極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

持続可能戦略電子デバイス製造論 ①

2024年02月09日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。

       薄紅色の椿咲く庭出でてともに蕎麦はむ月命日
                             



日本原産の花であり、古くから愛されてきた「椿」。その歴史は古く、日本最古
の歌集「万葉集」にも椿をもちいた歌があるほど。光沢のある深い緑の葉が特徴
的な花、種子からとれる「椿油」は髪や肌のケアにも人気で、実は、椿にはたく
さんの種類がある。花の色や形、大きさなどによってそれぞれに名前をもつ。そ
の数は1000種以上といわれ、馴染みのある椿は「ヤブツバキ」「ユキツバキ」と
呼ばれる。
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ツバキはツバキ科ツバキ属の常緑高木で、光沢のある濃い緑の葉をもつ。名前の
由来には諸説があり、厚みのある葉の意味で「あつば木」、つややかな葉の「艶
葉木(つやばき)」、光沢のある葉の「光沢木(つやき)」、ほかにもまだある
が、花より葉の美しさが名前の由来とされる説が多いのもおもしろい。和名とし
てのツバキは野生種のCamellia japonicaのこと、一般的に本種を交配親にもつ園芸
品種も単にツバキとして扱われる。学名:Camellia japonica 和名:ツバキ(椿)
その他の名前:ヤブツバキ、ヤマツバキ 科名 / 属名:ツバキ科 / ツバキ属(
カメリア属):‘太郎冠者"(たろうかじゃ) Camellia japonica花色は紫みを帯び
たピンクで、1月から4月に咲く早咲きの一重中輪。江戸時代から茶花として珍重
されてきた。別名‘有楽’。紫味を帯びた花色や、子房が有毛であることなど、
中国のツバキの特徴も示すが詳細は不明。葯は退化して花粉をつくらないがタネ
をつける性質はあり、タネをまくと白芯の個体が生まれることが多いことから、
‘胡蝶佗助’‘数寄屋’など数あるワビスケツバキの母木であると推測されてい
る。
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浄案時 椿寺

 耐水性と超柔軟性を備えた超薄型有機太陽電池を開発



 長期耐久性のペロブスカイト太陽電池開発


溶液を塗ることで形成可能な半導体は、高真空を必要とする従来の半導体に比べ
安価な装置で大面積の形成が可能であるため、 IoT用途のRFIDタグや多目的セン
サなど様々な応用が期待されている。"塗れる"半導体の代表として、パイ電子系
分子の集合体である有機半導体が盛んに研究され、例えば、p型有機半導体にお
いては電荷移動度)10 cm2 V-1 s-1の単結晶ウエハーを塗る技術が開発されるな
ど、実用化に向けた材料および技術の開発を牽引してきた(J. Takeya, et al., Scie-
ntific Reports 2019; https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/8160.html
)。
半導体デバイスの重要な用途として、RFIDタグにも使用されるp型薄膜トランジ
スタ(TFT)とn型TFTとをペアにした相補型インバータ(p型TFTとn型TFTとを一
つずつ直列に接続することで構成、論理回路の中で "0"と"1"の 信号レベルを反
転させる。NOTゲートとも呼ばれる)などを用いた論理回路があるが、 高速動作
と集積化のため p型有機半導体の高性能化が進む一方で、同等技術で組み合わせ
可能かつ同等の性能を示すn型有機半導体の欠如が弊害となっているが、昨年1月
26日。東京大学の研究グループは、塗れる有機半導体を環境因子によるダメージ
無く酸化物半導体と集積することで、超高速動作が可能な有機無機ハイブリッド
相補型発振回路を開発(下記に掲載)しているように、有機薄膜太陽電池やハイ
ブリッド型ペロブスカイト太陽電池のように無機(金属)を含むハイブリッド型
有機電子デバイスは、廃棄時に、金属(無機)部を燃焼処理し有価及び有害物の
再利用容易で持続可能社会に不可欠な戦略デバイス(製品)のひとつである。


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1.特開2023-155211 有機半導体デバイス 株式会社半導体エネルギー研究所
【要約】
図3のごとく絶縁層上に形成された複数の発光デバイスのうちの一つであって、第
1の電極と、第2の電極と、有機化合物層を有し、前記有機化合物層は、第1の電
極と、第2の電極との間に位置し、前記有機化合物層は、第1の化合物を含む層を
有し、前記第1の化合物は、示差走査熱量測定において、第1の加熱により溶融し
た状態から冷却を行い、続けて第2の加熱を行った際、前記冷却過程において発熱
ピークが観測されず、且つ、前記第2の加熱過程において発熱ピークと融点ピーク
が観測されない物質である有機半導体デバイスで高精細且つ信頼性が良好な有機
半導体デバイスを提供する。

図3 図3(A)乃至図3(C)は、発光デバイスについて表す図.
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【符号の説明】
100A 表示装置 100B 表示装置 100E 表示装置 100D 表示装置
101a 第1の電極 101b 第1の電極 101 第1の電極 102 第2の電
極 103a 有機化合物層 103B 有機化合物層 103b 有機化合物層 10
3Bf 有機化合物膜 103G 有機化合物層 103Gf 有機化合物膜 103R
有機化合物層 103Rf 有機化合物膜 103 有機化合物層 104 第1の層
104R 第1の層 104G 第1の層 104B 第1の層 105 第2の層 11
0B 副画素 110G 副画素 110R 副画素 110 副画素 111a 正孔注
入層 111b 正孔注入層 111 正孔注入層 112 正孔輸送層 112a 正孔
輸送層 112b 正孔輸送層 112B 導電層 113 発光層 113a 発光層
113b 発光層 114 電子輸送層 114a 電子輸送層 114b 電子輸送層
115 電子注入層 116 電荷発生層 117 P型層 118 電子リレー層 11
9 電子注入バッファ層 120 基板 122 樹脂層 125f 無機絶縁膜 125
無機絶縁層 126R 導電層 126B 導電層 127a 絶縁層 127f 絶縁膜
127 絶縁層 128 層 129R 導電層 129B 導電層 130a 発光デバ
イス 130B 発光デバイス 130b 発光デバイス 130G 発光デバイス
130R 発光デバイス 130 発光デバイス 131 保護層 132B 着色層
132G 着色層 132R 着色層 140 接続部 141 領域 142 接着層
151B 導電層 151C 導電層 151f 導電膜 151G 導電層 151R
導電層 151 導電層 152B 導電層 152C 導電層 152f 導電膜 15
2G 導電層 152R 導電層 152 導電層 153 絶縁層 155 共通電極
156B 絶縁層 156C 絶縁層 156f 絶縁膜 156G 絶縁層 156R
絶縁層 156 絶縁層 157 遮光層 158B 犠牲層 158Bf 犠牲膜 15
8G 犠牲層 158Gf 犠牲膜 158R 犠牲層 158Rf 犠牲膜 159B
マスク層 159Bf マスク膜 159G マスク層 159Gf マスク膜 159
R マスク層 159Rf マスク膜 166 導電層 171 絶縁層 172 導電層
173 絶縁層 174 絶縁層 175 絶縁層 176 プラグ 177 画素部 17
8 画素 179 導電層 190B レジストマスク 190G レジストマスク 1
90R レジストマスク 191 レジストマスク 201 トランジスタ 204 接
続部 205 トランジスタ 211 絶縁層 213 絶縁層 214 絶縁層 215
絶縁層 221 導電層 222a 導電層 222b 導電層 223 導電層 224
B 導電層 224C導電層 224G 導電層 224R 導電層 231 半導体層
240 容量 241導電層 242 接続層 243 絶縁層 245 導電層 254
絶縁層 255 絶縁層 256 プラグ 261 絶縁層 271 プラグ 280 表示
モジュール 281 表示部 282 回路部 283a 画素回路 283 画素回路部
284a画素 284 画素部 285 端子部 286 配線部 290 FPC 291
基板 292 基板 301 基板 310 トランジスタ 311 導電層 312 低抵
抗領域 313 絶縁層 314 絶縁層 315 素子分離層 351 基板 352 基
板 353 FPC 354 IC 355 配線 356 回路 501 第1の電極 5
02 第2の電極 513 電荷発生層 700A 電子機器 700B 電子機器 72
1 筐体 723 装着部 727 イヤフォン部 750 イヤフォン 751 表示パ
ネル 753 光学部材 756 表示領域 757 フレーム 758 鼻パッド 80
0A 電子機器 800B 電子機器 820 表示部 821 筐体 822 通信部 8
23 装着部 824 制御部 825 撮像部 827 イヤフォン部 832 レンズ
1117 遮光層 6500 電子機器 6501 筐体 6502 表示部 6503
電源ボタン 6504 ボタン 6505 スピーカ 6506 マイク 6507 カメ
ラ 6508 光源 6510 保護部材 6511 表示パネル 6512 光学部材 6
513 タッチセンサパネル 6515 FPC 6516 IC 6517 プリント
基板 6518 バッテリ 7000 表示部 7100 テレビジョン装置 7151
リモコン操作機 7171 筐体 7173 スタンド 7200 ノート型パーソナル
コンピュータ 7211 筐体 7212 キーボード 7213 ポインティングデバ
イス 7214 外部接続ポート 7300 デジタルサイネージ 7301 筐体 7
303 スピーカ 7311 情報端末機 7400 デジタルサイネージ 7401
柱 7411 情報端末機 9000 筐体 9001 表示部 9002 カメラ 90
03 スピーカ 9005 操作キー 9006 接続端子 9007 センサ 9008
マイクロフォン 9050 アイコン 9051 情報 9052 情報 9053 情報
9054 情報 9055 ヒンジ 9171 携帯情報端末 9172 携帯情報端末
9173 タブレット端末 9200 携帯情報端末 9201 携帯情報端末
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【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁層上に形成された複数の有機半導体デバイスのうちの一つであ
って、 第1の電極と、第2の電極と、有機化合物層を有し、 前記有機化合物層は、
前記第1の電極と、前記第2の電極との間に位置し、 前記有機化合物層は、前記
複数の有機半導体デバイス各々が独立して有する第1の層を含み、 前記第1の層
は、第1の化合物を含み、 前記第2の電極は、前記複数の有機半導体デバイスが
共有する連続した層であり、 前記第1の電極は、前記複数の有機半導体デバイス
各々において独立した層であり、 前記第1の化合物は、 示差走査熱量測定におい
て、25℃以下から第1の加熱を行い、 450℃および示差熱天秤装置で測定し
た3%重量減少温度(℃)より50℃減じた温度のうち低い方の温度で3分間保持
し、40℃/min以上の冷却速度で冷却を行い、25℃以下において3分間保持
し、40℃/min以上の昇温速度で前記第1の加熱後の保持温度まで第2の加熱
を行った際、前記冷却過程において観測される発熱ピークのエネルギーが0J/g
以上20J/g以下、且つ、前記第2の加熱過程において観測されるベースライン
シフトを伴わない吸熱ピークのエネルギーが0J/g以下-20J/g以上となる
化合物である有機半導体デバイス。 【請求項2】 絶縁層上に形成された複数の有
機半導体デバイスのうちの一つであって、 第1の電極と、第2の電極と、有機化
合物層を有し、 前記有機化合物層は、前記第1の電極と、前記第2の電極との間
に位置し、前記有機化合物層は、前記複数の有機半導体デバイス各々が独立して有
する第1の層を含み、前記第1の層は、第1の化合物を含み、 前記第2の電極は、
前記複数の有機半導体デバイスが共有する連続した層であり、 前記第1の電極は、
前記複数の有機半導体デバイス各々において独立した層であり、 前記第1の電極
と、前記複数の有機半導体デバイスのうち隣接する有機半導体デバイスの有する前
記第1の電極との間隔は、2μm以上5μm以下であり、前記第1の化合物は、示
差走査熱量測定において、25℃以下から第1の加熱を行い、450℃および示差
熱天秤装置で測定した3%重量減少温度(℃)より50℃減じた温度のうち低い方
の温度で3分間保持し、40℃/min以上の冷却速度で25℃以下まで冷却を行
い、25℃以下において3分間保持し、40℃/min以上の昇温速度で前記第1
の加熱後の保持温度まで第2の加熱を行った際、 前記冷却過程において発熱ピー
クが観測されず、且つ、前記第2の加熱過程において発熱ピークと融点ピークが観
測されない化合物である、 有機半導体デバイス。
【請求項3】 請求項2において、 前記第1の化合物が、前記示差走査熱量測定に
おける前記第2の加熱過程において、 0J/g以上20J/g以下の発熱ピーク
が観測される物質である有機半導体デバイス。
【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、前記第1の化合物
が、前記第2の加熱過程において、示差走査熱量測定におけるベースラインの吸熱
側へのシフトが観測され、且つ前記ベースラインシフトにともない吸熱ピークが検
出される物質である有機半導体デバイス。
【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、 前記第1の層は電
子を輸送する領域を有し、前記電子を輸送する領域は前記第一の化合物を有する有
機半導体デバイス。
【請求項6】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項の有機半導体デバイスにおい
て、前記第1の層が形成された後、加熱工程を経て作製された有機半導体デバイス。

