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極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

四海竜王降臨

2023年12月30日 | びわこ環境



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。

     新しき年のはじめに思うこと ひとつ心につとめて行くかな
                          斎藤茂吉

                          開眼し目標新た大旦おおあした    
                                               


  四海竜王

辰は「振るう」という文字に由来しており、自然万物が振動し、草木が成長して
活力が旺盛になる状態を表す。辰は竜(龍)のことでもあり、十二支の中で唯一
の空想上の生きもの。東洋で権力・隆盛の象徴として親しまれていた龍は、身近
な存在であったことから干支に選ばれたと言われている。

『漢書』律暦志によると辰は「振」(しん:「ふるう」「ととのう」の意味)。
草木の形が整った状態を表しているとされる。後に覚え易くするために神話動物
の竜が割り当てられた。東南アジアではナーガ、ペルシャではクジラや大海蛇グ
ルン族の十二支では鷲、トルコでは魚やワニ等の動物に置き換えられている。
アンタレスを象徴。相場格言に「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ。戌
は笑い、亥固まる、子は繁栄、丑はつまずき、寅千里を走り、卯は跳ねる」があ
り、辰年の相場は俗に上昇相場と言われる。

彦火火出見尊(初代天皇の神武天皇)は、竜の腹から生まれており、日本神話に
登場する高志(のちの越)の八岐大蛇、海神の八尋和邇の龍宮が、現在に伝わる。
もともと日本にあった自然を神として崇拝する信仰と中国から伝来した文様や中
国の竜とが融合して日本の竜とされる。四神・五獣と繋がり、特に青竜は古墳な
どに現在の姿で描かれて有名である。神話の八岐大蛇伝説と仏教の八大竜王伝説
などが習合した倶利伽羅竜、九頭竜、善女竜王(清瀧権現)伝承も有る。玄武と
も繋り北の越国など辺りの竜を黒竜。蜃気楼に竜宮・霊亀蓬莱山が現れて吉祥と
される。治水や灌漑技術が未熟だった時代には、河川の氾濫や旱魃が続くと、竜
神に食べ物や生け贄を捧げたり、その象徴が、神道では櫛名田比売(くしなだひ
め)などとして語られ、仏教では、高僧が祈りを捧げるといった雨乞いの行事が
行われた。神泉苑(二条城南)で空海が祈りを捧げて善女竜王(清瀧権現)を呼
び、雨を降らせたという。 また、剣は、炎の竜の化身とされており、八岐大蛇
から生まれた剣は天皇であることを表す神器として伊勢神宮(後に熱田神宮)に天
叢雲剣(のちに草薙剣)が祭られ、また、守り神とされた。中世ころには刀剣、
兜に竜をかたどり戦が行われた。 他にも水の神として、また戦いの神として各
地で民間信仰の対象として広まった。日本列島が水の国であることを象徴する。

  



浮体式洋上風力は、欧州でも未だ発展途上であり安全性や抵コスト化に多くの課題
 
地域に根差した再エネ導入の意義 


China's first deep-sea floating wind farm connected to power grid

事業性が伴わず遅れる日本 世界を席巻する中国洋上風力
地域に根差した再エネ導入の意義

主要各国で、野心的な導入目標による市場拡大と産業育成の競争が激化する中で、
我が国が浮体式洋上風力発電で世界をリードしていくためには、技術そのものだ
けでなく、海外よりも魅力的な市場環境を戦略的に創り、世界市場における存在
感を高め、事業者参入や民間投資意欲を助成することが極めて重要である。浮体
式産業戦略検討会を開催国は浮体式で海面に浮かぶ洋上風力発電の普及に向けて
目標導入量の設定や関連産業への支援策を取りまとめる方向で本格的な検討に入
った。


 Image: 2021 年9 月 浮体式洋上風力発電推進懇談会

 6月23日、「浮体式産業戦略検討会」を設置し、洋上風力発電の更なる導入を図る。
今後、普及拡大が期待される浮体式洋上風力に係る産業の在り方等を検討するこ
とを目的に有識者、業界団体、発電事業者、浮体製造事業者等で構成される 「浮
体式産業戦略検討会」を関催した。洋上風力発電の導入拡大に加えて、関連産業の
競争力強化、国内産業集積、インフラ環境整備等の相互の「好循環」 を実現する
ため、2020年7月に 「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」を設置し
、同年12月に「洋上風力産業ビジョン(第1次)」を策定している。このビジョンにお
いて、2030年までに10GW、2040年までに30から45GWの案件を形成する目標を設定
し、これまでに「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用促進
に関する法律」に基づき、着床式洋上風力を中心に合計 3.5GWの案件を創出して
いる。 



更なる導入を図るために、 普及拡大が期待される浮体式洋上風力に係る産業の在
り方等の検討を進める。国内の洋上風力発電は当面、浅瀬への設置が続くため欧
州で導入が進む「着床式」が採用されている。しかし、2030年後半になると 国内
の洋上風力発電の設置適地は、「
浮体式」でないと設置できない沖合の深い海域
へと移行する。浮体式では日本が先行しているというが、国内では長崎県五島市
沖や福岡県北九州市沖で、 すでに浮体式が稼働し、戸田建設や日立造船など日本
企業の技術が採用されている。浮体式洋上風力発電の技術は、欧州でも未だ研究
開発途上であり、様々な方式が検討されている。実証実績も限られていることか
ら、安全性やコスト面での課題や、メーカ各社が採用する様々な方式の優位性も
評価しきれていないのが実情である。国は、我が国の浮体式技術で世界をリード
していくと息巻くが、取り組む企業にとって世界市場で戦っていくためには、コ
スト競争の壁が立ちはだかる。



世界から大きく遅れる日本の実情

世界風力会議(GWEC:Global Wind Energy Council)が3月に発表した2022年風力発
電年間報告書(Globa1 Wind Report 2023)によ ると、洋上風力の導入量は累計で64.3
GW(2021年末55.5GWから+16%)、新規は8.8GW/年(2021年21.1GW/年から-58%)と
なっている。中国で2021年の洋上風力買取り優遇締め切りへの駆込み需要が終わ
り、洋上新規導入量はこれまでのペースに戻っている。
洋上風力では、累計・新規共に中国が40%以上を占めて世界一になっている。洋上
風力の累積導入量のTop5は、中国31442MW(48.88%)、英国13918MW(21.64%)、ド
イツ5,055MW(12.52%)、オランダ2829MW(4.38%)、デンマーク2308MW(3.59%)と
続き、日本は累積4804MWで世界の0.5%、新規は233MW/年で世界の0.3%
とともに16位以下というのが実態である。

実績で勝る中国、 欧米勢は着実に技術革新

日本は2030年、40年時点での導入目標は示しているが、各海域の事業構想や事業
投資促進策はもとより、具体的な発電ファーム計画など、今後予定されている開
発海域のロードマップや関連産業の振興計画も不明である。日本の次期エネルギ
ーを支える基幹発電プロジェクトのはずだが、そのゴールを描き切れないでいる。
今後、日本国内にサプライチェーンを構築していくうえでは、野心的な目標値を
掲げるだけでなく、世界規模な経済性や産業整備計画などの、国としてのロード
マップを示す必要がある。
プロジェクトの実行をすべて民間企業任せでは、グローバ
ル経済を巻き込むことは
できない。
太陽光発電パネルもそうであったが、洋上風力でも、中国の開発、導入スピード
は、日本と比べようのない速さである。太陽光、着床式風力の二の舞にならない
ことを期待するしかない。



実績を積む中国製風車は世界を席巻する

中国では洋上風力発電設備の巨大化が進んでおり、GE製の12MW(Haliade-X)を上回
る16MW級の風車の建設も始まった。中国の報道によると、6月末に台湾海峡に面す
る福建省で、国営エネルギー開発企業の中国長江三峡集団(CTG)が手掛ける洋上
風力発電事業で、13MWの風車の設置が完了した。高さ130m、2万5000世帯分の電力
を発電する。同社は13MW級の完成に続いて、それよりも一回り大きい16MW級の建
設プラットフオームの設置を始めたことも発表した。 16MW級は風車の高さが146m
と、13MW級より16m高く、50階建てのビルに相当する。ブレード全体の直径は252m。
風力発電事業で世界市場に進出している中国企業のGoldwindが開発した。同事業
全体での発電予定量は400MW。事業規模は60億人民元(約8億8500万ドル)に上る。
同様に中国のMingYang SmartEnergy(明陽智能)もヽ16MW級のタービン設備の開発
を公表している。
同社は、すでに日本市場にも進出しており、富山県入善町沖の洋上風力発電事業に
同社の風車が採用されている。入善町沖プロジェクトは、3MWの風力発電設備を
3基導入する。米調査会社のブルームバーグNEF(BNEF)による中国市場による
2022年の風力発電設備メーカーの新規設置容量ランキングでは、1~5位を中国メ
ーカが独占し、「金風科技(Goldwind)遠景能源(Envision Energy)」「明陽智能(MingYang
Smart Energy
)」「遅達股扮(Windey)」「三一重能(Sany HeavyEnergy)」の順となった.
中でも.金風科技は12年連続で市場シェア1位を維持している。一方、海外メーカ
ーは中国市場の激しい競争に押され、新規設置容量が前年比で96%減少し10位以
内に入ったメーカはなかった。 
※2023.06.24「ごくとうごくらく」で「日本の風力発電建設遅れ」記事を掲載し
ている。(下図クリック願参照)


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衝撃の「ゼロプレミアム」、洋上風力・落札結果
2海域が国民負担なしで事業化へ

12月13日、経済産業省と国土交通省は、再生可能エネルギー海域利用法の入札に
基づく、3つの一般海域での洋上風力発電プロジェクトについて選定事業者を公
表した。結果は、いずれも総合商社と大手電力会社系企業のコンソーシアムが落
札し、「男鹿市・潟上市・秋田市沖」と「村上市・胎内市沖」の2海域は「ゼロ
プレミアム水準」の3円/kWh、「西海市江島沖」は 22.18円/kWhという結果にな
るた。秋田県の「八峰町及び能代市沖」の案件も入札されたが、最も評価の高か
った事業者の港湾利用が重複していることから計画の再提出を待って 2024年3月
に落札者を公表する。  評価の方法は、「価格点(120点満点)」と「事業実現
性評価点(120点満点)」の合計で最高点だった事業者が落札者となる。 今回の
入札はいずれもフィード・イン・プレミアム(FIP)を適用し、3区域(秋田県の
「八峰町・能代市沖」と「男鹿市・潟上市・秋田市沖」、新潟県の「村上市・胎
内市沖」)の入札上限価格を19円/kWh、1区域(長崎県の「西海市江島沖」)の
上限価格を29円/kWhに設定していた。  

また、市場価格が基準価格を下回った場合にプレミアムで補填するというFIP
仕組み上、再エネ賦課金が発生しない「ゼロプレミアム水準」を 3円/kWh とし、
3円以下の価格はすべて価格点を満点(120点)として評価点に差が付かないこと
にした。  

「男鹿市、潟上市及び秋田市沖」では、JERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力
のコンソーシアムが落札した。デンマーク・ヴェスタス(Vestas)製の出力15MW機・
21基で合計出力315MWのプロジェクトで2028年6月の運転開始を予定する。
この海域では3事業者が入札に参加し、価格はいずれも「ゼロプレミアム水準」
で差が付かず、事業実現性評価点で最も高く運開時期が早かったJERA、電源開発
伊藤忠商事、東北電力のコンソーシアムが落札した。  

「新潟県村上市及び胎内市沖」では、三井物産、RWE Offshore Wind Japan村上胎
内、大阪ガスのコンソーシアムが落札した。米ゼネラルエレクトリック(GE)
の18MW機・38基で合計684MWのプロジェクトで2029年6月の運開予定になる。この
海域の入札では、4事業者が参加し、そのうち3事業者の価格が「ゼロプレミアム
水準」で差が付かず、事業実現性評価点で最も高く運開時期が早かった三井物産、
RWE Offshore Wind Japan村上胎内、大阪ガスのコンソーシアムが落札した。  



「長崎県西海市江島沖」では、住友商事、東京電力リニューアブルパワーのコン
ソーシアムが落札した。デンマーク・ヴェスタス(Vestas)製の15MW機・28基で合
計420MWのプロジェクトで 2029年3月の運転開始を予。この海域では 2事業者が
入札に参加し、いずれも「ゼロプレミアム水準」の価格ではなく、落札した事業
者の価格が22.18円/kWhでもう1つの事業者よりも安く価格点で120点を獲得した一
方、事業実現性評価点ではもう1つの事業者の方が高かった。

結果的に価格点の差の方が大きかったため、合計点数で住友商事、東京電力リニ
ューアブルパワーのコンソーシアムが上回り、落札した一般海域における国内洋
上風力の入札では、前回の入札まで FITが適用され、環境価値は持たないものの
落札価格で売電できた。今回の入札からFIPになるため、電力市場への卸売のほか、
特定のオフテイカー(小売電気事業者や需要家)に環境価値と電気をセットで販
売することも可能になるなど、相対で売電単価を決めるコーポレートPPA(電力購
入契約)の要素が入ってくる。

今回、2海域で3円/kWhの「ゼロプレミアム水準」での落札となったのは、オフサ
イト型PPAスキームで環境価値も含めて売電することで事業性を確保できるめど
を付けられたからと推察できる。今回事前に設定された上限価格と現在の洋上風
力のLCOE(均等化発電コスト)の水準から考えると、参加者の札入れでは14~15
円/kWh前後での攻防になると見られていたが、太陽光発電のPPA市場で20円/kWh
近い長期契約も出てきたことから、洋上風力でもPPAスキームで事業性を確保で
きる環境になってきたことを物語る。  

加えて、前回の入札で落札した三菱商事などのコンソーシアムが単機容量12.6MW
機の風車を採用したのに対し、今回の落札案件では、15MW機と18MW機というさら
大出力の風車を採用し設置基数を減らせたこともLCOE低下に寄与したと思
われる。 すでに洋上風力のコストが下がっている海外でのFIP入札では、PPA
事業計画を構築しておき、FIP入札ではゼロ価格の札を入れ、FIPを利用しない(
FIPによるプレミアムを受け取らない)ような落札事例もあった。そこで、今回
の公募指針では、こうしたケースも想定し、「ゼロプレミアム水準」を3円/kWh
とした。3海域のうち、2海域でそれが適用されたことは、国内洋上風力のコスト
も大幅に低下してきた一方、電力料金の高騰を経験し、再エネのコスト競争力が
高ま
っていることを示している。  

「長崎県西海市江島沖」が 22.18円/kWhでの落札となったのは、同海域だけは海
底地盤の構造上、コストの上がるジャケット式基礎になることがわかっていたた
め、建設コストを下げにくく、 20円/kWh以下のPPAスキームの可能なLCOE水準に
達しなかったとも考えられる。  

今回の結果を見ると、国内でも海域の条件によっては洋上風力プロジェクトが事
実上、再エネ賦課金という国民負担のない形で事業化できることが明らかになっ
た。今後、洋上風力によって再エネ賦課金がかなり増えるとの見方が多かっただ
けに、国民負担を増やさずにもう一段の再エネ拡大を可能にするうえで、大きな
一歩になりうる。また、落札した企業が相対的に事業実現性でも評価されたのは、
すでに洋上風力の知見を積みつつあることがアピールポイントになった可能性も
ある。「男鹿市、潟上市及び秋田市沖」を落札したコンソーシアムを構成する企
業のうち、電源開発は北九州市響灘沖で、JERAは石狩湾新港で、港湾内の洋上風
力事業者に出資し、一般海域でのプロジェクトに先駆け、洋上風車の建設・運営
を経験できる立場にある。

また、「新潟県村上市及び胎内市沖」では、欧州で洋上風力の経験が豊富なRWE
Offshore Wind Japanが参加している。「長崎県西海市江島沖」を落札した住友商
事は、海外の洋上風力に出資参画している。とはいえ、台風や雷の多い国内で実
際に長期運用した経験がなく、しかもFITに比べて売電収入が確定しにくいFIPやP
PAスキームでプロジェクトファイナンスを組成するのは容易でないと思われる。

落札した事業者は、今後、プロジェクトファイナンスに取り組むと思われるが、
場合によっては出資者によるスポンサーサポート契約やリザーブ(積立金)の設
定が求められることも考えられる。今回落札したコンソーシアムが資金力のある
大手企業によって構成されていることはファイナンスに有利になる。  

前回の入札では三菱商事系を中心としたコンソーシアムが低価格によって3海域
を総取りしたことで、準備の先行しているベンチャー系企業が押し出される形に
なった面があった。それを受け入札制度の一部が変更されたが、今回の結果を見
る限り、洋上風力で経験を積み、PPAで求められる信用力のある大手商社や大手
電力会社の優位が続きそうだ。
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※ 3円/kWhのゼロプレミアム水準とは、FIP制度に基づくき、電力市場価格が3円/
kWh以下の時は単価3円での供給、市場価格がそれを上回る場合は、それに応じた
価格での供給となる。
------------------------------------------------------------------------
「ゼロプレミアム」となった背景は

一般海域における国内洋上風力の入札では、前回の入札までFITが適用され、環
境価値は持たないものの落札価格で売電できた。今回の入札からFIPになるため、
電力市場への卸売のほか、特定のオフテイカー(小売電気事業者や需要家)に環
境価値と電気をセットで販売することも可能になるなど、相対で売電単価を決め
るコーポレートPPA(電力購入契約)の要素が入る。  

今回、2海域で3円/kWhの「ゼロプレミアム水準」での落札となったのは、オフサ
イト型PPAスキームで環境価値も含めて売電することで事業制を確保できるめど
を付けられたからと推察できる。今回事前に設定された上限価格と現在の洋上風
力のLCOE(均等化発電コスト)の水準から考えると、参加者の札入れでは14~15
円/kWh前後での攻防になると見られていたが、太陽光発電のPPA市場で20円/kWh近
い長期契約も出てきたことから、洋上風力でもPPAスキームで事業性を確保でき
る環境になってきたことを物語る。  

加えて、前回の入札で落札した三菱商事などのコンソーシアムが単機容量12.6M
W機
の風車を採用したのに対し、今回の落札案件では、15MW機と18MW機という
さらに大出力の風車を採用し設置基数を減らせたことも、LCOE低下に寄与したと
思われる。すでに洋上風力のコストが下がっている海外でのFIP入札では、PPA
事業計画を構築しておき、FIP入札ではゼロ価格の札を入れ、FIPを利用しない(F
IPによるプレミアムを受け取らない)ような落札事例もあった。そこで、今回の
公募指針では、こうしたケースも想定し,
「ゼロプレミアム水準」を 3円/kWh
した。3海域のうち、2海域でそれが適用されたことは、国内洋上風力のコストも
大幅に低下してきた一方、電力料金の高騰を経験し、再エネのコスト競争力が高
まっていることを示している。  

「長崎県西海市江島沖」が 22.18円/kWhでの落札となったのは、同海域だけは海
底地盤の構造上、コストの上がるジャケット式基礎になることがわかっていたた
め、建設コストを下げにくく、20円/kWh以下のPPAスキームの可能なLCOE水準に
達しなかったとも考えられる。  

今回の結果を見ると、国内でも海域の条件によっては洋上風力プロジェクトが事
実上、再エネ賦課金という国民負担のない形で事業化できることが明らかになっ
た。今後、洋上風力によって再エネ賦課金がかなり増えるとの見方が多かっただ
けに、国民負担を増やさずにもう一段の再エネ拡大を可能にするうえで、大きな
一歩になりそうだ。また、落札した企業が相対的に事業実現性でも評価されたの
は、すでに洋上風力の知見を積みつつあることがアピールポイントになった可能
性もある。「男鹿市、潟上市及び秋田市沖」を落札したコンソーシアムを構成す
る企業のうち、電源開発は北九州市響灘沖で、JERAは石狩湾新港で、港湾内の洋
上風力事業者に出資し、一般海域でのプロジェクトに先駆け、洋上風車の建設・
運営を経験できる立場にある。また、「新潟県村上市及び胎内市沖」では、欧州
で洋上風力の経験が豊富なRWE Offshore Wind Japanが参加している。「長崎県西
海市江島沖」を落札した住友商事は、海外の洋上風力に出資参画している。  

とはいえ、台風や雷の多い国内で実際に長期運用した経験がなく、しかも FIT
比べて売電収入が確定しにくいFIPやPPAスキームでプロジェクトファイナンスを
組成するのは容易でないと思われる。落札した事業者は、今後、プロジェクトフ
ァイナンスに取り組むと思われるが、場合によっては出資者によるスポンサーサ
ポート契約やリザーブ(積立金)の設定が求められることも考えられる。

今回落札したコンソーシアムが資金力のある大手企業によって構成されているこ
とはファイナンスに有利になる
前回の入札では三菱商事系を中心としたコンソ
ーシアムが低価格によって3海域を総取りしたことで、準備の先行しているベン
チャー系企業が押し出される形になった面があった。それを受け入札制度の一部
が変更されたが、今回の結果を見る限り、洋上風力で経験を積み、PPAで求めら
れる信用力のある大手商社や大手電力会社の優位が続くと考えられている。
------------------------------------------------------------------------

12月21日、電子情報技術産業協会(JEITA)は,電子情報産業の世界生産見通し
 を発表。
2024年の日系企業の世界生産額は,デジタル化投資の加速により,サービスの伸
長,電子部品・電子デバイスの生産も回復すると見込んでおり,前年比5%の41兆
5,638億円の見通しだという。国内生産額は,6%増の11兆5,119億円の見通。
via.メガソーラービジネス  

  
  

Anytime Anywhere ¥1/kWh era
新成長経済理論考 ㉔



図1 (a) ペロブスカイト太陽電池の模式図。(b,c) 添加材(b)ありと(c)なしの
場合のペロブスカイト太陽電池の出力特性。(d) 電力変換効率(PCE)の劣化特
性。

ペロブスカイト太陽電池を長寿/高性能化 
12月26日、岡山大学らの共同研究グル-プは、次世代太陽電池として期待されて
いるペロブスカイト太陽電池の性能と安定性を向上する添加剤分子として“ベン
ゾフェノン”を発見。今回の研究成果は、2023年9月12日に米国化学会(American
Chemical Society)発行の学術雑誌「ACS applied materials & interfaces」に掲載。
ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン太陽電池に比べて、作製工程が容易
で、フィルム状の柔軟な太陽用電池が作製でき、発電効率が同程度であることか
ら、安価で様々な場所に活用できる太陽電池として期待されているが、ペロブス
カイト材料の環境安定性が低いことが大きな課題。今回の研究では、ベンゾフェ
ノンという分子を添加剤として用いることで、ペロブスカイト太陽電池の性能と
安定性を向上することに成功した。高性能・高安定性のペロブスカイト太陽電池
は、今後エネルギーハーベスティングやInternet of Everything(IoE)の発展に大き
く寄与する。
【要点】
1.ペロブスカイト太陽電池の性能と耐環境性を向上する添加剤“ベンゾフェノ
 ン(BP)”を発見
2.BPを添加したペロブスカイト太陽電池において、室温・湿度30%の環境で700
 時間経過後も90%の性能を保持する高い安定性を実現。対照的に、BPを添加し
 なかった場合、電力変換効率(PCE)は急速な劣化を示し、同じ条件下で300時
 間以内に初期値の30%しか維持できなかった。
図2. (a,b) 添加材(a)ありと(b)なしの場合のペロブスカイト薄膜表面のSEM像。
(c) α相およびδ相のFAPbI3の結晶構造の模式図。(d) 添加剤BPがペロブスカイ
ト結晶に及ぼす影響の模式図。
【概要】
研究では,低分子添加剤であるBPが,ペロブスカイト太陽電池の性能と安定性
に及ぼす影響を調べた。具体的には,FAPbI3のペロブスカイト前駆体溶液にBPを
導入し,ITO/PEDOT:PSS/BP:FAPbI3/PC60BM/BCP/Agの積層構造を持つ太陽電池を
作製。 2mg/mLの最適濃度でBPを添加することで,太陽電池の出力特性(電流∸電
圧特性)に現れるヒステリシスを抑制するとともに,太陽電池のPCEをBP添加無
しの13.12%から18.84%へと大幅に向上。 特筆すべきことに,BPベースの太陽電
池は,相対湿度30%の大気中,25℃で700時間保存した後も,初期PCEの90%程度を
維持。
対照的に,BPを添加しなかった場合,PCEは急速な劣化を示し,同じ条件下で300
時間以内に初期値の30%しか維持できなかった。
次に,BPの添加がペロブスカイト
薄膜の表面形状と結晶性にどのような影響を与えるかを調べ,BPを添加しなかっ
た場合は,太陽電池の性能を阻害する多数の結晶粒界(GB)を観測。一方で2mg/mL
のBPを添加した場合は,結晶が大きくGBの少ない,より滑らかで緻密なペロブス
カイト薄膜が得られた。この膜質の向上により,太陽電池の性能と環境安定性が
向上すると考えられ、これは,ペロブスカイト膜の粒界不動態化に起因と考えら
れる。X線回折による構造解析から,BPの添加によって光に対して不安定な δ相
から,安定な α相FAPbI3への構造変化が促進されたことが明らかになった。こ
のメカニズムとして,酸素ドナーであるルイス塩基を有するBP分子と,FAPbI3中
のPb2+および FA+の分子間相互作用により,励起キャリアのトラップによる再結
合が効果的に抑制され,性能と安定性が向上したと考えられる。 研究グループ
は,これらの結果から,BP分子はペロブスカイト太陽電池の性能と環境安定性を
上させる有望な添加剤であることが示された。

【脚注】
1.ベンゾフェノン(benzophenone)は、有機化合物であり、代表的な芳香族ケ
 トンの1つである。紫外線を吸収する性質がある。
2.論文情報
論 文 名:Benzophenone: A Small Molecule Additive for Enhanced Performance and
Stability of Inverted Perovskite Solar Cells

掲 載 紙:ACS Applied Materials and Interfaces
著  者:Hytham Elbohy, Hiroo Suzuki, Takeshi Nishikawa, Thiri Htun, Kosei Tsutsumi,
  Chiyu Nakano, Aung Ko Ko Kyaw, and Yasuhiko Hayashi

D O I : 10.1021/acsami.3c09835
U R L : https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.3c09835[New window
]









夜の寸評: リスク・インパクト・リサーチ
                混沌だからこそ、リスク・インパクトの計測が必須。


 

 

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新成長経済理論考 ㉓

2023年12月25日 | 環境リスク本位制




彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。 


「燦ぱれす」が、世界に誇れる「図書館」に生まれ変わる


  ニコラエ堂この夜揺りかえへり鳴る鐘の大きあり小さきあり大きあり 
                             北原白秋               
           
         老いを知るテレビだけだわクリスマス
                           


食道胃腸が銚子悪い上、降雪対策に夜中2時に凍結防止剤(エンカル)撒き、賀
状作成が加わり、最新情報考察などなどで、鬱状態で落ち込む(これは初めての
経験)と散々な上で売薬の購入費は鰻登。クリスマス・イブはプチケーキでクリ
スマス(降誕祭)だけで、テレビの「M1」を流れ鑑賞とその光景を俳句を詠む。           

【今日の言葉】
  神の愛われらに顯れたり。神はその生み給へる獨子を世に遣し、我等をして
  彼によりて生命を得しめ給ふに因る       
                        ヨハネ第1書4章9節

  
  

MagSafe対応 アウトカメラ用 自撮りワイドミラー
自撮にうってつけの商品が商品が販売されていることを知る。

これをみたわけではなく、『自撮専用ドローン』があったら、アウトドアー派の
必需品として大きな事業になると調査に今朝思い立つ。ところが、これも既に販
売売されている。「デジタル革命渦」と感心する。



もともと、企画・開発畑なので(いや、生産技術、環境技術、数理工学、プラン
ト建設、気象学などオールラウンド・プレーヤでもあったが、「特許や科学」で
の新規な成果は、発想した時には世界では同じことを考えているのは三人はいる
というのが持論。まして、ラインの最前線にいれは、特許やノーベル賞の受賞な
どはは埒外(J.P.サルトルではないが「現場」の問題解決が最優先、特許・論文
による受賞はレス・ダン・セカンド・プライオリティ)。というわけで、ここで
は特許検索は取りやめた)。


Anytime Anywhere ¥1/kWh era
新成長経済理論考 ㉓

これまで、全固体型リチウム電池の負極・正極の高付加価値技術の特許調査を行
ってきた。今回は長寿命化・大容量化技術を考察。

開2023-114248 固体イオン伝導体、固体電解質、正極電極材料およびナトリ
ムイオン固体二次電池
【概要】
現在主流の二次電池としては、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池
が挙げられる。前者は、比較的希少なリチウムを主材料として用いており、需要
がさらに拡大したときの原料供給の問題が懸念され、またコストの問題も指摘さ
れている。後者は、充電エネルギー密度が比較的少なく、メモリ効果があり、繰
り返し使用回数も少ないという問題がある。 このような状況から、資源が豊富
で原料供給の問題が少なく、低コスト化が見込めて、さらにリチウムイオン二次
電池の技術的知見を反映させることができる二次電池として、ナトリウムイオン
二次電池が次世代の電池として脚光を浴びている。取り扱いや液漏れの懸念およ
びその対策などの問題を回避できる固体電解質を用いることが嘱望されている。
ナトリウムイオン二次電池の固体電解質としては、高いイオン伝導率、優れた充
放電特性および熱に対する高い安定性が求められている。

下図1のごとく、組成式がNa5-2xAl1-x、Na5-2xAl1-x
およびNa5-2xIn1-xSb、0.375≦x≦0.625)か
らなる群より選ばれる少なくとも1種類以上からなる化合物結晶を含む。イオン
伝導率、充放電安定性および熱力学安定性に優れる固体電解質用リチウム化合物
を提供することである。


図1 第1の化合物の構造を示す構造図
【符号の説明】
1:集電極(負電極) 2:負極活物質層 3:固体電解質 4:正極活物質層
5:集電極(正電極) 11:Na 12:Al(Mサイト) 13:V(Mサイ
ト) 14:S 21:Na 22:Al(Mサイト) 23:Ta(Mサイト)
24:S 31:Na 32:In(Mサイト) 33:Sb(Mサイト) 34:
S 101:ナトリウムイオン二次電池

【発明の効果】
イオン伝導率が高く、熱力学安定性に優れる二次電池用固体電解質に好適な固体
イオン伝導体化合物が提供される。 また、その化合物を用いて、イオン伝導率、
充電安定性に優れたナトリウムイオン二次電池用固体電解質およびナトリウムイ
オン固体二次電池が提供されるハイブリッドおよび電気自動車、高機能住宅、ス
マートフォンなどの携帯端末などスマート社会では大電流対応でかつ取り扱いの
容易な二次電池が強く求められているので、本発明は、パーソナル用途を含めた
産業や社会の発展に寄与するものと考える。
※次回は二次電池以外の「再エネ」「脱カーボン」「メタネーション」」の最前
線科学工学技術を考察する。

低炭素水素の世界生産量,2040年1億4,800万トン
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、水素製造技術および関
連部材の世界市場を調査し、主要国・地域の水素関連政策、ならびに参入企業・
研究機関の開発動向を明らかにした。ここでは、低炭素水素の世界生産量予測の
要点をまとめる。


日本では、2023年6月に水素基本戦略が改訂(改訂水素基本戦略)。改訂水素基本
戦略は、2050年を見据えた「製造」「輸送・貯蔵」「利用」の各領域の革新的な
研究開発に当たり、大学・国立研究開発法人等から企業等への研究成果の橋渡し
や、社会実装に向けて関係府省庁が一体となって取り組む。
「製造」の領域においては、
①高効率・高耐久・低コストな水電解技術、
②高温ガス炉等の高温熱源やメタンの熱分解、
③光触媒などを活用した水素製造技術、
という3つの技術を掲げる。
※、日本では、水素供給コストを2050年に20円/Nm3 (ノルマルリューベ)程度以
下、水素導入量を2050年に2,000万t/年程度とすることが目標に掲げられている。
改訂水素基本戦略においては、2030年までに国内外における日本関連企業(部素
材メーカーを含む)の水電解装置の導入目標を15GW程度と設定し、水素製造技術
の基盤確立を図ることとした。その実現に向けては、水電解装置及び部素材の製
造能力増強についても、政府による支援を検討していくことが示された。水素・
アンモニアの大規模なサプライチェーン構築に向けた官民による投資金額は、15
年で15兆円を越える。日本は電力コストが高いためこれへの政策パワーの注力の
是非が問題と展望されているが、わたし(たち)は実現できると確信している。



「生物多様性」とは何か?
つまり、動物、植物、微生物などすべての生物の間に多様性があり、バランスを
保たれていると言う。近年、その保全に関する取り組みやルールメイキングが活
発化。なぜ、企業が生物多様性保全に取り組むのか考える。気候変動に次ぐ世界
的なトレンド。2022年12月の国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、
「生物多様性」の損失を食い止め、回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」
の考え方を盛り込んだ「昆明・モントリオール生物多様性条約」が採択。 2030年
までに世界の陸と海のそれぞれ30%以上を保全地域にする「30by30」などの行動
目標が定められている。
2023年9月には動植物や森林、土壌、水など自然資本に関する事業リスクや機会の
情報開示枠組みである「TNFD(自然関連財務情報タスクフオース)の第一版
も発表された。日本国内では、2023年3月に「生物多楡既国家戦略」を11年ぶりに
改定し、政策に盛り込んでいる。環境省の「脱炭素先行地域」の第4回の募集では
生物多諭旨保全の取り組みに関する項目を新設。企業も生物多様性保全ヘの姿勢
や取り組みを次々と表明するなど、国内外で動きが活発化しているという。

図 世界経済の自然への依存規模
(出典:アクセンチュア「生物多様性ビジネスー危機的現状とビジネスの可能性-」)

44兆ドルが自然資本に依存
世界経済フォーラム(WEF)が2020年1月に発表した「Nature Risk Rising」当する44兆
ドル(約4700兆円)の経済価値は、自然に中~高程度依存しており、農林水産業
などの第一次産業だけでなく、第二・第三次産業など、産業全体が自然の恩恵を
受ける一方で現在、生物多諭旨は非常に脅かされており、WEFの「グローバル
リスク報告書」の 2023年版では、今後10年間の深刻なグローバルリスクの4位に
「生物多様性の喪失や生態系の崩壊」がランクイン。国内では、勣植物の30%が絶
滅の危機に瀕る。
※参考:交換レートは当時(108.6円/$)➲現在(142.2円/$)では、6,248兆円
となる。

生物多様性損失でビジネスは立ち行かなくなる
「生物多様性」に取り組まなければ今後、企業として生き残っていくことは厳し
くなるという。その根拠は、気候変動と同様に、取り組まないことがリスクに直
結する。それは(1)「44兆ドルが自然資本から生み出されているから」という
だけでなく、(2)消費者の意識や需要、規制、ビジネスの在り方までが今後大
きく変わるため、それについていくことができないと収益を上げることは難しく
直接関係する第一次産業だけでなく、すべての企業に連携する。要注意は、多く
の専門家が口をそろえ、社会貢献や規制対応などのリスクヘッジではなく、「
物多様性という文脈の中でどうピジネスをして、価値を生み出していくか
」であり
具体的な取り組みはまだスタートしたばかりなので、先行事例に対し、アンテナを
張って置いていかれないことが重要と指摘する。

表1.自然・生物多様性の損失をもたらす5つの要因

・WEFrNature Risk Risin9: Why the Crisis Engulfing Nature Matters for Business and the
 Economy」を
基に作成
・via 環境ビジネス 2024.win 
-


自然関連リスクに対するリスク管理アプローチの開発
TCFD フレームワークは、リスク開示を超えて、気候リスクと機会を効果的なリス
ク管理、企業戦略、監視に組み込むための構造を提供するように設計された。 自
然関連のリスクと機会は、同じコアとなる TCFD 要素に基づいて管理できる。ガ
バナンスと戦略: 自然の資産やサービスに大きく関与している企業は、事業全体
にわたる自然の損失から生じるリスクを特定し、管理するための明確なガバナン
ス構造を確実に整備したいと考えている。これには、事業部門から経営陣 (およ
び取締役会) へ上向きのコミュニケーションを行うプロセスの定義と、これを行
う必要がある頻度の指定が含まれる。企業はまた、短期、中期、長期にわたる自
然ベースのリスクの影響と予想される進化を理解し、この理解を積極的に活用し
て事業計画や戦略を伝える必要がある。
WEFrNature Risk Risin9: 自然を巻き込んだ危機がビジネスと経済社会にとって
 なぜ重要なのか World Economic Forum

表2.生物多様性損失によるビジネスリスク

The TNFD Nature-related Risk &Opportunity Management and Disclosure Framework
Beta v0.1
およびアクセンチュア「生物多様性ビジネスー危機的現状とビジネスの
可能性-」を基に作成
---------------------------------------


【ウイルス解体新書 178
第4章 ポスト新型コロナウイルス感染症対策
第1節 新薬開発と後遺症対策
1-3 
コロナ感染、心不全のリスク高まる可能性
SARS-CoV-2の持続感染は心不全リスクを高める可能性
12月23日,理化学研究所などの研究チームは、新型コロナウイルスに感染後、目

立った心疾患を発症しなくても心臓が持続的にウイルスに感染し、心不全のリス
クが高まる可能性があるとの研究成果を発表した。近い将来、心不全の患者が急
増する可能性を指摘し、対策の必要性を訴えている。

【概要】 理化学研究所(理研)生命機能科学研究センタ、京都大学らの共同研究
 チームは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の持続的な感染が心不全のリスク
を高める可能性があることを、ヒトiPS細胞を用いた実験で明らかにし。 本研究
成果は、これまでほとんど報告のないヒト心臓組織に対するSARS-CoV-2の持続感
染の影響を示したものであり、「ポストコロナ」においてパンデミック[3]が危惧
される心不全(SARS-CoV-2心筋症)の発症・進行メカニズムの解明や、治療法の
開発に貢献する。


図.心不全パンデミックを実験的に検証する生体模倣モデル「SARS-CoV-2持続
  感染モデル」



図1 心臓マイクロ組織(CMT)の全体像および血管網様構造の免疫染色図
CMTの全体像(左)および血管内皮細胞マーカー(緑色:CD31)と心筋細胞マーカ
ー(赤色:cTnT)に対する抗体を用いた免疫蛍光染色像(右)。青色は細胞核。
CMTでは、実際の心臓のような血管網様構造が再現されている。スケールバーは左
が1cm、右は200μm。

COVID-19の症状には、無症状から重症まで広い幅があり、CMTにSARS-CoV-2をさま
ざまな力価[9]で感染させて影響を調べ、感染後7日目までに全ての例で心機能(組
織の収縮力)の低下が見られた。その後、低力価群では4週間後に心機能が回復傾
向を示したが、高力価群では回復することなく収縮力は低下したまま(図2)。
この高力価での感染モデルは、COVID-19の臨床症状の一つである重篤な急性心疾患
を反映している可能性がある一方、低力価での感染がCMTに与える影響を詳しく調
べたところ、心筋細胞にSARS-CoV-2由来のスパイクタンパク質](Sタンパク質)
の局在が認められましたが、心筋細胞のアポトーシス]はSARS-CoV-2に感染してい
ない組織と同レベルであり、心筋細胞の構造も維持されていたが、組織外に放出
されたSARS-CoV-2の力価を測定すると、4週間後も感染直後のウイルス力価と同等
の力価を示したことから、CMTに持続感染しているSARS-CoV-2は増殖能を保持してい
ることが示唆された。これらの結果は、SARS-CoV-2は軽度の感染であれば、機能
障害を引き起こすことなく心筋組織に持続感染できることを示す。すなわち、SARS
-CoV-2感染が持続しながらも心不全を発症せず、表面的には心機能が維持されて
いる患者群が存在している可能性がある。

【成果】本研究成果は、これまでほとんど報告のないヒト心臓組織に対するSARS
-CoV-2の持続感染の影響を示したものであり、「ポストコロナ」においてパンデ
ミックが危惧される心不全(SARS-CoV-2心筋症)の発症・進行メカニズムの解明
や、治療法の開発に貢献できる。

新型コロナウイルス感染症の重篤化には、免疫系の異常であるサイトカインスト
が関与していると考えられるが、今回のSARS-CoV-2持続感染モデルでは、低
酸素ストレスによってもサイトカインストームを引き起こすサイトカインの上昇
は観察されなかったため、SARS-CoV-2心筋症はサイトカインストームとは独立に
生じている可能性がある。
一方で本モデルではサイトカインに反応する免疫細胞そのものは含まれないため、
心臓以外の他臓器が関与する感染メカニズムが十分に再現できていない課題が残
されていない。現在、オルガノイド研究分野では複数の臓器間相互作用まで考慮し
たモデル臓器の開発が進んでおり、将来的にこれらの研究成果を今回の持続感染
モデルに反映させることで、実際のヒト体内で起こっている現象をより忠実に再
現できるようになる。


図2 SARS-COV-2感染後心機能の経時変化 CMTにSARS-COV-2を異なる力価で感染さ
せた後、動画解析ツール(MUSCLEMOTION)により算出された1分間当たりの脈動
指数の平均値で心機能の経時変化を比較した。非感染群は青(n=4)、低力価SARS-C
OV-2感染はオレンジ(n=5)、中力価SARS-COV-2感染は緑(n=3)、高力価SARS-
COV-2感染は破線(n=3)で示した。28日後の比較では、低力価感染群と非感染群
の心機能に統計的な差はないと推定できる。なお、非感染群で見られた脈動指数
の低下は、対照実験においても感染実験と同等の操作(SARS-COV-2を含まない試
薬の添加など)を行った影響によるものと考えられる。

図3 低酸素ストレス処理前後の心機能の変化
持続感染モデルおよび非感染のCMTを、18時間低酸素処理もしくは対照処理(通常
酸素濃度)し、それに続く48時間にわたって再灌流処理を行ったときの心機能の
経時的変化。心機能は動画解析ツール(MUSCLEMOTION)により算出された1分間当
たりの脈動指数の平均値で比較した。非感染群は青、低力価SARS-COV-2感染はオ
レンジ、低酸素ストレスありは実線、低酸素ストレスなしは破線で示した。(各n
=6)。非感染群は低酸素ストレスを受けると拍動数が上昇し収縮機能の回復が見
られたが、持続感染モデルは低酸素ストレス後の心機能回復を示さなかった。


低力価で感染したCMTを「SARS-CoV-2持続感染モデル」と見なし、「持続感染の確
立した患者は心不全の限界リスクにあり、追加の心臓ストレスによって日和見的
に心機能障害、最終的には心不全を発症する可能性がある」という仮説を実験的
に検証した。追加の心臓ストレスの例としては、臨床的には虚血などにより心臓
が一時的な低酸素状態にさらされることが考えられます。虚血性心疾患を模倣した
低酸素ストレスに正常なCMTをさらすと、一定期間後に拍動数が上昇し収縮機能の
回復が見られるが、持続感染モデルでは、拍動数の上昇および収縮機能の回復は
認められなかった(図3)。また、低酸素ストレスによって心筋細胞におけるACE2
の発現およびSARS-CoV-2スパイクタンパク質と心筋細胞の共局在が促進していた
ことから、細胞内においてSARS-CoV-2の再活性化が起こっていることが示唆され
た。
さらに特筆すべきは、非感染CMTでは低酸素ストレス後でも血管網様構造が維持さ
れているのに対し、持続感染モデルでは低酸素ストレス後に血管網様構造が全体
的に分断されていた(図4)。低酸素ストレス後に再活性化したSARS-COV-2は近隣
の内皮細胞へ感染を広げ、血管網様構造の維持を困難にした可能性が考えられる。
これらの結果は、SARS-CoV-2の持続感染下にある心臓組織が追加の低酸素ストレ
スを受けた場合、SARS-CoV-2の細胞内再活性化が起こり、心機能低下および血管
網の損傷を招く可能性があることを示す。


図4 低酸素ストレス処理前後での血管網様構造の様子
持続感染モデルおよび非感染のCMTを、18時間低酸素処理し、続いて48時間再灌流
処理を行ったときの血管網様構造を示す蛍光免疫染色像。血管内皮細胞マーカー(
緑色:CD31)で示される血管網様構造が、低酸素ストレス後の持続感染モデルで
は消失していることが分かる(右下)。細胞核(青色:DAPI)。スケールバーは5
00μm。
【掲載論文】
・Kozue Murata, Akiko Makino, Keizo Tomonaga*, Hidetoshi Masumoto*(*責任著者),
・"Predicted risk of heart failure pandemic due to persistent SARS-CoV-2 infection using a
three-dimensional cardiac model",
・iScience,
・10.1016/j.isci.2023.108641

