東日本大震災からの復旧・復興を一日も早く進めるための国のお金が、被災者になかなか届かない。平成23年度の復旧・復興関連予算14兆9243億円のうち、年度内に使い切れなかったのは約4割にあたる5兆8728億円。このうち1兆1034億円が不用になった。人手不足、計画の遅れ、国と自治体での認識のずれ…、いずれも見込みの甘さが「通常では考えられないような積み上げ」(復興庁)につながった。
「全国の市町村から応援の職員に来てもらっているが、人手がまだ足りない」
被災者の高台移転事業に従事する宮城県の関係者は、そうため息まじりに打ち明けた。被災地の1万4500戸を対象にした事業費は総額8300億円と見込んだが、実際に国から交付されたのは4分の1弱。移転候補地や土地の買い取り価格など解決が難しい問題が多い。
事業の遅れにつながっているのは、そうした問題に対処する専門性のある職員の不足。政府は4月以降、都市計画の専門家などを被災地に派遣しているが、なお足りない状況だ。
計画が遅れ、事業ができなかったり、なかなか始まらないケースも多い。
国土交通省の災害公営住宅等整備事業費(1116億円)は、ほぼ全額の1112億円が「不用額」となった。「自治体がまちづくりの計画を決めるのに時間がかかった」(国交省)ため用地確保が進まず、事業を実施できなかった。
環境省による除染事業は、2459億円の約7割が24年度に繰り越された。福島県南相馬市が、放射性物質を含む土の仮置き場を確保し、事業を始めたのは今年6月上旬。同市の担当者は「周辺住民の理解を得るのに時間がかかった」と遅れた理由を説明する。
国と自治体との意思疎通がうまくいかなかったケースも散見された。
宮城県は今年3月に配分された第1回復興交付金で、道路に盛り土して津波被害を低減する多重防御事業を申請したが、大半が却下された。「事業の中身が国の交付基準と合致していなかった」(宮城県の担当者)ためだ。宮城県栗原市は総額4億9千万円の交付金申請に対し、第1回の配分はゼロ。第2回の申請では災害公営住宅に絞り、「復興庁の求めに合う事業を申請した」(栗原市の担当者)ことで一部が認められた。
財務省は、「学校の復旧費など被害額が想定より少なかったケースもあった。過去にない大震災だったので予算を多めに計上した側面もある」と認める。不用額のうち約7500億円は24年度に新しく設けた復興特別会計に繰り入れる予定。25年度は各省庁が同会計で予算を要求する。
「全国の市町村から応援の職員に来てもらっているが、人手がまだ足りない」
被災者の高台移転事業に従事する宮城県の関係者は、そうため息まじりに打ち明けた。被災地の1万4500戸を対象にした事業費は総額8300億円と見込んだが、実際に国から交付されたのは4分の1弱。移転候補地や土地の買い取り価格など解決が難しい問題が多い。
事業の遅れにつながっているのは、そうした問題に対処する専門性のある職員の不足。政府は4月以降、都市計画の専門家などを被災地に派遣しているが、なお足りない状況だ。
計画が遅れ、事業ができなかったり、なかなか始まらないケースも多い。
国土交通省の災害公営住宅等整備事業費(1116億円)は、ほぼ全額の1112億円が「不用額」となった。「自治体がまちづくりの計画を決めるのに時間がかかった」(国交省)ため用地確保が進まず、事業を実施できなかった。
環境省による除染事業は、2459億円の約7割が24年度に繰り越された。福島県南相馬市が、放射性物質を含む土の仮置き場を確保し、事業を始めたのは今年6月上旬。同市の担当者は「周辺住民の理解を得るのに時間がかかった」と遅れた理由を説明する。
国と自治体との意思疎通がうまくいかなかったケースも散見された。
宮城県は今年3月に配分された第1回復興交付金で、道路に盛り土して津波被害を低減する多重防御事業を申請したが、大半が却下された。「事業の中身が国の交付基準と合致していなかった」(宮城県の担当者)ためだ。宮城県栗原市は総額4億9千万円の交付金申請に対し、第1回の配分はゼロ。第2回の申請では災害公営住宅に絞り、「復興庁の求めに合う事業を申請した」(栗原市の担当者)ことで一部が認められた。
財務省は、「学校の復旧費など被害額が想定より少なかったケースもあった。過去にない大震災だったので予算を多めに計上した側面もある」と認める。不用額のうち約7500億円は24年度に新しく設けた復興特別会計に繰り入れる予定。25年度は各省庁が同会計で予算を要求する。
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