極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

生物多様性とナノポアシーケンサ

2024年02月04日 | 能登半島地震



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

表1 各世代DNAシーケンサの特徴


新たな1細胞RNA分画解読法の開発に成功
ナノポアシーケンサーを用いた高精度解析を実現
2021年4月14日に、理化学研究所はマイクロ流体技術により一つの細胞から核RNA
と細胞質RNAを分画しそれぞれをナノポアシーケンサーで解析し、RNAアイソフォ
ーム(遺伝子ファミリー)の細胞内局在を定量する「ナノ1細胞分画解読法(Nan
oSINC-seq法)」を開発している。新型コロナウイルスのパンデミックと地域自治
会の活動と親戚・知人が相次ぎ東奔西走していたため見落とし、2024年の2月3日
のNHK教育放送は『サイエンス・ゼロ』でこのことを知る。ここは関連特許を
掲載に止める。
【関係論文】
Yusuke Oguchi, Yuka Ozaki, Mahmoud N. Abdelmoez, Hirofumi Shintaku,
"NanoSINC-seq dissects the isoform diversity in subcellular compartments of single cells",
Science Advances, 10.1126/sciadv.abe0317

・特開2021-92469 核磁気共鳴測定方法及び装置
【概要】 下図2のごとく、有効成分の結晶32内に特異的に存在する特定原子(
14N)43の核スピンを操作することにより、結晶32内において特定原子43
の近傍に存在する近傍水素原子44に所定の磁化(変調された磁化)が生じる。
結晶32内において近傍水素原子44の所定の磁化をその周囲に存在する周囲水
素原子46へ拡散させる。結晶32内に拡散した磁化が直接的又は間接的に観測
される。

図2.実施形態に係るNMR測定方法の原理を示す図
【符号の説明】 10 分光計、12 測定部、16 静磁場発生器、18 NMRプ
ローブ、25 制御コンピュータ、32 有効成分の結晶、34~40 賦形剤
50 初期工程、52 拡散工程、54 観測工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 注目粒子内に特異的に存在する特定原子の核スピンを操作すること
により、前記注目粒子内において前記特定原子の近傍に存在する近傍水素原子に
所定の磁化を生じさせる初期工程と、 前記注目粒子内において前記近傍水素原
子の所定の磁化が前記近傍水素原子の周囲に存在する周囲水素原子へ拡散した後
に、前記注目粒子内に拡散した磁化を直接的又は間接的に観測する観測工程と、
を含むことを特徴とする核磁気共鳴測定方法。
【請求項2】 請求項1記載の核磁気共鳴測定方法において、 前記所定の磁化は、
前記特定原子の核スピンにより変調された磁化である、 ことを特徴とする核磁気
共鳴測定方法。
【請求項3】 請求項1記載の核磁気共鳴測定方法において、 前記所定の磁化は、
前記特定原子から前記近傍水素原子へ移動した磁化である、 ことを特徴とする核
磁気共鳴測定方法。
【請求項4】 請求項1記載の核磁気共鳴測定方法において、 前記初期工程では、
前記特定原子の核スピンにより前記近傍水素原子に磁化を生じさせるサブパルス
シーケンスに従って、前記注目粒子を含む固体試料に対して電磁波が照射される、
ことを特徴とする核磁気共鳴測定方法。
【請求項5】 請求項1記載の核磁気共鳴測定方法において、 前記注目粒子内に
おいて前記近傍水素原子の所定の磁化を前記周囲水素原子へ拡散させるサブパル
スシーケンスに従って、前記注目粒子を含む固体試料に対して電磁波を照射する
拡散工程を含む、 ことを特徴とする核磁気共鳴測定方法。
【請求項6】 請求項1記載の核磁気共鳴測定方法において、 前記注目粒子は医
薬品に含まれる有効成分の結晶である、 ことを特徴とする核磁気共鳴測定方法。
【請求項7】 初期状態形成用サブパルスシーケンスに従って固体試料に対して電
磁波を照射して前記固体試料中の注目粒子内に特異的に存在する特定原子の核ス
ピンを操作することにより、前記注目粒子内において前記特定原子の近傍に存在
する近傍水素原子に所定の磁化を生じさせる手段と、前記注目粒子内において前
記近傍水素原子の所定の磁化が前記近傍水素原子の周囲に存在する周囲水素原子
へ拡散した後に、前記注目粒子内に拡散した磁化を直接的又は間接的に観測する
手段と、 を含むことを特徴とする核磁気共鳴測定装置。
【請求項8】 請求項7記載の核磁気共鳴測定装置において、 前記固体試料を収
容した容器を傾斜させつつ回転させる回転機構を含み、前記容器が回転している
状態において、前記近傍水素原子に所定の磁化が生じ、且つ、前記注目粒子内に
拡散した磁化が観測される、 ことを特徴とする核磁気共鳴測定装置。 
                                                                この項了
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松岡正剛×村井純 スペシャル・ロング対談「人類とデジタルと日本」
Internet Watch 2021.10.29

