「反省PART2」はこちら。
ここでクイズ。現在「新党大地」代表として国会に復帰した鈴木宗男は、かつて何の罪で逮捕されたのでしょうか?
あのころ(02年)、「ムネオハウス」「(田中)真紀子との確執」「疑惑の総合商社」などとマスコミを騒がせ、バッシングを受けた彼が、実際に何をしたか具体的におぼえている人は多くないのではないかと思う。少なくともわたしは、上記のフレーズでしか思い出せないのに極悪人のイメージがぬぐえないでいる……それほどに、当時は日本中が彼を感情的に叩きまくっていたのだ。
で、クイズの正解は「斡旋収賄罪」「受託収賄罪」「議員証言法違反」「政治資金規正法」
検証してみよう。まず「ムネオハウス」。誰もこの名前でしか認識していないが正式名称は「日本人とロシア人の友好の家」。いかにも悪徳がつまったような通り名に誤解されがちだけれど、実際のムネオハウスは、ほとんどプレハブに毛が生えた程度のしろものだ(それでも国後島の他の建物よりは立派だというのが泣かせる)。だからここで鈴木に金が流れることがあったとして、はたしてどれだけの額が?量刑として戦後日本の政治家における最長の勾留が必要なほどだったのか?
田中真紀子との件は、時間が経っただけにわかりやすい構図になっている。かつて小泉純一郎を首相にすえる推進力となり、世間で圧倒的な人気を誇った真紀子と、外務省内に隠然たる勢力が存在した鈴木の衝突は必然だった。特定のNGOを排除したかどうか、こんな問題が些末なのは、当事者たちも十分承知していたはず。
とにかく、この激突は面白すぎた。
・“お公家さん”の集合体である外務省は、たたき上げの鈴木宗男の“恫喝”に屈し、同時に“政治力”を利用した。
・人間には「家族」か「敵」か「使用人」しかいないというポリシーの真紀子は、「家族」である田中角栄の対中、対露外交を踏襲することを第一義としていた。
……こりゃ、ぶつかるわな。後述する北方領土の四島一括返還と二島先行返還論の確執もあったし。おまけに当時の真紀子のエピソードがすごい。
・自分の指輪の紛失を「使用人」である秘書官の責任にして買いに行かせ、公務に遅刻した。
・アーミテージとの会談をたいした理由もないのにドタキャンした。
・同時多発テロの際に、米国務省職員の避難先を記者に話した。
特に最後の部分は真紀子の危機管理能力のなさを示すもので……以下次号。