「ドラゴン・タトゥーの女」が、きわめて不道徳な背景をもった本格ミステリだとすれば、「火と戯れる女」はもっと不道徳な展開。どうなってるの北欧
。
リスベット・サランデルを物語の支柱にもってこようとは、ラーソンは最初考えていなかったのだと思う。スウェーデンの、ひいては世界の不正に小説で立ち向かおうとした(本気だったはず)ラーソンにとって、彼女は予想以上に魅力的なヒロインで、アンチ・フェミニズム批判をくり広げるうえでも最適の存在だったわけだ。
三作目「眠れる女と狂卓の騎士」は意外なほどにまっとうな裁判小説になっていて、幕引き(4作目の構想もあったようだけれど)としておみごと。つまりこの作家は、次第にうまくなっていたのだ。夭逝がつくづくと惜しまれる。
原作のファンは映画化においてはスウェーデン版を推奨しているようだけれど、わたしははっきりとハリウッド版のリスベットとカッレくんをイメージしていました。ダニエル・クレイグが、冷蔵庫の上の牛乳をとるシーンだけでも見る価値ありだしね(笑)。
それにしても全6冊を二週間こればっかし読んでました。不道徳な日々……