極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

移民大国を問う難民

2018年10月31日 | 時事書評

  


                                  

第60章 小鮮を烹る
大国を統治することは、あたかも小魚を煮るに等しい。手を加えずに、煮ることだ。
「這」にのっとって、無為の政治を行なえば、神霊も霊験を示さなくなる。神霊が霊験を示さぬばか
りか、人民が神霊の存在を意識しなくなる。ひとり陣雲の存在のみならず、人民は聖人の存在をも意
識しなくなるのだ。
人民が神ぶのが在を認識せず、聖人の存在をも意識せぬ。かくてこそ神霊の恩沢と聖人の存在とが、
人民に及んだといえるのである。

<大国を統治する> 
節理の上からいえぼ、大国である必要はなく国一般でよいわけである。下の「小
魚」と対比させて、対照的な効果を狙ったのである。
<神霊> は「鬼」。死者の霊魂のこと,人間に禍福吉凶を下すカか持つものとして、根強く信仰され
ていた。

鬼も神ならず 墨子は、人問に言語を下す神霊の存在を熱心に説き、政治を正す助けにしようとした。
老子は神霊の存在を真っ正面から否定しようとしないが、神霊を必要としなくなる政治説くことによ
り、暗にその存在を否定するのである。

第61章 「天下の牝」
大国は、川にたとえろなら、下流である,諸国はこれに合流しようとする。
換言すれば、天下における「女性」である。諸国はこれに慕いい寄る。
女性は、みずから手を下すことなく、男性を意のままにすえう。つねに受身であるからこそ、それは
可能なのだ。
大国が小国にへりくだろなら、小国はおのずと大国に帰服する。小国が大国にへりくだるなら、大国
はおのずと小国を受容する。
大国は、天下の人民を庇護して、養いと願っている。小国は、大国の庇護に頼って、自己の安全を保
ちたいと思っている。両者の願望は、矛盾するものではないのだ。
まず大国がへりくだるがよい。それでこそ、双方の願いは達成できる,

大なる者はよろしく下となるべし 老子は「弱」を高く評価する。それも、何が何でもただ弱いとい
うより、強者があえて弱者の在場を守ることに、強者があえて弱者の立場を守ることに、大きな意義
を見出していたようである。28章の「その雄を知りてその雌をを守る」ということばにも、こうし
たにおいが含まれている。

※アジア的な母系文化規範を超え、「すでに偉大な国アメリカ」はその所作を携えているはず。そう
であればこそ、小国、他国はそれを慕う老子の言説は、「分断」「疎外」の言説を戒めるであろうと
「移民大国アメリカ」にホンジュラスの小さな難民が問いかけている。どうするトランプ?

房なせるイイギリの実の高ければ日々過ぎ行きて紅きを知らず

【樹木トレッキング:イイギリ】
イイギリ(飯桐、学名:Idesia polycarpa)は、ヤナギ科(クロンキスト体系など従来の分類ではイイ
ギリ科とされていた)の落葉高木。和名「飯桐」の由来は、昔、葉で飯を包んだためといわれる。果
実がナンテンに似るためナンテンギリ(南天桐)ともいう。イイギリ属の唯一の種。 日本(本州以
南)、朝鮮、中国、台湾に分布する。イイギリは別名「アオイノキ」の他に、赤い実が似て「ナンテ
ンギリ」、桐に比して腐りやすく「イヌギリ」、古名「ケラノキ」など。



樹高8~21メートル、幹径50センチメートル程度で、樹皮は滑らかな灰緑色。シュートは灰褐色で太
い髄がある。葉は互生、枝先に束性し、キリやアカメガシワに似て幅広い心形で、長さ8~20センチ
メートル、幅7-~20センチメートル。表は暗緑色、裏は白っぽい。縁には粗い鋸歯がある。葉柄は
4~30cmと長くて赤く、先の方に1対の蜜腺がある(アカメガシワもこの点似ているが、蜜腺は葉身
の付け根にある)。4~5月頃開花する。花は小さく黄緑色で、香気があり、ブドウの房のように垂れ
下がった13~30センチメートルの円錐花序をなす。花弁はなく、萼片の数は5枚前後で一定しない。
雌雄異株で雄花は直径12~16ミリメートル、雌花は9ミリメートルで子房上位。雄花には多数の雄蕊
があり、雌花にも退化した雄蕊がある。果実は液果で直径5-10mm。熟すと橙色から濃い赤紫になり、
多数の2-3mmの褐色の種子を含む。果実は落葉後も長く残り、遠目にも良く目立つ。
果実は生食可で
加工して食べられることもある。


秋から冬に熟す多数の赤い果実が美しいので、観賞用樹木として、ヨーロッパ等を含む他の温帯域で
も栽培される。生け花や装飾にも使われる。白実の品種もある。「浦島草」の赤き実、黄金色の銀杏、
続くは落葉高木「イイギリ」の赤い実。飯桐の名は、その大きな葉で飯飯を包んだことから。「短歌
俳句植物辞典」をひくが、外来種じゃなかろうに不載なり。ならば同じ落葉高木の桐をひけば「桐の
花」「桐の実」「桐一葉(ひとは)」「桐の花」はある。しかし、桐はゴマノハグサ科で、飯桐はイ
イギリ科。イイギリの葉はハート型・葵型で別名「アオイノキ」。一方、桐はホームベース型で毛が
生えているゆえに飯は包めぬ。イイギリは赤い実だが、桐は大きな黄色の涙型。茶色に熟し実が割れ、
中の実が風に散る。イイギリの紅い実は渋いとかで、野鳥は目もくれない。やがて周囲の樹々が葉も
実も落ちて冬木立の景色へ。ここでやっと赤い実は熟し、それまで見向きもしなかったヒヨドリ、オ
ナガらが「これ以外に喰う実なし」とシブシブの呈で啄み始める。そんな光景が展開され始めると年
も終わりとなる。


  

 
Anytime, anywhere ¥1/kWh  Era” 
【エネルギー通貨制時代 11】
 

 

   Mar. 3, 2017

 

☑ 風力タービン事業篇:欧州で海上風力発電の商用開始 

10月31日、2つのヨーロッパの浮遊式海上風力発電プロジェクトの目標が達成された(下図参照)。
それによると、
WindFloat Atlantic事業に対するEU支援は、急速な成熟技術に確信を獲得、事業開発体
はこの地域で最も有望な風力資源獲得に信頼を寄せる。
WindPlus連合の推定によれば、欧州の利用可
能な海上風力資源の約80%は、固定基礎タービンが60m深の水域の海域に及ぼす。関係者(
Banister
によると、海洋風開発には、カリフォルニアや日本など世界の新しい市場開拓に及び。WindFloat
Atlantic事業
は海岸から20キロ(12.4マイル)の距離で100メートルの深さに海底に固定されている。

  Oct.31, 2018

10月の初め、Innogy SE、Shell、Stiesdal Offshore Technologies A / S(SOT)の支援を受け、欧州の浮遊式
海上風力事業が推進する3つの事業体は、ノルウェー沿岸のSOTのTetraSpar浮遊基盤コンセプトを実
証事業に合流する。事業
パートナーは、TetraSparファンデーションのモジュール式レイアウト(管状
の鋼製主体構造物と懸架式キールを含む)が、既存浮動風力基礎技術よりも安価に構築できる特徴を
もつ。
浮遊式洋上風力発電市場は進化しており、今まで浮体主体は高価だったが。この実証事業では、
コスト削減法をより深く理解できると、Innogy SEの再生可能エネルギー担当責任者(HansBünting
は語る。

3.6メガワットのSiemens Gamesa海上タービンを配備す1800万ユーロ(2,000万ドル)の実証事業は、
2019年にノルウェーのスタヴァンゲル近海海洋エネルギー試験センタへ導入し海岸から10キロ(6.2
マイル)の場所にあり、深度200メートルの海域に海底に固定される。
これとは別に、ノルウェー政府は
今年夏に発表された、海上風力発電所のための2つの新しいサイトが上期に公開すされ、エネルギー産業界
も、三菱重工の浮遊風力プロジェクトに注目されており、この浮体型海上風力の実績次第で米国に波及する
可能性が高い。今年の初めに、レッドウッド・コースト・エナジー・オーソリティーは北カリフォルニアの海岸沿い
の海洋風力発電事業企業連合も選択されている。

● 海上浮体技術を目指す欧州の2つの事業を決定
まず、ポルトガルの北海岸に浮遊式洋上風力発電所の商業化を目指す連合体は、EU革新基金から大
幅な融資を受ける。10
月19日、欧州投資銀行(EIB)は、EDP Renewables、Repsol、Principle Power
合弁事業のWindPlusに、25メガワットの浮遊式風力発電所建設に6,000万ユーロの融資(6,800万ドル)
を決定 。
この資金は、EIBエネルギー実証事業施設由来のもの、エネルギーシステム変革を進める事
業に対して、融資、融資保証、エクイティファイナンスを750万~7500万ユーロ(850万~8500万ドル)
を提供。
追加プロジェクトの資金は、EUのNER300プログラム(2,990万ユーロ/ 3,400万ドル)とポ
ルトガル・カーボンファンド(6百万ユーロ/ 680万ドル)に由来。事業
の3つのWindFloat製基礎建設
は、8月上旬にポルトガルとスペインの施設で開始されている。この
WindFloatは、カリフォルニア州
Principle Power社が開発した3列半水中タービン基礎であり、
この事業は、WindStar社とベスターズ
・ウィンドシステムズA / Sと三菱重工業との合弁会社であり、MHI Vestasから供給される3つの8.4
ガワットのタービンとWindFloat基礎の結合をめざす。
Vestas 164タービンは現在まで浮動主体を搭載
する最大/最強なタービン。
Principle Powerの開発責任者(Kevin Banister)によると、この事業は2019
年第3四半期に委託される予定。

● 海上風力の商用化を押し進める
WindPlusパートナーの場合、WindFloat Atlantic事業は、海上風力発電事業者が固定風力発電の海上風力
発電技術とのコスト競争を可能にする次の計画を発表。
第1段階では、WindFloatの基礎と2メガワット
のタービンを装備したプロトタイプが、2011年から16年までポルトガルの海岸で稼働。この事業の2
メガワットのタービンは、オフショア用途向けには小さすぎたため
技術実証を目的とする。これは完
全に成功。それによりシステムの技術的性能確立できた。次は
最大規模の海上風力発電所と規模とコ
ストで競争事業プロジェクトの構築にある。
次の段階で、大規模なアレイ、300メガワット以上の大
規模な事業構築能力があり、エネルギーコストをさらに下げて商業競争の激しい領域にスケールメリ
ットを事業が実際に活用できる(Banister)と語る。また同担当責任者
は、WindFloat設計のインスピ
レーションは世界中の何百もの半潜水構造を展開してきた石油・ガス業界からもたらされたと語り、
達成した真の技術革新は、海上風力タービンの浮遊構造との結合であり、タービンの空気力学と浮動
主体の流体力学の知見がどのように一致するかを理解することにあると語っている。


  

【社会政策トレッキング:バラマキは正しい経済政策である 23】    

  Yutaka Hrada, Wikipedea 

第3章 ベーシック・インカムは実現できるのか
第25節 震災復興も律給付で可能となる
一律給付が効率的であることは、2011年の東日本大震災からの復興でも同じである。政府が何か
をしようとすることがとてつもない無駄を生んでいる。例えば仮設住宅である。そのコストは、寒冷・
豪雪地仕様だと撤去費用も含めて500万円かかる。1995年の阪神・淡路大震災時での仮設住宅
のコストは238・7万円であった。しかし、2004年の新潟県中越地震で、その仕様で建てたと
ころ、断熱材もなく、雪によって雨漏りがし、居住者は大変な苦労をした。そうならないように建て
ると500万円かかる。さらに、資材の高騰もあって、600万から820万という数字もある。仮
設住宅に住めるのは2年間だから、820万円なら月に34万の支援を被災家族にすることになる。
2年間ではすまないので、4年にしても月7万円の支援ができることになる。

それなら、4年間家賃補助をしたほうが安上がりである。地方であれば、月5万できちんとしたアパ
ートに住める。10万もあれば、仮設住宅よりずっと快適で広い家に住める。もちろん、被災地には
物理的に家がないのだから、家賃補助は意味がない。しかし、阪神・淡路大震災では、住み慣れた場
所から遠くに仮設住宅を建てたために入居希望者が少ない仮設住宅もあった。今回の東日本大震災で
も同じことが起きている。待望されていた仮設住宅だが、入居率は岩手が80・7%、宮城が86・
7%、福島が58・1%である(『朝日新聞』2012年7月7日)。市町村単住でみると3割台の
ところもある。仮設住宅が通勤・通学に不便な場所にあることと、賃貸住宅への補助金が出ているか
らだ。

仮設住宅の面積は30平方メートルにすぎないから、820万円なら坪90万円のコストがかかる。
坪60万円出せば、立派に普通の家が建つ。90万円といえば、スターの豪邸の坪単価である。自宅
が全半壊した被災者の新しい住宅の頭金として820万円渡したほうがずっとよいのではないか。住
宅ローンの頭金というメニューがあれば、多くの人がそちらを選ぶだろう。新たに恒久住宅を建てる
のでは間に合わないという批判かおるだろうが、仮設住宅でも、震災から5か月以上たって、4万戸
弱しか建っていなかった。

普通の家も、3か月で建つ。間に合わないというのなら、最初に住宅頭金を受けた人は、6か月の間、
他の家族を無料で下宿させるとしてはどうだろうか。150平方メートルの普通の家(地方ではこの
程度が普通であろう)に2家族で住むほうが、30平方メートルの仮設住宅に住むより快適なのでは
ないか。不便なところにある仮設住宅は人気がないにもかかわらず、宮城県では、仮設住宅を退去し
た被災者のために、1・5万戸の災害公営住宅を整備するという(県の震災復興計画)。岩手県でも、
同じ事業を県の予算に盛り込むことを検討している。災害公営住宅も、人気のない仮設住宅の二の舞
になるのではないか。

避難所に行って、仮設住宅に行って、災害復興公営住宅に行くといくらかかるのだろうか。京都大学
の高田光雄敦授によると、仮設住宅に360万円、災害公営住宅の建設費に1500
万円以上かかり、
その他の費用も合わせると両者で2000万円かかり、さらに公営住宅用地
の取得費も入れると全部
で3000万円かかるという(高田光雄「検証テーマ『住宅復興にお
ける取り組み』」、兵庫県・復
興10年委員会「復興10年総括検証・提言報告」報告書、2005
年、http://web.pref.hyogo.jp/wd33/doc
umen
ts/000038701.pdf
)もちろん、生活できない人を国
が面倒を見るのは当然である。しかし、自立で
きる人には仮設住宅の820万円を援助したほ
うがずっと安上がりではないか

さすがに政府もこれまでの愚かさを認めて、内開府の有識者会議は、「自治体が建設するプレハブ仮
設は、1戸あたりの整備費用が600万~820万円……また、民間住宅を借り上げる
「みなし仮設」
では自治体が借り主になるため、契約作業に職員の手が図らず、被災者が入居
を待たされる例が相次
いだ。……(そこで)現金やクーポン券を被災者に給付して家主と契約
してもらう方法も検討すべき
だとする。……I戸あたりの費用は、……年間74万~150万
円」となると提言している(「被災者
に家賃直接給付仮設建てる原則、転換」『朝日新聞』2014
年7月29日)。

 Feb. 28, 2018

第26節 高台移転のコスト
どの県の計画でも災害に強いまちづくりが謳われ、住民の高台移転が提案されている。高台移転とは
高台を造り、住民を移転させる計画だ。しかし、三陸の急峻な山を何百メートルも切り崩して盛り土
するのは大変な工事である。盛り土した部分は、高さはあっても地盤が弱い。仙台郊外の丘陵地の谷
を土砂で埋めた住宅地でさえ今回の地震で地滑りが発生して大きな被害が出ている。三陸の住宅地の
地価は、坪5万円以下のものである。畑や田園を宅地にすれば、さらに安くてすむ。しかも、人口は
減少している。新たに高台の住宅地を造るなど、到底見合わない投資である。                                

宮城県は2011年6月10日に、東日本大震災で甚大な被害を受けた沿岸12市町で、住宅の高台
移転など改鋳まちづくりを進めた場合のコストを政令市の仙台市、高台移転の計画がない利府町、松
島町を除く沿岸七市五町を対象に試算している。それによると、高台移転は772ヘクタール、1万
3900戸が対象で、総事業費は4250億円となるという(『河北新報』2011年6月11日)。
4250億円を1・39万戸で割ると、1戸当たり3057万円となる。4250億円を772ヘク
タールで割ると、1平方メートル当たり5・5万円になる。772ヘクタールを1・39万戸で割る
と、一戸当たり555平方メートルになる。1戸555平方メートルとは168坪の敷地(もちろん、
道路や公園用地などで三割以上の土地を確保する必要があるので、1戸当たりの敷地は100坪程度
となる)ということになる。これほどの巨額のコストをかける必要があるのだろうか。しかも、その
ようにして造られた上地に、人々が住むかどうかもわからない。生活の基盤となる住宅や漁業のため
のお金は回ってこないからだ。

巨大な公共事業でかかるのはお金だけではない。時間がかかる。今回被害が激甚だった地域は、農業
と漁業と政光が中心産業である。個人の生産手段や住宅の復旧を援助すれば、素早い復旧が可能にな
る。五年も時間をかければ、働ける人は仕事のある場所に移勤してしまい、地場産業を復興すること
はできなくなる。

実際には、政府も、ある程度は個人に給付する方向で動いている。阪神・淡路大震災を契機に、個人
の住宅の被災に対しても援助がなされるようになった。被災者生活再建支援法によって全壊世帯に最
高300万円を支給する制度も創立された。今回の対応として、被災者に直接現金で手渡す被災者生
活再建支援金の増額、被災者の住宅取得にともなう二重ローン(破壊された家と新しい家の二重のロ
ーン)の負担軽減、被災者が破産したとき手元に残せる資産を充すること(現預金400万円まで。
2011年3月31日各紙報道)、一部公的金融機関の被災企業への債務放棄(「日本経済新聞』2
011年4月5日)などが議論されている。結局のところ、個々の被災者に対して援助をしたほうが
効率的なのである

結語
会社ではなくて、国家が、社会の安心を直接保障すべきであり、貧困そのものも解消すべきである。国家は、
すでに、その上うな力を持っている。現在、国家がなしているさまざまな業務をBIの支給に置き換えれば、国
家は貧困を解消することができる。資本主義の矯正をもっとも効率的に行えるのがバラマキであり、究極のバ
ラマキとしてのBIである
日本が達成した豊かさによって、究極的に、すべての貧しさを解消することができる。それがBIである。現在の
雇用維持政策、福祉政策の非効率、寛大すぎる生活保護制度を改めれば、すべての人々に最低限の健康で
文化的な生活を保障することができる。

おわりに 国家は貧困を解消できるか
貧しいとは、大部分の人にとっては単にお金のないことである。日本では、990万人の人が、年に
84万円以下の所得で暮らしている。この人々が、84万円以上の所得が得られるように追加的に給
付する費用は2兆円にすぎない。84万円か安すぎるという議論かおるとして、それを100万円に
引き上げても、給付に要する費用は3・7兆円にすぎない(第3章の12兆円とインセンティブのた
めの費周一の項を参照)。
すなわち、貧困とはたかだか3・7兆円の問題にすぎないのである(日本のGDPは約500兆円で
ある)。であるにもかかわらず、日本は社会保障に100兆円以上の予算を投入している。もちろん、
100兆円役人しているから、残りの問題がせいぜい3・7兆円の問題になっているのだが、それで
も100兆円投入して解決できていない3・7兆円の問題が残っているとはおかしなことである。

多くの人は、貧困はお金ではなく、貧しい人々が正しい生活習慣を身に付けていなかったり、社会に
適応できていなかったり、十分な綜得能力がなかったりするという問題だから、政府が正しい生活習
慣や社会に適応することを教えたり、職業訓練で椋得能力を身に付けさせたり、公共事業などで無理
やり仕事を作ったりする必要があると考えているようである。しかし、本書で繰り返し説明したよう
に、それは成功していない。確かに、貧困を社会不適応の問題と考えるべきケースはある。しかし、
貧困とは1000万人の人々の問題である。1億2700万人の日本の人口で、それほど多くの人が
社会に不適応を起こしているはずはない。そもそも、1000万人の社会不適応の人々を政府が指導
して、その生活習慣を改善することなどできるはずがない。そうするためには、政府は強権を発動す
るか、とてつもない数のケースワーカーを雇うしかない。そもそも問題の捉え方が間違っているので
ある。
 
貧困とはお金がないという問題なのだから、お金を給付すれば貧困を解消できる。しかし、人々の所
得を把握し、給付が人々の働くインセンティブを歪ませない上うにする(正確には歪みを極力小さく
する)ために、給付の仕方に工夫がいる。その工夫が、すべての人々に基礎的所得、ベーシック・イ
ンカム(BI)を与えることなのである。
BIに対して考えられる反論のすべてに、本書はすでに答えを書いているが、それでも繰り違される
であろう反論は、次のようなものだろう。

①貧困は単にお金のないことではなく、教育、職業能力、社会適応力の不足、家庭内暴力、児童虐待、
疾病、傷害などの問題であり、現に、その面から対処しなければならない事例が多数ある。

②BIで得られる所得は不十分なものであり、それは人々を貧困から救い、健康で文化的な最低限度
の生活を保障するものではない。

③貧困は人々の努力、相互の助け合いで解消するべきもので、国家の一方的な恩恵によって解消され
るべきものではない。国家が登場すれば、それは家族や地域の相互扶助、労使の協力による保険制度、
労働者の団結による救済など、人々の助け合う力を弱めてしまう。

以上の反論に対する答えは簡単である。①については、そのような事例には、福祉官僚が適切に対処
すればよいだけだと答えたい。政府の資源に制約がある以上、宮原機構は、貧困の大部分を占めるお
金がないこと以外の問題に真摯に対処すればよいだけである。しかし、政府は、教育、職業能力、社
会適応力の不足に効果的に対処していない。児童虐待や家庭内暴力にも対処できていない。中央と地
方の政府のするべきことは無限にある。

②については、社会的に利用することのできる富に限度がある以上、いかなる福祉制度も財政的な制
約があると答えたい。超高齢化に向かう日本では、高齢者への社会保障支出を削減するしかない。B
Iであろうが、これまでの社会保障制度であろうが、いくらでも給付できるわけではない。また、B
Iは制度であって、制度自体が、どれだけの給付をすべきかを決定できるわけではない。給付水準を
決定するのは納税者である国民である。BIの利点は、同じ財政支出でより効果的に貧困を解消でき
ること、福祉の網の目から落ちる人がいなくなることである。BIは、福祉宮原の恣意性から脱却し
て、すべての人々が最低限の、しかし、健康で文化的な生活ができるようにするものである,

③については、BIは人々の自助努力や自発的な助け合いを阻害するものではないと答えたい。現行
の生活保護制度は、働けば保護給付をほぼ100%削減されるという仕組みによって自助努力を妨げ
ている。また、生活保護水準が高すぎることによって(生活保護を受けている世帯は全世帯の1・6
%なのに、その水準以下の所得で生活している人々は13%である。第1章の「最低賃金の問題では
なく生活保護の問題
」「日本の生活保護水準は高い」の項を参照)、むしろ、生活保護制度は、福祉
に頼る人々への反感を生み出し、人々の助け合いを妨げている。BIはすべての人に与えられろもの
であるから、それを得ている人への反感が生まれることはない。BIはむしろ人々の自ら助ける力、
助け白う力を高めるものである。

ベーシックーインカムによって国家は貧困を解消できる。また、他の方法によって貧困を解消するこ
とはできない



本書を構想したのは、「中央公論」2010年6月号にベーシック・インカムについての小論こベー
シック・インカムが貧困を解消する」)を掲載したときである。これを充実させて一冊の本にしたい
と思いながら、すでに4年がたってしまった.その間、多くの方と議論を重ねることができ、それら
は本書に反映されている。本書が完成するまでには、多くの人々の助力を得た。そのすべての方々の
お名前を書くことはできないが、金融アナリストの吉松崇氏、大和総研の鈴木準氏、是彼俊吾氏、早
稲田大学大学院政治学研究科の安中進氏には、本書の未定稿を読んでいただき、有益なコメントをい
ただいた。特に鈴水準氏の詳細なコメントに心から感謝する。もちろん、残る誤りはすべて著者の責
任である。中央公論新社の小野一雄氏は、本書をわかりやすく、読みやすくするために尽力してくだ
さった。以上すべての方々に心から感謝申し上げる。

              原田 泰著 『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるいか』

     

10年前にリフレ派宣言し、百年国際、成長戦略「双頭の狗鷲」論をブこのログ展開してきたわたし
(たち)とって"バラマキは正しい経済政策”は違和感なく、ベーシック・インカム制の理解するこ
とができたと思っているが、世間に流布されてしまった「赤字国債」「バラマキ」の2つの性悪説は
根強く残っている(刷り込まれいている)。今後はこの著書をふまえ、この制度の理解を進めていく。

                                          この項了
 

 ● 今夜の一曲

『万里の河』唄 チャゲ&飛鳥 
Music Write:飛鳥涼 チャゲ

タイトルは万里の長城から採った。中国の長江をイメージし、河の遥か彼方へ行ってしまった恋人を
想い続ける女性を描いた物語風の楽曲。同曲によって、1980年11月27日のTBS系『ザ・ベストテン』
に「今週のスポットライト」コーナーで初出演。その後、同番組で12月18日には第8位で初ランクイ
ン。一旦10位圏外にランクダウンするも、翌1981年1月8日は第4位まで再上昇。同年2月26日まで通算
9週ランクイン。また同年1月15日の生中継放映時(第6位)では、まだ当時開通前だった東北新幹線
の小山駅(栃木県小山市)構内のレール上で、停車中の新幹線をバックに歌を披露。さらに、フジテ
レビ系『夜のヒットスタジオ』でも大胆な演出で出演。

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エネルギー貯蔵革命Ⅱ

2018年10月30日 | 時事書評

  


                                  

第58章 禍福は楯の両面である
施策の跡を意識させぬほど自然な政治なら、そのもとにある人民ぱつねに心安らかである。重箱の隅
をつつくような政治なら、そのもとにある人民はつねに戦々恐々としている。そもそも、禍にはつね
に福が寄り添い、福はつねに禍がひそむものだ。禍福は誰にも見きわめが
つかね。両者を区別する基
準はどこにもないのだ。正は邪となり、善は悪となる。人がこの対立転化の道理を忘れ、迷妄に陥っ
てから、すでに久しい。
聖人は、相対的な価値を絶対貼しない。方正であって、方正をてらわない。清廉であって、清廉をて
らわない。実直であって、実直をてらわない。明知であって、明知をてらわない。
※ 方正:行いや心が正しいこと。

第59章 農夫のごとく
一国の政治は、農夫を手本として行なうべきである。農夫は、作物の自然を全うさせる。つまり、自
然の矧に従うのである。自然の理に従うことは、徳を内に深く体することにほかならない。徳を深く
体すれば、いっさいの不可能は消滅。不可能が消滅すれば、無窮の境地に到達する。この無窮の境地
に到達した者にしてはじめて,国家を保つことが可能になる。
農夫のごとくあること、これが政治の原則である。この原則さえ守り通せば、国家は永遠に栄えるで
あろう。これこそが、確固として滅びぬ道なのだ。 
 
嗇(しょく)にしくはなし 作物を育てるためには、雑草を取り去って田畑をととのえる。育ちがよ
くない場合には、その原因を除くようつとめる。あとは作物の自然にまかせて焦らない。指導者はか
くのごとくあるべしと脱くのである,特に教育者の味読すぺき説であろう。

   

【社会政策トレッキング:バラマキは正しい経済政策である 22】       

 Yutaka Hrada, Wikipedea 

第3章 ベーシック・インカムは実現できるのか
第22節 ばらまき政策は悪くない
BIは究極のバラマキ政策である。ところが、バラマキ政策は、よくない政策の代表だと思われてい
る。だ
から、BIもバラマキだとして反対する人は多いようだ。そこでまず、従来型のバラマキ政策
が悪くないこ
とを示しておこう児童手当の増額や農業者への所得保障制度や高速道路の無料化など
がバラフマキ政策の代
表のように言われている。ただし、高齢者の医療負担増を軽減する措置は、あ
る人によってはバラマキであ
るが、別の人にとっては社会保障制度を維持するための正当な措置であ
る。要するに、自分の気に入らない
支出はバラマキで、自分の気に入った支出はバラマキではないよ
うだ
ところが、防衛費や教育費の支出増や特定のビッグブロジェクトは、バラマキとはあまり言われない
そう
すると、広く薄く配るのがバラマキで、限られた特定のところに大きく配るのはバラマキではな
いというこ
とになる。確かに小さな公共事業を配るのはバラマキと呼ばれるから、ここで定義したバ
ラマキの意味は正
しいことになる。 

私は、世間の心配とは異なり、広く薄く配るバラマキ政策が悪いと考える根拠は何もないと思う。そ
もそも、
児童手当や農業者への所得保障制度や高速道路の無料化は、何に対する代替案なのだろうか。
また、これら
施策の目的は何なのだろうか。
児童手当の目的は、子どもを増やすことなのか、子どもを育てている家庭を援助することなのか、ど
ちらだ
ろうか。目的が子どもを育てている家庭を援助することならば、よいも悪いもない。そのとお
りの合理的政
だ。児童手当の目的が子どもを増やすことであるというなら、目的の正しさに加えて、
効果の正しさについても
議論しなければならない。子どもを増やすという目的が正しいとして、児童
手当は子どもを増やす効果かお
るのだろうか。これは、他の手段と比べなければならない。児童手当
批判するのであれば、例えば保育所
の定員を増やすことにかかる費用と比べて、児童手当は子どもを
増やす政策として非効率であるという証拠
が必要。単に、薄く広く配ることはよくないというので
は、何ら建設的議論にならない。
 

 Jan. 30, 2014

政策をめぐる議論が混乱する大きな理由は、目的の正しさと効果の正しさを混同することにある。子
どもを
育てている家庭を援助するという目的が、正しいか正しくないかは、しょせんは人の好きずき
である。民主
主義社会では、選挙で選ばれた議員の価値観に従うしかない。児童手当は、子どもを増
やす効果があるのか
という問いに対して、私が書いた論文を紹介すると、保育所の定員を増やして待
機児童を減らすほうが、児
童手当よりも、同じ費用で4倍の効果があるという結果になる。ただし、
待機児童を減らして子どもを一人
増加させるコストは年2780万円と膨大である(阿部一知・原田
泰「子育て支援策の出生率に与える影響
-市区町村データの分析一、『会計検査研究』第38号、2
008年9月)。これは、どちらの政策もほ
とんど効果がないと解釈すべきかもしれない。
また、地方では待機児童が少ないので、保育所の定員を増大させる予算は、都市部にのみ回されるこ
とにな
る。児童手当は全国型の政策で、保育所の定員増大は都市型の政策ということになる。 

 Set. 18, 2008

第23節 バラマキでない農業政策は何をもたらしたか 
農業者への所得保障制度も、これまで行われている農業保護制度と比べて、どれだけましかという観
点で評
価すべきだ。農業保護制度を点検してみる。まず、日本の農業総生産額(売り上げから機械、
肥料、農薬な
どの投入費用を除いた付加価値)は4・9兆円、農産物輸入額は6・1兆円である。農
業予算は2・3兆円
であるから、これが農業への補助金となる(数字は農林水産省ウェブサイトー農
林水産基本データ集」など
による。いずれも2023年の値。予算には水産・林業予算も含む)。 

実質的な補助金はこれだけではない。日本の農産物価格は国際価格の1・6倍であるから(OECD
資料)、
生産額4・9兆円から、生産額を国際価格に引き下げたもの(4・9兆円÷1・6)を差し
引くと、1・8
兆円の国境保護、価格補助金を得ていることになる。一方、輸入額は6・1兆円であ
るのに、関税収入は0
・5兆円しかない。本来なら輸入額6・1兆円の60%の3・7兆円の関税収
入があってもよい。
要するに、日本の農業は2・3兆円の財政補助金、1・8兆円の価格補助金をも
らって、わずか419兆円
の生産しかできず、6・1兆円の輸入をしていることになる。何かおかし
い。補助金のシステムがとてつも
なく非効率なのだ。 

まず、国境保護をすべて関税にすれば、0・5兆円ではなく3・7兆円の関税収入が入るこの関税
収入と
現行の財政補助金を合わせた6兆円をすべての農家に配ってしまったらどうだろうか。日本の
農家のうち、
自家用消費ではなく農産物を販売している農家は146万戸である。6兆円を146万
戸に配ると、一戸当
たりでは平均411万円となる。農産物の販売額に応じて個々の農家に配れば、
大きな農家はたくさんもら
えることになる。だから農家の規模拡大意欲を阻害することにはならない。
これまでの補助金はすべてやめ
るが、その代わり一戸当たり411万円配ると決めたら、すべて農家
がそっちにしてくれというだろう。ま
た、国の財政赤宇がとんでもない状況にあるから、その半額の
206万円で我慢してくれといっても、9割
以上の農家が賛成してくれると私は思う。 
※ 「国家財政赤字論」の議論を要決着

第24節 バラマキでない林業政策とはいかなるものか
バラマキでない政策がひどいことになろのは、林業でも同じである。新興国の発展が世界の資源を使
いつくすという議論かおる。住宅用の木材についてもそうである。一般的には資源のない日本である
が、日本の国土の66%は森林に覆われている。にもかかわらず、日本の木材自給率は20%にすぎ
ない。もちろん、日本の森林は山にあり、欧米のように平野や丘の森林を伐り出すのとはわけが違う。
日本でのコストは当然に高くなるというのはある程度は正しいだろう。しかし、木材のような、かさ
ばって運送費のかかるものであれば地産地消がなされても不思議ではない。 

日本で政府の援助がなされなかったわけではない。それどころか、潤沢な保護が与えられ続けてきた。
日本とフィンランドの森林面積は、それぞれ2500万ヘクタールと2600万ヘクタールでほぼ同
じだが、森林整備予算は、日本が2678億円であるのに対して、フィンランドは266億円と10
分の1にすぎない。ところが、日本の木材生産量1830万立方メートルに対して、フィンランドは
586万立方メートルと日本の3・2倍以上である。木材生産量に対する予算は、日本がフィンラ
ンドの32・3倍である。何かがおかしいのである(以上の数字は、八田達夫・高田侃「第2章林業
における政府の役割」、伊藤隆敏・八代尚宏編『日本経済の活性化-市場の役割・政府の役割』日本
経済新聞出版社、2009年より)。 

日本の森林整備予算が莫大である理由の一つに、生産林と非生産林を区別しないことがある。森林の
なかには枯死、倒木するものがある。すると近隣の森林から種子が運ばれ、発芽・成長する。こうな
ると、森林には、多様な種類や年齢の異なった樹木が入り混じり、さまざまな生物の棲みかとなる。
このような自然林は、人手を要せず、すなわち、コストがかからず、治山治水に役立つ(八田・高田
前掲論文による)。ところが、政府が援助すれば、天然林であるべきところも生産林にしようという
動きが出てくる 

もう一つコストが高くなる理由は、下刈と間伐と枝打ちである。下刈とは、樹木より高く生えてくる
雑草を刈り取ること、間伐とは、苗木を密集して植えた後に育ちの悪い木を伐り取ることである。間
伐と下刈をしないと細い木が密集して生える。枝打ちとは、節をつくらないために枝を切ることであ
る。京都大学の赤井龍男氏(現ハイトカルチャ株式会社社長)によれば、下刈や間伐をしなくても森
は育つという(以下、田中淳夫『日本の森はなぜ危機なのか-環境と経済の新林業レポート』平凡社
新書、2002年、による)。自然条件にもよるが、下刈をしなくても、木は、雑草のなかから育っ
てくる。間伐をしなくても、強い木だけが残ってくるという。赤井氏によれば「人が手間と費用をか
けて間伐している木は、本来自然に枯死するか生長を止めてしまう分なんです。わざわざ伐らなくて
も、……自然に間引きが起こり、優勢木は支障なく生長します」という。そもそも、日本の伝統的林
業は間伐などしなかったという。ヘクタール当たり3000本植えて間伐するようになったのは、戦
後、この本数なら補助金が出たからであるという。なぜ、このような林業になったかといえば、奈良
県吉野の林業をモデルに、それと同じように林業を行えば補助金が出るようになったからである。

 吉野林業とは何か。江戸時代の吉野では、スギを1ヘクタールに1万から1万2000本も密植する
ようになった。そのままでは育ちが悪いから間伐する。間伐した絹い木が、建築現場の足場や稲わら
干し用の丸太になった。磨き丸太にして床柱になった。割り箸、経木、蒲鉾板、建具材として販売さ
れた。間伐材は毎年、収入を生み出した。60年後に残った木は、節のない、木目の密集したまっす
ぐな木に育った。年輪が密なら樽にしたときに水漏れがしにくい。 

しかも、スギは木目に沿って割れやすく加工しやすい。だから酒樽のために最適で高価な木材となっ
た。木目が美しいと高価になっただけではなく、実用性が評価されて高価になったのである。密偵、
間伐とは、そもそもは毎年収入を得るための工夫だった。ところが、足湯や床柱の需要がなくなり、
美しい木目に高値がつかなくなると、吉野の林業モデルは立ち行かなくなる。それでも下刈や間伐を
続けるのは補助金があるからだ。下刈や間伐をやめても木は自然に育つ。自然に育つに任せれば、コ
ストが下がる。

目的は、日本の木材が売れることを通じて、日本の森を守り、森を守る人々の暮らしを守ることであ
る。ところが、あるやり方が政府によって承認され、保護され、援助されれば、人々は、そのやり方
でやろうとする。吉野の林業が、毎年、収入を得るための工夫であったことは忘れられ、補助金を目
的とした林業が行われることになる。
現行の政策には無駄が多い。これを人々に直接配るバラマキに変えて悪いことは何もない
経済を発展させる要諦は、現状を改善したいという人々の創意をできる限り阻害しないことだ
を知らない官僚組織が、人々にあれこれと指図することが膨大な無駄を生み出している。また、壮
なビッグプロジェクトが成功した例は少ない。バラマキ政策は、人々の創意を阻害しないがゆえに、
より効率的な政策である。

              原田 泰著 『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるいか』

この続きは、吉野杉から終論へ移る。
                                        この項つづく
 
 

 
Anytime, anywhere ¥1/kWh  Era” 
【エネルギー通貨制時代 Ⅹ】

 

   Mar. 3, 2017

今回は、出口戦略として「独立分散型固体蓄電池」の性能及びコストパラメターを下図、経産省などの資料を
参照し、ザックリと❶エネルギー密度:250Wkg/kg超、❷ライフサイクル:5万回超、❸耐用年数:15年以上、
❹価格:5万円/kW以下、❺その他のパラメーターは後日としておき、特許事例を検索し、住友金属鉱業株式
(下図記載)の米国特許庁の再公表を選択。リチウム系ではあるが製造方法を網羅してており参考として調査
する。目標達成するための最適条件/最高性能/歳廉価を満たすためのイメージアップを図り、「エネルギー
貯蔵革命Ⅱ」として今夜ブログアップした。
尚、イノリス社とは併行してコンタクトしておくことが肝要であろう。

 

 Feb. 28, 2017

May 10, 2018

 



【エネルギー貯蔵技術事例研究 Ⅲ】
❑ US10109849B2 Nickel composite hydroxide, cathode active material for
non-aqueous electrolyte secondary battery, and methods for producing these::

ニッケル複合水酸化物、非水電解質二次電池用正極活物質及びこれらの製造方法:
住友金属鉱業株式会社,
Oct. 23, 2018
【概要】 
ニッケル塩と中和剤とを少なくとも含む水溶液を準備することにより、ニッケル複合水酸化物スラリ
ーを一次結晶化させることにより、二次粒子の体積平均粒径が8.0μm?50.0μmであるニッケル複合水
酸化物が得られる最終的に得られた二次粒子の体積平均粒子径に対する比が0.2から0.6となるように
晶析反応を制御することにより、複合イオン化剤を含まない状態で連続攪拌しながら得られたスラリ
ーの量を一定にして結晶化を継続し、スラリーの液状成分のみを連続的に除去して二次結晶化工程で
ニッケル複合水酸化物を製造し、 スラリーの温度が70℃?90℃、標準液温度25℃におけるpHが10.0~
11.0となるように制御することを特徴とすることで、粒径が均一で、充填密度が高く、充分な接触面
積を維持できる非水電解質二次電池用正極活物質を、 このような正極活物質を非水電解質二次電池
に用いることが可能なニッケル複合水酸化物前駆体を提供する。