                                  以上
1-4 中国で流行の〝歩く肺  年末年始控え国内でも警戒



中国などで流行する呼吸器感染症「マイコプラズマ肺炎」への警戒が高まってい
る。比較的軽症で済む人が多く〝歩く肺炎〟とも呼ばれるが、しつこい咳が特徴
で、重症化することも。中国では薬が効きにくい「薬剤耐性」の問題が指摘され
ており、国内でも抗生剤不足が影を落とす。人の往来が活発化する年末年始を控え
医療現場からは不安の声が挙がっている。(2023.12.23 産経新聞)

マイコプラズマ肺炎は主に飛沫(ひまつ)や接触で広がるとされ、発熱、咳、倦
怠(けんたい)感など風邪に似た症状を引き起こす。国内では患者の約8割が
14歳以下とされるが、大人の感染報告もある。
近年は全国的流行は起きていない。 こうした中、中国では今冬、北部を中心に
インフルエンザやマイコプラズマ肺炎などが複合的に流行し、小児科に患者が殺
到。韓国などでもマイコプラズマ肺炎の感染拡大が伝えられる。 新型コロナウイ
ルス禍の感染防止対策により季節性の病原体から遠ざかってきたことで、多くの
人は抵抗力が下がった状態にあると指摘(小児科医の高橋謙造帝京大大学院教授)・
こうした〝免疫負債〟を抱えた国内に病原菌が持ち込まれれば「感染拡大につな
がる恐れがある)。

徴候:マイコプラズマ肺炎は感染しても比較的軽い症状で済み、その人が持つ免
疫力で自然治癒することも多い。そのため、感染に気づかず出歩き、周囲にうつ
してしまう恐れがある。患者による菌の排出期間は1カ月~1カ月半ほどと長い
という。やっかいなのは、この病原菌が気道の粘膜上皮を痛める性質を持つこと
だといい、発熱などの症状が治まっても咳が続く患者が目立つ。人によっては激
しい咳に変わり、ぜんそくのような「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」といった異常
な呼吸音を伴うまでに悪化してしまうこともある。肺機能の低下に見舞われた患
者の報告もある。

ワクチンはなく、治療にはマクロライド系抗生剤などが使われるが、気になる情
報もある。 国立感染症研究所によると、中国はマクロライド系抗生剤への耐性率
が高いことで知られる。今年報告されているマイコプラズマ肺炎の原因となる細
菌も遺伝子変異により、一定の「薬剤耐性」を持つ可能性が指摘されているとい
う。 中国では以前から抗生剤の過剰使用が懸念されており、マイコプラズマ肺炎
で入院が必要な子供が増えている背景には、抗生剤が効きにくいという深刻な問
題が潜んでいる恐れもある一方で、日本では、医薬品の供給不足が深「マクロラ
イド系抗生剤は入手が難しい状況。今まさに患者が増えている溶連菌感染症に用
いるペニシリン系の抗生剤なども手に入りにくい」と高橋氏。別の種類の薬を処
方して様子をみるしかないが、完全には治りにくく、症状がぶり返すケースもあ
るなど、対応に苦慮する。今のままでは、マイコプラズマ肺炎の患者が治療を希
望しても、『適切な薬を出せない』といったことが起こりかねない。手洗いや咳
症状がある人はマスクをするなど、基本的な感染対策を心がけてほしい」と呼び
かけている。





水曜日のカンパネラ 2023.10.18  
ケンモチヒデフミ - 作曲・編曲 詩羽(うたは) 主演・歌唱 
Dir.F(ディレクター・エフ) : マネージャー兼ディレクター


※日本の音楽ユニット。2012年結成、YouTubeでデビュー。略称は「水カン」。
2021年9月に初代ボーカルのコムアイが脱退し、2代目ボーカルの詩羽が加入。

 今夜の寸評: 「ラスト・ディケイドを 全力疾走 !」を新年の挨拶として
         本日、年賀状を投函。

 

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ラスト・ディケイド 全力疾走 ! ②

2023年12月22日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。




100円均一ショップにもさまざまな「蒸し器」

 

【今日の鍋料理;温野菜のチーズ蒸し鍋】
<寒暖差アレルギー>の症状か体調が不良で、胃もたれ・便秘・鼻づまり。そこで、
モーニングに「ホットミルク・コーヒ」「オリーブオイル」「ホット・ウイスキ
ー」「睡眠誘因剤」「パブロン」を服用したりし様子を看る。そこで、電子レン
ジを使い温野菜鍋の準備。蒸し器は「百均ショップ」購入予定。

材料(1人分):ブロッコリー‥‥80g/にんじん‥‥小1/2本/玉ねぎ‥‥小1/2
個/さやいんげん‥‥3本/カマンベールチーズ‥‥1/2個/ソーセージ‥‥2本/
ゆで卵‥‥1/2個/出汁・調味料➲白ワイン‥‥大さじ3/白だレ…大さじ1/2
/水‥‥1/4カップ/オリーブオイル‥‥大さじ1/2/
作り方:①にんじんはlcm帽の拍子木切り、玉ねぎはlcm幅のくし形切りに、その
他の野菜は食べやすい大きさに切る。②鍋にゆで卵以外の具材を入れて火にかけ、
出汁・調味料を回し入れる。煮立ったら弱火にし、ふたをして8分ほど蒸し煮に
する。


※昨日購入済。電子上皿天秤での重量測定しておいて加熱エネルギー量を収集は必要。


  
  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era
新成長経済理論考 ㉒
これまで、全固体型リチウム電池の負極・正極の高付加価値技術の特許調査を行
ってきた。今回は長寿命化・大容量化技術を考察。

【関連特許事例】
1.特開2023-150498 全固体電池
【概要】
リチウムイオン電池の適用機器のさらなる発達に伴って、リチウムイオン電池の
さらなる長寿命化・高容量化・高エネルギー密度化が求められていると共に、長
寿命化・高容量化・高エネルギー密度化したリチウムイオン電池の信頼性も高く
求められている。 以上のような状況において、有機溶媒を用いない全固体型のリ
チウム電池(全固体電池)が注目されている。全固体電池は、従来の有機溶媒系
電解質に代えて、有機溶媒を用いない固体電解質の成形体を用いるものであり、
固体電解質の異常発熱の虞がなく、高い安全性を備えている。 また、全固体電
池は、高い安全性だけではなく、高い信頼性および高い耐環境性を有し、かつ長
寿命であるため、社会の発展に寄与すると同時に安心、安全にも貢献し続けるこ
とができるメンテナンスフリーの電池として期待されている。全固体電池の社会
への提供により、国際連合が制定する持続可能な開発目標(SDGs)の17の
目標のうち、目標3(あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福
祉を促進する)、目標7(すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代
的エネルギーへのアクセスを確保する)、目標11〔包摂的で安全かつ強靭(レ
ジリエント)で持続可能な都市および人間居住を実現する〕、および目標12(
持続可能な生産消費形態を確保する)の達成に貢献することができる。 ところ
で、最近では、全固体電池の固体電解質に、イオン伝導性が高いなどの理由から
硫化物系固体電解質が使用されることが多い。ところが、硫化物系固体電解質は
水と反応しやすく、電池内に水分が存在すると、これと反応して硫化水素を発生
させてしまう。全固体電池の内部で硫化水素が発生すると、電池の内圧を高めて
電池特性を低下させたり、電池内外の部材の劣化を引き起こしたりするといった
問題が生じる。 一方、前記のような問題の解決を図る技術の開発も進められてい
る。例えば、特許文献1(特開2008-103283)、2(特開2008-103288)には、硫
化物系固体電解質を含有する全固体電池において、正極と負極との間に固体電解
質を介在させてなる全固体電池素子を外装材で被覆し、この外装材を吸着材およ
び/またはアルカリ性物質で被覆したり、この外装材に吸着材および/またはア
ルカリ性物質を含有させたりして、電池内部で発生する硫化水素を捕捉する技術
が提案されている。 また、3(特開2011-165650)には、硫化物系固体電解質電
池中に塩基性材料を含有させ、これによって電池内で発生し得る硫化水素をHS
-へとアニオン化することで、硫化水素の発生を抑制する技術が提案されている。
図1のごとく、全固体電池は、正極、負極および固体電解質層を有する電極体と
前記電極体を封入する外装体とを有し、前記正極、前記負極および前記固体電解
質層のうちの少なくとも1つは、硫化物系固体電解質を含有し、前記電極体と前
記外装体の内面との間に空隙部分を有し、前記空隙部分に硫化水素吸着剤が配置
されていることを特徴とする硫化物系固体電解質を含有し、内部で発生する硫化
水素による特性低下を抑制し得る全固体電池を提供する。

図1.本発明の電池の一例を模式的に表す断面図
【符号の説明】 1 全固体電池 2 電極積層体 21 正極 22 負極 23 固体
電解質層 3 外装缶 4 封口缶 5 ガスケット 6 硫化水素吸着剤

2.特開2023-82742 正極材料の製造方法
【概要】
モータ駆動用二次電池としては、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用
リチウム二次電池と比較して極めて高い出力特性、および高いエネルギーを有す
ることが求められている。したがって、現実的な全ての電池の中で最も高い理論
エネルギーを有するリチウム二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進
められている。 ここで、現在一般に普及しているリチウム二次電池は、電解質に
可燃性の有機電解液を用いている。このような液系リチウム二次電池では、液漏
れ、短絡、過充電などに対する安全対策が他の電池よりも厳しく求められる。電
解質に酸化物系や硫化物系の固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池に関す
る研究開発が盛んに行われている。固体電解質は、固体中でイオン伝導が可能な
イオン伝導体を主体として構成される材料である。このため、全固体リチウム二
次電池においては、従来の液系リチウム二次電池のように可燃性の有機電解液に
起因する各種問題が原理的に発生しない。また一般に、高電位・大容量の正極材
料、大容量の負極材料を用いると電池の出力密度およびエネルギー密度の大幅な
向上が図れる。例えば、硫黄単体(S8)は、1670mAh/g程度と極めて
大きい理論容量を有し、低コストで資源が豊富であるという利点を備えている
硫黄を含む正極活物質を含有する液体を、多孔質カーボン粒子に含浸させて複合
材を得る工程と、リン含有硫化物固体電解質溶液を、前記複合材に含浸させる工
程とを含む、正極材料の製造方法で、硫黄を含む正極活物質を用いた二次電池に
おいて、当該二次電池の内部抵抗をよりいっそう低減させうる手段を提供する。

図1.特許文献(特開2015-88232)の正極材料100’の断面模式図

図2、本発明の一実施形態に係る製造方法により得られた正極材料の断面模式図
【符号の説明】 
10a 積層型電池、 11’ 負極集電体、 11” 正極集電体、 13 負 極活
物質層、15 正極活物質層、 17 固体電解質層、 19 単電池層、 21 発電
要素、 25 負極集電板、27 正極集電板、29 ラミネートフィルム、100、
100’ 正極材料、 110 多孔質カーボン粒子、 110a 細孔、120 正
極活物質、 130 硫化物固体電解質。

3.特開2023-109264 正極材料およびこれを用いた二次電池
【概要】
電解質に酸化物系や硫化物系の固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池に関
する研究開発が盛んに行われている。固体電解質は、固体中でイオン伝導が可能
なイオン伝導体を主体として構成される材料である。このため、全固体リチウム
二次電池においては、従来の液系リチウム二次電池のように可燃性の有機電解液に
起因する各種問題が原理的に発生しない。また一般に、高電位・大容量の正極材
料、大容量の負極材料を用いると電池の出力密度およびエネルギー密度の大幅な
向上が図れる。例えば、硫黄単体(S8)は、1670mAh/g程度と極めて
大きい理論容量を有し、低コストで資源が豊富であるという利点を備えている。
一方で、固体同士である硫黄と固体電解質との接触を保つことが難しく、硫黄正
極活物質の高容量であるという特性を十分に活かすことはできていないのが現状
である。ここで、特許文献1には、三次元ハニカム構造および特定の細孔径を有
するカーボンレプリカと、細孔内に内包された硫黄および固体電解質とを含み、
硫黄および固体電解質を内包した状態での細孔の容積が0.5~2.5cm3/g
である、正極材料が開示されている。特許文献(特開2020-161288)によると、こ
のような構成の正極材料をリチウム硫黄固体電池に適用することで、サイクルを
重ねるに従って、硫黄と固体電解質との接触面積が減少することを抑制し、容量
維持率が低下することを抑制できるとしている。しかしながら、本発明者らが検
討したところ、特許文献1に記載の正極材料を用いても、依然として充分な充放
電容量が得られないことが判明した。硫黄元素およびリン元素を含む化合物と、
導電材とを含む。当該正極材料は、532nmの波長のレーザーを用いた顕微ラ
マン分光測定のラマンスペクトルにおける、385~430cm-1の範囲のピ
ークAおよび470~475cm-1の範囲のピークBの強度の比(A/B)と
、X線光電子分光スペクトルにおける、161~162eVの範囲のピークαお
よび163~164eVの範囲ピークβとの強度の比(α/β)とが、(A/B
)<0.1(α/β)の関係を満たす、正極材料が提供される、硫黄を含む正極
活物質を用いた二次電池において、充放電容量を向上させうる手段を提供する。

【発明を実施するための形態】(省略)
【特許請求の範囲】
【請求項1】 硫黄元素およびリン元素を含む化合物と、導電材と、を含み、 5
32nmの波長のレーザーを用いた顕微ラマン分光測定のラマンスペクトルにお
ける、385~430cm-1の範囲のピークAおよび470~475cm-1
の範囲のピークBの強度の比(A/B)と、X線光電子分光スペクトルにおける
、161~162eVの範囲のピークαおよび163~164eVの範囲ピーク
βとの強度の比(α/β)とが、(A/B)<0.1(α/β)の関係を満たす、
正極材料。
【請求項2】 前記導電材が、導電性多孔体であり、 前記化合物の少なくとも一
部が、前記導電性多孔体の細孔内に配置される、請求項1に記載の正極材料。
【請求項3】 前記導電材が、炭素材料からなる、請求項1または2に記載の正
極材料。
【請求項4】 請求項1~3のいずれか1項に記載の正極材料を含む、二次電池。
【請求項5】 溶媒に、硫黄元素およびリン元素を含む固体電解質と、硫黄とを順
次溶解させる工程と、 得られた溶液に導電材を含浸させた後、溶媒を除去する工
程と を含む、正極材料の製造方法。
【請求項6】 前記溶媒が、アルコール類である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】 前記溶媒を除去する工程の後に、得られた固形分をミルを用いて撹
拌処理する工程をさらに含む、請求項5または6に記載の製造方法。
                                以上
------------------------------------------------------------------------
歴史の複雑さとは何か Ⅲ
               禍かなパリサイ人よ 陸海をめぐりて汝のゲヘナの子となす
                                                      マタイ伝 23-15


※元来、今日のエルサレム市の城門の外にある、深くて狭い谷底のゴミ捨て場。
そこでは、ごみを処分するために火が燃やされ続け、悪臭を放ち、処刑された罪
人の体や、ふさわしい埋葬をされなかった人体が埋められる場所でもあったゲヘ
ナ (Gehenna)とは、ヒンノムの谷をさす。

「パレスチナ問題考 ⑤」後期19世紀 - 1923:
起源 1920 - 1948:イギリスによるパレスチナの委任統治
「パンとワイン」紛争 パレスチナ分割
1948 - 1967:中東戦争
1967 - 1993:第一次インティファーダ
1993 - 2000:オスロ和平プロセス
2000 - 2005:第二次インティファーダ
2005 - 2008:アッバース時代のはじまり
2008 - 2009:ガザ紛争
2010 - 2017:パレスチナ側の手詰まりと米トランプ政権発足 
2018 - 2021:「繁栄に至る平和」と「アブラハム合意」

2021 -:――東エルサレムのパレスチナ人追放運動とガザ地区への攻撃
10月24日、ベネット政権はヨルダン川西岸・東エルサレムで約1,300棟の入植地
住宅建設の入札を公示し、
10月27日、3,144棟の入植地住宅建設計画を承認した[370]。日本外務省は「強い
遺憾の意」を表明した[371]。
2021年の1年間では、パレスチナ側は280人(うち、子供77人)、イスラエル側は13
人(うち、子供2人)が紛争で殺害された[372]。
2022年5月12日、イスラエル民政局・高等計画委員会はヨルダン川西岸で4,427戸
棟の入植地住宅建設計画を承認した[373]。パレスチナ外務省は「この人種差別
的・植民地的決定は、東エルサレム、マサファー・ヤッタ、ヨルダン渓谷を含む、
占領されているヨルダン川西岸地区を徐々に併合するという構想に由来し、実現
可能で地理的につながったパレスチナ主権国家を設立するという少しの可能性さ
え排除するものだ」と非難声明を出した。日本外務省は「強い遺憾の意」を表明
した[374]。
ベネット政権は反ネタニヤフで発足した連立政権であり、当初から与党内の矛盾
は大きかった。2017年に成立した「ユダヤ・サマリア入植地規制法」は5年間の時
限立法で、失効期限が迫っていたが、野党は倒閣のために敢えて更新に反対した
[375]。クネセトの解散総選挙により有効期限が6ヶ月延長される規定があるため、
6月30日に解散し、延命させた[376][377]。
11月1日、第25回クネセト総選挙の結果、ネタニヤフが首相に返り咲いた。ネタ
ニヤフはヨルダン川西岸やゴラン高原などの入植拡大を打ち出した[378]。
2022年の1年間では、パレスチナ側は214人(うち、子供49人)、イスラエル側は30
人(うち、子供1人)が紛争で殺害された[379]。

2023 -:現在––パレスチナの抵抗作戦
2023年1月9日、クネセトで「ユダヤ・サマリア入植地規制法」更新が可決された
[380]。
1月26日、イスラエル国防軍と治安部隊はヨルダン川西岸地区のジェニン難民キャ
ンプを急襲し、戦闘員ら9人(民間人1人)を殺害した[381]。IDFは「テロ作戦で
テロリスト3人が無力化(殺害)された。他の死傷者は調査中である」と発表し
た[382]。
2月12日、イスラエルは9前哨地(イスラエル国内法でも違法な入植地)を公認し、
既存の入植地を拡大すると発表した[383]。日本外務省は「深刻な懸念」を表明し、
「入植活動を完全凍結するよう強く求め」た[384]。
2月20日、国連安保理は入植拡大に「深い懸念と失望を表明」する声明を可決し
た。アラブ首長国連邦は「パレスチナ占領地におけるあらゆる入植活動の即時か
つ完全な停止」を求める決議案を用意していたが取り下げ、より強制力の弱い文
面に置き換えることで米国は賛成に回った。
イスラエル首相府は、声明は「一方的」であり、「声明は出されるべきではなか
った。米国も参加すべきではなかった」と主張した[385]。
3月21日、クネセトで、2005年の撤退計画を改め、ヨルダン川西岸の4入植地の再
建を、IDFの承認を条件を認める改正案が可決された[386]。米国と欧州連合は相
次いで批判し、パレスチナ大統領府のナビル・アブ・ルデイネ報道官は「全ての
入植地を違法とする国際連合安全保障理事会決議2334(英語版)をはじめとする
国際的正当性を持つ全ての決議に違反する」と非難した[387]。
日本外務省は「入植活動を完全凍結するよう強く求め」る声明を出した[388]。
5月18日、ヨルダン川西岸・ホメシュ(英語版)の入植規制を解く内容のIDF軍律
(命令2137)が布告された[389]。これを受け、サマリア地域評議会(英語版)
(入植者の地域自治体)はかねてよりイスラエル民政局の承認を得た計画に基づ
き[390]、入植地の再建に着手した[391]。
『Arab News』によると入植者達はパレスチナ人の作物を荒らし、IDFはパレスチ
ナ人農民らを拘束したという[392]。
6月18日、イスラエルはヨルダン川西岸で約4560棟(『The Times of Israel』に
よると約5700棟)の入植地住宅建設計画を承認する見通しを明らかにした。
2023年の半年足らずで13,082棟の入植が承認されたが、これは過去最多である
[393][394]。
また、入植承認に従来6段階設けられていた手続を1~2段階に簡素化し、権限が
従来の国防相から、新設の第2国防相(ベザレル・スモトリッチ財務相が兼任)
に移ることも決まった[395][396]。
日本外務省は「深刻な懸念」を表明した[397]。
7月3日から5日にかけ、IDFはヨルダン川西岸地区のジェニン難民キャンプを攻撃
し、「ジェニン大隊」の戦闘員ら12人(うち子ども4人)を殺害した。ドローン
による空襲が行われたが、ヨルダン川西岸地区が空襲を受けたのは20年ぶりだっ
た。また、ジェニン大隊はIDF兵士1人を殺害した[398]。ジェニン大隊はファタ
ハ、ハマース、イスラム聖戦のメンバーがそれぞれ参加しているという[399]。
IDFは、ジェニンが「テロリストの最大の発生源」であり、「人口の25%がテロ組
織であるイスラム聖戦に、20%が同じくハマースに所属している」と主張した。
また、「1000丁以上の武器を押収し、30人を逮捕した」と発表した[400]。
10月6日時点で、OCHAによるとパレスチナ側は237人、イスラエル側は29人が紛争
で殺害されていた[401]。 詳細は「2023年パレスチナ・イスラエル戦争」を参照
10月7日、ハマース・イスラム聖戦側からイスラエルに2000発のミサイルが発射さ
れた[402][403]。イスラエルは報復としてガザ地区を空爆した。
10月9日にはイスラエルとパレスチナ両方で死者が約1200人になった[404]。
11月29日、イスラエルのエルサレム地区計画委員会は、東エルサレム・ヨルダン
川西岸で1,792棟の入植地住宅建設計画を承認した。人権団体のイル・アミム(
英語版)は、建設予定地は「パレスチナ人私有地が含まれるが、収用される可能
性が高い」「ベツレヘムと東エルサレムの領土的隣接性を極めて困難にする」と
指摘した[405][406]。                                      この項つづく
via Wikipedia
※ 関連全てを読み切っていないが、ネタニエフ政権は、<民族浄化主義>に傾注した政
権と
一知半解ながらそう思う。

【参考情報】                                                          
イスラエル政治「「ユダヤ人国家」の 二律背反ディレンマ: 相克する民
族主義
と民主主義] Aporia of 'the Jewish State' : Growing Incompatibility between
Jewishness and Democracy 

東洋英和女学院大学 池田明史 2019.3.4
中東レビュー Vol.6 ©IDE-JETRO 2019
キーワード 民族主義/民主主義/占領/入植地/ユダヤ人国家  
------------------------------------------------------------------------------------------------------------
基本法の成立
2018 年 7 月 18 日、イスラエル国会(クネセト)は「基本法:ユダヤ人国家(Basic
Law: Israelthe Nation State of the Jewish People、以下 NSL と略)」を可決成立させ、「イス
ラエル国家がユダ ヤ人の民族国家であって、その主権領域内における民族自決権は
ユダヤ人によってのみ専権的 に行使される」旨を内外に闡明した。この結果、従来はヘ
ブライ語と並んで公用語とされていたアラビア語はその地位を失い、ヘブライ語
のみが
国家公用語と規定され、ユダヤ人入植地の建設・発展は民族理念の具現化
として積極
的に推進されることが法規範に明記されるなど、イスラエルはその「
ユダヤ人性」を著しく強調することとなった 。 1948年の建国直後から憲法起草
の試みはあったものの、国内外の不安定な状況が続いたため、イスラエル政府が
一挙に成文憲法を制定することはできなかった。その代替策として、将来的に体
系的な成文憲法を構成する個別条項を必要に応じて順次定めていくという方法が
採られ、それらが基本法と呼称されることとなった。しかし基本法であっても、
特に条文で定められた場合を除き、他の一般法と同様に単純過半数で成立する。
クネセトでの採決に参加した議員の過半数で採決されるのである。したがってNSL
も、クネセト定数120議席のなかで、賛成 62 票・反対 55 票という 7 票差の単
純過半数で成立した。 この票差に示されているように、NSLは国論を二分する論
争のなかで採択された。国家が「ユダヤ人性」を強めるということは、非ユダヤ
人市民の権利や処遇の問題に直結すると考えられ たからである。とりわけパレ
スチナ系イスラエル市民や彼らとの協調・協働を掲げる左派系政党などは、これ
までも事実上「二級市民」として取り扱われることが多かった非ユダヤ人市民へ
の差別が、新たに法規範によって正当化されるとして激しく反発した。 
 もともとイスラエル国家は、1948 年の建国宣言文書に明記されているように、
「(ユダヤ人の) 民族国家」であると同時に「(すべての国民に平等に開かれ
た)民主国家」であるという自己規定の上に成立した。当然ながらこの民族原理
と民主原理とは、突き詰めれば相互に矛盾し衝突する。歴代の政権は、国家がそ
の出生時から胚胎した二つの構成原理の構造的矛盾に対して、その顕在化を回避
すべく如何にして両者の均衡を図るかという課題を背負ってきた。しかし 2009年
以降 10 年に及ぶネタニヤフ現政権において、その均衡は徐々に民族原理優位に
傾き、 NSL の成立によってそのような趨勢はほぼ決定的なものとなった。 
   
 --------------------------------------------- 
 1 イスラエルにおいて、民主主義(democracy)をめぐる議論は建国以来繰り返し
論争の
焦点であ った。「イスラエル独立宣言」(1948 年)は、この国が、「宗
教、人種、性にかか
わりなく、すべ ての住民に社会的・政治的権利の完全な平
等を保障する」と闡明した。
だが、イスラエル基本法 「人間の尊厳と自由」第
8条は「本基本法のもとにおける諸権
利は適当な目的のため、または必 要を越え
ない程度に、イスラエル国の諸価値に適合
する法律、およびこのような法律の下
において発効した規定による例外を除いては侵し
てはならない」ことを定めてお
り、ユダヤ人国家イスラエルにおける「ユダヤ人」の特権
的地位を前提にしてい
るものと解釈される。このような特殊 な民主主義の在り方をめぐ
っては、「植民
者国家(colonial state)」、「エスノクラシー(ethnocracy)」、 「支配民族民主主義(Herrenvolk
democracy)」、あるいは「エスニック民主主義 (ethnic democracy)」 など、多様な概念が
提出されてきている。また、民族主義にしても、ユダヤ人の概 念規定そ
のもの
をめぐって宗教派と世俗派との間に軋轢があることは、いわゆる「帰還法」のユ
ダヤ人条項論争が凍結・棚上げされている事実によっても明らかである。「イス
ラエルは
民主国家か」という問いへの答えは、詰まるところ民主主義をどのよう
に理解するかに
よって異なってくる。しかしここでは、それらの論点には立ち入
らず、さしあたって一般に
流通している民族主義と民主主義との意味内容を以て
議論を進める。


2 現ネタニヤフ政権下でイスラエルの「右傾化」が進行してきたことは夙に指摘
されてい
るが、ここにきてそうした趨勢がNSLの可決成立という形で一挙に加速
された背景に
は、欧米など国際社会におけるリベラル・デモクラシーの退潮とポ
ピュリズムの台頭と
いう現象が挙げられよう。 アメリカのトランプ政権登場や、
ヨーロッパ各国での民族主義政党の勢力伸長などの結果、イスラエルの右傾化が
相対化され、国家存立の正統性に対する批判が緩和されるという期待が生まれて
いる。しかしその一方で、これら欧米の自国優先主義や民族主義の高揚は、容易
に反ユダヤ主義と結びつき、イスラエルにとって新たな脅威になり得るとの指摘
もある。    
------------------------------  
過半数で採決されるのである。したがって NSL も、クネセト定数 120 議席のな
かで、賛成 62 票・反対 55 票という 7 票差の単純過半数で成立した。 この票
差に示されているように、NSL は国論を二分する論争のなかで採択された。国家
が「ユ ダヤ人性」を強めるということは、非ユダヤ人市民の権利や処遇の問題に
直結すると考えられ たからである。とりわけパレスチナ系イスラエル市民や彼ら
との協調・協働を掲げる左派系政 党などは、これまでも事実上「二級市民」とし
て取り扱われることが多かった非ユダヤ人市民 への差別が、新たに法規範によ
って正当化されるとして激しく反発した。 もともとイスラエル国家は、1948 年
の建国宣言文書に明記されているように、「(ユダヤ人の) 民族国家」であると
同時に「(すべての国民に平等に開かれた)民主国家」であるという自己規定の
上に成立した。当然ながらこの民族原理と民主原理とは、突き詰めれば相互に矛
盾し衝突する。歴代の政権は、国家がその出生時から胚胎した二つの構成原理の
構造的矛盾に対して、その顕在化を回避すべく如何にして両者の均衡を図るかと
いう課題を背負ってきた。しかし 2009 年以降 10 年に及ぶネタニヤフ現政権に
おいて、その均衡は徐々に民族原理優位に傾き、NSL の成立によってそのような
趨勢はほぼ決定的なものとなった。

民主原理と民族原理との衝突
占領支配に対する民主原理の論理は明快であった。「他の民族を占領し強制的に
支配する民族は、民主主義的ではありえない」3 、したがって、民主原理を貫徹
しようとすれば、占領状態 が問題の最終的解決に至るまでの暫定的かつ便宜的な
過渡期の措置であることを認め、可及的 速やかな解決策の模索と追求がなされな
ければならない、というものである。その解決策とは、現時点では二者択一と考
えられる。すなわち、一方に二国家解決案に基づくパレスチナ国家の建設とこれ
との共存があり、他方に占領地の併合によるイスラエル領への公式編入(「一国
家解決案」)がある。もとより、編入される場合には、パレスチナ人住民にはイ
スラエル国民として 完全な市民権が付与されることとなる。
また、占領が過渡期の暫定的な状態であるならば、パレスチナ占領地に恒久的な
ユダヤ人入植地を建設し、これを拡張するが如き政策は排除されねばならない。
RLはこの観点からは当然ながら全否定される。法の下の平等という民主原理に真
っ向から背反し、入植地とそのユダヤ人住民とに特権的地位を認め、しかもその
特権はパレスチナ人の所有権や移動の自由といった基本的人権の侵害の上に成立
するものだからである。

このような民主原理の主張に対して、民族原理は次のように反論する。パレスチ
ナ人なるものは、詰まるところアラブ民族の一部にほかならず、ユダヤ人と同等
の意味での主体的で固有 の民族とは認められない。アラブ民族はすでに 20を超
える主権国家においてその自決権を実 現しているのであり、イスラエル建国の経
緯が明らかにしているように、パレスチナにおいてはユダヤ人とアラブ民族との
自決権要求が競合し、結果的にユダヤ人国家イスラエルのそれが認められた。
その際、西岸・ガザにおける自決権の所在は未決のままとなり、オスロ合意によ
ってパレスチナ自治政府が認められたことにしても、それがそのままパレスチナ
人の民族自決権の優位を自明の前提とするわけではない。したがって、西岸・ガ
ザにおけるパレスチナ人の民族的権利がユダヤ人のそれより優先されねばならな
いとの主張には合理的根拠がない。
------------------------------
3 このような言説は、1970 年代末以降に高揚したイスラエルの各種平和運動、
とりわけ Shalom Achshav (Peace Now)などが常套的スローガンとして掲げたも
のである.。
                                                          この項つづく
------------------------------------------------------------------------                   



武力で紛争を解決は困難が続くも。わたし(たち)は、理不尽な弱者・被支配者
への暴力に、平和時の弱者への支配やいじめへの抗議する。


Mrs. GREEN APPLE
ケセラセラ 2023.4.24


「ス・ワンダフル」('S Wonderful)は、ガーシュウィン兄弟によるポピュラーソ
ング。作詞アイラ・ガーシュウィン、作曲ジョージ・ガーシュウィン。オードリ
ー・ヘップバーンとフレッド・アステアが共演した1957年の映画『パリの恋人』
の主題歌として知られる。このため、ジャズファン以外にも広く知られる曲]。
「君が僕を愛してくれるなんて、なんと素敵で素晴らしいことだろう」と速いテ
ンポとスウィング感で、ドラマティックに、ユーモラスに歌い上げる。 1927年の
ブロードウェイ・ミュージカル『ファニー・フェイス』のためにガーシュウィン
兄弟が書き下ろし、アデール・アステアとフレッド・アステア姉弟が初演]、通算
公演250回を記録し、彼らの代表作として知られるようになった。
「'S」は、当時流行していた「It's......」の「It」を省略する言い回しである。

 今夜の寸評: お先真っ暗ラスト・ディケイドを 全力疾走 !


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ラスト・ディケイド 全力疾走 !

2023年12月20日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せたせて生まれたキャラクタ。




公共事業の費用増大リスクを「見える化」
京都府が道路整備で新手法

 

12月20日、京都府は実施中の公共事業を評価する際、費用の増大リスクを過去の
類似事業の実績から想定して、事業を継続するかどうかの判断材料とする取り組
みを始めた。リスクを3つに分類して整理し、府民の理解につなげる。榎峠バイパ
スと上野平バイパスそれぞれの整備事業の再評価で実施した。

従来の事業評価では、調書に事業費の増減要因を並べるだけだった。新方式では、
リスクの性質ごとに分類し、どの工種でどういった増額が生じやすいのかなどが
分かるようにした。 
分類は、
(1)事業に当たっての調査や設計といった確定しているリスク
(2)トンネルの支保構造の変更や軟弱地盤対策など事前に(確定的な)想定が難
   しいリスク
(3)労務費、資機材単価の上昇や技術基準の改定といった事前に想定することが
  適切でないリスク

事前に(確定的な)想定が難しいリスクの中で、過去の同じ工種で共通して見ら
れる増額要因を参考に工事の変更内容と金額を具体的に示した。例えば、榎峠バ
イパス事業では、過去のトンネル工事の事例から掘削で地山に緩みが生じ支保構
造の変更や薬液注入が必要となるリスクがあると判断。それにより、約4億5000万
円の増額となる可能性を記載。

  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era

新成長経済理論考 ㉑
 高付加価値としての再エネ事業の選択と集中
次世代リチウムイオン電池正極材料の充放電エネルギー効率低下起源解明
12月15日、NIMSは、ソフトバンク株式会社と共同で、高エネルギー密度蓄電池用
電極材料にの放電電圧が充電電圧よりも著しく低くなる原因が、充放電時の結晶
構造変化の経路が充電時と放電時で異なるためであることを解明。

【概要】
物質・材料研究機構 (NIMS) は、ソフトバンク株式会社 (ソフトバンク) と共同
で、高エネルギー密度蓄電池用電極材料 (モデル材料としてLi2RuO3) の、放電電
圧が充電電圧よりも著しく低くなる (電圧ヒステリシス) 原因が、充放電時にお
ける結晶構造変化の経路が充電時と放電時で異なるためであることを突き止める、

次世代の高容量正極材料として、LiCoO2などの従来型正極材料よりも多量のリチウ
ムイオンを含有し、かつ、安定して脱離挿入できるリチウム過剰系電極材料が注
目されている。リチウムイオン過剰系電極材料は、従来型正極材料の2倍に相当
る300 mAh/g以上の高い容量を発現、充放電時の電圧ヒステリシスが大きく充放
電時のエネルギー効率が低いという課題があった。 研究チームは、リチウム過剰
系電極材料のモデル材料としてLi2RuO3を用い、その充電前後の結晶構造を精査し
たところ、放電後の結晶構造が充電前の構造に戻っているにもかかわらず、電圧
ヒステリシスをが観測する。従来、リチウム過剰系電極材料における電圧ヒステ
リシスの起源は、充放電で結晶構造が不可逆に変化することに由来するとの学説
がを覆す現象。


【展望】
今後は、今回得られた知見を利用し、充放電における電圧ヒステリシスの有無に
着目するだけでなく、結晶構造の変化に着目した材料評価を行うことで、高容量
と高い充放電エネルギー効率を両立するリチウム過剰系電極材料の開発加速の期
待される。 
【関係技術情報】
題 目 : Voltage hysteresis hidden in an asymmetric reaction pathway 非対称反応経路
      に潜む電圧ヒステリシス
著 者 : マルセラ カルパ、久保田 圭、小野 愛生、水木 恵美子、松田 翔一、
高田 和典
雑 誌 : Energy Storage Materials
掲載日 : 2023年11月6日 (日本時間) DOI : 10.1016/j.ensm.2023.103051



全固体電池のリチウムイオン移動を妨げている粒界を可視化
粒界のイオン移動速度を定量化する新しい手法
12月18日、NIMSは、次世代電池として期待されている全固体電池材料におけるリ
チウ
ムイオン移動の妨げとなるボトルネックを可視化する新しい手法を開発
【概要】
NIMSは、次世代電池として期待されている全固体電池材料におけるリチウムイオ
ン移
動の妨げとなるボトルネックを可視化する新しい手法を開発し。 全固体電
池は従来の
リチウムイオン電池に使用されていた有機電解液を固体電解質にする
ことで、より安全
で、高いエネルギー密度の実現を目指した次世代蓄電池の一つで
す。活物質と固体電
解質との界面や、固体電解質内の粒子同士の界面 (粒界) で生
じるリチウムイオン移動
の抵抗が問題の一つとして挙げられる。

この抵抗は充放電速度の低下や利用可能なエネルギー密度の低下につながる。固
体電
解質には粒子と粒界が存在するが、これまではイオン移動速度を平均情報と
して得る手法しかなく、粒界を特定し、かつ定量的にイオン移動の速さを評価す
る実験方法はこれまでなかった。今回の報告では、イオンの質量分析から元素の
分布を画像化する二
次イオン質量分析法 (SIMS) を用いて、リチウムの安定同位
体である67Li (質量数7, 天然存在比92%) 中に試料端からイオン交換で導入した
6Li (質量数6, 天然存在比8%) が拡散する様子を観察することで、固体電解質内
の粒界におけるイオン移動 (拡散) を可視化・定量化した。



図1.全固体電池におけるマルチスケールイオンダイナミクスとその測定技術。
平均イオン伝導度はISにより測定できる。PFG-NMR 分光法はマイクロメートル
スケールでイオン拡散を測定し、二次イオン質量分析法 (SIMS) はミリメートル
から数十ナノメートルまでの広い空間範囲にわたるイオン拡散係数を決定できる。


図2.LLTOを用いた6Li同位体交換研究の模式図。 LLTO の端を 6LiNO3 水溶液に
浸して交換。 サンプルはすぐに -110℃ に冷却され、SIMS が実行されて 6Li
同位体比が観察される。その後、サンプルはさらに拡散するために 22 ~ 400℃
でアニールされる。サンプルを再度-110℃まで冷却し、6Li同位体比を測定。この
手順を繰り返すことにより、拡散係数の温度依存性を求めることができる。


図 3 (a) 6Li 同位体交換を 59 時間行った直後、および (b) 22℃ の Ar雰囲気
中で 16 日間保管した後の LLTO の相対 66Li 画分の画像。 (c) SIMSで使用され
ているものと同じ位置の LLTO のレーザー顕微鏡画像。 SIMSイメージング後に
粒界観察のためのサーマルエッチングを行った。 (d) SIMS 画像に示されている
黒と赤の線の 6Li 同位体プロファイル。 黒と赤の白丸はそれぞれ、59 時間と
16日間の同位体交換後のサンプルのプロファイルを表す。(e) 粒界における 6Li
分率 ∂C/∂y と濃度差 ΔCgb の勾配。


図 4 (a) 22 ℃ における LLTO の相対6Li フラクションの時間変化。黒丸は 6Li
同位体交換を 110 時間行った直後の SIMS プロファイルを表し、赤丸と青丸は
Ar 雰囲気中で 2 週間および 6 週間保管した後のそれぞれの SIMS プロファイル
を表す。 (b) 200℃でアニーリングした後の LLTO の相対 6Li 割合の変化。
黒丸は6Li 同位体交換を 63 時間行った直後の SIMS プロファイルを表し、赤丸
は 200℃でのアニーリング後のプロファイルを表します。


図 5 (a) 多結晶におけるイオン拡散モデル。 一般に ブリック層39 およびマク
スウェル・ガーネットモデル38は、多結晶材料内のイオン拡散をモデル化するた
めに使用されます。これらのモデルには、粒界に沿ったものと粒界を越えたもの
という2種類の拡散経路が含まれる。Dbulk » Dgbの場合、粒界に沿った拡散は無
視できる。 したがって、バルク境界と粒界の系列モデルは適切な近似を提供。
(b) バルク 33 (Dσ、バルク、黒四角) および全導電率 (Dσ、合計、白四角)、
PFG-NMR33 (DNMR、バルク、白丸)および SIMS ライン分析を使用して求めた拡散
係数の温度依存性 ( 開いた三角形)。 1D モデルを使用して計算されたものは、
塗りつぶされた三角形としても表示される。(c) 粒界導電率を使用して計算され
た (l/δ)Dgb (白四角) と、SIMS ラインおよびマッピング分析によって決定され
た (l/δ)Dgb (それぞれ白三角と黒三角) の温度依存性。


【成果/展望】
従来の技術では固体電解質内を高速に移動する6Liの分布を画像化し、拡散の速さ
を定量化することは不可能であった。本研究では冷却しながら測定するクライオS
IMSを用いることで6Liの移動速度を大幅に遅くして、6Liの分布の精密な測定が可
能になり、粒界がボトルネックとしてイオン移動を制限している様子を明らかに
した。 本手法は、リチウムイオンの拡散を直接観測できる、全固体電池内部内に
存在する様々な界面の中からボトルネックとなる界面を特定し、その原因解明に
応用できる。これにより全固体電池の性能向上に貢献することが期待される。

【関係技術情報】
題目 : Visualization and evaluation of lithium diffusion at the grain boundaries in Li0.29
    La0.57TiO3 solid electrolytes using secondary ion mass spectrometry;二次イオン質
          量分析法を用いたLi>0.29La0.57TiO3固体電解質の粒界におけるリチウム拡散の可
     視化と評価

著者 : 長谷川 源、桑田 直明、大西 剛、高田 和典
雑誌 : Journal of Materials Chemistry A
掲載日時 : 2023年12月18日 DOI : 10.1039/d3ta05012b
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 最新デジタル医療
マンモの提訴で Apple、Apple Watchの販売禁止を停止へ
Appleは「Apple Watchが他社の特許を侵害」しているとしてApple Watch Ultra 2とApple
Watch Series 9のアメリカでの販売停止を命令。新たに、Appleがアメリカ国際貿易委員
会(ITC)に対して販売停止命令の延期を求めていたものの却下されたことが明らかに。
※ Certain Light-Based Physiological Measurement Devices and Components Thereof (PDF)https://www.usitc.gov/secretary/fed_reg_notices/337/337_1276_notice12202023sgl.pdf 
via GigaziNe  2023.12.21

【関連特許事例】
特表2023-510855 生理学的パラメーターモニタリングを備えたウェアラブル
デバイス

【概要】
ウェアラブル健康モニタリングデバイスは、デバイスが着用者によって手首の上に着用
されているときに、着用者の皮膚と接触するように構成されている生理学的パラメーター
測定センサーまたはモジュールを含むことが可能である。生理学的パラメーター測定セン
サーは、非侵襲的におよび随意的に連続的に、着用者の1つまたは複数の生理学的パ
ラメーター、たとえば、酸素飽和度を測定することが可能である。センサーは、凸形湾曲
部を含み、圧力および着用者の快適さのバランスをとりながら、着用者の皮膚と生理学
的パラメーター測定センサーとの間の圧力、ひいては、光学的カップリングを改善する
ことが可能である。センサーは、エミッターと検出器との間の光バリアおよび他の光バリ
アを含み、信号強度を改善し、ノイズを低減させることが可能である。





【ウイルス解体新書 177
第4章 シン感染症対策
第1節 新薬開発と後遺症対策
1-1 国内コロナワクチと海外コロナワクチ開発の現状に学ぶ
1-2 コロナ
ワクチン供給の国際枠組み、12月末終終了
WHO「20億回で270万人の死亡回避
2023年12月19日、WHOはCOVAXの年内での終了を発表した。コバックスはパンデミッ
ク(世界的大流行)中、低所得国に提供されたワクチンの74%を供給した。これにより低
所得国での初回接種率は57%まで上昇した。世界平均は67%で「不公平さは克服でき
なかった」としたもののグローバル・サウス(新興・途上国)の「苦痛を和らげるのに大きく
貢献した」としている。コバックスは、2009年の新型インフルエンザ流行でワクチン買い
占めが横行したことを教訓に、途上国のワクチン接種を支援する国際機関「Gavi」やW
HOなどが20年4月に設立した。ワクチンの購入費や開発費を高・中所得国の拠出金で
まかない、低所得国にワクチンを分配する仕組みで、190か国・地域が参加した。  
資金不足や各国によるワクチンの囲い込みで当初、想定通りに機能しなかった。コバッ
クスの一翼を担う「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」のジェーン・ハルトン会
長は成果を評価しつつ、「次はもっとうまくできるし、やらなければならない」と振り返った。
via.COVAX - Wikipedia



Joan Baez
We Shall Overc Come



ドリス・デイDoris Day, 1922年4月3日 - 2019年5月13日)
“永遠なる隣のお嬢さん”として親しまれた歌手、ドリス・デイは甘い蜜のよう
な歌声がもたらした音楽作品、1950年代から60年代以降に数々の映画、ドラマ、
ミュージカル、そしてラヴ・コメディによってトップ・スターの座に昇り詰め、
歴史上最も人気を博した女優。1956年の映画『知りすぎていた男』の主題歌でア
カデミー歌曲賞を受賞している。Que Sera Sera (Whatever Will Be, Will Be)

今夜の寸評: ラスト・ディケイド 全力疾走 !

