goo blog サービス終了のお知らせ 

極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

最低賃金$15旋風

2015年07月30日 | 時事書評

 

 

   たぶん日本の国民経済が崩壊しても、「時給267円で働く労働者を
                 搾取できたおかげで、国際競争に勝ってフェラーリに乗ってドンペ
                 リを飲んでいる超富裕層」の一員になっいる自分の姿を想像してい
                 るのだろう。
 

                                                                 内田 樹
    

 

 


日本では15年の最低賃金が全国平均18円引き上げとなっているが、米国では昨年
から今年にかけて、多くの自治体で最低賃金(時給)を15ドル(1,850円) に引き上
げる条例が可決され、既に施行されている自治体も出てきている(例:シアトル市の
場合、今年4月1日より段階的に――従業員数5百人以上の企業は17年初までに、
5百人以下の企業は21年初までに最低賃金が段階的に15ドルに引き上げる条例が
昨年可決(現在は11ドル(5百人以下は10ドル)、引き上げられる――上図/上
をダブルクリック)。これらの政策は、このブログでも掲載してきたポスト・ケイジ
ン的格差是正施策と見られる。

それではどのような影響があるのだろうか? シアトル市の場合、4月に11ドルに
引き上げられ
シアトルでは、17年の施行を待たず15ドルに引き上げたレストラ
ンの例では、メニューの価
格を21%引き上げ、チップ制を廃し、これまでチップで
時給27ドルを稼いでいたウエイター・ウエイトレスやバーテンダーの収入が下がる
、調理場スタッフやバスボーイ(食べ終えた食器を下げる係)。などの収入が上
がり、同じレストラン内での格差がなくなっているという。日本もこ
れに習って、チ
マチマとせず、大幅最低賃金の引き上げを行えばと思うのだが、移民の国でない少子
化が進行する日本では放任しても自動的に上がるから大丈夫かもしれない。


導入後の政策リスクはないのか? 施行前には賃上げによる失業率の増加が懸念され
ていたが、施行後1年半以上が経ち、いまのところ大きな混乱は起こっておらず、む
しろ下図
のごとく、失業率は施行前の6.5%から現在4.6%に改善されている。
「分厚い中間層」「アベノミクス」と打ち出した日本とはことなり、格差是正に向け
ダイナミックにチャレンジする国柄は今も昔も変わらぬようだと感心する。



 

【超高齢社会論 Ⅵ: 下流老人とはなにか】 
 

 秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に 象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたら
す格差
拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本
書でいう下
流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」で
ある。そして今、
日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパ
クトは計り知れないと
指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺し
た事件――71歳の林崎春
生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載
(極東極楽 2015.07.02 )。
『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護
基準は、144,430円(生活
扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円 【特別基準に
おける家賃上限】)である。資産の状
況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事
実だとすれば、年金支給額だけでは暮らし
が成り立たないことが明白だといえる。要するに、生
活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされ
て、足りない生活保護費と各種減免が受けられた
可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない
(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。
生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性
の姿が思い浮かぶ」と語っている(YAHOO
!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防
止策は 「貧困対策」ではないか!?」
2015.07.02)を受け、『下流老人』の感想を
掲載していく。   

  目 次   

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに


 第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン 

      《パターン3 子どもがワーキングプア(年収200万円以下)や
                      引
きこもりで親に寄りかかる》

  第1章で説明したように、昨今では「予どもだから」親の介護をすることが、当たり前の
 時代ではなくなってきている。ブラック企業が蔓延し、多くの青年層が低賃金で長時間労働
 を強いられているなか、さらに親の介護を期待するのは酷だと言える。もう子どもが親の介
 護をする時代ではないのかもしれない。

  ところが介護が期待できないばかりか、子どもが下流化の要因になってしまうケースもあ
 る,ワーキングプアや引きこもりなどを理由に、成人以降も予どもを養わなければならない
 高齢者が増えているのだ。
  とくに最近広がりを見せているのが「ワーキングプア」、稼動年齢層と呼ばれる若者の貧
 困だ。
  厚生労働省による日本の総労働人目における正規雇用者と非正規雇用者の数の推移を見て
 いただきたい。平成26年現在、全労働者の37・4%は非正規雇用である。

 

  いわゆるパートやアルバイト、派遣社員などの割合が、20年前と比べ、年々増加して
 いることがわかる。いまや労働者の3人に1人が非正
規雇用であり、賞与や福利厚生が十
 分に受けられない状況だ。なかで
も、正社員として働く機会が与えられない「不本意非正
 」と呼ばれる
人々の割白は、非正規雇用労働者全体の19・2%におよぶ,要するに、
 正社員で働きたいが非正規でしか働けない人も少なくないのだ,

  また、2013年の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」から、20~64
歳で得られ
 る賃金を計算すると、正規雇用で約2億2432万円、非
正規雇用では約1原2104万
 円となり、その差は1億328万円もの
開きがある。「同一労働・同一賃金一が訴えられ
 ているが、同じような
仕事内容でも正規と非正規では、大きな賃金格差があることは明ら
 かで
ある。

  とくに地方における就業先の不足は深刻で、一度非正規雇用になってしまうと、もう正
 社員の道がたたれてしまうという事情もある。そうな
ると、30代後半から40代、ちょうど
 親の介護が現実的になってくる時期
に仕雅を探しても、パートやアルバイトぐらいしか就
 労先がないことも
珍しくない,いまだに目本の労働巾場は、新卒一括採用が主流で、若者
 には正規一部用の遣があるが、年齢を重ねるほど正規雇用への就職が難しくなることは、
 暗黙の了解となっている。


  そのため実家で親と同居しながら、なおかつ足りない分の生活費を親が貯金や年金でま
 かなうという事態が発生している。さらに、親が死亡しても、その事実を隠して、子ども
 が親の年金を受け取っていたという事例も出てきた。いかに親に依存しないと暮らしてい
 けない若者が増えているか、ということを如実に表しているだろう。

 
                     子どもが「ブラック企業」に


  またうつ病によって仕事を辞め、実家に引きこもってしまう若者も少なくない。大きな
 会社に入って安心していたら、いきなりうつ病で働けなくなり、アパートの家賃すら払え
 なくなるというケースはよくある,
  その裏側にあるのは「ブラック企業一に代表されるような過酷な労働環境であろう。そ
 のなかにおいて、長時間労働により体調や精神のバランスを崩す若者が急増している。
  一方で子どもも、多少辛くても脱には相談しない、恥ずかしくて言えないと考えがちで、
 自力ではどうにもならない状態になってから実家に帰ってくるケースが多い。
 
  健康保険を所管する全国健康保険協会(協会けんぽ)によれば、「精冲系疾患」によっ
 て働けなくなった傷病手当金申請者は、近年増加の一途をたどっている。全国データでは、
 病気やけが全体に占める精神系疾患の割合が、平成23年度には26%を超え、平成7年
 (4・45%)の約6倍にまで増加していることを報告している。

  また、精神系疾患は一度罹患すると治療期間が長期化し、職場復帰が困難になることか
 ら、メンタルヘルス対策は非常に深刻な課題となっている。
  そういった人については、すぐに仕事が見つからない場合に、もう一回大学に入り直し
 たり、職業訓練を受けるなどの道もあるが、とにかく、お金がかかる。あるいはうつ病を
 治療するための医療費など、生活費以外に多額の出費が本人や家族にのしかかってくる。
  たいていの厚生年金の水準では、高齢期の2入を養うのが精一杯なはずだ。扶養を必要
 とする子どもの存在は、生活プラン自体を根本から覆すことになりかねない。

  とくに団塊の世代は、子どもの問題で悩みを抱えている大が多い。ワーキングプアや引
 きこもりが顕著に増えはじめたのが、現在の30代後半~40代にかけてだ。団塊ジュニアと
 も呼ばれるこの世代は、「パラサイトシングル」などの流行語でも有名になった。
  ただし、間違って捉えてはいけないのは、背景には「失われた20年」と呼ばれる経済
 の低迷があり、非正規雇用の拡大などの「雇用問題」があるということ,本人だけの問題
 では決してないということである。

                        「檻のない牢獄」と化した実家

  このような親と子の共同生活は、いわば「檻のない牢獄」に入っている状態と言える。
  若者は「実家から出たい」と思うが、賃金が安いなどの理由から自立することができな
 い。一方で、親も実家から出したいが、苦しい状況もわかるので強制することもできない。
 「早く実家から出ていってくれ」と思う親世代と、「出ていく場所がないIという子ども
 世代が、お互いに不満をためながら、ひとつの家に縛りつけられている状態である,ニュ
 ースなどでも、実家に住み続けるストレスフルな若者が、両親や親族に刃を向けてしまう
 殺傷事件がいくつか報道されているが、わたしたちはその背景にまで目を向けて考える必
 要がある,

  このような苦しむ若者が増えないように、雇用対策や労働環境の改善にも本腰を入れて
 取り組まなければ、今後も下流老人になる恐れがある高齢者を生み続けることになるだろ
 う,下流老人の問題は、高齢者への対策だけで解決すべき問題ではないのだ。
 

                   《パターン4 増加する熟年離婚》


  4つ目のパターンは「熟年離婚」だ。
 
 わたしの生活相談のなかでも、この手の問い八口わせは急激に増えつつある。しかし、
 離婚と高齢者の貧困がどのように結びつくか、イメージがわかない方もいるかもしれない。
  仮に、夫が会社員で妻が専業主婦だった場合の離婚では、男性にとっては予想していな
 かった経済的な問題がつきまとう。慰謝料の支払いの
ほか、予どもが成人していない場合
 は養育費の支払い、さらに受給され
る年金額も家族生活の員献度合いによって折半になる。
 そのため、収入
増の当てがない限り、これまでの生活レベルを大幅に下方修正せざるを
 ない。


  そもそも最近になって、なぜ熟年離婚が増えつつあるのか、その点か
ら紐解いていこう。
  いまだ男性優位の社会とはいえ、1986年に男女雇用機会均等法が施行された後の女
 性の社会進出は目覚ましく、現在では必ずしも「夫が
外で稼いで妻が家を守る」というス
 タイルが日本の平均的な家庭像とい
うわけではなくなってきた。それにともない、離婚率
 にも変化が生じて
いる.。

  たとえば、厚生労働省の「平成25年人口動態統計月報年計(概数)の
概況」によれば、
 20年以上連れ添った熟年夫婦が離婚する件数は、19
85年は2万434件だったにも
 かかわらず、2013年には3万80
34件と大幅に増加している。
  この驚異的な数字は、女性が経済的に自立しやすくなったこともある。が、これまでやむ
 を得ず押し殺してきた夫に対する不満が、子育てをひと段落した高齢期に一気に噴出した結果とも
 言えよう。

  今の高齢者は、そもそも「結婚するのが当たり前」な世代。自分の意思とは関係なく、
 お見合いや
周りの勧めで、結婚したケースも数多くあるだろう。生涯未婚率も現在ほど高
 いものではなく、結婚
 は、ある意味で「常識」だった。
  一方で、一度結婚したら離婚なんてとんでもない、何があっても歯を食いしばって耐え
 るという価値観も強固にあった。あるいは、女性に社
会進出の機会がなく、経済的な自立
 が困難であることから、夫の経済力
に依存しなければ暮らしていけない背景があった。古
 くは家父長制であ
り、その名残りとI.昌ってもいいかもしれない。
 

  しかし、時代とともに結婚や夫婦のあり方に対する社会の価値観は大きく変化した。そ
 れにより60代前後になって意識的・無意識的に我慢し
ていた不満が一気に哨出し、とくに
 女性が積極的に離婚に踏み切るケ
ースが増えてきた。いわば「高齢明に入り自我に目覚め
 た」状態と言え
るかもしれない。
  またそれを加速させているのが、慰謝料請求や財産分配、年金の按分を求める裁判離婚
 である。知人の弁護士の話によれば、最近はとくに老
後の資産を分け合う決定が出される
 ようになっている。女性が虐げられ
てきた歴史は昔からあるが、それに対する裁判の判例
 が積み重なってき
て、公正になってきた部分もある。
 
  さらに女性弁護士が増え、昔は議題にすら挙がらなかった問題や我慢
を強いられた問題、
 たとえばドメスティック・バイオレンスやモラルハ
ラスメントなどが大きく問題視され、
 ここ数年でしっかりと金銭を伴う
形で裁かれるようになってきた影響もあるだろう。
  そのようななかで、離婚訴訟においても女性に支払われる資産の金額が男性と対等であ
 るべきだという意識も広がっている。


  勘違いしないでいただきたいが、「男性(夫)にとってツライ社会に
なってきた」と言
 っているわけではない。もちろん妻側も、苦痛やスト
レスを抱えながら、あるいは暴力を
 受けながらも、ガマンして夫と一緒
に生活する必要はまったくない。むしろ、男女公平な
 慰謝料や財産分
配、年金按分がなされるようになったことは喜ばしいと思っている。

  それだけ資産を普通に分けられることがわかれば、賃金以外の価値や
魅力を持たない男
 性と一緒にいたくないと思うのは当然だし、はやく夫
の世話から逃れて残りの人生を楽し
 みたいと思う女性が出てくるのは
自然なことだ,

                            熟年離婚の盲点

   ただし、そのことと離婚することのリスクは別だ。夫にとっても妻にとっても、熟年離
 婚によって、どのようなリスクが発生するかは、正確に知っておかなければならない。
  たとえば、実際に離婚した場合、年金の受給額はどのように変わるのだろうか。
  夫が会社員で妻が専業主婦の場合、かつては夫の扶養家族である妻に対して支払われる
  年金額は、厚生年金保険の加入者である夫に比べて少なかった。
  しかし、最近では「アンベイドワーク(unpaid work)」といって、夫が仕事に専念して賃金
 を嫁げるのは、裏側で妻の支え、つまり家事や育児などの賃金が発生しない「見えない労
 働一があるからこそだという考え方がある。昨今ではこのような考え方が推認され、年金
 も公平に分配されるようになってきている。

  そのため2人合わせて月々の年金収入が330万円の場合、裁判や調停で労働割合が半
 々に認められれば、離婚後の受給額は一人あたり15万円となる。注意したいのは、離婚
 すれば当然別附帯になるため、家賃や水道光熱費などの固定費がそれぞれの世帯にかかっ
 てくる点だ。つまり収入が減るにもかかわらず、支出はそこまで減らないため、実際には
 今までと同レベルの生活を維持できなくなる,

  しかも先ほどの例のようにひと月あたりの年金受給額が15万円ともなれば、貯蓄がな
 い限りは.気に「生活保護基準」ラインに足を踏み入れることになる。同じ附帯にいなが
 ら2人で30万円で暮らすのと、それぞれ別附帯で15万円で暮らすのとでは、大きく意
 味が違うのだ。

  また、高齢者自身の考え方、価値観にも問題がある。とくに団塊の世代は、高度経済成
 長期の担い手であり、バブル経済の恩恵を最も受けた世代である,消費することが善とさ
 れ、趣味に時間やお金を費やしてきた人も多い。
  わたしのところに相談にくる方でも、一部上場企業でずっと働いてきて、今まで家や車
 の維持費だけで月15万円払っていたような方も珍しくない。しかし、いざ下流に足を踏
 み入れたら、そのような価値観を根から変革しない限り、泥沼にはまることになる。
  その場合、ファイナンシャルプランナーや弁護士などをはさみ、専門家の撹点から生活
 プランを設計し直していく作業が必要になるのだが、とくに多いのが”夫側”の相談だ。
 理由は明白で、妻よりも夫のほうが著しく生活能力が低いのである。家事をしていない男
 性高齢者は食事や日常生活において、節約しようとする意識すら持てない




あまりにもリアルで思わず背中がゾクッとする話で、最後尾の「生活能力が低い」という件の
あたりは、図星しで、大当たりだと苦笑するしかないが、それでも悔い改められない自分がい
る。苦境に入って、いよいよというときに底力からはまだ出せると思っているから、妻に”極
楽トンボ”と揶揄されても、割と平気でおられるのは、性格に起因する。なぁ~に、老いたり
と言えど一山ふんでみようか?!と、やせ我慢せず、セカンドライフに「生涯労働制」を導入
し、社会奉仕や趣味などの成果物も含めて、貨幣あるいは価値評価できるような仕組み――現
行のシルバー人材センタ事業をさらにフレキシブルに運用した高齢者向けの相互扶助プラット
フォームを構築してみてはどうかと思う。これは残件扱いとしておこう。さて、次回は「仕事
一筋できたならば、夫はにげられてはいけ
ない」から入る。

                                   この項つづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネバダ!長崎!福島!

2015年07月29日 | 時事書評

 

 

 

       日本がアジア諸国の独立を促したというけれど、
                  占領地の民衆に対してどんなふるまいをしたのか、
                  それはひでえことをしたってことを、
                  ちゃんと裏にくっつけておかないとダメなんです。
   
      
                                 吉本 隆明

 

  

● 日中食品汚染 17 中国の食品汚染地図  

【目次】 

   第1章 見えない食品の恐怖
 第2章 中国の食品汚染
 第3章 食品汚染のヒトへの影響
 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
 第5章 重金属汚染という新たな難題
 第6章 日本の食品は安全といえるか 
 


 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか

  "忌農’農民

  農民の高齢化と後継者不足は日本と同じで、今後さらに強まることが確実だ。最近の
 農民の平均年齢は50歳程度に上がり、
力のいる農作業を敬遠したり、大根や白菜、キ
 ャベツなどの重涼
野菜を栽培することもなくなり、ホウレンソウ、チングン栗、ニラや
 生姜、ニンニクや落花生、人参などの軽い葉物野菜
や根菜に目を向けるようになった,
  今や農民は何を作っても自由だ。また、大豆のように作りにくく収穫の面倒な作物を
 栽培しなくなり、その結果として、遺
伝子組換え大豆の輸入が急増するなどの影響をも
 たらしてい
る。
 
  こうしたことが土づくりをますます面倒な作業におとしめ
農民の土離れ、土壌汚しを
 広めていった。ただ増産のために化
学肥料をまくだけまき、農薬も使いたいだけ使い、
 現金収入を
高めたいというのが農民に共通の思いである,
  使命感が消え、仕方なく農業をする農民が増えているのだ。
  背景には、農民の所得や社会保障制度が不十分で、都会に住む者とのさまざまな格差
 が拡大し、しかも共産党や地方政府の幹
部の中にはあまりにも農民を蔑視する者が増え
 てきたことへの
反感もある,この反感には、あらゆる社会的権利を失っている農民によ
 る非暴力の異議申し立て、あるいは抵抗という色彩も否定
できない。

  さきごろ中国政府は2012年の「信訪」(土地を奪われた農民などが、その取り消
 しや補償を求めて、より上級の政府へ直
訴すること)件数が全国で600万件に及んだ
 ことを公表し
た,政府が隠してきたデータを公表したのは何らかの狙いがあってのこと
 だが、農民の不満は、そのまま農業という自分たちの職業に対する不満でもある。農業
 を忌避する農民すなわち、”忌農”が増加しているのだ。
  ”忌農”の特徴は農業から一刻も早く足を洗いたいと願っていること、息子や娘には
 絶対に農業を継がせたくないと思っていることだ。忌農の増加は農民の社会的モラルの
 低下や欠如をもたらしている。しかしだからといって、彼らを責めることができようか? 

  問題は、忌農からくるモラルの低下が、土壌や農産物の汚染に関心を向けなくさせて
 いることである。
  農民たちは、農地が自分たちのものではないことを実感するようになっている。所有
 権という言葉があることは知っていても、それを使ったことは一度もないという農民の
 なんと多いことか。このことばの意味さえ知らない農民もいる。
  ひと頃までは農民に聞くと、この農地は自分のものだと答える者が多かった。ところ
 が最近は政府のものだ、と明瞭に答える農民が増えた。農地は国からの借り物という農
 地請負制度の趣旨を農民自身がようやく理解するようになったのではないか。自分のも
 のでもないのに、投資をしたり、土壌保全をする気は起きないというのだ。農地は汚れ、
 その結果、農産物も農薬や雑菌で汚れるのは自然の理だ。

  このような現状を打開する決め手はないが、まずは農地請負制度を転換し私有化を認
 めることだ。中国でも、わたしと同じ意見を持つ勇気ある学者が徐々に増えている。こ
 のことは、農民のため、ひいては国民のためにも望ましいことではないだろうか。

                          薬食同源の文化が災いに?

  皮肉にも中国の食文化といわれる中にも、食品汚染を構造的に慢性化させる要因が潜
 んでいる。
  中国には古来から「薬食同源」(日本では「医食同源」というが、これは四文字熟語
 としては体をなさない)※、「四性五味」という食文化があり、食べ物は薬のように身
 体を癒し強くすると信じられてきた。現在でもこの考え方は変わっておらず、日本人以
 上に食へることにはこだわりがある。中国人にとって、食べることは空腹を満たすだけ
 のことではない。
  では、なぜ食品汚染問題が起きているのかといえば、食品とは薬と同義であり、ここ
 には汚染などはないものだという過信があったからだ。科学の発展が実は食品が汚染さ
 れていることを発見し、その危険性を啓蒙し始めたのは食品衛生法ができた1995年
 頃のことである,「薬食同源」という食文化が生み出した食品への過信が皮肉にも汚染
 を生んで、容易に改善されない状況を生んでしまったともいえる。

  四性五味の四性は冷たい、熱い、温かい、涼しい、の意味で、五味はやい、甘い、酸
 っぱい、苦い、塩辛いを指す。この点は、日本食にも当てはまる,
  ところが具体的な料理や食べものとなると、同じ四性五味でも、中国と日本では、相
 容れない結果になることがある。たとえば臭豆腐、鶏の足料理、犬肉などは日本人にと
 ってはそもそも食べものではないし、反対に、くさや、納豆、卵かけご飯、鶏の臓物の
 刺身などは中国人にとっては食べものであって欲しくないものだ,文化はよその国の文
 化で変えることはできずたがいに尊重すべき価値あるものだ。

  薬食同源、四性五味は食品の種類を増やし、四本足のものはテーブル以外、飛ぶもの
 は飛行機以外何でも食べると揶揄されるような中国の食文化を生み、一方で海に囲まれ、
 山林が国土面債の約70%を占め、温帯性気候の日本では、多種類の農林畜水産物を反
 映した食文化を生んできた。しかし、ある意味で共通するこの豊かさが、我われに食品
 汚染の構造的な罠をしかけているとはいえまいか。

  ※ 医食同源(左図の上をダブルクリック)


自然を相手とする農業は奥が深くて手間がかかり、工業製品とくらべ生産性は遙かに低い。
したがって「都市部」がら「農業部」に様々な「贈与経済的制度」を必要としていることに
正当性が認められのだが、それが「忌農」「蔑視」の温床となり、こころない政体がこれを
利用してきたことは、程度の差はあれど日中でも同様である。もっと、欧米によ反共封じ込
み戦略下での、中国は「大躍進」のような逆政策を取ったものの悲惨な経験をしているが、
欧米先進国では、国家安全保障として、農業の手厚く保護(関税・買取り・補助金・農業従
事者の準公務員化)保護され解消されている。いずれにしても、今世紀に入り植物工場に象
徴されるような農業の高次化により、消滅する段階に入っており、このような”忌農”は死
語となっていくだろう。


                                 この項つづく

 

 【縮原発論 Ⅱ: 核ごみ廃棄処理のススメ

  目次

  第1章 日本人の体内でおそるべきことが進行している!
  第2章 なぜ、本当の事実が、次々と闇に葬り去られるのか?
  第3章 自然界の地形がどのように被害をもたらすか
  第4章 世界的なウラン産業の誕生
  第5章 原爆で巨大な富を独占した地下人脈
  第6章 産業界のおぞましい人体実験
  第7章 国連がソ連を取りこみはじめた
  第8章 巨悪の本丸「IAEA」の正体
  第9章 日本の原発からどうやって全世界へ原爆材料が流れ出ているのか

   第1章 日本人の体内でおそるべきことが進行している!

