11111222223333344444
01/3/12
筑波大学
海保博之
頭を柔らかくする(1)
キーワード 「思い込み」
キーフレーズ(見出し)
思い込みながら生きる
●思い込みは人の常
左頁の一番上の図版は何に見えるであろうか。
このように問うとほとんど人は、何かに見立て答えてくれる。これが、実は思い込みなのである。でたらめに作った図版なのだから、何か意味のあるものに見えたとすると、それは「嘘の見え」、あなたが勝手に作り出した見えということになる。
こうした見立て(思い込み)を、我々はしばしば、しかも、ほとんど意識せずに至るところでしている。
なぜなのだろうか。
●人はわけのわからないことが嫌い
実は、最後まで「図版は何にも見えない」と答える人がいる。万事に慎重な人、誤ることを極端に恐れる人ではないかと思う。
しかし、大部分の人は何かに見立てる。見立てることによって、何が何やらわけがわからない状態から脱することができる。見立る前までは意味のなかった、空隙やしみが見立てたものの一部に見えてくるから不思議である。
日常生活の中で、このような見立て(思い込み)がなされていると思われる例を挙げてみよう。
・見知らぬ土地でのドライブで、だいたいの 見当をつけて走る。
・操作のわからない機械をとりあえず動かし てみる。
・初対面の人がどんな人かを推測する。
●見立てにはリスクがある
見立ると、世の中がわかって気持ちがよい。そのメリットは捨てがたい。
見当をつけて走ったのに目的地につけたらうれしい。思った通りに機械が動いたら「やったー」と喜べる。初対面の人が自分の思い通りの人だったら安心できる。
しかし、問題はリスクである。つまり、そ「の見立てが妥当でないときに、思い込みエラー」をおかしてしまうリスクがある。世の中を誤って見てしまい、時には、それが事故につながってしまう。
●リスク管理しながら思い込む
情報爆発の今、一つ一つの情報にまじめにつきあってはいられない。自分なりの世界をしっかりもって対処していかないと、情報の海に溺れてしまう。
リスクはあっても、見立て(思い込み)をしながら情報とつきあっていくことになる。それによってはじめて、情報はあなたにとって生きた知識となるのである。
それでも、思い込みが決定的にネガティブな事態につながってしまうところでは、手厚い安全ネットを用意しておく必要がある。
あなたの思い込みに忌憚なく箴言(しんげん)してくれる人を用意したり、実行する前に時間がかかるようにして再考の時間を持ったりする仕掛けが必要である。
本文 61行
*********
図1
実は何に見えてもよい。というより、何にも見えないというのが正しい。紙に適当にインクをたらして広げて作っただけのものだからである。
それでも、これが何かに見えると答える人が圧倒的なのである。一番多い答えはチョウ、次がコウモリである。
そう言われると、そのように見えてくるところにも注意してほしい。
なお、この図版は、ロールシャッハ図版として知られているもので、心の深層を探る検査として使われている。
*********
図2
何が何やわわけがわからない
見立てる
思い込みエラー わかる
事故 気持ち良い/安心
******************************************
頭を柔らかくするポイント
(1)思い込みを恐れず、自分の世界を作りる。
(2)思い込みをチェックしてくれる体制をいろいろ用意しておく。
(3)時には、エポケ(判断停止)も有効。
******************************************
別添A
●何に見えるか
ぱっと見たときに、この絵は何に見えるであろうか。その見えとは違うもう一つの見えがあることになかなか気がつかないところに、見立て(思い込み)のしつこさがある。
この絵は、「嫁かしゅうとめか」の多義図形と呼ばれているものである。曲線部分を、顎と見るか鼻と見るか、黒い横線をネックレスと見るか口と見るかで、嫁に見えたり、しゅうとめに見えたりする。
ここまでヒントを与えても、まだ、いずれか一方にしか見えない人もいる。
別添B
●じっとみていると何が起こるか
いずれも反転図形と呼ばれるもので、じっと見ていると自然にもう一つの見えが出現してくる。
「嫁としゅうとめ」では、いずれか一方の見えしか起こらないが、反転図形では、自然に2つの見えが交互に出現する。
多義図形では、「義」つなわち知識を使った意味づけがかかわっているため思い込みが発生する。これに対して、反転図形ではできるだけ多様な見えをさせることで環境との妥当なかかわりをさせるメカニズムが働いていると考えられる。
戻る
写真 島田英昭ブログより
信州は、いいなー
たった1時間半で、こんな景色が見れるなんて
