ゴーストハント5 鮮血の迷宮 (幽BOOKS) 価格:¥ 1,418(税込) 発売日:2011-07-13 |
毎年5月になると、図書主任は「購入してほしい本がございましたら」てな形でリクエストをつのる。でもなかなか現役の中学生たち向けの本は思い浮かばないし、図書教育にさほど信頼を寄せていない職員も多いので、意地悪な事務職員(わたしだけど)から
「図書予算の執行率悪いぞ。もっと買え、早く買え」
といやみを言われたりしている。かわいそうである。
しかたない、行政職としても手助けをしてやらなくてはと(笑)、去年は伊坂幸太郎のほとんどの作品を購入。さーて今年はどうすっかな……そうだっ。あの人がいた!
小野不由美の新作が出なくなってずいぶんになる。「十二国記」「屍鬼」などで熱狂させてくれた彼女はいま何をやっているんだろう……と思いつつ本屋に入ると、なんと彼女の“新作”が平台にうずたかく積まれている!いつの間にっ。
タイトルは「ゴーストハント」。しかもシリーズもので、現在は第5巻がベストセラー街道驀進中。みんな、待ってたんだなあ。
表紙でわかるように内容は思いきりライトノベルっぽい。それもそのはず、およそ二十年ほど前に書かれた悪霊シリーズのリメイク、というか大幅なリライトなのでした。即全巻購入決定。
「いちおう内容をチェックしたほうがいいんじゃない」
との司書のリクエストにお応えし、夏休みにどっぷりとチェックさせていただきました。娘にまわしたら(彼女は「屍鬼」のファンでもある)、一日で全部読みきりやがって。
設定はいかにも少女向け。SPR(渋谷サイキックリサーチ)代表者である渋谷一也(ものすごく性格が悪く、美形でナルシスティックなので通称ナル)と、ごく普通の高校生(と思われた)麻衣が、口ばっかりの巫女や、現役バンドマンでもある坊主らと幽霊退治を行うお話。
アニメ化されたことも手伝って、古書価格は高騰。ということで小野もリライトに乗りだしたというわけ。でも小野のことだから一筋縄ではいかなくて、ほとんど霊や宗教についてのディスカッションドラマみたいになっている。ミステリとしてのツイストもおみごと。
どうしてこの人たちは携帯電話を使わないのかしら、ってツッコミだけはこういう次第だからかんべんしてやって(笑)。
第6巻特集につづく。