【概要】
【背景技術】近年、表示装置は様々な用途への応用が期待されている。例えば、大
型の表示装置の用途としては、家庭用のテレビジョン装置(テレビまたはテレビジ
ョン受信機ともいう)、デジタルサイネージ(Digital Signage:
電子看板)、及び、PID(Public Information Displa
y)等が挙げられる。また、携帯情報端末として、タッチパネルを備えるスマート
フォン及びタブレット端末などの開発が進められている。また、同時に、表示装置
の高精細化も求められている。高精細な表示装置が要求される機器として、例えば、
仮想現実(VR:Virtual Reality)、拡張現実(AR:Augm
ented Reality)、代替現実(SR:Substitutional
Reality)、及び、複合現実(MR:Mixed Reality)向けの
機器が、盛んに開発されている。
表示装置としては、発光デバイス(発光素子ともいう)を有する発光装置が開発さ
れている。エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、
以下ELと記す)現象を利用した発光デバイス(ELデバイス、EL素子ともいう)
は、薄型軽量化が容易である、入力信号に対し高速に応答可能である、直流定電圧
電源を用いて駆動可能である等の特徴を有し、表示装置に応用されている。
有機ELデバイスを用い、より高精細な発光装置を得るために、メタルマスクを用
いた蒸着法に代わって、フォトレジストなどを用いたフォトリソグラフィ法による
有機層のパターニングが研究されている。フォトリソグラフィ法を用いることによ
って、EL層の間隔が数μmという高精細な表示装置を得ることができる。
【特許文献1】 特表2018-521459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
 上述のようにフォトリソグラフィ法により加工を行う過程においては、どうして
もある程度の熱をかける工程が必要となる。しかし、有機化合物層の耐熱性が低い
ことから十分な熱がかけられず、性能(特に表示性能、効率および信頼性)の高い
有機半導体デバイスを得ることが困難であった

そこで本発明の一態様は、有機化合物を用いた有機半導体デバイスにおいて、製造
工程中における加熱に強い有機半導体デバイスを提供することを目的の一つとす
る。または、本発明の一態様は、製造工程中における加熱に強い発光デバイスを提
することを目的の一つとする。または、本発明の一態様は、製造工程中における
加熱に強いフォトダイオードセンサを提供することを目的の一つとする。または、
本発明の一態様は、耐熱性の良好な有機半導体デバイスを提供することを目的の一
つとする。本発明の一態様は、耐熱性の良好な発光デバイスを提供することを目的
の一つとする。本発明の一態様は、耐熱性の良好なフォトダイオードセンサを提供
することを目的の一つとする。または、本発明の一態様は、表示性能の良好な有機
半導体デバイスを提供
することを目的の一つとする。本発明の一態様は、表示性能
の良好な発光デバイスを提供することを目的の一つとする。または、本発明の一態
様は、高密度に配置することが可能であり且つ耐熱性または表示性能の良好な発光
デバイス
を提供することを目的の一つとする。または、本発明の一態様は、高精細
な表示装置を提供することが可能であり且つ耐熱性または表示性能の良好な発光デ
バイスを提供することを目的の一つとする。または、本発明の一態様は、表示性能
の高い表示装置を提供することを目的の一つとする。または、本発明の一態様は、
高解像度であり且つ表示性能が良好な表示装置を提供することを目的の一つとする。
または、本発明の一態様は、表示品質が良好であり且つ表示性能の良好な表示装置
を提供することを目的の一つとする。または、新規な表示装置、新規な表示モジュ
ール、新規な電子機器を提供することを目的の一つとする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一
態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。明細書、
図面、請求項の記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。

