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2011年01月25日 07時47分33秒 | 経済
 公的年金の支給総額(年金総額)が2009年度に初めて50兆円を突破し、名目国内総生産(GDP)に対する割合が1割を超えたことが、厚生労働省の調査で分かった。年金の受給者数が3703万人と前年度と比べ3.1%増える一方、支え手である加入者は0.9%減の6874万人に減った。現役1.8人で受給者1人を支える構図で、制度の存続が揺らいでいる。新たな財源対策とともに、年金の給付抑制も課題となりそうだ。




 年金総額とは、09年度末で年金をもらっている高齢者の1年分の年金額を合計したもの。国民全員が加入する基礎年金会社員の厚生年金公務員の共済年金福祉年金が含まれる。09年度の年金総額は約50兆3000億円と前年度と比べ2.8%増えた。10年前と比べ3割以上膨らんだ。

■団塊の受給で15年度2割増

 1947~49年のベビーブーム期に生まれた約700万人の団塊世代が年金を本格的にもらい始める12年以降、年金支給額はさらに拡大する。厚労省の推計によると、年金給付費は15年度には59兆円と約2割増える。25年度には65兆円まで膨らむ見通しだ。

 名目GDPに占める年金総額の比率も05年時点の9%前後から10%を超えた。05年時点で米国の同比率は6%、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均で7.2%だった。

 制度別にみると、基礎年金は前年度比3.9%増え約18兆円となった。厚生年金は2.3%増の約25兆5000億円。共済年金は約6兆6000億円で1.9%膨らんだ。公的年金の受給者数は3703万人(制度間の重複除く)。厚生年金の伸びは5.5%増の2814万人と2年連続で5%台の伸びとなった。

 政府は年金財政を安定的に運営するために、基礎年金への税の投入割合を3分の1から2分の1に引き上げたが、厳しさは今後一段と増す見込み。高齢化の進展で年金受給者は今後ますます増加し、支え手である加入者数の減少傾向が強まるためだ。今回の調査でも公的年金の加入者数は全ての制度で減少。厚生年金の加入者数は3425万人で前年度と比べ0.6%減った。

 年金財政を支える会社員らの給与が頭打ちとなり、保険料収入の低迷も予想される。国民年金の未納問題も深刻だ。

■給付開始年齢引き上げ論も

 厚生年金保険料の算定基礎となる標準報酬月額の平均は前年度と比べ2.8%減の30万4173円だった。標準報酬月額が減れば、その分保険料収入が減るため、年金財政が厳しくなる。09年度の国民年金保険料の納付率は初めて60%を割り込んだ。

 公的年金は現役世代の納めた保険料で、高齢者の年金を支える仕組み。人口減少が続き、加入者数が減れば、その分年金財政が悪化する。65歳以上の高齢者1人に対する生産年齢人口(15~64歳)は、09年の2.8人から15年には2.3人に低下する見込み。膨らむ給付費にどう対応するか、抜本的な年金制度見直しが必要になる。

 政府は6月めどに税と社会保障の一体改革案を取りまとめる予定だ。年金制度改革を巡っては、与謝野馨経済財政担当相が原則65歳の年金の支給開始年齢の引き上げに言及するなど、給付削減が課題になりつつある。日本経団連の米倉弘昌会長も24日の記者会見で、年金支給開始年齢の引き上げについて「将来、必要になるとは思う」との考えを示した。

 保険料と税で賄っている基礎年金を全額税にする見直しも、現役世代が減る社会の年金制度として選択肢になる。年金だけでなく、医療・介護で財源が不足し、消費税率の引き上げは避けて通れない。急拡大する社会保障給付費への対応策が急がれる。

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