酸 SAM について報告しており、これにより双極子モーメントが最適
化され、高速な正孔抽出が実現され、欠陥密度が低くなる。 1.53 電子ボル
トの p-i-n PSC では、25.6% の電力変換効率が達成され、セルは 65℃で
1,200 時間動作させた後もその効率の 90% 以上を維持する。
【掲載論文】
Stabilized hole-selective layer for high-performance inverted p-i-n perovskite solar cells・
 ・ Science19 Oct 2023 Vol 382, Issue 6668 ,pp. 284-289
・  DOI: 10.1126/science.ade9637


YouTube
10月24日、ベルギーの学生ソーラーカーがブリヂストンワールドソーラーチ
ャレンジで早い段階で首位に立つ。 via pv magazine International


【関係技術情報】
水を超高速で通すにもかかわらず塩を通さないフッ素ナノチューブを開発
次世代超高効率水処理膜の実現 (再掲載)
【概要】
持続可能な社会を実現する上で海水の淡水化は必要不可欠な課題であり、こ
れまでさまざまな水処理膜が開発されている。しかし、地球規模の飲料水不
足を解決するには、現在用いられている水処理膜の能力を破格に高める必要
がある。 今回、東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻の伊藤喜光
准教授、佐藤浩平大学院生(研究当時)、相田卓三卓越教授(本務:理化学
研究所 創発物性科学研究センター 副センター長)らの研究グループは、
テフロン表面のように内壁がフッ素で密に覆われた内径0.9ナノメートルのナ
ノチューブ(フッ素化ナノチューブ)を超分子重合により開発した。このナ
ノチューブは塩を通さないが、これまでの目標であったアクアポリンの4500
倍の速度で水を透過した。一般に高い水透過能と高い塩除去能を同時に満た
すことは極めて難しいが、ここでは、密なフッ素表面が水分子の結合を切断
し同時に塩化物イオン(注5)の侵入を阻止するために、これまでにない圧
倒的なスピードでの塩水の脱塩が実現された。この成果は、地球規模の飲料
水不足に対応するための超高速水処理膜の開発につながると期待される。


図.超高速水透過と脱塩を両立するフッ素化ナノチューブ

本研究成果は、2022年5月12日(米国東部夏時間)に米国科学誌「Science」の
オンライン版に掲載
【掲載論文】
雑誌名:「Science」(オンライン版:2022年5月12日)
論文タイトル:Ultrafast water permeation through nanochannels with a densely
  fluorous interior surface.

DOI番号:10.1126/science.abd0966
Science:https://www.science.org/doi/10.1126/science.abd0966

特表2010-510168 官能化窒化ホウ素ナノチューブ ザ リージェンツ オブ ザ
ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【要約】
BNNTの表面を修飾するためにプラズマ処理を使用した。一例では、アミン官
能基が含まれるように、BNNTの表面をアンモニアプラズマを用いて修飾した
。アミン官能化は、従来不可能であった、BNNTをクロロホルムに対して可溶
性にすることを可能にした。チオール末端有機分子を用いるアミン官能化BN
NTのさらなる官能化も実証した。金ナノ粒子は、溶液中のアミン官能化とチ
オール官能化の両方の窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)の表面で自己集合し
た。このアプローチは、高官能化BNNTの調製に対する、ならびに他のナノス
ケール材料との集合および一体化用のナノスケールテンプレートとしてのそ
れらの使用に対する基礎を構成する。

図1.(a)は、プラズマ処理に使用可能なSi基材上の元のBNNTのSEM画像
である。図1bは、本発明の一態様に係るプラズマシステムの概略図

【特許請求の範囲】
【請求項1】 窒化ホウ素ナノチューブと、 窒化ホウ素ナノチューブの表面
に付着している第1の有機分子と を含む構造。
【請求項2】 第1の有機分子が、アミン、カルボキシル、イミン、ヒドロキ
シル、およびニトリルからなる群より選択される、請求項1記載の構造。
【請求項3】 第1の有機分子がアミンである、請求項1記載の構造。
【請求項4】 第1の有機分子に結合している第2の有機分子をさらに含む、
請求項1記載の構造。
【請求項5】 第2の有機分子が3-ブロモプロパノイルクロリドを含む、請
求項4記載の構造。
【請求項6】 第2の有機分子がチオールを含む、請求項4記載の構造。
【請求項7】 チオールが3-メルカプトプロピオン酸を含む、請求項6記載
の構造。
【請求項8】 第2の有機分子に付着しているナノ分子をさらに含む、請求項
4記載の構造。
【請求項9】 ナノ粒子が、Au、Ag、Pd、CdS、CdSe、Pt、Co、CoPt、Cu、お
よびZnSからなる群より選択される、請求項8記載の構造。
【請求項10】 金ナノ粒子が、4-ジメチルアミノピリジンで安定化されて
いる金ナノ粒子を含む、請求項9記載の構造。
【請求項11】 ナノ粒子の自己集合で官能化されている窒化ホウ素ナノチュ
ーブ。
【請求項12】 ナノ粒子の自己集合が、ナノ粒子のほぼ単層を構成する、
請求項11記載のナノチューブ。
【請求項13】 a)窒化ホウ素ナノチューブを提供する工程と、 b)プラズ
マ発生器を備えたチャンバに窒化ホウ素ナノチューブを導入する工程と、c)
チャンバ内のアンモニアプラズマに窒化ホウ素ナノチューブを曝露し、それ
によりアミン官能化窒化ホウ素ナノチューブを形成する工程と を含む、窒
化ホウ素ナノチューブを修飾する方法。
【請求項14】 i)0.3Pa未満または0.3Paとほぼ同等の圧力までチャンバを
ポンピングする工程と、 ii)チャンバにアンモニアガスを流し込む工程と、
iii)窒化ホウ素ナノチューブに-100Vのバイアス電圧を印加する工程と、iv)
プラズマ発生器に電力を印加する工程と を含む方法を用いることによって、
アンモニアプラズマがチャンバ中で生成される、請求項13記載の方法。
【請求項15】 アンモニアガスを流し込む工程が、およそ400Paの圧力下、
およそ10sccmの速度でガスを流し込むことを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】 バイアス電圧を印加する工程が、約-50Vと-200Vとの間の
バイアス電圧を印加することを含む、請求項14記載の方法。
【請求項17】 バイアス電圧を印加する工程が、約-100Vのバイアス電圧
を印加することを含む、請求項14記載の方法。
【請求項18】 電力を印加する工程が、約100Wと500Wとの間(およそ200W)
の電力を印加することを含む、請求項14記載の方法。
【請求項19】 電力を印加する工程が、約200Wの電力を印加することを含む、
請求項14記載の方法。
【請求項20】 d)アミン官能化窒化ホウ素ナノチューブと液体3-ブロモ
プロパノイルクロリド試薬とを組み合わせて混合物を形成する工程 をさらに
含む、請求項13記載の方法。
【請求項21】 d)アミン官能化窒化ホウ素ナノチューブと脱イオン水とを
組み合わせて懸濁液を形成する工程と、 e)3-メルカプトプロピオン酸、
N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド塩酸塩、お
よび4-ジメチルアミノピリジンの脱イオン水溶液を懸濁液に加えて混合物
を形成する工程と をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項22】 a)窒化ホウ素ナノチューブを提供する工程と、 b)プラズ
マ発生器を備えたチャンバに窒化ホウ素ナノチューブを導入する工程と、
c)プラズマに窒化ホウ素ナノチューブを曝露し、それにより官能化窒化ホウ
素ナノチューブを形成する工程と を含む、窒化ホウ素ナノチューブを修飾
する方法。
【請求項23】 i)0.3Pa未満または0.3Paとほぼ同等の圧力までチャンバを
ポンピングする工程と、 ii)チャンバにガスまたはガス混合物を流し込む
工程と、 iii)窒化ホウ素ナノチューブに負のバイアス電圧を印加する工程
と、 iv)プラズマ発生器に電力を印加する工程と を含む方法を用いること
によって、プラズマがチャンバ中で生成される、請求項22記載の方法。
【請求項24】 ガスまたはガス混合物が、アンモニア、H2+N2、CH4+O2、
CH4+N2、H2O、およびN2+O2からなる群より選択される、請求項23記載の方
法。
【請求項25】 d)官能化窒化ホウ素ナノチューブと液体3-ブロモプロパノ
イルクロリド試薬とを組み合わせて混合物を形成する工程 をさらに含む、請
求項22記載の方法。
【請求項26】 d)官能化窒化ホウ素ナノチューブと脱イオン水とを組み合
わせて懸濁液を形成する工程と、 e)3-メルカプトプロピオン酸、N-(3
-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド塩酸塩、および4-
ジメチルアミノピリジンの脱イオン水溶液を懸濁液に加えて混合物を形成す
る工程と をさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項27】 アンモニアガスまたはH2+N2ガス混合物のいずれかがアミン
官能化窒化ホウ素ナノチューブを形成する、請求項24記載の方法。
【請求項28】 CH4+O2ガス混合物がカルボキシル官能化窒化ホウ素ナノチ
ューブを形成する、請求項24記載の方法。
【請求項29】 CH4+N2ガス混合物がイミン官能化窒化ホウ素ナノチューブ
を形成する、請求項24記載の方法。
【請求項30】 H2Oガスがヒドロキシル官能化窒化ホウ素ナノチューブを形
成する、請求項24記載の方法。
【請求項31】 N2+O2ガス混合物がニトリル官能化窒化ホウ素ナノチューブ
を形成する、請求項24記載の方法。
【請求項32】 工程cの後に、ナノチューブとナノ粒子とを組み合わせる工
程をさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項33】 有機溶媒中に分散している官能化窒化ホウ素ナノチューブを
含む、安定な溶液。

特開2022-121865 カーボンナノチューブ成形体の製造方法およびカーボンナ
ノチューブ成形体 国立大学法人 東京大学
【概要】
下図1のごとく、本発明の一の態様によれば、カーボンナノチューブ、セル
ロースナノファイバー、単糖類、および分散媒を含むカーボンナノチューブ
分散液を得る工程を備え、前記カーボンナノチューブ分散液を得る工程が、
前記カーボンナノチューブ、前記セルロースナノファイバー、前記単糖類、
および前記分散媒を含む分散液を120℃以上180℃以下の温度に加熱す
る工程を含み、または前記セルロースナノファイバーおよび前記単糖類を含
む第1分散液を120℃以上180℃以下の温度に加熱した後、前記第1分
散液と、前記カーボンナノチューブおよび前記分散媒を含む第2分散液とを
混合する工程を含み、前記セルロースナノファイバーの質量に対する前記単
糖類の質量の比が、100以上である、製造方法が提供される。度が高く、
かつ比表面積が大きいカーボンナノチューブ成形体の製造法およびカーボン
ナノチューブ成形体を提供することを目的とする。

特開2023-126192 化合物、光電変換素子、ペロブスカイト型量子ドット
LEDモジュール及び太陽電池モジュール 三菱ケミカル株式会社他
【概要】
 下図1の如く、下記式(I)で表される、化合物。上部電極と下部電極と
により構成される一対の電極と、前記一対の電極間に位置し、有機無機ペロ
ブスカイト型半導体材料を含有する活性層と、前記活性層と前記一対の電極
の少なくとも一方との間に位置し、この化合物を含有する層とを有する、光
電変換素子で、有機無機ペロブスカイト半導体材料を用いた光電変換素子の
正孔注入層又は正孔取り出し層の化合物として有用な、低分子かつ中性で濡
れ性に優れた新規化合物と、この化合物を用いた光電変換素子等を提供する。



図1.光電変換素子の一実施形態を模式的に表す断面図

【発明の効果】
本発明の化合物は、塩になっていないため、中性であり、有機溶媒に可溶で
ある。またアルコキシカルボニル基の配置をBDPのN上から-CH2-鎖
(C1鎖)することで、分子間相互作用により単結晶X線構造解析により結
晶性の高い構造をとり、さらに、この傾向は、薄膜にした時、維持できるこ
とが2次元XRDであるGIWAXにより明らかになった。 この結果、本発
明の化合物は、低分子であるにもかかわらずネットワークが薄膜上でも構築
されることから、有機薄膜太陽電池素子にしても、ペロブスカイト型量子ド
ット素子にしても、効果的な電荷移動が維持できる。 さらに、本発明の化合
物は、低分子にも関わらず、化合物の安定性に優れ、結晶ネットワークが形
成されやすいにも関わらず濡れ性に優れ、均一な膜を形成しやすい。特によ
り薄膜の素子であるペロブスカイト型量子ドット素子において、高分子半導
体を上回る輝度を与えることが可能である。 これらの結果から、本発明の化
合物は、光電変換素子やそれを用いた太陽電池やLEDとして好適に使用で
きることが分かる。

 ペロブスカイト太陽電池、単層カーボンナノチューブで効率19.9%達成
10月27日、イランの研究グループは、硫化鉛コロイド量子ドットに囲まれた
正孔輸送層として単層カーボンナノチューブを使用しペロブスカイト太陽電
池の効率を向上させた。


【要約】
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を用いたペロブスカイト太陽電池(PSC)
における新しい正孔輸送層(HTL)を提案し、最大19.98%の電力変換効率(PC
E)を初めて達成しました。 この 1 次元 (1D) 要素は、その卓越した量子特
性により、セル構造内での正孔輸送を促進するために利用される。 SWCNT
HTL として使用し、その上に MAPbI3 ペロブスカイト材料を主吸着層と
して使用し、500 〜 500 の波長範囲で優れた吸収を持つ硫化鉛 (PbS-CQD)
のコロイド量子ドット (CQD) を使用します。 1100 nm が第 2 吸着層とし
て各ユニットセル内の SWCNT の周囲の空間を埋め、優れた性能を達成した。
また、HTL の周囲の空間がペロブスカイト材料で満たされている場合と比較
して、49.7% の増加が観察されます。 提案された PSC 配置は、SWCNT
優れた安定性に加え、優れた電気的および機械的特性により、高い PCE に加
えて非常に優れたセル安定性をもたらします。 最後に、ペロブスカイトの安
定性の問題を解決するとともに、この新しい構造の利用に期待している。
【掲載論文
Single-walled carbon nanotube as hole transport layer in perovskite solar cell:
  Efficiency enhancement
・Energy Reports Volume 10, November 2023, Pages 3652-3664
https://doi.org/10.1016


アマゾンの干ばつは南米の太陽光発電に晴天を意味する?

10月20日、DNV社のソルキャストは、先月、南米の熱帯地域全体で日照量が増
加し、太陽光発電資産が 9月の日射量増加の最大 120%に達したことを報告。
アマゾンの湿気が減少したことで、南米の熱帯地方全域で晴天が続き、日射量
が増加した。この地域の太陽光発電施設では、9月までの月間平均日射量が110
~120%
に達し、同社 SolcastSolcast API を介して収集したデータによると、
今月初めに強くゆっくりとした嵐の影響でブラジル南部の日射量は減少した
が、南米中緯度地域の残りの地域ではほぼ通常通りの日射量となった。アル
ティプラーノ高原は、大陸全体で最も高い日射量を観測。この地域は世界で最
も高い日射量レベルを記録しており、これは歴史的な平均と一致する。



9月には熱帯地域で通常よりも高い日射量が見られました。 これは、アマゾ
ンの現在の干ばつによって空が晴れていたためである。アマゾン北東部は7
月中旬から乾燥が続いており、その結果、熱帯雨林の湿気が減少し、蒸発散
量が減少している。 これは、熱帯雨林地域での雲の形成を促進する主要な水
分源。この地域では熱帯地域に特有の定期的な積雲が見られましたが、9月の
雨季の始まりに典型的な大規模な嵐や降雨は見られませんでした。 ここ数カ
月間、降雨量が不足し、その後の乾燥状態が続いているため、アマゾンの川
の水位は100年以上で最も低いと報告されている。 南米では熱波の影響で最
も暑い9月を記録したため、この状況は温暖な条件によってさらに悪化した。

【ウイルス解体新書 175



序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学

第2章 COVID-19パンデミックとは何だったのか
後遺症 
LONG COVID
けん怠感 息苦しさ…コロナ後遺症 血液成分の分析でわかったことは
2023.10.16 NHK ➲2023.10.26の継続記事

【ホルモンって何だろ:コルチゾール】
"ロング・コビット”がコルチゾール低下(実は高齢者の症候群のひとつでも
ある)を取り上げたが、巻頭記事の脳視神経疾病もあり取り上げる。ホルモ
ンと聴けばば焼き肉などの家畜の処理肉の部位が頭に浮かぶが正確なイメー
ジでない。

 ホルモンは、モツ(関東地方)とも呼ばれる内臓肉のこと。主にホルモ
 ンとして出回っているのは腸や胃の部分ですが、その他の内蔵肉全般の
 ことも、ホルモンと呼びます。 代表的なものに、第1胃(ミノ)、第2胃(
 ハチノス)、小腸(ヒモ)、大腸(シマチョウ、テッチャン)、肝臓(レバー)、
 舌(タン)、心臓(ハツ)などがあります。 焼き肉で人気のあるハラミは
 横 隔膜のことで、これも内臓肉にあたります。色によって、赤モツ(
 肝臓や心臓など)、白モツ(胃、腸など)と呼び分けたり、また牛や豚な
 どの違いや地域によって、呼び方が変化することもあります。(ホル
 モンってどの部位のこと? 食育大事典)

ところで、生理医学学的ホルモンとなとはなんだろうか。
ホルモンは、狭義には生体の外部や内部に起こった情報に対応し、体内において
特定の器官で合成・分泌され、血液など体液を通して体内を循環し、別の決まった
細胞でその効果を発揮する生理活性物質を指す。ホルモンが伝える情報は生体
中の機能を発現させ、恒常性を維持するなど、生物の正常な状態を支え、都合よ
い状態にする[2]重要な役割を果たす。ただし、ホルモンの作用については未だわ
かっていない事が多い。



コルチゾール
コルチゾール(Cortisol)は、副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイドの一種であり
、医薬品としてはヒドロコルチゾとも呼ばれる。炭水化物、脂肪、およびタンパク代謝
を制御し、生体にとって必須のホルモンである。3種の糖質コルチコイドの中で最も
生体内量が多く、糖質コルチコイド活性の約95%はこれによる。ストレスによっても
分泌が亢進される。分泌される量によっては、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能
の低下や不妊をもたらす。 日本薬局方医薬品としてはヒドロコルチゾンの名称で収
載される、ステロイド系抗炎症薬(SAID)の1つとして臨床使用される。ステロイド系
抗炎症薬は炎症反応を強力に抑制し、炎症の全ての過程に作用する。急性炎症、
慢性炎症、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、ショック、風疹、急性白血病、移植
片拒絶反応などの治療に使用される。副腎皮質機能不全、クッシング症候群、胃潰
瘍などの副作用が現れる場合もある。

効果
胃および腎臓 コルチゾールは胃酸分泌を活性化させる。腎臓の水素イオン排泄に
対してのコルチゾールの唯一の直接的影響は、腎臓のグルタミナーゼ酵素を
不活性化することによってアンモニウムイオン排泄を活性化させることであ
る。 概日リズム ヒトにおいては、コルチゾールレベルについての概日リズ
ムが確認されている。 ストレスと気分 コルチゾール低値では、アジソン病、
先天性副腎低形成症(IMAge症候群、ACTH不応症、Triple A症候群(Allgrove
候群))、先天性副腎皮質過形成症、副腎性ACTH単独欠損症、シーハン症候
群、ACTH非産生性の下垂体腫瘍、下垂体性副腎皮質機能低下症、視床下部性
副腎皮質機能低下症などが疑われるという。

処方箋
副腎疲労が起きてしまうのか? あくまでも、一般的だがもっとも大きな原因
は、ストレスからくる副腎疲労(副腎疲労は、「21世紀のストレスシンドロ
ーム」と言われている)である。コルチゾールを合成するには、タン白質・
ビタミンC・ビタミンB群(とくにB5)・亜鉛・ビタミンE・ビタミンAなどが必
要とされる。

 

風蕭々と碧い時











John Lennon 



男性アイドルユニット:GENTLE GUMの1stシングル。2023年10月03日
c/w曲として「スポットライト」、「SCENARIO」、「Love Me,Kiss Me」を収録。
それにしても、謎の多いグループだ。

       

『フェルマーの料理』(フェルマーのりょうり、フランス語: Cuisson dans le Fermat)は、
小林有吾による日本の漫画作品。『月刊少年マガジン』(講談社)にて、2018年10
月号から不定期連載中。数学者になる夢を挫折した高校生が、若き天才シェフ
との出会いを機に料理の道へと進み、数学的思考で周囲を驚愕させる料理を作り
出し、料理人として成長していく姿を描いた料理漫画[2]。タイトルはフェルマーの最
終定理(n が3以上の場合,方程式 xn+yn=zn の自然数解は存在しないという定
理)に由来する。
これは面白い!作品だ・


 

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自在行動概論 ④

2023年10月25日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝
えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の
軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ。



                                                                                         
                        来年は薫り尽くせよ金木犀
                          

 例年より花付きが悪く毎年、この季節、庵の中まで甘い香りに包まれる
 が、なり悪くこんなところにも気候変動の影響が顕わとなり詠う。  



NHKのあさイチで放送。さっそく、トライすることに(今週中)柿、かぶ、
長芋など秋の食材で、夏の猛暑で疲れた体にやさしいとか。理。鶏もも肉を
厚みが均等になるように切り開き、食べやすい大きさにして、ローズマリー
を加えて香りをつけながらこんがりと焼きます。残った鶏肉の油で、くし形
に切った柿、かぶ、へたをとったオクラを焼いて、鶏肉と重ねて盛り付ける。
角切りにした長芋と粒マスタード、はちみつ、酢などを混ぜた酸味の効いた
「長芋ソース」を添えて出来上がり。体の熱を取り、呼吸器の調子を整える
と伝わる中国膳料理。西吉野柿は美味いぞ!   


【今夜最新作:村上春樹】

 Part 1 Chapter 11


   電車に乗ってきみの住む街に、きみに会いに行く。五月の日曜日の朝、
 空はまっさらに晴れ上がり、ひとつだけ浮かんだ白い雲は、滑らかな魚
 の形をしている。
  図書館に行くと言って家を出た。でもぼくはきみに会いに行く。ナイ
 ロンのナップザックの中には昼食用のサンドイッチ(母が作ってくれた。
 しっかりラップに包まれている)と勉強の道具が入っているが、勉強を
 するつもりはない。大学の入学試験まであとフ年も残されていない。し
 かしそのことはできるだけ考えないようにしている。
  日曜日の朝の電車は乗客がまばらだ。座席にゆったり腰掛け、「永続
 的な」という言葉について考えを巡らせる。しかし高校三年生になった
 ばかりの十七歳の少年にとって、永続的なものごとについて考えを巡ら
 せるのは簡単なことではない。披に想像できる永続性の幅はかなり狭い
 ものだから。「永続的」という言葉から思い浮かべられるのは、海に雨
 が降っている光景くらいだ。

  ぼくは海に雨が降っている光景を目にするたびに、ある種の感動に打
 たれる。それはたぶん海というものが永劫に-あるいはほとんど永劫に
 近い期間にわたって-変化することのない存在であるからだろう。海の
 水は蒸発して雲になり、雲が雨を降らせる。永遠のサイクルだ。海の水
 はそうやって次々に入れ替わっていく。しかし海という総体が変化する
 ことはない。海は常に同じ海だ。手を触れることのできる実体であると
 同時に、ひとつの純粋な絶対的な観念でもある。
  ぼくが海に降りしきる雨を眺めながら感じるのは(たぶん)そういう
 種類の厳かさだ。
  だからぼくがきみとの間の心の絆をもっと強いものにしたい、もっと
 永劫的なものにしたいと考えるとき、頭に思い浮かべるのは、雨が静か
 に降りしきる海の光景になる。ぼくときみとは浜辺に座って、そんな海
 と雨を見つめている。ぼくらはひとつの傘の中にくっつくように収まっ
 ている。きみの頭はぼくの肩にそっともたせかけられている。
  海はとても穏やかだ。風らしい風も吹いておらず、小さな波が音もな
 く規則正しく浜辺に打ち寄せている。まるで干されたシーツが風にそよ
 いでいるみたいに。ぼくらはいつまでもそこに座り込んでいることがで
 きる。しかし、そこからぼくらがどこに向かおうとしているのか、どこ
 に向かえばいいのか、そのイメージが浮かんでこない。なぜならぼくら
 はその浜辺で、傘を差して二人で並んで座っていることで、もう既に完
 結してしまっているからだ。既に完結してしまったものが、そこから腰
 を上げてどこに向かえるだろう?

  あるいはそれが永劫というもののひとつの問題点かもしれない。これ
 からどこに向かえばいいのかわからないこと。しかし永劫を求めない愛
 にどれはどの値打ちがあるだろう?
  それからぼくは永劫について考えることを諦め、きみの身体について
 考える。きみの一対の胸の膨らみのことを考え、きみのスカートの中に
 ついて考える。そこにあるもののことを想像する。
  ぼくの指はきみの白いブラウスのボタンをひとつずつ不器用に外し、
 きみのつけている(であろう)白い下着の背中のフックをやはり不器用
 に外す。ぼくの手はそろそろときみのスカートの中に伸びていく。きみ
 の柔らかな大ももの内側に手を触れ、それから……いや、ぼくとしては
 そんなことを考えたくはない。本当に考えたくないのだ。でも考えない
 わけにはいかない。それは永劫性なんかに比べて遥かに想像力を働かせ
 やすい種類のものごとだから。
  でもそんなことをあれこれ想像しているうちに、ぼくの身体の一部は
 いつしかすっかり硬くなってしまう。大理石でできたみっともない形の
 煮物みたいに。ぴったりとしたブルージーンズの中で、勃起したぼくの
 性器はひどく居心地が悪い。早く通常の状態に戻さないことには、座席
 から立ち上がることもおぼつかないだろう。
  もう一度、雨降りと海のことを頭に思い浮かべようとする。そのしん
 とした風景はぼくの健康すぎる性欲を少しは鎖めてくれるかもしれない。
 目を閉じて気持ちを集中する。でも海辺のイメージはうまく脳裏に蘇っ
 てこない。ぼくの意志とぼくの性欲は、それぞれ異なった地図を手にべ
 つべつの方向に進んでいくみたいだ。
                          この項つづく


                             

   


再エネ革命渦論 184 アフターコロナ時代 185
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
   特異点真っ直中 ㊿+⑮

 ペロブスカイト太陽電池量産時代
課題は耐久性。シリコン太陽電池は20~30年もつとされるが、ペロブスカイ
ト太陽電池のフィルムは傷などに弱く劣化しやすい。それでも現在の寿命は
10~15年に延びている。中国や欧州では量産が始まっており、世界の市場は
22年の320億円から、35年には1兆円に達するとの試算もある。

10月23日、日揮は苫小牧埠頭およびエネコートテクノロジーズと共同で、こ
北海道苫小牧市の物流施設においてペロブスカイト太陽電池を設置する共同
実証実験を開始するこの取り組みでは苫小牧埠頭が所有する物流施設に、京
都大学発スタートアップであるエネコートテクノロジーズが開発したペロブ
スカイト太陽電池を設置する。ペロブスカイト太陽電池は、軽量かつ柔軟に
製造可能という特徴を持ち、ビルの壁面や耐荷重の小さい屋根、あるいは車
体などの曲面といった、さまざまな場所に設置できる次世代太陽電池として
期待されている。

また、塗布などによる連続生産が可能であること、レアメタルを必要としな
いなどのメリットを持つ。さらに20%以上の高い変換効率が実現できるとい
う特徴もある。実証実験では年初春から約1年間を予定しており、苫小牧埠
頭の倉庫などで主に使用されている凹凸状の屋根や外壁にフィルム型のペロ
ブスカイト太陽電池を設置。発電効率の測定や予測値と実測値の比較、塩害
・降雪地域での耐久性、既存の倉庫屋根や建物曲面への太陽電池モジュール
の設置方法などを検証するとしている。なお、北海道におけるペロブスカイ
ト太陽電池の実用化に向けた実証実験は国内初の事例になる。

【ウイルス解体新書 174



序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学
第2章 COVID-19パンデミックとは何だったのか
後遺症 LONG COVID
けん怠感 息苦しさ…コロナ後遺症 血液成分の分析でわかったことは
2023.10.16 NHK
岩崎明子教授らの研究チームは、新型コロナに感染しあと、けん怠感や息苦
しさなど何らかの症状が長引く「後遺症」が1年以上ある人と感染後、後遺
症がない人、感染しなかった人などあわせて268人の血液成分を分析した。
その結果、後遺症がある人たちでは、血液中にあるB細胞やT細胞と呼ばれる
特定の免疫細胞が増加していたほか、体内で潜伏していたヘルペスウイルス
が活性化するなどの変化が、確認されたということです。さらに、後遺症が
ある人では、体の状態を一定に保ちストレス反応に関わる「コルチゾール」
というホルモンの量が、後遺症がない人や感染しなかった人と比べ半減して
いた。研究チームは、こうした変化を指標にすることで新型コロナの後遺症
の正確な診断や、治療法の開発につながるとしている。
--------------------------------------------------------------------
「後遺症の中でもけん怠感は、コルチゾールの低下が要因だと考えられ、ほ
かの症状も免疫とホルモンの量が不安定になることで起きている可能性があ
る。後遺症があることを周りに理解されず悩み続ける人も多いので、原因の
解明を目指しさらに研究を進めたい」(米イエール大学 岩崎明子教授)
--------------------------------------------------------------------


掲載論文
Distinguishing features of Long COVID identified through immune profiling
免疫プロファイリングを通じて特定されたLong COVIDの際立った特徴
2022 Aug 10:2022.08.09.22278592.

doi: 10.1101/2022.08.09.22278592.  Preprint 
Nature. 2023 Sep 25. doi: 10.1038/s41586-023-06651-y.
Online ahead of print.
Nature. 2023. PMID: 37748514
【要約】 
抽象的な SARS-CoV-2 感染は、新型コロナウイルス感染症後急性続発症 (P
ASC
) またはロング COVID 1-3 と呼ばれる、急性疾患に続く一連の持続的
後遺症の発症を引き起こす可能性がある。 Long COVID と診断された人は
頻繁に絶え間ない疲労、運動後の倦怠感、さまざまな認知機能障害や自律神
経機能障害を報告。しかし、これらの衰弱性症状の原因となる基本的な生物
学的メカニズムは不明。ここでは、215 人が探索的横断研究に参加し機械学
習手法と組み合わせて多次元免疫表現型解析を実行し、Long COVIDを区別
する重要な免疫学的特徴を特定した。対応する対照群と比較して、特定の循
環骨髄球およびリンパ球集団に顕著な差異が認められ、また、Long COVID
の参加者における SARS-CoV-2 に対する体液性反応の上昇の証拠も認められ
た。さらに、非SARS-CoV-2ウイルス病原体、特にエプスタイン・バーウイ
ルスに対する抗体反応の予想外の増加が観察された。循環免疫メディエータ
ーやさまざまなホルモンの分析でも、顕著な違いが明らかになり、対応する
対照群と比較して、長期コロナウイルスの参加者ではコルチゾールのレベル
が一様に低かった。 免疫表現型データを偏りのない機械学習モデルに統合
することにより、コルチゾールレベルの低下が最も重要な個別予測因子であ
るロングコロナウイルスの正確な分類に重要な重要な特徴が特定された。こ
れらの発見は、Long COVIDの病理生物学に関するさらなる研究の指針とな
り、将来の Long COVID の客観的なバイオマーカーの開発に役立つ可能性
があります。

第3章 パンデミック戦略「後手の先」
第4章 終 章 備えあれば憂いなし


風蕭々と碧い時












John Lennon Imagine  

今夜の寸評: 優勝は?!タイガース vs バッッファローズ
世界は非戦を! 世界に平和を!

自在行動概論 ④
パレスチナ問題とその歴史
「環境リスク本位制時代」を公言している私(たち)には、「パレスチナ問
題」は、「人類消滅」を加速させる「世界大戦」の説明要因の1つであるこ
とを踏まえ、その歴史をお温習いしておこう。
via jp.Wikipedia

2005 - 2008:アッバース時代のはじまり
その後もイスラエルとパレスチナの断続的な衝突が続いた。11月1日、イス
ラエルは再びガザ地区に侵攻。7日までにパレスチナは軍民合わせて50人以
上、イスラエルは兵士1人が死亡した。イスラエルは撤退を表明したが、翌8
日すぐに攻撃を再開、ガザ地区北部のベイト・ハヌーンでパレスチナ市民が
少なくとも19人死亡し、アッバース議長は「イスラエルは平和への機会を破
壊している」と非難。ハマースは報復を宣言した。イスラエルは誤爆と主張。
事件の解明まで攻撃を中止すると発表したが、パレスチナ活動家の暗殺は続
けている。ベイト・ハヌーンの事件について、再びカタールは国連安保理
に非難決議案を提出した。フランスなどの要求で、パレスチナ側のロケット
攻撃も非難する修正案に改められたが、11月11日、やはりアメリカの拒否権
で否決された(日本は棄権した)。 パトリック・オコナーによると、2000年
から2006年11月3日までの、パレスチナ側とイスラエル側の犠牲者数の比率は
39:10である。そして、イスラエル諜報機関の元長官アヴィ・ディクターは、
分離壁の建設によって自爆テロを90%阻止することが出来たと証言している。

実際、自爆テロは未遂の時点で逮捕されているケースが多く、ハマース側が
自粛しているのではなく、物理的に自爆テロが出来ない状況になっていると
いう主張である。なお、このような状況下でハマースはロケット砲による無
差別攻撃に攻撃を転換したとの指摘もある。 パレスチナ内部でも、米欧・
イスラエルの支持を受けるファタハと、ハマースの内部抗争が続いている。

2006年にハマースは選挙での多数を根拠に単独内閣を組んだものの、国際社
会は認知しようとしなかった。ファタハとハマースの間で連立政権の交渉が
進められたが、両者の抗争で2006年中だけで28人の死者を出している]。
2007年には、両者の抗争で50人に及ぶ死者を出した。5月16日には、ハニー
ヤ首相の自宅に何者かの発砲事件があり、5月17日には、ハマースによるア
ッバース議長の暗殺計画が発覚。5度に及ぶ停戦合意がなされているが、合
意の直後に抗争が再開される状況が続いている。6月11日からの抗争は、ハ
マースがガザ地区を武力占拠したことで、本格的な内戦に突入。アッバース
大統領は非常事態宣言を出し、内閣の解散を宣言。イスラエルやアメリカは
、ハマースを排除したサラーム・ファイヤード政権を正式な交渉相手と認め
た。6月20日、アッバース大統領は「人殺しのテロリストたちとは対話はしな
い」と、ハマースを相手にしないことを表明した。 平行して、イスラエルに
よる攻撃も続いている。4月24日、ハマースはイスラエルによるパレスチナ自
治区ヨルダン川西岸とガザ地区攻撃への報復として、ガザ地区からイスラエ
ルにロケット弾の攻撃を行った。ハマース側はイスラエルの攻撃に対する応
戦であり、停戦そのものを破棄するつもりはないと主張したが、イスラエル
はガザ地区への空襲を繰り返し行い、さらに地上部隊の再侵攻を主張する声
も強くなった。極右政党「わが家イスラエル」党首のリーバーマン副首相は

「イスラエル軍がハマース壊滅のための地上作戦に踏み切らなければ、連立
政権から離れる」と主張した。 5月20日には、ハマースのハリール・アル=
ハヤ立法評議員(国会議員)宅が空襲を受け、アルハヤはハマースとファタ
ハの停戦協議のため不在で難を逃れたが、8人が死亡した。イスラエル側はア
ルハヤを標的にしたものではなく、付近にいた武装集団を狙ったものと主張
した。5月21日、パレスチナ側の攻撃でイスラエル人1人が死亡すると、イス
ラエルのリブニ外相は共同記者会見で「停戦は幻想で、ロケット弾はハマー
スが平穏に乗じて武器の密輸を行った結果だ。われわれはハマースと戦い続
ける」と述べた。また、同国のアビ・デヒテル警察相は、ハマースの事実上
の最高指導者であるハーリド・マシャアルについて、「彼の存在は正当な標
的である以上だ。困難な使命ではあるが機会さえあればいつでも、彼を我々
の前から消すことだろう」と暗殺を公言し、さらにハニーヤ首相の暗殺につ
いても「(イスラエルに対する)攻撃命令を出している者の中にハニーヤが
連なっているならば、彼も正当な標的となる」と実行に含みを持たせた(「
警察相、ハマース最高指導者の殺害を予告 - イスラエル * 2007年05月21日
20:10 発信地:イスラエル」)。

さらに、5月31日、ユダヤ教スファルディーの前首席ラビであるモルデハイ
エリヤフは、オルメルト首相に「ユダヤ人の戦争倫理によると、個人の不道
徳な行為について、市全体が集団的な責任を負う。ガザではカッサムロケッ
トの発射を止めないから、すべての人口に責任がある」と主張する手紙を出
し、シナゴーグに内容を配布した。パレスチナ『エレクトロニック・インテ
ィファーダ』紙のアリ・アブニマーは、「イスラエルでこの類のパレスチナ人
に対する大量虐殺をそそのかす憎悪が語られるのは珍しいことではない。

では、ムスリムやパレスチナの指導者がこのようなことを言ったらどうなる
か。イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領が伝えられたとこ
ろでは、イスラエルを取り除くことを述べたときに、国際社会がどう激しく
抗議をしたかを私たちは知っている。イランのアフマディネジャドを非難し
て、ご機嫌取りをしていたすべてのEU官僚は、このイスラエルの前首席ラビ
に対して、同じような強く、公的な立場を取るのだろうか?」と批判した。

6月28日、イスラエルはガザに地上部隊を侵攻させ、軍民合わせて少なくと
も12人を殺害。さらに、15歳から50歳の男性に家から出るように命じ、町の
広場に集めさせた。 11月27日、アメリカの仲介で開かれた中東和平国際会
議において、アメリカのブッシュ大統領、イスラエルのオルメルト首相、パ
レスチナのアッバース議長は和平交渉再開を確認した。だが、イスラエルは
交渉再開を表明する一方、連日ガザ地区の攻撃や空襲を行い、11月30日には、
ガザ再侵攻の準備が整ったことを発表した。 2008年1月、ブッシュ大統領は
イスラエル、パレスチナを歴訪。1月9日にはイスラエルでオルメルト首相と
会談し、1月10日には初めてパレスチナを訪問し、アッバース議長と会談し
た。ブッシュ大統領は、イスラエルの入植地について「1967年に始まった占
領を終結させる必要がある」と述べ、またパレスチナ自治区を入植地が分断
している現状について「スイスチーズ(穴あきチーズ)ではうまくいかない
」と批判した[37]。一方、パレスチナに対しては「テロとの戦い」の継続と、
ハマースからのガザ地区奪還を要求した。

しかし、イスラエルのガザ地区攻撃については「パレスチナ領域がテロ組織
の天国になってはならない」と理解を示し、イスラエル領への帰還を望むパ
レスチナ難民についてはこれを認めず、保証金で解決する考えを示した。
入植地についても、具体的にまとまったのはイスラエル政府が違法とする入
植施設の撤去を約束したことだけで、既存の入植地・検問所については追認
する考えを示すなど、イスラエルに有利な現状を追認するに留まった。

『東京新聞』『中日新聞』は、これを「イスラエルの『独り勝ち』」と評し
た]。パレスチナではブッシュに抗議するデモが行われ[40]、イスラエルで
の世論調査では、和平の進展に懐疑的な意見が多数を占めた[41]。 並行し
て、ハマース側はイスラエルをロケット弾で攻撃し、イスラエルは報復にガ
ザ地区を攻撃。1月15日にはガザ市街に侵攻し、民間人5人を含む17人を殺害
した。ハマース側は、イスラエルの集団農場(キブツ)で作業していたエク
アドル人ボランティア1人を殺害した。1月18日には、イスラエルの空襲でガ
ザにある内務省ビルが破壊された。1月の間に、パレスチナ側からは少なく
とも96人の犠牲者が出た。イスラエルのバラク国防相はロケット弾攻撃の報
復にガザ地区の完全封鎖を指示し、国連の援助車両も閉め出した。燃料の供
給が止まったため、ガザ地区唯一の発電所は操業不能となり、ガザの電気の1
/3(イスラエル側の主張によれば、1/4)が供給できなくなった。また、食料
などの生活必需品も、イスラエルの兵糧攻めにより深刻な状況となっている
という[42]。17日には、国連の潘基文事務総長が「パレスチナ人による襲撃
の即時停止、ならびイスラエル軍の最大限の自制を求め」る声明を出したが
[43]、イスラエルとハマースはこれを無視した。 2008年2月28日、来日中の
オルメルト首相は、コンドリーザ・ライス米国国務長官と会談し、同日帰国
した。オルメルトは、攻撃の自重を求めるライスに対し、「脅威が去るまで
は(攻撃を)続ける」とこれを拒否した。また、2月29日、イスラエルのマ
タン・ヴィルナイ国防副大臣は、「カッサムロケット弾がさらに撃ち込まれ、
遠くまで着弾するようになれば、パレスチナ人はわが身のうえに大規模な
השואה(shoah、ショアー、ナチスによるユダヤ人大虐殺を意味する)を引きよ
せることになるだろう。というのは我々は防衛のために全力を使うからだ。」
と述べ、ハマースが攻撃を止めないならば、パレスチナ人を大虐殺すると脅
した。この発言にイタン・ギンツブルグ国防副大臣などは、「ショアーは災
害を表す普通名詞で、ジェノサイド(大量虐殺)を意味しない」 と火消しした。
ハマースは、この発言に「(やはりイスラエルは)新しいナチス」であった
と反発した。 けでパレスチナ側に61人の犠牲者が出た。イスラエル軍は、
これを「暖冬作戦」と称している。イスラエル軍が、ハマースのロケット弾
攻撃による死者が出たことを理由に攻撃を激化させた2月27日以降、ガザ地区
からひとまず撤退した3月3日までの6日間に、パレスチナ側は116人(約半数
は非戦闘員)、イスラエル側は3人(1人は非戦闘員)殺害されている。3月2
日、国連の潘基文事務総長は、イスラエルに作戦中止を要請し、またハマー
スのロケット弾攻撃を「テロ行為」と批判した。しかし、イスラエルのオル
メルト首相は「テロとの戦いをやめるつもりはない」と作戦継続を宣言し、
これを拒否した。同日、パレスチナ自治政府のアッバース大統領は、ガザ侵
攻を止めるまで和平交渉の中断を発表した。

3月3日、イスラエル軍はガザ地区から撤退し、ハマースは勝利宣言を出した。
しかし、オルメルト首相は「寛大な措置を施す時期ではない。(パレスチナ
への)応戦を続けるが、応戦は具体的な作戦や日時に限ったものではない」
と再侵攻の意志を示し、さらにあるイスラエル政府高官は、3月4日と5日に
アメリカのコントリーザ・ライス国務長官がイスラエルとパレスチナを訪問
する予定に触れ、「(ライス)長官の訪問に合わせ、二日間の中休みを取っ
ただけ」と言った。

3月4日夜、イスラエル軍は戦車で再侵攻を行い、武装勢力幹部宅を襲撃し、
幹部を殺害。ライス米国務長官は、アッバース大統領に対し、ガザ侵攻中止
は和平交渉再開の条件にはならないとの見解を示し、またイスラエルのガザ
侵攻については、「自衛の権利があることを理解する」とこれを容認した。
アッバースは、和平交渉の再開は認めたが、双方の見解の相違もあり、具体
的な日程の見通しは立っていない。イスラエルは、「暖冬作戦」の第2弾と
して、都市に隠された武器捜索を予定しているという。 3月6日、イスラエ
ルの神学校にパレスチナ人の男が乱入、生徒ら8人を射殺し、男はイスラエ
ル治安当局に射殺された。神学校は、ユダヤ人入植者の思想的拠点だった。
アッバース大統領、ブッシュ大統領、潘国連事務総長らは相次いでテロ非難
声明を出した。また、ブッシュ大統領は、オルメルト首相に電話で弔意を伝
えると共に、「アメリカはイスラエルを強く支持する」と述べた。一方、ハ
マースは「(パレスチナ人)虐殺に対する自然な反応だ」と、犯行を支持す
る声明を出した。アメリカは、国連安保理でテロ事件として非難声明の採択
を要求したが、リビアがイスラエルによるパレスチナ攻撃も非難すべきと主
張し、採択は見送られた。犯行そのものについては、ハマースが認めたとい
う報道[46] と、ヒズボラ関係者とする報道[47] があり、情報は錯綜してい
る。 3月10日、エジプトの仲介で、イスラエルとハマースは当面の攻撃自制
に同意した。しかし、オルメルト首相は「軍はガザで必要なだけ行動する」
と述べており、また停戦の条件として、ハマースはイスラエルのガザ封鎖解
除を、イスラエルはハマースの武器密輸停止を要求している。

