4月上旬から入院し、一時は集中治療室での治療を受けていたイギリスのジョンソン首相が公務に復帰した。復帰後の記者会見では、さすがに病み上がりのやつれた表情を隠すことはできなかったが、さっそく、外出制限解除に向けた工程を近々発表する予定と発言するなど、精力的に取り組んでいこうとする姿勢がうかがえた。イギリスのメデイアは、首相の健康管理について非難するというよりも、武士の情けとでもいうのか、回復を一応よろこび、今後の期待感を示すものもあった(もちろん、イギリス特有の辛辣なコメントや風刺もたくさんあるが)。
EU離脱の可否を問う国民投票では離脱派を主導し予想を覆しての結果をもたらし、その後は一時期同僚の離反などより停滞を余儀なくされたものの、メイ首相の退陣で復活、選挙で大勝して地盤を固め混乱していた離脱論議に終止符を打ち、これで膨大な感染者と死者を出したイギリスのコロナ後の政権運営で難局を乗り切り、成果を上げることが出来れば、ひょっとするとチャーチルやサッチャーに比肩する保守党指導者として歴史に名を残すことになるかもしれない、。
ジョンソンには、サッチャー政権の首席補佐官だったマイケル・ドブスの小説をもとに1990年のイギリスでTVシリーズ化された「House of Cards(野望の階段)」にでてくるイギリス首相フランシス・アーカードの、嘘もいとわない権謀術数、なりふり構わない冷酷な同僚閣僚への仕打ち、賄賂、そして国王すらも手玉に取るような高慢で腹黒い政治家という印象を持つ向きもなくはないが、これがコロナウイルスを経験したことによっていくらかその人格に変化があるのか、興味深いところである。もっとも、アーカードのように最後は夫人に背かれて暗殺されるというようなことがなけれな良いが(ジョンソンには2人の元夫人がおり、現在は3人目が待機中。その女性遍歴にはアーカードも到底太刀打ちできない・・・)。
庭の桜が咲き始めた。