【課題を解決するための手段】 【0015】
そこで本発明の一態様では、特定の測定方法により示差走査熱量測定を行った際、
冷却過程において発熱ピークが観測されず、且つ、二度目の加熱過程において発熱
ピークと融点ピークが観測されない化合物を用いた有機半導体デバイスを提供する。
このような有機半導体デバイスは、作製工程中の加熱に強いため、特性の良好な有
機半導体デバイスとすることが可能である。 
すなわち、本発明の一態様は、絶縁層上に形成された複数の有機半導体デバイスの
うちの一つであって、第1の電極と、第2の電極と、有機化合物層を有し、前記有
機化合物層は、第1の電極と、第2の電極との間に位置し、前記有機化合物層は、
前記複数の有機半導体デバイス各々が独立して有する第1の層を含み、前記第1の
層は、第1の化合物を含み、前記第2の電極は、前記複数の有機半導体デバイスが
共有する連続した層であり、前記第1の電極は、前記複数の有機半導体デバイス各
々において独立した層であり、前記第1の化合物は、示差走査熱量測定において、
25℃以下から第1の加熱を行い、450℃および示差熱天秤装置で測定した3%
重量減少温度(℃)より50℃減じた温度のうち低い方の温度で3分保持し、40
℃/min以上の冷却速度で25℃以下まで冷却を行い、25℃以下において3分
保持し、40℃/min以上の昇温速度で前記第1の加熱後の保持温度まで第2の
加熱を行った際、前記冷却過程において発熱ピークが観測されず、且つ、前記第2
の加熱過程において発熱ピークと融点ピークが観測されない化合物である、有機半
導体デバイスである。または、本発明の他の一態様は、絶縁層上に形成された複数
の有機半導体デバイスのうちの一つであって、第1の電極と、第2の電極と、有機
化合物層を有し、前記有機化合物層は、第1の電極と、第2の電極との間に位置し、
前記有機化合物層は、前記複数の有機半導体デバイス各々が独立して有する第1の
層を含み、前記第1の層は、第1の化合物を含み、前記第2の電極は、前記複数の
有機半導体デバイスが共有する連続した層であり、前記第1の電極は、前記複数の
有機半導体デバイス各々において独立した層であり、前記第1の化合物は、示差走
査熱量測定において、25℃以下から第1の加熱を行い、前記第1の加熱において
450℃および示差熱天秤装置で測定した3%重量減少温度(℃)より50℃減じ
た温度のうち低い方の温度で3分保持し、40℃/min以上の冷却速度で冷却を
行い、25℃以下において3分保持し、40℃/min以上の昇温速度で前記第1
の加熱後の保持温度まで第2の加熱を行った際、前記冷却過程において発熱ピーク
が観測されず、且つ、前記第2の加熱過程において観測される融点ピークのエネル
ギーが0J/g以上20J/g以下となる化合物である有機半導体デバイスである。
0018
また、本発明の他の一態様は、絶縁層上に形成された複数の有機半導体デバイスの
うちの一つであって、第1の電極と、第2の電極と、有機化合物層を有し、前記有
機化合物層は、第1の電極と、第2の電極との間に位置し、前記有機化合物層は、
前記複数の有機半導体デバイス各々が独立して有する第1の層を含み、前記第1の
層は、第1の化合物を含み、前記第2の電極は、前記複数の有機半導体デバイスが
共有する連続した層であり、前記第1の電極は、前記複数の有機半導体デバイス各
々において独立した層であり、前記第1の化合物は、示差走査熱量測定において、
25℃以下から第1の加熱を行い、450℃および示差熱天秤装置で測定した3%
重量減少温度(℃)より50℃減じた温度のうち低い方の温度で3分保持し、40
℃/min以上の冷却速度で冷却を行い、25℃以下において3分保持し、40℃
/min以上の昇温速度で前記第1の加熱後の保持温度まで第2の加熱を行った際、
前記冷却過程において観測される発熱ピークのエネルギーが0J/g以上20J/
g以下、且つ、前記第2の加熱過程において観測されるベースラインシフトを伴わ
ない吸熱ピークのエネルギーが0.1J/g以下-20J/g以上となる化合物で
ある有機半導体デバイスである。

0019
または、本発明の他の一態様は、表示装置に搭載された複数の有機半導体デバイス
のうちの一つであって、第1の電極と、第2の電極と、有機化合物層を有し、前記
有機化合物層は、第1の電極と、第2の電極との間に位置し、前記有機化合物層は、
第1の化合物を含み、前記第2の電極は、前記複数の有機半導体デバイスが共有す
る連続した層であり、前記第1の電極は、前記複数の有機半導体デバイス各々にお
いて独立した層であり、前記第1の化合物は、示差走査熱量測定において、25℃
以下から第1の加熱を行い、前記第1の加熱において450℃以下、または示差熱
天秤装置で測定した3%重量減少温度(℃)より50℃減じた温度のどちらか低い
方の温度で3分の時間保持し、40℃/min以上の冷却速度で冷却を行い、25
℃以下において3分の時間保持し、40℃/min以上の昇温速度で前記第1の加
熱後の保持温度まで第2の加熱を行った際、前記冷却過程において発熱ピークが観
測されず、且つ、前記第2の加熱過程において発熱ピークと融点ピークが観測され
ない化合物である、有機半導体デバイスである。 
0020
>または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の電極と、前記複数
の有機半導体デバイスのうち隣接する有機半導体デバイスの有する前記第1の電極
との間隔が、2μm以上5μm以下である有機半導体デバイスである。
0021
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記有機化合物層が、前記第
1の層と、第2の層との積層構造を有し、前記第2の層は、前記複数の有機半導体
デバイスが有する有機化合物層の一部と一続きの連続した層として共有される有機
半導体デバイスである。
0022
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の電極と、前記複数
の有機半導体デバイスのうち隣接する有機半導体デバイスの有する前記第1の電極
との間隔が、2μm以上5μm以下であり、開口率が30%以上である有機半導体
デバイスである。 
0023
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、上記複数の有機半導体デバイ
スが表示素子として設けられている表示装置の解像度が500ppi以上、開口率
が30%以上である有機半導体デバイスである。
0024
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、前記示
差走査熱量測定における前記第2の加熱過程において、0J/g以上20J/g以
下の発熱ピークが観測される物質である有機半導体デバイスである。
0025
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、前記第
2の加熱過程において、示差走査熱量測定におけるベースラインの吸熱側へのシフ
トが観測される物質である有機半導体デバイスである。
0026
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、前記第
2の加熱過程において、示差走査熱量測定におけるベースラインの吸熱側へのシフ
トが観測され、且つ前記ベースラインシフトにともない吸熱ピークが検出される物
質である有機半導体デバイスである。 
0027
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、前記第
2の加熱過程において、示差走査熱量測定におけるベースラインの吸熱側へのシフ
トが観測され、且つ前記ベースラインシフトにともない1J/g以上の吸熱ピーク
が検出される物質である有機半導体デバイスである。 
0028
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、前記第
2の加熱過程において、示差走査熱量測定におけるベースラインの吸熱側へのシフ
トが観測され、且つ前記ベースラインシフトにともない吸熱ピークが検出され、前
記ピークの温度での前記ベースライン同士の熱量差を1とした場合、前記低温側の
ベースラインを前記ピークの温度まで伸長した位置と、前記ピークの極大値までの
熱量差が2以上である有機半導体デバイスである。 
0029
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物を含む層の
膜厚が、10nm以上2000nm以下である有機半導体デバイスである。 
0030
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の層における電子を
輸送する領域に、前記第1の化合物を含む層を有する有機半導体デバイスである。
0031 
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記第1の化合物が、ピリミ
ジン環、ピリジン環、ピラジン環、ベンゾフロピリミジン環、ベンゾオキサゾール
環、キノリン環、キノキサリン環、ジベンゾキノキサリン環、カルバゾール環、ジ
ベンゾカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトビスベ
ンゾフラン環、ナフタレン環、フルオレン環、スピロフルオレン環、トリフェニレ
ン環、アントラセン環、アミン、アルミニウム元素、リチウム元素、フッ素、の少
なくとも一を有する有機化合物である有機半導体デバイスである。 
                  -中 略-
【発明を実施するための形態】 
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に
限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を
様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下
に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本明細書
等において、メタルマスク、またはFMM(ファインメタルマスク、高精細なメタ
ルマスク)を用いて作製されるデバイスをMM(メタルマスク)構造のデバイスと
呼称する場合がある。また、本明細書等において、メタルマスク、またはFMMを
用いることなく作製されるデバイスをMML(メタルマスクレス)構造のデバイス
と呼称する場合がある。

(実施の形態1)
有機半導体膜を所定の形状に作製する方法の一つとして、メタルマスクを用いた真
空蒸着法(マスク蒸着)が広く用いられている。しかし、高密度化、高精細化が進
む昨今、マスク蒸着は、合わせ精度の問題、基板との配置間隔の問題に代表される
種々の理由により、これ以上の高精細化は限界に近付いている。一方、フォトリソ
グラフィ法を用いて有機半導体膜の形状を加工することで、より緻密なパターンを
有する有機半導体デバイスの実現が期待されている。さらに、フォトリソグラフィ
法はマスク蒸着に比べて大面積化も容易であることから、フォトリソグラフィ法を
用いた有機半導体膜の加工に関する研究が進められている。

しかし、フォトリソグラフィ法を用いて有機半導体膜の形状を加工するためには、
多くの問題を乗り越える必要がある。これらの問題としては、例えば、有機半導体
膜の大気暴露の影響、感光性樹脂を露光する際の光照射の影響、露光した感光性樹
脂を現像する際に曝される現像液および水などの影響を挙げることができる。 
これらの影響を低減させるために、有機半導体膜上に保護膜を形成する方法がある。
この場合、当該保護膜成膜時にある程度の加熱(約80℃から120℃)を行うこ
とで、当該保護膜を緻密でバリア性の高い膜、または面内均一性の高い膜とするこ
とができる。逆にいうと、低温で形成された保護膜の性能は十分とは言い難いもの
である。
しかし、有機半導体材料、特に蒸着により成膜を行うことが可能な化合物は、蒸着
後に熱工程がなければ良好な特性のデバイスが得られていた化合物であっても、上
述のように蒸着後に熱が加わるような作製工程を経るデバイスにおいては、膜が変
質し、良好な特性を有する有機半導体デバイスが得られないことがあった。 

一般に有機ELデバイス、有機フォトダイオードセンサなどの有機半導体デバイス
では、その耐熱性は、用いられる有機化合物のガラス転移温度(Tg)によって評
価されることが多い。しかしTgが高くとも、有機層が電極に挟まれていない状態
で加熱工程を経ると、それがそのTgよりも十分低い温度であっても、デバイスの
特性が悪化してしまう場合がある。また、逆にTgが比較的低くともTg以下なら
加熱による特性変化が起きにくい化合物も存在するため、単にTgのみで耐熱性の
良好な有機半導体デバイスを得ることが可能な化合物を判断するのは難しい。つま
り有機層に自由界面が存在する状態における加熱工程が必要である有機半導体デバ
イスでは、用いられる有機化合物のTgとデバイスの耐熱性の乖離が大きい。 