                  セント・ジョージで起こった恐怖の事件

  アメリカ合衆国ユタ州の町、セント・ジョージの葬債屋エルマー・ピケフトけ、町の
 異常に
気づいていた。それは今を去るほぽ60年前、1956年のことだった。それま
 では、癌に
よる死亡はどく稀だったが、その年になって突然、癌で死亡する人が増加し
 はじめた。それが
ただ増えはじめただけでなく、彼の手で埋葬される人がほとんど癌死
 者になってしまうとい
う、驚くべき変化が起こってきた。まったく信じ難い事 態だっ
 た。


  ルビー・マティソン夫人は、夫ジョゼフの死について、こう語っている。

 「癌で死んでゆく人を見たことがなければ、決して分らないでしょう。あれは、おそろ
 しい
死に方でした。最後にジョゼフは、あまりの辛さに自分の手の甲をかきむしり皮を
 すっか
り剥ぎ取ってしまいました。血だらけKなりながら死んでいったのです」

  翌年の1957年になっても、痛死者の洪水は止まらなかった。

 ――セント・ジョージの町に、なKかが起こっているのではないか。
 1958、59、60年……おそるべき事態は続いた。セント・ジョージの癌死亡率は
 同じユタ州でのほかの地域に比べて、遙かかに高くなっていた。
  セント・ジョージの不幸は、葬儀屋エルマー・ピケット自身の不幸に変った。妻だけ
 ではなく、妹が、姪が、祖母が、4人の伯父が、妻の母が、妻の妹が、泊母が……と、
 果てしなく死んでいった。それは、すべて癌による不幸だった。そして結局、これまで
 に彼が失った家族と親類の数は11にも達しでいる。

  エルマー・ピケット自身、甲状腺に障害を来たしついに外科手術を受ける日を迎える
 ことになった。
  セント・ジョージの町に住むアーマートマス夫人の場合は、通りを一本へだてた家で、
 カールとヱルニーが癌で死に、カールの妻が発癌していた。
  その隣の家では、まだ小さな子供が白血病で死んでいた。
  その並びには、トマス夫人の妹が住んでいたが、彼女も乳癌で死に、その夫が発癌し
 ていた。
  ウィルフォードも癌になっていれば、妻のヘレンも胃癌で死んでいるのだ。 
  彼女の家の周囲わすか一区画だけで、30人が癌にかかり、そのうち10人が死亡

 ていた。



  こうしてトマス夫人が自分のノートに記録し続けてきたセント・ジョージの癌患者は、
 1980年頃までに200人にものぼった。この200人がすべてトマス夫人の知人だ
 った。
  なお悲惨なことに、この”不幸なリスト”に書きこまれた名前のうちの半分に、赤い
 チェックの印が付いて忖してある。葬儀屋エルマー・ピケットの于に委ねられ、すでに
 埋葬された人びとの名前だった。しかしそれは、死亡年齢から見て、いずれも。早すぎ
 た”埋葬″に該当する。

  ジェフリー・ブラッドシーウは、25歳の若さで骨盤K価を生じ、外科手術で脾臓を
 取られ、脳腫瘍のためにほとんど視力を失っている。
  デイヴ・ティモシーは18歳の時に、悪性の甲状腺腫瘍を発病し、7回以上もの手術
 を受けながら、ようやく生きながらえているが……この青年の場合、2人の甥……3人
 の伯父が癌で死んでいる。デイヴ・ティモシーの治療に当たっていた医師2人も、癌の
 ために死亡している。

  アーマートマス夫人も、自分の昧と夫の妹が、どちらも癌のために死んでいる。それ
 は1964年のことだった。
  さらに夫が15年来の癌のため治療を受け、4人の娘のうち2入は子宮癌の疑いから
 子宮切除除の手術を受け、もう1人は三度の流産を休験し、最後の1人が重度の筋肉疾
 患に苦しんでいる。彼女のかつてのクーラスメイトのうち、70人もユタ大学病院で甲
 状腺の手術を受けたという。

  思い返してみよう、2001年9月11日にニューヨークで世界貿易センタービルに
 航空機が突っこみ、ビル大崩壊事件(9・11事件)か起こって、全米が衝撃を受けた
 翌年、2002年に厳戒態勢のなかで冬季オリンピックが開催された都市、それがユタ
 州の州都ソルトレイク・シティーである。そのソルトレイク・シティーのユタ大学病院
 では、ジョゼフ・ライオン博士らが、調査を続けていた。
 
  その調査内容は、”ユタ州の小児癌”に関する一論文として、ポストン発行の医学・
 誌(“The New Engrand Jounal of Medicine"1979
年2月22日号)に発表された。
  ライオン博士らは、顕著な被害の出ているユタ州南西部を中心とする17の郡と、州
 内のほかの郡について、実に32年間という長い歳月を対象として、15歳以下の小児癌
 の発生状態を調べてみたのである。

※ "Childhood Leukemias Associated with Fallout from Nuclear Testing" The New England Jour-
         nal of Medicine " February 22, 1979 issue


  この連続した332年間を、A、B、Cの三つの期間に分けてみた。

  Aは、1944~50年の7年間
  Bは、1951~58年の8年間
  Cは、1959~75年の17年間

   という具合にである。
  このように分けたのは、真ん中のBの期間に、ライオン博士らの予測する"
不幸の原
 因" 
が潜んでいると考えられたからだった。
  また、15歳以下の小児を調べてみたのは、その予測される”不幸の原因”が、とく
 に子供たちの体に対して急速に影響を与えると考えられたからである。成人では、発癌
 から死に至るまでに10数年という長い歳月を要することもあるが、小児では癌が急速
 に成長するので、被害があるとすれぱ短期間に集中し、因果関係を立証しやすいと判断
 された。

  この長い年月と、多くの小児を対象とした調査の結果はユタ州全土の親を戦慄させる
  ものとなった。また同時に、B期間の異常性を、数字の上からこれほど的確に証拠づけ
  たレポートもなかった。
  そのうちのひとつのデータを、わかりやすい形で表現すると、次のような結果が得ら
 れる。
 ――白血病をはじめとする小児ガンの発生率は、1年あたりの平均値に換算して、A、
   B、Cの三期間を比較してみた場合、ユタ州南西部(セント・ジョージを含む地域)
   では、AとCを100%とした時、B期間中にちょうど300%の高い率になる。
  これが、冷厳な結果だった。32年の長い歳月にわたる期間にもかかわらず、300%
 の明白な数字が浮かび上がってきた。
 

 

   これは統計的な表現だが、小児ガンのために死んでいった子供たちの一人ずつを鏡の立
 場
になって考えてみよう。たとえば、これはその中のわずか一例にすぎないが、セント・
 ジョ
ージからすぐ近くの町、シーダー・シティーに住んでいたシピル・ジョンソンという
 女の子
の場合、父親プレーン・ジョンソンはシピルの白血病を医師から宣告された時、「
 私の家から、たりた100メートルの範囲内に、7人もの白血病患者が出ているのは、単

 なる偶然のほかに、何か別の原因があるのではないでしょうか」と、医師に尋ねた。

  しかし医師は、あくまで偶然だと言い張り、彼の疑問を認めようとしなかった。

  そこで彼の要は、手当たり次第に一帯の調査を初めてみた。その結果、ついに100人
 にものぼる癌患者のリストができてしまった。これが統計的な調査ではなく、ジョンソン
 夫
人がたまたま知ることのできた人たちの人名録だった、という点が大切である。氷山の
 一角
が見えたにすぎない。少女シビル・ジョンソンが白血病のためこの世を去っていった
 のは1965
年であった。

  セント・ジョージに住むシェルドン.ジョンソンは、息子のレインを愛し、楽しい家庭
 を
築いていた。
  そのシュルドン・ジョンソンはある時、ふと疑問を抱いた。
  ――しかし、レインのほかにも、学校のひとつのクラスに、知恵遅れの子供かこんなに
 たくさんいるのは、なぜだろう――と。
 以前には、知恵遅れの誰が一人もいなかったことを考え合わせながら、この親はやがて、
 ひとつの事実に気づいたのだった。
  ――この子たちはみな、1952~57年の間に生まれたのだ――ということを。
  これと同じ事実を、葬儀屋のエルマー・ビケットも認めていた。
  ――この町の人間は、あの時が来るまではみんな元気で、癌になる者なんか、捜しても
 見
つからなかったのだ――と。

  すでに説明したジョゼフ・ライオン博士の論文がB期間として設定したのは、1951
 ~58
年だった。多くの障害児が出生した期間は、ちょうどこのB期間のなかに、ずつぼ
 り入
りてしまう。小児ガンの発生率噌加とのあいだに、明瞭な相関性がみられる。

  これで謎ときの大きな手掛りが、四つまで明らかにされたことになる。

  第一は、被害者――小児から成人に至る膨大な数の人間
  第ニは、期間――1950年代
  第三は、位置――ユタ州セント・ジョージの周辺
  第四は、被害――小児ガン、小児白血病、成人の発癌、癌死の激増
  だれが(WHO)、いつ(WHEN)、どこで(WHERE)、なにを(WHAT)、
 という順序で考えるなら、第五の。いかにして(HOW)というパズルの答を出さなけれ
 ばならない。

               パズルを解いた男ポール・クーバー元軍曹

  自ら白血病におかされなから、このパズルを解いてみせた男がいる。アメリカ陸軍でか
 つて軍曹をつとめたボール・クーバーだった。
  1976六年、ソルFレイク・シティーにある退役軍人を扱う病院が、ポールークーパ
 ー元軍曹の白血病を知り、ひとつの疑いを抱いた。
  葬儀屋エルマー・ピケツトが”セント・ジョージ”の一集団について疑念を抱いたと同
 様に、すでにユタ州の人びとが口にしていた噂から、この軍人病院の疫学者グリーン・コ
 ードウェルは”退役軍人”の一集団に不審を感じたのだった。

  ここで重要なことは、セント・ジョージの住民が、実は無関係の巻き添えを食った被害
 者だったのに対し、軍人病院の場合には肢ら自身がこの問題の当事者だった、という点に
 ある。
  答を明かせば、軍人が加害者だった。その加害者自身のなかに、ポールークーパーとい
 う被害者が出はじめたことによって、ようやく、軍人が自分たちの過去を洗い出してみよ
 うという気になったのだった。

  反骨精神を持ったポール・クーパー元軍曹が、ユタ州ソルトレイク・シティーの病院で
 診寮を受けたことも、パズルを解く鍵になった。これによって、やがてユタ州セント・ジ
 ョージの被害が、クーパーらの軍人が受けた被害と結びつけられるようになったからであ
 る。実は、クーバーが登場するずっと以前から、あちこちで結びつきが語られ、被害者は
 確区をつかんでいた。

  ポール・ジヱイコプスという一匹狼のジャーナリストは、B期間中に自分の足でユタ州
 南部を歩きまわり、住民と起居を共にしながら、子供たちの白血病をはじめとするさまざ
 まの肢害を調べあげた。それを”ザ・リポータ”という雑誌(1957年5月16日号)
 にくわしく報告し、のちには彼自身の体癌におかされ、59歳で死んでいった。1957
 年という早い時期にボール・ジェイコプスが伝えた事実は、エルマー・ピケットやアーマ・
 トマス夫人がのちにくわしく知った出来事を、すべて予言したものであった。

  だがそれらはどれも、公式の手続きにかけられると、”噂にすぎない”と一蹴され、涙
 を呑んでいた。
  ポールー・クーバーは立ち上がり、ついにマスゴミに対して宣言した。
  「私は1957年のネバダの核実験に参加したために、白血病になったのだ。間違いな
 い」核実験に参加して20年後、1977年4月のことだった。
 
  パズルは解かれはじめた。


膨大な英文資料に目を通すあるいはビデオを鑑賞するには、あんちょこに、斜め読みするしか
なかったが、それなりにうるところがあった。次回も第2章を読みすすめる。


                                    この項つづく
 

 

 出典:朝日デジタル 2015.07.29

長崎市の長崎原爆資料館に展示されている原爆「ファットマン」の原寸大模型が、これまでの
濃い緑色から黄色に塗り替えられて、28日公開された。近年の調査で実物は黄色だったこと
が確認され、被爆70年に合わせて塗り替えた(上写真)。ファットマンは1945年8月9
日、長崎に投下されたプルトニウム原爆。96年に資料館が開館した当時、アメリカの博物館
にある模型などを参考に濃い緑色にした。ところが2010年、有識者らでつくる原爆資料館
の運営協議会で委員から「本物の色と違うのではないか」との指摘があり、長崎市が報道機関
の所有するカラーフィルムを調べたり、米国の博物館に情報を求めたりして、黄色だったこと
がわかった。

戦後70年とひとことでは片付けられないことが、この一連の作業で――ネバダ砂漠の核実験
の影響、長崎投下されたパンプキン爆弾、そして福島第一原発事故に繋がる"
黄色い糸"――単
なる偶然なのか、神の思し召しか?わからないが、あらためて確認することとなった。戦争を
知らない団塊世代ではあるが、幼い頃、神社の参道で傷痍軍人をおく見かけた。学校では、教
師から戦争体験を聞かされたり、
耳を塞がんばかりの――一兵卒クラスは人肉を食事に与えら
れ食したとか(人肉が一番うまいという尾ひれもついている)。その他、親戚や、職域や地元
のひとから、戦地で撮った惨殺・強姦現場写真を見せられたり、逆に、大陸では日本軍人が唯
一頼りになったとか、軍用短銃(ワルサーP38)の扱いを教えられたり、機関銃でたくさん
の中国兵を殺したという武勇伝を聞かされたり、手榴弾の破片を首筋に受け、九死に一生を得
たと傷口を見せた叔父の記憶などを通し理解しえた。「二百万人の血でもってあがなわれた戦
品の憲法九条」(吉本隆明)を踏まえ、積極的な平和活動に資するには、いかなるチャレンジ
をすべきか?国民ひとりひとりが問われている「戦後70年」でもある。

                                      
                               



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

抗うつCM→SB vs. AU

2015年07月28日 | 時事書評

 

 

 

 相手がどう反撃していいか、わからないような戦法でぼくは権力と戦いたい。
         
                                       ション・レノン

 

 

 

● 抗うつCM→ SB vs. AU

激しい移動体通信の拡販競争のCMが馬鹿!面白い。ソフトバンクは白戸家、かたやAU桃太郎
シリーズ。制作会社は不詳だが、広告業界ではライバル社を直接攻撃することは、マーケティン
グの世界ではタブー視されているものだが、これらは逆効果?を狙ったCMシリーズだろう。こ
れによりドコモは蚊帳の外におかれた格好となっているのではと思わせる。実際はもっと複雑な
戦術要素があるだろうから、単純に売上高に寄与するかどうか分析してみないと分からないが、
わたしが注目するのは、その馬鹿さ加減に伏せられた「抗鬱効果」。拡販という現実的な神経戦
を乖離して浮遊する緊張緩和作用に感心する。実際、仕事疲れの気分転換に役立っているのだ。
 

 

古い情報になるが、昨年1月に自民党資源・エネルギー戦略調査会(山本拓会長)は28日、原発から出
る「核のゴミ」の最終処分を議論する小委員会の初会合を開いた。講師として招かれた高橋正樹日本大
教授(火山学)は、北海道東部や東北地方の太平洋側の一部など地層が安定している地域を示し、国内
に最終処分に適した場所があると説明したというもの。



ところで「核のゴミ」は、原子力発電所で使用した核燃料からウランやプルトニウムを回収した
に出る残りかす(正式名称は「高レベル放射性廃棄物」)。日本ではガラスと混ぜて固化処理
ている。現在、ガラス固化体は国内外に計約2500本あり、既存の使用済み核燃料を今後すべて
処理すると、約2万5千本になる計算になるというのだが、30~50年は青森県六ヶ所村に完成
た中間貯蔵施設で保管できるが、その後は地下3百メートルより深い場所に埋めて、放射線が
低く
なるまで数万年も置いておく必要があり、その場所をどこにするかをめぐって、10年以上
迷走しているという。当の高橋教授は、原発と火山噴火についてインタビューで次のようにも
述べている。


 このうち、噴火規模について、ある程度の予測が可能なのは、地殻変動による推定だ。これ
 までの研究によると、姶良カルデラ内にある桜島火山のマグマ溜まりには、10年あたりおよ
 そ0.1立方キロメートルのマグマが供給されていると推定される。過去2.6万年の間に260
 立方キロメートル近いマグマ溜まりが形成された可能性もある。この半分の量が桜島火山と
 して噴出したとしても、百立方キロメートル以上の超巨大噴火に匹敵する(百立方キロメー
 トルは琵琶湖の容積の約4倍)。そのため、姶良カルデラにおける超巨大噴火の可能性は、
 完全には否定できない。

                                     -中 略-

 また(静岡県の浜岡原発に比較的近い)富士山にしても、江戸時代に大量の火山灰を広範囲
 に降らせた、宝永大噴火(1707年)から300年以上経っており、いつ大噴火が起きてもおかし
 くない。南海トラフを震源とする巨大地震が噴火の契機になる可能性もあるが、噴火以前に、
 巨大な地震や津波の可能性を考えれば、浜岡原発は世界で最も危険な原発と言えるだろう。


                   高橋正樹 「火山影響評価は科学的とはいえない」
                    (川内原発審査の問題② 東洋経済 2014.08.07)


再生可能エネルギーの世界的普及があらわになり、その反面、日本だけが一人取り残されるかの
ような
な状況にある昨今、原発問題に止めを刺すために、広瀬 隆 著『東京が壊滅する日-フク
シマと日本の運命』ダイヤモンド社(2015.07)を取り寄せる。

 【縮原発論 Ⅰ: 核ごみ廃棄処理のススメ

  目次

  第1章 日本人の体内でおそるべきことが進行している!
  第2章 なぜ、本当の事実が、次々と闇に葬り去られるのか?
  第3章 自然界の地形がどのように被害をもたらすか
  第4章 世界的なウラン産業の誕生
  第5章 原爆で巨大な富を独占した地下人脈
  第6章 産業界のおぞましい人体実験
  第7章 国連がソ連を取りこみはじめた
  第8章 巨悪の本丸「IAEA」の正体
  第9章 日本の原発からどうやって全世界へ原爆材料が流れ出ているのか

 
   はじめに

                      冷静に予測しておかなけれぱならないことがある

    フクシマ原発事故発生から1年9ケ月後2012年12月14日に、福島県に国連のIA
  EA(国際原子力機関)が乗りこんできて、「原子力安全に関する福島閣僚会議」開催され
 ることになった。驚いて危機感にとらわれた福島県民が、私に「県内ではすさまじい”安全
 キャンペーン”がおわれでいるので、IAEAとICRP(国際放射線防護委員会)の正体
 を話してほしい」という要望があった。それに応えて、福島県郡山市で講演会に臨み、本書
 の内容を語ったことがある。

  そのように追いつめられた福島県民の肉体に迫る危険性は、報道界では切り檜てられてお

 り、大変に切迫した状況に置かれている。しかし、福島県民だけでなく、今こそ、被バク渦
 中にある東京を合むすぺての日本人が、本書で述べる”悲惨な披バク者の告発”に目と耳
 向けるべき時だと痛感して本書を執筆することにした。なぜなら、全世界に「われわれは

 まされて苦しんだ。あなたたちが、決して同じようにだまされてはならない?!」と、悲痛

 な声で警告する”読者者の知らない人たち”がいて、日本に住むすぺての人に、危険性を生
 々しく伝えているからである。本書では、その数々の実害を、現在の東京を含む東日本地帯
 と比較しながら、これから日本で何が起こるかを予測してゆきたい。

  はっきり言えば、数々の身体異常と、白血病を含む「癌の大量発生」である。
  これらの病気が、幼い世代の子供、青少年から早く発症することは、現在では誰でも知っ
 ている。
  福島第一原発3号機では、その痛の原因となる最大の猛毒物プルトニウムのMOX燃料
 使って運転していたが、これが爆発して空高く燃料を噴き上げ、アメリカのロッキー山脈に
 までプルトニウムが到達していたのだ。というのは、『化学便覧基礎編改訂5版』(20
 04年、日本化学会綱、丸善)によれば、プルトニウムがガス化する温度(沸点)は323
 2℃だが、茨城県つぐば市の気象庁気象研究所で、それよりはるかに高い沸点4877ての
 テクネチウムが検出されていたのだから、プルトニウムがガス化していたことは間違いない
 のである。

  実は、フクシマ原発事故が起こってほぼ2週間後の2012年3月30日、ヨーロッパ議
 会によって設置された調査グルーブ「ヨーロッパ放射腺リスク委員会」(ECRREurope-
  an Committee on Radiation Risk
)4、公式発表から得たデータを使用して、フクシマ原発事故
 によって東日本地域で今後発症すると予想される癌患者の増加数を発表していたのである。
 その予測では、

 ――福島第一原発から100キロ圏内では、今後50年間で19万1986人が癌を発注し、そ
   のうち半数以上の10万3329人が今後10年間で癌を発症する。それより遠い100~
   200キロ圏内では、今後50年間で22万4623人が癌を発症し、そのうち半数以上の
   12万894人が今後10年間で癌を発症する。

  その予測の信憑性を信じない人がいると思うので、ECRRについて説明しておこう。
 1997年にヨーロッパ議会が開催したブリュッセル会議の議決にのっとって設立された組
 織がECRRであり、単なる市民団体ではない。ECRR初代議長をつとめたイギリス・オ
 ックスフオード大学の女医アリス・スチユワート博士は、癌や白血病になった10歳未満の
 幼児を調べ、その母親がX腺撮影を受けていた回数を突き止め、「妊娠中の女性のX線撮影
 が胎児の癌の発生率を高めている」という衝撃的な統計を、世界で初めて明らか毘した。か
 くして「妊婦のX線撮影禁止」という現代医学界の常識を確立した人である。1970年代
 から、当時医学に従事していた私にとって、”放射線と放射能”の危険性を初めて教えてく
 れたのが、彼女であった。ヨーロツパのなかで放射能被害、特に内部被曝についてくわしい
 この科学者グループECRRの特徴は、原子力学界によくいる,”放射線の机上理論を振り
 回す学者”と違って、”過去の実害(病気)の調査”に基づいて放射能被害の推定をおこな
 う医学的な姿勢にある。その点で、私は誰よりもこのグループを信頼してきた。
 



  そのECRRが、日本における高い人口密度を考えれば、200キロ圏内では今後50年間
 でおよそ40万人以上が「フクシマ原発事故による放射能によって」癌になる。そして20
 0キロを超える地方もグレーゾーンであるから、細心の注意が必要である、と日本人に重大
 な警告を与えたのだ。 
 
  したがって、福島第一原発からおよそ300キロ圏内の人間の居住地域(福島県・宮城県・
 山形県・群馬県・栃木県・茨城県・埼玉県・千葉県・東東都・神奈川県)の全域で、そして
 岩手県・青森県・秋田県・静岡県・山梨県・長野県・新潟県の一部で、悲惨な放射能大災害
 が、個人差はあっても、人間の体内で進行していることは間違いない。それを実証するよう
 に、いま福島県内では、18歳以下の甲状腺癌の発生率が、のちにくわLく述べるように、
 すでに平常備の70倍を超える膨大な数数に達しているのだ。
 
  しかし本書の結論を最初に言うなら、その福島県だけではなく、「東京を含めた東日本全
 域で急いで適切な対策をとらなければ大変な事態を招く」、このことは、確信を持って言え
 ることであるIだが勿論、本書を院みはじめたばかりの読者はそれを信じないはずだ。
  なぜなら、国連のIAEA(国際原子力機関)がそれを全否定し、またICRP(国際放
 射線防護委員会)の安全基準値が、被害発生を何度も否定してきた。「フクシマも日本も安
 全である」と・・・・・・

  そして日本のマスメディアが、テレビと新聞を挙げて、これらを一公式見解」として引用
 し、日本政府と声を揃えて、フクシマ被害地の安全性を喧伝してきたからである。ところが
  IAEAとICRPの発言には、何の医学的・科学的な根拠もないのである。
  彼らは、きわめて危険なフクシマの汚染地帯への住民の帰還を促しているが、それには理 
 由がある。日本政府や東京電力と手を結んで、被害者に支払わなければならない原子力産業
 の莫大な賠償金を極力ゼロに近づけろこと、つまり「金目」が目的だからである。そしてI
 AEAとICRPは、過去に大量の放射能大災害を生み出してきた組織だったのである。し
 たかってIAEAとICRPが放射能大災害の発現を。否定‘すれば,否定〃するほど、被
 害は、日本人全体の肉体K間近に迫っている医学的に動かし難い実害であるという近未来の
 姿が浮上してくる。読者に、その厳しい「今から5年後、10年後、20年後の現実」を、自分
 と、自分の家族の肉体を襲う問題として、強く認識してもらわなければならない。

  その理由を知るためには、放射能の危険性が明らかにされてきた史実を、正しく理解して
 もらう必要がある。
  だかモの曲に、知性ある賢明なる読者は、福島県の見識ある私の友人・知人たちが鬼のよ
 うにおそれ、日本政府と連携して活動するIAEAとICRPが、そもそも一体何者である
 かをど存知だろうか?
  実は、このストーリーの正体がすべて、歴史の中に、この危険物を "安全”
だと叫び続け
 てきた、そして今も”安全”だと叫んでいる悪魔が潜んでいるのである・・・・・・

  多くの人が、この問題を、医学だけで議論Lようとしているが、それでは、本当の答が得
 
られない。
  最初にはっきり、本書の結論を言えば、[IAEAとICRPは、軍人と軍需産業によっ
 て生み出された原子力産業の一組織であり、彼らの定める”安全””基準値は、医学とは無
 関
係である」のだ。
  つまり、”戦争と原水爆”がこの最大の原因なのである。この「危険な安全基準値」は、
 実に数十年にわたって準備されてきたのである。
  この史実を知って、あなたはどう考えるか。大量の放射能被バク者が生まれても、その実
 害の悲劇が闇に葬られるという道理には、誰でも気づくはずだ。放置すれば、『東京が壊滅
 する日』は間近に追ってくる。だからこそ、本書を最後まで読んでいただく必要がある。


 
  このすぐあとの第1章で述べる大規模な癌発生事件と、ほぽ同じ悲劇が、一見すると平和

 な日本――東京を含む東日本全域で起こりつつある。その被当地帯は、近年数々の報告が出
 されてきた「チェルノブイリ原発事故」のウクライナ・ベーフルーシの放射能汚染地帯では
 な
い!フクシマ原発事故の被害地である東日本とほぼ同じ量の放射能を浴びた「アメリカ西
 部三州の汚染地帯」で起こった出来事だ。しかもその汚染地帯の広さは、ちょうど日本全土
 の広さとほぼ同じであった。その大規模な癌発生は、アメリカでは5年後ぐらいから目に見
 えてきたのだ! だか、その前の4年間に、内臓と神経に、多くの人に体の不調がはじまっ
 ていた。合衆国を揺るがす大問題となったのは、実に20年後であった。したがって、フクシ
 マ事故から4年を過ぎた現在の日本は、体内に時限爆弾をかかえた「癌の淋伏期」にあるの
 である。

  日本全土の大きさと、放射能大被害を受けたアメリカ西部三州の大きさを、同じ縮尺で示
 すと、上の地図のようになる。
  事実を見ることが第一だ。つまり、決して驚いてはいけないが、「現在の東日本全域とほ
 とんど同じ条件に置かれていたアメリカの西部三州で」、以下のような史実があったのであ
 る……


このような「まえがき」ではじまる本著だが、できるだけ丁寧に読み進め参考にしたいと考えて
いる。

                                   この項つづく



【オールソーラシステム: 最新液化水素船技術】

 

川崎重工業は25年頃の実用化を目指して開発を進めている貨物槽容積16万立方メートルの大
型液化水素運搬船について、当初船価を5百億円と想定している。同規模の既存液化天然ガス運
搬船に比べて約2倍の水準。世界初の液化水素運搬船普及には今後、他社への技術ライセンス供
与など陣営づくりによるコストダウンが必須。


川重は豪州の低品質な褐炭をガス化し、水素を抽出。これをマイナス253℃の極低温に冷やし
て液化し、日本に輸送するための液化水素運搬船を開発中。20年にも小規模な供給体制を整え
貨物槽容積2500立方メートルの小型船で実証する。
球形タンクを備え、大量輸送に適した同
16万立方メートル型については、商用開始を想定する30年に6隻、40年に40隻、50年
に80隻が必要になるとみており、川重グループ単独で全量を建造するのは難しい。


球形タンクを備えたモス型と呼ばれる絵絵画天然ガス船は、海外企業からライセンスを受けた川
重や三菱重工業、三井造船が建造することで、海運業界からの大量建造、船価下落の要請に応え
てきた。液化水素運搬船の建造でもこうしたビジネスモデル構築が課題。
一方、千代田化工建設
は常温常圧で水素を貯蔵・輸送できる技術を開発しており、こちらの方式では水素運搬船や貯蔵
タンクなどに既存設備を使えるメリットがあるという(日刊工業新聞 2015.07.27)。
 



川崎にしろ千代田にしろ、爆発・火災の危険性は計り知れないしテロの標的の可能性もあるので
あらゆるリスク事前研究(フィージビリティスタディ)は慎重に見積もる必要は言をもたない。
理想を言えば、現地で発電し、(1)超伝導電線や(2)マイクロ波で送電した方が有利である
が、(1)は敷設コストが、(2)はマイクロ波障害リスクが残る。

さて、水素貯蔵搬送用断熱ライナーには、荷液を含む液化ガスタンク重量に耐え得る高い強度が
要求され、例えば、樹脂シートを高圧力をかけながら高温下で積層した構造のものが用いられる。
このような構造の断熱ライナーは、発泡体からなる防熱材に比べて比重がはるかに大きく熱伝導
率が高いが、液化ガスタンクに貯留される液化ガスが比較的に温度の高いLPG(液化石油ガス
(約-45℃)である場合には特に大きな問題とはならないが、液化ガスが、LEG(液化エチ
レンガス、約-100℃)、LNG(液化天然ガス、約-160℃)、LH2(液化水素、約-2
50℃)などの沸点が非常に低い極低温の液化ガスである場合は、タンク内に少しの熱が侵入す
るだけ多くのボイルオフガスが発生。侵入熱を低減するには、防熱材は、その厚さを厚くするこ
とによで対応可能であるが、断熱ライナーに関しては、防熱材に比べて非常に熱伝導率が高いた
め断熱ライナー厚さを厚くしても侵入熱を大幅には低減できず、支持台部での液化ガスタンクへ
の侵入熱の低減が重要課題となる。

