(大見出し)
「仕事日記」を書こう!
(小見出し)
その一行が人生を変える!
(本文)
「仕事に取り掛からなくてはいけないときに限って、机の上を片付け始めてしまう」
「仕事と育児で疲れ果て、気づいたら一日が終わっている」
「嫌な上司がいて、毎日がユウウツ」
「叶えたい夢があるのに、いつも時間に追われ、一歩を踏み出せない」
本書は、こんな風に
●仕事に振り回されて成果が出せない人
●仕事と家庭のバランスがうまくとれない人
●職場の人間関係で悩んでいる人
●将来が見えない人
の悩みがたちまち解決する方法を、みなさんに紹介しています。
その方法とは、「仕事日記」を
「つける」こと。そして、「見直す」こと
この、たった二つです。
毎日、一行だけでもいいから、何でも気になることを書いてみる。
書き付けるのは、ノートでもパソコンでも何でもOK。
それを好きなときに見直し、本当の自分を知る。
とにかく一カ月間、信じて続けてみる。
それだけで、
「仕事がスムーズに進む」
「幸せな気持ちで仕事ができる」
「仕事がサクサク終わり、大切な人と過ごす時間が増える」
ようになるのです。
誰もが「自分のことは、自分自身がいちばんよく知っている」と思っています。
でも、本当にそうでしょうか?
それならば、「2時間で終わる」と思って始めた仕事に5時間かかってしまったり、目先の仕事に追われて目標を見失ってしまったりすることはないはずです。
しかし、「仕事日記」をつければ、
「気づいていなかったけれど、自分は洋服を買うとモチベーションがあがるみたい」
「仕事が進まないのは、能力じゃなく体調に原因があったのかもしれない」
「無為に毎日を過ごしていると感じていたが、業務を書き出してみたら、意外にもきちんと仕事をしていた」
など、幸せになるための気づきが得られるのです。
とはいっても、
「日記は苦手。長続きしたためしがない……」
という人のほうが多いでしょう。
でも、心配は無用です。
「仕事日記」は「日記」とは違います。
●「仕事日記」は「あとから見直すための記録」
●「日記」は「思い出を残すための記録」
人は自分の感情ーー驚いた、嬉しい、楽しい、悔しい、泣きたいetc――が大きく揺さぶられる「事件」が起きたとき、文字で気持ちを表現したいと思うものです。
けれど、日常生活というのは、淡々と過ぎていくもの。文章を書きたくなるような事件や面白い出来事は、そうそう起きません。だから日記帳やパソコンを前にすると、「今日もいつもと同じ一日だったな。だったらわざわざ書くこともないか……」と、書くことから遠ざかってしまうのです。
ところが、「仕事日記」は、特別な「事件」を書く必要はありません。
●一日にこなした業務内容
●そのときに感じたこと
●ささいな成功・失敗体験
●将来や目先の目標
●プライベートなこと(洋服を買った、彼とけんかしたetc……)
など、とにかくなんでもいっしょくたに、「書きたいこと」を素直に書く。
あくまで仕事日記は「あとから自分自身を見つめなおす資料を残す」ためにつけるもの。面白おかしい読み物にする必要はまったくありません。
書きたいことがなければ、その日の行動を記録するだけでもOK。
無理して自分を飾りたてることなく、素の自分の行動や気持ちを実況中継するように、書き留めればいいのです。
それなら、ブログでも用は足りるんじゃないの? と感じる人もいるでしょう。
でも、それは間違いです。
そもそもブログは、他人とのコミュニケーションを目的としています。
一方の仕事日記は、「自分自身とのコミュニケーション」が目的です。
そう、両者の目的は、まるで正反対。ブログはどうしても他人の目を意識したものになりがちです。その点、仕事日記は、ブログのように他人の目に触れるものではありませんから、自分勝手に他人の批判やネガティブな内容をつづるのもアリ。他人に見られては困る自分のホンネを思い切り書けるのが、「仕事日記」の大きなメリットなのです。
なかには、
「さまざまな時間管理術、手帳術を試したけれど、自分に合うものが見つからない……」
という人もいるでしょう。
書店には星の数ほど時間管理術や手帳術の本が並んでいます。