第3話 人類とデジタルと日本
グローバルとナショナリズムの話
デジタル、特にネットワーク化が進でいくと、世界は平たい(フラットな)社会
になっていくという見立てがある。このまま進むと、各国特有の文化が弱くなっ
てしまうという懸念がある。
文化や人の多様性を尊重するという話は一番大事だと思っていて、むしろそのた
めにデジタルは貢献できると思っている。そのためには、多様性のためには、何
を保存しておくかが重要になる。

保存するコストを下げるのがデジタル
個性を磨く、文化を磨く、そのためには情報を保存することが大事だが、それに
はコストがかかる。フラット化するのではなく、情報を共有したり保存するコス
トを下げたりするのがデジタル。また、個性を成長させるのがデジタルテクノロ
ジ。絵が描ける人がもっと絵が上手になる、歌が歌える人がもっと歌がうまくな
る。そのための道具だてを作るのがデジタルテクノロジだ。

みんなが幸せなら戦争は起こらない
そのことが新たな矛盾を生み出すかもしれないけど、それはまた別の問題。それ
ぞれの個性が生き生きとしたら、ぶつかり合いも起こらない。ぶつかり合いは貧
してるから起こる。みんなが幸せならぶつかり合いは起こらないはず。デジタル
はいろんなコストを劇的に下げるので、お金がかからなくなるから貧乏から解放
されて、ぶつからないので戦争は減る。デジタルは個人を強くしていく。
1980年代のパーソナルコンピュータの登場で個人の処理能力が拡張されて以来、
インターネットがコミュケーション能力を拡張し、デジカメ、スマホなど、その
拡張ぶりは止まっていない一方で、そのために国との葛藤が激しくなっている。
それは貧富の差があり、貧富の差が激しいと革命が起こる。貧すれば鈍す。鈍す
ると貧する。デジタルの力で個人がハッピーになっていけば、その未来は明るい
はず。

脳神経の専門家の参画が必要
ここで松岡正剛は、「21世紀の前半では、みんなの幸せではなく、もう少し尖っ
た充実の多様性をテストしたほうがいい。ハッピーを10段階くらいにするとか、
少数者の充実度にも脚光をあててみるとか」と提案している。彼は、デジタルが
高じサイバー化し誰もがそこそこ何でもできるようになると、意識とか判断とか、
価値判断とだんだんつながって。海中や宇宙を含めてのバンド幅でそんな判断し
ていることは、欲望の質がだんだん均質化し、欲望が市場を制圧しているときも、
犯罪が起こったときも、サイバーテクノロジーが直前まで機能することとなり、
それを人間の脳が受けとっているので、法律化とか教育化をしていくときにデジ
タルのサイバーと脳のサイバーを繋げておかないとヤバイことになるので、脳研
究や価値観研究をやるひとが参画していないと危ない。つまり、宇宙の低軌道衛
星から海底のファイバーまでのバンドの中で組み立て直し、拡張しなければなら
ない。