 

尚、マイクロ波電送法としては一旦、マイクロ波中継衛星を介し、日本列島周辺(例えば沖縄県
や長崎県
の沿岸部にマイクロ波受信基地で蓄電、消費地にしケーブル送電する方法と地上中継基
地で送電する方法が考えられる。後者は電波法や航空法の改正などがいる。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

南シナ海波高し。

2015年07月27日 | 時事書評

 

 

 

  私自身は『チャレンジ』という言葉は使っていない。
        報告書の中では『必達目標値』という言葉を使っていた。
               
                           田中久雄
東芝前社長



 
【南シナ海波高し】

防衛省が海上自衛隊とフィリピン海軍の共同訓練を半年ごとに定例化することが25日、分かった。
アフリカ・ソマリア沖の海賊対処活動に派遣された海自護衛艦が帰国する際、比沖で共同訓練を実
施。米海軍を加えた3カ国の訓練への拡大も検討する。南シナ海での岩礁埋め立てや東シナ海での
ガス田開発など高圧的な海洋進出を活発化させる中国を牽制(けんせい)する狙いがある。
海賊対
処を終えて帰国途中の護衛艦「はるさめ」「あまぎり」は5月12日、マニラ西方海域で比海軍の
フリゲート艦1隻と共同訓練を行った。日比共同訓練は初で、昨年4月に日米中や東南アジア各国
などで合意した海上衝突回避規範(CUES)に沿った通信・戦術訓練が目的だった。
この形式を
定例化し、ソマリア沖から帰任する護衛艦を訓練に参加させるという(産経新聞 2015.07.26)。

なし崩しに武力衝突していくリスクが高まる懸念にたいして政府は、どう国民に説明し
「合意形成
」を図っていくのだか? フィリピンとの交渉経緯を明確にする必要がある。

  南シナ海問題

 

 

【超高齢社会論 Ⅴ: 下流老人とはなにか】

 秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に 象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたら
す格差
拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本
書でいう下
流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」で
ある。そして今、
日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパ
クトは計り知れないと
指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺し
た事件――71歳の林崎春
生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載
(極東極楽 2015.07.02 )。
『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護
基準は、144,430円(生活
扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円 【特別基準に
おける家賃上限】)である。資産の状
況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事
実だとすれば、年金支給額だけでは暮らし
が成り立たないことが明白だといえる。要するに、生
活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされ
て、足りない生活保護費と各種減免が受けられた
可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない
(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。
生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性
の姿が思い浮かぶ」と語っている(YAHOO
!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防
止策は 「貧困対策」ではないか!?」
2015.07.02)を受け、『下流老人』の感想を
掲載していく。   

  目 次   

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに


  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン 

  弟2章では下流に陥った高齢者の現状を、具体的に紹介した。しかしなお、「老後の計画を
 していない一部の人が下流老人になるのでしょう]

 「やっぱりどこかお金にだらしないんじやないのI
 「わたしは貯金しているから大丈夫だろう」といった声が聞こえてきそうである。
  たしかに、実際に危機に直面しないと、想像は難しいかもしれない。
  しかし、下流老人はまぎれもなく”わたしたち”の問題である。
  わたしたちのもとに相談に来る人々は、特別変わっている人ではない,多くは元サラリーマ
 ンなど一般的な労働者だ。なかには会社の役員や公務員もいる。職業に関係
なく下流化してい
 るところに問題の深刻さがあると言ってもいいだろう。無計画で放
蕩な暮らしをしていた人々
 ばかりが下流老人になっているわけでは、決してない。


                「普通」から「下流」へ陥るいくつものパターン


  これまで見てきた下流老人の事例を振り返ると、それぞれのレベルで可能な限りの
自助努力
 をしてきていることに気づく。その生活は慎ましくさえある。それにもかか
わらず、下流化は
 止められないのだ。

  そこでここからは、下流老人に陥る代表的なパターンを実例とともに紹介したい。
  まず前半の【現状編】では、わたしたちが年間約300人のさまざまな生活困窮者を見てき
 たなかで、下流老人に転落する流れとその構造を類型化したものを示す。端
的に言えば、下流
 老人に至るにはいくつかのパターンがあるのだ。 

  そして、後半の【近い未来編】では、近年増加している若者の貧困などにも絡めて問題を見
 ていく。すでにある下流化パターンではなく、むしろこれから増えるであろう”予想されうる
 パターン”だ。その意味で、現在、働く世代の方には、こちらのほうが「自分事」になりうる
 だろう。
  これらを見れば「普通の人」が、いかにたやすく「下流」に陥ってしまうか、理解していた
 だけると思う。



 【現状編】

 《バターン1 病気や事故による高額な医療費の支払い》

  一つ目は、病気や介護、あるいは交通事故などで、高額な医療費や介護費、療養費が必要に
 なるパターンだ,これは、第2章のケースでも多かったので想像しやすいかと思う。
 「平成26年版高齢社会白書」によれば、65歳以上の高齢者の健康状態について見ると、平成22
 (2010)年における有訴者率(1000人当たりの「ここ数日、病気やけが等で自覚症状
 のある者《入院者を除く》」の数)は471・1と、半数近くの人が何らかの自覚症状を訴え
 ているとされる。

  当たり前だが、高齢期は想像以上に病気に冒されやすい。定年後に、いきなりがんなどの予
 期せぬ病気が見つかることも多々ある。計算外の高額な入院費用や医療費介護費の負担がのし
 かかれば、生活はあっという問に破綻してしまう。
  たとえば退職金が800万~1000万円ある人が、数回にわたるがんの手術で、老後の資
 金をすべて失ったケースもある。高額療養費助成制度もあるが、入院中の差額ベッド代や保険
 外の治療などもあり、医療費負担が重くなるのだ。また、がんの治療で長期間の療養生活を必
 要とするケースも多い。

  パターンは、とくに65~75歳までの前期高齢者に多く当てはまる,昔に比べ、今の高齢者は
 非常に精力的な人が多い。年金の受給年齢の引き上げなどもあり、本人も「老後もバリバリ働
 こう」と思っている。下流老人になった人の多くも同じように考えていた。「年金+就労収入」
  で暮らしていけるという生活設計があったのだ。
  しかし、それは「健康であること」を前提にして成り立つものである。自分が生涯を通じて
 健康でいられるかどうかは、誰にもわからない。それがただの願望であることをわたしたちは
 自覚しなければならない,



                         人生における「高齢期」の長期化

  生活設計をきちんと組み立てていても、病気になったときにはもう遅い。
 1年、2年と療養生活が続けば、それだけ生活費以外のさまざまな出費が増えるし、時間も制
 約され、負担が大きくなってくる,若いときより回復も遅く、思うように状況が改善しないこ
 とは一般的にあることだ。
  また事故の場合は、自分が被害者になる以外に、加害者になってしまうケースも存在する。
 とくに高齢者のドライバーで多いのが、自動車のアクセルとプレーキを踏み間違えて、大きな
 事故を起こすケースだ。自動車や建物の破損だけならまだしも、人身事故を起こし、多額の損
 害賠償を請求されるケースも珍しくない。

  このように予期せぬ病気や介護、事故によって、高額な医療・介護費が突如として発生して
 下流化するケースは、かなり多い。
  ただ、突発的な病気や事故は、今に限らず昔からあったことでもある,それでも「昔は大丈
 夫」だったのは、家族や地域社会など、さまざまなセーフティネットが機能し高齢者を捕捉し
 ていたからだ。
 
  現代は核家族化が進行し、経済的困窮によって子どもを頼れないケースが増えている。物理
 面、精神面、経済面と、さまざまな側面から「孤立化]しているのが、現在の高齢者の実態な
 のである。
  またこの問題は、いまだかつてない「長寿化社会]に突入したことも無関係ではない。長寿
 化社会とは、言い方をかえれば「人生における高齢期の割合がものすごく長くなった」という
 ことだ。
  今は90歳まで生きることも珍しくなくなった。100歳を超える人だっている。25年、35年
 と高齢期を過ごしていれば、生活設計をきっちり立てていてもどこかで病気になるし、事故に
 も遭うし、認知症になってそもそもプラン自体を忘れてしまう人もいるだろう,
  高齢期の割合が増えたということは、それだけリスクにさらされる危険度が高くなったとも
 言えるし、また、健康を維持するために莫大なコストが必要になったとも言えるのだ。

 〈パターン2 高齢者介護施政に入居できない〉

  2つ目は、高齢者介護施設に入りたくても入れないという問題だ。
  家族や親族を頼れない高齢者にとって介護施設、いわゆる「老人ホーム」は、最後の拠り所
 になるべき場所と言える。ところが制度的、経済的な理由から、要介護度高く、明らかに自立
 生活が困難と思える高齢者であっても、入居できないケースが増えつつある。
  そもそも、一口に老人ホームといっても、いくつかの種類に分けられる。
  最も一般的なものが「特別養護老人ホーム」だ。社会福祉法人などが運営している施設で、
 要介護高齢者が入所し、日常生活を介護職員のケアを受けながら暮らすことができる場所であ
 る。基本的に60歳以上で介護が必要な高齢者なら、誰でも利用可能だ。40歳以上になれば、原
 則、すべての人々が介護保険料を支払うため、介護保険制度で利用できる施設でもある。

  ただし、入所までに3~5年侍ちということはザラで、施設によっては10~15年待ちという
 ケースも珍しくない,2015年3月に発表された厚生労働省の資料では、特別養護老人ホー
 ムヘ入所中し込みしている人々は全国で約54万人おり、そのうち在宅で暮らしている要介護高
 齢者は約26万人もいる。家族の介護に頼らなければ生活ができない高齢者の姿が浮かび上が
 るとともに、施設の数が圧倒的に不足している状況が見てとれる。

  また、低所得であったり、身寄りがなくて保護が必要な高齢者が入所できる「養護老人ホー
 ム」もある。養護老人ホームは、原則として、介護を必要とせず、身の回りのことが自分自身
 でできる高齢者を対象としている。この施設は他の施設と違い、介護保険制度で利用できるも
 のではない,「措置制度」といい、保護が必要な高齢者がいた場合、福祉事務所の判断で利用
 させることができる。そのため、施設利用の際には養護老人ホームではなく、役所の高齢介護
 を担当する福祉事務所に問い合わせる必要がある。

  問題は入所希望者に対して、こちらも床数が圧倒的に不足しているということだ。
  貧困に苦しむ高齢者は増え続けているが、養護老人ホームもその受け皿としては十分に整備
 されていない。



                               すさまじい老後格差

  そのため自立生活が困難になってから入ろうと思っても、受け入れてくれる施設がないとい
 う状況も十分にあり得る。またこれらの施設は、2人部屋、3人部屋などの相部屋が基本で、
 食事や就寝時間なども一律に決まっているため、自宅と同じように自由気ままな生活というわ
 けにもいかない。
  そこで普通の暮らし、自宅に近いかたちで支援を受けながら老後を過ごしたいのであれば、
 民間の会社が運営する「有料老人ホーム」を検討する必要がある。しかし、十分に設備の整っ
 た有料老人ホームは、利用料が非常に高額な場合が多く、入居金だけで500万~1000万
 円を預ける必要がある。そのほか、入居金とは別に1か月あたり20万~30万円の「利用料」が
 かかる施設もある。

  このパターン2で最も深刻になるのが、「意識ははっきりしているものの、身体的あるいは
 経済的な問題により自立生活が困難な高齢者」である。
  養護老人ホームは、空きがなくて入れない。一方で、ホテル並みに施設が充実した有料老人
 ホームは、高額でとても手が出ない。しかし障害や持病などで、一人で暮らしていけない。そ
 んな高齢者が最終的に流れ着くのが、無届けの有料老人ホームなど、グレーゾーンで利益をむ
 さぼる介護施設だ。

  そのような施設では、ブロの介護福祉士によるサービスが受けられなかったり、必要なのに
 病院を受診させてもらえなかったりするばかりか、そもそも介護を行ううえで最低限必要な設
 備や人員が整っていなかったりする。そのため「寝かせきりアパートーや「寝かせきりホーム」
 と呼ばれることもある。
  このような施設が横行する背景には、「老後格差の拡大」が影響している。
  終身雇用、年功序列が崩壊しつつある今、この格差は今後ますます開いていくだろ。

                金がなければまともな介護も受けられない

   さらに深刻なのは、現役時代の収入によって格差が否応なく"固定"されてしまうことだ。高
 齢明に収入が増えることはほぼあり得ないし、そもそも、そんなに十分な
お金がある人たちば
 かりではない。にもかかわらず、有料老人ホームが明らかに「富
裕層向けの施設」に偏ってい
 る現状は、極めて問題である。

  会社員時代の年収が1000万円以上ある人など、数%しかいない。そんな人しか入れない、
 普通の年金水準では手も足も出ない施設が増えているのは、社会福祉の理
念に照らしてみれば、
 明らかに異常事態と言える,


  一方で、これらの有料老人ホームが批判されるどころか、年々需要が高まりつつあ
るのはな
 ぜか。

  それは、介護保険制度の機能不全の問題が極めて大きい。現在の状況は、公と民が複雑に絡
 み合うことで、資本主義の原理が歪んだ形で発露した結果とも言える。

  本来は、生存に最低限必要な介護は、公的機関が責任を持って提供してきた分野だった。そ
 れが2000年以降、介護保険制度が導入され、措置から契約へ変わり、自
由に介護事業者を
 高齢者が選べるメリットばかりが強調されたことで、民同企業や営
利業者も介護事業を行うよ
 うになった。「介護の社会化」という掛け声とともに、多く
の事業者が介護を収益の対象とし
 て見るようになったとも言える。


  民間企業も社会福祉法人も、同じ敷地があるとしたら、明らかに儲かる有料老人ホ
ームを運
 営したがるのは当然だろう,有料老人ホームは、一部屋あたりの単価が養護
老人ホームや他の
 介護施設に比べて、べらぼうに高い。同じ敷地(床数)でも、片方
が年間1000万円、もう
 片方が年間1億円の収益になるのであれば、より多く稼げ
る施設を選ぶのは巾場原理だ。
  一方で、特別養護老人ホームや養護老人ホームなどは、公的な性質が強く、施設に入る報酬
 が厳密に決められており、大きな利益は見込めない。そもそも介護保険の財
源不足で、運営費
 や職員の給与基準が低いという問題もある。だから公的な養護老人
ホームは誰も運営したがら
 ないし、そのせいで床数が足りず、需要に応えられない事
態が発生している,有料老人ホーム
 の高額化と特別養護老人ホーム、養護老人ホーム
の不足などの問題は、別々ではなく、同じ高
 齢者の貧困や不平等の問題として、リン
クして考えなければならない。

  要するに「老後は介護が必要になったら老人ホームに入居して余生を過ごす」とい
う考えが、
 もはや楽観的に思えてしまうほど状況は深刻化している。安全とはいえな
い.人暮らしの自宅
 で、十分ではない介護を受けながら、余生を過ごさざるを得ない
高齢者が今でも大勢いること
 が、それを証明しているだろう。

                                    この項つづく

  ● 今夜の一冊 『昭和を語る』

鶴見俊輔氏が他界した、享年93。べ平錬運動ではじめて知り、熱心な読者ではなかったが『思想
の科学』を随時読んでいた。直接会ったのは、大阪城公園の「反万博集会」で、その時の模様を写
真に収めて残っている(はず)。わたしの青春時代を育んだ懐かしいひとこまだ。

1922年東京生まれ。哲学者。祖父に後藤新平、父は鶴見祐輔というリベラル派政治家の家庭に
育つ。十五歳で渡米、ハーヴァード大学でプラグマティズムを学ぶ。アナキスト容疑で逮捕された
が、留置場で論文を書きあげ卒業。交換船で帰国、海軍バタビア在勤武官府に軍属として勤務。戦
後、渡辺慧、都留重人、丸山眞男、武谷三男、武田清子、鶴見和子と『思想の科学』を創刊。アメ
リカ哲学の紹介や大衆文化研究などのサークル活動を行う。京都大学、東京工業大学、同志社大学
で教鞭をとる。60年安保改定に反対、市民グループ「声なき声の会」をつくる。65年、ベ平連
に参加。アメリカの脱走兵を支援する運動に加わる。70年、警官隊導入に反対して同志社大学教
授を辞任。


                                         合掌 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

仮想電力網工学

2015年07月26日 | デジタル革命渦論

 

 

  そんなこと言ったってねぇ、わたしは寝ていないんだよ。
               
                   
石川哲朗社長/雪印食中毒事件

 

  

● 日中食品汚染 16 中国の食品汚染地図  

【目次】 

   第1章 見えない食品の恐怖
 第2章 中国の食品汚染
 第3章 食品汚染のヒトへの影響
 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
 第5章 重金属汚染という新たな難題
 第6章 日本の食品は安全といえるか 
 

 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか

                       ”健土康食”を実現できるか
 
  食品汚染は構造的な問題であるがゆえに、なくすことは容易ではない。
特に中国ではそうで
 ある。農業・農民・農村それぞれが解決しえない問題
に直面している。この「三農問題」は、
 深刻化しこそすれ好転する糸口さ
え見えていない,低収益、過疎化、高齢化、所得格差拡大、
 都市化による
農地収用、農業投資の低迷、農地の疲弊。本来の農林畜水産物を取り戻すために
 は、これらが改善されることが必要だ。


  中国の農村へ行くと、揮毫を頼まれることがある。そのときわたしが書
くことばが「健土康
 食」だ。
健やかな土壌にこそ丈夫な食品がある、というつもりで自分でつくったことばだ,土
 壌がしっかりしていれば、化学肥料も農薬も最小限で済み
本来の農産物ができる。しかし、中
 国の土壌の大部分は死に瀕しているの
で、まずは上づくりからやりなおすべきだ。
  土をいたわる気持ちの減少は、「悪土病食]しか生まない。
  上づくりとは牛糞、鶏糞などからつくった堆肥を土に混ぜ、そこに空気と水分が宿りやすく
 することだ,中国の土はもともとアルカリが強すぎて
農産物が育ちにくい傾向がある。だから
 こそ恒常的に土づくりを欠かさ
ないことが農業生産のための必要条件なのだ。

  中国の大地にをつと、牛、鶏、豚、羊などの糞の匂いがしてくることが
よくある,わたしは
 新潟県の純農民の家系に生まれ、農村調査40年以上の
経歴がある。日本の農村はもちろん、
 中国 のさまざまな地域、アメリカ、
欧州、アジアの農村で嗅覚を磨いてきた。糞の匂いがど
 の家畜のものか、
間単に嗅ぎ分けることができる。

  あるとき、畑で野菜の出来具合や土壌を見回しながら、同行してくれた
中国の農業専門家に
 「あっちの方角に牛舎があるはずだ」といったら、
「そんなことがH本の学者にわかるのか」
 と返された。「わたしには見えず
とも、牛や豚がいる場所がどこかわかるのだ。日本の農業専
 門家を過小評
価するものではないよ」とやり返したことがある,
                      
  わたしが子供の頃、村びとはまだ牛や馬を耕耘や牽引に使っていた。牛分は「ベチャ」とい
 う音とともに地面に落ちるが、丸い馬糞は「ポトッ」
と落ちる。馬糞はきれいに消化されてい
 るのであまり匂いはしない。稲わ
らにまぜて堆肥にしないことはないが、牛糞にかなわない。
 牛糞の堆肥転
化率は自然に湯気を上げて熟成していく。牛糞に比べたら豚の糞尿の匂いはきつ
 く、都会育ちの学者は豚舎に入ることさえいやがる。なぜなら、匂
いが着ている服装に沈着し
 て洗うまで落ちないほどだからだ。

  しかし、匂いの強さにかけては鶏糞にかなうものはなかろう。鶏糞は尿と一緒に出てくるの
 で柔らかく、鶏舎のケージの下は一面泥を塗ったよう
になる。鶏糞は堆肥にすることはほとん
 どなく、今ではそれ自体を発酵さ
せる。そして、肥料としてよく効く。鶏、豚、牛の糞は発酵
 させると80℃
くらいの熱を出しながら熟していく。3ヵ月ほど寝かすと極上有機肥料の出来
 上がりだ。こうして作った肥料は匂いも味もしなくなる。わたしは何
度も、それを嗅いでなめ
 たことがある。


  中国に必要な肥料は、これらの完全に熟した有機肥料だ。人の糞尿は糞
と尿を分けて回収し、
 尿だけを畑の畝にかけると肥効がいい。間違っても
菓や茎にかけてはいけない。
  人の糞尿は、ご存じのとおり鶏糞にも劣らないほどの匂いで、とくに固形物の方は胃腸内で
 の消化率が低いまま排泄されるからだ,これをそのま
ま畑にまいたらどうなるか? 人糞を発
 酵させるには高度の技術がいる
が、農民は経験的にその方法を知っている。だが、中国の農民
 はあまり発
酵しないうちに畑にまくことが多いので、問題となることは既述した,
  実際の中国農業は、耕種農業と畜産経営が分離されてきたので、化学肥料依存、人糞肥料依
 存、その結果としての農薬依存農法が広がる結果とな
った.

  図4は中国で農業に適合する土地(斜線部分)を示したものだ。このように、農業に適する
 地域はそれほど広くない,比較的適しているところは
東北地方の黒屯江省、古林省、遼寧省、
 山東省、河北省、内モンゴル自治
区、江蘇省、河南省、安徽省、江西省、湖南省、四川省、貴
 州省、広東
省、新疆ウイグル自治区の各々一部などである。そもそも農業に向いていない土壌
 が多い中国で農産物を作るには、堆肥を基礎とする土壌作りが必
要で、それをたゆまずに実践
 してこそ、健土康食が実現されるはずであ
る。

 

                                                                                        農薬の知識が乏しい

  農薬は人がコントロールしてはじめて、有効で安全な使い方ができる。
しかし中国の農民に
 は農薬の危険性への自覚が不足している。ほとんどの
劇薬農薬は甑や袋を開けてそのまま散布
 するものはなく、何倍かの水に薄
めて噴霧器で使うものだし、粒状の場合は面積当たりの散布
 量が厳格に決
められている。

  農民は販売店で何倍の水に薄めるかを示す希釈率や使い方を教えてもらうこともできるが、
 同じ日にたくさんの種類の農薬を使うことがあるた
め、混乱しやすい。収獲物は農薬を散布し
 てから数日たたないと出荷して
はならない決まりがあるが、守る農民も皆無だ。
  第一.なで述べたように中国では化学肥料だけではなく、「農家肥」という有機肥料、つま
 り人糞を土に混ぜたもの、家畜の糞尿肥料などが今でも
使われている。しかし、中には生に近
 い農家肥もあって、土壌中の線虫や
雑菌の繁殖を促すものもある。そうなると土壌は臭い、そ
 れが農産物にも
影響を与えるので今度は農薬をまく。しかも中国では薬剤耐性が進んでいるの
 で許可農薬ではなく効き方の強い禁止農薬を使う。それが、残留農薬
の危険性を高める一因と
 なっている。

                                     農薬の種類

  食品汚染の最大の元凶は、許可農薬のみでなく禁止農薬のまきすぎによる食品残留農薬であ
 る。
日本でも片は、今では禁止となったDDTやBHCといった発ガン性が認められる農薬を
 農家はマスクもせず素手で散布したものだ。

  DDTやBHCなどの禁止農薬(日本では1969年水田散布散布禁止、1971年世界に
 さきがけて販売禁止になった)の代わりに使われるように
なったのが有機リン系殺虫剤だが、
 これも高い危険性が指摘されている。


  農薬はそのほとんどが化学物質からできているが、その化学物質を有効成
分という。農薬製
 造・販売は国の許可制になっていて、勝手に何でも使っ
ていいというものではない。つまり、
 お上は農薬の成分を規制し、許可し
た化学物質以外使えないということにしているが、その数
 は日本の場合5
00哺と多い。農薬には3通りの数え方がある。農薬に含まれる有効成分(化
 学物質)を単位にするものと、銘柄の数、種類である。銘柄はいろい
ろな有効成分を組み合わ
 せて作るため膨大な数になる。ほぼ毎年のように
新しいものが加わり、薬剤耐性による効き目
 の低下、環境への配慮などの
理由から消えていくものもある,

  中国でも農薬の用途別種類を、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、成長促進剤と大きく分類している
 が、種類ごとの消費量は公表されていない。公表され
ている許可農薬使用鼠の推移を示したの
 が表7だ。したがって、この図に
は禁止農薬の消費量は含まれていない。国が定めている残留
 農薬検査基準
に記載されている禁止農薬の残留基準値や各地の販売事例などから推測すると、
 この図が示す数値のほぼ30%増が年間の農薬消費量ではないかと思う。

  このデータをたどっていくと、2002年から2011年までの10年間に、中国の農薬消費
 量は50万トン増えて179万トンになっている,10年間で約1・4倍に増えたことになる。し
 かも毎年のように増え続け、今後もさらに増える見通しだ。総量も問題だが、実は耕地1ヘク
 タール当たりの消費鼠も、2002年には85キログラムだったのが、2011年には110キ
 ログラムに増えている,

  中国でも有機農業が叫ばれる中、このような増え方は異常で、日本などとは比較にならない
 数字なのだ。日本の2012年の1ヘクタール当たり農薬消費吼は約43キログラム(農薬工業
 会や農水省のデータから計算)なので、2・5倍以上もの農薬をまいていることになる。欧米
 に比べるとさらに数倍多いほなのだ。

                               化学肥料も増えている

  同じく表7から見た化学肥料の消費砥も、農薬ほどではないが増え方は小さくない。200
 2年は化学肥料全体(1粒に3要素が混合した合成肥料1袋に粒状3要素が梱包された複合肥
 料含む)で4339万トン、2011年は5704万トンで、31%の増加だった。うち窒素肥
 料は同じ期間に2157万トンから2381万トンヘ、燐酸肥料は712万トンから819万
 トンヘ、カリ肥料は422万トンから605万トンヘ、それぞれ10・4%、15・O%、4
 3・4%増えている。


  中でもこの10年間で、とくに大きな増え方をしたのがカリ肥料だ,塩化カリウムを成分とす
 るこの肥料は、収穫を増やすにはとても効果的で、中
国の野菜、穀物の生産屋が増えたのは、
 品種改良や温暖化の影響で黒竜江
省やむ目林省など北部地方の生産量が増えたためばかりでな
 く、カリ肥料の
使い方を増やしたことが大きな原因で、丹念に土づくりをしたせいではない。
 ちなみに、2013年、中国の穀物生産量は、史上初めて6億トンを
超えたという。

  農薬や化学肥料のまきすぎが水田や畑の土壌構造を破壊することは、専門家の間では周知の
 事実だ。農地の上壌構造が破壊されると、植物が根を
張り、養分を吸い上げる耕土は水分・酸
 素・肥料養分を保持しにくくな
り、各種バクテリアなど土壌内徹生物の生息環境の破壊、地中
 内ガス等の
排出機構破壊といった植物の生育環境の悪化をもたらす。
  化学肥料の多い土壌での栽培は、人間がサプリメントや健康補助剤だけでは健康を損なうこ
 とと同じで、農作物一般にとっても好ましくない環境
だ,また農薬のまきすぎが農産物の自然
 成長力を弱め、残留農薬問題を引
き起こす原因であることはいうまでもない,

                          基準は守られているか

  中国にはあらゆるものに国家が定めたGB規格という基準値がある。当
然のことながら農薬
 にも、「食品安全国家基準、食品中農薬最大残留限度
賦」(最新版は2012年H月、GB2
 763-2012)という規格が
ある。ここには、現を許可されている農薬銘柄約3万のうち、
 禁止農薬の
アルドリン、DDT、エンドリン、BHCなどH種類の農薬を含め、全部で307
 随順(3万の銘柄数や600の有効成分数ではないので注意)の
農薬が掲載されている。
  なぜ、使用禁止になった農薬までGB規格に含まれているかというと、過去にまいていた禁
 止農薬が今なお土壌や地下水に残留し、通常の農薬と
同じように農産物に作用し、残留するか
 らだ。

  通常の許可農薬、たとえば殺虫剤に使われている倍硫リンの場合、コメ1キログラム当たり
 0・05ミリグラムが「最大残留限度量」として表示
されているが、1983年に使用禁止な
 ったDDTの場合は、「再残留
限度ほ」として0・1ミリグラムと定められている。しかし、
 再残留限度
蹴は他の許可農薬に比べても決して低くはない。DDTが禁止されてすでに30年近
 く経っているが、それだけ土壌や地下水残留期間の長さを示すも
のといってよい,DDTに限
 らずBHCやアルドリン(殺虫剤、中国名蓬
氏剤)なども同じ「再残留限度量]扱いとなって
 いる。

  こうやって国が最大残留限度ほや再残留限度量を定めていても、問題は、これら禁止農薬が
 現在もまかれ、自然に負荷を与え続けていること
だ。今も使われているということは、少なく
 とも今後30年以上、残留限度
規制や監督をし続けなければならない。裏を返せば、それだ
  け消費者の身
体への負担が消えないことでもある。国内で食べる人はもちろん、そのコメを輸
 入して食べる国の消費者も同様だ。

 ※ 原発廃炉と同じ程度?