本発明によれば、生産性を損なうことなく、非水電解質二次電池用正極活物質の前駆体として、均一
な粒子密度及び高い充填密度を有するニッケル複合水酸化物を得ることができる。 また、このニッケ
ル複合水酸化物を前駆体として用いることにより、正極材料として用いる場合には、電池容量の向上、
電池出力の向上、電池サイクル特性の向上が可能な正極活物質を容易に得ることが可能となる 電池の
従って、本発明は工業的価値が非常に高いといえる。

 

特許請求の範囲

    1. 非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、ニッケル複合水酸化物の製造方法により得られたニッケル複合水酸化物をリチウム化合物と混合してリチウム混合物を形成する混合工程と、
      少なくともニッケル塩と中和剤とを含む水溶液を反応容器中に連続的に攪拌しながら供給し、反応水溶液を生成させ、錯体を含まない状態で結晶化反応によりニッケル複合水酸化物を製造する工程反応水溶液中に金属元素と錯イオンを形成するイオン形成剤と
      前記ステップは、反応器内で発生したニッケル複合水酸化物の2次粒子の体積平均粒子径(MV)と体積平均粒子径(μm)との比が1:1となるように結晶化反応を制御しながらニッケル複合水酸化物スラリーを得る一次結晶化工程と、最終的に得られるニッケル複合水酸化物の二次粒子の大きさ(MV)は0.2?0.6であり、そして、複合イオン形成剤を含まない状態を維持しながらスラリーの液体成分のみを連続的に除去して一次結晶化工程で得られたスラリーの量を一定に保って晶析反応を継続させる二次結晶化工程と、スラリーの温度が70℃?90℃の範囲であり、スラリーの標準液温度25℃におけるpHが10.0?11.0の範囲内であることが、ニッケル複合水酸化物の二次粒子の平均粒子径(MV)が8.0μm以上50.0μm以下であり、複数の針状又は板状の一次粒子の凝集により形成された二次粒子であって、一次粒子の短径方向の長さが0.1μm以下である球状のニッケル複合水酸化物の二次粒子からなるニッケル複合水酸化物であって、体積平均粒径(MV)が8.0μm以上50.0μm以下であり、体積平均粒径(MV)に対する粒度分布の関係が(D90-D10)/ MVである二次粒子の体積平均粒径0.5、またはニッケル複合水酸化物を酸化雰囲気中で300℃~1000℃で焙焼して得られるニッケル複合酸化物。そしてリチウム混合物を酸化雰囲気中で650℃?950℃で焼成してリチウムニッケル複合酸化物を得る焼成工程
    2. 非水電解質二次電池用正極活物質、請求項1に記載の製造方法により得られた正極活物質、体積平均粒子径(MV)が8.0μm以上50.0μm以下であり、(D90-D10)/ MVが0.5未満であるリチウムニッケル複合酸化物の二次粒子を含有する正極活物質と、 X線回折における(003)面ピークからのシェラー法は30nm~150nmである。
    3. 非水電解質二次電池用正極活物質、請求項1に記載の製造方法により得られた正極活物質、体積平均粒子径(MV)が8.0μm以上50.0μm以下であり、(D90-D10)/ MVが0.5未満であるリチウムニッケル複合酸化物の二次粒子を含有する正極活物質と、 X線回折における(003)面ピークからのシェラー法は30nm~150nmである。 前記体積平均粒子径(MV)が、18.0μm以上50.0μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
    4. 前記リチウムニッケル複合酸化物は、一般式Li1 + uNi1-x-yCoxMyO2(ただし、-0.05≦u≦1)で表される組成を有することを特徴とする請求項2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。 Mは、Mn、V、Mg、Al、Ti、Mo、Nb、ZrおよびWから選択される少なくとも1つの追加の元素である。
    5. 前記リチウムニッケル複合酸化物は、一般式Li1 + uNi1-x-yCoxMyO2(ただし、-0.05≦u≦1)で表される組成を有することを特徴とする請求項2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。 Mn、V、Mg、Al、Ti、Mo、Nb、ZrおよびWから選択される少なくとも1つの追加の元素である。 。
    6. 正極材料として、請求項2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質を用いたことを特徴とする非水電解質二次電池。

 ● 今夜の一曲
『花嫁』唄 坂崎幸之助
Music Writer:北山修 端田宣彦 坂庭省悟
 

 ● 今夜の一枚

 

コメント (1)
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核再軍拡

2018年10月28日 | 時事書評

  


                                  

第57章 策にこだわるな
正義は、政治の役に立つ。奇策は、戦争の役に立つ。だが、正といい奇といっても、所詮は相対的な
区別に
すぎない。それにとらわれてはならないのである。民心を帰服させて天下を洽めるには、正否
を超越した無為によらねばならぬ。なぜ無為でなければ
ならないか。次の事実を見るがよい。
そもそも、禁令がふえればふえるほど、人民は貧しくなり、人民の知恵が増せば増すほど、社会は

れているではないか。技術が進めば進むほど、不幸な事件が発生し、法令が整えば整うほど、犯罪

は増加しているではないか。

聖人はこういっている。

「わたしが無為であれば、人民はおのずと生きる。わたしが勤かずにいれば、人民はおのずと正しく
なる。わたしが手をくださなければ、人民はおのずと豊かになる。わたしが無欲であれば、人民はお
のずと本性に返る」

 Oct. 22, 2018

● 2050年にペルー氷河不可逆的消滅 ?!
アルバニー大学の研究によると、現在の温暖化傾向が続くならば、ペルーのケルカヤ氷冠は2050年代
半ばまで不可逆的な後退の状態に達するだろうと予測している。
 

 
Anytime, anywhere ¥1/kWh  Era” 
【エネルギー通貨制時代 Ⅸ】

   Mar. 3, 2017

エネルギー通貨制と書いた手前、総額でどの程度の額になるのか見積もる。米国政府のエネルギー情
報局(EIA)の予測数値によれば、2040年の全世界における発電量は36兆4,500億kWhになる(上図参
照)。これは、2012年には21兆5,600kWhなので、現在の約1.5倍超となる。また、
国連の世界人口
予測値は2040年で91.57億人となり、1人あたり、10.91kWh/日となり、\1/kWhで換金すると\10.91/
人になる。因みに、2012年世界の名目GDPを$745,15億なので1.5倍の伸び率と仮定\106/$として32.50
\/kWhとなる。ウッドマッケンジー(Wood Mackenzie)調査会社の予測では2012年の再エネ普及率は2
%。2018年6%で2035年16%と予測し、再エネを2012年の80倍としており、2040年に100%を目標にする
と50倍。なにが言いたいかというと、\32.50kWhという数字は日本の一般家庭の\25kWhの現状からさ
ほどかけはなれていないが、再エネ100%での実行目標を\1/kWhと設定したときの達成投資金額を年間
当たりいくらに設定すれば好いかということになる。これが、このシリーズの出口論となることを確
認しておきたい。

因みに、2016月に米国政府のエネルギー情報局(EIA)によれば、2005年から2012年まで年率 3.2%
のペースで伸びてきた全世界の発電電力量は、2012年からは2040年に向けて年率1.9%平均に鈍化す
る一方、発展途上国では3.3%のペースで増える。予測値はGDPの成長率を元に算出されている。 

活の現代化で電気依存度は高まる。EIAは
、全世界の電源構成は、水力発電や風力発電、太陽光発電
などの再生可能エネルギーと、二酸化炭素排出量が比較的少ない天然ガスによる発電量が増加し、地
球環境への負荷が大きい石油や石炭のシェアが低下すると観る。また、
再エネの中でも成長率が最も
高いのは太陽光発電で、年率8.3%で増えると予測。次いで風力発電が6.7%と続くが、現状の
太陽光
は発電量全体のわずか2.6%と報告されている。

こうした中で提唱されたGreen ITには、2つの側面――電力を消費するIT機器やデータセンタなど、
ITそのものの省エネルギー化を進める「Green of IT」と、ITによって電力消費の削減を実現する
Green by IT」である。
Green of IT」としては、PCやサーバーの省電力化に加え、サーバー統合で
電力消費削減、データセンターの設計変更運用の電力消費特性などがある。ユーザー企業側としても
、省エネ設計されたIT機器を導入しGreen of ITに貢献する。また、
メーカーサイド、ユーザーサイド
双方の努力結果、Green of ITは着実に成果を上げる。ミック経済研究所が2015年12月から翌年の2月
にかけて実施した「データセンター市場と電力消費・省エネ対策の実態調査」では2015年度の国内
のデータセンタ市場は、前年比8.0%増で、電力消費量は7.6%増に留まり、売り上げの伸びを電力
消費の伸びが下回った。因みに、
大きい削減効果期待された省エネ対策に外気を直接サーバールーム
に取り入れる「外気冷却」効果を発揮。
データセンタで一番電力を消費するのは冷却電力で、最近は
冷却機能が強化された省エネ効果が高いデータセンタが増加。

もう一つの「Green by IT」は圧倒的に大きな省エネ効果を発揮する。2006年当時、想定されていた、
ペーパーレス化による紙資源の消費の抑制や、テレビ会議システムやテレワークの導入による人の移
動の抑制だったが、こうした取り組みは、今ではどの企業でも当たり前に行われており
人や物の移動
だけでなく、ITによって電力の消費を最適化する「BEMS」(ビルエネルギー管理システム)や
HEMS」(家庭エネルギー管理システム)も広がり、今後さらに大きな省エネ効果につながると想
定するが、
Green ITの省エネは「守りの省エネ」の側面が強く、テレワークなどを活用してワークス
タイルを変革することで、企業としての競争力強化する攻めの側面も持っものの、世の中のあらゆる
領域でITの役割が大きくなった今、
例えば、太陽光発電の発電量を増やす鍵は「太陽光をどれだけ電
力に変換できるか」という変換効率。変換効率が2倍になれば、太陽光発電は同じ面積で2倍の電力
を発電でき、2040年までの年率8.3%の伸びが単純計算で年率16.8%になると試算できる。また、

ンピューターの処理能力は長足の進化を遂げ、かつてのスーパーコンピュータは手のひらサイズに
なりなお進化し続け、世界的な開発競争が続くスーパーコンピュータは今でも3年で約10倍に性能が
向上しているが、処理速度を
10倍速くすることで1年かかっていた処理を1カ月程度で行える。3年で
10倍になるのであれば、3年後にはわずか10日程度で実行できる。そのスピードでシミュレーション
と分析を繰り返せば、太陽光発電の変換効率を劇的に向上させ続けることも可能で考えられない発電
方法も実用化されるかもしれない。
ITの進化は、ビジネスの世界だけでなく、エネルギーの世界で
も破壊的な革命を起こすことになると10年前にわたし(たち)が想定していたことを追認しこのよ
うに結んでいるがデフレーションも同時進行する時代でもある。

   

【社会政策トレッキング:バラマキは正しい経済政策である 21】      

 Yutaka Hrada, Wikipedea 

第3章 ベーシック・インカムは実現できるのか
第17章 夢追い人を増やさないか
BIを前提に、ミュージシャン、アーティスト、アスリート、哲学者、詩人になる夢を追う若者が増
大するという可能性もある。それらが成功することの確率が極めて低い仕事であるこ
とを考えるなら、
それは青春の錘践を政府が作り出していることになり、好ましくないという
批判があるかもしれない。
批判は正しいが、現在でも、政府が、弁護士になれない法科大学
院、会計士になれない会計士大学院、
研究者になれないオーバードクター、薬剤師になれない
薬科大学院、教師になれない教育大学院を作
っていることも青春の趾践を増大させていること
になる。

私は、BIが青春彷徨の機会を作りうることを、むしろ積極的に評価したい。ミュージシャン、アー
ティスト、アスリートになる夢は、完全な自己責任として追求される。法科大学院や
オーバードクタ
ーの上うに、政府が、そうなる夢を保証しているかに見えるものではない。私
たちの社会は、優れた
ミュージシャン、アーティスト、アスリートを欲していると私は思う
(哲学者や詩人を欲しているか
どうかは、私にはわからない)。しかし、どうすればその上うな
人材が育っていくのかはわからない
。であるなら、貧困を消滅させるためのBIが、青春彷徨と文化への献身を増大させる側面を持つこ
とはむしろ好ましいのではないだろうか。

BIは、文化予算、スポーツ予算、奨学金予算を削減することもできる。ただし、文化予算は103
3億円、スポーツ予算は255億円(以上、文部科学省「平成26年度文部科学関係予算(案)のポ
イント」2014年3月20日)、奨学金予算は前述のように1000億円に満たない。文化予算の
多くは博物館、美術館、文化財修復などの予算である。BIの財政的実現性を議論するには、付随的
な意味しかない。

なお、文化庁には、「新進芸術家海外研修制度」というものがある。制度の名称を見れば、誰でも将
来有望な芸術家を海外に派遣して経験を積ませるものだと思うだろう。文化庁に、そんな名伯楽がい
るのかと心配になる人もいるかもしれない。しかし、心配はいらない。例えば劇作家、演出家の野田
秀樹氏が派遣されたのは、岸田圃士戯曲賞、紀伊図星演劇賞を受賞した後である。映画監督の崔洋一
氏が派遣されたのは、『月はどっちに出ている』(1993年)で、キネマ旬報、ブルーリボン、毎
日映画コンクール、日本アカデミーなど数々の賞を得てからである。新進ではなく、実績のある人を
援助する制度なのだ。私は、文化庁を批判しているのではない。役人に新進芸術家など見出すことは
できない。であるなら、実績のある人を援助するのが公平というものだ。ただし、名称は、「有名芸
術家海外研修制度」と変えるべきだろう。

それならば、BIが、成功を目指すミュージシャン、アーティスト、アスリートなどのためにもなる
という性格は評価してもよいのではないだろうか。成功した人々には、社会がその報酬を払う。一方
社会が直接報酬を払うことは少ないが、一見したところ、社会が望んでいるような成功に対しては
どうしたらよいだろうか。オリンピックのメダルを社会は望んでいるように見えるが、そのための報
酬を社会は払ってはくれない。これをどうしたらよいかは難しい
問題であるが、BIは、人々のあらゆる
試みに、それが素晴らしいものであれ、客観的には愚行にすぎないものであれ、最低限の報酬を払うというこ
とでもある。私は悪くないことだと思う。

さらには、社会全体の富を増大する経済的成功をもたらすべき能力のある人々が、非世俗的満足を求
めて経済活動水準を低下させるという効果かおりうる。通常の能力の人々にとっては
問題ない。前述
のように、年84万円のBIを得るよりも、普通に働いて年500万円を得よ
うとするだろう。しか
し、BIを前提に、高い能力のある人に、年金数理人になるよりも解け
ない数学的問題を解くことに
一生を捧げるような活動を促進することになったら、それは望ま
しいことなのだろうか。私にはわか
らない。しかし、すでに国家は、能力の高い人々を用い
て、後述するように、社会全体の効率を下げ
るようなことをさんざんしてきた。BIの副次的
効果は、それよりはましなことだと私は思う。

また、私は経済的成功がすべてだとも思っていない。イエスや釈迦のような人々が、利子の禁止や世
俗的活動の軽視によって社会の経済活動水準を引き下げたという批判が仮に正しいと
しても、世界は
このような人々によって幸福度を増してきたのだと私は思う。

 Nov. 23, 2017

※ここで、マージナルな経済活動(例えば銀行などの信用付与事業などを)を「卑しい行為」として
さげすむ思想(イスラム圏も含め)が"社会の経済活動水準を引き下げた”と
は、言い換えれば"潜在
的な
剰余価値(=付加価値)"を阻害するとはどのような事例を言っているかわからない(もしこれを
行動経済学として体系化できればノーベル経済賞ものだろうが)。


第18節 BIの付随的利点
BIは、すべての人に所得を給付する。具体的には、すべての人の銀行口座、子どもであればその母
親の銀行口座に政府がお金を振り込むということである。振り込むことのコストはほとんどゼロであ
る。またそれは、政府が人々の銀行口座を知るということである。これは政府の所得捕捉を容易にす
るという利点がある。政府は人々にB1番号を与え、銀行はこの番号を控える。一人の人間は一つの
BI口座しか持てない。すべての人は、あらゆる所得をとりあえず口座に通さなければならない。も
ちろん、この口座を通したうえで、別の口座に移すのは自由である。この口座を通さない所得があっ
たとき、正しく所得を申告したか否かの挙証責任は、この口座を通さなかった人のものとなる。この
制度によって、税務当局の仕事は軽減される。納税者番号と異なって、この番号は、まず政府が所得
を給付するためのものである。したがって、ほとんどの人がこの番号の使用に反対しない。恩典を与
える口座だからだ。

さらに、これはすべての国民に銀行口座を提供するものでもある。アメリカでは、低所得者が銀行口
座を持たないために、小切手の現金化で高い手数料を取られているなどの問題がある。日本では深刻
な問題にはなっていないが、将来、そのような事態を招かないためにも有益であろう。

第19
節 BIとと地域
BIはすべての人々に生活の安心を与える。私たちは最悪の貧しさからは解放される。それに対して、
それは希望と発展のない世界ではないかという批判があるかもしれない。働くこと
が尊厳と希望を生
むのであって、働かなくても生きることだけはできるという社会は、決して
楽しいものではないと批
判されるかもしれない。しかし、このような批判は誤解である。BI
は、労働を否定していない。働
くことは賞賛され、現在と同程度の課税をされることはやむを
えないが、それ以上に課悦されること
はない。私の提案は、BIの導入によって、公共工事な
どで無理やり仕事を作ることをやめようとい
うことだけだ。

政府は、無理やり仕事を作るとともに、第1章の最低賃金の項でも述べたように、わざわざ
仕事をで
きないようにもしている。その目的は、既存の仕事を守ることだ。そんなことをやめ
れば、仕事は増
える。だから、心配することはない。だが、それに対しても、さまざまな仕事
のありうる都市であれ
ばそうかもしれないが、地方には市役所と農協と建設業しか仕事がな
い、欲しいのは仕事であって、
最低限の所得などではないと反論があるかもしれない。

しかし、仕事には富を創る仕事と富を分配するだけの仕事がある。公務員の仕事の多くは必要だが(
地方公務員の仕事の多くが警察、消防、教員である)、その所得が地方の所得レベルよ
りも格段に高
ければ、その仕事は富の創造ではなくて、自分自身への富の分配である。現実
に、地方公務員が、地
方の一般的な所得よりも高い賃金を得ることができるのは、地方の他の
住民に課税しているからでは
なくて、都市からの所得移転があるからである。そのような所得
移転が、もし正当化されるのであれ
ば、それは特定の人々ではなく、地方の住民に一律に分配
してしまうべきものであるだろう。BIは
その上うなものである。




第20節 事実として地方にもさまざまな産業がある
地方には建設業者と公務員と農協しか仕事がないと言われることがあるが、それは事実では
ない。上
図3‐1は、都道府県ごとの産業構造を示したものである(図が見やすくなるように、
半分の都道府
県を示している)。大都市圏を含まない多くの県で、中央政府頼りとは異なる、製
造業、卸・小売業、
サービス業などが大きな比重を占め、中央からの補助金頼みの政府サービ
ス生産者(政府活動に要し
た費用。政府が購入した財・サービスと人件費などの合計。以下、
単に政府と記す)、建設、農業の
比重は小さい。政府、建設、農業合計の比重は、全県の平均では15・3%、もっとも高い順の青森
(図では省略されている)、沖縄、鳥取でも、それぞれ27・4%、16・6%、25・4%である。
図3‐2は、一人当たりの県民所得と政府の規模の関係を免たものである。図から明らかなように、
政府の規模が小さいところほど豊かである。これに対しては、仕事がない、所得が低
いから政府の仕
事を作っているのだという反論があるかもしれない。しかし、政府の規模が大
きいほど所得が低いと
いうことは、無理やり政府の仕肩を作っても、讐かにはなれないという
ことを示している。一方で、
多くの地域が製造業、卸・小売業、サービス業と自立した産業を
持っている。

第21節 BIと富の正当性
もし、ある地域の所得が低いなら、その地域の自治体にではなく、その地域の所得の低い人々に直接
配ってしまったほうがよいのではないだろうか。図3‐3は、都道府県ごとのBI
と所得税額の差(
BI-所得税額)の県民所得に対する比率をごく簡略に推計したものである
(推計方法は図の注参照)。
BIの受取が所得税支払額よりも大きければプラスになるように作
図してある。


所得の低い地域では、BIが、その地域での、所得のかなりの比重を占めることになりうることがわ
かる。これで確かに地方の経済を支えることができる。地方交付税は地方自治体に配
るが、BIは地
方の人々に直接配る。東京大学の井堀利宏教授は、地方交付税を地方自治体に
ではなくて、個人勘定
交付税として、地方の住民に直接分配してしまうことを提案している
(井堀利宏『誰から取り、誰に
与えるか-格差と再分配の政治経済学』130頁、東洋経済新
報社、2009年)。もし、人々への
直接分配以上に、地方自治体が重要な仕事をできるという
のであれば、地方独自に課税して、そのお
金を必要なところに使えばよいのである。上図3‐3
には、都道府県ごとの地方交付税額の県民所得
に対する比も示してある。BIと交付税がほぽ
同じような比率を示していることがわかる。BIは、
所得の低い地方への所得再分配である。
そうであるなら、地方交付税など、それ以外の所得再分配は
減額してもよいのではないだろう。

              原田 泰著 『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるいか』

次回は、命題「第22節 ばらまき政策は悪くない」に入る。
                                        この項つづく
 

 ●夜の一曲

『無言劇』 唄 
THE ALFEE Music Writer:高見沢 俊彦

● 今夜の寸評:卓袱台返しのトランプ
トランプ米大統領が、米国と旧ソ連が結んだ中距離核戦力(INF)廃棄条約からの離脱方針を表明。
またもや
トランプで「核再軍拡」。これは新冷戦時代だとコメテータは知ったかぶるが、ヴェスト
ファーレン条約締結などどこ吹く風といった調子で後退する無教養さが恐ろしい。

  

コメント
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エネルギー貯蔵革命

2018年10月26日 | デジタル革命渦論

 


                                  

第55章 無心の強さ
内面に多大の徳を秘めた人は、いわば赤子のごときものである。
無心な赤子は、毒虫も刺さない。猛獣も爪をかけない。猛禽も飛びかからない。
体は柔らかくもろいのに、拳だけは固く握りしめている。男女の交わりとは無関係に、力強く勃起
する。自然の精気が充満している証拠だ。

朝から晩まで泣き叫んでも、声がかれない。自然に順応しきっている証拠だ。
自然に順応しきるなら、達には無窮の境地に到達する。無窮の境坤を知ってこそ、明知といえる。
ところが世の人々は、作為によって力をつけては、それが喜ばしいことだと考え、自然に逆らって
私意を通しては、それが強さだと考えている。
強壮のかげには必ず老衰が潜ひ。これを悟らず、強壮にのみ執着するのは、「道」にはずれた行為
である。「道」にはずれた行為は、長続きしない。

第56章 「和光同塵」
真の知者は、知をひけらかさない。知をひけらかす者は、真の知者ではない。
真の知者は、感覚にとらわれもせず、みだりに私意をはたらかせもしない。才知を捨て、自己主張
もせず、ただ平々凡々として、世俗に同調する。「道」と一体化するとは、このことである。
だから、真の知者に対しては、親しむべきか、憎むべきか、利すべきか、害すべきか、尊敬すべき
か、軽蔑すべきか、人々は判断のてがかりがつかめない。
このような、外からの力ではどうすることもできない人物こそ、もっとも偉大なのである。

 
Anytime, anywhere ¥1/kWh  Era” 
【エネルギー通貨制時代 Ⅶ】 
 
24日の米国のウッドマッケンジー(Wood Mackenzie)調査会社の再エネ波及の「2035年変曲
点到来」予測を踏まえ、わたし(たち)が考える「再エネ100社会実現のタイムライン」を考え
てみた時、独立分散型大容量固体型蓄電池をコアとしたエネルギー貯蔵システムの実用普及が鍵に
なると観る(下図参考)。そしてそれは結構前倒で実現していく(2025年には相当様変わりし
ているだろう)。そこでは、過剰となった電力で水素製造され液体水素として貯蔵され一部は燃料
用として、また一部はナフサなどの化学物質として合成される未来図を描く。そこで、11月から
12月にわたりこのブログで、独立分散大容量固体型蓄電池型エネルギー貯蔵技術のブレークスル
ー課題を、『エネルギー貯蔵革命』として連載していく。



【エネルギー貯蔵技術事例研究 Ⅰ】
❑ US20170153290A1 
エネルギー貯蔵セルの自己放電電流及び内部短絡判定システム及びその方法
【概要】 
本件は、エネルギー貯蔵電池診断パラメータの決定システムとその方法、より具体的にはエネルギ
ー貯蔵電池の自己放電決定システムである。二次電池電池は、低自己放電で高エネルギー密度なリ
チウムイオン電池が注目されているが、
リチウムイオン電池の1つの欠点は、発火や爆発する可能
性であり、例えば、電池の内部ソフト短絡(ISSCが進行し、最終的には内部ハード短絡(IHSC
に変化する可能性がある。 IHSCを通し高まった自己放電々流で発生した熱は、リチウムイオン電
池の熱暴走、有毒蒸気の放出、発火、爆発するため破局的な故障を引き起こすリスクがある。この
ように破局的な故障、致命的な不具合により莫大で大規模なリコールが発生。二次電池システムの
電池サイズ(例えば、電気駆動車両における)または固定記憶装置サイズ(例えば、グリッド記憶
装置)が大きくなるにつれ壊滅的な故障リスクも増大する。


エネルギー貯蔵セル内の自己放電電流を測定し、内部短絡を検出するためのシステムおよび方法を
開示。システムは、エネルギー蓄積セルの開放電圧よりも低くなるように選択された一定の試験電
圧をエネルギー蓄積セルに供給するように構成されたDC電圧源を含む。このシステムはまた、DC電
圧源とエネルギー蓄積セルとの間に動作可能に結合された電流測定装置と、電流測定装置に動作可
能に結合された制御回路とを含む。方法は、一定の試験電圧を印加し、試験電流が負の電流から正
の電流に切り替わるまでDC電圧源とエネルギー蓄積セルとの間に流れる試験電流を測定することを
含む。この方法はまた、試験方法に結び付けられた物理的プロセスを捕捉する計算モデルを用いて
測定された試験電流を分析することによって、エネルギー貯蔵セルの自己放電電流を決定すること
を含む。(下図1)。

 
【特許請求範囲】

  1. エネルギー蓄積セル内の自己放電電流を決定する方法であって、直流電圧源を用いて、エネルギー負荷セルに接続された外部負荷がない一定の試験電圧をエネルギー貯蔵セルに印加するステップと、エネルギー蓄積セルの初期充電状態(SOC)におけるエネルギー蓄積セルの開放電圧よりも低い一定の試験電圧と、前記試験電流が負電流から正電流に切り替わるまで、前記直流電圧源と前記エネルギー蓄積セルとの間に流れる試験電流を測定するステップと、測定された試験電流を分析することによって、エネルギー貯蔵セルの自己放電電流を電流測定装置に動作可能に結合された制御回路で決定するステップであって、自己放電電流が、エネルギー貯蔵セル。
  2. 前記測定された試験電流を分析することによって前記エネルギー貯蔵セルの自己放電電流を決定することは、前記自己放電電流を、前記測定された試験電流スイッチの後に取られた前記測定された試験電流の平均値となるように決定することを含む、請求項1に記載の方法。負の電流から正の電流へと変化する。
  3. 前記測定された試験を分析することによって前記エネルギー貯蔵セルの自己放電電流を決定することは、前記エネルギー貯蔵セルの自己放電電流の最小値の後に取られた時間に対する前記エネルギー貯蔵セルの累積電荷を近似する線の勾配を計算することを含む、 累積課金額に達する。
  4. 前記エネルギー蓄積セルの初期SOCで一定の試験電圧をエネルギー貯蔵セルに印加するステップが、満充電されたエネルギー貯蔵セルのSOCで前記一定の試験電圧を印加するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記エネルギー貯蔵セルの初期SOCでエネルギー貯蔵セルに一定の試験電圧を印加する段階は、満充電されたセルについてSOCより小さいSOCで前記エネルギー貯蔵セルに前記一定の試験電圧を印加する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 一定の試験電圧をエネルギー貯蔵セルに印加するステップは、一定の試験電圧を前記エネルギー貯蔵セルに印加するステップを含み、前記一定の試験電圧は、前記開放電圧の約0.2~20ミリボルトである、請求項1に記載の方法。エネルギー貯蔵セル。
  7. 前記一定の試験電圧を印加しながら前記試験電流を測定しながら、前記エネルギー貯蔵セルの環境温度を前記エネルギー貯蔵セルの予想動作温度と同様に制御するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記エネルギー貯蔵セルの決定された自己放電電流がより大きいと判断することに応答して、前記エネルギー貯蔵セルが内部ソフト短絡回路または内部ハード短絡回路のうちの少なくとも1つを展開したと判断するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。 予め定められた自己放電電流よりも所定の閾値だけ大きい。
  9. 前記エネルギー貯蔵セルが内部ソフト短絡回路または内部ハード短絡回路のうちの少なくとも1つを展開したと判断するステップは、前記エネルギー貯蔵セルの前記決定された自己放電電流が、 予め決定された自己放電電流を少なくとも約1桁大きくすることができる。
  10. 前記制御回路に動作可能に結合されたユーザインタフェースを用いて、前記エネルギー蓄積セルが内部ソフト短絡回路または内部ハード短絡回路のうちの少なくとも1つを展開したことを示すステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。10
  11. 1つ以上のエネルギー貯蔵セルの自己放電電流を決定するシステムであって、外部負荷が接続されていない状態で1つ以上のエネルギー貯蔵セルに一定の試験電圧を提供するように構成された直流(DC)電圧源と、前記一定の試験電圧は、前記1つ以上のエネルギー貯蔵セルの開放回路電圧より小さく選択され、前記DC電圧源と前記1つ以上のエネルギー貯蔵セルとの間に動作可能に結合され、前記DC電圧源と前記1つ以上のエネルギー貯蔵セルとの間に流れる試験電流を測定するように構成された電流測定装置と、電流測定装置によって動作可能に結合され、電流測定装置によって測定された試験電流を分析することによって、1つまたは複数のエネルギー蓄積セルの自己放電電流を決定するように構成された制御回路であって、自己放電電流が、エネルギー蓄積セルによって蓄積された電荷の内部放電、 1つ以上のエネルギー蓄積セルの決定された自己放電電流と、制御回路によって決定された決定された自己放電電流から生成された1つ以上のエネルギー蓄積セルの健康パラメータとの少なくとも1つを示すように構成されたユーザインターフェースとを含む。 。
  12. 前記1つ以上のエネルギー貯蔵セルは、複数のエネルギー貯蔵セルを含み、前記複数のエネルギー貯蔵セルのうちの少なくとも1つは、前記複数のエネルギー貯蔵セルのうちの少なくとも1つと並列に動作可能に連結される、請求項12に記載のシステム。
  13. 前記1つ以上のエネルギー貯蔵セルをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
  14. 前記1つ以上のエネルギー貯蔵セルは、複数のエネルギー貯蔵セルを含み、前記複数のエネルギー貯蔵セルのうちの少なくとも1つは、前記複数のエネルギー貯蔵セルのうちの少なくとも1つに直列に動作可能に結合される、請求項12に記載のシステム。
  15. 前記1つ以上のエネルギー貯蔵セルが、リチウムイオン、リチウム金属、ナトリウムイオン、鉛酸、ニッケル - カドミウム、およびニッケル金属水素化物エネルギーの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のシステム。 ストレージセル。
  16. 前記1つ以上のエネルギー蓄積セル、前記直流電圧源、前記電流測定回路、前記制御回路、および前記ユーザインタフェースを含むバッテリ駆動装置をさらに備える、請求項11に記載のシステム。
  17. 前記バッテリ駆動装置は、電気駆動車両、電気グリッドサービス、および民生用電子装置からなる群から選択されるバッテリ駆動装置を含む、請求項16に記載のシステム。
  18. 前記1つ以上のエネルギー蓄積セルの前記健康パラメータは、前記1つ以上のエネルギー蓄積セルの少なくとも1つが、少なくとも部分的に前記1つ以上のエネルギー蓄積セルに基づいて決定に応答して置き換えられるべきであるという指示を含む、請求項11に記載のシステム。前記1つ以上のエネルギー蓄積セルの少なくとも1つが、内部ソフト短絡回路または内部ハード短絡回路の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  19. 前記1つまたは複数のエネルギー蓄積セルの前記健康パラメータは、短絡または新生デンドライトの少なくとも1つが前記決定されたエネルギー変化の変化に応答して前記エネルギー蓄積セル内に形成されたという表示を含む請求項11に記載のシステム。電流測定装置によって測定された試験電流を分析することによって決定される測定基準。
  20. 前記決定された健康メトリックは、前記決定された自己放電電流、前記テスト電流がゼロ交差点に到達するのに必要な時間の長さ、決定された内部短絡抵抗とを含む。
  21. エネルギー蓄積セルの自己放電電流を決定する方法であって、直流電圧源を用いてエネルギー負荷セルに接続された外部負荷がない一定の試験電圧をエネルギー貯蔵セルに印加するステップと、エネルギー蓄積セルの開放電圧よりも低く選択された一定の試験電圧と、少なくとも試験電流が負電圧から直流電圧源からエネルギー蓄積セルに流れる正電流に切り替わるまで、直流電圧源とエネルギー貯蔵セルとの間に流れる試験電流を測定するステップと、電流測定装置に動作可能に結合された制御回路によって、測定された試験電流を分析することによってエネルギー貯蔵セルの自己放電電流を決定するステップであって、自己放電電流が、エネルギーによって蓄積された電荷の内部放電率ストレージセル
  22. 前記測定された試験電流源を分析することによって前記エネルギー貯蔵セルの自己放電電流を決定することは、前記試験された試験電流を、試験中に前記セル内の複数の物理的プロセスを考慮するシグモイド型モデルで分析することを含む、請求項21に記載の方法。期間
  23. 前記測定された試験電流を分析することによって前記エネルギー貯蔵セルの自己放電電流を決定することは、前記測定された試験電流を分析することによって測定された前記試験電流に対応するデータ点に数値回帰を行うシグモイド型モデルを使用することを含む、エネルギー蓄積セルに一定の試験電圧が印加される時間と、試験電流が負電流から正電流に切り替わる時間との間で変化し、これにより、エネルギー蓄積セルの自己放電電流を決定するのに必要な時間が短縮される
  24. 測定された試験電流を分析することは、定電位条件をカバーするシグモイド型モデルを用いて実行される、請求項21に記載の方法。
  25. 前記測定された試験電流を分析することによって前記エネルギー貯蔵セルの自己放電電流を決定することは、前記自己放電電流の大きさを、前記試験電流が後に落ち着く大きさと同じに決定することを含む、請求項21に記載の方法。 テスト電流は負の電流から正の電流に切り替わります。
  26. 前記エネルギー貯蔵装置によって失われた正味のエネルギー量を決定するために、前記試験電流を経時的に推定する数学的モデル式を数値的に積分することによって前記エネルギー貯蔵セルの充電状態(SOC)の変化を決定するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。細胞。
  27. 前記エネルギー貯蔵装置によって失われた正味のエネルギー量を決定するために、前記試験電流を経時的に推定する数学的モデル式を数値的に積分することによって前記エネルギー貯蔵セルの充電状態(SOC)の変化を決定するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。細胞。
  28. 前記エネルギー蓄積セルの任意に選択された状態の前記エネルギー蓄積セルの自己放電電流を予測することは、前記エネルギー蓄積セルの自己放電電流を予測することは、前記少なくとも1つの状態は、細胞化学、細胞の状態、細胞の年齢、および細胞温度からなる群から選択される、方法
  29. 前記測定された試験電流源を分析することによって前記エネルギー貯蔵セルの自己放電電流を決定することは、前記測定された試験電流を数学的モデルで診断分析することを含み、物理的、化学的、運動的、およびエネルギー蓄積セルの自己放電電流の挙動に寄与する材料の基礎のうちの少なくとも1つを含む
  30. 自己放電電流を決定することは、任意に選択されたセル間構成の複数の相互接続されたセルに対して実行されることを特徴とする請求項21に記載の方法
  31. バッテリ管理および制御システム内での使用のための自己放電電流に関連するキー量を決定することをさらに備え、動作状態の監視および制御と、バッテリ使用状態および健康の診断判定が連続的に実行される、請求項21に記載の方法。リアルタイムの管理作業が容易になるようにする

 

 

【社会政策トレッキング:バラマキは正しい経済政策である 20】      

 Yutaka Hrada, Wikipedea 
第3章 ベーシック・インカムは実現できるのか
第10節 医療保険制度をどう扱うか
現在、生活保護費の半分が医療費となっている(財務省「日本の財政関係資料」56頁、2011
年9
月、http://www.mo4ojP/budget/fiscal_condition/related data/sy014_2409.pdf)BIでは医療保障をど
う考えればよいだろうか。政府が、いくつかの医療保険のメニューを提示
し、人々はそのどれかに
強制的に加入させられるという制度を考える。メニューは、終末医
療を受けない、生活の質を
保てない延命治療を受けない、効果のそれほど明らかでない医
療を受けない(例えばアメリカ医
学学会が疑問を呈している治療を受けない)、かかり付け医
の診断を得なければ専門ないし大病
院に行くことができない、などの選択肢を作り、より多く
の項目について受けないとすれば、それ
だけ保険料の安くなる医療保険制度を設ける。人々
は、自由に選択し、BIのなかから保険料を払
う。保険料を差し引いて給付すれば、保険から
漏れる人はいなくなる。

 

なおここで、アメリカ医学学会が疑問を呈している治療とは、例えば、「肺癌のCT検査」「毎年
の大腸の内規鏡検査」「6週間以内の腰痛の画像診断」「4歳以下の子供の風邪への投薬」
などで
ある。これらは、効果がないか、治療効果より危険が大きいかのどちらかの治療である
という(室
井一辰『絶対に受けたくない無駄な医療』日経BP社、2014年)。
もちろん、BIを給付して
も、高額の医療費を自分で支払うことのできない人を助けること
はできない。したがって、この問
題をBIで解決することはできない。これらは、現行の生活
保護費の運用を改善して賄うしかない
だろう。したがって、生活保護費のうちの医療費に使っ
ている額は、BIの代替財源から除外して
いる。

子どもの医療保険についても同じである。基本的には母親が子どもの選択を代行することとする。
ただし、選択のメニューは最小限のものとする。これは、子どもに対する、国家のパレ
ンス・パト
リエ(parens patriae:国親思想)としての機能を認めているからである

第11節 なぜ豊かな人にもBIを支給するのか
BIとは、すべての人に無条件で所得を与えるということである。これに対して、当然、多くの読
者が、疑問に思うことが多々あるだろう。まず、なぜ豊かな人にもBIを支給するのかという疑問
があるだろう。豊かな人にも支給するのは、これが基本的な所得控除の代わりだからである(豊か
な人の所得から基本的な所得を控除してから課税するのと、BIを与えて以前より高い税率で課税
することとは基本的に同じである。それゆえ前述のように、30%一律課税としている。さらに豊
かな人には減税となってしまうが、累進課税にするBIの制度ももちろん考えられる)。本来の負
の所得税のように、所得が増大するにしたがってBI部分を減らしくという考えもあが後出の「B
Iの付属的利点」の項で説明すようまず配付てから課税したほうが、徴税コストが低い。以下、多
くの読者が疑問に思うであろうことに笞えていく。

第12節 結婚税を避ける
豊かな人と結婚した人にもBIを与えるのかという疑問を持つ読者が多いだろう。しかし、豊かな
人と結婚した人には払わないとすれば、これは「結婚税」となる。所得の高い配偶者と結婚してい
ればBIを給付される必要のない人が、結婚をしなければBIを給付されることになる(以下、説
明が煩珀になるので、高い所得を得ている夫と少しの所得しか得ていない妻の場合についてのみ述
べることにする)。人々にとっては、結婚するとBIを得られないのであれば、結婚しなくなると
いうインセンティブが働き、BIが結婚に対する課税となる

