圧倒的な人気のまま「あまちゃん」終了。その喪失感からあまロスなんてことばまで。マスコミはなんでも盛り上げるもんですな。
でもよく考えてほしい。確かに高視聴率を誇ったあの番組(平均20.6%)だけれど、視聴率がよかった朝ドラはもっとあった。この十年だけでも「梅ちゃん先生」の方が平均では上回っていたし(20.7%)、あまちゃんの最高記録(27.0%)は台風情報によってもたらされたものだ。
しかし「あまちゃん」は確実に歴史に残る。日ごろ朝ドラを見ない、わたしのような人間が熱中したのは宮藤官九郎の脚本に魂があったのと、その魂をギャグでくるむ方法論があの朝ドラですら有効だったことを証明してみせたからだ。というか低視聴率が当たり前だったクドカン脚本が、むしろ朝ドラで華開いたことにびっくり。
それはもちろん能年玲奈という猫背の少女が魅力的だったことや、小泉今日子と薬師丸ひろ子のメドレーという、どこの夜のヒットスタジオですかと思うようなキャスティング、大人計画を中心とした劇団畑のくせもの俳優総出演(阿部サダヲは出演させてもらえなくて残念でした)のおかげもあるだろう。でもそれ以上に
「ジョージ・クルーニーなんて描けねーよー!」
シリアスな場面にこんなセリフが挿入されることがこれまで許されただろうか?他のドラマと絶対的に違うのがこの部分で、テレビの常識を少しオフビート方面にシフトさせてくれたのではないか(でも「ごちそうさん」は、仏壇に向かって心情を訴える家族、なんて使い古された手法が使われていてちょっとがっかり)。
あ、「あまちゃん」の話ばかりになってしまってどうもすみません!日テレの作品なのにNHKの話ばかりですみません!
宮藤官九郎×阿部サダヲ×水田伸生の新作「謝罪の王様」は、これまでの「舞妓Haaaan!!!」「なくもんか」よりもギャグ方面が強化されていてうれしい。
このシリーズはどうしても主人公のトラウマに尺をとられることが多いのが不満だったので、あまちゃんの成功はクドカンに「もっと無茶やっていいんだ!」という自信を生んでくれたのではないかな。
「わきげボーボー自由の女神!」
「わきげワッサー14メートル?」
こんなセリフが東宝の番線にのっただけでも収穫(笑)。キャストでは、ほぼ全篇にわたって仏頂面で通す井上真央と、ごひいき尾野真千子がいい感じ。井上のレオタード姿や尾野の胸をわたしもガン見してすみません!