しかし、どれを手にとっても「自分にはムリそう……」「とてもやりきれない」という声をよく耳にします。
なぜ、こうした時間管理術は続かないのでしょうか。
原因はふたつあります。
ひとつめは「テクニックだけに終始しているから」から。
よくある手帳術や時間管理術は、
●計画を分刻みで立てる
●「目標」や「未来の自分」について書く
といったテクニックを事細かに紹介しています。
なかには、実際に役立つものもありますが、分刻みで計画を立ててもその通り進まなかったり、目標や未来の自分が見つからないからこそ、私たちは「困っている」のです。
その「できない原因」の根本にアプローチできるメソッドでなければ、意味がないのです。
また、こうした時間管理術や手帳術は、秘書や家族がサポートしてくれる経営者や、独身で仕事に120%打ち込めるマメな成功者が書いていることが多いもの。ひとり暮らしをしながら仕事や家事をこなしたり、共働きでお互いに時間をやりくりしながら子育てをしたりといった、ごく普通の生活を送る人たちの「日々の仕事をスムーズに進めたい」「短時間で簡単に効果をあげたい」という願いに応えてくれるものではありません。
ふたつめは
書いたものを見直す「技術」や「知識」がないから。
日記や記録のなかから、「自分の考え方のクセ」や「ミスの傾向」などを見つけ出し、「学び」へとつなげていくのは、実のところとても高度なワザ。時間管理術や手帳術では、「記録の残し方」は伝授してくれますが、「書いたものをどう見直せば、考え方のクセや将来の夢を見つけられるか」というノウハウは、ほとんど書かれていません。
本書では、日記のつけ方はもちろんですが、つけた日記を上手に仕事や日常生活へと役立てていくポイントも伝授していきます。
ありのままの自分を記録するだけで、仕事が段取りよく進み、それまで気づかなかった幸せを手にできる。
それが、「仕事日記」なのです。
常に焦っている状態から抜け出し、自分の思い通りの人生を送るためにも、さっそく今日から「仕事日記」をつけてみましょう!
(見出し)
「何でも書くだけ」で仕事がうまくいく!
(小見出し)
頭の中のコビト=メタ認知力が問題を解決してくれる
(本文)
報告書やら会議資料やら企画書づくり……。あと、取引先にアポイントの電話も入れなくちゃ。打ち合わせも午後から1件入っていたな。
とにかくやらなくちゃ。
でも、なんとなく気が進まない。
とりあえず、パソコンのデスクトップの整理から始めよう。
と思ったら、課長から「あの企画書、いつまで待たせるつもり?」と言われてしまい、冷や汗。
いったい、何から手をつければいいんだろう。どう考えても終わりそうにない。ああ、どうしよう。
今週末は、久しぶりに子どもとゆっくりできると思ったのに……。仕事が一段落したら、しっかり休もう。
誰にだってありますよね、仕事がうまく回らなくて泣きたくなるような一日が。
けれど、こんな日が「たまたま」ではなく、「しょっちゅう」だったとしたら……。
それは、あなたの「頭の中のコビト」が、まだまだ成長途上だからかもしれません。
「ん!? コビト? そんなものはいない!」とビックリした人もいるかもしれませんね。
でも、いるんです。
もちろん、本物のコビトが住んでいるわけではありません。
私たちの頭の中には、感情や知識、行動をコントロールする、ホムンクルス(もう一人の自分)が存在しています。
頭の中にもう一人の自分がいて、あなたを監視したりコントロールしたりする。
こんな意識や実感を「メタ認知」と呼びます。
このコビトは、
「この仕事は難易度が高いから、もっと集中しないとできないんじゃないの?」
「今すぐ取り掛からないと、マズいことになるよ」
と私たちにツッコミを入れ、行動や判断を正しいほうへと導いてくれる、司令塔の役割を担っています。
仕事を先延ばしにする、締め切りに遅れる、仕事が遅れてプライベートが充実させられないなど、自己管理能力が不足している人は、頭の中のコビトがツッコミを入れられるほど成熟しておらず、メタ認知力がうまく機能していません。
だから、「できるはず」とあて推量で仕事を進め、事態が深刻になってから慌てて対処しようとして、ミスを犯すのです。