これを解決する方法は、高額所得者の夫の妻も含め、すべての人にBIを給付することである。こ
の方法に反対する人も多いだろうが、豊かな夫は、BI以上のものを税として支払っているのだか
ら、そのなかから妻がBIを得ることは正当化されるという議論もありうる。年収560万円以上
の夫は、税率30%で、自分と妻の二人分のBI(560×0.3=84×2)を負担している。
結婚税とならないためには、すべての人にBIを給付することがもっとも単純で合理的な方法であ
る。

2010年4月から実施された子ども手当をめぐってもあったように、このような直接給付につい
て所得制限を設けるべきだという議論が必ずなされるが、それはしばしば実務的に意味がない。例
えば、子ども手当を所得2000万円以上の人に払わないとしても、ほとんど財政コストを節約す
ることにはならない。表3‐4から2000万円以上の所得の人の子どもは18万人と推計される
が、この子どもたちに年36万円のBIを払わなくても、節約できる金額は648億円にすぎない。
所得1000万円以上の人に払わないとすれば、5080億円を節約することができるが、人々は、
1000万円を超えないためのさまざまなトリックを使おうとするだろう。

それを避けるためには、所得が1000円から1万円高まるごとに年間の子ども手当を1000円
ずつ減らすというような制度を作らないといけない。そんなことをするよりも、税に任せるほうが
単だ。所得の高い人は、より多くの税を払っているのだから、直接給付を得てもよいと考えるのが、
一番簡単である。実際に、子ども手当を支給している諸外国でも、所得制限をつけている国はほと
んどない。

第13節 BIと資産保有
大きな財産を持っている人にもBIを給付するのかという疑問は当然に持つだろう。答え
は、豊か
な人はすでに多額の税を払っているのだから、その税のなかからBIを払っているの
だという答え
と同じになる。すなわち、すべての資産と所得に公平に課税すれば、BIを給付
しても公平になる。
BIは、所得控除に代替するものだから、少額の資産を優遇するような資
産課税は廃止する。固定
資産税の200平方メートル以下の小規模宅地優遇制度は当然廃止
する。

日本では、固定資産税が低い。アメリカの固定資産税の国民所得に占める比率を見ると3・3%で、
日本の2・2%の1・5倍である(財団法人資産評価システム研究センタ「地方税
における資産課
税のあり方に関する調査研究報告書-地方分権時代の固定資産税制度のあり
方について」2000
年3月)。そこで、固定資産税を1・5倍に引き上げる。これは5兆円程
度の税収増となる。これ
もBIのための財源となる。


この政策は付随的な利点を持っている。これまで、固定資産税が低いがゆえに、十分なイン
フラを
建設することができず、また、建設したとしても、その利益が土地の所有者に行き、建
設主体であ
る地方自治体の利益は少なかった。固定資座視の引き上げは、自治体にインフラ建
設のためのより
多くの財源を与えることになる。
ただし、固定資産税はインフラを利用するための料金と考えるの
か、財産税と考えるのかと
いう議論はありうる。財産税と考えれば、住宅ローン控除後の金額に課
税すべきだという考え
もありうる。
基礎年金の部分は廃止されているが、厚生年金は残っている拠出か受給か、どちらかは課
税すべ
きである。拠出は非課税なので、受給の段階では課税するのが公平だろう。

第14節  労働意欲を阻害するか
より深刻な反論は、BIが、労働意欲を阻害するという批判である。その批判についてはすでに一
部は笞えている。人々の所得は「BI+自分の所得×0・7」であるということだ。普
通の人々は、
BIだけに満足しないで働くだろう。

ここでさらに三つの問題が生じる。第一に、現行の税制では、所得の低い人が働いても実質的には
課税されないが、BIの制度では3割の税率で課税される。それは労働意欲を阻害する
という批判
である。確かにそうである。しかし、現行の税制でもさまざまな控除を除いた後で
あるが、330
万円以上の所得を得れば税率は2割になる。通常500万円以上の所得が得ら
れると考えている人
にとって、大きな問題になるとは思えない。しかし、より低い所得しか得
られないと考えている人
にとっては多少の阻害効果があるかもしれない。だが、現行の生活保
護では、働けばその分だけ給
付水準を引き下げられるという意味で、ほとんど100%の労働
阻害効果がある。それに比べれば
ずっとよいのではないだろうか。


日本では、税の労働供給の抑制効果についての論文はほとんどないので、以上書いたような
憶測以
上のことを述べるのは難しい。しかし、別所俊一郎「税負担と労働供給」(『日本労働研
究雑誌』
第52巻第21号、2010年12月
)によれば、労働供給の賃金弾性値は、男性で0.079

女性で0.342である。ここで女性の賃金弾性値が高いのは、一般に女性の賃
金が男性よりも低
いことも影響しているだろう。本書で提案したBIの下では、税率10%の
労働者の税率も30%
になる。すると税引き後の賃金は20%(10%-30%)減少するわ
けだから、労働時間は、男
性では「0・79×20=1・58%」、女性では「0・342×20
=6・84%」減少するこ
とになる。300万円以下の人が6・84%減少する人に該当するとすると、全体で所得減は「6・
84%×33・6兆円(表3‐3より計算)=2・3兆円」となる。これはBI導入の大きな妨げ
にはならないだろう。

もちろん、この制度を維持する行政コストという問題もある。誰が人々の所得を把握するのかとい
う問題である。給与所得については問題がない。企業が源泉徴収で3割の税を差し引いて給与を支
払えばよい。原稿料などは、現行は一割の源泉徴収だが、それが3割になる。フリーターの給与も
そうである。椋ぐためにコストがかかるという人は、確定申告して税を還付してもらう。それ以外
にも、自営業の場合はどうなるのか、農家が自家用に生産したものを所得に換算するのかなどさま
ざまな問題をあげつらうことはできる。しかし、現在何をしているかを基本に考えよう。現在でも
完璧に所得を捕捉してなどいないのだ。そのなで、新しい税率を課せぼよいだけだ。

第15節 BIは賃金を引き下げるか
BIは賃金を引き下げるという議論もある。人々の最低限の所得が保障されれば、企業は給与を下
げ、最低限の給与も支払わないだろうというのである。しかし、企業がそれほどわずかな所得しか
支払わないのであれば、人々は働かないことを選ぶだろう。BIは、人々に企業と交渉する力を与
える。

ここでも確かなことを述べるためには、労働供給の所得弾性値が必要であるが、そのような推定値
を見出すことはできなかった。しかし、賃金の低い階層での労働供給に対する賃金の弾性値が大き
いということは、その階層では賃金を上げなければ労働供給を増やせないということである。BI
が賃金を引き下げるということは考えにくい。BIといくらかでも類似の事例を挙げるとすれば、
年金給付の場合が挙げられる。しかし、日本の場合、労働して所得を得ると年金を減額されるので
一定額の給付によって、労働供給がどう変化するかを見ることは難しい



第16節 BIと移民
BIは、移民を制限することになる。年八四万円のBIは、日本の生活コストが高いことを考えて
も、貧しい国の人々には魅力的なものとなりうる。移民は、年500万円以上を間違いなく稼げる
人に限定して認めるしかない。福祉国家は、移民を制約する国家であることを、むしろあらかじめ
明らかにしておくべきだ。

千葉大学の水島治郎教授は、ヨーロッパ、特にオランダやデンマークのように、福祉が発達し、し
かも寛大な移民・難民政策を採用してきた国々において、移民政策の転回という事態が発生してい
ると指摘している(水島治郎『反転する福祉国家-オランダモデルの光と影』第3章・第4章、岩
波書店、2012年)。すなわち、ヨーロッパのなかで移民を制限する政策に転回する国が増加し
ているというのである

水島氏のこの著書は、オランダにおいて2000年ごろから盛んになった、移民がヨーロッパの共
通規範、すなわち政教分離、個人の自立、男女平等、言論の自由といった価値観に従わないという
文化的批判運動に紙幅を割いているのであるが、単に、社会保障のコストという観点から見ても、
納税者である国民が社会保障に依存する移民に対して批判的になるのは当然のことである。

福祉国家でない時代、圧政から逃れて保護を求めて来た人々に対して国民が同情的なのは当然であ
る。その人々は、短期的には食事や衣服や住居の援助を必要とするかもしれないが、すぐに自活し
、保護を与えてくれた国とその国民に感謝し、同化するか、祖国の圧政と闘い続けるかのどちらか
を選び、間違っても、保護者たる国とその国民に敵対したり、依存したりすることはなかった。そ
もそも、福祉国家でなければ、国民が国家に依存することはできない

しかし、福祉が拡大するにつれて、受け入れ国の福祉に依存して生活する移民もあらわれるように
なってきた。それに対して、納税者たる国民が批判的になるのはむしろ当然のことであるだろう。

ここで当然の疑問が生じる。移民は、本来、依存するためでなく、労働するためにヨーロッパに移
住してきたのである。実際、ヨーロッパの企業が彼らを労働者として雇い、彼らは祖国よりも高い
賃金を得ることができ、企業は安価な労働力を得て、ともに利益を得たのである



なぜ、その子どもの世代になって、福祉に依存するようになってしまったのだろうか。水島氏の前
掲書(第4章)は、その理由として、産業構造の転換を挙げる。父の世代の末端の工場労働者であ
れば、指示されたとおりに組み立てをしていればよかった。しかし、脱工業化の時代には、労働者
はチームのなかで相互にコミュニケーションを図りながら創造的活動を行うことが求められている
文化の理解能力を含むコミュニケーション能力に欠ける労働者は、社会のなかで求められなくなっ
ている。福祉国家の市民権は、参加し貢献するものだけに与えられるものとなるという

BIはすべての国民に無条件で与えられるものである。しかし、無条件で与えられるものであれば、
なおさら、その国民の範囲を限定せざるをえないものとなるだろう(BIないしは福祉国家と市民
権についての困難な関係については、飯田文雄『ポスト福祉国家の時代における共生社会の可能性
とベーシック・インカム論』第5章第3節「多文化主義とベーシック・インカム論」、財団法人全
国勤労者福祉・共済振興協会、全労済協会公募研究シリーズー6、2010年 http://www.zenrosaik
yokai.or.jp/thinktank/library/lib‐invite/Pdf/koubo16.pdf
が有益である)。、

             原田 泰著 『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるいか』

                                        この項つづく

  ● 今夜の一曲

唄 木戸泰弘 『あの素晴らしい愛をもう一度』 Music Writer 北山修/加藤和彦

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動乱と安寧

2018年10月24日 | 時事書評

  


                                  

第53章 盗賊の驕り
かりにわたしが旧知を得て、大いなる「道」にのっとる政治を行なうとする。そのときわたしが心
がけるのは、何よりも邪道に踏みこまぬことだけだ。
大道は坦々として平かだ。にもかかわらず、人々は、小知に頼って小径を歩きたがるものだ。
役所が立派なのは、政治が行き届いている証拠だといわれる。だが真相はまさしく逆で、そんな国
にかぎって田畑は荒れはて、人民の米櫃はカラッポだ。にもかかわらず為政者は、美服をまとい、
利剣をさげ、食貳には山海の珍味を並べ、私財をせっせと蓄えている。盗賊の騏りとはこのことで
ある
。これほど「道」にそむいた行為があろうか。

第54章 自律にまかせよ
内にしっかと根ざしたものは、抜けることがない。内にしっかと抱いたものは、奪われることがな
い。自己に内在する「徳」を、しっかと守って放さなければ、子孫も祭祀を絶やさない。
「道」が個人に付与した徳(身の自然)を守れば、人は本性に返る。家に付与した徳を守れば、家
は繁栄する。村に付与した徳を守れば、村は長久である。国に付与した徳を守れば、国は豊かであ
る。天下に付与した徳を守れば、万民はひとしくうるおう。
だから、個人を律するには、個人の徳に基づく。家を禄するには、家の徳に基づく。村を抑するに
は、村の胎に基づく。国を抑するには、国の豹に基づく。天下を抑するには.、天下の徳に基づく。
天下の徳に基づくからこそ、天下の現状を判断できるのである。
        
家をもって家を観、国をもって国を観る 万物は「道」の現われとして、それぞれ徳を付与されて
いる。老子が無為を行為の基準としたのは、万物に内在する必然の理を信じたからであった。
儒家は「修身斉家治国平天下(個人の修養を積んでその徳を家から国家天下に及ぼすこと)」を政
治理念とした。老子はこれに対して、家は家の、国は国の、天下は天下の、それぞれ自律にまかせ
よと説くのである。

※ 2つの章を次式に表すと「貧困×簒奪→動乱 VS. 福祉×自律→安寧」となろう。
 

 

 Oct. 19, 2018

 
Anytime, anywhere ¥1/kWh  Era” 
【エネルギー通貨制時代 Ⅵ】 
 
【海洋風力事業篇:カルフォルニア沿岸海洋発電所建設計画】
米国の最初のオフショア風力発電所、ブロックアイランドからの5タービン設備が2016年にオン
ライン化。カリフォルニアの風力プロジェクトは、深海では新しい技術が必要となる(ニューヨーク
タイムズ
)。

10月19日、同州連邦内務省は、カリフォルニア州中部および北部の水域にロサンゼルスの再生可
能エネルギー源として、6年以内に海洋発電を開始することを公表。これまで、
海岸近くの太平洋の
深層が計画促進の障害―――巨大な風力タービンを支えるな塔の固定が困難――となっていた。同州
エネルギー委員会のメンバーであるカレン・ダグラス氏はこれまで世界に建設されたものよりもずっ
と深いだろうと語っているが、
ヨーロッパでテストされている技術の入札も考慮している。9月には
ジェリー・ブラウン知事が2045年までにゼロカーボン電力に完全移行の法案に署名し、国家計画
の陽光発電と陸上風力発電の枠を超えた目標を設定している。前出の
ダグラス氏は海洋風力は、再生
可能エネルギー目標を達成できるとも話している。
海上風力発電の潜在的価値は、リスクは紛争など
も含めるとあるが、カリフォルニア海岸沿いの開発には、海の眺望の荒廃を心配する反対や鳥類、漁
業、海洋哺乳類への影響があり事前調査を実施し進められる予定。

● 深く掘る
カリフォルニアの沖合いの深海に風力発電所を建設する特別な課題が存在する。より浅い海域では、
係留施設を海底に直接運ぶが、より深い場合、プラットフォームを海底に係留するアンカーラインを
備え塔を固定(上図参照)。
カリフォルニア州は米国で浮遊風力タービンをメイン州立大学(Univer-
sity of Main
e)が、エネルギー省から4,000万ドルを借款で独自開発した浮遊式風力発電プラットフォ
を採用し、21年まで建設に8,000〜14,000世帯に電力供給する商用事業を計画した。

 

● 35年には再エネ20%に到達

米国のウッドマッケンジー(Wood Mackenzie)調査会社は、35年までに世界の電力需要にしめる再生エネが、
現在の7%から20%を満たす可能性が高いと予測。それによると風力、太陽光、電気自動車の組み
合わせにより、1日あたり約1000億立方フィートの石油移動にブレーキーがかかり、35年以降、再
エネ転換がさらに加速する(下図参照)。「35年の変曲点」から1年後バス、車、トラック、自転
車で移動する全モータの15~20%を占める電動モータを使用し、石油需要ピーク予測。電気自動
車は40年までに1日当たり600万バレルの石油消費量を削減。政策がより野心的になったり、高度な
エネルギー貯蔵やマイクログリッドなどの技術が現在の予測よりも早く定着すれば、さらに変曲点が
前倒しする可能性があるとも指摘している。
 Oct. 22, 2018

尚、この予測は、気候変動の最悪の影響を緩和に必要だとする科学者の排出シナリオに比べるとまだ
遠く、この月に発表された国連の報告書では、世界は、世紀半ばまでに温暖化を15℃に制限するに
は、再生可能エネルギーを70~85%の必要があると主張されている。同社の責任者Dan Shreve)は、
IPCCの目標達成は非常に困難になるだろうと語っている。

 

【社会政策トレッキング:バラマキは正しい経済政策である 19】     

 Yutaka Hrada, Wikipedea 
第3章 ベーシック・インカムは実現できるのか
第7節 比例税についての修正の余地
これまで、BIは単一の税率で説明してきた。しかし、BIを累進税と組み合わせることもできる。
所得2000万円以上の層では、現行の税制ではおおむね40%の課税(地方税を合わせ
て50%
となる)となるので、この層の税率を40%にすることもできる。そのために
は、所得を申告させ、
さらに高い税を課すことをしなければならない。これは現在でも年収2000
万円以上の層に対し
て行っていることなので、追加的な行政コストはかからない。年収2000
万円以上の層の所得を
すべて百計すると1316兆円になる。ここから10%を追加
的に課税して得られる税収は、13
16兆円の10%ではなくて、1316兆円の所得のうち
の2000万円を超える所得である。そ
の所得金額は8兆円となり、税収は8000億円とな
る。所得を再分配すべきだというイデオロギ
ーは別にして、BIが実行可能であるかどうかを財政的に議論するうえでは重要ではない。

一方、所得の低い階層の税率を下げることもできる。この場合も、所得を申告させ、所得が300
万円以下の層の税率を下げて、還付することになる。ただし、この所得階級の人々の数は197万
人と多く、またその所得合計額も33・6兆円と大きい。人数が多いことは行政コストがかかると
いうことであり、合計金額が多いことは税収が減るということである。税率を20%にするために、
所得の10%の税金を還付すれば、その金額は3・4兆円になる。これは無視できない金額である



また、トービンが提案しているように(第2章の「給付レベルに現れる哲学の組織」の項で説明し
たように、BI支給額と課税額が同じになるまで50%の税率を適用するという)、低い所得に対
して高い税率を課すという考え方もある。それは課税額からBIの給付額を差し引いたものが、中
間所得層でマイナスにならないようにするためである。これは、高いレベルのBIを給付し、かつ
財政的に成り立つようにするための工夫であるが、比較的所得の低い層の労働供給インセンティブ
を阻害する可能性かおる。また、多くの納税者が確定申告をしなければならないことになるので、
行政コストを高める可能性もある。
Is a Negative Income Tax Practical?   James Tobin, Joseph A. Pechman, and Peter M. Mieszkowski May
15, 2018

第8節 日米の所得格差と累進課税の影響
前項で述べたことは、所得分配がより均等な国では、より高いBIを給付するために、より高い累
進課税をすればよいということにはならない、ということである。なぜなら、高い所得の人はわず
かしかおらず、その人々に高い税率で課税しても、金額としては大したことにはならないからであ
る。したがって、BIの給付額を引き上げようとすれば、より多くの中間的な所得の人々への課税
を強化することになる。しかし、所得分配がより不平等な国であれば、より少数の人に高い税率で
課税することで大きな税収を得ることができる可能性がある。このことを、日米の所得分布から、
具体的に考えてみよう。

データの関係から、表3‐2にそろえて日米の家計の所得分布を見たのが表3‐5である。
日本の場合、500万円未満階級の日本全体の所得に占める比率は28・1%、500万~100
0万円未満階級の比率は40・3%、1000万円以上階級の比率は31・6%、200万円以上
階級の比率は7
・0%である。これに対して、アメリカの5万ドル未満階級のアメリカ全体の所得
に占める比率は18・9%でしかなく、5万~10万ドル未満階級の比率は31・2%、10万ド
ル以上階級の比率は44・9%、20万ドル以上の階級の比率は17・0%になる。
日本で、2000万円以上の所得階級(の2000万円以上の部分)に10%高い税率を課すと6
400億円の税収になる(数字が前項と異なるのは、前項が表3‐3によるのに対し、ここでは表
3‐1によっているからである)。

これに対して、アメリカで、20万ドル以上階級(の20万ドル以上の部分)に10%高い税率を
課すと450億ドル(約4・5兆円)になる。アメリカの全所得が日本の3倍弱という
ことを考え
ると、20万ドル以上での10%の追加課税は日本では1・5兆円の税収という価
値になる。BI
の実現に必要な税収の96・2兆円に比べるとわずかだが、差額の足りるか足
りないかわからない
部分については大きな意味を持つ金額となる。


もちろん、この比較法には批判があるだろう。日本の平均所得はアメリカよりも小さいのだ
から、
同じような金額の区分で上位の所得を比較すればよりアメリカのほうが大きくなるのは
当然である。
そこで、全世帯の上位5%の所得以上の人の総所得を考えたい。概算であるが、
それは日本では1
200万円以上の人の所得、アメリカでは15万ドル以上の人の所得にな
る。そのような人々の所
得の全所得に占める比率は、日本21・8%、アメリカ39・5%と
なる。このように計算しても
アメリカの高額所得者への追加的課税は、日本の倍近い税収を得
られることになる
ただし、表3‐5の日本のデータでは、高額所得者の所得が十分に捕捉されていない可能性がある
ので、これを考慮すると、日本でも高額所得者への課税は、BIの実現に多少の意味が
あるかもし
れない。

 Feb. 1, 2013

第9節 BIの水準は低すぎるか
以上で、BIという制度が財政的に実現可能であることを示した。しかし、反対の意見はもちろん
多いだろう。まず、私の考えるBIが財政的に可能であるのは、月にヒ万円と、その水準が高くな
いからである。ただし、現行の生活保護水準と比べて極端に低いわけではない。現行の生活保護で
夫婦と子二人の場合、都市部では、生活扶助22・7万円、住宅扶助4・7万円、教育扶助1・3
万円、合計して28・7万円である。町村部では、生活扶助17・7万円、住宅扶助1・9万円、
教育扶助1・3万円で合計20・9万円である。ここで提案したBIでは、大人7万円、子ども3
万円であるから、夫婦と子二人で月20万円であり、

現行の町村部の基準と変わらない。そもそも生活扶助費であれ、BIであれ、金額を居住する場所
によって変える必要がなぜあるのだろうか。日本国憲法は、居住、移転の自由を保障しているので
あるから、生活コストの安いところに住めぼよいのではないだろうか。10
60代夫婦であれば、生活保護費はすべての項目を合計して、都市部で16・4万円、町村部で
10・8万円となる。本書で提案したBIでは14万円となる。

母と子ども一人の場合は、すべてを合計して、都市部で19・1万円、町村部で13・3万円とな
る。本書で提案したBIでは10万円となる(生活保護水準については、厚生労働省「生活保護制
度の見直しについて」5頁、「生活扶助基準額の見直しの具体例」http://xnvw.mhlw.go.jP/stf/shingi/2
r9852000002udvb‐att/2r9852000002ufot.pdf
、による)。

要するに、大人の場合、町村部では、生活保護水準とほとんど変わらず(場合によっては高くなる)、
子どもへの手当が少ないという関係になっている。これは、子どもを虐待する親が子どもへの生活
扶助費を目的として子どもを手放すことを拒否する事例があることから当然のことと思われる。こ
のような事例が一般的ではないとすれば、大人へのBIの水準を引き下げて、子どもへのBIの水
準を引き上げ、給付総額が変わらないようにすることも考えられる。

20歳未満人口は2260万人、20歳以上人口は1億492人であるから(表3‐3註⑦による)、
子どもへの給付を月6万とするためには、20歳以上人口への給付を月6万3500円に引き下げ
ればよい(〔給付総額69兆2660億円-20歳未満人口2260万人×月6万円×12か月〕
÷20歳以上人ロ1億492万人)。月6万3500円でも、60代夫婦の場合、現行の町村部の
生活保護水準より高いことになる。

BIの水準を現行の生活保護水準にまで上げるとすると、制度が複雑で一概には言えないが、前述
の浦川准教授の試算によれば、一人月額8万3060円というところであろう。これは、本書で提
案したBIの二割増しに近い給付水準となり、前述のように財政的に困難となる。

だからBIをやめようというのでは安心を保障することはできない。過大なBIを保障することが
できないということであって、日本国憲法の保障する健康で文化的な最低限の生活は十分に保障で
きる。

また、私は、ここで提案したBIの水準が低すぎるという反論は真剣なものではないと思っている。
そのようなことを主張をする人が王真剣であれば第1章の「日本の生活保障水準は高い」の項で述
べたように、生活保護水準以下の所得で暮らしている人は人口の13%いる(橘木俊詔『格差社会』
18頁、岩波新書、2006六年、の推計による)のに、実際に保護を受けている人は201年で
全人口の1・6%しかいないという事実に真剣に向き合うはずだが、到底そうしているとは思えな
いからだ。生活保護水準を下げようという議論に反対する人々は、このことをどう考えているのだ
ろうか。

生活保護制度を廃止してBIに置き換えることは、生活保護の給付水準を引き下げることになる。
これは、5つの理由で正当化できる。第1に、第1章で述べたように、日本の生活保護水準はイギ
リス、フランス、ドイツより2~3割高いことである。第2に、前述のように、日本の生活保護水
準は高いが、実際に保護を受けている人は少ないことだ。給付水準を下げても、より多くの人に給
付すべきではないだろうか。第3に、生活保護水準を、都市部で高く、町村部で低くする理由はな
い。日本国憲法は、居住、移転の自由を保障している。第四に、生活保護を受給させて、それを取
り上げ、より低い水準での生活をさせることで利益を得るという貧困ビジネスが成立していること
だ(「生活保護費ピンハネ板敷きに布団1枚通帳、受給者に返還」、『毎日新間』千葉版、200
9年7月18日、など)。

これは、現行の生活保護水準が高すぎることを示している。第5に、マクロ経済スライドによって
年金給付を引き下げるからだ。

マクロ経済スライドとは、将来の社会保障会計の健全性を維持するために、賃金や物価が上昇して
も年金給付額をそれ以下の上昇率でしか上げないようにするということである。結果的に、204
3年までに年金給付額を19・3%削減することになる(社会保障審議会年金部会提出資料、厚生
労働省年金局「年金額の改定(スライド)の在り方」2014年10月15日、http://www:mhlw.
go.jp/file/05-Shingikai-12061000-SeisakutoukatsukanSanjikanshitsu_ShakaihosyoutantouShakaihoshoutantou/
0000061312.pdf
)拠出のある年金を引き下げるのだから、拠出のない生活保護水準は低くするしか
ないのではないか。

             原田 泰著 『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるいか』

なかなか先に行き着きませんね。

                                     この項つづく

 ●今夜の一品

 ワンタッチアロマキャンドル

   ● 今夜の一曲

唄 木戸泰弘 『22才の別れ』 Music Writer 伊勢正三/石川鷹彦

 

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梟の棲む世界

2018年10月22日 | 滋賀のパワースポット

  


                                  

第51章 底知れぬ徳
あらゆる存在には、よって来たる根元がある。その根元が「道」だ。「遜」こそ、すべての存在の
普遍存在たる「道」から生まれ、道の運動法則たる「徳」により育って、形としては物、内容とし
ては絶えず変

化する運動、これが万物である。
「道」を離れて万物は存在せず、「徳」を離れて万物は存在しない。
「道」の偉大さ、「徳」の偉大さ、万物はなんら命ぜられることなく、おのずと生々発展する。
「道」は万物の根元である。「徳」が万物を現象させ、発展させ、完成させ、さらにまた根元たる
「道」に返す。

「道」は万物を生み、万物を育てる。万物を現象させながらも、固定化せず、存在させながらも、
その功を誇
らず、完成させながらも、支配しない。これが「道」の底知れぬ徳である。

第52章 小知を捨てよ
あらゆる存在には、よって来たる根元がある。その根元が「道」だ。「遜」こそ、すべての存在の
根元である。根元たる「道」に基づいて、その所産たる存在の本質を理解する。さらにまた、この
理解に基づいて、存在の根元たる「道」へと遡る。この作業を反復することによって、「道」への
認識は無限に深められてゆくのである。「道」への認識を無限に深めてゆくためには、感性を没却
しなければならぬ。感性的判断に固執するかぎり、「道」は永遠に認識できない。感性では捉えら
れぬ物事を認識することが、「明知」である。感性に依存する小知を捨て、存在をあるがままに
受容することが、堅固」な認識の立場である。小知を捨てて「道」にのっとり「明知」に立ち返る
なら、無限に自由な境珀がひらける。これこそが、「道」の極意に達するということなのだ。

感性を没却しなければならぬ〉 原文は「その兌を塞ぎ、その門を閉ず」。「兌」とは穴のこと
で、「門」と同じく外界からの刺激を伝達する感覚器官を指す。

  

Anytime, anywhere ¥1/kWh  Era” 
【エネルギー通貨制時代 Ⅴ】 

●ソーラータイル事業篇:全無機ペロブスカイトソーラの理論効率限界33%増倍

10月7日、アムステルダム大学と大阪大学の研究グループは、特定のペロブスカイト光電変換効
率が
ペロブスカイトが「効率的なキャリア増倍」を特徴とし、単層の効率限界を33%から44%
に効果的に向上させる決定的な証拠を発見したことを公表。

Oct. 11, 2018

☑ 効率的に光を電気に変える――特定のペロブスカイト系の実用的特性
大阪大学の報告によると、特定のペロブスカイトが実用的な望ましい特性をもち、ここで、結晶と
は、原子、分子、またはイオンの構成であり、すべての方向でそれ自身を繰り返す構造秩序であり、
一般的に塩、ダイヤモンドなどとして存在するが、ある種の結晶は、そのサイズが日常生活のサイ
ズではなく、ナノメートルサイズの領域(ナノクリスタル構造)で興味深い特性を示す。


ここで、ペロブスカイトとは、19世紀のロシアの鉱物学者レブ・ペロフスキー(Lev Perovski)に
ちなんで命名され、同じ結晶構造を共有するナノクリスタルの特定のファミリーを形成。ナノスケ
ールでは、これらのペロブスカイトは多くの望ましい電子特性を有し、例えば、LED、TVスクリー
ン、太陽電池およびレーザーの構築に有用であり、過去数年間、ペロブスカイトナノクリスタルは、
物理学者によって広く研究されてきた。

☑ キャリア増倍:Carrier Multiplication (CM)
これまでペロブスカイトには存在しないことが示されていた特性は、キャリア増倍である。例えば、
太陽電池などのナノ結晶が光のエネルギーを電気に変換するとき、これは通常、一度に1粒子ずつ
行われ、単一の入射光子が単一の励起電子(および対応する「ホール」それは電流を運ぶことがで
きるが、
特定の材料では、入射光が十分にエネルギー的であれば、さらなる電子 - 正孔対が結果と
して励起され得る。キャリア倍増として知られるこのプロセスは、
キャリアの倍増が起こると、光
から電気への変換がはるかに効率的になる。例えば、通常の太陽電池では、このように変換するこ
とができるエネルギーの量に理論上の限界(いわゆるショックレイ・ケーザー限界)がある――太
陽エネルギーのせいぜいわずか30%の変換効率が、キャリア増倍効果を示す材料では、既に44
%の効率が得られている(参考:量子ドット太陽電池セル NEDO海外レポート No.1081 2012.01.25
http://www.1an1.gov/news/index.php/fuseact,ion/home.st,ory/storyjd/15709
)。
 

これは、ペロブスカイトにおけるキャリア増倍効果を探索することを非常に興味深くしている。ク
リス・デ・ウィアード教授らの研究グループ――筑波大学産学連携センタ、デルフト工科大学、藤
原康史大阪大学らの支援と協力を受け――は、セシウム、鉛、およびヨウ素でできたペロブスカイ
トナノクリスタルが実際にキャリア増殖を示すことを分光法で、光短時間照射した後の放射線の周
波数を調べ、さらに、
この効果/効率はこれまでに他の材料は報告されたものより高い値を示す。
この結果、ペロブスカイトの特異な特性は、これまでペロブスカイトのキャリア増倍は報告されて
いない。このため。例えば、ペロブスカイトを使用し、効率的な光検出器の構築が実現可能になり、
近い将来、高変換率太陽電が製造可能となる。

 Efficient carrier multiplication in CsPbI3 perovskite nanocrystals:CsPbI3ペロブスカイト
ナノクリスタル効率的に光を電気に変える―特定のペロブスカイトの実用特性

【概要】

全無機ペロブスカイトナノクリスタルは、物理的安定性と優れた光学特性で、現在注目されている。
これらの特徴は、光電子応用および光起電用途ととして興味深い。
ここでは、ホットインジェクシ
ョン法で作製したコロイド状CsPbI3ナノ結晶における高効率キャリア増倍の観測について報告する。

キャリア増倍プロセスは、ホットキャリアの熱化を妨げるため、太陽電池の変換効率を高める可能
性を提供する。
キャリア増倍は、バンドギャップの2倍のエネルギー保存限界付近の閾値励起エネル
ギーで始まり、最大98%の極めて高い量子収率を有する階段状の特性を有することを実証する。

超高時間分解能を用いて、キャリア増倍が自由キャリア濃度のより長い蓄積を誘発することを示し、
この現象を引き起こす物理的機構に重要な洞察を提供する。 証拠は、3つの独立した実験的アプロ
ーチを用いて得られ決定される。

 
半導体の光励起プロセスでは、電子 - ホール(e-h)対を形成する伝導帯の電子と価電子帯のホー
ルが形成される。光生成されたe-h対は、典型的には、材料のバンドギャップ値と吸収された光子
エネルギーとの間の差に等しい過剰エネルギーを有する。ホットエレクトロンとホールは、フォノ
ン散乱によってバンド端まで冷却することによって過剰エネルギーを失うことがある。

しかし、過剰なエネルギーがある閾値に達すると、代わりにホットエレクトロン(ホール)と他の
価電子(ホール)との相互作用が起こり、第2のe-h対が生成される。

バルク半導体では、この現象はインパクトイオン化1,2と呼ばれ、最初に結晶質バルク半導体Siお
よびGe3で観測された。半導体ナノクリスタル(NC)の場合、インパクトイオン化は、より多くの
場合、多重励起子生成またはキャリア乗算(CM)と呼ばれ、その確率を高めることができる。 CM
は、インパクトイオン化の逆過程であるオージェ再結合(Auger recombination:AR)を伴う4:
e-h対は再結合し、そのエネルギーを別の電子または正孔に与え、その余剰エネルギーを増加させ、
ホットキャリアを生成する。逐次的CM及びARは、ホットe-h対が、例えば、フォノン散乱によって
CM閾値を下回って冷却されるまで継続することができる。

過去20年間で、半導体NCは、サイズ調整可能な特性について広く検討されてきた。NCサイズが減少
し、特定の材料のボーア半径に近づくにつれて、量子閉じ込めが設定される。

このように、e-hクーロン結合強度ではなくナノ粒子の寸法は、励起子の空間閉じ込めを規定する。
閉じ込め時には、電子と正孔の波動関数が修正され、最終的に離散エネルギー準位がバルク材料の
連続エネルギーバンドに取って代わられ、バンドギャップは5.6増加する。


強い閉じ込めのために、搬送波キャリアクーロン相互作用が強化され、ARを介した減衰、およびホ
ットキャリア7,8,9による効率的なCMへの可逆的な減衰を優先することができる。
太陽光発電装置
にCMを採用することは、すでにそのメリットと有用性を証明。特に、約33%のShockley-Queisser
限界を超えるCM11,12を最適に使用するセルでは、~44%までの太陽光発電変換効率が期待され
ている。実際、100%を超える外部光電流量子効率(入射光子数に対する外部回路によって収集さ
れた光キャリアの比)が報告されている。

Semonin, O. E. et al. Peak external photocurrent quantum efficiency exceeding 100% via MEG in a quantum
dot solar cell. Science 334, 1530–1533 (2011).


