郵便局から知人に小包(ゆうパック)を送ろうしたら、平常であれば配達時間を指定できるのだが、今は運送上の不安があるためにその指定が出来ない、と。もし、運送、配達の途中で誰かがコロナウイルスに感染でもしたら、すべてがストップしてしまうからだ。これまでのように、今日の最終便に間に合えばいつまでに配達される、などということが出来なくなっている。
かつて一人暮らしをしていた親に会うためによく金曜日の羽田発の最終便を利用した。退社寸前になって思わぬ仕事が舞い込む可能性があったので、用心をして最終便を予約しておき、首尾よく少し早く空港に到着できれば、そして空席があれば繰り上げて早い便に乗る。同じように考える人が多いせいか、本当に最終便に乗ることになってみると意外に空いていたりするものだ。早い便を予約してそれに遅れはしまいかと気を揉むよりも,最終便にしてもし空港で待つ事になってもそれのほうがまだ精神衛生上良い。
最終便で人影もまばらになった空港に夜遅く到着した時の気分は独特だと思う。一日の疲れがたまったような空港の空気、東京とは違う自然の息吹を感じる風、ひんやりとどこかに冷たさ。最終便は到着してからの交通に不便があるものだが、高速道路を走る車の窓から見える、明りもまばらになって静かに眠り込んでしまったような街並みにも風情がある。今は航空会社はどこでも大幅に減便しているし、また、日によって最終便を異なった時刻に設定している。9割以上の旅客減少ということではいかんともしがたい対応だ。それでもまだ運航しているだけありがたいと思うべきなのかもしれない。思い返してみると、これまで始発便よりも最終便に縁が深かったようだ。さらに、最近は最終便により親しみを覚えるようになってきたのはどういうわけか、自分にも最終が近づいているなどとは考えたくない。
数日前に同じように小包を送ったら通常通りに配達されていた。幸運だったのか、郵便局が一所懸命働いてくれたからなのか。今回も同じように到着することを祈るしかない。
羽田空港から新千歳空港。