はじめに戻る
01/3/12
筑波大学
海保博之
頭を柔らかくする(1)
キーワード 「思い込み」
キーフレーズ(見出し)
思い込みながら生きる
●思い込みは人の常
左頁の一番上の図版は何に見えるであろうか。
このように問うとほとんど人は、何かに見立て答えてくれる。これが、実は思い込みなのである。でたらめに作った図版なのだから、何か意味のあるものに見えたとすると、それは「嘘の見え」、あなたが勝手に作り出した見えということになる。
こうした見立て(思い込み)を、我々はしばしば、しかも、ほとんど意識せずに至るところでしている。
なぜなのだろうか。
●人はわけのわからないことが嫌い
実は、最後まで「図版は何にも見えない」と答える人がいる。万事に慎重な人、誤ることを極端に恐れる人ではないかと思う。
しかし、大部分の人は何かに見立てる。見立てることによって、何が何やらわけがわからない状態から脱することができる。見立る前までは意味のなかった、空隙やしみが見立てたものの一部に見えてくるから不思議である。
日常生活の中で、このような見立て(思い込み)がなされていると思われる例を挙げてみよう。
・見知らぬ土地でのドライブで、だいたいの 見当をつけて走る。
・操作のわからない機械をとりあえず動かし てみる。
・初対面の人がどんな人かを推測する。
●見立てにはリスクがある
見立ると、世の中がわかって気持ちがよい。そのメリットは捨てがたい。
見当をつけて走ったのに目的地につけたらうれしい。思った通りに機械が動いたら「やったー」と喜べる。初対面の人が自分の思い通りの人だったら安心できる。
しかし、問題はリスクである。つまり、そ「の見立てが妥当でないときに、思い込みエラー」をおかしてしまうリスクがある。世の中を誤って見てしまい、時には、それが事故につながってしまう。
●リスク管理しながら思い込む
情報爆発の今、一つ一つの情報にまじめにつきあってはいられない。自分なりの世界をしっかりもって対処していかないと、情報の海に溺れてしまう。
リスクはあっても、見立て(思い込み)をしながら情報とつきあっていくことになる。それによってはじめて、情報はあなたにとって生きた知識となるのである。
それでも、思い込みが決定的にネガティブな事態につながってしまうところでは、手厚い安全ネットを用意しておく必要がある。
あなたの思い込みに忌憚なく箴言(しんげん)してくれる人を用意したり、実行する前に時間がかかるようにして再考の時間を持ったりする仕掛けが必要である。
本文 61行
*********
図1
実は何に見えてもよい。というより、何にも見えないというのが正しい。紙に適当にインクをたらして広げて作っただけのものだからである。
それでも、これが何かに見えると答える人が圧倒的なのである。一番多い答えはチョウ、次がコウモリである。
そう言われると、そのように見えてくるところにも注意してほしい。
なお、この図版は、ロールシャッハ図版として知られているもので、心の深層を探る検査として使われている。
*********
図2
何が何やわわけがわからない
見立てる
思い込みエラー わかる
事故 気持ち良い/安心
******************************************
頭を柔らかくするポイント
(1)思い込みを恐れず、自分の世界を作りる。
(2)思い込みをチェックしてくれる体制をいろいろ用意しておく。
(3)時には、エポケ(判断停止)も有効。
******************************************
別添A
●何に見えるか
ぱっと見たときに、この絵は何に見えるであろうか。その見えとは違うもう一つの見えがあることになかなか気がつかないところに、見立て(思い込み)のしつこさがある。
この絵は、「嫁かしゅうとめか」の多義図形と呼ばれているものである。曲線部分を、顎と見るか鼻と見るか、黒い横線をネックレスと見るか口と見るかで、嫁に見えたり、しゅうとめに見えたりする。
ここまでヒントを与えても、まだ、いずれか一方にしか見えない人もいる。
別添B
●じっとみていると何が起こるか
いずれも反転図形と呼ばれるもので、じっと見ていると自然にもう一つの見えが出現してくる。
「嫁としゅうとめ」では、いずれか一方の見えしか起こらないが、反転図形では、自然に2つの見えが交互に出現する。
多義図形では、「義」つなわち知識を使った意味づけがかかわっているため思い込みが発生する。これに対して、反転図形ではできるだけ多様な見えをさせることで環境との妥当なかかわりをさせるメカニズムが働いていると考えられる。
戻る
写真 島田英昭ブログより
信州は、いいなー
たった1時間半で、こんな景色が見れるなんて
はじめに戻る