                                農薬は世界をめぐる

  最後に指摘したいのは、DDTの残留農薬限度基準が中国と日本で異な
る点だ。コメの場合
 中国ではO・05ミリグラムだが、日本はO・2ミ
リグラムだ。危険性に関する日中両国の認
 識に4倍のひらきがあることを
意味している。守れるかどうかはともかく、中国の管理基準は
 日本よりも
厳しい,
  中国には600以上の農薬(有効成分)があることになっている。しかし、この数は中国に
 流通している食品に残留している可能性のあるすべて
の随順ではない点が重要だ。

  日本の農業工業会によると、世界には約700種類の農薬があるから、中国には600種類
 ではなく、最大で700種類の残留農薬が入った食品
がある可能性がある。いまや中国も食品
 の輸入大国となり、あらゆる国か
ら食品を輸入している可能性があるからだ。もちろん日本も
 そのうちのひ
とつだ。

  さらに付け加えると、中国の国家知識産権局によれば、中国が開発して
その特許権登録をし
 た農薬はすでに975種類に達している。この中から
仮に闇に流通しているものがあるとすれ
 ば、残留農薬検査から外れている
恐れもある。遺伝子組換え農産物が違法に商業化されている
  現状をみれ
ば、かならずしも非現実的なこととはいえない,
  ということは、財界中の農薬が付いてくる可能性があるということだから、中国では600
 種類ではなく700種類の残留農薬検査をしなけれ
ば、本当の安全は保障できないのではない
 か。その検査をすり抜けた食品
は、今度は日本に入ってくる可能性がある。100種類(70
 0種類マイ
ナス600種類)の新しい種類の農薬が中国で加わって、700随順となった農薬
 が日本に入ってくる可能性を意味している。食品のグローバル化
と「食品モジュール化」の急
 速な進展によって、国境は農薬を遮断する役
目を緊たさなくなっているのが現実だ。

 

ここで、著者が信奉する?"健土康食”に理があるものの、農業の高度化進展している日本では 水
耕栽培のように脱土壌化が進み  場生産のようの「1→N」生産方式(この時の"1" は栽培対象
の種子・苗が年間当たりの栽培数、あるいは収穫数)に移りつつある。勿論、新しい品質の作物の
開発にあたっては自然農法の環境条件を再現する必要はある。したがって、ティースプーン1杯の
土壌含まれる●億個レベルもの微生物もその解析対象になる。その気の遠くなる開発を『オール人
工型植物育種システム』で効率的に解析し、人工栽培生産の量産化プランを提案できるようになる
と考えているから、いささか古風で農本主義遺制のにおいを感じる。そうであれば、この問題も半
世紀後には、この手の汚染問題は中国でも聞かれなくなっているだろう。ともあれ、中国産の農産
物とその加工品の輸入については要細心である。


                                     この項つづく



【仮想電力網工学: i-パワードエネルギー・システム 】

一般需要者への電源インフラが充分に整っていない新興国等の国々や地域等を対象に、リチウムイ
オン電池やニッケル水素電池等の2次電池の電池モジュールを用い、太陽光発電等の再生可能エネ
ルギを利用して電源インフラを構築する電力供給システムが考えられている。このような様々な場
で充放電可能な電池モジュールを使用して電力供給や課金を行う場合、電池モジュールの使用履
歴情報――
電池モジュールの充放電状態、残存寿命、所在、使用環境等を推定し、最適充放電制御、
寿命管理、回収、リサイクル、故障原因推定等を行うために――が必要
となる。特に、リチウムイ
オン電池のような高電力密度の2次電池では、充放電制御が電
池の性能を引き出し、寿命延長や安
全確保や、資源確保や安全に回収やリサイクルに
、さらに、電力の提供や使用料の課金などに電力
量を充放
電したのかを把握する必要がある(上/下図参照)。
そこで、電気通信大学が九州大学やNECなど民間企業と協力し、地球規模でエネルギー問題の解
決を目指す研究プロジェクトに乗り出すことを公表(日刊工業新聞 2015.07.24)。送配電網が不要
な仮想電力網(バーチャルグリッド)システムを構築し、IoT(ものイン多ネット)技術を使い、
蓄電池をネットワークで制御。市川晴久電通大教授の主導するプロジェクト(i―パワードエネル
ギー・システム研究センター)を開設し、17年にもバングラデシュで、再生可能エネルギー発電
システムで充電した全ての蓄電池をIoT技術で管理するバーチャルグリッドシステムの実証実験
を行う予定。さらに、18年以降、世界共通のプラットフォームとして確立し、国際標準化し、日
本の産業競争力の向上、およびグローバル人材の育成につなげるとのこと。
 

なお、この実証実験の成果でスムーズに商用化できれば、発展途上国の生産水準向上が飛躍的に加速、
いままでにないような「成長と環境調和モデル」がバングラデシュで実現でする(下図/下ダブルクリック)。

 

 

猛暑は本当に堪える。とうことで、こんな日は三色素麺で涼しくと思ったが、切れてなかったので
普段通りの単色素麺をランチに頂く。今年は猛暑だから茗荷が痩せていると彼女が見せる。なぁ~
んだ、それもかと言いつつ口に運ぶ。やはり涼がも味わえるコールド・ソーメン(ヌードル)は世
界一だね。

それにしても、東芝の粉飾決算は酷いね。三菱、日立の三者は官僚的な社風だったから好感はもて
なかったが、そこにファンドマネージャーの短期利益至上のネオ・リベラリズムだから結果は見え
ている。いろいろ思うところあるが今夜はこの辺で。

                                         

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『世界の終わり』

2015年07月25日 | 現代歌謡

 

 

 

   言い訳は解決への執念を鈍らせる。   /    孫 正義

 

 

 

 

 

 ● DIY日誌: 再シロアリ駆除 

金曜日に床下に、液体殺虫剤散布と木材開孔殺虫剤注入作業敢行。天候、快晴。第2回目の散布作
業を約1時間で完了。散布量は4リットル。散布距離が小さいため、再度3度目の作業は必要と判
断。次回は8月上旬に予定する。ところで、備品、薬剤は「ナフコ」で全て取り揃えられる。便利
になった。

 

 

● アンモニア原料燃料電池の登場

アンモニアは常温・常圧では気体であるが、加圧による液化が容易であり、単位体積当たりの水素
含有量が非常に多い。また肥料の原料として大量に製造されているため、新たな設備投資が不要で
大量に備蓄しても在庫リスクが少ない。固体酸化化合物型燃料電池の発電温度とアンモニア分解反
応温度が近い。これらを組み合わせた高効率なアンモニア利用発電に成功した22日に京都大学ら
の研究グループが発表。(1)アンモニアを直接セルに導入する場合、アノード上でアンモニア分
解反応と電気化学的酸化反応が進行しなければならないが、それに適した電極材料及びセル構成と、
(2)また、外部でアンモニア分解を行い、生成物をセルに供給する場合、発熱反応(燃料電池)
と吸熱反応(アンモニア分解)をうまく組み合わせ、エネルギー損失をなくす必要があり、(3)
アンモニア燃料をリークなく封止する必要がある課題があったがこれを解決し、世界最高レベル(
200Wクラス)の発電に成功したという。
 

 
原理的には、水素ガスと窒素ガスと触媒があればアンモニアは合成でき20℃で液化できるから、
(1)液体窒素か(2)液体水素か(3)併用方式か社会的コストを含めた検討の上で、ここ数年
以内に方針を出す必要があるだろう。



● 白金の原子数で触媒能力が変化する? 原子19個で20倍もの効率アップ!

燃料電池自動車の低コスト化が進んでおり、普及し始めたが、いまだに車両価格の大部分を占める燃料電
池製造コストが大きく、中でもな白金のコストが課題となっている。白金の利用効率を高めるには白金粒子を
より細かくして質量あたりの表面積を向上させることが必要であが、白金粒子の微細化が進み、粒
径が1ナノメートル近づくと急激に白金の電子状態が変化して活性が失われる
。このため、中間を
とった3ナノメートル程度の粒径を持った白金ナノ粒子が燃料電
池触媒として広く使われている。

そこで、22日、東工大の山元教授らの研究グループはデンドリマーと呼ばれる精密樹状高分子を用いた原
子数が規定できる超精密ナノ粒子合成法を開発、今回同合成法を活用し、白金ナノ粒子の原子数を厳密に
12から20原子の範囲でコントロールし、それぞれの酸素還元反応に対する触媒活性を評価したところ、白
金原子一つ加わるごとに触媒活性が不規則に変化するという興味深い結果を発見、対称性の高い幾何構
造を持つことから、これまで最も安定で有用と考えられてきた13原子の白金粒子(Pt13)は、実は最も活性
が低く、それより1原子少ない12原子の粒子(Pt12)はPt13の2.5倍の活性を有することが、さらに、19原
子の白金粒子(Pt19)が最も高い活性を示し、Pt13に対する比活性は4倍にもなった。Pt19の質量あたりの
活性は、現在、広く用いられている粒径3~5ナノメートル(nm)の白金ナノ粒子担持カーボン触媒の20倍
にもなることを突き止めたことを発表(ノーベル賞もの?! それにしても何で19という素数なんだ?)。そう
すると、単純に白金の減価は1/20となる!

※ “Finding the most catalytically active platinum clusters with low-atomicity”、T. Imaoka, H. Kitazawa,
   W.-J. Chun, K. Yamamoto

※  特開2013-159588  アゾメチンデンドリマー金属ナノ微粒子とその触媒





● 海洋性植物が注目 ベーコン味のダルス

海藻は体色によって褐藻、紅藻、緑藻、珪藻に分けられる。これらは特有の色素組成を有すること
に起因し
ている。我が国で食用として利用されている海藻には、褐藻に分類されるコンブやワカメ
などの他、紅藻に
分類されるスサビノリやテングサなど、緑藻に分類されるアオノリなどがあるが、
低利用海藻の一つに紅藻
の一種であるダルス属がある。ダルス属(Palmaria)には、日本ではダルス(Pal-
maria Palmata)とアツバダルス(Palmaria marginicrssa)の2種が知られている。

昆布や藻などの海洋植物を食べることがなかった欧米人がこれを食料としようと注目している。オ
レゴン州
立大学は14日、"ベーコンのような味"がする海藻を発見したと発表。 海藻は古くから
世界中で食用とされてる赤い海藻「ダルス」(紅藻類ダルス目ダルス科)。オレゴン州立大学ではハ
ワイの養殖場にてアワビの商業養殖を進めており、当初アワビの餌として海藻の育成を進めていた
が、栄養価に富むダルス自体の食材利用に注目。
ダルスをはじめとした海藻はヨーロッパでは食用
に供されているが、海藻を食べる習慣のない北米市場に向けて粉末化するなど加工を研究。レシピ
を工夫している際、ダルスを揚げると強いベーコン風味になることを発見したという。同大ではこ
のダルス株の特許を保有しており、ハワイだけでなく米東海岸でも養殖が可能として企業提携を呼
びかけているようだ。ビーガン市場だけではない食品供給の可能性があるとしてレシピの開発、食
品産業へのマーケティングを進めるとしているという。



最近、日本人が食すものに世界中が注目しているようだ。日本の沿岸部では、秋刀魚が韓国や台湾
の乱
獲が不漁となり問題化している。マグロ、渡り蟹、鰻や烏賊なども中国など周辺国との諍いが
問題視されつ
つあが、「衣食足りてなおも曝食」と眉をひそめるような昨今。ここはスマートに「
つくる漁業・育む漁業」のトップリーダーに徹するしかない。
このダルスも陸上部で養殖が可能だ。
大豆と同様にダルスやひじきもパウダーにして、表面を脂質(植物性油)で前処理すれば、ヘルシーな植物
性バーコンやハムが製造できる。問題ない。否、没要問題である。



【現代歌謡: SEKAI NO OWARI  

SEKAI NO OWARIは、2010年にインディーズデビューし、2011年にメジャーデビューした日本の
4人組バン。
バンド名はFukaseが命名したもので、「世界が終わったような生活を送っていた頃に
残されていたのが音楽と今の仲間だったので、終わりから始めてみよう」という想いが込められて
いる。2011年に表記を「世界の終わり」からアルファベット表記に改めた。また、2012年にアルバ
ム『ENTERTAINMENT』の発表以降は、DJ LOVE以外のメンバーも本名を伏せているまか不思議な
バンド。

人はFukaseを通った幼稚園から高校までの友人であり、Saoriのみ1学年後輩である。現在のDJ
LOVE
は2代目だが、初代とは今でも親交がであり、ちなみにDJ LOVE以外の3人はあやまんJAPA
N
のファンタジスタさくらだという(女流書道家の金澤翔子と小学生時代の級友)。メンバーと仲
間のスタッフで、一軒家を借りて共同生活を送っている。
当初は私服姿でライブやPV、アーティス
ト写真の撮影をしていたが、その後それらのパフォーマンスで揃いの衣装を着用するようになった
とか。

2013年からは海外での活動を積極的に行っていき「End Of The World」という名前で世界展開をして
いくことを発表]。この
活動の際、Fukaseは"PEACE"、Nakajinは""、Saoriは"SAORI"と名乗っ
ている。"PEACE"としてのFukaseは、「感情を持ったロボット」というキャラクターを演じていて
顔や手に金属のパーツを装着している。
イベントプロモーター・Live Nationとの提携プロジェクト
第1弾として、2013年1月にフランス カンヌで開催された国際音楽産業見本市『MIDEM』のイベン
ト『Live Nation Night』に参加して、初ライブを敢行。これを機にEnd Of The Worldとしての活
動が始まる。ライブを見ていた、リンキン・パークのマネージャーから高い評価を得た。また同年
5月、テレビ
番組に初出演を果たすが、既に同名のグループが存在していたため、海外でもSEKAI
NO OWARI
の元のバンド名に戻している。


   君に神はいない

   いわゆる無神論者


   神が定めたキリツなど、君にとっちゃ関係もないはず


   そのはずなのにとういうわけか


   いつしか君は信じてる、とある思想を君は信じてる


   ダレに敦えられたかは知らないが君は絶対的に信じてる


   「命に価値かおる」と信じてる


   「人を殺してはいけない」と思ってる


   なんて?


   「なんでってそりゃあ」


   君は何を信じてる?


   クエスチョン


   クエスチョン ・・・・・・


                                     ”Death Disco”   

                                               歌 SEKAI NO OWARI
                       作詞 Fukase/作曲 Nakajin/Fukase

 



   You know I don't giveadamnaboutwhat's″right″
   Or  pleasing everyonearound me
        Cause I know this world that brought us life
        Wasn't made to keep everyone happy
        The Fules and laws that countFies come up with
        In frontofme,they're all shit
        Cause there are people that I've gotta protect
        And if you get in my way,you're dead

        You see I'm tired of trying to justify
        Every decision that I make
        If it's to save the people that I stand by
        You better believe what I say

        ″Stay in the lines, don't make a scene″
        Heroes try to tell us what's right
        But when push comes to shove, you'|ll know what I mean
        I’m ready to start a fight
 
        I’m gonna be the anti-hero
   Feared and hated by everybody
        I’m gonna be the anti-hero
   So I can save you when the time comes
        I’m gonna be the anti-hero
   Feared and hated by everybody
   I'm gonna be the anti-hero
        Yeah


   僕は正義なんかなる気はないな
   人の期待にも笞える気はないな
   みんながハッピーな世の中など
   出来るようには出来ていないから

   国が決めた法律など
   僕の前じゃ、ゴミ屑みてぇなもんさ
   僕には守らなきやいけない奴がいる
   邪魔する奴は容赦しない

   僕か決めたことをすべて正当化するのはもう飽きた
   そばにいる人を救うためなら
   なんでもするって、わかった方がいいぞ

   「ちゃんと列に並ぶ」「目立つことをしない」
   ヒーローたちは何が正しいのか言ってくるけど
   いざとなれば、僕の決意がわかるはず
   いつだって戦う準備ができてる

   僕は悪でいたいのさ
   みんなに嫌われ恐怖されていたいのさ
   僕は悪でいたいのさ
   きみを守るとき手段なんか選びたくないから
   僕は悪でいたいのさ
   みんなに嫌われ恐怖されていたいのさ
   僕は悪でいたいのさ


                                          ”ANTI-HERO”

                                 作詞/作曲  Fukase & Nakajin

この二曲だけだが、特に歌詞に際だったものはないし、青年特有の時代に対するリベラルの内在律
も虚無感も変わっていないが、時代の大転換機を無意識でいて正確に表現されている様に思える。  
                                         


● 待ちに待ったアオノリュウゼッランが開花


福井県坂井市丸岡町上安田の川端憲一郎さん宅の、数十年に1度だけ開花し、その後枯れてしまう
リュウゼツランの花が咲いたことが話題に。30年近く育ててきた川端さんは「花と一緒に
生涯が終わる
と思うと、さびしくなるな」と話しながら
珍しい花を見上げる様子が写真アップされている。昨年
ら、中央の茎がみるみる成長、今年に入ると約2・5メートルまで伸びた。6月からつぼみが膨
らみ、7月中
旬には触角のような黄色い花が姿を見せ始め、花が咲いたことで、周囲には芳香剤の
ような独特なにおい
が漂い、葉の緑色は薄くなり、下部から徐々に枯れ始める。川端さんは「何十
年もかけて色鮮やかな花が
咲くのかと思えば、思っていたより地味だった」と苦笑い。めったに見
られない花が咲いたとあって「家族に
いいことがあればいいな」と語る。

ところで、リュウゼッランは南アフリカの金貨(10セント)に花柄が刻印されている。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

飛翔するマツコロイド

2015年07月24日 | デジタル革命渦論

 

 

 

   どこから来たの? 遠くから悪いわね。   /    マツコロイド

 




【進撃のヘーリオスⅢ: 「太陽光+蓄電池」北米市場が急成長】

そういう手もあったのかというのが感想。つまり、原理的には半永久的に、無人飛行体が強靭
太陽光発電関連で北米最大規模の総合イベント「Intersolar North America(北米インターソーラ
ー)」(15年7月13~16日)が米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された。カリフォ
ルニア州は、20年までに再生可能エネルギーによる電力販売比率を33%、ハワイ州は45年ま
で再エネ百%の目標を掲げており、さらなる太陽光発電を含む再エネ導入を拡大に、蓄電池に
解決策を見つけた。カリフォルニア州は民間電力会社3社に、20年までに合計1,325メガワット
のエネルギー貯蔵用蓄電池の設置を義務付ける。州政府が電力会社に対して、蓄電池の設置を
義務付ける法律制定のは米国初である。

米国は、「ネットメータリング(net-metering)」と呼ばれる制度が、今まで分散型太陽光発電
システムの成長を支えてきたが、各州の電力会社がその制度を変更、または廃止しようとして
いる。ネットメータリングは、住宅用などの分散型太陽光発電システムの発電量から、住宅な
どの電力消費量を差し引いて、余剰電力量を次の月に繰り越す制度で、各州により制度細部が
異なるものの、基本的には1キロワットアワーの発電量に対し1キロワットアワーの消費量を
相殺。つまり発電量が消費量を上回った場合には、電力消費者の電力購入単価と同じ価格で、
電力会社が買い取る、日本の余剰買い取り制度に似たもの。



しかし、太陽光発電の普及拡大に伴い、電力会社は買取価格を小売価格以下、または卸売価格
と同等に下げようとし、太陽光発電システムの系統連系接続の手続きが必要以上に長くかかる
電力会社も出てくるなど、太陽光発電の普及を脅かす。買取制度が廃止された場合、余剰電力
をただで電力会社に渡すことになる。この対抗として、今まで高くて手を出せなかった蓄電池
への関心が盛り上がっている。いまでは蓄電池価格低下で、手頃になり――Tesla社の10キロ
ワットアワーのパワーウォールの卸価格は3千5百米ドル、設置を含め約7千米ドル(約87
万円
)――太陽光発電からの余剰電力を蓄電池に貯め、電力網に流さず、夜間に自家消費に当
てるという、真の自産自消モデルが可能となる。

April 30, 2015

GTM社調査によると、リチウムイオン蓄電池の価格は10年より毎年平均23%下がっている
という、20年までには価格が250~300米ドル(約3万4千円)/キロワットアワーまで引
き下がると予測している。
15年の蓄電池を伴った太陽光発電市場(設置規模)は22メガワッ
ト、さらに20年には769メガワットに成長と予測する。20年の「太陽光発電プラス蓄電池市
場」の売り上げ規模は31億米ドル(約3千8億円)と見積もる。今後、「太陽光発電と蓄電
池」のコンビがエネルギー産業に革命を引き起こすか、注目されると報告している。

過当競争で消耗戦となるため、「エネルギ地産地消の精神」の下、過当競争を抑制し、価格逓
減・装置普及の指針を政府は開示しつつ推進することが上策だとわたし(たち)は考える。

 

【農産物の地産地消: 世界最大規模の人工型植物工場稼働】 

東洋紡エンジニアリングは22日、静岡県富士市に設置したオール発光ダイオード光源の
人工光型植物工場が順調に稼働していることを発表。同社が強みとする空調、電気シス
テム制御などエンジニアリング技術を駆使して、世界最大規模の人工光型植物工場を完
成。この実績を生かして今後の受注拡大を目指す。同工場はイノベタス(静岡県富士市)
から受注し、東洋紡エンジニアリングが設計施工を担当。工場の延べ床面積は約1852
平方メートルで、レタスなど葉物野菜で日産1万2420株を生産できる。将来、さらに生産
能力を増強し、日産3万株規模へ拡大する計画。

 


 

 

 

 

● 日中食品汚染 15 中国の食品汚染地図  

【目次】

   第1章 見えない食品の恐怖
 第2章 中国の食品汚染地図
 第3章 食品汚染のヒトへの影響
 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
 第5章 重金属汚染という新たな難題
 第6章 日本の食品は安全といえるか 

古在豊樹 監修「図解でよくわかる「植物工場のきほん」 から汲み上げた新しい農法の骨格を素し終え
たので、そのことを踏まえ、今夜からはこの著書から食の汚染の実態を学び、そこから課題を
掬い取
り「食の安全」を担保する方法を考察していく

 第3章 食品汚染のヒトへの影響

                            少子化よりも心配なこと

  少子高齢化が進む中国。この問題にかけては今や世界一
の日本を追い越す日もそう遠く
 はないだろう。「一人っ子政
策」は、ようやく2013年秋の第18明..一中全会で緩和
 さ
れることが決まったが、中国では子供の数が減ったこと以上に無撹できない問題が起き
 ている,

  奇形児誕生率増加の長明的な傾向が・比まず、そればかりか最近は急上昇しているから
 だ。中国の医療専門家たち
は、メディア(たとえば「中国孕育網」2006年7月18日付、
 「人民網]2013年11月19日付など)を通じて、カ
ピ汚染食品、DDT、BHCな
 どの有機塩素系農薬、カド
ミウム、ヒ素や水銀など重金属が母体に蓄積されることが大き
 な原因であると指摘している。


  そもそも、中国国内でこの問題についての認識が深まり
始めたのは、それほど昧日のこ
 とではない。中国で最初の奇
形児専門の医療機関として、北京医科大学が奇形児観測セ
 ターを設けたのが1984年。その2年後からようやく
8つの省や市で専門的な観測と研
 究を行う組織が発足し
た,国として着手したのはさらに遅く、88年、旧衛生部が華西医
 科大学に中国奇形児観測センターを設置し、全国の
県と市以上の産科医院を対象に調査を
 開始した。

 「中国奇形児防治報告」(2012年)によれば、2011年の奇形児出産率は約5・6
 Sという数字が明らかになっ
ている,中国では毎年1600万人の子供が生まれるので、
 そのうち90万人が奇形児ということになる。この資料からは2000年からわずか10
 年の問に、約40%も増加していることが推測される。誕生した奇形児のうち、25万人
 は外見から判断できるという。

  奇形児は嬰児死亡原因の19・1%を占めており、これらの現実を前に中国国内でも、
 第二の殺人というような厳しい報道が目立っている。WHOの統計によれば、奇形児出産
 率は国の経済状況との関連が強く、先進国平均4・7%と比較すると、5・6%という中
 国の比率は非常に高い。省・自治区などの地域により奇形児出産率は異なり、高いところ
 では10%、低いところでは5%程度と差が大きいことも特徴である。
  症例で多いものは、順に先天性心臓症、口唇裂症、脳積水症、先天性内反尖足症、尿道
 下裂症、先天性合指症、神経管欠陥症、肢体短縮症、小耳症、多指症となっている(20
 11年の場合)。しかし1996年の順位はこれとは異なっていて、表6のように、口唇
 裂症、神経管欠陥症、多指症、脳積水症が上位にきている。