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新成長経済理論考 ⑲

2023年12月20日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝え
られる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団
編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を
合体させたせて生まれたキャラクタ。

【今日の副菜:味付き玉 三人分】
材料:ゆで卵‥‥3個(※7~8分ゆでたもの)/①醤油 大さじ2・みりん 大
さじ1、砂糖 大さじ1/2➲よく混ぜ合わせ、砂糖が溶けたら冷蔵庫で冷やす。
作り方:ゆで卵と①を薄手のポリ袋に入れ、空気を抜いて□を閉じる➲冷蔵庫
で20分ほど寝かせる。ランチの市販の即席麺は見事な仕上がりが豊富にあり、
時間がないばあい、オーブン電子レンジ1つあれば。ケトルで湯を沸かし、麺・ス
ープを注ぎ準備している野菜、焼き豚やお餅、冷凍餃子を加えれば十分堪能で
きるが、副菜も作り置きしたい。味片タレも市販されているので買い置きして
おけばアレンジも自在である。本当に便利になっていると感心する。




煮干しだしは伝統的な調理方法だが、「たべるにぼし」を偶然みつけ食べてみた。
煮干系ラーメンが流行する背景に、主に4つの理由があるという。

1つ目は、かつおだしに比べて安価ということ。古くから煮干しだしは、高価なか
つおだしの代用品である。
2つ目は、手軽ということ。煮干しは夜、水につけておくだけでも朝食の味噌汁
用に美味しいだしが取れる。だしをとった煮干しは菜箸でつまみ出せばよく、面
倒な「濾す」作業も不要。
3つ目は、活用範囲の広さ。かつおだしよりもしっかりとしたコクを感じる煮干
しだしは、味噌汁やうどん、おでん、ラーメンなど実に幅広い料理に使用できる。
健康志向の方に広まった「味噌汁ブーム」も追い風となる。
4つ目は、栄養価。煮干しには、タンパク質をはじめ、カルシウムや鉄などの栄
養素が豊富。普段あまり魚を口にしない方にとって、煮干しは手軽に取れる貴重
な栄養源。だしをとった後、出がらしの煮干しも活用するという「SDGs」に貢献。
ただし、煮干しはプリン体と塩分の量が高め、食べ過ぎてしまうと痛風のリスク
や高血圧のリスクを高める。以下、
タンパク質・カルシウムの量が他の食材に比
べてとても多く、食べすぎると胃もたれし、1日の推奨摂取量15gを守って食べ
ましょう



大型アップデートが期待される次世代iPad Pro。Macが進むのでは?
モバイル端末らしい話も聞こえるとか。2024年にリリースされる新型iPad Proは、
MagSafe
でワイヤレス充電に対応するとも。 via GIZMODO


出所:インテル® Core™ Ultra プロセッサー | インテル (日本)

新しいインテル® Core™ Ultra プロセッサーがここに登場。専用の AI エンジン
と内蔵型インテル® Arc™ GPU を搭載した、次世代の AI PC です1。内蔵された
セキュリティー、プライバシー保護と長時間持続するバッテリーで、生産性と創
造性を高める。


2025年,有機トランジスタ世界市場は1,800億円
12月19日、野経済研究所は,次世代有機デバイス世界市場を調査し,デバイス分
類別,システム(需要分野)別,研究機関の動向,将来展望などを明らかに。

【概要】有機トランジスタ(OFET)は,有機半導体を活性層に用いて電流を制御
するFETで,これまで,優れた特性を持つシリコン(Si)を代表とする無機材料
で半導体産業は興隆してきたが、無機系半導体は微細化の限界に突き当たり苦悩
。そこに遅れて登場した有機半導体は,無機系にはない優れた特長を有し、有機
トランジスタは,有機半導体材料を溶液にしてスピンコート法などによって基板
上に塗布する溶液プロセスによって作製することができ,低コストかつ大面積・
フレキシブルな電子製品への応用を目指して開発が進められている。有機トラン
ジスタでは,無機材料に比べると膨大な種類の材料を活用することが出来る。加
えて,有機分子の設計自由度,幅広い膜構造可能性,多様な作製プロセスなどが
挙げられ,有機トランジスタが優れている点として、

1.作製プロセスが簡略。液体に溶かすことができるので,インクジェットプリ
ンタを用いて,簡単に複雑な模様を描くことができる。また,有機トランジスタ
なら200℃以下という低温で,熱に弱いフィルムやプラスチック基板と組み合わ
せたデバイスも作製できる。
2.材料の分子設計の自由度が高い。目的に合わせて,置換基をつけたり,環の
長さを変えるなど,少しずつ設計を変えた有機トランジスタを簡単に合成するこ
とができる。
3.優れた柔軟性を有している。有機トランジスタの材料はπ共役系有機材料な
ので,膜形成はもとより,丸めたり折り曲げたりすることができる。これまで,
四角く平たい形しかなかったディスプレーも,有機半導体で作ればフレキシブル
形状が可能になる。

こうした有機トランジスタの特長から,バイオセンサーや,フレキシブル電子デ
バイスなどのディスプレー駆動,RFIDなどの無線タグ(情報タグ),高性能モバ
イル端末の集積回路などの応用分野に向けた開発が期待されているという。 今
回の調査で注目した有機トランジスタの開発において,応答周波数として世界最
速の38MHzが達成されており,この値は現在,物流管理などに広く用いられてい
るRFIDタグの通信周波数である13.56MHzより十分に大きな値であることから,無
線タグの給電に十分応用可能なレベルに達している


さらに,超短波帯はFMラジオ放送やアマチュア無線などの電波として利用されて
いることから,将来,応答周波数がさらに増加することで,超短波帯を利用した
長距離無線通信が可能な有機集積回路の実現が期待されるという。有機トランジ
スタは,比較的簡便な印刷プロセスで量産できることから,今後のIoT社会を担
う物流管理に用いられる低コストの無線タグや,電磁波から電力を供給する無線
給電システムへの幅広い展開が想定されている。 将来展望については,2025年
の有機トランジスタ世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)を1,800億円,204
5年の同市場規模を2025年比10.9倍の1兆9,690億円になると予測した。
2025年の世界市場をデバイス需要分野別にみると,ディスプレー駆動が最も大き
く,全体の59.4%を占め,次いでバイオセンサーが13.9%,化学センサーが11.1
%,その他は15.6%になると予測した。無機系にはない優れた特長を有した有機
デバイスの展望は明るいとしている。


Sigray社のナノXCT装置EclipseXRM-900TMを発売
12月15日、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は国内独占販売契
約を締結している米Sigray製で,最高空間分解能300nmを実現したナノX線CT装置
「EclipseXRM-900」を,2023年12月15日より発売したと発表。価格は,2~3億円
(装置構成や為替レートによる)。 生成AIや自動運転,メタバースなど膨大なデ
ータ処理に必要な演算能力を向上させるために,半導体の微細化が進められてき
た。一方,昨今では微細化とともに,チップレットと呼ばれる集積技術により性
能の向上が図られている。 しかし,チップレット技術を用いた半導体部品は,
金属材料と高分子材料(樹脂材料)が3次元の積層構造になっており,これらの
材料はX線吸収率が大きく異なるため,故障解析や研究開発における非破壊分析
において精度高く測定することが困難な場合があった。 この新製品は,Sigray
特許出願中である独自の装置機構により,最高空間分解能300nm実現している。さ
らに,最大100mmΦまでのサンプルにおいてサブミクロンレベルの空間分解能を
達成している。これにより,X線源までの距離を長く取らなくてはならない大き
なサンプルやin situセルにおいても,高い解像度での撮像を可能にしている。
積層化された半導体の内部構造などでも,非破壊で高コントラストな可視化を実
現するという。 またこの新製品は,最新のX線源と検出システムにより高倍率対
物レンズを用いることなく300nmの空間分解能で測定できるため,より効率のよ
いデータ取得を可能にする。 同社では今後5年間で,この製品の50台以上の販売
を目指すとしている。

  


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>新成長経済理論考 ⑲
 高付加価値としての再エネ事業の選択と集中

1997年に京都市で開かれたCOP3で採択された国際約束である『京都議定書』で
は、先進国の各国が二酸化炭素などの温室効果ガスを将来どのくらい削減するか
が決められた。また、削減目標を達成するためには、森林の二酸化炭素吸収量を
活用することが認められた。同議定書では、第一約束期間(2008~2012年)につ
いて先進国全体の平均年間排出量が1990年(一部のガスについては1995年)の総
排出量の95パーセント以下になるよう、各国の数値目標が決められた。
------------------------------------------------------------------------
COP:国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に基づき設置された常設の最高意思
決定機関である「Conference of the Parties (to the Convention)」(気候変動枠組条約
締約国会議)の略称。1995年にドイツのベルリンで開催された第一回気候変動枠
組条約国会議(COP1)以降、毎年開催されている。日本の削減量6%については、
1990年度(代替フロンについては1995年)を基準としている。また、京都議定書
目標達成計画で、それぞれの温暖化対策要素ごとに削減目標を定めている。同計
画では、温室効果ガス排出量を基準年比 -1.8%から -0.8%に抑制し、森林吸収量
を基準年比3.8%程度確保し、残りを京都メカニズムの活用と見込んでいた。しか
し2008年度から2012年度の国内の排出量の平均は逆に基準年に対して1.4%上回っ
た。これに森林等吸収量(基準年比3.9%相当)と京都メカニズムクレジット(基
準年比5.9%相当)を考慮すると、基準年比-8.4%となり、目標を達成した。

また「ポスト京都議定書」。つまり、1997年12月11日に議決、2005年2月16日に発
効した京都議定書は、2008年から2012年の第一約束期間内に先進国全体の温室効
果ガス6種の合計排出量を1990年に比べて5%以上削減することを全体的目標とし、
先進国に対して国ごとに削減目標を定めている。第一約束期間以降、京都議定書
を引き継ぐ枠組みとして世界各国が議論を行ってきた。日本では、英語の接頭辞
Postを冠して「ポスト京都議定書」と呼ぶのが慣習となっており、略して「ポス
ト京都」などとも呼ばれた。この呼称はほかの言語圏でもほとんど同じである。
京都議定書では、当時最大排出国であったアメリカの離脱、インドや中国などの
大量排出国が規制対象外、カナダの削減目標達成断念、CIS諸国のホットエア問
題など、多数の問題が発生している。これらの問題をポスト京都議定書で解決し
ていくことが期待されている。
2005年12月、カナダ・モントリオールでのCOP11/MOP1[1]で、京都議定書の規定に
従い「京都議定書改正に関する特別作業部会」(AWG-KP)の立ち上げが決定された。
2007年12月、インドネシア・バリ島でのCOP13/MOP3で、「バリ行動計画」が採択
された。本計画では、京都議定書のように特定の国に削減義務を課すのではなく
すべての国に行動を求める新しい枠組みを作ること、そのために「長期的協力行
動に関する特別作業部会」(AWG-LCA)を立ち上げること、2009年までに結論
を出すことになった。これ以降、AWG-LCA(条約AWG)とAWG-KP(議定書AWG
が並走することとなる。
2008年1月のダボス会議、3月と6月にはIEA閣僚理事会、5月と6月には神戸と青森
でG8環境・エネルギー大臣会合、6月と11月にはAPEC会合、7月には洞爺湖サミッ
ト、12月にCOP14/MOP4が開かれて協議が行われた。
2009年には5回の特別作業部会(AWG)が開かれ、議論が進められた。 交渉期限で
あった2009年末にデンマーク・コペンハーゲンで開かれたCOP15/MOP5では、最終
局面で一部の国々の反対により、結論を翌年に持ち越した。
2010年末にメキシコ・カンクンで開かれたCOP16/MOP6でようやく「カンクン合意
」の採択に至った。 その後も詳細な制度設計が続けられ、
2012年にカタール・ドーハ で開かれたCOP18/MOP8で京都議定書の改正案、バリ行
動計画の全ての議題に関する一連の決定が採択され、AWG-LCA、AWG-KPはともに終
了した。

主要国の削減目標・削減行動

via Wikipedia
※ これ以上のことは現状把握していないので、後日分かりやすいまとめ掲載報告し、
課題などを提起できればと考えている(大変重い作業になる)。
ればと考えている。


出所;JPEA
https://www.jpea.gr.jp/wp-content/themes/jpea/pdf/pvoutlook2050_2020.pdf

参考掲載資料2023 WI 環境ビジネス
『太陽光は50年に386GW導入可能 目標達成には現状の6倍加速が必要』
JPEAが2020年「PVOUTLOOK 2050」を見直し新ビジョンを公開したもので、30年に125
GW(AC)、50年に386GW導入を打ち出すが、再エネ増加には政府の明確な目標と実現
のための政策手段が不可欠で、新ビジョン実現のために、需給一体型太陽光発電
の普及拡大を呼びかけている。
------------------------------------------------------------------------
50年に386GWと大幅に見直し
11月7~9目、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)が「需給一体型太陽光発電の普
及拡大を目指して」をテーマに掲げ、第40回太陽光発電シンポジウムを開催。 2020
年に策定した「PVOUTLOOK 2050」を見直し、新ビジョンを公開。従来のビジョ
ンは温室効果ガス80%削減を前提とし策定されたが、今回公開した新ビジョンは
カーボンニュートラルの実現を前提に太陽光発電導大量を推計。

JPEAFIT
、2020年に公開した従来のJPEAビジョンは2022゛2030年を「FIT(FIP)か
らの自立」、「電力市場への統合」に向けた8年と設定。 2030年の国内の太陽光発電
導大量をACベースで100GW、2035年は130GW、2050年には300GW。 20年末当時の
導大量が61GWなので、50年に5倍に増やすという野心的なビジョンたった。新ビジ
ョンでは導大量をさらに30年に125GW(パネル出力DCベース155GW)、35年に
171GW(同215GW)、50年に386GW(同509GW)と大幅に見直しする。ちなみに22年
末現在の導大量は約71GW(同約85GW)。算出した導入ポテンシャルは2380GW こう
したビジョンの推計値を裏付けるのが国内太陽光発電導入ポテンシャル 経済
合理性を考慮せず、技術的な観点のみから導入ポテンシャルを算定すると2380GW
(DC)という 膨大量となり、仮に100%の導入が可能となれば日本の電力需要量の
2倍以上になる。 50年の導入量509GW(ACベース386GW)は導入ポテンシャル
のわずか21%を占めるに過ぎない」としている。導入ポテンシャルが最も高い区分
は農業関連(1593GW)、非住宅 建物(391GW)、住宅(240GW)の順。 水上空間と
BIPV(建材一体型太陽光 発電)も高いポテンシャルを示した



事薬用自家消費の顕在化率はポテンシャルの100%到達
JPEAが算定する太陽光発電の技術的な観点から推計した導入ポテンシャルは経済
合理性の観点からみて、どの程度顕在化が可能なのだろうか。
JPEAはコスト・設備利用率、カーボンプライス、売電単価等を基にした発電事業
経済性(IRR)分析からポテンシャル顕在化率を試算した。
まず住宅用では電力の7割を余剰売電することを前提とし、ポテンシャル顕在化
率は2025年で63%、2030年で88%だが、2035年以降は100%に近い水準に達する。ま
たカーポンプライスをゼロに設定すると、コスト低減の効果はあるものの、卸価格(
売電単価)低減の影響も大きく2050年時点でもポテンシャル顕在化率が50%程度に
とどまるという。
次いで事業用自家消費型ではポテンシャル顕在化率は自家消費率を70%と想定す
ると、2025年の時点で100%となる。さらにカーポンプライスをゼロとしても、
テンシャル顕在化率は2025年時点で100%となる。契約電力単価が比較的高い水準
にあることから自家消費による効果が大きいためである。
事業用オフサイト型は発電した電力の100%を系統に売電することを前提としてい
る。ポテンシャル顕在化率は2025年で48%と低いが、2030年以降は90%以上となり
2050年には100%近い水準に到達する。ただしカーポンプライスをゼロとすると、
コスト低減よりも急激に卸電力価格が低減するため、2050年までの期間を通じて
ポテンシャル顕在化率は低迷するという。

政策依存型から市場主導型への転換を
JPEAによる太陽光発電のポテンシャル顕在率はおおむね高い水準をマークしてい
る。では、再エネの中で太陽光発電の増加が絶対条件といわれる中、国内の太陽
光発電を取り巻く現況はどうなっているのだろうか。
京都大学大学院経済学研究科の諸富徹教授は同シンポジウムの特別講演「太陽光
発電拡大の課題と展望」の中で、「(再エネ増加に対する)政府がコミットした
明確な目標の欠如、実現のための政策手段が不明確なこと」、「事業者の人手不
足、円安によるコスト上昇」、「FITからFIPの移行が魅力的ではないこと」、「
出力制限の拡大」など再エネ事業者を取り巻く環境の厳しさを指摘。一方で需要
家を取り巻く環境として、企業ではコーポレートPPAの拡大、家庭では自家消費モ
デルの拡大などが顕在化しているという。
こうした中で、課題を抱えてるものの「政策依存型から市場主導型への転換」によ
り、大きなチャンスがあるとみる。たとえば、屋根置きのオフサイトPPAや家庭自家
消費モデルの大きな潜在可能性とともに
-------------------------------------------------------------------------
①自家消費最大化モデル(オンサイトでの最大利用+過不足電力の系統を通じたや
りとり)
②蓄電池+ヒートポンプ+EV
③余剰電力のアグリゲーターによる買い取りなど、市場主導型ビジネスモデルの
普及に期待を寄せている。ただし、「そのためには環境整備が必要で、時間も必
要だ」としている。
-------------------------------------------------------------------------
達成するには導入量を現在の6倍に
近年、国内では太陽光発電の適地が不足しているといわれている、日本全体のポ
テンシャルは2380GWと膨大。 2050年には電力需要量の40%をまかなえる509GW
の導入が可能となります。ただし、目標を達成するには導大量を現在の6倍にまで

高めなければなりません。供給側のできることは限られている中、昼間発電した
カーボンフリーで安価な電力をどんどん皆さんに使っていただく。あるいは達系
線を通して余剰電力を他の地域で使う。そうした需給一体となった取り組みが必
要となります」と呼びかける。
via 環境ビジネス2024.Win(インタビュ-:増川武昭JPEAの事務局長)




ガール・フレンド オックス 
1968.05.05 
作詞/作曲:橋本淳/筒美京平
※当時、グループサウンドがは流行り、「難波一番」で、タイガースなどのが競演する
ステージでこの二つのステージ演奏を楽しんだ記憶が鮮やかに残っている。





今夜の一冊:ChatGPT超入門

今夜の寸評: エコ・セントリック企業」って株主は「地球」。取締役に
         「自然」と言うのか?!面白いね・

※ 色素増感太陽電池の開発を開始したのが10数年前であったが「原発推進政
策」で「太陽電池開発」でトップの座を陥落、2011年の福島原発事故で、フラン
ス・ロシア・中国などを除き軒並み再生可能エネルギー推進に変更するなか2023
年の現在も日本は原発推進は不動のままで、東芝は解体・切り売り状態。太陽電
池推進は名ばかり、体力・気力も下降線を下る中、ならば、「ラスト・ディケイ
ド!再エネ・核融合・脱炭素・メタネーションも俺にまかせろ!」と奮起するが
思うように筆が進まぬ・(とほほのホ ^^;!)

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新成長経済理論考 ⑱

2023年12月17日 | デジタル革命渦論



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。


  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era
>新成長経済理論考 ⑱
 高付加価値としての再エネ事業の選択と集中


【全固体型リチウム電池特許事例 ②】


表面改質  形態制御
SEI分析(Solid Electrolyte Interphase)  全固体リチウム電池
図 二次電池負極SEI被膜の元素分布評価・化学状態評価

先回は、全固体型リチウム二次電池型負極の高付加価値のカーボンナノチューブ
シートの製造方法を考察したが、今回は正極の最新特許事例(審査請求中)を考
察してみよう。

1.特開2023-178184 常温駆動型全固体電池及びその製造方法 現代自動車株
 式会社他
【概要】

全固体電池は、正極集電体に接合された正極活物質層と負極集電体に接合された
負極活物質層、並びに正極活物質層と負極活物質層との間に固体電解質層が配置
された3段積層体で。一般に、前記負極活物質層は、黒鉛などの負極活物質の他
に、リチウムイオンの移動のための固体電解質を含む。固体電解質は、液体電解
質に比べて比重が大きい、全固体電池のエネルギー密度は液体電解質を用いるリ
チウムイオン電池に比べて低い。 前記問題を克服し、全固体電池のエネルギー密
度を高めるために、負極にリチウム金属を適用する研究が進められているが、界
面接合、リチウムデンドライトの成長などの研究的技術問題から、価格、大面積
化などの産業的技術問題まで商用化のために克服すべき障害物が多く存在する。 

近年、負極を除去し、リチウムイオン(Li+)を負極集電体上にリチウム金属
などに直接析出させる貯蔵型方式の無負極全固体電池に関する研究も進められて
いる。ただし、無負極全固体電池は、リチウムイオンが負極集電体上に均一に析
出されないため、不活性リチウム(Dead lithium)が形成されるなどの問題があ
る。本発明は、常温でも正常に充放電が可能な無負極全固体電池及びその製造方
法を提供することを目的とする。下図1のごとく、本発明の一実施例に係る全固
体電池は、負極集電体と、前記負極集電体上に位置する中間層と、前記中間層上
に位置する固体電解質層と、前記固体電解質層上に位置し、リチウムイオンを吸
蔵及び放出する正極活物質を含む正極活物質層と、前記正極活物質層上に位置す
る正極集電体と、を含み、前記中間層は、炭素材及びリチウム合金を含んでもよ
い。
前記リチウム合金は、リチウムと、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(P
d)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、
スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、及びこれらの組み合わせからなる群れから選択さ
れた少なくとも1つを含む金属との合金を含んでもよい。前記リチウム合金の粒
度(D50)は、50nm以下であってもよい。 前記中間層は、放電状態で前記
リチウム合金を含んでもよい。中間層は、前記炭素材30重量%~85重量%及
び、前記リチウム合金15重量%~70重量%を含んでもよい。
中間層は、それぞれ前記炭素材及びリチウム合金を含む複数の層から構成された
ものであってもよい。 
中間層の各層は、層間界面で互いに区分されており、前記層間界面は、リチウム
イオンは通過させ、前記リチウム合金は通過させないものであってもよい。中間
層の厚さは、3μm~30μmであってもよい。 記全固体電池は、駆動温度が
40℃以下のものであってもよい。本発明の一実施例に係る全固体電池の製造方
法は、負極集電体、前記負極集電体上に位置し、炭素材及びリチウムと合金を形
成し得る金属を含む前駆体層、前記前駆体層上に位置する固体電解質層、前記固
体電解質層上に位置し、リチウムイオンを吸蔵及び放出する正極活物質を含む正
極活物質層及び前記正極活物質層上に位置する正極集電体を含む積層体を準備す
るステップと、積層体を充電して前記金属とリチウムとの合金反応を起こすこと
により、前記炭素材及びリチウム合金を含む中間層を形成するステップと、を含
んでもよい。
前記金属は、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)
銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、亜鉛(
Zn)、及びこれらの組み合わせからなる群れから選択された少なくとも1つを
含んでもよい。製造方法は、前記積層体を45℃~60℃で充電するものであっ
てもよい。製造方法は、積層体を2.5V~4.25Vの電圧範囲で、0.1C
~1Cの充電率で、SoC(State of charge)10%以下で充電して金属とリチ
ウムとの合金反応を起こすことであってもよい。 
記製造方法は、前駆体層をそれぞれ前記炭素材及び金属を含む複数の層から構成し
て、前記中間層をそれぞれ前記炭素材及びリチウム合金を含む複数の層から形成
することであってもよい。


図3.本発明に係る中間層の第2実施例
【符号の説明】
10:負極集電体 20:中間層 30:固体電解質層 40:正極活物質層 50:
陽極集電体 60:前駆体層
【発明の効果】
本発明によれば、常温でも正常に充放電が可能な無負極全固体電池を得ることが
できる。本発明の効果は、前述の効果で限定されない。本発明の効果は、以下の
説明で推論可能な全ての効果を含むものと理解されるべきである。

【発明を実施するための形態】 
以上の本発明の目的、他の目的、特徴及び利点は、添付の図面に関連する以下の
好ましい実施例を通じて容易に理解することができる。しかし、本発明は、ここ
で説明される実施例に限定されず、他の形態で具体化されてもよい。むしろ、こ
こで紹介される実施例は、開示された内容が徹底かつ完全になるように、そして、
通常の技術者に本発明の思想が 十分に伝達されるようにするために提供されるも
のである。 
図1は、本発明に係る全固体電池を示すものである。これを参照すると、前記全
固体電池は、負極集電体10、前記負極集電体10上に位置する中間層、前記中
間層20上に位置する固体電解質層30、前記固体電解質層30上に位置する正
極活物質層40及び前記正極活物質層40上に位置する正極集電体50を含んで
もよい。 
図1は、前記全固体電池の放電状態を示すものである。前記全固体電池を充電す
ると、前記正極活物質層40から放出されたリチウムイオン(Li+)は、前記
固体電解質層30を介して前記中間層20に移動する。その後、前記リチウムイ
オンは、前記負極集電体10と中間層20との間及び/または前記中間層20の
内部に析出及び貯蔵されてリチウム金属層(図示せず)を形成することができる。
前記負極集電体10は、電気伝導性のある板状の基材であってもよい。具体的に
は、前記負極集電体10は、シート、薄膜またはホイルの形態を有するものであ
ってもよい。

前記負極集電体10は、リチウムと反応しない素材を含んでもよい。具体的には、
前記負極集電体10は、Ni、Cu、SUS(Stainless steel)、及びこれらの組
み合わせからなる群れから選択された少なくともいずれか一つを含んでもよい。
従来技術で負極集電体上に炭素材、金属などを含むコーティング層を形成すると、
負極集電体上にリチウム金属を均一に析出することができるという結果が報告さ
れている。具体的には、充放電の初期にリチウムイオンと金属のリチウム化(Lit-
hiation
)反応が起こって合金が形成され、前記合金がリチウムイオンの円滑な伝
導及び均一な析出を誘導す
るということである。ただし、前記のようなリチウム
化反応は、約45℃以上の高温でのみ起こるため約25℃の常温では、前記の
ような無負極全固体電池が正常に駆動しない

図2

図2は、本発明に係る中間層20の第1実施例を示すものである。本発明は、前
記従来技術の問題点を解決するために、前記負極集電体10上に炭素材21及び
リチウム合金22を含む中間層20を適用したことを特徴とする。 
前記リチウム合金22は、前記中間層20内でリチウムイオンの移動経路を提供
することができる。特に、前記中間層20は、放電状態で前記リチウム合金22
を含んでもよい。すなわち、従来技術に係る無負極全固体電池とは異なり、本発
明は、充電の初期に前記リチウム合金22を形成するためのリチウムイオンと金
属とのリチウム化反応を必要としない。したがって、本発明に係る全固体電池を
常温で充電するとき、リチウムイオンは、前記中間層20内で前記リチウム合金
22を介して円滑に移動することができる。ここで、「放電状態」とは、前記全
体電池の容量残量が15%以下、または10%以下、または5%以下、または
ゼロとなる状態を意味する。
前記リチウム合金22は、リチウムと、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(
Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi
)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、及びこれらの組み合わせからなる群れから選
択された少なくとも1つを含む金属との合金を含んでもよい。前記リチウムと金
属の比率は特に制限されない。例えば、前記リチウム合金は、前記リチウムと金
属が0.1~99.9:0.1~99.9の重量比で合金化したものであっても
よい。
前記リチウム合金22の粒度D50は、50nm以下であってもよい。前記粒度
D50の下限は、特に制限されず、例えば、5nm以上、または10nm以上、
または20nm以上であってもよい。
前記炭素材21は、非晶質炭素(Amorphous carbon)を含んでもよい。非晶質
炭素は特に制限されないが、例えば、ファーネスブラック(furnace black)、ア
セチレンブラック(acetylene black)、ケッチェンブラック(ketjen black)な
どを含んでもよい。中間層20は、30重量%~85重量%の炭素材21及び
15重量%~70重量%のリチウム合金22を含んでもよい。リチウム合金22の
含有量が15重量%未満であると、間層20内のリチウムイオンの移動が滑らか
でないことがあり、その含有量が70重量%を超えると、分散性が低下すること
もある。
一方、具体的なメカニズムは究明されていないが、リチウム合金22は、その形
成過程で前記中間層20内に均一に分布せず、図2のように前記負極集電体10
側に移動する様子を示す。したがって、中間層20は、その厚さ方向に前記リチ
ウム合金22の含有量が高い部分と低い部分とに区分される。結果として、中間
層20のうち、リチウム合金22の含有量が低い部分ではリチウムイオンの移動
が滑らかでないことがある。
殿出図3は、本発明に係る中間層20’の第2実施例を示すものである。これを
参照すると、中間層20’は、それぞれ前記炭素材21’及びリチウム合金22’
を含む複数の層から構成されたものであってもよい。図3は、前記中間層20’
を2つの層で示しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、層の個
数は全固体電池の仕様、目的とする特性に応じて適宜調節することができる。

中間層20’の複数の層は、層間界面Aで互いに区分されてもよい。層間界面A
は抽象的または観念的な構成ではなく、各層を物理的に区分する界面を意味する。
したがって、前記中間層20’の製造過程において、各層に含まれたリチウム合
金22’が負極集電体10側に移動する挙動が見せても、前記層間界面Aを通過す
ることはできない。結果として、第2実施例に係る中間層20’は、その厚さ方
向にリチウム合金22’の含有量の分布に大きく差がないため、リチウムイオン
が円滑に移動することができる。また、リチウム合金22’が負極集電体10側
に移動して各層内にリチウム合金22’の含有量が低い部分が生じても、その距
離が短いため、全体としてのリチウムイオンの伝導度には大きな影響を与えない。 

一方、前記リチウム合金22’は、層間界面Aを通過できないだけで、前記層間
界面Aの周囲に分布しているため、リチウムイオンは前記層間界面Aを通過する
ことができる。前記中間層20の厚さは、3μm~30μmであってもよい。厚
さが3μm未満であると、リチウムイオンの均一な析出及び貯蔵が難しく、30
μmを超えると、リチウムイオンの移動が円滑でなく、全固体電池のエネルギー
密度が低くなることがある。前述のように、本発明に係る全固体電池は、放電状
態で前記中間層20にリチウムイオンを伝導できるリチウム合金22が存在する
ため、高温で充放電をする必要がない。すなわち、前記全固体電池の駆動温度は
40℃以下であってもよい。駆動温度の下限は、特に制限されず、本発明の属す
る技術分野において、通常考慮される電池の駆動温度の下限と同一または類似し
ていてもよい。前記固体電解質層30は、前記正極活物質層40から前記中間層
20にリチウムイオンを伝導する構成であってもよい。
前記固体電解質層30は、リチウムイオン伝導性のある固体電解質を含んでもよ
い。固体電解質は、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質、高分子電解質、
及びこれらの組み合わせからなる群れから選択された少なくとも1つを含んでも
よい。ただし、リチウムイオン伝導度の高い硫化物系固体電解質を用いることが
好ましい。前記硫化物系固体電解質は、特に制限されないが、Li2S-P2S5、Li
2S-P2S5-LiI、Li2S-P2S5-LiCl、Li2S-P2S5-LiBr、Li2S-P2S5-Li
2O、Li2S-P2S5-Li2O-LiI、Li2S-SiS2、Li2S-SiS2-LiI、Li2S-SiS2-
LiBr、Li2S-SiS2-LiCl、Li2S-SiS2-B2S3-LiI、Li2S-SiS2-P2S5-LiI
、Li2S-B2S3、Li2S-P2S5-ZmSn(ただし、m、nは、正の数、Zは、Ge、Zn、G
aのうち、1つ)、Li2S-GeS2、Li2S-SiS2-Li3PO4、Li2S-SiS2-LixMOy(
ただし、x、yは、正の数、Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのうち、1つ)、Li10GeP2S
12などを含んでもよい。 前記酸化物系固体電解質は、ペロブスカイト型(perovskite)
LLTO(Li3xLa2/3-x
TiO3)、リン酸塩(phosphate)系のナシコン(NASICON)
型LATP(Li1+xAlxTi2-x(PO4)3
)などを含んでもよい。 前記高分子電解質は、
ゲル高分子電解質、固体高分子電解質などを含んでもよい。 
前記正極活物質層40は、正極活物質、固体電解質、伝導材、バインダーなどを
含んでもよい。前記正極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出する
構成である。前記正極活物質は、酸化物活物質または硫化物活物質を含んでもよ
い。 【0052】 前記酸化物活物質は、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、LiVO2、
Li1+xNi1/3Co1/3Mn1/3O2
などの岩塩層型活物質、LiMn2O4、Li
(Ni0.5Mn1.5)O4などのスピネル型活物質、LiNiVO4、Li
CoVO4などの逆スピネル型活物質、LiFePO4、LiMnPO4、Li
CoPO4、LiNiPO4などのオリビン型活物質、Li2FeSiO4、
Li2MnSiO4などのケイ素含有活物質、LiNi0.8Co(0.2-x
)AlxO2(0<x<0.2)のように遷移金属の一部を異種金属で置換した岩
塩層型活物質、Li1+xMn2-x-yMyO4(Mは、Al、Mg、Co、
Fe、Ni、Znのうち少なくとも一種であり、0<x+y<2)のように、遷
移金属の一部を異種金属で置換したスピネル型活物質、Li4Ti5O12など
のチタン酸リチウムを含んでもよい。 前記硫化物活物質は、銅シェブレル、硫化
鉄、硫化コバルト、硫化ニッケルなどを含んでもよい。

前記固体電解質は、酸化物固体電解質または硫化物固体電解質を含んでもよい。
ただし、リチウムイオン伝導度の高い硫化物系固体電解質を用いることが好まし
い。前記硫化物系固体電解質は、特に制限されないが、Li2S-P2S5、Li2S-
P2S5-LiI、Li2S-P2S5-LiCl、Li2S-P2S5-LiBr、Li2S-P2S5-Li2O、
Li2S-P2S5-Li2O-LiI、Li2S-SiS2、Li2S-SiS2-LiI、Li2S-SiS2-LiBr、
Li2S-SiS2-LiCl、Li2S-SiS2-B2S3-LiI、Li2S-SiS2-P2S5-LiI、Li2S
-B2S3、Li2S-P2S5-ZmSn(ただし、m、nは、正の数、Zは、Ge、Zn、Gaのうち
、1つ)、Li2S-GeS2、Li2S-SiS2-Li3PO4、Li2S-SiS2-LixMOy(ただし、
x、yは、正の数、Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのうち、1つ)、Li10GeP2S12
など
であってもよい。
前記導電材は、カーボンブラック(Carbon black)、伝導性グラファイト(Cond
ucting graphite
)、エチレンブラック(Ethylene black)、グラフェン(Graphene)
などであってもよい。 前記バインダーは、 BR(Butadiene rubber)、NBR(Nitrile but-
adiene rubber)、HNBR(Hydrogenated nitrile butadiene rubber)、PVDF(polyv-
inylidene difluoride)、PTFE(polytetrafluoroethylene)、CMC(carboxymethylce-
llulose)であってもよい。  前記正極集電体50は、電気伝導性のある板状の基材であっ
てもよい。前記正極集電体50は、アルミニウム薄板(Aluminium foil)を含んで
もよい。 

図4.
図4は本発明に係る全固体電池の製造方法を説明するための参考図である。図1
及び図4を参照すると、前記製造方法は、負極集電体10、前記負極集電体10
上に位置し、炭素材及びリチウムと合金を形成し得る金属を含む前駆体層60、
駆体層60上に位置する固体電解質層30、前記固体電解質層30上に位置する
正極活物質層40及び前記正極活物質層40上に位置する正極集電体50を含む
積層体を準備するステップと、前記積層体を充電して前記金属とリチウムとの合
金反応を起こすことによって前記炭素材及びリチウム合金を含む中間層20を形
成するステップと、を含んでもよい。
 前記積層体の各層を製造する方法は、特に制限されず、乾式または湿式で製造し
てもよい。例えば、各層の材料を粉末状態で混合した後、一定の圧力で加圧する
か、スラリーに作った後、基材上に塗布及び乾燥して製造してもよい。 前記金属
は、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(A
g)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、
及びこれらの組み合わせからなる群れから選択された少なくとも1つを含んでも
よい。

前記前駆体層60をそれぞれ前記炭素材及び金属を含む複数の層から構成すると、
図3のように複数の層から構成された中間層20’を形成することができる。 【
図4を参照すると、前記積層体を充電すると、前記正極活物質層40から放出さ
れたリチウムイオンが固体電解質層30を介して前駆体層60に移動する。前記
リチウムイオンは、前記前駆体層60の金属とリチウム化反応してリチウム合金
を形成する。
前記リチウム化反応を起こすために、前記積層体の充電は45℃~60℃で行っ
てもよい。前記積層体を45℃未満の温度で充電すると、リチウム合金が形成さ
れないこともある。また、前記積層体の充電は、2.5V~4.25Vの電圧範
囲、0.1C~1Cの充電率、10%以下のSoC(State of charge)の条件で
行ってもよい。ここで、「SoC」は、充電状態を意味し、現在、使用可能な電
池の容量を総容量で割って百分率で表現したものであってもよい。前記SoCは、
電圧測定法または電流積分法によって測定することができる。前記電圧測定法は、
電池の電圧を測定し、放電曲線と対照して計算するものであってもよい。前記電
流積分法は、電池の電流を測定した後、時間に応じて積分して計算することができ
。 

前記リチウム合金を形成するリチウムイオンは、以降、全固体電池の常温駆動時
に再び正極活物質に戻ることなく、リチウム合金として存在する。したがって、
積層体の充電をSoC10%超過条件で行うと、正極活物質に残っているリチウ
ムイオンの量が減り、電池の容量が低下することがある。また、前記のような問題
点を解決するために、リチウム合金を過量投入するか、正極活物質のローディン
グ量を高めることもできる。特に、正極活物質のローディング量を高めて正極の
容量が負極に比べて大きくなると、正極容量が全て発現しても負極の電位がリチ
ウム合金が分解する電位まで上がらないため、前記のような問題が生じることを
効果的に防止することができる。

以下、実施例を通じて本発明の他の形態をより具体的に説明する。下記の実施例は
、本発明の理解のための例示に過ぎず、本発明の範囲は、これに限定されるもの
ではない。
実施例1 図4のような積層体を準備した。具体的には、負極集電体上に炭素材及
び銀(Ag)を含む前駆体層を形成した。前記前駆体層上に、硫化物系固体電解
質を含む固体電解質層を形成した。前記固体電解質層上にニッケル-コバルト-
マンガン正極活物質を含む正極活物質層を形成した。前記正極活物質層上に正極
集電体を付着して積層体を作製した。 
前記積層体を、約50℃で、2.5V~4.25Vの電圧範囲、及び0.33C
の充電率で充電してリチウム-銀合金を含み、厚さが約5μm~10μmであり、
単層である中間層を形成した。前記中間層を含む全固体電池を実施例1として設
定した。

実施例2 前駆体層を2層から形成したことを除いては、実施例1と同様の方法で
積層体を製造した。 前記積層体を実施例1と同一の条件で充電してリチウム-銀
合金を含み、厚さが約5μm~10μmであり、2層である中間層を形成した。
前記中間層の各層の厚さは互いに同一に調節した。前記中間層を含む全固体電池
を実施例2として設定した。比較例 実施例1の積層体を比較例として設定した。


図5.
図5は、実施例1に係る全固体電池の断面を走査電子顕微鏡及びエネルギー分散
X線分光法(Energy dispersive X-Ray spectrometer、EDS)で分析した結果
である。

図6.
図6は、実施例2に係る全固体電池の断面を走査電子顕微鏡及びエネルギー分散
X線分光法(EDS)で分析した結果である。
図5のEDS結果を参照すると、実施例1は、中間層の厚さ方向に負極集電体側
に銀(Ag)元素が多く存在することが分かる。すなわち、実施例1の中間層は、
リチウム-銀合金がその製造過程で負極集電体側に移動して含有量の勾配が生じ
たことが分かる。
これに対し、図6のEDS結果を参照すると、実施例2は、中間層の厚さ方向に
銀(Ag)元素が均一に分布することが分かる。すなわち、実施例2では、層間
界面によりリチウム-銀合金の移動が抑制され、前記中間層の厚み方向にリチウ
ム-銀合金が均一に存在する。

実施例1、実施例2及び比較例に係る全固体電池を、約25℃で、SoC100
%となるように充電した。 

図7aは、比較例に係る全固体電池を充電した後、その断面をイオンビーム断面
加工機-走査電子顕微鏡(Cross section polisher-Scanning electron micro-s
cope、CP-SEM
)で分析した結果である。これを参照すると、比較例は、リチウ
ムイオンが前駆体層を通過することができず、固体電解質層と中間層との間で電
着したことが分かる。これは、常温充電により、リチウムイオンが比較例の前駆
体層に含まれた銀(Ag)とリチウム化反応ができなかったためである。リチウ
ムイオンが固体電解質層と中間層との間に電着すると、樹脂状リチウムが成長して
電池の短絡が生じる可能性がある。 


図7b
図7bは、実施例1に係る全固体電池を充電した後、その断面をイオンビーム断
面加工機-走査電子顕微鏡(CP-SEM)で分析した結果である。これを参照す
ると、実施例1は、リチウムイオンが中間層に移動してその内部に電着したこと
が分かる。したがって、実施例1に係る全固体電池は、常温でも樹脂状リチウム
の成長を抑制しながら、可逆的な充放電が可能であることを確認することができ

図7c
図7cは、実施例2に係る全固体電池を充電した後、その断面をイオンビーム断
面加工機-走査電子顕微鏡(CP-SEM)で分析した結果である。これを参照
すると、実施例2は、リチウムイオンが中間層と負極集電体との間に高密度に電
着したことが分かる。これは、実施例2の中間層には、リチウム合金が均一に分
布するため、リチウムイオンが前記中間層内で円滑に移動したためである。 


図8
図8は、実施例1、実施例2及び比較例に係る全固体電池の容量を測定した結果
である。前記容量は、各全固体電池を、約25℃で、2.5V~4.25Vの電
圧範囲で充放電して測定した。これを参照すると、実施例1及び実施例2が、比
較例に比べて充電容量が高く、抵抗が低いことが分かる。これは、実施例1及び
実施例2が比較例に比べてリチウムイオンの伝導性が高く、電着特性が改善され
たためである。

図9
図9は、実施例1、実施例2及び比較例に係る全固体電池の耐久性を評価した結
果である。各全固体電池を、約25℃で、2.5V~4.25Vの電圧範囲で充
放電し、各サイクルにおける容量保持率を測定した。これを参照すると、実施例
1及び実施例2が比較例に比べて容量保持率が高いことが分かる。これは、実施
例1及び実施例2においてリチウムが均一に電着するためである。特に、実施例
2は、30回の充放電を基準として約95%に達する容量保持率を示す。これは、
図7cから分かるように、実施例2は、リチウムが中間層と負極集電体との間に
リチウムが高密度に電着して可逆性が高いためである。

以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は前述の実
施例に限定されず、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用
いた当業者の種々の変形及び改良形態も、本発明の権利範囲に含まれる。
【関係技術情報】 リチウム カーボン 負極 是津信行 橋本剛社長 CNT(カー
ボンナノチューブ)搭載の高性能バッテリーが世界を席巻する日。 2021年5月19
日、信州大学が強みを持つ炭素素材カーボンナノチューブ(CNT)を電極に使用し
た、新たな高性能リチウムイオンバッテリーを開発・製造する信州大学発ベンチ
ャー、信州ボルタ(株)が事業を開始