インターネット側で人の頭の中の仕組みを先取り
生命の形、たとえば神経系や血脈はロジスティクスや道路とかに活かされ、イン
ターネットと脳の研究は、こんなに早くITがここまでくると誰も思っていなかっ
た。従って、基礎のところで終わっており、インターネットの中にニューラルネ
ットワークのシナプスだとかニューロトランスミッターなどのように、デジタル
の側から脳神経のほうにアプローチし、人の頭の中に当てはめて先取りすること
を提案。

生物からの視点の重要性-共同体観測システム様態
そして、松岡は、人間側ではいろんなデータが取れるようになったが、植物とか
生物のほうには情報の端末を入れてこなかったが、生命は大腸菌やウイルスと共
生しながら情報を編集しており。ここまでくれば、コウモリやイルカなどの生態
系も含め、海中のファイバーと宇宙の衛星を使って全部一緒に観察できる共同体
観測システム様態が出来ている。生物系とか生態系にデジタル化が進まないのは
何故かと指摘。SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)的な
ことの解決には、そういう視点が欠かせないと。また、おそらく地球学的な地震
の情報が重要。生物からのビッグデータですね。もし魚から情報をもらえていれ
ば、プラスチック問題はここまで深刻になる前に気づくだろうと。

日本はフラジャイル(脆弱な)国
松岡は、「日本という方法」を提唱、その例に苗代のことなどを挙げる。ディー
プなところでは日本列島が地震と津波と台風、火事が多いこと。それゆえ日本の
歴史は復興・復活型なんです。必ず蘇る。お米、鉄、漢字の3つが日本を作った。
これはすべて中国からの外来もの。漢字は、そこから仮名まで作り出し、読みも
音読みと訓読みを作った。そして自在なカリグラフィックな書道も作り上げてき
た。鉄は当時、さなぎという独特の技術で鉄も金もこなして、それを仏像などに
活かしてきた。米は鉄砲水が出るので、田んぼを作らないといけない。それと、
別に苗代で病弱な苗を強くしておいて移し替えるようにした。こんなふうにけっ
こう工夫して、コンバージョンによって日本の社会文化の基礎を作ってきた。こ
れらの方法によって、日本は独自の成長を遂げた。こうして明治で西洋化を導入
し、大きな敗戦はしてしまったけれど、高度成長の途中まで、池田勇人から佐藤
栄作の途中くらいまでうまくやっていた。でも、公害が起こる、低賃金問題など
も起こる。こういうものの是正をしていく中で、従来の仕組みの長所も放棄して
しまった。松下幸之助が松下流の労務管理を作り上げ、それを1970年代で切り替
えてきた。あとは新自由主義的なグローバリズムに浸ってしまった。以来、冒頭
に言った漫画や絵文字、独特の手法も、大事なものの表現を失う。 
                                                                    了

村井 純(むらい じゅん、1955年3月29日 - )は、日本の計算機科学者。工学博
士(慶應義塾大学・1987年取得)。専門は情報工学(コンピュータネットワーク)。
慶應義塾大学教授(有期)、慶應義塾大学名誉教授。JUNET設立者。WIDEプロジェ
クトFounder。内閣官房参与(デジタル政策担当)、デジタル庁顧問
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多様性の日本と環境激変への進化
日本列島の南と北
多様性の日本列島 日本列島の中央には脊梁山脈が走っ系だけではない。災害の
多諭旨の列島でもある。地震、津波、水害、高潮、土石流、地滑り、火山噴火干
ばつ、冷害、疫病と、日本に無い災害は無い。日本は災害のショーウィンドウと
言われている。日本列島はアジアモンスーン帯と太平洋地震帯に位置している。
地形と気象が日本人に多様な生態系を与え、多くの災害をもたらしてきた。日本
人は長い歴史の中で、各地で多様なモノづくり様式を生み出していった。

