回顧と展望

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強行突破

2020年05月28日 08時28分51秒 | 日記

イギリスの政界が騒がしい。EU離脱運動の戦略を練って国民投票に勝利し、ジョンソン首相の最側近として権勢の限りを尽くしている首相上級顧問(なんとなくいかがわしい肩書!!)である、ドミニク・カミングスが、外出禁止令の出ているさなか、自分の家族を疎開させるためにロンドンから400キロほど離れたダーラムまで車で移動しさらに近くの観光地にも多分息抜きのために足を伸ばしたということで、厳しい都市封鎖の中で、場合によっては罰金などの刑罰も課されている国民の間にあまりにも不公平だという不満が募っている。この非難に対してジョンソン首相および地元警察は特殊な事情だったとして擁護し、また、首相官邸で記者会見したカミングスも一切謝罪などの言葉を述べず強硬な態度に終始している。

各有力新聞は、この国には一般の市民に適用される法律と保守党幹部に適用される法律の二つがあるのか、と攻勢をかけていて国民、世論調査では、過半数がカミングス氏の行った行為は不適切であり辞任すべきだとしているし、保守党の中にも、このようなことがまかり通るのでは国民にコロナ対策での外出禁止順守を求めることはできない、多くの国民が子供に会うこともできず、最後の別れを告げる葬式(コロナに関係なく)にすら出席できずにいるという厳しい現実からは到底受け入れられないとし、さらに、内閣の中でも。地元の選挙民に言い訳が出来ないとして抗議の辞職をする者がでているくらいだ。

なぜジョンソン首相はカミングスをかばうのか。それは、特に弱みでも握られて(イギリス政界では陰謀やスキャンダルをネタにした恫喝は日常茶飯事なのでこの可能性は否定できない)いないとしたら、もし少しでもカミングスのやり方を否定してしまうとそれは自分の権威の否定にもつながると思っている、いわば一心同体とでも考えているからではないか。

この強行突破作戦がうまくいくかどうかはコロナが終息するかということも絡んで不透明だ。しかし、この問題がカミングス個人の利害(家族のため)によるものであり、他に何らかの利益をもたらしたものでない以上、どこにも大義はなく、権力を濫用しただけ(なんら公共の利益もない)だ。これを権力をかさに着て力で押し切るろうとしているように見える。自らコロナから生還し、体重もかなり減量して若干ぜい肉を落としたジョンソンが、コロナ後の復興の先頭に立とうとしていた矢先の、こんな低水準のスキャンダルにどう対応してゆくのか、イギリス政界の動揺はしばらく続くだろう。イギリスは死者数でアメリカに次いで4万人に迫る世界第二位という深刻な事態だ。それもジョンソン首相自らが当初事態を軽く見て、初動対応が他国に比べても遅れ、しまいには自身も罹患してしまったのだが、それが今の惨状の原因ということも言える。自らまいた種に、問題にさらに火に油を注ぐようなカミングスの行動、それを擁護するジョンソンに未来はあるのか。

今年のウインブルドンは早々と中止が決まった。無人のテニスコートの、その向かいにあるゴルフ場の今はただ青々とした芝生や池には鳥たちが何の気兼ねもなく遊びまわっているに違いない。

去年撮りためた写真をいくつか。

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