第45話「龍馬の休日」はこちら。
「嫉ましかったがです!」
山内容堂に対して後藤象二郎が発したこのひと言に今回のすべてが集約されています。武士であれば、本来どうあっても口にしてはいけない言葉。
坂本龍馬をどうしても、下士であるあの男のことをどうしても認められないのに、後藤はきついけれども容堂に取り次ぐことで認めてしまう。それどころか……
龍馬伝は近ごろ、毎週のように登場人物との別れを続けている。先々週はお元(蒼井優)、先週はお龍(真木よう子)。そして今週はいよいよ心の故郷である乙女ねえやん(寺島しのぶ)と、永遠の別れを告げる。
一年近くこのドラマにつきあってきて、福山雅治が坂本龍馬を演じるというびっくりな企画に立ち会えたので満足。いろいろあったけど(笑)一週しかパスしていないし。連続ドラマをワンクール見通すことができない根性なしのわたしが、これだけがんばったのには理由があります。それは、大河ドラマでしか味わえない役者たちの本気ぶりが存在するから。
で、“幕末の大河では若手しか活躍の場がない”なんて失礼なことをかましてすいませんでした。ことここにいたって、山内容堂を演じた近藤正臣はほんまもんの大物俳優になったんだなあ。
龍馬を認めることで、先を見通せるがゆえに悪夢にうなされていた現状から逃れられる……心のどこかでそれを安堵している鯨海酔候を、彼はみごとに、そして揺れながら演じていてすばらしかった。
来週はいよいよ大政奉還。もう終わっちゃうんだな。文句も言ったけれども、本気で寂しい。今週は寂しいから視聴率は18%台だとかましてしまいましょう。
第47話「大政奉還」につづく。