進化で生き延びる世紀
地球環境が激変しつつある。海水温は確実に上昇し、世界の気象に直接影響を与
えていく。「気象の狂暴化」は世界中で顕在化し、大水害、大規模山火事、シベリ
ア凍土の融解と経験したことのない災害に襲われている。地球の環境激変の中で
生き残にはどうすればいいのか。現代文明を創った人類にとってこのような環境
大激変は未経験であり、地球は何度も大きな環境激変を受けてきた。その環境激
変を多くの生物は生き延びてきた。私たち人類は地球上の生物の生き残り歴史に
学ぶことはできる
。生物は環境激変に応じて進化して生き延びた。生物の歴史で、
環境激変で真っ先に滅亡していったのは均一な種であり境激変で生き残った
のは多様な種を持つ生物
であった。

進化は分散
進化の系統図の例を図で示す。進化とはある種が分岐して異なった種になってい
くプロセスである。生物多様性は英語でBio Diversityである.Bioは生物でDiversity
はDivert
の名詞である。 Divertは分岐、分離である。(図で進化をモデル化)。
生物は環境に応じて次々と分岐して異なった種になっていく。日本語の生物「多
様性」は、多くの種が出来たあとの「結果」を示す言葉である。英語の「Biordive-
rsity」
は分岐
する「瞬間の現象」を意味している。 その時、分岐して結果で多様に
なっていく。
今、分岐しなければ将来の多様性はない。頭で多様性を考え、言葉
で多様性を主
張しても多様性は実現できない。今、分岐していくかどうかの決断
である。  
地球環境が激変していく未来、人間社会も進化しなければならない。しかし、人
間社会の進化はなかなか難しい。人間社会が進化するには、未来の地球と社会環
境を見通す必要がある。さらに、生き延びていくため現時点で分岐する決断を求
められている。日本人は多様な地形と自然環境の中で、多様な分散社会を構築し
たメモリーを持っている。Divertする、つまり過去、日本人が分散して生きてきた
ことが進化と再確認すればよい。日本の生き残りの作戦は、近代技術と情報イン
フラを駆使して、各地を情報ネットワークで結んだ21世紀型・列島分散社会を構
築していくことである。 (竹村公太郎箸「多様性の日本と環境激変への進化」(
環境ビジネス 2024 冬季号)

竹村 公太郎(たけむら こうたろう、1945年〈昭和20年〉10月12日 - )は、日
本の作家、歴史学者、土木工学者、元建設・国交官僚。学位は博士(工学)(名
城大学・2004年)。研究分野は土木工学、特に河川工学。神奈川県出身
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自然・生物多様性の損失をもたらす5つの要因
①土地・海洋利用の変化:
・土地の農業・畜産目的の増加
・熱帯原生林の急速な破壊・消失(年間300万ヘクタール以上が減少)
・デッド・ゾーン(ほとんどの海洋生物が生存できない無酸素状態の海域Jの数の
 増加(過去50年で4倍)   
②気候変動
・北極圏の森林における火災の増加(頻度と大きさは今後も深刻化) 
・サンゴ礁の消失( 今悛1,5"Cの気温上昇でさらに70~90%、2℃の上昇では99%
 以上か消失と予測)  
③天然資源の利用・開発
・魚類資源の通運な漁獲
・化石燃料やバイオマスを含む天然資源の年間採取量の増加(1970年以来3、4倍
 に増加)
④汚染
・無機質窒素肥料の使用による土壌への蓄積や海への流入(年間1億トン以上が
 使用)
⑤侵略的外来橿
・外棄腫の増加による地域の生態系や生物多様性への悪影
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桁違いの大電力制御の力をもつ「ダイヤモンド半導体」の可能性
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[関連特許]
5.特開2023-179710 MIS型半導体装置の製造方法