                                                        先天性障害と食品汚染
 
  では、日本の場へ目はどうだろうか。横浜市立大学国際先
天異常モニタリングセンター
 と日本産婦人科医会の資料
(「日産婦誌」59巻9号)によると、日本の先天性障害発生
 1972年0・7%、1990年1・0%、2000年
1・4%、2006年1・8%と、
 増加傾向にある,この
資料によれば、中国と同じく心臓疾患がもっとも多い。人数として
 は、日本は中国の4分の1程度だが、データ収集
の方法の違いなどがあるため、単純な比
 較は慎まなければ
ならない。
  先天性障害が発生する理由について、前出の中国資料は多くを指摘しているが、食品要
 因として農薬と食品添加物
を挙げていることには、やはり注目しなければならない。
  日本の先天性障害発生率が上昇傾向にあることと食品汚染問題の因果関係について、い
 い加減なことはいえない
が、かといってまったく無関係かといえば否定できるものでもな
 いだろう。汚染された中国食品や農薬使用量とその
危険性、そして食品添加物の腫煩と消
 費吼は増加してお
り、これに日本人の多くが関係しているとすれば、新しい生命の誕生の
 ためにも、消費者全体に注意を促さなければ
ならない。

  先天性障害の発生率が上昇していることは、両国共通の現象だ。ならばと、わたしは、
 両国で共通している因子を
探してみることにした。
  中国で発行されている専門誌や研究論文を確かめると、両親からの遺伝要因などに次い
 で、農薬、食品添加物、重
金属を因子として指摘するもの(「山西省における奇形児要
 の流行学的研究」「弾性ネットワーク探査に肌づく先天性
欠損の多次元地理的要因分析」
 など)がかなりあり、より
仔細な状況報告をする報道も多数みることができる。中国では
 奇形児出産率の上野とともに、各地の状況報告や原因
を研究する医学系、社会系の研究文
 献が非常に多く書かれ
ている。
 
  日本の専門家が指摘している因子には風疹、ヘルペス、
パルボ、サイトメガロウイルス、
  トキソプラズマ、梅毒、
母体糖尿病、アルコール中毒、葉酸欠乏、サリドマイド、抗神経
  薬、抗てんかん薬、抗ガン剤、抗凝固剤、DES、ACE阻害剤、メチル水銀、ダイオキ
 シン、有機溶媒、農薬、酒、タバコ、ビタミンA、食品添加物、携帯電話電磁波、遺伝子
 異常などがある(前掲「日産婦誌」)。聞きなれないものがあるので調べてみたところ、
 パルボ、サイトメガロウイルス、流産防止剤のDES、ACE阻害剤は食品との関連性は
 なかった。

  ビタミンAは通常の野菜や魚介類から摂取している限り問題はなく、ビタミン剤の取り
 すぎが問題になるのみであった。トキソプラズマには無視できないところもあるが、妊婦
 が 生肉や生ハムを食べるときにだけ要注意なので、さほど問題にならない。
  もちろん風疹、ヘルペスなどは食品とは無関係なものである。
  問題は重金属のメチル水銀、農薬、食品添加物であり、実はこれらが両国に共して増加
 する傾向がある因子である。これら3つの因子が食品汚染と深い関連があるといえる。因
 果関係を数字ではっきり示すことができないのは、まことに不十分だが、もはやこの先を
 詳しく話す必要はないと思われる。


                               「癌症村」の報告
  「
  中国人の死因トップは、日本人と同じくガンだ。2011年の政府統計によると、部位
 別の第1位は肺ガンで、以下、肝ガン、胃ガン、食道ガンと続く。都市住民のうちガンで
 死亡する数は人口10万人当たり165人、同じく男性204人、女性124人。199
 0年と比較するとその増え方は驚くほどだ。1990年は128人、男性155人、女性
 99人だったからだ。
  中国の人びとはいつ自分がガンにかかるかと不安がっているが、これは大げさなことで
 はない。ガンの羅患率は都市住民と農村住民を合わせると10万人当たり286人,その
 うち63%に当たる180人が死亡する。
  日本人の場合、一番新しい2008年のデータによると、ガンの罹患率は人口10万人
 当たり587人、うち死亡率は272人と46%に当たるため、罹患串は高いが、半数以
 上は生き残っている。中国の死亡率が高いのは、受診率が低いこと、医療施設や医師の不
 足、医師にかからずに死亡してしまうことなどが背景にある。

  中国には、「癌症村」という人びとを震憾させることばがある。これは2009年に、
 湖北省武漢巾にある華中師範大学のひとりの女子学生孫月飛が、卒業論文として書き上げ
 た「中国癌症村の地理的分布研究」による『、この論文は、いかに農村にガンが蔓延して
 いるかを中国全上に知らしめた。目本では考えられないことだが、中国ではひとりの大学
 生の卒論が社会を動かすことがある。彼女は北京上海、天津を含む27省の247村ごとの
 ガン罹患者数を新聞・雑誌、マスコミのウェブサイトから探し当て、原因の分析とともに
 論述したのだった。

 

  原因は、環境汚染、工業汚染、農業汚染、生活廃品汚染にあるとし、農業汚染について
 は これら汚染の半分から
3分の1以上を占めると報告。とくに化学肥料、農薬、家禽等
 の排泄物汚染などによる水、土壌の汚染が増えている
ことが、ガンの増加と深い関連があ
 ると指摘した。

  この論文は各方面から賞賛され、その後、「癌症村」ということばが中国社会で定着し、
 2013年8月には
『「癌症」調査』と銘打つ専門肘も刊行されるなど、社会に大き
 影響を与えた。


  もっとも「癌症村」という表現そのものは2001年に
「中国鉱業報」が広東省のある
 村のガン多発状況を報告した
ことが最初で、その後2010年まで「環境保護」を始め
 する雑誌などに112本の関連論文が発表された,しか
し孫月飛の卒業論文ほどに注目さ
 れることはなかった。

  ガンの発生の原因をひとつに特定することは難しいが、1970年代から中国医学科学
 院と河南、河北、山西の3
つの省が共同で、181県総人ロ5000万人の地区を対象と
 して食道ガン疫学調査を行ったことがある,その結
果、食道ガンと白菜漬との問に有意の
 関連があることが突
き止められた。

  白菜の漬物自体に問題があるのではなく、そこからN-
亜硝酸(発ガン性のあるニトロ
 ソ化ハロ物)が検出され、食
道ガンにかかった人のほとんどが晦日、その白菜漬を食べ
 いたことが判明したのだ。これだけでは関連の有意性を
主張するには無理があるが、同時
 に調べたほとんど白菜漬
を食べない人の食道ガン発生率は低かったことから、両者の関係
 がほぼ証明されたというものである。この例は中国
の学界では広く共有されている。N-
 亜硝酸は、殺線虫剤
などの農薬や食品添加物用の化合物でもあり、日本でも危険な化合物
 のひとつとしてリストアッブされている。


  『「癌症村」調査』によると、人口3300人あまりの広東
省の村では、1986~2
 005年までの20年間に214
人がガンで死んだという。これを人口10万人当たりに換
 算
すると3‐5人と中国では最多クラスになる。この論文では、農民が飲む飲用水と栽培
 した穀物に含まれる重金属に
原因があるという判断を下している。
  ナマリ、亜ナマリ、カドミウム、銅について調べたところ、土壌においてはこれらすべ
 ての重金属が国家基準を大きく上回り、カドミウムは9倍にも達していたという。またこ
 の上壌で栽培されたコメと野菜も同様で、カドミウム含有量が基準に対しそれぞれ2・9
 倍、5・6倍に達していた。
  発ガン率と高い重金属含有は、この2つの関係はもはや否定することは困難だというの
 が研究者たちの結論だ。


 2012年肺ガン発症者数(WHO) 中国が飛び抜けて、35.8%



えげつないユーチューブ映像みて、頭を思わず抱え込んでしまった。読書感想?ここはパスす
るしかない。次回は「第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか」に入る。


                                   この項つづく

 

【エンタメロボ事業: 飛翔するマツコロイド】

ケンタッキーフライドチキン店の看板であるカーネルおじさんの横で、来客者とお喋りをする
映像をみて、これだ!と思った。「マツコロイド」と呼ぶらしいのだが、これまでの石黒浩ロ
イドとことなり「不気味の谷」を飛び越えてしまっているではないか?!咄嗟に「エンタメロ
ボ事業」が降って降りてきた。ユーザの要望に応じ、接客ロボットとして、マルチリンガムで
会話できる人工知能を備え身振り手振りを同期動作をさせ、両目は、シチュエーションに合わ
せ接客相手の目に合わせたり外したりしながら会話楽しめるようにプログラミングしておき、
それ以外のシチュエーションでは店内を見回し、来店者数や年齢構成やセキュリティなどのデ
ータを事
業部の一括管理センタに転送。ユーザの求める情報を提出する。また、契約店毎にイ
ベント要求に合
わせ、来店者とそのイベント――トークショウや物まねや声帯模写、形態模写、
集合写真撮影、握手会などのテレメトリックなサービス――を提供するという事業、多角的な
デジタルホスピタリティ、三次元デジタルサイネージあるいはをデジタルエンターテインメン
トという新規のマツコならではの事業である。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エネルギー・ハーベスティングドローン

2015年07月23日 | デジタル革命渦論

 

 

 

   同志と共有出来た時に何倍も嬉しい。   /    孫 正義

 

 

 

【進化するドローン: マイクロ波電力受伝送装置を搭載】

京都大学生存圏研究所は、ワイヤレス電力伝送実用化コンソーシアム(WiPoT)などと共
同で研究を進める、マイクロ波による電力伝送装置を搭載した飛行ロボット(ドローン)のデ
モンストレーション飛行を実施した。コードを介さずに、どこでも各種デバイスへ電力供給が
できる、無線電力社会の実現を目指す研究の一環として披露。

ドローンには、(1)蓄電池、(2)マイクロ波発生装置、(3)送電機、(4)マイクロ波
受信機、(5)アンテナ・整流・共振器を搭載し、湿度と温度の計測用とし地上に設置したセ
ンサの4メートル上空を飛行し、マイクロ波で送電。電力を得たセンサから湿度と温度のデー
タを受信し、基地局へ情報を中継する。京大生存圏研究所の篠原真毅教授は、火山の観測現場
での実用化を想定し、「太陽電池で動くセンサが火山灰に埋まり起動できない問題を、ワイヤ
レス給電で解決できる」という。

そういう手もあったのかというのが感想。つまり、原理的には半永久的に、無人飛行体が強靭
であれば地上基地あるいは海上基地から電力と信号が送受信できというわけだ。エネルギー・
ハーベスティングドローンというエネルギーと通信の融合であり、また、デジタルアース工学
の1つの機能技術となる。


※ 関連新規考案

(2)特開2005-117451 マイクロ波発生装置 国立大学法人京都大学


(3)特開2005-176214  マイクロ波送電装置 株式会社アイ・エイチ・アイ・エアロスペース

 

(4)特開2004-215477  マイクロ波送電装置、マイクロ波受電装置及びマイクロ波送電法 株式
  会社タキオン

 (5)特開2014-209816  レクテナ装置及び受電整流方法 日本電信電話株式会社 他

 

 

【医食同源辞典: キヌア】 

体調が優れないと彼女がいうので、直接医療行為できないし、肩を揉むぐらいなのだが、これ
はジャス
ト・イン・タイムでなければ意味がない、つまり、間に合わない、気が利かない、め
んどくさい、と言うことで
医食同源しかないと考えていたら、「キヌア」という文字が飛び込
んでくる。キヌアとは、アカザやホウレンソウは近縁で、南米アンデス山脈の高地アルティプ
ラーノにおいて数千年前より食用に栽培されている擬似穀物。モロコシ、キビ(黍)、アワ、
(粟)、ヒエ(稗)などと同様に雑穀に分類される。雑穀の中では一番生産量が少なく、11
年の年間生産量は約8万トンで、世界百ヶ国以上で生産されているモロコシの5420万トン
の約700分の1。
生産国もペルー、ボリビア周辺に限られているが、日本でも栽培されるよ
うになってきている。

キヌアの魅力は、
その栄養価の高さ。キヌアは通常の精白米と比べ少ない炭水化物(糖質)で
同等のエネルギーに対して、2倍のタンパク質、5倍の良質な脂質、8倍の食物繊維、6倍の
カリウム、10倍のカルシウム、7倍のマグネシウム、7倍のリン、8倍の鉄、を含んでいる
ことである。
また、体内で合成できず栄養分として摂取しなければならない必須アミノ酸のバ
ランス(アミノ酸スコア85)も牛乳に匹敵するほどである。


また低いグリセリンインデックス値をもつ複合糖質で、低GI値である食材。単品でいきなり
痩せるわけではないが、他の健康的な食材と組み合わせれば健全なダイエットに貢献する。
93
年のNASAの専門誌は、「1つの食材が、人間にとって必要な全ての栄養素を提供する
ことは不可能だが、キヌアは植物界、動物界において何よりもそれに近いものである」と。さ
らに、フィトエストロゲンのほか、中年以降の女性に多い骨粗しょう症を防止する上で重要な
カルシウムを多量に含む。淡白な味わいと特徴的な食感、レパートリーの無限なレシピ、類ま
れな栄養バランスという点で女性にとって頼もしい味方である。

 

 

 ● 今夜のアラカルト

【 キノコとエンドウ豆のキノアローフ】

材 料: エキストラバージンオリーブオイル 大さじ1/スライスマッシュルーム、8オンス/
塩 小さじ1/2/黒胡椒 1/2小さじ/エンドウ豆 15オンス/カラス麦 3/4カップ/キノア カ
ップ2杯/冷凍グリーンピース 1カップ/新鮮なタイムのみじん切り 1/2カップ/、新鮮な微
塵切りパセリ 茶さじ1杯/オイル漬け乾燥トマト 10個/刻み玉ねぎ 1カップ/刻み赤玉ね
ぎ 1カップ

つくり方:350°Fのオーブンを予熱→軽く油を引いた20センチチフライパンを脇に置いておく
→中強火でフライパンに茶さじ1杯の油をさし加熱→塩・胡椒し、6~8分キノコがきつね色
になるまでかき混ぜながら加熱→ボールに入れ準備しておいたキノコ、豆の混合物、キノア、
エンドウ豆、パセリ、トマト、玉ねぎ、塩、コショウをローフパンに移し入れる→中段で60
~75分間しっかりとキツネ色になるまで焼き上げる→10分間放冷し食べ分ける。

キヌアのレシピも数百種ほど掲載されているが、ローフパンで焼き固めるの良いのではと考え
たが、今夜はここまでにしおき残件扱い。

 

 

 ● 今夜の一品

 【弁当箱型スピーカー】

 弁当が、”Bento”とそのまま英語に転用できる昨今だが、弁当箱のように見えるワイヤレスス
ピーカー「Bento」。スマホを置くだけで、360度に音を響かせてくれる、とても使いやすい。1
86×127×65ミリのコンパクトなサイズで、ポータブル。面白いね。それじゃ、買うの
かって?優先度は落ちるね。
                                  

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

危険な時代を生きる。

2015年07月22日 | EMF安全保障




 

 

  同志と共有出来た時に何倍も嬉しい。    /    孫 正義

 

 

 

【危険な時代を生きる: 第6回 変革の嵐】

たまたま、目を覚まし、テレビスイッチを入れると、「危険な時代に生きる」(NHK BS
ドキュメンタリー)が映し出されたが、概要はこうだ――風力や太陽光など、再生可能エネル
ギーの取材を進める女優のアメリカ・フェレーラは、地球温暖化を否定するあるシンクタンク
が、再生可能エネルギーの利用を促進する法案が可決されないよう、各地の州議会を回って働
きかけていることを知る。ジャーナリストのマーク・ビットマンは、二酸化炭素の排出が少な
いと期待を集めるシェールガスの採掘現場で、二酸化炭素の数80倍の温室効果があるとされ
るメタンが漏れ出していることを突き止める――という筋っだったが、シェールガス採掘中に
排出されるメタンガスの割合は元環境保護庁役人の推定値1.5%であったが、採掘州周辺の
ガス濃度は、環境保護NPO団体の測定は、予測最高値7.9%を超えていた。また、再生可
能エネルギー促進を阻止しようとする地下化石燃料採する大資本家支援をうけた、<地球温暖
化幸福派>の代理弁護士とのインタビューシーン は、<環境リスク本位制>時代の1つの抗争シ
ーンとして、いかにも米国的で面白かった。




【シャープ: ヘテロ接合バックコンタクト型(HBC)ソーラー量産化へ】


シャープは2016年度にも高効率の住宅向け新型太陽電池を投入する。新型は開発段階セルで光
変換効率25・1%を達成し、量産に向けて開発人員の集中投下を始めた。生産には堺工場(堺市
堺区)の薄膜太陽電池生産ラインを使い、低迷する稼働率改善に役立てる。設備投資はライン改良が
中心のため少額で済む見込み。新型は単結晶シリコン表面にアモルファスシリコン(a―Si)
膜を形成し電圧を高めるヘテロ接合と、電極をセル裏面に作り受光面積を広げて電流を大きく
するバックコンタクト技術を組み合わせた。いずれも新しい技術ではなく、他社も製品化して
いるが、両方を組み合わせた製品化はシャープが初めてだが、住宅用に乗り出すのであれば、
住宅(注文・高級住宅を含む)設計・建設・保全(スマートグリッド・デジタル家電・ホーム
セキュリティを含む)・リサイクルを含めた、強力なジョイント・ビジネス(「未来共有愛」?
)を立ち上げる世界展開する覚悟が必要であろう。頑張ろう!スマートジャパン。
 

 

 




【太陽光型植物工場: 年間19回の収穫可能】

オリックスと本多園芸は、このほど農業法人であるオリックス八ヶ岳農園を共同設立し、長野
県諏訪郡富士見町で水耕栽培事業を開始すると発表。太陽光利用型の栽培施設を建設し、15
年8月よりサラダほうれん草やルッコラなどの生食用葉物野菜の生産を開始する。栽培施設内
で行う水耕栽培により野菜の育成期間の短縮できるため、1年を通じて「4定(定価格、定品
質、定時期、定量)販売」が行えるメリットがあるという。年間19回の収穫が可能で、合計
約480トンの出荷を計画。生産した野菜はオリックスグループの営業ネットワークを利用し
首都圏や中部圏の小売業および飲食業に向けて販売する。

今回共同で事業を行う本多園芸は、長野県で約30年にわたって野菜の生産を手掛けてきた農業
生産法人だ。サラダほうれん草などの葉物野菜の生産が中心で、首都圏および中京圏の百貨店
や高級スーパーなどに販売しているが、昨年2月の豪雪でビニールハウスなどが倒壊している。
<環境リスク本位制>時代に入っているにも関わらず、日本の政体は対応は無策状態に等しい
とを、このブログで指摘してきたことだが、(1)人為的温暖化対策と同時に、(2)異常気
象に対応できる農業ハウス(工場)への支援ファイナンスの法整備は安全保障の喫緊の課題で
ある。




【百パーセント電磁トラック時代: BMWが施設間輸送で配備】

40トン規模の百%電気トラックを、商用サービスとして配備し公道を走らせることは、欧州
では初の取り組み。
電気トラックは、オランダのTERBERG製で、15年7月6日に試験走行を
完了、7日から通常運用に入った。SCHERMグループの物流センターとミュンヘンのBMWグ
ループの工場との間で1日8回の運行を行い、ショックアブソーバーや、スプリング、ステア
リングシステムなどの車両部品を輸送する。電気トラックは百%再生可能エネルギー源からの
電力で充電を行う。完全二酸化炭素フリーであり(トラック製造過程の二酸化炭素を除く)、
排気ガスによる微粒子による汚染や騒音問題などを抑えることができる。ディーゼルエンジン
のトラックに比べて、年間の二酸化炭素排出量を11.8トン抑えられるとしている。バッテリ
ーの充電は3~4時間の時間が必要で、フル充電した場合、車両は最大百キロメートルの移動
が可能。現在の運行状況の場合であれば、理論的には追加の再充電の必要なく1日の業務を遂
行できる。

これで総走行距離が延びると、二酸化炭素排出量は逓減するだけでなく、タイヤ摩擦による粉
塵発生を除く、排気ガスによるPM(微粒子)がゼロとなる。


※ BMW Terberg Electric Truckhttps://youtu.be/eAtmvS7qlq8



 

 ● 今夜の一枚

【ひこにゃん: 米国でも人気】

米国はロードアイランド州ニューポート市へ海外出張した彦根市の人気キャラクター「ひこに
ゃん」。行事では、朱色で彩られた彦根藩井伊家の甲冑の着付け体験をする市職員をお手伝い。
持ち前のゆるいしぐさで大勢の人を喜ばせ、幅広い年代の来場者から写真撮影されるなど、米
国でも人気ぶりは健在だったという。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新太陽電池技術

2015年07月21日 | デジタル革命渦論

 

 

 

 若いうちの苦労は買ってでもしろといいますが、無理
        難題を体験すればするほど底力がついてくる。
                            
                                                    孫 正義 

 

 

【最新太陽電池情報: PERC型で世界記録 21.7%】

モノシリコン(単層結晶シリコン)系はn型からp型にシフトする中、ドイツのソーラーワー
ルド社は、PERC型(裏面不動態化放電セル:Passivated Emitter and Reare Cell)で世界最高変換
効率を記録したと発表(上図/上をダブルクリック)。この太陽電池はセル裏面のシリコンと
アルミニウム電極界面で起こる再結合によるエネルギー損失を不動態膜を形成することで低減
している。一般的には、この不動態膜はプラズマ科学気相法(RECVD)や原子層堆積法(ALD
法が採用されている。同社は今年後半の300ワットのソーラーモジュールを出荷すると話す。

このように、単層結晶シリコン系の変換効率はモジュールレベルでも25%到達前夜ににあり、
時代は太陽道を渡る Ⅲ』で紹介したように、今世紀半ばに25%超時代が到来すれば、太陽光発電
の占める割合は40%→55%超、1キロワットアワー3セント以下(円換算では約4円)が現実し、同時
に省エネ、デジタル革命の進展で、エネルギー社会主義社会段階に突入しているかもしれない(従っ
て、原油価格も下洛する)。


※ Maximizing cell performance How REC’s use of Passivated Emitter Rear Cell technology improv-
   es the
capture of light and optimizes cell REC ,
2014.09.18

  

 

 

 

 

● 水道水の水圧で動かす追尾型太陽光パネル架台

上図のような、水圧で動くシリンダ20の動きに合わせて軸回りに回転する第1軸部材30と、
第1軸部材の回転に合わせ、軸回りに回転する第2軸部材38で、第2軸部材38の軸方向に
交差して側方へ延出する支持部材46と、これの端部に取り付けた太陽光パネル48で構成さ
れ、太陽光パネル48は、46に固定した第1枠部材50と、50に重ね南側に位置する側縁
部にヒンジ部材52を介し取り付け、50に対し、上方に開閉可能な第2枠部材54を構成し、
50に南北方向に沿い、水平に取り付けた、第2軸部材38の軸方向の回転に合わせ、軸回り
に回転する第3軸部材58で構成。58には、その軸方向に交差して側方へ延出する傾斜支持
部64を構成することで、安価な水道水の水圧を使用し、太陽光パネルを太陽の一日の移動に
合わせて2方向に制御できる太陽光パネル架台が提案されている。

※ 強風対策などの気象変化にどれほど安全係数を見積もるかは不詳だが、面白い新規考案だ。

 

 

静岡県西伊豆町で動物よけの電気柵付近で7人が感電し、うち2人が死亡した事故で、川遊び
をして
いた男児が左手に大やけどを負い指を断裂する重傷を負ったという。県警は、男児が電
気柵に接触
した際に電線の一部が断線して川につかり、助けに向かった人々が次々に感電した
とみて調べてい
る。また、電気柵の電源が、近くにある農機具小屋の家庭用コンセント(電圧
100ボルト)だったことも
判明。ぬれると皮膚の電気抵抗が大幅に下がるため、電気保安協
会の関係者によると、100ボルト
の電気に接した場合は、ショック死する可能性があるとい
う。電気柵はアジサイの花壇を鹿から守るた
めに近隣の男性が設置。静岡県によると、30ボ
ルト以上の電源を使用する電気柵を人が簡単に立ち
入る場所に設ける場合は漏電遮断器を設置
するよう義務付けられているという(産経新聞 2015.07.21
)。

感電は数ミリアンペアの電流でも身体の中心部を流れると死亡する、最近は、このような、鹿、
猪、猿
などの野生動物が田畑に侵入しようとして、裸電線に触れると衝撃電流を野生動物に与
える電気柵
通信販売で簡単に手に入るというから、漏電対策などの不備があれば、起こりうる事
故で、法的整備
の見直し点検が必要だと思われる。そこで、漏電遮断装置(器)の技術レベル
がどのようなものか調べてみた(下記参照)。

 

漏電遮断器には、(1)回路遮断器の内部に漏電検出機能を追加したものと、(2)漏電検出
機能を外部に分離させ、回路遮断器と接続したものとがあり、(1)は外部引外し式の漏電遮
断器
と呼ばれ、(2)は漏電検出引外しユニットと呼ばれる。また、回路遮断器は、(1)一
端側に電源端子部が、(2)他端側に負荷端子部があり、両端子部間に、(3)接点部と、引
外し機構部と、接点部のオン・オフを行うハンドル機構部とで構成されるか、接点部が引外し
機構部で引外された際に発生するアークを消弧するグリッド部で構成される。

一方、漏電検出引外しユニットは(1)漏電検出回路、(2)電路となる主回路バー、(3)
漏電検出信号により回路遮断器の引外し機構部に働きかける引外し駆動部を備えている。さら
に、漏電の検出には零層変流器(Zero phase Current Transformer)が使用され、このZCTに主
回路バーが通さ、例えば3相4線の場合、ZCTに4本の主回路バーが通される。通電時には、
ZCTを通過する往路と復路の電流の差分が検出する。(1)漏電が生じていない場合、差分
がゼロ、(2)漏電が生じた場合、往路と復路の電流に差分が発生し、差分を増幅して電路を
遮断する。主回路バーが電線の代替となって、バーの一端側が回路遮断器の接続端子部に端子
ねじで固定され、他端側が端子板を介して漏電検出引外しユニットの負荷端子部に端子ねじで
固定される。

ところで、(2)の外部引外し式の漏電遮断器は、通電時の回路遮断器接続端子部の温度上昇
より、回路遮断器の接続端子部付近のカバーの温度上昇が大きくなる傾向にある(この対策に
下図のような筐体に通気口を付加したものがある)。



さて、下図に示すような順序で動作する従来の漏電遮断器は、零相変流器Zero-phase-sequence
Current Transformer; ZCTにより漏電信号が検出されると、検出された漏電信号は増幅器により
増幅されるが、増幅された漏電信号はレベル判別器により所定の基準電圧と比較され、漏電信
号が基準電圧より大きい場合、トリップ信号発生器でトリップ制御信号をトリップ機構に送り、
開閉機構がトリップ位置(=自動回路遮断位置)へ作動→電気回路を遮断→人体を保護する。