【今夜の一冊】



全員、生き残るための工夫がすご過ぎる。海獣学者が解きあかす、すばらしき繁
殖戦略。
目次 1章 クジラの歌を聴け―海の哺乳類の求愛戦略(背ビレの大きさこそ強
さの証;ソングを奏でて振り向かせる ほか)
2章 ゴリラの背中を見よ―陸の哺乳類の求愛戦略(銀色に光る背中は成熟のし
るし;強いオランウータンは顔がでかい ほか)
3章 ヤギの交尾を見逃すな―オスの繁殖戦略(哺乳類最大の陰茎をもつセミク
ジラ;ヤギの交尾を見逃すな ほか)
4章 イルカは逆子で産みたい―メスの繁殖戦略(最も単純な子宮をもつ者;大
きく育てて1頭を産むウマ ほか)
5章 子ゾウは、笑う―子どもの生存戦略(子ゾウは、笑う;子どもを抱いて授
乳するジュゴン ほか)
田島木綿子[タジマユウコ]
国立科学博物館動物研究部脊椎動物研究グループ研究主幹。筑波大学大学院生命
環境科学研究科准教授。博士(獣医学)。1971年生まれ。日本獣医生命科学
大学(旧日本獣医畜産大学)獣医学科卒業。学部時代にカナダのバンクーバーで
出合った野生のオルカ(シャチ)に魅了され、海の哺乳類の研究者として生きて
いくと心に決める。



地球という名の都  ASKA 
2023.01.08 
作詞/作曲:ASKA/澤野 弘之



今夜の寸評: 


 

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新成長経済理論考 ⑰

2023年12月16日 | デジタル革命渦論



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。



     薄紅の莟咲かせる山茶花や 椿寄り添う小さき庭先
                          

    山茶花はつぎつぎ紅き莟もてり咲きをはるべきときの知らなく
                    中村憲吉『軽雷集以後』 

※中村憲吉(1889年1月25日 - 1934年5月5日)、三次中学(現広島県立三次高等
学校)に学ぶ。仲間と発行した回覧雑誌「白帆」に、随想や俳句を掲載。その後、
鹿伊藤左千夫に師事、「アララギ」の同人として活躍。歌集「馬鈴薯ばれいしょ
の花」(島木赤彦と共著)「林泉集」「しがらみ」「軽雷集」など。

【今夜のひとり鍋:ミネステロ-ネ鍋】



  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era

新成長経済理論考 ⑰
 高付加価値としての再エネ事業の選択と集中

【全固体型リチウム電池特許事例1】


表面改質  形態制御
SEI分析(Solid Electrolyte Interphase)  全固体リチウム電池
図 二次電池負極SEI被膜の元素分布評価・化学状態評価
  
1.特開2023-175568 不織布補強固体電解質シート及び不織布補強固体電解質
ートの製造方法(審査前)
【概要】
リチウムイオン電池は、パーソナルコンピューター、スマートフォン、リスト型
活動量測定装置、さらにはグリッドエネルギー貯蔵装置や電気自動車などの主要
なエネルギー貯蔵装置として、広く採用されている。従来、リチウムイオン電池
の電解質として、有機液体電解質が使用されてきたが、有機液体電解質は人体に
有害であることから漏洩防止に万全を期す必要がある。また、アノード上におけ
るデンドライト形成や副反応による短絡という問題もある。そこで、有機液体電
解質に代わる電解質として、固体電解質を用いた全固体リチウム電池が検討され
ている。
固体電解質として、ポリオキシエチレン(POE)等の固体高分子電解質が知ら
れている。固体高分子電解質は、厚くてもろい固体セラミック電解質に比べて、
柔軟性が高く、製造が容易で、電極との界面抵抗が小さいという利点がある。特
許文献1(特開2004-178995※却下処理)には、ポリオキシエチレン鎖を有する
高分子化合物及びリチウム塩を含んでなる固体高分子電解質とリチウム塩を含む
固体高分子電解質が記載されている。 しかしながら、特許文献1に記載されて
いる固体高分子電解質は、厚さが100~1000μmと厚い。リチウムイオン
電池に求められる、高い体積エネルギー密度と長いサイクル寿命という要求を満
たすためには、薄く、均一な厚さの固体高分子電解質が必要である。しかし、薄
く、均一な厚さの固体高分子電解質を製造することは、容易ではない、という課
題がある。
固体高分子電解質の厚さを薄くすることにより、機械的特性は損なわれる傾向に
ある。すなわち、固体高分子電解質を薄くすることにより、固体電解質シートの
引張強度は低下し、また、熱安定性も失われることになる。本発明の目的は、薄
膜化が可能であり、薄膜化しても高い引張強度を有し、さらに高い熱安定性を有
する不織布補強固体電解質シートを提供すること、及び、そのような不織布補強
固体電解質シートの製造方法を提供することである。

下図1 のごとく 不織布補強固体電解質シート1は、二層不織布基材10と、固
体高分子40と、前記固体高分子40に分散されたリチウム塩50と、を含む。
さらに、前記二層不織布基材10は、ポリエチレンテレフタレートのマイクロ繊
維22を含むマイクロ繊維層20と、前記マイクロ繊維層20の一方の面に形成
され、ポリフッ化ビニリデンのナノ繊維32を含むナノ繊維層30を含んでもよ
い、薄膜化が可能であり、薄膜化しても高い引張強度を有し、さらに高い熱安定
性を有する不織布補強固体電解質シート及び不織布補強固体電解質シートの製造
方法の提供。


図1.実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を説明するために示す図

【符号の説明】  1…不織布補強固体電解質シート,10…二層不織布基材,
20…マイクロ繊維層,22…マイクロ繊維,30…ナノ繊維層,32…ナノ繊
維,40…固体高分子,50…リチウム塩,100…電界紡糸装置,110…シ
リンジ,112…キャピラリーチップ,120…コレクタ,130…電源装置,
200…キャスティング装置,210…ガラス基板,220…ドクターブレード

【特許請求範囲】
【請求項1】 二層不織布基材と、固体高分子と、前記固体高分子に分散されたリ
チウム塩と、を含むことを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
【請求項2】 請求項1に記載の不織布補強固体電解質シートであって、 前記二
二層
不織布基材は、ポリエチレンテレフタレートを含むマイクロ繊維を有する
マイクロ繊維層と、前記マイクロ繊維層の一方の面に形成され、ポリフッ化ビニ
リデンを含むナノ繊維を有するナノ繊維層と、を含むことを特徴とする、不織布
補強固体電解質シート。
請求項3】 請求項2に記載の不織布補強固体電解質シートであって、 前記マ
イクロ繊維は、異なる融点を有する2種類のポリエステルを含み、前記2種類の
ポリエステルのうちの少なくとも一つは前記ポリエチレンテレフタレートである
ことを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
【請求項4】 請求項2又は3に記載の不織布補強固体電解質シートであって、
前記マイクロ繊維は、延伸したポリエチレンテレフタレートと延伸していないポ
リエチレンテレフタレートとを含むマイクロ繊維、及び/又は、芯鞘構造を有す
るマイクロ繊維であって芯部が前記ポリエチレンテレフタレートを含み鞘部が前
記ポリエチレンテレフタレートより融点の低いエステルを含むマイクロ繊維を含
む、ことを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。

【請求項5】 請求項2に記載の不織布補強固体電解質シートであって、 前記マ
イクロ繊維は、1μm~20μmの平均直径を有し、前記ナノ繊維は、50nm
~300nmの平均直径を有することを特徴とする、不織布補強固体電解質シー
ト。
【請求項6】 請求項1に記載の不織布補強固体電解質シートであって、 前記
二層不織布基材は孔を有し、前記孔の平均孔径は、0.1μm以上3μm未満で
あることを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
【請求項7】 請求項1に記載の不織布補強固体電解質シートであって、 前記固
体高分子は、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリメチル
メタクリレート、ポリカーボネート、ポリシロキサン、デンプン、糖、繊維、ポ
リビニルアルコール、ポリホスファゼン、及び、ポリスチレンからからなる群か
ら選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする、不織布補強固体電解質シ
ート。
【請求項8】 請求項1に記載の不織布補強固体電解質シートであって、 前記リ
チウム塩は、LiTFSI、LiPF6、LiN(CF3SO2)2、Li(C
F3SO2)3C、LiN(SOCFCF)、及び、LiB(CO)からなる群から
選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする、不織布補強固体電解質シー
ト。
【請求項9】 請求項1に記載の不織布補強固体電解質シートであって、 前記固
体高分子と前記リチウム塩との質量比が4:1~26:1であることを特徴とす
る、不織布補強固体電解質シート。
【請求項10】 ポリエチレンテレフタレートを含むマイクロ繊維を有するマイ
クロ繊維層を形成する工程と、 前記マイクロ繊維層の一方の面にポリフッ化ビ
ニリデンを含む溶液をエレクトロスピニング法により適用してポリフッ化ビニリ
デンを含むナノ繊維を有するナノ繊維層を形成して二層不織布基材を得る工程と、
前記二層不織布基材のマイクロ繊維層の側からリチウム塩が分散された固体電解
質をキャスティングするキャスティング工程と、 を含むことを特徴とする、不
織布補強固体電解質シートの製造方法。
【請求項11】 請求項10に記載の不織布補強固体電解質シートの製造方法で
あって、 前記固体電解質がキャスティングされた前記二層不織布基材をホット
プレスするホットプレス工程をさらに有することを特徴とする、不織布補強固体
電解質シートの製造方法。
【請求項12】 請求項11に記載の不織布補強固体電解質シートの製造方法で
あって、 前記ホットプレス工程は、前記二層不織布基材を、80℃~120℃の
温度範囲、かつ20MPa~30MPaの圧力範囲で、10秒~120秒間、加
圧する工程であることを特徴とする、不織布補強固体電解質シートの製造方法。

【発明を実施するための形態】
本発明に係る不織布補強固体電解質シート及び不織布補強固体電解質シートの製
造方法について、説明する。以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る
発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている諸要素及び
その組み合わせの全てが本発明に必須であるとは限らない。

1.不織布補強固体電解質シート
1-1.全体構成
図1は、実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を説明するために示す図
である。図1(a)は、実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1の概略図
である。図1(b)は、不織布補強固体電解質シート1をマイクロ繊維層20の
面から撮影した電子顕微鏡写真であり、図1(c)は、不織布補強固体電解質シ
ート1をナノ繊維層30の面から撮影した電子顕微鏡写真であり、図1(d)は
、不織布補強固体電解質シート1の断面の電子顕微鏡写真である。不織布補強固
体電解質シート1の表面、及び、断面の観察は、日本電子株式会社(JEOL)
の走査型電子顕微鏡(SEM)JSM-60を用いて行った。
 不織布補強固体電解質シートは、図1(a)に示すように、二層不織布基材1
0と、固体高分子40と、固体高分子40に分散されたリチウム塩50とを含む。
より具体的には、二層不織布基材10は、ポリエチレンテレフタレート(PET
)を含むマイクロ繊維22を有するマイクロ繊維層20と、ポリフッ化ビニリデ
ン(PVDF)を含むナノ繊維32を有するナノ繊維層30と、を有する

不織布補強固体電解質シートは、図1(a)に示すように、二層不織布基材10
と、固体高分子40と、固体高分子40に分散されたリチウム塩50とを含む。
より具体的には、二層不織布基材10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)
を含むマイクロ繊維22を有するマイクロ繊維層20と、ポリフッ化ビニリデン
(PVDF)を含むナノ繊維32を有するナノ繊維層30と、維層30とを有す
る。

図2.実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を構成する二層不織布基材
10を説明するために示す図

1-2.二層不織布基材
図2は、実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を構成する二層不織布基
材10を説明するために示す図である。図2(a)は、実施形態に係る二層不織
布基材10の概略図である。図2(b)は、二層不織布基材10の断面の電子顕
微鏡写真である。 【0029】 二層不織布基材10は、図2(a)に示すよう
に、マイクロ繊維層20と、マイクロ繊維層20の一方の面に形成されたナノ繊

1-2-1.マイクロ繊維層
マイクロ繊維層20は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分として
含むマイクロ繊維22を有する。ここでポリエチレンテレフタレート(PET)
とは、エチレングリコールとテレフタル酸との脱水縮合によって得られるポリエ
ステルである。 なお、本明細書において「主成分」とは、対象としてみるもの
(繊維等)の重量の半分より多い重量を占める成分のことをいう。また、本明細
書において、「ある繊維」について「主に含む」とは、繊維の過半が「ある繊維
」であることをいう。 マイクロ繊維22は、異なる融点を有する2種類のポリエ
ステルを含むことが好ましい。マイクロ繊維22が、異なる融点を有する2種類
のポリエステルを含む場合、2種類のポリエステルのうちの少なくとも一つはポ
リエチレンテレフタレート(PET)である。
ポリエステルとは、ポリアルコールと多価カルボン酸とを脱水縮合して得られる
高分子である。ポリエステルは、主鎖にエステル結合を有する高分子であれば特
に制限なく使用することができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。
また、ポリエステルは、変性ポリエステルであってもよい。ポリエステルの例と
して、ポリエチレングリコール(PEG)、イソフタル酸とテレフタル酸との混
合物とエチレングリコールから得られるポリエステル、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチ
レンナフタレート等を例示することができる。 
マイクロ繊維22が異なる融点を有する2種類のポリエステルを含む例として、
延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)と延伸していないポリエチレン
テレフタレート(PET)とを含む場合を挙げることができる。 
この場合、延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)の融点は、延伸して
いないポリエチレンテレフタレート(PET)の融点より高い。これにより、
延伸していないポリエチレンテレフタレート(PET)がバインダーとして機能
し、マイクロ繊維層20にナノ繊維層20を形成するナノ繊維22を強固に接着
させることができる。この結果、不織布補強固体電解質シート1のイオン伝導性
を高めることができる。
また、マイクロ繊維22が異なる融点を有する2種類のポリエステルを含む他の
例として、マイクロ繊維22が芯部と鞘部とを有する芯鞘構造を有し、芯部がポ
リエチレンテレフタレート(PET)であり、鞘部がポリエチレンテレフタレー
ト(PET)より融点の低いアモルファスのポリエステルである場合を挙げるこ
とができる。
マイクロ繊維22は、鞘部を構成する融点の低いポリエステルがバインダーとし
て機能し、マイクロ繊維層20にナノ繊維層20を形成するナノ繊維22を強固
に接着させることができる。この結果、不織布補強固体電解質シート1のイオン
伝導性を高めることができる。一方、マイクロ繊維22の芯部はポリエチレンテ
レフタレート(PET)であることから、不織布補強固体電解質シート1の引張
強度を強固なものとすることができる。 マイクロ繊維22の平均直径は、1.0
μm~20.0μmの範囲内にあることが好ましく、2.0μm~5.0μmの
範囲内にあることがより好ましい。マイクロ繊維22の平均直径が上記数値の下
限以上であることにより、マイクロ繊維層20、さらには不織布補強固体電解質
シート1の機械的強度を大きくすることができる。また、マイクロ繊維22の平
均直径が上記数値の上限以下であることにより、マイクロ繊維層20を薄膜化す
ることができる。
マイクロ繊維22の平均繊維長は、例えば4mmである。
また、マイクロ繊維
層20におけるマイクロ繊維22の目付量は、例えば7g/m2~60g/m2
である。

図3.実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を構成する二層不織布基
材10の分析結果。
図3(a)は、マイクロ繊維層20の表面状態を示す電子顕微鏡写真である。図3
(b)は、マイクロ繊維層20に含まれるマイクロ繊維22の直径の分布を示す
図である。図3(c)は、ナノ繊維層30の表面状態を示す電子顕微鏡写真であ
る。図3(d)は、ナノ繊維層30に含まれるナノ繊維32の直径の分布を示す
図である。
マイクロ繊維層は、図3(a)及び図3(b)に示すように、直径が3.5±
0.8μmのマイクロ繊維22が積層していることがわかる。また、マイクロ繊
維22とマイクロ繊維22との間には隙間があり、マイクロ繊維22の間に形成
された隙間は連結して、実質的に孔を形成する。なお、図3(a)に示す電子顕
微鏡写真は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維22の目付
量が7g/m2のときの電子顕微鏡写真である。 

1-2-2.ナノ繊維層
ナノ繊維層30は、マイクロ繊維層20の一方の面に形成される。図2において
は、ナノ繊維層30は、図中、マイクロ繊維層20の下に形成されている。
ナノ繊維層30は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むナノ繊維32を有
する。ナノ繊維層30は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の繊維の重量がナ
ノ繊維層30の重量の半分以上を占めるものであることが好ましい。ナノ繊維層
30は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維32により構成されてい
ることがいっそう好ましい。
ナノ繊維32の平均直径は、50nm~300nmの範囲内であることが好まし
く、75nm~145nmの範囲内であることがより好ましい。ナノ繊維32の
平均直径が上記数値の上限以下であることにより、高い空隙率を実現することが
できる。また、ナノ繊維32の平均直径が上記数値の下限以上であることにより、
高い生産性を実現しつつ、ナノ繊維層30の強度を確保することができる。
 ナノ繊維層30におけるナノ繊維32の目付量は、例えば1g/m2~3g/
m2である。ナノ繊維32の平均直径は、ナノ繊維32を製造するときの製造条
件、具体的には、エレクトロスピニング法(電界紡糸法)によりナノ繊維32を
製造するときに、材料であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)の溶液を吐出さ
せるキャピラリーチップ112(図7参照)の内径を調整することにより、調整
可能である。なお、エレクトロスピニング法については、後で説明する。 


図7.実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1の製造方法において好適に
使用することができる電界紡糸装置100を示す模式図

ナノ繊維層は、図3(c)及び図3(d)に示すように、直径が110.6±
31μmのナノ繊維32が積層していることがわかる。また、それぞれのナノ繊
維32は相互に連結して三次元繊維構造を示している。ナノ繊維32とナノ繊維
32との間には隙間があり、ナノ繊維32の間に形成された隙間は連結して、実
質的に孔を形成する。なお、図3(c)に示す電子顕微鏡写真は、ポリフッ化ビ
ニリデン(PVDF)のナノ繊維32の目付量が1g/m2のときの電子顕微鏡
写真である。 
二層不織布基材10は、空隙率が60%~70%であることが好ましい。空隙率
の数値範囲が、上記数値範囲の下限以上であることにより、不織布補強固体電解
質シート1のイオン伝導度を十分に高くすることが可能となる。また、空隙率の
数値範囲が、上記数値範囲の上限以下であることにより、不織布補強固体電解質
シート1の機械的強度を高めることができる。 なお、空隙率は、試料をn-ブ
タノールに室温で10分間浸漬する試験を行うことにより算出することができる。
すなわち、空隙率(%)は、空隙率をPとし、Wwを浸漬前の試料の質量とし、
Wdを浸漬後の試料の質量とし、ρbをn-ブタノールの密度とし、Vを試料の
体積とするとき、P=((Ww-Wd)/ρbV)×100 という式で求める
ことができる。 
ナノ繊維層30は、ナノ繊維32を密に積層することにより、空隙率を高くするこ
とが好ましい。 

1-3.固体高分子
固体高分子40としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど
のポリエーテルを挙げることができる。固体高分子40は、上記したポリエーテ
ルに加え、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリシロキサン、デ
ンプン、糖、繊維、ポリビニルアルコール、ポリホスファゼン、及び、ポリスチ
レンを含んでいてもよい。固体高分子40は、架橋されていてもよい。 

1-4.リチウム塩
リチウム塩50としては、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタン)ス
ルホンイミド)、LiPF6(ヘキサフルオロリン酸リチウム)、LiN(CF
3SO2)2(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)、Li(
CF3SO2)3C(リチウムトリス(トリフルオロメチルスルホニルメチド)、
LiN(SOCFCF)、LiB(CO)、及び、これらの混合物、などを挙げるこ
とができる。 
固体高分子40とリチウム塩50との質量比は、4:1~26:1であることが
好ましい。固体高分子40とリチウム塩50との質量比が上記数値範囲内である
ことにより、リチウム塩が分散した固体高分子の粘度を適宜なものとすることが
でき、また不織布補強固体電解質シート1を製造するときのキャスティングなど
の後工程において、製造を容易なものとすることができる。 
さらに、固体高分子40、及び、リチウム塩50に加え、酸化物、セラミック、
硫化物、可塑剤などを含んでいてもよい。上記した酸化物等を含むことにより、
不織布補強固体電解質シート1のイオン伝導度を向上させることができる。
酸化物の例として、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、酸化チタ
ン(TiO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTi
O3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、カーボンナノチューブ、カーボン
量子ドット、などを挙げることができる。
セラミックの例として、ゼオライト、Li7La3Zr2O12(LLZO)、
Li6.4La3Zr1.4Ta0.6O12(LLZTO)、などを挙げるこ
とができる。 
硫化物の例として、Li10GeP2S12(LGPS)、Li10SnP2S
12(LSPS)、Li6.25PS5.25C10.25、Li2S-P2S
5)、などを挙げることができる。
可塑物の例として、ポリエチレングリコール、ポリエチレン、などを挙げることが
できる。

1-5.不織布補強固体電解質シート
図1(b)及び図1(c)からわかるように、不織布補強固体電解質シート1の
マイクロ繊維層20側の表面、及び、ナノ繊維層30側の表面は、平滑に形成
されている。固体電解質40及びリチウム塩50をキャスティングしたあとの二
層不織布基材10に対して、ホットプレスを行い、マイクロ繊維層20側の表面、
及び、ナノ繊維層30側の表面の凹凸をなくして平滑にしたことによるものであ
る。マイクロ繊維層20側の表面、及び、ナノ繊維層30側の表面を平滑な表面
にすることにより、電極との良好な接触を得ることができる。
不織布補強固体電解質シート1の厚さは、80μm以下であることが好ましく、
40μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることがさらに好ま
しい。不織布補強固体電解質シート1の厚さが上記数値範囲以下であることによ
り、固体電池の体積低減に貢献することができる。なお、実施形態に係る不織布
補強固体電解質シート1の厚さは、約23μmである。

2.評価、分析
2-1.二層不織布基材の熱質量分析
図4は、実施形態に係る二層不織布基材10の熱質量分析(TGA)による分析
結果を示す図である。図4において、グラフの横軸は温度(単位:℃)を、縦軸
は重量(単位:%)をそれぞれ示す。熱質量分析には、理学社の熱分析装置
Thermo plus TG 8200を使用した。 二層不織布基材10は、図
4に示すように、350℃までは、吸着水の蒸散によるわずかな重量減が認めら
れたのみで、安定であることがわかる。一方、350℃から450の間で、二層
不織布基材10の分解による重量減少が起きている。以上の結果より、二層不織
布基材10は350℃までの温度においては、構造を安定に維持できることが確
認できた。

図4.実施形態に係る二層不織布基材10の熱質量分析(TGA)による分析結
果を示す図

2-2.二層不織布基材の孔径分布
実施形態に係る二層不織布基材10は、上記したように、マイクロ繊維層20に
あっては、マイクロ繊維22とマイクロ繊維22との間に隙間を有し、マイクロ
繊維22の間に形成された隙間は連結して実質的に孔を形成する。また、ナノ繊
維層30にあっては、ナノ繊維32とナノ繊維32との間に隙間を有し、ナノ繊
維32の間に形成された隙間は連結して実質的に孔を形成する。
マイクロ繊維層に形成された孔、及び、ナノ繊維層に形成された孔の孔径は、
0.1μm以上3μm未満であることが好ましく、0.2μm以上1μm以下で
あることがより好ましい。 

図5.実施形態に係る二層不織布基材10の孔径分布を示す図

図5において、グラフの横軸は孔径(単位:μm)を示し、縦軸は分布(単位:
個)を示す。 孔径は1μmより小さく、平均孔径は約0.45μmである。孔
径が小さくなった原因は、マイクロ繊維層20側の方の面にナノ繊維層30が形
成されたためである。

3.不織布補強固体電解質シートの製造方法


図6、実施形態に係る不織布補強固体電解質シートの製造方法を示すフローチャ
ート
実施形態に係る不織布補強固体電解質シートの製造方法は、図6に示すように、
ナノ繊維層形成工程S10と、キャスティング工程S20と、ホットプレス工程
S30と、を含む。ナノ繊維層形成工程S10は、ポリエチレンテレフタレート
(PET)のマイクロ繊維を含むマイクロ繊維層20の一方の面に、ポリフッ化
ビニリデン(PVDF)を含むスピニング溶液を適用することにより、ポリフッ
化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維32を含むナノ繊維層30を形成する工程
である。 
マイクロ繊維層20は、上記した不織布補強固体電解質シート1におけるマイク
ロ繊維層20と同様のものであるため、詳細な説明は省略するが、ポリエチレン
テレフタレート(PET)のマイクロ繊維を含むマイクロ繊維層20は、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維を含む不織布として入手すること
が可能である。実施形態に係る不織布補強固体電解質シートの製造方法において
は、天間特殊製紙株式会社から入手したポリエチレンテレフタレート(PET)
のマイクロ繊維を含む不織布を使用した。ナノ繊維層形成工程S10においては、
まず、溶質の主成分としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むスピニング
溶液を準備する。
スピニング溶液は、ナノ繊維を形成するための高分子成分としては、ポリフッ化
ビニリデン(PVDF)のみを含むことが好ましい。また、スピニング溶液は、
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の他に、エレクトロンスピニングを補助するた
めの物質等を含んでいてもよい。例えば、スピニング溶液は、0.05wt%~
0.5wt%の過塩素酸テトラブチルアンモニウム(Tetrabutylam-
monium Perchlorate、TBAP)を含んでいてもよい。 
ナノ繊維層形成工程S10においては、エレクトロスピニング法(電界紡糸法)
により、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維32を含むナノ繊維層3
0を形成することができる。
図7 電界紡糸装置模式図
図7は、実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1の製造方法において好適
に使用することができる電界紡糸装置100を示す模式図である。 電界紡糸装
置100は、キャピラリーチップ112を取り付けたシリンジ110と、コレクタ
120と、電源装置130とを備える。シリンジ110としては2mL~10
mL、例えば5mLプラスチックシリンジを用いることができる。また、キャピ
ラリーチップ112としては、内径が0.4mm~0.8mm、例えば0.6mm
のものを用いることができる。 
コレクタ120としては、接地した回転型ドラムコレクタを用いる。紡糸時には、
コレクタ120をキッチンペーパー及びアルミ箔で覆うことが好ましい。 電源装
置130としては、例えば、松定プレシジョン株式会社のHar-100*12
を用いることができる。電源装置130のアノードとシリンジ110内のスピニ
ング溶液との間の電気的接続には、銅線132を好適に用いることができる。 
印加電圧及びキャピラリーチップ112とコレクタ120との間の距離(Tip
to Corrector Distance:TCD)は、紡糸するナノ繊維ごとに決定することが
できる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維を紡糸するとき
には、印加電圧及びTCDをそれぞれ10kV~20kV、及び、10cm~
20cmの範囲で適宜設定することができる。 のキャスティング工程S20に
進む前に、固体高分子40/リチウム塩50のゲルを調製する。固体高分子40/
リチウム塩50のゲルは、室温で固体高分子40とリチウム塩50とを溶媒に混
合し、均一で安定なゲルを形成するまで攪拌することにより調整する。ゲルを調
製するために使用する溶媒として、DMFとアセトンとの混合溶媒(DMF/ア
セトン=3/1~3/2(v/v))等を例示することができる。


図8.固体高分子40のキャスティングにおいて好適に使用することができるキ
ャスティング装置200の模式図

図8は、固体高分子40のキャスティングにおいて好適に使用することができる
キャスティング装置200の模式図である。キャスティング工程S20において
は、図8に示すように、二層不織布基材10に固体高分子40/リチウム塩50の
ゲルをキャスティングする。  図8に示すように、二層不織布基材10をガラス
基板210の上に置き、調製した固体高分子/リチウム塩ゲルを二層不織布基材
10上にキャスティングする。このとき、ナノ繊維層30が下にマイクロ繊維層
20が上になるように二層不織布基材10を配置しマイクロ繊維層20の面から
、固体高分子40/リチウム塩50のゲルをキャスティングすることが好ましい。
ャスティング工程S20において、ナノ繊維層20を二層不織布基材10の下側に
配置することで、固体高分子40/リチウム塩50のゲルをポリエチレンテレフ
タレート(PET)のマイクロ繊維22からなるマイクロ繊維層20の孔に貯留
することができ、緻密で薄膜化された不織布補強固体電解質シート1を形成するこ
とが可能になる。
固体高分子40/リチウム塩50のゲルのキャスティング方法として、スラリーコ
ーティング法やドクターブレード法などが挙げられ、その方法は特に限定されな
いが、固体高分子40/リチウム塩50ゲルを均一に分布させることができると
いう点で、ドクターブレード法によることが好ましい。 
固体高分子40/リチウム塩50のゲルを、ドクターブレード220を用いて複
数回キャスティングすることにより、不織布補強固体電解質シート1の表面を平
滑化することができる。また、固体高分子40/リチウム塩50の二層不織布基
材10の空隙へ効率よく浸透させ、二層不織布基材10における固体高分子40
/リチウム塩50の均一な分布を得ることができる。固体高分子40/リチウム塩
50のゲルをキャスティングした不織布補強固体電解質シート1は、真空オーブン
に入れ、60℃で24時間乾燥させる。ットプレス工程S30では、乾燥した不織
布補強固体電解質シート1のマイクロ繊維層20とナノ繊維層30とを、80℃
~120℃の温度範囲で、20MPa~30MPaの圧力範囲で、0秒~120
秒間、加圧する。これにより、緻密で薄く、平滑で均一な不織布補強固体電解質
シート1を形成することができる。 

4.実施例
以下に本発明を実施例により説明する。なお、本発明はこの実施例により何ら限
定されるものではない。
4-1.試料の調製
4-1-1.実施例1
まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維6.9g/m2を
含むマイクロ繊維層の一方の面に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊
維2.0g/m2を含むナノ繊維層を積層して、二層不織布基材を作成した。具
体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維6.9g/m
2を含む不織布を準備。また、3gのポリフッ化ビニリデンを15mlのDMF
/アセトン(3/1)の混合溶媒に溶解し、室温で12時間溶解することにより、
スピニング溶液を調製した。調製したスピンニグ液は、先端に導電性チップを有
するプラスチック製のシリンジに充填。エレクトロスピニング法によりポリフッ
化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維を、ステンレス製のシリンダー・ローラーに
巻き付けたポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維を含む不織布
の表面に堆積させた。導電性チップとシリンダー・ローラーとの距離は15cm
とし、導電性チップとシリンダー・ローラーとの間には15kVの電圧を印加し
た。
次に、固体電解質を構成するポリマー液を準備する。ポリマー液は、1.5gの
ポリエチレンオキシド(PEO)と0.98gのLiTSFIとを25℃で30
mlのアセトニトリルに混合し、均一な溶液になるまで攪拌することにより調整
した。二層不織布基材のマイクロ繊維層側からドクターブレードを用いてポリマ
ー液をキャスティングし、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊
維22を含むマイクロ繊維層を被覆してポリエチレンオキシドのフィルムを形成
した。フィルムを60℃で24時間真空乾燥し、溶媒のアセトニトリルを除去し
た。最後に、フィルムを含む二層不織布基材を、110℃、20MPaで20秒
間、ホットプレスして、実施例1の不織布補強固体電解質シートを得た。 

4-1-2.実施例2
二層不織布基材のナノ繊維層に含まれるポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナ
ノ繊維の量、及び、ナノ繊維層を形成する際のエレクトロスピニングの条件を表
1に示すように変更したほかは、実施例1と同様の条件で二層不織布基材を製造
した。さらに、二層不織布基材に適用するポリマー液、及び、ホットプレスの条
件を表2に示すように変更したほかは、実施例1と同様の条件で、実施例2の不
織布補強固体電解質シートを得た。

4-1-3.実施例3
二層不織布基材のマイクロ繊維層に含まれるポリエチレンテレフタレート(PE
T)のマイクロ繊維の量、及び、ナノ繊維層を形成する際のエレクトロスピニン
グの条件を表1に示すように変更したほかは、実施例1と同様の条件で二層不織
布基材を製造した。さらに、二層不織布基材に適用するポリマー液、及び、ホッ
トプレスの条件を表2に示すように変更したほかは、実施例1と同様の条件で、
実施例3の不織布補強固体電解質シートを得た。

表1.

表2


4-2.評価、及び、評価結果
4-2-1.熱安定性試験
実施例1の不織布補強固体電解質シートを使用して、不織布補強固体電解質シー
トの熱安定性を評価した。実施例1の不織布補強固体電解質シートを直径20
mmの円形に切り出し、所定温度に設定したオーブンの中に20分間放置した。参
考例として、同じサイズのポリエチレンオキシド(PEO)-LiTFSIから
なる固体高分子電解質を準備し、実施例1の不織布補強固体電解質シートと同じ
条件で、熱安定性を評価した。 
図9は、実施例1の不織布補強固体電解質シート及び、参考例の固体高分子電解
質の熱安定性試験の結果を示す図である。
図9(a1)(a2)(a3)(a4)は、RT(熱履歴なし)、160℃、
180℃、200℃の恒温槽に20分間放置後の、実施例1の不織布補強固定電
解質シートの状態を示す写真である。図9(b1)(b2)(b3)(b4)は、
RT(熱履歴なし)、160℃、180℃、200℃の恒温槽に20分間放置後
の、参考例の固体高分子電解質の状態を示す写真である。参考例の固体高分子電
解質は、図9(b2)に示すように、160℃で収縮し、図9(b3)及び(b
4)に示すように、180℃及び200℃において溶融した。一方、実施例1の
不織布補強固体電解質シートは、図9(a4)に示すように、200℃において
も形状変化は示さなかった。すなわち、実施形態に係る不織布補強固体電解質シ
ートは、従来の固体高分子電解質に比べ、熱安定性が大幅に向上していることが
わかる。本発明の不織布補強固体電解質シートは、熱的安定性に優れることから、
特に高温で使用したときにショートを抑制することが可能になり、安全に固体電
解質シートを使用できることができる。 

4-2-2.引張強度分析
実施例2の不織布補強固体電解質シートについて、引張強度を分析した。引張強
度試験には、エー・アンド・デイ社の卓上型引張圧縮試験機 Force Tester
MCT-2150を使用した。
図10は、本発明の不織布補強電解質シートの引張強度を説明するための図であ
る。図10(a)は、実施例2の不織布補強固体電解質シートの引張強度試験
の結果を示す図である。図10(b)は、最近の論文で報告された固体高分子電
解質(参考文献1~6)の引張強度を示す図である。 

図10(a)において、グラフの横軸はひずみ(単位:%)を示し、縦軸は応力
(単位:MPa)を示す。図10(a)に示すように、実施例2の不織布補強固
体電解質シートは、引張強度試験において、13.9MPa、ひずみ53%とい
う結果が得られた。本発明の不織布補強固体電解質シートは、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)のマイクロ繊維22を有することから、機械的性質を犠牲
にすることなく、不織布補強固体電解質シート10の薄膜化を実現できることが
わかる。

図10(b)は、最近の論文で報告された固体高分子電解質(参考文献1~6)
の引張強度を示す図である。実施例2の不織布補強固体電解質シートの引張強度
の測定データを一番右に示す。
論文で報告された固体高分子電解質においては、引張強度は最も大きいもので6
MPa程度である。一方、実施例2の不織布補強固体電解質シートの引張強度は
13.9MPaである。論文で報告された固体高分子電解質に比べ、引張強度が
優れていることがわかる。

4-2-3.イオン伝導度評価
実施例3の不織布補強固体電解質シートについて、対称型ステンレス製セルを作
成し、イオン伝導度を評価した。イオン伝導度は、Metrohm電気化学ワー
クステーションで測定し、各温度のイオン伝導度を計算した。イオン伝導度σは、
Lを不織布補強固体電解質シートの厚さ、Rを固有抵抗、Sを面積とするとき、
σ=L/RS により求めることができる。結果を表3に示した。
表3.


表3に示すように、実施例3の不織布補強固体電解質シートの30℃におけるイ
オン伝導度は、1.05×10-5Scm-1である。純粋なポリエチレンオキ
シド(PEO)のイオン伝導度は1.00×10-6Scm-1程度であること
から、本発明の不織布補強固体電解質シート1のイオン伝導度は非常に高いこと
がわかる。


 風蕭々と碧い時

地球という名の都  ASKA 
2023.01.08 
作詞/作曲:ASKA/澤野 弘之





今夜の寸評: 

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新成長経済理論考 ⑯

2023年12月15日 | 人工光合成時代



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

【今夜のひとり鍋:さば缶と白菜ミススープ】


出所:味の素
世界一のさば缶と白菜をしょうがの風味をきかせたみそ汁に仕立て、「丸鶏がら
スープ」と仕上げに使ったオリーブオイル。
【作り方:調理時間 11分】
①白菜はザク切りにし、ミニトマトはヨコ半分に切る。
②鍋に分量の水、さばを汁ごと入れて火にかけ、「丸鶏がらスープ」を加える。
③白菜・ミニトマトを加え、さばの身が大きいものは半分くらいに割り、白菜が
  しんなりするまで3~5分ほど煮る。
④火を止め、しょうがを加えてみそを溶き入れ、よく混ぜる。
⑤器に盛り、オリーブオイルを回しかける。
※おいしさ無限大の「サバンカン」を実感。


眼底の鈍痛感がとれないので、サンテメディカルプラスアクティブとアリナミン
Aに切り換え数日使用するも著しい改善がみられないので、年末にまでに結論を
だすつもり。目薬(点眼)についても集中して情報収集と考察を恥じ得ることに。





培養したヒトの脳組織を使ってコンピューターを構築

12月13日、人間の幹細胞を基に作られた脳オルガノイド(ミニ脳)を電子チップに
続した「ブレイノウェア」と呼ばれるセットアップを構築して、簡単な計算タ
スクを実行することに成功したことが、インディアナ大学ブルーミントン校のエ
ンジニアであるフェン・グオ氏らの研究チームによって報告された。
【概要】
人間の脳には、約860億個ものニューロンと、数兆個のシナプスが存在することが
分かっている。1つ1つのニューロンは最大で1万個もの別のニューロンに接続し、
互いに通信しあう。近年では、そんな脳の構造や仕組みに着想を得たハードウェ
アやアルゴリズムの設計や開発が進展、高度な生物学的システムに基づくコンピ
ューターの構築がなされており、実験室で培養した脳オルガノイドに「リザーバ
ーコンピューティング」と呼ばれる人工ニューラルネットワークの一種を利用し
電極を接続。電極を通じて送られた電気信号で情報を脳オルガノイドに送り、脳
オルガノイドがその情報を処理、神経活動データという形で計算結果を出力。一
連のシステムを「ブレイノウェア」と呼ばれる。



研究チームが構築したブレイノウェアに電気信号を与えると、ブレイノウェアはそ
の信号に反応し、神経活動データを出力した。研究チームは今回の実験結果は、
ブレイノウェアが実際に情報を処理し、人間による監視なしで計算タスクを実行
できる可能性を示すもと話す。 以下はブレイノウェアに用いられた脳オルガノイ
ドの1つと、スキャンされた神経活動の一例。
さらに、ブレイノウェアの有用性を示すために、8人の被験者に日本語の母音を発
音してもらって録音した音声クリップ240個を使用して、ブレイノウェアが特定の
1人の声を識別できるかのテストを行った。電気信号に変換され送られてきた音
声クリップの処理を行ったブレイノウェアは信号を出力。AIを用いて出力した信
号の分析を行うと、わずか2日間のトレーニングだったにもかかわらず、ブレイノ
ウェアは約78%の精度で話者を識別することに成功。一方ではAIで動作する純粋
なハードウェアコンピューターよりも精度が劣る。


画像:左から右、上: 7 日目、14 日目、28 日目、数か月後のヒト脳オルガノイ
ド。 下、左から右へ: 1 か月、2 か月、3 か月。 (Cai et al.、Nat. Electron.、2023)
今回の実験結果は、脳オルガノイドをコンピューティングに使用する最初のデモ

ンストレーションであり、将来のバイオコンピューティングの脳オルガノイドの
可能性を確かめることができた。 脳オルガノイドを用いたシステムの高度化が
進むにつれ、無数の倫理的な問題が発生する。この技術をさらに拡大する際には
倫理的配慮を念頭に置いておくことが重要となる、また、学習のメカニズムや神
経発達、神経変性疾患の認知的影響に関する基礎的な洞察を生み出す可能性が高
く、新しい治療法をテストするためのモデル開発にも役立つ可能性がある。
【掲載論文】
Brain organoid reservoir computing for artificial intelligence. Nat Electron (2023).
https://doi.org/10.1038/s41928-023-01069-w
 
  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era

新成長経済理論考 ⑯
 高付加価値としての再エネ事業の選択と集中



「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略
ペロブスカイトのコスト目標と市場規模
ペロブスカイト太陽電池を、既存の太陽電池に対抗しうる電池として開発してい
く上では、将来的に既存の太陽電池と同等のコストや性能を達成する必要があり、
まずは、既存の太陽電池が設置できなかった場所に着実に導入することを目指し、
2030年までに14円/kWh以下(産業用電気料金並み)のコスト水準を目指す。その
中間目標(キーマイルストーン)としては、一定条件下(日射条件等)での発電
コストを2025年度までに20円/kWhを見通せる技術の実現を目指すこととしている。
 また、市場規模(全世界)の想定については、グリーンイノベーション基金事
業の「次世代型太陽電池の開発」プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画(
改定案)において、2030年時点と2050年時点の導入量が示されている。  
太陽光発電は2021年に世界全体で174GWが導入され、2030年までこのペースで導入
が進むと仮定する。2030年時点では、次世代型太陽電池の市場はまだ限定的であ
ると考えられ、世界の太陽電池市場のうち次世代型太陽電池が「1%」を占めると
仮定すると、その導入量は約4.3GWと想定される
金額では、2030年の太陽光発電全体で約25兆円のうち、次世代型では約2,500億円
と想定。 さらに、太陽光発電は世界全体で2030年から2050年に向けて年間平均
275GW程度のペースで導入されると推定している。
NEDOによると、2050年に次世代型太陽電池等の技術により期待される市場は、
陽光発電市場全体の50%と推定されている。これを前提に2030年頃から徐々に次
世代型太陽電池が普及すると仮定、その累計導入量は、約1.4TW(テラ=1兆W)と
想定。金額では、太陽光発電全体で約57兆円のうち、次世代型では約28.5兆円と想


次世代型太陽電池のGX投資戦略の概要
国はペロブスカイト等の次世代型太陽電池に対しては、グリーンイノベーション(
GI)基金によるR&D支援や大規模実証を行うなどにより、「量産技術の確立+生産
体制整備+需要の創出」に三位一体で取り組む方針を示す。GI基金を通じた「次世
代型太陽電池の開発プロジェクト」(648億円)では、基礎的な性能向上や大型化
・耐久性向上、屋外環境における性能維持などをテーマとした研究開発を進め、
2030年までの社会実装を目指す。

GX分野別投資戦略における次世代型太陽電池の今後10年程度の目標は、20兆円以
上(約31兆円の内数)の官民投資を行うことにより、国内排出を約2,000万トン削
減する目標とする。なお、立地制約を克服し得る軽量・柔軟な次世代型太陽電池
は、ペロブスカイトに限らず、他の方式による次世代型太陽電池についても、引
き続き可能性を追求していく。

政策誘導によるGX市場創造に向けて
ペロブスカイト等の次世代型太陽電池のGX市場を創造するためには、補助金等に
よる支援策のほかに、需要の創出に向けた政策誘導も必要となる。その一つが、
次世代型太陽電池の「導入目標」の策定であり、2025年からの事業化を見据え、
2020年代中頃に年間100MW規模、2020年代後半にはGW級の量産体制を構築すること
を前提に、今後具体的な数値を検討する。なお、温対法に基づく「政府実行計画
」や地方公共団体実行計画制度を通じて、国や地方公共団体等の公共施設での率
先導入を行うこととして、公共施設の導入目標は先行して検討する予定としてい
る。またシリコン系太陽電池では、日本企業は市場シェアを落としたことを反省
材料として、ペロブスカイトでは輸出による海外市場シェア獲得も目指し、欧米
等とも連携した国際標準化、IEC規格等の策定を進める予定としている。
via 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見
通しは?:太陽光/- スマートジャパン 2023.12.13