以前は、CMは、PbSe、PbS、CdSe、Si、Geおよびグラフェンなどの多くの半導体(ナノ)構造におい
て実証されてきた,SmithおよびBinksによってレビューされている。しかし、これまで、ペロブスカ
イトについてはCMは報告されていない。

これらの材料は現在、多くの用途に集中して研究されている。 ペロブスカイトは、その優れた光
学的および電気的特性、欠陥耐性および低い製造コストから注目を集め。近年、全無機ペロブスカ
イトNC(IP-NCs)が注目され、効率的な放射と速い放射再結合を特徴とする。
これらは、ペロブス
カイトとNCの利点を併せ持ち、有機成分を含まないため、より一般的なハイブリッド有機無機ペロ
ブスカイト39よりも優れた安定性を提供します。さらに、CsPbI3 NCs41に基づく安定した太陽電池
の最近の実証により、この材料は、科学的好奇心から、ペロブスカイトベースの応用のための有望
な新しい代替物への状態を変える。

ここでは、1.78eVのバンドギャップエネルギーを有するCsPbI3 NCのコロイド状分散体における効
率的なCMの観察について報告する。我々は、様々な実験的アプローチにおいて、超高速過渡吸収(
TA)分光法を用いてCM効果を明示的に示す。異なるポンプ光子エネルギーにおけるキャリアトラン
ジェントを比較することにより、同じNC内に現れる複数のe-h対のARによって誘導される高速成分
の形態のCMの指紋を示す。
誘導吸収と漂白誘発の両方について観察を行う。CM効果を確認し、励起
エネルギーの関数としてキャリア発生率を測定することにより効率を評価する。光誘起漂白(PIB)
および光誘導吸収(PIA)のダイナミクスからそれぞれ抽出された効率は98および97%。

さらに、ピコ秒時間スケールで、閾値ポンピングのための動力学を詳細に調べる。これは、CMプロ
セスが自由キャリア濃度のより長い蓄積と一致し、CM現象への新規で重要な洞察を提供することを
明らかにする。
さらに、若干異なる特性を有する独立した実験装置、および新しく合成された物質
について、この研究を再現する。このようにして、無機CsPbI3 NCsにおけるCMの明白な証拠を提供
する。

【実験結果】
☑ 
合成および顕微鏡的特徴付け
CsPbI3 NCsは、文献39および41に記載されているわずかに変更されたプロトコルに従い、湿式化学
法によって合成された。小さなバンドギャップエネルギー、より大きいNCで製造方向を調整に180
℃の合成温度を使用。さらに、大きなNCはより大きな吸収断面積を有し優先的に励起。

3.1 eV(400 nm、励起依存性PL QYの補足図1参照)の励起時に42.4±7%のフォトルミネッセンス
量子収率(PL QY)を測定した。これは以前に報告された値39,41に類似。大きなサイズのNC(ボー
ア半径はこの材料で約6nmで、NCは弱い閉じ込め体系にある)に期待される。 NCの構造的特徴は、
1.6A未満の空間分解能を有する最先端の低電圧単色走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて決定。

下図1aは、11.5±0.6 nmの平均サイズを有するドロップキャストされたNCの環状暗視野STEM画像を
示す(補足図2および材料と方法に関する補足情報の詳細も参照)。

12 nmのNCの高分解能環状暗視野像を図1bに示す。ここで、ペロブスカイト構造と一致して、原子
の(ほぼ)立方体配列が明確に観察される。
これは、元素同定とコア損失電子エネルギー損失分光
法(EELS、図1d)のためのエネルギー分散型X線分光法(図1c)を同時実行で、詳しく解析する。
主にCs、PbおよびIが検出され、Au信号はTEMグリッドの反射から生じる。対応する元素のL線の下
でのエネルギー分散型X線信号の定量から決定されるCs:Pb:I比は1:1:3±10%であり、CsPbI3
ペロブスカイトの(ほとんど)NCsは形成された。高い損失では、CsM4.5に対応する733eVおよび
746eVの2つの特有のピークが観測され、IM4.5イオン化エッジの遅延特性に対応する700eVのより広
いピークが観測される。

単一のNCのバンドギャップを決定するために、高エネルギー分解能(~50meVのゼロ損失ピーク)
44,45,46で、イメージングと価数損失EELS収集を並行して実施。このようにして、単一のNCの構造
パラメータが決定されると同時に、その低損失EELスペクトルが記録。
電子が価電子帯の上部から
伝導帯に励起され、続いて信号が安定して増加すると、低損失EELスペクトルに特徴的なステップ
が現れ、光吸収に類似して、エネルギーの状態の密度増加につれ、大きくなるバンド間吸収に相当。
図1eは、特徴的な段差を有する低損失EELスペクトルと、サイズ分布の端に幾分現れる12nmのNCの
環状暗視野像(補足図2も参照)を示し、具体的には最初に大きなNCのCMが開始されることが予想
されるため選択されました。1.77eVのバンドギャップエネルギーは、点線で示すように、吸収開始
付近のスペクトルの一次導関数の最大値で決定する。


図1、CsPbI3ナノクリスタルの顕微鏡的特徴付け。 新たに滴下したサンプルの環状暗視野像。 b
ナノクリスタルの原子解像度走査透過顕微鏡画像で、主に立方体構造を明確に示す。 c、d主にCs、
PbおよびIが検出された同じサンプル(c)のエネルギー分散型X線スペクトルおよびコア損失電子
エネルギー損失スペクトル(d)。 対応する元素のL線についてのエネルギー分散型X線信号の定量
から決定されるように、Cs:Pb:I比は1:1:3±10%であり、(ほとんど)ペロブスカイト組成を
示唆。 バンドギャップエネルギー1.77eVの大きな12nmナノクリスタルの低損失電子エネルギー損
失スペクトル。 点線は吸収開始付近のスペクトルの一次導関数を示し、その最大値がNCバンドギ
ャップエネルギーである。


Supplementary Information

☑ 光学的特徴付け
下図2aは、1.78eV(695nm)に最大値を有するNC(点線)およびPLスペクトル(実線)のアンサンブ
ル光吸収を示す。着色された矢印は、TA実験に用いられた励起光子エネルギーを示し、PL寿命は、
励起源としてピコ秒パルスダイオードレーザ(λexc= 375nm)を用いて測定。λdet= 695 nmの正規
化された減衰ダイナミクス、および残りの検出波長の抽出された寿命が図2bに示す。
トランジェントは、双指数関数に適合させることができ、以前の報告41,43,48とよく一致して、そ
れぞれの振幅比が1:2の3.3および45nsのPL寿命をもたらした。図2cは、約2.8~3.3eV(440~375nm)、
4.3eV(290nm)、および4.96eV(250nm)の励起エネルギーに対して特有の最大値が観察されるPL
励起データを示す。以前にも同様の特徴が観察されており、低エネルギーでの最大値は、吸収スペ
クトル48で観察されたより高いエネルギー状態に起因するものであった48。この特定のケースでは、
PL強度は、より高い励起エネルギー(> 4.6eV / 非放射性
再結合による過剰エネルギーの損失によって説明される。

これは明らかにこの研究では当てはまらない:4.96eV(250nm)を超えると、高い強度の発光を最
大限に観測する。我々の実験では、得られた放出スペクトルおよび励起スペクトルが、実験装置の
波長依存特性の可能性について補正されていることに留意。データは、単位面積当たり放出される
光子の数として収集され(これは実験を通して変わらない)、その点でPL QYの決定に似ている。
さらに、過去には、Si NCにおける閾値励起以上の場合、CM Qに割り当てられたPL QYの増加が観察
されたことを思い出してください。このように、NC吸収スペクトル(図2a)とともに4.96eVを超え
るPL励起の観察された増加は、CM20に起因するPL QYの増加を示唆している。残念ながら、セット
アップの限界のために、より高い励起エネルギーでのこの現象の観察は不可能である。

 図2.CsPbI3ペロブスカイトナノクリスタルの効率的なキャリア増倍

光学的特性評価。 吸光度(点線)およびPL(実線)スペクトル。着色された矢印は、過渡吸収実験
に使用される光子エネルギーを示す。 b二重指数関数を用いてフィッティングし、減衰時間τ1= 3
.3nsとτ2= 45nsを得たλdet= 695nmの時間分解フォトルミネッセンス(PL)測定。挿入図は、全て
の検出波長について得られた寿命を示す。
対応する振幅を有するPL寿命が挿入図に示されている。
不確実性はフィッティング法の統計誤差によって決定される。 PL励起の2次元等高線プロットであ
り、励起エネルギーがPL発光および強度に及ぼす影響を示す。PL最大値は 4.96eV)付近
で観測され、これはキャリアの乗算の最初の兆候である可能性がある。励起および発光強度は、セ
ットアップおよびスペクトル感度の波長依存成分について補正する(中略)。


☑ CMの指紋
図3は、λプローブ= 680nm(675nmと685nmとの間で信号を積分することによって得られる)で
の最大値付近で測定された過渡PIBを示す。ここでは、2つの励起波長の結果を比較:λexc= 500 nm
1.4Egap、図3a)およびλexc= 295 nm(2.4Egap、図3b)で、この研究で測定されたすべての過渡的
なPIB動態について3)。TA測定を実行している間、私たちは、いわゆる線形レジームの中で非常に
低いレベル(≪1)でNCあたりの吸収光子の数を維持。これは、TAダイナミクスの初期振幅Aが、吸
収された光子フルエンス(図3a、bのインセットのオレンジドット)、特に初期振幅Aとテール振幅
との比により直線的に増加確認、吸収光子フルエンス範囲(青緑色の点)内で不変B(A/B)。
具体
的には、後者の観察から、光子吸収を完全に排除することができる。したがって、この範囲で観測
されたフルエンスの増加は、単一の光子の吸収に続いて、各NCが多くとも1e-hの対を含むこれらの
励起条件下で、≪1を維持しながら、励起されたNCの数を増加させる。


図3 過渡吸収ダイナミクス(a)および(b)のキャリアの乗算(CM)閾値、すなわちそれぞれ
500nm(2.48eV)および295nm(4.2eV)のポンプ波長でのダイナミクスである。破線はデータに対す
る指数関数近似を表す。4.2eVでポンピングするときの追加の高速成分の出現は、CMの指紋である。
挿入図は、吸収された光子フルエンスの関数としての単一励起子減衰テールA / Bに対する初期過
渡振幅Aおよびその比を示し、単一光子吸収(線形)体制を実証する。

全てのダイナミクスは、675?685nmの信号を積分することによって、光誘起漂白剤の最大値(680nm)
周辺のプローブ波長で測定される。後者は、y方向の誤差バーを決定する。x方向の誤差は、ポンプ
出力の小さな変動から生じる。線形領域外(すなわち、多光子吸収による)でのポンピングおよび
CMによるオージェ再結合による減衰を示す線形対非線形領域は、同じ動力学をもたらす。
両方の励
起エネルギーを考慮すると、過渡PIB信号の挙動は著しく異なることに留意されたい。どちらの場合
も、ダイナミクスは、表示された時間ウィンドウ(500ps)に適合する緩和時間をもつテールを示す
(中略)。

【実験材料】
Protesescuらにより、初めて報告されたプロトコールに従ってCsPbI3 NCを合成。 2015年にわずかな
変更を加えている。 Cs-オレエートを調製するために、0.814gのCs2CO3を40mlのODEおよび2.5mlの
OAと混合する。続いて、反応が完了するまで不活性雰囲気中で混合物を150℃で撹拌する。ここでは、
反応物を120℃で1時間乾燥する。 NCの形成を誘導するために、5mLのODEおよび0.188mmolのPbI
2をN 2雰囲気中で120℃で1時間乾燥する。水を除去した後、0.5mLの乾燥OAおよび0.5mLの乾燥OLAを
反応フラスコに添加し、温度を180℃に上昇させる。 PbI 2の溶媒和が完了した後、0.4mlのCs-オレ
エート溶液を注入する(これは以前に加温されている)。反応は、NC溶液を氷浴を用いて迅速に冷
却した後、数秒かかる。最終生成物をいくつかの遠心分離工程を用いて精製し、ヘキサンに再分散
させる。サンプルを分光実験に適切な光学密度(「1OD」)になるように希釈し、石英キュベット(
UVグレード)に移す。

【実験手順】
UV励起エネルギーのためのTA実験(ステーション1、> 4eV)で、~100fsのパルス幅で1kHzで動作す
るMai Tai-SP(米国マウンテンビュー、米国)のダイオード励起、モードロックTiサファイアレー
ザーが、コヒーレント光源としては、出力波長800nmに対して?3mJのパルスエネルギーが用いられる。
周波数調整器は、出力周波数を200Hzに低減する。ビームスプリッタを使用してビームを分離し、ポ
ンプパルスとプローブパルスを生成する。光パラメトリック増幅器TOPAS-C(ライトコンバージョン、
ビリニュス、リトアニア)は、BBO結晶と組み合わせて、所望のポンプエネルギーを生成する。その
後、ポンプビームは遅延段(SGSP 26-200)を通って案内される。プローブシグナルは、サファイア
結晶を用いて生成された白色光からなり、検出器に到達する前に分光される:0.5mのイメージング
トリプルグレーティングスペクトログラム、SpectraPro 2500i(Acton Research Corporation、Acton、USA)
および空冷CCDカメラ、PIXIS 256(Princeton Instruments、Trenton、USA
)を使用した。残りのポンプエ
ネルギー(ステーション2、<4eV)については、試料を約150fsレーザーパルス(2.5kHzで動作する
光変換Pharos-SP、Orpheus OPAと組み合わせて)で励起し、可視のマルチチャンネル検出を用いてプ
ローブする/近赤外(500~800nm)プローブパルス(Ultrafast Systems Helios)。広帯域(白色光)
プローブパルスは、1030nmポンプ光を用いてサファイア結晶によって生成される。ここでは「低」
ポンプエネルギーでの実験がステーション1で繰り返し比較。これらの実験では、均等な力学が得ら
れ、結果検証する(下補足図11参照)。

紙面錠、後略するが、今回の技術論文を意訳するにあたり、「量子ドット工学講座」としてまとめ
るか、「ソー
ラータイル事業篇」とするか困惑する。換言すれば、実用(商用)段階か基礎研究段
階との差異にあるが、前者に到達するには時間的距離感が異なるが(有機ELが「死の谷」をわたっ
たように)、量子ドット半導体の実用化も実現することを確信し掲載した。「ビバ!エネルギー革
命」である。

 Wikipedia

● 梟の棲む世界
日曜日は、早朝からふくろう珈琲店と唐橋焼観光で大津へ(彼女はわたしの誕生日祝いという)。珈琲店は
駐車でご近所が随分迷惑されているようで、わたしの粗忽さと無知を恥じる。ピザは11時からでブレンド
(ふくろ、みみずく)を楽しみ店を後にし、唐崎焼きは琵琶湖大橋の道の駅で購入し、ぶっかけ手打ちとろ
ろそば頂き帰宅。行楽客でどこも車であふれていた。

古代ギリシアはフクロウは英知の女神アテナの象徴とし、積み重ねられた書籍の上に描かれている。また夜
と切り離せず、ミケランジェロのジュリアーノの墓所の彫刻の足元にを置れ、寓意が書かれたチェーザレ・
リーパには、議会のアレゴリーとして描かれ、迷信のアレゴリーにも登場し「徳不徳両面」を寓意するが
"知が栄えたためしなし"と恥じながら、世界のリーダー不在を恐れる心象も浮かびあがらせた一時でもあっ
た。ビバ!滋賀、安らかであれ。
 

 

 

 

コメント
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本家超えのバカマッタケ

2018年10月18日 | 新弥生時代

  


                                              

第50章 生に執着すれば死を招く
生死はいねば出入である。「無」から「有」に出れば生、「有」から「無」に入れば死。生も死も、
ひとしく「道」の現われで、本質的な差はないのだ。
生物には、長命なものもあれば短命なものもあるが、生死はそれぞれに自然である。だが、生物の
なかでも人間だけは、死期が来ていないにもかかわらず、みずから死を招くことがしばしばある。
れはなぜか。人間が生に執着しすぎるからなのだ。
こんなことばがある。

「寿命を全うする者は、山野を旅しても猛獣に襲われず、戦に出てもけがをしない」

たしかに、猛獣も危害を加えようがなく、刀槍も傷を負わせようがないのだ。それはなぜか。生に
執着せぬ者には、死の入りこむ余地がないからである。

勁きて死地に之く 人間は、宇宙間の四大のひとつであった。生物のなかでもっとも貴いものであ
った(25章)。にもかかわらず、あらゆる生物のなかで、人間だけが不自然な誤りをおかすので
ある。人の人たるゆえんは、「知」を有することである。この「知」にいかに処するかによって、
人は偉大とも、卑小ともなるのである。


 
【最新IEA報告:今後5年間で最も成長する再エネはバイオマス】


10月8日、たIEAのリポート「Renewables 2018」では、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が
いう、植物由来の液体バイオ燃料や嫌気性消化で生成されるバイオガス、それに木質ペレット加熱
システムといった、現代のバイオ燃料が業界で特に重要であり、「現在から2023年までの間に急成長
する可能性を秘めている」と報告。加えて、現代のバイオ燃料開発において、「堅牢な再生利用割合
の基準と安全で持続可能なエネルギー・システムを確実にしていくこと」が重要だと指摘している(
「今後5年間で最も成長する再エネはバイオマス」、IEA調査」日経 xTECH 2018.10.16)。

 IEA Oct. 8, 2018

再エネの設備容量は2017年に178GW分が追加され、世界記録を更新。この容量はグローバルの正
味の発電容量の成長分の3分の2以上を初めて占める。
内訳は太陽光発電が97GWで最も多く、そ
の半分以国によるもの。風力発電(陸上)は世界全体では2年連続で伸び悩み、水力発電は成長が
減速している。
地域的には、全分野で低炭素化に取り組んでいる中国が再エネのグローバル成長を
けん引し、2023年までに欧州連合を追い抜いて再エネの最大の消費国になると予測。
エネルギー消
費に占める再エネの比率では、エネルギーの最大の消費国であるブラジルがこれまでのトップであ
2023年には総エネルギー消費量の約45%――IEAエグゼクティヴ・ディレクターのファティ・
バイロル博士の話では、現代バイオ燃料は、再生可能エネルギー分野の見過ごされた巨人であると
と指摘――をバイオエネルギーと水力を中心とした再エネで賄うと見込む。


Oct 8, 2018

ところで、加えてBloombergは、この報告書にある別の予測シナリオに注目。そこには「2023年まで
に1.3TW(テラワット)の余剰クリーンエネルギーが導入される可能性がある、とし。、化石燃料
の使用量の減少と共に、風力、太陽光発電が増加――太陽光発電の容量は、他のすべての再生可能
エネルギー技術を合わせたものよりも約600W(ギガワット)拡大、または予測期間の終わりまで
に日本の総容量の2倍である1TW(テラワット)――達するというIEAの予想図も掲載している。
 

 Oct. 17, 2018

● 金沢工業大学でエネルギー・マネジメント・プロジェクト展開中

10月16日、金沢工業大学では、再生可能エネルギーや蓄電池・電気自動車(EV)・水素・熱利
用などを組み合わせて電力制御システムを構築する「エネルギー・マネジメント・プロジェクト」
を2018年春から推進している。
このほど、再エネに適合した直流給電システムを構築し、キャンパ
ス内のコテージで被験者が実際に生活する実証実験を開始したことを公表。

同プロジェクトは、再エネを軸にエネルギーの地産地消に取り組み、地方再生のエネルギー・コミ
ュニティ・モデルの構築を目指す。
具体的には、(1)太陽光・風力・小水力・バイオマス・地熱発
電などによる創エネ、(2)蓄電池・EV・水素へのエネルギー貯蔵、(3)直流(DC)リンクによる
効率化、(4)温泉水・地下水・バイオマスボイラー・低温発電を用いた熱利用――などを組み合わ
せ、地域内エネルギーの最適運用を目指す。

再エネを安定供給するには、従来の火力・原子力を組み合わせた集中型制御の電力システムではな
く、分散型制御の系統システムが必要となる。こうした新しいシステムを構築するとともに、蓄電
池・EV・水素や温泉水など熱の地域資源を組み合わせたベストミックスを探り、地域で電力を融通
し合うエネルギー基盤技術を構築する。
地域特性も活用し、人工知能(AI)やIoTを活用した「Soci-
ety 5.
0」を地方から実現することも視野に入れている。

実証実験では、金沢工業大学・白山麓キャンパスにある4つのコテージに直流給電システムを構築し、
実際にコテージで被験者が生活することで、発電から使用まで検証する。太陽光などの再エネで発
電した直流をAC-DC(交流-直流)変換せず、直流のまま直接運用することで、電力システム全体の
効率を高める。
電力が不足した場合はコテージ間で電力シェア(融通)し合い、電力の需給バランスを維持する仕
組みを構築した。電力会社の系統にも接続するが買電は最小に留め、再エネのみを利用するオフグ
リッドシステムを目指す。将来的には、ブラックアウトに耐えられることを検証する。さらに、コ
テージで蓄電した電力をEVに充電し、EVを「配電線」にみたて、電力の不足する地域に電気を届け
るようにする。

今後は、まずコテージ間のDCリンクを拡充し、その後白山麓キャンパスの産学連携拠点「イノベー
ションハブ」へ拡充する。エネルギー貯蔵に水素を利用する実験も検討し、蓄電池に貯めた電力と
水素を相互補完的に組み合わせる。低温の地熱を使うバイナリー発電、木質チップを使ったバイオ
マス発電設備を設置するとともに、キャンパス内の温泉水や地下水を含めた熱搬送も行う。
温泉水
や地下水による空調制御や、DCリンクから供給される電力で照明や各種電力を賄うことで同キャン
パス内に併設される国際高等専門学校の図書コモンズのゼロエミッション化を目指す。AIやIoT
活用して創エネ・エネルギー貯蔵・DCリンク・熱利用を効率的に組み合わせるエネルギー・マネジ
メント・システムの開発も推進する。
  

【社会政策トレッキング:バラマキは正しい経済政策である 18】    

 Yutaka Hrada, Wikipedea 

第4節 2兆円とインセンティブのための費用
これらの人の平均所得はそれぞれの階級の人数でウェイトをつけて足したものになるから、一人当
たり所得は64万円となる。したがって、990万人に84万円と64万円の差、20
万円を支給
すればよいことになる。その費用は、2兆円(=20万円×990万人)にすぎない。生活保護費
が、医療費を除いて1・9兆円かかっているのだから、それとほぼ同じ費用で、すべての貧困を解
決することできてしまう。しかも、990万人のうちには子どもも含まれているのだから、それよ
り少ない金額で貧困を解消できる。

もちろん、そんなことをすれば、誰も働かなくなってしまうという批判があるだろう。この批判に
応えるためには、最低限の所得を直接補助された人々も、働きに応じて所得が増えるという制度に
しておかなければならない。例えば、月7万円給付された人々が働いてさらに5万円得たとすれば
そのじ割、3・5万円は手元に残るという制度である。その上うな制度を実際に作ったとすると、
その制度はどのようなもので、どの程度のコストがかかるだろうか。

まず、貧しい人に基礎的所得を給付するだけなら、前述のように2兆円ですむ。しかし、BIを給
付するための財政コストは直接給付するコストだけではない。それは、働くインセンティブを維持
するために、ある程度所得のある人にも基礎的所得を給付することになり、これまでなら税金を払
っていた所得層が、実質的に税を払わなくてもよくなるという意味で財政コストがかかるというこ
とである。これについては、所得の低い層に課税しないのは上いことだという賛同者もいるだろう。
また、日本の場か、中間層までの税率が低いことにより、すでに低い税率を実質的にはさらに低く
するということなので、追加的コストはそれほど大きくはない。

基本的にすべての人の年間所得は、「自分の所得×0・7+BI(84万)」となる。所得のない
人も84万円の基礎所得を保障されるが、自分の得た所得の3割を課税される。自分の所得が28
0万円になると、その3割の税=84万円を取られて、基礎所得と税が一致する。以下に示すBI
は、結婚や扶養などの有無によらずすべての成人に年84万円のBIを、各自の銀行口座に振り込
むという制度である。配偶者や子どもの扶養控除、基礎控除などほとんどの控除を廃止する。子ど
もにも3万円のBIをその母親の口座に振り込む。基礎年金は廃止し、BIで代替する。厚生年金
は、完全に独立採算制の年金に置き換える。もちろん、移行期間は考虔しなければならないが、最
終的な姿を議論することが本書の目的なので、移行期の問題は捨象する。

第5節 BIと所得階級ごとの関係
 BIが、全体として財政的に成立することは説明したが、個々の所得階級にとって、これがどの
ような変化をもたらすかを考えてみよう。以下は、完全なデータとは言い難い。BI実現のための
試論的なデータ作成の努力と思っていただきたい。
変化を見るためには個々人の所得と現行の税制における税の支払額のデータが必要となる。まず、
所得階級別の人数は、下表3‐3、表3‐4のようになる。表の所得は、家計の所得ではなくて個
人の所得である。ここでの所得は労働所得か事業所得であって、年金や生活保護などの政府から給
付される所得は含まれていない。

また、結婚しているかいないかにかかわらず各自の口座に年84万円、月7万円が払い込まれ、扶
養控除などは存在しないという制度を考えている。BIの支払いは、所得階級ごとの人数を表3‐
2から推計し、20歳未満の数と20歳以上の数の比率はどの所得階層でも同じとして推計した。
喪3‐2は家計所得、喪3‐3は個人所得なので矛盾しているが、他に方法もないので、これでよ
しとした,.
表3‐3は、所得階級ごとのBI給付額および税収額の総額を見たものである。所得階級ごとの税
収の合計は、現行の制度で13・3兆円、BIでの税収は66・3兆円となる。実際の所得税収は
14・0兆円、経済全体の所得、雇用者報酬と淡白所得の合計は257・5兆円なので、30%の
BI税率では77・3兆円となるべきであり、表の所得が現実の所得を十分に捕捉できていないこ
とになる。ただし、雇用者所得には、社会保険料の雇用者負担が10%程度含まれており、捕捉さ
れていない部分からくる税収の減収分け、10兆円以下であろう。

出所:人事院「平成25年 民間給与実態調査」「平成25年 国家公務s 員給与等実態調査」,
総務省「平成25年 地方公務員給与実態調査」,

財務省「平成24年分申告所得税標本調査」,内閣府「国民経済計算 確報」.
註:①給与所得者の所得分布は「民間給与実態調査」「国家公務員給
 与等実態調査」「地方公務員給与実態調査」による.さらに「申告 所得税実態調査」,財務省
「平成標本調査」により事業所得を追加 して所得分布を作成.②所得を得ている者の人数合計は
5032万人と なり,「平成22年 国勢調査」の就業者5961万人より小さいが,

主に仕事をしている者4958万人より多いので,人数は正しいと思われ庫る.しかし所得の合計
は206兆円で,国民経済計算の雇用者報酬+混合所得の257・5円とは乖離が大きく,所得が
十分に把握されていないと思われる.所得階級から個人の負担する税と国税収入を所得階級ごとに
推計したが,扶養控除などを無視して税額を推計した.

それでも所得税収入は13・3兆円と、2012年の決算税収14兆円よりやや小さい、③BIを
採用した場合の税収は所得階級ごとに推計したが,合計は66・3兆円である.一方、雇用者報酬
+混合所得の30%を計算すると77・3兆円となる。④BIの場合のネット税額とは、課税額-
BIである。BIは表3-2の所得階級ごとの人数から計算した。

所得階級ごとの人数を日本全体の20歳未満人口のシェアで割り振って所得階級ごとの子どもの人数
を求めた.⑤ここで作成した所得からは13・3兆円の税収しか得られないが,現実には14・0
兆円の税収を得ている.現実に所得に30%の税を課せば,66・3兆円×14.0÷13.3=6
9・3兆円の税収が得られるだろう、⑥所得階級別の合計所得は所得階級別の人数に所得階級の中
間の値を掛けたもの、50万円未満の中間値は225万円、100万円以下の中間値は75万円とし
た。⑦BI給付額を人口から直接推計すると,人口1億2752万人(20歳未満2260万人+
20歳以上1億192万人)より。96・3兆円(20歳未満18・1兆円+20歳以上88・0
兆円)となる.

mAR. 13, 2008

 第6節 給付水準と実行可能性
ここでは年に84万円の給付水準を考えているので、給付総額が96・3兆円となっている。給付
水準を2割減らして年67・2万円(子どもは年28・8万円)とすれば、給付総額77・3
兆円
となって、BIの導入とともに廃止するべき代替財源の範囲を狭めることがで
きる。給付総額は7
7・2兆円から、30%の比例税で生まれる77・2兆円を差し引いたマ
イナス0・1兆円、これ
に現行の所得税収入14・0兆円を足した13・9兆円の代替財源を
見出せばよいことになる。老
齢基礎年金に16・6兆円、子ども手当に1・8兆円、雇用保険
に1・5兆円、合わせて19・9
兆円支出しているわけだから、十分な代替財源があることに
なる。BIの実現はまったく容易にな
る。

逆に、BIの給付水準を2割上げて年100・8万円(子どもは43・2万円)とすれば、給付総
額は115・6兆円となって、給付総額115・6兆円から、30%の比例税で生まれ
る77・3
兆円を差し引いた38・3兆円に現行の所得税収入14・0兆円を足した52・3
兆円の代替財源
を見出さなけれぼならないことになる。

要するに、BIの給付水準が低ければ導入は容易であり、高ければ困難という直感的に当然の結果
が得られる。

本ではBIについて数量的分析がほとんどない。そのなかで、九州大学経済学研究院の浦川邦夫
准教授と京都府立大学公共政策大学院の小沢修司教授の分析は、数量的な検討を加えて
いることで
貴重である。浦川准教授によれば、BIが給付されても労働供給は変わらず、税率
の労働供給に与
える効果もないという仮定の下でも、国が定めた生活保護基準(一人月額8万3060
円)を給付
するためには四〇%の税率が必要としている(浦川邦夫「ベーシック・
ンカム論に関する政治経済
学的考察
」、『国民経済雑誌』第196巻第6号、2007年12
月)。



一方、小沢教授は、子どもを含むすべての国民に一人当たり6月8万円のBIを給付するためには、
税率を50%にすることが必要としている(小沢修司「福祉社会と社会保障改革-ベーシックーイ
ンカム構想の新地平』終章、高菅出版、2002年)。浦川准教授の分析は、BIのレベ
ルを高く
するとその実現は困難になることを別の形で示していることになる。小沢教授は50
%の所得税で
も可能としているので、何か可能と考えるかは、多分にイデオロギーの問題とな
る。私は、現行の
制度と大きな変化がなく、社会保障制度の非合理を削減できることがBIの
利点と考えている。

             原田 泰著 『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるいか』

                                     この項つづく

    

   
   

Yuval Noah Harar  (born February 24, 1976)      

文面歴史観に親近感を感じ注目する。この本は読んでいないが、11月以降になる。そこでは不用
者階層と支配者階層に分断されるというが、ドイツ系ユダヤ人のカール・マルクスが想定した社会
主義社会が実現しているはずなのだが、どうなんだろう。すでに800万冊を出版されている程の
ベストセラーを記録、面白そうだが、読むのは11月以降になる。

    Oct. 4, 2018

【新弥生時代:本家超えのバカマッタケ】 

10月4日、多木化学株式会社は、バカマッタケの完全人工栽培に成功したことを公表。きのこは
古くからから食べてきた食材.また、シイタケ、マイタケ、ブナシメジなど人工
栽培が可能になった
ことで、いつでも食卓に並ぶようになっているが、
植物と後生する「菌根菌」に分類されるきのこ
は、生た植物から栄養をもらい
ながら成長するという特徴から、人工栽培が難しいとされていた。
特に、マツタケ近縁種は、日
本人に好まれるきのこであることから、多くの研究者が「「完全人工栽
培」に取り組んできた
が、成功した例がなかったた。バカマツタケは、マツタケ近縁種のきのこで、
香り、味はマ
ツタケ以上とも言われてきたが、マツタケより小ぶりで、赤松以外の値物(ブナ科)と
共生し、発生
時期が一ケ月ぐらい早い(8月下旬~9月下旬)が特徴。そのため、地域によっては、
早松(さまつ)として珍重されてきたが一般市場に出回ることはなかった。

同社では植物に頼らない培養系でバカマツタケの完全人工栽培に取り組み、植物と共
生しないこと
で培養期間が短く、「季節を問わず年中供給」できるメリットがあり、また、室内
環境で栽培でき
ることは、自然環境で育ったものと異なり、「虫混入の心配がない」メリットも生まれる。
約6年
間の研究期間を経て、マツタケ近縁種のきのこで初となる完全人工栽培に成功する。

研究開発の9-い段階から、バカマツタケ原基(バカマツクケの赤ちゃんのようなもの)の形成には成功
していました。しかしながら、子実体(傘をもつきのこの形態)にすることができず、原基か
ら子実体へ
の形態変化を促すための各種シグナルを試し続けました。植物共生時の植物との
やり取りが分かって
いない中での検討でしたので、試行錯誤の連続。

2018年4月3日、検討していた実験系の中からバカマツタゲの子実体を確認(培養期間約3ケ月)。
得られたバカマツタケのサイズは、長さ約9センチメートル、重さ36グラムで、天然のものより

や大きいくらいでした。その後も、バカマツタケ子実体が形成(合計14本)。食味
も確認。バカマ
ツタケ特有の香りも強、良好な食感が感じられるものでした。
マツタケ近縁種は、植物との共生が
必須と考えられていました。今回の研究成果は、その定
説を覆すものであり、学術上の大きな発見に
なります。私たちの生活にとっても、菌床栽培(一般
的な食用キノコの栽培方法)の技術であることか
ら、バカマツタケが身近なキノコになることが期
待されている。

すばらしい! すわ、和製#トリュフの開発も可能も夢ではないかもね?!

  ● 今夜の一曲

Buzz "愛と風のように"  Music Writer高橋信之/山中弘光

 

                                                   

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最新ニッケル水素電池技術Ⅱ

2018年10月16日 | 新弥生時代

  


                                              

第49章 指導者は無心でなければならぬ
聖人は、無心である。だから、人々の心がそのまま映る。人々が善とするものは、善であろうと
かろうと、善とする。それが聖人の徳である。人々が真とするものは、真であろうとなかろう
と、真
とする。それが聖人の徳である。
聖人は天下を洽めるに際して、自己の心を是非善悪に片寄らせず、ひたすら無心になりきってし
う。人々がいかに耳目を集中して、聖人の意志を探ろうとしたところで、探れるものではない。
とど
のつまり、人々は赤子のように無心にさせられてしまうのだ。

誠心である〉 原文は「常心なし」。一定不変の心がないの意。

人々〉 原文は「百姓」。君主に対して、それ以外のすべての一般大衆を表わす。
聖人は常心なし 指導者が無心であれば、人民大衆も無心な本性に返る。これを手段化して、も
っとも作為的な臣下操縦術に変質させたのが、韓非である。『韓非子』ご㈹篇にいわく、「君主 
が好悪を見せなければヽ臣下は生地をあらわす・臣下が生地をあらわせばヽ君主はだまされはし
ない」と。



【新弥生時代:最新クロマグロ完全養殖技術】

● クロマグロの稚魚用に開発した「アンブロシア」

10月16日、フィード・ワン(横浜市、山内孝史社長)はクロマグロの完全養殖用に開発した
稚魚向けの餌「アンブロシア」を月内に発売する。餌にはホタテから抽出したエキスを使用。食
いつきが良くなり、稚魚の摂餌量を増やすことで生存率を底上げする。成魚の生産量の拡大を狙
う。同商品はふ化後1~2週間を目安に与える。消化に良く、水を汚さない顆粒(かりゅう)タ
イプで展開。摂餌量が増えれば消化器官の発達を促すことができ、生存率アップにつながるとい
う。従来1%といわれる稚魚の生存率を数%上げる。販売は春のふ化シーズンに合わせて強化。
仕向け先はクロマグロの完全養殖に取り組む極洋やマルハニチロ、日本水産などの大手水産会社
他、大学などを予定する。同社は現在ふ化後2~3週間に与える餌の開発を進めている。「ふ
化から成魚に至るまで、それぞれの段階に合った餌を開発する」(同社)。給餌の効果や販売す
る価格帯の調整などを行っている。
同社は極洋との合弁会社、極洋フィードワンマリン(愛媛県
愛南町)でクロマグロの完全養殖に取り組んでおり、11月に「本鮪の極 つなぐ〈TUNAG
U〉」として出荷する。尚、この摂餌法ででのクロマグロの生存率は、従来の2倍にアップした
とのこと(フィード・ワンがマグロ稚魚餌発売へ/完全養殖向け月内に ホタテ抽出エキス使用
/ みなと新聞 電子版、2018.10.16)。

 ※アンブロシア(ambrosia):ギリシア神話における神々の食べ物に由来。

 



 ”Anytime, anywhere ¥1/kWh  Era” 
【エネルギー通貨制時代 Ⅳ】 


Figure 2. Average cradle-to-gate life (Ectg) per watt hour basis with one standard deviation for NiMH, lead-acid
(PbA), Ni-Cd, Na/S, and Li–ion batteries.5

●蓄電池篇:最新ニッケル水素電池技術Ⅱ

先回のつづき、Innolith社は、革新的電力網/産業向け蓄電池技術を公表。これにより、従来バッテ
リに
比べ、寿命スループットが2倍以上に向上。 Innolith GridBankシステムで使用される新し
い蓄電池技術は、50,000回のライフサイクル(=60GWh超エネルギー出力を保持、電力網用蓄電
池の使用コストを劇的な削減を実現。 性能の飛躍的向上は、従来のLiイオン電池と比較して、
Innolith電池のサイクル当たりのコストが3分の1から10分の1になる。この蓄電池を配置す
ることで再生可能エネルギー回収し、電力の周波数規制に安定供給できる。蓄電池の循環容量の
向上は、消費電力増加と蓄電池の劣化逓減をj実現。同社はスイスのバーゼルに本拠を置くエネ
ルギー技術企業であり、高出力、長寿命で安全な蓄電池を供給する無機蓄電池技術事業のパイオ
ニア、またドイツのBruchsalにある研究室で一次研究を行い、その技術はすでに周波数調整に米
国のPJMネットワークに導入している。今回はニッケル水素電池の2つの技術について考察、さ
らに、Innolith社の保有する知財について調べた。

☑ 特開2018-092915 ニッケル水素蓄電池用バイポーラ電極及びニッケル水素蓄電池

【概要】

ニッケル水素蓄電池における電極として、金属箔と、この金属箔の一方の面に塗布された正極活
物質層と、他方の面に塗布された負極活物質層とを有するバイポーラ電極が用いられることがあ
る。正極活物質層には、正極活物質としての水酸化ニッケル(Ni(OH)2)が含まれている。
また、負極活物質層には、負極活物質としての水素吸蔵合金が含まれている。

バイポーラ電極では、金属箔に正極活物質層と負極活物質層とを塗布した後、これらの活物質層
をプレスして金属箔に密着させることにより、金属箔からの活物質層の剥離や脱落の抑制及び充
放電性能の向上を図っている。例えば、リチウムイオン二次電池に用いられるバイポーラ電極で
は、バイポーラ電極の全面にプレスが施されている。

しかし、ニッケル水素蓄電池では、リチウムイオン二次電池とは異なり、過充電時に正極から酸
素ガスが発生する。この酸素ガスは、通常、負極活物質層に吸収された後、充電リザーブとして
予め設けられた負極活物質中の水素と反応して水に戻されるが、負極活物質層の空隙率が小さい
場合には、正極から発生した酸素ガスが負極活物質層内に進入しにくくなるため、電池内に酸素
ガスが蓄積するおそれがある。また、酸素ガスの蓄積によって電池の内圧が上昇すると、場合に
よっては安全弁が作動するおそれがある。その結果、充電リザーブと放電リザーブとのバランス
が崩れ、電池の劣化を招くおそれもある。

しかし、かかる問題を回避するために、単純に負極活物質層の空隙率を大きくすると、負極活物
質層の金属箔からの剥離や脱落が起こりやすくなる、あるいは充放電性能が低下するなどの問題
がある。本件は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、優れた充放電性能を有し、金属箔
からの活物質層の剥離や脱落及び電池の内圧の上昇が抑制されるニッケル水素蓄電池用バイポー
ラ電極及びこのバイポーラ電極を備えたニッケル水素蓄電池を提供しようとするものである。

下図2のごとく、バイポーラ電極1は、金属箔2と、金属箔2の表側面上に設けられた第1活物
質層3と、第1活物質層3よりも面積が広く、金属箔2の裏側面上に設けられた第2活物質層4
とを有している。第2活物質層4は、金属箔2の厚み方向から見た平面視における周縁部に配
置された低密度領域41と、低密度領域41よりも内側に配置され、低密度領域41よりも空隙
率が小さい高密度領域42とを有する、優れた充放電性能を有し、金属箔からの活物質層の剥離
や脱落及び電池の内圧の上昇が抑制されるニッケル水素蓄電池用バイポーラ電極及びこのバイポ
ーラ電極を備えたニッケル水素蓄電池の提供である。


【符号の説明】
1 バイポーラ電極  2 金属箔  3 第1活物質層  4 第2活物質層  41 低密度領域 
42 高密度領域
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における、バイポーラ電極の平面図
【図2】図1のII-II線一部矢視断面図
【図3】実施例1における、バイポーラ電極の製造方法の要部を示す説明図
【図4】実施例1の製造方法における、第2活物質層が一対の圧縮ロールの間に進入した時点で
    の長手方向の断面図

【図5】実施例1の製造方法における、第1活物質層と第2活物質層の両方が一対の圧縮ロール
    の間に進入した時点での幅方向の断面図

【図6】実施例2における、ニッケル水素蓄電池の要部を示す断面図

 ☑ US9786454B2 Commutating switch with blocking semiconductor:ブロッキング半導体スイッチ

【要約】
少なくとも1つのブロッキング半導体を通る経路のエネルギー吸収経路または一連の経路への電
流の転流によって動作して回路を開く機械的スイッチであって、少なくとも1つのシャトル電極
の少なくとも1つの 電極。尚、この開示は、回路を開くための少なくとも1つのブロッキング半
導体を通るエネルギー吸収経路または経路のシーケンスへの電流の転流によって動作する機械的
スイッチを備え、前記転流は、少なくとも1つのシャトル電極の少なくとも1つの固定電極。前記
ブロッキング半導体は、バリスタ(ポリマー - マトリックスバリスタまたは金属酸化物バリス
タ、MOV)、ツェナダイオード(一方向のみの阻止に有効、逆方向)、または過渡電圧抑制ダイ
オードブレークダウン電圧までの双方向遮断)。 前記ブロッキング半導体は、蓄積された誘
導エネルギーの少なくとも一部を吸収して、制御された最大電圧(過渡電圧抑制ダイオードは、
本明細書ではトランスオーブレータと呼ばれる)を有する回路の開放を可能にする。

摺動スイッチが電極分離に弧を描かないようにするために、これらの電極の少なくとも1つは、
スイッチを介してオン状態回路を規定する整合電極に電気的に接続するために、通常のオン状態
では、電流は整合電極の低抵抗部分を通過するが、スイッチが開くと、電流は、非線形の非オー
ミック抵抗を介して少なくとも1つの明確な第2のエネルギー吸収経路に整流される。バリスタ
(ポリマー - マトリクスバリスタまたは金属酸化物バリスタ、MOV)または過渡電圧抑制ダイオ
ードまたはツェナダイオードのような閾値破壊電圧以下の電流を遮断する。全てのこのような電
圧制限半導体デバイスは、ここでは「ブロッキング半導体」として参照される。

【技術背景】
DC回路を開くためには、流れる電流によって磁場に蓄積される誘導エネルギーを吸収しなければ
ならない。コンデンサに蓄えられていても、抵抗器で放散されていてもかまいません(この意味
で回路を開く際に形成されるアークは抵抗器の特別なケース)。整流回路遮断器の抵抗レベルを
定義するためにオーム抵抗器を使用することの大きな難点は、(1)各抵抗レベルの過渡電圧上
昇は、電流の流れおよび転流時に挿入される抵抗に依存し、(2)(障害時)または減衰(抵抗
挿入後)の電流増加の主な原因は、システム抵抗がほぼゼロになる最も深刻な種類の障害――バ
ッテリから電装部品への主電源ラインの途中に配置された電子部品や配線に、劣化、破断等に起
因する短絡(デッド・ショート)が発生すると、バッテリから昇圧回路や電装部品へ過電流が流
れることでこれら昇圧回路や電装部品が故障するインダクタンス依存性―――があり、インダク
タンスとシステム抵抗(サーキット・ブレーカの外側は、実際の欠陥では大きく異なる可能性が
ある。

したがって、回路ブレーカが動作して挿入された抵抗両端の目標最大過渡電圧差に達するたびに
挿入する適切な抵抗レベルを計算し定義することが理想的だが、これはオーム抵抗で対応では実
用的でない。