では、メタ認知力を高め、あらゆる仕事の問題を解決するにはどうしたらいいか。
それが「仕事日記」をつけることなのです。
仕事日記をつけ始めると、メタ認知力が、しっかり機能するようになります。
仕事を中心としながらも、恋愛、お金、家庭、事実や感情、成功や失敗を織り交ぜながら、「いま、自分が一番気になっていること」を何でも書いてみる。
そのことで自分自身の客観化や深い自己洞察ができ、本当の意味で「自分を知る」ことができます。
仕事に関係ないことを書くのも、自分についての情報量をできるだけ増やしていくためです。「夫婦喧嘩をすると落ち込んで、1日使い物にならなくなる」「休日出勤すると週前半の作業効率が落ちる」など、仕事とプライベートは切っても切り離せない関係にあります。
これを続けていけば、それまでロクなアドバイスをくれなかった頭の中のコビトが、あなたの感情や行動にブレーキをかけたり、励ましたりしてくれるようになるのです。
私たちが悩むのは、「仕事のしかた」「人間関係」「将来設計」の3つに関することが多いのではないでしょうか。もちろん仕事日記には、これらを解決してくれる効果があります。
①仕事のしかた
仕事についての考え方や進め方には、一人ひとりクセがあります。しかし、自分では意外なほどそれを自覚していません。
たとえば、「締め切り厳守」タイプは、出来が今ひとつでも今日が締め切りだからと提出してしまい、能力不足とみなされてしまうことが多いでしょう。「内容重視」タイプなら、高いレベルを追求するあまり、締め切りに遅れて迷惑をかけることになります。
記録をつけていくことで、自分がどんなクセや傾向をもっているか、自覚することができれば、こんなに心強いことはありません。
それぞれのコビトが
締め切り厳守タイプには「もう少し内容を詰めなきゃ。まだ締め切りまでに2時間あるでしょ?」
内容重視タイプには「今回は、概要を知らせるのが目的だから、そこまで詳しい内容はかえって邪魔になるよ」
と、ささやいてくれるようになるのです。
②人間関係
仕事での人間関係は、自分ではどうにもならない側面が大きいものです。人を選ぶことはできませんし、どうしても合う・合わないという相性もあります。「何でそういう言い方をするかな!?」と納得のいかないことも多々あるでしょう。
とはいえ、それはすべて「あなたの側」から見た景色でしかありません。
仕事日記を見直し、そこに記された出来事や感情を通して、私たちは新しい発見やそれまでとは異なる視点を得ることができます。
「ムカついた」「信じられない」「ありえない」と、自分の感情を文字にすることは、「感情の知性化」につながるからです。
感情の知性化とは、自分の感情を言葉で意識的に整理することです。感情の嵐に巻き込まれているときは、なかなか事態を冷静に見つめることはできません。
しかし、感情を言葉にしていくと
「そうはいっても、悪気はなかったのかもしれない。思ったことを口にしただけかな」
「あのときは腹が立ったけど、立場上、しかたがなかったのかもしれない」
と、感情の世界を冷静に見つめることができるようになります。
もちろん、これはメタ認知力のアップにも大きく貢献します。避けては通れない相手とどう付き合っていけばいいのか。その手がかりをコビトが教えてくれるようになるのです。
③将来設計
年齢を問わず、将来について
「このまま、今の仕事を続けていっていいのだろうか」
「どうキャリアアップしていくべきか」
「結婚・出産したら、どうしようか」
「いまの仕事は向いていないから、別の仕事がしたい。でも、それが何かわからない」
と、思い悩む人は多いでしょう。
仕事日記には「現在」や「過去」だけでなく、「未来」を深く見つめる役割もあります。それにより、メタ認知力が高まり
「こういう方向に挑戦してみれば?」
「こっちのほうが将来に役立つよ」
と、どう頭を働かせるか、どう行動したほうがよいか、コビトが導いてくれるようになるのです。
自分がつけた記録をあとから読み返してみると、それまでは自覚していなかった自分の興味や関心、得意分野・不得意分野がわかり、将来設計を思い描くことができるようになります。