しかし、従来の漏電遮断器では、ノイズや歪みのない線形負荷が接続される回路は誤動作が発
生しないが、交流電源を使用する電子及び電気機器は、交流(AC)自体を使用するのではな
く、交流(AC)を直流(DC)に変換して使用し、効率向上のためにスイッチング素子を用
いているが、スイッチング作用でノイズが発生し交流信号を歪める――つまり、スイッチング
ノイズと信号歪みの高調波成分が、漏電信号の発生しなくても交流信号に相間不平衡unbala-
ncing among phases
を発生させるので、漏電信号と同様に零相変流器により検出され、レベル
み比較される従来技術では、基準電圧より大きいノイズや高調波成分によりトリップし、電

回路を自動遮断する誤動の原因となることがある。



この対策として、(1)回路トリップ(遮断)するための電磁力を発生できるトリップコイル
(2)回路で漏電信号を検出する検出、(3)漏電信号に追従して判別信号を生成する信号生
成部、(4)判別信号と基準信号とを比較し、(5)漏電信号にノイズが含まれているか否か
を決定し、(6)トリップコイルの動作を制御する機能を構成することで誤動作を防止する新
規考案が提案されている(上図参照)

※ 特開2014-183755  電気柵用の通電線 森本 重男 他

 



● 福井、京都、滋賀をぐるっと周回高速道路

琵琶湖一周にさらに、敦賀・綾部・大山崎を結ぶ琵琶湖外周高速道路、3百キロ(時速60キロメートル
にすると約5時間)が、これは、京都府にを南北貫く京都縦貫自動車道が18日午後2時に全線開通し
たことによる。これにあわせて、周遊観光の強化を狙い福井県と京都府、滋賀県と高速道路会社など
でつくる「京都・若狭・琵琶湖周回高速道路の活用協議会」は同日から、周回高速道路の定額乗り放題
キャンペーンを始めている。乗り放題キャンペーンは昨年に続き実施。自動料金収受システム(ETC)
搭載車に限り連続する3日間、周回区間の料金が普通車5900円、軽自動車は4900円で乗り放題
となるという。

さて、わたし(たち)は実はその次を構想していた。それは、「多賀-伊勢縦貫高速道路」。これで日本
海-太平洋が結ばれると言うわけだが、さらに、敦賀起点として敦賀-米原-大阪(梅田)、、敦賀-
米原-名古屋の新幹線延長を構想し、すでに双方ともブログ掲載済みである。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シベリアの謎のクレーター

2015年07月19日 | 時事書評

 

 

 

   裏技に頼ると大きくなれない。
                  結局、正面突破していかないと本当に実力がつきません。


                                                         孫 正義 

 

● シベリヤに謎の巨大クレーター 

輸送用ヘリの操縦士が2014年6月、初めて見つけた。最寄りの拠点となる街から約4百キ
ロ離れ、トナカイ遊牧民がわずかに行き交う北極圏。
地元政府の緊急要請でロシアの科学者が
調査を始めたが、穴は直径約37メートル、深さ約75メートルあったが、その後、同様の穴
の報告が相次ぎ、4個が確認された。この
穴はどのようにして生まれたのか?(1)隕石の衝
突、(2)不発弾の爆発、(3)宇宙人の襲来、(4)
気温が零下40℃まで下がる厳寒。地
中には永久凍土が数百メートルの厚さで広がり、メタンが多く含まれ、天然ガス田があること
から、永久凍土が溶け、メタンガスの圧力が地中で高まって爆発などの説がある。このなかで
(4)の説が有力視されている。ロ
シア科学アカデミー石油ガス調査研究所のワシリー・ボゴ
ヤブレンスキー教授は、異常に高い気温の影響を受けた可能性があると話し、このまま地球温
暖化が進み、凍土全体から、温室効果の高いメタンの大量放出が始まれば、さらに温暖化を加
速させかねないと恐れている(朝日新聞デジタル 2015.07.19)。

 


もし、温暖化によるメタン噴出説が正しいのなら、積極的平和主義の旗のもと貢献ユニットを
ロシアに派遣し、ガス田周辺に、(1)メタンスチームリホーミングプロセス、(2)水素貯
蔵プロセス、(3)水素燃料電池及び水素ガスタービン発電プロセス、(4)二酸化炭素回収
貯蔵プロセスを集合させシベリアエネルギー供給プラットフォームの建設に参画すれば、危機
的状態を回避できるだけでなく、世界に向け「再エネ水素社会実現」のジャパン・イニシアテ
ィブを広報できるまたとないチャンス。これに乗らない手はない。



 

 

● 日中食品汚染 14 中国の食品汚染地図  

【目次】

   第1章 見えない食品の恐怖
 第2章 中国の食品汚染地図
 第3章 食品汚染のヒトへの影響
 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
 第5章 重金属汚染という新たな難題
 第6章 日本の食品は安全といえるか 

古在豊樹 監修「図解でよくわかる「植物工場のきほん」 から汲み上げた新しい農法の骨格を素し終え
たので、そのことを踏まえ、今夜からはこの著書から食の汚染の実態を学び、そこから課題を
掬い取
り「食の安全」を担保する方法を考察していく

 第3章 食品汚染のヒトへの影響

                                       「毒」という呼び方

  最近中国のマスコミを賑わせている事件のひとつに毒豆がある。腐敗寸前の牛の生血
 に豆腐の原料の大豆を浸す
と豆が元気づくという。その大豆をすってねり状にし、豆腐を
 作るというものだ。豆腐が有害というのではなく、有
害な製法や違法な製法で作られた豆
 腐のことを指して、毒
豆腐というのである。毒餃子、毒米、毒もやし、毒生姜・・・・・・。食
 品汚染に「毒]をつける言い方は、中国で通常
使われている用法だ。

  日本では、汚染といえば公害による川や海の汚染、大気汚染など環境用語として使う場
 合が一般的だ,また日本に
は毒キノコのように似たような言い方はあるが、植物学的な面
 から、人間が食べると神経麻蜂を起こすとか、悶絶し
ながら死ぬとか、そもそも毒性のあ
 る植物を指す場合に使
うのが普通だ,
  本来なら安全でおいしく、健康増進に役立つはずの食品が、健康肢害につながってしま
 うのは悲しいことではない
か。ここからは、食品汚染や遺i子組換え食品とヒトの健康と
 の関連性について述べたい,



                          氾濫する遺伝子組換え食品


  そもそも、遺伝子組換え食品は汚染食品の範鴫に入るの
かと疑問を持つ人がいるかもし
 れない。本書の立場として
は、雑菌、残留農薬、重金属、不衛生な物質が付着したものだ
 けでなく、農産物の生産、加工、保管、輸送、小売店
陳列までの間、人体に悪影響があり
 そうなものすべてを汚
染食品とみなしているため、遺伝子組換え食品もその範囲に含めて
 いる。

  日本の遺伝子組換え農作物の大部分は加工食品に使われている。だから、遺伝子組換え
 されたコメや小麦、大豆そ
のものを消費者が買って直接食べることはない。いや、ないは
 ずである。というのは確信が持てないからだ。主食用
として売ってはならないはずの中国
 米やタイ米が不法に市
場に流れ、大手スーパーでもおにぎりや弁当として売られていた事
 件が起きたことは記憶に新しい。この事件は、我
われが知らないうちに遺伝子組換え食品
 を食べていること
を疑わせるに十分だ。

  2010年の日本の遺伝子組換え作物の輸入量は179
8万トン、年間のコメ生産量の
 倍以上になる。2006年
の1488万トンからさらに増加した。このままいけば200
 0万トン、3000万トンと、際限なく増える可能性
もある。また日本でも国内生産を目
 指した研究開発を行
い、大豆、テンサイ、トウモロコシ、菜種、飼料作物のアルファルフ
 ァや綿花において国の安全性評価をパスしている。

  遺伝子組換え食品に関する中国政府の姿勢は、日本やアメリカ、EU委員会と同様に安
 全だというものだ,中国政
府も遺伝子組換え農作物が農地の節約や農業コストの低下につ
 ながり、生産量の大幅な増加をもたらす点を宣伝して
いる。「農業遺伝子組換え生物安全
 管理条例」など法的な
規制もかけているので、国民は何ら心配することはないというな場
 をとっている。


  2012年、フランスの学者が遺伝子組換え飼料を2年
間与え続けたモルモットにガン
 が生じたと報じたとき、E
U委ほ会が「実験データ数や仮説実証過程が限られているので
 信用できない」と否定的な見解を示したことを援用
し、中国政府もこれに同調した。
  だが、この報道は遺伝子組換え食品の危険性を論じた研究を、容認派がフクロ叩きにし
 たと読み取るべきである。

  日本でも同様に、容認派がこの実験を非科学的だと批判したことで注目された,しかし
 容認派は、遺伝子組換え食品
批判派から出されている「安全性を実証せよ」という要求
 は、まだ目をつむり通したままでいる

  遺伝子組換え食品が安全だという科学的な実証をした例は皆無だが、それでも多くの国
 
の政府は安全性を強調する点で一致している,これに反対する意見には、健康に対する被
 害、安全性が実証されていない未知の食品を摂ることへの心理的な抵抗などさまざまある。

                                 
何が問題か?

  わたしの立場は、危険性があると訴える科学者がいる食
品については、安全性が実証さ
 れない限り推奨することは
差し控えるべきではないか、というものだ。いわゆる予防原則
 の立場だ。
  この点に深入りすることは控えるが、厚労省のパンフレットのいい加減さだけは指摘し
 ておかなければならない。
 「遺伝子組換え食品の安全性について」というパンフレットは絵や図を使って、いかにも
 解りやすい仕立てになっている。ここには、「食べ続けても大丈夫ですか?」という質問
 に、「さまざまなデータに基づき、組み込んだ遺伝子によって作られるタンパク質の安全
 性や組み込んだ遺伝子が間接的に作用し、有害物質などを作る可能性がないことが確認さ
 れていますので、食べ続けても問題はありません」などと記されている。

  まさしくこの点こそが遺伝子組換え食品が批判されている論点なのだが、それ以上の説
 明はなく、「信じなさい」といわんばかりの姿勢が漕み出ている。論語でいうところの、
 「由らしむべし知らしむべからず」、政府は国民を従わせればよく、その道理を理解させ
 る必要はない)といったところであろうか。
  未来に生じるかもしれない危険性を無視、あるいは軽視して急ぎ実用化に走った結果、
 多くの薬剤被害が起きてきた過去の経験を厚労省は忘れ去ったのか? この点、たとえば、
 IPS細胞の実験成功後、いっときも早い実用化の要請に対して、さらなる研究を積み重
 ねながら、安全性を優先する姿勢を崩さない山中伸弥教授とは対照的だ。2012年のノ
 ーベル医学生理学賞は、こうした姿勢に対しても贈られたものであるに違いない,

                                国家中心の研究

  現在、附界の遺伝子組換え農作物の作付面積は、安全性の確認作業を置き去りにしたま
 ま、既成事実化がどんどん先行し、1・7億ヘクタールに達している。これは、中国全土
 の耕地面積を大きく超え、日本の国土面積3800万ヘクタールの4・5倍にあたる。す
 でに大豆の81%、トウモロコシの35%、アブラナの30%が遺伝子組換えによっている。
  中国も遺伝子組換え農作物の研究に取り組んでおり、国立中国農業科学院、中国農業大
 学、上海交通大学、中国科学院などが拠点となっている。安全性をクリアしたピーマン、
 トマト、ジャガイモ、トウモロコシ、コメ、綿花が商業化について政府の許可を待ってい
 る段階だ。また小麦、サツマイモ、落花生、穀物全体については、商業化の許可申請の段
 階にぞっている。

  コメはまだ商業化されていないはずなのに、規制の網をくぐってすでに市場に出回って
 いる。2009年、南方の9つの地区の43銘柄を民間の第三者機関が検査したところ、湖
 北、湖南、福建、広東の各省、4自治区・市のコメ、および3自治区・市の米粉から遺伝
 子組換え成分が検出されたという。このほか、商業化されていないはずの農作物から同様
 に、遺伝子組換え成分が検出され、中国の農業関係者の問で大きな話題になった。
  遺伝子組換え農作物研究の中心、中国農業科学院生物技術研究所は、1986年の設立
 で、専門の研究者が100名以上在籍している。ここでは、あらゆる農作物の先端的な遺
 伝子組換え実験が行われている。

  中国には、院士という各界の研究分野のトッブクラスとして国が与える称号があるが、
 著名な院士61名が遺伝子組換え農作物の商業化を推奨する声明を出すなど、国を挙げた
 積極的な取り組みが行われている。もっとも中国の学会はすべて国家管理され、科学や真
 理も国家が認めなければ異端視されかねない土壌がある。
  国を挙げての研究のかたわら、中国では2004年から輸入も始まり、現在、主にアメ
 リカから大豆、トウモロコシ、アブラナの遺伝子組換え農作物を輸入している。これらの
 農作物の大部分は、食用油を始めとする加工食品の原材料にすることが目的だ。中でも大
 豆がもっとも多く利用され、大豆食品の70%は遺伝子組換え大豆を原材料としている。
 だが、大豆なら大豆の輸入量は分かるが、そのうち遺伝子組換えがどのくらいを占めるか
 は不明だ。

  遺伝子組換え農作物で作った加工食品も輸入している。
  たとえば太豆油、アブラナ油だ。ファストフードで販売される食品の大部分が遺伝子組
 換え農産物が原材料だろうということは、今や中国では常識だ。また家畜飼料も遺伝子組
 換え大豆やトウモロコシ、小麦等のふすまという公的な報道がある,
  政府が安全といってもそのまま鵜呑みにできないことは多くの国民も知っており、遺伝
 子組換え食品の危険性を訴える書籍もある,しかし、中には販売禁止処分になった例があ
 るなど、政府見解に反することへの当局の監視の目は厳しい。

 

「消える鼠、瀕死の豚」は遺伝子組み替え食用物が原因か?


  危険性を訴える新聞記事も散見される。たとえば、ある遺伝子組換えトウモロコシを飼
 料に使った山西省と吉林省では、ネズミが極端に減少し、繁殖用メス豚が流産を繰り返す
 という報道があった(「国際先駆導報」2010年9月21日付)。しかしこの事件は真
 相が解明されることなく、結局、「2010年10人科学デマ」のレッテルを貼られ、闇
 に葬り去られてしまった。中国でガンの死亡率が高いことについて、巷では遺伝子組換え
 食品が原因だとする噂が広範に広がっている。ただし、この点の疫学的検証はまだなされ
 ていない。

                  中国が遺伝子組換え食品に熱心なわけ

  ではなぜ、中国政府は遺伝子組換え食品を守り、普及しようとするのか?
  その答えは比較的単純で、農産物生産の危機があらゆる角度から迫っていることを自覚
 しているからだ。土壌は化学肥料や農薬のまきすぎ、その他さまざまな理由から破壊され、
 農業を継ぐ者も激減,水も枯渇し汚れている。しかし人口は今後も増え続けるから、農産
 物生産量を減らすことはできない。中国政府にとって遺伝子組換え食品は、そのための救
 世主なのだ。

  しかし、中国政府は遺伝子組換え食品の危険性を甘く見ていると思う。輸入管理ひとつ
 とっても、国内で許可していない種類の組換え大豆がアメリカから大量に輸入されている
 ことが判明するなど、輸出国から足元を見られている。それは、国内の遺伝子組換え食品
 の反対派を抑え込むなど露骨な擁護策をとりすぎたことで、輸出国側の節度や自制心を損
 なっているからではないだろうか。

  遺伝子組換え食品が品種改良食品と決定的に異なるのは、次の点につきる。遺伝子組換
 え食品は、原理的に、サルの遺伝子を人間の遺伝子と入れ替え、サルを人間のような生き
 物に変えることに等しい。これに対して品種改良とは、サルはサルのまま健康体力を豊か
 にすることだ。遺伝子組換え大豆は、大豆の形をした大豆ではない「大豆的な植物」と考
 えた方がよい。
  遺伝子組換え食品という文字を見たり聞いたりすると、わたしには、ほぼ未来永劫にわ
 たって日本人を恐怖の底に落としつづけるであろう、あの福島の原発の姿が思い浮かぶ。
  今のところ原発が人間の手に負えないものであるのと同じく、遺伝子組換え食品もひと
 りでに遺伝子を変化させつづけ、人間の手に負えなくなるという未来への疑念を捨てきれ
 ないのだ。自然の摂理を否定する物質が遺伝子組換え食品、たとえれば食品エイリアンだ
 とわたしには思えるのだ。


                                  


20世紀の物理学である原発の安全神話が崩れ、再生可能エネルギーの百パーセント社会が展
望できているのとは異な
り、新世紀の生命科学である遺伝子組み換え食作用物のリスクと安全
保証はまったく手がつけられていない状況だとわたしも考える。デフレ社会が世界汚染する中
「安かろう、危なかろう」という産地不明、内容物不明、偽装した輸入食用物の氾濫が静かに
進行し、日本のみならず世界中の消費者をむしばんでいることを考えると、大変不気味である。
これについては、いつかまとめて債考察したいので残件扱とする。、

                                   この項つづく 

   

● 不死と寿命の相克

もはや分裂できなくなり完全分化した神経細胞や心臓の細胞は固有の寿命をもち、最後は、や
はりプログラムされた死を免れない。すべての細胞は、代謝の結果不可避的に生ずる活性酸素
により徐々に損傷していき、損傷が同値を超えたところで、プログラムの死であるアポトーシ
スのスイッチが入ると考えられるという。それじゃ、二倍体の細胞生物の染色体のテロメアを
自在に制御できれば「不死」が獲得できるではないかというチャレンジも生まれるが、いまの
ところ、わたしの世代で獲得できないようだ。優れた著書に接したひととき、充足した了解に
支配される。実に面白い。今後も、時宜をみて掲載していく。

 
 2nの染色体数をもつ二倍体の体細胞からなる多細胞生物の固体は死を免れないが、アメ
 ーバのような決して二倍体になることのない一倍体の原生生物やバクテリア(原核生物)
 の個体細胞は、無限に分裂する能力をもっている、原則として死すべき運命にはない。多
 細胞生物のすべての個体が死ぬことができるのは、生命の連続性を生殖細胞系列にまかせ
 ることができたからである。この意味で、体細胞と生殖細胞の区別が生じ、それに伴い有
 性生殖が生じたことと、体細胞が死すぺき運命になったことは起源を同じくする。

 体細胞が自発的に死ぬ能力を獲得したことにより、多細胞生物の個体は複雑な形態とシス
 テムを開発することができた。この能力はアポトーシスと呼ばれる。アポトーシスは遺伝
 的なプログラム死のことである。アポトーシスは不必要な細胞を計測的に殺して形態形成
 を遂行するとともに、がん細胞や自己と反応するT細胞を殺してシステムを維持する。

 しかし、この能力は個体の死を不可避にもたらすものでもある。多細胞生物の個体はどう
 し
ても免れない寿命をもつ。分裂する体細胞はヘイフリック限界と呼ばれる分裂回数まで
 くると
それ以上分裂できずに死んでしまう。染色体の末端にはテロメアと呼ばれる構造か
 あり、分裂
のたぴに少しずつ短くなり、テロメアがなくなったところで、アポトーシスに
 より死ぬらしい。
ヘイフリック限界は種によってほぽ一定しており、寿命の長い種では高
 く、寿命の短い種では低い。

 もはや分裂できなくなり完全分化した神経細胞や心臓の細胞は固有の寿命をもち、最後は
 やはりプログラムされた死を免れない。すべての細胞は、代謝の結果不可避的に生ずる活
 性酸素により徐々に損傷していき、損傷が同値を超えたところで、アポトーシスのスイッ
 チが入ると考えられる。老化と寿命は酸素呼吸をする多維胞生物固体の宿命なのであろう。

                       池田清彦 著『新しい生物学の教科書』
 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

時代は太陽道を渡る Ⅲ

2015年07月18日 | デジタル革命渦論



   人生に手遅れは無い。  /   孫 正義

 

【 再エネ百パーセント時代: 時代は太陽道を渡る Ⅲ


● 
今世紀半ばまでには、太陽光は全エネルギーの4分の1に

2013年には、太陽光は世界の発電量のうち1%をかろうじて占める程度だった。しかし、

IEA(国際エネルギー機関)は、近年の太陽光発電のコスト低下を挙げ、今世紀半ばまでに
太陽光が世界中の電力の約4分の1をまかなう最大の電力源になりうると予測している。ブル
ームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの太陽光チーフアナリスト、ジェニー・チェイ
スは、「40年までには、途上国での小規模太陽光発電への投資額が1兆ドル(約120兆円)
に達し、へき地の村々でも初めて電気が使えるようになる。また、陸上での風力発電と太陽光
発電設備の新設コストは、30年までに新設または既存の化石燃料発電設備のコストを下回る
と予測している」と語る。

また、アヒム・シュタイナー国連環境計画(UNEP)事務局長は、「再生可能エネルギーの普及
は再び活発化しており、14年に新たに加わった正味電力量の半分近くを占めている」と語っ
ている。この分野への投資は12年と13年に落ち込むが、14年には回復。再生可能エネル
ギーのうち最も大きな割合を占めるのは水力発電で、風力とバイオマス発電が続く一方で、太
陽光の普及速度が最も速い。
米国エネルギー省および国際非営利組織「Ren21(21世紀のた
めの自然エネルギー政策ネットワーク)」によると、過去2年間に導入した風力発電の容量が
大きかった米国と中国で、同じ期間の太陽光電力容量ではドイツと中国が大きい。一方、途上
を含む比較的小さな5カ国でも、積極的に取り入れている。

その他の国では、イタリアは、太陽光の発電量が世界第3位だ。国内の発電量に占める太陽光
の割合は世界で最も高く、スペインは、反射鏡を使って大量の太陽光を狭い範囲に集める集光
型太陽熱発電(CSP)の発電量で世界第1位となった。2位以下は米国、アラブ首長国連邦(UA
E)、インド、アルジェリアの順となっている。デンマークでは、12年の発電量のうち風力の
割合が世界最高となった。同じくヨーロッパ沿岸国のポルトガルとスペインは、それぞれ2位
と3位に入る。

 また、インドは4人に1人が電気を使え状態にいるが、世界風力会議(Global Wind Energy
Council
)によれば、14年末までに風力の電力容量が世界第5位となり、4位のスペインに迫
る。日本は11年に発生した福島第一原子力発電所のメルトダウン事故以降、原子力発電が停
止し、太陽光への関心が高まる。国際エネルギー機関(IEA)の報告では、14年に新設し稼働
を始めた太陽光発電設備の容量は、中国に次ぎ世界第2位だった。しかし、技術力もあり実力
もそなえている日本がここまで停滞しているようかな状況に甘んじているは、皮肉にも、古賀
茂明氏の『日本中枢の崩壊』(第4章 役人達が暴走する仕組み
)を文字通り、産業政策を推
進する官僚組織の暴走が遠縁?しているかもしれないが、ここは、「役人達の暴走」でなく、
「地球温暖化の暴走」を食い止めるために、「再エネ百パーセント社会」に向け、世界各国の
人が一人でも多く参加することを呼びかけたいと思う。 

※ 出典:ナショナルジオグラフィック日本語版「日本はどう?再生可能エネルギー普及、世界
  で加速」 2015.07.17

                                        

 


● 寝屋川市が芥川賞受賞で沸く 又吉直樹とは


売れない芸人・徳永は、熱海の花火大会で、先輩芸人・神谷と電撃的な出会いを果たす。徳永
は神谷の弟子になることを志願すると、「俺の伝記を書く」という条件で受け入れられた。鬼
才で人間味に溢れる神谷に徳永は惹かれていき、神谷もまた徳永に心を開き、神谷は徳永に笑
いの哲学を伝授しようとするというストーリ。


  大地を震わす和太鼓の律動に、甲高く鋭い笛の音が重な
り響いていた。熱海湾に面した
 道は、白昼の激しい陽射し
の名残りを夜気で溶かし、浴衣姿の男女や家族連れの草履に踏
 ませながら賑わっている,沿道の脇にある小さな空間
に、衷返しにされた黄色いビールケ
 ースがいくつか並べら
れ、その上にベニヤ板を数枚重ねただけの簡易な舞台の上で、僕達
 は花火大会の会場を目指し歩いて行く人達に向け
て漫才を披露していた。
 
 中央のスタンドマイクは、漫才専用のものではなく、横からの音はほとんど拾わないた
 め、 僕と相方の山下は互い
にマイクを頬張るかのように顔を近づけ唾を飛ばし合って
 たが、 肝心な客は立ちどまることなく花火の観覧場所へ
と流れて行った。

                               又吉直樹 著『火花』


4歳年上と3歳年上の姉の下に生まれる。父は沖縄県、母は奄美群島の出身。比較的貧しい家
庭で育ち、家族で焼肉店に食事に行っても「焼肉2枚でお腹一杯だから」と母や祖父が無理を
して子供たちに食事を譲り、子供たちもそれを分かっていて親に「お茶漬けでお腹一杯」と食
事を譲る、と言った生活をしていたとという。国語の実力テストの知能偏差値75で全国トッ
プになったことがある。小学生の頃からサッカーを始め、中学校は寝屋川市立第五中学校に通
い、高校時代は北陽高校サッカー部に所属し、03年(平成15年)夏まで原偉大]と「線香花
」というコンビで活動していたが解散し、その後、同期で仲の良かった綾部祐二とピースを
結成、現在に至る。趣味は散歩と読書で、通算二千冊以上も本を読んでおり、活字が躍りだす
夢を見るほどの読書家で、「太宰治ナイト」「松尾芭蕉ナイト」などのイベントを主催してい
る。


文藝春秋発行の『文學界』2015年2月号に掲載。発売前から「タレントが純文学作品で主
要文芸誌デビュー」と話題に。発売初日の1月7日にインターネット各書店では軒並み品切れ
状態となり、8日に7千部、9日にはさらに2万3千部の再増刷が決定し、累計は4万部に達
した。『文學界』の増刷は19333年の創刊以来、資料に残る範囲で初めての増刷でという。
15年3月11日に同社から単行本として発刊され、64万部を超えるヒット作となる。装画
は西川美穂。装丁は大久保明子。第228回三島由紀夫賞候補作、第1533回芥川龍之介賞受
賞作(出典:Wikipedia)。



● 吾が心のフォークロック ライク・ア・ローリング・ストーン




昔は派手に着飾って、浮浪者に10セント硬貨を恵んでいたって。「用心しろよ、すぐに消え
っちゃまうからさ」とひとにてからかわれたって。いまは落ちぶれ、高笑いも、プライドも失
せ、食事もままならないってか・・・・・・。1965年、その年、2月アメリカ軍が北ベトナム爆
撃を開始、黒人運動指導者マルコムXが暗殺されている。4月には、アメリカの北爆に反対し
小田実らが「ベトナムに平和を!市民・文化団体連合」(ベ平連)を結成。6月には日韓基本
条約が締結され、翌月、1日には名神高速道路が全線(小牧-西宮間)開通し、20日に、この
曲がシングルリリースされ、アルバム『追憶のハイウェイ61』に収録されている。尚、このこ
ろの日本では、エネルギー政策が石油にシフト加速する中、石炭鉱山採掘現場では炭坑事故が
多発していた。 

 

   Once upon a time you dressed so fine
   Threw the bums a dime in your prime, didn't you ?

