中国で地下金融など「影子銀行」と呼ばれるシャドーバンキングが二十九兆元(約四百六十四兆円)規模にまで膨れ上がっていることが十七日、中国の金融専門家がまとめた資料で明らかになった。中国の経済成長が今後鈍化すれば、実態がつかめない資金の流れが行き詰まり、国内や国際的な金融危機につながって日本にも影響が及ぶ恐れがある。
資料によると、シャドーバンキングの規模は、二〇一〇年に約二十兆元(三百二十兆円)とされていたが、一二年には二十九兆元以上に膨張。一一年の国内総生産(GDP)の約66%に上り、日本のGDPとほぼ匹敵した。具体的には国有銀行が信託会社や証券会社などにリスクの高いローンを移したり、返済困難なローンの簿外借り換えを手配したりするケースがあるという。
全国の地方政府はインフラ整備や再開発に銀行以外から借り入れた膨大な資金を投入。だが、返済のめどが立たないローンが積み重なり、最終的には銀行が地方政府に借り換えを指示し、救済する場合も多いとみられる。
また、元本保証がない財テク商品(理財商品)などを含めると、銀行が直接、間接的に関与したシャドーバンキングは最大で計約十九兆元に上る。
さらに、富裕層は有利な投資先として信託会社の各種理財商品に積極投資。このほか、ノンバンク系機関や個人が20%前後の利率で融資するシャドーバンキングなどを合わせると計約十兆三千億元になるという。
中国政府は〇八年のリーマン・ショックを受け、四兆元の大型景気刺激策を実施。だぶついた資金が地方政府の無計画な再開発や不動産投資に流れ、シャドーバンキングが危険水域に達したとの指摘もある。
データをまとめた専門家は「原則禁止の地方政府による地方債発行を認め、地方の債務問題を解決することが先決」と主張。さらに「雪だるま式に増えた債務の抑制が急務で、総括的な金融システムを整備し、一層の増長を防ぐことが重要だ」と提案している。
<シャドーバンキング> 銀行以外の金融組織による仲介業務や資金調達。法規制が緩いノンバンク系や個人による融資、信託ローンなどが一般的。中国の場合、銀行と信託会社による資産運用や銀行仲介の委託業務も含む。信託会社が高配当をうたった財テク商品で資金を集め、地方政府のインフラ整備などに高利で融資するケースなどには地方財政上の問題があるが、金融監督機関も実態をつかめていない。
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