そこで本発明者らは、示差走査熱量測定(Differential scann
ing calorimetry:DSC)法を用い、特定の手順で測定を行った
際、特定の測定結果を示す化合物(第1の化合物)を用いた有機半導体デバイスが、
製造工程中における加熱に強く良好な特性を有する有機半導体デバイスとできるこ
とを見出した。なおここでいう加熱に強いとは、加熱に対する耐性があることを示
し、主に形状変化、膜質変化、電気特性変化が小さいことをさす。 
具体的には、固体(粉末)状態の化合物でDSC測定を行い、少なくとも加熱(第
1の加熱)により十分に溶融させた状態から冷却し、再度加熱(第2の加熱)を行
う。この際、冷却過程において図1(A)のように発熱ピークが観測されず、且つ
第2の加熱過程において図1(B)のように発熱ピークと融点ピークとが観測され
ない化合物(第1の化合物)を用いることによって、製造工程中における加熱に強
く、また、良好な特性を有する有機半導体デバイスを得ることができる。なお、第
1の加熱過程における測定結果は、これまでの様々な熱履歴を反映した結果が現れ
ることがあり、評価が困難になるため、本発明における判断には用いていない。

上記DSCの結果において冷却過程における発熱ピークは溶融状態からの結晶化を、
第2の加熱過程における発熱ピークは冷結晶化を、融点ピークは結晶の溶融をそれ
ぞれ示唆するシグナルである。このようなピークが観測されない化合物を用いるこ
とによって、加熱および冷却によって有機半導体膜に大きな構造変化が起きにくく、
加熱工程に強い、耐熱性が良好な有機半導体デバイスを作製することが可能となる。 
なお、冷却過程における発熱ピークの観測において、冷却開始直後のピークは、装
置起因のピークであるため除外し、25℃以下まで冷却しても発熱ピークが観測さ
れない場合に観測されないと判断する。なお、発熱ピークが観測されないとは、発
熱ピークのエネルギーが0J/gである場合の他に、0J/gより大きく20J/
g以下のエネルギーの発熱ピークが存在する場合も含むものとする。なお、発熱ピ
ークが存在する場合、0J/gより大きく5J/g以下だとより好ましく、発熱ピ
ークは存在しないことが最も好ましい。また、特に冷却速度が速い場合に、60℃
以下の領域において吸熱側へのピークがみられる場合があるが、これは装置の冷却
能の問題で、冷却プログラム速度に実試料温度が追従できない場合に現れる意味の
ないピークであるため、本発明の一態様においては無視するものとする。その場合
は、冷却速度を小さくし、ピークがないことを確認しておくとよい。 ピークのエ
ネルギーは、ピークの始めと終わりをつなぎ、仮定のベースラインを想定し、当該
仮定したベースラインとピークとに囲まれた部分の面積から算出することができる。

また、第2の加熱において、融点ピークが観測されないとは、融点ピークのエネル
ギーが0J/gである場合の他に、-20J/g以上0J/g未満のエネルギーの
融点ピークが存在する場合も含むものとする。なお、融点ピークが存在する場合、
-5J/gより大きく0J/g以下であることが好ましく、融点ピークは存在しな
いことが最も好ましい。また、第2の加熱において、発熱ピークが観測されないと
は、発熱ピークのエネルギーが0J/gである場合の他に、0J/gより大きく
20J/g以下のエネルギーの発熱ピークが存在する場合も含むものとする。5J
/g以下だとより好ましく、0J/gが最も好ましい。 

また、DSCを行う際の、冷却過程における降温速度、および第2の加熱過程にお
ける昇温速度は各々40℃/min以上200℃/min以下として測定するもの
とする。なお、冷却過程における降温速度は40℃/min以上200℃/min
以下であることが好ましい。 
なお、上記DSCにおいて、第1の加熱過程および第2の加熱過程の最高温度は、
高すぎると気化、昇華、分解などに伴うピークが発生し次の加熱工程において正確
な判断ができなくなる懸念がある。そのため、DSCの最高温度は、対象とする化
合物を熱重量測定(Thermogravimetry:TG測定)して得られた
3%重量減少温度よりも50℃以上低い温度、好ましくは3%重量減少温度よりも
100℃以上低い温度とすることが好ましい。代表的には3%重量減少温度よりも
50℃低い温度で測定すればよい。この温度であれば、大気圧下ではおおむね昇華
しない温度と判断できる。また、3%重量減少温度-150℃よりは高い温度まで
は測定しておくことが好ましい。 
なお、TG測定を行わない場合、DSCの最高温度については、測定を行う化合物
のガラス転移点の温度(℃)の値の3倍の値の温度(℃)以下を目安としておくと
良い。また、有機化合物の真空蒸着温度の上限を考慮すると、450℃まで測定す
れば十分である。また、同様に金属錯体は350℃まで測定すれば十分である。た
だし、前記450℃未満、あるいは350℃未満で昇華、蒸発、分解などが起きる
有機化合物または有機金属錯体は、昇華、蒸発、分解などが起きる温度よりも30
℃以上、好ましくは50℃以上低い温度までを測定温度範囲とする事が好ましい。
代表的には昇華、蒸発、分解などが起きる温度より30℃低い温度で測定すればよ
い。ある温度範囲の測定において、昇華、蒸発、分解などが起こっているかいない
か判断する場合は、測定後に同一サンプルを用いて引き続き同じ測定条件(昇温条
件および測定温度範囲)で再測定し、サイクル特性が直前の測定と同じであるか、
つまりベースラインが重なるかを確認すると良い。重ならない場合は、直前の測定
で昇華、蒸発、分解などが起こった可能性があるため、測定温度範囲の上限温度を
より低い温度として再測定する必要があると考えられる。 

なお、DSCの測定温度範囲における最高温度は、上述のようにTG測定をあらか
じめ行うことによって判断することが好ましい。また、上記DSCにおいて、冷却
過程における最低温度は、ガラス転移温度(Tg)以下であることが好ましく、例
えば25℃以下、好ましくは-10℃である。 
上記DSCにおいて、十分に溶融した状態から冷却過程に入るために、第1の加熱
過程と冷却過程との間で上記最高温度における保持時間を設けることが好ましい。
この際の保持時間としては、1分以上10分以下が好ましく、3分がより好ましい。
また、同様に、測定対象の化合物の温度が均一になった状態から第2の加熱過程に
入るために、冷却過程と第2の加熱過程との間で上記最低温度における保持時間を
設けることが好ましい。この際の保持時間としては1分以上10分以下が好ましく、
3分がより好ましい。

DSC測定を実施する場合の、測定対象の化合物の質量は、一定の昇温速度におい
て均一な熱伝導を得るために、適した量とするのが好ましい。測定対象となる内部
の化合物の温度ムラを低減させるにはより少ないサンプル量が好まれるが、一方で
感度を得るためにサンプル量が多い方が好ましい。これらの理由から、具体的には、
5mm乃至10mmφのサンプル容器に0.1mg以上、10mg以下が好ましく、
明確にピークを得るためには1mg以上5mg以下が、更に好ましい。
適した量の化合物を用いてDSCを測定することで、融点やガラス転移点、結晶化
温度のピークが明確に再現性良く観測することができると考えられる。 

本明細書におけるDSC測定では、測定対象となる化合物はDSC測定において重
量変化を伴わない温度範囲および環境で測定を行う。従って、DSC測定は、酸素
などの大気成分との反応を抑制するために、窒素など不活性雰囲気下で測定し、ま
た、分解温度よりも十分に低い温度、例えば分解温度の50℃以上低い温度以下に
おいて測定をするのが好ましい。上記DSCの結果において、第1の化合物は第2
の加熱過程で、ベースラインの吸熱側へのシフトが観測される化合物であることが
好ましい。当該シフトが起きる温度はガラス転移温度(Tg)であり、すなわち、
第1の化合物はTgが観測される化合物であることが好ましい。なお、Tgが高い
方が、耐熱性が良好となる傾向があるため好ましい。具体的には、第1の化合物の
Tgは100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。 

また、第1の化合物はこのベースラインのシフトに伴って1J/g以上、好ましく
は3J/g以上、より好ましくは5J/g以上の吸熱ピークが観測される化合物で
あることが好ましい。このピークはエンタルピー緩和を示唆するピークである。こ
のようなエンタルピー緩和を示す材料は、示さない材料に比べ、よりエネルギー的
に安定なガラスを形成することが可能であるため、膜質が安定化し、フォトリソグ
ラフィー工程に必要な加熱工程およびパターニング加工に強い膜となるため好まし
い材料である。
エンタルピー緩和のエネルギーは、図2のようにシフト後のベースラインを延長し
た線とDSCチャートの曲線に囲まれた領域の面積により算出することができる。
なお、複数のピークがある場合はそれらを全て合算したものをエンタルピー緩和の
エネルギーとみなすものとする。