ロームと東芝がパワー半導体製造で連携、政府が最大1294億円を支援
12月8日、ロームと東芝デバイス&ストレージ(以下、東芝D&S)は2、共同申請し
ていたパワー半導体の供給確保に関する計画が、経済産業省の「半導体の安定供
給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」として認定されたと発表し
た。事業総額は3883億円で、経済産業省からの助成金は最大1294億円(対象事業
総額の3分の1)を見込む。 
今回認定された計画は、ロームがSiC(炭化ケイ素)パワー半導体、東芝D&Sがシ
リコンパワー半導体への投資を重点的に行うことで効率的に供給力を拡大するも
の。パワー半導体分野での競争が激化する中、製造面で連携し、国際的な競争力
の強化と国内サプライチェーンの強靭化を狙う。  
生産場所は、SiCパワー半導体およびSiCウエハーが、ロームのグループ会社であ
るラピスセミコンダクタの宮崎第二工場(宮崎県国富町)、シリコンパワー半導
体が、東芝D&S傘下の加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)。
供給開始時期と生産能力は、SiCパワー半導体が2026年4月から年産72万枚(8イン
チ換算)、SiCウエハーが2025年1月から年産70.8万枚(8インチ換算)、シリコン
パワー半導体が2025年3月から年産42万枚(12インチ換算)を予定。
ロームは2023年11月、ソーラーフロンティアの旧国富工場を取得完了、宮崎第二
工場として整備/運営していく。8インチのSiCウエハー対応ラインを構築し、SiC
パワー半導体生産の主力



次世代アルカリ水電解の部材で日本勢が健闘
パナソニックに勝機 
12月14日、日経クロステック(xTECH)
アルカリ水電解(AWE)は、1833年にファラデーが発見した水の電気分解に基づく。
100年前に産業用システムが開発された一見“枯れた技術”だが、実は最近の材料
技術や製造技術から見れば技術革新の余地が大きい。既に、技術の変革はいくつ
か起こっている。
具体的には、(1)「ゼロギャップ」と呼ばれる電極と隔膜の新設計、(2)隔膜
(電解質膜)の刷新、(3)加圧設計、(4)高温運転─の4技術だ。ただし、ごく
最近まではこの分野の市場の発展性が乏しく、投資が集まらなかったためか、こ
れら新技術の採用に時間がかかり、国・地域ごとにその進捗に差が出ている(図1)。
その結果として、AWEに対する古いイメージが払拭されていない。

図1.アルカリ水電解(AWE)も “枯れた技術”を卒業
日本や海外メーカーの、AWEにおける先進要素技術の採用状況を示した。日本の
メーカーの多くは、ゼロギャップや次世代隔膜の採用は早かったが、加圧設計で
は大きく出遅れている。海外メーカーは中国勢も含めて加圧設計を実現している
ところが多い。

ゼロギャップに再び脚光
(1)のゼロギャップは、電極を隔膜にほぼ接触させて使うことで、キャリアとな
る水酸化物イオン(OH-)が伝導する際の抵抗(液抵抗)値を下げる技術で、ア
イデア自体は1950年代からあった(図2)。実際に開発されたのは1967年。産業用
の電解装置に実装が始まったのは1970年代である。
図2 ゼロギャップでは日本がリード 従来のAWEは水酸化カリウム(KOH)水溶液
の中に2つの電極が離れて置かれていた(a)。それが、1970年代から両電極をセ
パレーター(隔膜)にほぼ接着させる「ゼロギャップ」技術が使われるようにな
った(b)。これでOHの伝導距離が縮まり、液抵抗は小さくなった。一方で接着
面の均一性、そして発生する泡の出口が減り、それによって反応が阻害されるな
ど課題が多く、必ずしもメリットばかりではなかった。一方、トクヤマが開発し
た、第2世代ともいえるゼロギャップでは、クッション材またはマットレスと呼ぶ
金属製不織布を電極と集電体の間に挟む(c)。これで、接着面の均一性の問題や
泡の出口問題が大きく軽減。(a、b)はNelなど、(c)はトクヤマのそれぞれの
資料を基に日経クロステックが作成。
ただし、当初のゼロギャップは必ずしも良いことばかりではなかったようだ。電極
と隔膜の接着面が均一にならずに雷のような絶縁破壊が起こったり、水電解で出
てくる水素や酸素の泡が反応を阻害し、しかも泡の出口も減ったりする課題があ
った。この課題をほぼ解決したのが、1985年にトクヤマが開発、実用化した第2世
代ともいえるゼロギャップである。これは集電体と電極の間に金属製の不織布を
挟む手法で、接触面の均一性や泡の問題を大きく改善した。トクヤマはこの技術を
国内メーカーにライセンス提供し、それが旭化成による、世界初の10MW級AWE水電
解システムの実用化につながった(図3)。

図3 旭化成もゼロギャップを採用済みで100MW規模へ 旭化成の大型AWEシステム
「Aqualyzer」のセル構成(a)と、福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)
で稼働している10MW級システム(b)。今後、実用化を想定する100MW級システム
(c)。セルにはトクヤマのゼロギャップを用いている。100MW級システムは10MW
のセルスタックを並べる(出所:旭化成)
一方、欧米の水電解装置メーカーは研究開発レベルではトクヤマのゼロギャップを
早くから知っていたものの、製品への採用は必ずしも進んでいなかったようだ。
ただ、特許が切れ、グリーン水素に対する関心が高まった昨今になって、この第2
世代のゼロギャップを“先進技術”として再評価する動きが目立っている。
新しい隔膜がAWEを刷新 (2)の隔膜を刷新したのは、かつて写真フィルム大手
のベルギーの化学メーカーAgfa-Gevaert(アグファゲバルト)。同社は
「Zirfon」という隔膜を2009年に製品化したが、特に2016年に出した「Zirfon
PERL」シリーズが、それまで隔膜に石綿(アスベスト)が使われていたAWEの性能
を複数の点で大きく刷新。日本のメーカーを含むほとんどの水電解装置メーカー
がこのシリーズの隔膜を採用しているもよう。
Zirfon PERLの優れた点は、大きく5点ある。(i)強い親水性、(ii)低ガス透過
性、(iii)高いアルカリ耐性、(iv)高強度、(v)110℃まで耐える高温耐性─
である。 i)は、OH-の高い膜内伝導性につながる。結果、液抵抗が低下して過
電圧が大きく下がった(図4)。

図4 Agfaの隔膜でAWEの効率や生産性が飛躍的に向上

それまでは、電流密度を0.4A/cm2に高めるにはセルに2V以上の電圧を印加しなけれ
ばならなかった。ところが、電圧が2V以上になると、絶縁破壊やその他の問題が
噴出する。PEM(Proton Exchange Membrane、プロトン交換膜)などに比べてエネル
ギー効率も低かった。
一方、Zirfon PERLを用いると2V弱の印加電圧で1A/cm2以上の電流を流せる。PEM
用セルスタックの性能に肉薄するわけだ。(ii)の低ガス透過性は、酸素分子
(O2)や水素分子(H2)の透過性がそれまでに比べて大幅に下がったことを指す。
それまでの隔膜に比べて、ガスの透過性が1/10以下になった。そもそも液抵抗を
下げたいだけなら、隔膜を使わないのがベストだ。しかしそれではO2とH2が混合
してしまう。Zirfon PERLはこれらのガスを透過させない低ガス透過性と液抵抗の
低減を高いレベルで両立させた。
                                                             この項了
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歴史の複雑さとは何か Ⅲ
               禍かなパリサイ人よ 陸海をめぐりて汝のゲヘナの子となす
                                                      マタイ伝 23-15


※元来、今日のエルサレム市の城門の外にある、深くて狭い谷底のゴミ捨て場。
そこでは、ごみを処分するために火が燃やされ続け、悪臭を放ち、処刑された罪
人の体や、ふさわしい埋葬をされなかった人体が埋められる場所でもあったゲヘ
ナ (Gehenna)とは、ヒンノムの谷をさす。
「パレスチナ問題考 ④」後期19世紀 - 1923:
起源 1920 - 1948:イギリスによるパレスチナの委任統治
「パンとワイン」紛争 パレスチナ分割
1948 - 1967:中東戦争
1967 - 1993:第一次インティファーダ
1993 - 2000:オスロ和平プロセス
2000 - 2005:第二次インティファーダ
2005 - 2008:アッバース時代のはじまり
2008 - 2009:ガザ紛争
2010 - 2017:パレスチナ側の手詰まりと米トランプ政権発足 
2018 - 2021:「繁栄に至る平和」と「アブラハム合意」

2021年1月10日、ユダヤ人入植者の自治体「サマリア地域評議会」は、「イスラエ
ル製」を表示した入植地産製品の、アラブ首長国連邦への輸出を開始した。サマ
リア地域評議会のヨシ・ダガン議長は、「これはサマリア[注 9] とイスラエル国
家全体にとって歴史的日だ」と述べた。これは、安保理決議2334や、それを承けた
欧州司法裁判所判決の公然たる無視を意味し、同時にイスラエルにとっては、ヨ
ルダン川西岸の領有権をアラブ首長国連邦に承認させる重要な足がかりとなる[352]。
ハマースのハゼム・カセム報道官は、この動きを「占領下のパレスチナの土地に
シオニストの入植地建設を奨励することに等しい」と非難した[353]。
1月11日、イスラエルのネタニヤフ首相は、バイデンが米国大統領に就任するまで
に、新たに800棟以上の入植地を承認すると述べた。ネタニヤフは、12月に殺害さ
れた入植者の故郷であるタル・メナシェ入植地(英語版)が含まれると述べた。
また、「開拓地」であるノフェイ・ネヘミア私設入植地の200棟あまりが含まれる
[354][355]。
1月15日、パレスチナのアッバース大統領は、評議会議員選挙を5月22日、大統領選
挙を7月31日投開票の日程で行うと布告した。評議会選挙は2006年以来、大統領選
挙は2005年以来となる[356]。パレスチナは欧州連合に、イスラエル占領下にある
東エルサレムでの選挙実施に向けて、選挙監視団を要請した[357]。
1月19日、ピース・ナウによると、イスラエルはヨルダン川西岸地区で2112棟、東
エルサレムで460棟、合計2572棟のユダヤ人入植地を承認したと発表した[358][359]。
1月20日、ジョー・バイデンがアメリカ合衆国大統領に就任した。 2月1日、イス
ラエル国防軍は、ベドウィンのヒルベトフムサ集落を「違法」を理由に破壊した。
前年11月の破壊から再建したばかりであった。欧州連合の駐パレスチナ代表は「
多くの人々が冬の寒さと新型コロナウイルスに直面する中でホームレスになった。
(家屋破壊は)国際法違反で受け入れがたい」と非難した[360]。イスラエル・ネ
タニヤフ首相の上級顧問であるマーク・レジェフは、「イスラエル最高裁が、ベ
ドウィンには土地の所有権が無いと判決を下しており、この判決は政治的に独立し
て出されたものだ」「パレスチナ指導部は、ベドウィンを駒にしている」と主張
した[361]。
2月5日、国際刑事裁判所(ICC)は、パレスチナの主張を支持し、ICCはパレスチ
ナにおける戦争犯罪の管轄下にあるとの決定を下した。パレスチナは、イスラエ
ルによる武力行使や入植活動などを、ICCに戦争犯罪として告発していた。パレ
スチナのシュタイエ首相は「正義と人道、自由の勝利だ」と歓迎した。一方、イ
スラエルのネタニヤフ首相は「偽の戦争犯罪で捜査するのは反ユダヤ主義」「正
義の悪用に対し全力で闘う」と強く非難した[362][363][364]。

2021 -:――東エルサレムのパレスチナ人追放運動とガザ地区への攻撃
東エルサレムにおける、ユダヤ人入植者団体によるパレスチナ人住民追放運動は、
一つの山場を迎えていた。シェイク・ジャッラーハ英語版)地区のパレスチナ人住民を
手取った立ち退き訴訟は、5月2日にイスラエル最高裁が、入植者団体の主張を支持し、パレスチナ人7世
の立ち退きを命じる判決を下した[365]。同地区で、立ち退きの危機に瀕しているパレスチナ人住民は約
5
00人に上る[366]
2021年のラマダーン期間中、イスラエル政府はイスラム教徒が東エルサレムで大規模集会を行うことを禁
止し、イスラエル警察は4月12日よりイスラム教徒のアクセスを遮断するためダマスカス門にバリケードを
設置した。これに不快感を表したパレスチナ人はデモ抗議に発展。
4月15日にはパレスチナ人が超正統派ユダヤ人男性を平手打ちするという動画が
TikTokで流行り、模倣事件がいくつか発生した。
4月22日には極右団体レハヴァが「アラブ人に死を」と唱えながらエルサレムを
行進しパレスチナ人を挑発。4月23日過激派グループがイスラエル南部にロケッ
ト弾を36発発射し、イスラエルは報復としてガザ地区のハマスの拠点にミサイル
を発射、19歳の少年とイスラエル入植者の二人が死亡した。
5月6日、上記とは別件でイスラエルの最高裁がシェイク・ジャッラーハに住むパ
レスチナ人の立ち退きを決定すると騒動が激化[367]。5月9日のエルサレムの日
の大規模デモ行進によりパレスチナ人300人以上が負傷。この騒動によって最高
裁は立ち退きの実施を30日送られることを決定した。しかし、負傷者の報復とし
てハマースとイスラム聖戦はイスラエルにロケット弾を発射。
5月11日イスラエルはこのロケット弾の報復としてガザ地区に大規模空爆を実施。
この空爆によって13階建ての住居が倒壊するなどハマス関係者や民間人合わせて
113人が死亡・580人以上が負傷した。  
5月13日にイスラエル軍はガザ地区のハマスへの拠点に対して航空部隊と地上部
隊による攻撃を開始した。
5月20日夜、イスラエル政府はパレスチナとの停戦合意を受け入れると発表した[368]
また、カザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」も停戦を受け入れた。この
停戦合意はエジプト政府の「相互かつ無条件の」停戦という提案だった。
5月21日現在パレスチナ側で232人(内子供65人)イスラエル側で12人が死亡して
いる。[368]
6月13日、イスラエルでナフタリ・ベネット政権が発足した。ベネットは強硬な
右派だが、反ネタニヤフで8党派が連立し、アラブ人政党が史上初めて与党入り
した[369]
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  Part 1 Chapter 13<

  「あなたのそういうところがわたしは好きなんだと思う」
  「頭の中がぐしゃぐしゃにもつれないところが?」
  「そうじゃなく、分析とか忠告とか、そんなことなしに黙ってわたしを支え
  てくれるところが」
   ぼくが余計なことを言わないのはただ、きみのそんな「心のこわばった」
  状 態をどう解釈すればいいのか、それについてどんな忠告をし、どんな意
 見を言えばいいのか見当もつかないからだ。
  しかしもしそれでいいのなら、何も言わずにただきみの肩を抱いているの
 は、ぼくにとって不都合なことでも、居心地の悪いことでもない。むしろそ
 の方がずっとありかたいかもしれない。しかしそれはそれとして、最小限の
 実際的な質問は必要とされるだろう。
 「それで……その今日の波のようなものは、いつ頃やってきたの?」
 「今朝、目覚めたとき」ときみは答える。「束の空かだんだん明るくなって
 きたころ。それで、今日はもうあなたには会えないと思った。ていうか、身
 体そのものが動かなかった。手の指を動かすことさえできなかった。服のボ
 タンもとめられない。そんな状態ではあなたと顔を合わせられない」
 ぼくは黙ってきみの話に耳を傾けている。
 「それからずっと布団をかぶって横になっていたの。どこかに跡形もなく消
 えてしまいたいと願いながら。でも約束の時間がやってきたとき、忠ったの。
 あなたに公園で待ちぼうけさせておくわけにはいかないと。それで力を振り
 絞って立ち上がり、ブラウスのボタンをなんとかはめて、走ってここまでた
 どり着いたの。もうあなたはいなくなっているかもしれないと思いながら…
 …髪をとかす時間さえなかった。ねえ、わたしずいぶんひどい顔をしている
 でしょう?」 
 「いや、とても素敵だよ。いつもと同じくらい」とぼくは言う。それは偽り
 のない意見だ。きみは隅から隅まで素敵だ。いつもと同じように。いや、い
 つも以上に。
 「いや、いつも以上に」とぼくは付け加える。
 嘘よ、ときみは言う。
 嘘じゃない、とぼくは言う。
 きみはしばらく沈黙している。それから言う。
 「小さいときから、こんな風にとっても面倒くさい性格なの。だからわたし
 のことを好きになってくれる人なんてひとりもいなかった。わたしを受け入
 れてくれる人もいなかった。亡くなったおばあさんだけを別にして、ただの
 ひとりも。でもおばあさんはもう死んじゃったし、死んでしまった人のこと
 は、正直言ってよくわからない。おばあさんはただ何か思い違いをしていた
 のかもしれない」
 「ぼくはきみのことが好きだよ」
 「ありがとう」ときみは言う。「そう言ってくれるのはとても嬉しい。でも
 それはきっと、まだわたしのことを知らないからよ。もしわたしのことをも
 っとよく知れば」
 「もしそうだとしても、きみをもっとよく知りたい。いろんなことを、あら
 ゆることを」
 「中には、知らない方がいいこともあるかもしれない」
 「でも誰かを好きになったら、相手のことをどこまでも知りたいと思うのは
 自然な気持ちだよ」
 「そしてそれを引き受けるの?」
 「そうだよ」
 「
ほんとうに?」
 「もちろん」
 十七歳で、恋をしていて、それは五月の真新しい日曜日で、当然ながらぼく
 は迷いというものを持だない。
  きみはスカートの膝の上に置いた白い小さなハンカチーフを手に取り、も
 うI度目もとを拭う。
  新しい涙が頬を伝っているのが見える。微かに涙の匂いがする。涙の匂い
 ってちやんとあるんだ、とぼくは思う。それは心を打つ匂いだった。優しく
 魅惑的で、そしてもちろん仄かに哀しい。
 「ねえ」ときみは言う。
  ぼくは黙って続きを待つ。
 「あなたのものになりたい」ときみは囁くように言う。
 「何もかもぜんぶ、あなたのものになりたいと思う」
 息が詰まって何も言えない。ぼくの胸の奥で誰かがドアをノックしている。
 急ぎの用件があるらしく、強固な拳で何度も何度も。その音が空っぽの部屋
 に硬く大きく響き渡る。心臓が喉元までせり上がってくる。ぼくは空気を大
 きく吸い込んで、それをなんとか元の位置に押し戻そうとする。
 「隅から隅まであなたのものになりたい」ときみは続ける。「あなたとひと
 つになりたい。ほんとうよ」
  ぼくはきみの肩をより強く抱き寄せる。誰かがまたブランコに乗っている。
 その金具が軋む音が、一定の間合いを置いて耳に届く。それは現実の音とい
 うよりは、ものごとの別のあり方を伝える比喩的な信号のように聞こえる。
 「でも急がないでね。わたしの心と身体はいくらか離れているの。少しだけ
 違うところにある。
  だからあとしばらく待っていてほしいの。準備が整うまで。わかる?」
 「わかると思う」とぼくはかすれた声で言う。
 「いろんなことに時間がかかるの」
  ぼくは時間の経過について考えを巡らせる。ブランコの規則的な軋みに耳
 を澄ませながら。
 「ときどき自分がなにかの、誰かの影みたいに思えることがある」ときみは
 大事な秘密を打ち明けるように言う。「ここにいるわたしには実体なんかな
 く、わたしの実体はどこか別のところにある。ここにいるこのわたしは、一
 見わたしのようではあるけど、実は地面やら壁に投影された
 影法師に過ぎない……そんな風に思えてならない」
 五月の日差しは強く、ぼくらは藤棚の涼しい影の中に座っている。実体が別
 のところにある?
それはいったいどういうことなのだろう?
 「そんな風に考えたことってない?」ときみは尋ねる。
 「自分が誰かの影法師に過ぎないって?」
 「そう」
 「そんな風に考えたことはたぶんコ院もないと思う」
 「そうね、わたしがおかしいのかもしれない。でも、そう思わないわけには
 いかないの」
 「もしそうだとして、つまりきみが誰かの影法師に過ぎないとして、じゃあ、
 きみの実体はどこにいるんだろう」
 「わたしの実体は本物のわたしはずっと遠くの街で、まったく別の生活を送
 っている。
 街は高い壁に周囲をかこまれていて、名前を持だない。壁には門がひとつし
 かなく、頑丈な門衛に護られている。そこにいるわたしは夢も見ないし、涙
 も流さない」
  それが、きみがその街のことを口にした最初だった。ぼくはもちろん何の
 ことだかまるで理解できなかった。名前を持たない街? 門衛? ぼくは戸
 惑いながら尋ねる。
 「ぼくはそこに行くことができるの? 本物のきみがいる、その名前を持た
 ない街に」
  きみは首を曲げ、ぼくの顔を間近に見つめる。「もしあなたが本当にそれ
 を望むなら」
 「街の話をもっとくわしく聞きたいな。そこがどんなところなのか」
 「この次に会ったときにね」ときみは言う。「今日はその話をまだしたくな
 い。もっと違う話をしていたいの」
 「いいよ。時間をかけよう。ぼくは待てるから」
  きみは小さな手でぼくの手を握りしめる。約束のしるしのように。
                            この項つづく



 風蕭々と碧い時
地球という名の都  ASKA 
2023.01.08 
作詞/作曲:ASKA/澤野 弘之

 

 

今夜の寸評: 希望の灯火 どこまでも                            
              Good deeds you have done for others are certaine to hope

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新成長経済理論考 ⑮

2023年12月14日 | ネオコンバーテック



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

                                           

                  浮寝鳥うきねどり 大谷フィーバ 素知らねど
                         

※最近は、ブログのネット検索・編集・翻訳・思索に時間を取られ、短歌は書け
ずにいる。その点、俳句は、季語が頼りになり何とか書け、便利といえば、便利。
究極のミニマリズムがここにあり、それだけでなくキャッチーな見出しの創作に
役立つこともしばしば。

【今夜のひとり鍋:野菜たっぷり餃子鍋



冷凍餃子といえば味の素が定番だったが、今年になり大阪王将の水餃子も販売購
入するようになる(わたし専用、彼女は焼き餃子専用)。美味いね、日本は出汁、
タレ、香辛料が簡単に入手可能、しかし「五香粉」の買い換えはない。それから
豆苗などの切り株は残して家庭栽培し増やすことができ、「小さなSDGs」となる。

 
 
  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era

新成長経済理論考 ⑮
 高付加価値としての再エネ事業の選択と集中



ところで、上図の 産総研「人工光合成技術の現状と太陽光発電との融合」での電力目
標価格は7円/kwhと設定されており、来る時期がくればわたし(たち)の目標価格につい
ての見通しの根拠を算定値を提示してみたい。さて、半導体製造の2つの最新技術を
掲載。

 

サブミクロン配線向けDLTデジタルリソグラフィ技術(DLT)
12月13日、ウシオとAMATは、パッケージへのチップレットやHI(ヘテロジニアス
インテグレーション)のロードマップを加速するための戦略的パートナーシップ
の締結を発表。
人工知能(AI)時代のコンピューティングに求められる先進的基板をパターニン
グするために特別に設計された初のデジタルリソグラフィ装置を共同で市場投入
する。AIの活用が急増し,より高機能で大型のチップへのニーズが高まっている。
AIのパフォーマンス要件が従来のムーアの法則に沿ったスケーリングを上回るペ
ースで高度化していることから,半導体メーカは最先端のパッケージに複数のチ
ップレットを実装するHI技術を採用している。



そのような中,半導体業界は,極細配線や優れた電気・機械特性が得られる,例えばガ
ラス基板のような新材料を使った大型のパッケージ基板を求めており,今回の戦略的
パートナーシップは,こうした移行を加速させるためのものだとする。 新しいデジタルリ
ソグラフィ技術(DLT)装置は,量産レベルのスループットを実現しながら,先進的基板
アプリケーションに求められる線幅2μm以下のパターニングに対応する。



また,ガラスや有機材料製の大型パネルや, ウエハーを含むあらゆる基板上のチップ
レット設計において, 最適な解像線幅を実現することができる。さらに,予想外の基板
の反りという課題を解決しながらオーバーレイ精度を実現するために独自設計されてい
る。 すでに量産用の装置が複数の顧客に出荷されており,ガラスその他の最先端パッ
ケージング基板上で2μmのパターニング製造実証が行なわれているという。 今後,両社
は共同で研究開発と拡張的なロードマップの定義を行ない,線幅1μm以下の最先端パ
ッケージングに向けて継続的なイノベーションを進める。また,ウシオは製造技術および
カスタマーサポートのインフラを活用してDLTの採用を促進するとしている。



3nm相当EUVフォトマスク製造プロセス開発
12月12日、大日本印刷株式会社は、半導体製造の最先端プロセスのEUV(Extreme
Ultra-Violet:極端紫外線)リソグラフィに対応した、3ナノメートル(nm: 10-9m)
相当のフォトマスク製造プロセスを開発。

スマートフォンやデータセンター等で使われるロジック半導体の高性能化に伴う、
回路
線幅の微細化ニーズに対応。同社は2020年に5nmプロセス相当のEUVリソグラ
フィ向けフォトマスク製造プロセスを開発し,今回,さらなる微細化のニーズに
対応すべく開発を行なった。 同社が2016年に導入したマルチ電子ビームマスク
描画装置は,約26万本の電子ビームの照射が可能で,複雑なパターン形状でも描
画時間を大幅に短縮できる。今回,この装置の特性を活かした製造プロセスを改
善し,データ補正技術や,EUVリソグラフィ向けフォトマスクの複雑な曲線パタ
ーン構造に合わせた加工条件を最適化した。

同社は新たにマルチ電子ビームマスク描画装置を増設し,2024年下期に稼働を開
始する予定だという。また,EUVリソグラフィ向けフォトマスクなど先端領域の
半導体製造の対応を強化する。 さらに,ベルギーに本部を置く最先端の国際研
究機関imec(Interuniversity Microelectronics Centre)と次世代EUV露光装置向けフ
ォトマスクの共同開発を推進するとしている。 同社では,今回開発した3nm相当
のEUVリソグラフィ向けフォトマスクを世界中の半導体メーカーのほか,半導体
開発コンソーシアム,製造装置メーカー,材料メーカー等へ提供するとともに,
EUVリソグラフィの周辺技術開発も支援し,2030年には年間100億円の売上を目指
す。 また,imecをはじめとしたパートナーとの共同開発を通じて,3nmより微細
な2nm以降のプロセス開発も進めていく。

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従来の「サステナブル基地局」の写真

 曲がる太陽電池を活用した基地局を検証 
電柱型基地局のポールに巻き付け、敷地面積が少ない基地局で太陽光発電可能に
12月6日、KDDI,KDDI総合研究所,エネコートテクノロジーズは,2024年2月から,曲が
る太陽電池「ペロブスカイト型(ペロブスカイト太陽電池)」「CIGS型(CIGS太
陽電池)」を活用した「サステナブル基地局」の実証実験を群馬県で開始する。

KDDIは,電力などのエネルギー消費を通じて年間約94万トンのCO2を排出しており
,これは一般家庭の約40万世帯分に相当する。基地局に関連する電力使用量は同
社全体の電力使用量の約5割を占めており,基地局の省電力化が重要な課題とな
っていた。 そこで同社は2023年6月9日から,太陽光パネルを活用した「サステ
ナブル基地局」を運用開始した。一方,基地局の多くを占めている電柱型基地局
やビル設置型基地局など,敷地面積が狭く太陽光パネルの敷設が難しい基地局へ
の展開が課題だった。 今回の実証では,「薄い・軽い・曲げやすい」といった
特長を有し,次世代の太陽電池として期待されているペロブスカイト太陽電池を
電柱型の基地局に設置したポールに巻き付ける。

この曲がる太陽電池を巻き付けたポールを電柱型基地局に8本(ペロブスカイト太
陽電池4本,CIGS太陽電池4本)設置する。基地局本体の電柱から少し離した位置
にポールを設置することで,ケーブル配線などへの影響を最小限にし,発電効率
の最大化を図る。 この実証での設置方法による発電効率を測定し,この基地局
の有用性や設置方法を検証する。また,ペロブスカイト太陽電池とCIGS太陽電池
の発電効率や設置上の課題を比較。


曲がる太陽電池を活用した「サステナブル基地局」

曲がる太陽電池による発電で不足している電力は,カーボンフリープランの電力
を活用することで,24時間365日CO2排出量実質ゼロを実現する。発電ができない
夜間や悪天候時も,カーボンフリープランの電力を活用する。ペロブスカイト太
陽電池で発電した電力で商用基地局を運用する実証実験は国内初だという。これ
により,敷地面積の少ない電柱型の基地局でも太陽光発電を可能とし,「サステ
ナブル基地局」の拡大を目指す。



図1.本技術の概念図。可視光によりダイヤモンド中の電子が励起され,その
電子がダ イヤモンドの外に放出されることにより水和電子となり,水和電子に
より CO2 が還元さ れ,CO が生成される様子

ダイヤモンド触媒でCO2を可視光で還元 
12月12日、金沢大学とダイセルは,爆轟法で合成したナノダイヤモンドを基軸と
した独自のダイヤモンド固体触媒を開発し,可視光を当てることで放出される電
子により二酸化炭素を一酸化炭素へ還元する事に成功。
【概要】
共同研究グループは,爆轟(ばくごう)法で合成したナノダイヤモン ドを基軸
とした独自のダイヤモンド固体触媒を開発し,可視光を当てることで放出される
電子により二酸化炭素を一酸化炭素へ還元する事に成功。
共同研究グループは,爆轟(ばくごう)法で合成したナノダイヤモンドを基軸と
した独自のダイヤモンド固体触媒を開発し,可視光を当てることで放出される電
子により二酸化炭素を一酸化炭素へ還元する事に成功。
太陽光に6%程度しか含まれない紫外光をダイヤモンドに当てることで,周囲の
二酸化炭素が還元されることは既に知られていたが,太陽光に最も多く(約50
%)含まれる可視光を用いて同現象が確認できたのは,世界で初めて。

ダイヤモンドは電気を通さない絶縁体として有名,ホウ素を高濃度に含むことで
導電性物質となる。これを利用し,化学的に安定な材料として電気化学分野での
応用研究が盛んに行われてきました。特に,微量の化学物質を検知できる高感度
センサ ーや効率的にオゾン水を生成できる電極として大きな注目を浴びており,
既に複数の企 業によって社会実装が進められています。一方、ダイヤモンドを
二酸化炭素の電解還元 に用いる場合は過電圧が大きく。実用的な分解電圧で還
元するには助触媒金属との複合 や深紫外光などの高エネルギー光の照射が必要
不可欠。
今回,株式会社ダイセル の爆轟合成技術と,金沢大学の化学気相成長(CVD)技
術を組み合わせた,独自のダイヤモンド結晶化技術により,太陽光に最も豊富に
含まれる可視光を吸収して電子を放出 する特殊な結晶構造を持ったダイヤモン
ド触媒を開発し,放出された電子によって二酸 化炭素を一酸化炭素へと還元す
る事に成功。
当技術(太陽光超還元®)は,触媒寿命の長さや所要電力の少なさという観点で,
カーボンネガティブ社会の実現を大幅に近づける革新的カーボンリサイクル技術
として期待。株式会社ダイセルでは,工場から排出される二酸化炭素を各種化工
品原料となる一酸化炭素へと還元するサステナブル技術として,自社の化学プラ
ントにて実証実験を行う事を計画中。


図1.提案されているビーム誘起酸化の 3 つのモード。
(1) 一次電子 (PE) によるガスのイオン化、ここで、高エネルギー PE が酸素
分子 (赤い球) と相互作用して電子をノックアウトし、結果として (1a) のい
ずれかが生じる。直接イオン化または (1b) 解離的イオン化。
(2) 二次によるガスイオン化電子(SE)、ここで、PE は低エネルギー SE が放
出されるような方法でサンプルと相互作用する。 これは次に酸素分子と相互作
用し、(2a) 直接イオン化または解離性イオン化 - (1) と同じ - または (2b)
のいずれかにつながり電子捕獲する。
(3) 原子置換、一時的または永続的な原子置換。ここでは、PEによる炭素原子
(黒い球) の置換により、酸素分子がサンプルを直接酸化する欠陥部位が生じる。


図 6. 600 °C、1 Pa O2 で取得した CB の高解像度 ETEM 画像から決定された
(a) 酸化速度と (b) メカニズム。 電子線量率の増加の影響は、300 keV (➕)
と 100 keV (⬟) の両方の PE エネルギーで示す。 黒い線は、各 300 keV デー
タの平均を直接接続。 飽和効果を示す。 緑色の陰影領域は、低線量の間欠イ
メージングから決定された固有の酸化挙動の範囲を表す。 (b) では、高い電子
線量率で表面酸化の割合が劇的に増加していることに注目。

【関係技術情報】
雑誌名:Carbon
論文名:CO2 reduction by visible-light-induced photoemission from heavily N-doped
     diamond nano-layer
著者名:Taro Yoshikawa, Hitoshi Asakawa, Tsubasa Matsumoto, Kimiyoshi Ichikawa,
      Akira Kaga, Shintaro Yamamoto, Ryosuke Izumi, Mitsuru Ohno, Tomoaki Mahiko,
      Mitsuteru Mutsuda, Satoshi Yamasaki, Norio Tokuda

掲載日時:2023年12月1日にオンライン版に掲載
DOI: 10.1016/j.carbon.2023.118689
URL : https://doi.org/10.1016/j.carbon.2023.11868
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 ゼロ・エネルギー・ビルの普及で温暖化による将来の電力需要増加が約半分
電力消費 ビッグデータと都市気候モデルによる脱炭素技術の導入効果の推定

11月29日、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」)などの共同
研究グループは、極端高温時のエネルギー消費量などへの影響評価の一環として、
首都圏の電力消費量の実態を明らかにするとともに、気候変動に伴う電力消費量
の将来変化を推計。その結果、今後の地球温暖化により、特に都心部のオフィス
街区の電力消費量が大幅に増加する可能性が示された。
【要点】
1.詳細な電力消費ビッグデータと都市気候モデルを用いて将来の電力消費量の
 変化を推計
2.気候変動に伴い首都圏の電力消費量は大幅に増加する恐れ
3.2050年カーボンニュートラル達成に向けた脱炭素技術導入効果の評価に貢献
【展望】
首都圏に限らず日本全国、さらには世界の各都市の電力消費ビッグデータを用い
て、気候区分や建物の断熱性、エアコン普及率などの条件が異なるさまざまな地
域での将来の電力推計を行う予定。また、産総研が独自に開発している都市気候
モデルを用いた数値シミュレーションを交えて、それぞれの地域に有効な脱炭素
技術の提案につなげたいと考えている。
【掲載論文】
掲載誌:Sustainable Cities and Society
論文タイトル:Decarbonisation technologies can halve the nonlinear increase in electricity d
  emand in densely populated areas due to climate change

著者:Yuya Takane, Ko Nakajima, Kazuki Yamaguchi, and Yukihiro Kikegawa
DOI:10.1016/j.scs.2023.104966

 ゼロ・エネルギー・ビルの普及で温暖化による将来の電力需要増加が約半分に
電力消費ビッグデータと都市気候モデルによる脱炭素技術の導入効果の推定

11月29日、 産業技術総合研究所(「産総研」)らの共同グループは、首都圏の電
力消費
量の実態を明らかにするとともに、気候変動に伴う電力消費量の将来変化
を推計。その結果、今後の地球温暖化により、特に都心部のオフィス街区の電力
消費量が大幅に増加する可能性が示した。

【要点】
1.詳細な電力消費ビッグデータと都市気候モデルを用いて将来の電力消費量の変化を
 推計
2.気候変動に伴い首都圏の電力消費量は大幅に増加する恐れ
3.2050年カーボンニュートラル達成に向けた脱炭素技術導入効果の評価に貢献。
【概要】
電力消費の変化量の推計は、首都圏の詳細な電力消費ビッグデータと温暖化予測技
術を基に行われた。この推計方法に、産総研が独自開発した都市気候モデルを組み合
わせることで、将来の電力消費量の変化が、脱炭素化技術の普及でどのように変わり
得るかを推定することが新たに可能に。この新たな推定方法で、将来、脱炭素化技術が
普及したと想定した場合、都心部における建物のエアコン使用による電力需要増加が
半分程度に抑えられる可能性が示された。この結果は、電源構成が将来も変わらない
と仮定すれば電力由来のCO2排出量の増加も半分程度に抑えられることを示す。これ
らの技術と推定結果は、2050年カーボンニュートラル達成に向けた脱炭素技術の導入
効果や暑熱対策のためのヒートアイランド対策技術の評価に役立つ。
【掲載論文】
掲載誌:Sustainable Cities and Society
論文タイトル:Decarbonisation technologies can halve the nonlinear increase in electricity d
 emand in densely populated areas due to climate change
著者:Yuya Takane, Ko Nakajima, Kazuki Yamaguchi, and Yukihiro Kikegawa
DOI:10.1016/j.scs.2023.104966


特徴的な配列を認識してゲノムを切断

動物・植物においてゲノム編集を高効率に実現する新しいツール

11月30日、産総研らの共同研究グル-プは、新しいゲノム編集ツール「AalCas9」を発見・
開発し、特許登録を受けました。深海堆積物から単離された微生物のゲノムにコードさ
れている「AalCas9」は、PAM配列を認識し、ガイドRNAにより、ターゲットDNA配列を切
断する酵素。
【要点】
1.新しいゲノム編集ツールとなりうる遺伝子「AalCas9」を単離
2.ゲノム配列上の特徴的な配列「5’-NNACG-3’」をターゲットにしていることを発見
3.動物細胞・植物においてゲノム編集を実用に足る効率で実施できることを確認
【展望】
「AalCas9」は、「5’-NNACG-3’」という配列を認識する特徴を持つため、ゲノム編集ツー
ルを拡張します。TOPPAN・産総研・インプランタは共同で、本ツールをゲノム編集の基
盤的技術として、事業に展開させることを企図しています。医療・農業・ものづくりなど、
ゲノム編集を基盤としたさまざまな産業の拡大・発展に貢献。

【関連特許】
特許番号:特許第7353602号
発明の名称:ゲノム編集方法およびゲノム編集用組成物
発明者:寺川輝彦3 矢野翼3 光田展隆1 中村彰良1 菅野茂夫1 伊藤誠一郎2 牧野洋一2  
1国立研究開発法人 産業技術総合研究所、2TOPPAN株式会社、3株式会社インプラン
タイノベーションズ
【概要】
下図1のごとく、核細胞のゲノム内の標的DNA配列を部位特異的に改変する方法であ
って、前記真核細胞中に、 (1)塩基配列5’-NNACNN-3’(「N」は各々、アデニン、
シトシン、チミン、およびグアニンから独立して選択される任意の1塩基)を含むPAM(
プロトスペーサー隣接モチーフ)配列を認識するCasタンパク質、または、当該Casタン
パク質をコードする核酸、および、 (2)ゲノム内の前記標的DNA配列にハイブリダイズ
し得ると共に、前記Casタンパク質と複合体を形成し、前記複合体の前記標的DNA配
列への配列特異的結合を指向することが可能なガイドRNA、または、当該ガイドRNA
をコードする核酸を導入することにより、前記真核細胞のゲノムを前記標的DNA配列に
おいて改変することを含む、真核細胞ゲノム内の新たなPAM配列を認識して当該ゲノ
ムを部位特異的に改変可能なゲノム編集手段を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 真核細胞(但しヒト生体内(インビボ)細胞を除く)のゲノム内の標的DNA配
列を部位特異的に改変するための方法であって、 前記真核細胞中に、 (1)配列番号1
に記載の塩基配列5’-NNACNN-3’(ここで「N」は各々、アデニン、シトシン、チミン、
およびグアニンから独立して選択される任意の1塩基を意味する。)を含むPAM(プロト
スペーサー隣接モチーフ)配列を認識するCasタンパク質、または、当該Casタンパク質
をコードする核酸、および、 (2)ゲノム内の前記標的DNA配列にハイブリダイズし得る
と共に、前記Casタンパク質と複合体を形成し、前記複合体の前記標的DNA配列への
配列特異的結合を指向することが可能なガイドRNA、または、当該ガイドRNAをコード
する核酸 を導入することにより、前記真核細胞のゲノムを前記標的DNA配列において
改変することを含むと共に、 前記Casタンパク質が、配列番号4に記載のアミノ酸配列
と90%以上、又は92%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は
98%以上、又は99%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、方法。
【請求項2】 前記Casタンパク質が、アビシコッカス(Abyssicoccus)属菌、好ましくはアビ
シコッカス・アルバス(Abyssicoccus albus)に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】 前記Casタンパク質が核局在化シグナル(NLS)を含む、請求項1に記載の
方法。
【請求項4】 前記Casタンパク質が、エンドヌクレアーゼ活性を有する、請求項1に記載の
方法。
【請求項5】 前記PAM配列が、配列番号2に記載の塩基配列5’-NNACGN-3’または
配列番号3に記載の塩基配列5’-NNACAN-3’を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】 前記ガイドRNAが、1本鎖ガイドRNA(sgRNA)であると共に、crRNAおよ
びtracrRNAを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】 前記crRNAが、標的DNA相補鎖と二本鎖を形成することが可能な15~
30ヌクレオチド長のスペーサー配列を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】 前記crRNAが、12~36ヌクレオチド長のステムループを含む、請求項6に
記載の方法。
【請求項9】 前記真核細胞が、動物細胞、植物細胞、又は微生物細胞である、請求項1
に記載の方法。
【請求項10】 前記Casタンパク質をコードする核酸のヌクレオチド配列が、動物細胞、
植物細胞、又は微生物細胞における発現のためにコドン最適化されている、請求項1に
記載の方法。
【請求項11】 請求項1~10の何れか一項に記載の方法に使用するためのゲノム編集
用組成物であって、前記のCasタンパク質、または、当該Casタンパク質をコードする核
酸を含む組成物。
【請求項12】 前記のガイドRNA、または、当該ガイドRNAをコードする核酸を更に含む、
請求項11に記載の組成物。
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【水素列車 ①】
世界初の「水素エンジン」搭載鉄道車両の開発
11月16日、JR東海はカーボンニュートラル実現に向けた「水素動力車両」の開発
について発表。「水素エンジン車」の活用も検討しているとの方針を示した。水
素エンジン車は、既存のディーゼル車のように、レシプロエンジンなどを動力源
とするもの。自動車業界では、過去にマツダが水素を使用可能なロータリーエン
ジン車を開発したほか、近年はトヨタ自動車が気体および液体の水素を燃料とし
たエンジンを開発し、自動車レース「スーパー耐久」に投入している。鉄道業界
では、水素燃料電池車両はJR東日本の「HYBARI」などの先行例があるが、水素エ
ンジン車の事例はなく、JR東海の取り組みが世界初となる。 同社が開発を進め
る水素動力車両は、燃料電池または水素エンジンと、蓄電池を組み合わせた、ハ
イブリッド車両とする。水素を燃料として使用することで、走行時のCO2排出量を
ほぼゼロに抑えることができる。車両の開発は、同社と日本車輌製造が共同で実
施。車両制御装置は、東芝インフラシステムズが開発する。燃料電池は、トヨタ
自動車製のモジュールを使用。水素エンジンはi Laboが開発する。また、将来の
水素供給体制については、ENEOSと検討を進める。



i Laboが開発した水素エンジン(イメージ)
同社では、水素動力車両の開発にあたり、愛知県の小牧研究施設にある車両走行
試験装置で、模擬走行試験を実施。山間部が多く長距離となる同社の非電化路線
への適合可能性などを検証するとしている。JR東海らは今後、2023年11月に燃料
電池を活用した試験を、2024年度以降に水素エンジンを活用した試験を、それぞ
れ実施する。

模擬走行試験の概要
via 鉄道コム

 風蕭々と碧い時
地球という名の都  ASKA 
2023.01.08 
作詞/作曲:ASKA/澤野 弘之




今夜の寸評: 希望の灯火 どこまでも                             浄土宗 月訓 
              Good deeds you have done for others are certaine to hope

 

コメント
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新成長経済理論考 ⑭

2023年12月12日 | 人工光合成時代



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

【今夜のひとり鍋:常夜鍋】



豚肉とホウレンソウをさっと煮てポン酢で食べる。鍋つゆに味はつけないため、
調理法としては水炊きの系統に分類される。常夜鍋の名は、毎晩食べても飽きな
いことが由来するほどの"鍋"。いや、愛しつづける鍋料理➲昆布を敷いた鍋に
水と日本酒を入れて沸騰させ、豚肉とほうれん草を煮ながら食べる。ほうれん草
はアクが強いため、予め下茹でを施しておくほうが望ましい。昆布や日本酒は省
略されることも
。薬味として大根おろしや刻みネギ、粉唐辛子など。➲ 向田邦
子のレシピでは、鍋に湯の量の3割程の日本酒とにんにく、しょうがを入れ、豚肉
とほうれん草をしゃぶしゃぶのようにして、レモン醤油で食べる。わたしは「ひ
とりガスコンロ」「南部鉄なべ」を用いてことをブログ掲載している。
via jp.Wikipedia
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材料:豚バラ肉(薄切り)…・100 g/ほうれん草‥1/2束/青ねぎ‥適宜/昆布だし250ml
/酒‥‥大さじ3/レ塩‥‥少々/
具材が2つだけのシンプルさが特徴の常夜鍋、きのこや豆腐、小松菜や白菜など、季節
野菜を追加してもOK。 シ ンプルな鍋だからこそ、つけダレを工夫して楽しめる。大根おろ
しや七昧唐辛子をたっぷりかけるのもよし。
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Anytime Anywhere ¥1/kWh era