【0092】
 
【0093】
ここで、は換算プランク定数、nimp(2D)は表面荷電不純物濃度、mc*は表面に
平行方向の有効質量、mz*は表面に垂直方向の有効質量、eは電気素量、kFはフ
ェルミ波数ベクトル、ε0は真空誘電率、εSはダイヤモンドの比誘電率、qは二
次元波数ベクトル、dは表面荷電不純物が存在する位置の表面からの距離、qTF
はトーマス-フェルミ波数、ps2Dは二次元ホールガスシート密度、kBはボルツ
マン定数、ρは結晶質量密度、ulは縦音響フォノン速度、Tは温度、Δは二乗
平均平方根表面ラフネス、Lは表面ラフネスの横方向の緩和長、そしてDacは音
響変形ポテンシャルである。


図19 実施例1で作製したMIS型半導体装置の電気特性を示す特性図
【0094】 図19に示す移動度μとキャリア密度nの理論曲線は、以下の式(A5
)および(A6)より求めた。ここで、実験では低磁場のホール効果によって移
動度とキャリア密度を求めていることを考慮し、以下の低磁場における移動度と
キャリア密度の式を使った。
μ =(nHHμHH2+nLHμLH2+nSOμSO2)/(nHHμHH+nLHμLH+nSOμSO)
・・・(A5)
n =(nHHμHH+nLHμLH+nSOμSO)2/(nHHμHH2+nLHμLH2+nSOμSO2)
・・・(A6)
ここで、nHH、nLH、nSOはそれぞれ、重い正孔バンド、軽い正孔バンド、スピ
ン軌道スプリットオフバンドに属するホールの面キャリア密度である。あるトー
タルのキャリア密度の場合に、nHH、nLH、nSOにどのように分布するかは、以
下の式(A7)—(A10)からシュレーディンガー方程式とポアソン方程式を連
立して解くことにより求めた。
【0095】


【0096】
ここで、iは、重い正孔バンドHH、軽い正孔バンドLH、スピン軌道スプリッ
トオフバンドSOでの状態を代表していて、その何れかを表わす。 mziは表面
垂直方向の有効質量(mzHH*、mzLH*、mzSO*)、m//iは表面平行方向の有効
質量(mcHH*、mcLH*、mcSO*)、eφ(z)はポテンシャルエネルギー、Eni
は固有エネルギー(i=HH,LH,SOの第nサブバンドの最高エネルギー)
Ψniは固有エネルギーEniに対応する表面垂直方向の波動関数、EFはフェルミ
レベル、nniはi=HH,LH,SOの第nサブバンドを満たすホールの面キ
ャリア密度、およびn2Dはトータルのホールキャリア計算に使ったパメーのとお
りである000097たパラメータは以下のとおりである。 温度 T=300 K ダイ
ヤモンドの比誘電率 εS=5.7 密度 ρ=3515 kgm-3 縦音響フォノン
速度 ul=17536ms-1 変形ポテンシャル Dac=8eV 二乗平均平方根
(RMS)表面ラフネス Δ=0.25nm 表面ラフネスの横方向の緩和長 L
=2nm 負の電荷の表面からの距離 d=0 表面に平行方向の有効質量 mc*
重い正孔バンド mcHH*=0.299m0 軽い正孔バンド mcLH*=0.503m0
スピン軌道スプリットオフバンド mcSO*=0.375m0 (m0は静止質量)
表面に垂直方向の有効質量 mz* 重い正孔バンド mzHH*=0.763m0 軽い
正孔バンド mzLH*=0.248m0 スピン軌道スプリットオフバンド mzSO*=
0.375m0 スピン軌道ギャップエネルギー ΔSO=6meV ドナー密度
ND=1.76×1016cm-3(0.1ppm)
【0098】
図19から、半導体層として水素終端ダイヤモンドを、またゲート絶縁膜33と
してh-BNを用い、水素終端層を形成してからh-BNを貼り合わせるまでの
環境を真空および大気圧のArガスとして作製されたFET(MIS型半導体装
置)は、2×1011cm-2から6×1012cm-2のホール(Hall)密度領域
で、5×102cm2V-1s-1以上という高いホール(Hall)移動度が得られ
ることがわかる。 このホール(Hall)移動度は、同構造で水素終端層を形成
してからh-BNを貼り合わせるまでの環境が大気の下で作製されたFETのそ
れに比べ約2倍である。また、非特許文献5で開示された(図19に示された)
これまでに報告されたダイヤモンドFETの移動度と大気に晒された水素終端ダ
イヤモンドの表面伝導の移動度に比べ大幅に高いものである。 また、音響フォノ
ン、表面ラフネスおよび表面電荷不純物の効果を取り込んで計算されるシミュレ
ーション結果と実験結果を比較すると、本発明のFETの実験結果は、表面電荷
不純物が5×1011cm-2のときの理論計算とよく一致していることがわかる。
このことから、本発明の半導体層として水素終端ダイヤモンドを、またゲート絶
縁膜33としてh-BNを用い、水素終端層を形成してからh-BNを貼り合わ
せるまでの環境を真空および大気圧のArガスとして作製された実施例1のFE
Tの表面電荷不純物は、約5×1011cm-2と考えられる。さらに、この表面電
荷不純物が1×1011cm-2に低減された場合は、上記の2×1011cm-2から
6×1012cm-2のキャリア密度領域で、1×103cm2V-1s-1以上という高
い移動度が得られると理論計算される。 実施例1のFETは、キャリア密度が
1012~1013cm-2領域において、ダイヤモンド半導体層22とゲート絶縁体
層23との界面に存在する表面電荷による移動度の抑制が少なく、ダイヤモンド
半導体材料のもつ高移動度特性が引き出せて、移動度の高いものとなる。


