歩けば楽し

楽しさを歩いて発見

  思い出を歩いて発掘

   健康を歩いて増進

未開の電磁波テラヘルツ波の検出感度を1万倍に向上、超高速無線通信の実用化に

2019-12-23 | 科学・技術
 大阪大学大学院基礎工学研究科の冨士田誠之准教授、永妻忠夫教授、西田陽亮(当時;博士前期課程学生)、西上直毅(博士前期課程学生)、Sebastian Diebold博士(当時;特任助教)らは、ローム株式会社と共同でテラヘルツ波の検出が可能な小型電子デバイスである共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunnelin Diode:RTD)のテラヘルツ波の検出感度を1万倍という大幅な向上を実現した。本研究成果は、英科学誌「Scientific Reports」に2019年12月2日(日本時間)にオンライン掲載。
 ポイント
 〇テラヘルツ波を検出可能な小型電子デバイスである共鳴トンネルダイオードのテラヘルツ波検出感度を同期検波によって、1万倍向上。
 〇テラヘルツ波は、超高速無線通信、高分解能センシングなどの応用が期待されているが、その発生、検出技術が未熟であるという課題があった。
 〇共鳴トンネルダイオードを用いた世界最高速のテラヘルツ無線通信実験に成功。
 〇次世代無線通信、分光分析、非破壊検査、セキュリティカメラ、高分解能レーダーなどへの応用が期待。
 研究の背景
 近年、携帯電話など、電磁波を用いた情報通信応用が進んでいる。電磁波を特徴づける値として、周波数と波長がある。一般に周波数が高いほど大容量の情報を伝送することが可能なため、次世代の携帯電話の規格である5Gでは、28ギガヘルツ帯や39ギガヘルツ帯の電磁波(ミリ波)の利用が検討されている。
 5Gを超えた超高速無線通信の実現を目指したより高い周波数の電磁波、テラヘルツ波に関する研究が進展している。テラヘルツ波を利用した応用システムの実用化に向けて、小型集積化が可能な電子デバイスによるテラヘルツ波発生器および検出器の開発が期待されているが、テラヘルツ帯は電子デバイスの高周波極限に相当するため、高出力デバイスの開発は困難である。大阪大学とロームの研究グループでは、2011年に世界で初めて共鳴トンネルダイオードと呼ばれる小型の電子デバイスでのテラヘルツ無線通信に成功し、世界に先駆けた研究開発を行ってきた。共鳴トンネルダイオードは基本波でのテラヘルツ発振が可能であり、トランジスタと比較して回路構成が簡単にできるため、低消費電力動作が可能という特徴がある。しかしながら、共鳴トンネルダイオード送信器から出力されるテラヘルツ波の出力が不十分であったため、その通信速度は9ギガビット毎秒に制限されていた。
 研究の内容
 研究グループは、検出器としての共鳴トンネルダイオードに着目した。通常、動作電圧を負性抵抗領域に設定した場合、共鳴トンネルダイオードは発振するが、検出器としての動作は不安定になる。一方、外部から到達し、共鳴トンネルダイオードにて検出されるテラヘルツ波と前述の発振周波数が十分に近い場合、共鳴トンネルダイオードの発振状態は外部からのテラヘルツ波と同期し、その発振出力が検出動作に援用されることを見いだした。このようにして、共鳴トンネルダイオード単体での同期検波をテラヘルツ帯で実現し、本方式と従来の直接検波方式を比較したところ、1万倍の感度の向上が得られた。
 また、350ギガヘルツ動作の共鳴トンネルダイオード送信器からの出力をオンオフ変調方式にて無線伝送したところ、本研究の同期検波方式を利用した共鳴トンネルダイオード受信器にて復調することで高い信号強度が得られ、30ギガビット毎秒の通信に成功した。この通信速度は、電子デバイス送受信器を用いた誤り訂正なしのエラーフリー無線通信として、過去最高の値であり、非圧縮スーパーハイビジョン映像(8K Dual Green型式)の伝送も可能である。
 今後の展開
 本研究をさらに発展させることにより、将来的には、100ギガビット毎秒を超える超高速通信も可能である。動作周波数を2テラヘルツ程度まで向上させることも期待でき、通信応用だけではなく、紙や衣服といった誘電体を透過し、特定の物質で吸収および反射されるテラヘルツ波の特性を生かした分光分析や非破壊検査、ガスや水分量の計測、セキュリティ応用および、ミリ波よりも短い波長を有するというテラヘルツ波の特長を生かした高分解能なレーダー応用なども期待できる。
 ◆用語解説
 〇テラヘルツ波
 およそ100ギガヘルツ(0.1テラヘルツ)から10,000ギガヘルツ(10テラヘルツ)の電波と光の中間領域の周波数を有する電磁波。電波の透過性と光の直進性を併せ持つ。発生、検出技術が未熟なため、未開拓電磁波領域と呼ばれている。
 〇共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunnelin Diode:RTD)
 異なる半導体材料からなるヘテロ接合により形成された2つの極薄のエネルギー障壁層と、その間の量子井戸層から構成される電子デバイス。量子井戸の両側の障壁層が十分に薄い構造では、井戸中の電子はトンネル効果により障壁層の外側に抜けることができる。一方の障壁から電子が入射した場合、量子井戸に形成されている量子準位に対応してもう一方の障壁を透過していく確率が入射電子のエネルギーにより共鳴的に増大する。この効果が共鳴トンネル効果であり、これをダイオードとして利用したデバイスで高速動作が可能。利得として働く負性微分抵抗特性を有し、共振回路と組み合わせることで発振動作する。

 今日の天気は晴れ。早朝は雨、だったようだ・・新聞がビニール袋に入っていた。
 駐車場横の”ユズ”に実が付いている。春の花には気が付かなかった。花の咲いている期間は短く、タイミングが合わないと開花を見逃す。花は純白の可愛い小さな五弁花である。(結実期は10月~11月)。
 ”ユズ”は季節とともにあり、俳句での季語は、「柚子の花」が夏、「柚子」が秋、「柚子湯」が冬である。
 今年(2019年)の冬至は、12月22日である。北半球において太陽の位置が1年で最も低くなり、日照時間が最も短くなる日である。
 ユズ(柚子、柚酸)
 学名:Citrus junos
 ミカン科ミカン属(シトラス属)
 常緑小高木、柑橘類の一種(枝に棘がある)
 原産地は中国(長江上流と言われる)
 古くに渡来し、飛鳥・奈良時代に栽培記載がある
 開花時期は5月~6月
 花は白い小さな五弁花を葉の脇につく
 結実期は10月~11月、淡黄色の熟した果実の表面は凸凹で、強い香りがする