新成長経済理論考 ⑭
 高付加価値としての再エネ事業の選択と集中





i-Fi 6E/7向け無給電素子結合デバイスを商品化
アンテナの高効率化と小型化に貢献
12月04日、
Wi-Fi 6E/7向け無給電素子結合デバイスを量産アンテナの高効率化と小
型化を両立。村田製作所は、無線LAN規格であるWi-Fi 6E(IEEE 802.11ax)/7(IEEE
802.11be)向けアンテナの高効率化と小型化を可能にする「無給電素子結合デバイス」
を開発、量産を始めた。(このブログ掲載は7日遅れになる)
PCやタブレット端末、スマートフォン、Wi-Fiルーターなどの用途に向ける。 2つのコイル
を近接配置した小さいトランス状の構造で実現 村田製作所は2023年12月、無線LAN規
格であるWi-Fi 6E(IEEE 802.11ax)/7(IEEE 802.11be)向けアンテナの高効率化と小型
化を可能にする「無給電素子結合デバイス」を開発、量産を始めた。PCやタブレット端末、
スマートフォン、Wi-Fiルーターなどの用途に向ける。 無給電素子結合デバイスの外観
無給電素子結合デバイスの外観[クリックで拡大] 出所:村田製作所 最新の無線LAN
規格である「Wi-Fi 6E」や、次世代規格の「Wi-Fi 7」では、通信の品質や速度を向上させ
るため、複数個の内蔵アンテナを用いる必要があるという。一方で、ノートPCなどでは実
装できるスペースが縮小していて、 アンテナの小型化が求められている。しかし、小型
化すると広帯域での効率が悪くなるという課題もあった。 新製品は、独自のセラミック多
層技術を活用し、これまでの課題を解決した。2つのコイルを近接配置したトランス状の
構造で、外形寸法は 1.0×0.5×0.35mmと小さい。コイル間の強い結合によって、無給電
素子を給電アンテナに強く電磁界結合させた。これにより、 小型化しても効率の高いア
ンテナを実現できるという。 また、新製品を用いることでアンテナのマッチングを改善で
きる。このため、通信回路との接続に長いケーブルを用いても、通信性能の低下を抑え
ることができるという。 今回用意した新製品は、Middle/High Band用の「LXPC15AH
A1-001」、Middle/High Band用ミラータイプの「LXPC15AHR1-002」、Low Band 用の
「LXPC15ALA1-003」、Low Band用ミラータイプの「LXPC15ALR1-005」、Sub6 Band用
の「LXPC15AUA1-008」、Sub6 Band用ミラータイプの「LXPC15AUR1-009」、Wi-Fi 6E
用の「LXPC15AWA1-012」および、Wi-Fi 6E用ミラータイプの「LXPC15AWR1-013」 で
ある。
【関連特許情報】
1.特開2023-119043 アンテナ装置及び電子機器【概要】
下図1のごとく、ンテナ装置101は、開放端を有する第1放射素子10と、開放端を有す
る第2放射素子20と、第1放射素子10と第2放射素子20とを  電磁界結合させる結合
素子と、グランド電位に電気的に接続されるシールドを備え、  電子機器201の筐体内
に設けられる。平面視で、第1放射素子10は、第1放射素子10が延びる方向に沿う第
1辺を有しており、第2放射素子20は、第2放射素子20が 延びる方向に  沿う第2辺を
有している。平面視で、第1辺の全体は、第1辺に直交する方向において、シールドと対
向するように配置される、又は、第2辺の全体は、第2辺に直交する方向において、シー
ルドと対向するように配置され、グランド導体の形成領域に形成されながらも、グランド
導体の影響を緩和し、二つの放射素子の結合を確保したアンテナ装置及びそれを備え
る電子機器を構成する。

図1(A)、図1(B)第1の実施形態に係るアンテナ装置101を備える電子機器201の
主要部を表す図


図2 アンテナ装置101部分の三面図
【符号の説明】 
CA…並走部 FE1,FE2…給電端 GA…GNDエリア L1…第1コイル L
2…第2コイル
L11…第1導体パターン L12…第2導体パターン L21…
第3導体パターン L22…第4
導体パターン MC1…第1整合回路 MC2…第
2整合回路 MC3…第3整合回路 MC4…
第4整合回路 MC5A,MC5B,
MC5C…整合回路 MS1…第1主面 MS2…第2主面
NGA…GND抜きエ
リア OE1,OE2…開放端 R1…第1領域 R2…第2領域 S1…第
1面
S2…第2面 S11,S12,S21,S22…絶縁基材 SC1,SC2,S
C3…シールドケ
ース T1…第1端 T2…第2端 T3…第3端 T4…第4端
V1,V2…層間接続導体 1…給
電回路 10…第1放射素子 20…第2放射
素子 30…結合素子 31…位相調整回路 32…
スイッチ 41…回路基板 42
…絶縁カバー 51…筐体グランド 101~105…アンテナ装
置 111,112
…アンテナ装置

2.特許7384290 アンテナモジュール、接続部材、およびそれを搭載した通信
装置
【概要】 近年では、通信機器における表示領域(ディスプレイ)の拡大に伴っ
て、通信機器における放射素子(給電素子)の配置可能な位置が大きく制限され
る場合がある。この場合、高周波信号を処理するための回路(IC:Integrated
Circuit)が配置されるマザーボードと給電素子とを近接して配置することが困難
となったり、マザーボード上における回路の配置に制約が課せられたりする状態
が生じ得る。特表2010-538542号公報(特許文献1)には、プリント
回路基板に配置された無線機から、フレキシブルインターコネクトを介して接続
されたアンテナアレイを含む移動無線通信装置が開示されている。特表2010
-538542号公報(特許文献1)に記載の通信装置においては、柔軟性を有
するフレキシブルインターコネクトによって、アンテナアレイを回路基板から離
れてマウントすることができるため、無線装置の筐体内における機器の配置の自
由度を向上することができる。 
特表2010-538542号公報(特許文献1)においては、無線機には、複
数のアンテナアレイの各々に対応した個別のRFフロントエンドが含まれている。
すなわち、無線機に搭載されるアンテナアレイと同じ数のRFフロントエンドが
必要となる。この場合、アンテナアレイの数が多くなると、回路基板に配置すべ
きRFフロントエンドの数も増加する。そのため、回路基板においては広い実装
面積が必要となり、結果として無線装置の小型化を妨げる要因となり得る。アン
テナモジュールを小型化する。アンテナモジュールは、各々に放射素子が配置さ
れた第1基板および第2基板と、第3基板と、切換回路とを備える。第3基板は、
第1基板および第2基板に高周波信号を供給するための給電回路が配置されてい
る。切換回路は、給電回路と第1基板上の放射素子との間の接続、および、給電
回路と第2基板上の放射素子との間の接続を切換えるように構成される。 接続部
材は、第1基板および第2基板と、第3基板とを接続するための部材であり、誘
電体基板と、誘電体基板に配置された切換回路とを備える。第1基板および第2
基板の各々には、放射素子が配置されている。第3基板には、第1基板および第
2基板に高周波信号を供給するための給電回路が配置されている。誘電体基板は
、給電回路と各放射素子との間で高周波信号を伝達するための給電配線が内部に
形成されている。切換回路は、給電回路と第1基板上の放射素子との間の接続、
および、給電回路と第2基板上の放射素子との間の接続を切換えるように構成さ
れている。
【発明の効果】 本開示に係るアンテナモジュールによれば、放射素子が配置さ
れた2つの基板(第1基板,第2基板)に対して共通の給電回路が第3基板に設
けられる。そして、給電回路からの高周波信号が当該切換回路によって切換えら
れて、第1基板の放射素子、あるいは、第2基板の放射素子に供給される。すな
わち、複数のアンテナ装置(放射素子+基板)に対して1つの給電回路が共有さ
れるため、アンテナ装置の数に対して給電回路の数を低減することができる。し
たがって、アンテナモジュールを小型化することができる。

<
図1.実施の形態1に係るアンテナモジュールが適用される通信装置のブロック図

※安全で持続可能な無線給電を含む通信装置及システムと蓄電池などの関連設備
事業の巨大な事業の高付加価値化及び共通化が急速誕生し『デジタル革命』『ナ
ノテク革命』の大きなギャラクシーが誕生する。
 

有機伝導体の分子配列と電子構造を精密制御
12月07日、電気エネルギーの高効率利用に重要な超伝導を発現する物質を開発す
ためには,物質中における原子の配列を精密に制御する必要がある。そのため
には,
できるだけ多くの原子を,予め配列が決まったひとまとめの分子にして物
質を設計でき
る有機物が有利となる。最近の研究から,電荷秩序状態と呼ばれる
物質の状態に圧
力などを適切に加えることによって、超伝導になりうるとされて
いるが、電荷秩序
状態を意図的に実現する方法は知られていなかった。

これまでに,偶然に頼り,電荷の異なる複数の構成分子を結晶中で配列させる試
みが行なわれてきたが,この方法では異なる電荷の分子が無秩序な配列になり,
超伝導につながる電荷秩序状態にはならなかった。研究グループは、3つの分子
を連結した三連結分子を考案し,実際に合成することに成功した。その分子でい
ろいろな伝導体の候補物質を開発したところ,その中から期待した電荷秩序状態
を発現している物質が見つかった。研究グループは,今後はこの物質に圧力など
を加えて実際に超伝導になるか調査することに加え,関連する新しい分子も合成
して、有機超伝導体の開発を目指す。

ダイズ油の明所臭に関わる遺伝子を特定
12月08日九州大学と佐賀大学は,油脂中にフラン酸をほとんど含まないダイズ
突然
変異体を見出し,これを用いて,油脂中のフラン酸合成に関わる遺伝子を特
定することに世界で初めて成功 ダイズ油脂は世界で2番目に多く消費されている
植物油脂だが,古くダイズ油脂独特の問題として,光にあたると枯れ草様の不快
臭(明所臭)が発生することが知られていた。この原因となっているのは,油脂
中にごく微量(総脂肪酸の0.05〜0.1%程度)含まれているフラン酸と呼ばれる特
殊な環構造を持つ脂肪酸であり,この物質が光によって分解すると3-メチル-2,4-
ノナンジオンが生成され,明所臭となることが明らかになっていた。そこで,研
究グループはこのフラン酸を合成しないダイズが作成できれば,この問題が解決
し,ダイズ油脂(およびダイズ製品)の用途拡大が可能となると考えて,この研
究を行なった。 当初,研究グループは入手可能な数百のダイズ品種について,
フラン酸の少ない品種の探索を行なったが,フラン酸含量の少ないダイズ品種は
見つからなかった。

その後,ダイズ突然変異体リソースを使って探索したところ,フラン酸含量が著
しく(最大で通常の品種の10分の1以下)減少した4系統の突然変異体を得ること
ができた。そこで,これらの突然変異体を用いて,遺伝解析を行ない,2個の原
因の遺伝子(Glyma.04G054100と Glyma.20G201400)を同定することに成功した。
また,この研究で得られた低フラン酸突然変異系統からダイズ油脂を調製し,油
脂の酸化安定性と不快臭の発生について評価を行なったところ,標準的なダイズ
品種であるフクユタカから調製したダイズ油脂と比べて,酸化安定性が高く不快
臭の発生も抑制されていることが明らかになった。 研究グループは以前の研究
で,ダイズ油脂のオレイン酸含量を増加させ多価不飽和脂肪酸の含量を減少させ
ることにより,明所臭以外の2つの不快臭の発生を抑制できることが明らかにし,
この技術を用いたダイズ品種も実用化している。 この技術と今回の研究の結果
を組み合わせることで,ダイズ油脂由来の主要な不快臭の発生を抑制する技術が
完成し,ダイズ新品種の開発が見込まれる。このことは、
ダイズ油脂の品質劣化
のみならずダイズを原料とする様々な食品(豆乳や代替肉等)の品質や品質保持
期間の改善等にも貢献することが期待される。



iPS細胞由来の間葉系幹細胞から高品質な軟骨を作製
この記載遅れになっているが、6月8日。
京都大学らの共同研究グループは、神経
堤細胞注を経て軟骨スフェロイドを作製する方法を確立。この軟骨スフェロイド
を使って大きな軟骨の作製、軟骨の修復ができる可能性がある。

画像は各MSCの軟骨への分化能の比較(出典:CiRA)
中山功一教授(佐賀大学医学部 附属再生医学研究センタ)、味の素株式会社
らのグループと共同で、iPS細胞から作製した間葉系幹細胞(iMSC)
【要点】
1.様々な細胞による軟骨修復は行われているが、長期間効果のある治療法は存
 在していない
2.iPS細胞由来の間葉系幹細胞から関節軟骨修復に適した軟 骨スフェロイド
 を作製する方法を確立した
3.バイオプリンターを利用してより大きな軟骨を作る際の材料として使用でき
  る
【概要】
関節を滑らかに動かす役割をする組織だが、軟骨は血管を持たないため、細胞の
増殖や分化を促進するために必要な物質の供給が不十分。軟骨は一旦損傷すると
修復が難しく、関節痛や変形などの原因となる。現在は再生医療として、患者さ
ん自身の体から取り出した軟骨細胞や間葉系幹細胞を培養し、軟骨へと分化させ
て移植する取り組みがあるが、この手法では、細胞提供者に由来する合併症、限
られた増殖能、脱分化などの課題があります。 iPS細胞は体の外で大量に培養す
ることができるので、細胞治療用の軟骨を大量に作るための材料の一つとして期
待されています。また、血液の細胞からつくることができ、あらかじめ作製し保
存されているiPS細胞も利用でき、細胞採取の際に患者への負担が少なくなる。
これまでに研究グループはiPS細胞から神経堤細胞を経由して間葉系幹細胞を作
製し(iMSC)、得られたiMSCがさまざまな細胞に分化すること、創薬や疾患モデリ
ングに利用できることを示してきた。また、再生医療用の細胞を作製するために、
動物由来成分を含まない方法でiMSCを培養する方法を確立する。

【成果/展望】
1.iMSCは軟骨へと分化することができる
iMSCから軟骨様組織を作るための効率的な分化方法を確立するために、異なる条
件で作られた複数のiMSC(T1-iMSCおよびXSF-iMSC)と骨髄由来MSC(BM-MSC)を比較
検討し、T1-iMSCは他と比べて軟骨形成に優れていると同時に、骨や脂肪を形成。

2.低分子化合物と三段階の誘導により軟骨分化を促進する
MSCの軟骨分化は、従来TGF-βや骨形成タンパク質(BMP)などの因子で持続的に刺
激することで行う。近年では、段階的に分化させる方法が登場。同究グループは、
TGF-βとBMPに加え、軟骨形成を促進する低分子化合物であるTD-198946(TD)を使
い、軟骨スフェロイドを作る方法に、従来の方法と三段階誘導法とを比較した。
段階的に分化させて作られた軟骨スフェロイドは、従来法と比較して 高品質(関
節軟骨マーカであるRPG4の発現が高く、肥大軟骨マーカであるCOL10A1の発現が
低い)であることが分かった (図2)。

図2 従来法と三段階誘導法との比較 三段階誘導法で誘導した軟骨スフェロイド
は従来法と比較して、関節軟骨マーカーであるRPG4の発現が高く、肥大軟骨マー
カーであるCOL10A1の発現が低く、高品質であることがわかる。

3.iMSC由来の軟骨スフェロイドは生体内でも軟骨の状態を維持できる
軟骨スフェロイドを生体内に移植した際にその性質が維持されるかどうか確かめ
ました。T1-iMSCあるいは BM-MSCから作製した軟骨スフェロイドを免疫不全マ
ウスの皮下に移植した。8週間後に移植したスフェロイドを採取し、顕微鏡で観
察した。BM-MSCから作製した軟骨スフェロイドには、8週間後には軟骨様組織の
他に石灰化し、骨様組織ができた。一方で、T1-iMSCから作製した軟骨スフェロ
イドは、8週間後でも軟骨として残っていました(図3)。


図3.移植した軟骨スフェロイドの組織染色 青色の部分はアルシアンブルー染
色で染まった軟骨。茶色はコッサ染色で染まった石灰化した部分。

4.iMSC由来の軟骨スフェロイドは数日で融合する
段階的に分化させる方法で作られた軟骨スフェロイドは、近くに存在していると
接着し、7日目には完全に融合していた。


図4.軟骨スフェロイドの顕微鏡写真

今回の研究では、軟骨を修復・再生する能力をもつ軟骨前駆細胞をiMSCから製造
する方法を開発この方法により、軟骨前駆細胞を安定的に大量に製造することが
できると考えられる。また、剣山メソッド型のバイオプリンターなどの技術を利
用して大きな軟骨組織を構築し、大欠損を修復できる可能性がある。
【掲載誌】
論文名:Enhanced chondrogenic differentiation of iPS cell-derived mesenchymal stem/
      stromal cells via neural crest cell induction for hyaline cartilage repair

      doi: 10.3389/fcell.2023.1140717
【脚注/関連項目】
1.iPS細胞から作製した間葉系幹細胞(iMSC) :間葉系幹細胞は、成体内に存在
 する幹細胞の一種で、骨や軟骨、脂肪などに分化する能力がある。これをiPS
 胞から誘導したものがiPS細胞由来間葉系幹細胞。
2.神経堤細胞:発生の途中で一時的に現れる細胞で、さまざまな細胞に分化す
 る。第四の胚葉とも呼ばれる。
3.軟骨スフェロイド:軟骨細胞が集まって形成される小さな球体のこと。細胞
 外マトリックスを細胞の周りにまとっていて、軟骨同様の構造をしている。
4.細胞外マトリックス:細胞の周囲にあるタンパク質、糖、水からなる物質。
 組織を支え、形を保ち、細胞同士をつなぐ役割がある。
5.剣山メソッド型のバイオプリンター:臓器や組織を作成する新しい方法の一
 つとして注目されている。細胞を培養して増やし、小さな細胞の塊を作る。次
 に、これらの細胞の塊をバイオプリンターにかけ、剣山のように並べられた針
 に、目的とする臓器や組織の形状に合わせて刺して積み上げていく。数日経つ
 と細胞の塊同士がくっつき、針を抜いても立体形状が維持される。
5.ダイレクト・サウンド・プリンティング(DSP)」


via 音波を体に当てるだけで体内に直接物体を3Dプリントする技術「ダイレクト
・サウンド・プリンティング(DSP)」 - GIGAZINE
※安全性の担保が確立できれば、医療・生物・農水産物などへの応用へ拡張可能。


 風蕭々と碧い時
再会酒場 2023.5.10
坂本冬美 吉田旺/徳久広司/南郷達也



    
「インドの歌」は、リムスキー=コルサコフの1896年のオペラ『サトコ』のアリ
ア「Pesni︠a︡ indiĭskogo gosti︠a︡(インド客の歌)を翻案した人気曲である。 このメロ
ディーは 1918年の歌「ビューティフル オハイオ」にも使用され、米国オハイオ
州の公式歌となった。

今夜の寸評: 希望の灯火 どこまでも
        Good deeds you have done for others are certaine to hope you                                                                                      浄土宗 月訓

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新成長経済理論考 ⑬

2023年12月10日 | 人工光合成時代



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。



きょうは親父の命日。宗安寺にお参りし、昼食はいつものように十割側をと予定
していたが、閉店のため在来種のいぶき蕎麦を打つ「つる亀庵」に立ち寄り、「
寒ぶりの伊吹大根みどれ蕎麦」「にしん蕎麦」を頂く。前者ははじめての季節蕎
麦。すこし朝霧がかかったような上天気。「これは美味い!」と堪能す。因みに
墓地の供養花はご近所から頂戴いている「高野槙」。

 
  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era

                     
新成長経済理論考 ⑬
 高付加価値としての再エネ事業の選択と集中



近年、下記に事例掲載しているように、白金族などの希少元素を代替するプラズ
モン金属と触媒金属を組み合わせることで、産業用途向けの強力な光触媒開発を
進められている。これは太陽光の新しい利用方法であり、CO2を使用可能な物質
に変換する方法であり、持続可能な社会実現の有効な手段り、付加価値を高める
技術として注目をされている。

1.2017.04.10 神戸大学・大阪大学・科学技術振興機構(JST) 水素生成量z
が桁増加する光触媒の開発に成功 
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20170410/index.html

2.02017.05.29 大阪大学 世界初!水から水素を高効率で生成できる光触媒;
黒リン、金ナノ粒子、チタン酸ランタンの3材料の可視光・近赤外光応答光触媒https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2017/20170529_1

3.2021.02.21 田中貴金属 細菌とナノ粒子の「バイオ・ハイブリッド」で、光
から水素をつくる。https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/anie.202016960

4.2021.08.26 NED・人工光合成化学プロセス技術研究組合・東京大学、富士フ
イルム(株)、TOTO(株)、三菱ケミカル(株)、信州大学、明治大学 人工光
合成により100m2規模でソーラー水素を製造する実証試験
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101473.html

5.2022.07.11 世界最高水準の太陽光-水素変換効率(13.9%) 新潟⼤学・産総
研 https://www.niigata-u.ac.jp/wp-content/uploads/2022/07/220701rs.pdf


12月08日、ドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学らの共同研究グループは
プラズモニックバイメタル二次元超結晶に基づく光触媒水素生成技術を開発。
個々の金ナノ粒子 (AuNP) と白金ナノ粒子 (PtNP) を組み立てることによって
プラズモニック構造を組み立てた。金ナノ粒子の配置により、入射光が極めて効
率的に集束され、金粒子間に形成される強い局所電場、いわゆるホットスポット
が生成される。 提案のシステム構成は、可視光が金属内の電子と非常に強く相
互作用し、それらを共鳴振動させ、電子が集合的にナノ粒子の一方の側からもう
一方の側へ非常に速く移動する。 これにより、双極子モーメントと呼ぶ一種の
ミニ磁石が形成される。 これは、電荷の大きさと、正電荷と負電荷の中心間の
距離の積。 それが物質化すると、ナノ粒子はより多くの太陽光を捕らえ、それ
を非常に高エネルギーの電子に変換。 これらは化学反応を促進するのに役立ち
ます。ギ酸分解におけるプラズモニックバイメタル二次元超結晶の性能をテスト
した。この文脈では、金と白金の活性が低いこと、そしてカーボンニュートラル
な水素キャリアであることにも基づき、プローブ反応が選択された。超結晶が触
媒目的に使用できることを発見。 実験での照明下でのプラチナの性能の向上は、
入射光と金アレイの相互作用によってプラチナが活性化されたことを示唆する。
実際、ギ酸を H2 キャリアとして使用すると、AuPt 超結晶が最高のプラズモニ
ック性能を発揮する。この結晶は、触媒1グラム当たり1時間当たり139ミリ
モルの水素生成速度を示す。これは、この光触媒材料が可視光照射および太陽放
射下でのギ酸脱水素による水素生成の世界記録となる。最近 Nature Catalysis
に掲載された水素
生成のためのプラズモニック バイメタル二次元超結晶で新しい
解決策を発表。
プラズモン金属と触媒金属を組み合わせることで、産業用途向けの強力な光触媒
の開発を進めている。これは太陽光の新しい利用方法であり、CO2を使用可能な
物質に変換するなど、他の反応の可能性をもたらす方法。
------------------------------------------------------------------------
水素製造用プラズモニックバイメタル二次元超結晶

【要約】
太陽光による水素生成は、差し迫った炭素ベースのエネルギー崩壊に対処するた
めの中心的な技術。プラズモン粒子と触媒ナノ粒子からなるコロイド光触媒は、
太陽放射照度での水素生成に有望だが、その性能は吸収や多重散乱現象によって
妨げられる。 今回、明確に定義された金ナノ粒子の超結晶に白金ナノ粒子を組
み込むことにより、二次元バイメタル触媒を提案。 このバイメタル超結晶は、
の H2 生成率を示しました。 可視光照明および太陽放射照度下でのギ酸脱水素
反応を介し、2つの金属材料間の相互作用と、それが触媒作用に及ぼす影響を研
究することが可能になる。 ホットスポットの電場の強度と白金ナノ粒子の触媒
活性の促進との相関関係を観察し、その促進における熱と金から白金への電荷移
動の構成利点を実証した。

【概要】
分子状水素 (H2) は、クリーンで持続可能なエネルギーの探求において必然的に
重要な役割を果たす。 発熱燃焼が高いため、炭素ベースの燃料の代替として適し
ており、それによって二酸化炭素排出量が削減される。 自然界で起こることと
同様に、水素結合で太陽光からのエネルギーの捕捉すは、さらなるプロセスで太
陽エネルギーを貯蔵及び製造に有望な戦略である。このエネルギー変換を促進す
る材料は非常に興味深い。この点において、サブ波長の金属ナノ粒子 (NP) は、
局在表面プラズモン共鳴によって駆動される光触媒作用に独自の可能性をもたら
す。 金、アルミニウム、銀、マグネシウム、銅などのプラズモニック金属は、電
磁スペクトルの可視領域でこれらの共鳴を示し、最大太陽放射照度のスペクトル
領域で光を効率的に吸収できます5。 この光と物質の相互作用により、NP表面の
電場が強化され、高エネルギーの正孔と電子 (ホットキャリア)、および局所的な
熱が発生。 これらの優れた光学特性にもかかわらず、これまでに使用されてい
るプラズモニック金属は触媒活性が低い。

化学変換の顕著な光学特性を利用びは、プラズモニック NP を多成分ナノ構造に
統合し、個々の成分に関してより優れた性能を備えた光触媒を製造した 8,9。
特に、触媒金属とプラズモニック金属からなるバイメタル構造は、可視光の強い
吸収と高い反応性を兼ね備えている10、11、12。 アンテナ - リアクター」とい
う用語は、プラズモニック NP と触媒 NPが近接して配置される構成を指す造語
だが、活性材料が島を形成するか、プラズモニックアンテナ表面に単一原子とし
て分散する配置にも拡張された。この構成は、他の構成と比較して、光を反応生
成物に変換する効率が最も高くなる13、14、15、16、17。
これらのバイメタル光触媒の活性が強化されているにもかかわらず、液体環境に
おけるその性能はいくつかの実験上の課題に直面しています。 たとえば、濃縮
された溶液は複数の散乱と吸収の事象に悩まされ、反応器への光の浸透が数百マ
イクロメートル(〜500 μm)まで減少するため、存在するすべてのナノ構造の同
時活性化が妨げられる18。これにより、溶液中の触媒濃度の作業範囲が制限され
適切に設計された反応器を製造する際の課題が増大する。さらに、コロイド NP
に安定性を与えるリガンドは光化学的脱着を受ける可能性がある 19,20。 その
結果、ナノ構造の制御されない凝集が生じ、光学特性の変化、凝集体の沈降、お
よび触媒活性に利用できる表面の減少につながる。 コロイド懸濁液からフィルム
構成への移行は、光の透過と凝集による制限を回避するための魅力的な戦略。
このアプローチにより、比較的固定された位置にあるすべての個々の NP を集合
的に励起することができるため、上記の実験上の制限に対する解決策が提示され
る 21、22、23。 この点に関して、プラズモニック二次元(2D)超結晶24、25、26、
光応答が平面内の個々の成分の周期的組織化によって支配されるデバイス27、28
は、3Dから準2D材料への移行を促進し、バイメタル光触媒の利点をより良く活用。
ここで、2Dとは結晶が2次元に広がることを表現する。これは単層に限定され
ず、むしろ特定のドメイン内の定義された数の層を意味する29。

【成果】
2D超結晶の合成と特性評価
図1は、合成されたプラズモニック超結晶の顕微鏡的
特性を示している。参照/対照サンプルとして機能する単金属 2D 超結晶 (Au 超
結晶) は、個々の AuNP を構成要素として使用する以前に報告された方法に従っ
て製造された 25。 AuNPの合成を正確に制御し、 それらの表面化学と自己組織化
ステップにより、エッジ間距離が約2 nmの22 nm AuNPが十分に詰まった六角形の
アレイが得らた(図1a)。 透過型電子顕微鏡 (TEM) でさまざまな領域を調査し
たところ、サンプル中に大きな AuNP の六方最密充填以外の結晶配列は見つから
なかった。 広い領域にわたる構造の均一性は、図1bのTEM画像に示す。 これら
の層は最大数平方ミリメートルまで広がることがある (図 1c)。 単層に加えて、
結晶化プロセス中に多層の領域も出現(図1c)。多層は同じ結晶相 25 を維持す
るが、結果として異なる光学特性が得られる。 透過モードの光学顕微鏡を使用
}すると、コントラストの違いにより異なる層番号を識別することができ、サン
プルの厚さが異なることを示した 24,40。 Au超結晶の透過率の一例を図1cに示
す。青色が明るいほど、超結晶は薄くなる。明確な色のコントラストを利用して
さまざまな層番号の面積を測定。


図 1: 顕微鏡による特性評価
a、b、22 nm AuNP からなる Au 超結晶の 2 つの異なる倍率での TEM 画像。 NP
の粒子間ギャップは約 2 nm 。 c、超結晶の代表的な透過顕微鏡画像。 青色の
色合いの違いは、粒子層の数が異なることを示す。 1L、単層。 2L、二層; 3L、
三層。 3L+、多層。 d、e、2つの異なる倍率でのバイメタル2D AuPt超結晶のTEM
画像。 PtNP (〜3 nm) は、22 nm AuNP 間の粒子間ギャップ (〜3.5 nm) にホス
トされている。 異なる金属間に界面は形成されず。

【結論】
この研究では、コロイド懸濁液から所望のアンテナ - リアクター構成を実現。
たプラズモニックバイメタル超結晶を紹介。 超結晶のサイズは構造を維持した
まま数ミリメートル平方ミリメートルまで拡大することができ、単層、二層、多
層ドメインを実現できる。太陽放射照度でのギ酸脱水素反応における水素生成速
度の2倍の増加を観察で、超結晶におけるプラズモニック触媒成分の相乗効果を
証明した。 明確に定義された超結晶を使用し、触媒増強に対するプでラズモニ
ックの寄与を区別できた。この研究結果は、PtNP の性能は主にホットスポット
での電磁場の強度によって決まるのに対し、熱の寄与や AuNP から触媒中心への
電荷注入は反応促進に与える影響が小さいことを明らかにした。



図2: 超結晶の光学的特性評価
a、b、純粋なAu超結晶(a)とバイメタルAuPt超結晶(b)の実験層依存の反射率
透過率、吸収スペクトル。 c、d、異なる層番号の組成の分析から得られた、純粋
なAu超結晶(c)およびバイメタルAuPt超結晶(d)の重み付けされた反射率、透
過率および吸光度スペクトル。 上で述べたように、透過モードの光学顕微鏡で画
像化された超結晶層の色のコントラストにより、ドメインのサイズを推定するこ
とが可能になった。 したがって、個々の層の実験応答を異なる領域で重み付けに
より、サンプル全体的光学応答が計算が可能となる。触媒実験では、異なる数の
層を含むサンプルの広い領域が照明され、さまざまな層の比率を知ることができ
る。対照サンプルの被覆率が約 80%、AuPt 超結晶の被覆率が約 60% の単層がサ
ンプルの主要部分を構成が明らかした。バイメタルサンプルには顕著な量の三層
および多層(約 30%)が含まれるが、モノメタルサンプルは約 3% の多層のみで
構成される。


図 3: ギ酸条件における光触媒性能 a、Au および AuPt 超結晶の、暗所と明所
の両方の条件における触媒の総質量によって正規化された H2 生成速度。
b、AuPt超結晶のアレニウスプロット。 白色光照射により、Ea は 33.4 kJ mol−1
から 29.8 kJ mol−1 に減少。 すべての実験で使用される放射照度、〜110 mW
cm−2、T = 25 °C。 データは、少なくとも 3 つの独立した測定の平均値として
表示。エラーバーは標準偏差を表す。
-----------------------------------------------------------------------
【技術用語脚】
1.バイタルナノ粒子:触媒活性と選択性を高めるための2つの異なる金属の組
み合わせ(Bimetallic Nanoparticles A Combination Of Two Different Metals For Enhanced
Catalytic Activity And Selectivity


 風蕭々と碧い時




今夜の寸評: 

 

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新成長経済理論考 ⑫

2023年12月06日 | 人工光合成時代



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。



日中の太陽光不足は夜間の電灯よりも悪い理由
 


歴史の複雑さとは何か Ⅱ
               禍かなパリサイ人よ 陸海をめぐりて汝のゲヘナの子となす
                                                      マタイ伝 23-15


※元来、今日のエルサレム市の城門の外にある、深くて狭い谷底のゴミ捨て場。
そこでは、ごみを処分するために火が燃やされ続け、悪臭を放ち、処刑された罪
人の体や、ふさわしい埋葬をされなかった人体が埋められる場所でもあったゲヘ
ナ (Gehenna)とは、ヒンノムの谷をさす。

「パレスチナ問題考 ③」後期19世紀 - 1921:
起源 1920 - 1948:イギリスによるパレスチナの委任統治

「パンとワイン」紛争 パレスチナ分割
1948 - 1967:中東戦争
1967 - 1993:第一次インティファーダ
1993 - 2000:オスロ和平プロセス
2000 - 2005:第二次インティファーダ
2005 - 2008:アッバース時代のはじまり
2008 - 2009:ガザ紛争
2010 - 2017:パレスチナ側の手詰まりと米トランプ政権発足 
2018 - 2021:「繁栄に至る平和」と「アブラハム合意」
2021年9月4日、コソボとセルビアは、アメリカ合衆国の仲介で、経済関係の正常
化は無効であり、正常化に起因する行動も無効である」とUAE代表団を非難した[296]。
10月16日、サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン・アール・サウー
ド外相は、米国のシンクタンク・ワシントン近東政策研究所(英語版)主催の仮
想会議で、「いま必要なことはパレスチナとイスラエルが交渉の席に戻ることだ」
と主張[297][298][299]。
同日、イスラエルはOHCHR職員9人のビザを更新せず、退去させた。残る3人のビザ
も数ヶ月以内に切れるという。2月に、国際法上違法な入植地に関わる112法人の
リストを公表したことに対する報復とみられている[300]。 OCHAによると、ヨル
ダン川西岸では10月7日 - 19日に掛けて、ユダヤ人入植者とパレスチナ人農家ら
との小競り合いで、パレスチナ人23人が負傷し、1000本以上のオリーブなどの木
に被害が出た。前年は負傷者3人、被害樹木100本で、被害が大幅に増加した。農家
によると、入植者は木を傷つけたり、放火したり、根こそぎ抜くなどの嫌がらせ
を行い、パレスチナ人と衝突すると、イスラエルの治安部隊が入植者を手助けす
るために介入するという。また、例年は欧米からボランティアの監視団が来訪す
るが、今年は新型コロナの影響で来られなかったという。イスラエル国防軍の広
報担当者は「安全に収穫できるようにするのが部隊展開の目的だ」とする一方、
「イスラエル国民(である入植者)が負傷することはあってはならない」と説明
した[301]。

10月20日、アラブ首長国連邦外交団が、湾岸アラブ諸国として初めてイスラエル
を訪問した。PLO幹部のワセル・アブ・ユセフは「恥ずべき」訪問と非難した。
UAE外交団に同行した、米国国際開発金融公社(英語版)のアダム・ボーラー代
表によると、イスラエル、米国、UAEの3ヶ国は民間投資と地域協力の基金を設立し、
当初は約30億ドルの調達を見込んでいるという。またこの基金で、イスラエルが
パレスチナ人の通行管理に設けている検問所の近代化が可能になるという[302]。
10月22日、エルサレムのイスラエル連邦判事裁判所は、24人のパレスチナ人住民
のうち、12人の退去と、ユダヤ人入植者への明け渡し、さらに入植費用7000新シ
ェケル(約226万円)の負担を命じた[303]。ほとんどのパレスチナ人家族は、イ
スラエルの司法は占領政策の道具に過ぎない(ので勝訴は望めない)と考え、控
訴を断念したという[304]。
10月23日、米国トランプ大統領は、スーダンとイスラエルとの国交正常化合意を
仲介したと発表した[305]。ただし、スーダンのオマル・ガマレルディン外相は、
スーダンは(2019年スーダンクーデター後に発足した)暫定政権であるため、正
式な国交正常化は立法評議会による憲法公布後になるという見通しを示した[306]。
トランプはこれに先だって、米国によるスーダンのテロ支援国家指定解除を、米
議会に通知していた[307]。イスラエルのネタニヤフ首相は、「アラブ世界との
正常化に、無防備な1967年線[注 18] に引き戻す必要はないことは確定的に明ら
か」であり、今のスーダンは「平和にイエス、承認にイエス、正常化にイエスだ」
と賞賛した[308][309]。パレスチナは国交正常化への非難と拒否を表明し、「ア
ラブ和平イニシアティブ」、国連安保理決議1515に違反していると声明を出した
[310]。ハマースは、スーダンが「占領者イスラエル」と国交正常化合意したこと
に「衝撃」と「強い非難と憤り」を表明した[311]。
10月28日ユダヤ人入植地にあるアリエル大学で、イスラエル・米国による科学
技術協定の更新が調印された。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は調印式で、「1967
年の境界線を越えたイスラエルの全て(の支配)を非合法化しようとする、全て
の人びとに対する重要な勝利」を宣言し、「イスラエルの人々とイスラエルの地
との千年のつながり」を根拠に、改めて占領の正当性を主張した。また、協定の
適用範囲が、占領地の「ユダヤ・サマリア[注 9]」、東エルサレム、ゴラン高原
に拡大されたことを明らかにした[312][313]。
パレスチナのアッバース大統領報道官のナビル・アブ・レデネは、「この措置は
パレスチナ領の占領に米国が実際に参加していることを意味する」と非難[314]

10月29日、米国はエルサレム出身の自国民のパスポート出生地欄を、国名を表記
しない「エルサレム」から、「イスラエルのエルサレム」に変更可能にした[315]。
『ハアレツ』は、「トランプ政権が万が一、終わってしまうことに備えている」
との見解を報じた[316][317]。
11月3日投開票された2020年アメリカ合衆国大統領選挙は、11月7日にジョー・バ
イデンの当選確実が相次いで報じられた

11月8日、パレスチナのアッバース大統領は祝意を表明した。一方、イスラエルの
ネタニヤフ首相は、バイデンに祝意を表明すると共に[318][319]、トランプ現大
統領に対しても感謝の意を示した[320]。
11月9日、UNRWAは、職員約28000人の11月分の給与の財源が底を突いたとして、各
国に援助を求めた[321]。
11月15日、イスラエル当局は、東エルサレムのギバトハマトス入植地で住宅1257
棟の入札を開始した。締切は米国大統領の任期満了日(バイデンが当選した場合
はその就任日)の2日前である、2021年1月18日に設定された[322][323][324]。
11月17日、パレスチナとイスラエルは、治安や徴税などの協力関係の再開で合意
した。米国でバイデンが大統領当選確実になったことから、トランプ政権による
「懲罰的措置」を覆す狙いがあるという。一方で、イスラエルによってテロなど
の罪状で投獄された、政治犯への給与支払の見直しを検討しているという[325]。
ハマースは、イスラエルとの関係再開を強く非難する声明を出し、「バイデンな
どに賭けるのは止めるよう」要求した[326][327]。
11月19日、米国のポンペオ国務長官が、国務長官としては初めて、イスラエル占
領地である、ゴラン高原とヨルダン川西岸のユダヤ人入植地を訪問した。これら
は、トランプ政権がイスラエルの主権を承認したことを踏まえての行動であり、
同時に政権交代を見据えて既成事実化を図ったものとも報じられた。またヨルダ
ン川西岸のC地区で生産された米国への輸出製品には、従来は「ヨルダン川西岸製
」(Made in the West Bank)表示を義務づけていたが、新たに「イスラエル製」(
Made in Israel)表示を義務づけたガイドラインも発表した[328]。すなわち、「ヨ
ルダン川西岸製」表記を、米国としては違法とした[329]。
11月21日、サウジアラビアのファイサル外相は、NHKの取材に対し「日本はイスラ
エルとパレスチナと良好な関係である」から、両国を交渉再開させ、国際貢献す
ることができるとして、日本への期待を表明した[330]。
11月22日、イスラエル国防軍はガザ地区のハマース軍事拠点を空襲したと発表し
た。国防軍によると、11月21日にガザ地区から発射されたロケット弾攻撃への報
復としている。また、11月15日にもガザ地区からロケット弾攻撃があったが、い
ずれもイスラエル側の負傷者は無かった[331]。
11月23日、ハマースによると、ハニーヤ政治局長は、パレスチナがイスラエルと
の協力関係再開を決めた件について、他党(イスラーム聖戦、パレスチナ解放人
民戦線、パレスチナ解放民主戦線、パレスチナ国民構想と協議した[332]。
11月26日、エルサレム地方裁判所は、イスラエルの入植者団体アテレト・コハニ
の訴えを支持し、東エルサレムのパレスチナ人住民87人の立ち退きを命じた
退去を命じられたある住民は、「アルジャジーラ」の取材に、2009年に自宅の半
分を入植者に不法占拠され、「完全にエルサレムからパレスチナ人の存在を全滅
させるための努力の一環として」継続的な嫌がらせを受けたと答えた。OCHAによ
ると、イスラエル当局が「違法建築」として、破壊の危機にあるパレスチナ人学
校は52校に上る[333]。アテレト・コハニム、ナハラト・シモン(英語版)などの
団体は、東エルサレムの「ユダヤ化」を促進するため、パレスチナ人住民の追放
を求める訴訟を相次いで起こしている[334]。これらの入植者団体は、1948年以前
にユダヤ人のものであった財産を取り戻すと主張しているイスラエルの法では
、ユダヤ人が1948年以前の財産を取り戻すことは法律で認められているが、非ユ
ダヤ人には認められていない[335]。 国連人道問題調整事務所(OHCHR)の報告に
よると、2021年1月11日現在、877人(子供391人を含む)が立ち退きの危機にさら
されている。国連特別報告者のマイケル・リンクは、イスラエルの裁判所による
パレスチナ人住民立ち退き命令は「歴史的盆地として知られる、東エルサレムの
地域に戦略的に集中」しており、「より違法性の強いイスラエル入植地建設の妨
げにならないよう、東エルサレムのパレスチナ人をヨルダン川西岸から物理的に
孤立させる」目的があると指摘した。また、立ち退きが実行されたなら、ジュネ
ーヴ第4条約49条の、住民の強制移住の禁止に違反しているとも指摘した[336]。
12月4日、パレスチナ自治区のラマッラーで、ユダヤ人入植地建設の抗議活動が行
われた。パレスチナ保健省によると、参加した少年1人がイスラエル国防軍に殺害
された[337]。
12月6日、サウジアラビアのトルキ・ファイサル王子は、オンライン国際会議「マ
ナマ対話」で、イスラエルを「欧州の植民地勢力」と評し、パレスチナ人を強制
収容所に捕らえ、民家を破壊し、思うがままに暗殺していると非難した。イスラ
エルのアシュケナジー外相は、会議上で遺憾の意を表明した[338]。
12月10日、米国の仲介で、イスラエルとモロッコが国交正常化で合意した[339]。
イスラエルのネタニヤフ首相は、「中東でこれほど平和の光が明るく輝いたこと
はない」とモロッコを評価した。一方、PLOのバッサム・サルヒはロイターに対し、
アラブ和平イニシアチブに反するもので容認できず、今回の合意はイスラエル
の好戦的な態度やパレスチナ人の権利否定を助長するもの」だと非難した[340]。
モロッコのムハンマド6世国王は、同日にパレスチナのアッバース大統領と電話会
談し、モロッコはパレスチナの大義と二国家共存を支持しており、当事者間の交
渉が唯一の解決方法であると述べたという[341]。
一方でムハンマド6世は、イスラエルに移住した、数十万に上るモロッコ系ユダヤ
人との「特別な関係」にも言及した[342]。
12月12日スーダンはハマースのマシャアル前政治局長の市民権を剥奪したこと
がわかった。米国のテロ国家指定解除後に、実行されたという[343]。スーダン内
務省は、マシャアルを含むパレスチナ人112人の市民権を剥奪し、また約3500人に
市民権を与える決定を取り消した。スーダンに帰化したパレスチナ人は約6000人
に上るが、市民権剥奪により不法滞在とされ、強制送還される懸念が起きている
という。イスラエルの、イランからスーダンを介したハマースへの武器取引を阻
止する意図があると見られている[344]。
12月21日、イスラエル警察によると、聖地「神殿の丘」周辺で、警察の詰め所に
発砲したパレスチナ人の少年を射殺した[345]。また同日、ヨルダン川西岸のユダ
ヤ人入植者が遺体で発見された。警察はテロの可能性があるとしている[346]。 1
2月23日、『ル・モンド』によると、アラブ首長国連邦とイスラエルは、国連パレ
スチナ難民救済事業機関(UNRWA)廃止に向けた計画を策定していると報じた。ベ
ンジャミン・バルテ記者は、UAEはUNRWAの主要な資金源となっていたが、2020年
に出費のほとんどを止めたと指摘した。バルテは、UAEがイスラエルの年来の主張
に協力することになると指摘した[347][348]。
アルジャジーラによると、アラブ首長国連邦は、2018年・2019年は5190万ドルを
UNRWAに寄付したが、2020年は100万ドルに激減したという。UAEはこの件につい
てコメントしていない[349]。
12月29日、ガザ地区のハマースとイスラーム聖戦などの武装組織は、メディアの
前で合同軍事演習を行い、イスラエルに向けてロケット弾を発射した。ハマース
らが、軍事演習をメディアに公開するのは前代未聞という[350]。 2020年の1年間
では、パレスチナ側は34人(うち、子供8人)、イスラエル側は2人(うち、子供0人)
が紛争で殺害された[351] (jp/en.Wikipedia
                                 つづく

