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日本学士院新会員にノーベル賞の梶田隆章さんら7人が選ばれる

2019-12-14 | 学問
 日本学士院(井村裕夫院長)は、梶田隆章さんら7人を新会員に選んだ(12月12日)。業績が大きい科学者から選ばれ、特別職の国家公務員(非常勤)で任期は終身。会員数は新会員を含め第1部(人文科学)が63人、第2部(自然科学)は71人で、会員は計134人となった。
 新会員(敬称略)
 井上正仁(いのうえ・まさひと)東京大名誉教授。70歳。
 刑事手続きでの違法収集証拠の排除や捜査の強制、任意処分を分析。立法や判例にも影響を与えた。
 北川進(きたがわ・すすむ)京都大特別教授。68歳。
 ナノメートルの精度で、規則的な空間構造や形状、機能をもつ多孔性物質を自在に設計、合成できる錯体化学の分野を開いた。
 梶田隆章(かじた・たかあき)東京大教授。60歳
 宇宙から飛来する素粒子ニュートリノを観測し、ニュートリノ振動を発見。ニュートリノに質量があることを証明した。ノーベル物理学賞を受賞した。
 榊裕之(さかき・ひろゆき)豊田工業大常務理事。75歳。
 半導体の超薄膜で電子の量子効果を研究。ナノエレクトロニクスの発展に先駆的に貢献した。
 笹月健彦(ささづき・たけひこ)九州大特別主幹教授。79歳。
 HLAという分子が免疫応答を制御することを証明。アレルギーなどの感受性の基盤を示した。
 垣添忠生(かきぞえ・ただお)日本対がん協会会長。78歳。
 膀胱(ぼうこう)がんで膀胱全摘除後も尿道から自然排尿が可能な術式を開発。世界初の女性の手術に成功した。
 藤吉好則(ふじよし・よしのり)東京医科歯科大特別栄誉教授。71歳
 クライオ電子顕微鏡(細胞などの試料を壊すことなく観察できる)の開発を通して、膜たんぱく質などの立体構造解析に成功。
 ◆日本学士院
 日本学士院は、文部科学省の特別の機関である。会員は、学術上の功績が顕著な科学者から選ばれる特別職の国家公務員。
 法第1条でその目的を、「学術上功績顕著な科学者を優遇するための機関とし、学術の発達に寄与するため必要な事業を行う」と定めている。
 毎月定例の研究会を開催し、そこで研究発表が行われ、また研究成果は「日本学士院紀要」として公刊される。また、恩賜賞や日本学士院賞、エジンバラ公賞、日本学士院学術奨励賞の授賞も行っている。
 学士院会員は終身で、定員は150名である。年250万円の年金が支給される。死亡により欠員が生じた分科ごとに各部分科会員の投票により毎年12月に新会員が選定される(常に全欠員が補充されるわけではない)。
 1879年(明治12年)に東京学士会院として発足。その後、帝国学士院に改組され、太平洋戦争後に日本学士院となる。