回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

アカシア

2020年05月17日 09時27分00秒 | 日記

家の向いの公園のニセアカシア(和名でハリエンジュ)が白い花をつけ始めた。つい10日ほどまえまで、裸木同然だったのが文字通りあっという間に若芽から葉が茂り、蕾が伸びて白い花をつける。この大柄な木は、自ら樹形を整えるからそのあたりの主のようだ。冬にやせ細っていた木がこんな短時間にふくよかになり、真っ白い花を纏っているのをみると自然の持つ強いエネルギーを感じる。アカシアの花はすぐに散り始める。その散り方はまさに白い雨が降るようだ。こういうことが毎年毎年繰り返されている。

たいていの場合、単にアカシア、と呼ぶと、このニセアカシアのことを指す。ニセアカシアではない「アカシア」の木は、温暖な地方に育つ、花の色も黄色く,咲く時期も違う。いくつかある「アカシア」のなかのひとつには、フサアカシアともミモザとも(なお、ミモザはオジギソウの学名でもあり)よばれるものもあり、複雑で呼び方には注意しなければならない。

石原裕次郎が歌った「赤いハンカチ」に出てくる「あの娘がそっと 瞼を拭いた」のはニセアカシアの花の下のことだ。遅い北国の、過ぎてゆく春に別れを告げるように咲くアカシアの白い花は、ハンカチの赤と対照的な色で強く印象に残る。また、おなじく彼の「恋の街札幌」の「アカシアも散った」のもニセアカシア。

アカシアというと1970年の芥川賞受賞作、「アカシヤの大連(清岡卓行)」が有名だ。大連(かつてロシアの租借地でもあった)よりははるかに北のロシア、ハバロフスクでも街路樹にアカシアが植えられている。以前、飲料メーカーの市場調査で同地を訪れ数日間滞在し、晴天の午後、対岸に中国を望むアムール川沿いを散歩したことがあった。免税店のお土産の一つにアカシアの蜂蜜があったのを思い出す(このアカシアももちろんニセアカシア)。

今朝は曇天できれいな色が出ていない。しかし、アカシアの花は華やかさというよりもどこかに寂しさが感じられてこんな曇天が似合っている。

庭の牡丹とシャクヤクのつぼみが大きくなってきた。ここ数日寒い日が続くと予想される北海道、開花までにもう少し。

 

コメント (2)
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