伝説の名アンソロジーが、ここに復活!
そんなはずはない。汚職判事を尾行中の刑事たちは、片時も目を離さなかったのだ。だが、何の変哲もない電話ボックスに入った判事は、そこから煙のように消え失せてしまった!駆けつけた刑事たちの前には、ぶら下がったままの受話器だけが…
世界ミステリ全集の最終巻として刊行された『37の短篇』は、古典風のパズラー作品から、ハードボイルド、クライムストーリーにいたるまで、傑作中の傑作を結集した画期的アンソロジーだった。三十五年の時を経て、その精髄がここに復活。密室不可能犯罪の極致ともいわれる、上記クレイトン・ロースンの「天外消失」をはじめ、ブレット・ハリデイの名作「死刑前夜」、メグレ警部登場のジョルジュ・シムノン「殺し屋」、スパイ小説の巨匠アンブラーの本格ミステリ「エメラルド色の空」など多士済々の十四篇を収録。
早川書房がむかし出していた短篇全集からピックアップ。オープニングからターザンが探偵役をつとめる「ジャングル探偵ターザン」。これ、かなりツボでした。タイトルトラックの「天外消失」は、これぞミステリの王道って感じ。今は誰も知らないアル・ジェイムズのセクシーな一篇「白いカーペットの上のごほうび」も好き。
そして、かの有名なストックトンの「女か虎か」も入っています。リドルストーリーの傑作。わたし思うんだけど、あの短篇の語られないラストで、女性が選んだのは女ではないかと。自分の愛する男の弱さを見てみたいというのが王女という存在なのでは?それだと、男としては幸せに死んでいけるような気がするんだよなあ……どMな男の感想でした。