バリスタ、逆方向ツェナーダイオード、またはトランスポータが回路に挿入されると、フォルト
の蓄積エネルギーを吸収する対向起電力(EMF)が生成され、 これは典型的な非線形抵抗と見な
せ、充電中に全エネルギーを失う電池としてふるまうことは理にかなっているが、「充電電流」
の電圧を効率よく制御する。

短絡時に急速な電流注入により、誘導エネルギーは通常の全負荷時にシステムに蓄積されるより
もはるかに大ききエネルギーとなる。電流制御される前の通常の全負荷電流の5倍になると、誘
導エネルギーは通常時の最大25倍となる(短絡場所により異なる)。

最近まで、DC遮断器の試験規格は、アークシュート(Edison時代以降の標準的なDC遮断器設計)
に対応する低速動作を想定していたが、電極を開く時間は一般に3ミリ秒(ms)トリップ信号が
受信された後に、電流が減少し始める点に到達するまでにさらに長い時間(最大10ms)を要する
可能性がある。これは、高電流がアークシュートブレーカを介して短絡回路に蓄積し、潜在的に
DC電源の最大能力に達することを意味する。このため、米国では最大短絡電流電車の地下鉄シス
テムのDC障害などの電気列用の遮断器(ANSI / IEEE 37.20)に適用されているDC遮断器規格で
は、回路遮断器が200,000アンペア(200キロアンペア、 "kA")が該当する。

第2の種類の機械的に切り換えられるDC回路遮断器は、日立製の革新的で高速な高速真空回路遮
断器(HSVCB)DC回路遮断器(例えば、米国特許第4,216,513号を参照)を含み、インダクタおよ
びコンデンサを使用して、 LC共振回路をAC真空回路遮断器に接続して、電流がゼロを通過する
際に電流を遮断。これらの回路遮断器は、通常のDC回路の絶縁および回路構成要素を急速な電圧
反転および電圧スパイクに暴す。



低速アークシュート電動レールブレーカが耐えなければならない200kAと比較して、DCレール用
途に使用するL-C共振回路ブレーカは、日本のレギュレータ(標準JEC-7152)よりも低い最大電
流(50kA)が許容され、これは、L-Cベースの共振ブレーカのより速い回路開放動作で可能とな
る。本質的に、このようなブレーカでは、キャパシタ放電(電子的にトリガされる)によってL
-C共振発振が設定され、AC回路と同様に、電流がゼロまで発振するようになる。この発振は急速
に減衰するが、減衰中、電流がゼロになると真空回路ブレーカが回路を開く。最近の米国特許出
願、 No(13 / 697,204)は、この機構が高電圧DC(HVDC)回路にも適用でする。

DC電源を切る最も速い方法は、切り換え可能なパワーエレクトロニクスデバイスを使用し回路を
開放し、通常、サイリスタまたはトランジスタのいずれかの半導体や真空管を使用。これらの設
計は、全回路負荷がオン状態のスイッチを通過し、スイッチ自体の抵抗は重要参考事項となる。

最も一般的なタイプのパワー電子スイッチの場合、典型なポンプ式液体冷却剤を必要とする高出
力回路用の大形冷却負荷のように典型的なオン状態損失は、送信電力の0.25~0.50%であり、こ
れは多くの用途で容認できないほど大きい。能動冷却の必要性は、コストと環境への影響を増大
させ、スイッチの信頼性を低下させる。

ABB社は、パワーエレクトロニクスおよびメカニカルスイッチのハイブリッドである純粋なパワ
ーエレクトロニックサーキットブレーカよりも低いオン状態損失を維持しながら、回路ブレーカ
を含むDCスイッチの動作を高速化する別の方法の主な開発企業であるが、このハイブリッド法で
は、少なくとも2つのパワー電子スイッチと高速メカニカルスイッチが組み合わされ、第1のパ
ワーエレクトロニクススイッチは、高耐圧(ただし、オン状態の損失が大きい)の第2のパワー
電子スイッチを介して電流を第2の経路に転流する低損失、低電圧耐圧スイッチで構成されてい
る。

この第2電力電子スイッチは、IGBTトランジスタのスタック、ゲートターンオフ(GTO)サイリ
スタのスタック、または電流を遮断することができる様々な種類のチューブで構成でき、第2電
力電子スイッチを電子的にオフにする前に、低電圧耐圧の第1の電子スイッチが、直列接続され
た機械的スイッチにより、生じる電圧サージから保護しなければならず、第2高電圧能力遮断ス
イッチは、機械的スイッチの可動電極の最小分離に達するまで回路をはアークの再点弧を防止す
る。

この直列接続のメカニカルスイッチは、スイッチの中で最も遅いコンポーネントで、高速化によ
りハイブリッドスイッチを高速化する。現在使用されているトムソンコイル 電磁誘導金属環高
速メカニカルスイッチは、電磁石の反発またはトムソン(Thompson)コイルによるコンデンサ放
電(誘導磁気反発)により磁気的に加速される電極を有し、電極は真空中または六フッ化硫黄ガ
ス気体混合物中で分離する。



中電圧DC(MVDC)用のハイブリッドブレーカでは、前記第1低電圧耐圧スイッチは望ましくは
IGCT(集積ゲート整流サイリスタ)である。 前記第1の低電圧耐圧スイッチは、望ましくは、
IGBTアレイに電流を整流する単段IGBTであり、直列接続された多数のIGBTを有し、各IGBTは金属
酸化物バリスタ(例えば、 MOV)。

第2高電圧能力遮断スイッチは、直列接続されたIGBTトランジスタアレイ、ゲートターンオフサ
イリスタ(GTO)のスタック、冷陰極真空管、または電力の流れを遮断することができる同様の
電力電子スイッチを含み、接続された電極の機械的応答に、トムソン・コイル作動式機械的スイ
ッチが約100マイクロ秒の応答遅延時間であることが報告されている。

ハイブリッドスイッチが回路遮断器でもある場合には、電流によって生成された磁場に蓄積され
た誘導エネルギーを吸収するために、半導体遮断装置またはコンデンサバンクなどのエネルギ
ー吸収スナバもなければならない。上述のハイブリッドブレーカは、100メガジュールを超える
ことができるHVDC回路内の蓄積された誘導エネルギーの大部分が、回路遮断器の動作中に半導
体ブロックデバイスによって吸収される例である。

以上、大規模蓄電池技術の実用性を確認、まだ、Innolith社の保有技術の詳細は明らかにできなか
ったが、同社が言うように実用性が実証されれば、「再生可能エネルギー100%社会」は現実となる。
これは愉快である。
  

【社会政策トレッキング:バラマキは正しい経済政策である 17】    

 Yutaka Hrada, Wikipedea 
第3章 ベーシック・インカムは実現できるのか
第2節 代替財源と考えられるもの
地方交付税交付金等は、地方への補助金であって、17・1兆円であるが、その多くが使途を変
えることが難しいものであり、かつ、民生費などすでに説明した他の予算項目として計上
されて
いるものなので大きく削減することはできない。しかし、足りない分を支給するという
地方交付
税の制度が、無駄な支出や地方の民間の人件費とかけ離れた公務員人件費を誘発して
いる可能性
もある。うち、五%余の一兆円程度は削減可能であろう。

以上から、公共事業予算5兆円、中小企業対策費1兆円、農林水産業費1兆円、民生費のうち福
祉費六兆円、生活保護費1・9兆円、地方交付税交付金1兆円、合計15・9兆円が削除
可能な
政府支出となる。これに削除可能な社会保障関係費19・9兆円を百計したものは35
・8兆円
となる。これによってBIの導入で赤字になる32・9兆円を上回る代替財源が存
在するとみな
すことができる。


なお、BIは20歳未満人口にも給付するので、これは奨学金に代替できる。ただし、奨学
金の
貸与額は1兆円、利子補給、返済しないものへの穴埋め、事務費などは1000億円のレ
ベルと
考えられるので(文部利学省高等教育局学生・留学生課「〔独〕日本学生支援機構JASSO
〕奨
金貸与事業の概要」2012年6月)BIの実現性を議論する際にはマージナルな意味しかない。

 さらに重要なのは、成長によって所得が増え、税収が増えることである。2014年度の雇用者
報酬と混合所得の合計は、2012年度に比べて3%程度は増加するだろう。これにとも
ない税
収も3%増加し、77・3兆円から79・6兆円に、すなわち2・3兆円増大している
だろう。
BIのために生まれる財政赤字額はすでに2・3兆円減少しているのである。

第3節 貧しい人々の人数とBIの水準
BI政策、あるいはより広く、所得再分配政策を行い、それらの政策が所得階層ごとにどの
よう
な効果をもたらすかを知るためには、所得階級ごとにどれだけの人がいるのか、特に、所
得の低
い階級で、どれくらいの人がいるのかを知ることがまず必要である。しかし、日本のデ
ータは極
めて心もとない状況にある。

所得の低い階級に重点を置いて調査している統計として、厚生労働省の「国民生活基礎調査」か
おる(2013年版の「国民生活基礎調査」があるが、これには「世帯数、世帯人員、
所得金額
階級別」のデータがないので、2013年版を用いている)。「国民生活基礎調査」で
の所得調
査は、7323のサンプルを調査しているが、日本全体の所得階級ごとの世帯数、世
帯人数は発
表していない。「全国消費実態調査」は、5万~6万世帯の調査から2人以上および
単身世帯の
世帯数001万という母集団を推計している。この世帯数と、「国民生活基礎調
査」の所得階級、
世帯人数階級の分布比率を用いて所得階級、世帯人数階級ごとの世帯数を計
算した。このように
推計すると日本の人口が1億3092万人となるので、さらに日本の人口1
度2751万500
0人により平均世帯人員を調整した。日本には十分な統計がなく、それ
ゆえ得られる結果は暫定
的ないしは試論的なものにしかならないということである。それでも、このような試算を積み重
ねていくことがBIの実現に資すると私は信じている。結果は、表3-2のようになる。


出所:厚生労働省「平成24年一国民生活基礎調査」,総務省「平成21年全国消費実態調査」(2
人以上および単身世帯).

註:「全国消費実態調査」の世帯数を「国民生活基礎調査」の所得階 級ごとの世帯分布比率を
掛けて計算.この結果から人口を推計する
 と1億3092万人となるので,2012年の人口1億2751
.5万人により,
世帯当たり人数を補正.1人当たり所得は所得階級の中間の値を世 帯当たり平
均人数で割ったもの、50万円未満の中間値は25万円,
2収拾万円以上の中間値は2a狛万円とした.
「平成24年国民生活基
 礎調査」では、福島県を調査していない.

表に見るように、所得が年50万円未満は48万世帯、50万円から100万円未満は295万
世帯、100万円から150万円未満は320万世帯ある。所得階級別の平均所得を、所得階級
50万円未満の世帯は平均25万円、所得50万から100万円未満の世帯は平均75万円、所
得100万円から150万円未満は平均125万円とすると、50万から100万円未満の世帯
の一人当たり平均所得は年53・2万円、100万円から150万円未満の世帯の一人当たり平
均所得は年76・3万円である。世帯当たりの人数から、一人当たり所得平均23・2
万円の人
は51万人、一人当たり所得平均52・2万円の人は416万人、一人当たり所得平均76・3
万円の人は523万人いる。この523万人のうちの最上位の人は世帯所得が150万円である
から、一人当たりは88・2万円(=150÷平均世帯人員1・6人)である。前述のように、
ここではBIの水準を年八四万円としているので、これ以上の所得階級
の人はBI以上の所得がすでにあることになる。そこで、BI未満(正確に言うと88・2万円
未満)の人数は世帯収入150万円未満までの所得階級の人の人数を足して990万人(=51
万+416万+523万)いることになる。

             原田 泰著 『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか』 

                                                       この項つづく

  ● 今夜の一曲

B`z  "Champ“

 

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最新ニッケル水素電池技術

2018年10月14日 | 環境工学システム論

  


                                              

第46章 足るを知る
「道」にのっとる政治が行なわれるなら、天下は安らかに治まり、軍馬も帰って耕作に従事する。
だが、いったん「道」が失われ、世が乱れると、役馬も畑から徴発されて軍馬となる。かくも大き
な災厄が起こるのは、なぜであるか。かくも大きな罪悪が横行するのは、なぜであるか。
足るを知らぬ心と、飽くなき欲望とが、その原因にほかならない。
足るを知るとは、何かを得てそれに満足することではない。あるがままの現実に、つねに満足する
ことなのである。

第47章 居ながらにして天下を知る
「道」を体得したなら、外に出ずとも、おのずと天下の動静が判り、外を見ずとも、おのずと天体
運行が判る。
ところが、知識を外に求めて、駆けずり廻れば剋るほど、ますます知識はあやふやになる。
だから「道」を体得した聖人は、外物に頼らずに物事を理解し、感覚に訴えずに物事を識別し、知
ろうと努めず無為を守って知のはたらきを完全にする。

第48章 無為と作為
知識を万能とする考えを、学問に志す者は日々に強めて行く。だが、「道」にのっとる者は日々に
弱めて行く。弱め弱めた窮極に、無為の境地がひらけてくる。無為の境地に到達すれば、そのはた
らきは自在である。
無為であってこそ、人民の心を掌握して、天下を治めることができるのだ。作為によって天下を治
めようとしても、それは不可能である。

 

※ インドに始まった禅を6世紀の前半に中国へ伝えて発展させた達磨の禅宗と老子がオーバーラ
ップ、禅宗は、
全ての人間には内面に仏性があり、それを再発見するためには座禅の修行を行い、
仏教における心理を体験をもって知るとされているが、上/左図の老子の再評価を上/右図の達磨
が行ったと理解するのが自然だろう。

    

【社会政策トレッキング:バラマキは正しい経済政策である 16】   

 Yutaka Hrada, Wikipedea 

第3章 ベーシック・インカムは実現できるのか
はじめに 
本章では、ベーシック・インカム(BI、基礎的所得)に賛成するにせよ、反対するにせよ、直接
給付するだけのお金が現在の日本にあるのかを問うことにしよう。まず、この疑問に
答えたい。
日本は、これまで無理やり仕事を作ることで人々の生活を守ろうとしてきた。公共事業、農業保護、
中小企業保護などの政策である。もちろん、生活保護のように、直接、生存権を守る
という政策も
ある。これらの政策にいくら使っているだろうか。これらの予算を、人々への直
接給付にしたら、
どれだけのことができるだろうか(以下の数字は断らなければ原則として2012
年のものである。

この年度が、主要なデータが公表されている晨新年であるからだ)。
 また、本書で考えているBI
は、すべての社会保障政策に代替するものである。したがっ
て、基礎年金のために用いている予算
、失業保険のために用いている予算もBIに代替でき
る。医療保険制度に多くの問題はあるが、こ
れについて論じると別の書物を必要とすることに
なるので、省略する。なお、厚生年金の報酬比例
年金部分は人々の基本的な生活を保障するも
のではないので、年金数理的に正しい私的年金制度(
政府の大幅な関与を否定しているわけで
はない)に置き換えることが望ましい。年金数理的に正し
いとは、高齢者は、自分の払い込ん
だ年金保険料に正当な金利を付けた額を、退職後に受け取ると
いう制度である。これについて
解説することも、また別の書物を必要とすることになるので省略す
る。医療、介護、厚生年金
について関心のある方は、例えば鈴木亘『だまされないための年金・医
療・介護入門-社会
保障改革の正しい見方・考え方』(東洋経済新報社、2009年)を見ていた
だきたい。ここで対象とするのは、基礎年金と失業保険である。ただし、医療保険制度は、現行の
制度を前提として考慮している。本章では、BIの財政的可能性とそれに付随する問題について考
える。



第1節 BIは給付と税が一体の制度である
BIはすべての人に基礎的な所得を配付するものであるから、一見すると実現不可能な額の予算が
必要になると誤解されている。例えば、二十歳以上人口の1億492万人に月七万円(年84万円)、
二十歳未満人口の2260万人に月3万円(年36万円)ずつ給付すると、年に96・3兆円の予
算が必要になる。日本の一般会計予算は、百兆円程度であるから、どうして百兆超円近い予算を新
たに支出できるのかという疑問が生じるだろう(月7万円または3万円という金額の妥当性
につい
ては後述する)。しかし、BIは所得控除の代わりになる
ものでもある。所得控除をやめてBIに
置き換え、同時に所得に課税するものである。ちなみ
に、雇用者報酬と自営業者の混合所得を合わ
せると、257・5兆円であるので、これに30
%の税率で課税すれば、77・3兆円の税収を得
る。


BIを給付したうえで所得に30%で課税するという制度は、BIの、すべての人に(特に
貧しい
人に)基礎的な所得を与えるという趣旨から当然であるが、低所得者にとっては有利と
なる。また、
私は、現行の制度を前提に大きな変化をもたらさないという考え方から、中所得
者にとってはあま
り変わりがないというBIの制度を提案している。
ちなみに給与年収600万円の人(未婚、子ど
もなし)にとって、現行の税制では税20万
円程度、社会保険料90万円程度の負担となるが、本
書でのBIの下での純BI給付額(課税
額-BI給付額)は「600万円×0・317万円×回1
か月=180万円-84万円=96万円」となってほぼ同じである。さらに、便宜のためにあらゆ
る所得階層に一律30%の所得税という、高所得者にとって現行の制度より有利な所得税という制
度で説明するが、現行の累進課税に近い制度を考えることもできる。制度の細かい設計については
後述することにして、ここでは、財政的に可能なのかという疑問に答えるだけにしたい。

財政的に考えると、9613兆円から7713兆円を差し引いた19兆円、これに現行の所得税収
入13・9兆円を足した32・9兆円がBIを実現するために必要な予算額となる。これでも莫大
と思われるだろうが、BIは、基礎年金を含む多くの社会保障支出に代替するものである。問題は
32・9兆円の代替財源があるかということである。もちろん、国民のを直接保障する以外の予算、
具体的には教育、警察・消防、防衛費などはそのままにしている。
これらの支出に無駄がないわけではないだろうが、国民の基礎的所得を保障するために使われてい
る予算のうちから代替財源を考える。ここで代替財源を検討する目的は、BIが国民の生活を直接
保障するうえで効率的であることを示すためである。

第2節 代替財源と考えられるもの
表3‐IはBIの代替財源と考えられる現行の政府支出を整理したものである。現在、政府は老齢
基礎年金に16・6兆円、子ども手当に1・8兆円、雇用保険に1・5兆円、合わせて19
・9兆
円支出している。これらはBIの導入によって廃止できるものなので1919兆円
がまず代替財源
となる。政府の一般会計予算のなかの、生活保護負担金はもちろんであるが、公共事業関係費、中
小企業対策費、農林水産省予算、地方交付税交付金のうちにも、所得を維持するための予算と考え
られるものがある。ただし、政府の一般会計予算は、これらの支出のうちの一部にすぎず、特別会
計や地方の予算と相まって総額がわかるものが多い。

公共事業予算は一般会計では513兆円だが、特別会計、地方を通じたものなどをすべて合わせた
国民経済計算ベースでの公的資本形成は21・0兆円である。先進国の公共事業費(公的資本形成
)の対GDP比率が3%程度であることを考えて(財務省「日本の財政関係資料平成24年9月」
65頁)、日本のGDP約500兆円の3%、15兆円が本来必要な公共事業費であろう。すると、
五兆円程度は支出を削減することができるだろう。

中小企業対策費は0・3兆円にすぎないが、中小企業対策が中心の地方自治体の商工費は六15兆
円である。このうちの5兆円以上が中小企業への貸付費である。中小企業対策として通常の金利よ
り低く貸し付けている金利差、結果として返済不能になる部分が、中小企業への補助金となる。こ
れは、無理やり雇用と所得を維持するためのものと考えられ、この一部はBIに代替できる。全国
の信用保証協会が、元利を返済できなかった中小企業に代わって銀行に代理返済している金額が
0・8円ある。したがって、1兆円以上は、代替財源になると考えることができるだろう。
農業予算は222兆円だが、地方自治体での農林水産業費は312兆円である。農林水産省予算の
多くは地方への補助金となっているので、日本全体での農業予算が312兆円と見てもあまり間違
ってはいないだろう。このなかには、無理やり所得を維持するためのものがある。
ここでも1兆円程度を削減することが可能である。
地方自治体での民生費の多くが福祉費であり、
生活保護費3・8兆円を除いた福祉費(社会+
老人+児童)18・4兆円の3分の1、6兆円程度
が削除できるだろう。生活保護費の半分
が医療費であるので(財務省前掲資料、56頁)、ここか
ら削除できる金額は1・8兆円である。
 

               原田 泰著 『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか』

                                     この項つづく



 ”Anytime, anywhere ¥1/kWh  Era” 
【エネルギー通貨制時代Ⅲ】 

 Oct.12, 2018

●米国自治体で進行する再生可能エネルギー百パーセント義務化

10月13日、ワシントンDC 100%の再生可能エネルギー法案が太陽光を超充電できる法案は、国が
まだ認可しているよりも積極的な再生可能エネルギー目標を設定し、都市を太陽光発電に移行する
ために、DC評議会を審議中であると、米国のpv magazine International社と報じている。

それによると、トランプ政権が石炭のイデオローグを権力の位置に置くように、
米国の地方政府と
自治体では、現在までのどの州よりも野心的な再生可能エネルギー法案を準備しており、先週
火曜
日、ワシントンD.C.市議会は、2032年までに再生可能エネルギーにすべて切り替えるための電
力会社への義務化法案の第1回目の公聴会を開催。このような
動きは、その日までに現行のユーテ
ィリティー要件を2倍にする見積もられている。
今のところ、米国で最も野心的な再生可能ポートフォリオ基準(RPS)政策はハワイ州で、45年
までに100%再生可能電力化を要求。また、
カリフォルニア州は45年までに100%ゼロ・カ
ーボン資源の義務化目標を持っており、これには多様な技術も含まれる可能性がある。
ところで、
D.C.法案は、電力会社が最低7年間継続する電力契約を結ぶ施設から法案要件を満たす
再生可能エネルギークレジットの70%が要求されている。

   Mar. 2, 2018

※ B22-0904 - CleanEnergy DC Omnibus Amendment Act of 2018

☑ スーパーチャージ太陽光発電所
法案B22-0904(全文)は再生可能エネルギーの野心的な義務を設定するだけでなく、2032
までに電力から少なくとも5%の電力を調達することを指定する。提案された法律には、次の式

従って、任意の年に"caere-out”を超えた場合――
その年に達成された太陽エネルギーが太陽エネル
ギー基準を超える場合は、その年の太陽エネルギー基準が1を加算しその年の太陽光発電基準と実
際の太陽エネルギーの割合と、その年に達成された太陽エネルギー標準に、翌年の太陽エネルギー
基準を掛ける――規格増加する興味深い詳細が含まれる。但し、太陽エネルギー基準は、総設置容
量1.68ギガワットに相当するパーセントを超えてはならない。

米国エネルギー省のデータによると、ワシントンD.C.は、昨年の太陽光から52ギガワットアワー
の電力( 地区の需要の0.5%以下)を発電 。
 この法案は、来年末までに3倍、32年には10
倍の太陽光を必要とする。
人口密度の高い地区が現在、ほとんどすべての電力を国境外から調達で、
再生可能世代の産業基盤はすべてワシントンD.C自体で建設されない。

 15年ぶりの出来事
しかし、この段階では、調達は次のようなルールに縛られる。「2033年に始まり、毎年の太陽
エネルギー基準は、達成された太陽エネルギーの実際の割合2年前の年では、過去2年間に追加さ
れた太陽エネルギー容量の平均増加率に1を掛けたものを掛ける。太陽エネルギー基準は1.68
ギガワットに相当する割合を超えてはならない」。
シントンD.C.は、最後のカウントで53メガワットの発電量を保有していた。15%の容量係数
を仮定すると、1.68ギガワットの上限に達すると、年間発電量は約2.2テラワットアワーとな
る。これは地区の現在の年間需要の約20%に該当。
B22-0904は、最終票の前に2つの委員会(「輸送と環境に関する委員会」と「ビジネス経済開発委
員会」)を通過する必要がある。
B22-0904は、メンデルソン議会議長を含む13人の議員のうちの5人により導入されたばかりでな
く、3人以上の協議メンバーの協力を得て、大多数が支持を表明しており法案通過は手堅い状況下
にあるという。


Figure 2. Average cradle-to-gate life (Ectg) per watt hour basis with one standard deviation for NiMH,
lead-acid (PbA), Ni-Cd, Na/S, and Li–ion batteries.5

●蓄電池篇:最新ニッケル水素電池技術

☑ Innolith社 年間60ギガワット時の循環貯蔵量150%向上蓄電池を市場投入
先回のつづき――Innolith社は、革新的電力網/産業向け蓄電池技術を公表。これにより、従来バッ
テリに比べ、寿命スループットが2倍以上に向上。 Innolith GridBank  システムで使用される新し
い蓄電池技術は、5万回のライフサイクル(= 60GWh  超エネルギー出力を保持、電力網用蓄電池
の使用コストを劇的な削減を実現。 性能の飛躍的向上は、従来のLiイオン電池と比較して Innolith
電池のサイクル当たりのコストが3分の1から10分の1になる。この蓄電池を配置することで再
生可能エネルギー回収し、電力の周波数規制に安定供給できる。蓄電池の循環容量の向上は、消費
電力増加と蓄電池の劣化逓減を実現。同社はスイスのバーゼルに本拠を置くエネルギー技術企業で
あり、高出力、長寿命で安全な蓄電池を供給する無機蓄電池技術事業のパイオニア、またドイツの
Bruchsalにある研究室で一次研究を行い、その技術はすでに周波数調整に米国のPJMネットワークに
導入している―――で、特許事例を検索し関連事例(事案)を掲載。

US20160049689A1
Rechargeable electrochemical battery cell
:充電式電気化学電池セル
【要約】
正極、負極、および導電性塩を含む電解質を有する再充電可能なリチウム電池セルであって、電解
質はSO 2を含み、正極は前記組成物 LixM'yM''z(ここで、 M 'は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuおよ
Znからなる群から選択される少なくとも1
種の金属であり、'M 'は、ⅢI族、Ⅳ族、Ⅴ族、Ⅵ族、
IB族、ⅡB、ⅢB族、IVB族、VB族、VIB族およびVB族の金属からなる群から選択され、Xは元
P,
SiおよびS xは0より大きく、yは0より大きく、zは0以上であり、aは0より大きく、bは0以上で
ある。

 【特許請求範囲】

    1. ハウジングと、正極と、負極と、電解質と、を含み、前記電解質は、SO2と導電性塩とを含み、50重量%未満の有機材料を含む、充電式リチウムイオン電池セル。正極は、単位面積当たりの活物質の量が少なくとも30mq / cm 2であり、正極は式Li x M 'y(XO 4)a F b(I)の化合物を含み、この化合物は任意にドープされ、ここでM'はTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnからなる群から選択される少なくとも1種の金属であり、Xは元素P、SiおよびSからなる群から選択され、xは0より大きいyは0より大きく、aは0より大きく、bは0以上であり、化合物中の正の電荷の合計は負の電荷の合計に等しい。
    2. 電池セルであって、ハウジングと、正極と、負極と、電解質と、前記正電極は、任意にドープされたLiFePO 4を含み、電解質はSO 2と導電性塩とを含み、正極は、第1および第2の表面を有し、その間に位置する厚さを有する多孔質金属を含む第1の部分を有する電流コレクタをさらに含み、厚さ方向に延びる前記化合物を含む複数の細孔を含み、細孔は電解質に接近可能な空隙を有し、前記電池セルが充電式リチウムイオン電池セルであることを特徴とする方法
    3. 電池セルであって、ハウジングと、正極と、負極と、電解質と、前記正電極が任意にドープされたLiFePO 4を含み、前記電解質がSO 2および導電性塩を含み、前記SO 2が前記電解質の重量の40重量%を超える量で存在し、前記電池セルが充電式リチウムイオン電池セルであることを特徴とする方法。
    4. 前記第1の100サイクルの充放電後、次の250サイクルにわたって前記セル放電容量が25%以上減少しないことを特徴とする請求項1に記載の電池セル。 電流が0.1Cに達するまで3.6Vの電位を一定に保ち、その時点で充電が停止され、約10分の遅延の後に、セルは電流で放電される 0.5Cとし、セル電位が2.5Vに達すると放電を停止し、放電停止後約60分後に次のサイクルで(1)、(2)を繰り返し、充放電 約20℃および約1バール(周囲)の圧力でサイクルを行う。
    5. 前記複数の細孔は、導電剤、結着剤及びハロゲン化リチウムのうちの少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の電池セル。
    6. 前記細孔の少なくともいくつかが前記厚さ全体にわたって延在する、請求項2に記載の電池セル。
    7. 前記集電器は、前記第1の部分と導電接触する第2の部分をさらに備え、前記第2の部分は、コネクタを含む、請求項2に記載の電池セル。
    8. 前記正電極は、少なくとも0.25mmの厚さを有する、請求項1に記載の電池セル。
    9. 前記正極の厚さは、0.25mm~1.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の電池セル。前記正極が、30mg / cm 2?180mg / cm 2の単位面積当たりの活物質の量を含む、請求項1に記載の電池セル。
    10. 前記正極が、30mg / cm 2?180mg / cm 2の単位面積当たりの活物質の量を含む、請求項1に記載の電池セル。
    11. 前記正極が10重量%以下のバインダーを含むことを特徴とする請求項8に記載の電池セル。 %の活物質を含む。
    12. 前記正極は、多孔質であり、50%以下の気孔率を有する、請求項1に記載の電池セル。
    13. 前記負極の厚さは0.2mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
    14. 前記負極の厚さが0.2mm以上0.8mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
    15. 前記負極は、リチウムイオンを挿入するための炭素を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
    16. 前記負極は、単位面積当たりの活物質量が10mg / cm 2以上であることを特徴とする請求項1に記載の電池セル
    17. 前記負極が、10mg / cm 2?100mg / cm 2の単位面積当たりの活物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池セル
    18. 前記負極が多孔質であり、その気孔率が50%以下である、請求項1に記載の電池セル。
    19. 前記負極が、多孔質の金属部分とその中に含まれる結合剤とを含み、前記結合剤が5重量%以下である、請求項1に記載の電池セル。負極の多孔質金属部分の重量の%である。
    20. 前記電池の放電容量は、100回目と350回目の充放電サイクルの間に25%以上低下しないことを特徴とする請求項1に記載の電池。

※ここではリチウムイオン電池を意識したハイブリッド型として提案されている。紙面が尽きたの
でこの続きは後日掲載。それにしても、大変興味ある資料探しなのだが、頭はぱんぱん、目は疲れ
切り悲鳴を上げている。
                                      この項つづく

  ● 今夜の一曲
乃木坂46 『ジコチューで行こう!』

 

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エネルギー通貨制時代Ⅱ

2018年10月11日 | デジタル革命渦論

  


                                              

第44章 欲がすぎれば損をする
地位と生命とは、どちらが大切か。財産と生命とは、どちらがありがたいか。得ると失うとは、ど
ちらが苦しいか。
欲がすぎれば、てひどい損をする。蓄えすぎれば、大きく失う。控え目にしていれば、恥を受ける
ことはない。限度を心得ていれば、危険はない。身はいつまでも安泰だ。

第45章 真の雄弁は訥弁に聞こえる
地位と生命とは、どちらが大切か。財産と生命とは、どちらがありがたいか。得ると失うとは、ど
真に完成したものは、一見あなだらけだが、そのはたらきは自在である。真に充実したものは、一
見うつろだが、そのはたらきは無限である。
真にまっすぐなものは、曲がって見える。真に巧妙なものは、稚拙に見える。真の雄弁は、訥弁に
聞こえる。すべて真なるものは、作為を捨てて自然のままであるから、かえって真実らしくは見え
ないものだ。
活動が極まると、寒い休息の季節が来る。休息が極まると、熟い活動の季節が来る。動と静とを超
えた無為を守り自然に従うこと、それが天下の規範である。
 

 Oct.10, 2018

● 電気自動車18年Q3も世界再エネ投資続伸!

        

【社会政策トレッキング:バラマキは正しい経済政策である 15】   

  Oct. 6, 2018

 Sep. 18, 2018
Ontario, Canada: Reactions to Ontario Basic Income Pilot Cancelation

10月7日、"NHKドキュメンタリー - NHKスペシャル マネー・ワールド~資本主義の未来~
(2)仕事がなくなる!?」でベーシック・インカム制度のことが取り上げていた。
爆笑問題が出
演する経済エンターテインメントシリーズの第2回は、AIやロボットが私たちの懐に与える衝撃
――
人間の仕事をAIやロボットが担うようになり、私たちは富を生み出せなくなるという時代が
目前に迫ってい
る。AIロボットが幅を利かせる近い未来、私たち人間はどのようにして生きてい
けばよいのか、知恵を絞
る。孫正義ソフトバンクグループ社長と、新井紀子国立情報学研究所教授
が参加し討論に加わるというもので、カナダでのベーシック・インカムの実証実験を取り上げてい
る(Basic Income Experiment Killed in Ontario, Canada, Igniting Complaints, Fortune, Aug. 5, 2018)。

  Possibilities for Our Grandchildren 1930

 Yutaka Hrada, Wikipedea 

第2章 ベーシック・インカムの思想と対立軸
第18節 貧困とパターナリズム 
パターナリズム(家父長主義)とはパレンス・パトリエとは異なる概念である。パターナリズムと
は、他人に迷惑をかけるわけでもない大人の行為を、政府または社会が、そのようなことをするべ
きではないと禁じ、その本人にとって本当によいことは、その本人よりも政府が知っていると考え
ることである

もちろん、他人に迷惑をかける行為かどうかには微妙な判定が必要な場合がある。しかし、ここで
は貧困との関係についてのみ考えよう。貧しいことはお金のないことであるが、確かに、お金のな
いような状況をつくる個人の生活の問題でもある。であるなら、政府は、この個人を指導して正し
い生活をして正しく働くように指導すべきなのだろうか

人間には自己決定権という自由があると考えると、自由には、自ら愚かなことをする権利、「愚行
」も認められるべきなのだろうか。私は、自由を認める限り、愚行権も認めるしかないと考える。
なぜなら、何か他人にとって正しい行為なのか、それを他人が決める権利も知識もからである。
実際に、愚行にしか思えない行為が、人類に素晴らしいことをなした歴史がある。ゴッホ(185
3~90)が牧師になるという志を捨てて、自らの耳を切り落とすような状況に追い込まれたのは
愚かなことだったのだろうか。また、ゴーギャン(1848八~1903)が株式仲買人の仕事を
捨てて南の島に逃避したことは愚かなことだったのだろうか。これについては、また「第3章ベー
シック・インカムは実現できるか」で考えるとして、ここでは、より具体的に、貧しい人への生活
指導がうまくいっているのだろうかと問うてみたい

生活習慣を改めさせ、教育、技能訓練を受けさせて、職業を紹介し、労働させ、収入を得させる。
それによって貧困から脱却でき、生活が保障されるという考え方がある。しかし、どうやって生活
習慣を改めさせることができるのだろうか。

そもそも、教育、技能訓練がうまくいっていない。政策研究大学院大学の黒海昌子教授による、東
京都立技術専門学校の修了生を対象にした分析によると、男性の燭台、職業訓練は年収を減らすと
いう結果が得られている。科目ごとの違いを考慮しても、経理事務以外の事務系を除くすべての科
目群で月収が低下する効果が見られたという。ただし、女性においては、全般的に訓練が収入を高
める効果が観察されたという。訓練期間については、中高年の男性以外については、6か月の訓練
よりも一年以上の訓練を受けることで、訓練後のフルタイムの仕事に就く確率が高まるという。

しかし、これは、中高年の男性については長く訓練を受けろとフルタイムの仕事に就く確率が下が
るということである。また、若年層全般においては長期の訓練が収入を減らす効果かおるという(
黒海昌子「公共職業訓練の収入への効果」、『労働研究雑誌』第514号、2003年5月)。
おそらく、訓練の効果はほとんどないが、長く訓練しているということは、長い間仕事を見出すこ
とができなかったことを示すので、収入の高い仕事に就けなかった、あるいは、諦めて低い収入の
仕事に就いたということを意味するのであろう。



Flashpoint - Refund Fraud and Fake Receipts Proliferate on the Deep & Dark Web  Mar. 7, 2018

第19節 ケースワーカーの不正関与
生活習慣を改めさせるのはケースワーカーの仕事であろう。しかし、近年明らかになっている生活
保護費不正受給事件で、ケースワーカーが関与している燭台がある。福岡県中間市では、虚偽の生
活保護申請書類を作成し、計3回3万円を不正受給したという。申請書類を作成したのは、市職員
でケースワーカーである(「中間市の2職員、詐欺容疑再逮捕、生活保護費不正事件」、一読売新
聞』西部版、2013年5月23日夕刊)。生活保護受給者に介護サービスを実施したと偽って介
護報酬を不正受給した事件もある(「「生活保護者介護」偽り詐欺」、『読売新聞』大阪版、20
13年6月19日夕刊)。

不正受給は全国で4万1909件あった。不正受給の金額は190億円にすぎないが、氷山の一角
である可能性もある。不正受給の47%が収入かおるのに申告していないケース、次は、年金を申
告しないケースで21%あるという(「生活保護不正190億円、過去最悪」、『読売新聞』20
14年3月4日)。年金も生活保護を支払うのも、厚生労働省の仕事である。その厚生労働省が、
年金と生活保護の二重取りをチックできないのだから、後のことは推して知るべしだろう。不正受
給の多くが、収入があるのに申告していないケースだというのは、現行の生活保護制度の欠陥を示
している。働けば生活保護費を減らされてしまうのでは、誰も働こうとしなくなる。あるいは、申
告しようとしなくなる。BIが導入されれば、働いて収入を得ることは賞賛されることになる。制
度は第3章で説明するが、あらゆる事業者が30%の税金を源泉徴収した後に労働者に所得を払う
のである。これは、こっそり働いていることを暴くよりは簡単である。



大阪市で、市の職員が受給者を尾行して、不正受給を暴いたという事例がある。増え続ける生活保
護費の不正受給対策のため、大阪市の橋下徹市長は2012年四月から、生活保護の「不正受給調
査専任チーム」を市内24区すべてに配置している。「区民から「生活保護を受けているAさんが
、スナックで働いているんじやないか?」といった情報提供」があると、警察OBと区職員が張り
込む。「調査は最低でも1カ月続け」確実な証拠を掴むという(「生活保護費不正受給の実態」、
『週刊プレイボーイ」2012年6月18日号)。そのために、人件費をいくら使ったか、少し考
えればバカらしいとわかることだ。もちろん、BIを導入しても、親戚の仕事を手伝ってこっそり
お金をもらい、税金を払わないというような行為を10%なくすことはできないが、現在でも、そ
んなことはできていない。

職業訓練でも不正は尽きない。失業者の生活費と職業訓練費を支援する国の事業で、栃木県の社団
法人が、出席していない受講者が出席していたことにして、国から職業訓練費を受け取
り、国の生
活費は受講者に渡していたことが2011年2月に明らかになった。受講者の多く
は、アルバイト
をして、生活費とアルバイトの二重取りをしていた。不正請求額は、290万
円になるという。チ
ェックする立場の独立行政法人も不正に気づかなかったという(「求職支援
で不正受給栃木で29
0万円教室・受講者山分け」、『朝日新聞」2011年2月21
)。さすがに、厚労省も、全国
の職業訓練事業を対象にした調査の検討も始めたというが
こ厚労相、全国調査指示求職支援の不正
受給」、『朝日新聞』2011年2月22日夕
刊)、その後結局どうなったのか、大きくは報道さ
れていない。

同じく、長期失業者に職業訓練を行う求職者支援制度で、国の民間訓練機関に指定されたソフトウ
ェア開発会社が、資格のない講師に訓練をさせて費用を受け取っていたという事件もあ
る(「無資
格講師、「審査はザル」)、『読売新聞』2013年8月25日)。これは講師の資格が不十分だ
ったということで不正だったわけだが、訓練が役に立ったかを考えれば、さらに効果は怪しい(黒
渾前掲論文参照)。

 生活保護の不正受給 Wikipedia

第20節 日本政府は必要な家父長の役割を果たしていない
パターナリズムが明らかに必要だという事例について、もう一つ考えてみよう。日本は魚を獲りす
ぎている。個々の漁師にとっては、少し多めに魚を獲っても魚全体の資源量は変わらない。しかし、
すべての漁師が大丈夫だろうと思って魚を獲れば、漁業資源は枯渇してしまう。
誰かが、漁獲量を最適なレベルに制限しなければならない