『ユダヤ人問題 ① 』
語られないロシアの歴史とアメリカとの深い関係
               キヤノングローバル戦略研究所 小手川 大介
ロシアのユダヤ人
ポーランド王が商工業の育成のために招聘したユダヤ人が13世紀から多数ポーラ
ンド王国に移住。彼らの中心地は南ポーランドのクラカウ。ユダヤ人の多くは商
工業に携わってポーランド王国の交流に貢献する一方、南東部のガリツィア地方
ではポーランド貴族によるウクライナ人農民の支配を番頭のような形で助けてき
た。ポーランド分割の結果、ユダヤ人の多くが住んでいた地域はオーストリアと
ロシアの領土になる。オーストリアに併合されたガリツィアではウクライナ民族
主義者の独立運動が続けられた。(著者「ウクライナを理解するため」を参照)
エカテリーナ女帝は当時未開の土地が残っていたウクライナの土地をユダヤ人に
与えたが、農業にあまり関心がなかった彼らは農地を放棄して次第に1791年にロ
シアが建設した南西部の都市オデッサに移住し商業を営むようになった。この模
様が映画になったのが「屋根の上のバイオリン弾き」です。後にオデッサからは
ユダヤ系の有名な音楽家が多数輩出する。1881年から84年にはポグロム(ユダヤ
人に対する集団的迫害行為)が起こり、1903年からはユダヤ人の海外脱出が増え
てきた。日露戦争の資金がなかった日本政府から派遣された高橋是清がニューヨ
ークでの資金調達に失敗した後に、ロンドンでHSBCのロンドン支部長であったキ
ャメロン(キャメロン首相の高祖父)を中心とする金融団から目標額1億円の半
分(500万ポンド)の融資取り付けに成功する。そのお祝いの夕食会で偶然高橋
の隣に座ったのがニューヨークのユダヤ系のクーン・ローブ商会代表のジェイコ
ブ・シフ。翌朝シフは残りの資金の調達に応じることを連絡してくる。戦争期間
中総額2億円をシフは調達してくれたが、後に高橋がシフに会った際にシフが言っ
たのは、融資の理由はポグロムを始めとするロシアの反ユダヤ主義に対する報復
であり、「ロシア帝国に対して立ち上がった日本は神の杖である」とシフの回想
録では書いている。なお、クーン・ローブは1977年にリーマン・ブラザーズに合
される。

米国独立を助けたロシア
エカテリーナ女帝はヴォルテールの啓蒙主義を信奉しており、この観点から米国
の独立戦争(1775年~1783年)の際に武装中立同盟を提唱し、英国を国際的に孤
立させることで米国の独立を支援。欧州の覇権の関係や啓蒙主義の関係からアメ
リカを援助したのはラファイエット将軍に代表されるフランスと、エカテリーナ
女帝。フランスはこの支援のため財政が破綻し、折悪しく浅間山やアイスランド
の火山の噴火による冷害による飢饉と相まって、フランス革命が発生することに
なる。一方、アメリカを失った英国は1770年のクックによるオーストラリア領有
宣言に続きオーストラリアに眼を向け、1788年に囚人によるオーストラリア入植
を開始した。

南北戦争でリンカーンを助けたロシア  
19世紀に入り、ロシアはジョージアを支配下に収め、またペルシャに勝って、ア
ゼルバイジャン北部を併合した後、1828年にはアルメニアを支配下に置いた。北
カフカスではダゲスタンやチェチェンなどの山岳諸民族がロシアに対し抵抗した
が、1861年にはカフカス全土が平定される。中央アジアにおいても19世紀半ばに
はカザフスタンがロシアに併合されたが、ロシア人の入植に反対して40年にも及
ぶ反乱がおこる。
アメリカの南北戦争の際、英国が独立以降の経緯や奴隷貿易の関係から南部を支
援したのに対し、アレクサンドル 2世のロシアは艦隊を米国沿岸に派遣して英国
の介入を阻止した。なお、この時、リンカーンを尊敬していたタイ王国のラーマ
4世は北軍を助けるために、タイ王国が誇る象軍団の派遣を申し出ている。南北戦
争の直前にはロシアはオスマン帝国と同盟した英仏によってクリミアで敗戦し、
屈辱的な条約を結ばざるを得なくなる。敗戦に伴う莫大な戦費の支払いを目にし
て、ロシアは維持費のかかりすぎるアラスカを1867年に友好国であるアメリカに
売却。売却価格は当時のお金で720万USドル、現在の価値では1億2千300万USドル。
ロシアはこの見返りに機械化に適した米国産の綿花を中央アジアに移植すること
に成功し、ロシアの繊維工業が発展する。

ロシア革命に導いたバクー油田開発とシベリア鉄道建設19世紀の後半に入り、ロ
シアにもやっと産業革命の波がやってきた。19世紀半ばからロシアでは鉄道の建
設ブームが起こりました。鉄道の総延長は1880年からの20年の間に2倍になり、
ロシアの石炭の産出量は1860年の50倍に増加し、19世紀後半にはバクー油田は世
界の産出量の半分を占める。なお、バクー油田の開発に貢献したのはアルフレッ
ド・ノーベルの一族。油田で働く労働者の環境は劣悪で、1905年に大規模な労働
争議がおこるが、この争議を指導して名を挙げたのがスターリ、ロシアが日露戦
争に踏み切ったのは、この大争議から国民の注意をそらしたかったとの説もある。 
1891年にシベリア鉄道の建設が決定される。フランス資本の資金援助を受けて全
線が開通したのは1916年。第一次世界大戦中に財政が苦しかったロシア政府には
フランスに対する支払いを拒否するか、自国の財政の削減を更に行うかという岐
路に立たされて後者を選択し、その結果ロシア革命が起こす。革命によりフラン
スの銀行団の融資はデフォルトになり、フランス政府が肩代わりする。

ところで、チャイコフスキーの最大のスポンサーはロシアの鉄道王の未亡人ナジ
エジュダ・フォン・メックですが、彼女の夫は鉄道事業で成功しロシア一の富豪
になるが、夫の急死後、フォン・メック夫人は一度もチャイコフスキーに会うこ
となしに14年間(1876年から1890年まで)チャイコフスキーを財政的に支援し続
け、彼女の息子のニコライ・フォン・メックはチャイコフスキーの姪と結婚し、
鉄道事業でソ連邦に貢献したが、1929年に濡れ衣を着せられ処刑されるが、1990
年に彼の名誉は回復される。

ロシアは多民族国家で、182の民族が存在しています。ロシア人が全体の7割強を
占めており、ウクライナ人や白ロシア人を含めると東スラブ人の割合が8割を超
えるが、この他にもトルコ系や、コーカサス系、モンゴル系など多種多様です。  
その代表がレーニン(本名はウリヤノフ)。彼の父はカスピ海沿岸のアストラハ
ン出身の物理学者、モンゴル系のカルムイク人とトルコ系のチュバシ人の混血。
レーニンの母はドイツ人、スウェーデン人、ユダヤ人の混血。カルムイク人は現
在でもカスピ海の西北岸に自治共和国を作り、人口は約30万人。現在のモンゴル
西部に居住するも、チンギス・ハーンに追われて西に移動してきた民族。写真を
見れば分かるように現在でもチベット仏教を信仰。

※以後、『手段選ばぬ権力への執着』(日本記者クラブ )を参照し、ベンヤミ
 ン・ネタニヤフの情報を掲載していく。


NDC分類 316.88 「定本 シオンの議定書」 
四王天 延孝【原訳】天童 竺丸【補訳・解説】
成甲書房(2012/03発売)

「シオンの議定書」とは
「秘密権力の世界征服計画書」という触れ込みで広まった会話形式の文書。1890
年代の終わりから1900年代の初めにかけてロシア語版が出て以降、『ユダヤ議定
書』、『シオンのプロトコール』とも呼ばれ、欧米はもとより世界各国で読まれ
続けている、反グローバリズム・謀略史観の定番書である。

『シオン賢者の議定書』(英: The Protocols of the Elders of Zion、露: Протоколы
сионских мудрецов
)は、「秘密権力の世界征服計画書」という触れ込みで広ま
った会話形式の文書。1890年代の終わりから1900年代の初めにかけてロシア語版
が出て以降、『シオンの議定書』[1]『シオン長老の議定書』[2]とも呼ばれる。
この記事では「議定書」とも省略する。 内容は、タルムード経典に記載(バビロ
ン版-ゾハールの2-64のB節)された、選民のユダヤ人が非ユダヤ人(動物)を世
界支配するという実現化への方針の道筋の陰謀論であり、ヘンリー・フォードや
ヒトラーなど世界中の反ユダヤ主義者に影響を与えた。ドイツ国国会議員で国家
社会主義ドイツ労働者党対外政策全国指導者(ドイツ語版)兼東部占領地域大臣
アルフレート・ローゼンベルクが1920年にドイツ語に翻訳し『シオン賢者の議定
書』として出版されたことにより、「反シオニスト運動」が起こり結果的に国民
社会主義ドイツ労働者党政権のドイツにおいてユダヤ人の大量虐殺(ホロコース
ト)を引き起こしたともいえることから「史上最悪の偽書」、「史上最低の偽造
文書」ともとされる。( via Wikipedia)
このように、ユダヤ教の特徴(選民・民族宗教)を理解すれど了解す
には至らない思いを
残す。
                                              この項つづく


  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era
再エネ革命渦論 203
 アフタ-コロナ時代 186】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
 



蛍光マーカーでデンキウナギのDNA導入確認
12月04日、名古屋大学と京都大学は,デンキウナギの放電が遺伝子組み換えの原
動力になり得ることを新たに発見。


【概要】
細胞生物学分野には,エレクトロポレーションと呼ばれる遺伝子導入法がある。
レピシエント(受け手)となる組織や細胞をDNA溶液に浸して,電源となる機械
が出す高電圧によって胞膜に穴を開けてDNA分子を細胞内に入り込ませ,遺伝子
組み換えを促する。 これは従来,あくまで実験室で人為的に引き起こされる現
象として認識されていた。今回研究グループは,自然環境でエレクトロポレーシ
ョンが起こる可能性を考えた。アマゾン川に生息するデンキウナギはエレクトロ
ポレーションを行なう装置よりも遥かに高電圧の電気を発生させることが知られ
ている。 そこでデンキウナギを電源,周辺に生息する生物をレシピエント細胞,
水中に遊離した環境DNA断片を外来遺伝子で見立てると,デンキウナギの放電に
よって周辺生物で遺伝子組み換えが起こるのではないかと仮説を立てた。アマゾ
ン川の野生環境下でこの仮説を検証することは敷居が高いため,研究室でデンキ
ウナギを飼育して代替モデルによる検証を計画した。電源のデンキウナギのほか,
レシピエントには広くモデルとして用いられるゼブラフィッシュを,遺伝子組み
換えの評価のためには緑色蛍光タンパク質GFPをコードする遺伝子配列を使用し
た。ゼブラフィッシュ幼魚とGFP遺伝子を含むDNA溶液を通電性の容器内に共存さ
せ,水槽の中に沈めてデンキウナギの放電に晒した。その結果,約5%の幼魚でGFP
遺伝子の導入とタンパク質の産生を示す緑色蛍光を観察することができた。実験
に最適化された機械によるエレクトロポレーションには効率こそ及ばないが,デ
ンキウナギが発する放電にも遺伝子組み換えを起こすポテンシャルがあることを
初めて実験的に示すことができた。

【展望】
今回の成果で,デンキウナギの放電が周囲の生物に遺伝子組み換えを引き起こす
要因になり得ることが示された。この結果は管理された実験室で観測された現象
に過ぎず,多様な生物種と環境要因を含む自然界でも起こっていることを主張で
きる結果ではないとしている。



転写可能なCNT透明導電ナノシート
11月28日、紙製品・化成品メーカーのマルアイは、転写可能な「カーボンナノチ
ューブ(CNT)透明導電ナノシート」を開発した。ガラスやゴム、木材などさま
ざまな素材や曲面に貼り付ければ、容易に導電性を持たせることができる。

開発品『CNT透明導電ナノシート』の特徴
CNT透明導電ナノシート』は、高い透明性と導電性および経時劣化が小さいこ
とに加え対象物に貼ることで導電性を付与できる、転写機能を兼ね備えた透明導
電フィルムです。従来品は平面や緩やかな曲面にしか設置できなかったが、転写
機能によりあらゆる曲面にも容易に貼ることができ、複雑な形状をした対象物に
もフレキシブルに対応できる。転写可能な素材の一例としては、ガラス、プラス
チック、木材、ゴムなど。


(左)ガラス瓶、(右)ポリエチレンの容器に『CNT透明導電ナノシート』を転
写した様子 

『CNT透明導電ナノシート』の構造は、基材とCNT導電フィルム(CNT膜)(厚み
1μm以下)の間に、水溶性膜を挟むことで形成されており、これを水に浸漬する
ことで基材からCNT導電フィルムが剥離。そして機能を付与したい対象物に剥離し
たCNT導電フィルムを転写することで導電性を付与することができる。また、表面
抵抗率はCNT導電フィルムの膜厚を変えることで10²~10⁸Ω/sq(※3)までの調整
が可能。なお、『CNT透明導電ナノシート』は、東京工業大学との産学連携により
開発。

【展望】
今後は開発品『CNT透明導電ナノシート』の特徴を活かした用途展開を進めていき、
カーボンナノチューブ(CNT)を用いた導電技術および印刷技術を高め、より高機
能な製品の開発を目指していく。

マイクロ波遠隔給電システム開発
12月05日、東芝は、無線LAN通信と共存できる「マイクロ波遠隔給電システム」を
開発した。工場や倉庫などで用いられるIoTセンサーのバッテリーレス化が可能と
なる。現場での実証実験を重ねながら、2025年以降の事業化を目指す。

【背景】
マイクロ波遠隔給電システムは、日本国内では2022年5月から、空間伝送型ワイヤ
レス電力伝送システムとして920MHz、2.4GHz、5.7GHzの3つの周波数帯での利用が
認められています。当社が開発を進める5.7GHz帯は、最も大電力な給電が可能な
周波数帯として産業分野での活用が期待されているが、無線LANと周波数が隣接す
るため干渉による影響が特に課題となっている。国内で製品として販売めには、
無線LANと共存する技術が必要不可欠で、これまで無線LANと共存可能な無線給電
システムがなかった。それぞれ異なる場所に設置されている各センサの受電効率
を上げるには、受電アンテナの向きをセンサごとに厳密に調整が必要で、センサ
の設置の自由度が低くなる課題がある。


図1.従来技術と今回開発した高効率マイクロ波遠隔給電システムの概要 
出所:東芝
1つは周辺の無線信号の有無を検出し、給電処理を適切に制御することで電波の
干渉を回避する「給電技術」である。これによって、無線LANが利用する5.5GHzか
ら5.72GHzまでの広い周波数帯域において、周辺の無線信号を高い精度で検出する
ことに成功。無線信号を検出すれば、給電する方向を変更して無線LANとの干渉を
回避できる。 給電機の筐体は25×40cmで、信号処理回路や増幅回路、位相制御回
路、64素子アンテナを一体化。


図2.開発した一体型給電機で、無線LAN信号を広い周波数帯(5.5~5.72GHz)で
検出した結果 出所:東芝

2つめは、受電アンテナの向きに依存せず、給電された電波から効率よく電力を
取り出せる「受電技術」である。「水平偏波」および「垂直偏波」という2種類
の電波を同時に受信し合成する。これによって受電効率を高めた。 実験では、
給電機から1.5m離れた位置に受電機を配置し、給電システムを評価した。受電機
のアンテナ角を回転させた時の平均受電電力は、垂直偏波のアンテナあるいは、
水平偏波のアンテナで受電できる電力の平均値と比較し、約2倍の平均電力を受電
できることを確認。


図3.受電アンテナの向きに依存せず、効率よく受電できることを実証
出所:東芝

 風蕭々と碧い時

ピアノ The Birthd  2009.12.16

チバユウスケ(1968年7月10日 - 2023年11月26日)は、日本のミュージシャン)
The Birthdayのボーカル、ギター。1991年から2003年まで、THEE MICHELLE
GUN ELEPHANT
のボーカルとして活動。先月11月26日に夭折


今夜の寸評: 強欲に翻弄される人命

 

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新成長経済理論考 ⑪

2023年12月06日 | ネオコンバーテック



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。



毎年11月28日は世界で水餃子を楽しく頂きましょう!
Let's Eat Dumplings around the world!
と掲載したが、事業(プロジェクト)の基本骨子が抜け落ちていた(よくあるこ
とだが)。餃子ポケットに入れる具材は地方の具材にあわせ自在に餡・刻み・ペ
ーストなど)を分離製造販売するということで、商品販売の時宜や祝賀・支援を
テーマと入れ付加価値を加え、顧客の要望になどにあわせ製造販売した収入の一
部還元するするというものである。



すべての人・生物のDNA情報を犯罪から守れ!
23andMeはハッカーが690万人のユーザーの先祖データを盗んだことを確認 1
2月01日、遺伝子検査会社23andMeはハッカーが顧客の0.1%、約1万4000人の個人
データにアクセスしたと発表。 同社はまた、ハッカーはこれらのアカウントにア
クセスすることで「他のユーザーの祖先に関するプロフィール情報を含む多数の
ファイル」にもアクセスできたというが、3andMeは何人かは明かしていない。

Genetic testing tool 23andMe has genetic data of 6.9 million people
stolen by hacking

米国証券取引委員会に提出された文書によると、ハッキング攻撃を開始した攻撃
者は、データが漏洩したアカウントの資格情報を悪用して不正アクセスを取得す
る資格情報スタッフィング攻撃を使用したもよう。 これにより、23andMeユーザ
ーの0.1%に相当する約1万4000のユーザーアカウントに直接アクセスできるよう
になったもよう。 そこから、攻撃者は DNA 親戚を使用して、他の何百万人もの
人々の遺伝的プロフィール情報を入手した可能性がある。当社のシステム内でデ
ータセキュリティインシデントが発生したことや、23andMeがこれらの攻撃で使用
されたアカウント資格情報の漏洩元であることを示す兆候はまだないとのこと。
Dec 05, 2023 11:45:00 Verge. spoke.、 via  GIGAZINE


DNA検査による親戚探・犯罪操作(NL66)テレビCMが流れるなど、日本でも消費者
が直接遺伝子検査を受けるDTC遺伝学的検査が一般的になりつつある、
欧米では2006年頃からサービスが始まり、全世界では3500万人以上がこのようなサー
ビスを利用したという。2018年には、遺伝学的検査を利用して1970年代半ばにカリフォ
ルニアで起きた殺人事件の容疑者を特定したことが話題になりました。警察が犯人のD
NAサンプルを解析して、GEDmatchという無料オンライン家系図データベースに登録す
ることにより、『みいとこ(祖父母のいとこの孫)』の関係にある人物をみつけて、系図か
らひとりに絞り込んでいる。
米国では、DTC遺伝学的検査を25人にひとりが利用しており、利用者は自分のデータを
ダウンロードして別のサービスに移すことができるそうです。現在、GEDmatchを利用して
いる人はごくわずか(成人人口の0.5%)だが、Science誌に寄稿した研究グループは、利
用者が4倍になれば、欧州にルーツを持つ人のほとんどにたどり着くことができるとして
いる。 このようなサービスの利用は、親戚探しや犯罪捜査には有効ですが、一方でプ
ライバシーの侵害にもつながると懸念されおり、厳格な法整備とともに、サービスを利用
する個人が、データの意味するところを正しく理解する必要があると言える。
via DNA検査による親戚探し(NL66) ; かずさDNA研究所
 

  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era
再エネ革命渦論 202
 アフタ-コロナ時代 186】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング



進化するAIで非白金族元素電極材料を探し出し
エコな水素の普及のための新規材料開発支援
11月30日、NIMSは、所望の特性を持つ材料をAIと人との連携により短期間で発見
する手法を開発しました。この手法は、水の電解装置に必須とされてきた白金族
元素を用いない新規電極材料の発見を導き、次世代エネルギー“エコな水素”製
造の低コスト化と大規模導入を加速する。
【概要】
1.カーボンニュートラル実現に向け、二酸化炭素を出さないエコな水素を製造
できる水電解装置の大規模導入が求められている。しかし、現在の水電解装置の
特性は高価で希少な白金族元素型の電極触媒材料に依存するため、当該材料の汎
用元素化による水素製造が必須となる。水電解による水素発生には、酸素発生反
応=Oxygen evolution reaction (OER) が伴うが、OERは反応速度が遅いという問題が
あり、これを速めるため電極触媒材料には高価で希少な白金族元素が必須と考え
られていた。そこで、OER電極触媒の低コスト化・大規模化対応に際し、白金族元
素を用いない多元系材料が注目を集めている。しかし、元素の組合せや化学組成
は無限にあり、最適な材料組成を発見するためには、膨大なコスト、時間、人的
資源が必要。
2.NIMS研究チームはデータ数によって予測する手法を変化させて進化すること
で、所望の特性を示す材料を正確に予測するAIを開発。このAIと人が連携するこ
とで、人のみで全候補材料を網羅的に探索すると6年近くかかる3000個程度の候補
から、たった1カ月でOER電極触媒材料に適した新規材料を発見。発見された電極
触媒材料は、Mn、Fe、Ni、Zn、Agという比較的安価かつ豊富な元素で合成できる。
当該材料は、条件によってはこれまでのOER電極触媒材料の中で最もOER活性が高
いルテニウム (Ru) 酸化物を超える電気化学特性をもつ。例えば、今回の新規材
料の中で最も地殻存在量が少ないAgにしても、Ruの100倍近くも多く存在しており
水電解装置の大量生産を実現する電極触媒材料であると考える。
3.人のみでは膨大な時間がかかるより高特性な材料の探索と発見を、短時間の
うちに達成できたという点で、AIが人の能力を拡張した。今後、水電解向け電極
材料開発を筆頭に、様々な電気化学デバイスの高効率化を実現する新材料開発を、
本研究の成果 (AIと人との連携) で加速し、カーボンニュートラル実現のための
実用技術開発につなげる。
【掲載論文】
題目 : Human-Machine Collaboration for Accelerated Discovery of Promising Oxygen
Evolution Electrocatalysts with On-Demand Elements

著者 : Ken Sakaushi, Watcharaporn Hoisang, Ryo Tamura 雑誌 : ACS Central Science
掲載日時 : 2023年11月30日 アメリカ東部時間 午前8:00
DOI : 10.1021/acscentsci.3c01009


図 開発した永久磁石ベースの人工傾斜型多層積層体の模式図(左)と写真(右)
熱マネジメント技術の新たな可能性
磁気によって横型熱電変換を高性能化
11月30日、NIMSは、電流と熱流がそれぞれ直交する方向に変換される“横型”熱電変換
の性能を、磁場や磁性によって大幅に向上できることを実証
【概要】
1.NIMSは、電流と熱流がそれぞれ直交する方向に変換される“横型”熱電変換の性能
を、磁場や磁性によって大幅に向上できることを実証した。さらに、永久磁石材料と熱電
材料を複合化することにより、電流を流すことで冷却したり、熱から発電したりできる「熱
電永久磁石」という新しい機能性材料を開発しました。本成果は、磁石という身近な材料
で熱制御や環境発電を行う指針を提供する。
2.熱電変換技術の応用に向けて研究が進められているゼーベック効果やペルチェ効
果は、熱流と電流が同じ方向に変換される“縦型”熱電効果。縦型の場合、熱電変換効
率が高い一方で、素子構造が複雑になるという短所が指摘されている一方で、横型熱
電効果を用いれば素子構造が簡略化されるため、熱電変換素子の高効率化・低コスト
化・耐久性向上につながると期待されているが、熱電変換効率が実用レベルに達してい
ないなどの問題があります。さまざまな物理現象により駆動される横型熱電変換は、磁
場や磁性によって生じる現象 (磁気熱電効果) と素子構造や電子構造の異方性によっ
て生じる現象に分類され、これまで各現象の研究は独立に進められてきた。
3.NIMSの研究チームは、磁気熱電効果を含む3種の異なる現象を同時に発現させる
複合材料を作製し、横型熱電変換による冷却の高性能化を実現。大きな磁気熱電効果
を示すBi88Sb12合金と大きなペルチェ効果を示すBi0.2Sb1.8Te3合金を交互に積層・接合し
て斜めに切断した複合材料 (人工傾斜型多層積層体) を用いて、磁場をかけることで横
型熱電変換性能が向上し、この増大が3種の現象によるハイブリッド熱電変換に由来す
ることを示しました。さらに、複合材料中の一部を永久磁石に置き換え、磁場がなくても
磁気熱電効果で横型熱電変換性能を向上できることを実証。
4.本研究により、磁石に高性能の熱電冷却・発電機能を付与するための材料設計指
針を確立しました。今後、社会の省エネルギー化に資する熱マネジメント技術やIoT技術
に必要な環境発電への応用展開を目指し、材料・デバイス技術開発に取り組んでいく。
【掲載論文】
題目 : Hybrid Transverse Magneto-Thermoelectric Cooling in Artificially Tilted Multilayers
著者 : Ken-ichi Uchida, Takamasa Hirai, Fuyuki Ando, Hossein Sepehri-Amin
雑誌 : Advanced Energy Materials
掲載日時 : 2023年11月29日
DOI : 10.1002/aenm.202302375


図.異方性磁気トムソン効果の模式図
磁性材料の熱電変換現象を磁化の向きで操る
「異方性磁気トムソン効果」を初めて直接観測」
11月22日、NIMSは、温度差を付けた導電体に電流を流すと温度差と電流に比例した
吸熱・発熱が生じる現象 (トムソン効果) が、磁性体においては磁化方向に依存して異
方的に変化する「異方性磁気トムソン効果」の直接観測に成功。
【概要】
1.NIMSは、温度差を付けた導電体に電流を流すと温度差と電流に比例した吸熱・発
熱が生じる現象 (トムソン効果) が、磁性体においては磁化方向に依存して異方的に
変化する「異方性磁気トムソン効果」の直接観測に成功しました。本研究により、熱電物
性とスピントロニクスの融合領域に関する基礎物理および物質科学のさらなる発展や、
磁気で熱エネルギーを制御する新たな機能の発現が期待できる。
2.トムソン効果は、熱電変換技術の駆動原理であるゼーベック効果やペルチェ効果と
並び、金属や半導体における基本的な熱電効果の一つ。ゼーベック効果やペルチェ効
果に及ぼす磁気の影響は長年研究されてきたが、トムソン効果の熱電変換能は一般的
に小さく、その計測・評価手法も十分に確立されていなかったため、トムソン効果が磁場
や磁性にどう影響されるかは明らかにされていない。そのような状況の中、NIMSは2020
年に非磁性の導電体におけるトムソン効果が磁場によって変化する現象を観測した実
験を報告。今回はさらに精密な熱計測を行うことで、磁性体における異方性磁気トムソ
ン効果の観測に成功した。非磁性体における磁気トムソン効果と磁性体における異方
性磁気トムソン効果は発現機構が異なり、未開拓現象の初めての直接観測例になる。
3.NIMSの研究チームは、ロックインサーモグラフィ法と呼ばれる熱計測技術を用いて
強磁性合金Ni95Pt5に温度差を与えながら、電流を流した際に生じる温度分布を精密に
測定し、磁化方向によりトムソン効果がどう変わるかを検証。その結果、Ni95Pt5合金に
生じる吸熱 (もしくは発熱) 量が、温度勾配・電流と磁化が平行な場合は、それぞれ垂直
な場合よりも大きいことを明らかにした。この振る舞いは磁性体におけるゼーベック効果
やペルチェ効果の測定から予想される変化と一致した。
4.本研究により、異方性磁気トムソン効果の基本的な性質が明らかになり、その計測
・評価技術が確立。今後、異方性磁気トムソン効果に関する物理・材料・機能探索を進
めることで、熱・電気・磁気の相互作用がもたらす新しい物理現象の観測や、電子デバ
イスの効率向上・省エネルギー化に資する熱マネジメント技術への応用展開を目指す。
【掲載論文】
題目 : Observation of the Anisotropic Magneto-Thomson Effect
著者 : Rajkumar Modak, Takamasa Hirai, Seiji Mitani, and Ken-ichi Uchida
雑誌 : Physical Review Letters
掲載日時 : 2023年11月17日
DOI : 10.1103/PhysRevLett.131.206701


New Alchemy Era 
------------------------------------------------------------------------
 Science has always followed a natural rhythm of alternating phases of expansion and
 concentration. Times of unstructured exploration were followed by periods of consoli-
 dation, grounding new knowledge in fundamental concepts. We can only hope that the
  current period of creative tinkering in artificial intelligence, quantum devices and gen-
 etic editing, with its cornucopia of useful applications, will eventually lead to a deeper
 understanding of the world.

                                         via Quanta Magazine
                                                                        "The Uselessness of Useful Knowledge"

科学は常に、拡大と集中の段階を交互に繰り返す自然なリズムに従って。 構造
化されていない探求の時代の後には、基本的な概念に新しい知識を根付かせる統
合の
時代が続いた。 私たちは、人工知能、量子デバイス、遺伝子編集における
創造的ない
じくり回しの現在の時期と、有用なアプリケーションの宝庫が、最終
的には世界のより深
い理解につながることを願うばかりである。 
                        「有用な知識の無価値性」

------------------------------------------------------------------------------------------------------------
歴史の複雑さとは何か
               禍かなパリサイ人よ 陸海をめぐりて汝のゲヘナの子となす
                                                      マタイ伝 23-15


※元来、今日のエルサレム市の城門の外にある、深くて狭い谷底のゴミ捨て場。
そこでは、ごみを処分するために火が燃やされ続け、悪臭を放ち、処刑された
罪人の体や、ふさわしい埋葬をされなかった人体が埋められる場所でもあった
ゲヘナ (Gehenna)とは、ヒンノムの谷をさす。
 

「パレスチナ問題考 ③」後期19世紀 - 1920:
起源 1920 - 1948:イギリスによるパレスチナの委任統治

「パンとワイン」紛争 パレスチナ分割
1948 - 1967:中東戦争
1967 - 1993:第一次インティファーダ
1993 - 2000:オスロ和平プロセス
2000 - 2005:第二次インティファーダ
2005 - 2008:アッバース時代のはじまり
2008 - 2009:ガザ紛争
2010 - 2017:パレスチナ側の手詰まりと米トランプ政権発足 
2018 - 2021:「繁栄に至る平和」と「アブラハム合意」
2021年9月4日、コソボとセルビアは、アメリカ合衆国の仲介で、経済関係の正常
化で合意した。米国はまた、コソボとイスラエルの国交正常化と、セルビアの在
イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移転すると発表した[253]。また
イスラエルのネタニヤフ首相は、「エルサレムに大使館を開設する、初めてのイ
スラム教徒が多数を占める国家であるコソボ」と述べ、コソボの在イスラエル大
使館も、エルサレムに開設されることを明らかにした[254]。
9月9日、アラブ連盟はオンラインで外相会議を開き、イスラエルとアラブ首長国
連邦の国交正常化について意見交換をした。パレスチナのマリキ外相は、両国の
国交正常化はアラブ和平イニシアティブに反する物と主張し、合意への非難声明
のとりまとめを求めた。しかし、アラブ連盟内部でも、既にイスラエルと国交の
あるエジプト、ヨルダンに加え、バーレーン、オマーンも国交正常化を支持した
ことから、非難声明の採択を行うことはできなかった[255]。
9月11日、米国のトランプ大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相、バーレーン
のハリーファ国王と会談し、イスラエルとバーレーンの国交正常化で合意したと
発表した。パレスチナ問題については、併合の是非には触れず、「紛争の公正か
つ包括的で永続的な解決を達成するための努力を続ける」とした[256][257]。
また、(イスラエル占領下の)東エルサレムにあるアル=アクサー・モスクへの
イスラム教徒の自由な往来を認めると表明した。 ネタニヤフ首相は「他のアラ
ブ国家との和平合意締結に興奮している」との声明を発表した。バーレーンの国
営通信は、パレスチナとイスラエルの対立を終わらせるための「戦略的な選択」
だとするザヤニ外相の声明を伝えた。一方、パレスチナは「アラブの大義への裏
切り」であり「パレスチナを占領するイスラエルの醜い犯罪の正当化につながる
」と強く反発した[258]。米国のクシュナー大統領上級顧問は、電話での記者会見
で「これにより、イスラム世界の緊張が緩和され、パレスチナ問題を自分たちの
国益と、自分たちの国内優先事項に焦点を当てるべき外交政策から切り離すこと
ができるようになる」との見解を示した[259]。
9月15日、米国のホワイトハウスで、イスラエル、米国、アラブ首長国連邦、バー
レーンの4者で「アブラハム合意」が調印された[260]。合意では、トランプ政権
の和平案「繁栄に至る平和」を前提に、「両国民の正当なニーズと願望を満たす
イスラエル・パレスチナ紛争の交渉による解決を実現」するとした[261][262]。
米トランプ大統領は記者会見で、「我々はパレスチナ人に大金[注 17] を払って
きたが、我々は適切に扱われていなかった。(だからUNRWAなどへの)支払を止
めた」「彼らが敬意を払わないなら、我々はもう関わらない。彼らは状況を見て
いると思うし、我々は強い信号を送ってきた」とパレスチナを非難し、「繁栄に
至る平和」の受け入れを迫った[263]。またトランプは、「他の国は彼ら(パレ
スチナ)に援助を与えている。あなた(ネタニヤフ)が相手にしているのは、非
常に裕福な国だ。そして、これらの国々は我々と(和平の)署名をしている。全
ての国が署名をするだろう」と、これまでパレスチナを援助して来たアラブ諸国
が、「我々」(イスラエル・米国)の側に付いたことを暗示した[264]。
同日、ガザ地区からイスラエルにロケット弾攻撃があり、2人が負傷した[265]。
9月16日、イスラエル国防軍は報復としてガザ地区を空襲した[266]。
9月22日、パレスチナはアラブ連盟理事会の議長を返上した。議長は加盟国の持
ち回りで6ヶ月の任期であるが、パレスチナのマリキ外相は「議長職の間に、ア
ラブ人が(イスラエルとの)正常化に向けて突進するのを見ることは名誉なこと
ではない」と、加盟国への失望を示した[267]。
同日より、国連総会の一般討論演説が始まった。 パレスチナのアッバース大統
領は、イスラエルとアラブ首長国連邦・バーレーンの国交正常化を非難した。ま
た、パレスチナが国際法と国連決議を受け入れ(るという譲歩をし)たにもかか
わらず、イスラエルは合意に違反し、植民地主義を追求していると主張した。そ
して、和平問題の解決に向け、米国、国連、欧州連合、ロシアの4者を交えた国際
会議を、来年の早い時期に開催するよう、グデーレス国連事務総長に訴えた[268][
269]。 イスラエルのネタニヤフ首相は、アラブ首長国連邦・バーレーンとの国交
正常化は「平和と大きな利益をもたらす」と述べ、「他のアラブ・イスラム諸国
も、近いうちに平和の輪に加わることは疑いない」と主張した。また、パレスチ
ナの「完全に非現実的な主張」が交渉を停滞させたと非難し、「現実的な」和平
案(「繁栄に至る平和」)を受け入れるよう迫った[270][271]。 米国のトランプ
大統領は、イスラエルとアラブ諸国の和平合意を「新しい夜明け」と呼び、自国
の仲介努力を自賛した[272]。アラブ首長国連邦のアブダッラー外務兼国際協力大
臣は、イスラエル・米国との合意によって「併合を凍結できた」成果を強調し、
イスラエル・パレスチナの交渉再開による2国家解決を断固支持すると表明した[273]。
サウジアラビアのサルマーン国王は、従来の「アラブ平和イニシアティブ」に基
づくパレスチナの独立支持を表明する一方、米政権の和平仲介の労を支持した[274]。
9月23日、"The New Arab"によると、パレスチナ情報サービスのデータを引き、
ラマッラー(のパレスチナ政府)の収入が前年比で7割減少したと報じた。2019
年は、外国から5億ドル(約526億9千万円)の援助を得ていたが、2020年は2億5500
万ドルとほぼ半減した。特に、アラブ諸国からの援助は2億6700万ドルから3800万
ドルに、85%減少した。すなわち、減少の大半はアラブ諸国の援助縮小で占められ
た[275]。『エルサレム・ポスト』によると、アラビア語放送局"Al-Araby"および
"Al-Jadeed"は、
9月15日のトランプ・ネタニヤフの2者会談で、トランプは「裕福なアラブ諸国に
パレスチナ人にお金を払わないように頼んだ」と、アラブ諸国に圧力を掛けたこ
とを語ったという[276]。
9月25日、パレスチナのファタハとハマースは、半年以内に選挙を行うことで合
意した。まず立法評議会(国会)総選挙を行い、続いて大統領選、最後にPLO評
議員選を行う予定である。国会議員の任期は2010年、大統領の任期は2012年で切
れていたが、選挙が行えずにそのままになっていた[277]。
10月5日、サウジアラビアのバンダル・ビン・スルターン王子(元駐米大使)は、
サウジアラビア系のアル=アラビーヤで、イスラエルとアラブ首長国連邦・バー
レーンの国交正常化に対するパレスチナの非難は「冒瀆」であると非難し、「低
級な言説」は、従来パレスチナを支援してきた、サウジアラビアや世界の支持を
得られるものではないとした。同時に、パレスチナが、サウジアラビアと敵対す
る、イランやトルコとの関係を深めていることを非難した。また、「パレスチナ
の大義は正当だが、その擁護者は失敗し、イスラエルの大義は不当だが、その擁
護者は成功している」と評した。その上で、「我々はイスラエル問題に関心を持
つよりも、自国の安全保障と国益に注意を払わなければならない段階に来ている」
と主張した[278][279]。
0月12日、パレスチナの非政府組織局責任者のアブ・アル・エネインは、海外か
らの資金援助の見返りに、国交正常化を前提とした「パレスチナ人を根本的に
傷つける」条項があるとして、受け入れる者は国家の裏切り者であり、名前を公
表するとNGOに対して警告した[280]。「アメリカ中東報道正確さ委員会(英語版)」
のショーン・ダーンは「パレスチナ自治政府が反テロ条項を拒否したもの」と批
判した。ダーンによると、テロ組織であるパレスチナ解放人民戦線の影響が疑わ
れるNGO組織があり、オランダなどは資金提供を停止、あるいは削減したという
[281]。
10月14日、イスラエルはヨルダン川西岸での、新たに入植地2166棟の計画を承認
した。イスラエルの新規入植地承認は、2月25日以来となる。イスラエルのNGO・ピ
ース・ナウによると、承認は連立与党「青と白」のガンツ代表・国防相も加わっ
ている[282][283]。パレスチナは声明で、「入植地を違法だとした国連決議と相
いれない。ネタニヤフ政権の政策をやめさせるため、国際社会の即時の介入を求
める」と激しく反発した[284]。同日、世界シオニスト機構(英語版)のアブラ
ハム・デュヴデヴァーニ会長は、毎年最低2つの(ユダヤ人)入植地新設を目標に
する考えを述べた[285]。

10月15日、イスラエルは前日に引き続いて新規の入植地3122棟を承認し、14日と
あわせて5288棟(ピース・ナウによると、過去の遡及的な追認を除くと4948棟
[286])を承認した[287][288][289]。この中には、「繁栄に至る平和」でもパレ
スチナ領とした地域の962棟が含まれる。ピース・ナウの集計では、2020年の新
規承認は12159棟で、2012年の11159棟以来の多さである[286]。入植地・エフラ
ト評議会のオデッド・レヴィヴィ(ヘブライ語版)議長は、「トランプ氏の『繁
栄に至る平和』は(入植地の)建設と拡大を可能にしている」とこれを歓迎した
。また、サマリア地域評議会のヨシ・ダガン(英語版)議長は、併合実現に向け
て、入植者を100万人に増やさなければならないと主張した。国連のニコライ・
ムラデノフ中東和平プロセス特別調整官は、入植地は国際法違反であり、パレス
チナ人への和平交渉に悪影響を及ぼすと警告し、直ちにすべての入植活動の中止
を求めた[289]。欧州連合は入植拡大の中止及び、EUが資金提供したものを含む、
パレスチナ人建造物への破壊を停止するようイスラエルに要請した[290]。
入植拡大をヨルダンは「国際法違反」と非難した[291]。フランス、ドイツ、イ
ギリス、イタリア、スペインはそれぞれ「深い懸念」を表明し[292]、日本の外
務省は「強い遺憾の意」を表明した[293]。「アブラハム合意」でイスラエルと
国交正常化した、アラブ首長国連邦とバーレーンは反応を示さなかった[294]。
同日、アラブ首長国連邦の代表団が、イスラエルの警護を受けてひそかにアル=
アクサー・モスクを訪問した。この行動はパレスチナ側で、モスクへの侵入と非
難された。これは、「シオニスト過激派」が勝手にモスクに侵入したのと同様の
行動という意味である[295]。アル・アクサー・モスクの説教者であるシェイク
・イクリマ・サブリは、「正常化は無効であり、正常化に起因する行動も無効で
ある」とUAE代表団を非難した[296]。
                 via Wikipdia     10月16日以降につづく、

以下。ここからは「パレスチナとイスラエル」紛争に係わる現代国家間の関連を
同時に考察していく。まず、キャノングローバル戦略研究所は小手川大助研究主
幹のコ国債交流ラム『語られないロシアの歴史とアメリカとの深い関係』(国債
交流・外交/米国/ロシア)を参照する。

15世紀のモンゴル帝国が去った後の東方への拡大
終わりにモンゴル支配から独立し、ロシアの東側にはモンゴルが去った

後の広大な権力の真空地帯が残された。ここから16世紀半ばのイェルマークの探
検にみられるようなロシアの東方への進出が始まる。ロシア人はコサック(逃亡
農民や没落貴族からなる軍事協同体)を先頭に毛皮を求めてウラル山脈を越え、
オビ川などの大河を伝って北極海や太平洋に進出。1652年にはイルクーツクが建
設されるなどロシア帝国はシベリア全土を管理、ラッコやキタオットセイを求め
てアリューシャン列島から千島列島に向かい、アラスカに進出して露米会社を設
立するなど、17世紀から19世紀にかけてロシアは世界最大の毛皮供給国となる。
一部はナパバレーなどの北カリフォルニアまで足を延ばしたが、東方進出の特徴
は、中国を恐れ、ユーラシア大陸の北側を横断し、中国の力が衰えてから少しず
つ南下を始め極東で最初に開発された都市はカムチャッカ半島のペトロパブロフ
スク=カムチャットキー(1740年)であり、1858年にはハバロフスクが、そして
1860年にはウラジオストックが建設さる。

英国との欧州覇権争いとポーランド分割
1533年からイワン4世(雷帝)がモスクワ大公に即位し、1547年には初めてツァー
リの称号を用いた。彼にはモンゴル王朝の血も入っています。彼の治世は50年に
及び、晩年には英国のエリザベス1世にも求婚をしました。イワン雷帝の死後、
ボリスゴドノフの治世に見られるような16世紀末から17世紀の動乱の時代を経て
1613年にロマノフ王朝が誕生した。日本では徳川幕府が成立し大坂冬の陣が戦わ
れる前年です。1682年から40年以上に及んだピョートル大帝の時代にはス
ウェー
デンとの戦争でバルト海沿岸の領土を獲得し、新都サンクトペテルブルク
を1703
年から建設して1712年に首都を移転した。スウェーデンとの戦争でスウェ
ーデン
側に立ったのは英国とトルコ帝国でした。英国との対立はこの時期から300
年以上
続く。1762年に女帝のエカテリーナ2世が即位し40年弱の治世を治める。

彼女はボルガ川中流流域にドイツの農民を移住させて先進農業技術を取り入れた
り、啓蒙主義の観点から初めての女性教育施設であるスモーリヌイ修道院の開設
など西欧の最新の教育制度を導入したりして、文化面で大きな貢献を果たした。
ボリショイ劇場やその下の学校であるボリショイアカデミーが創立されたのも彼
女の治世下でした。美術品の収集家としても有名だった彼女はエルミタージュ美
術館を創設し、19世紀半ばには一般市民にも公開された。またオスマン帝国と開
戦して黒海北岸やクリミア半島を獲得し、ポーランド分割を3度行った。その結果
最終的に1795年にポーランド王国は消滅し、ウクライナとリトアニアがロシア領
なる。                                                         つづく
                                                          

 風蕭々と碧い時

 愛でのりつぶせ The Birthd  2009.10.1

チバユウスケ(1968年7月10日 - 2023年11月26日)は、日本のミュージシャン)
The Birthdayのボーカル、ギター。1991年から2003年まで、THEE MICHELLE
GUN ELEPHANT
のボーカルとして活動。先月11月26日に夭折
                                合掌



今夜の寸評: 今年はお悔やみ行脚の年。

 

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新成長経済理論考 ⑩

2023年12月04日 | ネオコンバーテック



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

【今夜のひとり鍋:おでん】




昨夜のおでん定食

日本料理のうち、煮物の一種。鍋料理にも分類される。鰹節と昆布でとった出汁
(だし)に味を付け、種と呼ばれる様々な具材を入れて長時間煮込む。おでん種
としては、薩摩揚げ、はんぺん、焼きちくわ、つみれ、こんにゃく、大根、芋、
がんもどき、牛すじ、ゆで卵、厚揚げなどがある。おでん種、つけだれの種類は
地域や家庭によって異なる。 「おでん」は元々、田楽を意味する女房言葉である。
田楽、もしくは味噌田楽は室町時代に出現した料理で、種を串刺しにして焼いた
「焼き田楽」のほか、種を茹でた「煮込み田楽」があった。江戸時代になって「
おでん」は「煮込み田楽」を指すようになり、「田楽」は「焼き田楽」を指すよ
うになったとされる。via jp.Wikipedia

  


驚くほどの、ひとり鍋市場の多様化と無国籍化 トップを走る日本!


