●自分史づくり
回想は、現在から過去に向けての自分物語作りになります。それと頭の元気作りの話はすでにしました。
これに対して、希望は、現在から未来に向けての自分物語作りになります。
なお、物語づくりとは、フランクルの言う「生きる意味」作りといってよいかもしれません。
回想と希望とが一貫したものになれば言うことなしなのですが、希望が問題になるのは、この一貫性が途切れしまったときです。
青年期の心性の一つに、時間的展望の混乱があります。
いまこの瞬間にすべてをかけてしまい、過去とも未来ともあえて断絶してしまうのです。極端になると、命さえかけてしまう心性です。
普通はそこまではいきません。
時間的な展望の適度の混乱の中で、少しずつ過去、現在、未来の一貫性を作り出していきます。その過程で、未来をにらんだ希望が大事な役割を果たします。
こちらのほうは、心の世界での一貫性の途切れですが、もう一つ、絶望的は状況が自分の力の及ばない外的な力で作り出されてしまうこともあります。
政治的な力、経済的な力によるものがその代表的なものです。
昨今の不況の嵐がどれほどの人々を絶望の淵に追いやったことか。
こうした力の負けないためには、時間的な展望、つまり、現在から過去を回想し、未来を予想してみる習慣を付けることではないかと思います。
実は、自分も、今回、この原稿を書きながら、この時間的な展望をかなり意識させられました。そして、なんとなく、人生の当面の総括ができたような感じがしています。
自分史作りのようなことを時折やってみるのが良いかもしれません。