以上のような第1の化合物を用いた有機半導体デバイスは、製造工程中における加
熱に強い有機半導体デバイスとすることが可能である。有機半導体デバイスとして
は例えば、TFT、発光デバイス、フォトダイオードセンサなどを挙げることがで
きる。
なお、有機半導体デバイスは、少なくとも、一対の電極(第1の電極、第2の電極)
と、当該一対の電極間に挟まれた有機化合物層を有するが、第1の化合物は、当該
有機化合物層に含まれる。ここで、有機半導体デバイスが平面上に複数並べて設け
られた半導体装置(例えば表示装置またはイメージセンサ)において、画素電極と
共通電極を有する場合には、第1の電極が複数の有機半導体デバイス各々において
独立した画素電極、第2の電極が複数の有機半導体デバイスにおいて一続きの連続
した層として共有される共通電極であるものとする。
この際、有機化合物層が、個々の有機半導体デバイス毎に独立して設けられた第1
の層と、複数の有機半導体デバイスに渡って連続して設けられている第2の層との
積層構造を有する場合には、当該第1の化合物は第1の層に含まれていることが好
ましい。
なお、有機化合物層または第1の層が、隣接する半導体デバイス間において重なり
を有さない構成、すなわち隣り合う半導体デバイスの有機化合物層間、または隣り
合う半導体デバイスの第1の層間に間隙を有する構成である場合、隣接する半導体
デバイスへのクロストークを抑制できるため、本構成は特に有効であり好ましい。
それは隣接する半導体デバイス間が2μm以下と非常に近い場合に特に有効である。

また、第1の層は第1の電極側に設けられ、第2の層は第2の電極側に設けられる。
また、第1の層は、第1の電極に接することが好ましく、第2の層は第2の電極に
接することが好ましく、第1の層と第2の層は接していることが好ましい。 
なお、第1の化合物は、有機化合物層および第1の層内において、層状に分布し、
第1の化合物を含む層が形成されていることが好ましい。
また、有機化合物層を、フォトリソグラフィ法により加工する場合、有機半導体デ
バイスを非常に高密度(第1の電極の間隔が2μm乃至5μm程度)に配置するこ
とができる。当該有機半導体デバイスが表示デバイス(発光デバイス)の場合、
500ppi以上且つ開口率30%以上の非常に高精細な表示装置を提供すること
ができる。また、100ppi以上且つ開口率40%以上の非常に高精細な表示装
置を提供することができる。また3000ppi以上且つ開口率30%以上、さら
には50%以上の非常に高精細な表示装置を提供することができる。
なお、有機化合物層は、フォトリソグラフィ法により加工される際、保護膜の形成、
レジストの焼成、脱水ベークなどの工程において、熱が加えられる。また、高性能
な保護膜の形成または確実な脱水のためには、なるべく高い温度をかける必要があ
るため、第1の化合物は、フォトリソグラフィ法により加工される層である有機化
合物層または第1の層に含まれていることが好ましい。 

また、加熱の際に自由表面となる面を有する膜は、当該表面に位置する原子のエネ
ルギーが高いことからバルクの膜よりも熱の影響を受けやすい傾向があるため、加
熱の際に自由表面となる面を有する膜、すなわち有機化合物層の最も第2の電極側
の層、または第1の層と第2の層を有する場合には、第1の層における第2の層と
接する層に第1の化合物が含まれていることが好ましい。この第2の層と接する第
1の化合物を含む層は、発光層または活性層ではないことが、パターニング工程の
ダメージを低減でき、効率または信頼性が良好となり、好ましい。 
なお、自由表面を有する有機化合物層は、膜質不良や特性不良を避けるため、この
自由表面へのゴミの付着を可能な限り避けるのが好ましい。例えば、自由表面を有
する有機化合物層が形成された基板はクリーンルームなどで作製・保管するのが好
ましく、クリーンルームのクリーン度の目安はクラス1000以下の高い清浄度が
好ましく、より好ましくはクラス100以下の高い清浄度である。

また、自由表面を有する有機化合物層は、膜質不良(膜質変化や膜の形状変化)や、
最終的に得られる有機半導体素子の特性不良を避けるため、空気(酸素や水分)に
さらす時間を可能な限り短くすることが好ましく、空気にさらさないことが最も好
ましい。また、自由表面を有する有機化合物層上に設ける保護層または上部電極は、
自由表面を有する有機化合物層形成後に迅速に積層するのが好ましい。自由表面を
有する有機化合物層形成後に、保護層または上部電極の形成を行うまでの間の時間
が長くなる場合は、自由表面を有する有機化合物層が形成された基板を、窒素など
の不活性雰囲気下で保存する事が好ましい。また、保管の期間は7日間以下とする
のが好ましい。換言すると、本発明の一態様の構成であれば、数日間、有機化合物
層の自由表面がある状態にあっても、良好な膜質を維持することができる。
また、第1の化合物が含まれている層数、または層に含まれている量が多い方が、
第1の層が自由表面を有する場合の加熱の際に、加熱に強くなり、好ましい。 

以上のような第1の化合物を用いた有機半導体デバイスは、製造工程中における加
熱に強く良好な特性(特に表示性能、効率および信頼性)を有する有機半導体デバ
イスとすることができる。具体的には、加熱工程における加熱温度が、第1の化合
物のTg-20℃程度の加熱またはTgの80%以上の加熱を行っても不都合が起
きにくい有機半導体デバイスとすることができる。 

また、第1の化合物は、有機化合物層内または第1の層内において発光層よりも第
2の電極側に設けられていることが好ましく、電子輸送性を有する有機化合物であ
ることが好ましい。電子輸送性を有する有機化合物としては、π電子不足型複素芳
香環骨格を有する有機化合物を挙げることができる。π電子不足型複素芳香環骨格
を有する有機化合物としては、含窒素複素芳香族骨格を有する化合物、例えばポリ
アゾール骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、ピリジン骨格を有する複素芳
香環を含む有機化合物、ジアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物および
トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物が好ましい。 

中でも、含窒素複素六員環骨格を有する化合物が、電子輸送性が高く安定であり好
ましく、特に、ジアジン骨格(ピリミジン骨格、ピラジン骨格、ピリダジン骨格)
を有する複素芳香環を含む有機化合物またはピリジン骨格を有する複素芳香環を含
む有機化合物、トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物は、信頼性が
良好であり好ましい。さらに、ピリミジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合
物、ピラジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物およびトリアジン骨格を有
する複素芳香環を含む有機化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与す
る。 
                  -中 略-
                              この項つづく



   風蕭々と碧い時間

今夜の寸評 : 鈍すれば貧する
           賢明でなければ豊かになれない。

 

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環境会計時代とは

2024年02月09日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。

【ルームランニング記】


・歩行距離 1キロメートル以上/回➲2キロメートル
・歩行時間 15分以内/回➲30分前後
・歩行速度 最大6(平均4.5~5)キロメートル/時間➲4キロメートル
・歩行斜度 最大10%×百メートル以上(平均 体調に合わせ任意)➲3%
・歩行歩数 2千~3千百歩/回➲3千歩
・宅トレストレッチ体操 励行(努力目標:3回/日)➲体調により変更




【環境会計】
環境会計(かんきょうかいけい、英語:environmental accounting、略称:EA
とは、企業などの組織が環境に関する社会的責任を果たしつつ、環境保全の活動
を効果的・効率的に推進するため、環境負荷や環境保全の費用と効果を把握する
ための手法である。環境活動と経済活動を連係する環境経営手法として重要な役
割を担う。

 事業活動における環境保全のためのコストとその活動により得られた効果を
 認識し、可能な限り定量的(貨幣単位又は物量単位)に測定し伝達する仕組
 み。
                    「環境省ガイドライン」の定義

環境会計の機能は、外部機能と内部機能の二つに分けられる。

外部環境会計(外部機能)
•組織が環境保全活動を実施した費用対効果を外部に情報公表を行う。
•環境影響評価、環境報告書、持続可能性報告書などで企業の社会的責任を証明。
 環境方針では経済効果を推定によって算出。
•環境負荷の削減量を金額換算することにより、潜在的な経済効果、環境保全対
 策を施していないと発生しただろう汚染・修復等の賠償費に関するリスク回避
 やみなし効果を発揮。外部とのリスクコミュニケーションなど。
•外部報告の目的では、企業の環境活動の状況を定量的に測定した結果を外部に
 開示し、株主や消費者、取引先などの利害関係者への説明責任を果たし、信頼
・評価を得るために行われる。

内部環境会計(内部機能)
・組織内部の管理や環境保全活動への意思決定に用いられる。
・投資に対する環境 保全が大きいと環境コスト面で妥当性を持つ適切な経営判
 断になる。内部におけるリスクマネジメントなど。
・企業会計の一部を用いて行うため経営管理に役立てる事が可能。
・内部管理の目的としては、環境保全活動に関する投資とその効果を定量的に評
 価し、より効 率的な投資と適切な経営判断を行うために行われる。この場合、
 製造や流通のプロセスを反映した、外部公表目的よりは詳細な管理が必要とさ
 れる。

