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11 連想を使う「知的パワーをアップするための集中術;最終回」

2012-05-20 | Weblog

11 連想を使う

  一つのことから何かを思いつくのを連想という。連想は、人間の頭の働きの中でごく普通に行なわれるものの一つである。
たとえば、ある人物を記憶したい時は、
「山田さん」――同姓の人がいたぞ、
「鈴木さん」――顔が俳優の加山雄三に似ている、
「佐藤さん」――自分と出身が同じ、
など、色々な連想をしながら記憶する。
 また、何かを考える時も連想が働く。たとえば、「集中力の養成について、学力の養成と比較しながら論ぜよ」という試験問題に答えなければならないとしよう。
 「学力は学校で教えられる→やればできるようになる→集中もや  ればできる→この点では両者は似ている→集中力がある人は学  力も高い→関係はどうなっているのか→----」
連想が果てしもなく続くはずである。
 このように連想は、知的な活動をする時には自然に働くものである。連想が活発なほど知的活動の質は良くなる。
 そこで、この連想を意図的に活発にすることをおすすめしたいのである。
 連想の一つの特徴は、さしあたり正解を考えなくとも良いところにある。一つのことから思いつくものをどんどん考え出せばよいのである。ここから、関係のないと思われていたものが偶然に結びついたりして、それまでは頭の奥深くに眠ってしまっていた知識が引き出されてきて、知識が全体として活性化する。かくして連想が思わぬアイデアを生み出すのである。
 連想には色々のやり方がある。
 一つは、鎖状に連想させていく方法である。連想が連想を呼ぶやり方である。この時は、思い切って直前に連想したものに注意を集中してみる。どこに行ってしまうかわからない不安とおもしろさがあるが、頭の働きを滑らかにするのによい。
 もう一つは、ひとつのことから放射状に連想を繰り返す方法である。たとえば、「集中力」を核にして何度も「集中力」に戻って違った連想を働かせるのである。関連する知識を幅広く活性化する段階で使う。この時は、注意が一つのことにとらわれてしまわない工夫、「時間をおく、前の連想を忘れる、できるだけたくさん出す、人と一緒にやる」とよい。
 さらに、二つ、三つのことを同時に連想の核として、それらの間に共通することを連想するという方法もある。これは創造性の訓練によく使われる。たとえば、「集中力」と「電車」とから連想するものを考えていくうちに英会話練習法の開発を思いつく、といった次第である。
 いずれも、連想マップの形で目で見える形に表現するとよい。

「集中力を高めるトレーニング」あさ出版 より