図20.実施例1で作製したMIS型半導体装置の電気特性を示す特性図
【0099】
図20に、作製したMIS型半導体装置201のドレイン電流密度のドレイン電
圧依存性を示す。ここで、ゲート長LGは8μm、ゲート幅LWは0.8μm、h—
BNからなるゲート絶縁膜33の膜厚は23nmである。測定温度は300Kと
し、ゲート電圧VGは-10Vとした。ヒステリシスが僅かに認められるが、p
型で良好なFET動作が得られている。
【0100】

図21 実施例1で作製したMIS型半導体装置の電気特性を示す特性図

図21に、ソース-ドレイン電圧VDSが-10Vのときのドレイン電流密度のゲ
ート電圧VG依存性を示す。ゲート長LG、ゲート幅LW、ゲート絶縁膜33の膜厚
および測定温度は図20の場合と同じである。この結果から、6桁以上の高いO
N/OFF比が得られ、またゲート電圧VGが0Vのときのドレイン電流密度は
4×10-4mA・mm-1より小さいことがわかる。作製したMIS型半導体装置
201は、消費電力の少ないFETであることが確認された。


図22 実施例1で作製したMIS型半導体装置の電気特性を示す特性図 
【0101】 図22に、相互コンダクタンスgmのゲート電圧VG依存性を示す。この
場合も、ゲート長LG、ゲート幅LW、ゲート絶縁膜33の膜厚、ソース-ドレイ
ン電圧VDSおよび測定温度は図21の場合と同じである。作製したMIS型半導
体装置201は、良好な相互コンダクタンスgmの特性を有することがわかる。
【0102】
図23に、ゲート電圧VGとドレイン電流IDの関係を示す。また、この実測デー
タを基にドレイン電流の平方根|ID|1/2のゲート電圧VG依存性をプロットし
た結果を図24に示す。ここで、ゲート長LGは8μm、ゲート幅LWは0.8μ
m、h—BNからなるゲート絶縁膜33の膜厚は23nmである。測定温度は30
0Kとし、ドレイン電圧VDは-10Vとした。 この結果から、しきい値電圧V
THは-0.792Vと算出され、実施例1で作製したMIS型半導体装置201
はノーマリーオフ動作をすることが実証された。