【環境管理会計】
環境管理会計(EMA:Environmental Management Accounting)とは、貨幣単位会計で
ある従来の会計と物量単位会計を現す他の会計ツールとの中間に位置付けられた
貨幣単位と物量単位の両方を集計する複合的な会計である。定義と適用方法は確
定していないが、組織内部に環境視点での会計情報を提供するマネジメントシス
テムとして経営効率の向上や多様な利用方法を生み出す可能性があり、企業の内
部環境会計に特化した性格を持つ。
国際的な環境会計は発展途上であり、取扱い方や考え方の違いを含めて未解決な
課題を解決すべく国際的な標準化が進められている。捉え方として説明責任ac-
countability
)は同視であり、1992年開催の地球サミットで採択されたアジェンダ
21を受けて国際連合が開発した環境・経済統合勘定(SEEA)や国単位での経済活
動と自然環境との関係を現した グリーンGDP等のマクロ環境会計、企業などの組
織が内部への意思決定(コンプライアンス)や外部への情報公開を目的にしたミ
クロ環境会計(環境会計)の概念はほぼ定着している。企業などの組織の経営管
理(マネジメント)に係る環境管理会計の研究開発は盛んである。経済産業省は、
これらの成果を取り入れた研究を行い、環境管理会計を中心に取りまとめた「環
境管理会計手法ワークブック」を発行した。企業が環境と経営を連携させる手法
になり、環境配慮型設備投資意思決定手法、環境予算マトリックス、マテリアル
フローコスト会計、環境配慮型業績評価システム、ライフサイクルコスティング
と環境配慮型原価企画の手法が解説されている。このうちライフサイクルコステ
ィングとマテリアルフローコスト会計は環境が基礎になる分野であり、前者はラ
イフサイクルシンキングに基づいた思想、後者は初めから環境が組み込まれた会
計になる。この2つの手法の研究は国際的に開発が進んでいる分野である。

【ライフサイクルコスティング】
ライフサイクルコスティング(LCC:Life-Cycle Costing)は、製品の企画・開発、
生産、使用、廃棄までの製品ライフサイクルにおいて発生するコストを集計する
手法。ライフサイクルアセスメントに経済的視点を付加したもの。 企業の環境
管理会計を重視して製品ライフサイクルを分け、原価を積み上げて集計を行う。
利害関係者の視点別に分けると、生産者の視点では、製品の企画・開発、生産、
販売までのライフサイクルコスト。消費者の視点では、購入、使用、廃棄までの
ライフサイクルコスト。社会の視点では、自然から原材料の採取、生産者、消費
者の廃棄後に処分されて自然に循環するまで全体のコストに分けられる。

具体的方法では、企業より上流で発生するコストは、原材料類を調達(グリーン
調達)した価格が上流コストを集計されているものと見なすことができ、製品の
製造、産出までの企業コストで集計される。企業コストから下流にある消費者の
使用・廃棄を考慮したコストをライフサイクルコストと見なし、それを算定する
ことをライフサイクルコスティングとする。社会的コストは、各々の業種別で算
定されるライフサイクルアセスメントによる環境影響を換算することにより算定
される。

【マテリアルフローコスト会計】
マテリアルフローコスト会計(MFCA:Material Flow Cost Accounting)は、投入さ
れた原材料類(マテリアル)を物量で把握し、マテリアルが企業内若しくは製造
プロセス内をどのように移動するかを貨幣と物量で測定しながら追跡する手法で
ある。環境コスト評価として投入と産出の結果を比較するだけでなく工程段階の
階層下で隠れていたロス(廃棄物コスト)を可視化することに特徴があり、この
マテリアルロスを「負の製品」と見なして算定する。廃棄物削減と生産性向上(
環境負荷の低減と企業利益の追求)を実現することが可能な環境管理会計手法と
なる。生産過程は直接コストに結びつくマネーフローであるためマテリアルフロ
ー指向の研究・開発は各国で行われている。アメリカ合衆国環境保護庁ではマテ
リアルフロー情報に基づく廃棄物削減方法をコストマネジメントに活用するため
のフローコスト会計手法や企業事例も紹介されている。2000年にはドイツの経営
環境研究所(IMU: Institut für Management und Umwelt)より、マテリアルフロー
コスト会計が紹介され多岐に渡り研究が成されてきた。マテリアルフローの投入
/産出における分析では、企業内では工程データを細分化した評価があり、製品
が企業外に出た後もライフサイクルを通じて追跡調査が可能である。このライフ
サイクルマネジメントはマテリアルフローに基づく思想であり、ISO 14000sにも
組み込まれている。

【国際標準化】
2007年11月16日(金)に経済産業省は、キヤノン、日東電工などの企業で取り入
れられているマテリアルフローコスト会計の手法について国際標準化機構内の専
門委員会(TC207)に対し新業務項目提案(NP)を行った。ISO 14000シリーズの
環境会計に関する分野で国際標準化提案がなされるのは世界で初めてである。専
門委員会へのプレゼンはTC207北京総会にて行い多くの国から好意的な感触が得
られ、その後、韓国、インドネシア、フィリピン、ベトナム、オーストラリアの
有識者、実務者を対象に「アジア環境管理会計ワークショップ」を開催した結果、
参加国からは日本の提案内容を支持する旨の表明が得られていた。なおISO事務
局における投票の結果、3月17日の週に正式に国際標準化作業項目として認めら
れたことから、今後3年以内に日本発の環境管理会計が国際標準となる見込みと
なった。
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【炭素会計】
企業や団体が事業活動でどれだけの二酸化炭素や、温室効果ガス(GHG)を排
出または削減したかを算定・集計すること。活動の気候への影響を把握でき削減
目標設定など企業活動の指針となる。第三者も確認できるようになる。物理的炭
素会計と財務的炭素会計に大別され、物理的炭素会計は直接・間接的なGHG排
出量を測定する。測定する範囲や手法はさまざまあるが現在では国際的なガイド
ラインであるGHGプロトコルに則る企業が多い。財務的炭素会計はGHG排出
に関わる金銭的な価値を算定する。炭素会計を導入することで情報開示をしやす
くなり、削減対象の選定、削減意識啓発など社内の意識改革にも役立つ。国内で
は東京証券取引所のプライム市場上場企業に、国際的に支持されている財務情報
開示タスクフォース(TCFD※)の提言に基づいた開示を義務づけている。
※TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures
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国際的なサステナビリテイ情報開示の基準に含まれたことで炭素会計が加速

炭素会計に取り組む意義と起業経営の在り方

今年6月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は企業がサステナビリティ情
報を開示する際の基準を発表。その中にはスコープ3の開示も含まれており、G
HG排出量を算定する炭素会計の導入は不可避となりつつある。本企画では炭素
会計の基本的な内容から今後の方向性まで幅広く取り上げる。

炭素会計(カーボンアカウンティング)の考え方が生まれた背景
近年の脱炭素を取り巻く世界的動向、とりわけパリ協定以降、IPCC1.5℃目標、
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフオース)など世界的な取り決めや枠組
みが発表されているが、共通して叫ばれているのぱ温室効果ガス(GHG)排出
量の削減”だ。目に見えないGHG排出量を削減するためには、GHGの排出量
を数字化し、“見える化”をしなければならない。しかも、気候変動が世界中で深
刻化している中、全世界で削減に取り組むには国際的な基準が必要になってくる。
そこで、国際的な基準として設けられたのが「GHGプロトコル」だ。「GHG
プロトコル」のコーポレート基準は、排出量を3つのスコープに分けて定義し、分
類している。この定義に基づいて企業は自社のGHG排出量をスコープ1,2,3 に
分けて算出し情報公開を行っている。すなわち炭素会計とはこのように企業活動
から直接・間接的に排出されるGHGの量を算定する取り組みのことを指す。ま
た、炭素会計には二つの種類があり、一つは「物理的炭素会計」。これは企業活
動における直接・間接的なGHG排出量を測定すること。つまり前述の企業がス
コープ1,2,3 のカテゴリーに分けてGHG排出量を測定することを言う。測定の
範囲や手法が様々あるが、国際的なガイドラインであるGHGプロトコルに基づ
いて算出する企業が多くスタンダードになっている。またもう一つは 「財務的炭
素会計」。 こちらは企業活動により排出および吸収されたGHG排出に関わる金
銭的な価値を算定するというもの。削減で生み出したGHG排出量に金銭的な価
値(クレジットなど)を付与することで企業間で取引ができるようになる仕組。
海外では、民間のボランタリークレジットが主流だが、日本では省エネルギー設
備の導入や再生可能エネルギーの利用によるC02等の排出削減量や、適切な森
林管理によるC02等の吸収量を国が認証するJ-クレジットが主要なクレジット
となっている。

「ISSB」がサステナビリティ情報の開示基準を明確化
そのような中で、今年6月国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は 企業がサ
ステナビリティ
を開示する際の基準を発表した。ISSBはIFRS(国際会計基準)を
策定するIFRS財団の下で新しく設立された機関で、その財務会計基準は
140以上
の国・地域で導入されている。ISSBがサステナビリティの情報開示基準
を明確に
したことで、IFRSを採用しているエリアに順次導入が進められていく
見通し。こ
こで重要となるのは、ISSBがどのような 具体的な開示基準を示したかだが、今
回大きく分けて二つの基準を発表。サステナビリティ全般に開する基準(IFRSS1
と気候変動に開する基準(IFRS S2)の二つで、一体で適用することが前提にな
っている。具体的な開示項目となっているのはスコープ 3の状況やカーボンプラ
イシング、その他「カーボン・クレジット」の利用計画 などが示された。これ
まで特にスコープ 3に関しては、複雑な計算や手開かか かるため敬遠してきた
企業は多いが、グローバルで採用されている会計基準に、開示基準が明確化され
たことで、いよいよ本腰を入れて取り組まなければならない状況になった。救い
は、同基準は日本でも多くの企業が賛同しているTCFDに沿って開示を求めて
いるためその点では日本企業にも恩恵があるかもしれないが、今後世界的な規模
で炭素会計の考え方や情報開示は進んでいくのは間違いない。