  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era
再エネ革命渦論 201
 アフタ-コロナ時代 186】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング

高放熱性窒化ガリウムトランジスタを実現 

汎用品より放熱性が2倍向上!
12月 1日、大阪公立大学,東北大学,北京大学,地球上で最も高い熱伝導率をも
つダイヤモンドを基板に用いたGaNトランジスタを作製し,SiC基板上に作製した
同一形状のトランジスタと比べて,放熱性を2倍以上高めることに成功。


図1.ダイヤモンド基板上窒化ガリウムトランジスタ
【要点】
・ダイヤモンド基板上に作製した窒化ガリウム(GaN)トランジスタ(図1)の性
 能を評価
・炭化ケイ素基板を用いたGaNランジスタと比べ、2倍以上の優れた放熱性を実証。
・G通信基地局や気象レーダーへの応用や小型化へも貢献

【概要】
     GaNトランジスタが動作する際に発生する熱とそれに伴う温度上昇は,性能の
劣化や素子寿命の短縮といった実用上の重要な課題であり,効果的な放熱手法の
開発が必要不可欠となる。このため,ダイヤモンドのような熱伝導率が非常に高
い材料が,素子の放熱材料として注目されていが,素子とダイヤモンドの接合が
困難な点などから,期待されるレベルの放熱性の向上が得られず,実用化には至
っていない。
研究グループでは,2022年3月には,Si 基板から剝離したGaN 層をダイヤモンド
基板に接合したトランジスタの作製に成功し。しかし,Si 基板からの大面積GaN
層の剝離や,1,100℃での耐熱性およびSiC基板以上の放熱性向上の実証には至っ
ていなかった。

           
図2:Si、SiC、ダイヤモンド上に作製したトランジスタの放熱性の比較(同印加
電力で温度上昇が小さいほど、放熱性は優れている)

研究ではまず,Si基板上に窒化ガリウム層(厚さ3µm)と炭化ケイ素(3C-SiC)
バッファ層(厚さ1µm)を生成した。その後,Si基板から2層を剥離し,表面活性
化接合法を用いてダイヤモンド基板上に接合することで,約1インチのGaNトラン
ジスタを作製した。高品質な炭化ケイ素薄膜を用いることで,1,100℃の熱処理
を行なった後でも接合界面に膜剥離が起こらず,高品質なヘテロ接合界面を得る
ことができる。この方法で作製したダイヤモンド基板上GaNトランジスタの放熱
性を検証するため,SiC基板上に作製した同一形状のトランジスタと比較した。
その結果,ダイヤモンド基板上のトランジスタは,SiC基板上のものに比べ,放
熱性が2.3倍向上した。また,他の先行研究で作製されたダイヤモンド基板上の
トランジスタよりも高い放熱性を達成し,トランジスタ特性の大幅な改善に成功
した。



図3 (a) AlGaN/GaN/3C-SiC層/ダイヤモンド接合試料、(b) ダイヤモンド上に作
製された窒化ガリウムトランジスタの光学顕微鏡像、(c) 3C-SiC/ダイヤモンド接
合界面の断面TEM像、(d) 本研究で作製したダイヤモンド基板上窒化ガリウムトラ
ンジスタと、他の先行研究で作製されたダイヤモンド上GaNトランジスタの放熱性
向上倍率の比較

【展望】
今後、ダイヤモンド基板を用いた大面積窒化ガリウムトランジスタが実現するこ
とで、5G通信基地局や気象レーダー、衛星通信分野などの高出力・大電力用途
も利用の幅が広がることが期待できる。

【関連特許事例】
・特開2023-29250 ダイヤモンド基板製造方法 国立大学法人埼玉大学 信越ポリマ
 ー株式会社 信越化学工業株式会社
【概要】従来、パワーデバイスに適した半導体材料として、シリコン(Si)に
代わって炭化ケイ素(SiC)や< (GaN)が提供されてきたが、ダイヤモン
ド半導体はこれら半導体材料と比べて高絶縁破壊電界、高い電力制御指数及び熱
伝導率が最も高いということから次世代の材料として注目され、実用化に向けて
研究や開発が進んでいる。またダイヤモンド中の窒素-空孔センタ(NVセンタ
)は室温で高感度な磁気検出が可能であるため、磁気センサへの応用が期待され
ていてこの研究も行われている(特開2015-59069)。

これら半導体への応用が期待される単結晶ダイヤモンドは高温高圧法(HPHT
法)やホモエピキャシタル成長により合成されるが、これらの合成法では半導体
プロセスに利用するための単結晶ダイヤモンドのバルク基板の大面積化が困難と
されている。そこで、単結晶酸化マグネシウム(MgO)を下地結晶として単結
晶ダイヤモンドをヘテロエピキャシタル成長させる気相合成法(CVD法)が大
面積化に優位性があるとして適用されてきている。ダイヤモンド基板は、ダイヤ
モンド単結晶のインゴットやインゴットをさらに一定の長さに切断したブロック
をダイヤモンドを研粒としたワイヤーソーで一定の厚さにスライスして製造され
ている。ワイヤーソーのワイヤーは例えば少なくとも数十μmのような径を有し
ているため、ダイヤモンド単結晶のインゴットやブロックをダイヤモンド基板に
スライスする際に、切断面に沿った一定の幅の部分は研削の切り代として失われ
ていた。
またレーザ光を利用してダイヤモンドインゴットからダイヤモンド基板を製造す
るダイヤモンド基板製造方法が開示されている(特開2020-50563を参照)。この
方法は、ダイヤモンドインゴットの主表面から所定の深さにレーザ光を集光して
照射し、2次元状に走査することにより結晶構造が改質された改質層を形成し、
この改質層でダイヤモンド基板を剥離するものである。 下図6のごとく、ダイ
ヤモンド基板製造方法は、レーザ光Bを集光するレーザ集光部190を単結晶
ダイヤモンドのブロック10の主表面10aに対向するように配置する工程と、
レーザ集光部190を用い、所定の照射条件で、ブロック10の主表面10aに
向けてレーザ光Bを照射してブロック10の内部にレーザ光Bを集光しつつレー
ザ集光部190とブロック10とを三次元状に相対的に移動させることによりブ
ロック10の主表面10aから所定の深さに単結晶ダイヤモンドの{111}面
に沿って劈開を生じさせ、{111}面の劈開を連結する工程とを含み、主表面
が{100}面の単結晶ダイヤモンドから主表面が{100}面の新たなダイヤ
モンド基板を創製するダイヤモンド基板製造方法を提供する。


図6.{111}面の加工痕による劈開面がW形状に連結した状態を示す模式図
【符号の説明】 10 ブロック 10a主表面 51 劈開面 100 加工装置 
190 レーザ集光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 レーザ光を集光するレーザ集光部を主表面が(100)面である単
結晶ダイヤモンドのブロックの主表面に対向するように配置する工程と、 前記レ
ーザ集光部から前記ブロックの主表面にレーザ光を照射して前記ブロックの内部に
レーザ光を集光しつつ前記レーザ集光部と前記ブロックとを<110>方向に二
次元状に相対的に移動させることにより前記ブロックの主表面から所定の深さに
単結晶ダイヤモンドの(100)面に沿って加工痕からなる走査ラインを形成す
る第1の工程と、 前記レーザ集光部と前記ブロックとを三次元状に相対的に移
動させることによりレーザ光の焦点を{111}面に沿って所定量移動させる第
2の工程 を含み、前記第1及び第2の工程を繰り返して{111}面の劈開を
生じさせるダイヤモンド基板製造方法。 

【請求項2】 前記{111}面において対向する位置にある{111}面に劈
開面を形成し、この劈開面を連結させた連続劈開面により前記ブロックからダ
イヤモンド基板を剥離して分離する請求項1に記載のダイヤモンド基板製造方
法。
【請求項3】 前記第1の工程は、前記単結晶ダイヤモンドの(100)面に沿
って加工痕からなる一つの走査ラインを形成する請求項1又は2に記載のダイヤ
モンド基板製造方法。
【請求項4】 前記第1の工程は、前記単結晶ダイヤモンドの(100)面に沿
って加工痕からなる複数の走査ラインを形成する請求項1又は2に記載のダイヤ
モンド基板製造方法。
【請求項5】 前記第1及び第2の工程は、前記主表面の全面にわたり所定の深
さに改質層を形成する請求項1又は2に記載のダイヤモンド基板製造方法。
【請求項6】 レーザ光を集光するレーザ集光部を主表面が(100)面である
単結晶ダイヤモンドのブロックの主表面に対向するように配置する工程と、 前
記レーザ集光部から前記ブロックの主表面にレーザ光を照射して前記ブロック
の内部にレーザ光を集光するように、前記レーザ集光部及び前記ブロックを二次
元状に相対的に移動させるとともに、レーザ光の焦点を深さ方向に移動させ、前
記主表面から第1の深さから[211]方向に加工痕からなる走査ラインを形成
し、前記走査ラインが前記第1の深さよりも浅い第2の深さに達すると前記第
2の深さから前記第1の深さまで[-211]方向に加工痕からなる走査ライン
を形成することを含む走査ラインを形成する第1の工程と、 前記レーザ集光部
と前記ブロックとを二次元状に相対的に移動させることによりレーザ光の焦点を
[01-1]方向に所定量移動させる第2の工程と、 を含み、前記第1及び第
2の工程を繰り返して{111}面の劈開を生じさせるダイヤモンド基板製造
方法。
【請求項7】 レーザ光を集光するレーザ集光部を主表面が(100)面である
単結晶ダイヤモンドのブロックの主表面に対向するように配置する工程と、 前
記レーザ集光部から前記ブロックの主表面にレーザ光を照射して前記ブロックの
内部にレーザ光を集光するように、前記レーザ集光部及び前記ブロックを二次元
状に相対的に移動させるとともに、レーザ光の焦点を深さ方向に移動させ、前記ブ
ロックにおいて、前記主表面の第1の位置における第1の深さから[211]方
向に加工痕からなる走査ラインを形成し、前記走査ラインが前記主表面の第2の
位置において前記第1の深さよりも浅い第2の深さに達すると、前記主表面にお
いて,
前記第2の位置について,前記第1の位置とは対称な第3の位置における
前記第1の深さから[2-1-1]方向に前記第2の位置における前記第2の深
さまで加工痕からなる走査ラインを形成することを含む走査ラインを形成する第
1の工程と、 前記レーザ集光部と前記ブロックとを二次元状に相対的に移動さ
せることによりレーザ光の焦点を[01-1]方向に所定量移動させる第2の工
程と、を含み、前記第1及び第2の工程を繰り返して{111}面の劈開を生じ
させるダイヤモンド基板製造方法。 



図1. 本開発技術の模式図
 

コバルトフリー高電位正極を用いた新たなリチウムイオン電池
11月28日、東芝はコバルトフリーな5V級高電位正極材料を用いて、副反応とし
て生じるガスを大幅に抑制できる新たなリチウムイオン二次電池を開発したと
発表した。レアメタルであるコバルトを用いず、さらに近年の需要増加と共に
価格が高騰しているニッケルの含有量も少ないため、コストだけでなく資源保
全の観点でも優れた電池だという。リチウムイオン電池の正極として、コバル
トフリーかつニッケル含有量が少なく、スピネル型の高電位正極である「ニッ
ケルマンガン酸化物(LNMO)」が注目されている。しかしLNMOは作動電位の高
さゆえに電解液が酸化分解してガス化するため、電池が著しく膨れたり、寿命
が短くなったりする課題があった。


図3: 開発電池の各種性能

今回東芝は、高電位正極の表面で電解液が分解されてガスが発生することや、
正極材料に含まれる金属が溶出し、溶出した金属が負極表面でガス発生を促進
するメカニズムを持つことを解明した。これにより、正極の粒子表面を改質
電解液との反応を抑制する技術に加え、負極表面で溶出イオンを無害化する
技術を開発。この技術により、一般的に広く使用されている電解液を使っても
ガスの抑制が可能になったという。
【展望】
本電池の応用先として、先行して電動工具や産業機器など小型で高電圧を必要
とする用途への展開を検討し、車載用途への展開を目標とし、電池の大型化を
目指し、本電池を2028年に実用化する。


  風蕭々と碧い時

Lou Reed  Perfect Day
1972.11.24
※:"You're going to reap just what you sow":
ガラテヤ人への手紙 6章4, 7, 9節(日本聖書協会 1954) 新約聖書の『ガラテヤ人への手
紙』の引用( 「6:7 まちがってはいけない、神は侮られるようなかたではない。人は自分
のまいたもの
を、刈り取ることになる。 」)
※Lou Leed  (1942-2013)は、ブログ掲載している。




今夜の寸評:

 

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新成長経済理論考 ⑨

2023年12月03日 | ネオコンバーテック



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。



   千早ちはやぶる 神代かみよ(/rt>もきかず 龍田川たつたがはからくれなゐに 水くくるとは  

                                       在原業平 『古今集』秋・294

【訳】さまざまな不思議なことが起こっていたという神代の昔でさえも、こんな
ことは聞いたことがない。龍田川が一面に紅葉が浮いて真っ赤な紅色に、水をし
ぼり染めにしているとは。
※竜田川は、紅葉の名所、現在の奈良県生駒郡斑鳩町の竜田山ほとりを流れる川。

          冬もみじ 星のブランコ くくりおり
                          

※ 1585(天正13)
年、伊国・河内国に大和国を加増されて、羽柴秀長が合計100万
石で郡山城に入る交野市、生駒市、法隆寺、竜田川、高取城などの周辺は幼い頃
のバックヤードであるが、紅葉観賞で近々訪問したい。



   

豆ミネストローネひとり鍋
Bean minestrone solo pot
【材料】
蒸し大豆(または水煮)、
ブロッコリー60g、玉ねぎ1/2個、べーコン1枚、ソーセ
ージ2本、にんにく(みじん切り) 1/2片、オリーブオイル大さじ1/2、塩、こしょ
う①:コンソメスープの素(頴粒)小さじ11/2、トマトジュース1カップ、ローリ
エ1枚【作り方】
玉ねぎが透明になったら①と残りの具材を入れて煮る。塩とこしょうて昧を調え
る。
※こんばんは「おでん鍋」(揚げはんぺんはノドグロ)あったが後日、「おで
ん鍋」を取り上げたい。



フェルマーの料理 第7話
超高級ホテルで行われるパーティーのコース料理のコンペに勝った岳(高橋文哉)
は、レストラン「K」を代表してフルコースをまとめ上げることに。しかし この
パーティーは数学界で権威ある楠瀬正美賞の受賞パーティー。かつて数学オリン
ピックで圧倒的な才能の差を見せつけられ、トラウマ的存在である広瀬(細田佳
央太)が、この賞の受賞者であることを知り、岳はとてつもないプレッシャーに
支配される。 パーティーを1週間後に控えたある日、なんと広瀬は「K」の厨房
に突然訪問するる。その日の営業終了後、岳は海(志尊淳)に促され、広瀬との
関係や数学者の夢を諦めた経緯を全員に告白。それを機に厨房に一体感に包まれ
る。海は「みんな統率して、完璧を超えろ」と岳に指示を出す。一方、渋谷(仲
村トオル)や淡島(高橋光臣)と密会を重ねていた海は残酷な現実を知らされる

岳は、広瀬に料理の素晴らしさに気付いてもらうべく、フィボナッチ数列を使っ
た料理を作り出した。それでも食べない広瀬に対し「料理は数学とつながってる
んだ」「宇宙の真理に挑戦しないことになるけど良いの?」と告げると、広瀬は
「確かにそうだ」とついに料理を口にする。

フィボナッチ数を一辺とする正方形 ウィキペディア日本語版のメインページ(
2007年〜2012年)で使われていたイメージ画像もフィボナッチ数列を利用してい
た。 フィボナッチ数(フィボナッチすう、英: Fibonacci number)は、イタリ
アの数学者レオナルド・フィボナッチ(ピサのレオナルド)に因んで名付けられ
た数である。 フィボナッチ数列(フィボナッチすうれつ:Fibonacci sequence)
(Fn) は、次の漸化式で定義される: F0 = 0,F1 = 1,Fn+2 = Fn + Fn+1 (n ≥ 0)
第0~22項の値は次の通りである: 0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89,
144, 233, 377, 610, 987, 1597, 2584, 4181, 6765, 10946, 17711, …(オンラ
イン整数列大辞典の数列 A000045) 1202年にフィボナッチが発行した『算盤の
書』(Liber Abaci) に記載されたことで「フィボナッチ数」と呼ばれているが、
それ以前にもインドの学者であるヘーマチャンドラ (Hemachandra) が韻律の研
究により発見し、書物に記したことが判明している フィボナッチ数列の一般項
は次の式で表される:

出典:
Wikipedia
※ 本当に面白いドラマである。

歴史の複雑さとは何か
「パレスチナ問題考 ②」後期19世紀 - 1920:
起源 1920 - 1948:イギリスによるパレスチナの委任統治
「パンとワイン」紛争 パレスチナ分割
1948 - 1967:中東戦争
1967 - 1993:第一次インティファーダ
1993 - 2000:オスロ和平プロセス
2000 - 2005:第二次インティファーダ
2005 - 2008:アッバース時代のはじまり
2008 - 2009:ガザ紛争
2010 - 2017:パレスチナ側の手詰まりと米トランプ政権発足 
2018 - 2021:「繁栄に至る平和」と「アブラハム合意」

2020年6月23日、ロイターによると、「米政府当局者と協議に詳しい関係筋」の情
報として、米国のクシュナー大統領上級顧問、オブライエン大統領補佐官(国家
安全保障担当)、バーコウィッツ中東担当特使、フリードマン駐イスラエル大使
の4人が、イスラエルによる併合を承認するかどうかの協議を開始した。トラン
プ政権は併合を承認する方向だが、「イスラエルの急激な動き」を容認すればパ
レスチナを協議に参加させられなくなることを恐れ、エルサレムに近い複数の入
植地の(イスラエルの)主権承認から段階的に検討しているという。
6月24日、国連安保理のオンライン会合で、国連のグテーレス事務総長は「イスラ
エル政府に対し、併合計画の放棄を求める」と呼びかけた。ベルギー、イギリス、
エストニア、フランス、ドイツ、アイルランド、ノルウェーの欧州7か国は共同声
明で、「国際法の下、併合は、われわれのイスラエルとの親密な関係に影響を及
ぼすことになる。また併合をわれわれが承認することはない」と警告した。アラ
ブ連盟のアハメド・アブルゲイト事務局長は併合について、「将来のいかなる和
平の見通しをも破壊」することになると批判した。一方、米国のポンペオ国務長
官は記者会見で、「イスラエル人がこれらの地域に主権を拡大するという決断は、
イスラエル人がなすべき決断だ」と併合を擁護した[218]。 6月26日、ガザ地区か
らイスラエルにロケット弾攻撃があった。6月27日未明、イスラエル国防軍は報復
として、ハマースの施設を空襲した[219]。 7月1日、イスラエル・ネタニヤフ政
権が予告した、ヨルダン川西岸の一部を併合する手続開始日を迎えた。6月30日に
発表されたパレスチナ政策調査研究所(英語版)のパレスチナ世論調査によると
米国トランプ政権の「繁栄に至る平和」には88%が反対した。代案を出した上での
和平交渉の再開は、賛成36%、反対53%だった。オスロ合意破棄は71%が支持した。
新型コロナ支援物資受け取り拒否は、賛成49%、反対41%だった。他方、アッバー
ス大統領の進退は、58%が辞任を要求した。次期大統領にふさわしい人物としては、
ハマースのハニーヤが49%、アッバースが42%の支持だった[220][221]。他方、ユ
ダヤ人入植地では、併合を見越した不動産投機がブームとなり、入植地の物件販
売が飛躍的に伸びているという[222]。
7月19日、フランス通信社が「関係筋」の情報として、パレスチナは、ヨルダン川
西岸のイスラエル併合を「希望する」と述べたパレスチナ人住民数人を逮捕した
と伝えた。ただし、パレスチナ側は逮捕の事実を否定している。記事によると、
6月にイスラエルのテレビ番組に匿名で出演したパレスチナ人が、イスラエル市民
権取得への期待や、パレスチナ自治政府の腐敗などを理由に挙げたという[223]。

7月20日、イスラエル国防軍は、パレスチナ赤新月社が用意した新型コロナ対策の
食料を、イスラエル側との調整を行っていなかったことを理由に没収した。エル
サレム旧市街で、感染予防のために自宅待機している世帯に配布される予定だっ
た。一方で、このころ国連の仲介で、(ハマースが実効支配する)ガザ地区から
イスラエル国内での医療に必要な手続きを一時的に緩和することが決まった[224]。

7月29日と8月13日のイスラエルのクネセト外交・防衛委員会では、「C地区の戦い
」が議題となった。すなわち、ヨルダン川西岸のC地区を自国領とする認識の元、
「パレスチナ人によるC地区の乗っ取り」への対策が審議された[225][226][227]。
審議では、政府答弁でイスラエル軍がパレスチナ人農民のオリーブの木を42000
本伐採したり、700台以上のショベルカーなどを没収したことを「非常な抑止力と
なっている」と自賛した。審議ではC地区全域の併合、ユダヤ人入植者200万人計
画などが発言された。パレスチナ人住民を「ウイルス」「領土テロ」「がん」と
中傷する議員もいた。入植者団体のレガビム(英語版)は、オンライン公聴会で
パレスチナ人が「イスラエル全土に触手を伸ばしている」と主張し、C地区全体
で69000軒あるという「違法建築物」への処分を主張した[228][229][230]。

8月12日、イスラエルはガザ地区に認めている沿岸漁業海域を15海里(27.78㎞)
から8海里に削減し、ガザ地区への物資の搬出入に使われる検問所を閉鎖した。
風船爆弾などの攻撃に対する報復措置としている[231]。
8月13日、米国の仲介で、イスラエルはアラブ首長国連邦との国交正常化に合意し
たことを発表した(アブラハム合意)[232][233]。これは、従来のアラブ連盟が
「アラブ平和イニシアティブ」で示した、イスラエルが占領地明け渡しを履行し
た上での国交正常化という方針の根本的な転換だった。 イスラエルのネタニヤフ
首相は記者会見で、米国より合意の条件として、ヨルダン川西岸の併合の「一時
停止」を求められたとしたが、「ユダヤ・サマリア[注 9] に主権を適用し、米
国と完全に協調するという私の計画に変更はない」と、将来の併合を進める計画
に変わりは無いとする見解を示した[234]。一方、アラブ首長国連邦のムハンマド・
ビン・ザーイド・アブダビ皇太子は、「パレスチナ領土のさらなるイスラエル併
合の停止に合意した」として、将来についてはイスラエル側と見解の相違を見せ
た[235]。 国交正常化交渉でパレスチナの領土問題が協議されたにもかかわらず、
当のパレスチナに事前の連絡は無く、協議に加わることもできなかった[236][237]。
パレスチナのアッバース大統領は「パレスチナの人々に対する攻撃だ」と国交正
常化を非難し、マルキ外相は駐アラブ首長国連邦大使の召還を発表した[238]。
ハマースのマシャアル前政治局長も、国交正常化を「我々の国民と、パレスチナ
の大義に後ろから刺すようなもの」と非難した[239][240]。また、ハマース関係
筋によると、ハマースのハニーヤ政治局長と、アッバース大統領は非公式に協議し、
「パレスチナの全勢力は一丸となり国交正常化を拒否する」ことで一致したとい
う[241]。 しかしネタニヤフ首相は意に介さず、自らの方針である「平和のため
の平和」「力による平和」の正当さを自賛した。これは、従来の和平交渉での「
土地と平和の交換」を否定する主張で、パレスチナへの占領地(イスラエルの見
解に拠れば、固有の領土)返還を行わず、一方的に屈服させることが平和に繋が
るという意味である。その上で、領土問題を「人質に取った」パレスチナを無視
してアラビア諸国と国交を結ぶことで、パレスチナを従わせることが平和に繋が
るとする見解を示した[242]。さらに、ネタニヤフは自らの「ネタニヤフ・ドクト
リン」の説明として、エフード・ヤアリの「パレスチナとの泥沼の交渉に引きず
り込まれるよりも、パレスチナは後回しにしてアラビアはじめ諸外国との国際関
係を構築し、パレスチナの拒否権を奪う」「(パレスチナの声明は)怒りよりも
欲求不満を示している。アブ・マーゼン(アッバース)らはもはや、アラビア諸
国にイスラエルと敵対するよう命令することはできない」とする論説を引いた
[243][244]。
一方、イェシャ評議会のエルハヤニ委員長は「もしネタニヤフが入植地へのイス
ラエルの主権適用を諦めたのなら、(首相から)交代させる必要がある」と不満
を表明し、入植地の早期併合を訴える右翼による散発的な抗議デモも行われた[
245][246]。C地区全域のイスラエル併合法案提出など、クネセトにおける活動も
行われている[247]。 アラブ首長国連邦のアンワル・ガルガッシュ(英語版)外
務担当国務大臣[注 16] は、ネタニヤフ首相の発言について「イスラエルの(国
内)政治についてはよく分からない」「短期間の(併合)停止では無いと思う」と
問題にはせず、改めてパレスチナ・イスラエルの両者に交渉に戻るよう呼びかけ
た[248]。 イスラエル・アラブ首長国連邦の国交正常化は、日本を含め多くの国
が歓迎の意志を示し、あるいは賛否そのものを示さなかった。明確に批判したの
はイラン、トルコ、シリア(アサド政権)のみであった。パレスチナ問題につい
ても、イスラエル非国交国を含め、多くはパレスチナの独立や2国家共存への支持
を表明したのみで、先の3ヶ国以外で明示的にイスラエルやUAEに遺憾や懸念を示
した国は、ルクセンブルク(後に撤回)、南アフリカ共和国[249] のみに留まっ
た。 同じく8月13日、イスラエル国防軍は、ガザ地区のハマースの拠点を空襲し
た。ガザ地区からの風船爆弾などに対する報復措置としている。また、イスラエ
ル国防省は、報復措置としてガザ地区への燃料の輸送を中止すると発表した[231]。
イスラエル軍による空襲は、8月26日までほぼ連日行われた[250]。

一方、イェシャ評議会のエルハヤニ委員長は「もしネタニヤフが入植地へのイス
ラエルの主権適用を諦めたのなら、(首相から)交代させる必要がある」と不満
を表明し、入植地の早期併合を訴える右翼による散発的な抗議デモも行われた
[245][246]。C地区全域のイスラエル併合法案提出など、クネセトにおける活動
も行われている[247]。 アラブ首長国連邦のアンワル・ガルガッシュ(英語版)
外務担当国務大臣[注 16] は、ネタニヤフ首相の発言について「イスラエルの(
国内)政治についてはよく分からない」「短期間の(併合)停止では無いと思う
」と問題にはせず、改めてパレスチナ・イスラエルの両者に交渉に戻るよう呼び
かけた[248]。 イスラエル・アラブ首長国連邦の国交正常化は、日本を含め多く
の国が歓迎の意志を示し、あるいは賛否そのものを示さなかった。明確に批判し
たのはイラン、トルコ、シリア(アサド政権)のみであった。パレスチナ問題に
ついても、イスラエル非国交国を含め、多くはパレスチナの独立や2国家共存へ
の支持を表明したのみで、先の3ヶ国以外で明示的にイスラエルやUAEに遺憾や懸
念を示した国は、ルクセンブルク(後に撤回)、南アフリカ共和国[249] のみに
留まった。 同じく8月13日、イスラエル国防軍は、ガザ地区のハマースの拠点を
空襲した。ガザ地区からの風船爆弾などに対する報復措置としている。また、イ
スラエル国防省は、報復措置としてガザ地区への燃料の輸送を中止すると発表し
た[231]。イスラエル軍による空襲は、8月26日までほぼ連日行われた[250]。

8月26日、『ハアレツ』はイスラエル国防軍第933"ナハル"歩兵旅団(英語版)の
兵士が、ヨルダン川西岸のカドゥム村に少なくとも3個の爆発物を仕掛けたと報じ
た[251]。国防軍は、「数年前から暴力的な暴動が起きており、スタングレネー
ドを抑止力のために置いた」と主張した。
8月30日、イスラエルのネタニヤフ首相は、エルサレムで米国のクシュナー大統領
上級顧問らと会談した。ネタニヤフは共同記者会見で「もはやパレスチナに(イ
スラエルとアラブの和平進展を)拒否する権利はないと理解すべきだ」と主張し、
クシュナーは「パレスチナにも現実的な提案をしている」「彼らに和平を実現す
る意思があれば、そのチャンスはある」と主張した[252]。 (この項つづく)
                            via   jp.Wikipedia
ここで、同時に「ユダヤ問題」も考えていく。







Anytime Anywhere ¥1/kWh era
再エネ革命渦論 200
 アフタ-コロナ時代 186】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング

光ピンセットで熱が誘起するすべり流れを検出
121日、京都大学の研究グループは,温度勾配を持つ流体中に置かれたマイクロ
子の表面近傍に,光ピンセットで流れを検出するトレーサーを留めるという独
自手法で
熱浸透すべり流の発生を検出。

【要訳】
液体中の微粒子の周囲の熱浸透流は、微粒子の表面近くの小さな粒子、つまりトレー
サーの分布を観察および分析することによって特徴付けられる。 まず、① 光ト
ラッピングレーザーを使用して、微粒子の外周近くの円形経路に沿ったトレーサー
の動きを局所化。 ②次に、液体内に全体的な温度勾配が生じると、もともと均一
に分布していた円形経路上のトレーサーが微粒子の高温側に集まり、粒子に沿っ
て熱に向かう流れを示しす。③ トレーサーの分布をさらに分析すると、表面から
の距離に応じて流れの大きさが減少し、④)微粒子の表面特性が変化すると流れの
大きさが変化がわかる。

これらの結果は、①観察された流れが微粒子の表面に沿った熱誘起滑り流れであ
ることを示す。② 次に、流体方程式の単純な滑り境界条件を仮定し、 (i)>微粒
子の熱泳動速度と (ii) 微粒子周囲の熱浸透流の 2 種類の実験データに基づいて
滑り係数の大きさを評価 。 2 つのアプローチの結果は量的に一致している。
また、既存の研究における滑り流れの理論モデルとの比較も行っている。



図1..
(a) 不均一に加熱された流体に浸されたターゲット微粒子の周囲の熱誘起流れを
調査するための提案された方法の概念。 トレーサーは微粒子の周囲に光学的に捕
捉され、周囲の流体が加熱されたときに流れ検出器の役割を果たす。 (b)、(c)
実験の概略図。実験では、ターゲット微粒子をマイクロ流路内に配置する。 (b)
側面図。マイクロチャネルは、上面がポリジメチルシロキサン(PDMS)、下面が
ガラス基板で構成される。 高さ17μmのマイクロ流路の上面に直径7μmの目的粒
子を固定化する。 加熱レーザーはターゲットの中心から水平方向にL=18μm離れ
た位置に照射される。 (c) テストセクションの底面図 (つまり、カメラビュー)。
半径 R の円形経路上の走査トラッピング レーザーは、ターゲット微粒子の近くに
蛍光トレーサーを閉じ込める。

【概要】
熱泳動する粒子の表面に誘起される熱浸透すべり流は,微小粒子の温度勾配方向へ
の 泳動現象である熱泳動の 主要なメカニズムのひとつと考えられている。 熱泳
動は,分子やコロイドなどの微小粒子分離,濃縮,分析技術への応用が期待され
ており,そのメカニズムの理解が課題となっている。熱泳動するマイクロ粒子(
直径 7µm)の表面近傍に生じる熱浸透すべり流を調べるうえで,ふたつの鍵がある
。ひとつ目は,流れの駆動源となる温度勾配の形成。熱浸透すべり流は温度勾配
に比例すると考えられており,その比例係数はすべり係数と呼ばれる。熱浸透す
べり流はすべり係数が非常に小さい(=流れが非常に遅い)ので,実験的に検出
するためには強い温度勾配が必要。研究では,集光レーザーが水に吸収され局所
的に発熱する光熱効果を用いてこの温度勾配を形成した。 得られた温度勾配の大
きさは 1K/µmを超え,これは1mm の距離に対して1000℃の差に相当する勾配の大
きさになる。ふたつ目は,発生する熱浸透すべり流の評価方法。熱浸透すべり流
はマイクロ粒子の表面近傍で発生すると考えられるが,粒子表面から離れると減
衰してしまう。つまり,熱浸透すべり流を観測するためには,粒子表面近傍の狭
い領域を正確に計測する必要がある。研究では,光ピンセットによりトレーサー
運動をマイクロ粒子表面近傍に制限することで,表面近傍の高温側への流れの発
生を検出した。また,粒子表面からの距離や,粒子表面のゼータ電位に対する流
れの強さの依存性を調べた。



【展望】
熱泳動のメカニズムの理解に関する基礎的な知見が得られただけでなく,分離,濃縮,
分析など,熱を利用する微小物質輸送の工学的応用において,設計上の重要な因子(
例えば表面電位)を実験的に評価する方法の方針が得られたことになるとしている。

【掲載論文】
“Thermo-osmotic slip flows around a thermophoretic microparticle characterized by optical
 trapping of tracers”
  DOI:10.1103/PhysRevApplied.20.054061


図 あきらかにらかになった光回復酵素の反応の様子

復酵素による損傷DNA修復反応解明
反応中間体立体構造の時系列観察で新たな酵素学の扉を開く
12月1日、理化学研究所(理研),台湾中央研究院,台湾大学,独フィリップ大学,大阪
大学,東北大学 ,京都大学は,X線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA」と「Swis-
sFEL」を用いた時分割結晶構造解析によって,紫外線によって損傷したDNAを修復す
る光回復酵素の動的構造を解明

【概要】
紫外線がDNAに当たると,ピリミジン塩基(シトシンまたはチミン)が連続した箇所でピリ
ミジン二量体という構造ができることがある。なかでもシクロブタン型ピリミジン二量体
(CPD)は,細胞内で紫外線によって発生する代表的な損傷DNA。このような損傷が生
じると,DNA複製や転写の妨げとなり,細胞死や突然変異,がん化など,細胞にさまざ
まな弊害をもたらす。DNA光回復酵素は,紫外線曝露により生じるCPDを修復する。

この酵素は,反応に青色の光を必要とする。まず,酵素の反応中心にあるフラビン補酵
素(FAD)がフォトン(光子)を捉えると,近傍のアミノ酸残基から電子を受け取って酸化
型(FADox)から還元型(FADH-)に変化し,酵素によるDNA修復の準備が完了する。
この反応は,光還元反応と呼ばれている。DNAはCPD部位で二重らせん構造が変形し
ており,DNA光回復酵素がそれを見つけてCPDを活性中心に収納する。この状態で酵
素のFADH-が新たなフォトンを捉えて,電子をCPDに転移することでDNAが修復される
。 このような反応経路は明らかになっていたものの,損傷DNAが修復される最中の
DNAおよびタンパク質の立体構造は分かっていなかった 研究グループは,還元状態の
古細菌のDNA光回復酵素のタンパク質を,CPDを持つDNAと暗所嫌気下で混ぜて結晶
化し,反応直前の酵素―DNA複合体の結晶を準備した。この結晶に反応のトリガーとな
る青色光を当て,ピコ秒からサブミリ秒の時間差でSACLAまたはSwissFELのビームライ
ンからX線自由電子レーザーを照射し,回折光を検出した。

回折光から得られる数万のイメージデータから,タンパク質と修復DNAの立体構造を決
定し,反応開始後の時間が異なるスナップショットを集めた。その結果,光回復酵素によ
り,DNA光回復酵素が損傷DNAを修復する際の全ての原子メカニズムを,リアルタイム
で解明した。研究グループは,疾患の原因にもなるDNA損傷の修復過程に関する理解
を深め,立体構造に基づくより合理的な人工酵素や薬剤の設計に寄与する成果だとし
ている。

【展望】
光回復酵素は原核生物から真核生物まで幅広い種で保有されている基本的なDNA修
復酵素。この酵素の反応における中間体の性質や構造を経時的に詳細に解析すること
で、基礎化学の理解に大きく貢献できる。
ピリミジン二量体は、皮膚がんの一種メラノーマの原因となる可能性が示唆されている。
今回の研究は光回復酵素による損傷DNAの修復過程を完全に解明した。これにより、
DNA修復活性がより高い人工酵素の作成など応用研究への道も開けた。 また、原子
レベルで酵素反応の全過程を直接調べることが可能となり、新たな酵素学への扉を開
いた。
今後、酵素の真の活性状態である反応中間体の構造に基づいて、合理的に触媒や薬剤
を設計するための第一歩となるもの。

【掲載論文】
"Visualizing the DNA repair process by a photolyase at atomic resolution", Science,
10.1126/science.add7795新規タブで開きます


単一コロイド量子ドットの電気特性評価 
人工原子デバイスの応用に前進
12月1日, 東北工業大学,東京大学,東北大学,東京農工大学,理化学研究所は,
半導
体コロイド量子ドット1つを用いた単一電子トランジスタ(Single-Electron
Transistor: SET
を作製し,コロイド量子ドット1個の電気伝導の詳細な評価を行
なうとともに,SETの室温
動作も実現した。


図11個のコロイド量子ドットを用いた単一電子トランジスタ(SET)の試料構造
(a)間隔がナノメートルサイズの金属電極(ナノギャップ金属電極)と電極間
に分散したPbSコロイド量子ドットの電子顕微鏡写真。コロイド量子ドットは直
径5ナノメートル程度。左下の線の長さが40ナノメートルを表す。(b)PbSコロ
イド量子ドット1個を用いたSETの試料構造と測定回路を示す模式図。ソース・ド
レイン電極間に電圧をかけ、量子ドットを介した電流を測定する。ゲート電極に
電圧をかけることで量子ドットを流れる電流を制御できるトランジスタ構造となっ
ている。

【概要】
コロイド量子ドットを光電デバイスへ応用するには,その光学的・電気的性質の
理解と制御が重要となるが,特に1個の極微小量子ドットの電気的性質に関する
評価は非常に困難だった。 量子ドット1個の電気的性質の評価と制御ができるデ
バイスとして、単一電子トランジスタ(SET)がある。1個の量子ドットを電子の
通り道として用い,ここにゲート電圧を加えることで,電子1個分に相当する電
流を制御する。SETは,量子ドット1個の電気的性質を評価・制御できるだけでな
く,量子力学に基づいて超高速計算や絶対安全な情報の伝達などを担う量子情報
処理のキーデバイスとしても注目されている。 SETでは,量子ドットのサイズを
小さくするほど,量子力学的な効果が顕著になり,高温動作も可能となる。しか
し,量子ドットのサイズが小さくなるほど量子ドット1個を流れる電流の検出と
制御が難しくなるため,これまでSETは,サイズが100nm程度の量子ドットで作製
されることが多く,室温動作するSETの報告は限られていた。 研究グループは,
数nm程度のギャップを有する金属電極(ソース・ドレイン電極)の上から,市販
のPbSコロイド量子ドット溶液を滴下し,金属電極の微小なギャップに1個のPbS
コロイド量子ドットを捕獲した構造を作製した。さらにゲート電極として導電性
のシリコン基板を用いることで,SETを作製した。市販の高品質PbS半導体コロイ
ド量子ドット溶液により,量子ドットの分散が溶液処理でできる。


(a)直径3.6ナノメートル、(b)4.8ナノメートル、(c)8.7ナノメートルの単
一PbS コロイド量子ドットSETにおいて、低温で観測された電気伝導特性。電子が
1つずつ量子ド ットを介して流れることを示す菱形構造(クーロンダイヤモンド)
が観測された。量子ドット のサイズによって、クーロンダイヤモンドの大きさが
大きく変化する様子が観測された。


図3 SETの室温動作と電子軌道に依存した伝導度の変化
(a)直径4.8ナノメートルの単一PbSコロイド量子ドットトランジスタにおいて
室温で観測されたクーロンダイヤモンド特性。室温でもクーロンダイヤモンドが
観測されたことで、素子が室温動作することが示された。(b)(上図)電流が量
子ドット中のどの電子軌道を介して流れるかで、伝導度が大きく変化することを
示す実験結果。量子ドット中の電子軌道に依存して、量子ドット中の電子の波動
関数の広がり(下図の赤い領域)が変化する。これにより、電極と電子の波動関
数との距離(下図の黒い矢印)が変化することで電流値が大きく変化することが
わかった。

このSETの電気伝導特性は,量子ドットのサイズに応じて特性が大きく変化した。
特に,量子ドットのサイズが5nm以下のSETは,電子間の相互作用が室温の熱エネ
ルギーと比べても非常に大きくなる結果,室温でも動作した。半導体コロイド量
子ドットを用いたSETで室温動作を実現したのは,これが初めて。 さらに,電流
が量子ドット中のどの電子軌道を介して流れるのかが電流値に大きく影響するこ
とや,電子のスピンに依存した電気伝導である近藤効果をコロイド量子ドットを
用いたSETでは初めて観測した。 コロイド量子ドットにおける電気伝導のメカニ
ズムの解明と,これを用いた太陽電池などの光電デバイスの高
性能化に寄与する
ことが期待される成果だとしている。
【掲載論文】
雑誌名:「Nature Communicatrons」
論文タイトル:SinglePbScolloTdalquantumdottransTstors
著者:KenJiShibata,MasakiYoshrda,Kazuhrko Hirakawa, Tomohiro otsuka, Satria
Zulkarnaen BTsrT、and YoshihTro lwasa DOにhttps://doi.org/10.1038/s41467-023-43343-7


※連日驚くばかりの技術情報が洪水のように届く。
                                 


 風蕭々と碧い時
The Beatles Now And Then

Mission; Impossible

今夜の寸評:

 

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