【産業上の利用可能性】
【0103】 本発明により、耐圧や耐熱性などの材料特性に優れるダイヤモンド半
導体を用いて、キャリア移動度(ホール移動度)が高く、かつ待機時の消費電力
が少なくて省エネルギーに資するMIS型半導体装置を製造する方法を提供する
ことが可能になる。 このため、本発明は、高温環境で利用可能なロジック回路、
高温環境で利用可能なインバーターなどのパワーデバイスを例とした大電力、高
周波、高温対応の半導体装置の道を切り開くものとなっており、産業上大いに利
用されることが期待される。
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【符号の説明】 11:炭素 12:水素 13:ホウ素 14:窒素 21:ダイ
ヤモンド基板 22:ダイヤモンド半導体層 23:ゲート絶縁体層(ゲート絶縁
膜) 23a:絶縁膜 24:導電体層(ゲート電極) 25:絶縁膜 25a:絶
縁膜 26:低抵抗化層 27:ゲート電極配線 28:ソース電極およびその電
極配線 29:ドレイン電極及びその電極配線 31:ダイヤモンド基板 32:
水素終端層 33:ゲート絶縁膜(ゲート絶縁体h-BN) 33a:絶縁膜 3
4G:ゲート電極(グラファイト) 35:導電膜 35a:導電膜 36:導電膜
36a:導電膜 37S:ソース電極 37D:ドレイン電極 42:低抵抗化層43:
酸素終端層 43a:酸素終端層 51,52,53:レジストパターン 61:
絶縁膜(素子分離用h-BN) 62:導電膜(電極配線) 62a:導電膜62G:
ゲート電極配線(ボンディングパッド配線) 62S:ソース電極配線(ボンディ
ングパッド配線) 62D:ドレイン電極配線(ボンディングパッド配線) 71:
酸素終端と水素終端の領域の境界 101:MIS型半導体装置 201:MIS
型半導体装置 1001:処理装置 1002:処理装置 1011:水素終端処
理チャンバー 1012:ゲートバルブ 1013:ターボポンプ 1014:バ
ルブ 1015:配管 1016:スクロールポンプ 1017:バルブ 1018:
配管 1019:バルブ 1020:バラトロン真空計 1022:バルブ 102
3:プロセスガス 1024:ゲートバルブ 1025:試料搬送・一時保管室
1026:ゲートバルブ 1027:搬送中間室 1028:フランジ 1029:
試料搬送ロッド 1031:貼り合わせ処理室(グローブボックス):1032:
仕切り扉 1034:パスボックス 1035:バルブ 1036:配管 1037
:スクロールポンプ 1038:バルブ 1039:圧力計 1040:不活性ガ
ス循環精製機(Arガス循環精製機) 1041:バルブ 1042:配管 10
43:ゲートバルブ 1044:バルブ 1045:配管 1052:Arガスシ
リンダー 1053:配管 1054:バルブ 1055:バルブ 1061:排気
量調整バルブ 1062:配管 1063:真空計 1071:配管 1072:バ
ルブ 1073:フランジ 1074:ベローズ配管 1075:ターボ排気セッ
ト 1101:チャンバー 1102:アングルバルブ 1103:ターボポンプ
1104:バルブ 1105:スクロールポンプ 1106:バルブ 1107:
配管 1108:バルブ 1109:ベローズ配管 1110:バルブ 1111:
ベローズ配管 1112:真空計 E1:水素終端処理部 E2:試料搬送部 E3:
貼り合わせ処理部 E4:真空排気系
                                                            この項了
【脚注】
1.Method for mass production of 2-inch diamond wafers developed - Expected to spur
 
industrialization of power-semiconductor devices , Orbray Co, Ltd



※ 製造技術は異なるがダイヤモンドのリサイクル/アップサイクルからのダイ
  ヤモンド回収/再生技術(分別/分離/回収/等)開発は重要で今後の開発テー
  マとして考えてみた。



     風蕭々と碧いの時代
ユニコーン 『あなたが太陽』
2014.03.26
作詞・作曲:奥田民生・川西浩一

今夜の寸評 :日々の合唱 心の手当
             Thinking of those who have passed and putting your hands together
             each day bring you peace of mind.

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