海外投資家を意識した市場再編、カーボンクレジット市場など
日本において、炭素会計にまつわる大きな出来事と言えば、東京証券取引所の市
場再編がある。それまで東証一部二部、マザーズ等乱立していた市場を、上場基
準を明確にしてプライム(最上級市場、従来の東証一部)、スタンダード(従来
の東証二部)、クロース(従来の新興企業市場)といった3市場にわかりやすく
再編した。この際、プライム上場企業においてTCFDの遵守が上場の条件として
あり、その中でスコープ3の開示が求められている。TCFDの遵守には「コンプラ
イ・オア・エクスプレイン」の制度があるものの、そもそもこの市場の再編は、
日本企業のガバナンスや経営環境を国際的な基準に高め企業価値を向上させ、海
外の機関投資家から資金流人を促すといった側面もあった。そのため、TCFD
のような国際的な基準の遵守は義務化していくことが予想されており、炭素会計
の導入は必須となるだろう。また、「わが社はプライム市場に上場するような会
社ではないから、まだまだ炭素会計の導入は先のこと」と考える経営者もいるか
もしれないが、それは早計だ。スコープ3の開示が求められるということは、サ
プライチェーンでC02排出量を計測しなければならないため、取引先からC0
2排出量の提出を求められる可能性もあり、出せない場合最悪取引停止というこ
ともありえる。

一方でGXリーグの方針を受けて、東京証券取引所にてカーボン・クレジット市
場が10月にスタートした。これは前述の「財務的炭素会計」を推進するうえで、
非常に重要な要素になるかもしれない。企業のGHG排出量を正確に算出し、生
み出したクレジットを金銭価値をつけて流通させることで、企業に脱炭素活動に
取り組む意義と意味を持たせ、さらなるGHG排出量の削減およびイノベーショ
ンを起こすといった好循環が生まれる可能性は大いにある。
実際、カーボン・クレジット市場で取り扱う項目はJ-クレジットのみなのだが、
「水田」からJ-クレジットを生み出す仕組みや、「牛のげっぷ由来のメタンを削
減」することでJ-クレジットを創出する手法など、日進月歩で様々な方法が開発
されており、そこから新しい技術やサービスが生まれようとしている。義務だけ
ではなく、経済が絡むことで脱炭素は勢いを増し2050年カーボンニュートラルヘ
大きく前進するだろう。



環境意識の高まりとともに、CO2排出量の計測はより細かく厳格化へ
炭素会計“いかに測るが"が重要 
常に最新動向のキャッチアップを
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企業にとって気候変動への対応が必須事項となりつつある昨今。GHG排出量を“
いかに減らすがと同じくらい重要なのが“いかに測るが。炭素会計について教育
や資格試験を行う『炭素会計アドバイザー協会』の代表理事・鈴木修一郎氏に、
炭素会計の国際動向と日本企業の現状を聞く。
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財務会計と整合させ炭素を捉える
「私は温室効果ガス把捉の分野に20年ほど取り組んできましたが、ここ4~5年で
評価の基準が大きく変わってきています」と話す『炭素会計アドバイザー協会』
の代表理事・鈴木氏。 鈴木氏は、“C02排出量の見える化”に特化した環境
ソリューションプロバイダーであるWasteBox(ウェイストボックス)の代表。同
社では、サプライチェーン排出量算定をはじめ、製品・サービスの排出量算定、
J-クレジット制度などの排出権権利化代行、カーボン・オフセットなど、環境負
荷把握、CO2などの温室効果ガス(GHG)把握の専門家として、企業の環境
負荷把握と情報開示を支援してきた。 世界において、気候変動対策は喫緊の課
題となっている。 ESG投資が大きなトレンドとなるなか、国際会計基準(IFRS)
の策定を担うIFRS財団傘下の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が、2023年
6月にESG情報の国際的な開示基準を公表。日本でも、2022年4月の東証再編で
プライム市場の上場企業には、気候関連財務情報開示タスクフオース(TCFD
)の提言に沿った開示が必要となっている。 「昔はCO2を物理的に減らしで
環境に優しい”で良かったのですが、現在は、基本的に金融関係の方に分かる言
葉で説明する必要があります。それが、昔の単に計測する時代と最近の炭素会計
との大きな違いです」 例えば、ガソリンの消費量を考えた場合、昔はガソリン使
用量が0?なのか0.5%なのかが問題だった。炭素会計として見ると、仕入れとし
てガソリンを何ぶ買ったのかという、買った事実で全体を捉えていく必要がある。
財務会計の考え方と併せて炭素を見ていく必要があるのだ。 「旧来行ってきた物
理的な計測と、ここ最近の測り方は大きく違ってきていますもし、Scope3の単語
を使って海外に対し日本企業が環境に優しいことを主張するとなると、それは財
務会計と整合した評価の裏付けをする必要がありますので、旧来の測定法では通
用しません」 鈴木氏は、こうした旧来の計測法との違いや炭素会計の基本的な認
識を広めるべく、2022年7月1日に『炭素会計アドバイザー協会』を設立した。

気候変動対策の潮流をいち早く掴む
『炭素会計アドバイザー協会』では、炭素会計アドバイザー資格取得希望者に対
する教育、講習、試験等を実施する。また資格取得者に対する資格更新研修も行
う。 炭素会計アドバイザー資格は、日本全体でGHG排出量を“いかに測るが
の基準の1つとなることを視野に設立した国内初の民間資格。
炭素会計アドバイザーは、 主に産業面で生じるくサプライチェーンを含めたGH
G排出量の把握〉、くパリ協定が定める水準と整合したGHG中期削減計画の立
案〉、く国際会計基準に合致した気候変動に関する情報開示〉等を支援する実践
的な活動。企業・団体・自治体等におけるカーボンニュートラルを推進する担当
者や企業等へのコンサルティングを実施する人にとって、同資格の取得は、 それ
ら業務の遂行に役立つ。 「炭素会計においては、常に新しい動きが起こっている。
近年はカーボンニュートラル宣言の実効性を厳しく追及されるようになっており、
SBTにおいても5年前とは審査の厳しさが全く違ってきている。5年前ぱ2040
~50年頃にネットゼロを目指ずで良かったですが、現在では、前提として“TC
FDのような世界共通の情報開示を含めた計画がといったことが求められるよう
になっている」

Scope3でも、例えばパーム油については、そのパーム農園が熱帯雨林を伐採して
作られたかどうかといった話まで考慮する必要があり、これまで気にしていなか
った部分の排出まで計測する必要が出てきている。鈴木氏が代表を務めるウェイ
ストボックスでは、企業のネットゼロヘのロードマップを作成することもあるが、
そのロードマップに関しては、随時見直しが必要で毎年の修正を前提に作成して
いる。「旧来手法のままで目標を設定したり計測をしていたのでは、意図せずグ
リーンウオッシュになる可能性もある。
『炭素会計アドバイザー協会』では、 新
たに発見された事項、 人権や生物多楡既といった周辺も含め、 候変動対策の潮流
をいち早く掴むことを重視している」
同協会では、資格取得者が世界最先端の炭素会計に関する知見を有することがで
きるよう、気候変動に関する最新情報の人手や分析を励行し、適時適切に同資格
制度に反映している。


炭素会計の正しい知識を
GHG算定においては実態に即した〈一次データ〉をもとに排出量を算定できる
が、この一次データを取るために、「サプライチェーン2万社全てにアンケ-トを
取る必要はない」と鈴木氏。パリ協定でも、全ての国・地域が同じ目標を持って
いるわけではなく、まずは社会に対して影響の強い企業等に対して厳しい水準が
社会から要求される。
「サプライチェーンに関しても同じで、2万社全てにアンケートする必要はなく、
そもそも、そんな要求は誰もしていない。要求されているのは、自分たちのサプ
ライチェーン上でマテリアリティのボリュームの大きい部分に対して、気候変動
の影響やSDGsとの不整合がないようにする。いきなり2万社にアンケートを送る
のではなく、まずはボリュームの大きい数百社から情報収集を行うのが一般的で
ある」
こうした考え方1つとっても、 資格を持ち正確な知識のあるアドバイザーが企業
内にいるのといないのでは、 かけるコストや手間に大きな違いが出てくる。炭素
会計においては今後、測り方に漏れがないかどうかと実効性が重要視されていく。
そして、物理的な質量ではなく、財務として会計上の動きと併せてGHG排出量
を説明していく必要があることを、しっかりと理解しておくことが重要。
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※鈴木秀一郎 株式会社ウェイストボックス代表取締役・一般社団法人炭素会計
アドバイザー協会代表理事
via 環境ビジネス 2024.W1 
※ 具体的事例をさぐり、全体像を明確にしたい。
                                                                                                                       この項つづく



 マルクス解体 プロメテウスの夢とその先
 斎藤幸平/ 竹田真登
 講談社(2023/10発売)
 資本主義をこえていく、新時代のグランドセオリー! 
 人新世から希望の未来へ向かうための理論。 英国で出版された話題書
 Marx in the Anthropocene(ケンブリッジ大学出版、2023年)、待望の日本語
 版! いまや多くの問題を引き起こしている資本主義への処方箋として、斎
 藤幸平はマルクスという古典からこれからの社会に必要な理論を提示してき
 た。本書は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論から、プロメテウス主義
 の批判、未来の希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語るこれまで
 の研究の集大成であり、「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる
 新たな議論を提起する書。