この誰かとは、当然、家父長たる政府である。ところが、日本は、最適な漁獲量管理ができないで
いる。最近話題になったのはウナギであるがクロマグロも危うい。ブリやサバも幼魚のうちに獲ら
れて、脂の乗らない魚が出荷されている。皮肉なことだが、福島沖では魚が増えている。2011
年の原発事故以降、漁ができないからである。つまり、漁獲量を制限すれば漁業資源が増えること
を示している。

これは共有地(コモンズ)の悲劇、または共有資源の悲劇と言われるものである。ただし、通常の
場合、共有地はそこに関わる人々によって管理され、共有地の悲劇は稀にしか起こらなかった。日
本の入会地で、薪や肥料となる落ち葉を得ることは制限されていた。ヨーロッパでも共有地に家畜
を放牧する回数は制限されていた(回数を決めることで、自然資源の回復がなされた)。この問題
は、ノーベル経済学賞を受賞した唯一の女性経済学者、エリノア・オストロム(2009年受賞)
が分析したことである(“Beyond Markets and States: Polycentric Gavemance of Complex Economic
Systems,” Nobel Prize Lecture, December 8, 2009,
http;//www.nobeIprize.org/nobeLprizes/economic‐
sciences/laureates/2009/ostrom_lectrom_lecture.pdf
)。

漁業資源の場合、沖合の魚であれば、地元の漁師が、禁漁期間を設ける、漁法を制限するなど、な
んらかの形で漁獲量を制限していた。しかし、魚は回遊するものであり、ある地域が制限しても他
の地域が獲ってしまえぼ漁獲量は減ってしまう。そこで、他人に獲られない前に獲ってしまえとい
う競争が起こりうる。漁業資源が減少すると、さらに略奪的な漁業をしかねなくなる。漁業資源が
永続するものであれば、それは子孫に渡さなくてはならない大事なものと認識されるが、減少すれ
ば、子どもたちは漁師になっても生活できないと考え、漁師を継がなくなる。すると、その親たち
にとっても、自分の代だけ漁業資源があればよいと考えてますます乱獲するようになる。


  NDC分類 612.1


このような状況に対処することこそ政府の役割であるが、政府はその役割を果たせていない(漁獲
資源の現状と、具体的にどう解決するかについては、八田達夫・高田眞『日本の農林水産業――成
長産業への戦略ビジョン』第6章、日本経済新聞出版社、2010年。「特集魚を獲りつくす日
本人」、『ウェッジ』2014年8月号、参照)。日本政府には、厳粛たる家父長の能力が事実と
して欠けている。社会保障政策でいえば、生活習慣を改めさせ、教育、技能訓練を受けさせて、職
業を紹介し、労働させ、収入を得させるという考えは、実際には機能していない。であるなら、政
府は家父長、あるいはパレンスーパトリエとしてその必要が明らかに認められうる場合にのみ、真
摯にそうあるように行動し、それ以外の領域からは手を引くべきである

第21節 BIの思想を整理する
ここでBIをめぐる思想を図2‐4で整理しておこう。図の唯軸は、BIを採用した場合の金額に
ついてのイメージを示している。左に行くほど金額が大きくなり、右に行くほど金額が小さくなる。
金額の多寡は、どれだけ所得再分配を認めるかでもある。縦軸は上に行くほど家父長む義に親和的
で、下に行くほど個人の自ピ決定権を座視し、家父長右義的な政策に反撥すイメージをより理解し
ていただくために、人名、または思想を書き込んである。このような簡単な座標軸で整理されるこ
とに、偉大な思想家たちには不満があることが予想できるが、これは一つの整理であると考えてご
寛恕いただけると思っている。

マルクス主義、社会主義、福祉官僚がより家父長主義的であることに説明は不要であろう。
真のマルクス主義はそのようなものではないという反論があるかもしれないが、現実に成立した社
会主義国家は、人々の行動をあれこれと指図する不愉快なものである。むしろ、家父長主義者に言
わせれば、盲六の家父長主義は社会の成員の本当の利益を図っているのだから、社会主義を家父長
主義というのは誤りだということになるだろう。



コミュニタリアニズムとは、共同体は、それ自身の価値観を持っているのであって、共同体の価値
観、勤労や家族の価値を否定するような形の福祉政策には反対するという立場である(小林正弥・
菊池理夫編著『コミュニタリアニズムのフロンティア』終章、勁草書房、2012年参照)。第3
章の「労働意欲を阻害するか」の項で説明するようにBIは勤労や家族の価値観でなく、共同体の
価値であると反論するであろうが。

価値を否定するものではまったくないが、コミュニタリアニズムは、ある価値を個人の自由の上に
置くという意味では家父長主義と言えるだろう。コミュニタリアンは、その価値は家父長の価値で
はなくて、共同体の価値であると反論するだろうが。BIをめぐる思想は、パターナリズムと所得
再分配政策に対する賛同または反対で整理できる。しかし、思想を現実に適応するには、現実の状
況をより深く知らなければできないことである。パターナリズムをめぐる現実については説明した。
次の第3章では、再分配できるお金がどれだけあるのか、BIは実行可能なのかという問題を論じ
る。
               原田 泰著 『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか』

                                      この項つづく



 Anytime, anywhere ¥1/kWh  Era” 

【エネルギー通貨制時代Ⅱ】 

 Oct. 10, 2018
 
●イリノス社、5万回の充電サイクルで非可燃電池の市場投入へ 
10月10日、Innolith AG(イリノスは、電池の寿命(5万回再生)を延ばし従来バッテリシステム
コストと競合できる非可燃性の全固体型ニッケル水素電池を市場投入することを公表。同社によれ
ば、
従来のリチウムイオン電池に比べて10倍も高い。また、現在、バッテリの容量相加にともな
う発熱/発火リスクの問題解決と取組中である。
また、従来の小型
バッテリーだけでなく、周波数
応答の電力網系蓄電池のコストは1サイクルあた
りのコストとして、1日あたり約2回再生での稼
働前提で、投資収益率(ROI)が標準投資実績を下回り、なおかつ
15年もの長寿命化できる。同社の
無機電解質は、1997年タイプの無機電解質技術だが、安全性が高く、不燃性で耐久性が高い。

この事例のように、最新のIPCC報告書を考慮すると、再生可能エネルギーをグリッドに活かすことが
できるものはすべて容認できる状況である(このままでは、日本だけが置き去りにされる)。
すべ
てが計画通り実現すれば、Innolith AGは20年までに大量生産に移行する。また
米国では、 オフシ
ョアの風力エネルギーは短期間でブレークスルーされると予想されており、なかでも次世代の技術
太陽光発電コストを引き続き押し下げていくだろう。

※ 関連特許
 7件

 

●道北で風力向け送電網、世界最大720MWhの蓄電池を併設 
10月4日、北海道北部風力送電(北海道稚内市)は北海道道北地区(稚内市、豊富町、幌延町、
天塩町、中川町)で風力発電を連系するための送電線網の工事を開始した。これは国の補助事業で
ある「風力発電のための送電網整備の実証事業」の一環で、風力発電の大量導入に向けた系統制約
の解消と安定的な電力供給を目指す。北海道の北部地域は国内でも風況が良く風力発電の適地だが、
送電網が脆弱なため風力資源を有効に活用できていないのが現状だ。そこで、2013年に経済産業省
が、道北地域を「特定風力集中整備地区」と指定し、送電網を整備する実証事業を企画した。その
事業者(補助事業者)を公募し、北海道北部風力送電の提案を採択。

尚、同社への出資者は、ユーラスエナジーホールディングス、エコ・パワー、稚内信用金庫、北海
道電力、北海道銀行、北洋銀行になる。
同実証事業では、稚内恵北開閉所・開源開閉所から北富豊
変電所を経由し、北海道電力の設備までの77.8キロメートルに域内送電網を整備し、技術的課
題の実証を行う。
送電線の仕様は、北富豊変電所から北海道設備間の70.2キロメートル187
kV ・2回線、稚内恵北・開源開閉所から北富豊変電所間の合計7.6キロメートルが66kV・2
回線。風力発電の総連系定格容量は約600メガワットとなる。

 Oct. 9, 2018

また、北富豊変電所には出力240MW・容量720MWhの蓄電池システムを導入。これは変電所に
併設する世界最大級の蓄電システム。風力発電の出力変動を緩和し、電力供給を安定化する。千代
田化工建設がEPC(設計・調達・施工)サービスを受注。制御システム、受変電設備、大型建屋を
一括元請けとして全体を取りまとめ、システム全体を最適化する。蓄電池には、GSユアサ製のリチ
ムイオン電池を採用する。
総事業費は約1千億円で、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、日本政策投
資銀行をアレンジャーとする金融機関の融資から調達。稼働開始は23年3月の予定。

今回の2つの事例(事案)のように、再生可能エネルギー政策をトランプ大統領などの反動政策で
なく着々と進めていけば、デジタル革命渦論(=第5次産業革命)を背景にわたし(たち)が構想
する『エネルギー通貨制時代』は遅くとも50年には実現しているだろう。これは愉快だ。
 

 ● 今夜の一曲

Kazumi Watanabe and Char  "Caravan"

 

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免疫力を問う

2018年10月10日 | 医療健康術

  


                                              

第42章 「陰を負いて陽を抱く」
根元たる「道」から一が生まれ、一から二が生まれ、二から三が生まれ、三から万物が生まれる。
万物は、
陰と、陽と、この両者を結びつける力とから或る。人はだれしも、「孤」「寡」「不穀」
を忌み婚う。しかるに君主
はそれを自己の呼び名とする。損は益に、益は損にと転化するのが、
現象界の法則だ。俗に、「力を諮る特
はろくな末路をたどらない」といわれている。遵守すべき
教えの第一条は、このことぱであろう。


道から一が生まれ……万物が生まれる〉「一、二、三」の解釈は、古米、まことに多種多様で
ある。一は「無」で、「無」と「無ということば」で二となり、一と二を加えて三となる(王弼)
とか、陽で一、陰で二、両者を結びつける和気で三となる(不惑順)とか、一は混沌未分の本体、
二は天と地、三は路と陽と和気(高亨)とか、ちょっとした知恵くらべの鶴がある。そのおのお
のに意昧づけを施すよりは、一二三と順を追って発展する段階的な宇宙生成説と取る方が、素直
な見方ではないだろうか。

第43章 「無有は無間に入る」
最も柔らかいものは、最も堅いものをも征服する。なぜかといえば、形のないものは、隙間のな
いところへも入りこむことができるからだ。これだけ見ても、無為のはたらきの大きさが判る。
ものいわぬ自然の教え、無為のはたらきの大きさ、これに勝るものは、天下にない

  Oct. 9, 2018

【均一なサブマイクロメートル球状粒子の大量合成法】
● ディスプレーや化粧品添加剤への応用が期待される結晶粒子
10月9日、産業技術総合研究所と株式会社コガネイと共同で、結晶性のサブマイクロメートル球
状粒子を高い生成率で合成技術を開発と公表。それによると、形状がふぞろいの原料粒子を分散さ
せた液体にパルスレーザー光を照射して結晶性サブマイクロメートル球状粒子を得る液中レーザー
溶融法は金属、酸化物、炭化物など幅広い材料に適用でき、この方法では粒子の生成率は10%以
下にとどまっていた。今回、原料分散液を液膜状に流し、分散液中の全ての原料粒子に効率よくパ
ルスレーザー光を照射できる液膜フロー式レーザー照射法を開発し、球状粒子の生成率を約90%
まで向上させた。
結晶性サブマイクロメートル球状粒子はディスプレーに用いるスペーサー、光学
材料、化粧品の添加剤などとして、機械的強度、光散乱といった機能向上のさまざまな応用が考え
られている。大量合成が可能になり、今後、プロトタイプの試作及び製品開発加速が期待されてい
る。

尚、今回開発した液膜フロー式レーザー照射法により、非晶性ホウ素、結晶性酸化銅、結晶性銀を
原料粒子として球状化を試みたところ、いずれの原料粒子でもサブマイクロメートル球状粒子が得
られた(図2)。ホウ素を除き、球状粒子がいずれも結晶性であることもエックス線回折法を用い
て確認できた。生成率は90%%前後で、いずれも1時間あたり200 mg近くの生成量であった(表1)。
従来のバッチ式レーザー照射では、生成率は7 %前後、1時間あたりの生成量は7 mgと見積もられ
液膜フロー式レーザー照射法では結晶性サブマイクロメートル球状粒子を高効率で合成できるとい
える。将来、半導体製造などで使用される高出力の産業用レーザーを用いれば、1台の装置で1日
50g の合成も可能になると考えられている。この技術はネオコンバーテックの有力な手法として
成長していいくだろう。

 No.19

【免疫力その場測定装置:長健康寿命福祉立国】
そういえば、吉田さん(守る会の環境計量士)も70代に入り経験したことがない身体不調の体験
談をし思い出す。今年の記録的な猛暑、豪雨、地震、台風もあって彼女もそうだが、身体の不調や
痛み、あるいは胃腸の不調が続き、加齢のによる免疫力低下の影響を感じている。もっとも免疫力
を自体の定義も測定方法も知らずに、なんとなく「免疫力」を使っていることもあり、それじゃ、
免疫力をアップし抵抗力をつけ疲労回復を図りたいと思い立ちネット検索。そして、下図のような
対応にまとめた。因みに、左上のアリナミンはガーリックのかわり、mぎは、酢納豆、しいたけの
酢漬け。シジミの味噌汁、宅トレ励行、いつも笑顔で、そして、入浴(ここでは掲載されていない)。




ネット上で、免疫力とは免疫とは体内で発生したガン細胞や外から侵入した細菌やウイルスなどを
常に監視し撃退する自己防衛システムのこと。 免疫の仕組みは実に精巧にできており、いくつも
の免疫細胞が協調しあって働いている。人間の身体の中では毎日、がん細胞などの異物(身体に害
をもたらす細胞)ができる。 では多くの人はなぜ、発病しないのでしょうか? それはさまざまな
免疫細胞が連動し、ガンを死滅させるために働いているからであり、もし、免疫というシステムが
体から無くなったとしたら、すぐ何らかの病気にかかってしまう。" 免疫システムは15歳までに
出来上がり20歳を超えると、免疫力は落ちると説かれている。

詳しくは、上図を参照していただくとして、とりあえず免疫力は、ナチュラルキラー細胞数の多寡
で評価することで、その場測定装置を開発し免疫力を見える化することで、国民的な福祉運動とし
て取り組み、弱った抵抗力を回復させ(免疫系の再生)、長健康寿命を図るという政策を考えた。



この構想は、「患者の免疫状態(ADCC活性)を測定する新手法を開発 様々な抗体薬の効果予測や臨床開
発への利用が期待」(国立がん研究センタ)上/下図を参考とした。因みに、「ADCC(抗体依存性細胞傷
害)
活性」とは、抗体薬の作用の一つのADCC活――エフェクター細胞と呼ばれる免疫細胞(末梢単核細胞
やナチュラルキラー(NK)細胞など)が重要な働きをし。がん患者の体内で増加する制御性T細胞(Regu-
latory T Cells;Treg
)や骨髄由来抑制細胞(Myeloid-derived Suppressor Cells;MDSC)と呼ばれる免疫抑制細胞
によりADCC活性が低下してしまうこともわかっている(下図1)。これらは、患者個々の免疫状態が抗体
薬の治療効果に影響を与えることを示している。




従来のADCC活性測定法は、標的がん細胞に放射線同位元素(Cr51)や緑色蛍光物質(カルセイン)を取
り込ませ、免疫細胞により死滅したがん細胞から放出される放射線同位元素や緑色蛍光物質を測定。
新た
に開発した測定方法では、あらかじめ標的がん細胞に緑色色素を取り込ませて、標的がん細胞(緑色色素
を取り込ませたもの)と免疫細胞(緑色色素取り込みなし)を区別できるようにするす。さらに、両細胞
について、それぞれ生きている細胞と死滅した細胞を区別できる色素 (Fixable Viability Dye;FVD)で標
識しフローサイトメーターを用いて測定することで、がん細胞と免疫細胞をそれぞれ別々に、生きている
細胞と死んだ細胞に細胞一個単位で区別する(下図2)。この手法により、従来の測定法に比べより情報
量が多く、より精細な測定を実現。実際に比較すると、新たな測定法では従来の測定法と比べて1/100
下の低濃度の抗体でADCC活性が測定可能であることがわかる(同図3)。概略/上滑りだが、免疫力を代
表する最適な目的因子を発見し、それを素早く、コンパクトにその
場で測定するシステムを発明/構築で
きれば面白い。、


※、免疫力アップに十分な睡眠が抜けていたので追加する。

       

【社会政策トレッキング:バラマキは正しい経済政策である 14】   

 Yutaka Hrada, Wikipedea 

第2章 ベーシック・インカムの思想と対立軸
第17節 報酬返還の実例
実際に本来利益を上げていない、あるいは不正に上げられた利益を返還させることが、ヨーロッパ
の銀行では実際に行われている。ウクライナ国立銀行ウクライナ銀行大学校・研究所のオルガ・ア
ファナシエヴァ研究員は以下のように書いている。

 欧州ではすでに多くの実例がある。2011年から13年にかけての英バークレイズ、英HSB
 C、英ロイズ、英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)、スイスのU
BSなど
 である。

 バークレイズではLIBOR(ロンドン銀行間金利)の不正行為などで、3億ポンド(約51
 0億円)の後払い報酬の返還、8・6億ポンド(約1462億円)の報奨金基金の
返還。HS
 BCでは3億ポンドの債券の違法販売で罰金を受けたことによる200万ポン
ド(約3匝40
 00万円)の後払い株式権の返還。ロイズでは支払い保証保険の違法販売
で115万ポンド(
 約1億9550万円)の後払い報酬の返還。RBSではLIBORの
不正行為で1億1200
 万ポンド(約190億4000万円)、UBSでもLIBORの不
正行為で6000万スイス
 フラン(約68億4000万円)の後払い報酬の返還という事例
がある。

 後払い報酬とは、利益を上げたことに対して、後から報酬を受ける権利のことである。
 これらの場合、この権利を剥奪されたことになる。現金を返還したわけではないが、本来もら
 えるはずだった報酬がもらえなくなるので、報酬返還の一つのかたちと考えてよいだろう。
 また、報酬返還の対象となったのは、バークレイズでは15人の現および前職員、HSBCでは
 前CEOとメキシコ部門の長、ロイズでは前CEOと12人の前取締役、RBSでは2人の専
 務取締役である。UBSでは、ボーナスが200万ドル(約2億400万円)以上の投資銀行
 部門の職員が対象となった。ここで前とい立肩書が出てくることからも分かるように、職を辞
 しても責任は追及される。

 ちなみに、米国がリーマン・ショック後に制定した不良資産救済プログラム(TARP)にも、
 報酬返還の規定があるが、実現はしていない。米国の経営者は報酬を返還するようなヘマはし
 な いということかもしれない。
 欧州の実例を見ると、後払い報酬の返還が多いので、報酬を後回しにするのとあまり違わない
 のではないかという議論がある。だから、経営者の報酬は、バブルが崩壊して利益または損失
 が確定してから払うべきだという議論もある。例えば、すべてのボーナスは5年後に払うべき
 だという議論だ。

 もちろん、証券価格の一時的な高騰で高い報酬を得るような場合には、後払いが適正かもしれ
 ない。しかし、そうすると、経営者にバブルの期間を長引かそうという動機が生まれるという
 問題が生じる。もちろん、バブルの期間を完全にコントロールすることができるとは思えない
 が、金融機関の経営者が、中央銀行に働きかけて過大な金融緩和を続けさせて、なんとかバブ
 ルを5年間続けさせるということはあり得る。

 さらに、これら実例から、LIBORのスキャンダルは不正行為だから、罰金や刑罰で処置す
 べきことで、報酬返還で終わるのはおかしいという議論もある。しかし、不正を調査
しても、
  誰がどのように不正を行ったのか、誰の責任なのかがなかなか特定できないので、処罰が難し
  い、あるいは処罰するまで時間がかかるが、不正が行われていたこと、それによって利益を上
 げたことは確実という場合もある。このような場合、報酬返還という手段が適切になる。(
 ルガ・アファナシエヅァ「世界金融危機を防ぐ仕組み経営者の報酬返還が有効だ」、『エコノ
 ミスト』2014年6月24日号

さらに、イギリスでは、銀行の幹部や従業員が経営に重大なリスクをもたらすような行為を した
場合、賞与を七年間遡って返上させる新規則案を中央銀行が公表している(「英中銀、賞与7年分
返上の新規則案」、『日本経済新聞』2014年7月31日)。

  Sep. 19, 2018 

私は、前記のジョルジーノ教授とアファナシエヴァ研究員にインタビューしたのだが、二人とも、
「報酬制限の議論には、1%の人が過大な報酬を受け取るべきではないというイデオロギー的、ま
たは倫理的要素が含まれていると考える人もいるようだが、私たちの考えは違う。あくまでも正し
いインセンティブを経営者に与え、金融機関の経営を真の意味で効率化し、金融危機の可能性を少
しでも軽減することが目的だ。もちろん、利益を得ていないのに高い収入を得た人が、その所得を
奪われることに喝采する人がいることは事実だが、報酬返還の目的は、喝采ではなく、盲六の効率
を高めることだ」(アファナシエヴァ前掲論文)というのが、彼らの考えである。

富は必ずしも正当なものではない。しかし、社会が安定するためには、冨が正当的であると人々に
感じられていることが必要である。特に豊かな人々が、富が正当的であると認められるために努力
することが必要である。強固な自由主義者ノージックもそのことを認めているしかし、近衛のよ
うに、富が正当でないと言い出せば、それはとてつもない災厄を世界にもたらす。冨は創造できる
ものと考えること、現実にそうである社会を維持することがいかに重要かという認識が必要である。

※ここでも近衛の言を批判しているのだが、彼は共産主義者ではなく超国家主義者なのだと訂正し
ておく。

 Dec. 4, 2017

第15節 BIと家父長主義
貧しいことはお金のないことなのだから、BIを給付すれば貧困を解消することができるという発
想は、私には単純で強力に思えるが、これまでのところ、この制度を採用した国はない
(フィッツ
パトリック前掲書、10~16頁)。

なお、ブラジルでは「市民ベーシック・インカム法」が制定され、BIの例とされているが、これ
はBIの段階的導入を謳った法律で、必要な税制改革がなされた後に給付に至るとさ
れている。現
状では、所得制限付きの児童手当がその第一段階として導入されているだけであ
る(山森亮「なぜ
今ベーシック・インカムなのか第5回‥導入めぐる世界の動き」「The Peace」2014
年8月8日
httP://thePage‐jP/detail/20140808‐00000023‐wordleaf)。
 多少とも類似性のある制度を挙げれば、ア
メリカで一九七五年に採用された、給付付き勤労
税額控除がある(給付付き勤労税額控除について
は、森信茂樹編著『給付つき税額控除――
本型児童税額控除の提言」中央経済社、2008年、
参照。仕組みの詳しい説明とアメリカ、
韓国、カナダの実例が説明されている)。
ただし、所得のない人にBIを与えるのではなくて、勤労所得が増大するにつれて所得を給付する
というものである。BIの、あらゆる人に無条件でという発想には批判が多いことか
ら、働くこと
を援助するという制度になったものと思われる。所得の低い人の労働参加を促して貧困を解決すべ
きだという発想である。

しかし、すでに働いている人の所得が低い、ワーキングプアーが多い日本では、労働参加意欲を高
めるという発想は現実に適合しないのではないだろうか。ただし、政府が賃金を補助することであ
るから、貧しい人の時給は高まる。この意味では、貧困のある部分を減らすことができる。しかし
何より、給付付き勤労税額控除は、働けない人には給付しないのであるから、貧困の解消策にはな
らない。

ではなぜ、貧しいことはお金がないことなのだから、お金を給付すれば、貧困の問題の多くは解決
するはずだという単純なアイデアが現実化しないのだろうか。一つは、金額についての合意が得ら
れないからである。フリードマンの考えている程度の金額であれぼ、いつでも実現
できる(本章で
も説明したが、第3章でさらに具体的に詳しく説明する)。しかし、金額が大き
くなれば、財政的
な問題が大きくなる。大きな所得再分配政策について合意が得られないのだ
ろう。

もう一つは、福祉政策についての家父長的発想が根強いからである。要するに、貧しい人は、勤労
意欲や態度、生活習慣に問題があるから貧しいのであって、それゆえ彼らを教育し、正しい生活態
度を身に付けさせなければいけないというのである。
自由主義者は、これを傲慢とし、実際に、それに成功しているのかと問うわけだが、ここではまず
自由主義者も認める、国家の家父長的役割の例について考えてみよう。

  Jul. 21, 2018

第16節 パレンス・パトリエ政策の限界
貧しいことは所得の少ないことなのだから、絶対的貧困線を超えるだけの所得を給付すればよいと
いう発想に対する反論は、貧困は単に所得がないことではなく、社会から排除され、「正
しい」生
活を送れないという問題なのだという考えから来る。

この批判が適応される部分はもちろんある。パレンス・パトリエ(Parens Patriae' 国親思想)という
考え方がある。パレンスーパトリエとは、本来ならば親によって与えられるものを
国が親の代わり
に与えなければならない、という思想である。一般に、国家の家父長的介入を
嫌うアメリカ人も限
定的にはこの考えを認めていると思われる。


そもそも、パレンス・パトリエとはイギリスの国王大権から来たもので、国の親(Parent of his or her
country
)という意味である。

 国王は法的観念においては臣民の守護者である、未成年者、生来の精神遅滞者、精神障害者と
 いった臣民の世話をすること、彼ら自身と彼らの財産に適切な配慮をすることは、
国王に与え
 られた権利(というよりもむしろ義務である)。(飯泉明子「アメリカのパレン
ス・パトリエ
 訴訟に関する一考――環境法の視点から」より19世紀の法学者チティの
著作を引用、『企業
 と法創造』第7巻第2号、291~329頁、2010年11月、
http://www.win‐cls.sakura.ne.i
     p/pdf/24/21.pdf
)

この考えは、アメリカにも受け継がれ、州政府および連邦政府の権限となり、政府は、自己決定権に欠ける
人々を保護するべきだとされた。未成年若に対し、その親が責任を果たさないとき、誰かが責任を果たさな
ければならないことは当然で、人々の自発的な意思によってできないのであれぼ、政府がすることをリバタ
リアンも認めるだろう。

しかし、それは必ずしもうまくいっていない。アメリカでは、少年犯罪はパレンス・パトリ
エ思想
によって処理されることになり、少年を犯罪者として罰しないという少年法が生まれ、
社会的に不
利な条件にある子どもたちを保護し、矯正しなけれぼならないこととなった(この
思想は、日本の
少年法にも受け継がれている)。

ところが、アメリカではパレンス・パトリエ思想によって、少年が大人と同じ罪を犯しても、むし
ろ、大人よりも長期の拘束を受けることもあるようになった。隣家の婦人にいたずら
電話をかけた
少年が、大人であれば50ドル以下または2か月以下の徴役ですむところを、子
どもだという理由
で6年間少年院に収容するという処分がなされたことがある。これを連邦最
高裁は、1967年、
少年の裁判を受ける権利を奪ったものとして処分を違憲とした。すなわ
ち、戦後のアメリカにおい
ては、パレンス・パトリエ思想は、いらぬおせっかいによって、子
どもの正当な権利を奪うものと
されるようになったのである(黒沼克史『少年法を問い直す』10
~11頁、講談社現代新書、2
000年)。

 

第17節 日本政府はパレンス・パトリエであるのか
日本は、親から虐待されている子どもたちを十分に守ることができないでいる。児童相談所での児
童虐待に関する相談対応件数は、2012年で6万6701件となっている(厚生労働省「児童虐
待の現状」平成24年度)。1990年には1101件にすぎなかったので、それが61倍にも拡
大しているわけだ。しかも、拡大したというより、表に現れてきたと考えたほうがよい。なぜなら、
児童虐待によって子どもが死亡した件数が高い水準で推移しているからだ。さすがに子どもが死ね
ば、多くの場合、虐待の事実が明らかになる。「子ども虐待による死亡事例などの検証結果等につ
いて」(第一次報告、2003年7月1日から12月31日)では虐待死は25人である(これは
半年の調査なので1年では50人となる)。同じ調査の第9次報告(2011年4月1日から20
12年3月31日)では虐待死58人入である。すなわち、2003年から現在まで、同じような
虐待があったに違いなく、それは1990年でも、あるいはそれ以前でもほぼ同じと考えたほうが
よいということである。



ここでの私の目的は、子どもへの虐待を根絶するという難しい仕事をどうしたらできるのかを論じ
ることではない。その仕事をするための資源を確保するためにも、単なる貧困という問題の解決に
政府の仕事を増やすべきではないと主張したい。政府は、自らのなすべきパレンス・パトリエの仕
事を正しくするべきである。

パレンス・パトリエは、自由主義者も認める政府の権利であり、義務でもある。もちろん、政府で
はなく地方自治体が、社会が行使するべきものでもあろう。また、どこまで行使できるのか、すべ
きなのかという議論はある。しかし、誰が力を行使するかに議論があるとしても、無力な幼い子ど
もが虐待されるなど、あってはならないことである。



さらに国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩社会保障応用分析研究部長によれば、日本は、OE
CD諸国のなかで、社会保障や税による再分配政策によって、子どもの貧困率がむしろ高くなる唯
一の国であるという(阿部彩『子どもの貧困-日本の不公平を考える』95~96頁、岩波新書、
2008年)。なぜそうなるかといえば、高齢者には年金と医療の給付が十分になされているが、
子どもを持つ現役世代には少額の子ども手当しか給付されていないからである。

               原田 泰著 『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか』

                                    
"the FOUR"脅威論が話題なるほど第5次産業革命(=『デジタル革命渦論』)がこの世界を席巻し、
"暗号通貨"、"ブロックチェーン"、"クラウド・ファンディング"なる言葉が飛び交っている。思い
返せば、古代ローマ時代の情報伝達速度は10キロメートル/日、活版印刷と製本と暗号の情報技
術の(=第3次産業革命)を経て地下化石燃料革命(=第4次産業革命)により生産力は幾何級数
的に飛躍、デジタル情報通信技術力を背景に、アップル、グーグル、アマゾン、フェイスブック(
マイクロソフトは凋落?)が技術と富を独占するのはいわば歴史的必然、しかし、これらの企業も
あと30年もすれば退席しているかもしれない。
"情報・通信・画像処理産業”の第4次産業のアド
バンテージの不変と裏腹に、"富の再配分の公正さ"が問われることもまた必然である。どっしりと
腰をすえた政策研究の日々新々がつづくこととなる。

                                                                          この項つづく      


 
 

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未来の労働価値

2018年10月09日 | 政策論

  



                                              

第40章 「道」とは何か
つねに対立する状態を含み、対立する状態へと転じようとする。それが「道」の運動法則である。
つねに消極を守ることによって、限りない積極に通ずる。それが「道」の作用の形式である
万物をその根元に遡って行けば、「有」すなわち物一般に到達する。その「有」のさらに根元と
なるのは、「無」というより表現しようのないある物である。それが本体としての「道」である。

反・弱・無 本章には、老子哲学の根本である「道」に対する認識が、すべて集約された形で

られている。すべての対立を止揚する単一存在としての「道」から、弁証法的な運動か生まれ、

さらにその運動法則に基づいて、無限の想像力が生まれるのである。


第41章 「大器は晩成す」

正真正銘の士(立派な人物)は、「道」を問けば、熱心に実行する。どうにか士といえる程度の
人は、「道」
を聞いても、半信半疑である。士とは名ばかりの連中は、「道」を間くと、腹を抱
えて笑いだす。
だが、こんな連中の物笑いにならないようでは、「道」とはいえない。

古人もいったではないか。 
「真に明るい道は、賠く見え、真に前進している道は、後退しているように見え、真に平坦な道
は、けわし
く見える。高い徳は、低く見え、真の白さは、汚れて見え、広大な徳は、欠けている
ように見え、堅固な徳
は、その場限りに見え、変わらぬ徳は、うつろいやすく見える。またとな
く大きい四角は、角が見えず、ま
たとなく大きい器は、完全な器とは見えず、またとなく大きい
音は、耳に聞こえず、またとなく大きい形は
判別できない」
「道」は、われわれの感覚を超えた存在である。ただ、万物を生々発展させる根元として、その
存在を疑う
ことはできないのである。

<またとなく大きい器は完全な器とは見えない〉 いわゆる「大器晩成」なる語の出典はこれで
るが、現在では意味を取り違えて用いられている。成語には、えてしてこのような例が多い。

 ● 読書日誌:カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』 No.16  

   

第3章
三人が到着したとき、長屋には誰一人見当たらなかった。だが、アイバーが厨房に入っていって
しばらくすると、年配の女が二人、パン、蜂蜜、クッキーと、ミルクと水の入った水差しを持っ
て出てきた。アイバー本人も、小さく切り分けた鶏肉の皿を運んできた。アクセルとベアトリス
は感謝してその朝食を食べはしめた。

二人とも、食べてみて初めて自分がいかに空腹だったかに気づき、しばらくは黙々と食べていた。
アイバーはそんな二人の向かい側にすわり、遠い目をして、じっと何か考え込んでいた。やがて
ベアトリスが言った。

「サクソン人の村は重荷ではありませんこと、アイバー?少年が無事に戻り、鬼も退治されたわ
けですけど、同族のもとに戻りたいとは思いませんか」

「あれはただの鬼ではないぞ、ベアトリスさん。このあたりでこれまで見たこともない生き物だ。
あれが門の外をうろつかなくなったと思うだけで、心底ほっとする。だが、少年はまた別問題だ。
戻りはしたが、とても安全とは言えない」長屋の中はまた三人だけになっていたが、アイバーは
テーブルに身を乗り出し、声を低くした。一あなたの言うとおり、こんな野蛮人となぜ暮らしつ
づけるのかとよく思うよ。鼠穴に暮らすほうがましだ、ともな。あの勇敢な旅人は-昨夜、あれ
だけのことをしてくれた男は-わしらのことをどう思うだろうか」

「何かあったのですか、長老」とアクセルが尋ねた。「わたしたちも、昨晩、笥火のところにい
ましたが、争いが起こりそうと見て引きあげました。なので、何かあったか知りません」

「引きあげてくれてよかったよ、お二人さん。ここの異教徒どもは、互いの目を扶り出しかねな
いほど興奮していたからな。見知らぬブリトン人二人を間近に見つけたりしたら、どんな扱いを
したことか……思っただけで身の毛がよだつ。少年はエドウィンと言う。無事に戻って、最初は
村全体が喜んでいたんだがな、女たちが少年の体に小さな傷を見つけた。わしも他の長 老と一
緒にそれを確かめた。胸のすぐ下にちょっとな。子供が転んだときにできるかすり傷くらいのも
のだ。だが、女どもは――少年の親族までもだ――それが噛み傷だと言い張って、今朝にはもう
村全体がそれを噛み傷だと呼んでおる。わしは本人の身の安全を考えて、エドウィンを小屋に閉
じ込めておかねばならんかった。それでもだ、仲間も家族も、誰も彼もがドアに 石を投げつけ、
引きずり出して殺そうとする」

「なぜですの、アイバー」とベアトリスが尋ねた。
「霧のせいなの?あの少年がどんな恐怖にさらされたばかりなのか、みんな忘れてしまったのか
しら」
「そうだったらどんなにいいか、ベアトリスさん。今回はみんなが全部覚えているようなんだ。
異教徒どもは自分たちの迷信しか目に入らん。要するに、悪鬼に噛まれた者はいずれ悪鬼に変わ
ると信じ込んでおる。この村の内部に悪鬼が生まれ、悪さの限りを尽くす、とな。だから、あの
少年を怖がる。この村にいるかぎり、あの少年の運命は悲惨だ。ウィスタン殿が教ってくれない
ほうがよかったということにさえなりかねん」

「ですが、長老、良識のある村人だってきっといるのではありませんか」とアクセルが言った。
「いても、ごく少なかろう。それにだ、一日や二日は制止できても、無知な者どもがのさばり出
すのにさほどかかるまいよ」
「では、どうすれば、長老?」
「あの戦士もお二人に劣らんほど心配してくれてな、今朝はずっと相談に乗ってくれていた。で、
わしは一つの提案をした。ひどい押しつけだとは思ったがな、この村を出るとき、少年を連れて
いってくれまいかと頼んだ。そして、ここから十分に遠いどこかの村に世話を託して、新しい人
生を始める機会を与えてやってくれまいか、とな。村のために命を賭してくれた人に――しかも
その直後に――こんなことを頼むのは心底恥ずかしいが、ほかにできることを思いつかん。ウィ
スタン殿は、王から頼まれた用事の途中で、馬の怪我や昨夜の問題ですでにだいぶ後れているら
しいが、この提案を考えてくれている。わしは、まずあの少年がまだ無事かどうかを確認して、
ウィスタン殿の決定を聞きにいかれぼならん」アイバーは立ち上がって、杖を取った。「発つま
えに、さよならでも言いにきてくだされ、お二人さん。まあ、いまの話を問いてしまったら、一
目散に逃げ出したくなっても無理はないとは思うがの……」

 
アイバーの姿が戸口を抜け、日当たりの良い中庭を去っていくのを、アクセルはじっと見送った。
「ひどい話だ、お姫様」と言った。

「ええ、アクセル。でも、わたしたちには関係ない。ここでぐずぐずするのはやめましょう。今
日の道は険しいもの」
食べ物とミルクはとても新鮮で、二人はしばらく黙って食べつづけた。や
がてベアト
リスが言った。

「昨夜、アイバーが霧について言っていたことはぽんとうなのかしら、アクセル。わたしたちの
物忘れは、神様ご自身のせいだってこと……」 
「どう考えたらいいのかな、お姫様」
「ね、アクセル、今朝、目が覚めるとき、あることを思いついたの」
「何をたい、お姫様」
「ただの思いつきだけど、神様はわたしたちがしたことの何かに怒っているんじゃないかしら。
それとも恥じているとか……」
「ほう、おもしろい考えだ、お姫様。だが、それならわたしたちを罰すればいいのに、なぜ忘れ
させるんだろう。ほんの一時間前に起きたことを、ばかみたいに」
「わたしたちを-わたしたちのしたことを-深く恥じて、ご自身でも忘れたがっていたら?その
人がアイバーに言ったように、神様が覚えていないなら、わたしたちが忘れても不思議じゃあり
ませんよ」
「神をそれほど恥じ入らせるとは、わたしたちはいったい何をしたんだろう」
「わからないけど、でも、あなたやわたしがしたことじゃないのは確かですよ、アクセル。神様
はわたしたちをいつも愛してくださったもの。神様に祈れば――祈って、せめて大切ないくつか
のことくらいは思い出させてくださいって願えば――聞き届けてもらえるかもしれない」

外で笑い声がした。アクセルが少し首を仲ばすと、中庭で子供たちが遊んでいるのが見えた。小
川に置かれた二つの平らな岩でバランス遊びをしている。見ている間にも一人が水中に落ち、け
たたましい笑い声が起こった。

「さあな、お姫様。修道院の賢人なら、ひょっとして何か説明できることがあるのかもしれない
が・・・・・・。ところで、今朝、目が覚めたときのことと言えば、わたしも思い出したことがあるよ。
おまえがそういうことを考えていたのと同じころかもしれない。ちょっとした記憶、単純な記憶
なんだが、重い出してとても嬉しかった」
「あら、どんなことかしら、アクセル?」
「市場か祭りだ。二人でそこを歩いていた。村なんだが、わたしたちの村ではなかったな。おま
えはあのフード付きの明るい緑色のマントを菅ていた」
「それはきっと夢ですよ、あなた。それか、ずいぶん昔の話。だって、緑のマントなんて持って
いませんもの」
「確かにずいぶん昔のことだ、お姫様。夏だったが、二人がいた場所には冷たい風が吹いていて、
おまえは風よけに緑のマントをまとった。フードはかぶっていなかったな。市が立っていたのか、
何かの祭りだったのか。丘の斜面にある村で、村に入ったとき、囲いの中に山羊がいた」
「で、わたしたちはそこで何をしていたの、アクセル」
「腕を組んで、ただ歩いていた。すると、突然、行く手に見知らぬ人が現れた。村の男だと思う。
おまえを一目見ると、まるで女神でも見ているみたいに目が隨せなくなった。覚えているかい、
お姫様?若い男だ。もちろん、そのころはわたしたちも若かったんだが……こんな美しい女は見
たことがない――男はそう大声で言って、手を仲ばし、おまえの腕に触れた。覚えていないかい、
お姫様?」

