用語の解説をする
医学のように専門性の高い分野では専門用語が頻出する。これが説明をわかりにくくする。「病院で聞くことば辞典」なる本まで出版されている。
説明をわかりにくくする用語にも次の3種類がある。
1)身体や機器などの部分の具体名称
2)病気名や機器の機能などの抽象用語
3)仲間内だけで使わわれる、いわゆる業界用語
使わなくて済むのは、3)の業界用語だけで、あとはどうしても使わざるをえない。
ただし、業界用語も使いなれてしまうと、業界外の人にもついうっかり使ってしまうことがあるので、充分な注意が必要ではある。
本誌の「愛すべきギョーカイ用語」欄を参照されたい。たまたま今回3月号を読ませていただいたが、「全人的医療」という用語をめぐっての業界内外の理解ギャップを見事に物語に仕立てあげて解説してあるので、じっくりとお読みいただきたい。
1)の具体名称は、その部分を絵で見せて示すことになる。
面倒なのは、2)の抽象用語である。どうしても、解説が必要となる。
冒頭の例に挙げた説明は、本誌「楽しく読んじゃう医学・看護辞典」欄の1節である。全体の解説は見事であるが、これは、関連する知識を共有する人(看護師)への解説。素人への解説となると、これではまだ不十分である。次のような工夫が必要となる。長くなるがしかたない。
○日常用語---その多くはやまと言葉になるが---への徹底した言 い換え
○ビジュアル化する
○他の関連する用語との関係を示す
○相手のなじみのある具体例で示す
○相手のよく知っている世界にたとえる
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患者への説明
「内固定とは、骨を折ったときに*日常ことば*行なう治療の一つです*全体-部分関係*。木など*日常ことば*で外から固定するのが外固定、手術をして内部で金属などで固定するのを内固定と言います*対比関係*。絵を見てください*ビジュアル化*。」(良)
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