   People'd call, say, "Beware doll, you're bound to fall"
   You thought they were all a’kiddin' you
   You used to laugh about
   Everybody that was hangin' out
   Now you don't talk so loud
   Now you don't seem so proul
   About having to be scrounging your next meal


                                    “ Lake a rolling stone
"  

 

 


   Oh, God said to Abraham, "Kill me a son"

   Abe says, "Man you must be puttin' me on"
   God says, "No", Abe say "What?"
   God say "You can do what you want Abe but
   The next time you see me comin' you better run"

   Well Abe said, "Where do you want this killin' done?"
   God say, "Out on Highway 61"

   Well Georgia Sam he had a bloody nose
   Welfare department they wouldn't give him no clothes
   He asked poor Howard, "Where can I go?" 
   Howard said, "There's only one place I know"
   Sam said, "Tell me quick man and I got to run"

   Old howard just pointed with his gun
   And said, "That way down Highway 61"

                                                                            “ Highway 61 Revisited ”

ボブ・ディランは、『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』からエレクトリック
ギターとバンド演奏によるサウンドを導入。この曲でマイク・ブルームフィールドのブルース・
ギターとアル・クーパーのキーボードを加え、より歌詞に相応しい重量感と起伏・深度を表現
する。ザ・ホークス(後のザ・バンド)を従えた1966年のワールドツアーのバージョン(『ロ
イヤル・アルバート・ホール(Live 1966)』収録)で、そのサウンドが完成する。アニマルズ
の「朝日のあたる家」や、バーズによるディラン作品のカバー曲「ミスター・タンブリン・マ
ン」などの曲が大ヒット。この曲はフォークのトーキングソングとロック・ビートとが融合し、
言語の多様化と60年代の社会革命が語られていると評価された。 

"孤独嬢"(Miss Lonelyの転落ストーリーを語ることで人々の心の救いを説く?この歌詞をどれ
ほど理解していたか?まったくの理解なしに共鳴したのはゆえだったと思いつつ、仲間とある
いはソロでフォークギターを奏でながら歌っていたあの頃を振り返え
る。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

台風11号上陸の朝

2015年07月17日 | 時事書評

 



  何か強いものを感じた。又吉君うらやましい。 /  山田 詠美


              
        
※ 芥川賞受賞を祝福して

 

 

● ミュオン検出応用工学 

ドクター湯川秀樹が、ノーベル物理賞受賞した中間子説の科学成果が着々と応用展開されて、
ミュオグラフィが実用段階に入っている。
高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、筑波大
学などと共同で東京電力福島第一原子力発
電所1号機の原子炉内部を透視したミュオン測定装
置の小型化に取り組む。同1号機の燃料は
格納容器下部に溶け落ちたと推定され、宇宙から降
り注ぐミュオンで観測する場合、地面を掘
削して測定装置を設置する必要がある。設置作業の
負担を軽減することで利用増加につなげた
い考え。年内をめどに現状の8分の1以下に小型化
する計画を公表(2015.07.15)。
 

測定装置は2枚以上の検出器などで構成、ミュオンが通過した場所や粒子数をもとに原子炉内
部の状
況を推定する。ミュオンの吸収率が物質ごとに異なる性質を利用し、燃料の位置などを
測定する。1辺
2・5メートル程度の測定装置を1辺1メートル程度まで小型化する。小型化
すると検出器同士の距離が近づき、測定の分解能は下がるが、ミュオンを検知する物質(シン
チレーター)の設置数を増やすことなどでその低下を抑える
。また、捕らえられるミュオンの
量は減るが、観測時間を確保すれば測定精度に影響はないという。

KEKは今年2月から1号機を観測し、圧力容器の炉心部に燃料がないことを確認、東電の推
定結果と
一致した。ただし、燃料が溶け落ちたと推定される格納容器下部については観測でき
ていない。KEK
の高崎史彦名誉教授によると、小型測定装置は直径1・5メートル程度、
さ十数メートルの穴に設置
すれば測定可能。地中を通ってもミュオンを観測できることを実験
で確認しているという。

構造物内部を把握する従来の方法として、地表に到達する宇宙線ミュオンを観測して内部を透
視する技術が知られている。この技術は、例えば火山またはピラミッドなどの大型で内部への
立ち入りが困難なものに対して好適に利用されてきた。ミュオンを観測して構造物の内部状態
を透視する方法として、(1)ミュオンの粒子束の減衰を測定する透過法および(2)ミュオ
ンのクーロン多重散乱角を測定する散乱法などが知られている。(3)また、散乱法において
は、クーロン多重散乱による軌跡のずれを測定する変位法も知られている。

 

ミュオンによる透視技術では、透視の対象となる構造物にミュオン軌跡検出器が外設される。
そして、この検出器によりミュオンの飛行軌跡を検出して、軌跡を解析することで構造物内部
のイメージングが行われる。ミュオン軌跡検出器は、ドリフトガスが封入されたドリフトチュ
ーブの配列を多層にして構成。ドリフトチューブは、その中心に陽極ワイヤが張られており、
ミュオンの通過によって封入されたドリフトガスが電離されて電子が発生する。発生した電子
が陽極ワイヤに到達することでミュオンの通過が検出される。そして、電子が陽極ワイヤに到
達するまでのドリフト時間からミュオンの通過位置を求めることができる。

そして、ミュオン軌跡検出器は、ミュオンが通過したドリフトチューブそれぞれの通過位置か
らミュオンの飛行軌跡を検出することができる。なお、アルミ製のドリフトチューブで構成さ
れるミュオン軌跡検出器の場合、空間分解能と角度分解能は典型的には0.5ミリ及び2mr
ad(全値半幅)程度で、ミュオンの検出効率は百%近い。

しかしながら、過酷事故が発生した原子力発電所のような高放射線環境下では、高いガンマ線
量により、ドリフトチューブの壁面の原子とガンマ線との間のコンプトン散乱による誤検出が
増加する。ガンマ線とのコンプトン散乱で発生した電子が、陽極ワイヤに到達してミュオンの
通過として検出されてしまうからである。本来、ドリフトチューブはガンマ線に対する感度が
低く、ガンマ線に由来する電子の発生は無視することができる。しかし、ガンマ線量が高い場
合、ガンマ線とドリフトチューブの壁面の原子とのコンプトン散乱の発生数も増加し、ガンマ
線起因による検出が増加する。

このため、高放射線環境下では、ドリフトチューブのガンマ線起因による検出により、解析対
象となるデータ量が増大し、ミュオン軌跡検出器を安定的に動作させることが困難であった。
下図の新規考案は、このような事情を考慮してなされたもので、高放射線環境下で安定的な動
作を実現す
るミュオン軌跡検出器及びミュオン軌跡検出方法が提案されている。

そこで、上図のごとく、ミュオン軌跡検出器10は、宇宙線ミュオンの通過が検出された際に
電気信号を出力するドリフトチューブ11を配列し、少なくとも3層に配置させたドリフトチ
ューブ検出器12と、一定時間内に電気信号が出力されたドリフトチューブ11の中から一直
線上に位置するものを選別するドリフトチューブ選別手段15と、選別されたそれぞれのドリ
フトチューブ11に対応する電気信号の立ち上がり時間に基づいてドリフトチューブ11内に
おける宇宙線ミュオンの通過位置を計算する通過位置計算手段19と、計算された通過位置を
用いて宇宙線ミュオンの飛行軌跡を導出するミュオン軌跡導出手段20と、を備えることで、
高放射線環境下で安定的な動作を実現するミュオン軌跡検出器及びミュオン軌跡検出方法とい
うのが東芝が考案している。


また、下図は、有限空間内に,ミュオン検出機能と時計と通信機能を有するノードを多数配置
し、そのノードの一部の座標値を既知とし、各ノードで検出した飛来イベントの時刻情報をノ
ードIDと共に測位サーバに伝達蓄積する。蓄積された情報と既知のノード座標値を基に、ミ
ュオンの軌跡を算出し、さらにそれを基に可動ノードの座標値を算出することで、 電波、光、
超音波もしくは音波が遮蔽、反射、回折、屈折しうる環境においても、測位可能とし、高確度
な座標値を算出できる日立製作所の測位システムの新規考案である。

このように、ミュオン検出器の精度とロバスト性(耐久性)、手のひらまでダウンサイジング
できれば
、火山観測、マグマだまり観測、地震観測などのデジタルアース工学を飛躍的に高め
ることができる。これは実に面白い。また、ひとつ新規事業が誕生する。

 

 

 

● 日中食品汚染 13 中国の食品汚染地図  

【目次】

   第1章 見えない食品の恐怖
 第2章 中国の食品汚染地図
 第3章 食品汚染のヒトへの影響
 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
 第5章 重金属汚染という新たな難題
 第6章 日本の食品は安全といえるか 

古在豊樹 監修「図解でよくわかる「植物工場のきほん」 から汲み上げた新しい農法の骨格を素し終え
たので、そのことを踏まえ、今夜からはこの著書から食の汚染の実態を学び、そこから課題を
掬い取
り「食の安全」を担保する方法を考察していく。 

 

  第2章 中国の食品汚染地図 

                      養殖ワカメを襲う工場排水

  日本が中国から輸入している魚介類はウナギだけではない。海産物としてワカメやアサ
 リ、エビやナマコなど、非常に多くの品目が輸入されている。以下はワカメの汚染状況で
 ある。日本のワカメ輸入先は中国と韓国。2011年、中国から73位円、韓国から43位円
 を輸入している。中国産が多いのは、中国が世界一のワカメ生産国だからでもある。日本
 のワカメ生産戟は水産庁によると約3400トンだ。また、ワカメの国内消費を金額換算
 すると約150億円程度だから、日本の国産ワカメは明らかに劣勢だ。輸入に依存するし
 かないが、安心して食べていいものなのだろうか。

  両国から輸入されるほとんどのワカメは養殖ワカメで、その多くは日本のワカメの原藻
 を養殖し、日本に逆輸出しているものだ。
  そのワカメや昆布などの海藻類が、ヒ素によって汚染されていると報じたのは2004
 年の新華社の報道だったが、今なおその汚染は解消されていない。むしろ、海藻類を養殖
 する遼寧省の黄海あたりの海水の汚染はさらに進んでいる。一向に改善されていないどこ
 ろか、逆に深刻さを増しているのだ。

  背景には、中国のあらゆる地方の海岸から、海や揚子江などの大河へ放出される工場排
 水や生活雑排水、汚染排水の顕著な増加がある。工場などからの排水の廃棄量は年々増え
 続け、次の表5のように2011年には660億トン、2005年の525億トンを約2
 6%も 上回った。この数字は日本の数百倍、いや数千倍にも相当する。年平均の増加率
 は4・3% 約20年で2倍に達するスピードだ。このペースでいけば2030年頃には
 1300億トンという膨大な廃水が海へ流されると推定される。これは、中国の水資源総
 量2兆3257億トンの5・5%にも相当する。

  203O年頃には、酸化炭素排出量は世界一の約72億トンだが、陸と空から世界一多
 い汚染物質を垂れ流しているのが中国だ。

  排水は、あらゆる随順のエ場排水、汚水を含む生活雑排水、農薬汚染水や重金属汚染水
 を含む。2011年の排水の中には、ナマリ15万5200キログラム、水銀2800キロ
 グラム、カドミウム3万6000キログラム、ヒ素14万7000キログラム、六価クロ
 ム10万6000キログラムなどが含まれている。、
  これだけ入りの汚染衣が陪年のように流されている限り、沿岸のどの海産物が汚染され
 てもまったく不思議ではない。

                    中国でも報道され始めた加工食品汚染

  食品のモジュール化は高度な加工食品によって起こると述べた。ここでは、加工食品を
 わたしなりに、「農林畜水産物または食品を原材料とし、別の食品にすること」としたい。
 食品は形や味、色彩などに共通のものが存在せず。万華鏡のように変わりうる。つまり最
 終の完成品というものがが存在しない。最終良品のはずだったものが、簡単に別の良品を
 作るための原材料になってしまうことがある。これを前提に話を進めていくことにしよう。

  中国政府が現在もっとも神経を使っているのは、この加工良品である。もし重大な事件
 が起これば国民の健康問題に直結するし、貿易黒字の源泉を失うという国家的損害に発展
 しかねないからだ。
  従来は正義感あふれる新聞記者や研究者によるリークめいた報道以外、表には出にくか
 った。ところが習近平政権が誕生してから、PM2・5の報道からもわかるように水汚染
 や土壌汚染などの環境問題や食品汚染問題がせきを切ったように報じられるようになった
 感がある。

  加工時に使う食品添加物あるいは異物の混入、賞味期限過ぎの肉類を原料とした肉加工
 品などはましなほうだ。悪質なのは、意図的にあるいは違法に過剰な添加物を入れたワイ
 ン、マオタイ酒、ウインナー、ハム、鶏の足、菓子類、ザリガニの油いため、干し豆、乳
 製品、白身魚の練りもの、果汁、人造卵、ピータン、乳製品、漂白万頭や染色削入りの精
 肉、ネズミ肉入り羊肉ミンチ、毒血豆腐、果物や野菜、過剰眼球菌入りピーフジャーキー、
 コンビーフ、ザーサイ、落花生、フライドチキン、蒲焼、加工の際の地溝油使用などだ。
 挙げ始めたらきりがない。異物混入の例では、昆虫入り粉ミルク、基準オーバーの細菌が
 入ったミネラルウオーター、醤油などが知られている。

  ネズミの肉は市場で売られているほか、ネット通販でも買うことができる。多くは竹鼠
 や肉鼠というもので、高いものだと1キログラム200元、日本円で3200円くらいす
 るものもある,値段が豚肉や牛肉よりも高いものもあり、ネズミ肉は睡煩によっては高級
 肉の煩に属する。これも国や地方によって特徴がある食文化の一部分といえる。
  羊肉ミンチにネズミ肉が入っていても特別に驚くことではないが、混ぜ物という意味で
 は悪質だ。このほか、加工時あるいは調理時に使う染色剤を染み込ませたり、洗浄しない
 俎板や着色箸を使う例などがあり、街角の食堂では、腐敗材料が使われていたり、食器煩
 が汚染されている危険性が高い。以上のように、中国国内で報道されたり現地で耳にした
 事例を並べただけでもその数は多い,

  こんな汚染の事例を日本の講演などで話すと、決まってされる質問は、政治家や指導者
 は、庶民と同じものを食べているのか、というものだ,わたしの答えは、彼らは安全なと
 ころで 作ったものしか食べないである。
  中国には政府や共産党の指導者向けの食品「特供食品」がある。当初は中央政府の高級
 官僚だけが食べていた安全な食品を指すことが多かったが、その後、省やその下の地方幹
 部までが真似るようになり、庶民の批判の的になった。

  最近、習近平は政府や党幹部が豪華な宴会をしたり贅沢な中華料理を食べることを慎む
 よう号令を出したとされ、この特供食品制度についても意識しているふしがあるが、全面
 的に止めることは難しいだろう。かわいそうなのは、何も知らないでいる一般庶民だ。


 

                                   未発達のコールドチェーン


  中国の流通制度やハード面の後進性から生まれている汚染もある。生産者、加工者から
 末端の消費者までの間には多数のチャネルがあり、さまざまなアクターが利益を求めて介
 在している。この点は日本も同じだが、中国には中国らしい問題がある。
  そのひとつは、食品の品質保持のためのコールドチェーンが十分に発達していないこと
 だ,目本では、収穫後あるいは出荷を迎えるまでの間、生鮮品は予冷庫に保管、その後冷
 蔵躯や冷凍車に乗せて卸売市場や集配センター、物流倉庫などに移管する。そして一定量
 を量販店や大口需要者の冷蔵・冷凍倉庫に移し、やがてそれらは店頭に並び、最後に消費
 者の冷蔵庫に収まるという経緯をたどるのが一般的だ。

  宅配はその究極の姿だが、この仕組みを効率よく動かすロジスティクスが日本では発達
 している。効率のよい三温度帯物流(冷蔵・冷凍・その他)が実現できている。だから腐
 敗しないし鮮度も維持され、食品ロスも最小限に抑えられている。
  しかし、中国の場合、自前の予冷庫を持っている生産者は少なく、冷蔵・冷凍施設のあ
 るJAのような組織はないので、常温のまま、あるいは凍らせたペットボトルを箱の下に
 しのばせたり、マイナス気温になる冬には凍ってしまわないようにトラックにフトンをか
 けたり、それなりの工夫をして輸送している。しかしその程度のエ夫ではどうにもならな
 い。生鮮食品の腐敗率は数十%に達し、結局は農民の所得を削り、消費者物価を押し上げ
 るマイナスの影響を及ぼす。

  危機感を覚えた国家の中枢機関、発展改革委員会は、ようやく2010年6月「農産品
 コールドチェーン物流発展計画」を策定し、日本や欧米に追い付くための施策を始め。わ
 たしはその前から、中国の生鮮品物流の問題に関心を持ち注目してきた。この計画が打ち
 出されて3年以上になるが、事態は一向に改善されていない。
  伝統的な中国式のやり方でとくに問題はなかったのだからこのままでいい、という保守
 的な態度があるからだろう。もちろん金銭的な理由も大きいが、むしろ改革心の希薄さが
 蔓延していることが問題だ。

  そのため魚介類や肉類などの鮮度を守ろうとして、さまざまな処理が施されるという問
 題が起こる。典型的な事件が注水肉と呼ばれる、食肉処理したばかりの豚や牛肉に注射で
 水を注入する方法だ。一種の分量ごまかしと見せかけの鮮度維持策だ。真水だけでなく、
 鮮度維持のための防腐削染色剤、その他さまざまな薬剤等が注入されるケースもあると
 いう,同様の手法は野菜や果物でも行われており、色だけが妙にいいトマトやキユウリな
 どもある。
 
  ある卸売市場で、真っ赤なので完熟トマトに違いないと数個買って食べたところ、固く、
 何の香りも味もしなかった経験がある。これなどは、育成中に染色剤を艇から吸い上げさ
 せたものと思われる。こういった肉や青果物は国内向けに作られており、そのまま日本に
 輸出されることはめったにない。しかし、エキスやスープ、その他の加工食品に使われて
 いる可能性は高い。原形がまったくわからない姿になるため、問題はないかのように見え
 てしまうのだ。

                         すべてはコストを下げるため

  流通の一翼を担ういわゆる中間業者組織も複雑で、個人経営のブローカーや代理商が現
 金を持って買い付けに飛び回り、買い付けた農産物を自前の無蓋トラックで運ぶのが一般
 的なスタイルになっている。また、そういった簡素な装備で数千キロ先の消費地に運ぶこ
 とも少なくない。たとえばウルムチのリンゴを広州市に運ぶには、600Oキロを数日間
 かけて走り通さないと、鮮度が維持できない。中国の陸上輸送業は競争が激しく、いかに
 コストを下げるかが生き残りに関わってくる。結局は、運転手の待遇節約でなんとかしよ
 うということになる。炎天下、数日間も運転し続ける運転fの中には、途中の町で逃げ出
 す者も現れる始末だが、GPSによる運行管理が未発達の中国では、この方面の管理はほ
 とんどできていない。

  中国のスーパーに行くと、わたしは食品売り場をのぞくが、いつも思うのは、野菜、肉、
 魚の鮮度の悪さだ。氷の上に無造作に並べられた魚はどれもふやけたようにだらしなく寝
 ころび、カットされたものも包装されたものも、鮮度が明らかに悪い。果物や野菜も同じ
 で、シヤキッとした商品は非常に限られている,

  日系のスーパーはよいほうだが、鮮度維持策は小売業者がいくらがんばっても限界があ
 り、やはり日本の店舗に並ぶ商品と比べると落ちる,これは、産地から小売店舗までの物
 流システムに問題があるためだ。

                                  この項つづく




● 安保法案強行採決雑感

15日の衆議院特別委員会で、民主党などによる抗議が行われる中、安全保障関連法案は可決
された。そして、本日午後に行われた衆院本会議では、大きな混乱はなく、民主党や維新の党
など野
党が退席する中、安保関連法案は可決された。この法案に対しては「勇み足」と既にコ
メントしている。また、急ぐとすれば、岡田民主党々首の提案していた「離島主権侵犯対処法」
に限定すべきであった。わたし(たち)の考えは「城内平和主義」(=護憲派)とも、武断的
積極的平和主義(=征韓論遺制派)とも異なる、積極的平和主義(=ソフトパワー主義)であ
ることをブログ掲載してきた。ところで、安部首相が二人の日本人の惨殺を許したイスラム国
による日本人々質事件で、戦闘モードスイッチが入ると危険であることに気付いてから、倒閣
運動を覚悟する。

台風11号が上陸した。深夜から夜明けまで緊張がつづく。

 

  ● 追憶の一枚
2008.01.25 撮影

ここにきて月日の早さに驚く。今日でY君の月命日を迎える(万中陰が住んでいないからその
ように呼
称していいものかどうかわからないが)。集合写真をデスクに置き作業をつづけてい
る。それにしても、本当に涙もろくなったものだ。おかしいのかな?
                                       



                                     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

時代は太陽道を渡る Ⅱ

2015年07月16日 | マネー行動学

 

  


  五輪は賛成だが、あの国立競技場を今、作っていくのは大反対。おかしい。

                                                   橋下徹大阪市 

 

 

 

【 再エネ百パーセント時代: 時代は太陽道を渡る Ⅱ

●  お酢でエタノールをつくる

二酸化炭素の排出を抑える燃料として注目されている「エタノール」を、酢に含まれる成分に光
を当てて作り出す技術を、大阪市立大学などのグループが開発。大阪市立大学人工光合成研究セ
ンターの天尾豊所長と自動車メーカー「マツダ」などの研究グループ。二酸化炭素の排出を抑え
ることができるエタノールはガソリンに代わる燃料として注目されている、実用化が進められて
いる「バイオエタノール」は、作る段階で二酸化炭素が発生するなどの課題があるが、酢に含ま
れる「酢酸」という成分に、酢酸触媒と特殊な酵素を混ぜた上で太陽光を当てると、エタノール
ができることを、3年前考案している。この方法では、(1)光を2時間半、当てると酢酸のお
よそ5%が、(2)7時間、当てるとおよそ10%がエタノールに変化したという。また、エタ
ノールを作る段階で二酸化炭素は発生しないという(下図/上をダブルクリック)。

 JP 2013-110996 A

 

反応容器に、NADPH(3.3mM)、クロリン-e6(67μM)、メチルビオローゲン(1.3
mM)、アルデヒド脱水素酵素(0.67unit),アルコール脱水素酵素(0.67unit)、酢
酸ナトリウム(33.3mM)及びピロリン酸ナトリウム緩衝液(50mM)を入れて混合→反
応溶液を得る(全体積3mL)→ 反応容器を液体窒素で冷却して反応溶液を凍結し、減圧状態
で反
応溶液部分を温めて融解→反応溶液中の溶解ガスを放出→反応容器内に窒素ガスを導入し、
30℃の恒温槽内でハロゲンランプ(200W)を光源として、反応溶液に対して光照射し、一
定時間ごとに反応溶液を採取→ガスクロマトグラフ(FID)によりエタノールを定量。

上図2にエタノール濃度の経時変化を示す。光照射開始から120分を経過した頃からエタノー
ル生成量が急激に増大――光照射時間の経過とともにアルデヒドが生成していき、このアルデヒ
ドの濃度がある程度高くなってからエタノールの生成が急激に進む機構が考えられる→光照射開
始から150分経過後のエタノール濃度は1.05mMで、酢酸からエタノーへの変換効率は、
3.2%である。酢酸ナトリウムを添加せずに同様の条件及び方法で光照射を行なったところ、
エタノールの生成は認められなかったことで、上図1の反応システムを確立させる。

 

このように、可視光照射によって、NADPHからクロリン-e6亜鉛錯体を通じてメチルビオロ
ーゲンに電子
を与え、この電子を保持したメチルビオローゲンをアルデヒド脱水素酵素及びアル
コール脱水素酵素の
基質として、酢酸系化合物からアルデヒドを経由してエタノールを生成する。

 

ところが、同研究グループは先月、ギ酸脱水素酵素を使って二酸化炭素をギ酸作るためには補酵
素と呼ばれる分子が必要だが。今回メチルビオローゲンと呼ばれる単純な化学構造を持つ人工補
酵素を用い、ギ酸脱水素酵素により二酸化炭素からギ酸を作ったところ、天然の補酵素を用いた
場合よりも約20倍以上向上させることに成功する今回の成果は今後の二酸化炭素を有機分子に
変換する人工光合成系実現のための触媒設計・開発を進化させることにも成功している(上図/
上をダブルクリック)。

以上の成果報告に目を通して仰天する。バイオマスエネルギーもここまできたかと。つまり、こ
の2つの成果をつなぎ合わせるとつぎのことが可能となる。火力発電からの二酸化炭素を回収→
回収二酸化炭素をメチルビオローゲンなどの人工補酵素とギ酸脱水素酵素を触媒でギ酸を生成→
この生成物に光合成色素誘導体メチルビオローゲンニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
リン酸(NADPH
)などを加え、酢酸生成できれば、『史上最強C2チェーン事業』が誕生

る。そうすると、内燃機関は次の世紀まで生き残ることができる。また、『C2→Cnチェーン事
業』も開発されるから、人工繊維、人工プラスチック、医薬品、人工パルプなど有機合成出来な
いものがないという世界に突入するということになるだろう。これは実に面白い。マツダの株
いまが買いだろう。

 

 

【超高齢社会論 Ⅵ: 下流老人とはなにか】 
 

 秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に 象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたら
す格差
拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本
書でいう下
流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」で
ある。そして今、
日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパ
クトは計り知れないと
指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺し
た事件――71歳の林崎春
生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載
(極東極楽 2015.07.02 )。
『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護
基準は、144,430円(生活
扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円 【特別基準に
おける家賃上限】)である。資産の状
況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事
実だとすれば、年金支給額だけでは暮らし
が成り立たないことが明白だといえる。要するに、生
活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされ
て、足りない生活保護費と各種減免が受けられた
可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない
(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。
生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性
の姿が思い浮かぶ」と語っている(YAHOO
!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防
止策は 「貧困対策」ではないか!?」
2015.07.02)を受け、『下流老人』の感想を
掲載していく。   

  目 次   

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに

  第2章 下流老人の現実 

  ●ケース2〈うつ病の娘を支える永田さん(仮名)夫妻〉

  永田さん(77)は、妻(74)と、長女(48)の三人暮らしの男性である。夫妻は二人とも、
 生まれも育ちも埼玉県で、幼い頃からの知り合いだ。その縁もあって20代のときに結婚した。
 「高度経済成長もあって、金型工の職人として町工場に勤めてきた。給料は低かったけれど、
 マイホームも持てたし、娘も生まれて幸せだったね」と当時を振り返る。
  それから永田さんは、定年まで、県内にある小さな町工場で一生懸命に勤めてきたそうだ。
 「わたしはそこそこ腕がよくて、埼玉県知事から表彰されたし、高度経済成長を裏側で支え
 てきたと思う。今はブラスチック製品で溢れてるけど、昔は金属の加工技術がなければ、建
 築も何も進まなかったんだから」と、永田さんは自身の働きを評価している。