たとえば、「会社として取り組むべきこと」や「人事や給料」についての記述が目立つなら、いまの会社で昇進していくほうに関心が向いているといえます。
一方で、「新しいビジネスアイディア」や「給料アップより面白い仕事」という方向性の記述が目立つなら、一プレイヤーであり続けるために転職したり、起業したりする方向性を無意識に模索しているのかもしれません。
このように、仕事日記は、仕事にまつわるあらゆる悩みを解決してくれるのです。
(大見出し)
メタ認知力を高めると、自己管理能力がアップする
(小見出し)
仕事日記で「内省」の習慣を身につけよう
(本文)
ここでは、メタ認知と仕事日記の関係について、もう少し詳しく見ていきましょう。
メタ認知の「メタ」は、ギリシャ語に由来する接頭語で、「あとからついてくる」という意味。メタ認知は、生まれたときから自然に備わっている能力ではなく、幼児期後半ごろから後天的に身につけ始めるといわれています。
ここに、興味深い実験結果があります。
ある実験で、「5312639489」といった数字列を1回聞いただけで、いくつ暗記できるかという簡単な作業をしてもらうことを告げたあと、自分が何個くらい正確に暗記できるかを、あらかじめ予想させました。
その後、実際に記憶実験を行い、覚えられる個数を調べたところ、幼稚園児の場合、自分が覚えられる数の予想は多めで、実際に思い出せたのは4個くらいでした。
それが、年齢が高くなっていくにつれ、自分が暗記できると予測した数と、実際に思い出せた数との一致が高くなっていったのです。
このように「できると予想したこと」と「実際にできたこと」が一致するほど、メタ認知力がついているといえるのです。
ちなみに普通の大人では、記憶できる数はおよそ7個くらい。これは短期記憶(数秒から数十秒前の記憶)の限界を示すもので、「魔法の数7」といわれていますが、それくらいのことは、心理学の知識がなくても大人なら経験的に知っているでしょう。
このように、メタ認知力は、身につけた「知識」や「経験」の量が多い人ほど向上します。
ただし、知識や経験は、忘れたり、記憶が自分に都合のいいように変容してしまったりすることがあります。そうなると、メタ認知が機能しなくなってしまいます。そうしたち式や経験を記録しておくことで、折りにふれ見直していくことができるのも、仕事日記の大きな役割です。
実はもう一つ、メタ認知力を向上させる手立てがあります。
それが「内省」と「反省」です。
●「内省」は自分の心を深く見つめること
●「反省」は過去を振り返り、良くない点を改善しようと考えること
を指します。
先延ばしグセがある、仕事が予定通り進まない、ミスをしやすい、目標を達成できない……。
こうした自己管理のできないタイプは、「内省」や「反省」の習慣が身についていないという共通点があります。
思いつきで仕事をしていることが多く、実際に行った仕事をきちんと振り返らないまま放置しているために、何度でも同じ過ちを繰り返してしまうのです。
反対に、自分で自分を知り、コントロールしていく自己管理能力をきちんと備えている人は、業務に関する知識が豊かなだけでなく、「内省」や「反省」の習慣を身につけています。
つまり、仕事ができる人ほど、頭の中のコビトが自分の能力を正確に見積もり、それに応じた対処法やスケジューリングをするよう指示を出してくれるのです。
仕事日記は、「内省」や「反省」の習慣を身につけるのに、うってつけの方法です。
その日に起こった出来事を思い出し、書きつけていくと、
「なんであんな風に、きつい言い方をしてしまったんだろう」
と自分の心を見つめたり、
「もう1週間早く手をつけていれば、すべてがうまく回ったに違いない」
「あの仕事は、自分には難易度が高かった。○○さんに前もって助言を仰ぐべきだった」
と改善すべきポイントが見つかったりするからです。
1日にわずか数分、仕事日記をつけるだけで、
「待て待て、この前もその失敗したよね」
とツッコミを入れてくれるコビトが現れ、私たちが自己管理不能に陥るのを事前に不正でくれるのです。