「喪の仕事」篇はこちら。
本日は日本シリーズ開幕記念にこんなネタを。
「あの、わたしが勤めてるのは……一種の無認可保育所というか……」
「へー。どこにあるの?」
「目黒の近くです。目黒駅から15分くらい歩いて通ってます。」
「いいとこじゃん。目黒の、どのあたり?」
「白○台っていう……」
「すでに目黒じゃないじゃないか(笑)。あれは……港区?」
「そうですね」
「土地柄からして、お金持ちが多いわけだ」
「っていうより、インターナショナルスクールなもんですから半分以上が外国人で」
「なにが無認可保育だよ(^o^)」
「とりあえず英語で一日を過ごすというか」
「……うわー。するとあなた、けっこうもらってるんじゃない?」
「そんなことないですよ」
「日額でもらうの?」
「いいえ、月給制です。」
地方公務員を思いやってか、彼女は決して額を明かさなかった。
「親はセレブがそろってるわけだ。有名人とかいる?」
「わたしスポーツはそんなに詳しくないんですけど、韓国から来てる……」
「あー、チョーヨンピル」
「それは『釜山港へ帰れ』ですね」
「うーんと、チョソンミンか」
「それは前の奥さんが自殺した人でしょう?」
「くわしいじゃないか(笑)。あ、思い出した。イ・スンヨプだ!」
「それって、(バットを振るポーズ)これの人ですか」
「そうだよ。巨人の5番打者。確か奥さんはすごい美人なんだよね」
「…………すごいです」
その瞬間、わたしの頭はシロガネーゼたちのセレブな日常を思いやる以前に、イ・スンヨプの奥さんとどうすればお知り合いになれるかでいっぱいになったのだった。
……彼女からはイ・スンヨプがらみで後日談を。
ある日、彼の子どもがいたずらしたかされたかで顔に傷を。
イ・ソンヨプと彼の妻は激昂してそのインターナショナルスクールに抗議にやって来たのだそうだ。
それが、あの巨人VS阪神の最後の直接対決の日。
彼の怒りの一打が試合を決定づけたわけで、オリンピックに続き、こりゃ巨人が日本シリーズを制するためには、やっぱり常に主人公たるべき運命にあるあの男がキーマンになるんだろうな。
※敗退のすべてがイ・スンヨプのせいとは思わないにしろ……
次回はいっきに地味な世界へ「レジ係」