  当時は、大手企業からの下請けや孫請けの仕事が多く、給料は少なかったそうだ,それで
 もみんなで助け合えばお金がないことはそれほど苦にはならなかったという。ただ、一番の
 問題は別にあった。
 「長女が中学校のときのいじめが原因で、不登校になってしまってね。そのあと、一生懸命
 に生活や勉強をサポートして、短大を卒業させたけど、今もうつ病と闘っている。うつ病は
 想定外だったよ……」
  結局、長女は短大卒業後から今まで30年近く病気で一度も働けず、夫妻がずっと養育費や
 生活費を出してきたという。
  現在、永田さんは住み慣れた埼玉県内の一戸建てを売却して、民間賃貸アパートに住んで
 いる。家賃は9万円ほどだ。そこに三人で暮らしている.、

  大きな悩みは、長女の今後のことと、三人の生活費のことだという,
 「長女は働けないから、これまで生活の面倒を見てあげてきたけれど、今後も同じようにで
 きるかどうか。そんな余力はないと思うのだけれど……と、永田さんは不安を隠さない。

 
                            「年金だけが生活の命綱」

  自分たちの生活費に加え、娘の看病にお金がかかる。だから、二人の老後は非常に厳しい。
 現役時代の給料が低かったこともあり、厚生年金はニ人で月額17万円である。
 「年金だけが生活の命綱なんだ。なのに年金は上がらないし下がる一方だろう。そこに働け
 ない娘もいる。17万円ではとても暮らせないよ。夫婦二人が健康なうちは何とかなるけど、
 どちらかが病気になったらおしまい。なんだかんだ支出があって、貯金もできないような暮
 らしだし」

  夫妻には、今の生活を続けるだけの十分な貯蓄はなかった。永田さんは、「長女には一刻
 も早く自立してほしい。いつまでも面倒を見ていくのは難しいかもしれない」と本音をもら
 す。しかし、現状ではうつ病が治る見込みは薄いそうだ。
 「長女は調子がいいときであれば、わたしや妻と話をするけれど、体調が悪いと部屋から一
 歩も外に出ない。そのうえ、日常的な身の回りのことさえできない時期もあるから、身なり
 も汚くなってしまう」
  その日暮らしのギリギリの生活に、先の見えない娘の看病。このような状態が続けば、自
 然と親子ゲンカも絶えなくなる。
 「どうしても早く病気を治して自立してほしいから、「頑張って働いてみたらどうだ?」と
 言ってしまうこともある,そうすると「こんな人間をどこで雇ってくれるのよI」と反論さ
 れて、ケンカになってしまってね。もう我々では限界で……」

  住宅を手放しアパートに移り住んだのは、貯蓄が底をつき、長女の医療費を含めた援助が
 阪田″に達したためだ。
 「住み慣れた家を手放したくなかった。でも、生活費のためには仕方がない。当面はそのお
 金で暮らしていくしかないけれど、それもいつまでもつかわからない。不安で仕方がない」
 と話す。
  現役時代の永田さんには、老後の資金を蓄える余裕がなかったことがうかがえるし、長女
 の支援にほとんどの老後資金を費やしてきたことがわかる。
 「正直、長女なんていなければよかったと思ったときも何度もある。こいつがいなければこ
 んなに苦労することなんてなかったかもしれない。
  でも、中学時代にいじめにあったことを隠してきて辛かったのだと思う。わたしの仕事が
 忙しい時期で、十分に悩みを聞いて、相談にのってあげられなかったから。今なら、「無理
 して学校なんて行かなくていい」って話してやれるけど、当時は「学校に行きたくないなん
 て怠け者だ!」と叱責したそうなんだ,わたしは覚えていないんだけど、長女が繰り返しそ
 んなことを話すからね」
  永田さんの懺悔に、わたしは返す言葉に詰まった。

               

                                  自分は順風満帆でも、自分以外の「想定外」で 

  現在、永田さんの長女は、毎週欠かさず 精神科病院に通っているが、なかなか病気は良
 くならないそうだ。永田さんは「病気の悪化の原因をつくったのはわたしだから、できる限
 りは長女の面倒を見ていこうと思う。だけど、わたしが亡くなった後やこれから貯金が底を
 ついたときには助けてほしいと思って……」と、相談に訪れた理由を語ってくれた。さらに、
 「長女にはわたしたちが亡くなった後は、役所に相談に行って生活保護の手続きをするよう
 に繰り返し伝えています。長女のことが心配で今のままでは死んでも死に切れませんよ」と、
 言葉を続ける。

  三人暮らしで月額年金17万円程度では、決して豊かな生活は送れないだろう。現在、生
 活費は平均して月額26万円ほどかかっており、とくに長女の医療費や通院費の負担が重い
 という。二人暮らしなら何とかなるかもしれないが、長女の分があると毎月赤字だ……。
  永田さんのケースは、病気や事故といった家族の生活課題がいくつか重なると、年金だけ
 では生活ができなくなってしまうことがわかる事例だ.。
  ブラック企業、引きこもり、うつ病など、若者をめぐる問題が増え続ける昨今。永田さん
 夫妻のように、家族の病気や事故などが生活困窮の原因になっている相談も多い。自分たち
 はこれまで順風満帆にきたつもりでも、あるとき想定外のトラブルにつまずいてしまう。
 永田さん夫妻が現状を改善するにはどうすればいいか、その道筋はいまだ見えてこない。


 ●ケース3〈事務職員をしてきた山口さん(仮名)>


  山口さん(69)は、神奈川県出身の男性だ。大学入学と同時に、東京部に転居した。「大
 学に入学したのはいいけれど、当時は学生運動が盛んで、大学の授業なんてほとんどないの」と
 笑いながら当時を振り返
る。
 「大学にいても学費がかかるばかりだから、バカらしくなってしまって。だから大学を中退し
 て働き始めたんだよ」
  大学中退後は、神奈川県内にある建設会社の事務所などで、40年間事務職員として働い
 てきたという。
 「当時で片ったら年収も低いわけではなく、若い頃は300万くらいあったし、普通の暮ら
 しができていたんだよね。退職間際の年収は500万程度で、ボーナスもあった,何でこん
 な風な生活になっちやったかわからない」と語る。

  わたしたちのNPOへ生活相談に来られたとき、山ロさんはすでに家を失っており、ネッ
 トカフェで暮らしている状態だった。


               
「3000万円なんてあっという間に消えちやった」

  山口さんに家族はいない。
 「生涯独身で子どももいないんだよ。だから一戸建てなんて必要ないから買わなかった。営
 業とかいろいろあって買うか悩んだ時期もあったけどね。結局ずっと民間賃貸アパートに一
 人暮らし」だそうだ。やがて、体調を崩すことが増えたため、62歳のときに早期退職をして、
 退職金も受け取った。
 「そのときの退職金は、だいたい1500万円あったから老後の暮らしも安泰だと思ったね。
 そこそこ貯金もしていたから、合わせれば3000万円近くはあったかなあ」と振り返る。

  3000万円近くあった現金はどこに消えてしまったのだろうか。
 「3000万円なんてあっという問に消えちやったよ。俺、天涯孤独でしょ。一人だから誰
 にも面倒を見てもらうことができない,だから、せめて墓くらい自分で用意しておこうと思
 ったわけ。営業に来た会社に墓石や墓地の永代利用料を生きているうちに払っておこうと思
 って900万円くらい払ったんだよね」
  現在もその墓地には山ロさんのスペースが用意されており、墓石の写真を嬉しそうに見せ
 てくれた。

  ところが、山目さんも退職後に大きな病気に見舞われた,心筋梗塞を2度起こし、長期の
 入院と療養生活を余儀なくされたそうだ。
 「病院の医療費が高くてね。心臓の手術は難しいらしくて、診察代や薬代も高かった。入院
 したときも個室だったから、退院のときにすごい金を取られたよ。それも1年の問に2回倒
 れたもんだから大変」と話す。
  残りの貯蓄は、その医療費と生活費にすべて消えたそうだ,しかし、62歳からのたった7
 年間で、3000万円もの現金がなくなるものだろうか.
 
  わたしが「高額療養費助成制度は利用しなかったんですか?」と質問すると、
 「そういう制度があるってことを知らなかった」と言う。
 それから生活が破綻するまでは、あっという問だった,
 さらに山口さんは、年金に加入していなかった。
 「会社が厚生年金に加入していなかったので、年金を支払ってこなかったんだよね。給料が
 そこそこあったんだし加入しておけばよかったと思うけど、今さら後悔しても遅いよな」と
 語る。
  本来、法人には厚生年金に加入する義務があるが、中小零細には加入していない企業も多
 い。とはいえ山ロさんが国民年金も厚生年金も未加入のままだったのは、貯蓄があれば何と
 かなると思ったからかもしれない。退職金もあるからとの油断もあったのだろう。しかし、
 その期待は見乍に裏切られた。

  山口さんは現在、治療を受けながら生活保護で暮らしている。高額な医療費は、とても山
 口さんの年金額だけではまかないきれないからだ,
 「健康だった自分がまさか立て続けに病気になるとは思ってもいなかった」「ましてや生活
 保護申請をする事態になるなんて想像していなかった」と繰り返し話している。


  ●ケース4〈地方銀行に勤めていた藤原さん(仮名)>

  藤原さん(67)は、地方の大学を卒業した後、銀行員として埼玉県内で61歳まで働いた。
 その問に結婚もして、娘も一人育ててきた,今は娘も大きくなり、結婚して家を出ている。
  一見、何の不自由もなさそうに見えるが、じつは藤原さんには認知症の症状があり、アパ
 ートを追い出され、埼玉県内の公園で生活しているところを親族からの相談で発見された。

  わたしが公園で声をかけると、
 「ありがとう、ありがとう。困っていたんだよ。家に帰れなくなってしまってね」と痩せた
 身体から声を絞るように話してくれた。
  藤原さんが変調をきたしはじめたのは、50代半ばからである。
  親族によれば、「得意であったはずのお金を数える業務などが、うまくできなくなってき
  たそうで、仕事上のストレスを家族にぶつけてケンカが絶えなくなった」と言う。
 その頃から、感情の起伏も激しくなり、見かねた娘は家出同然で出て行き、そのまま結婚し
 たそうである。
  そのような状態から、銀行でも退職を促されるかたちで、早期退職をした。藤原さんにそ
 のことを尋ねてみると、「会社で嫌がらせをしてくる上司がいて嫌になって辞めたの]と話
 す。親族と藤原さんの捉え方には違いがあるようだ。

  そして退職後は、せっかくの退職金を湯水のごとく飲食代に使うという行動に走り、夫婦
 関係はいよいよ破綻を迎える。それについて藤原さんは、「仕嘔をしていたときから付き合
 いのある飲み屋やスナックに行かないといけなかったから仕方がない」と話している。
  銀行員、大企業の社員も、例外ではない
  その後、藤原さんは妻との離婚協議を進め、資産や年金は、半々に分配されることになっ
 た。60代にして月額12万円の厚生年金で一人暮らしである。
  銀行員で、現役時の給料が高かったとしても、年金の半分を分配してしまえば、決して多
 い金額ではないことがわかる。

  この約12万円という金額は、埼玉県内の生活保護基準を若干下回る水準であり、生活保
 護申請を行えば、受給が可能なレベルのものだった,
  そして一人暮らしになったことで、さらに年金や老後の資金を散財してしまい、ついにア
 パートの家賃滞納などもはじまった。「お金はいくらあっても足りなくて,いろいろなとこ
 ろから督促がくるでしょ。覚えていないこともあるけど、払わなきや仕方がないからね」と
 困ったように、藤原さんは公園のベンチに腰掛けながら話す。
 3か月分の家賃を滞納したところで、「これ以上の家賃滞納は迷惑だし我慢できないから出
 て行ってくれ」と、大家から退去を言い渡された。その後数か月間、藤原さんは埼玉県内の
 公園で路上生活をすることになる。

  滞納した家賃は、長女が立て替えて支払い、アパート退去費用も100万円ほど捻出した
 そうだ。しかし、長女の家族も生活に余裕がなく、これ以ヒは父親の面倒を昆ることができ
 ない。そのため「父親が野宿生活をしている公園へ行って支援してほしい」という連絡をい
 ただいた。
  わたしが藤原さんとはじめて面会したのは、夏の暑い日だった。身なりはボロボロで、意
 思の疎通も難しく、会話が成立しないこともあった。面会した心丿初から認知症の症状を疑
 いながら聞き取りを行ったがやはりその通りだった。

  その後、NPOが運営するシェアハウスで保護し、藤原さんの介護保険の申請や病院への
 同行、借金の整理や金銭管理などを行ってきた。藤原さんは、シェアハウスに入居した日に
 「こういうNPOがあるのなら、公園で生活する必要はなかった。仏様のお導きだね」と嬉
 しそうに語っていた。藤原さんには信じている宗教があり、お布施や寄付なども積極的に行
 っていたそうだ。宗教団体は藤原さんの状態を知っているかどうかわからないが、定期的に
 寄付を求めていたようだ,

  認知症が重くなる以前から、おそらく藤原さんには若年性認知症の傾向があった,職場や
 家族との関係性が悪化したのも、それが原因ではないかと思われる,藤原さんを診断した主
 治医の精神科医からも、同様の指摘を受ける場面があった。
  そして、藤原さんがド流化した最も大きな要因は、自分も周囲の人々も認知症に気づかず、
 生活を続けてしまっていたことにある。それに熟年離婚が重なり、年金を妻と折半したこと
 が追いうちをかけた。
  たとえ現役時代の収入が多くても、たちどころに生活が立ちゆかない水準まで、落ちてし
 まうことを理解できる事例である。
  一般に高給取りとされる銀行員であっても、いくつかの問題を契機に下流化してしまうの
 だ。絶対に大丈夫と言える人は、日本社会において、どれほどいるだろうか。




                                        下流老人をめぐるいくつかの資料から

  ここまでは下流流老人の実例を示してきた。これらは間違っても「誰か知らない人」だけ
 の問
題ではない。以ド、その根拠を各鮭統計データからも示していきたい。
  厚生労働省の「平成25年国民生活基礎調査の概況」によると、全世帯の1年間の平均所
 得金額が537万2000円なのに対し、高齢者世帯は、309万1000円で
ある。その差
 は、
約230万円と大きい。そして同資料によると、高齢者世帯のじつに90・1%は、全
 世帯の
平均所得金額を下回る。

  
要するに、高齢者になると所得が現役の頃よりも激減するのだ,
 「そりやあ、年をとったら働けないし、収入が低くなるのは当たり前だよ」あるいは「高齢
 者になったら、そんなに消費するものもないし、現役時代ほど収入は必要ないだ
ろう」と思
 われるかもしれない。

  しかし問題は、収入の下げ幅に対して、支出は思ったほど減らないということだ。
  そればかりか、"思定外"の事態により、多額の支出が発生するリスクを多く抱えてい、
 ほどの事例からもわかるように、医療費や介護費など、高齢期には想定していな
い出費が伴
 う。食費や子どもの教育費などは減るが、別項目の支出が増えることを理
解しなければなら
 ない。


  また、前出の資料はあくまで平均値なので、実際には多くの高齢者世帯は、約31
0万円な
 どという収入を得ていない。中央値は250万円だ。にもかかわらず、さら
に支給額を引き下
 げるための年金制度改革が進められようとしている。今後はなおさ
らのこと、高齢期に至る
 までに貯蓄などの準備をしておかないと、誰でも老後が崩壊
するリスクがあると言える。

                  働いて稼いでる額は、全収入のせいぜい2割

  さらに、「所得の鮭類別の状況」を見ると、高齢者世帯における一世帯あたりの平均
所得
 の内訳は「公的年金・恩給」が68・5%、「稼働所得」が18・0%となっている。 
  
つまり、高齢期に働いて得られる収入は、全収入の2割に満たないということだ,
  ここから現在の高齢者の生活が、いかに年金に依存しているかがわかる。特殊なケースを
 除き、高齢者が十分な収入を得られる仕事や雇用は多くないし、高齢者の雇用
を促進すれば、
 若者の労働市場が奪われる弊害だって出てくるはずだ。


  「年金で足りない分は、働いてなんとかする」と考えている方は、相当な覚悟をして
おく
 必要があるだろう。

  また、同じ調査によれば、貯蓄、借入金の状況は、高齢者世帯では、「貯蓄あり」が77
 9%、「貯蓄なし」が16・8%となっている。

  さらに「貯蓄なし」を含めた100万円未満の世帯は24%であり、200万円未満の世
 帯まで入れると30・3%と極めて多い。貯蓄が200万円未満だと、生活上、大
きな支出に
 見舞われた際には家計が維持できない水準である。また、貯蓄がある高齢
者とない高齢者に
 二分されているのも特徴であり、端的に貯蓄額だけ見ても大きな
「匯代内格差{があること
 がわかる。

 
  一方、借入余の有無に関しては、「借入金あり」が8・6%、「借入金なし」が77・

 %である。借入金の平均額は99万2000円だが、今後も借入金がある高齢者がど
れだけ増
 えるのか、あるいは借入金額が増えていかないか注視していく必要がある。
  
また、貯蓄の増減に関しては、高齢者世帯の43・9%が「貯蓄が減った」と答えている。
 その理由としては「日常の生活費への支出」が73・2%と最多である。当たり
前だが、日常
 的な収入が低ければ、これまで蓄積した資金を取り崩して生活するしか
なく、決して浪費や
 散財しているわけではない様子が見て取れるだろう。


  そして生活意識について聞いてみると、生活が「やや苦しい」(31・I%)と「大変

 しい」(23・2%)と答えている高齢者世帯は、合計で54・3%にまで及ぶ。

  このように、高齢者の貧困は進行し続けているし、すでに多くの人々が下流老人になり始
 めているのだ。


                          支援しても減らない下流老人


  わたしはソーシャルワーカーとして、12年間活動してきたが、生活困窮の相談者は
一向に
 減らない。そればかりか近年は顕著に増えている。一般的に考えて、支援活動
が広がり、あ
 る程度の生活改善が行えたら、困窮者は減っていくはずである。そし
て、いつの日か困窮者
 がいなくなれば、わたしのような支援者は必要なくなるはずだ
と思っていた。しかし、活動
 しても活動しても、新しい困窮者が湯水のように溢れて
きている。

  たとえば、湖でボートに乗っているとする。そのボートの底に穴が開いていて、浸水して
 きたら、皆さんはどうするだろうか。水をポートの外にかき出して、沈まない
ようにしよう
 と試みるかもしれない。あるいは、これ以上浸水しないように、手や付
近にあるもので、穴
 を塞ぐよう試みるかもしれない,いずれにしても「あ~、浸水し
てきているな!」と、ただ
 ただボーっと見ていることはないはずである,

  わたしはこれまでの活動は、水をかき出している状況であったと思っている。次々に訪れ
 る相談者からの依頼を受けて、その場その場で最善の方策を考えて、支援活動を展開してい
 く。しかし、そもそも水をかき出してもボートには穴が開いているのだ。どれだけ支援して
 も次々に浸水してくる。

  この穴をどうしたら塞げるのか考えなくてはならない,そうしないと、やがてボートは沈
 んでしまうだろう。つまり、下流老人の問題は、対処療法ではなく、社会問題として根本か
 ら対策を立てなければ、手遅れになるということだ。
  わたしたちは生活相談を受け、支援を行うことを「ミクロ実践」と呼んでいる。このミク
 ロ実践だけでは、社会問題化した下流老人の現象には対応しきれない。マクロ実践を展開し、
 制度や政策、人々の意識や考えを変えない限り、下流老人の問題はなくならないのだ。
  その対策を講じるために、まずは下流老人の現実をしっかりと見つめてほしいと思う。

                                                     この項つづく



● 夏だ!鱧落としの季節


たまには、下流老人も、駅前の寿司割烹『銀水』の鱧落としをパッといただくことに。  

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

時代は太陽道を渡る。

2015年07月15日 | 新自給自足時代

 

  


   九条の問題に関しては非戦と反戦しかない。  /  吉本隆明 

 

  株式会社海洋牧場

● ニンニクスプラウトの衝撃

急激な猛暑に家族は悲鳴をあげている。こんな日は、ホルモン、とくに好物のミノを焼きながら、
オイル焼
のニンニクを交互に頬張り食べた後、フォームフルなビールを流し込めばご機嫌。そん
なことを思い浮か
べながら、場所と日を決めているところだ。ところが、ニンニクスプラウト
るものがでまわっていることを知りチョットした衝撃をうける。その先駆的企業が株式会社海洋
牧場だという。

ニンニク自体には強烈な臭いがあることから、これを生のまま食することはほとんど無く、一部
の嗜好家などにより、天ぷら油などにより唐揚げや直火による加熱処理等にし食さ
れているにす
ぎない。一方、ニンニクの若い生葉或いは茎は、ニンニクの鱗茎に比較して臭いが少なく、また
香味などの刺激も低く、油炒めや煮物などに適する青物野菜として利用されているるものの葉や
茎が硬いといった問題がある。

これに対し(1)ニンニクの球根(地下茎)を水耕栽培に際し、球根の底部のみを水や養液水に
浸し、球根からの発芽と根の育成をおこないつつ、(2)球根からの根の育成を阻害しないよう
然の状態で自由に育成する。(3)また、球根からの発芽が開始された時点から球根に対する
給水を間歇的に行い、極めて簡単にニンニクスプラウトを製造できる。(4)さらに、水耕栽培
方法を通常の日照条件下で行えば、緑色野菜としてのニンニクスプラウトが、(5)さらにニン
ニクの球根を筒状体により覆った簡便な暗室条件下で栽培すれば、黄白色野菜として製造できる。

つまり、ニンニク球根を、網目状を有する栽培カゴ上に載置して、その状態で栽培槽に収容し、
栽培カゴ上に載置したニンニク球根の底部が水中に位置するよう水又は養液水を栽培槽内で水位
調整と循環給水させ、栽培カゴ上でニンニク球根よりニンニク若芽を生育させることで、ニンニ
ク球根を、網目状の栽培カゴ上に載置し、その状態で栽培槽に収容し、栽培カゴ上に載置した球
根の底部が水中に位置するよう水や養液水を栽培槽内で水位調整並びに循環給水、栽培カゴ上で
ニンニク球根より若芽を生育方法が提案されている
(下図の上をダブルクリック)。

ところで、最近は、各種の十文字植物や緑黄野菜のスプラウト(発芽若芽)の栄養価が着目され
野菜スプラウト――例えば、古くからは大豆、小豆等のスプラウト(モヤシ)を始め、かいわれ
大根、そば、ブロッコリー、キャベツ等の――が登場し、生食野菜として波及しているが、ニン
ニクスプラウトの水耕栽培方法は、通常の土壌栽培方法に比較して簡便で、天候に左右されず容
易に暗室状態下で、緑色ニンニクスプラウトを比較して柔らかく、味、香りがまろやかで、また
栄養価が高い黄白色ニンニクスプラウトが継続的に得られるため、これをさらに、40℃の低温
風乾燥→ハンマーミルなどで細かく裁断、この微粉末状に粉砕して得たニンニクスプラウトの粉
末状物質にすることで、スーパーオキサイド(SOD)消去活性作用、ヒドロキシラジカル消去
活性作用、また、一重項酸素消去活性作用等の抗酸化活性が高く、健康食品、特定保健食品の応
用性も高く、食品調味料、食品香味料として使用することができる極めて高い抗酸化活性作用を
もっている(下図の上をダブルクリック)。


なるほど、ニンニクも発想法をかえれば、スプラウトニンニクこのように連続生産できるダウン
スペーシング農法(植物工場工学)が進行する”新自給自足時代”を強く再認識するとともに、
現在TPP締結交渉に躍起となっている農水省などの関係官僚や政府には申し訳ないが、時代の
先が見えていない、あるいは遅れている――「改革せよ、改革を迫られる前に」(ジャック・ウ
ェルチ)の言葉とともに――思いが過ぎる。

   


【再エネ百パーセント時代: 時代は太陽道を渡る

●オランダの「太陽光発電する道路」は好調、累計3千キロワットアワー超

オランダの応用科学研究機関(TNO)などが開発した、太陽光発電する道路「SolaRoad」による
実証が、順調に推移している。太陽光発電機能を持つ世界初の道路で、TNOが主導するコンソー
シアムは6月、最新の発電状況を公開。SolaRoadは、自転車用の道路に、太陽電池セルを面状に
並べた部材を敷き詰めたもの。長さ2.5メートル×3.5メートルのブロックを敷いて構成。セ
ルを厚さ1センチの強化ガラスで覆い保護する。アムステルダム近郊のクロメニー(Krommenie
付近にある自転車用道路で、約70センチの実証設備の運用を14年11月に開始。実証試験の
間は3年間。

6月の発表では、現在までのエネルギー収率)が、事前の予想を超えて好調に推移。約半年間の
合計発電量は、3千キロワットアワー以上に到達。単身世帯の年間消費電力に相当する量となり
電動スクーターで地球を2.5周走れる量に相当。
単位面積当たりの発電量に換算すると、年間
平均で約70キロワットアワー/平方メートルに相当。この数値は、設計時に上限想定値という。
稼働後、約半年間という早期にこの値を実現できたことは、予想以上の成果だとしている。

 

 

 

● テキサスとネバダ メガソーラー発電コスト4.8円/キロワットアワー達成

テキサス州オースティン市が運営する電力会社米Austin Energy社は今年4月に連系出力6百メガ
ワット相当のメガソーラーの一般競争入札を行い、5月中旬の公募締め切りまでに、なんと募集
の約13倍に相当する8千メガワット(8ギガワット)近くの応募があったと発表。さらに、応
募された8千メガワットの内、1295メガワット分の太陽光発電コストは、4.8円/キトワ
ットアワーを切った。

さらに、ネバダ州で民営電力会社の米NV Energy社から似たような発表。同社は百メガワットの
メガソーラーからの電力を4.7円/キロワットアワーで購入するという契約をしたという。この
メガソーラーは米ファーストソーラーによって現在開発中の「Playa Solar 2 」である。

 2015.07.09

オースティン
市(テキサス州)は、人口は百万人以上、同市運営の電力会社は、再生可能エネル
ギーの普及に向
けた取り組みを今までに積極的に推進。太陽光発電導入でも全米公営電力会社の
中で7位。20
年までに再生可能エネルギーによる電力の発電比率を35パーセントの目標設定
を行う。35パ
ーセントには2百メガワット新規太陽光発電が含まれる。

普及しているメガソーラーはモジュール変換効率で20%未満が大半であるが『デジタル革命渦
』のセオリーに基づけば、25%超が普及すれば、2~3セント/キロワットアワーで、設置
面積施工費も現在の7割以下に逓減していくことは容易だろう。そのトップランナーに日本がい
るかどうかは一重にメーカの情熱次第となろう。




 

 ● 今夜の一品

ガーリック型の遊び心溢れる食器


これは、洒落た積み重ね食器

● 「新国立」建設にみる阿保さ加減 

結局のところ、無責任体制、空洞のドーナッツ利権に群がる蟻ということで腑に落とす。
優先すべき事は山とあるのにね~ぇ ^^;。 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする