事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

48才のハローワーク~セレブの日常

2008-11-01 | 社会・経済

Y1paseuaw1x7msoylupkbjaz8cwdz7gfkhj 「喪の仕事」篇はこちら
本日は日本シリーズ開幕記念にこんなネタを。

「あの、わたしが勤めてるのは……一種の無認可保育所というか……」
「へー。どこにあるの?」
「目黒の近くです。目黒駅から15分くらい歩いて通ってます。」
「いいとこじゃん。目黒の、どのあたり?」
「白○台っていう……」
「すでに目黒じゃないじゃないか(笑)。あれは……港区?」
「そうですね」
「土地柄からして、お金持ちが多いわけだ」
「っていうより、インターナショナルスクールなもんですから半分以上が外国人で」
「なにが無認可保育だよ(^o^)」
「とりあえず英語で一日を過ごすというか」
「……うわー。するとあなた、けっこうもらってるんじゃない?」
「そんなことないですよ」
「日額でもらうの?」
「いいえ、月給制です。」

地方公務員を思いやってか、彼女は決して額を明かさなかった。
「親はセレブがそろってるわけだ。有名人とかいる?」
「わたしスポーツはそんなに詳しくないんですけど、韓国から来てる……」
「あー、チョーヨンピル」
「それは『釜山港へ帰れ』ですね」
「うーんと、チョソンミンか」
「それは前の奥さんが自殺した人でしょう?」
「くわしいじゃないか(笑)。あ、思い出した。イ・スンヨプだ!」
「それって、(バットを振るポーズ)これの人ですか」
「そうだよ。巨人の5番打者。確か奥さんはすごい美人なんだよね」
「…………すごいです」
その瞬間、わたしの頭はシロガネーゼたちのセレブな日常を思いやる以前に、イ・スンヨプの奥さんとどうすればお知り合いになれるかでいっぱいになったのだった。

……彼女からはイ・スンヨプがらみで後日談を。
ある日、彼の子どもがいたずらしたかされたかで顔に傷を。
イ・ソンヨプと彼の妻は激昂してそのインターナショナルスクールに抗議にやって来たのだそうだ。
それが、あの巨人VS阪神の最後の直接対決の日。
彼の怒りの一打が試合を決定づけたわけで、オリンピックに続き、こりゃ巨人が日本シリーズを制するためには、やっぱり常に主人公たるべき運命にあるあの男がキーマンになるんだろうな。

※敗退のすべてがイ・スンヨプのせいとは思わないにしろ……

次回はいっきに地味な世界へ「レジ係

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「ガーディアン」 石持浅海著 光文社カッパノベルス

2008-11-01 | ミステリ

32117424月の扉」「BG、あるいは死せるカイニス」などでおなじみの石持浅海の新作。この人の特徴は、作中に何らかの“ルール”を持ちこみ、そのルール内でどんな展開ができるかを徹底的に考えぬくあたりにある。不自由さを楽しむ、というか。

たとえば名探偵座間味くんのデビュー作「月の扉」では、“ハイジャックされている飛行機内のトイレ”という二重三重の密室における殺人を構築して見せた。しかしそれ以上に石持がこだわったのは、なぜハイジャック犯たちは獄中のある人物を“解放”するのではなく、単に“空港に連れてくること”なのか、だった。その理由はタイトルに関係するんだけど、変わった作家がいたものだと感服。

新作「ガーディアン」でもこだわりは健在。今回のトンデモ設定はこう。まだ小さな娘を残して死ななければならなかった父親が、守護霊(ガーディアン)として娘に危害がおよぼうとしたときに“物理的に”まもる。ガーディアン自体はファンタジーによくあるキャラだとしても、石持は彼らしいひねくれた展開にもっていく。ガーディアンが発動するのは

・あくまで娘が直接的に被害をうける場合

に限定される。つまり娘のそばにいる人物がどうなろうと守護霊は無視する。くわえて

・悪意をもって娘にかかわる人物がいても、先制攻撃は行わない

あくまでカウンターとしての存在だ、と。くわえて

・そのカウンターの度合いは、相手の悪意に比例する(笑)

このあたりのルールを“遵守しつつもどう利用するか”のあたりが醍醐味。ガーディアンとなってからの父親が、まったく意思表示を行わないあたりはだから必然。ストックホルム症候群とは逆に、銀行強盗の側が人質(ガーディアンに護られる娘)に執着してしまう設定もいい。ちょっとした恋愛小説になっている。

にしても、ガーディアンに護られていると色々しんどそうだなあ、とスケベな読者(わたしですけどね)が考えた瞬間に「処女を喪失した時点でなにかをされることはなかった」と周到に説明するあたり、やっぱり石持にとってわたしはちょうどいい読者なんだと思う(笑)。

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