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スイスの無制限介入発表から1週間 円相場は膠着

2011年09月15日 08時00分52秒 | 為替
 スイス国立銀行(中央銀行)による異例の無制限為替介入発表から1週間が経過し、円の対ドル相場の値動きが小さくなってきた。最高値圏にある円に対しても介入警戒感が高まっているからだ。投機筋は取引の焦点を円買い・ドル売りから、対主要通貨でのユーロ売りに転換している。ただ欧州財政不安は沈静化の兆しが見えず、「リスク回避の円高」が再燃するシナリオも残る。

 スイス国立銀が6日に無制限介入を発表した直後、円相場も1ドル=77円台後半まで急落した。一部の海外投資家が「政府・日銀も円高対策に動くのではないか」(外資系銀行)とみて、円買い・ドル売りの持ち高を一気に解消したためだ。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)通貨先物取引で投機筋の動向をみると、6日時点で円の対ドル買い越し規模は1週間前から20%減少。一方、ユーロの対ドル売り越し規模は1週間前の約400枚から約3万6千枚(1枚は12.5万ユーロ)に急増し、円買いの3万3千枚(同1250万円)を上回った。

 ギリシャをはじめとする政府債務問題でユーロには売り材料が事欠かない。短期間で利益を求める投機筋は「膠着感が強まってきた円相場にいらだちを募らせていた」(米系銀行)という。

 それから1週間。円高是正策は打ち出されていないが、円相場は77円を挟む水準でもみ合っている。円相場の値動きは直近の1週間で1円強。政府・日銀が約4兆5千億円の円売り介入に動いた8月4日を含む8月第1週の3円96銭などに比べて小幅になっている。

 投機筋の関心は円買いからユーロ売りに向かったが、再び円高が進行する可能性は消えてはいない。今週初めに円相場が対ユーロで約10年ぶりの円高水準を付けたのを材料に、対ドルでもリスク回避の円買いが再燃しかねないからだ。

 市場参加者の間では「逃避資金がスイスを迂回する分、中長期ではリスクの回避先として円が選ばれかねない」(みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジスト)との見方もある。ユーロ売り・ドル買いに動いた投機筋が円買いに矛先を向ければ、円相場が再び最高値(75円95銭)に迫る可能性もある。

迫られるグローバル化 会社もヒトも一念発起

2011年09月15日 07時52分13秒 | お役立ち情報
 東日本大震災は、日本人の仕事観にも変化をもたらした。企業も個人もグローバル化や少子高齢化といった懸案を見据えるようになり、働く人への期待も、働く側の意識も昔には戻らない。新しい発想で仕事力を鍛え直すときだ。



酉島製作所の社員は2泊5日の強行軍で中東の現場を体験する(ドバイ)

 9月、ポンプ大手の酉島製作所の若手社員11人はアラブ首長国連邦(UAE)とカタールのプラント建設現場に乗り込む。気温50度を超す灼熱(しゃくねつ)の砂漠で現地作業員と英語でやりとりして視察する。

 2泊5日の「中東弾丸ツアー」。売り上げの3割を稼ぐ得意先、中東の現場を若手社員に経験させ、カンフル剤にする狙いがある。3年前に参加した南英梨(30)は「初めは行きたくなかった」。だが、自分の設計したポンプが動く現場の迫力に感動し、一念発起。「現地で働きたい」と帰国後、ラジオ英会話を始めた。

 7月、東京商工会議所の中小企業向けベトナム進出セミナー。昨年の定員割れから一転、定員の1.6倍が応募した。温室製造・販売の渡辺パイプ(東京・墨田)は年内にベトナム進出を目指す。常務の野間明(58)は「震災で農業の復興は時間がかかる。ベトナムを足がかりにアジアに販路を広げたい」と話す。

 震災、円高、電力不安……。日本にこもるリスクを意識し、海を越える企業の裾野は広がった。必要な人材をどう確保するか。小さな会社も知恵を絞る。

 岐阜県は海外進出したい地場企業のために人材を育てる新事業を始めた。求人が「英語か中国語の使い手」なら、「そうなりたい」人を県が募集。内定すれば約7カ月の上海・香港での中国語・英語研修と就業体験を経て入社する。費用7千万円は県が緊急雇用対策交付金で賄う。いま11人が中国で語学研修中だ。

 その一人、村井星等(29)は大垣市特産ヒノキの升を作る大橋量器に入社予定。同社はホームページへの米国からのアクセス急増をきっかけに、社員15人で米国での販売を目指す。村井は「地元の良さを海外に伝えたい」と応募した。

 人材あっせんのリクルートエージェントによると、外国語でビジネスをこなす人材の求人は今後4、5年で数倍に膨らむ。生産も販売先も海外に軸足を移す大企業は即戦力を求め、外国人の採用も強化している。

 住友化学は2008年から中国・インドの大卒採用を始め、今はグループの4割が外国人だ。リクルートが昨秋開いた中国の有名大学生向け日本企業採用イベントにはコニカミノルタホールディングスなど22社が参加。参加費100万円と内定1件につき110万円の成功報酬を払い、本社採用する金の卵を探した。

 グローバル化の波は「同じ釜の飯」を重んじた日本型人事と意識を揺さぶる。


内向き志向懸念


 「日本復興に貢献しよう」。野村ホールディングスの鳥海智絵グループ・シニア・マネージング・ディレクター(45)は3月、世界中の社員に向けたトップのメッセージ作成に追われた。

 「あうんの呼吸」に慣れていた鳥海に呼びかけを助言したのは海外の同僚だった。野村は旧リーマン・ブラザーズの部門を継承し、社員の国籍が70に及ぶ多国籍企業に変身。組織をまとめる方法も変わる。

 ダイキン工業は日本と海外拠点をつなぐ人材を求め、日本の外国人留学生と海外の日本人留学生の両方にアプローチしている。内外の人材を見比べる大企業の採用。超円高で、海外での優秀な人材の採用は国内より“割安”になった。

 「外国人は英語も日本語も話せ、有能な学生が多い」と経済同友会代表幹事の長谷川閑史(65)は話す。日本の若者が内向き志向で安閑としていれば、置いてきぼりとなる。