 目次
 第一部 マルクスの環境思想とその忘却
  第一章 マルクスの物質代謝論
  第二章 マルクスとエンゲルスと環境思想
  第三章 ルカーチの物質代謝論と人新世の一元論批判
 第二部 人新世の生産力批判
  第四章 一元論と自然の非同一性
  第五章 ユートピア社会主義の再来と資本の生産力
 第三部 脱成長コミュニズムへ
  第六章 マルクスと脱成長コミュニズム MEGAと1868年以降の大転換
  第七章 脱成長コミュニズムと富の潤沢さ

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   第一章 物質代謝論と環境危機 
      第二節 「マルクスのエコロジー」の再発見

37
  
資本主義のもとでの「第二階層の媒介」の歴史的特殊性は、非資本主義社
 会における媒介と比較するとた
だちに明らかになるだろう。例えばマルクス
 は、資本主義的生産を古代社会と比較して、次のように述べて
いる。

  〔古代では〕富は生産の目的としては現われないのである。〔土追究され
  たのは、常に、どのような様
式の所有が最良の国家市民をつくりだすか、
  ということである。〔土そこで、いかに偏狭な民族的、
宗教的、政治的規
  定を受けていようとも、人間が常に生産の目的として現われている古代の
  考え方
は、生産が人間の目的として現われ、富が生産の目的として現われ
  ている近代世界に対比すれば、は
るかに高尚なものであるように思われる
  のである。(『資本論草稿集』②、137頁)

  資本主義的生産の一義的な目的は、なによりも資本の価値増殖である。資
 本主義は利潤追求の飽くなき欲
求に駆られ、生産能力を絶えず増大させてい
 く。そこでは、人間さえも価値増殖のための手段となる。これ
に対して、資
 本主義以前の社会では、人間こそが生産の目的である。つまり、生産は人間
 の具体的な欲求を
満たすために行われ、特定の使用価値の生産こそが重視さ
 れたのである。

  当然のこととして、価値増殖の極大化を目指す資本の論理による支配が強
 まっていけば、世界の姿は大き
く変容していく。資本主義の拡張とともに、
 世界市場、技術、輸送と信用制度、人工的な欲望などが発展
し、それらによ
 って歴史的に特殊な「第二階層の媒介」が形成されるようになるからである。
 究極的には、
人間と自然の物質代謝の第一階層は元の姿がわからなくなるほ
 どに変容していくとメサーロシュは述べる。

    〔人間と自然の物質代謝の〕一次的形態のすべてが、ほとんど認識で
    きなくなるほどに変化させられている。社会的物質代謝の制御の物神
    的で疎外的なシステムにおける自己拡張の要求を満たせるように、あ
    らゆるものを資本蓄積の要請に絶対的に従属させるからである。(M
                 eszaros 1995:140


   資本蓄積には絶対的限界が存在しないので、資本は絶えず拡大し、そのシス
 テムは「総体化」していく。その過程で、人間と自然の両方の生産的機能に
 おけるあらゆる側面を資本の価値増殖の要請に従属させるのだ。しかし、賃
 労働、商品交換、私有財産からなる、この「資本主義的に制度化された第二
 階層の媒介」は、「疎外された媒介」である。ここで注意しなければならな
 いのは、このことは「労働の疎外」だけでなく「自然の疎外」(M6szaros 1970
   : 110‐11
)によっても特徽づけられるということだ。そのような疎外された媒
  介が人間と自然の物質代謝を変容すれば、人間にも自然にも様々に問題が生
  じることになる。
  以上の考察からも、メサーロシュが1971年のドイッチャー記念賃の受
 賞講演での洞察を、物質代謝請として展開していったのがわかるだろう。資
 本による「第二階層の媒介」をともなう社会的物質代謝の組織化が第一階層
 における人間と自然の物質代謝の歴史貫通的・素材的性格とは相容れず、長
 期的にはその質的劣化と破壊につながる。メサーロシュはこの点を強調する
 ために、資本が乗り越えることのできない自然の「絶対的限界」という表現
 を用いた。そのような限界は資本から独立して存在するが、「総体性」を目
 指す資本は自然の絶対的限界を認識することができない。資本の体制は、す
 べてを包摂して自らが絶対的なものになるべく、自然の非同ご性を否定し、
 自然の絶対的限界を相対化しようとする。しかし、資本から先立って、独立
 して存在する自然を資本の要請に従属させることは、長期的には自然の普遍
 的物質代謝を撹乱し、場合によっては崩壊させる。もちろんそのツケは社会
 の側にも跳ね返ってくることになる。
  ここから浮かび上がるのは、社会と自然の非対称的な関係である。すなわ
 ち、物質的な土台としての自然は人間なしでも存在しうるが、その逆は不可
 能なのだ。社会は自然に依存する。これが唯物論の基本洞察である。
  環境危機においては、そのような非対称性を無視して、一方的に自然を支
 配しようとする資本主義による第二階層の媒介の根本矛盾が顕わになるのだ。
 実際、今日の資本主義はもはや生産的ではなく、むしろ破壊的であり、人間
 の生存すらも脅かしている。こうして、「資本の限界」が顕在化する。

   資本の限界は、いまやただ生産性と社会的富のさらなる増大に対する物
   質的障害として、したがって発展のプレーキとしてだけではなく、人類
   の生存そのものに対する直接的な挑戦として概念化されうる。そして別
   の意味では、資本の限界は社会的物質代謝の強力な制御者としての資本
   自身に敵対しうるのであるが〔・・・〕そうなるのは資本がもはやいかな
   る手段によっても、破壊的な自己再生産の条件を確保できず、それによ
   って社会的物質代謝全体の崩壊を引き起こすときである。(M6szaros 2014:
     599
)

  資本は自己膨張を止めることができないため、その破壊的な力は増大しつ
 づける。それはもはやなんら「進歩」をもたらさない。「社会的物質代謝の
 再生産様式としての資本システムは歴史的発展の下降局面にあり、したがっ
 て資本主義的に進歩しているだけで他の意味ではまったく進歩しておらず、
 そのためこれまで以上に破壊的で、またそれゆえ最終的には自己破壊的な方
 法でしか自己を維持できない」。(M6szaros 2012:316)
 資本主義の自己破壊的な社会的制御のメカニズムが最終的には全人類の生存
 さえも脅かす以上、資本主義における生産力の発展は社会主義につながる前
 進をもたらすこともない。この生産力批判によってメサーロシュは、伝統的マ
 ルクス主義者だちと一線を画すのである。
  第三章で見るように、メサーロシュの議論は、ルカーチの物質代謝論と「
 同一性と非同一性の同一性」に関するヘーゲルの議論から着想を得たのだと
 思われる。ルカーチとメサーロシュは同僚で、共に社会が自然の普遍的物質
 代謝の一部であることを重視していた。自然はすべてを包含し、あらゆる種
 類の人間活動の物質的な土台として機能している。もちろん、人間なしには
 存在しない社会的制度や法則もある。とはいえ、商品や資本、財産制度が純
 粋に社会的なものであっても、物質的な土台から完全に自由であるわけでは
 ない。この社会的なものと自然的なものの(非対称的な)弁証法的関係が、
 社会と自然の物質代謝過程の複雑なダイナミクスを構成しているのであり、
 それは(すべてを物質的なものに還元する)自然主義やすべてを社会的なも
 のに還元する)社会構築主義が十全に把握できないものなのだ。
                             この項つづく



   風蕭々と碧いの時代

渥美二郎 釜山港へ帰れ



能登半島 石川さゆり 1977年5月10日
作詞:阿久悠/作曲・編曲:三木たかし

1977年末の『第28回NHK紅白歌合戦』で、初出場時の石川さゆりが歌ったのは「
津軽海峡・冬景色」、それから26年後の2003年(平成15年)末の『第54回NHK紅
白歌合戦』で、紅白では初めて「能登半島」が歌唱披露された。 なお、作詞を
手掛けた阿久悠は「津軽海峡・冬景色」が大ブレイクの後「『石川さゆり』だか
ら、次回はさゆりちゃんの出身地の曲を書いてあげるね」と、石川にそう言って
「能登半島」を次シングルにした、と語っている(実際石川の出身地は石川県で
は無く熊本県。翌1978年7月に発売の、熊本県・阿蘇山を舞台にした「火の国へ
」で、ようやく実現されている)。via Wikipedia


夜明け間近北の海は波も荒<
心細い旅の女泣かせるよう
ほつれ髪を指に巻いてためいきつき
通り過ぎる景色ばかり見つめていた
十九なかばの恋知らず
十九なかけて恋を知リ
あなたあなたたずねて行<旅は
夏から秋への能登半島
ここにいると旅の葉書もらった時
胸の奥で何か急にはじけたよう
一夜だけの旅の仕度すぐにつ<り

【今朝の情報】
https://twitter.com/i/status/1755383560666497218
https://mainichi.jp/articles/20240208/k00/00m/040/032000c
日本原子力発電によると、8日早朝、敦賀原発1号機(福井県敦賀市)のタービン
建屋内で煙が出ているのが見つかった。けが人や原子炉への影響は確認されてい
ない。➲

 

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