3月12日、イスラエルはベツレヘムなどでイスラム原理主義組織イスラム聖
戦の幹部ら5人を暗殺し、イスラム聖戦はガザ地区からロケット弾で報復攻
撃した。イスラエルはガザ地区を空襲し、イスラム聖戦の戦闘員4人を殺害
した。一方、パレスチナ自治区内のイスラエル入植地については、3月9日に
は、イスラエルは「9年前に決定していた」ことを理由に、ギバットゼーブ
入植地の拡大を決定した。日本や国連などは、入植地拡大に懸念を表明した。

3月31日にも、「拡大凍結の対象外」と主張し、東エルサレム郊外の入植地
増設を発表した。ライス米国務長官は、「入植を止めるべきだ」と批判した。
一方、イスラエルが設けている400以上の検問所・道路封鎖について、約50
箇所で撤去を発表した。 4月に入ってもガザ地区での攻撃は続いており、
4月中だけでパレスチナ側は46人以上、イスラエル側は10人の犠牲者が出て
いる。この他、4月16日には、ロイター通信のファデル・シャナが、イスラ
エル軍の砲撃で殺されている。また、イスラエルは国連人権委員会によって
調査のためにイスラエル入りする予定であったリチャード・フォークの入国
を、「イスラエルの行いをナチスと比べるなど、調査官として不公平」とい
う理由で拒否した。

6月19日、エジプトの仲介でハマースとイスラエルは6ヶ月の停戦に踏み切っ
た。断続的に衝突は続くもののまだ平和であった。しかし、11月4日、イス
ラエルはエジプトとの地下通路が掘られているという理由で空襲した。その
結果、ハマースは停戦中として攻撃を手控えたが、イスラーム聖戦などが報
復としてロケット弾を発射し、緊張が高まった。イスラエル系の諜報テロ情
報センターは、ハマースは注意深く停戦を守り、一方で他の無法組織(イス
ラム聖戦などのこと)との衝突は避け、停戦を維持させるための政治面から
の説得を試みていると分析している。

2008 - 2009:ガザ紛争
12月に入り、再度エジプトの仲介のもとで停戦延長をイスラエルは試みたが
ハマースが「イスラエルがガザの封鎖解除に応じなかった」と主張し、延長
を拒否したため12月19日失効した。イスラエル側は、当初の合意事項であっ
た「ガザに対する封鎖の段階的解除」は実質行われており、武器兵器などは
勿論論外であるが人道物資などを初めとする様々な流通があったとしている。
しかし、赤十字社は11月4日以降、封鎖は再び厳しくなり ガザの状況を「破
滅的」と報告した。国連調査官のリチャード・フォークは12月9日、イスラエ
ルが流入を認める物資は「飢餓と病を避けるにはギリギリ」であり、イスラ
エルによる「パレスチナ人への集団的懲罰は人道に対する罪」であるとの見
解を示した。また、ガザ地区からの輸出は、2月以来完全に禁止されたまま
である。ヨルダン川西岸地区では、12月12日、イスラエルは主要入植地4箇
所を含む西岸の6.8%を自国領として併合し、難民の帰国を5000人にとどめる
提案を行った。イスラエルは当初の要求であった7.3%から譲歩したが、いず
れにせよパレスチナ国家樹立に欠かせない土地であるとして、自治政府は要
求を拒否した。 停戦の期限が切れる前から、ハマースはロケット弾や迫撃
砲などで攻撃を再開。このハマースの度重なるロケット砲によってイスラエ
ル人、一人が死亡した。また、再三のイスラエル側からの警告があったにも
かかわらず無差別のロケット砲攻撃をハマースはやめなかった。12月21日、
イスラエル軍はガザ地区をヘリコプターで攻撃した。さらに12月27日(現地
時間午前11:30、UTC午前9:30[52])、本格的にガザ地区を空襲し、同日だけ
で200人以上が犠牲者となった。イスラエル軍は、「ハマースのテロ作戦従
事者」および訓練キャンプと武器庫を標的としたと声明を出した。なおイス
ラエルは武器輸入を止めないハマースを6ヶ月前、即ち停戦期間中からその
拠点を調べ、今後起こりうるであろう軍事作戦の計画をしていた。両者の
交渉を仲介したジミー・カーターによると、イスラエルは非公式に、48時間
ロケット弾を発射しないのならば、通常の15%の物資供給は可能だとの見解
を示したが、ハマースは拒否し、その結果イスラエルの報復攻撃が始まった
という。

2009年1月17日までの22日間で、地上戦も含めパレスチナ側で殺害された人
数は少なくとも1300人(AFP通信、パレスチナ自治政府保健省)を数え、第
三次中東戦争以来最悪の数である。イスラエル側の殺害された人数は13人(
イスラエル政府筋、ただし味方の誤射で死亡した4人を含む。3人は民間人。
ハマース側は、地上戦で10人を殺害したと主張)パレスチナ側死者のうち、
イスラエル側主張[55] によれば、ハマースの戦闘員500人を殺害、130人を
拘束[注 5] した。ハマースのアブジャアファル(仮名)小隊司令官は、殺
害されたのは48人と主張した。家屋全壊は4100棟、損壊は17000棟。地上戦
突入後は救急車が現場に向かえず、死者の実数は把握し切れていないという。

国際連合も、攻撃に巻き込まれた。国際連合パレスチナ難民救済事業機関(
UNRWA)によると、イスラエル軍のガザ侵攻で、約15,000人の住民が自宅を
失うなど難民化し、国連が設けた23箇所の避難所に収容中と発表した。避難
所のうち、国連が運営する学校はイスラエル軍の砲撃で、少なくとも48人が
殺害された[注 6]。イスラエル側は、死者に数人のハマース戦闘員が含まれ
ていると発表したが、UNRWAガザ事務所のジョン・ギング所長は「学校に戦
闘員などいなかったし、校内からの攻撃もなかった」と反論した。またイス
ラエルは誤爆したことを認めたとジョン・ギング所長は語っているが、イス
ラエル軍は、誤爆を認めておらず、学校に導火線が張り巡らされているのを
軍用犬が見つけ、ハマースの攻撃があったと兵士が証言している。

1月8日には、UNRWAの輸送トラックがイスラエル軍に砲撃され、1人が殺害さ
れたた。UNRWAは、イスラエル軍が職員の安全を保証するまで活動を停止す
ると発表[56] したが、1月9日にイスラエル政府から安全確保の保証が得ら
れたとして活動を再開した。1月14日、UNRWA本部が空襲を受け、支援物資の
食糧・医薬品などが焼き払われた[57]。また、3人が負傷した。 1月9日、国
際連合人道問題調整事務所(OCHA)は、パレスチナ自治区ガザ地区のガザ市
近郊のザイトゥン地区で5日、イスラエル軍が約110人のパレスチナ人市民を
1軒の住宅に集めた上でそこに戦車で複数回砲撃を行い、子供を含む約30人が
死亡したと発表した。 イスラエルのニシム・ベンシトリット駐日大使は、 
2008年12月28日、「われわれは国民を守るために、ハマースの施設への攻撃
実施を決めた。(ハマースが)何らかの対応をとった場合は、われわれも考え
直すだろう。しかし、彼らが攻撃を続けるなら、われわれも攻撃を続ける」
と主張した。

コメント:これはもう宗教代理戦争様態の弱小国の惨殺戦争のように見える。

                            この項つづく


風蕭々と碧い時












John Lennon 


         

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三都物語

2023年10月24日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝
えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の
軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ。

【今夜最新作:村上春樹】

 Part 1 Chapter 11

  電車に乗ってきみの住む街に、きみに会いに行く。五月の日曜日の朝、
 空はまっさらに晴れ上がり、ひとつだけ浮かんだ白い雲は、滑らかな魚
 の形をしている。
  書館に行くと言って家を出た。でもぼくはきみに会いに行く。ナイロ
 ンのナップザックの中には昼食用のサンドイッチ(母が作ってくれた。
 しっかりラップに包まれている)と勉強の道具が入っているが、勉強を
 するつもりはない。大学の入学試験まであとフ年も残されていない。し
 かしそのことはできるだけ考えないようにしている。
  日曜日の朝の電車は乗客がまばらだ。座席にゆったり腰掛け、「永続
 的な」という言葉について考えを巡らせる。しかし高校三年生になった
 ばかりの十七歳の少年にとって、永続的なものごとについて考えを巡ら
 せるのは簡単なことではない。披に想像できる永続性の幅はかなり狭い
 ものだから。「永続的」という言葉から思い浮かべられるのは、海に雨
 が降っている光景くらいだ。
  ぼくは海に雨が降っている光景を目にするたびに、ある種の感動に打
 たれる。それはたぶん海というものが永劫に-あるいはほとんど永劫に
 近い期間にわたって-変化することのない存在であるからだろう。海の
 水は蒸発して雲になり、雲が雨を降らせる。永遠のサイクルだ。海の水
 はそうやって次々に入れ替わっていく。しかし海という総体が変化する
 ことはない。海は常に同じ海だ。手を触れることのできる実体であると
 同時に、ひとつの純粋な絶対的な観念でもある。
  ぼくが海に降りしきる雨を眺めながら感じるのは(たぶん)そういう
 種類の厳かさだ。
  からぼくがきみとの間の心の絆をもっと強いものにしたい、もっと永
 劫的なも のにしたいと考えるとき、頭に思い浮かべるのは、雨が静か
 に降りしきる海の光景になる。ぼくときみとは浜辺に座って、そんな海
 と雨を見つめている。ぼくらはひとつの傘の中にくっつくように収まっ
 ている。きみの頭はぼくの肩にそっともたせかけられている。
  海はとても穏やかだ。風らしい風も吹いておらず、小さな波が音もな
 く規則正しく浜辺に打ち寄せている。まるで下されたシーツが風にそよ
 いでいるみたいに。ぼくらはいつまでもそこに座り込んでいることがで
 きる。しかし、そこからぼくらがどこに向かおうとしているのか、どこ
 に向かえばいいのか、そのイメージが浮かんでこない。なぜならぼくら
 はその浜辺で、傘を差して二人で並んで座っていることで、もう既に完
 結してしまっているからだ。既に完結してしまったものが、そこから腰
 を上げてどこに向かえるだろう?
  あるいはそれが永劫というもののひとつの問題点かもしれない。これ
 からどこに向かえばいいのかわからないこと。しかし永劫を求めない爰
 にどれはどの値打ちがあるだろう?
  それからぼくは永劫について考えることを諦め、きみの身体について
 考える。きみの一対の胸の膨らみのことを考え、きみのスカートの中に
 ついて考える。そこにあるもののことを想像する。
  ぼくの指はきみの白いブラウスのボタンをひとつずつ不器用に外し、
 きみのつけている(であろう)白い下着の背中のフックをやはり不器用
 に外す。ぼくの手はそろそろときみのスカートの中に伸びていく。きみ
 の柔らかな大ももの内側に手を触れ、それから……いや、ぼくとしては
 そんなことを考えたくはない。本当に考えたくないのだ。でも考えない
 わけにはいかない。それは永劫性なんかに比べて遥かに想像力を働かせ
 やすい種類のものごとだから。
  でもそんなことをあれこれ想像しているうちに、ぼくの身体の一部は
 いつしかすっかり硬くなってしまう。大理石でできたみっともない形の
 穀物みたいに。ぴったりとしたブルージーンズの中で、勃起したぼくの
 性器はひどく居心地が悪い。早く通常の状態に戻さないことには、座席
 から立ち上がることもおぼつかないだろう。
  もう一度、雨降りと海のことを頭に思い浮かべようとする。そのしん
 とした風景はぼくの健康すぎる性欲を少しは鎖めてくれるかもしれない。
  目を閉じて気持ちを集中する。でも海辺のイメージはうまく脳裏に蘇
 ってこない。ぼくの意志とぼくの性欲は、それぞれ異なった地図を手に、
 べつべつの方向に進んでいくみたいだ。

  ぼくらは地下鉄の駅近くの、小さな公園で待ち合わせている。前にも
 何度か待ち合わせたことのある場所だ。小さな子供たちのためのいくつ
 かの遊具があり、水飲み場があり、藤棚の下にベンチがある。ぼくはそ
 のベンチに座ってきみを待つ。しかし約束の時刻になってもきみは現れ
 ない。それは珍しいことだ。きみはそれまでコ院も遅刻したことがなか
 ったから。というか、きみはいつだってぼくより早く待ち合わせの場所
 に来ていた。ぼくが約束の時刻より三十分早くそこに行くと、きみは既
 にそこでぼくを待っていた。
  「いつもそんなに早く来るの?」と尋ねたことがある。
  「あなたが来るのをこうして一人で待っているのが、なにより楽しい
 の」ときみは言う。
 「待っていることが?」
 「そうよ」
 「ぼくと会うことそのものより?」
  きみはにっこり笑う。でもその質問には答えない。ただこう言うだけ
 だ。
  「だって、こうして待っているあいだは、これからなにが起こるか、
 これからなにをするか、可能性は無限に聞かれているもの。そうでしょ
 ?」
  そのとおりかもしれない。実際に会ってしまえば、そんな無限の可能
 性は避けがたく、ひとつきりの現実に置き換えられていく。きみにはそ
 れがつらいのだろう。きみの言おうとすることは、理解できる。しかし
 ぼく自身はそんな風には考えない。だって可能性はただの可能性に過ぎ
 ない。
  実際にきみの隣にいて、きみの身体の温かみを肌に感じ、手を握った
 り、物陰でこっそり口づけしたりすることの方がずっと良い。
  でも約束の時刻から三十分経過しても、まだきみは姿を見せない。ぼ
 くは腕時計の針にひっきりなしに目をやりながら、不安に襲われる。き
 みの身に何か普通ではないことが起こったのではあるまいか? 心臓が
 乾燥した不吉な音を立てる。きみは急な病に倒れたか、それとも交通事
 故に遭ったかしたのだろうか? きみが救急車で病院に運ばれていくと
 ころを想像する。救急車のサイレンに耳を澄ませる。      ,
  あるいはきみは、ぼくがその朝の電車の中できみについて性的な想像
 に耽っていたことをどのようにしてか見当はつかないがI察知し、そん
 なみっともない真似をするぼくにもう会いたくないと思ったのではない
 か? そう考えると、恥ずかしさに耳たぶが熱くなる。そういうのって
 仕方ないことなんだ、とぼくは言葉を尽くしてきみに説明し、弁明する。
 それは大きな黒い大みたいなものなんだよ。いったんある方向に動き始
 めると、もう手の施しようがないんだ。どれだけ強くロープを引っ張っ
 ても----

  約束の時刻より四十分遅れてきみは姿を見せる。そして何も言わずに、
 ベンチのぼくの隣に腰を下ろす。遅れてごめんねとか、そんなことも一
 切口にしない。ぼくも何も言わない。ぼくらは口を閉ざしたままそこに
 並んで座っている。小さな女の子が二人、ブランコに乗っている。どち
 らが大きくブランコを漕げるか競っている。きみの息遣いはまだ荒く、
 額にうっすらと汗も浮かんでいる。たぶんここまで走ってきたのだろう。
 呼吸をするたびに、胸が盛り上がったり引っ込んだりする。
  きみは丸襟の白いブラウスを着ている。ぼくが電車の中で思い浮かべ
 たのとほぼ同じ、飾りのないシンプルなブラウスだ。そこにはぼくがさ
 っき(想像の中で)外したのと同じような小さなボタンがついている。
 そして紺色のスカートをはいている。ぼくが先ほど思い浮かべたものと
 は、色の濃さこそ少しばかり違うものの、おおよそ同じ見かけの紺のス
 カートだ。きみがぼくの想像したのと-妄想したという方が近いだろう
 か---ほとんど同じ服装をしていることにぼくは驚き、言葉を失ってし
 まう。そして同時にやましさのようなものを感じずにはいられない。で
 もそれ以上のことを思い浮かべないようにぼくは努力する。いずれにせ
 よ、簡素な白いブラウスと無地の紺色のスカートという身なりのきみは、
 日曜日の公園のベンチでまぶしく美しく見える。

                           この項つづく



   


再エネ革命渦論 183 アフターコロナ時代 184
技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中 ㊿+⑭

緑色蛍光蛋白質から赤色蛍光蛋白質を創出 10月19日、大阪大学と京都大学
は,緑色蛍光蛋白質(GFP)を改変して赤色蛍光蛋白質(RFP)を人工的に創
り出すことに世界で初めて成功。蛋白質 は、現代の生物・医学研究で欠く
ことのできないツールですが、組織や臓器といった厚い試料や長時間の観察
に必要な赤色の蛍光蛋白質は、天然RFP から作った明るさが不十分なものし
かなかったが今回、研究グループはアザミサンゴ※1 の GFP(AG) に着目し
、赤い光( 6 00 nm 以上)を発する蛍光蛋白質では最大 級 の量子効率を
持つ RFP につくりかえることに成功しました。また、立体構造も明らかに
し、赤色蛍光発色団形成に重要なアミノ酸 とその立体 配置を明らかにした。こ
れにより生体深部のイメージング に適した高性能 RFP の開発が期待される。


【展望】
不可能と思われていた緑色の蛍光蛋白質を赤色に変えることが可能であるこ
とを実証しました。今回作成したAR1.0 は、明るい蛍光を発するGFP 並みの
量子効率をもちますが励起光の吸収効率が悪いため、厚い試料の観察にはま
だ明るさが十分とはいえません。一方で、今回の研究により赤色発色団を形
成するために重要なアミノ酸や発色団周囲の環境が明らかにした。本研究は
、天然に広範に存在するGFP からのRFP の創成に道を開くもので、停滞して
いた明るく高性能なRFP の開発を一気に加速させる成果。このようなRFP を
用いれば、現在は難しい組織や臓器内といった生体深部のイメージングが生
きたままで可能になり、医学・生物学研究の進展に大きく寄与する。
【掲載論文】
タイトル:“Red fluorescent proteins engineered from green fluorescent proteins”
DOI:https://doi.org/10.1073/pnas.2307687120
掲載誌;Proceedings of the National Academy of Sciences

世界は非戦を! 世界に平和を!
自在行動概論 ④
パレスチナ問題とその歴史
「環境リスク本位制時代」を公言している私(たち)には、「パレスチナ問
題」は、「人類消滅」を加速させる「世界大戦」の説明要因の1つであるこ
とを踏まえ、その歴史をお温習いしておこう。
via jp.Wikipedia

 1967 - 1993:第一次インティファーダ
イスラエルは東エルサレム、ガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸、ゴラ
ン高原を占領し、国際連合安全保障理事会は停戦決議を可決した。11月に国
連安保理でイスラエルの承認、イスラエルの占領地からの撤退、中東地域の
航海自由の保障、避難民問題の解決などを決議した(国際連合安全保障理事
会決議242(英語版))。しかし、イスラエルの占領地については、英文版と
仏文版で解釈が異なり、英文版では、必ずしもすべての占領地から撤退する
必要はないと解釈できる余地があった。いずれにせよ、イスラエル、PLO及び
アラブ諸国の双方共に、この時点では安保理決議242号に従わなかった。 占
領地では再び軍政が敷かれ(イスラエル国防軍軍律)、基本的にパレスチナ
人など非ユダヤ人住民が軍律に拘束された。イスラエル軍は、一旦は占領地
で被占領民の保護を定めた1949年のジュネーヴ第4条約に従うことを宣言した。
しかし、10月22日付の命令144で、(ヨルダン川)西岸地区、ガザ地区、ゴ
ラン高原では、IDFはジュネーヴ第4条約に制約されないと布告した。これら
の土地は、ジュネーヴ第4条約に規定された占領地には当たらないという、
イスラエル側の主張に基づく。

1973年10月にエジプトとシリアがイスラエルを奇襲し、第四次中東戦争(ヨ
ム・キプール戦争、ラマダーン戦争)が勃発した。石油輸出国機構10カ国は
イスラエルを占領地から撤退させるまで石油生産の5%以上を毎月削減すると
の決議を可決し、オイルショックが起こった。国際連合安全保障理事会は停
戦決議を可決した。 1974年10月、PLOが国連でオブザーバーの地位を獲得し
た。 アメリカによる和平交渉により1978年9月にキャンプ・デービッド合意
が成立し、1979年3月にエジプト・イスラエル平和条約が調印された。これ
によりシナイ半島がエジプトに返還され、「土地と平和の交換(英語版)」
と称された。PLOやアラブ諸国は、合意をエジプトの「裏切り」と強く反発し、
エジプトはアラブ連盟を追放された(1990年復帰)。

1980年3月1日、国連安保理で、イスラエルが1967年以降、アラブ側の領土を
占領し、またユダヤ人入植地を建設した行動を全て無効とし、速やかな撤退
の要求の国際連合安全保障理事会決議465(英語版)を採択した[26]。この時
はアメリカも賛成に回ったが(棄権するつもりだったが間違えたと声明)、
イスラエルはこの決議を無視した。また、7月にイスラエルは「統一エルサレ
ムはイスラエルの不可分かつ永遠の首都である」とするエルサレム基本法を
制定し、東エルサレムの恒久的併合を宣言した。 1981年、アメリカのロナル
ド・レーガン大統領は、ユダヤ系ロビーやイスラエルの反対を押し切って、
サウジアラビアに武器を輸出した。1978年4月にシナイ半島がエジプトに返還
された。6月にイスラエルがレバノンに侵攻しレバノン戦争が起こった。PLO
はベイルートから撤退した。9月にアメリカが中東和平案を提示し、アラブ首
脳会議でフェズ憲章が採択された。 1987年にイスラエル占領地でパレスチナ
人の抵抗運動である(第一次インティファーダ)が発生した。12月14日、反
イスラエル・反PLOを主張する、抵抗運動組織ハマースが発足した。 1988年
7月31日にはヨルダンがイスラエル占領下のヨルダン川西岸地区への領有権
主張を取り下げ、PLOが唯一正統なパレスチナ人の代表であると宣言する。
同年11月15日、第19回パレスチナ民族評議会(PNC)でパレスチナの独立宣
言を行なった。
前日の11月14日には、安保理決議242号、338号に基づく政治解決を求める決
議を採択した。これにより、パレスチナの主流派は安保理決議242号を承認し、
イスラエルの承認を前提として(二国家解決)、同決議に基づく国境線によ
るパレスチナの領有権を求める路線が確立した[。
1990年、湾岸戦争でイラクがクウェートに侵攻した。イラクのサッダーム・フ
セイン大統領は、イスラエルのパレスチナ占領を引き合いに出し、クウェー
ト占領を正当化しようとした。かねてからフセインと親交のあったPLOのヤ
ーセル・アラファート議長(パレスチナの大統領)はイラクを支持したため
クウェートを含むアラブ諸国の反発を買い、援助も削減あるいは打ち切られ
苦境に陥った。

1993 - 2000:オスロ和平プロセス
1991年10月、マドリードで中東和平会議開催。しかし、PLO指導部はイスラエ
ルの反対で排除され、パレスチナはPLO色の薄い人物を、ヨルダンとの合同代
表団という形で参加させたに留まった。
1993年9月13日調印、イスラエルとPLO、パレスチナ人の暫定自治の原則宣言
にワシントンD.C.で調印(写真参照)(オスロ合意)成立。
その結果、1994年5月よりガザ・エリコ先行自治が開始され、自治政府も組織
されはじめた。PLOのアラファート議長とイスラエルのイツハク・ラビン首相、
シモン・ペレス外相がノーベル平和賞を受賞した。 1995年9月24日、ワシン
トンで「暫定自治拡大合意(英語版)」(オスロ合意Ⅱ)がPLOとイスラエル
の間で調印された。ヨルダン川西岸は、パレスチナ自治政府が治安・行政の
双方を担当する「A地区(日本外務省の呼称は「A地域」、以下同)」、パレス
チナが行政、イスラエル軍が治安を担当する「B地区」、イスラエル軍が治安
・行政共に担当する「C地区」に分割された。「C地区」は、将来の交渉で順
次、パレスチナへの移管が行われる計画だった。

1996年1月にパレスチナ評議会の選挙が行われた。その矢先の1995年11月4日
に和平に尽力したイスラエルのラビン首相はテルアビブにおいてカハネ主義
者のイガール・アミルに射殺された。イスラエルでは原則として労働党が「
和平推進」(エルサレムとヨルダン川西岸の戦略的に重要な土地を併合)、リ
クードが「和平反対」(パレスチナ全土を併合)とみなされてはいる。しかし
イスラエルがシナイ半島からの撤退に基づく対エジプト和平を推進したのは
右派政党のリクードのメナヘム・ベギン政権であった。また、パレスチナ暫
定合意や対ヨルダン和平を推進したのは左派政党の労働党のラビン政権では
あるが、ラビンは政界で活動する以前はイスラエル軍の参謀総長として第三
次中東戦争を指導していた。 1996年、イスラエルに対する、アラブ・イスラ
ム原理主義者(ハマース、イスラーム聖戦、ヒズボラ)によるテロが激化。

1997年1月17日、ヘブロン・プロトコル、自治拡大。
1998年10月23日、ワイリバー覚書、自治拡大。
2000年7月には、キャンプ・デービッド2000年サミット(英語版) 首脳会談
後のアラファート議長が、イスラエル側の「西岸地区の91%の支配権を認め
る、ただしこれとは別に西岸地区の1割の面積を当分の間(6〜21年)イスラ
エル側の支配下に置く」とする和平案を拒否した。イスラエルのエフード・
バラック首相は「寛大な申し出を拒否した」と非難した。
パレスチナ側が拒否をした理由として、一つは単純に準備不足があった。ア
ラファートはアラブ諸国と協議の後に結論を出そうとしたが、イスラエルと
アメリカは本会談で結果を出そうと結論を急がせていた。もう一つは、パレ
スチナ側は、安保理決議242及び338の受諾自体を譲歩と認識していた。しか
しイスラエルは、安保理決議242に基づく領土の「譲渡」を完全に行う必要は
なく、オスロ合意でパレスチナ側も受け入れたと認識した、認識のズレがあ
った。その結果、東エルサレムの帰属やパレスチナ難民帰還問題など、各論
で折り合うことができなかった。また、航空交通管制や水利権において、イ
スラエル側が現状維持を主張したことも対立点となった。
:インティファーダとは、アラビア語の動詞اِنْتَفَضَの動名詞に関連する名
詞で、「揺れ、震え;覚醒、目覚め;蜂起、反乱」の意。現代では主に民衆
蜂起の意味で用いられている。英字表記はIntifada, Intefadah, Intifadahなど

2000 - 2005:第二次インティファーダ
「ガザ地区等撤退」および「ヨルダン川西岸地区の分離壁」も参照
2000年9月30日、アル・アクサ・インティファーダ(第二次インティファーダ
)発生によりPLOとの和平交渉が決裂した。 双方の市民には平和運動や交流
活動、イスラエルでの徴兵拒否や予備役兵の赴任拒否などの運動がある。パ
レスチナ自治政府は和平を進めることを公式方針としているが、武力の弱さ
をおぎなうためとしてテロ戦略を採用する武装組織も存在し、若者や女性を
頻繁に自爆テロ攻撃に使っている。 一方で、イスラエル政府も占領中のヨル
ダン川西岸地区に入植者を送り込み、一般市民を不法な領土拡張政策に利用
している。イスラエル人の入植者達がパレスチナ人住民のオリーブ畑に放火
した後、畑を耕して自分たちの土地として既成事実化している。またパレス
チナ人住民はイスラエル軍も放火に加担していると証言している。

2000年9月30日、アル・アクサ・インティファーダ(第二次インティファーダ
)発生によりPLOとの和平交渉が決裂した。 双方の市民には平和運動や交流
活動、イスラエルでの徴兵拒否や予備役兵の赴任拒否などの運動がある。パ
レスチナ自治政府は和平を進めることを公式方針としているが、武力の弱さ
をおぎなうためとしてテロ戦略を採用する武装組織も存在し、若者や女性を
頻繁に自爆テロ攻撃に使っている。 一方で、イスラエル政府も占領中のヨル
ダン川西岸地区に入植者を送り込み、一般市民を不法な領土拡張政策に利用
している。イスラエル人の入植者達がパレスチナ人住民のオリーブ畑に放火
した後、畑を耕して自分たちの土地として既成事実化している。またパレス
チナ人住民はイスラエル軍も放火に加担していると証言している。

最近ではパレスチナ人の自爆テロは、イスラエル側が建設した分離壁(下記
参照)によって困難になっており、パレスチナの各武装組織はカッサームロ
ケットによる砲撃に重点を移しつつある。その結果、イスラエルの民間人に
多数の犠牲者がでている。これに対しイスラエル側は攻撃ヘリコプターによ
る爆撃、ブルドーザーによる住居破壊(イスラエル軍のブルドーザーは、米
国キャタピラー社の特注品である)、戦車による砲撃などでパレスチナに反
撃している。 また、2002年4月にイスラエル軍のジェニーン地区侵攻でパレ
スチナ人の虐殺が行われたとパレスチナが主張したが、イスラエルはそれを
否定し、国連の査察受け入れを拒否して国連査察団が現地に入ることなく解
体してしまうなど、イスラエルは国連や第3国からの介入を基本的に拒否して
いる。
2002年2月にサウジアラビアのアブドゥッラー皇太子がイスラエルが全占領地
から撤退すれば、国家として承認するという中東和平の提案をした。
3月27日には、アラブ連盟で「アラブ和平イニシアティブ(アラブ和平構想)
」の採択が行われ、満場一致で可決された。主な内容は以下である。

1.イスラエルは、1967年6月4日以降の占領地から撤退する(国連安保理決議2
 42に基づく要求)
2.イスラエルは、国連総会決議194に基づく、パレスチナ難民問題の解決を行う
3.イスラエルは、1967年6月4日以降の、パレスチナ自治政府領に相当する占
 領地をパレスチナに返還し、東エルサレムをパレスチナの首都と認める
4.以上の代償として、アラブ諸国はイスラエルとの和平協定に署名し、地域
 の全ての国の平和を達成する
5.同時に、アラブ諸国はイスラエルとの国交正常化に踏み切る

同年6月、アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領がパレスチナ暫定国家建
設を支持し、イスラエルが入植活動を停止し、パレスチナがテロ組織を解体
するという 中東和平構想を発表した。 2003年4月、アメリカ、EU、ロシア
国連の4者により中東和平案のロードマップがイスラエルとパレスチナ自治政
府に提示された。10月に国連総会で分離壁の建設中止についての決議が採択
された。

2005 - 2008:アッバース時代のはじまり
アラファート議長の死後、2005年1月の自治政府議長選ではマフムード・アッ
バースが当選した。しかし、選挙中に武装部門のファタハに担ぎ上げられた
り、その一方で武装闘争は誤りであったと述べるなどという言動もあったの
で過激派への対策がどのようになるかは不透明である。 2005年4月には、ア
メリカのブッシュ大統領がイスラエルのアリエル・シャロン首相との会談で
2005年8月を目処にイスラエル側がガザ地区の入植地からの撤退を予定する一
方でエルサレムに隣接しているヨルダン川西岸地区最大のマーレ・アドミム
地区への入植地拡大を計画していることに対し、「中東和平の行程表(ロー
ドマップ)に反する」として、強い懸念を示した。シャロンと「約束の地」
への思い入れが強い宗教右派の間には対立が存在し、更には入植者が強い抵
抗を示す中で、治安部隊によるガザからの退去作業が8月17日より開始され
ガザの入植地は解体された。しかし、ヨルダン川西岸地区の入植地は明け渡
さず、逆に新たな入植地の拡大を進めている。

さらに、2005年7月7日に起こったロンドン同時爆破事件では56名が犠牲とな
った。 アラファート議長の死後、2005年1月の自治政府議長選ではマフムー
ド・アッバースが当選した。しかし、選挙中に武装部門のファタハに担ぎ上
げられたり、その一方で武装闘争は誤りであったと述べるなどという言動も
あったので過激派への対策がどのようになるかは不透明である。 2005年4月
には、アメリカのブッシュ大統領がイスラエルのアリエル・シャロン首相と
の会談で、2005年8月を目処にイスラエル側がガザ地区の入植地からの撤退
を予定する一方でエルサレムに隣接しているヨルダン川西岸地区最大のマー
レ・アドミム地区への入植地拡大を計画していることに対し、「中東和平の
行程表(ロードマップ)に反する」として、強い懸念を示した。シャロンと
「約束の地」への思い入れが強い宗教右派の間には対立が存在し、更には入
植者が強い抵抗を示す中で、治安部隊によるガザからの退去作業が8月17日
より開始され、ガザの入植地は解体された。しかし、ヨルダン川西岸地区の
入植地は明け渡さず、逆に新たな入植地の拡大を進めている。 2006年1月25
日投開票のパレスチナ総選挙で、ハマースが第一党になった。 同年3月29日、
アッバース議長の元でハマースのイスマーイール・ハニーヤ内閣が成立した。
ハマースをテロ組織と指定するEU、アメリカ、日本などは援助を差し止め、
ファタハとハマースの武装衝突が激化するなど、パレスチナの混迷が続いて
いる。 6月27日、アッバース議長とハマースのハニーヤ首相が1967年の国連
停戦決議に基づく国境線の合意(事実上のイスラエル承認)で合意した。し
かし、イスラエルはパレスチナ人に対する予防拘禁の強化を図る一方、兵士
の拉致を理由に逆にガザ侵攻を拡大。ヨルダン川西岸地区では閣僚を含む立
法評議員(国会議員に相当)、地方首長を約80人を拉致し、評議会を機能停
止に追い込んだ。カタールは国連安保理にイスラエルのガザ撤退および閣僚
等の解放を求める決議案を提出した。しかし、7月13日、アメリカの拒否権で
否決されている。また、同月12日から13日にかけて、日本の小泉純一郎首相
はイスラエル、パレスチナを訪問し、イスラエルのエフード・オルメルト首
相、パレスチナのアッバース議長と会談。しかしハニーヤ首相と会おうとは
しなかった。小泉首相はヨルダンを含めた4ヶ国協議を提案し、それぞれの賛
同を得た。しかし、イスラエルにガザ侵攻への自制を求めた件については「
イスラエルの立場は明確だ」と退けられている。また、ハマース政権成立後
では初めて、パレスチナに対する約3,000万ドルの人道支援を発表した。ただ
し、直接援助はイスラエルの反発に配慮し行わず、国際連合世界食糧計画な
どを介した形となる。

                            この項つづく

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【自爆テロの歴史】
自爆テロ(じばくテロ、英: suicide terrorism kamikaze)とは、犯人自身も死
亡する事を前提としたテロリズムであり、自分が死に、また仲間も巻き添え
にすることを承知の上で殺人・破壊活動などを行う。攻撃の内容がテロリズ
ムに当たるのかどうかを特に問わない場合はsuicide attack “自殺攻撃”と呼
ばれている。 ここでは爆弾を用いたものに限らず、犯人自身が必然的に死ぬ
ことを承知の上で行う攻撃やテロリズム全般を扱う。
【概要】
一般に、「自爆テロ」と日本語に訳されているのは、英語で「suicide terrorism
もしくは世界共通語「kamikaze カミカゼ」と呼ばれているものである
通常、人というのは、自身の身を守るもので、テロリズムを行う犯人も、計
画を立てる時、何かを攻撃するにしても自分は(自分だけでも)生き残ろう
とするが、自爆テロというのは、そうした常識に逆らうもの、常識を超えた
ものである。 世のさまざまな警備策(セキュリティ)というのは一般に人は
自分の身を守るものだという前提の上に組み立てられていることが多い。た
とえば、逃げ道がない場所では犯行はしづらいだろう、とか、人が何らかの
物を床に置いてそそくさとそれから遠ざかるように立ち去ったら(その段階
になって)人の命に危険を及ぼす可能性のある不審物と見なして調べたり除
去する、とか、もしも怪しげな人物がいたら心理的に威嚇すれば遠ざけるこ
とができる(はずだ)、といったような警備上の常識的な判断の中にも、“
犯人も(通常の人のように)自身を守ろうとするものだ”という前提が暗黙
に置かれている。 通常、誰かが爆弾を爆発させて誰かを攻撃する計画を
立てる場合でも、通常は当然のように「起爆させる犯人自身が生き残って逃
走する」こと大前提に置いた上で考えるもので、その結果、タイマーを作動
させて爆弾の遠くに離れるか、あるいは遠隔操作で起爆させるか、ドローン
などで目標まで爆弾を運ばせてから爆発させる必要がある、と考えることに
なる。ところが、犯人や仲間が死ぬことを承知の上で行動するとなると、そ
うしたタイマーや遠隔起爆装置やロケットの類は必要ない、ということにな
り、犯人は単純に犯行の場で自身の手で爆弾を起爆させればいい、というこ
とになる。すると、通常のセキュリティ(防御、警備)の常識・前提が覆っ
てしまい、警備する側の常識的な想定を超えたものになり、警備に一種の「
盲点」や「穴」のようなものが出現することになる。対処する側は時に自身
の命をかけることになる。 自爆テロというのは、貧しくて高度な教育を受け
ていない人のグループでも実行でき、金のかかる電子装置などを用意しなく
ても確実に攻撃目標を攻撃できてしまうので『貧者のスマート爆弾』とも言
われている。もともと英語のsuicide bombing(自爆)を日本語訳した言葉だ
が、原語が軍施設や兵士に向けられた攻撃・破壊活動も含む。
suicide bombingを機械的に「自爆テロ」と訳したことによる混乱も見られる
(#用語の相違参照)。
はじめに自爆テロ戦術が多発したのは、スリランカのタミル・イーラム・解
放の虎(LTTE)であり、シンハラ族とタミル族双方の民族紛争と虐殺の中で
生み出された戦法であった。1990年代は襲撃と並んで闘争手段の一つとなり
、女性の自爆者も出ている。 中東地域では1983年4月18日のベイルートにお
けるアメリカ大使館爆破事件でイスラムシーア派組織ヒズボラが実行して以
後、イスラム過激派(当初は主にシーア派)の常套的な攻撃方法として定着
する。以降、チェチェン紛争、パレスチナの第二次インティファーダ、アメ
リカ同時多発テロ、イラク戦争を経て、イスラム過激派による自爆テロの発
生件数と犠牲者は増加の一途をたどっている。 特にイラク戦争以降、イスラ
ム教徒のあいだで火に油を注ぐように、反欧米感情が高まり、イスラム世界
を中心に世界各国に拡散する傾向にある。たとえば、今まで自爆テロのなか
ったヨーロッパでも、2004年のマドリード列車爆破テロで実行犯の一部が逮
捕のさい自爆したほか、2005年のロンドン・バス爆破テロでイスラム系住民の
若者が自爆。アフガニスタンにおいては、ソ連のアフガニスタン侵攻や軍閥
内戦時代にもほとんど見られなかった自爆テロが、近年になって首都カーブ
ルなどで頻発している。いずれもイラク戦争で伸張したアルカーイダの影響
が大きいと指摘されている。最近では、テロリストがストリートチルドレン
などの子供を騙し荷物(爆弾)を兵士に渡した所でタイマーなどで爆発させ
るといった手段を用い、さらに従順で洗脳しやすい子供や貧困層がよく狩り
出される。他にも、自爆死したテロリストの家族について、家族の自爆死の
精神的ショックを利用してマインドコントロールを行い、絶望感と攻撃対象
への憎悪を煽り、その家族をさらに自爆テロ犯に仕立て上げる様な事も行わ
れている。ただし、しばしば行われる誤解は、自爆テロが宗教的観点に基づ
くというものや、貧困層の人間や子供を使われることが多いというものだが
、実際には政治基盤が悪く官僚や党の権力が弱い、国民的な民主的国家にお
ける世論の操作に用いられるものであり、宗教よりは精神病理に関係がある
事が認められている。また、チェチェンやクルド系のテロ以外では成人男性
が多く、中産階級や大学出の人間が大半である。 イラク戦争の中で殺害され
た戦場ジャーナリスト橋田信介の妻、橋田幸子が新宮市での講演で、アラブ
人と現代の日本人の思想の違いを説明している。これによると、イスラム社
会の諺に『人の命は山よりも重く、羽根よりも軽い』という『愛する人を殺
された悲しみは山より重く、あだ討ちのための自分の命は羽根より軽い』と
いうものがあり、この思想が自爆テロを引き起こす根底として存在している
という。これは浄土宗の開祖・法然の『あだ討ちが美徳ならば憎しみの連鎖
はいつまでも続き、何も生まれないと思う』という思想と正反対のものでも
あるとしている。 近年の世界的なテロの傾向として、自爆テロ戦術はイスラ
ム過激派など「自爆して死んだとしても、異教徒を殺して死ねば殉教者とし
て天国へ行ける」という宗教的な動機が多い。1960年代から1970年代にかけ
て世界中で多発したハイジャックなどのテロは左翼過激派によるものが多く、
「生きて政権をとる」という目標があればこそ、自爆テロは最後の手段であ
り、人質をとって獄中同志の釈放や身代金支払いなどの要求を押し通す場合
においても、不特定多数を巻き添えにしながら自らの命を捨てる行為は忌む
べきものであり、なるべく避けようとする傾向があった。しかし、2019年に
コロンビアのボゴタで警察学校に爆発物を搭載した日本製の四輪駆動車が突
入し、22人が死亡(実行犯を含む)した事件では、同国の左翼ゲリラ「民族
解放軍(ELN)」が犯行声明を出した。これまで同国のテロでは、ゲリラが
重要施設や石油パイプラインを爆破し、治安機関要員を狙った即席爆発装置
による攻撃が主流であったが、ゲリラが自爆テロも辞さない方針を示したこ
とで、今後テロ対策の見直しを迫られる可能性がある。

自爆攻撃の歴史
近代:17世紀後半の清の役人郁永河の記録によると、1661年に台湾へ侵攻し
てきた鄭成功の軍隊と戦闘したオランダ兵士たちによって自爆攻撃が行われ
た。戦闘で負傷した彼らは、そのまま捕虜になることを選ばず、火薬を用い
て自軍と敵軍の両方を爆破した。しかしながら、これは実は、鄭成功によっ
て制圧された陣地を爆破し、間接的に敵軍を攻撃するためのオランダ軍の正
規作戦であって、これが包囲していた鄭成功の命を奪いかけたので、中国側
はこれを自殺攻撃と勘違いした恐れがある。 1830年、ベルギー独立革命にお
いて、オランダの中尉Jan van Speijkはベルギー人に降伏することを拒み、
アントワープの泊地で自身の船に乗り込んできた敵とともに船を爆破した。
この巻き添えで敵味方合わせて数十名が死亡した。 また、プロイセン王国の
兵士Karl Klinkeは、1864年4月18日にドゥッブル堡塁の戦いでデンマークの
要塞の堡塁を自爆攻撃で爆破し味方軍の道を開いた。 18世紀のジョン・ポー
ル・ジョーンズの記録によると、オスマン帝国軍の海兵たちは自分たちの船
に火をつけ、敵船に突っ込むという戦術をとった。彼らはこれによって自分
たちの命がなくなることを自覚した上での攻撃であった。 近代に起こった政
治手段としての自爆攻撃は、1881年のツァーリアレクサンドル2世の暗殺に
まで遡ることができる。冬宮殿近くのサンクトペテルブルクの中央通をドラ
イブしていたところ、人民の意志のメンバーであるニヒリストIgnacy Hrynie-
wiecki 
の身を挺した自爆攻撃を受けた。犯人は死亡し、アレクサンドルも手
製の手投げ弾の爆発により重傷を負い、数時間後に死亡した。 日本軍の特別
攻撃第二次世界大戦末期に日本軍がさかんに行った「特別攻撃」では、飛行機
ごと敵の艦船などに突っ込んでゆく攻撃方法を採り、英語圏ではsuicide terrori-
sm kamikaz
eと表現される。 1943年、ルドルフ=クリストフ・フォン・ゲルス
ドルフは自爆テロによってアドルフ・ヒトラーの暗殺を試みたが、爆破を完
遂することができなかった。ベルリンの戦いにおいて、ドイツ空軍はオーデ
ル川にかかるソ連の橋に対して自己犠牲任務飛行を行った。これらの任務はH
einer Lange中佐の指揮の下、レオニダス飛行中隊のパイロットによって遂行
された。1945年4月17日から20日まで、使用可能なあらゆる航空機を用いて、
ドイツ空軍は、その航空団により17の橋を破壊したと宣言した、
しかしながら、その事件について本を記した軍事史家のAntony Beevorは、
の報告は誇張されており、確実に破壊できたのはキュストリンの鉄道橋だけ
だったであろうと考えている。彼は、"35名のパイロットとその乗っていた
航空機が犠牲になったが、限定的で一時的な戦果しか揚がらなかったことを
考えると、対価は非常に高く付いた"とコメントした。この任務はソ連の地
上部隊がユータボークの空軍基地近くに到達したとき中止となった。 第二
次世界大戦に続いて、ベトミンの"死の志願兵"たち (death volunteers) はフラ
ンス植民地軍と戦闘した際、刺突爆雷でフランス軍の戦車を攻撃した。

現代:一部で、1972年の日本赤軍前身メンバーによるテルアビブ空港乱射事
件がその後のアラブ人による自爆テロの契機とする説が唱えられることがあ
るが、この事件では銃乱射後に制圧される過程で犯人三人中二人が手榴弾で
自決したと伝えられているのであって(イスラエル兵による射殺であったと
も言われる)、直接的な因果関係は見出し難く通説化はしてない。 また、
イラン・イラク戦争において、イラン人少年ムハンマド・ファーミダが体に
手榴弾を巻き付け戦車の前で自死した事件を、国民的英雄としてアヤトラ・
ホメイニが称揚したことが、イスラム圏での自爆攻撃の遠因となったという
説もある。 ベイルート・アメリカ海兵隊兵舎爆破事件の結果。ビルがすっか
り吹き飛んでしまっている。 1983年にはベイルート・アメリカ海兵隊兵舎爆
破事件が起きた。これは犯人がワゴン車で水などを運搬しているかのように
装いつつ大量の爆薬を持ち込みアメリカ海兵隊兵舎を爆破し、兵舎が“吹き
飛ばされ”たように破壊されてしまった事件である。 イスラエルのガザお
よび西岸では、自爆テロは反イスラエル戦略としてイスラム教徒によって実
行されており、また時には日本赤軍と提携関係のあるPFLPなどの宗教に関係
ないパレスチナ人グループによって行われる。 イスラエルにおける第2次イ
ンティファーダでは、"Istishhadia"のための志願者が多く存在し、テロリス
トを構成していると指摘されている。この戦術は一般に受け入れられるよう
になっており、募集係および指令係はかつてないほど「候補者の巨大なプー
ル」を抱えており、インタビューを受けたファタハの人物が言うには志願者
で「溢れかえっている」。2000年10月から2006年10月の間に、167件の明らか
な自爆テロが発生しており、他の型の自爆攻撃が51件起こっている。 自爆テ
ロはイラクおよびアフガニスタンでも一般的に起こっている。自爆テロは、
チェチェン紛争における戦術として用いられるようになった。ロシアではこ
の紛争に起因する自爆テロが多発しており、2000年に一組の男女が爆弾を積
んだトラックでAlkhan Kalaのロシア軍の基地へ突入したものから始まり2002
年モスクワ劇場占拠事件から2004年ベスラン学校占拠事件にまで渡る。2010
年モスクワ地下鉄爆破テロもまたチェチェン紛争が原因で起こったと考えら
れている。 西ヨーロッパやアメリカでも自爆テロは発生している。2001年9
月11日にニューヨーク、ワシントンDCおよびシャンクスヴィルで起こ
ったア
メリカ同時多発テロ事件では3000人近くの人々が犠牲となった。




風蕭々と碧い時












John Lennon Imagine  

 

 

今夜の寸評: 優勝は?!タイガース vs バッッファローズ

 


胸さわきの旅はいま始まって
時の流れのままにこころを遊ぱせ
この私は誰を訪ねるあてもなく
まるで詩人のように景色に染って

ああなんて街それそれ美しいの
ああなんて人それそれ生きているの

昨日今日日月日変わり行く私
紅くいろづくときめきを誰に告けましょう

風そよけぱひとリ胸抱きしめて
愛の不思議を思う吐息をもらして
この涙はきっと感じるよろこぴね
揺れる瞳に映る季節に恋いして

ああなんて街それそれ美しいの
ああなんて人それぞれ生きているの

朝に舞う夢黄昏に出会い
ほんの一時のためらいを誰に言いましょう

昨日今日日月日変わり行く私
紅くいろづくときめきを誰に告げましょう

三都物語(さんとものがたり)は、1990年(平成2年)に開始された西日本旅
客鉄道(JR西日本)のキャンペーンの一つで、同社の登録商標(第2637104号
ほか)である。1989年、京都・大阪・神戸観光推進協議会が設立されて三都
物語のキャンペーンの支援が行われた。協議会は2020年時点でJR西日本と京
都市、京都市観光協会、大阪市、大阪観光局、神戸市、神戸観光局で構成さ
れ、三都物語以外に三都スペシャルキャンペーンなど三都を冠した名前を使
ってキャンペーンが行われている.「三都物語」(さんとものがたり)は、
1992年6月25日にリリースされた谷村新司の楽曲で28枚目のシングル。かつて
運転されていたトワイライトエクスプレスの大阪行きでは、車内放送にて札
幌駅発車直後には1番が、大阪駅到着直前の車内放送では2番と最後のリフレ
イン部が流されていた。 全曲 作詞:多夢星人(阿久悠)作曲:谷村新司 
編曲:佐孝康夫

         

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世界は非戦を!世界に平和を!

2023年10月23日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝
えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の
軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ。


   



再エネ革命渦論 182 アフターコロナ時代 183
技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中 ㊿+⑬


Neural inference at the frontier of energy, space, and time | Science
https://www.science.org/doi/10.1126/science.adh1174

エネルギー、空間、時間の最前線における神経推論
カリフォルニア州アルデマンにあるIBM研究所が、前身のチップと合わせると
20年かけて研究してきたという新タイプのデジタルチップ「NorthPole」の
存在が明らかになった。開発陣のダルメンドラ・モーダ氏によると、脳の計
算方法からインスピレーションを得ることで、コンピューターチップの基本
構造を改めたと。

サイクルコンピュータを模した「PiezoTap」のデモ展示
TDKは「CEATEC 2023」(2023年10月17~20日)に出展し、圧電スイッチ/セ
ンサーや自動車の利便性向上に貢献する技術、フルカラーレーザーモジュー
ル搭載のAR(拡張現実)/VR(仮想現実)グラスなどを展示。
 EE Times Japan





手袋でもぬれた手でも操作できる圧電スイッチ/センサ やモノが軽く触れた
り近づいたりすると動作するタッチスイッチは、応用製品のデザイン性や使
いやすさを向上させられるという特長があり、スマートフォンやタブレット
端末をはじめとするさまざまな機械の操作に用いられている。タッチスイッ
チには、指先と検出部の静電容量の変化を検出してタッチ位置を検出する静
電容量方式が広く使われている。静電容量方式は非接触でも動作するなどの
利点があるが、水や汗に弱く、ぬれた状態では正しく操作ができないほか、
導電性でない一般的な手袋を着用するとタッチを検出できないという課題が
あった。TDKが開発中の圧電スイッチ「PiezoTap」は、タッチスイッチのこう
した課題を解決するものだという。圧電素子に圧力を加えた際に生じるひず
みに応じて電圧が発生するという圧電効果を利用している。圧電スイッチは
、水回り環境や手袋装着時でも操作できる。  圧電スイッチは圧電素子にひ
ずみが生じないと押圧を検知しないため、非接触でも動作する静電容量方式
と比べると操作時に必要な力は大きくなるが、「誤って指やモノが触れた程
度では動作しないことが、むしろ誤動作を防げるという利点にもなるという。
PiezoTapのサイズは7.0×7.0×0.2mm、重さは0.046gで、筐体の素材を問わず
に取り付けられる。「静電容量方式のタッチスイッチに慣れている設計者は、
圧電スイッチの扱い方が分からないと感じるかもしれない。その場合は、シ
ステム設計や筐体への貼り付け位置なども含めて提案したい」(ブース担当)  
ブースでは、自転車の走行速度や走行距離を測定するサイクルコンピュータ
を模したデモ機が展示された。競技用のグローブなどをはめたままで、雨粒
や汗が付着しても操作できる。他にはウェアラブル端末や家電製品への利用
を想定しているという。
✔ここ10数年でセンサ技術進化の飛躍に驚くばかりだ。

 



第3世代円偏光有機発光ダイオード
近畿大学と大阪公立大学は,安価でエネルギー変換効率が高く,第3世代の発
光材料と呼ばれるTADF分子という発光性の分子を用いて,第3世代円偏光有機
発光ダイオードを開発。特定の方向に振動する光を偏光といい,その中でも,
らせん状に回転しているものを円偏光という。円偏光を利用した発光デバイ
ス(円偏光を発する有機発光ダイオード)は,3D表示用有機ELディスプレー
などに使用される新技術として注目されている。
現在,光学活性な分子で構成された材料を用いて円偏光有機発光ダイオード
を作製し,右回転または左回転の円偏光を発生させる方法が一般的となって
いる。 こうした発光ダイオードの材料として,第1世代である蛍光材料,第
2世代であるリン光材料が知られており,携帯電話などのディスプレーを中心
に実用化されている。第1世代の蛍光材料は比較的安価に合成できるが,蛍光
材料を用いた有機発光ダイオードは発光量子効率が低く,また,第2世代のリ
ン光材料は発光量子効率が良いものの,希少価値が高いレアメタルを使用す
るため,デバイス製造コストが高くなるという課題がある。
【要点】
1.第3世代の発光材料と呼ばれる、光学不活性なTADF分子を用いて有機発
 光ダイオードを作製し、外部から磁力を加えることにより、緑色の円偏光
  の発生に成功
2.加える磁力の方向を変えることで円偏光の回転方向を制御し、右回転と
 左回転の円偏光を選択的に取り出すことに成功
3.本研究成果を、次世代フルカラー3D表示用有機ELディスプレイの製造や
 高度な次世代セキュリティ認証技術の実用化などへ生かすことに期待
概要】
第3世代の有機発光ダイオードの材料として開発が進んでいるTADF分子を用
いて有機発光ダイオードを作製し、このデバイスに対して外部から磁力を加
えることによって、TADF分子の発光に由来する緑色の円偏光を発生させるこ
とに成功。また、磁力の方向を変えることで円偏光の回転方向の制御が可能で
あることを明らかにした。本研究成果により、室温かつ永久磁石による磁場
下に第3世代有機発光ダイオードを設置するだけで、円偏光を発生させるこ
とが可能にした。また、光学不活性な分子は、特殊な合成方法や分離・精製
技術が不要であり、一般的に光学活性な分子よりも安価に入手できるため、
本手法を用いることで、円偏光有機発光ダイオードの製造コストが抑制でき
る可能性があつ。これにより、第3世代(TADF分子)のみならず第4世代(
TADF分子と蛍光分子)を用いた3D表示用有機ELディスプレイ等の製造コスト
削減や、高度な次世代セキュリティ認証技術の実用化などにつながることが
期待される。
【展望】
第3世代(TADF分子)のみならず第4世代(TADF分子と蛍光分子)を用いた3
D表示用有機ELディスプレイ等の製造コスト削減や、高度な次世代セキュリテ
ィ認証技術の実用化などにつなげる。
【論文掲載】
掲載誌:Frontiers in Chemistry Nanoscience
論文名:External magnetic field-induced circularly polarized luminescence and
electroluminescence from optically inactive thermally activated delaye d fluorescence
material 4CzIPN
(光学不活性な熱活性化遅延蛍光物質4CzIPNの外部磁場誘起
円偏光発光と 電界発光)
D O I:10.3389/fchem.2023.1281168

【ウイルス解体新書 173



序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学
第2章 COVID-19パンデミックとは何だったのか
第3章 パンデミック戦略「後手の先」
第9節 感染予防・検査・治療
9-1 感染予防
寄生虫に感染することで新型コロナによる入院や死亡率が低下する可能性
⮚2023.10.22 GIGAZINE   人体に寄生する蠕虫(ぜんちゅう)が流行している
アフリカやアジアの一部地域では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入
院や死亡につながる重症例が少ないことが報告されている。新たに、「寄生
虫に感染するとCOVID-19で死亡する割合が低くなるかもしれない」という研
究結果を、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の研究チームが
発表。
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Prior hookworm infection could offer protection from severe COVID-19 symptoms
鉤虫感染歴があると、重篤な新型コロナウイルス感染症の症状から身を守る
ことができる可能性がある

寄生性鉤虫による事前の感染はマウスを重度のSARS-CoV-2疾患から守ること
が示されており、これはなぜ新型コロナウイルス感染症パンデミックの最盛
期に特定のヒト集団がより良好に暮らしていたように見えるのかについての
潜在的な説明を提供するものである。
「この研究は、世界の特定の地域がパンデミックの初期から予想されるほど
ひどい状況にならなかったという観察から生まれた」と、国立研究所の同僚
と協力したマラガン研究所博士研究員ケリー・ヒリガン博士は言う。
最近Science Immunologyに掲載の研究を米国保健省博士論文を発表。
「アフリカとアジアの国々は、入院や死亡などの重篤な感染症の報告数が世
界の他の国々よりもはるかに少なかった。これは、データ内のいくつかの交
絡因子や報告率の低さを考慮しても同様だった。」「興味深いのは、これら
の地域が鉤虫感染症が流行している地域、つまり人口内に一貫して存在する
地域と強い相関関係がある、または重なっている。おそらくこの鉤虫による
風土病感染が、より重度のSARS-CoV-2ウイルス感染症の確立において国民全
体に「干渉」を引き起こしているのではないかと考えられる。」「感染干渉
は、場合によっては人々が一度に複数の感染性微生物によって病気にならな
い場合があるという現象の説明に使用される用語である。これは 1960年代に
ウイルスに関して初めて説明され、1 回のウイルス感染には、新たなウイ
ルスに感染するまでにわずかな猶予期間が伴う可能性あることが観察された。
ごく最近では、新型コロナウイルスのパンデミックでもこの効果が確認され
ており、SARS-CoV-2感染から回復している人々は、再び感受性を高める前に
、他の呼吸器ウイルス(RSV、インフルエンザ)に対する数週間の相対的な
免疫を持っていると考えられている。この現象の理由はまだ完全には理解さ
れていないが、ヒリガン博士にとっては特に興味深いものである。
「感染症が免疫システムを活性化して刺激すると、この刺激によって他の微
生物がトーホールドを獲得したり排除したり阻止したりするという追加の
があると一般的に受け入れられています」とヒリガン博士は言う。「探
求するのが本当に興味深いのは、この影響が、新型コロナウイルス感染症の
場合、ウイルス、細菌、寄生虫のいずれであっても当てはまりそうである。
私の協力者である国立衛生研究所のオエボラ・オエソラ博士、ピン・ローク
博士、アラン・シャー博士の意見 そして私が知りたかったのは、現在のパ
ンデミックに関連してこの効果をテストできるかどうか、そして同様の保護
効果が見られるかどうかです。」この研究では、マウスの免疫系と細胞生物
学が私たちのものとよく似ているため、マウスの肺における鉤虫感染を調べ
た。この共同研究では、鉤虫に感染したマウスは、鉤虫が体から除去された
後でも、対応するマウスよりも重篤な新型コロナウイルス感染症の症状を発
症する可能性が低く、感染からはるかに早く回復することが判明した。細胞
レベルで何が起こっているのかをさらに詳しく見てみると、この研究では、
鉤虫がマクロファージと呼ばれる肺に常駐する特定の種類の免疫細胞の変化
に影響を与えていることが観察されている。蠕虫感染後は、蠕虫感染にさら
されたマクロファージとそうでないマクロファージの間で、トランスクリプ
トームレベル(さまざまな遺伝子のスイッチがオンまたはオフになるレベル
)で明らかな違いが見られることがわかった」とヒリガン博士は言う。その
結果、蠕虫の影響を受けたこれらのマクロファージは、他の感染の脅威、こ
の場合は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ウイルスに対して警報を発
する能力がはるかに優れていることが判明。彼らは、ウイルスの除去を専門
とするCD8 T細胞と呼ばれる他の免疫細胞を対照群よりもはるかに早く感染
部位に動員する特定の化合物を分泌しこれを行った。「ウイルス応答に不可
欠なこれらのCD8 T細胞の動員が促進されることがわかった。これらの修飾
されたマクロファージのおかげで、T 細胞はより早く感染組織に入り込み、
感染をより早く除去することができ、その結果、病気の症状がはるかに軽減
されている。「さらに、この効果は長期間持続するようで、鉤虫が体から除
去された後もマクロファージはCD8 T細胞を動員して活性化する非常に強力
な能力を保持している。」この研究は前臨床段階であり、まだヒトに応用さ
れていないが、研究者らは現在、これらのマクロファージと、そのような行
動の変化を引き起こすために鉤虫がマクロファージに何をしているのかをよ
り深く理解することに重点を置いている。「将来を見据えて、これらのT細
胞を肺に運ぶ信号を理解したいと考えており、この線虫がこれらの特殊なマ
クロファージを作成するために何をするのか、そしてワームの仲介を必要と
せずにこの効果を再現できるかをさらに理解したい。」
【掲載論文】
More information: Oyebola O. Oyesola et al, Exposure to lung-migrating helminth
protects against murine SARS-CoV-2 infection through macrophage-dependent T cell
activation, Science Immunology (2023). DOI: 10.1126/sciimmunol.adf8161

第4章 終 章 備えあれば憂いなし

風蕭々と碧い時












John Lennon Imagine  



もんたよしのり ギャランドゥ

もんた よしのり(1951年1月8日 - 2023年10月18日)は、日本のシンガーソン
グライター・俳優。広島県福山市生まれ、兵庫県神戸市育ち。1971年、上京、
シングル「この足の鎖ひきちぎりたい」でソロ歌手としてデビュー。1979年、
東京での活動に限界を感じ実家の神戸へ戻るも、音楽活動をあきらめきれず
作曲活動を続ける。 1980年、自身最後のチャンスとの決意で「もんた&ブラ
ザーズ」として再デビュー、「ダンシング・オールナイト」をリリース。大
ヒットとなり、第22回日本レコード大賞金賞、第11回日本歌謡大賞放送音楽
特別賞、第13回全日本有線放送大賞などを受賞、第31回NHK紅白歌合戦にも出
場した。この当時は北島音楽事務所に所属していた。1981年、俳優として
『燃える勇者』で映画に初出演する。本業では第10回東京音楽祭に出場し、
「スティーヴィー・ワンダー賞」を受賞。 一昨年7月に亡くなった実弟と同
い年、享年七十二である。秋風染みるよるとなった。
                                合掌

今夜の寸評: 優勝は?!タイガース vs バッッファローズ
世界は非戦を! 世界に平和を!
Non-war to all the world!  Peace to the world!


自在行動概論 ③
パレスチナ問題とその歴史 「環境リスク本位制時代」を公言している私に
は、「パレスチナ問題」は、「人類消滅」を加速させる「世界大戦」の説明
要因の1つであることを踏まえ、その歴史をお温習いしておこう。 そもそ
の古称は「フル」、「カナン」というパレスチナ周辺はペリシテ人の土地で
パレスチナという言葉はペリシテという言葉がなまったものと考えられてい
る。 紀元前13世紀頃にペリシテ人によるペリシテ文明が栄えたが、ペリシ
テ人のその後は全く分かっていない。

その後は紀元前10世紀ごろにイスラエル人によるイスラエル王国がエルサレ
ムを中心都市として繁栄した。 やがて三大陸の結節点に位置するその軍事
上地政学上の重要性からイスラエル王国は相次いで周辺大国の侵略を受け滅
亡し、西暦135年にバル・コクバの乱を鎮圧したローマ皇帝ハドリアヌスは、
それまでのユダヤ属州の名を廃し、属州シリア・パレスチナ (en:Syria Palae-
stina
) と改名する。7世紀にはイスラム帝国が侵入してきた、シリアを支配す
る勢力とエジプトを支配する勢力の間の対立戦争の舞台となった。11世紀に
はヨーロッパから十字軍が攻め込んできた結果としてエルサレム王国が建国
されるが、12世紀末にはアイユーブ朝のサラーフッディーンに奪還され、パ
レスチナの大半は王朝の支配下に入った。16世紀になると、マムルーク朝を
滅ぼしたオスマン帝国がパレスチナの地の支配者となる。

後期19世紀 - 1920:起源
「シオニズム」、「バルフォア宣言」、「フサイン=マクマホン協定」、「

三枚舌外交」 サイクス・ピコ協定。濃い赤はイギリス直接統治、濃い青は
フランス直接統治、薄い赤はイギリスの、薄い青はフランスの勢力圏。紫(
パレスチナ)は共同統治領 。第一次世界大戦において連合国側のイギリス
は同盟国側の一角であるオスマン帝国に対し側面から攻撃を加える意図の下、
トルコの統治下にあったアラブ人(イエフディ(現地ユダヤ人)やキリスト
教徒も含む)たちに対してオスマン帝国への武装蜂起を呼びかけた。その際
この対価として1915年10月にフサイン=マクマホン協定を結びこの地域の独
立を認めた。 他方、膨大な戦費を必要としていたイギリスはユダヤ人豪商
ロスチャイルド家に対して資金の援助を求めていた。この頃、世界各地に広
がっているユダヤ人の中でも、ヨーロッパでは改宗圧力を含め差別が厳しか
ったため、シオンに還ろうという運動(初期シオニズム)が19世紀末以降盛
り上がりを見せていた。そこでイギリスはアーサー・バルフォア外相を通じ、
1917年にユダヤ人国家の建設を支持する書簡をだし、ロスチャイルド家から
の資金援助を得ることに成功した(バルフォア宣言)。 しかしイギリスは
同じ連合国であったフランス、ロシアとの間でも大戦後の中東の分割を協議
しており、本来の狙いはこの地域に将来にわたって影響力を確保することで
あった(サイクス=ピコ協定)。 こうしたイギリスの「三枚舌外交」はロ
シア革命が起こり、ウラジーミル・レーニンらによって外交秘密文書がすべ
て公表されるに至り公のものとなった。 第一次世界大戦でアラブ軍・ユダ
ヤ軍は共にイギリス軍の一員としてオスマン帝国と対決し、現在のヨルダン
を含む「パレスチナ」はイギリスの委任統治となった。

1920 - 1948:イギリスによるパレスチナの委任統治
イギリス委任統治領パレスチナ」も参照 現在のパレスチナの地へのユダヤ
人帰還運動は長い歴史を持っており、ユダヤ人と共に平和な世俗国家を築こ
うとするアラブ人も多かった。ユダヤ人はヘブライ語を口語として復活させ、ア
ラブ人とともに嘆きの壁事件など衝突がありながらも、安定した社会を築き
上げていた。しかし、1947年の段階で、ユダヤ人入植者の増大とそれに反発
するアラブ民族主義者によるユダヤ人移住・建国反対の運動の結果として、
ヨルダンのフセイン1世、アミール・ファイサル・フサイニー(1933年アラ
ブ過激派により暗殺)、ファウズィー・ダルウィーシュ・フサイニー(1946
年暗殺)、マルティン・ブーバーらの推進していたイフード運動(民族性・
宗教性を表に出さない、平和統合国家案)は非現実的な様相を呈する。

「パンとワイン」紛争
 初期の問題において、民族自体はあまり関係がなかった。衝突は、銀行と
工業により避けようもなく次第に深まっていく。その主な原因は、オスマン
から切り離された事で、外国貿易が重要性を増した事にある。そしてイギリ
スは荒廃した土地を復興させ、輸出農業の生産の増大を計った。農民の多く
はアラブ人であった。ただし、農業金融を一手に引き受けていたのは1922年
以後増大したユダヤ系銀行であり、製粉所等の加工工業もまたユダヤ人の手
にあった。パレスチナの土地に適していたのはオレンジとリンゴであり、イ
ギリスに対してはオレンジの輸出が多くアラブ人達は柑橘類の生産を望んで
いたが、製粉所含む食品工業のため銀行は穀物の増産を図っていく。また、
葡萄園はユダヤ人の所有にあった。 当時のパレスチナにおいて工業の外国
貿易に対する価値は非常に大きかった。イギリスに次いでシリアがパレスチ
ナを助けていたが、ドイツとアメリカもまたパレスチナに対し工業生産材の
輸出を行っており、アメリカには加工した工業品を輸出することによって貿
易のバランスを保っていたため、このバランスを維持するために工業の発展
が不可欠だった。そして、パレスチナの外国貿易に関する諸々の取り決めは、
委任統治領という立場にもかかわらず、国内有力事業家の組合によって決定
されていた。その事業家の多くが外部からの投資を受けた人間(即ち原住民
ではなくユダヤ人の移民ら)であり、柑橘類を主軸に求めるアラブ人と、穀
物類を主軸に求めるユダヤ人との農業問題への価値観の差異は、アラブ人へ
の一方的な抑圧となり、やがて対立が深まっていく。1916年設立のハマシ
ュビール(en:Hamashbir Lazarchan)は勢力が大きくなり市場取引を支配し、ま
たイギリスとの連携を強め、ニール[要出典]はドイツ人に代わり産業を支配、
耕地を購入し所有していった。また人口の増大、特にユダヤ人増大による小
麦の需要に基づく土地の疲弊は著しく、1939年には1ha辺り480kgの小麦しか
収穫できない(イギリスでは2200kg、エジプトでは1630kg)など、問題への
期限は迫っていた。

パレスチナ分割
国連による「パレスチナ分割決議」 1947 「パレスチナ分割決議」、「パレ
スチナ内戦」、および「イスラエル独立宣言」

1936年4月に起きたパレスチナ独立戦争(アラブ暴動)で、イギリス側はア
ラブ人とユダヤ人の共存は困難であるとして、ピール委員会(英語版)は善
後策の調査を始めた。ピール委員会は、暴動の原因をアラブ人・ユダヤ人相
互の民族主義に求めたが、アラブ人の「後進性」も強調された。 1937年7月
7日、ピール委員会は、パレスチナをアラブ国家と小さなユダヤ国家(15%
程度)、国際地域に分割する提案を行った。また、希土戦争 (1919年-1922
年)後に行われたギリシャとトルコの住民交換を先例に、少数民族の交換(
実質的な強制移住)も言及された。これが、公のものでは最初のパレスチナ
分割案である。アラブ人は全面的に拒否し、アラブ高等委員会(英語版)は
「ユダヤ人とその他の少数民族の正当な権利をすべて保護し、イギリスの合
理的な利益を守る」前提の上で、パレスチナ単一国家の独立を要求した[17]。
ユダヤ人国家として、肥沃な土地が割り当てられたことも拒否の理由だった。
また、全てのユダヤ人の新規移民の停止を要求した。 ユダヤ人もまた、シ
オニスト大会で分割案拒否を決議した。しかし全面否定では無く、ユダヤ人
国家の拡大や、あわよくばパレスチナ全域の占有を目的とした議論の継続が
された。また、ピール委員会案では、ユダヤ人国家にアラブ人225000人、ア
ラブ人国家にユダヤ人1250人が少数民族として残ることが想定された。この
ため、ユダヤ人の中では、アラブ人の「移送」もまた議論されるようになっ
た[18]。 第二次世界大戦後、後にイスラエル首相となるメナヘム・ベギン
率いるエツェル、イツハク・シャミル率いるレヒ等のユダヤ人テロ組織のテ
ロと、アメリカの圧力に屈したイギリスは遂に国際連合にこの問題の仲介を
委ねた。ユダヤ人の人口はパレスチナ人口の3分の1に過ぎなかったが、1947
年11月29日の国連総会では、パレスチナの56.5%の土地をユダヤ国家、43.5%
の土地をアラブ国家とし、エルサレムを国際管理とするという国連決議181
号パレスチナ分割決議が、賛成33・反対13・棄権10で可決された[19]。ピー
ル案よりユダヤ人に有利になったこの決議は、国内の選挙において、ユダヤ
人の投票獲得を目当てにしたアメリカのハリー・S・トルーマン大統領の強
烈な圧力によって成立している。ユダヤ人を自国から追い出したいキリスト
教徒が主なアメリカ、ソ連、フランス、ブラジルなどが賛成し、アラブ諸国
が反対した。(イギリスはこれ以上反感を買うことを恐れて棄権) 1948年2
月、アラブ連盟加盟国は、カイロでイスラエル建国の阻止を決議した。アラ
ブ人によるテロが激化する中、1948年3月にアメリカは国連で分割案の支持
を撤回し、パレスチナの信託統治の提案をした。1948年4月9日、ユダヤ人テ
ロ組織、イルグン、レヒの混成軍が、エルサレム近郊のデイル・ヤシーン村
で村民の大量虐殺を行い、その話が広まって、恐怖に駆られたパレスチナア
ラブ人の大量脱出が始まった。1948年5月、イギリスのパレスチナ委任統治
が終了し、国連決議181号(通称パレスチナ分割決議)を根拠に、1948年5月1
4日に独立宣言しイスラエルが誕生した。同時にアラブ連盟5カ国(エジプト・
トランスヨルダン・シリア・レバノン・イラク)の大部隊が独立阻止を目指
してパレスチナに進攻し、第一次中東戦争(イスラエル独立戦争、パレスチ
ナ戦争)が起こった。

1948 - 1967:中東戦争
「第一次中東戦争」および「第三次中東戦争」

1949グリーンラインの境界線 勝利が予想されたアラブ側は内部分裂によっ
て実力を発揮できず、イスラエルは人口の1%が戦死しながらも列強からの豊
富な物資援助により勝利する。1948年の時点でパレスチナの地に住んでいた
70〜80万人のアラブ人などが難民となった(いわゆるパレスチナ難民)。パレ
スチナ人を主とするアラブ人は、「ナクバ(النكبة)」(アラビア語で「大
破局」「大災厄」を意味する)と呼ぶ。 パレスチナ難民の発生原因につい
ては、当時は、ユダヤ人軍事組織によって追放されたというパレスチナ側の
主張とパレスチナ人が自発的に立ち去ったというイスラエル側の主張があっ
た。現在では、イスラエルの政府資料やアメリカの諜報資料が公開され、
イスラエル側の主張が虚構であり、大多数のパレスチナ難民は、ユダヤ人軍
事組織による大量虐殺(イスラエルの歴史学者のイラン・パッペによれば、
総計2千人〜3千人が犠牲になった)、銃器による脅迫、また、ユダヤ人軍事
組織による攻撃を恐れて、難民となったことは、学術的に明らかになってい
る。現在の学術的な争点は、パレスチナ人の追放が計画されたものか、それ
とも戦闘激化に伴った偶発的なものかという点である。 また、イスラエル
建国に伴うアラブ諸国におけるユダヤ人への迫害の増加により、セファルデ
ィムなどアラブ諸国のユダヤ人住民40万人がイスラエルに移住し、アラブ諸
国に残された財産の大部分は没収された。
                           この項つづく

-------------------------------------------------------------------

■ 人類の起源 出アフリカ

人類の起源
最大の転機は1987年、細胞内小器官ミトコンドリアのDNA解析がもたらした。
ミトコンドリアの遺伝子は母親からだけ受け継がれる。世界各地の人々のミ
トコンドリアに蓄積した突然変異をもとに、枝分かれの時期を推定し、さか
のぼっていくと、12万~20万年前ごろアフリカにいたであろう女性にたどり
着いた。数年の激論の末、この分析は認められ、現生人類の起源はアフリカ
で、十数万年前以降に世界各地に広がっていったという「単一起源説」が常
識になった。それまで、各地の原人や旧人が一部で交雑しながら地域ごとに
特色ある現生人類に進化してきたという「多地域進化説」が優勢だったから、
大逆転である。そうなると、アフリカを出た現生人類がいつ、どのように移
動していったのかが大きな問題になる。遺跡や石器などの考古学資料を、現
生人類の旅路のなかに位置づけ直す作業が始まる。

ゲノム(全遺伝情報)を超高速で解読する技術が広まり、古人骨に残る微量の
DNAからも読めるようになる。ミトコンドリアDNAと同じように、蓄積された
突然変異を手がかりに、ほかの集団との血縁的なつながりも推定できるよう
になる。主に考古学的資料に基づき、アフリカから西アジアに出てきた現生
人類は、約5万年前から、

①ヒマラヤ山脈の南を抜けて東南アジアからオーストラリア大陸へ
②ヒマラヤ山脈の北を回ってシベリアへ
③ユーラシア大陸西部へ、
と大きく三つのルートで進出していったことがわかる。

科学的な根拠が分厚くなり、その旅路が一直線の順風満帆なものではなく、
気候変動のほか、寒冷地や高地、熱帯雨林、海などの難所に阻まれて、あち
こちで足踏みや後退もしてきたことが見えてきた。例えば、シベリアから当
時、陸続きになっていた北米大陸に進出するまでには3万年近く(およそ1000
世代)の歳月を待たなければならなかった。 現生人類の前に「出アフリカ」
を果たしていた旧人との関係も、大きく見直された。地中海東部沿岸では、
寒冷化で北方から退いてきた旧人のネアンデルタール人と長く共存していた
ことがわかり、さらに、ネアンデルタール人のDNAは、今世紀になってロシ
ア・南シベリアの洞窟で古人骨が見つかった別の旧人デニソワ人のDNAとと
もに、現代人に無視できない割合で受け継がれていることもわかり、現生人
類は、その長い移動のなかで、やみくもに前進していたのではなく、相当長
い時間と場所を旧人と共有し、交雑もしていたと。現生人類と旧人たちを「
別種」とするのはおかしいのではないか。そんな見方も強まっている。
via アフリカを出た人類、どう全世界に広がったのか ホモ・サピエンスの
旅路が見えてきた:朝日新聞GLOBE+

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■ 出エジプト記
『出エジプト記』(しゅつエジプトき、ヘブライ語: שמות‎、英語: Exodus
は、旧約聖書の2番目の書であり、『創世記』の後を受け、モーセが虐げら
れていたユダヤ人を率いてエジプトから脱出する物語を中心に描かれている。
モーセ五書(トーラー)のひとつであり、ユダヤ教では本文冒頭より2番目
の単語から『シェモース』(Shemot)と呼ぶ[注釈 。全40章から成る。構成
は、エジプト脱出とシナイ山での契約が二つの大きなテーマとなっている。
キリスト教において旧約聖書という時、「旧約」すなわち古い契約というの
はこのシナイにおける神と民との契約のことをさす。

■ 古代イスラエル
古代イスラエル(こだいイスラエル)は、伝説的な太祖アブラハムの時代か
らユダヤ戦争終結までのイスラエル古代史を概説する。古代イスラエル史は
旧約聖書に基づく記述が多く見られるが、考古学的事実や他資料からの裏付
けが取れている部分は相当に少ない。 
紀元前1200年前後は「海の民」が南西の海岸平野からシリアやカナン地方に
侵入してきた頃であり、それを代表するのが旧約聖書にイスラエル人のライ
バルとして登場するペリシテ人である。イスラエル人はこれと同時期に山岳
地域からカナン地方に進出してきてペリシテ人と衝突を繰り返した。最近の
考古学調査では、ガリラヤ山地、中央山岳地帯、南部ユダヤのネゲヴ北部な
どに前1200年頃から居住地域が急増し、西部に勢力を広げていったことが確
認されている。この動きの中にイスラエル人たちの部族が含まれていたとさ
れる。 ヨルダン川東岸の山岳地帯からカナン地方に進出してきた前述のイ
スラエル人達の出自は不明である。イスラエル人たちが始祖とするアブラハ
ムは、旧約聖書によれば「カルデアのウル」からカナンの地へ移住してきたこ
とになっている。この「カルデアのウル」を南部メソポタミアのウルとする
のはレオナード・ウーリーによって始められてから考古学者や歴史学者に支
持されてきたものの、バビロニアからの移住は考えにくくメソポタミア北西
部からの移住だとする見方もある。彼らの出自としてはこの他にも、カナン
諸都市の周辺部に居た半遊牧民達が山地に逃れて定住したとする説、カナン
の諸都市の奴隷や下層民が都市を逃れて定住したとする説、アラム地方から
移住してきたとする説など様々である。おそらくは多様な出自を持つ人々で
あり、この中からヤハウェ神信仰を共有する部族がまとまってイスラエル部
族連合が形成されたのであろうと考えられている。 カナン侵攻 前述のよう
に、紀元前12世紀頃からイスラエル人たちは山岳地帯からカナン地方に進出
した。これを描いたのが旧約聖書のヨシュア記と士師記である。この進出が
敵対的侵攻だったのか平和的な定住だったのかについては諸説あるが、預言
者的かつ軍事的指導者である「士師」が相次いで現れてイスラエル人全体を
導いたとする旧約聖書の記述などからは敵対的侵攻が多く含まれていた。

■ イスラエル王国の誕生
サムエル記によると、紀元前1080年ごろペリシテ人が北部のガリラヤを制圧
し、その地域のイスラエル人が奴隷となると、最後の士師で預言者でもあっ
たサムエルは、サウルをはじめてのイスラエルの王として任じた。この王は
ペリシテ人との戦いの必要からでた軍事的な指導者であった。 サウル王の
死後、サムエルに見出されたダビデは南部のユダ族をまとめて王となり、都
ヘブロンを中心とした王国を建てる。これに対して北部イスラエルの11部族
はサウルの死後、その子イシュバールを王とし、都マハナイムを中心に王国
を建てた(サムエル下2:9-11)。これら二王国の内紛は7年以上続くが、イシ
ュバールの死後、両国はダビデを王として認めることで和解した。 紀元前9
95年頃、ダビデは両王国の中心に位置するエルサレムのエブス人を倒し、以
後、ここを拠点にペリシテ人らを退け、イスラエル王国(統一王国)を築い
た。 ダビデの死後、紀元前963年にその子の一人ソロモンが国王を継ぐ。
ソロモンは引き続き国の体制を整え諸外国との交易を盛んにし、またエルサ
レムに大きな神殿(エルサレム神殿)を建てた。この神殿は後世、第一神殿
と呼ばれることになる。 ソロモンの死後、部族間の抗争により統一体制は
崩れ、やがて10部族がイスラエル王国(北王国)として独立し、南のエルサ
レムを中心とするユダ王国(南王国)と分離することになる。以後両国は盛
んに争ったが、この戦争によって国力が衰えた。

北王国の首都サマリアは紀元前721年にはアッシリアによって陥落した。ア
ッシリアのサルゴン2世はサマリアのイスラエル人指導層などを奴隷として
連れ去りまたは追放して、その土地にメソポタミアなどからの異民族を移住
させた。ここにイスラエル王国は滅亡する。このとき故地から引き離された
イスラエル人たちは後に「失われた十部族」と呼ばれている。またサマリア
にはアッシリア支配下の各地からの移民が移り住み、イスラエル王国の故地
に残ったイスラエル人と移民との間に生まれた人々がサマリア人と呼ばれる
ようになった。サマリア人は、混血したことや移民たちの信仰をユダヤ教に
混交させたことから後に差別される存在となった。
                            このつづく

         

                       

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自在行動概論 ②

2023年10月22日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝
えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の
軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ。








           ハロウイン親子三代の柿簾
                         

吾が家は十月母親の誕生部、命日、長男の誕生日と私の誕生日が重なり。
ハロウインで11月を迎えることに気付き詠嘆す。
ところで、10月は、グレゴリオ暦で年の第10の月に当たり、31日間あるのだ
が、日本では、旧暦10月を神無月(かみなづき、かんなづき(「かむなづき
」とも表記)、かみなしづき、かみなかりづき)と呼び、新暦10月の別名と
しても用いが、ここにも「数字の神秘」が宿ることになる。 英語での月名
October は、ラテン語表記に同じで、これはラテン語で「第8の」という意味
octo の語に由来している。一般的な暦では10番目の月だがが、紀元前46
年まで使われていたローマ暦では、一般的な暦の3月が年始であり、3月から
数えて8番目という意味を宿し、平年の場合、10月はその年の1月と
同じ曜日
で始まる。
ところで、「かみな月」の語源は不明。以下のような説があるが、確かなも
のではない。いずれにしても漢字「神無」は当て字としている。 醸成月(
かみなしづき): 新穀で新酒を醸す月(大言海による) 神嘗月(かんなめ
づき): 新嘗(にいなめ)の準備をする月 神な月(かみなづき):「神の
月」の意 雷無月(かみなしづき): 雷のない月 出雲の出雲大社に全国の
神様が集まって一年の事を話し合うため、出雲以外には神様が居なくなる月
の意で、これは平安時代になり言われるようになった民間語源(言語学的な
根拠が無い語源)で、出雲では神在月といわれ、出雲へ行かず村や家に留ま
る田の神・家の神的性格を持つ留守神も存在し、すべての神が出雲に出向く
わけではない。


via en. Wikipedia

上の図はベリー公のいとも豪華なる時祷書(じとうし:仏: Les Très Riches Heures du
Duc de Berry)は、中世フランス王国の王族ベリー公ジャン1世が作らせた装飾写
本。 この時祷書は、フランス王ルイ・フィリップの四男オマール公アンリが1855年に
ジェノヴァで購入する。それからしばらくはシャンティイ城に所蔵されていたが、1897
年にはオマール公爵家からフランス学士院に寄贈され、現在はシャンティイ城にあ
るコンデ美術館附属図書館に非公開で所蔵される。 多くの写本を集めたジャン 1
世の依頼で、15世紀始めにランブール兄弟によって制作が始まり、1416年に両名
が死去したため一時中断し、同世紀の終わりに完成。 ジャン1世が制作させた(ま
たは制作を開始させた)時祷書は6部以上現存している。他にメトロポリタン美術館
所蔵「ベリー公の美わしき時祷書(Les Belles Heures du Duc de Berry)」というのも
あり、この方が早く(1413年以前)制作され、ランブール兄弟が完成させている。 と
もあれ、この時祷書は、フランス王ルイ・フィリップの四男オマール公アンリが1855
年にジェノヴァで購入する。それからしばらくはシャンティイ城に所蔵されていたが、
1897年にはオマール公爵家からフランス学士院に寄贈され、現在はシャンティイ城
にあるコンデ美術館附属図書館に非公開で所蔵されている。


シャンティイ城Château de Chantilly

さて、ハロウィン、あるいはハロウィーン(英: Halloween または Hallowe'en]、愛:
Oíche Shamhna)は、 毎年10月31日に行われる夜の祭りである。 カボチャやカブを
くりぬいて作る「ジャック・オー・ランタン」(Jack o'lantern)を飾ったり、子どもたちが
魔女やお化けに仮装して近くの家々を訪れてお菓子をもらったりする風習などが
ある。ジャガイモ飢饉でアメリカ合衆国に渡ったアイルランド人移民によりアメリカ
で定着し、今や世界各地で祝われるようになった。 名前の由来はキリスト教の万
聖節の前夜祭All allow's evening→Hallow's even→Hallowe'en)。


Jack-o'-Lantern 
via  jp.Wikipedia

古代ケルトのドルイドの信仰では、新年の始まりは冬の季節の始まりである11月
1日のサウィン(サオィン、またはサムハイン等、Samhain)祭であった。ちょうど短
い日が新しい年の始まりを示す。アイルランドと英国のドルイド祭司たちは、かが
り火を焚き、作物と動物の犠牲を捧げた。また、ドルイド祭司たちが火のまわりで
踊るとともに、太陽の季節が過ぎ去り、暗闇の季節が始まった。11月 1日の朝 が
来ると、ドルイド祭司は、各家庭にこの火から燃えさしを与えた。各家族は、この
火を家に持ち帰り、 かまどの火を新しくつけて家を暖め、悪いシー(Sí、ケルト神
話の妖精。 なお   「バンシー」 とは  「女の妖精」の意。) などが入らないようにする。
1 年のこの時期には、この世と霊界との間に目に見えない「門」が開き、この両方
の世界の間で自由に行き来が可能
となると信じられていた。 祭典ではかがり火が
大きな役割を演じた。 村民たちは、屠殺した牛の骨を炎 の上 に投げ込んだ。かが
り火が燃え上がると、村人たちは他のすべての火を消した。 その後、各家族は厳
粛にこの共通の炎から炉床に火をつけた。  サウィン祭が死者や祖先崇拝との関
連を示す強い証拠はないが、当初 5月 13日であった万聖節(諸聖人の日)が11月
1日に移動したことや、万霊節を11月2日に祝う事としたのは、アイルランド
や英国
のケルト人の影響とされる。 19世紀になりアイルランドおよびスコットランド
から大量に移民がアメリカへ到着し、ハロウィンが本格的に定着。ハロウィンは
19世紀半ばまで特定の移民共同体の内でだけの行事として行われていたが、
徐々にアメリカの「主流社会」に受け容れられ、アメリカの年鑑に祝祭日として記録
された。20世紀初頭には、社会的、人種的、宗教的背景に関係なく、アメリカのほ
とんどの人々に受け入れられ、東海岸から西海岸へ広まった。1950年代には「トリ
ックかトリートか」の合言葉が製薬会社や映画会社、テレビ局などの仕掛けもあり
普及した
そして、世界各国で軍事的・経済的に活動するアメリカ人が増
るのにともない、そうした場所で、アメリカ風のハロウィンの風習も広がる
ことになった。
jp.Wikipedia

ところで、 季語の柿簾は藁葺屋根の軒下に、無数の吊し柿がすだれのように並ん
でいる光景であり、両親の奈良でお馴染み。今年の大規模気候変動の影響で、草
花、樹木、果実にも影響し山里に熊が出没しているように、果物が不作なのだが
柿だけは何故か瑞々しく美味しいこともあり、季語に採用した。
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【今夜最新作:村上春樹】

    Part 1 Chapter 10

  私は「官舎地区」と呼ばれる区域に、小さな住居を与えられている。
 住居には生活に最低限必要な、簡単な家具と什器が備えられている。
 一入用のベッドと、丸い 木製の食卓、四脚の椅子、いくつかの作り付
 けの棚、小さな薪ストーブ。そんなところだ。小さ なクローゼットと、
 狭い浴室もついている。しかし仕事用のデスクや、寛ぐためのソファ
 はない。 部屋には装飾と呼べそうなものは何ひとつない。花瓶もなく、
 絵もなく、煮物もなく、一冊の本 もなく、もちろん時計もない。台所
 では簡単な料理ができるようになっている。もし煮炊きをしたければ、
 台所用の小型スト ーーブを使う-電気もガスもない。食器や椅子はど
 れも質素で使い古されており、形や大きさも 不揃いだ。あちこちから
 急いでかき集められてきたみたいにも見える。窓には木製の鎧戸がつ
 い ている。昼間はそれを閉ざして、陽光を遮ることができるように(
 私の弱い眼にとって大かせな い設備だ)。入り口のドアに鍵はついて
 いない。この街の人々は家の出入り口に鍵をかけるということをしない。  

  その地区は一昔前にはきっと、濃洒と言ってもいい街並みだったのだ
 ろう。通りでは小さな子供たちが遊び、どこからかピアノの音が聞こえ、
 犬たちが吠え、夕刻には温かい夕食の匂いがあちこちの窓から漂ってき
 たはずだ。家々の花壇には美しい季節の花々が咲き乱れていたことだろ
 う。そういう雰囲気がまだところどころに残っていた。そこに体んでい
 た人々の多くは、その名称通り役所に勤める官吏たちだったらしい。あ
 るいは将校クラスの軍人たち。
  私は昼前に目覚め、支給された食材で簡単な食事を作って食べる。食
 事らしい食事はこれ一度だけだ。この街では人はそれほど多くの食事を
 とる必要はないらしい。一日に一度の簡素な食事で用は足りる。そして
 私の身体も驚くほど早くそのような生活習慣に馴染んでいった。食事を
 終え食器を片付けたあと、鎧戸を閉ざした暗い部屋にこもり、傷がまだ
 完全には癒えない眼を休めながら、午後の時間を過ごす。時間は穏やか
 に流れる。
   私は椅子に座り、自分という身体の檻から意識を解き放ち、想念の広
 い草原を好きなだけ走り回らせる首輪につけた飢を外し、犬にしばしの
 自由を与えるように。そのあいだ私は草の上に寝そべり、何を考えるで
 もなく、空を流れゆく白い雲をぼんやり眺めている(もちろんこれは
 比喩的表現だ。実際に空を見上げているわけではない)。そのようにし
 て時間はこともなく過ぎていく。必要になったときにだけ、私は口笛を
 吹いてそれを呼び戻す(もちろんこれも比喩的表現だ。実際に口笛を吹
 くわけではない)。
  日が傾いてあたりが薄暗くなり始めた頃、門衛がそろそろ角笛を吹
 き鳴らそうかという時刻に、私は(口笛を吹いて)意識を今一度身体
 に呼び戻し、家を出て徒歩で図書館に向かう。丘を降りて川沿いの道
 を 上流に向けて歩く。図書館は広場の少し先にある。旧橋を前にす
 る広場には、針のない時計台が何かを象徴するように高くそびえてい
 る。
  私の他に図書館を訪れるものはいない。だから図書館はいつだって
 私と君だけのものだ。しかし私の〈夢読み〉の技術には向上らしきも
 のは見られない。私の胸の中で疑問と不安が次第に高まっていく----
 私か〈夢読み〉に任命されたのは、何かの間違いだったのではあるま
 いか?私にはもともと夢を読むような能力は具わっていないのではな
 いか。私は間違った場所で間違ったことをさせられているのではない
 か? あるとき作業の合間に、私はそんな不安な気持ちを君に打ち明
 ける。
  「心配しないで」と君はテーブルの向かい側から、私の目をのぞき
 込むようにして言う。「いま少し時間がかかるだけ。このまま迷いな
 く仕事を続けてください。あなたは正しい場所で、正しいことをして
 いるのだから」
  君の声は優しく穏やかだが、確信に満ちている。街の高い壁を構成
 している煉瓦と同じように堅固で揺るぎない。
  夢読みの合間に、君のこしらえてくれた濃い緑色の薬草菜を飲む。
 君は時間をかけ、化学者が実験に臨むときのような真剣な顔つきで、
 注意深く薬草菜の支度をする-小さなすりこぎやすり鉢や、鍋や搾り
 布を使って。図書館の裏手の狭い庭には、各種の薬草を育てる小さな
 菜園があり、その世話をすることも職務のひとつだ。それらの薬草の
 名前を尋ねたことがあるが、君もその名前は知らなかった。たぶんそ
 れらの草も、この街の他の多くの事物と同じようにそもそも名前を持
 たないのだろう。
  一日の仕事を終え、図書館を閉めたあと、私は川洽いの道を上流に
 向かって歩き、君を「最上地区」の共同住宅まで送る。それが日々の
 習慣になる。
  秋の雨は我々のまわりで、いつ果てるともなく降り続いた。始まり
 も終わりもない、静かな細かい雨だ。夜には月もなく星もなく風もな
 く、夜啼鳥の声も聞こえない。中州に並んだ川柳が、細い枝の先から
 ぽとぽとと滴をしたたらせているだけだ。
  私と君は肩を並べてそんな夜の遠を歩きながら、ほとんどただ黙っ
 ているだけだ。しかしその沈黙は私には少しも苦痛ではない。私はむ
 しろその沈黙を歓迎したかもしれない。沈黙は記憶を活性化させてく
 れたから。君の方も沈黙をとくに気にはしない。この街の人々は、多
 くの食事を必要としないのと同じように、多くの言葉を必要としない
 のだ。
  雨が降ると、君は分厚いごわごわとした黄色いレインコートを着て、
 雨用の緑色の帽子をかぶる。私は住居に置かれていた古くて重い編帽
 章を持ち歩いている。君の着たレインコートは、君にはたぶんサイズ
 が二つばかり大きすぎて、歩くときにかさこそという、まるで包装紙
 を両手で丸めるような音を立てる。何かしら懐かしい響きを持つ音だ。
 私はそんな君の肩にそっと手を回したかったけれど(かつてそうした
  に)、それはここではかなわぬことだ。
 「職工地区」の共同住宅の前で君は立ち止まり、乏しい明かりの中で
  私顔をしばしの間のぞき込む。眉間に軽く皺を寄せ、まるで何か垂要
 なことを思い出しかけているみたいに。でも結局何も思い出せない。
 可能性は形をとらないままどこかに吸い込まれ、消えていく。
  「また明日」と私は言う。
  君は黙って肯く。
  君の姿が見えなくなり、すべての物音が遠のいてしまってからも、
 私はしばらくそこに一人で立ち
君があとに残していった気配の無言
 のうちに味わっている、西の丘にある住まいた気配を無言のうらに昧
 わっている。それからいに向けて一人で歩き始める。
 「なにも心配することはありません。ただ時間がかかるだけ」君はそ
 う言う。
  しかし私にはそれはどの確信は持てない。果たして時間を----この
 街が 時間と称するものを----そこまで信用していいものだろうか? 
 そしてこの果てしなく続くように思える長い秋のあとには、いったい
 何かやってくるのだろう。  
                          この項つづく 
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再エネ革命渦論 181: アフターコロナ時代 182
技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中 ㊿
多孔質グラフェンを電極に用いた高性能マグネシウム空気一次電池
10月17日、筑波大学の研究グループは、マグネシウムは入手が容易な電池材
料の一つで、食塩水を電解液として使用するため、炭素系電極と組み合わせ
ると、安価に電池を構成できます。本研究では、多孔質グラフェンとマグネ
シウムを電極に用い、また、電解液を固体化することで、白金電極と同等以
上の性能を持つ空気一次電池を開発。


【研究と成果】
本研究では、貴金属を使用しない空気概材料として、化学気相蒸着(CVD)
法12)を用いて、多孔質金居に表面上にグラフェン(炭素原子が六角形状に
迪なったシート状物質)を成長させた後、母体となった多孔質金属を酸で溶
解して、多孔質構造を持つ窒素ドープグラフェン44)を作製。電子顕微鏡な
どを用いて、グラフェンが多孔質形状を持つことを確認した後(図1)、こ
のグラフェンを空気概、市販のマグネシウム合金板(AZ31)を金属概とし、
ポリアクリル酸ナトリウムゲルに1.0M食塩水を浸み込ませた固体電解質を用
いて、全固体マグネシウム空気一次電池を作製した(図2a)。


(a)全固体マグネシウム空気一次電池の構成模型図。
(b)全固体マグネシウム空気一次電池の実物と大気中での開回路電圧(1.
 86V)。
(c)窒素ドープ多孔質グラフェンと白金炭素を空気極として用いたときの
 放電速度依存性。
(d)窒素ドープ多孔質グラフェンと白金炭素を空気極として用いたときの
 放電曲線。赤い破線は全固体電池特性と比較するために液体電解液を用い
 て窒素ドープ多孔質グラフェン空気極として用いた電池の放電曲線。
(e)窒素ドープ多孔質グラフェンと白金炭素を空気極として用いたときの
 出力密度。
(f)窒素ドープ多孔質グラフェン空気極と先行研究で発表された空気極を
 比較した金固体マグネシウム空気一次電池の性能比較。
この電池について、まず、動作確認のため大気中で開回路電圧(電流を流さ
ない状態での電圧)を測定したところ、1.86Vの電圧を記録しました(図2b)
。次に基準触媒である白金炭素を空気極に用いた全固体マグネシウム空気一
次電池と性能を比較したところ、白金炭素と同等の放電速度依存性15)およ
び白金よりも長時間の放電曲線が得られました(図2c、d)。また、金属
概から溶出したマグネシウム量から計算した電気容量は840mA/gとなり、出力
密度(電池の単位体積あたりの出力)は、白金炭素を用いたものよりも1.3倍
近く高い値を持つことが明らかとなりました(図2e)。マグネシウム空気一
次電池に関する先行研究の結果と比較すると、本窒素ドープ多孔質グラフェ
ンを空気概に用いた場合に高い開回路電圧と出力密度を両立することが明確
になりました(図2f)。
圧力をかけて多孔質構造を潰した場合、放電時間は半分以下となり、起電力
も下がった。これにより、多孔質構造が空気の供給路になっていることが分
かった。電解液については、固体化したことで放電時間が長くなり、起電力
も高くなった。液体電解液(食塩水)を用いた電極は、表面が腐食し性能の
低下につながることが判明した。
【展望】
今後、貴金属を用いずに充電可能なマグネシウム空気二次電池の開発を行う・



図.ナノ粒子薄膜表面の亀裂の開閉動作と生体運動計測の実証
人差し指の曲げ角度(a)0度、(b)30度および(c)75度の写真。(d)反
射率スペクトルと指のまげ角度の相関。(e) 指の曲げ伸ばし運動の繰り返し
動作と反射率の変化。


酸化物半導体ナノ粒子薄膜を応用してコンパクトかつ非接触、非接続でひ
みが測れる光センサーシートを開発
10月13日、東京大学,神奈川県立産業技術総合研究所,宇都宮大学,科学技
術研究所は,自然界に存在する蜘蛛の脚関節の近くにある細隙器官に似た亀
裂の開閉動作を応用した新しい光センサーシートを開発。
【要点】
1.酸化物半導体ナノ粒子薄膜を応用してコンパクトかつ非接触、非接続で
 ひずみが測れる光センサーシートを開発
2.生体(蜘蛛)の脚関節近傍にある亀裂の開閉動作を表面プラズモン共鳴
 に応用することでひずみの光計測を可能にした
3.人の運動動作の認知や柔らかい材料に生じるひずみを計測できるフレキ
 シブル・ウェアラブル性能を持った光センシングやバイオミメティクス技
 術として期待できる
【概要】
光弾性法,光モアレ法及び熱弾性法などの応力やひずみ計測に向けた従来の
光学的手法は,複雑な構造体やリアルタイム計測に課題がある。 研究では,
透明導電膜として良く知られるSn添加In2O3(ITO)を用い,試料の引張試験
中に表面のITOナノ粒子薄膜に生じる微小な亀裂を表面プラズモン共鳴に応
用することで,塗るだけでひずみ計測が可能な新しい光センサーシートを作
製した。 20nm程度の粒子径を持つITOナノ粒子は,スピンコーティング法を
用いて超弾性体PDMSシート上に堆積させ,溶媒(トルエン)を蒸発させた。
PDMSシート上に作製されたITOナノ粒子薄膜は高い柔軟性を示す。 引張試験
中に生じたITOナノ粒子薄膜の表面形態を共焦点レーザー顕微鏡を用いて観
察。試料が引張りを受けると,ナノ粒子薄膜表面上に多数の亀裂が並行に形
成され,その密度はひずみに応じて増大した。 一方,この引張りを除荷す
ると,ITOナノ粒子薄膜の表面亀裂が消失し,亀裂が閉じる。このように,
ITOナノ粒子薄膜における亀裂の開閉動作が引張試験中に確認された。 引張
試験中のITOナノ粒子薄膜における光学特性と試料の応力分布の分光計測を
試料の中心位置で行なった。その結果,ITOナノ粒子薄膜における反射率変
化が試料に発生する応力と良い相関性があることが示された。 反射率変化
と応力との関係性をさらに検討に,丸い穴を持つPDMSシートを用いた引張試
験を実施。このような試料は,丸い穴の周辺に応力が集中し,シート面内に
不均一な応力分布を与える。
【成果】


図1.(a)スピンコーティング法を用いたITOナノ粒子薄膜の作製方法。(b)〜
(e)ナノ粒子薄膜の柔軟性を示す写真。異なる引張応力下におけるナノ粒
子薄膜表面の共焦点レーザー顕微鏡の写真。 図2に試料の引張試験中のITO
ナノ粒子薄膜における光学特性と試料の応力分布を示す。分光計測は試料の
中心位置で行い、試料に生じる応力分布は3次元有限要素法を用いて計算し
ました(図2a)。試料への引張りひずみが25%と50%の場合、反射率変化(
ΔR)に面内偏光性が観測されました(図2b)。また、有限差分時間領域法(
注12)を用いた3次元電磁界解析からも同様の光学的な振る舞いが確認さ
れた(図2c)。反射率変化の面内偏光性は、試料に発生した応力の面内方位
に一致した(図2d)。この結果は、ITOナノ粒子薄膜における反射率変化が
試料に発生する応力と良い相関性があることを示す。



図3.(a)円孔を持つ試料内の応力集中の概略図と(b)応力分布の理論的解析。
(c)反射率変化とミーゼス応力の相関。挿入図は、引張試験の繰り返し動作に
対する反射率の変化。最後に、ウェアラブル性能を評価するために、ゴム手
袋の人差し指第2関節部位上にITOナノ粒子薄膜を貼り付け、人差し指の屈伸
運動(曲げ伸ばし)に伴う反射率の変化を計測した(図4a - 4c)。指の曲げ
角度の増大(aの値の増大)と共に反射率の変化が観測され(図4d)、更に、
指の曲げ伸ばしの繰り返し運動に対して、反射率が可逆的に変化し(図4e)、
人の運動動作を計測することに成功した。このことにより、指の関節部位に
発生する応力と反射率変化の関係が示され、本研究において開発した光セン
サーシートのフレキシブル性能が実証された。
【展望】
開発されたひずみ光センシング技術により、ITOナノ粒子を試料表面に塗る
だけで、非電極・非配線下においてひずみ計測を可能にする光センサーシート
を開発した。構造物のひずみ診断から、ソフトマテリアルや生体運動の計測
に向けたフレキシブルおよびウェアラブルなひずみ計測に貢献できる。今後
は、ハイパースペクトルカメラの適用により、ひずみ領域の2次元的な可視
化計測への発展が期待される。
【関係技術情報】
〈雑誌〉ACS Applied Materials & Interfaces
〈題名〉Mechanically Induced Anisotropic Fragments in Sn-Doped In2O3
 Nanoparticle Films for Flexible Strain Sensing Based on Surface Plasmons
〈DOI〉10.1021/acsami.3c08862
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不眠症はどのくらい危険なのか
世界人口の10~30%が悩まされているという不眠症は、時間を気にすること
でさらに症状が悪化してしまうことや、長引くと集中力や学習能力が低下し
てしまうことが指摘されているろいうので、そんな不眠症について、フリン
ダース大学のSleep Healthの研究者が解説していた。というのもここ2週間
デスクワークと登山で、睡眠が不規則で過労と気候変動影響で自律神経が不
銚となり。この報告に目を通した。睡眠にはサイクルがあり、記憶の整理や
定着を行う「レム睡眠」と、大脳や肉体を休めるための「ノンレム睡眠」が
、約90分周期で変動します。レム睡眠は浅い眠り、ノンレム睡眠は深い眠り
であり、人間は睡眠時にこのレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルを、4~5回
規則的に繰り返す。それによると、睡眠時に何度も目を覚ましてしまうこと
を「病気の兆候なのでは」と考えてがちだが、年齢を重ねるにつれて人間の
睡眠は自然と浅く・短くなっていくため、「夜間に目覚めてしまうことが人
体に悪影響をおよぼすことはない。基本的に、不眠症と診断されるのは夜間
に目覚めてしまうほかに、日中に疲労・認知障害・軽度のうつ病・過敏症・
苦痛・不安といった症状を経験している場合のみ異常だと診断されるという
結論的には不眠症が人体に悪影響は及ぶことはないとのこと。
via How dangerous is insomnia? How fear of what it's doing to your body can wreck
         your sleep, 

結果、適度な睡眠、休憩、運動、過労(ヘビーなピーシー作業)の会費とい
うことに。

■ 今夜の一冊
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なぜ時間は存在しないのか
The End of Time:The Next Revolution in Physics
Barbour,Julian  バーバー,ジュリアン【著
/川崎秀高 / 高良富夫【訳】
青土社 2020/02 発行
46 20 ISBN: 9784791772490 KCN: 1039259263
紀伊國屋書店 
【内容】ヘラクレイトス、パルメニデス、ガリレオ、ニュートン、アインシ
ュタインからジョン・ホイーラー、ロジャー・ペンローズ、スティーヴン
・ホーキングまでの時間の考え方を俯瞰しアインシュタインの唱えた時空連
続体の概念に疑念を投げかけ、現代物理学のパラドックスの一つである相対
性理論と量子力学のあいだの隙間を埋め、現代物理学に革命を起こす画期の
書。現代物理学に革命を起こす理論の全貌。私たちがまわりで起こっている
と感じているものは、時間でなく変化である。時間は存在しない。あるのは
無数の宇宙が同時に存在しているだけで、時間は私たちの錯覚にすぎない
ヘラクレイトス、ガリレオ、ニュートン、アインシュタインからロジャー・
ペンローズ、スティーヴン・ホーキングまでの時間の考え方を俯瞰し、アイ
ンシュタインの唱えた時空連続体の概念に疑念を投げかけ、現代物理学のパ
ラドックスの一つである相対性理論と量子力学のあいだの隙間を埋めた現代
物理学に革命を起こす理論の全貌。
【目次】 
第1部 単純な語での大きな見取図(最大の謎;タイム・カプセル;無時間
 の世界)
第2部 目に見えない枠組みと究極の劇場(二者択一的な枠組み;ニュート
 ンの証明;天空の二つの巨大な時計;プラトニアの中のパス)
第3部 一般相対性理論の深部構造(青天の霹靂;魔術師ミンコフスキー;
 一般相対性理論の発見;一般相対性理論―無時間の概念)
第4部 量子力学と量子宇宙論(量子力学の発見;より小さい謎;より大き
 な謎;想像の規則;「あのダメだと判定された方程式」)
第5部 無時間宇宙の歴史(無時間の哲学;静的な動力学とタイム・カプセ
 ル;隠れている歴史と波束;記録の創造;多くの瞬間の解釈;時間の出
 現とその矢) 
【著者概略】
Barbour,Julian  バーバー,ジュリアン:1937年、イギリス生まれ。量子重
力理論と科学史の専門家。ケルン大学卒業後、物理学の基礎的な研究に取
り組む。
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 風蕭々と碧い時












John Lennon Imagine  

  

Lawrence of Arabiaアラビアのロレンス」

 ● 今夜の寸評: 優勝は?!タイガース vs バッッファローズ

自在行動概論 ②
パレスチナ問題とは
2023年10月7日、ハマス側からイスラエルに2000発のミサイルが発射された。
イスラエルは報復としてガザ地区を空爆。また、10月9日にはイスラエルと
パレスチナ両方で死者が約1200人、12日には2700人超となった。 このよう
に、イスラエルとパレスチナの紛争(イスラエルとパレスチナのふんそう、
英語: Israeli–Palestinian conflict)は、イスラエル人とパレスチナ人の間で続
いている暴力的な闘争である。イスラエルとパレスチナの和平プロセスの一
環として、この紛争を解決するためにさまざまな試みが行われてきた。「世
界で最も解決が難しい紛争」とも呼ばれている。
そもなにが原因なのであろうか?まず、それを手繰っていく。

1897年の第1回シオニスト会議や1917年のバルフォア宣言など、パレスチナに
ユダヤ人の祖国を作るという主張が公に宣言されたことで、この地域は初期
の緊張状態にあった。当時、パレスチナには少数派のユダヤ人が住んでいた
が、アリーヤーによって人口は増加した。1917年のバルフォア宣言では、「
パレスチナにユダヤ人のための国民の家を建設する」というイギリス政府の
拘束力を含むパレスチナ委任統治が実施された後、緊張はユダヤ人とアラブ
人の宗派間の対立に発展した。この初期の紛争を解決しようとする試みは、
1947年の国連パレスチナ分割決議と1948-1949年の第一次中東戦争をもたら
す結果となり、より広範な中東戦争の始まりとなった。現在のイスラエルと
パレスチナの関係は、1967年の第三次中東戦争でイスラエル軍がパレスチナ
自治区を占領したことで始まった。via jp.Weikipedis

長期にわたる和平プロセスにもかかわらず、イスラエル人とパレスチナ人は
最終的な和平合意に達することができなかった。1993年から1995年にかけ、
オスロ合意により、二国家解決に向けて前進したが、現在、パレスチナ人は
ガザ地区とヨルダン川西岸地区の165の「島」において、イスラエルに軍事的
占領されている。さらなる進展を妨げている主な問題は、国家安全保障、国
境、水利権、エルサレムの支配、ユダヤ人入植地[7]、パレスチナ人の移動
の自由[8]、パレスチナ人の帰還権である。世界中の歴史的、文化的、宗教
的に重要な場所が数多く存在するこの地域での紛争の暴力性は、歴史的権利、
安全保障問題、人権などを扱う数多くの国際会議のテーマとなっており、激
しい争いが繰り広げられている地域への観光や一般的なアクセスを妨げる要
因となっている。1948年にイスラエルが建国された後、パレスチナの独立国
家がイスラエルと並行して設立されるという、二国家間の解決策を仲介する
試みが数多くなされてきた。2007年、多くの世論調査で、イスラエル人とパ
レスチナ人の大多数が、紛争解決の手段として、他の解決策ではなく二国家
間の解決策を選んだ。

イスラエルとパレスチナの社会では、紛争はさまざまな意見や見解を生み出
している。このことは、イスラエル人とパレスチナ人の間だけでなく、それ
ぞれの社会に存在する深い溝を浮き彫りにしている。紛争の特徴は、ほぼ全
期間にわたって繰り広げられてきた暴力の数々である。戦闘は、正規軍、準
軍事組織、テロ集団、個人によって行われた。犠牲者は軍人に限らず、双方
の民間人にも多数の死者が出ている。この紛争には、著名な国際機関が関与
している。ユダヤ人の大多数は、パレスチナ人の独立国家建設の要求を正当
なものと考え、イスラエルもそのような国家の設立に同意できると考えてい
る。ヨルダン川西岸地区とガザ地区に住むパレスチナ人とイスラエル人の大
多数は、二国家間の解決を望んでいる。基本的な問題をめぐって相互不信と
大きな意見の相違があり、最終的な合意に向けて相手側が義務を果たすこと
に両者は懐疑的な見方をしている。
                           この項つづく

                                                                                                                                                                                                                           

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自在行動概論 ①

2023年10月20日 | 時事書評

 

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。


  Part 1 Chapter 9

  そう、人々はそこでは影を連れて生きていた。
  この街では人は影を持たない。影を棄てたとき初めて、それが確か
 な重さをそなえていたことが実感される。普段の生活で地球の重力を
 実感することがまずないのと同じように。
  もちろん影を棄てるのは簡単なことではない。どのようなものであ
 れ、長い年月を共に過ごし、慣れ親しんできた相手と引き離されるの
 は、やはり心乱されることだ。この街にやって来たとき、私は入り口
 で門衛に自分の影を預けなくてはならなかった。
  「影を身につけたまま壁の内側に足を踏み入れることはできない」、
  門衛は私にそう告げた。「こちらに預けるか、街に入るのを諦める
 かどちらかだ」
  私は影を棄てた。
  門衛は私を暖かい日向の中に立たせ、私の影をぐいと掴んだ。影は
 怯えてぶるぶると震えた。
  門衛は影に向かってぶっきらぼうな声で言った。「大丈夫だ。怖が
 ることはない。何も生爪を剥がそうってわけじゃないんだ。痛みはな
 いし、すぐに終わる」
  影はそれでも少しばかり抵抗を見せたが、剛健な門衛にかなうわけ
 
はなく、すぐに私の肉体から引き剥がされて力を失い、そばにあった
 木のベンチにずるずるとしゃがみ込んだ。身体から離された影は、思
 ったよりずっとみすぼらしく見えた。脱ぎ捨てられた古い長靴みたい
 に。門衛は言った。「いったん別々になっちまうと、ずいぶん奇妙な
 見かけのものだろう。これまで後生大事にこんなものを身にくっつけ
 ていたなんてな」
  私は曖昧な返事をした。自分の影をなくしてしまったという実感が
 、まだうまく持てない。
 「影なんて実際、なんの役にも立ちゃしないんだ」と門衛は続けた。
 「これまで影が何かすごく
  あんたのためになったって覚えはあるかい?」
  覚えはなかった。少なくとも即座には思い出せない。
  「そうだろう」と門衛は得意そうに言った。「そのくせ口だけは一
 人前に達者ときている。あれはいやだとか、これならまあよかろうだ
 とか、自分一人じゃ何もできんくせに、小理屈だけはたんまり持ち合
 わせている」
  「私の影はこれからどうなるんですか?」
  「こちらでお客として大事に預かっておくよ。部屋も寝床も用意が
 あるし、豪華なディナーとはいかないが、食事も三食ちゃんと出して
 やる。まあ、たまに仕事も手伝ってもらうが」
  「仕事?」と私は言った。「どんな仕事ですか?」
  「ちょっとした雑用さ。主に壁の外での仕事だが、大した作業じゃ
 ない。林檎をもいだり、獣の世話をしたり・・・・季節によって少し
 ずつ違う」
  「もし私が影を返してもらいたいと思ったときは?」
  門衛は目を細め、じっと私の顔を見た。まるでカーテンの隙間から
 無人の室内を検分するみたいに。そして言った。
 「ずいぶん長いことこの仕事をしているが、自分の影を返してもらい
 たいと申し出る人間にはまだお目にかかったことがない」
  私の影はおとなしくそこにしゃがみ込んで、私の方を見ていた。何
 かを訴えかけるように。
  「心配するこたないさ」と門衛は私を力づけるように言った。「あ
 んたも影のない生活にだんだん馴染んでいく。自分が影を持っていた
 ことなんてそのうち忘れちまうさ。そういえばそんなこともあったっ
 けなあ、みたいにな」
  影はしゃがみ込んだまま、門衛の言葉に耳を澄ませていた。私は後
 ろめたさを感じないわけにはいかなかった。やむを得ないこととはい
 え、自分の分身を見捨てようとしているのだから。
  「街の出入り口は今ではこの門ひとつしかない」、門衛はむっくり
 した指でその門をさして言った。「いったんこの門をくぐって中に入
 ったものは、二度とこの門から外に出ることはできない。
  壁がそれを許さない。それがこの街の決まりだ。署名したり血判を
 押したり、そんな大層なことはしないが、なおかつまぎれもない契約
 だ。そいつは承知しているね」
  わかっている、と私は言った。
 「そしてもうひとつ。あんたはこれから〈夢読み〉になるわけだから、
 〈夢読み〉の眼を与えられることになる。これも決まりだ。眼の具合
 が落ち着くまで、いくらか不便な思いをするかもしれない。それもわ
 かっているね」
  そうして私は街の門をくぐった。自分の影を棄て、〈夢読み〉の
 傷ついた眼を与えられ、二度とその門をくぐらないという暗黙の「契
 約」を結んで。 
  その街では(かつて私の暮らしていた街では)、誰もが影を引きず
 って生きていたよ、と私は君に説明する。影は光のあるところでは人
 (本体)と行動を共にし、光のないところではそっと姿を隠す。そし
 て真っ暗な時間がくれば、共に眠りに就く。しかし人と影が引き離さ
 れることはない。目に見えるにせよ見えないにせよ、影は常にそこに
 いる。
  「影は何か人の役に立っているのですか」と君は尋ねる。
  わからない、と私は言う。
 「なのに、どうしてみんなは影を棄てないの?」
 「棄て方を知らなかったということもある。でももし知っていたとし
 ても、たぶん誰も影を棄てたりはしないだろうね」
  「それはどうして?」
  「人々は影の存在に慣れていたから。現実に役に立つ立たないとは
 関わりなく」 もちろんそれがどういうことなのか、君には理解でき
 ない。中州にまばらに繁った川柳の▽不の幹には、古びた木製のボー
 トが一般ロープで繋がれ、流れがそのまわりで軽やかな音を立てていた。
  「私たちは物心がつく前に影を引き剥がされる。赤ん坊のへその緒
 が切られるみたいに、幼児の乳歯が生え替わるみたいに。そして切り
 取られた影たちは壁の外に出される」
  「影たちは外の世界で、自分だけで生きていくんだね?」
  「だいたいは里子に出されるの。なにも荒野の真ん中にぽいと棄て
 られるわけじゃありません」「君の影はどうなったのだろう?」
  「さあ、それはわかりません。
  でももうずっと前に死んでいるはずよ。本体から離された影は、根
 を持たない植物のようなもの。長くは生きられないから」
  「君はその影に会ったことはないんだね?」
  「私の影に?」
  「そう」
  君は不思議そうに私の顔を見る。そして言う。「暗い心はどこか遠
 いよそにやられて、やがては命を失っていきます」
  私と君は並んで川沿いの道を歩く。風が思いついたように川面を時
 折吹き抜け、君は両手でコートの襟を合わせる。
  「あなたの影も遠からず命を落とすでしょう。影が死ねば暗い思い
 もそこで消え、あとに静寂が訪れるの」
 君が□にすると、「静寂」という言葉は限りなくしんとしたものに聞
 こえる。
  「そして壁がそれを護ってくれるんだね?」
  彼女はまっすぐ私の顔を見る。「そのためにあなたはこの街にやっ
 て来たのでしょう。ずっと遠くのどこかから」
  「職工地区」は旧橋の北東に広がるさびれた地域だ。かつては美し
 い水をたたえていたという運いぶん長い年月が経つのに、そこにはま
 だ湿った空気の記憶が残っている。
  そんな人気のない暗い工場地域を抜けたところに、職工たちの共同
 住宅が建ち並ぶ一画がある。
 今にも崩れ落ちてしまいそうな外見の、二階建ての古い木造住宅だ。
 その住宅に住む人々はひとまとめに「職工」と呼ばれているが、実際
 に工場で働いているわけではない。それは今では実体を伴わない、た
 だの慣習的な呼称となっている。工場はとうの昔に操業を停止してい
 たし、建ち並ぶ高い煙突は煙を出すことをやめていた。
  建物の間を迷路のように巡る狭い舗道の敷石には、幾世代にもわた
 る人々の生活から発せられた様々な匂いや響きが浸み込んでいる。す
 り減って平たくなった石の上を歩きながら、私たちの靴底は足音さえ
 立てない。そんな迷路のある地点で君は急に歩みを止め、振り返って
 私に言う。
  「送ってくれてどうもありがとう。家までの帰り道はわかりますか
 ?」「たぶんわかると思う。いったん運河に出てしまえば、あとの道
 は簡単だから」
  君はマフラーを巻き直し、私に向かって短く肯く。そしてくるりと
 背中を向け、どれがどれか見分けのつかない暗い木造住宅のひとつの
 戸口に、素迷い足取りで吸い込まれていく。
  私は二つの屹立した感情の狭間を抜け、ゆっくり歩いてうちに帰る。
  この街で自分はもうひとりぼっちではないという思いと、それでも
 自分はどこまでもひとりぼっちなのだという思いとの間を。私の心は
 そのようにまっすぐ二つに裂かれている。川柳の抜が密かな音を立て
 て揺れる。

広大な砂漠の表面にかれた文字が形や色彩を帯び、2.5次元状に部分的に
分散的に物語が展開し始めたように、立ち上がっている予感に包まれてい
る。「これならもう少し読み続けてみよう。」と思う。
                          この項つづく
                   


   



再エネ革命渦論 180: アフターコロナ時代 181
技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中 ㊿



世界初! 水溶液中で有機半導体を精密ドーピング
10月18日、物質・材料研究機構(NIMS),東京大学,東京理科大学は,真
空や窒素雰囲気を扱う特別な設備を用いずに,有機半導体を水溶液中で精
密にドーピングする基盤技術を世界で初めて開発
【概要】
1.真空や窒素雰囲気を扱う特別な設備を用いずに、有機半導体を水溶液
 中で精密にドーピングする基盤技術を世界で初めて開発。この技術の極
 めて重要なブレークスルーは、これまで見過ごされてきた「水」を利用
 するというパラダイムシフト。
2.半導体デバイスの製造にはドーピング処理が不可欠。有機半導体の化
 学ドーピングには酸化還元試薬が使われている。効果的な酸化還元試薬
 ほど水や酸素と反応しやすいため、真空中や窒素雰囲気で試薬を扱う特
 別な設備が必要。さらに、こうした設備を用いてもドーピング量の精度
 や再現性は低い。これらは有機半導体の産業応用に対して大きな障壁と
 なっていた。
3.大気下・水溶液中でのベンゾキノンとヒドロキノンの酸化還元反応を
 利用した化学ドーピング技術を開発。この反応の傾向は、pHで表される
 酸性度によって調節。これは光合成の電子伝達系などで活用されている
 機構です。有機半導体薄膜をベンゾキノン、ヒドロキノンと疎水性陰イ
 オンの水溶液に浸すと化学ドーピングが生じた。ドーピング・レベルは
 水溶液のpHによって変化し、電気伝導度は約5桁の広範囲にわたって正
 
かつ一貫して制御でぃた。
4.有機半導体は柔軟、軽量であり、インクジェットなどの低コスト印刷
  プロセスに適した材料です。本技術により、フィルム状のセンサーや電
  子回路、ディスプレイ、太陽電池といったフレキシブルデバイスの産業
  応用が促進されると期待。本技術を用いたフィルム型pHセンサ原理も実
  証り、ヘルスケアやバイオセンシングへの展開も期待される。
【掲載論文】
題目 : Doping of molecular semiconductors through proton-coupled electron
    transfer
著者 : Masaki Ishii, Yu Yamashita, Shun Watanabe, Katsuhiko Ariga, Jun Takeya
    雑誌 : Nature
掲載日時 : オンライン掲載 10月12日0時 (日本時間) / 紙面掲載 10月12日発行
号 (Vol. 622, Issue 7982) DOI : 10.1038/s41586-023-06504-8

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図1.PTMSP コーティングされたリチウム箔の SEM 特性評価。
すべての画像は、PTMSP (オレンジ) とリチウム (青/グレー) の間のコン
トラストをより明確に示すために疑似カラーで表示。
a) 低倍率および高倍率での PTMSP コーティングの上から見た画像。 コー
ティングは均一で、欠陥やピンホールはない。
b) 射出ブレードを使用して作製した PTMSP@Li の断面図。 コーティング
は薄く(約 1 μm)、均一であることが観察。
c) PTMSP@Li の 3 点曲げテスト。 コーティングはリチウムによく付着し
ており、破断や層間剥離は発生していないことが観察。
d) PTMSP@Li は、層間剥離や亀裂に抵抗しながら、Li の亀裂の上に伸び
ているのが観察されます。 これらの画像は、PTMSP コーティングの堅牢な
性質と親リチウム性を示す。

実用的な低N/P比リチウム金属電池用のナノ多孔質選択透過性ポリマー塗膜

A Nanoporous Permselective Polymer Coating for Practical Low N/P Ratio Lithium
Metal Batteries
First published: 04 September 2023
https://doi.org/10.1002/adsu.202300231
【要約】
リチウム金属電池、特にリチウムと硫黄の化学組成は、潜在的に重量貯蔵
密度が増加し、遷移金属依存度が低下する特徴があり、エネルギー貯蔵性

が注目(資源需要、単位コスト逓減)されている。  リチウムのコストの
上昇とリサイクル選択肢の欠如は、サイクル安定性の悪さが問題である。
この研究では、親液性超ガラス質ナノ多孔質PTMSPポリマーセパレー
タをリチウムアノード上への直接鋳造法について解説、PTMSP の二峰性
のサブオングストローム細孔径分布により、ポリスルフィド種が選択的に
除去。その一方で、その高い自由体積分率は、堆積されたリチウムの安定
化マトリックスとして機能し、8.8×10-4 Scm-1 の高いイオン伝導率を備え
ている。コーティングされたアノードは、対照に比べて 5.7倍高いリチウ
ム密
を示し、実用的な硫黄負荷での、容量保持率の向上と、低い (N/P
比でのリチウム利用率の向上によるサイクル寿命の延長 (> 250 サイクル)
による耐久性を向上。(4 mg cm-2)。 これらは、リチウム硫黄電池やその
他の金属リチウムシステムのより広範な用途の拡大を約束する。


図2.未処理の Celgard (黒) と PTMSP コーティングされた Celgard (オ
レンジ) の誘電率と時間をプロットしたグラフ。
LiPS は、PTMSP でコーティングされたセパレーターよりも 3.8 倍速く、
裸のセパレーターを通して拡散します。 ここでは、PTMSP のポリスルフ
ィド制御特性が実証されており、これにより副反応の発生が減少し、容量
保持率が向上する。
               - 中 略 -
2.5 フルセル
PTMSP@Li アノードは、高硫黄含有量 (4 mg cm-2 のカソードを 0.2C の
速度で 250 サイクルを超えるサイクルで使用を可能にする。 厚さ100μm
の Li 箔、カーボンコーティングされたガラス繊維中間層、PPセパレータ
ー、複合カーボン陰極、および 80 μLの電解液を使用してセルを構築し、
E/S 比 20、N/P 3 を実現。 PTMSP@Li セルは、275 サイクルにわたり容量
保持率が向上。 両方のセルの初期容量は約 950 mAh g-1 で同等だが、250
サイクル後、対照セルの容量は 426 mAh g-1 減少。対照的に、PTMSP@Li
セルは 666 mAh g-1 の容量を示。2つのセルの充電曲線と放電曲線を比較
すると、PTMSP の容量損失防止メカニズムが推測できる。図 5b、cは、サ
イクル 200 での PTMSP@Li セルとコントロール セルの充放電曲線の比較
を示す。放電中、次の反応経路に従って元素 S8 が Li2S4 に還元され、
初期プラトー (2.4 ~ 2.3 V) が発生する。


図5.サイクリング後の PTMSP@Li (a、c、e、g) とコントロール (b、d、
f、h) の両方のアノードの SEM 複合画像。 アノードの光学画像では、b)
に鋼製集電体が観察される裸のパッチが明らかになり、完全なリチウムの
消費/損失が示す。 複合 SEM 画像をつなぎ合わせて高解像度マップを作成
した (c、d)。 後方散乱電子 (BSE) 検出器を使用して、相の相対密度をア
ノードの組成に関連付けた。 対照 (h) の場合、BSE で見える高コントラ
ストの領域は、リチウムが完全に消費されたアノードの領域を示す。 より
明るく密度の高い相は、鋼製集電体であると推測される。苔状の高表面積
リチウム堆積物と組み合わせると、対照アノードが大幅に劣化しているこ
とは明らかです。 PTMSP@Li アノード (b) は、比較すると劣化が少なく、
かなり多くのリチウムはまだ無傷。 各サンプルの析出リチウムの形態も異
なる。パネル (c) と (f) は、異なる位相が異なる色で識別された疑似カ
ラー画像。 オレンジ = スチール集電体、緑 = 高表面積リチウム、紫 =
コンパクト リチウム、黄色 = PTMSP。 偽色のない画像 (e) と (f) は、
図 S9 (サポート情報) で確認できる。



図6.a) PTMSP によるリチウム成長に対する物理的閉じ込め効果の説明
上: PTMSP@Li の場合、
1) ナノ多孔質で曲がりくねった PTMSP により、リチウムが剥離およびメ
ッキされるサイトの数が増加し 2) 多数のリチウム樹枝状結晶が、ナノ多
孔性により利用可能なより低いインピーダンス経路に沿って PTMSP 層を
通って均一に伝播します。 リチウムの成長は成長中に物理的に閉じ込め
られ、浮き上がりをが防止。 3) 多くのリチウム樹枝状結晶が PTMSP の
表面を破壊しますが、PTMSP マトリックスの物理的閉じ込め効果により壊
れません。 4) 豊富な低インピーダンスのメッキ部位により集電体に固定
された PTMSP の上に高密度で均質なリチウム層が形成される。

下: コントロール
) の場合、不均一な剥離によりピットと低インピーダンスの核生成サイト
が形成されます。 2)では、リチウムが低インピーダンス部位に優先的に
めっきされ、デンドライトが形成されます。 3) 脆弱性はデンドライトの
長さに沿って先細りになり、4) リチウムがバルクから分離し、電子的に
孤立した「失活」リチウムが形成される。 b) 電池のサイクル寿命に対す
る閉じ込め効果の反復効果が強調されており、対照電池ではサイクル数が
増加するにつれてより多くの死んだリチウムが発生。対照的に、ナノ多孔
性によってもたらされる多数の核形成サイトにより PTMSP@Li で起こる高
密度のリチウム析出は、セル内の電気活性リチウムの量を増加させ、時間
の経過とともに相対的な曲がりを減少させます。サイクル数の増加は、「
失活」リチウムの体積の増加による電気活性リチウムの量の減少を伴い、
その結果、供給可能な総アノード容量が減少する。 PTMSP の場合、メッキ
されたリチウムはバルクに固定され、電気活性を維持し、アノード容量を
より長く保持する。



図7.コイン電池の同様のアノード処理 (BTB = 3,5-ビス(トリフルオロメ
チル)チオフェノール、PDMS = ポリジメチルシロキサン、Li-Nafion = リ
チウム化ナフィオン、PVDF = ポリフッ化ビニリデン) と比較した PTMSP@Li
の性能測定基準。a) 過剰なリチウムの割合。 b) 報告されたサイクル数。
c) カソードの硫黄負荷。 d) 最終サイクルの容量。
                              以上


Ru複核錯体を光触媒にCO2をCOへ還元 
10月19日、筑波大学の研究グループは,Ru複核錯体を,自己光増感能を有
する光触媒として用い,高選択的に燃料や化学品の原料となる一酸化炭素
(CO)を与える高効率な光触媒的CO2還元反応を開発した。 光触媒として
Ru複核錯体を含むジメチルアセトアミド/H2O混合溶媒に犠牲還元剤を加え,
1気圧のCO2雰囲気下,中心波長450nmの光を10時間照射した結果,加えた犠
牲還元剤と基質であるCO2がすべて消費され,COが99%以上の選択性で生成
ていることが確認された。 また450nmにおける量子収率は,最大で19.7%と
決定できた。気相中の初期CO2濃度を1.5%まで下げても,このRu複核錯体に
よる光触媒的CO2還元反応は高効率に進行し,加えたCO2をほぼすべてCOに
変換できることが示された。 今回の実験条件で最も低いCO2濃度は1.5%だ
ったが,今後は,Ru複核錯体の分子設計をより精密に最適化して触媒活性
を高め,大気中のCO2濃度レベル(およそ420ppm)でも,高効率に触媒的
CO2還元反
応が進行する反応系を創出する予定だという。

【掲載論文】
Self-Photosensitizing Dinuclear Ruthenium Catalyst for CO2 Reduction to CO
CO2をCOに
還元するための自己光楠言能を有するルテニウム快技錯体触媒
JoumaloftheAmerican Chemical Society
DOI:10.1021/jacs.3c07685




プロトン伝導セラミック燃料電池の発電性能が飛躍的向上

10月13日、横浜国立大学・産総研・宮崎大学の研究グループは、ロトン伝
導セラミック燃料電池(PCFC)の内部短絡を抑えることで、発電性能を大
幅に向上させ、また、実験データを再現できる計算モデルも構築する。
家庭用発電機として普及が進む固体酸化物形燃料電池(SOFC)などに比べ
PCFCは理論的に高い発電効率が得られるというが、電解質がプロトンだけ
でなく、正孔を伝導して内部短絡をするため、発電効率が低下するなどの
課題もあった。こうした影響を計算によって正確に評価することもこれま
では難しい。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める「燃
料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事
業」の委託を受け、内部短絡を抑制できるPCFCの開発や、計算モデルの構
築に取り組む。
【要点】
1.高性能で化学的に安定したCeフリーPCFCを製造
2.欠陥濃度分布と 反応過電位を考慮したモデル
3.デルは、さまざまな条件で測定された i-V 曲線によって十分に検証
4.穴の漏れと電極の損失が体系的かつ正確に評価する。
5.検証済みモデル .0 W・cm-2電力、70%のエネルギー効率が達成可能
   である。


【掲載論文】
掲載誌:Energy Conversion and Management
論文タイトル:Ultra-elevated power density and high energy efficiency of proto-
nic ceramic fuel cells: numerical and experimental results

著者:李 坤朋、島田 寛之、奥山勇治、水谷 安伸、荒木 拓人
DOI: 10.1016/j.enconman.2023.117678

半導体デバイスの製造にはドーピング処理が不可欠。有機半導体の化学ドーピ
ングには酸化還元試薬が使われる。 効果的な酸化還元試薬ほど水や酸素と反
応しやすいため,真空中や窒素雰囲気で試薬を扱う特別な設備が必要だった。
さらに、こうした設備を用いて
もドーピング量の精度や再現性は低い状況にあっ
たが、これらは有機半導体の産業応用に対し大きな障壁となっていた。 今回研
究グループは、水溶液中で有機半導体を精密ドーピングする世界初の技術を開
発し,重要なマイルストーンを達成。これは、ベンゾキノン(BQ)とヒドロキノン(H
Q)のプロトン共役電子移動(PCET)反応を利用することで達成。


図1. (左) 開発した化学ドーピング手法のメカニズム。(i) PCET 試薬BQ/HQ と
疎水性陰イオンTFSI−  の水溶液に高分子半導体PBTTT 薄膜を浸します。(ii)
PCET による酸化還元反応とTFSI−の導入が生じます。  (iii) ホールとTFSI−が
PBTTT 薄膜に導入された状態になります。  (右) PBTTT 薄膜の色と電気伝導
度のドーピング水溶液pH に対する依存性。

まず、.この技術ではまず、BQ,HQと疎水性陰イオン(TFSI−)の水溶液を用意、
そのHを調整する。続いて、この水溶液に有機半導体薄膜を浸す。有機半導体
としてはインクから簡単に製膜できる高分子半導体PBTTTを用いた。 BQは2つ
の電子をPBTTTから,2つの水素イオンを水溶液から受け取ることで,HQへと変
化する。
この反応はpHが低い,すなわち水素イオン濃度が高いほど促進される。 BQとの
反応によってPBTTTには電気伝導を担う正電荷のホールが注入され,また,TF
SI−も水溶液中から電気的に引き付けられて導入される。これによって化学ドーピ
ングが完了する。 この方法では,水溶液のpHを調整することにより,薄膜の電
気特性を正確に制御することができた。pHが1から4までの水溶液では,PBTTT
薄膜の色はpHに依存して変化し,電気伝導度は約5桁にわたって制御された。


【展望】
この結果は,この技術が電子デバイスの製造に十分なドーピング制御を提供で
きることを強調る。 有機半導体は柔軟,軽量であり,インクジェットなどの低コス
ト印刷プロセスに適した材料。研究グループは,この技術により、フィルム状の
センサーや電子回路,ディスプレー,太陽電池といったフレキシブルデバイスの
産業応用が促進されるとする。 また,この技術を用いたフィルム型pHセンサー
の原理も実証しており、ヘルスケアやバイオセンシングへの展開も期待されると
している。 


大面積ペロブスカイト-シリコンタンデム型太陽電池で効率 25.1% 達成
24 cm2 のペロブスカイト - シリコン タンデム太陽電池を作成。正孔輸送層とペロ
ブスカイト吸収体の間にフッ化リチウム中間層を配置し、シャント損失を低減。 ノ
ースカロライナ大学の研究者らは、大面積ペロブスカイトシリコンタンデム型太陽
電池で25.1% 効率達成。
ペロブスカイト太陽電池技術を小面積のセルから大面積のデバイスにスケール
アップ時のシャント克服をめざす。 シャントは、太陽光で生成された充電の代替
経路作成し電力損失となる。 シャント抵抗低下は、ホットスポットや電位による劣
化など、さまざまな形のモジュールの劣化や故障に関連。
ポリトリアリールアミン(PTAA)でできた正孔輸送層(HTL)とワイドバンドギャップ
(WBG)ペロブスカイト吸収体の界面にフッ化リチウム(LF)中間層を配置した24
cm2のタンデムセルを構築。 この中間層は、埋め込み界面での物理的接触を改
善し、シャントを軽減する重要な要素である。 ブレード コーティングで、 PTAA お
よび WBG ペロブスカイト層を堆積。 「実質的空隙との次善界面接触は分路機能
する可能性がある。「LiF中間層は界面ボイドの形成を回避することがわかった
が、LiF中間層とのエッチングされたタンデムのシャントを減少させる理由の1つ
であると考えられいる。



タンデムセルの他の層をスパッタリング、熱蒸着、原子層堆積(ALD)によって堆
積させた。 また、ボトムセルの3 つの異なる構成をテストし、以下を使用すること
を選択した。 標準照明条件下でテストした 24 cm2 タンデムセルは、効率 25.2%、
開放電圧 1.89 V、短絡電流密度 18.1 mA/cm2、曲線因子 0.736 を示した。
文献報告されている面積が10cm2を超える最も効率的な2端子タンデムデバイス
の1つである。最新の「Cell Reports Physical Science 」に掲載された「効率的な大
面積ペロブスカイト - シリコン タンデム太陽電池に向けたシャント緩和」でタンデ
ム セル技術を紹介。
via pv magazine International October 13, 2023

✔  材料・材質のナノテク技術の著しい進展は言うぬ及ばずである。



眼に装着する究極のディスプレー ホログラムの可能性
現在,表示部や光源,バッテリーなどをさらに小型化し、普通の眼鏡と大
きさや
外観が変わらないようなスマートグラスの研究開発が進められてい
るが、究極
的には眼鏡に頼らず、眼球に直接装着できるスマートコンタク
トレンズが実現で
きれば、こうした問題は解決できる。
コンタクトレンズディスプレーの開発は2011年,ワシントン大学がコンタ
クトレンズの中に1個のLEDとアンテナを配置し,無線給電で光らせるとい
う論文を発表しました。恐らくこれが最初の研究です。その後,写真だけ
ですがLEDの数を8×8にしたり,ウサギの目に入れたりした報告もある。
この研究者はGoogleに移って開発を続けたが、ディスプレーにするのは難
しかったようでヘルスモニタリングに舵を切り,コンタクトレンズにグル
コースセンサーを取り付ける。

2013年にはベルギーのゲント大学から液晶素子を入れたコンタクトレンズが発表
され、マトリクス電極ではなく,実はドル型の1ピクセルなので映像と言えるか微
妙。開発した人はその後IMECに移り,やはりディスプレーは難しいということで、
スマートコンタクトレンズとして人工虹彩や多焦点レンズを搭載する方向に向って
いる。
このように,コンタクトレンズディスプレーの実現は難しいと思われてい
たが、2020
年アメリカのベンチャーMojoが,「Mojo vision」いうコンタクト
レンズディスプレー
をCESで発表して大きな話題となる。14,000 dpi,解像度約
256×256のマイクロLEDディスプレーは0.5 mm角の六角形と小さく、目の前にあ
っても気にならないという。画像も小さいが,目の動きに合わせて画を切り
替えて大きな画像の表示を実
現するという。回路をディスプレーの周囲に
丸く作りこむ必要があるが,これは共
同開発するメニコンの強膜コンタク
トレンズという厚さが
5 mmくらいある特殊なコンタクトレンズの中に入れ込む。

風蕭々と碧い時












John Lennon Imagine  




 ● 今夜の寸評: 阪神勝ちそう(CS)

自在行動概論 ①
仏教では、あらゆる束縛から解き放された境地を「自由」 といい、また
悟りの境地」ともいう。他の人やものに影響や支配を受けることなく、
安らかな境地をいう。自由であれば、自分の思うままになれるので、これ
を「自在」 という。仏や菩薩はそのような力を具えているので、仏のこ
とを自在人といい、観世音菩薩のことを観自在菩薩という。その自在の力
には、世の中を見抜く自在、説法、教化をなしうる自在、自由に種々の国
土に生まれ、国土を清浄にする自在、寿命を伸縮できる自在など、種々の
自在が説かれているという。自由自在とは、何ものにもとらわれることの
ない、のびのびとした安らかな心身の境地と、そこから現れる、とらわれ
のないはたらきをいう。
尚、観自在菩薩は、別名観世音菩薩ともいい、観音様の名で親しまれてい
る。仏教では慈悲をつかさどり、さまざまな現世利益をかなえてくれる
いうので、もっとも信仰を集める菩薩とされる。
ところで、観音菩薩の起源や性別には定説がない。友松圓諦は『般若心経
講話』(1956年)の中で、「どこか、観自在菩薩の信仰のつよい地方、ま
た、密教の呪文が珍重されていた地方」に起源を求めた。 岩本裕はイン
ド土着の女神が仏教に取り入れられた可能性を示唆しており[3]、エロー
ラ石窟群、サールナートなどインドの仏教遺跡においても観音菩薩像と思
しき仏像が発掘されている。 ゾロアスター教においてアフラ・マズダーの
娘とされる女神アナーヒターやスプンタ・アールマティとの関連も指摘さ
れている。 
さて、こんなことを書き出した切っ掛けは、「エルサレム」に周辺で起こ
争いごとを書きたかったからだが、それについては、後日からにする。

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光触媒活用の米水素技術ベンチャーに出資 Ⅲ

2023年10月18日 | 環境リスク本位制

 

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

    

     

 

    

            秋時雨止みて見上げる剣山    
                           
       


   



再エネ革命渦論 179: アフターコロナ時代 180】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中 ㊿+⑩





事例研究:シジジー プラズモニクス インコーポレーティッド


Courtesy of Syzygy Plasmonics, Inc

1.特表2023-5360663- 水素及び炭化水素燃料を製造するためのメタン改
 質装置
【概要】
本開示は、メタンを水素及び炭化水素燃料に改質するためのシステム及び
方法を対象とする。例の実施形態では、メタン改質装置は、光触媒水蒸気
メタン改質(photocatalytic steam methane reforming)(P-SMR)システ
ムを、引き続く光触媒乾式メタン改質(photocatalytic dry methane reforming
(P-DMR)システムと統合している。

図2 第1の例の実施形態による、合成ガスを製造するためのメタン改質
 装置システムを示すプロセスフロー図

下図1中に示されるような従来の水蒸気メタン改質(Steam Methane Reforming
(SMR)システムは、例えばメタン(天然ガス)から、以下の平衡により
合成ガス(水素及び一酸化炭素)を製造するために用いることができる:
CH4+H2O⇔CO+3H2 (式1)
従来のSMRは幾つかの短所を有する。例えば、SMRは、パイプライン
品質ガス中に存在しうる硫黄の影響を受けやすく、脱硫(すなわち、水素
化脱硫(hydrodesulfurization)(HDS)触媒及びZnO吸着床の組み合わ
せ)を必要とする。さらに、従来のSMRは、熱集約的な吸熱反応器であ
り、クラッキング温度付近に関連する変換の制限のため水素製造は限定さ
れる。この制限は、直列で設置された高温及び低温水性ガスシフト反応器
water gas shift reactor)(WGS)によって克服される。さらに、SMR
の高温操作によって、かなりの量の温室効果一酸化炭素(CO)が生成し、
このためWGS反応器の設置が必要となる。 

さらに、従来のSMRは、一般に2つの二酸化炭素(CO2)排気流を有し、
これらはCO2の除去が必要である。第1のCO2排気流は、天然ガスか
ら得られ、SMR反応器にエネルギーを供給するための燃料として空気が
用いられる。これによって、希薄CO2と、酸化窒素(NOX)及び酸化
硫黄(SOX)などの別のガスとを有する「煙道ガス」流が得られる。煙
道ガス流からCO2を捕捉して利用する方法は複雑であり、費用がかかる
。第2のCO2排気流は、プロセスガスの一部として生成され、捕捉又は
利用がより容易な濃縮されたCO2を含む。これら両方の流れから大気に
放出されるCO2の量のため、従来のSMRは温室効果ガスの大きな放出
源となる。これらの流れからCO2を捕捉するための装置を含むプラント
では、このような装置のための資本支出は、プラント全体のコストのかな
りの部分となる。
CO2を除去するために用いられる従来方法の1つは、高温カリ又はアミ
ン系液体吸収剤、例えばモノエタノールアミン(MEA)又は活性化メチ
ルジエタノールアミン(aMDEA)を用いた複合吸収装置-再生器設備
である。このシステムは、高圧(液体が吸収装置に入る場合、400psi
(g)付近、)及び高温(再生器リボイラーにおいて200℃付近)を必
要とするだけでなく、システムに用いられるアミン系液体は本質的に腐食
性となりうる。これらの制限のため、高級で費用のかかる材料が必要とな
り、すなわち、塔全体がステンレス鋼でできている必要がある、又は五酸
化バナジウム(V2O5)などの不動態化剤の注入と、連続的な鉄の監視
とが必要となる。発泡は、別の一般的な問題である。過度の発泡は、下流
システムまで持ち越され、悪影響が生じることがある。最後に、必要な吸
収速度を維持しシステム損失に対処するために、溶液化学を定期的な頻度
で分析する必要がある。 

従来のSMR設計には、ガス/液体燃料で操作されるバーナーの安全な点
火及び着火を保証するための十分に機能的なバーナー管理システム(BM
S)も必要である。BMSシステムは、バーナーの点火のための許容が問
題となる前に重要なステップを有する。このシーケンスは、従来、ブロワ
ー又はIDファンを最高速度付近で作動させることによって、可燃物の燃
焼(存在する場合)を排除するために炉をパージすることを含む。このパ
ージシーケンスの完了後、気密試験によって燃料回路に漏れが生じないこ
とを確認し、その後試験的点火を行い、次にあらかじめ決定されるか又は
操作上必要なシーケンスに基づいて、主要バーナーに点火し、システムを
加圧する。明らかなように、これは、過大なブートストラッピングを有す
る複雑なシステムである。さらに、燃料システムのいずれかの漏れによっ
て、全体のシーケンスが無駄になる。さらに、炉の上昇又は低下は、多く
の時間及び労力を必要とする。ほぼ100のバーナーを有する市販の改質
装置は、圧力の増加又は低下のたびに手動操作が必要である。締め切り弁及
び調整弁(すなわち、制御弁)の組み合わせによって、精密な制御が保証
され、必要であれば、フェイルセーフ運転停止が保証されるが、制御盤及
び現場の作業者の絶え間ない警戒が必要となる。したがって、現在使用さ
れている従来のSMRシステムの欠点を有しないメタン改質のための有効
なシステムが依然として必要とされている。

図1 従来のSMRシステムを示すプロセスフロー図

【課題を解決するための手段】
本開示の一態様は、メタン供給材料から合成ガス(すなわち、水素及び一
酸化炭素)を回収するためのシステムを提供する。このようなシステムは
: 光触媒水蒸気メタン改質装置を含む第1ステージであって、メタン供
給材料から少なくとも二酸化炭素流及び水素流を生成するように構成され
る第1ステージと; 第1ステージに隣接して下流にある第2ステージであ
って、第2のメタン供給材料と、第1ステージで生成した二酸化炭素流と
から合成ガスを製造するように構成される光触媒乾式メタン改質装置を含
む第2ステージと、 を含む。
本開示のシステムは、ゼロエミッションの水素を、メタノール又はジメチ
ルエーテル(DME)などの低エミッション又はゼロエミッションの生成
物に加えて調製する方法に用いることができる。したがって、本開示の別
の一態様は、メタン供給材料を合成ガスに変換する方法を提供する。この
ような方法は: メタン供給材料を、本明細書に記載の光触媒水蒸気メタン
改質装置を含む第1ステージに供給して、少なくとも二酸化炭素流及び水
素流を得ることと; 上記二酸化炭素流を、本明細書に記載の光触媒乾式メ
タン改質装置を含む第2ステージに供給して、合成ガスを製造することと
、を含む。

本開示の別の一態様は、メタン供給材料からメタノール又はジメチルエーテ
ルなどの炭化水素燃料を調製する方法を提供する。このような方法は: メ
タン供給材料を、本明細書に記載の光触媒水蒸気メタン改質装置を含む第
1ステージに供給して、少なくとも二酸化炭素流及び水素流を得ることと;
上記二酸化炭素流を、本明細書に記載の光触媒乾式メタン改質装置を含む
第2ステージに供給して、合成ガスを製造することと; 合成ガスを、反応
器を含む第3ステージに供給して、メタノール又はジメチルエーテルを得
ることと、 を含む。
本開示の別の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかとな
るであろう。しかし、本発明の意図及び範囲内の種々の変更及び修正は、
この詳細な説明から当業者には明らかとなるであろうから、詳細な説明及
び実施例は、本開示の特定の実施形態を示しながら、単に例として提供さ
れるものであることを理解すべきである。

【図面の簡単な説明】
【図1】従来のSMRシステムを示すプロセスフロー図
【図2】第1の例の実施形態による、合成ガスを製造するためのメタン改
 質装置システムを示すプロセスフロー図
【図3】第2の例の実施形態による、合成ガスを製造するためのメタン改
 質装置システムを示すプロセスフロー図
【図4】例の実施形態による合成ガスの製造方法を示す概略図
【図5】第3の例の実施形態による水素及びメタノールを製造するためのメ
 タン改質装置システムを示すプロセスフロー図
【図6】第4の例の実施形態による水素及びメタノールを製造するための
 有機ランキンサイクル(Organic Rankin Cycle)(ORC)ユニットを有
 するメタン改質装置システムを示すプロセスフロー図

【発明を実施するための形態】 
例の方法及びシステムが本明細書に記載される。本明細書に記載のあらゆ
る例の実施形態又は特徴は、必ずしも、別の実施形態又は特徴よりも好ま
しい又は有利であると解釈されるべきではない。本明細書に記載の例の実
施形態は、限定を意味するものではない。開示されるシステム及び方法の
ある態様は、多種多様な異なる構成で配列及び組み合わせが可能であり、
これらすべてが本明細書において考慮されることは容易に理解されるであ
ろう。 
本開示を考慮すれば、本明細書に記載のシステム及び方法は、所望の要求
に適合させるために当業者によって構成することができる。一般開示され
るシステム、方法、及び装置によって、光触媒反応システム及びプロセス
が改善される。特に、本発明は、炭化水素燃料を燃焼させず、代わりに電
気を使用して水素及びCO2(プロセス副生成物として)を製造する、改
善された電力が供給されるSMR反応器の光触媒水蒸気メタン改質装置(
P-SMR)を提供する。このCO2は次に第2の電力が供給される反応
器の光触媒乾式メタン改質装置(P-DMR)に利用されて、合成のガス
又は合成ガス)が形成される。この合成ガスを、合成反応器に送って、メ
タノール又はジメチルエーテルなどの液体燃料を製造することができる。
結果として、ある実施形態では、このシステムは、従来方法よりも使用す
る天然ガス少なく、CO2を環境に放出せず、操作に再生可能電気を用い
ることができる。ある実施形態では、本開示のシステム及び方法は、メタ
ール又はジメチルエーテルなどの別の商業的に有利な材料の製造に有利に
用いることができる。本開示のシステム及び方法は、ある実施形態では、
従来のプラント中のBMS及びにCO2捕捉装置に関連する資本コスト及
び操作の複雑さがなくなる。ある実施形態では、システムの一部(例えば、
反応器冷却ジャケット中)で発生する廃熱は、システム全体の運転効率を
高めるために、システム中の別の場所で有利に利用することができる。

図2 第1の例の実施形態による、合成ガスを製造するためのメタン改
 質装置システムを示すプロセスフロー図

前述のように、本開示は、メタン供給材料から合成ガス(すなわち、水素
及び一酸化炭素)を回収するためのシステムを提供する。特に、図2中に
示されるように、本開示のシステムは、メタン供給材料から少なくとも二
酸化炭素流及び水素流を生成するために構成される第1ステージ(30)
を含む。第1ステージは、光触媒水蒸気メタン改質装置(P-SMR)(
37)を含む。P-SMR(37)は、第1のプラズモン光触媒の存在下で
メタン供給材料を蒸気と接触させて、水素及び一酸化炭素を含む第1の反
応生成物流を形成するように構成される。

ある実施形態では、図3中に示されるように、第1ステージ(30)は、
光触媒水蒸気メタン改質装置(37)及び水性ガスシフト(WGS)反応
器(42)を含む。WSG反応器(42)は、第1の反応生成物流を水と
接触させて、水素及び二酸化炭素を含む水性ガスシフト流を形成するため
に構成される。ある実施形態では、第1ステージ(30)は、水性ガスシ
フト流から二酸化炭素を分離して二酸化炭素流及び水素流を得るために構
成される分離ユニットをさらに含むことができる。図2及び3中に示され
るように、ある実施形態では、分離ユニットは、圧力スイング吸着(pressure
swing adsorption
)(PSA)水素精製ユニット(40)及び/又はCO2
吸収ユニット(41)を含むことができる。図2及び3は、CO2吸収ユ
ニット(41)からのフィードバックCO2流を示しているが、このよう
な流れは任意であり、幾つかの実施形態では利用される必要はないことに
留意されたい。同様に、特定の用途及び/又は実施されるシステムの規模
によっては、示される別の構成要素及び流れは、幾つかの実施形態では省
くことができる。 

図3 図2の例の実施形態による、合成ガスを製造するためのメタン改質装
 置システムを示すプロセスフロー図

図2及び図3中に示されるように、ある実施形態では、第1ステージ(3
0)は、水/スラッジノックアウト容器(31)、供給排出物H.X-1
及び/又はH.X.-2(32及び/又は33)、トリムヒーター・クー
ラー(例えば、電気的なもの)(34)、脱硫器(35)、蒸気発生器(
36)、給湯器(38)、及び冷却機(39)の1つ以上を場合により含
むことができる。

従来方法の欠点の1つは、SMRからの熱損失である。従来のSMRプロ
セスは、わずか約50%の効率であり、これは供給される電力の半分が、
SMRの壁を通って排出される熱として失われる。さらに、従来の設計で
は、ガスの凝縮中にかなりの量の熱が失われる。本発明者らは、有機ラン
キンサイクル(ORC)を用いて熱を回収できることを確認した。適切な
規模では、ORCサイクルは40%の高さまでのエクセルギー効率を得るこ
とができ、したがってこれは、プロセスのエネルギー効率を45%から約7
0%の高さまで高めるための魅力的な選択肢となる。したがって、ある実
施形態では、本開示の第1のシステム(30)は、プロセス廃熱を用いて
システム内で電気を発生させるように構成される有機ランキンサイクル(
ORC)をさらに含むことができる。より大きなシステムでは、利用可能
な熱はさらに高いグレードとなる。例えば、ある実施形態では、システム
は、電力をその場で発生させるように構成される蒸気タービンをさらに含
むことができる。

図6 第4の例の実施形態による水素及びメタノールを製造するための有
 機ランキンサイクル(Organic Rankin Cycle)(ORC)ユニットを有
 するメタン改質装置システムを示すプロセスフロー図

その場発電のためにORCユニットを利用する一実施形態のより詳細な説
明を図6のプロセスフロー図中に示す。図6のシステムによって、水素及
びメタノールが製造され、効率改善のためにORCユニットが利用される。
図示されるように、このシステムは、ORCユニット及びその蒸発器をP
-SMR反応器と並列して含む。特に、ORCユニットは、P-SMR反
応器に関連する流体冷却システム(例えば、冷却ジャケット又はリザーバ
ー)からの廃熱を利用して発電する。次にこのような電気は、制御エレク
トロニクス、ポンプ、センサー、又はその他の電気が供給される部品など
のシステムに関連する補助的な電気部品への電力供給に用いることができ
る。これによって、従来のグリッド発電又は局所的若しくは遠隔的に行わ
れる再生可能(例えば、太陽又は風)発電などの別の外部手段によって得
られるべき必要な電気入力を減少させることができる。

言及されるように、その場発電のための前述の流体冷却システムは、P-
SMR反応器に関連する冷却ジャケット又はリザーバーの形態であってよ
い。例えば、それぞれの個別の反応器セルは、冷却液(例えば、水)が中
を移動する流体ジャケットによって取り囲むことができる。例えば、冷却
液は、冷却ジャケット内に圧送又は別の方法で移動させることで、冷却ジ
ャケットによって取り囲まれた反応器セルが発生する熱を除去することがで
きる。環状形態の反応器セルの場合、流体冷却システムは、これに加えて
又はこれとは別に反応器セルの中央部分に内部冷却ジャケット又はリザー
バーを含むことができ、このため内部冷却ジャケット自体は環状形態の反
応器セルによって取り囲まれる。ORCにより使用するための流体冷却シ
ステムの別の構成も可能であり、本開示の範囲内となることが意図される。
例えば、これに加えて、又はこれとは別に、2つ以上の反応器セルから熱
を除去する冷却システム又はマルチセル反応器(又はマルチ反応器改質装
置)に関連する冷却システムが、ORCユニットによるその場発電のため
の廃熱を供給することができる。 

ある別の実施形態では、本開示のシステムにおいてその場発電は行われな
い。例えば、水性ガスシフト反応器は、本質的に発熱性であり、プロセス
熱の統合によって、廃熱ボイラー中での蒸気発生のための水の加熱が促進
される。主要蒸気発生器/廃熱ボイラーは、高温SMR出口流を使用し、
プロセスガスを高温シフト変換器(high temperature shift converter)(HT
SC)の入口温度まで冷却する。シフト変換によって、CO2に変換され
ることで、COは微量(1%未満、例えば、約0.2%)まで効率的に減
少する。シフト反応器出口における流れは、乾燥され(過剰の水を除去す
るため)、10bar(145psi(g))まで圧縮される。ある例の
実施形態では、本開示のP-SMRは約100psi(g)の最大入口圧
力を有する。ある実施形態では、水素を分離するためのユニットに送られ
る前に、ガスが(約10bar(すなわち、145psi(g))までさ
らに加圧される。 

図5.第3の例の実施形態による水素及びメタノールを製造するためのメ
 タン改質装置システムを示すプロセスフロー図

図5のシステムがその場発電を行わないが、その代わりに、発生した熱を
除去した後のP-SMR反応器の冷却ジャケット中に単に冷却液(例えば
、水)を循環させることを除けば、図5のシステムは図6中に示されるも
のと類似している。図示されるように、冷却ジャケットに冷却液を循環さ
せるために、1つ以上の冷却ファン、リザーバー、及び/又はポンプを用
いることができる。 本開示のシステムは、第1ステージ(30)に隣接し
て下流にある第2ステージ(50)であって、第2のメタン供給材料と第
1ステージ(30)で製造した二酸化炭素流とから合成ガスを製造するよ
うに構成される光触媒乾式メタン改質装置(P-DMR)(51)を含む
第2ステージ(50)をも含む。


図4.例の実施形態による合成ガスの製造方法を示す概略図

ある実施形態では、図4中に示されるように、本開示のシステムは、第2
ステージ(50)に隣接して下流にある第3ステージであって、第2ステ
ージで製造した合成ガスからメタノール又はジメチルエーテルを製造する
ように構成される合成反応器を含む第3ステージをさらに含む。

例えばメタノールを得るために第2及び第3ステージで行われる例の反応
は以下の通りである:
ステップ1-乾式メタン改質(DMR): 3CO2+3CH4→6CO+
6H2 (式2)
ステップ2-水性ガスシフト(WGS): 2CO+2H2O→2CO2+
2H2 (式3)
ステップ1及び2の合計: CO2+3CH4+2H2O→4CO+8H2
(式4)
ステップ3-メタノール合成: 4CO+8H2→4CH3OH (式5)
ステップ1、2、及び3の合計: CO2+3CH4+2H2O→4CH3
OH (式6) 

式2(ステップ1)において前述したように、P-DMR反応器から得ら
れるものは、CO及びH2の混合物である合成ガス又は合成のガスである。合
成ガスは、メタノール及びジメチルエーテルなどの多くの炭化水素燃料の
出発供給材料である。合成ガスを炭化水素燃料に変換する技術は成熟して
おり工業的なものであり、当業者には明らかであろう。
第2ステージ(50)からの合成ガスは、一般に、一酸化炭素及び水素を
約1:1の比率で含む。ある実施形態では、合成反応器中の一酸化炭素及
び水素の比率が約1:2となるように第3ステージ中の合成反応器に水素
流が供給される(例えば、式5中に示される)。水素流は、合成反応器に
直接供給することができるし、又は合成ガス流とあらかじめ混合した後、
合成反応器に導入することができる。ある実施形態では、合成反応器中に
導入される水素流は、PSA水素精製ユニット(40)などから第1ステ
ージ(30)で得られる。 ある別の実施形態では、第2ステージ(50)
中、P-DMR(51)に隣接して下流にシフト反応器を加えることがで
き、このシフト反応器は、合成反応器に供給される水素流を生成するよう
に構成される。このプロセスは式3及び式4によって示される。
ある別の実施形態では、第2ステージ(50)は、P-DMR(51)に
隣接して下流にある水素分離膜であって、合成反応器に供給される水素流
を生成するように構成される水素分離膜を含む。 
水素分離技術の選択は、その最終用途によって直接決定される。出現しつ
つあるガス分離技術としては、膜分離が挙げられ、これは自由度が高く単
純な操作、小型の構造、少ないエネルギー消費、及び環境に優しいという
利点を有する。膜材料の性能は、膜のH2分離及び精製効果を決定するた
めの最も重要な要因である。一般に用いられる膜材料は、主として金属及
びポリマー膜を含み、新しい膜材料、例えばナノ材料膜、CMSM、及び
MOF膜は、好ましい分離性能を示すことができる。単一膜型のシステム
では99%+の純度を得ることはできない。さらに、膜システムは、水の
凝縮の影響を非常に受けやすいが、その理由は、これによって膜の表面上
にバリアが形成され、透過速度が低下するからである。膜に対するアミン
蒸気の影響は無視できるが、発泡及びキャリーオーバーの可能性のため、
ヒーター及び従来のSMRシステムにおける合体フィルターの利用などの
さらなるユニット操作が必要となる。液体MEA/MDEAのキャリーオ
ーバーの場合、唯一の選択は設備の閉鎖及び膜の交換となりうる。 

従来のSMRシステムとは対照的に、本開示のシステムは、上記欠点が問
題とならずに水素分離膜を利用することができる。例えば、ある実施形態
では、本開示のシステム中に用いられる水素分離膜は、圧力スイング吸着
pressure swing adsorption)(PSA)水素ユニットである。PSA分離効
果は、主として吸着剤の種類及び用いられる技術的プロセスによって決定さ
れる。静電容量に関してH2は、CO2、CO、及びCH4などのほとん
どの気体分子と大きく異なるので、PSA分離及び精製に非常に適してい
る。ある例では、99%の高さの純度を実現できる。
前述のように、本開示のシステムは光触媒水蒸気メタン改質装置(P-S
MR)を含む。例えば、このようなP-SMRは: ハウジングと; ハウ
ジング内部に配置される少なくとも1つの反応器セルであって、エンクロ
ージャと、少なくとも1つのエンクロージャ内に配置される第1の触媒担
体上の第1のプラズモン光触媒とを含み、エンクロージャは、光学的に透
明であり、メタン供給材料が少なくとも1つのセルに入るための少なくと
も1つの入力部と、第1の反応生成物流が少なくとも1つのセルを出るた
めの少なくとも1つの出力部とを含む、少なくとも1つの反応器セルと;
少なくとも1つの光源であって、少なくとも1つの光源を使用すると、反
応器セルがメタン供給材料から第1の反応生成物流を形成するように構成
される、少なくとも1つの光源と、 を含むことができる。 
同様に、本開示のシステムは光触媒乾式メタン改質装置(P-DMR)を
含む。例えば、このようなP-DMRは: ハウジングと; ハウジングの
内部に配置される少なくとも1つの反応器セルであって、エンクロージャ
と、少なくとも1つのエンクロージャ内に配置される第2の触媒担体上の
第2のプラズモン光触媒とを含み、エンクロージャは、光学的に透明であ
り、第2のメタン供給材料及び二酸化炭素流が少なくとも1つのセルに入
るための1つ以上の入力部と、合成ガスが少なくとも1つのセルを出るた
めの少なくとも1つの出力部とを含む、少なくとも1つの反応器セルと;
少なくとも1つの光源であって、少なくとも1つの光源を使用すると、反
応器セルが第2のメタン供給材料及び二酸化炭素流から合成ガスを形成す
るように構成される、少なくとも1つの光源と、 を含むことができる。
別の適切なP-SMR及びP-DMRの例は、国際公開2019/005
777号、国際公開2019/005779号、国際公開2020/14
6799号、国際公開2020/146813号、及び国際公開2018
/231398号に記載されており、それぞれが参照により本明細書に援
用される。本開示のP-SMR及びP-DMRの反応器セルには、物理的、
電子的、熱的、又は光学的な結合になどによってプラズモン材料に結合す
る触媒を含む1つ以上のプラズモン光触媒が必要である。理論によって束
縛しようとするものではないが、プラズモン材料は、光とプラズモン材料
との独特の相互作用にために光を吸収することができる光学アンテナとし
て機能し、結果としてプラズモン材料上及びその付近に強い電界を発生さ
せる(すなわち、プラズモン材料内の電子の集団振動の結果として)と考
えられる。プラズモン材料上及びその付近のこの強い電界によって、触媒
及びプラズモン材料が最長約20nm以上の距離だけ離れている場合でさ
えも、触媒とプラズモン材料との間の結合が可能となる。 

一般に、プラズモン材料は、あらゆる金属、金属合金、半金属元素、又は
その合金であってよい。幾つかの実施形態では、本開示のプラズモン材料
は、金、金合金、銀、銀合金、銅、銅合金、アルミニウム、又はアルミニ
ウム合金から選択される。本開示では、「合金」という用語は、金属のあ
らゆる可能な組み合わせに及ぶことが意図される。例えば、合金は、Au
Ag、AuPd、AuCu、AgPd、AgCuなどの二元合金であって
よいし、又は三元合金、若しくはさらには四元合金であってもよい。ある
実施形態では、本開示のプラズモン材料は、アルミニウム、銅、銀、又は
金である。一般に、プラズモン材料に結合する触媒材料は、必要な反応を
触媒することができるあらゆる化合物であってよい(すなわち、プラズモ
ン材料に結合する第1の触媒は、(例えば、プラズモン材料に結合しないと
しても)SMR反応を触媒することができるあらゆる化合物であってよい)。
幾つかの実施形態では、本開示の触媒は、あらゆる金属又は半金属元素、
並びに上記元素のあらゆる合金、酸化物、リン化物、窒化物、又はそれら
の組み合わせであってよい。例えば、本開示の第1の触媒及び/又は第2
の触媒は、独立して、触媒的に活性な鉄、ニッケル、コバルト、白金、パ
ラジウム、ロジウム、ルテニウム、又はそれらのあらゆる組み合わせを含
むことができる。本開示の触媒は、触媒的に活性な鉄、ニッケル、コバルト、
白金、パラジウム、ロジウム、又はルテニウムのあらゆる合金、酸化物、
リン化物、又は窒化物を含むことができる。幾つかの実施形態では、本開
示の触媒は、触媒的に活性な鉄又はニッケルを含む。 

適切なプラズモン光触媒の例は、D. F. Swearer et al., ”Heterometallic antenna-
reactor complexes for photocatalysis,” Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 113, 8916-8920,
2016;Linan Zhou et al. ”Quantifying hot carrier and thermal contributions in plasmonic
photocatalysis,” Science, 69-72, 05 Oct 2018;Linan Zhou et al., ”Light-driven methane
dry reforming with single atomic site antenna-reactor plasmonic photocatalysts,
” Nature Energy, 5, 61-70, 2020
に示されており、それぞれが参照により本明
細書に援用される。 前述のように、本開示のシステムは、ゼロエミッシ
ョンの水素をメタノール又はジメチルエーテル(DME)などの別の低エミ
ッション又はゼロエミッションの生成物とともに調製する方法に用いるこ
とができる。 例えば、本開示の別の一態様は、メタン供給材料を合成ガス
に変換する方法を提供する。このような方法は: メタン供給材料を、本明
細書に記載の光触媒水蒸気メタン改質装置を含む第1ステージに供給して
、少なくとも二酸化炭素流及び水素流を得ることと; 上記二酸化炭素流を、
本明細書に記載の光触媒乾式メタン改質装置を含む第2ステージに供給し
て、合成ガスを製造することと、 を含む。 

このような方法では、例えば第1ステージにおいて、メタン供給材料を、
光触媒水蒸気メタン改質装置に供給することで、水素及び一酸化炭素を含
む第1の反応生成物流が形成され;続いて、第1の反応生成物流及び水を
水性ガスシフト反応器に供給することで、水素及び二酸化炭素を含む水性ガ
スシフト流が形成される。特に、光触媒水蒸気メタン改質装置中、メタン
供給材料は、光触媒水蒸気メタン改質装置のハウジング内に配置される複
数の反応器セル中に分配され、それぞれの反応器セルは、光学的に透明な
エンクロージャと、光学的に透明なエンクロージャ内に配置される第1の
触媒担体上の第1のプラズモン光触媒とを含む。これに続いて、少なくと
も1つの光源によって、光触媒水蒸気メタン改質装置のハウジングの内部
に光を当てることで、複数の反応器セルでメタン供給材料を、水素及び一
酸化炭素を含む第1の反応生成物流に変換し;複数の反応器セルからの第
1の反応生成物流を蓄積する。

本開示の方法のある実施形態では、水素及び二酸化炭素を含む水性ガスシ
フト流を分離ユニットに供給することで、二酸化炭素流及び水素流が得ら
れる。 最後に、第2ステージにおいて、本開示の方法は: 光触媒乾式メ
タン改質装置中で、二酸化炭素流及び第2のメタン供給材料を、光触媒乾
式メタン改質装置のハウジング内に配置された複数の反応器セルに分配す
ることであって、それぞれの反応器セルが、光学的に透明なエンクロージ
ャと、光学的に透明なエンクロージャ内に配置された第2の触媒担体上の
第2のプラズモン光触媒とを含むことと; 少なくとも1つの光源によって、
光触媒乾式メタン改質装置のハウジングの内部に光を当てることで、複数
の反応器セルで二酸化炭素及びメタンを合成ガスに変換することと; 複
数の反応器セルからの合成ガスを蓄積することと、 を含む。 

本開示の別の一態様は、メタン供給材料からメタノール又はジメチルエー
テルを調製する方法を含む。このような方法では、第2ステージで得られ
る合成ガスを、合成反応器を含む第3ステージに供給することで、メタノ
ール又はジメチルエーテルが得られる。
ある実施形態では、合成反応器中の一酸化炭素及び水素の比率が約1:2
となるように第3ステージ中の合成反応器に水素流が供給される。 

本明細書に記載の種々の例の実施形態は、排出物の少ない化学製造に関す
る利点などの1つ以上の利点が得られるように用いることができる。一例
の使用事例では、酪農場、埋め立て地、又は油井現場のフレアガスガスか
ら得られるメタンは、大気中への顕著な炭素放出なしに、そのメタンから
低/ゼロエミッションの水素を製造するために用いることができる。P-
DMR反応器にすぐ隣接して下流でP-SMRのCO2排出流を処理する
ことによって、排出CO2及びメタン(どちらも強い温室効果ガス)を、
例えばメタノール又はDMEなどの別の「グリーン」生成物に処理するこ
とができる。ある実施形態では、本開示の方法は、石油精製所の従来のS
MRプラント、アンモニアプラント、及びメタノールプラントよりも低コ
ストで、複雑でなく、環境に優しい代替となる。本開示のシステム及び方
法は、例えば、燃料電池車用途での水素の分散した使用場所での製造のた
めの水素燃料の供給源として用いることができる。 

以上の詳細な説明は、添付の図を参照しながら開示されるシステム、装置、
及び方法の種々の特徴及び機能を記載している。種々の態様及び実施形態
を本明細書に開示してきたが、別の態様及び実施形態は明らかとなるであ
ろう。本明細書に開示される種々の態様及び実施形態は、単に説明を目的
としており、限定を意図したものではない。 
本発明を実施するために本発明者らが知る最良の形態を含む本発明の幾つ
かの実施形態が本明細書に記載される。当然ながら、これらの記載の実施
形態に対する変形形態は、以上の説明を読めば当業者には明らかとなるで
あろう。本発明者は、当業者がこのような変形形態を必要に応じて用いるこ
とを期待しており、本発明者らは、本明細書に明記されるもの以外の方法
で本発明が実施されるこ
とを意図している。したがって、本発明は、適用
法によって容認されるように本明細書に添付の請求項に記載の主題のすべ
ての修正形態及び均等物を含む。さらに、本明細書に特に示されたり、状
況によって明確に矛盾するのでなければ、すべての可能なそれらの修正形
態中の前述の要素のあらゆる組み合わせが本発明に含まれる。

本明細書に記載の実施例及び実施形態は、単に説明を目的としており、そ
れを考慮した種々の修正又は変形は、当業者によって提案されるであろう
し、本出願の意図及び範囲、並びに添付の請求項の範囲の中に含まれるべ
きことを理解されたい。本明細書に引用されるあらゆる刊行物、特許、及
び特許出願は、あらゆる目的で参照により本明細書に援用される。

以上、3回に渡り「シジジー プラズモニクス インコーポレーティッド」
の保有特許事案を「次世代型光触媒メタネーションプラント建設」として
考察し一定の設計9ヒントを得ることができた。

【関係技術情報】
."Earth-abundant photocatalyst for H2 generation from NH3 with light-emitting
   diode illumination" | Science | DOI: https://doi.org/10.1126/science.abn5636
・原 題:発光ダイオード照明によるNH3からH2生成用の地球に豊富に存在する
      光触媒
【概要】
鉄を光触媒に利用する>優れた触媒は中間の強度で基質と結合するため、反応
物質の結合も生成物の脱着も反応を制限ししない。 白金族金属は多くの反応で
この基準を満たしていることが多く、反応条件下で酸化することが多い鉄などの
安価な金属で置き換えることはできない。 ユアンら。 銅で励起されたプラズモン
が鉄に結合したアンモニアと反応するホットエレクトロンを生成する、銅鉄光触媒
を用いてアンモニアを分解して水素を放出することを実証。 鉄はこの反応にとっ
て優れた熱触媒ではありませんが、光誘起酸素脱離により、同様の銅 - ルテニウ
ム光触媒やルテニウム熱触媒と競合する。 発光ダイオードによって駆動されるこ
の反応は、この水素キャリアシステムで使用される熱触媒と競合する可能性が
ある。
【要約】
白金族金属をベースとした触媒は、数十年にわたり化学産業の主要な焦点とな
ってきました。 我々は、プラズモニック光触媒が、熱的に反応しない地球上に豊
富に存在する遷移金属を、照射下で触媒活性部位に変換できることを示す。 Cu
-Fe アンテナ - リアクター複合体の Fe 活性サイトは、超高速パルス照射下でのア
ンモニアの光触媒分解に関して Ru と非常に似た効率を達成。 レーザーではな
く発光ダイオードで照射すると、反応規模が 3 桁近く増加しても、光触媒効率は
同等のままです。 この結果は、地球上に豊富に存在する遷移金属を含むアンモ
ニア担体から電気駆動で高効率に水素を生成できる可能性を示す。

風蕭々と碧い時












John Lennon Imagine  



サライ  
谷村新司/加山雄三 1992.11.16

今夜の寸評:

 

 

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光触媒活用の米水素技術ベンチャーに出資 Ⅱ

2023年10月17日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

   


再エネ革命渦論 178: アフターコロナ時代 179】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中 ㊿+⑨

三菱重工,光触媒活用の米水素技術ベンチャーに出資 Ⅱ
題名:M水素および炭化水素燃料製造用メタン改質装置
2021年7月20日 Syzygy Plasmonics Inc.
本開示は、メタンを水素および炭化水素燃料に改質するためのシステムお
よび方法を対象とする。例示的な実施形態では、メタン改質装置は、光触
媒水蒸気メタン改質(P-SMR)システムと、後続の光触媒乾式メタン改質
P-DMR)システムとを統合する。

詳細説明
本明細書に記載される任意の例示的な実施形態または特徴は、必ずしも他
の実施形態または特徴よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべき
ものではなく、また、例示的な実施形態は限定するものもい。
開示されたシステムおよび方法の特定態様は、多種多様な異なる構成に配
置および組み合わせできるものでもある。本開示明細書に記載されるシス
テムおよび方法は、 所望要求が満たされように当業者により構成できる。
一般に、開示されたシステム、方法、および装置は、光触媒システムおよ
びプロセスの改善に提供できる。具体的には、本発明は、炭化水素燃料を
燃焼させず、代替電気を使用し水素およびCO2 (プロセス副生成物として
)を生成、改良された通電SMR反応器、光触媒水蒸気メタン改質器(P
−SMR)に提供。 CO2は、2番目の通電反応器である光触媒乾式メタン改質
装置 (P-DMR) で利用し、合成ガスを生成する。本開示明細書に記載され
るシステムおよび方法は、所望要求が満たされように当業者により構成で
きるものである。この合成ガスは合成反応器に送られて、メタノールやジ
メチルエーテルなどの液体燃料を生成できる。

その結果、特定の実施形態では、このシステムは、従来のプロセスよりも
天然ガスの使用量が少なく、環境にCO2を排出せず、再生可能電力を使用し
動作できる。特定の実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、メタ
ノールまたはジメチルエーテルなどの他の商業的に有利な材料を製造に
有利に使用できる。本開示のシステムおよび方法は、特定の実施形態にお
いて、従来のプラントにおけるBMSおよびCO2回収装置に関連する資本コ
ストおよび運用の複雑さを排除しうるものである。
特定の実施形態では、システムの一部(例えば、反応器冷却ジャケット内
)で生成される廃熱を、システムの他の場所で有利に利用して、システム
全体の動作効率を高めることができる。
上記のように、本開示は、メタン供給原料から合成ガス(すなわち、水素
および一酸化炭素)を回収するためのシステムを提供する。
具体的には、図3に示すように、 図2に示すように、本開示のシステム
は、メタン供給原料から少なくとも二酸化炭素流および水素流を生成する
ように構成された第1段階(30)を含む。
第1段階は、光触媒水蒸気メタン改質装置(P-SMR)(37)を備える。P
-SMR(3
)は、第1のプラズモニック光触媒の存在下でメタン供給原料を蒸
気と接触させて、水素および一酸化炭素を含む第1の反応生成物ストリー
ムを形成するように構成される。特定の実施形態では、図2に示すように、
図3に示されるように、第1段階(30)は、光触媒水蒸気メタン改質器
37)および水ガスシフト(WGS)反応器(42)を備える。WSG反応器
42)は、第1の反応生成物流を水と接触させて、水素および二酸化炭素
を含む水−ガスシフト流を形成するように構成されている。 特定の実施形
態では、第1段(30)は、水性ガスシフト流から二酸化炭素を分離して二
酸化炭素流と水素流を得るように構成された分離ユニットをさらに備え得
る。図1、図2に示すように、図2および3を参照すると、特定の実施形
態では、分離ユニットは、圧力スイング吸着(PSA)水素精製ユニット(40)
および/またはCO2 吸収ユニット(41)を備え得る。 なお、図1〜図4は
、 図2および3は、CO2 吸収ユニット(41)からのフィードバックCO2スト
リームを示すが、このようなストリームは任意であり、いくつかの実施形
態では利用する必要はない。同様に、実装される特定のアプリケーション
および/またはシステム規模に応じて、いくつかの実施形態では、図示さ
れた他のコンポーネントおよびストリームが省略されてもよい。

図1に示すように、図2および図3に示す。図3を参照すると、特定の実
施形態では、第1段階(30)は、水/汚泥ノックアウト容器(31)、供給
流出物H.X−1および/またはH.X.−2(32および/または33)、ト
リムヒーターのうちの1つまたは複数を任意に含んでもよい。 -冷却器(
例えば、電気)(34)、脱硫器(35)、蒸気発生器(36)、給湯器(38)、
および冷却器(39)。
従来のプロセスの欠点の1つは、SMR からの熱の損失。従来の SMR
ロセスの効率はわずか約 50%であり、供給された電力の半分は SMR の壁
を通って拒否される熱として失われる。さらに、従来の設計では、ガスを
凝縮する際にかなりの量の熱が失われる。本発明者らは、有機ランキンサ
イクル(ORC)を使用して熱を回収できることを確認した。

適切な規模では、ORCサイクルは 40%ものエクセルギー効率を実現でき
るため、プロセスのエネルギー効率を45%から約70%まで高める魅力的な
選択肢となる。したがって、特定の実施形態では、本開示の第1のシステ
ム(30)は、プロセス廃熱を使用してシステム内で発電するように構成さ
れた有機ランキンサイクル(ORC)をさらに備え得る。 より大きなシステ
ムでは、利用できる熱のグレードはさらに高くなる。

したがって、特定の実施形態では、システムは、現場で電力を生成するよ
うに構成された蒸気タービンをさらに備えることができる。現場発電のた
めにORCユニットを利用する実施形態のより詳細な図が、図6のプロセス
フロー図に示されている。図6のシステムは水素とメタノールを生成し、
効率を改善するためにORCユニットを利用する。図に示すように、システ
ムには ORC ユニットとその蒸発器が P-SMR 反応器と並列に含まれる。
特に、ORCユニットは、P−SMR反応器に関連する流体冷却システム(
例えば、冷却ジャケットまたはリザーバ)からの廃熱を使用して発電する。
このような電気は、制御電子機器、ポンプ、センサー、または他の電動コ
ンポーネントなど、システムに関連付けられた補助電気コンポーネントに
電力を供給するために使用される場合もある。
これにより、従来のグリッド発電電力や、ローカルまたは遠隔地で生成さ
れる再生可能電力(太陽光や風力など)など、他の外部手段によって生成
される必要な電力入力を削減できる。 言及したように、現場発電のため
の上述の流体冷却システムは、P-SMR反応器に関連付けられた冷却ジャケ
ットまたはリザーバの形態であってもよい。例えば、個々の反応器セルは
それぞれ、冷却剤(例えば、水)が通過する流体ジャケットによって囲ま
れていてもよい。

例えば、冷却剤は、冷却ジャケットに囲まれた反応器セルにより生成され
る熱を除去に、冷却ジャケットを通してポンプで送られるか、または別の
方法で移動され得る。環状反応器セルの場合、流体冷却システムは、追加
的または代替的に、内部冷却ジャケットまたはリザーバを反応器セルの中
心部分に含み、内部冷却ジャケット自体が環状反応器により取り囲まれる
ようにしてもよい。
ORCによって使用される流体冷却システムの他の構成も可能であり、本
開示の範囲内に含まれることが意図される。例えば、複数の反応器セルか
ら熱を除去する冷却システム、またはマルチセル反応器(またはマルチリ
アクター改質装置)に関連付けられた冷却システムは、追加または代替と
して、ORC ユニットによる現場発電用の廃熱を供給する場合があります。 
 特定の他の実施形態では、本開示のシステムでは現場で電力が生成され
ない。
たとえば、水性ガスシフト反応器は本質的に発熱性であり、プロセス熱の
統合は廃熱ボイラーでの蒸気生成のために水を加熱するのに役立つ。主蒸
気発生器/廃熱ボイラーは高温の SMR 出口ストリームを使用し、プロセス
ガスを高温シフトコンバーター (HTSC) 入口温度まで冷却する。シフト変
換は、CO を CO2 に変換により、CO を微量 (1 % 未満、たとえば約 0.2%)
まで効果的に削減す。シフト反応器の出口の流れは乾燥され(過剰な水を
除去するため)、次に約 10 Bar (145 psi(g)) まで圧縮。 特定の例示的な実
施形態では、本開示のP-SMRは、約100psi(g)の最大入口圧力を有す。
特定の実施形態では、ガスは、水素を分離するユニットに送られる前に、
さらに加圧される(約10バール(すなわち、145psi(g))。 図5は、水素を分
離するためのメタン改質システムを示すプロセスフロー図。 第3の例示
的な実施形態によれば、水素とメタノールを生成する。

例えば、冷却剤は、冷却ジャケットに囲まれた反応器セルによって生成さ
れる熱を除去するために、冷却ジャケットを通してポンプで送られるか、
または別の方法で移動され得る。環状反応器セルの場合、流体冷却システ
ムは、追加的または代替的に、内部冷却ジャケットまたはリザーバを反応
器セルの中心部分に含み、内部冷却ジャケット自体が環状反応器によって
取り囲まれるようにしてもよい。 ORCによって使用される流体冷却システ
ムの他の構成も可能であり、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
例えば、複数の反応器セルから熱を除去する冷却システム、またはマルチ
セル反応器(またはマルチリアクター改質装置)に関連付けられた冷却シ
ステムは、追加または代替として、ORCユニットによる現場発電用の廃熱
を供給する場合がある。
 
特定の他の実施形態では、本開示のシステムでは現場で電力が生成されな
い。たとえば、水性ガスシフト反応器は本質的に発熱性でありプロセス熱
の統合は廃熱ボイラーでの蒸気生成のために水を加熱するのに役立つ。
主蒸気発生器/廃熱ボイラーは高温のSMR出口ストリームを使用し、ロセ
スガスを高温シフトコンバーター (HTSC) 入口温度まで冷却。シフト変
換は、COCO2に変換することにより、CO を微量 (1%未満、たとえば
約 0.2%) まで効果的に削減する。シフト反応器の出口の流れは乾燥され(過剰
な水を除去するため)、次に約 10 Bar (145 psi(g)) まで圧縮される。 特定の例示
的な実施形態では、本開示のP−SMRは、約100psi(g)の最大入口圧力を有す
る。特定の実施形態では、ガスは、水素を分離するユニットに送られる前に、さ
らに加圧される(約10バール(すなわち、145psi(g)(g))。
図5は、第3の例示的な実施形態による、水素およびメタノールを生成するため
のメタン改質装置システムを示すプロセスフロー図である。

図5は、第3の例示的な実施形態による、水素およびメタノールを生成す
るためのメタン改質装置システムを示すプロセスフロー図である。 図1
のシステムは、 図5は、図4に示したものと同様である。図6のシステ
ムを除いて、図6のシステムと同様である。図5 はその場で電力を生成
せず、発生した熱を除去した後、P-SMR 原子炉の冷却ジャケットを通して
冷却剤 (水など) を単純に再循環する。 図示のように、1つまたは複数
の冷却ファン、リザーバ、および/またはポンプを使用して、冷却ジャケ
ットを通して冷却剤を再循環させることができる。 本開示のシステムは
また、第1ステージ(30)に隣接し、その下流に第2ステージ(50)を含
み、第2ステージ(50)は、第2メタンから合成ガスを生成するように構
成された光触媒乾式メタン改質装置(P-DMR)(51)を備える。 供給原
料と第一段階(30)で生成される二酸化炭素流。 特定の実施形態では、
本開示のシステムは、図示のように、第2段階(50)に隣接しかつその下
流に、第2段階で生成された合成ガスからメタノールまたはジメチルエー
テルを生成するように構成された合成反応器を含む第3段階をさらに図4
に含む。たとえばメタノールを得るために第 2 段階と第 3 段階で実行さ
れる反応の例は次のとおり。
------------------------------------------------------------------
・ステップ 1 — 乾式メタン改質 (DMR):
・ステップ2 — 水ガスシフト (WGS):
・ステップ 1 と 2 の合計:
・ステップ 3 — メタノールの合成:
・ステップ 1、2、3 の合計:
------------------------------------------------------------------
式 2 (ステップ 1) で前述したように、P-DMR 反応器の出力は、COとH2
混合物である合成ガスまたは合成ガス。合成ガスは、メタノールやジメ

ルエーテルなどの多くの炭化水素燃料の出発原料。合成ガスを炭化水素
燃料に変換する技術は成熟しており、商業的であり、当業者には明らかで
ある。第2段階(50)からの合成ガスは、一般に、一酸化炭素と水素を約
1:1の比率で含む。 特定の実施形態では、合成反応器内の一酸化炭素
と水素の比が約1:2となるように、水素流が第3段階の合成反応器に供
給される(例えば、式5に示されるように)。水素流は、合成反応器に直
接供給されてもよいし、合成反応器に導入される前に合成ガス流と予め混
合されてもよい。 特定の実施形態では、合成反応器に導入される水素流は、
第1段階(30)において、例えばPSA水素精製ユニット(40)から得られ
る。特定の他の実施形態では、シフト反応器は、P-DMR (51)に隣接して下
流の第2段階(50)に追加され、合成反応器に提供される水素流を生成す
るように構成されてもよい。水素分離技術の選択は、最終用途に直接依存
します。 新しいガス分離技術には膜分離があり、柔軟で簡単な操作、コパ
クトな構造、低エネルギー消費、環境に優しいという利点があります。
膜材料の性能は、膜の H2分離および精製効果を決定する最も重要な要素。
一般的に使用される膜材料には主に金属膜や高分子膜が含まれるが、ナノ
マテリアル膜、CMSM、MOF 膜などの新規な膜材料も好ましい分離性能を
発揮する可能性がある。単一膜タイプのシステムでは 99%以上の純度を提
供することはできない。さらに、膜システムは水の凝縮に対して非常に敏
感である。これは、水が膜の表面に障壁を形成し、透過速度を遅くするた
めであり、アミン蒸気が膜に与える影響はごくわずかだが、発泡やキャリ
ーオーバーが発生する可能性があるため、従来の SMR システムではヒー
ターや凝集フィルターを使用するなど、追加のユニット操作が必要になる。
液体 MEA / MDEA がキャリーオーバーした場合、唯一の選択肢は施設を
停止して膜を交換することになる可能性がある。 従来のSMRシステム
とは対照的に、本発明のシステムは、上述の欠点を気にせずに水素分離膜
を利用することができる。 したがって、特定の実施形態では、本開示のシ
ステムで使用される水素分離膜は、圧力スイング吸着(PSA)水素ユニット
である。PSA 分離効果は主に、吸着剤の種類と使用される技術プロセスに
依存します。 H2 は静的容量の点で CO2、CO、CH4 などのほとんどのガス
分子とは大きく異なるため、PSAの分離と精製に非常に適している。 特定
の例では、99%もの高い純度を達成することができる。上に示したように、
本開示のシステムは、光触媒水蒸気メタン改質装置(P-SMR)を備える。
たとえば、このような P-SMR には次のものが含まれる場合がある。
                          
【関連特許】
1.JP2020525282 - 光触媒リアクタセル シジジー プラズモニクス 
 インコーポレーティッド
【要約】
下図1Aのごとく、本開示は、概して、筐体と、筐体内に配置された触媒
担体上の1または複数のプラズモン光触媒とを有するリアクタセルに関す
る。本開示のいくつかの実施形態によれば、筐体は少なくとも一部が光学
的に透明である。

【概要】
【図1A】本開示のある実施形態に係るリアクタセルの側断面図
【図1B】本開示のある実施形態に係るリアクタセルの分解斜視側面図
【図2】ビーズ状の触媒担体を有するリアクタセルの構成例を詳細に示す断面図

【特許請求範囲】
1.光学的に透明な円筒状の筐体と、 少なくとも1種の反応物質入力ガスを受け
るための少なくとも1つの輸送経路に、前記筐体の第1端を取り付けるように構
成された第1の取り付け具と、 少なくとも1種の出力ガスを出力するための少な
くとも1つの輸送経路に、前記筐体の第2端を取り付けるように構成された第2の
取り付け具と、 実質的に前記筐体を満たす固定ベッドとしてパッキングされてい
る触媒担体と、 前記触媒担体によって担持されている第1のプラズモン光触媒
、当該第1のプラズモン光触媒は所望の化学反応を触媒するためのプラズモン
共鳴振動数を有するプラズモン材料にカップリングされた触媒を含む、と、 前記
触媒担体によって担持された第2のプラズモン光触媒、当該第2のプラズモン光
触媒は前記第1のプラズモン光触媒とは異なり、前記第1のプラズモン光触媒
と異なるプラズモン共鳴振動数を有する、と、 を含み、 前記少なくとも1種の反応
物質入力ガスが前記筐体を通過する間、前記筐体の少なくとも内部の実質的に
全体に光源を使用すると、前記少なくとも1 種の反応物質入力ガスを、前記少な
くとも1種の反応物質入力ガスが少なくとも1つの前記第1のプラズモン光触媒と
反応することを通じて、前記少なくとも1 種の出力ガスに変化させるように構成さ
れている、1または複数の反応物質ガスを変化させるための固定ベッドリアクタ
セル。
 2.前記光学的に透明な筐体は、少なくとも1つの所定の光波長に対して少なく
とも50%の透過率を有する、請求項1に記載のリアクタセル。
3.前記光学的に透明な筐体は、ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英、溶融石英、ア
ルミノ珪酸ガラス、リチウム-アルミノ珪酸ガラス、サファイア、またはそれらの組
み合わせを備える、請求項1に記載のリアクタセル。
 4.前記触媒担体は、少なくとも1つの所定の光波長に対して前記少なくとも1
種の反応物質入力ガスを前記少なくとも1 種の出力ガスへ変化させる触媒作用
を及ぼすのに必要な程度に低い吸光度を有するように選択される、請求項1に
記載のリアクタセル。
 5. 前記触媒担体は、シリカ、石英、溶融石英、ガラス、ホウケイ酸ガラス、サフ
ァイア、ダイヤモンド、またはこれらの組み合わせを備える、請求項1に記載のリ
アクタセル。
6.前記触媒担体は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化
ジルコニウム、酸化ホルミウム、酸化サマリウム、酸化エルビウム、酸化ネオジ
ウム(III)、またはそれらの組み合わせを有するエアロゲルである、請求項1に記
載のリアクタセル。
 7.前記触媒担体は酸化アルミニウムである、請求項1に記載のリアクタセル。
8. 前記筐体は、0.2cmから30cmの内径を有し、10cmから2mの長さを有
する、請求項1に記載のリアクタセル。
9.前記光源は、少なくとも1つのLED、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムラ
ンプ、キセノンランプ、白熱電球、蛍光ランプ、ハロゲンランプ、HID、レーザ、ま
たはこれらの組み合わせを備える、請求項1に記載のリアクタセル。
10.前記光学的に透明な筐体は、外側の空洞と、該外側の空洞と同軸に配置
された中央の空洞とをさらに備え、前記外側の空洞は、前記触媒担体上の少な
くとも前記第1のプラズモン光触媒を含みかつ前記中央の空洞を実質的に取り
囲み、前記中央の空洞には、前記光源と温度管理機構のうちの少なくとも1つが
設けられる、請求項1に記載のリアクタセル。
 11.前記温度管理機構は、流体が前記リアクタセルを通り抜けて該リアクタセ
ルに熱を加えるまたは該リアクタセルから熱を除去するように、前記中央の空洞
の第1の端部に結合された流体入力と、前記中央の空洞の第2の端部に結合さ
れた流体出力とを含む、請求項10に記載のリアクタセル。
12.前記温度管理機構は、少なくとも1つの金属ロッドまたは複数の金属ワイヤ
を備える、請求項10に記載のリアクタセル。
13. 少なくとも1 種の反応物質 入力ガスを固定ベッドリアクタセルを用いて変
化させる方法であって、前記固定ベッドリアクタセルは、 光学的に透明な円筒状
の筐体と、 前記少なくとも1種の反応物質入力ガスを受けるための少なくとも1
つの輸送経路に、前記筐体の第1端を取り付けるよう構成された第1の取り付け
具と、 少なくとも1種の出力ガスを出力するための少なくとも1つの輸送経路に、
前記筐体の第2端を取り付けるよう構成された第2の取り付け具と、 実質的に前
記筐体を満たす固定ベッドとしてパッキングされている触媒担体と、 前記触媒担
体によって担持されている第1のプラズモン光触媒、当該第1のプラズモン光触
媒は所望の化学反応を触媒するためのプラズモン共鳴振動数を有するプラズモ
ン材料にカップリングされた触媒を含む、と、 前記触媒担体によって担持された
第2のプラズモン光触媒、当該第2のプラズモン光触媒は前記第1のプラズモン
光触媒とは異なり、前記第1のプラズモン光触媒と異なるプラズモン共鳴振動数
を有する、と、 を含み、 前記方法は、 少なくとも1 種の反応物質入力ガスを、前
記リアクタセルの前記第1の取り付け 具への前記少なくとも1つの輸送経路を通
じて、供給する工程と、 少なくとも1つの光源を介して、少なくとも前記リアクタセ
ルの内部を照射する工程と、 少なくとも1 種の出力ガスを前記リアクタセルの前
記第2の取り付け 具から出力する工程と、 を備え、 前記少なくとも1種の反応物
質入力ガスが前記筐体を通過する間、前記筐体の少なくとも内部の実質的に全
体に光源を使用すると、前記リアクタセルは、前記少なくとも1 種の反応物質入
力ガスを、前記少なくとも1種の反応物質入力ガスが少なくとも1つの前記第1の
プラズモン光触媒と反応することを通じて、前記少なくとも1 種の出力ガスに変
化させるように構成されている、方法。
 14.少なくとも一部が前記筐体内に配置された温度管理機構を介して前記リ
アクタセルを加熱する工程をさらに備える、請求項13に記載の方法。
15.の専用の熱源を加えず、前記プラズモン光触媒と反応する前記少なくとも
1 種の反応物質 入力ガスを介してのみ前記少なくとも1つのセルを加熱する工
程をさらに備える、請求項13に記載の方法。
 16.少なくとも1つの入力と、少なくとも1つの出力と、中央の空洞とを有する筐
}体と、 前記中央の空洞内に配置された光源と、 前記筐体内に配置されて実質
的に前記筐体を満たし、前記中央の空洞を実質的に取り囲む固定ベッド触媒担
体上の第1のプラズモン光触媒、前記第1のプラズモン光触媒は、所望の化学
反応を触媒するプラズモン共鳴振動数を有するプラズモン材料に結合された触
媒を有する、と、 前記触媒担体によって担持された第2のプラズモン光触媒、当
該第2のプラズモン光触媒は前記第1のプラズモン光触媒とは異なり、前記第
1のプラズモン光触媒と異なるプラズモン共鳴振動数を有する、と、 を備え、 少
なくとも1種の反応物質入力ガスが前記筐体を通過する間、前記筐体の少なくと
も内部の実質的に全体に光源を使用すると、前記少なくとも1種の反応物質入
力ガスを、少なくとも前記第1のプラズモン光触媒と反応させることを通じて、少
なくとも1つの出力ガスに変化させるように構成されている、 1または複数のガス
を変化させるための固定ベッドリアクタセル。
 17.前記筐体は、前記中央の空洞に面する反射面を有する、請求項16に記
載のリアクタセル。
 18. 前記筐体は、50cmから1mの長さを有する、請求項1に記載のリアクタ
セル。
19.前記第2のプラズモン光触媒は、前記第1のプラズモン光触媒と異なる直
径を有する、請求項1に記載のリアクタセル。
 20.前記第1のプラズモン光触媒および第2のプラズモン光触媒は、互いに異
なる層に配置されている、請求項1に記載のリアクタセル。
 21.前記第1のプラズモン光触媒は他の波長に対して第1の波長範囲を吸収
し、一方、前記第2のプラズモン光触媒は他の波長に対して第2の波長範囲を
吸収し、 前記第1の波長範囲は、前記第2の波長範囲と異なっている、 請求項
1に記載のリアクタセル。
            
                           この項つづく




   谷村新司  1980.4.1

目を閉じて何も見えず哀しくて目を開ければ
荒野に向かう道より他に見えるものはなし
ああ砕け敷石宿命の星だちよ
せめて密やかにこの身を照せよ
我は行<
我は行<
蒼白き頬のままで
さらば昴よ
呼吸(いき〉をすれば胸の中凩にがらし)は列な)き総する
されと我が胸は熱<夢を追い続けるなり
ああさんざめ<名も無き星だちよ
せめて鮮やかにその身を終われよ
我も行<心の脂ずるままに
我も行<さらば昴よ
ああ
ああ
いつの日か誰かがこの道を
いつの日か誰かがこの道を
我は行<
我は行<
我は行<
蒼白き頬のままで
さらば昴よ
さらば昴よ

谷村 新司(1948年12月11日 - 2023年10月8日[)は、日本のシンガーソングライ
ター、タレント、作詞家、作曲家、大学教授。アリスのリーダー。大阪府大阪市住
之江区(当時は住吉区)の出身で、同南河内郡長野町(現・河内長野市)生まれ
の同大阪市東住吉区桑津育ち。



サライ  
谷村新司/加山雄三 1992.11.16

通い夢すてきれすに故郷をすてた
穏やかな春の陽射しがゆれる小さな駅舎
別離より悲しみより憧憬まつよく
淋しさと背中あわせのひとりきりの旅立ち
動き始めた汽車の窓辺を
流れてゆく景色だけをじっと見ていた
サクラ吹雪のサライの空は
哀しい程青く澄んで胸が雲えた
恋をして恋に破れ眠れすに過ごす
アパートの窓カラス趙し見てた夜空の星
この街で夢追うならもう少し強く
ならなけりや時の流れに負けてしまいそうで
動き始めた朝の街角
人の群れに埋もれながら空を見上げた
サクラ吹雪のサライの空へ
流れてゆく白い雲に胸が雲えた
隨れれは隨れる程なおさらにつのる
この想い忘れられすにひらく古いアルハム
若い日の父と母に包まれて過きた
やわらかな日々の暮らしをなモリながら生きる
まふたとじれは浮かぶ景色が
迷いながらいつか帰る愛の故郷
サクラ吹雪のサライの空へ
いつか帰るその時まで夢はすてない
まふたとじれは浮かぶ景色が
迷いながらいつか帰る愛の故郷
サクラ吹雪のサライの空へ
いつか帰るいつか帰るきっと帰るから

わたしと同い年であった。
                       享年七十四 合掌



詞・作曲:佐竹俊郎  
1969年9月10日にウッディ・ウーがリリース
1975年9月5日にアリスがカバー

今夜の寸評:

 

 

 

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光触媒活用の米水素技術ベンチャーに出資 Ⅰ

2023年10月13日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

 

 

   


再エネ革命渦論 177: アフターコロナ時代 178】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中 ㊿+⑧



三菱重工,光触媒活用の米水素技術ベンチャーに出資 Ⅱ

10月10日、三菱重工業は,米国統括拠点である米国三菱重工業(MHIA)を
通じ,光触媒技術を活用した水素製造・CO2利用技術を開発する米国のスタ
ートアップ企業である米シジジー・プラズモニクスに出資したと発表。シ
ジジー・プラズモニクスは,米ライス大学で開発された,光触媒を利用し
て水素製造などのさまざまな化学反応を電化する世界最先端の革新的技術
を商用化するべく,2018年に設立された。化学工業プロセスを電化し,よ
りクリーンで安全な世界を実現するため,従来の燃焼熱に代わり光を利用
した反応器を開発している。この反応器を再生可能エネルギーによって運
転することで,アンモニアからのCO2フリー水素の製造や,CO2排出量の少
ない水素をメタンから製造することなどを可能とし,化学工業プロセスの
コストとCO2排出量の両方を削減できる可能性を有している。また,回収し
たCO2とメタンから合成ガスを製造し,持続可能燃料やメタノールに変換す
ることもできる。同社グループは,今回の出資を通じ,それら各エコシス
テムの多様化につながる将来の革新的代替技術の1つとしてシジジー・プラ
ズモニクスの取り組みを支援し,同社グループが戦略的に取り組むエナジ
ートランジション事業の強化につなげていくとしている。

 

Methane Reformer for the Production of Hydrogen and a Hydrocarbon Fuel
Jul 20, 2021 - Syzygy Plasmonics Inc.

The present disclosure is directed to systems and methods for reforming methane
into hydrogen and a hydrocarbon fuel. In example embodiments, the methane refo-
rmer integrates a photocatalytic steam methane reforming (P-SMR) system with a
subsequent photocatalytic dry methane reforming (P-DMR) system. Latest Syzygy
Plasmonics Inc. Patents:
•Photocatalytic Reactor System
•PHOTOCATALYTIC REACTOR CELL
•PHOTOCATALYTIC REACTOR HA VING MULTIPLE PHOTOCATALYTIC
 REACTOR CELLS
Skip to:
Description · Claims · Patent History · Patent History Description
CROSS-REFERENCE TO RELATED APPLICATIONS
The present application claims priority to and hereby incorporates by reference the
entirety of U.S. Provisional Pat.
Application No. 63/054,163, filed Jul. 20, 2020.

BACKGROUND OF DISCLOSURE
Field of Disclosure
The present disclosure is directed to systems and methods for reforming methane
into hydrogen and a hydrocarbon fuel. In exam
ple embodiments,   the methane
reformer integrates a photocatalytic steam methane reforming (P-SMR) system

Technical Background
Conventional Steam Methane Reforming (SMR) systems, such as the one
illustrated in FIG. 1, can be used to produce syngas (hydrogen and carbon
monoxide) from, for example, methane (natural gas), according to the
following equilibrium:
The conventional SMR has several disadvantages. For example, SMR is
sensitive to sulfur that may be present in the pipeline quality gas and requires
desulfurization (i.e., a combination of hydrodesulfurization (HDS) catalyst
and ZnO adsorbent bed). In addition, conventional SMR is a heat intensive
endothermic reactor, and hydrogen production is limited due to conversion
limitation associated with near cracking temperatures. This limitation is
overcome via a high and low temperature water gas shift reactor (WGS),
installed in series. Further, high temperature operation of SMR produces
significant quantities of green-house carbon monoxide (CO), which
necessitates the installation of WGS reactors.

In addition, the conventional SMR generally has two carbon dioxide (CO2)
exhaust streams, which require removal of CO2. The first CO2 exhaust
stream results from natural gas and air being used as fuel to provide energy
to the SMR reactor. This creates a “stack gas” stream that has dilute CO2
and other gases, such as nitrogen oxides (NOX) and sulfur oxides (SOX).
The process to capture or utilize CO2 from the stack gas stream is complex
and expensive. The second CO2 exhaust stream is produced as a part of the
process gas, and contains concentrated CO2 that is easier to capture or
utilize. The amount of CO2 released to the atmosphere from both of these
streams makes conventional SMR a significant emitter of greenhouse gases.
In plants that contain equipment to capture CO2 from these streams, the
capital expenditure for such equipment becomes an appreciable portion of t
he overall plant cost.

One of the traditional methods employed for CO2 removal is a combination
absorber-regenerator setup that employs hot potash or amine based liquid
absorbents, such as monoethanolamine (MEA) or activated methyl diethanol
amine (aMDEA). Not only does this system require a high pressure (close
to 400 psi(g), for liquid entering the absorbers) and high temperature (close
to 200° C. at regenerator reboiler), but amine-based liquids used in the
system can be corrosive in nature. These limitations require high grade
costly materials; i.e., the whole tower has to be made from stainless steel
or require the injections of a passivation agent, such as vanadium
pentaoxide (V2O5), and continuous iron monitoring. Foaming is another
common issue. Excessive foaming can lead to carry over to the downstream
system and have a negative effect. Finally, solution chemistry needs to be a
nalyzed at regular frequency to maintain the necessary rate of absorption
and address any system losses.

The conventional SMR design also necessitates a fully functional burner
management system (BMS) to ensure the safe light-up and light-off of
gas/liquid fuel operated burners. A BMS system has significant steps after
which the permissive is issued to light up burners. This sequence convent-
ionally includes purging of the furnace to get rid of the flammables from
the firing (if any) by running blowers or ID fans near their top speeds.
Once the purge sequence is completed, a tightness test ensures leak proofing
of the fuel circuit, after which the pilot lights-up and then, based on the
predetermined or operationally required sequence, the main burners light
-up and the system is pressurized. As evident, it is a complicated system
with excessive boot strapping. Further, any leakage in the fuel system
renders the entire sequence useless. Additionally, the furnace ramp-up or
ramp-down requires a lot of time and labor. A commercial reformer with
close to hundred burners requires manual operation every time pressure is
stepped up or lowered. A combination of block and regulating valves (i.e.,
control valves) ensures precise control and, if needed, fail-safe shutdown,
but requires constant vigilance on the part of board and field operators.

Therefore, there remains a need for effective systems for methane reforming
that do not have the drawbacks of the currently used conventional SMR s
ystems.

SUMMARY OF DISCLOSURE

One aspect of the disclosure provides a system for recovering syngas
(i.e., hydrogen and carbon monoxide) from a methane feedstock. Such
                                                                                              system includes:

・a first stage comprising a photocatalytic steam methane reformer, the first
  stage configured to produce at least a carbon dioxide stream and a hydrogen
 stream from the methane feedstock; and

・a second stage, adjacent to and downstream from the first stage, and c
  omprising a photocatalytic dry methane reformer configured to produce
  the syngas from a second methane feedstock and the carbon dioxide stream
  produced in the first stage.

 

The system of the disclosure may be used in methods of preparing zero-
emission hydrogen in addition to another low- or zero-emission product,
such as methanol or dimethyl ether (DME). Thus, another aspect of the
disclosure provides methods for transforming a methane feedstock into
syngas. Such methods include:

・providing the methane feedstock to a first stage comprising a photocatalytic
  steam methane reformer as described herein to obtain at least a carbon
 dioxide stream and a hydrogen stream; and

・providing the carbon dioxide stream to a second stage comprising a photo
  catalytic dry methane reformer as described herein to produce the syngas.

Another aspect of the disclosure includes methods for preparing methanol
or dimethyl ether from a methane feedstock. In such methods, the syngas
obtained in the second stage is provided to a third stage comprising a
synthesis reactor to obtain methanol or dimethyl ether.

In certain embodiments, a hydrogen stream is provided to the synthesis
rector in the third stage so that the ratio of carbon monoxide and hydrogen in
the reactor is about 1:2.

Various example embodiments described herein can be used to provide one
or more benefits, such as benefits relating to reduced-emission chemical
production. In one example use case, methane from a dairy farm, landfill,
or well-site flare gas can be used to make low / zero emission hydrogen from
that methane, without significant carbon emissions into the atmosphere.
By processing the P-SMR’s CO2 waste stream in the immediately adjacent
and downstream P-DMR reactor, the waste CO2 and methane (both potent
greenhouse gases) can be processed into another “green” product, such as
methanol or DME, for example. In certain embodiments, the methods of the
disclosure are lower cost, less complex, and an environmentally friendly
replacement for traditional SMR plants in oil refineries, ammonia plants,
and methanol plants. The systems and methods of the disclosure may be
used, for example, as a source of hydrogen fuel for distributed and point-
of-use production of hydrogen for fuel cell vehicle applications.

The above detailed description describes various features and functions of
the disclosed systems, devices, and methods with reference to the accomp-
anying figures. While various aspects and embodiments have been disclosed
herein, other aspects and embodiments will be apparent. The various aspects
and embodiments disclosed herein are for purposes of illustration only and
are not intended to be limiting.

Some embodiments of this invention are described herein, including the best
mode known to the inventors for carrying out the invention. Of course,
variations on these described embodiments will become apparent to those
of ordinary skill in the art upon reading the foregoing description.
The inventor expects skilled artisans to employ such variations as appropriate,
and the inventors intend for the invention to be practiced otherwise than s
pecifically described herein. Accordingly, this invention includes all
modifications and equivalents of the subject matter recited in the claims
appended hereto as permitted by applicable law. Moreover, any combination
of the above-described elements in all possible variations thereof is encomp-
assed by the invention unless otherwise indicated herein or otherwise clearly
contradicted by context.

It is understood that the examples and embodiments described herein are for
illustrative purposes only and that various modifications or changes in light
thereof will be suggested to persons skilled in the art and are to be incorpor-
ated within the spirit and purview of this application and scope of the appen-
ded claims. All publications, patents, and patent applications cited herein are
hereby incorporated herein by reference for all purposes.

 





https://patents.justia.com/patent/20230294984

DETAILED DESCRIPTION

- -------------------------------------------------------------------

US Patent Application for Methane Reformer for the Production of Hydrogen and a H
ydrocarbon Fuel Patent Application (Application #20230294984 issued September
21, 2023) - Justia Patents Search
                                                                                                            この項つづく

 



風蕭々と碧い時









 


John Lennon Imagine

  


アルバム『終わりなきこの愛』 2019年4月24日
ノスタルジー     NOSTALGY 

今夜の寸評:
 

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生成AIの可能性 ①

2023年10月10日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

   




再エネ革命渦論 176: アフターコロナ時代 177】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中 ㊿+⑦


 次世代太陽電池「ペロブスカイト型 2025年実用化」を表明

 岸田首相は3日、「ペロブスカイト型」と呼ばれる次世代の太陽電池に
ついて、2025年の実用化を目指す考えを表明した。脱炭素社会の実現
に向けた投資促進策の一環で、年内にも具体的な戦略を構築する。首相官
邸で開かれた企業幹部との意見交換会で述べた。岸田首相はペロブスカイ
ト型を挙げ、「カーボンニュートラル(脱炭素化)の実現に重要な技術、
製品の開発、普及に向け、年内にGX(グリーントランスフォーメーショ
ン)に向けた投資戦略を策定する」と強調した。開発に取り組む企業から
は政府の支援を求める意見が出た。ペロブスカイト型の太陽電池は、薄く
て軽く、曲げることもできる。車の屋根の形状に沿って設置でき、電気自
動車(EV)なでの活用が期待されている(via 読売新聞 2023.10.03)。

 無害で安価な新規太陽電池材料を発見
10月4日、東北大学の研究グループは,アルカリニクトゲン(水素を除く元
素周期表1族元素(アルカリ金属)と15族元素(ニクトゲン)の化合物)が,
太陽電池材料として有望であることを発見。
【要点】
1.元素を置換する新たなエレメントミューテーション法(注1)と第一
 原理計算(注2)を用いて、アルカリニクトゲン化合物(注3)が太陽
 電池材料として有望であることを発見
2.その中でも無害で安価な元素で構成されるリン化ナトリウムを実験的
 に合成しバンドギャップが計算による値と一致することを確認
【概要】
太陽電池の中核をなす光を電気に変換する材料には、主に元素周期表14族
(Ⅳ族)のシリコンが使われてきました。しかしシリコンは電気への変換
効率が低いため代替材料が長年望まれてきた。その中には、実用化に至っ
た13族-15族(Ⅲ-Ⅴ族)化合物のヒ化ガリウム、CIS系(銅、インジウム、
セレンを主な原料とする材料)、12族-16族(Ⅱ-Ⅵ族)化合物のテルル化
カドミウムや、最近ではハロゲン化鉛系ペロブスカイト(注5)が含まれて
いる。しかしながらそれらの材料は、ヒ素、セレン、カドミウム、鉛等の
有害元素を含んでおり、無害でさらに安価な元素で構成される太陽電池材
料が望まれていた。


図1. (左)固体セレンと、(右)アルカリニクトゲン化合物の結晶構造(
 NaPを例として)。

1873年に発見された人類最初の固体太陽電池材料である16族のセレンを手
がかりに、新たなエレメントミューテーション法と第一原理計算を駆使し
て太陽電池材料の探索を行いました。セレンは太陽電池材料として、150年
にわたり研究されて来ましたが、その効率は6.5%と実用化されている材料
には遠く及びません。この原因として、バンドギャップが大き過ぎる事が
考えられます。そこでバンドギャップをより最適な値に調整するため、16
族のセレンを15族のニクトゲンに置き換え、足りない電子を補うために、
格子間にアルカリ金属(1族)を導入する従来とは異なるエレメントミュ
ーテーション法を適用。その結果、1族-15族化合物のアルカリニクトゲン
化合物が適切なバンドギャップを有し、さらに軽い有効質量と高い光吸収
係数を持つため、太陽電池材料として有望であることを発見。またその中
でも特にリン化ナトリウム(NaP)が無害で安価な元素で構成されており、
太陽電池材料に適していることを見出す。そして計算による予測を実証す
るため、リン化ナトリウムを合成してバンドギャップを測定したところ、
計算値と良い一致を示しました。太陽電池材料は、長年シリコンが主流で
したが、リン化ナトリウムは安価かつ無害な元素で構成されておりめ、実
用化となれば社会に及ぼす影響は極めて大きく、今後、実用化に向けたさ
らなる開発が期待される。
【用語解説】
1.エレメントミューテーション法:ある特定の元素を、同じ閉殻構造を
持つ元素ペアに置換することで、派生物質を系統的に生成する方法。通常
は、1つの元素を2種類の元素に置換するが、本研究では、元素の置換と結
晶構造中の空隙に新たな元素を導入することで、閉殻構造を保持する従来
とは異なるエレメントミューテーション法を提案している。
2.アルカリニクトゲン化合物:水素を除く元素周期表1族元素(アルカリ
金属)と15族元素(ニクトゲン)の化合物。
3.バンドギャップ:電子が存在することのできないエネルギー領域のこ
と。バンドギャップより小さいエネルギーの光は太陽電池の発電には寄与
しないが、バンドギャップが小さすぎると取り出せる電圧が下がるため、
大きすぎず小さすぎない、太陽電池に最適なバンドギャップが存在する。
4.ハロゲン化鉛系ペロブスカイト
ハロゲン化鉛系ペロブスカイト半導体(CH3NH3PbX3)は、2009年に初めて
桐蔭横浜大学の宮坂力教授のグループによって太陽電池材料として報告さ
れた材料で、2023年には最大26.1%の変換効率が報告されている。 印刷技
術によって製造できるため、太陽電池の低価格化が期待されており、国内
外で開発競争が激化している。
5.第一原理計算:固体の中の電子の振る舞いを、量子力学に基づいて数
値的に解く計算手法。半導体物性の予測性能が高いことが知られている。

 微生物が作った有機液肥の性能をトマト水耕栽培
廃棄物中の窒素のアップサイクルで資源循環に貢献
9月26日、 産業技術総合研究所らの共同研究グループは、微生物による分
解活性を利用して食品加工廃水から作った有機液肥が、トマト水耕栽培で
実用可能なことを実証した、

【要点】
1.市販の化学液肥と同等の効果食品加工廃水を有機液肥に変換し農業利用
2.市販の化学液肥と同等の効果
3.•微生物がバイオフィルムを形成してトマトの根を守る



【概要】
有機液肥と化学液肥を使い、それぞれ27株のトマトの水耕栽培を96日のあ
いだ行う。栄養成分としての硝酸イオン濃度は、両液肥で同じとなるよう
に調整。図1は、植物体の茎の太さを計測した結果、有機液肥を使用した
場合、化学液肥と比べて植物体が10%程度大きくなり、また、トマト果実
も化学液肥を使用した場合と同等量が収穫できた。 化学液肥と比べて、
有機液肥を使うとトマトの根に定着する微生物に違いが生ずるのかを菌叢
解析によって調べました(図2A)。その結果、使用した有機液肥自体に複
数の微生物が含まれ、それらのうちの3種(Rudaea属細菌、Stenotrophobacter
属細菌、Chitinophaga
属細菌)が比較的高い割合で根に定着(図2A中のそれ
ぞれ赤・青・黄色で示した微生物)。顕微鏡解析を行ったところ、有機液
肥で栽培したトマトの根には、化学液肥のそれと比較して多量のバイオフ
ィルムが形成されていることが判明(図2B)。検出された3種の微生物は、
植物の成長を促進したり病原性微生物の感染を防いだりなど、植物の生育
に有利な働きをする微生物と近縁する。これらの微生物の働きにより、ト
マトの植物体が大きく生育した可能性が考えられる。この有機液肥を使用
すると、トマトが感染性の疾病にかかりにくいことが、現場では経験的に
わかっていた。今回の研究により、有機液肥に由来する微生物が根に定着
してバイオフィルムを作り、根の表面を覆うことで、結果的に病原性を有
する他の微生物の侵入を防いでいることを示唆した。



図2 トマトの根に定着した微生物とバイオフィルム ※原論文の図を引用・
改変したものを使用。 図2Aでは存在量上位15種のみを表示。有機液肥の
微生物組成(図2A右端の2本の棒グラフ)は代表的な試料二つの結果を記載。
図2Bはそれぞれの肥料で栽培したトマトの根の同様の部分の解析結果。
【展望】
産総研は、本プロジェクト以外に、廃水から燃料となるメタンガスを生産
するなど、微生物の力で廃棄物を有価物に変換する技術を開発。それら技
術の効率や安定性を向上できるように、微生物の性質を理解して最大限に
機能を活用する研究を進める。また、株式会社 アイエイアイ(IAI)は、
水耕栽培を実用規模にするため、液肥製造装置を拡充・大型化した。現在、
水耕栽培の施設の大型化および高効率化も行い、液肥によるトマト水耕栽
培についての事業化を進めている。
【論文情報】
掲載誌: Applied Microbiology and Biotechnology
論文タイトル:Microbially produced fertilizer provides rhizobacteria to hydroponic
tomato roots by forming beneficial biofilms

DOI:https://doi.org/10.1007/s00253-023-12794-9
【コメント】
顕微鏡を利用しディープラーニングAIをドッキングし、菌体解析/同定、数値化/帰
還制御させるプロセッサ開発を同時進行させことが大切だ。

世界初の水中フュージョンセンサ技術




10月6日、水中光技術の活用を通じて新市場の創出や社会課題の解決に向け
て活動するALAN(Aqua Local Area Network)コンソーシアムは海洋・海中
を代表とする水中環境において,新コンセプトの水中センサロボットを駆
使し,新たな水中事業の実現を目指す「アクアジャスト株式会社」を設立
したことを発表。

光検出と測距」ないし「レーザー画像検出と測距」は、光を用いたリモー
トセンシング技術の一つで、パルス状に発光するレーザー照射に対する散
乱光を測定し、遠距離にある対象までの距離やその対象の性質を分析する
LiDARとカメラを組み合わせた「水中ヒュージョンセンサ」新技術を発表。
これまでLiDARとカメラは,水中においてはそれぞれ単独の遠隔操作型の無
人潜水機(ROV)に搭載して別々にデータを取得し,後からソフト的にデー
タを合成するのが一般的だった。しかし,これでは動きの速いもの等のリ
アルタイムで計測が困難であったが、この製品は,世界で初めてRGB三色
レーザーを搭載した水中用LiDARで,カメラを同時搭載してハード的に融
合させた。従来,RGB三色のレーザーを搭載したLiDARは,ラインレーザー
を用いた光切断法によって測定対象物をスキャンニングし,少し離れたと
ころから計測用カメラで計測するという方式が用いられていた。



この方式の課題は,当てる光がライン光であるため拡散するので,測定対
象物に当たるところの照度が低くなるほか,光源と測定対象を一定の距離
を離さないと,精度があがらないため装置構成が大掛かりになりがちで計
測時間が長くなるという課題があった。 で同社は,水中フュージョンセン
サを用いて,これらの課題を解決しようと考えた。海水は季節や海域によ
り光がよく通る波長(色)が変わり,また測定対象物の色合いにより反射
光量が波長(色)で変わる。 そこでRGB三色レーザー(446,552,640nm)
と,各色に対応した受光ユニット,4Kカメラを1台のLiDARに搭載した。走
査速度は0.05/flame,1秒間の測定点数は120万点となっている。 陸上で
は自動運転向けに,LiDAR,カメラ,ミリ波レーダーなどを組み合わせたセ
ンサフュージョン技術によって,システムのロバスト性の向上や精度の向
上が図られている。特にレーザーをカメラを1つレンズに融合する技術も
出始めている。 この場合,LiDARは近赤外光,カメラは可視光と,それぞ
れ異なる波長を使うため,カメラの前に近赤外光をカットし,可視光を透
過するようなフィルタを入れれば,LiDARの光がカメラにノイズとして混入
することを防ぐことができる。 しかし,水中では近赤外光は吸収されるた
めLiDARにも可視光を使わざるを得ず,陸上のセンサフュージョンのような
フィルタは使えない。 そこで同社は,ハード的にセンサーフュージョンを
可能にする技術を考案した。レーザー走査(ラスタースキャン)を終点ま
で行なった後,フレームのスタート位置にレーザーの照射位置を戻すまで
のLiDAR非計測時間帯にカメラ撮影を行ない,実質的なリアルタイム計測を
実現した。 これにより,LiDARとカメラ双方の撮影速度や解像度を損ねる
ことなくセンサフュージョンができる。さらに,水中透過率と測定物反射
率をパラメータとした最適波長選択法も開発しており,これらの技術は特
許出願中であるという。 これにより,水中LiDARで得た3D位置情報にカメ
ラの色情報を付与できるほか,カメラによる認識機能も使用可能となる。
さらに,LiDARの距離情報により,吸収される波長の光を加味したカメラの
色調補正効果も得られるとしている。
【展望】
同社はこの製品を現在発売に向けたチューニングを行なっており,11月より
実証実験を開始し,ユースケースを探っていく。


画像;常識を超える亜鉛化合物
亜鉛イオンの近接配置による可視光応答性の発現
提供:東京大学 生産技術研究所

 鮮やかに色づく亜鉛(Zn)化合物の合成に成功
安価・低毒性なZnを用いた可視光機能材料開発へ  
10月10日、東京大学らの研究グループは、複数の亜鉛(Zn)原子を近づけ
るシンプルな分子設計により、従来困難とされてきた可視光吸収を示すZn
錯体の創出に成功。  

図2.二種のSi架橋配位子を用いたZn二核錯体1、2の写真(左)、構造式(
中)および単結晶X線構造解析により決定された分子構造とdZn-Zn(右)

Znは、地球上に存在する安価で低毒性な金属であり、人類にとって価値の
高い、重要な金属資源。一般的に、Znは化合物中において、安定な二
価のZn2+として存在しますが、それらは無色であることが広く知られてい
る。例えば、代表的な無機化学の教科書の一つであるC. E. Housecroft and A.
G. Sharpe
らによる 「Inorganic Chemistry, 5th ed」にも「Since the electronic
configuration of Zn2+ is d10, compounds are colourless
.(Zn2+の電子配置はd10
のため無色である)」。


図3.Zn二核錯体1、2のLUMOの分布図(上)およびZn間に働く相互作用の
模式図(下)。錯体1が高エネルギーな紫外光のみを吸収する一方、Zn間に
相互作用を有する錯体2は低エネルギーな可視光吸収が可能。

物質が無色でZn錯体は可視光吸収を示さないことが、これまで化学の常識
とされてきた。今回、2つのZn原子を分子骨格内に有するZn二核錯体にお
いて、Zn2+間の距離を短く制御する設計により、可視光吸収を示すZn錯体
の創出に初めて成功。さらに、このZn錯体は、低温において可視光発光性
を示すことも見出されました。本研究により、Znはこれまでの常識に反し
可視光に対して吸収・発光を示す、可視光機能材料の中心金属として利用
可能であることが示されました。本研究成果は、Znを利用した可視光機能
材料開発に際して、その分子設計指針を与えるものであり、Znの材料応用
範囲をさらに拡張するものと期待されている。
【論文情報】
雑誌:Angewandte Chemie International Edition
題名:Visible Light Responsive Dinuclear Zinc Complex Consisting of Proximally
     Arranged Two d10-Zinc Centers

DOI:10.1002/anie.202310571


44色以上の蛍光同時検出と分取に対応した
細胞分析装置 スペクトル型セルソーター『FP7000』 ソニ-株式会社
免疫学、細胞生物学、がん領域等の多様化する研究ニーズに対応

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わたしは何なの ⑪
今夜は、映画製作から離れ、アルゴリズミカルな人類社会を人工知能(AI
)の行方について、書籍から考察してみよう。



生成AIの可能性 
この命題に答える知識人で先ず浮かんだのは松岡正剛。しかし、新型コロ
ナウイルス禍や<環境リスク本位制>高度消費社会の諸課題解決の考察作業
に追われ近況も分からず仕舞い、早速ネット検索に入る。
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松岡正剛(まつおか せいごう、1944年1月25日 -)は、日本の実業家、編
集者、著述家。株式会社松岡正剛事務所代表取締役、編集工学研究所々長、
ISIS編集学校校長、連志連衆會理事、角川武蔵野ミュージアム館長。京都
市出身。東京大学客員教授、帝塚山学院大学教授を歴任。雑誌編集書籍や
映像の企画・構成など多方面で活躍。各界の研究者と交流し、情報文化の
考察を深め、独自の日本文化論も展開。著書に『知の編集術』『日本数寄
』(2000年)、書評『千夜千冊』(2006年)など。
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「あっというまにChatGPTが話題になった。オープンAI社が開発
したチャットサービスで、リリース僅か2ヶ月で1億人のユーザーを突破
した。ユーザーが知りたいことについて質問を入力すると、まるで訳知り
のセミプロ・ライターかコンサル屋のように回答を作成してくれる。さっ
そく私の周辺の若いクリエイターやエディターが出来を賞味していたが、
そこそこのレベルに達しているので驚いていた。」との松岡正剛との感嘆
から入ってみよう(No58『生成AIの可能性』2022.05.15、館長通信|角
川武蔵野ミュージアム)。機構やしくみはとくに複雑ではない。

 小説の自動生成ソフトやゲーム中の会話生成のためにつくられたGP
 Tという言語モデルを応用したもので、もともとなめらかな日本語(
 英語)を生成できるところへもって、ネット上の厖大な類似テキスト
 例をAI学習した成果を反映できるようにした。 だから技能的には
 生成的人工知能(ジェネラティブAI=生成AI)なのである。ただ、
 操作をやけに簡便にした。ユーザーはプロンプト(命令)するだけで
 いい。「リンゴって何? 成分は? リンゴの料理のベスト3は? 
 リンゴが出てくる昔話・小説・オペラは?」というふうに聞いていけ
 ばいいだけなのだから、らくちんだ。 しかもこれらについてテキスト
 ライクに答えてくれる。実際には答えたのではなく、類似知をGPT
 モデルの起承転結に合わせて、そのつど即刻合成しているのだが、こ
 の程度でもふだんの会話をはるかに超えるスピードと説得力になるの
 で、ついつい驚いてしまうのである。

 なぜ賢く感じられるのかというと、GANとGPTという二つのフレ
  ームが競争学習するように構成されているからだ。 GAN(敵対的
 生成ネットワーク)は、新しいデータサンプルを作成するネットワー
 クとそのサンプルが本物か偽物かを判定する識別ネットワークからで
 きていて、これらの経緯をGPT(生成的事前学習トランスフォーマ
 ー)が参照しながら、より「もっともらしい」組み合わせに向かう。
 GPTがそうなれるのはGPTの基体が大規模な人工ニューラルネッ
 トワークでつくられているからで、おまけにラベル付けのないテキス
 ト群を集積させて巨大データセットであらかじめ訓練されているせい
 だった。

と、このように述べプロの文筆家や作家や編集者が身につけている技能に
近い。また作曲家や画家の曲づくりや絵づくりのしくみとも近い。実際に
も作家の習作プロセスにはGANやGPTが動いていたとみなせる。たと
えばバルザック、横山大観、高浜虚子、クィンシー・ジョーンズ、宮尾登
美子、坂本龍一は、アナログかデジタルかはべつにして、自分なりのGA
NやGPTを工夫して、表現力を磨き、ただ作家や作曲家や画家はプロン
プターになりたくて、文章に挑んだり曲を工夫しているのではない。また
いつまでもGANやGPTに頼るわけでもない。AIは役に立つ優秀な学
習ツールやアプリだとは思うが、そのAIからいつ離れるかということこ
そ、愉快なことなのであると結んでいる。


人工知能は人間を超えるか
ディープラーニングの先にあるもの
松尾豊のパワポ・レクチャーをユーチューブで見た。ディープラーニング
をめぐる瑞々しい解説だった。1975年生まれの世代だからというので
はない。人工知能の濃い薄い、機械学習の得手不得手などについてリアル
タイムで経験してきただろうことを、AI史のセミドキュメントをまぜて
実況する説明力に長けていて、そこが瑞々しかった。
本書はそのレクチャー内容とほとんど変わらない。だから口語的なところ
が効いている。きっとライターの田中幸宏がうまくまとめたのだと思う。
ただし、機械学習とディープラーニングの啓蒙を意図したためだろうが、
きっと鋭い洞察力を秘めているだろうにそこをあまり突っ込んでいないの
で、全体としてはややまんべんないものになった。ソフトバンクがフラン
スのアルデバラン・ロボティクスに頼んで作らせた「ペッパー」のことな
ど、これっぽっちも褒める必要なんてなかったはずである。



人工知能の揺籃期は、人間の思考や行動の判断を司っている「脳」が、基
本的には電気回路に似たニューロンのネットワークの中で「さまざまな計
算」をしているはずだという予測に始まっている。
そうだとしたら、「計算」が得意なCPUをもったコンピュータは脳のや
っている思考や判断を少しは代行できるのではないか、かなり模倣できる
のではないか、脳の知能を外在化するシステムとして取り出せるのでは
ないか。コンピュータ科学者や認知科学者はそう考えた。
このとき原点となったのが、アラン・チューリングの「ユニバーサルマシ
ン」とフォン・ノイマンの自己複製オートマシン「ユニバーサル・コンス
トラクター」だった。そしてここを出発点にして、人工知能の研究と開発
が始まった。
ユニバーサル・コンストラクターの原理は、ぼくが端的にまとめて言って
しまうと、①構築できるものは何でも構築する、②しかし何が構築できる
かをあらかじめ教えるようなマシンは作れない、③どんなプログラムも論
理的代用でいく、というものだ。
人工知能はこの原理の上にのっている。ただしそこには改良しがたい不文
律がある。人工知能が複製できるのは、情報(知識)を与えてもらったも
のだけだということだ。逆にいえば、その“所与の一件”さえあれば、あ
とは「計算」に徹すればよい。
では、お手本は何になったのか。それが「脳」(ニューロンの計算モデル
)だったのである。  人工知能は脳をお手本にした。しかし脳は「計算
」ばかりしているわけではない。多様なニューロトランスミッター(脳内
物質)をシナプスで放出したり制御したりして、さまざまな化学的プロセ
スを“解釈”しているだろうし、かつてロジャー・ペンローズ(4夜)が
仮説したように微細な量子現象によって「意味」を“解読”しているのか
もしれない。ペンローズは麻酔医学のスチュワート・ハメロフと組んで、
脳のマイクロチューブル(MT)がニューロンたちの接続を助け、学習や
理解の推進にかかわっていると見た。マイクロチューブルを構成するタン
パク質が変性するからだという仮説である。  最近はジュリオ・トノー
ニの『意識の統合情報理論』に出てくる「Φ」(ファイ)が注目されて、
脳の情報活動の活性度のようなものを確率的に計算できるのではないかと
も言われている。トノーニの仮説についてはそのうち千夜千冊するつもり
だ。  しかし、こういうことはいまのところ確証できていない。ぼくの父
は胆道癌と膵臓癌を併発したとき年齢退行をおこし、最期は3~4歳の言
葉づかいで幼児記憶を放出していたが、こんな「脳の奥の出来事」がどの
ようにおこっているのかは、ほとんど見当がついていないのだ。が、それ
はそれとして、脳とコンピュータに共通する「計算」のプロセスやパター
ンに注目することは、脳科学にとってもコンピュータ科学にとってもなん
らかの共通有効性をもつだろうことは、それでも成立する。そしてそこに
自動的自己学習をする人工知能という「ありかた」が生まれてくることも
、ありうる。コンピュータがそういうことを成立させるだけのべらぼうな
器量をもってきたからだ。  こうして人工知能という研究と開発にも、
いろいろな“器量よし”が出てくるようになった。  その本質を一言で
言いあらわすのは難しいが、スチュワート・ラッセルらの有名な教科書『
エージェント アプローチ 人工知能』(共立出版)の言い方を借りれば
、ずばり「入力によって出力が変わるエージェント」が人工知能なのであ
る。松尾はこの見方にもとづいて、今日の人工知能のレベルを4段階にま
とめた。わかりやすいものになっている。  

レベル1「単純な制御プログラム」   
エアコン、掃除機、電動シェーバーなどの制御工学あるいは システム工
学が装填されているもの。情報家電製品には「人工知能搭載」と謳ってい
るものが多いが、これらは実際には 人工知能とは言えない。
レベル2「古典的な人工知能」
将棋やチェスのプログラム、お掃除ロボット、パズル対応ソフト、質問対
応ソフト、診断プログラムなど。ふるまいのパターンが多彩なものに対応
した人工知能。知識ベースが入っていることも多い。  
レベル3「機械学習ができる人工知識」   
検索エンジンに内蔵されたり、ビッグデータをもとに自動的な判断をする
ような人工知能。機械学習のアルゴリズムが使われる。機械学習とはサン
プルとなるデータ群をもとにルールと知識を自分で学習できることをさす。  
レベル4「ディープラーニングを採り入れた人工知識」   
機械学習をするときのデータをあらわす変数(特徴量)自体を自己学習す
る人工知能。いわゆるディープラーニングできる人工知能。松尾はディー
プラーニングのことを「特徴表現学習」とも名付けている。
本書が言及する人工知能は主としてレベル3とレベル4の機械学習レベル
のことである。(1603夜 『人工知能は人間を超えるか』 松尾豊 − 松岡
正剛の千夜千冊)



人工知能
人類最悪にして最後の発明
この1週間(2016年3月)、ソウルからのニュースで世界は沸き返った。
イ・セドルは唸っていた。セドルだけではない。井山裕太も唸った。井山
は囲碁史上初の6冠を達成した極め付けのチャンピオンである。こんなに
もあっさりとプロの碁打ちが負けるとは思っていなかったのだ。  
グーグル傘下ベンチャー企業が開発した「アルファGo」が韓国の囲碁チ
ャンピオンのイ・セドル9段をあっさり連破したのである(#その後、セ
ドルが一矢を報いた。「人類の叡知の歴史を築いた」という感想には、剣ヶ
峯に立たされた人知の悲壮感が漂っていた)。半年前までは人工知能はチ
ェスや将棋には届くが、複雑な囲碁にはまだまだ届かないと言われていた
のだが、グーグルが4億ドルで買収したブレイン集団ディープマインド・
テクノロジーズがやすやすとその壁を突破してみせたのだ。デミス・ハサ
ビス(ディープマインドCEO)は「エキスパートシステムなんかじゃない。
機械学習のディープラーニングが一挙に進んだのだ」と誇った。ディープ
マインドは「AIのアポロ計画」を標榜した集団で、2015年の10月
には欧州囲碁チォンピオンのファン・フイも破っていた。  ディープラー
ニングでは、あらかじめ想定されるできるだけ多くの「問題」と「答え」
とをコンピュータに入れておくのだが、その「解き方」は入力しない。そ
こはコンピュータが自分で考える。それが人工知能なのである。しかも囲
碁にはチェスや将棋のように「ポーン・クイーン」「歩・飛車」といった
駒の特性がない。「キング」「王将」のように守らなくてはならない駒も
ない。すべての戦況と作戦は石のアドレスの相互位置関係から判断する。
「アルファGo」はこれらの難問も約3000万にのぼる既存のプロの棋
譜から判断できるようにした。いまじわじわと人工知能をめぐる一部の研
究が“お化け”をめざそうとしている。一言でいえばAGI(人工汎用知
能 Artificial General Intelligence)に向かっているように見える。
 さまざまな知的機能をもつAIなら、すでに家電製品、ケータイ、スマ
ホ、クラウドコンピュータ、産業用ロボット、自動車、お掃除ロボット、
電子ゲーム、将棋ソフト、医療診断装置、遺伝工学解析、環境変化測定、
金融工学、航空制御システム、戦略兵器などに、多寡の大小はあるものの
あれこれ備わっている。世の中の目ぼしいハイテクシステムや製品でAI
がかかわらないもののほうが少ない。  実際にも、AIをもっと賢くも
っと強力にもっと使いやすくしようとしているR&Dは企業や研究所の中
で鋭意驀進中だ。目立つところでいえば、たとえばIBM、サイコープ
、グーグル、DARPA(国防高等研究計画局)、ノヴァメンテ、NAR
S、Cyc、ヌメンタ、セルフアウェア・システムズ、AGIRI、SO
AR、ヴァイカリアス・システムズ、NELL(カーネギーメロン大学)、
Sentience、AIXItlなどは、そうしたAI進化の開発に余
念がない(#正確には認知アーキテクチャの研究開発だよね)。  
AIがAGIをめざし、そのAGIがエクサバイトクラス(1エクサバイ
トは10億文字の10億倍)の知識を学習していけば、そのうち科学者たちが
冗談めいて“ビジーチャイルド”と揶揄してやまないASI(人工超知能
Artificial Super Intelligence)に向かうことになる。  
原理的にはASIは自分自身の複製をいくらだってつくるだろうから、人
間が電源を抜かないようにいくつもの自身の延命のための選択肢をふやし、
感染力の高いプログラムをいくつも用意したり、外からの介入を利用して
逃げ出せるワーム(#ASIが自己複製して増殖するプログラムをマシン自
身が予定する)をつくったり、自身のソースコードを圧縮して暗号化し、
人間社会のソフトウェアや音声ファイルの中に隠れることもするだろう。  
そういうAGIがあれば、そいつは『2001年宇宙の旅』のHAL90
00の二の舞や『ターミネーター』のスカイネットの“暴走”と“失敗”
を回避してしまう(#AIが人間さまの魂胆をすばやく察知するわけだ)。
すでにAGIの機能を部分的にもつシステムは情報軍事戦略の各所に用い
られているという。SCADA(監視制御データ収集システム)、スタッ
クスネット、マルウェア(悪意のあるソフトの蔑称でもある)、デューク
ー、フレームなどと名付けられている戦略的電子送電網がそうなっている。
他方、各国のインテリジェント(諜報)機能システム、正体不明のハッカ
ー集団の未公開システムなども、すでにどこかがAGIめいているはずだ。  
これがAGIだというものはまだ登場していないけれど、AGIなんて夢
のまた夢だという時期はちょっぴり過ぎたようだ。アダプティヴAIとい
う会社をやっているピーター・ヴォスははっきりと「うちの会社はAGI
をめざしているんだ」と言っているし、ペイパル社を創業したピーター・
ティールはAIに専念する3つのステルス企業にけっこうな投資をしてい
ると聞いた。一番あやしいのはどう見てもグーグルだが、『エージェント
アプローチ 人工知能』(共立出版)の共同著者で、グーグルの研究責任
者でもあるピーター・ノーヴィグは「わが社はAGIなんてやっていない
よ」と話題をそらし、広報担当のジェイソン・フリーデンフェルズも「A
GIは想像上の思考マシンであって、われわれはあくまでパターンマッチ
ングのための統計的モデルを研究しているにすぎない」と言っているのだ
が、さあ、どうか。  そもそも共同創業者のラリー・ペイジが「究極のサ
ーチエンジンをつくるのが目標だ」と断言してきたのだし、いまや話題の
グーグルX(#AI専門のセバスティアン・スランが立ち上げた自律走行自
動車の開発主体)はあきらかにステルス企業のはずなのである。スタンフ
ォードの人工知能研究所の元所長アンドリュー・ン(ロボット工学者)
も加わっている。  おそらくグーグルは2012年にレイ・カーツワイ
ルを技術役員に迎え、ディープラーニングの第一人者ジェフリー・ヒント
ン(トロント大学教授)が立ち上げたDNNリサーチを買収したあたりか
ら、AGIまっしぐらになっていると思われる。「アルファGo」のディ
ープマインド・テクノロジーズ社の買収など、そのごくごく一部の計画だ
ろう。
 元DARPA長官のレジーナ・ドゥーガンもいっとき招聘雇用されてい
たと聞くし、とくに社員が数十人ほどのディープマインド・テクノロジー
ズをフェイスブックと競り勝って4億ドル(約420億円)で落としたのは、
その魂胆が奈辺にあるかをあからさまにした。はたして人工知能がこんな
ふうに熟達していっていいものか。人間は有能な機械に支配されるのではな
いか。そのうちどこかの国が“AGI不拡散条約”(!)なんてものを呼
びかけることになるのではないか。そんな心配や懸念を科学者や技術者が
あちこちで表明するようにもなった。先頭を切ったのは不可知論者のステ
ィーヴン・ホーキング(192夜)やスチュワート・ラッセル(コンピュ
ータ科学者)、ノーベル物理学者のフランク・ウィルチェック、破竹のベ
ンチャー起業家イーロン・マスクたちである。ついでオックスフォードの
倫理学者ニック・ボストロム、生命未来研究所の所長マックス・テグマー
クらが、人工知能のAGI化に「待った」をかけた。  
人工知能が仕事を奪うというつまらない議論もやかましい。経済学者のタ
イラー・コーエンは「AIによってホワイトカラーの仕事がかなり失われ
るだろう」と危惧し、リサーチ屋のデロイト社はイギリスの仕事のうちの
35パーセントが20年のうちにロボットに置換されると予想した。  
最近はビル・ゲイツ(888夜)もAGI反対派に入る表明をしたが、こ
れはグーグルへのやっかみ半分なので、どこまで本気なのかはわからない。  
AIの危険性を研究する機関もいくつかできた。バークレーの機械知能研
究所(MIRI)はそのひとつで、所長のマイケル・ヴァッサーは年に一
度の「シンギュラリティ・サミット」を主宰する。  ヴァッサーはMB
Aを取得し、オンライン音楽のライセンスで一儲けして(サー・グルーヴ
ィー社)、さてどうするかというとき、2003年にエリエゼル・ユドカ
ウスキーに会った。ユドカウスキーはAIボックスの実験をしていた。A
Iがどこで人間の認知を裏切るのかをテストする装置だ。そのヴァッサー
とユドカウスキーに、さらに応用合理性センター(CFAR)が加わった。
いまやAIをどう監視するのかという時代に同時突入しているのである。
(1602夜 『人工知能』 ジェイムズ・バラット − 松岡正剛の千夜千冊
2016.03.16)

風蕭々と碧い時












John Lennon Imagine  



アルバム『終わりなきこの愛』 2019年4月24日
秋のささやき
Richard Glaydaman A COMME AMOUR (piano et orchestre)

今夜の寸評:傲慢が支配する世界に異議申し立ての意思表示を。

    

一人を殺さば、これを不義と謂い、必ず一死罪あり。……いま大いに
不義をなし国を攻むるに至りては、すなわち非とするを知らず、従いて
これを誉めてこれを義と謂う。                 
                         墨子 『非攻』

一人を殺した男は死刑となり、百万人を殺した将軍は功績をたたえられ
る。戦いだけではない。いま、人々は。"小さな不正""小さな暴力"に怒
って"大きな不正""大きな暴力"を忘れ、"小さな親切”に感激して"大き
な親切"を忘れている。この逆立ちはどこからくるのか? 

   

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ショコラと金鉱

2023年10月08日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

【岩石鉱物図鑑:ショコラと金鉱】

    銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも   山上  憶良

  椋鳥を一樹に集め日没前                        有山 八洲彦

山上憶良(660~733ころ):奈良前期の官人・歌人。大宝2年(702)渡唐
し、帰国後、伯耆守ほうきのかみ・東宮侍講・筑前守を歴任。思想性・社
会性をもつ歌を詠んだ。万葉集に長歌・短歌・旋頭歌せどうか・漢詩文が
ある。歌集「類聚歌林」の編者。作「貧窮問答歌」「子等を思ふ歌」など。

有山 八洲彦(1924- ):少年の頃、奈良県立商業学校で大國静園(木太刀
同人)に手ほどきを受ける。戦後「金剛」に入会。下村槐太の指導を受け
社中同人。槐太の休俳につき「鶴」に入会。昭和31年「運河」創刊に参画、
編集発刊人。昭和57年「狩」入会。61年、同人。 俳人協会評議員。奈良
県俳句協会理事。

   秋風に 彩り揃えぬ ショコラかな    高山 宇  
                          

日中の室温が27℃を超え、意識が朦朧を経験を脱し、秋風が涼しくなる。
彩りが欲しくなり、チョコレートコスモスの鉢植えを求めホームセンタに
でかけるも気に入ったものがなく、「楽天ショップ」でクリック注文する。
急変する<季節>のまっただ中に


          
--------------------------------------------
元素記号Auは、ラテン語で金を意味する aurum に由来する。大和言葉で
「こがね/くがね(黄金: 黄色い金属)」とも呼ばれる。 金を「かね」と
読めば通貨・貨幣・金銭と同義(すなわちお金)である。

金属としての金は「黄金」とも呼ばれ、「黄金時代」は物事の全盛期の比
喩表現として使われる。「金属」や「金物」といった単語に金の字が含ま
れるように、古くから金属全体を代表する物質として見られた。展性・延
性に優れ、最も薄く延ばすことができる金属である。
 
1グラムあれば数平方メートルまで広げることができ、長さでは約3000メ
ートルまで延ばすことができる。平面状に延ばしたものを「金箔」(きん
ぱく)、金箔を和紙に貼って細く切るなど糸状に装飾しやすくしたものを
「金糸」(きんし)と呼ぶ。華美な衣装を作るために、金糸は綿や絹など
一般的な繊維素材と併用される。逆に大きな展延性が精密加工時や加工後
の製品では、耐久性が悪いという弱点にもなる。かつてよく行われていた
金メダルを噛むという行為は、歯型が付くほどの展延性を持つ金であるこ
とを確かめる行為だったことに由来する(現代の金メダルは純金ではない
ので歯型は付かない)。

金の鉱床(埋蔵量)は、中国・ロシア・アメリカ・カナダ・オーストラリ
ア・インドネシア・ペルー・ウルベスタン・南アフリカとなり。欧米を中
心とした旧植民地に偏在。かってのジャパングは。知恵を絞り、リユース
・代替材料に向けて開発研究に傾注するほかないが、それを「克服・突破」
できる知(略)を備えているはずだと「ショコラと金鉱床」を結ぶ。



出所:経済産業省 2023.03.31




   


再エネ革命渦論 175: アフターコロナ時代 176】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中 ㊿+⑥



超薄型ペロブスカイト光電デバイス
2023年10月05日。東京大学,スイスEPFL,スイスETH Zurichは,世界初の
全ペロブスカイト結晶デバイスによる電源内蔵型の超薄型光脈波センサを
開発。
【要点】
1.世界最高効率(太陽電池にて18.2%、LEDにて15.2cd/A)の超薄型ペロ
 ブスカイト光電デバイスの開発に成功
2.このペロブスカイト光電デバイスは非常に高効率なだけでなく、ナノ
 粒子LEDの持つ鋭い発光色ピークにより、ノイズの少ない光脈波センシ
 ングが可能である。
3.室内光といった限られた光量環境でも発電が可能であるため、今後、
 超薄型ペロブスカイト光電デバイスを用いた、室内環境で駆動する電源
 内蔵型ウェアラブル機器の開発につながる。


図1.超薄型ペロブスカイト太陽電池の構造図(左)及び太陽電池特性(
右超薄型ペロブスカイト太陽電池として世界最高効率の18.2%を実現
【概要】
このペロブスカイト光脈波センサは、1.5㎛という薄型のプラスチック基板
上へ作製されており、非常に柔軟・軽量であるため肌へ高い密着性を示し
ます。作製されたペロブスカイト太陽電池は、超薄型プラスチック基板上
において世界最高効率の18.2%を示しており、室内光を用いてペロブスカ
イトLEDの駆動に十分な電力を発電できる。さらに、ペロブスカイトナノ
粒子を発光層へ用いたペロブスカイトナノ粒子LEDにおいても、世界最高
効率である15.2cd/Aを達成した。ペロブスカイトナノ粒子LEDは半値幅(
)22nmという非常に鋭い発光スペクトルを持つため、超薄型プラスチ
ック基板上であっても、基板の機械変形に対して発光色の変わらない超薄
型LEDを実現。作製したペロブスカイトナノ粒子LEDは、バンドパスフィル
タを用いることで、98.2%の選択制を持つ脈波信号の検出に成功。全ペロ
ブスカイト超薄型光脈波センサは、将来の室内光で駆動可能なセンサとし
て、モノのインターネットやウェアラブル機器への応用が期待される。


図2.超薄型ペロブスカイトナノ粒子LED発光スペクトルのシミュレーシ
ョン結果 ➲超薄型有機LEDの解析結果(左)では周期的な発光スペクト
ル歪みが見られる一方、超薄型ペロブスカイトナノ粒子LED(右)では、
鋭い発光スペクトルにより周期的な発光スペクトル歪みを抑えることがで
きている。



図3.全ペロブスカイト超薄型光センサの駆動時写真、太陽シミュレータ
 光(左)室内光(右)
【関係技術情報】
〈雑誌〉Advanced Materials(9月1日付、オンライン版)
〈題名〉Indoor Self-Powered Perovskite Optoelectronics with Ultraflexible Monoch
-romatic Light Source
〈著者〉Hiroaki Jinno, Sunil B Shivarudraiah, Rasmussen Asbjörn, Gianluca Vagli-,
Tommaso Marcato, Felix Thomas Eickemeyer, Lukas Pfeifer, Tomoyuki Yokota,
Takao Someya, Chih-Jen Shih*
〈DOI〉10.1002/adma.202304604
URLhttps://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.202304604




【最新特許事例】
1.特開2023-96785 リチウムイオン二次電池用負極スラリー及びその
 製造方法
【要点】
リチウム二次電池用負極スラリーは、負極活物質としてのリチ
ウムドープされた酸化ケイ素と、溶媒としての水と、バインダーと、ガス
吸着材として機能する単層カーボンナノチューブと、を含み、スラリーの
pHは10以上である。スラリー中に発生する水素ガスをガス吸着材に吸
着させることによってスラリーの安定性を改善することができるリチウム
二次電池用負極スラリー及びその製造方法を提供。


図1.水素ガス発生量の経時変化を示すグラフ

【概要】
【発明を実施するための形態】 
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定さ
れるものではない。 
本願全体にわたって、特に断らない限り、「平均粒径」とは、レーザー回
折散乱法により測定した体積基準の粒度分布における積算値50%での粒
径、すなわちメジアン径(D50)を意味する。また、記号「~」は、当
該記載が示す範囲の両端を含む意味で使用される。例えば、「1~2」と
の記載は「1以上2以下」を意味する。また、特に断らない限り、明細書
中に記載の各種パラメータは室温(25℃)で測定されたものである。

[リチウムイオン二次電池用負極スラリー]
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極スラリーは、少
なくとも、負極活物質としてのリチウムドープされた酸化ケイ素と、溶媒
としての水と、バインダーと、ガス吸着材として機能する単層カーボンナ
ノチューブと、を含み、そのスラリーのpHは10以上である。他の実施
形態では、スラリーは後述の他の成分を更に含み得る。以下、スラリーの
各成分について説明する。

(負極活物質)
<1.リチウムドープされた酸化ケイ素>
本発明のリチウムイオン二次電池用負極スラリーは、負極活物質として、
酸化ケイ素を含む。酸化ケイ素は、一般式SiOxで表され、ここで、x
は、0<x<2であり、例えば、一酸化ケイ素SiO(x=1)であり得
る。一酸化ケイ素は、特に膨張率が低いために好ましい。酸化ケイ素は、
例えば、アモルファスの酸化ケイ素のマトリックス中にSi微粒子が微結
晶又はアモルファスの形態で分散した構造を有し、その平均組成が一般式
SiOxで表されるものとなり得る。酸化ケイ素は、特定のxの値を有す
るSiOxのみを含んでもよく、xの値が異なる2種以上のSiOxの混
合物であってもよい。

酸化ケイ素は、予めリチウムドープされる。リチウムは酸化ケイ素の粒子
の表面及び/又は内部にドープされる。酸化ケイ素にリチウムをドープさ
せる方法は特に限定されない。例えば、熱ドープ法を用いる場合、酸化ケ
イ素の粒子とリチウム原料(金属リチウム又はリチウム化合物(LiH等
))を混合し、不活性雰囲気(アルゴン雰囲気や窒素雰囲気等)中におい
て高温(例えば、350℃~900℃程度)で焼成することによって、酸
化ケイ素にリチウムがドープされる。代わりに、酸化還元反応法や電気化
学的方法を用いて、酸化ケイ素にリチウムをドープすることもできる。

ドープされたリチウムは酸化ケイ素と反応して、リチウムシリケート(Li
Si、LiSiO、LiSiO、LiSiO等)を形成し
得る。ドープされるリチウムの含有量は、最終的な負極活物質(つまり、
リチウムドープ後の酸化ケイ素)の総質量を基準として、例えば、1%~
20%又は1%~10%となり得る。ドープされるリチウムの含有量が高
くなるほど、初期効率が改善される。リチウムドープされた酸化ケイ素は、
粒子状であり得て、その粒子の平均粒径(D50)は、特に限定されないが
例えば、0.1μm以上10μm以下、特に、1μm以上9μm以下、1
μm以上2μm以下ともなり得る。

<2.黒鉛系材料>
本発明の他の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極スラリーは、
負極活物質としてのリチウムドープされた酸化ケイ素に加えて、負極活物
質としての黒鉛系材料(つまり、黒鉛系負極活物質)を更に含み得る。黒
鉛系材料は、人造黒鉛と天然黒鉛のうちの少なくとも一方を含む。 
人造黒鉛は、コークス、コールタールピッチ等の易黒鉛化性炭素材を高温
(例えば、2800℃程度)で焼成(つまり、黒鉛化)することによって
工業的に生産される黒鉛である。例えば、人造黒鉛としては、メソカーボ
ンマイクロビーズ、メソカーボンファイバー、塊状人造黒鉛(マッシブア
ーティフィシャルグラファイト)等が知られているが、本発明において使
用可能な人造黒鉛は特に限定されない。一般的に、人造黒鉛は、天然黒鉛
と比較して硬質であり、リチウムイオン二次電池の負極における使用時に
おいては天然黒鉛よりも充放電による膨張が少ないことが知られている。 

天然黒鉛は、黒鉛鉱石を採掘し、選鉱、精製等の処理をすることによって
生成された黒鉛である。天然黒鉛としては、鱗片状、塊状、土状のもの等
が知られているが、本発明において使用可能な天然黒鉛は特に限定されな
い。黒鉛系材料の平均粒径(D50)は、例えば、3μm以上30μm以下、
好ましくは5μm以上25μm以下、又は15μm以上20μm以下であ
り得る。
黒鉛系材料とリチウムドープされた酸化ケイ素の両方を負極活物質として
使用する場合、その負極活物質中の黒鉛系材料とリチウムドープされた酸
化ケイ素の質量比は、黒鉛系材料に対するリチウムドープされた酸化ケイ
素の膨張率及び容量を考慮して選択され得て、例えば、黒鉛系材料とリチ
ウムドープされた酸化ケイ素の質量比(黒鉛系材料:リチウムドープされ
た酸化ケイ素)は、98:2~50:50、98:2~70:30、又は
90:10~80:20となり得る。
【負極活物質としてリチウムドープされた酸化ケイ素のみを使用する場合、
スラリー中の負極活物質(つまり、リチウムドープされた酸化ケイ素)の
含有量は、スラリー中の固形分の総質量を基準にして、例えば、70%~
99%、好ましくは80%~98%となり得る。負極活物質としてリチウ
ムドープされた酸化ケイ素及び黒鉛系材料の両方を使用する場合でも、ス
ラリー中の負極活物質(つまり、リチウムドープされた酸化ケイ素及び黒
鉛系材料)の含有量は上記と同じ範囲(70%~99%)内の量となり得
るが、両物質の膨張率及び容量を考慮して、リチウムドープされた酸化ケ
イ素のみを使用する場合よりも多くなり得て、例えばスラリー中の固形分
の総質量を基準にして95.5%となり得る。

(溶媒)
本発明のリチウムイオン二次電池用負極スラリーは、溶媒として水を含む
。水は、純水、特に脱イオン水であることが好ましい。溶媒は、スラリー
の固形分(つまり、溶媒以外の成分)の含有量が30~85質量%、好ま
しくは60~70質量%、一例において65質量%となるような量で含ま
れ得る。

(バインダー)
バインダーは、活物質と導電材との結合や集電体との結合等を促進する成
分として添加される。本発明の溶媒が水であるため、本発明のバインダー
は水溶性の水系バインダーである。水系バインダーとしては、例えば、ス
チレン・ブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、
ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、アクリ
ルアミド、ポリイミド、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどが挙げられ、これ
らのうち1種又は2種以上の混合物が用いられ得るが、これらに限定され
るものではない。好ましくは、環境負荷低減、電池特性向上、低コスト化
等が特に実証されているスチレン・ブタジエンゴム(SBR)が使用され
る。
バインダーの含有量は、スラリーの固形分の総質量を基準として0.1%
~30%であり得て、好ましくは0.5%~20%であり、さらに好まし
くは1%~10%以下となり得る。バインダーの含量が上記の範囲を満足
するとき、電池の容量特性低下を防止しながら、電極内の十分な接着力を
付与することができる。

(ガス吸着材) 
 本発明のリチウムイオン二次電池用負極スラリーは、ガス吸着材として機
能する単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を含むことを特徴とする。
上述のように、リチウムドープされた酸化ケイ素を負極活物質として用い
るスラリーでは、リチウムが水と反応して水素ガスが発生する。
この反応は、2Li+2HO→2LiOH+Hと表される。ガス吸着材
は、この水素ガスを吸着するためのものである。スラリー中に発生する水
素ガスがガス吸着材に吸着されることによって、スラリーの安定性が維持
され、スラリーの製造から時間が経過してもスラリーの粘度が一定に保た
れる

単層カーボンナノチューブは、一層のグラフェンシートが円筒状に巻かれ
た特異的な中空構造を有するものであって、比表面積が大きく、各種のガ
ス、特に水素ガスを多量に吸着して貯蔵することができる。水素ガスは単
層カーボンナノチューブの内部空間と外側表面(外壁)に吸着される。更
に、複数(例えば、6本~20本、一例では12本)の単層カーボンナノ
チューブが束(ナノチューブバンドル)を形成している場合には、カーボ
ンナノチューブ同士の間の隙間空間(interstitial site)にも水素ガスが吸着さ
れる。
単層カーボンナノチューブは、その内部への水素の吸着を促進するため、
真空中での加熱(例えば600℃~1000℃の間の温度での加熱、一例
として700℃での加熱)によって、カーボンナノチューブの先端を開く
開端処理されたものとなり得る。このように、本発明における単層カーボ
ンナノチューブは、ガス吸着材として特に機能するように構成されたもの
となり得る。
単層カーボンナノチューブの平均直径は、例えば、0.6~10nm、好
ましくは0.8~5nm、より好ましくは0.8~3nm、例えば1.2
nm、1.9nm等となり得る。また、単層カーボンナノチューブの平均
長さは、0.5~20μm、好ましくは0.5~10μm、より好ましく
は0.5~5μmとなり得る。単層カーボンナノチューブの平均直径及び
平均長さは、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影して測定されたものであ
り得て、例えば、SEM像中で測定された10本~100本のカーボンナ
ノチューブについての値の平均値である。

単層カーボンナノチューブ同士は相互作用により凝集する傾向にあるため、
過度な凝集体の形成を防止するために、単層カーボンナノチューブを適切
に分散させて保持することができる単層カーボンナノチューブ分散液とし
て提供され得る。カーボンナノチューブ分散液は、単層カーボンナノチュ
ーブと、分散剤と、溶媒(例えば、水)を含む。溶媒として水を用いる場
合には、単層カーボンナノチューブ水分散液となり、その水はスラリー用
の溶媒としてもそのまま使用可能である。分散剤としては、例えば、ポリ
ビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリアクリル酸ヒドラジド
(polyacrylic acid hydrazide)、ポリ‐N‐ビニル‐5‐メトキサゾリ
ドン(poly‐N‐vinyl‐5‐methoxazolidon)、N‐アルキルポリイミン
(N‐alkyl polyimine)、N‐アセチルポリイミン(N‐acetyl polyimine)
、ポリアクリルアミド(polyacrylamide)、ポリ‐L‐リジンヒドロブロ
マイド(poly‐L‐lysine hydrobromide)、ベンジル‐ドデシル‐ジメチ
ルアンモニウムクロライド(benzyl‐dodecyl‐dimethylammonium chlori
de)、ポリエチレンイミン(polyethylenimine)が挙げられ、これらのう
ち一種又は二種以上の混合物として使用され得る。分散液中の単層カーボ
ンナノチューブの含有量は、特に限定されないが、例えば、カーボンナノ
チューブ分散液の総質量を基準に0.01%~5%、好ましくは0.01
%~3%、より好ましくは0.1%~2%、さらに好ましくは0.1%~
1%、一例として0.4%等となり得る

単層カーボンナノチューブは、スラリー中に発生する水素ガスを十分有効
に吸着することができる量で含まれ、基本的には単層カーボンナノチュー
ブの量が増えると共により多量の水素ガスを吸着することができるように
なる。負極活物質としてリチウムドープされた酸化ケイ素のみを使用する
場合、スラリー中の単層カーボンナノチューブの含有量は、スラリー中の
固形分の総質量を基準にして、例えば、0.1%~10%、0.1%~5
.0%、0.1%~2.0%となり得る。負極活物質としてリチウムドー
プされた酸化ケイ素及び黒鉛系材料の両方を使用する場合には、リチウム
ドープされた酸化ケイ素の割合が減るにつれて、発生する水素ガスの量が
減るので、それに応じてスラリー中の単層カーボンナノチューブの含有量
を減らしてもよく、スラリー中の単層カーボンナノチューブの含有量は、
スラリー中の固形分の総質量を基準にして、例えば、0.01%~1.0
%、又は0.01%~0.5%となり得る。

(導電材)
一部実施形態では、リチウムイオン二次電池用負極スラリーは導電材を更
に含んでもよい。導電材は、化学変化を誘発しない電気伝導性材料であれ
ば、特に制限されない。導電材の例としては、カーボンブラック、アセチ
レンブラック、ケッチェンブラック、デンカブラック、サーマルブラック、
チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等のアモルフ
ァス炭素系材料(負極活物質としての黒鉛系材料とは別途添加される炭素
系材料);アルミニウム、スズ、ビスマス、シリコン、アンチモン、ニッ
ケル、銅、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、
モリブデン、タングステン、銀、金、ランタン、ルテニウム、白金、イリ
ジウム等の金属粉末や金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性
ウィスカー;酸化チタン等の導電性金属酸化物;ポリアニリン、ポリチオ
フェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレン誘導体等の導電
性高分子等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上の混合物が用いら
れ得るが、これらに限定されるものではない。

導電材の含有量は、スラリー中の固形分の総質量を基準として0.1%~
30%であり得て、好ましくは0.5%~15%であり、より好ましくは
0.5%~10%となり得る。導電材の含量が上記の範囲を満足するとき、
十分な導電性を付与することができ、負極活物質の量を減少させないため
電池容量を確保できる点で有利である。

(増粘剤)
一部実施形態では、リチウムイオン二次電池用負極スラリーは増粘剤を更
に含んでもよい。具体的に、増粘剤はセルロース系化合物であり得る。セ
ルロース系化合物としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メ
チルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メ
チルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、エチルヒドロキシエチ
ルセルロース(EHEC)、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース(
MEHEC)等が挙げられ、これらのうちいずれか一種又は二種以上の
組み合わせが使用され得る。増粘剤の含有量は、スラリー中の固形分の
総質量を基準として、例えば0.1%~10%、0.5%~10%とな
り得る。 

リチウムイオン二次電池用負極スラリーのpHは、スラリー中の各成分の
組成や量によって決まり、リチウムのようなアルカリをドープしていない
ケイ素系材料や黒鉛を活物質として用いる場合には7から8程度の中性で
ある。リチウムをドープした酸化ケイ素を活物質として用いる場合、ド
ープされるリチウムの量が増えると共にpHが増加して、10以上の高い
値を有するようになる。 

[リチウムイオン二次電池用負極スラリーの製造方法]
次いで、上記リチウムイオン二次電池用負極スラリーを製造するための方
法を説明する。本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極スラリーの製
造方法は、原材料の投入順序を特徴とし、具体的には、負極活物資として
のリチウムドープされた酸化ケイ素を製造段階のできるだけ後半において
投入することを特徴とする。これにより、製造段階の前半ではリチウムド
ープされた酸化ケイ素を欠く固形分濃度が低い状態で混錬が行われて、リ
チウムドープされた酸化ケイ素が製造段階の後半において投入されること
により、リチウムと水の反応による水素ガスの発生を極力抑制することが
できる。

一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極スラリーの製造方法では、
スラリーは、負極活物質としてのリチウムドープされた酸化ケイ素と、溶
媒としての水と、バインダーと、ガス吸着材として機能する単層カーボンナ
ノチューブに加えて、更に、導電材と、粘着剤を含む。この製造方法は、
導電材と増粘剤を混合して第一混合物を形成するステップと、次いで、第
一混合物に水と単層カーボンナノチューブを投入して混錬し、第二混合物
を形成するステップと、次いで、第二混合物にリチウムドープされた酸化
ケイ素を投入して混錬し、第三混合物を形成するステップと、次いで、第
三混合物にバインダーを投入して混合し、リチウムイオン二次電池用負極
スラリーを形成するステップとを含む。 

 他の実施形態に係る製造方法では、スラリーは、負極活物質としてのリチ
ウムドープされた酸化ケイ素と、溶媒としての水と、バインダーと、ガス
吸着材として機能する単層カーボンナノチューブに加えて、更に、負極活
物質として黒鉛系材料と、導電材と、粘着剤を含む。この製造方法は、負
極活物質として黒鉛系材料と導電材と増粘剤を混合して第一混合物を形成
するステップと、次いで、第一混合物に水と単層カーボンナノチューブを
投入して混錬し、第二混合物を形成するステップと、次いで、第二混合物
にリチウムドープされた酸化ケイ素を投入して混錬し、第三混合物を形成
するステップと、次いで、第三混合物にバインダーを投入して混合し、リ
チウムイオン二次電池用負極スラリーを形成するステップとを含む。 
 増粘剤を併用しないバインダーを用いる場合には、第一混合物を形成する
ステップにおいて増粘剤の代わりにバインダーの一部を投入してもよい。

[負極の製造]
リチウムイオン二次電池用負極スラリーを負極集電体に塗布した後、乾燥
及び圧延することにより、負極集電体上に負極活物質層が形成された負極
が製造され得る。負極用スラリーの塗布の前に、塗布を容易にするため固
練り後のスラリーに溶媒を更に加えた上で、塗布を行ってもよい。
他の方法として、例えば、上記の負極用スラリーを別の支持体上にキャス
トした後、その支持体から剥離して得られたフィルムを負極集電体上にラ
ミネートすることで負極が製造されてもよい。また、その他の任意の方法
を用いて負極活物質層を負極集電体上に形成してもよい。
上記負極製造における乾燥、圧延、キャストの工程において加熱を行っても
よい。

(負極集電体)
上記負極に使用される負極集電体
は、電池に化学的変化を誘発せず、かつ、
導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、負極集電体と
して、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、
アルミニウム‐カドミウム合金、銅又はステンレス鋼の表面を表面処理し
たもの(炭素、ニッケル、チタン、銀等で表面処理される)、等が使用さ
れ得る。 負極集電体は、3μm~500μmの厚さを有し得る。負極集
電体の表面上に微細な凹凸を形成して負極活物質との接着力を高めること
もできる。負極集電体は、例えば、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質
体、発泡体、不織布体等多様な形態を有し得る。

[リチウムイオン二次電池]
リチウムイオン二次電池は、上記負極の他に、正極、負極と正極との間に
介在するセパレータ、及び非水電解質を含む。負極以外の構成要素は、当
該分野において周知なものであるので、詳細な説明を省略する。 
以下、実施例及び比較例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明
はこれらの例に限定されるものではない。 

[実施例1]
平均粒径7μmでリチウム含有量が9質量%であるリチウムドープしたS
iOの負極活物質(以下「AM」と表記)、導電材としてのカーボンブラ
ック(「CB」と表記)、ガス吸着材としての単層カーボンナノチューブ
(「SWCNT」と表記。固形分が0.4質量%の単層カーボンナノチュ
ーブ水分散液を使用)、バインダーとしてのスチレンブタジエンゴム(「
SBR」と表記)、及び、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(
「CMC」と表記)をこれら固形分の質量比(AM/CB/SWCNT/
SBR/CMC)が89.0%/3.3%/0.1%/3.6%/4.0
%となるように準備した。次いで、カーボンブラックとカルボキシメチル
セルロースを混合し、単層カーボンナノチューブ水分散液と水を投入して
十分に混錬し、これにリチウムドープされたSiOを投入して混錬した。
最後にスチレンブタジエンゴムを投入して混合することによって、リチウ
ムイオン二次電池用負極スラリーを製造した。このときスラリーのpHは
12.5であった。
                - 中 略 -

[実験例:ガス発生量の経時変化の測定]
実施例1~9、比較例1~3で製造したリチウムイオン二次電池用負極ス
ラリーをそれぞれ10グラム計量し、アルミニウムラミネート製のポーチに
入れて減圧密封し、アルキメデス法により体積を測定した。その後24時
間毎に一週間にわたって同じ方法で体積を測定した。実施例1~5及び比
較例1の測定結果を以下の表1及び図1に示し、実施例6~9及び比較例
2、3の測定結果を以下の表2、図2及び図3に示す。 


図2.水素ガス発生量の経時変化を示すグラフ


図3.水素ガス発生量の経時変化を示すグラフ
【表1】

【表2】


表1、表2、図1、図2、図3に示されるように、単層カーボンナノチ
ューブを用いていない比較例1及び比較例2と比較して実施例1~9
においては体積の増加変化が顕著に抑制されており、これは、発生した
水素ガスがスラリー中の単層カーボンナノチューブに吸着されているこ
とを実証している。また、実施例1~5をそれぞれ比較し、同様に実施
例6~9をそれぞれ比較すると、単層カーボンナノチューブの量が増え
るほど、体積の増加変化がより抑制され、つまりは、より多量の水素ガ
スが吸着されていることが実証されている。 

図3に示されるように実施例8と比較例3を比較すると、また、スラリ
ー作成時に、リチウムドープした酸化ケイ素を黒鉛やカーボンブラック
とともに最初に投入して混練した比較例3では、スラリー中にリチウム
ドープした酸化ケイ素が存在する時間が長くなるとともに、固形分濃度
が高い状態で混練すると酸化ケイ素の表面が物理的にダメージを受けて
粒子内のリチウムが溶出しやすくなり、ガス発生量が多くなっている
したがって、実施例8のようにリチウムドープした酸化ケイ素は固形分
濃度が高い状態の混練が終了したのちに、固形分濃度が低い状態で投入
し、表面のダメージを受けることなく短時間で混練することによりガス
発生を抑制することが可能となることが実証されている。

                           この項了

わたしは何なの ⑩
ここでは、アルゴリズミカルな人類社会を人工知能(AI)の脅威を描いた
SF映画より考察してみよう。

AI vs.人類の壮絶戦争映画『ザ・クリエイター』



2023年度注目映画の一つである、ジョン・デヴィッド・ワシントン主演の
SF映画『ザ・クリエイター』の予告編が解禁。
人類のために誕生したはずのAI(人工知能)が、ロサンゼルスに核弾頭を
投下してから10年後…。
人類とAIの間で起きた核戦争によって、世界は荒廃の地と化していた。妻
・マヤの失踪に打ちひしがれる元特殊部隊員ジョシュア(ジョン・デヴィ
ッド・ワシントン)は、「クリエイター(創造主)」と呼ばれる人物を追い
詰めて殺害するという任務にスカウトされる。クリエーターとは、戦争と
人類を終わらせるという謎の兵器を開発したAIの設計者であり、ジョシュ
アは精鋭工作員たちで組まれたチームと共にAIが占領した地域へ向かうこ
とになる。しかし、そこでジョシュアが目にしたのは、見た目が人間の子
供で「アルフィー」と呼ばれるロボットだった。

果たしてジョシュアは無事に任務を完了させ、この悲惨な戦争を終わらせ
ることが出来るのか?
AIと人類、どちらに勝利の女神が微笑むのか…?
壮絶な戦いが今、始まろうとしている――。

風蕭々と碧い時












John Lennon Imagine  



アルバム『終わりなきこの愛』 2019年4月24日
夢の中のウエディング
 MARIAGE D'AMOUR
RICHARD CLAYDERMAN          
                 

 


再会酒場

今夜の寸評:朝から室内トレーニグを開始!➲ブログの打ち込みは
        暫く中止・

  

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ナノテク解体新書 ②

2023年10月06日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。



このブログをはじめからずつとマイクロウェブ(電子レンジ)派で推して
きた。最近、自分でランチをつくらなかったが(彼女が用意)、久しぶり
にプロシード・アリーナ横のセブンで「冷凍海鮮お好み焼き、これは、毎
日頂けると感心したのでレポする。
1.ひとことで美味。2.加熱ムラを配慮する、3,ベースのパウダーは
小麦だけでなく米粉・蕎麦粉・キビ粉・野菜粉などアレンジ可、4、具材
調理加工Ⅱ係わるの明細情報はQRコードで表示義務化。
また、原稿の電子レンジあるいはレンジオーブンに満足しているかといえ
ば、におい、騒音とそして加熱ムラ(これは、ひと手間かければ解決でき
る)あることも掲載しておきたい。

ところで、セブンのたこ焼きも美味しいので掲載しておく。

  <

タコは西アフリカ・モーリタニアから来る

2011年、たこやきの蛸は国内だけでないが、コンビニの冷凍食品使われて
いるかというとわからない。ところで、モータリアと日本政府の他国間貿
易政策の政策の成功例がある。西アフリカの砂漠と<海岸の美麗さ、イス
ラム信仰以外これといったものがないが、40年前、中村正明氏が蛸壺漁と
養漁法の指導により、モーリタニアの水産物輸出の86%がタコ。日本が
輸入タコの35%を占めるまでなる(2020年)。   


登山予定日:10月14日~21日(本日の予想では15日は晴れ、14日にスタート
➲15日午後帰宅で決行できそう





金沢美術館観光予定日:2023
年10月21~22日

再エネ革命渦論 175: アフターコロナ時代 176】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中 ㊿+⑥
  



逆回転の発想で救える人がいるという、 どこの国でも、格差や貧困は社会
問題。家を失い、外で暮らす人々が大勢いる。ロンドンは大都市というこ
ともあり、ホームレスが少なくない。ただ昔と違って今のホームレスはス
マートフォンを持っており、生活に必要な各種申請や情報を得たり、連絡
や送金受け取りなどが行なえる生命線になっているが、電子機器の難点は
電池切れ。彼らは充電できるスポットにアクセスしにくいため、日々とて
も困っているという。そこで生まれたのがモバイルバッテリーの「My Powe-
rbank
」。 市の交通局が運営しているレンタサイクルに磁力でくっつくよう
デザインされ、レンタルせずともペダルを後ろ向きに漕ぐと、歯車の回転
で発電できるよう設計されていというのだ。



100分漕いだらスマホを4回フル充電
25分間ほど漕ぐと、スマホのフル充電1回分になる。内蔵電池は2個あり、
最大でスマホを4回フル充電にできる容量を備えている。つまり「My Power-
bank」自体をMAXにするには、100分間漕がなくてはならない。自分がヒマな
ら時間が潰せ、いい運動にもなる。レンタサイクルは市の運営とはいえ、「
他人のもので勝手に充電なんて…」と思うかもしれない。でもこれがないと、
生きていけない人たちもいる、と社会福祉政策を考えれば納得できる。「
My Powerbank」はデザインのコンペで受賞し見事に賞金をゲット。地元のN
POや慈善団体からも協力を得ることができた。製造はお古のバッテリー2個
を使い、筐体を3D印刷して使い方は夜でも読めるよう取説が紫外線インク
で印刷され、ひとつ作る費用は3ポンド(約550円)で、必要な人たちにす
ぐ広がりそうだというがいかがでしょうか。




特集:カーボンナノチューブ用途と量産化
 カーボン、つまり炭素は地球上に存在する元素の一つです。炭素原子はそ
の性質上ほかの元素と結びついて炭素分子として存在することが多いが、
純粋な炭素原子の集合体としては、身近なもので言うと鉛筆やシャーペン
の芯に使われているグラファイト(黒鉛)、それから自然物としてはもっ
とも硬いダイヤモンドが代表的。ナノカーボンと呼ばれるナノサイズの炭
素の結晶状態が注目を集めたのは1985年のこと。60個の炭素原子で構成さ
れるサッカーボールのような構造体(フラーレン)が発見され、1996年に
その発見者にノーベル化学賞が授与される。この発見以降、ナノカーボン
の研究が盛んになり、その後、ナノカーボンの仲間(炭素同素体)である
グラフェンが発見され、その発見者は2010年にノーベル物理賞を受賞して
いる。1960年代から繊維状炭素物質の存在は知られていが、1976年に信州
大学の遠藤守信教授(現:特別栄誉教授)がCVD(化学気相成長)法とい
う高効率の中空筒状の炭素繊維、いわゆるカーボンナノチューブ(CNT)合
成法を発明、また1993年にはNEC基礎研究所の飯島澄男氏(現:名城大学終
身教授)によって単層CNTの構造が解明された。CNTは炭素原子だけで作ら
れた筒状の構造体で、直径が数nmから数十nm(1nm:1mmの100万分の1)、
長さが数μmから数十μm(1μm:1mmの1000分の1)と、細くて非常に長い
のが特徴(下図1)。しかも、高い導電性と熱伝導性を持ち合わせ、密度は
アルミより低いため非常に軽く、さらに引っ張り強度は鋼鉄よりも強い、
という夢のような物質である。


出展;産業技術総合研究所



------------------------------------------------------------------
 1.特開2002-255519 単層カーボンナノチューブの製造方法およびゼオ
 ライトの除去方法
【概要】
レーザ蒸着法およびアーク放電法などのカーボンナノチューブの合成法は
、大量合成に不向きであること、アモルファスカーボン等の不純物が多い
ことなどの課題を有していた。一方、熱分解法では、合成温度における触
媒金属の安定性、および触媒微粒子の構造制御、加熱時の粒径制御が課題
であった。下図1のごとく、耐熱性の多孔性担体に触媒微粒子を分散担持
させた基体上に炭化水素ガスをキャリアガスとともに送り、炭化水素ガス
の熱分解を利用して、単層カーボンナノチューブを気相合成することを特
徴とする単層カーボンナノチューブの製造方法を提供する。

図1.施形態1に係わる単層ナノチューブ(SWNT)合成装置の概略模式図


2.特開2022-12095 単層カーボンナノチューブの製造方法
【概要】
図1のごとく、単層カーボンナノチューブの製造方法は、金属基板50を
洗浄する第1工程と、金属基板50の表面にAl2O3バッファ層51を作
製する第2工程と、Al2O3バッファ層51の表面にIr(イリジウム)
20を蒸着させる第3工程と、CVDを実行する第4工程と、を備えてい
る、単層カーボンナノチューブをより簡便に得ることができるカーボンナ
ノチューブの製造方法を提供。

図1.実施例1及び実施例2の単層カーボンナノチューブの製造方法を示
 す概略図
【符号の説明】 20,120…Ir(イリジウム)  30,130…単
層カーボンナノチューブ  50…金属基板  51…Al2O3バッファ層 
52…PDMSバッファ層  110…Si基板  140…0.01M酢
酸イリジウムエタノール溶液(Ir(イリジウム)イオン溶液)  S…
Ir(イリジウム)イオン溶液の液面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基板を洗浄する第1工程と、 前記金属基板の表面にA
l2O3バッファ層、又はPDMSバッファ層のいずれかを作製する第2工
程と、 前記Al2O3バッファ層、又は前記PDMSバッファ層の表面にI
r(イリジウム)を蒸着させる第3工程と、 CVDを実行する第4工程と、
を備えていることを特徴とする単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項2】 前記Al2O3バッファ層の厚みは、30nmから200nm
であることを特徴とする請求項1に記載の単層カーボンナノチューブの製
造方法。
【請求項3】 Si基板を洗浄する第1工程と、 前記Si基板の表面側に
Ir(イリジウム)イオン溶液をコーティングする第2工程と、前記Si
基板を焼成する第3工程と、 CVDを実行する第4工程と、を備えている
ことを特徴とする単層カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項4】 前記第2工程において、前記Si基板は、前記Irイオン
溶液に浸漬され、前記Si基板の表面を前記Irイオン溶液の液面に交差
する向きにした状態で0.1mm/secから0.6mm/secの速度
で前記Irイオン溶液から引き上げられることを特徴とする請求項3に記
載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
------------------------------------------------------------------
カーボンナノチューブの構造や作り方
1.ナノテクノロジーとカーボンナノチューブ 
ナノテクノロジーとは、ナノメートルのとても小さなスケールで物質を操
作することによって、物質に全く新しい機能を実現する技術です。ナノテ
クノロジーによって実現できることは、例えば以下のようなことです。連
邦議会図書館の全蔵書のデータを角砂糖の大きさの記録媒体に収める。鉄
より10倍強い新材料を開発して全ての乗り物を軽くし、燃費を向上させる。
コンピューターの計算速度を100万倍以上あげる。 がん細胞を検知し、遺
伝子や薬物をその細胞に狙い撃ちで送り込む。 太陽電池のエネルギー効率
を2倍にする。
2.構造
カーボンナノチューブは、「グラファイトを筒状に丸めたもの」とよく言
われる。グラファイトは、炭素原子が六角形の網目を作るように平面状に
結合した膜を重ねたような形をしている。カーボンナノチューブは、この
膜を筒状に丸めたような形状をしている。
3.特徴と将来
電気的な性質を応用した素材としても有用なカーボンナノチューブ、モノ
を作るための材料としてみた時も、次のような優れた特徴がある。
軽い(アルミニウムの約半分) 丈夫(鋼鉄の20倍、特に繊維方向の引っ
張り強度はダイヤモンドより強い) 弾力性がある(チューブなのでしな
りがある) 内部に分子をな内包でき、性質を持つデバイスとして活用で
きる。チューブの中に分子を取り込む性質の応用として注目されるのが、
水素燃料電池への活用。水素は、地球上に豊富に存在し、かつ水以外の廃
棄物を出さないクリーンなエネルギーとして注目されているが、コンパク
トなスペースに安全に貯蔵することが難しいという問題点がある。ところ
が、カーボンナノチューブの中に水素を吸収することで、安全に水素を持ち
歩ける燃料電池の形にできるのではないかということで研究が進められ、
実際にカーボンナノホーン(円錐形の特殊な形のナノチューブ)を電極と
した燃料電池が開発されている。充電なしで数日間使えるパソコンや電気
自動車などが開発される日も近い。 カーボンナノチューブでロープを作
ると、直径1cmで1200トンの重さに耐えられるという、従来の素材に比べ
てまさに桁外れの強度のロープとなる。建築物や自動車など、強度としな
やかさの両方が求められる分野の素材としての応用が期待されている。
宇宙開発の分野でもカーボンナノチューブは期待されている。ロケットの
機体や内部の配線、コンピューターなどをカーボンナノチューブで作るこ
とで、ロケットを軽量化し、より遠くへ飛べるロケットを作ることが可能
になる。まさに小さなものから大きなものまで動かす、ナノテクノロジー
の「米」とでも言うべき物質が、カーボンナノチューブである。
------------------------------------------------------------------
燃料電池市場は2040年度に18兆円規模に
2022年度比で45倍以上の拡大予測
調査会社の富士経済が燃料電池(FC)関連の世界市場の調査結果を発表。
2040年度の市場は2022年度比45.2倍の18兆2320億円まで拡大すると予測。
調査会社の富士経済は2023年9月21日、燃料電池(FC)関連の世界市場の
調査結果を発表した。それによると、2040年度の市場は2022年度比45.2
倍の18兆2320億円まで拡大すると予測している。 2023年度の燃料電池シ
ステムの世界市場は、燃料電池車と燃料電池トラック・バスに加え、商業
施設の発電設備や発電事業者の充電設備などに導入される産業・業務用燃
料電池で80%以上を占め、金額ベースでは前年度比25.1%増の5046億円が
見込まれる。特に、燃料電池トラック・バスは欧州・中国を中心に大きく
伸びている。  今後は、航続可能距離の長さや水素充填時間の短さとい
った燃料電池の優位性を生かし、大型・長距離走行車両への普及が進むと
みられ、2025年度から2030年度にかけて燃料電池トラック・バスの市場
規模が最も大きくなるという。  
2030年度以降は、燃料電池車や燃料電池トラック・バスの普及を通じて燃
料電池スタックのコストダウンが実現するほか、自動車メーカーによる積
極的な燃料電池モジュールの販売や船舶、ドローンでの採用など用途の多
様化が予想され、2040年度の市場は2022年度比45.2倍に成長する予測して
いる。 vir スマートジャパン 燃料電池市場は2040年度に18兆

風蕭々と碧い時












John Lennon Imagine  



アルバム『終わりなきこの愛』 2019.4.24
鳥を夢みて
Richard Greidaman MURMURES

今夜の寸評:迷惑なビデオ通話
彼女からLINEビデオ通話が入る。マイピーシーのビデオカメラを封
印しているのにと思いつつ、LINE通話はまあよしにしよう。それに
しても双方とも皺が深いのは百年の恋も冷めてしまうわい。


 

 

 

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ナノテク解体新書 ①

2023年10月04日 | 環境リスク本位制

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

 今年のノーベル化学賞はあたわず。来年に期待!!

竹は春、筍にその精力を奪われてみすぼらしくなるが、秋になると幹もし
っかりして、中の虫も死に絶え伐るには恰好の季節。 

      伐竹の粉砕清まし三々五々     高山  宇   
                                             

            伐竹をまたぎかねたる尼と逢ふ   阿波野青畝

阿波野 青畝(1899年2月10日 - 1992年12月22日);奈良県出身の俳人。本
名、敏雄。旧姓・橋本。原田浜人、高浜虚子に師事。昭和初期に山口誓子、
高野素十、水原秋桜子ととも「ホトトギスの四S」と称された。「かつらぎ
」主宰。 市井の生活を材に、鷹揚な表現で自在な句境を構築した。古典を
素地にした叙情性も特徴。句集に『万両』(1931年)、『除夜』(1986年)。

 

   


再エネ革命渦論 174: アフターコロナ時代 175】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中 ㊿+❺





量子エンジンとは
量子エンジンは、ボゾン粒子の気体を圧縮し、フェルミオン粒子の気体を
減圧する。
------------------------------------------------------------------
量子力学は、原子や分子といった非常に小さな粒子の性質や相互作用を探
求する物理学の一分野です。量子力学の進展により、従来よりも強力で効
率的な新技術が開発され、コンピュータや通信、エネルギーなどの分野に
画期的な進歩をもたらしている。 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の量子
システム研究ユニットの研究チームは、ドイツのカイザースラウテルン・
ランダウ大学やシュトゥットガルト大学の研究チームと共同で、量子力学
の原理を利用した、極小のエンジンを設計・製作しました。研究では、こ
れまでの燃料を燃焼させる方法によってではなく、量子力学の原理を利用
して動力を生み出すエンジンを開発。今回の研究論文は、OISTの博士課程
学生キールティ・メノン、エロイサ・クエスタス博士、トーマス・フォガ
ティー博士、トーマス・ブッシュ教授共著によるもので、英国の科学誌「
ネイチャー」に掲載された。

自動車に搭載されている従来型のエンジンでは通常、燃料と空気が混ざっ
た混合気がシリンダー内で点火されます。その結果、爆発によってシリン
ダー内のガスが加熱され、熱膨張を利用してピストンを往復運動させ、そ
の動力で車輪を回転させる。
量子エンジンでは、熱の代わりに、ガス中の粒子の量子的性質における変
化を利用する。この変化がどのようにしてエンジンの動力源となるのかを
理解するためには自然界に存在するすべての粒子が、それぞれの量子的性
質に基づいて、ボソンかフェルミオンのどちらかに分類されるということ
を知っておく必要がある。☈
------------------------------------------------------------------
【脚注】
3次元空間では、すべての素粒子はボソン(ボース粒子)かフェルミオン
(フェルミ粒子)に分けられます。 核子や電子、ニュートリノなどはフ
ェルミオンで、光子はボソンです。 ボソンは1つの状態にいくつもの粒子
が入れ、フェルミオンは1つの状態に最大1つの粒子しか入れません(パ
ウリの排他律)。
------------------------------------------------------------------
☈量子効果が重要となる超低温では、ボソンはフェルミオンよりも低いエネ
ルギー状態にあり、このエネルギー差をエンジンの動力に利用することが
できます。従来型のエンジンのように、周期的に気体を加熱・冷却するの
ではなく、量子エンジンはボソンをフェルミオンに変化させ、また元に戻
すことで動力に利用します。
フェルミオンをボソンに変えるには、2つのフェルミオンを組み合わせて
分子にします。この新しい分子がボソンです。この分子を分解することで、
フェルミオンを再び取り出すことができます。これを繰り返し行うことで、
熱を使わずにエンジンを動かすことができるのです」と、量子システム研
究ユニットを率いるトーマス・ブッシュ教授は説明します。
この種のエンジンは量子の領域でしか機能しませんが、その効率は非常に
高く、ドイツの共同研究チームが構築した現在の実験の設定では、最大25
%効率を高められることが分かりました。

量子力学の分野において注目されるこの新しいエンジンは、急成長してい
る量子テクノロジー分野のさらなる進展につながる可能性を秘めています。
しかし、これは量子力学が自動車のエンジンに使われる日が近いことを意
味するのでしょうか?「このようなシステムは非常に効率的ですが、今回
私たちは実験に協力してくれる人々とともに概念実証を行っただけにすぎ
ません」とキールティ・メノンは説明します。「自動車で使える量子エン
ジンを作るためには、まだまだ多くの課題が残されています。」

また、温度が高くなりすぎると、熱が量子効果を破壊してしまうため、シ
ステムをできるだけ低温に保つ必要がある。しかし、繊細な量子状態を保
護するために低温で実験を行うにはかなりのエネルギーが必要となる。研
究チームは、今後、システムの動作に関する基礎的な理論的課題に取り組
み、性能を最適化し、バッテリーやセンサーなど、他の機器への応用の可
能性についても調査する予定です。

【関係技術情報】


Titole: A quantum engine in the BEC–BCS crossover
Koch, J., Menon, K., Cuestas, E. et al. A quantum engine in the BEC–BCS crossover
. Nature 621, 723–727 (2023). https://doi.org/10.1038/s41586-023-06469-8
------------------------------------------------------------------------------------------------------
【要約】
量子パウリエンジンの原理 a、実験装置の概略図。 原子雲(紫色の楕円体
)は、1,070 nmの波長で動作する磁気サドルポテンシャル(オレンジ色の表
面)と光双極子トラップポテンシャル(青色の円柱)を組み合わせた場に
トラップされます。 吸収写真は、-z 方向のイメージング ビーム (紫色の
矢印) を使用して撮影される。 吸収写真のスケールバーは50 μmに相当する。
b、パウリエンジンのサイクル。 明確に定義された温度 T (点 A) でトラッ
プの基底状態を巨視的に設定する分子 BEC から始まり、最初のステップ A
→ B、 放射状トラップ周波数の増加を通じてクラウドを圧縮することにより、
システム上で作業 W1 を実行する。 これは、トラッピング レーザーの出力
を強化することで実現される。 2 番目のストローク B → C は、トラップ
周波数を一定に保ちながら、磁場強度を BA = 763.6 G (76.36 mT) から共
鳴磁場 BC = 832.2 G まで増加させる。 これにより、作動媒体がパウリ エ
ネルギー E2P\documentclass の追加によりフェルミの海を形成するため、シ
ステムの量子統計に変化が生じる。 第2作業ストロークW3に相当する。
最後に、BC を BA に還元することにより、ステップ D → A 中にボソン量
子統計を使用してシステムを初期状態に戻す。これはパウリ エネルギーE4P
の変化に対応する。 スピンアップ (青) とスピンダウン (赤) を持つ原子
の調和トラップ内の個体数分布が各隅に示す。 c. エンジンサイクルの各時
点での吸収写真の例。B → C のサイズの特定の変化はパウリストロークに
よるもので、パウリエネルギーが外部ポテンシャル内の雲のサイズを増加さ
せることを示。 スケールバー:50 μm。 



光海底ケーブルシステムで世界最高水準800Gbps伝送の長距離
9月28日、本電気(NEC)は,世界最高水準の毎秒800Gb/sの伝送性能を有する
最新のトランスポンダにより,光海底ケーブルシステムの長距離伝送フィー
ルドトライアルに成功)。
今回のフィールドトライアルはインドネシア最大の通信キャリアであるPT
Telekomunikasi Indonesia,tbk (PT Telkom
)が所有する海底ケーブル「Indonesia
Global Gateway(IGG
)」を利用して行なわれ,陸上局には同社の最新トラン
スポンダ「XF3200」を使用した。 フィールドトライアルでは,800Gb/s光信
号の波長多重光伝送を実施し,世界最長となる2,100kmを超える長距離伝送に
成功した。 このトランスポンダを使用することで,今回のフィールドトラ
イアルでは,現在使われている同社製品と比較して伝送容量が約30%向上し
ており,拡大し続ける国際通信需要に適した装置になっているとする。さら
に,新しいデザイン設計や新技術の採用により,省スペース化,省電力化,
高いスケーラビリティ,柔軟な保守性などを実現しておりTCO削減に貢献す
る装置だとする。

 黒の革命最前線
ナノテク解体新書 ① とし考察構築


常温核融合日本が先行 トヨタ系テクノバ「2025年までに」

常温核融合は、水素の同位体である重水素と三重水素(トリチウム)の原子
核を融合させる際に生まれる膨大なエネルギーを利用するものだ。通常の核
融合は数千万度の高温と高圧が必要だが、常温核融合は数百度程度のため、
はるかに扱いやすい。水素技術の中でも、まだ実用化に向けた研究段階であ
るが、エネルギーの分野でゲームチェンジを起こす可能性があるとみて注目
されている。日本ではトヨタ系シンクタンクや大学などとの研究が進んでお
り、世界に先行している。常温核融合の仕組みはこうだ。軽くて燃えやすい
水素の同位体である重水素と三重水素(トリチウム)の原子核を融合させる
と、ヘリウムと中性子ができる。このとき、反応前の重水素と三重水素の重
さの合計より、反応後にできたヘリウムと中性子の重さの方が軽くなり、こ
の軽くなった分のエネルギーが放出される。核融合反応では、少量の燃料か
ら膨大なエネルギーが発生し、例えば1グラムの重水素、三重水素燃料から
タンクローリー1台分の石油(約8トン)に相当するエネルギーを得ることが
可能という。現在実用化に向け研究が進んでいる「金属水素間新規熱反応」・
「凝縮系核融合」では、水素吸蔵技術を用いて、軽水素とニッケルで更に効
率よく莫大な熱エネルギーを得ることが可能になる。最近では、2019年5月
に英総合学術誌「Nature」で記事が取り上げられ、「ITER国際核融合エネル
ギー機構」による国際的な実証実験も計画されており、ジェフ・ベゾスやビ
ル・ゲイツもベンチャー出資するなど、世界的注目が再び高まる。 通常の
核融合が発電に使用される場合、数千万度の熱が発され、高圧・巨大装置が
必要になる。一方で、常温核融合は数百度とはるかに低い温度と、小さな装
置での核融合が可能であり、サイズ・コスト面で既存の発電方式を凌駕して
いる。常温核融合が実現されれば、ガソリン燃料の4倍~1万倍の熱密度が
出せること、有害な放射線やCO2が出ないこと、加えて、発電コストも1キロ
ワット時当たり2.6円(既存の火力発電の5分の1)に下がることから(テク
ノバ試算)、原子力発電と比較しても、安全性・コスト面で優位。
尚、トヨタグループの技術系シンクタンクであるテクノバも、電気自動車の
電熱ヒーター用など出力5kW程度の発電であれば「2025年までには可能」と
みており、実用化への期待が高まっており、日本がいち早く実用化に成功す
れば、世界のエネルギー問題・環境問題を解決する「ゲームチェンジャー」
となりえる。

1.特開2022-7951 常温核融合装置、常温核融合による発熱方法および発
 熱装置
【概要】 下図27のごとく、常温核融合装置100は、反応炉内に、重水
素を吸蔵する金属からなる水素吸蔵金属基板101と、前記水素吸蔵金属基
板101に対向して設けられ前記水素吸蔵金属基板101の表面電位を制御
するための平板状の対向電極102と、が設けられ、前記水素吸蔵金属基板
101を基準として正電圧が印加された対向電極102であれば重水素が前
記水素吸蔵金属基板101内に移動する水素吸蔵が生起し、負電圧が印加さ
れた対向電極102であれば前記水素吸蔵金属基板101の内部から表面へ
拡散した重水素により常温核融合が生起する、水素吸蔵金属を用いた発熱現
象を安定的かつ連続的に実現できる新規な常温核融合装置、発熱方法および
発熱装置を提供。


図27.実施形態による常温核融合装置の概略的構成と常温核融合発生過
 程を説明する模式図

【符号の説明】 100 常温核融合装置 101、101.1、101.
2 水素吸蔵金属 101a 金属表面 101.3 絶縁ウエハ 102、
102.1、102.2、102(E+)、102(E-) 対向電極 1
03 極性切替可能電源 103a DC電源 105 ヒータ 110 金属
基板 111 エッチングストップ膜 201 ナノドーム 301,30
1a ナノコーン 601 反応炉 601.1 601.2 反応室 60
2、602a、602b、602.1、602.2 供給口 603、60
3.1、603.2、603.3 排出口 604、604a、604b
保持部 701、801 900.1 900.2 発熱体 1000 ニッ
ケル板 1000a ニッケル基板 1000d 高濃度D領域 1001b、
1001c 保持枠  1002 水素分離膜 1002d ナノパターン
1003 基板 1003a エッチング後の基板 1004 マスク

2.特表2021-524037 熱及び電力を発生させるイオンビームデバイス
                             及び方法
【概要】
下図1のごとく、プラズマチャンバー106において低電力プラズマ107
からのイオンビームの密度焦点及び速度を制御することによって熱及び電力
を発生させるデバイス及び方法であって、プラズマチャンバーからイオンビ
ーム111が反応チャンバー103へと抽出され、任意にターゲット102
が濃縮されてターゲットの水素化物となり、上記ターゲット内で熱及び任意
に常温核融合反応を開始して持続させ、上記反応から熱エネルギーを回収し
て(105)、加熱を起こし及び/又は電力を発生させ(119)、任意に
、追加の熱が必要とされない場合に、ターゲットを追加のイオン燃料で補充
し、及び/又は追加のターゲット材料を堆積させ、一方で、加熱及び任意の
濃縮/堆積及び常温核融合サイクルの間に、チャンバーから余剰の燃料を抽
出し、必要に応じて燃料源109からの任意の燃料副生成物と再結合させた
後に、燃料源として再使用する、デバイス及び方法。


図1.実施形態が展開され得る例示的なデバイスの概略図

3.特開2016-6431 常温核融合反応方法及び装置
【概要
下図7のごとく、反応容器13C内の電解液中に加速用正電極22C及び加
速用負電極24Cを設置するとともに、加速用正電極22C及び加速用負電
極24Cの近傍に集電するための集電用正電極(参照用正電極210)及び
集電用負電極(参照用負電極214)を配置し、加速用正電極22C及び加
速用負電極24Cに反応電圧を印加して加速用正電極22C及び加速用負電
極24C間に常温核融合状態を発生させ、この常温核融合状態における電気
エネルギーを集電用正電極210及び集電用負電極214により取り出して
電力負荷232に送給して消費する、常温核融合反応状態において電気エネ
ルギーを出力として取り出すことにより、設備費用の低減化及び稼働の安定
化を図ることができる常温核融合反応方法及び装置を提供する。

図7.常温核融合反応装置の第3の実施形態を簡略的に示す断面図

【符号の説明】 12,12A,12B,12C 常温核融合装置  13,
13A,13B,13C 反応容器  20 電解液  22,22C 正電極(
加速用正電極)  24,24C 負電極(加速用負電極)  68,68A
受光手段  102 電源装置(第1電源装置) 106 電圧調整手段 2
10 参照用正電極  214 参照用負電極  218 電圧検知手段 22
0 電解用正電極

図3.実施例にかかる発熱方法において、重水の温度を上昇させるとともに
水素吸蔵金属を正極に用いて、重水に通電するするステップを示す断面図
【符号の説明】
1:ガラス製容器 2:重水 3:Pd板 4:Pt(メッシュ状) 5:
バリア層 

【発明を実施するための形態】 
以下、本発明を実施するための形態について説明する。 
本実施形態においては、低温で重水を電気分解することにより、負極である
Pdなどの重水素吸蔵金属中に、多量の重水素を吸蔵させる。重水素吸蔵金
属は、Pdには限られず、Pd合金、Ti、Ti合金など、他の種類のもの
であっても良い。次に、重水素を吸蔵したPd(重水素吸蔵金属の一例)の
表面に、電解めっき法により、厚いバリア層を形成する。バリア層には、Pd
と比較して水素の透過率が低く、アノード溶解が可能な、たとえばCuやN
iなどの成分を用いる。Pdの表面にバリア層を形成した後、重水の温度を上
昇させるとともに、電源の極性を逆に切り替え、Pdを正極として重水に通
電をおこなう。これにより、Pd中から重水素を放出する力が増加するとと
もに、アノード溶出によりバリア層を薄くすることで、バリア層を少量の重
水素が通過できるようになる。Pd層とバリア層との界面付近は高D/Pd
となり、重水素の運動も促進されるため、核反応を再現性良く生じさせるこ
とが可能になる。 
なお、反応が終了したPdは、アノード溶解を再開し、バリア層を全て溶解
させることにより、再利用が可能になる。 
(実施例) 以下、本発明の実施例について説明する。 まず、図1に示すよ
うに、恒温槽(図示せず)中に設置したガラス製容器1に、重水を投入し、
続いて重水を撹拌しながらLiを投入し、両者を反応させて、LiODを電
解質として含む重水2を得た。次に、重水2の中に、Pd板3とメッシュ状
のPt4とを浸漬させた。Pd板3は全体が重水2に浸かるように設置し、
Pt4はPd板3を取り巻くように設置した。次に、Pd板3を負極として
、Pt4を正極として、電流密度100mAで通電して、重水2を電気分解
するとともに、Pd板3中に重水素を吸蔵させた。なお、電気分解中の重水
2の温度は、20℃に保った。 
次に、図2に示すように、Pd板3のD/Pd値が飽和したことを確認した
うえで、通電を継続した状態で、pH調整用にH2SO4を含むNiメッキ液
を重水2の中に投入し、さらに通電を継続して、Pd板3の表面に、Ni膜
からなるバリア層4を形成した。

次に、通電を継続した状態で、恒温槽の温度を上昇させ、重水2の温度を上
昇させた。そして、重水2の温度が90℃に達した時点で通電を停止すると
ともに、重水2の温度を90℃に維持した。次に、図3に示すように、電源
の極性を逆にし、Pd板3を正極として、Pt4を負極として、通電を開始
した。そして、重水2の温度が90℃を超えて上昇を開始した時点で、通電
および恒温槽による加熱を停止した。電源の極性を逆にして通電をおこない
表面がNi膜のバリア層で覆われたPd板3から重水素ガスが発生し始めた
時点から、重水2の温度が上昇し、恒温槽による加熱を停止した後も、重水
2が継続して沸騰することを確認した。 
次に、発熱終了後、次の方法で、Pd板3の表面に形成された、バリア層4
を構成するNi膜を除去した。すなわち、発熱が終了したのを確認した上で、
通電を再開し、アノード溶出により、Pd板3表面のバリア層4を構成する
Ni膜を除去した。この方法で再生したPd板3を用いて、再度、上述した
重水2の発熱操作をおこなった。新品のPd板3を用いた場合と同様に、重
水2を沸騰させることができた。

これで常温核融合の可能性を定性的に確認できる。ただ。水素吸蔵合金及び
性能向上とともに脱希少資化代替材料としてのカーボンナノチューブの性能
と量産化によるコスト削減などの課題が残るので、下記にその事例を掲載し
ておく。

1.特開2011-255314 水素吸蔵材及びその製造方法
【概要】
下図1のごとく、素吸蔵材は、水素吸蔵合金とカーボンナノチューブとから
構成され、カーボンナノチューブが水素吸蔵合金の表面に結合している。水
素吸蔵合金とCNTとの接触熱抵抗が小さいこと、及び、CNTの長手方向
の一端が水素吸蔵合金に結合しており、CNTは長さ方向に対する伝熱性が
優れる特性を有することから、水素吸蔵材は優れた伝熱性を有する。そして、
この水素吸蔵材は、加熱雰囲気下に水素吸蔵合金を配置するとともに炭素源
ガスを供給し、化学的気相合成法により水素吸蔵合金の表面からカーボンナ
ノチューブを成長させることで得られ、伝熱性に優れる水素吸蔵材及びその
製造方法を提供。

【符号の説明】 1 水素吸蔵材  10 水素吸蔵合金  20 カーボンナノ
チューブ  30 管  40 加熱装置  
尚、凝縮系常温核融合だけでなく、光触媒系常温電解系もこの群技術系に含
め開発する。
                           この項つづく

わたしは何なの ⑨
ここでは、アルゴリズミカルな人類社会を人工知能(AI)の脅威を描いた
SF映画より考察してみよう。

インド初の人工知能SF超大作『ロボット』
インドの科学者バシーガラン博士は、長年の開発の末に高性能ロボット「チ
ッティ」を開発する。 博士に似せて作られた人間型ロボットのチッティは、
驚くべき性能を発揮。人助けで活躍してヒーローのようになっていくが人間
の感情を理解できないことからトラブルも起こしてしまう。 やがて博士は、
チッティをより完璧にするため、感情を埋め込むことに。ところが、チッテ
ィは嫉妬や怒りといった負の感情に支配されるようになり、思わぬかたちで
暴走する。



人間そっくりのAIロボットが感情を与えたことで、とんでもない大暴走をく
り広げていく。予告編でも描かれる、斬新すぎるロボットの戦い方が最大の
見どころ。まるで組体操のように合体して軍隊をなぎ倒すシーンは、奇抜な
がらハリウッド顔負けの迫力がある、一方で、ロボットに感情を持たせるこ
と」の危うさも描く。自我を持ち、恋心さえ感じられるのに、あくまで「た
だの機械」として扱われるチッティの姿は私達の未来を投影する?!



風蕭々と碧い時












John Lennon Imagine 



アルバム『終わりなきこの愛』 2019.4.24
炎のランナー
Richard Greidaman CHARIOTS OF FIRE

今夜の寸評:  いざ! ノーベル賞を Ⅱ
わたし(たち)は、ペロブスカイトだけではなく、<常温核融合>までも見通
して いることをここで言っておこう。常温核融合との出会いは、シャドウマ
スク製造の単機能の水洗工程の改善にあり、僅か5ミクロンの腐食の不均一
にあり、『物理最前線のゆらぎ』と『レイリー分裂の諸現象』の解明で液的
サイズは一気にナノ対象化された時だ。まさに"必然は発明の母"となり、そ
の後"ネオコンバーテック事業構想"に結実し、今では、最新のデジタル可視
化技術をもって観測する”新錬金術時代"まっただ中にいる。

ps.「ナノ」サイズの極めて微細な結晶を発見するなどして、ナノテクノロジ
ーの発展につながる基礎を築いたアメリカの大学の研究者など3人が選ばれた
という。

 

コメント
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