「なんとなく思い出すような気もしますけど、はっきりとは………あの酔っ払いのことを言って
いるのかしら」
「少しは酔っていたかもしれないが・・・…さてな。言ったように、何かの戻いの日だったからな。
とにかく、その男はおまえを見て、目を丸くした。こんなに美しい人を見たことがないと河った」
「じゃ、やはりずいぶん昔のことですよ。あなたが焼きもちを焼いて、その人と喧嘩した日のこ
とでしょう。村から追い出されそうになった日……」
 一そういう記憶はないな、お姫様。いま思い出せているのは、おまえが縁のマントを看ていた
ことと、何かの祭りの日だったこと、そしてその男が言ったことだ。おまえの保護者だと見て、
わたしに向かってこんなことをI河った-なんたる美女、絶世の美女だ。君、大切に守ってやら
んといかんよ、と」
「何となく思い出しましたよ。でも、やはり焼きもちを焼いて、喧嘩したんじゃなかったかしら」

「そんなことをするはずがないさ。だって、その男の言葉に鼻高々だったし、いまでも思い出と
嬉しさがこみ土げてくる。絶世の美女と言ったんだよ。そして、大切に守ってやらんといかんよ、
とも言った」
「鼻高々でもあり、焼きもちも焼いたんですよ。相手は酔っ払いなのに、向かっていったんじゃ
なかったかしら」
「わたしが覚えているのとは違うな、お姫様。まあ、冗談のつもりで、焼きもちを焼いたふりを
したのかもしれない。だが、あの男に悪意がなかったことくらいはわかったと思うよ。とにかく、
今朝はそんなことを思い出しながら目が覚めた。ずいぶん昔のことなのに」

「あなたの記憶がそうなら、それでいいのではないかしら、アクセル。この霧があるかぎり、ど
んな記憶も貴重ですもの。逃さないよう、しっかりとどめておかないと」
「あのマントはどうなったんだろう、おまえが大切にしていたマントは」
 

                         カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』

                                     この項つづく                            

【社会政策トレッキング:バラマキは正しい経済政策である 13】  

 Yutaka Hrada, Wikipedea 

第2章 ベーシック・インカムの思想と対立軸
第11節 アジアの共産化をもたらした日本のアジア侵略
結果的に見れば、日本のアジア侵略こそが、アジアの共産化をもたらした。近衛は1937年6
月に首相となると、「北支事変」というそれまでの公式呼称を9月には「支那事変」と変更
し、
日中戦争の拡大を認めた。翌38年1月には、「爾後国民政府を相手とせず」の声明を発表
した。
戦争をしてその相手を相手としないのなら、和平交渉はできなくなる。1938年11月には、
日本が中国の
主要部分を抑えた以上、和議を請うて日本と協力せよという東亜新秩序声明を発表
39年1月に辞職する。
その後は、平沼騏一郎、阿部信行、米内光政が首相になるが、40年7
月に再び首相となる(近衛が首相を辞任していた間、1940年3月には汪
兆銘政権が樹立され
蒋介石を中心とする中国との和平の途が絶たれた)。

近衛は、内政にお
いては、38年には、国家総動員法や電力国家管理法を成立させ、経済の戦時
体制を導入し、
日本の国家社会主義化を開始した。再び首相になると、アジアを欧米の植民地支
配から解放
し、日本を盟主とする共存共栄の新秩序を建設しよう(日本の勢力下に置こう)とい
う「大東
亜共栄圈」構想を発表した。しかし、少なくともフィリピンが、日本よりアメリカの植
民地で
あったほうがましだったと思ったことは間違いない。山本七平は、フィリピンの人々は、
アメ
リカ軍捕虜が移送されるときには花を投げたが、日本車捕虜が移送されるときには石を投げ
と書いている(山本七平「石の雨と花の雨と」、『一下級将校の見た帝国陸軍』文巻文庫、1
987
年)。

 NDC分類 396.21

近衛はさらに、1940年8月、全政党を解散させ、議会制民主主義を破壊し、9月、日独伊三
国同盟を締結した。41年7月には、フランスのヴィシー政権からインドシナの権益を奪い、南
部仏印進駐を実行した。

その後、1941年10月に近衛は来降英機に首相の座を譲る。考えてみると、ここまで来て対
米戦争を止めるのも難しく、銀縁は12月には真珠湾攻撃に踏み切る。そのとき、頼りのナチス・
ドイツのソ連への快進撃は止まり、戦線は膠着状態になりつつあったのだが。 第二次世界大戦
で日本が占領した、中国、ベトナム、ラオス、カンボジアは共産化し、インドネシアは、あと一
歩で共産化、マレーシアは、あと二歩で共産化という状況に陥り、フィリピンではかなり共産ゲ
リラがはびこり、ビルマ(現ミャンマー)では事実上の共産政権が成立した。日本の統治下の朝
鮮では、北は共産化し、朝鮮戦争によって、南もあと一歩という状況になった(現在も危ういの
かもしれない)。満洲はもちろん共産化した。近衛こそは、結果としてもっとも成功した世界革
命的共産主義者だった。その淵源が、近衛の「英米本位の平和主義を排す」にあったことは明ら
かだ。

※ 近衛文麿が共産主義者だったとはこれまた飛躍し曖昧で、齟齬があるように思える。参考と
して『近衛文麿は共産主義者だったのか』 永井俊哉ドットコム 2006.9.1 を掲載する。歴史的な
考察は別の機会にゆだねる。


第12節 存在しえなかったABCD包囲網
なお、ついでながら1941年、アメリカ、イギリス、中華民国、オランダが、日本に対して経
済制裁、ABCD包囲網をしいたことが、日本を戦争に向かわせる要因になったと言われている
が、それはありえない。オランダは1940年5月15日にすでにドイツに降伏しているからだ
(フランスは1940年6月22日に降伏〔ヴィシー政権の成立〕)。ドイツを通じてオランダ
の植民地であるインドネシアから石油を買うことができたはずで、ABCD包囲網など存在しえ
ない。もちろん、オランダには亡命政府があり、亡命政府とその支配下のインドネシアは連合国
側にいたが、亡命政府が、実効的にインドネシアを支配することなどできない。ドイツに降伏し
たオランダの傀儡政権を通じて、インドネシアから石油を買えばよかっただけだ。おそらく、日
本の参戦を求めるために、ドイツがそうするのを拒否したのかもしれない。あるいは、ドイツが
ヨーロッパ大陸の大部分を征服したのを見て、それにあやかろうと戦争をしたがった日本の軍部
が、あえて筒単にできることをできないとしたのかもしれない。

第13節 明治の元勲の富の認識
近衛は、富は略奪から生まれると考えていたが、明治の元勲たちは、富は創造できるものと正しく
認識していた。1871年、維新後の国内秩序も安定しないなか、明治政府は、岩倉具視(18
25~83)を全権大使として、維新の立役者、木戸孝允(1833~77)、大久保利通18
30~78)、伊藤博文(1841~1909)ら総勢48人と言われる大使節団を欧米に送っ
た。彼らは、アメリカの経済的成功を次のように見た(原文のカタカナをひらがなに改め、濁点
を補った)。

 欧洲自主の精神、特に此地(アメリカ――筆者)に鍾り、其事業も自ら卓落豁達にて、気力
 甚だ旺なり、英国人之を察せず、印度卑弱の民と同視し、其膏沢を吸はんとせしは、宜なり
 無敗をとりしこと、……自主の力を用ふる自在にて、益欧洲人民の営業を起す地となりし…
 自主の諭と、共和の議とは、欧洲にも充ちたれども、……只米国は純粋の自主民集りて、真
 の共和国をなす、……此驚くべき国利を増進したるは、……其首領となる士君子が、自主の
 精神、他に優れ実用の学術を教へたる功なり。(久米邦武編『特命全権大使米欧回覧実記』
 1、243、245頁、岩波文庫、1977年、原著1878年)

 NDC分類 295.3

すなわち、明治維新の指導者は、経済発展の要諦は、人民における自主の精神と実用の学問の普
及だと認識している。草莽の志士として、下級武士からのし上がり天下の権を取った人々は、富
を創造する力も、強国としての力も、人々の自由を拡大することから生まれると正しく認識して
いた。自主の民の強さを理解してもいるのだ。イギリスがアメリカを搾取しようとして敗退した
のは、インドとは異なる自主の民の強さを理解していなかったからだと言っている。これが、昭
和期の日本と異なる、明治日本の正統イデオロギーである。明治の藩閥政府は、権力を握り続け
ようとはしていたが、人民の自由が国を富まし、さらには国を強くするとさえ認識していた。

 NDC分類 332.53

第14節 ウォオール街を占拠する人はいても……
富の正当性は、2008年の金融危機後のアメリカでも疑われている。下火にはなったが、ウォ
ール街を占拠せよ、1%の人々が富を独占している、99%の普通の人々がないがしろにされて
いる、とアメリカの若者は怒っている(実際、アメリカでは上位10%の人が70%以上の資産
を持っているようだ。FRB,Survey of ConsurnerFinance2010,Table 4より計算)。自由市場を信
奉するシカゴ大学ファイナンス学部のスター教授、ルイジ・ジンガレス教授も、歪んだ報酬シス
テムが、自由市場への信頼を蝕むと書いている(『人びとのための資本主義-市場と自由を取り
戻す』序章、若田部昌澄監訳、栗原百代訳、NTT出版、2013年)。

これに対して、保守派は、不毛な階級闘争を引き起こそうとしている、成功者を妬む落ちこぼれ
の集まりと批難している。しかし、占拠派の若者たちも、アップルのあるクパティーノ、グーグ
ルのあるサンノゼ、マイクロソフトのあるレドモンドを占拠せよとは言わない。

ここには、アップルやグーグルやマイクロソフトは富を創造したが、ウォール街は富を創造して
いないではないかという批判がある。もちろん、これら企業の創造した富が、その冨を創造した
人々の貢献度に応じて公正に分配されたかどうはわからない。しかし、これらの企業は世界を変
え、世界はこれらの企業に恩恵を受けている。私が、本書をパソコンで書くことができるのも、
これら企業のおかげである。

もちろん、ハイテク企業ばかりでなく、通常は、銀行や証券などの金融業も富を創造している。
素晴らしいアイデアや技術があっても、そこに資金が流れなければ富は創造できない。資金を融
通している金融業が、自分自身で富を創造していないとしても、富の創造を手助けしているのは
確かである。

ただし、ハイテク企業への抗議活動もある。例えば、所得の高い人たちが増えて不動産価格が上
がると、長年暮らしてきた住民が家賃を支払えなくなって出ていかざるをえなくなる。このよう
なとき、昔ながらの住民が新しく来た高所得の住民たちに反感を持つ場合もある。サンフランシ
スコの家賃はグーグル、フェイスブック、アップル、ヤフーといったハイテク大手企業のために
高騰している。これらの企業は、エアコンの効いた無縁LAN完備の快適なバスを運行し、自社
の従業員を勤務先に送り届けている。住民はこのバス停に集まり、これら企業ヘの抗議集会など
を行っている(土方細秩子「米国でエスカレートするグーグルなどIT企業ヘの反感」、『エコ
ノミスト』2014年6月17日号)。

住民活動家は、ハイテク企業が来ないよう新規のオフィスビルを建設できないようにすることな
どを求める燭台が多いようだが、これは市の発展を阻害するものだ。むしろ、新しい住宅を増や
すべきだ。シアトルでは、住宅の供給を増やしたことで、サンフランシスコほど不動産価格が上
がらなかったという(エンリコ・モレッティ『年収は「住むところ」で決まる-雇用とイノベー
ションの都市経済学』227頁、第5章より「町のグレードが上がると困る人たち」、池村千秋
訳、プレジデント社、2014年、参照)。

 NDC分類 366.025

第15節 富の正当性が疑われている
ウォールストリートの投資銀行が、本当に富の創造を手助けしたかには疑問が投げかけられてい
る。サブプライムローン関連証券という怪しげな証券を売って、世界を混乱に陥らせたにもかか
わらず、売った人は巨額のボーナスをもらっておさらばしている。危機に陥った投資銀行は、納
税者の負担によって助けられている。このボーナスは、富の創造の手助けをしたご褒美とは言え
ないというわけだ。

あまり注目されていないようだが、ウォール街占拠派のプラカードに「法人格を廃止せよ」とい
うスローガンがあった。法人という存在によって、経営者の責任は制限されている。金融機関に
リスキーな行動をさせないために自己資本を増大させるという規制が、たびたび強化されてきた
。自己資本を提供させれば慎重になる、自己資本は失敗したときのバッファー(緩衝)にもなる
という考えに基づいてのことだ。しかし、自己資本は株主の金であって、経営者の金ではない。

経営者は、利益を得たら自分のおかげ、損が出たら株主の負担という条件で勝負ができる。儲か
ったときには何百匝円のボーナス、損をしても辞めるだけですむ。投資銀行の経営者がサブプラ
イムローン関連証券に投資したのも、勝ったときには掛け金を得られ、負けても自分は掛け金を
払わなくてもよいという制度があるからだ。しかも、金融機関を破綻させるのは難しい。すると
経営者は勝てば自分の手腕、負ければ株主と納税者の負担という条件で賭けができる。

階級闘争は不毛である。金持ちを貧しくすれば社会全体の富が減少するだけだ。しかし、そもそ
も富を創造していない金持ちを貧しくしても社会全体の富は減少しない富は詐欺と略奪で生ま
れたものであって創造されたものではないと思われれば社会は危うくなる。それは、先に見た近
衛の考えがアジアと日本を災厄に巻き込んだことで明らかだ。豊かな人々が、自ら、富は明ら
かに創造されたものであると認識されるためのルールを作ることが必要になるのではないか。

※なるほど、ここで近衛文麿の思想とウォール街占拠が漸近すなわちクロスオーバーするという
わけで、これから論考の目的の"未来の労働価値"へとつづくのだがどうなるのか?

Apr. 27, 2018

第16節 報酬返還の議論
なぜか日本で注目されていないが、金融危機の原因の一つは、経営者の報酬制度にあるという議
論がヨーロッパで盛んになっている。もちろん、過大な金融緩和、不十分な規制、自己資本の不
足などが、世界金融危機の原因の一部であることを否定しているわけではない。このような議論
の主導者の一人であるミラノエ科大学のマルコ≒ジョルジーノ教授は、「どうして企業が破綻し
経営者が金持ちになるのか、信じられない」という。

(もちろん金融危機にはさまざまな原因があるが)私は私的利益と公的利益の非対称性を指摘し
たい。金融機関の経営者による決定で、誰が利益を得たのかということだ。金融の混乱は、金融
機関の経営を委任された者が金融機関本来の利益のために行動しなかった、「代理人問題」によ
って生じたと考えている。つまり、危機の原因は企業統治が適切でなかったことにある。……企
業の目的と経営者の報酬にはミスマッチがある。報酬政策こそが企業統治の要であり、企業統治
の不備が金融危機をもたらすのだ。(「金融危機は企業統治のミスによって生じた」、『週刊東
洋経済』2014年7月19日号)

確かに、例えば、破綻したリーマン≒フラザーズのリチャード・ファルドCEO(最高経営責任
者)は、2000年から解雇されるまでに3億5000万ドルの報酬を得ていたが、会社が破産
しても別に返さなくてよい。2008年から始まる世界金融危機が、リーマンショックから始ま
るとされていたとしてもだ。


              原田 泰著 『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか』

 Oct. 19, 2017
Amazon, Apple, Google and Facebook will all go away within 50 years, says author

                                     この項つづく 
 

 ● 今夜の一曲

Taylor Swift "Delicate"  
Writer:Taylor Swift / Max Martin / Karl Johan Schuster

This ain't for the best
My reputation's never been worse, so
You must like me for me
We can't make
Any promises now, can we, babe?
But you can make me a drink

Dive bar on the East Side, where you at?
Phone lights up my nightstand in the black
Come here, you can meet me in the back
Dark jeans and your Nikes, look at you
Oh damn, never seen that color blue
Just think of the fun things we could do
'Cause I like you

This ain't for the best
My reputation's never been worse, so
You must like me for me
Yeah, I want you
We can't make
Any promises now, can we, babe?
But you can make me a drink

Is it cool that I said all that?
Is it chill that you're in my head?
'Cause I know that it's delicate (delicate)
Is it cool that I said all that
Is it too soon to do this yet?
'Cause I know that it's delicate
Isn't it? Isn't it? Isn't it? Isn't it?
Isn't it? Isn't it? Isn't it? Isn't it?
Delicate

 

コメント
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秋だ!薩摩芋が甘い!

2018年10月08日 | びわこ環境

  



                                              

第39章 "低"があるから"高"がある
天地の開聞に先立って、「道」があった。「道」は、対立を超えた渾然たるひとつの物である。
天は、この「道」にのっとって清ノx、地は、「道」にのっとって安定し、神は、「道」にのりとって
霊妙に、谷は、「道」にのっとって充実し、万物は、「道」にのっとって生育し、君主は、「道」にのっ
とって天下の規範となった。

いずれも根元は「道」である。だから、もし天が「道」にのっとらなければ、天は裂けるであろう。
もし地が「道」にのっとらなければ、地は剖れるであろう。もし神が「道」にのっとらなければ、神は力
を失うであろう。もし谷が「道」にのっとらなければ、谷は涸渇するであろう。もし万物が「道」にのっ
とらなければ、万物は滅びるであろう。もし君主が「道」にのっとらなければ、君主は倒れるであろう。

貴賤は本来、ひとつのものだ。鼎をもととしてこそ、貴が成り立つ。高低は本来、ひとつのものだ。
低をもととしてこそ、高が成り立つ。
君主は、自身を指して「孤」「寡」「不穀」と呼ぶ。賤を賤として切り離さず、賤を貴の根拠としている
証拠である。
車を部品に分解すれば、車は存在しなくなる。ひとつにまとまってこそ、車としてはたらく。 
光り輝く玉、ただの堅い石ころ、これまた元はひとつである。どちらにとらわれてもならないのだ。

〈孤・応・不殺〉 孤は、みなしご。寡は寡人で、徳寡き人の意。不穀は、不善の意味で、いずれも君主
の自称
として用いられた。すべて、望ましからぬものであることに、注意されたい。

 たかしま旅季行 2018 
 
【びわこ環境:秋だ!薩摩芋が甘い!】

金曜日、突然の携帯電話に、面に飛び出すと車から出て電話姿の今井さんを見つける。お盆の暑さ見舞い
の返礼に立ち
寄っれたことがわかったが、しばらく、その場で近況などの立ち話を交わしただけで失礼す
るということで、ノン・アルコールと朝採れのサツマイモを頂くことになり帰られた。そのこと彼女に伝
えると早速、短尺切りにた"大学芋"にしてくれのをその後、毎日食べるほどに甘い(美味い)。そんなこ
とを話していると、もう、10数年にらるが彼女が徳島の大和さんに頂いた"なると金時"のカルチャーシ
ョック体験を面白そうに話す。



そう言えばサツマイモの品種改良はすごい。主なもので約20種類あり、萬系14号の改良に"なると金時"
があるというが、"焼き芋向け"の品種には、ほくほく系の大元(高系14号)、現在最もポピュラーかつ
最近増えたねっとり系の祖先の1つのべにあずまに、ねっとり系の代表である安納いも大別されている
(上図)。このほか、でんぷん用、飼料用、焼酎用などの産業向けの品種を入れると???種となる。

※ カンショ種(Ipomoea batatas (L.) Lam.)の品種一覧



そこで考えた。栄養価はどうなんだ?もし、効果が高いなら、生サツマイモとヨーグルトのジュースや
スムージーのレシピはな
いのか?と。あることはあるが料理サイドでなく医療・栄養サイドからのサイト
は海外にたよることに。
ところで、サツマイモの栄養組成とその生理機能は、❶免疫システムを高める――含有ビタミンCによる
身体のT細胞活動増加を支援――抗感染増強機能が期待される。❷抗癌効果――サツマイモに含まれるす
べてのタンパク質の80%を占める非常にユニークなタンパク質のスポラミン。このタンパク質は抗酸化
特性を有し、癌を予防するに役立つ可能性があるといわれている(要調査)。❸創傷の治癒――フィブリ
ノゲン(fibrinogen
)という特殊タンパク質を含有。このタンパク質は血液凝固時間を短縮し、創傷を速や
かに閉じる抗体を刺激する。❹低血糖値性甘味料――ジュースレシピの甘味料として、特に血糖値を上げ
ることなく低い血糖値を維持するスクロースがを含まれている。

 



● スウィートポテトスムージー
【材料】
❶3つの中型サツマイモ、皮をむき、茹で、つぶし、その後冷蔵、❷ 冷たい甘いアーモンドミルク:
11/2カップ
❸バニラエキス:2ティースプーン、❹ シナモン:ティースプーン、❺クラシュド・ナツ
メグ : 1/2ティースプーン、❻カルダモン:1/4ティースプーン、❼ギリシャヨーグルト:1/2カップ(
オプション)、❽蜂蜜:1テーブルスプーン(オプション)

【作り方】
❶すべての成分をブレンダーに注ぐ、❷混合物が滑らかになるまで(濃すぎる場合は、より多くの)アー
モンドミルク(一度に1~2杯)を加える。❸混合物を2本のガラスに注ぐ。


● サツマイモジュース
【材料】
❶生サツマイモ:4個、❷ニンジン:2本、❸梨1個、❹レモン 1/4個、❺生姜:1つまみ、❻ターメリ
ック:1つまみ、❼シナモン:適量
【作り方】
❶ジャガイモ、ニンジン、ナシ、レモン、ショウガ、ウコンを粉砕し、ジューサーに追加。 シナモンを
最後加える。 最大2日間、冷蔵庫に保管できる。
 

しかしこの話には蛇足がある。大学芋がなくなり蒸しサツマイモは喉にひっつかかるので、躊躇している
と、ヤマザ
キの”トマトとベーコンのパン”(値段は185円?)を食べてみると美味しいではないかと
"薩摩芋賛美"はトーンダウン。そして、贅沢な話だが「飽食日本のいま」を噛みしめる。"

   尾崎喜八「さつまいものうた」

  Sep. 25, 2018

台風25号で一時的な大雨に見舞われ、傘を車に老いてきたことを。そして、デジカメも忘れスマートフ
ォーンのため大写しにできなかったことを悔やむ。6日、「原発のない社会へ小泉元首相の話を聞く集い」
実行委員会主催(委員長井戸謙一)の講演にでかける。内容にさしたる違和感はなかった。それにしても
政財界の黒幕、あるいは偏狭なナショナリストのテロなどのリスクも考えられる中、堂々と持論展開に改
めて感心したが、感想として2つ。1つは、彼が顧問となる『原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟』(略
称:原自連)が、超党派で法案の成立をめざす「原発ゼロ・自然エネルギー法案」の動きを知ることが成
果であった。それいがいはブログ掲載してきた通りで、原発ゼロが遅れれば遅れるほど、日本は及ばす全
世界のリスクは高まることになる。2つめは、想像もついかない膨大な廃炉事業ビジネスとそのリスク管
理整備事業への考察作業の準備の必要性である。後者は、11月より着手することを決意する。                                          

 

 Oct. 1, 2018

 



 Anytime, anywhere ¥1/kWh  Era” 

Jan. 16, 2018

 

  July 17, 2018

【ソーラータイル事業篇:窓用ソーラー硝子製造技術Ⅱ
 】

2日の「防災独立型スマートグリッドシステム」のつづき。窓用積層型ソーラーパネルの光励起デバイス
ここでは有機太陽電池で考えているが、その他の薄膜太陽電池も選択肢に入れておく。因みに、有機太陽
電池の最高変換効率はカルフォルニ大学ロサンゼルス校の12.6%である。今回は、特許3件を実用/商
用化段階の最新特許技術事例3件を掲載する。
尚、これ意外に「特開2018-140885 ガラス積層体、電子デバイス作製用基板、及び電子デバイスの製造方
法。三菱樹脂株式会社 他」などあるが誌面の都合上、後日掲載するが、こと量産化となれば日本の技術
力が貢献するだろう。



❏ 特開2018-032872 透明な光電池 マサチューセッツ工科大学
  
【概要】
太陽エネルギーの活用に必要な表面積が、非再生可能エネルギー消費量の有意な部分を埋め合わせるため
の障害となっている。従って、住宅、超高層ビル、自動車内のガラス上に統合可能な原価の安い透明な
有機光起電装置が望ましい。例えば、自動車及び建築物に利用されているガラスは、通常、例えば、約
450ナノメートル(nm)から650nmの波長を有する光などの可視スペクトルの場合には、それぞ
れ、70~80%及び55~90%の透過性を有している。無機半導体の限られた機械的柔軟性、高いモ
ジュール原価、並びに、更に重要には、帯様の吸収が、透明な太陽電池にとってのその潜在的な有用性を
制限している。対照的に、有機及び分子半導体の励起子特性は、無機半導体の帯状の吸収とは本質的に別
個の吸収最小値及び最大値を有する高度に構造化された吸収スペクトルを結果的にもたらす。半透明な装
置を構築するための従来の活動は、吸収が可視スペクトルにおいて合焦された状態の薄い活性層(又は、
物理的な孔)の使用法に合焦しており、且つ、従って、1%未満の低い効率に、或いは、約10~35%
という光に対する低い平均可視透過率に、制限されており、その理由は、両方のパラメータを同時に最適
化することができないためである。

下図のごとく、
光電池10、20は、透明な基板11、21と、基板11の上部に位置する第1活性材料
と、を含んでも
よい。第1活性材料は、約650ナノメートルを上回る波長において第1吸収ピークを有
してもよい。第2活性材料は、基板21の上部に配設され、第2活性材料は、可視光スペクトルの外側の
波長において第2吸収ピークを有する。光電池10、20は、透明なカソード15、25及び透明なアノ
ード12、22を含む、透明な光電池及び製造方法をていきょうする
JP2018-32872A

❏ 特開2018-152590 大面積の有機太陽電池 ザ リージェンツ大学
  
【概要】
内部で発生した電場を生成するために、通常の方法は、特に、分子量子エネルギー状態の分布に関して、
適切に選択された導電特性を備えた材料の二層を並べることである。これら二つの材料の界面は、光起電
性接合と呼ばれている。伝統的な半導体理論においては、PV接合を形成するための材料は、一般的に、
n-型又はp-型のいずれかとして表示されていた。ここで、n-型は、多数のキャリア型が電子である
ことを意味する。これは、比較的自由なエネルギー状態にある多くの電子を有する材料として想定できる
であろう。p-型は、多数のキャリア型がホール(hole)であることを意味する。そのような材料は、比
較的自由なエネルギー状態にある多くのホールを有する。素性の型、即ち、非光発生の多数のキャリア濃
度は、主として、欠陥又は不純物による意図しないドーピングに依存する。不純物の型及び濃度は、伝導
帯の最低エネルギーと価電子帯の最高エネルギーとの間のギャップ内にある、フェルミエネルギーの値又
はそのレベルを決定する。フェルミエネルギーは、占有確率が1/2に等しくなるためのエネルギー値で
表示される、分子量子エネルギー状態の統計的占有で特徴付けられる。伝導帯最低エネルギーに近いフェ
ルミエネルギーは、電子が主要キャリアでることを示している。価電子帯最高エネルギーに近いフェルミ
エネルギーは、ホールが主要キャリアでることを示している。従って、フェルミエネルギーは、伝統的な
半導体を特徴づける主要な特性であり、そして原型的なPV接合は、伝統的に、p-n界面で、有機太陽
電池
は、低コストの太陽エネルギー変換の可能性のために、有望な再生可能及びグリーンエネルギー源で
ある。

新しい概念及びアプローチを、OPVデバイスの性能を改良するために導入し、そして最新鋭のOPVデ
バイスが、商業開発に要求される閾値に近い電力変換効率を達成するが、基板(例えば、ITOでコーテ
ィングされたガラス)上の微粒子が、収率を、特に大面積セルにおける収率を低下させる電極間の電気的
短絡をもたらす。商業的に魅力的なOPVモジュールを開発するには、高収率で、高性能を維持しながら
セル面積を増やすことが重要である。

下図のごとく、基板の表面に堆積した少なくとも一つのドナー材料及び少なくとも一つのアクセプター材
料を含む活性領域を備える大面積の太陽電池の製造方法において、ドナー及びアクセプター材料は有機分
子からなり、ドナー及びアクセプター材料の堆積前に、超臨界、気体、固体及び液体相から選択される一
つ又はそれ以上の相を含む少なくとも一つの化合物の流れに基板を曝すことにより、基板の表面から微粒
子を除去することで、電極間の電気的短絡を抑制し、高収率で高性能を維持しながらセル面積を増やすこ
とができる有機太陽電池及び有機太陽電池製造方法を提供する。

 JP 2018-152590 

特開2018-142597  太陽電池モジュール 三菱化学株式会社 他

【概要】
近年、太陽光エネルギーを利用した太陽電池の開発が盛んに検討されている。なかでも、有機太陽電池は、
フレキシブルかつ軽量化が可能となるために、従来の結晶シリコンを用いた太陽電池では設置が困難であ
った建材の壁や窓ガラス等へ設置して太陽光を利用することが検討されている。
一方、有機太陽電池は、水や酸素等の大気環境成分に対して劣化しやすく、また、有機太陽電池を構成す
る有機層は他の層と剥離しやすい傾向がある。そのため、このような問題を解決するために様々な封止構
造及び封止の方法が提案されている。

例えば、特開2014-49507号公報には、ロール状の基板に予め複数の発電領域及び有機層を有さない切断
領域を設けたロール状の基板を封止し、その後、該切断領域において切断することで複数の太陽電池モジ
ュールを製造することにより、切断時の圧力により有機層が剥離するのを防止することが記載されている。
有機太陽電池モジュールを人目に付きやすい建物の窓ガラスや建材へ適用することを考えると、有機太陽
電池
モジュールは高い意匠性が求められるが、同上
特許文献に記載の方法により製造された太陽電池モジ
ュールの場合、高い意匠性が得られない場合がある。一般的に光を吸収するために、有機太陽電池を構成
する有機活性層、すなわち発電領域は着色されているが、発電部の周辺領域は、通常、有機活性層が存在
しないために、着色されていない。このような太陽電池モジュールを、例えば、窓ガラスに設置しようと
すると、窓ガラスの大きさに合わせて太陽電池モジュールを設計しても、窓ガラスの端部付近は着色され
ていないことになるために、見た目が悪く、意匠性の点で問題になる可能性がある。また、複数の太陽電
池モジュールを並べて設置する際も、太陽電池モジュールの着色されていない部分が目立ち、統一感のあ
る色調を得ることが困難である。

下図のごとく、素子基板上に、少なくとも、有機太陽電池素子と、封止層と、バリア層と、をこの順に有
する太陽電池モジュールであって、有機太陽電池素子が配置される発電部の周辺領域において積層体が配
置されており、積層体は、有機太陽電池素子と同一の層構造を有しており、かつ有機太陽電池素子と分離
されていることを特徴とする太陽電池モジュールで、高い意匠性を備えた太陽電池モジュールを提供する。


【図1】本発明の一実施形態としての太陽電池モジュールの上面図。
【図2】図1におけるX-X’方向における太陽電池モジュールの断面模式図
【図3】図1におけるY-Y’方向における太陽電池モジュールの断面模式図

 【符号の説明】 1  発電部  2  周辺領域  3  積層体  4  集電線  11  素子基板  12  封止層  13  
バリア層  14 下部電極  14’ 下部電極層  15  有機活性層 15’  有機活性層形成層 16    上部電極
16’  上部電極層 21   開溝  22   開溝  23  開溝  24   開溝  25   開溝

 


 ● 今夜の一枚

唯一無二の木版花鳥画の名手・小原古邨

 Flying Owl

  ● 今夜の一曲

『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
op.18』 辻井信行ブラインドピアニストBBCプロム
Rachmaninoff: Piano Concerto no.2 op.18 Nobuyuki Tsujii blind pianist BBC proms

Piano Concerto No.2, Op.18

 

 

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エネルギー通貨制時代

2018年10月06日 | 時事書評

   



                                              

第38章 仁義礼智は虚飾
徳の上なるものは、徳であろうと努めない。だからこそ、真の徳となる。徳の下なるものは、徳であろう
と努める。だからこそ、徳でなくなる。

徳の上なるものは、徳であろうと作為せず、徳の名を得ようともしない。徳の下な・るものは、徳であろ
うと作為したうえ、拍の名を得ようとする。


仁の上なるものは、仁であろうと作為するが、仁の名を得ようとはしない。

義の上なるものともなれば、義であろうと作為したうえ、義の名を得ようとする。
礼の上なるものに至っては、みずから礼であろうと作為するだけでは事足りず、ひとにまで礼を強制する。

したがって、以下のようにいえるだろう。「道」にのっとろうとする「徳」が現われるのは、無為
自然の
道が失われた後であり、「仁」が現われるのは、徳が失われた後であり、「義」が現われるのは、
仁が失
われた後であり、そして「礼」が現われるのは、義さえも失われてしまった後である。

そもそもこの礼たるや、人の本性が忘却されてはじめて生ずるのであって、乱のはしりにほかならない。
「智」に至っては、道から見ればうわべの飾りであって、限のはじまりにほかならないのだ。
志操堅固な人間は、本性を守って虚飾を捨てる。つまり、仁義礼智を顧みず、ただ「道」にのっとるのみ
である。

上徳は不徳 孟子は、「仁義礼智」を人間に内在するものと考え、性善説を展開した。ところが老手は、
これらをすべて作為として片附ける。あまつさえ老子は、「徳」さえも作為の一種と公言してはばからな
い。それは、作為・を捨てることを志向する作為であるゆえに、「道」に近いといえるだけである。「道
を失いて而る後に徳」。老子は限りなく「道」を慕いながらも、それが限りなく辿いものであることを、
厳しく自覚していた。

● 読書日誌:カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』 No.15 

  

第3章
翌朝、アクセルが目覚めると、日の光が幾筋も部屋に射し込んでいた。昨夜は床の上に寝たが、柔らかな
絨毯を重ねてベッドにし、そこに暖かい毛布を何枚もかけて寝たのだから、自分
の家で寝ているよりよほ
ど豪勢だったと言える。目覚めたいま、腕も脚もよく休めた感じがし
た。また、何やら楽しい記憶が頭の
中に漂っている状態で目覚めて、気分もよかった。

ベアトリスが横で身動きしたが、目はまだ閉じたままだ。呼吸も安らかにつづいている。アクセルは妻を
しげしげと見た。期のこんなとき、よくそうしながら胸に静かな喜びが満ちてく
るのを待つ。いまも期待
どおりに喜びがあふれてきたが、今朝はそこに少しの悲しみが混じっ
ていた。予想外のその感覚にアクセ
ルは驚き、妻の肩にそっと手を滑らせてみた――そうする
ことで悲しみの影を拭い去れるとでもいうよう
に。
外に物音が聞こえたが、夜中に起こされたときのような騒音ではない。これは、普通の朝に村人が普
通に仕事に出かけていくときの物音だ。とすると、ベアトリスと二人、きまりが悪いほどに朝寝坊してし
まったことになる。だが、それでもまだ妻を起こす気にはならず、じっ見つめつづけた。やがて注意深く
ベッドを抜け出し、木のドアまで歩いていって、そっと押してみた。

このドアは、木の蝶番で開閉する本物のドアだ。きしみながら少し開いて、その隙間から太陽が力強く押
し入ってきた。ベアトリスはまだ眠りつづけている。あまりの熟睡ぶりに少し心配になり、ベッドに戻っ
て、わきにしゃがみ込んだ。しゃがむとき、膝にこわばりを感じた。妻がようやく目を開き、アクセルを
見上げた。

「起きる時間だよ、お姫様」ほっとして、だがそれを見せずにアクセルは言った。「村中起き出して、こ
この主もとうに出かけた」
「もっと早く起こしてくれればよかったのに、あなた」
「安らかな寝顔だったし、昨日は長い一日だったし、眠れるだけ眠るのがいいと思ってな。今朝のおまえ
は苦い娘みたいに元気そうだ。眠らせておいてよかった」
「何をつまらないことを……夜に何かあったのかまだわからないのに。でも、外の物音からすると、互い
に殺し合ったってこともなさそうですね。子供の声が聞こえるし、犬も満腹でご機嫌みたいだし。ね、ア
クセル、顔を洗う水はあるのかしら」

しばらく待ったが、アイバーは戻らない。二人はできるだけ見苦しくないよう服装を整え、何か食べるも
のを探そうと、からりとして明るい空気の中へ出ていった。今朝の村は、昨夜よりずっと穏やかな場所の
ように見える。暗闇の中であれほどでたらめに配置されていた丸い造りの家々が、いまは整然と並んで二
人の目の前にある。その家々から落ちる影が一本の大通りを形成し、村の中を伸びている。手に道具を持
った男や洗濯桶を抱えた女が忙しそうに行き交い、子供たちが集団でその後を追っていく。犬は相変わら
ずの多さだが、みなおとなしそうだ。

 Sept. 29, 2018

昨夜、ここが手の付けられない場所だったことを思い出させるのは、唯一、井戸の前で日の光を浴びなが
ら気持ちよさそうに脱糞している驢馬くらいだろうか。村人のなかには、通りかかる二人にうなずき、小
声で挨拶してくれる人までいる。ただ、さすがに話しかけてくる人はいなかった,

さほど歩かないうちに、通りの前方にアイバーと戦士を見つけた。じつに対照的な二人だが、いま頭を寄
せ§って何事か話し白っている。アクセルとベアトリスが近づいていくと、アイバーが一歩下がって、照
れくさそうな笑いを浮かべた。

「あまり早く起こしたくなくてな」と二人に言った。一だが、主人としては失格だな。お二人とも餓死寸
前だろう。長屋までついてきてくださらんか。腹いっばいにしてさしあげよう。そのまえに、昨夜の偉大
な英雄を紹介しておこう。ウィスタン殿だ。ウィスタン殿はわれわれの言葉もよく解する」

アクセルは戦士に向き直り、頭を下げた。

「妻もわたしも、大いなる勇気と寛大さと技を兼ね備えたお方にお会いできて、光栄に存じます。昨夜は
すばらしいお手柄でした」
「手柄などと大げさな、ご老人。技も特別なことはありません」戦士の声は昨晩と変わらず穏やかで、目
の周りには笑いがあった。「昨夜は運が味方してくれたうえ、勇敢な同志もいて力添えを頼めましたから」 
「この方の言う同志は、小便を漏らすのに忙しくて戦いに加わるどころでなかった」とアイバーが言った。

「悪鬼を倒したのはこの戦士殿お一人よ」
「長老、もうやめましょう」戦士はアイバーにそう言いながら、いまアクセルをじっと見つめていた。
クセルの顔に何かの印でもあって、それに心を奪われたとでもいうように

 Apr. 1, 2015

「わたしたちの言葉を上手にお話しになります、戦士殿」相手の真剣な眼差しに驚いて、アクセルが言っ
た。

戦士はアクセルを見つめつづけたが、はっとわれに返って笑った。

「お許しを、ご老人。一瞬あなた・・・・・・いや、お許しを。この身は骨の髄までサクソン人ですが、ここか
ら遠くない場所で育って、ブリトン人とも交わりがありました。それで、自分の言葉のほかに、あなた方
の言葉も覚えました。ただ、最近は遠くの沼沢地に住んでいて、あまり話す機会がありません。あそこで
はいろいろな言葉を聞きますが、あなた方の言葉だけは聞かないもので。ですから、誤りがあったらお許
しください」
「いやいや、戦士殿。あなたならブリトン人でも通ります」とアクセルが言った。
「じつは昨晩も、あなたの帯刀のしかたが、普通のサクソン人とは遠うなと思っていました。位置が腰に
近く、そして高い。歩くときに、手がちょうど柄の上に来ます。ブリトン人のやり方によく似ていると申
し上げたら、お気を悪くなさるでしょうか」

ウィスタンがまた笑った。「サクソンの仲間にはいつもからかわれていますよ。帯刀だけでなく、剣の振
るい方もです。じつは、わたしの剣技はブリトン人に教わったもので、あれ以上の教えはないといまでも
思っています。多くの危険を切り抜けてこられたのも、その剣技があればこそ。昨夜もそうでした。失礼
を承知でお尋ねします、ご老人。あなたもこのあたりの方ではないのではありませんか。ひょっとして西
の国のお生まれですか」
「わたしたちは隣の国から来ています、戦士殿。ここから一日のところです」
「しかし、昔はもっと西に住んでいたということは?」
「申し上げたとおり、隣国の者です」
「ぶしつけをお許しください、ご老人。遠く西へ旅してきて、子供のころを過ごした国に――もう少し西
ですが――郷愁などを感じまして。ここまで来ると、半分覚えている人の面影をいたるところに見るよう
な気がします。お二人はもう今朝のうちにお戻りになるのですか」
「いえ、戦士殿。わたしたちは東にある息子の村へ行きます。二日のうちに置きたいと思っています」
「では、森を通る道を?」
「いえ、山の道を行くつもりでいます。途中に賢人のいる修道院があるとのことで、その方にお会いした
いものと思いまして」
「なるほど」とウィスタンが何やら考えながらうなずき、もう一度、じっとアクセルを見た。
「険しい上りだと聞いています」
「わしの客人は朝食がまだだ」とアイバーが口をはさんだ。
「だから、失礼するよ、ウィスタン殿。これから長屋までお連れする。できれば、そのあとで、またいま
のつづきをしたいが、いかがかな」

アイバーは低いサクソン語で話し、ウィスタンがこくりとうなずいた。アイバーはまたアクセルとベアト
リスに向き直り、首を振りながら重々しく言った。
「昨夜は戦士殿にたいへんなお骨折りをいただいたのに、村の問題はまだ解決から程遠い。ついてこられ
よ、お二人さん。腹ぺこだろう」

 Jun. 29, 2018

アイバーは一歩ごとに杖で大地を突きながら、ぎくしやくとした足取りで進んだ。何かに気をとられてい
るらしく、混雑した路地で二人が後れはじめても、それに気づかないようだった。数歩先を行くアイバー
を追いながら、アクセルがベアトリスに
「あの戦士はすばらしい男だ。そうは思わないかい、お姫様」と言った。
「確かにね」とベアトリスがそっと笞えた。「でも、あなたをじっと見るときの目つきがおかしかったで
すよ、アクセル」

もっと何か言いたそうだったが、アイバーが二人を迷子にさせそうになったことに気づき、曲がり角で立
ち止まって待っていた。


やがて、三人は日当たりのいい中庭に出た。真ん中を人工の小川が流れ、鷲鳥(しちょう)が放し飼いに
なっている。小川と言っても、地面に浅い溝を掘っただけのものだが、そこをけっこうな勢いで水が流れ
ている。幅が一番広いところに二枚の平らな岩が並べられ、橋代わりの飛び石として使われている。いま
一方の岩に年長の子供が一人しゃがみ込み、着るものを洗濯している。

ほとんど牧歌的とも言えるその光景にアクセルはうたれ、できるものならもっと見ていたいと思ったが、
アイバーがかまわずどんどん進んでいく。向かっていく先は、中庭の端にある建物だ。庭の幅いっぱいを
使った長く低い建物で、屋根はびっしりと草で葺かれている。

外見はともかく、長屋の中に入ってみれば、現在でもあちこちの施設で見られる丸太づくりの食堂とさし
て変わらないことがわかるだろう。長いテーブルとベンチが何列にもわたって並べられ、一方の端には厨
房と配膳室がある。現代の施設との最大の違いは、とにかく干し草が目立っていることだ。頭上に干し草
があり、足元にも干し草がある。テーブルの表面も干し草だらけだが、これは意図されたものではなく、
ときおり吹き抜ける突風の置き土産にほかならない。ニ人の旅人が朝食の席についている今朝のような晴
れた日には、舷窓にも似た窓から日の光が射し込み、空中に大量に漂っている干し草の屑までもはっきり
と浮かび上がらせていたはずだ。

                             カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』

※ 「The Buried Giantにおけるイシグロ文学の継承と発展」池園宏、2018.5.25


この本タイトルのごとく巨人の発掘に参加できそうで面白くなってきた。

                                        この項つづく
 

       

【社会政策トレッキング:バラマキは正しい経済政策である 12】  

 Yutaka Hrada, Wikipedea 

第2章 ベーシック・インカムの思想と対立軸
第9節 BIと富の正当性
結局のところ、BIの水準をめぐる論争は、所得再分配自体を是とするか、さらにそれは、富の正当性を
認めるか認めないか、富が何から生まれ、その機能が何であるかの論争に帰着す
る。BIの水準を引き上
げるためには、より多くの財源が必要となる。人々が自分の努力によ
って得た所得や富に高い税を課すと
いうことは、人々の所得や富を奪うことに他ならない。す
ると、人々の所得や富が正当なものである、ま
たは、社会にとって有用なものと認識すれば、
そのような高い税は正当化されない。

一方、所得や富が不当でないにしても偶然の結果にすぎず、また有用なものではないと認識すれば、より
高い税が正当化される。しかし、ある富が偶然の所産、あるいは過去の略奪の結
果だからといって、それ
を取り上げることを認めたら、社会はとんでもない災厄に見舞われることはないか。これは本章の「現実
所得分配状況と再分配政策」の項で述べた論点である。

1937~41年に三度にわたって首相となる近衛文原(1891~1945)は、1918年、27歳
のときに「英米本位の平和主義を排す」という論文を書いている。その要旨は
以下のようである(要約は、
岡義武『近衛文麿――「運命」の政治家』岩波新書、1972
年、による)。

 (第一次世界大)戦後の世界において民主主義、人道主義の思想がいよいよさかんになることは、今
 や否みえない。……わが国としても「民主主義、人道主義の傾向」の発達をはかることは、甚だ望ま
 しい。しかし、残念なことには近来わが国の論壇が英米政治家の華々しい宣言に全く魅惑されて、彼
 らのいう民主主義、人道主義の背後に意識的無意識的な利己主義が潜んでいることを洞察できず……
 これを正義人道の要求に合致するものとなすのは、見苦しい。英米の論者のいう平和とは、実は彼ら
 に都合のよい現状維持のことであり、それを人道の名において美化しているのである。

 ……戦前のヨーロッパの状態は英米にとっては最善のものであったかもしれないが、正義人道の上か
 らは決してそうはいえない。英仏などはすでに早く「世界の劣等文明地方」を植民地に編入し、その
 利益を独占していたため、……すべての後進国は獲得すべき土地、膨脹発展すべき余地もない有様で
 あった。このような状態は、……「各国民の平等生存権」を脅かすものであって、正義人道に反する
 こと甚だしい。

要するに、富は略奪から生まれるもので、先に略奪したものがそれを望ましい秩序とし、民主主義、人道
主義の言葉で現状を正当化するのは許されない。冨を持っていないものは、略奪ゲームをやり直す権利が
あると言っていることになる。これでは戦争をするしかないことになる。なお、近衛の言葉 にある「劣
等文明」は植民地にしていい地域、「後進国」とは日本やドイツのような持たざる文明国 ということに
なる。

何という軽率な言葉だろうか。世界において富が略奪であるなら、国内の富は略奪ではないのだろうか。
藤原鎌足(614~669)の子孫である近衛家の富は、中大兄皇子(後の天智天皇、後の626~67
1)の蘇我蝦夷・人鹿父子を賠殺したクーデター(大化の改新、645年)に協力したことと、天智天皇
の後継をめぐって争った弟の大海人皇子(後の天武天皇子(後の天武天皇、?~686)と天智の皇子で
ある大友皇子の争いである壬申の乱(672年)で天武側についたことによる。その富が正当であるのは、
中大兄皇子のクーテターについては天皇の正当性から認められるとしても、壬申の乱については、その結
果を覆すことができないという以外になんの正当性もない。

 NDC分類 289.1

第10節 近衛の危険思想の背景
近衛がなぜこのような危険思想を抱くようになったかは詳らかではないが、近衛は1904年、13歳で
父を失っている。父は、東亜同文会や国民同盟会を組織し、夏犬な借金を抱えていた。父を失うと、取り
立て屋が押しかけてきた。このころ近衛は、人の裏表を知って憂曇になる少年だったという(矢部貞治著、
近衛文麿伝記編纂刊行会編『近衛文麿』上、29~30頁、弘文堂、1952年)。

父と死別した頃は、私の家の財政は決して豊かなものでなかった。それに人情というものはまことに軽薄
なもので、父が盛んに活動していた頃は、朝から晩まで家に出入するものが引っきりなしにあって、私な
どもそれら周囲のものだちから、チヤホヤされていたのであるが、父がなくなってからというものは、ま
るで火の消えたように淋しくなってしまった。なおそればかりならまだしも、今まで父に政治上の意味で
世話になった人などが、……金を返えせと言って来るような始末、ある金持の如きは、こちらが現金で返
えすことが出来ないので、抵当に掛軸など差出すと、それを無慈悲に二度も三度も突っかえすという有様
で、私もはじめて世の風の冷たさを知ったわけであっだ。

こんなことで、……私の心の中に、社会に対する一種の反抗のようなものが起って来た。中学から高等学
校にかけての私は、トルストイのものや西欧の奇激な文学を読み耽る、社会に対してひがみが多い、憂患
な青年になってしまった。

 ……(中等科の)ころのある日、
 「昨夜実に気色の悪い夢を見た」
 と母堂にいうので、どうしたのかと聞くと、
 「三井だか岩崎だか、何でも金持のところに招待され、嫌だというのに無理にご馳走されたのですが、
 金持に膝を屈するわけがないのに、誠に残念なことだ」といった。
 ……京都の歌人が、大黒さまの持つような槌に、この槌は大黒さまの槌ならず

 と書いて、下の句をお付けなさいといったら、文麿は直ぐさま
   不忠議員のあたま打つ槌
 とっけた。当時金持と政治家は嫌っていたと見える。

父を失ったときの経験が、近衛に新興の金持ちたちへの反感を抱かせたのだろう。若いころの近衛はマル
クス主義へのシンパシーを示している。ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス(1881~1973)の、反
資本主義感情は労働者ではなく土地貴族から生まれたという考察は真実鋭いものがある(L・V・ミーゼス
自由への決断――今日と明日を思索するミーゼスの経済学』20頁、村田稔雄訳、広文社、1980年、
原著1979年)。

 

しかし、富は略奪であり、そこに正当な権利がないと最初に言ったのは近衛文麿その人だった。近衛こそ
は世界革命的共産主義者だった。近衛の「英米本位の平和主義を排す」の主張が正しければ、中国の利権
回収、革命外交はもっと正しく、中国と日本との協定(日本に戦争で負けたことによって押し付けられた
)も守る必要のない紙切れということになる。近衛は、当然に中国の革命外交を力でねじ伏せようとして
いたが、そうであるなら欧米が中国で持つ利権を否定するのは矛盾している。日本の利権も、欧米の利権
も、当時の帝国主義の慣行において得た、等しく「正当な」権利だったからだ。

 NDC分類 308

中国の革命外交には、戦前一貫して反軍、自由主義思想を抱いていたジャーナリスト、清沢冽(1890
~1945)も批判的だった。清沢は、中国が帝国主義の犠牲になり、帝国主義的利権の回収を求めるこ
とには同情的だった。しかし、条約を尊重せず、一途に利権回収を叫び、そのためにはいかなる手段も許
されるという外交には、批判的だった。清沢は言う。

 支那人は上海は、彼等のものだといふ。如何にも上海が支那の国内にあることだけは明らかだ。併し
 上海の有する価値――世界的港湾としての上海が、支那人のものであるとは何人が断言し得るところ
 で あらう。世界有数の港になるために、上海に与へた支那人の努力は皆無といってもいヒそれは満
 目でも、青島でも、天津でも同じである。……そして外国人によって発達した土地も一度、支那人の
 手に戻るが最後、無茶苦茶になるのは、青島や山東鉄道の例でも分る。
 ……その土地は如何にも支那人のものであるには違ひないが、その上に建てられたる文化らしい文化
 は、悉くが外国人の努力によったものだといふことである。
 ……他国大の礎き上げたものを、殆んど無償で取り上げようといふのだから、第二これくらいうまゐ
 話しはない。(清沢冽『黒潮に聴く』、山本義彦編集・解説『清沢渕選集第二巻』434頁~436
 頁、日本図書センター、1998年、原著1928年)

これでは中国は、国際秩序の担い手たりえない。清沢は、このような一方的な排外主義を抑えるために、
日本は英米と協調すべきであるとしている(清沢前掲書、431頁)。
しかし、近衛の「英米本位の平和主義を排す」が正しければ、中国の革命外交を批判することはできない。
にもかかわらず、近衛は、「英米本位の平和主義を排す」の主張と自分の中国に対する態度に矛盾がある
ことを最後までまったく意識しなかったようだ。中国は、中国が植民地にしてよい劣等文明国であり、日
本が持たざる更新国であるという近衛の認識を決して許さ
ないだろう。

                 原田 泰著 『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか』



                                       この項つづく 

【ワンポイント英熟語#OnePoint #Eng'idiomatic
give rise to   ~を起こす、生じる(cause)
"Does depreciation of the yen give rise to inflation ?"
(「円安は物価高のもとになりますか」)

Anytime, anywhere ¥1/kWh  Era” 



【エネルギー通貨制:いつでもどこでも1キロワットアワー1円時代
 】

● 日本国内の太陽光発電設備能力の現状と予測

上図は全国に導入された太陽光発電設備能力を見える化したもの(左:2016年12月25日時点で9,033 4MW
右:2018年10月5日で
時点18383.3MW1,013日で約2倍に逓増。2020年7月14日には、単純外延すれば
約3倍まで膨れあがる。2031年3月7日には、約9倍に膨れあがり、蓄電装置を最適配置すれば、分散型オ
ール・ソーラー・システムだけでも百パーセントの再生可能エネルギーで実現可能という数値になる(一
人当たりの消費電力が変わらない前提)。

 Oct. 4, 2018
Cumulative Potential for Behind-the-Meter Residential Flexibility, 2017-2023E

● 米国の家庭用太陽発電設備導入予測
米国内の家庭には、発電とグリッド接続された分散型デバイスが3千万台近くあり、2023年にはさらに数
百万台の需要が見込まれている。これらのデバイスは、顧客と電力網の双方に柔軟性を提供できる。
Wood
Mackenzie Power&Renewables
の調査報告書は、2023年までに米国の住宅用関連設備は88ギガワットと予
測。「需要の柔軟性」は、ユーティリティーや市場オペレーターが望む負荷形成のハードウェア/ソフト
ウェア能力を表す。フレキシビリティによる分散リソース活用が広がり、新しい企業に市場機会を産む。
第1に、スマートホームデバイス、家庭用エネルギー蓄電池および電気自動車充電の顧客関心が高まり、
電力供給余裕が大きく貢献。第2に、規制は伝統的な需要対応プログラムを超えた柔軟性を実現させてお
り、系統接続デバイス普及につれ新たな政策枠組みが出現すると予測する。

 Sep. 27, 2018

● C4V社製固体蓄電池 来年第2四半期に実用固体蓄電池販売

9月27日、同社はエネルギー密度400Wh/Kgと750Wh/Kgの2つを来年第2四半期に生産開始するこ
を公表(詳細は上図参照)。電気自動車用だが、ここでえられた知財はリチウムや金属-空気などの全固
体型蓄電池の高品位化貢献すると考える。いよいよ、エネルギー通貨制が電子マネー、暗号、時間などの
新通貨制に加わることになる。これは大変愉快だ。

  

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2018年10月03日 | 滋賀のパワースポット

   



                                              

第34章 主 人 顔
「道」は天地に満ち満ちていて、四方八方くまなく行きわたっている。万物は、「道」の現われとして生
ずる。しかも「道」は、万物を生じながら、万物を支配しようとしない。大事業を成し遂げながら、功績
を主張しない。万
物を養いながら、主人顔をしない。
このように、「道」は、つねに無欲であるから、小さいともいえる。万物を包んで主人顔をしないから、
大きいと
もいえる。
だが「道」は.、大であろうと小であろうとかけかまわず、ただただ自然にまかせきっている。だからこ
そ、「道」
は大きいのだ。

第35章 「道」は用いてこそ価値がある
万物の根元たる「道」にのっとって政治をとれば、摩擦はいっさい起こらず、天下は平穏である。
快い音楽が聞こえ、うまいご馳走が目につけば、道行く人は足を止めるだろう。だがこの「道」たるや、
語って聞かせてもまことに淡白で、味もそっけもない。眼を喜ばせることもなければ、耳を楽しませるこ
ともない。「道」
は、用いられてこそ、尽きぬはたらきを示すものである。

淡として味なし 「道」は学問の対象ではない。「道」を認識する人間が貴いのは、「道」を実践に生か
せるからである。知識のための知識は、老子の排斥するところであった。

 

【オールバイオマス事業篇:最新リグニンのない木質形成技術】

10月2日、産業技術総合研究所らの研究グループは、リグニンを含まない一次細胞壁――植物の細胞壁
は、どの細胞にも普遍的な一次細胞壁と、強度を必要とする細胞(道管や繊維細胞)に蓄積する二次細胞
壁(木質)に大別できる――の形成を制御する遺伝子としてERF転写因子群を発し、二次細胞壁を形成し
ないシロイヌナズナ変異体に導入し、リグニンがなく酵素糖化性の高い一次細胞壁に似た細胞壁を繊維細
胞に高蓄積させることに成功ことを公表。今回発見した転写因子を利用した木質改変植物の開発により、
木質バイオマス利用す工程で必要なエネルギーや化学薬品を減らせ、二酸化炭素排出削減への貢献。さら
に今回発見した遺伝子の機能解析を進め、いまだ多くが未解明の一次植物細胞壁の形成機構が明らかにな
り、植物の「植物らしさ」を解明することにつながる。


今後、発見した一次細胞壁形成因子のより詳細な機能解明を進め、肥厚させた一次細胞壁に通常木質に含
まれる細胞壁成分を追加蓄積させ、天然の木質に近い性質を持ちながら産業利用に適した木質を生産でき
る改良技術開発を目指す。またポプラやユーカリなどの木本植物や、ソルガムやネピアグラス、スイッ
チグラスといった大型単子葉植物への適用も検討。このことで石油資源のバイオマス資源への置換えを促
進し、地球温暖化の抑制に貢献させる。


Anytime, anywhere ¥1/kWh  Era”
● いつでもどこでも1キロワットアワー1円時代
 
Sep. 13, 2018

● 今週、カルフォルニア州 無炭素排出エネルギー目標設定

カリフォルニア州は、今週、新しい、より高い「ゼロ・カーボン」のエネルギー目標を設定し、再生可能
エネルギー資源の使用と温室効果ガス排出量の削減と地球温暖化の抑制に向けて、米国および世界的リー
ダとしての州の評判を刷新。17年初頭にジェリー・ブラウン知事は、カリフォルニア州がドナルド・ト
ランプ大統領の国家エネルギーと環境戦略を破棄し、化石燃料のない経済と社会への道筋を築いていくと
約束。上院法案100(SB 100に署名したことは大きな前進となる(カリフォルニア州は、世界で最も野心
的なクリーンエネルギー政策の成立に向けて壮大な一歩を踏み出す。ブラウン知事と議会は、SB 100を達
成に大きな功績となる――米国太陽エネルギー産業協会会長兼CEO、アビゲイル・ロス・ホッパーSEIA
――と記者会見で語った。「米国最大の太陽光発電市場の同州は、すでに、再生可能エネルギーへの投資
が雇用と経済・環境面で大きなメリットをもたらすことを実証している。SB100の制定により指数関数的
に拡大すると見込まれている。

SB 100の制定は、気候変動に対処し、カーボンフリーで環境にやさしいエネルギー資源に移行の立法措置
促進させ、9月12~14日、サンフランシスコでの「地球気候行動サミット」を開催。
カリフォルニア
州が630年までに1990年比で温室効果ガス排出量を40%削減する目標を実現するには年間約10
ギガワットの太陽光、風力またはその他のカーボンフリー発電能力の導入が必要と資産。最新のIRP( Inte-
grated Resource Plan
)でCECが予測ペースを把握し実現する必要がある。SB 100の目標達成にこれまで以
上の重要性が増している。 
 



【ソーラータイル事業篇:窓用ソーラー硝子製造技術】

● ユビキタスエネルギー社と旭硝子 窓用ソーラーガラスの量産化へ
7月17日、窓用薄膜太陽光発電(PV)コーティング技術を保有するユビキタスエナジー社は、世界最
大のガラス製造能力は年間80億平方フィート以上の旭硝子と戦略的開発契約を締結しとこを公表。 今回
実用的な太陽エネルギー変換効率は10パーセント以上で、可視透過率が90パーセント。 例として、
シアトルのダウンタウンにある30階建てのビルは、地元の0.5~1メガワット容量のソーラーファーム
が毎年生産できる電力よりも多くい発電量を生み出す。同社は透明性の高い薄膜PVガラスコーティング技

術の商業生産化の最終段階にある。現在、同社は製品の性能を検証し、製造プロセスを拡大し、透明性の
あるカラーニュートラルな太陽光塗装建築用ガラス製品の製造を目的とした商業パートナーシップの構築
注力。旭硝子には差別化された建築用ガラス製品の市場投入実績が背景としてある。12年にMITから
ピンアウトし、シリコンバレーのパイロット生産施設で透明性と効率の高い太陽電池を生産していまる。
19年には初期の試作量産し、その後数年間で本格的な商用生産を見込む。

 July 17, 2018

※ 関連技術論文及び特許:2件

Richard Lunt, "Transparent, near-infrared organic photovoltaic solar cells for window and energy-scavenging appl-
ications" Applied Physics Letters 98, 113305 (2011). cited by applicant
.



特開2018-126961 積層膜付き透明基板およびガラス積層体 旭硝子株式会社
【概要】
下図のごとく、透明基板と透明基板上に設けられた積層膜とを備え、積層膜は、透明基板上に設けられた第1の
誘電体層と、第1の誘電体層上に設けられた金属層と、金属層上に設けられた第2の誘電体層とを有し、第1の
誘電体層および第2の誘電体層は、それぞれ独立に、Si層(ただし、MはAlまたはZrを示し、0.13
≦y/(x+y)≦0.5、0.1≦z/(x+y)≦3.5、0≦w≦zである。)からなる積層膜付き透明基板で、熱線反射層と
誘電体層が積層された積層膜を有する積層膜付き透明基板において、熱線反射層の機能を保持しながら、耐湿
性、耐熱性に優れる積層膜付き透明基板を提供する。

【符号の説明】
10A,10B…積層膜付き透明基板、1…透明基板、
2A,2B…積層膜、21…第1の誘電体層、22…金属層、23…第2の誘電体層、24…第1のバリ
ア層、25…第2のバリア層、
3…ガラス基板、4…粘着層、100…ガラス積層体。

● 読書日誌:カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』 No.14

  

第3章
「わたしは別に心配していませんでしたよ、あなた。今夜のうちに会いに行けと言ったのは、あなたのほ
うですよ」

ま、会えてよかった。どちらが心配していたにせよ、もうその必要はなくなったんだから」
ベアトリスはアクセルの腕をほどき、揺り椅子をそっと後ろに揺らした。「アクセル」と呼んだ。「薬師
からある修道僧のことを聞いたの。自分よりずっと賢い人だと言っていました。この
村にも助けてもらっ
た人は多いそうですよ。ジョナスという名の老修道僧で、東への山道を一
日登ったところの修道院にいる
んですって」

「東への山道か」アクセルは、アイバーが半開きにしたまま出ていったドアに向かって歩き、暗闇をのぞ
き込んだ。「
「なあ、お姫様。明日は森の道を行く予定だったが、山道に変えてもいい
んじやないか」
「山道は大変ですよ、アクセル。登りばっかりだもの。旅の日程が少なくとも一日は延びます。息子がわ
たしたちの到着を首を長くして待っているのに」

「そうなんだが……残念な気がする。せっかく近くまで来て、賢い修道僧に会わずに去るのはな」
「薬師はね、わたしたちが東に向かうと知っていて、それならついでに、って思っただけなんですよ。息
子の村は森の道を行ったほうが簡単だからと言ったら、よけいな時間をかけてまで
行くことはないって薬
師も言っていました。もともと年齢にともなう痛みだけで、ほかはどこ
も悪くないんですから」

アクセルは戸口から暗闇を見つめつづけた。「それでもだ、お姫様。もう少し考えてもいいん
じやないか。
おっと、アイバーが戻ってきた。苦虫を噛み潰した顔だ」


アイバーがぜいぜい言いながら入ってきて、毛皮を何枚も積んである幅広い椅子にどすんと
腰をおろした。
杖が音を立てて足元に転がった。

「若いばか者が、柵の外側を悪鬼がよじ登るの
を見た、もう柵のてっぺんからこっちを見ている、と言い
おる。それで大騒ぎよ。わしはどう
すればいい。何人か集めて、ほんとうかどうか見にいかせるよりある
まい?もちろん、やっ
か指し示す場所になど、夜空以外に何もありはせん。なのに、悪鬼だ、悪鬼だ、こ
っちをにら
んでいると言い張る。ほかの連中は怖気づいて、子供みたいにこのわしの背中に隠れるしまつ
だ。手の鍬や槍は何のためだ。やつめ、最後には白状しおった。見張りの途中で居眠りして、夢の中で悪
鬼を見たらしい。だが、そう判明したからって、連中が急いで持ち場に戻るか?
とんでもない。震えるばかりで動こうともせん。ぶちのめすぞ、家族の目にもマトンと見分けがつかんほ
どに-そう脅してやっとだ」アイバーはまだ荒い息遣いのまま、あたりを見回し
た。「お相手できなくて
すまんな、お二人さん、わしは中のあの部屋で眠らせてもらう。少しは
眠らんとな。何もして差し上げら
れんが、適当にくつろいでくれ」

「とんでもない、長老」とアクセルが言った。「こんなに居心地のいい家にお招きいただいて、感謝して
います。もっといい知らせで呼び出されたのならよかったのに、残念でした」

「待つしかあるまい。もっと夜遅くか、朝になるかもしれん。お二人さんは、明日、どちらに向かわれる
のかな」

「明朝、東に向かい、息子の村を目指します。きっと首を長くして待っていることでしょう。ですが、そ
のことでちょっとお知恵を拝借したい。妻とわたしは、いま、どの遣を行くか話し合う
ていたところです。
山道を行けば、修道院でジョナスという賢人に会えると聞きました。
意見を参考にしたいちょっとした問
題かありまして」
「わしは直接会ったことはないが、ジョナスは確かに敬われておるよ。ぜひ会いに行くといい。ただ、こ
れは心得ておかれよ。修道院への道のりはそうやさしくない。終日ほとんど上りばかりだ。ようやく平ら
になってからも、今度は道に迷わないよう注意が必要だ。そこはもうクエリグの国だからな」

「クエリグとは、あの雌竜のことですか。長いこと噂を聞きませんでした。このあたりではまだ恐れられ
ているのですか」

「もう山を離れることはめったにない。近くを通る旅人を何かの拍子で襲ったりすることもあるようだが、
襲撃の噂のほとんどは別の獣か山賊の仕業だろう。わしの見るところ、クエリグの脅威なるものは、実際
に何をやったかより、存在していること自体から来ている。あれが自由の身であるかぎり、国のいたると
ころで悪が-ありとあらゆる悪が、流行り病のようにはびこる。たとえば、今夜の騒ぎのもとになってい
る悪鬼どもにしてもそうだ。いったいどこから来たものか。あれはただの鬼ではない。ここでは、これま
であんなやつらを目にしたこともなかった。なぜここに来て、川沿いになど腰を落ち着けたものか。クエ
リグ自身はめったに姿を現さないとしても、多くの賄い力があの竜から生じている。いまだに殺されてい
ないのは、じつに嘆かわしい」

「でも、アイバー、そんな竜に桃みたい人がいるのかしら」とベアトリスが言った。
「クエリグってすごく獰猛なんでしょう?険しい場所に潜んでいるとも聞くし」
「そのとおりだ、ベアトリスさん。恐るべき難事業だな。じつはアーサー大王の時代からの生き残りで、
昔、当の大王からクエリグ退治を命じられた騎士がいる。山道を行けば、出会うかもしれんな。会えぼ、
すぐわかるよ。錆だらけの鎖帷子を着込んで、くたびれた馬にまたがり、人を見ればわが身に下された神
聖なる使命について語らずにおられん男だ。だが、わしが見るところ、あの老いた間抜けに雌竜が不安を
覚えたことなど、これまでに一瞬もあるまいよ。あいつが義務を果たすのを待っていたら、わしらはいっ
たいいくつになることか。というわけで、お二人さん、修道院にはぜひ行きなされ。だが、くれぐれも注
意を怠らず、日暮れまでには安全な場所に身を隠しなされ」

アイバーは中の部屋に向かったが、ベアトリスが不意に起き直って言った。

「アイバー、さっき霧の話をしていたでしょう?霧の原因について何か聞いたっていう話?途中であなた
に用事ができて、それきりになったけど、そのお話、もう少し詳しくうかがえないかしら」
「ああ、霧な。霧とは言いえて妙だ。わしが間くことはどれも噂だから、どれほどの真実が含まれている
かわからんよ、ベアトリスさん。あれは去年、馬で通りかかって、ここに泊まっていった旅人が言ったこ
とだ。今夜の勇敢な客人と同じで、その人も沼沢地から来たと言っていたな。言葉に誂りがあって、なか
なか聞き取りにくかった。やはり、このぼろ屋に泊まってもらった。夜更けまでいろいろと話して、その
なかに、お二人の言う霧のこともあった。この村の不思議な病に興味を持ったようでな、根掘り葉掘り尋
ねてきて、そのうえで言った意見だ。
間いた直後はどうとも思わなかったが、その後、折に触れ思い出して、なんとなく考えるようになった。
その男が言ったのは、ひょっとして神ご自身がお忘れになったのではないか、ということだ。われらの過
去、遠くの出来事、今日のあれこれ――神ご自身が多くを忘れてしまったのではないか。神の頭に残って
いないんじや、命に限りある人間の頭に残るはずがない、とな」
 
ベアトリスはアイバーをじっと見つめた。「そんなことありうるかしら、アイバー。わたしたちはみな神のいとし子でし
ょう?わたしたちがしたこと、わたしたちに起こったことを、神が忘れるなんて……」
 「わしもそう思って男に尋ねてみたよ、ベアトリスさん。で、男も笞えられなかった。だが、それ以来、あの男の言っ
たことをよく考えるようになった。お二人の言う霧の説明としては、ほかより劣るものではないかもしれん。さて、お二
人さん、失礼するよ。休めるうちに少しでも休んでおかんとな」


ベアトリスに肩を揺すられ、アクセルは目を覚ました。どれほど眠っていたのかわからな
い。あたりはま
だ培かったが、外で物音がしている。頭上のどこかでアイバーの声がした。「い
い知らせであることを祈
ろう。村の最期でないことを」と。アクセルはすぐに起き直ったが、
アイバーの姿はもうなかった。「急
いで、アクセル。どちらの知らせか見にいきましょう」とベ
アトリスが言った。

アクセルはかすむ目をこすりながら妻の腕をとり、一緒に夜の道によろめき出た。ともされている松明の
数がさきほどよりずいぶん多い。一部は冊の上部に置かれ、下の道を照らしてい
て、歩くのがだいぶ楽に
なっていた。いたるところに人の動きがある。犬が吠え、子供が泣い
ている。やがて、人の動きがしだい
に秩序だったものになり、一つの方向に急ぎ足で向かう流
れができた。気がつけば、アクセルとベアトリ
スもそれに加わっていた。突然、流れが止まっ
た。見ると、そこはもう中央広場だ。昨夜はアイバーの家
にたどり着くのにあれだけの苦労を
したが、どうやらもっとすんなりとたどれる道があったようだ。笥火
が昨夜にもまして盛大に
燃えている。あまりの燃え盛りように、一瞬、火の熟さのために前に進めなくな
ったのかと思
ったほどだが、そういうことではなさそうだ。居並ぶ人々の頭越しに前を見ると、そこにあ
戦士の姿があった。相変わらず落ち着きはらっている。毎火の左側に立っていて、体の片側だけが光に
照らされ、反対側は影だ。冪火側の顔半分が小さな染みで覆われているのが見える。


あれは血だろうか………アクセルは、舞い上がる絹かな血しぶきの中を戦士が走り抜けていく
姿を思い描
いた。長髪はまだ紐で結ばれているが、やや乱れ、濡れているようにも見える。服
は泥で汚れ(たぶん、
血も混じっているだろう)、出発時に無造作に肩に放り上げられていたマ
ントには、いくつもの破れ目が
ある。だが、戦士自身はまったく無傷のようだ。アイバーら、
村の長老三人と穏やかに話している。腕を
曲げていて、肘の内側に何かを抱え込んでいるのが
見えた。

いつの間にか、また名前の連呼が始まっていた。最初はそっ、だがしだいに大きくなり、戦士が振り向い
て応えるまでやまなかった。戦士の物腰にはこれ見よがしの強がりなどない。

群衆に向かってなにやら語りはじめたときも、全員に聞こえる大きな声なのに、親しげな口調でそっと話
っている印象を与えた。重い内容を語るのにふさわしい口調に聞こえた。


群衆は静まり返り、一言も聞きのがすまいとじっと耳を傾けていた。ときおり、その口から
共感の歓声や
恐怖の叫びが漏れた。話しながら戦士がついと後ろを振り向き、背後の一箇所に
群衆の注意を向けさせた。
毎火がつくる光の輪の瑞に二人の男がすわっていた。それが戦士と
同行した二人であることに、アクセル
はそのとき初めて気づいた。二人はまるで高いところから落ち、目がくらんで立ち上がれないといった様
子ですわっている。群衆が二人の名前を呼びはじめても、まったく気づかないふうで、目の前の虚空を見
つめつづけていた。

戦士はまた群衆に向き直り、何かを言った。その何かで、群衆の連呼の声が弱まり、やんでいった。戦士
は簿火に近づき、腕に抱えていたものを反対側の手に持ちかえて、空中に高々と差し上げた。
アクセルの目に顔のようなものが見えた。喉のすぐ下で切断された太い首と、それにのっている顔だろう
か。頭のてっぺんから黒い癖毛が垂れて、顔を縁どっているように見えるが、顔そのものには不気味なほ
どに凹凸が欠けている。両目と鼻と口のあるはずの場所には、ちょうど鷲鳥の羽根をむしったあとのよう
なぼつぼつのある肉があるだけで、頬とおぼしき場所からは鳥の綿毛のような房がいくつか下がっている。
群衆からうめき声が漏れ、同時に全員が一歩後ずさりしたように思えた。そのとき、いま自分が見ている
これは顔などではない、とアクセルは気づいた。これは人間に似てはいるか、何か異常に大きい生き物の
肩と上腕の一部だ………戦士はいま腕を二頭筋筋頭近くの切り口でつかみ、肩の部分が上になるようにし
て、戦利品のように謁げている。その状態で見ると、毛に見えたものも毛ではないことがわかった。あれ
は、切りロからぶら下がっている体内組織のあれこれだ……… 戦士はすぐに戦利品を下ろし、そのまま
手を放して足元に落ちるにまかせた。残骸の主への大きな蔑みを、これ以上は持ちつづけられないという
感じだろうか。群衆はまたI歩後ずさりしたが、気を取り直したように一歩前へ戻り、また戦士の名前を
呼びはじめた。だが、戦士がふたたび口を間くと、連呼はすぐにやんだ。戦士の言うことがまったくわか
らないアクセルにも、周囲の興奮がぴりぴりと肌で感じられた。ベアトリスが耳元でささやいた。

「英雄さんは、怪物を二匹とも殺したそうですよ。一匹は森に逃げ込んだけど、あの深手では夜を越せな
いだろうって。もう一匹は生意気にも立ち向かってきたから、罰として、いま地面に転がっている部分を
切り取ってきたんですって。ほかの部分は痛みを鎖めるために湖まで這っていって、そのまま黒い水底に
沈んだそうですよ。子供は見ましたの、アクセル?あそこにいる子供?」

篝火の向こう、ほとんど光が届いていないあたりに数人の女がいて、石の上にすわっている痩せた黒髪の
若者を取り囲んでいた。若者の背丈はもう大人と言っていいほどだが、いま身をくるんでいる毛布の下に
は、ひょろりとした少年の骨格があるのが見てとれる。一人の女が俑を持ち出し、顔と首から汚れを洗い
落としてやっているが、少年はまったく無関心だ。その目は自分の真ん前にいる戦士の背中に釘付けにな
っている。ときおり頭を傾け、戦士の両脚の向こうに視線を回り込ませて、地面に転がる例の異物を見て
いる。

少年の無事を見ても、アクセルの心には安堵も喜びも湧いてこなかった。ただ漠然とした不安だけが広が
り、なぜだろうと思った。生きたまま助け出され、大きな怪我もしていないようなのに、なぜ……? 最
初は、少年自身の振舞いが奇妙なせいかと思ったが、この状況のどこがおかしいのかにすぐ思い当たった。
つい昨夜まで、この少年の安否こそが村全体の晨大の関心事だったはずだ。なのに、この少年の迎えられ
方はどうだろう。とても関心の大きさに合っているとは言えない。村人の態度はどこかよそよそしく、冷
たいとさえ見える。村でマルタが行方不明になったときのことを思い出した。マルタ同様、この少年も忘
れられようとしているのだろうか。いや、あれとはやはり違う。村人たちは忘れたのではない。現にいま
少年を指差している。そして、少年の世話をしている女たちは、弁解がましい態度で村人をにらみ返して

「全部は聞き取れないけど、あの子のことで言い争いをしているみたいですよ、アクセル」とベアトリス
が耳冗で言った。

「無事連れ戻されたというのにね。それに、あの子だって、恐ろしいことを見たわりに驚くほど落ち着い
ているのに」

戦士はまだ群衆に向かって語りかけていた。その声には、いまや懇願の響きが混じっていた。ほとんど非
難にも近い口調に、群衆の雰囲気がしだいに変わっていくのが感じられた。畏敬と感謝の気持ちが薄れ、
徐々に別の感情に取って代わられていく。アクセルの周りで大きくなるざわめきは、混乱のざわめきだ。し
かも、恐怖さえ混じってきている。戦士がまた語りかけた。声に厳しさを響かせ、身振りで背後の少年を
指し示している。そのとき、アイバーが簿火の光の中に入ってきた。戦士の横に立って何かを言ったが、
群衆の一部から返された反応は、戦士のときより遠慮のない抗議のうなり声だ。アクセルの背後で何かを
叫ぶ声が起こり、それが合図だったかのように周囲のいたるところで言い合いが始まった。アイバーが声
を荒らげ、一瞬、静寂が生まれたものの、たちまち怒鳴り合いが戻った。光の届かないところでは小競り
合いすら起こっていた。

「ね、アクセル、急いでここを離れましょう。ここにはいられない」とベアトリスが耳元で大きな声を出
した。

アクセルはベアトリスの肩を抱き、人混みを掻き分けて進みはじめた。だが、何かを感じ、もう一度振り
返った。少年は先ほどの場所にそのまますわっている。目の前で起こっている騒ぎにも気づかない様子で、
相変わらず戦士の背中を見つめている。だが、世話をしていた女が少年から数歩離れ、不安そうに少年と
群衆とを見比べている。ベアトリスがアクセルの腕を引っ張った。「アクセル、お願いよ。連れて出て。
怪我をさせられたくない」

村人は、いま一人残らず広場に集まっているのだろう。アイバーの家に戻る道々、二人は入っ子一人見か
けなかった。ようやく家が見えたとき、アクセルはベアトリスに尋ねた。
「さっきはどんな話が交わされていたんだい、お姫様」
「よくわからないんですよ、アクセル。もともとよくわからないところに、一度に大勢がしやべるんです
もの。助けられた少年のことで何かあって、みんな鯛癩を起こして………でも、そのうちわかるでしょう。
とりあえず離れられてよかった」
                             カズオ・イシグロ著『忘れられた巨人』

※ 「The Buried Giantにおけるイシグロ文学の継承と発展」池園宏、2018.5.25


                                         この項つづく

  ● 今年こそノーベル賞を

 



● メタセコイア並木沿いのカフェ

 ● 今夜の写真

 ● 今夜の一曲

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